日本政界●情報メモ

1094 投稿日:2021/05/05 16:13

【785】新刊 「吉本隆明が語った 超資本主義の現在

出版社 : 文化科学高等研究院出版局 (2021/4/20)
発売日 : 2021/4/20
言語 : 日本語
新書 : 192ページ
ISBN-10 : 4910131116
ISBN-13 : 978-4910131115

吉本隆明が語る情況には、本質課題が埋もれている! 吉本の未収録インタビューを取り上げ、それぞれに監修者が「学ぶコメント」を論述。労働形態、家族などにおける「超資本主義」への変貌を考えるための理論地平を示唆する。【「TRC MARC」の商品解説】

吉本隆明が語る情況には、本質課題が埋もれている!
未収録インタビュー拾遺。
家族が壊れていく、対幻想が変貌し、ワークや親子関係、男女関係、老人の位置も変容していく。変わらぬ政治の愚行、経済地盤・事象 の変化、歴史観の歪みや変節、のなかに政治・経済・社会の本質を照らし出すものがある。
日本の特殊性のなかに普遍を探り、未解の課題を浮き立たせる、情況論からの本質示唆。「今だから」こそ見えてくるものがある。

超資本主義へと変貌していく「現在」において、解体していくもの、失われていくもの、そして新たに可能性と限界性を合わせもって出現していくものがある。労働形態、親子関係、家族、民族、社会 主義、ナショナリズム、経済、政治、歴史、セクシュアリテなどにおける「超資本主義」への変貌が示される。
 書籍内容
超資本主義への変容が内在する問題構成を理論生産へと開く
「学ぶコメント」:思想発言を理論化するガイドつき

(1)超資本主義の現在における労働関係・親子関係の変容
   フリーター、パラサイト・シングル、家族
   *コメント「国家と社会」*

(2)日本の特殊性の中に普遍を探る
   日本の歴史ブームとナショナリズム
   *コメント「国家と歴史と場所」*

(3)世界金融の現場に訊く 経済の本性
   *コメント「経済の本性・本質へ」*

(4)分散し矮小化していく政治と社会
   *コメント「思想態度、精神と情況変化」*

(5)家族・老人・男女・同性愛をめぐって
   *コメント「生存と男女」*

本文抜粋 109頁
つまり カネの流れをある程度よりもケチくさくすると 一切の反体制的な政治活動とか労働運動
そういうのが全部 無に帰してしまうというか すべて成り立たないんですよ 資本家は自分のカネ儲けと 資本家同士の結びつきはやるけど 労働組合は何もしないかといったら それはウソで ちゃんとやってるんですね 両方で抜かりなくやっているんです
それをある程度以下にきざむのは ちょっとおかしいんです たとえば六〇年ごろでも 全学連の主流派の幹部連中が 右翼の田中清玄から三〇〇万円ぐらい借りたというんですね そしたら 借りた男と田中清玄がレストランで会食して飲んでいるところを 共産党に写真を撮られちゃって 世間に向けて悪宣伝されたんです
たとえば柄谷行人なんかは 雑誌の座談会で あいつら幹部どもは右翼のカネをもらったりしてよくないとかいっているわけです そんなことをいうインテリが大勢いるんです
だけど 僕はそうはいわないんです 僕の原則は 右翼だろうが左翼だろうが 寄付されたカネはみんなもらっちゃえてことです その代わり 応分の宣伝はする だから 僕にいわせれば問題にならないんです 柄谷は実際の活動を何も知らないくせに おかしいとかいうんですが 僕なんかは冗談じゃないよって思いますね
中略
同時に 知識人がけしからんと思うのは 「おまえ 何もやったことがないんだよ」ってことなんです
つまり ひとつの政治的な運動に類することが起こったときに 何人が動いて どれくらいカネがかかるかってことが 一度も体験したことないからわかってないんですよ
たとえカネをもらったところで カネをくれた人のイデオロギーに沿って運動するなんてことはないですよ カネを出すほうは黙って出す もらったほうが「ありがとう」ってお礼をいって それでいいじゃないかというだけのことです

1094 投稿日:2021/05/05 16:13

【784】新刊 「吉本隆明が語った 超資本主義の現在

出版社 : 文化科学高等研究院出版局 (2021/4/20)
発売日 : 2021/4/20
言語 : 日本語
新書 : 192ページ
ISBN-10 : 4910131116
ISBN-13 : 978-4910131115

吉本隆明が語る情況には、本質課題が埋もれている! 吉本の未収録インタビューを取り上げ、それぞれに監修者が「学ぶコメント」を論述。労働形態、家族などにおける「超資本主義」への変貌を考えるための理論地平を示唆する。【「TRC MARC」の商品解説】

吉本隆明が語る情況には、本質課題が埋もれている!
未収録インタビュー拾遺。
家族が壊れていく、対幻想が変貌し、ワークや親子関係、男女関係、老人の位置も変容していく。変わらぬ政治の愚行、経済地盤・事象 の変化、歴史観の歪みや変節、のなかに政治・経済・社会の本質を照らし出すものがある。
日本の特殊性のなかに普遍を探り、未解の課題を浮き立たせる、情況論からの本質示唆。「今だから」こそ見えてくるものがある。

超資本主義へと変貌していく「現在」において、解体していくもの、失われていくもの、そして新たに可能性と限界性を合わせもって出現していくものがある。労働形態、親子関係、家族、民族、社会 主義、ナショナリズム、経済、政治、歴史、セクシュアリテなどにおける「超資本主義」への変貌が示される。
 書籍内容
超資本主義への変容が内在する問題構成を理論生産へと開く
「学ぶコメント」:思想発言を理論化するガイドつき

(1)超資本主義の現在における労働関係・親子関係の変容
   フリーター、パラサイト・シングル、家族
   *コメント「国家と社会」*

(2)日本の特殊性の中に普遍を探る
   日本の歴史ブームとナショナリズム
   *コメント「国家と歴史と場所」*

(3)世界金融の現場に訊く 経済の本性
   *コメント「経済の本性・本質へ」*

(4)分散し矮小化していく政治と社会
   *コメント「思想態度、精神と情況変化」*

(5)家族・老人・男女・同性愛をめぐって
   *コメント「生存と男女」*

本文抜粋 109頁
つまり カネの流れをある程度よりもケチくさくすると 一切の反体制的な政治活動とか労働運動
そういうのが全部 無に帰してしまうというか すべて成り立たないんですよ 資本家は自分のカネ儲けと 資本家同士の結びつきはやるけど 労働組合は何もしないかといったら それはウソで ちゃんとやってるんですね 両方で抜かりなくやっているんです
それをある程度以下にきざむのは ちょっとおかしいんです たとえば六〇年ごろでも 全学連の主流派の幹部連中が 右翼の田中清玄から三〇〇万円ぐらい借りたというんですね そしたら 借りた男と田中清玄がレストランで会食して飲んでいるところを 共産党に写真を撮られちゃって 世間に向けて悪宣伝されたんです
たとえば柄谷行人なんかは 雑誌の座談会で あいつら幹部どもは右翼のカネをもらったりしてよくないとかいっているわけです そんなことをいうインテリが大勢いるんです
だけど 僕はそうはいわないんです 僕の原則は 右翼だろうが左翼だろうが 寄付されたカネはみんなもらっちゃえてことです その代わり 応分の宣伝はする だから 僕にいわせれば問題にならないんです 柄谷は実際の活動を何も知らないくせに おかしいとかいうんですが 僕なんかは冗談じゃないよって思いますね
中略
同時に 知識人がけしからんと思うのは 「おまえ 何もやったことがないんだよ」ってことなんです
つまり ひとつの政治的な運動に類することが起こったときに 何人が動いて どれくらいカネがかかるかってことが 一度も体験したことないからわかってないんですよ
たとえカネをもらったところで カネをくれた人のイデオロギーに沿って運動するなんてことはないですよ カネを出すほうは黙って出す もらったほうが「ありがとう」ってお礼をいって それでいいじゃないかというだけのことです

1094 投稿日:2021/05/05 16:12

【783】新刊 「吉本隆明が語った 超資本主義の現在

出版社 : 文化科学高等研究院出版局 (2021/4/20)
発売日 : 2021/4/20
言語 : 日本語
新書 : 192ページ
ISBN-10 : 4910131116
ISBN-13 : 978-4910131115

吉本隆明が語る情況には、本質課題が埋もれている! 吉本の未収録インタビューを取り上げ、それぞれに監修者が「学ぶコメント」を論述。労働形態、家族などにおける「超資本主義」への変貌を考えるための理論地平を示唆する。【「TRC MARC」の商品解説】

吉本隆明が語る情況には、本質課題が埋もれている!
未収録インタビュー拾遺。
家族が壊れていく、対幻想が変貌し、ワークや親子関係、男女関係、老人の位置も変容していく。変わらぬ政治の愚行、経済地盤・事象 の変化、歴史観の歪みや変節、のなかに政治・経済・社会の本質を照らし出すものがある。
日本の特殊性のなかに普遍を探り、未解の課題を浮き立たせる、情況論からの本質示唆。「今だから」こそ見えてくるものがある。

超資本主義へと変貌していく「現在」において、解体していくもの、失われていくもの、そして新たに可能性と限界性を合わせもって出現していくものがある。労働形態、親子関係、家族、民族、社会 主義、ナショナリズム、経済、政治、歴史、セクシュアリテなどにおける「超資本主義」への変貌が示される。
 書籍内容
超資本主義への変容が内在する問題構成を理論生産へと開く
「学ぶコメント」:思想発言を理論化するガイドつき

(1)超資本主義の現在における労働関係・親子関係の変容
   フリーター、パラサイト・シングル、家族
   *コメント「国家と社会」*

(2)日本の特殊性の中に普遍を探る
   日本の歴史ブームとナショナリズム
   *コメント「国家と歴史と場所」*

(3)世界金融の現場に訊く 経済の本性
   *コメント「経済の本性・本質へ」*

(4)分散し矮小化していく政治と社会
   *コメント「思想態度、精神と情況変化」*

(5)家族・老人・男女・同性愛をめぐって
   *コメント「生存と男女」*

本文抜粋 109頁
つまり カネの流れをある程度よりもケチくさくすると 一切の反体制的な政治活動とか労働運動
そういうのが全部 無に帰してしまうというか すべて成り立たないんですよ 資本家は自分のカネ儲けと 資本家同士の結びつきはやるけど 労働組合は何もしないかといったら それはウソで ちゃんとやってるんですね 両方で抜かりなくやっているんです
それをある程度以下にきざむのは ちょっとおかしいんです たとえば六〇年ごろでも 全学連の主流派の幹部連中が 右翼の田中清玄から三〇〇万円ぐらい借りたというんですね そしたら 借りた男と田中清玄がレストランで会食して飲んでいるところを 共産党に写真を撮られちゃって 世間に向けて悪宣伝されたんです
たとえば柄谷行人なんかは 雑誌の座談会で あいつら幹部どもは右翼のカネをもらったりしてよくないとかいっているわけです そんなことをいうインテリが大勢いるんです
だけど 僕はそうはいわないんです 僕の原則は 右翼だろうが左翼だろうが 寄付されたカネはみんなもらっちゃえてことです その代わり 応分の宣伝はする だから 僕にいわせれば問題にならないんです 柄谷は実際の活動を何も知らないくせに おかしいとかいうんですが 僕なんかは冗談じゃないよって思いますね
中略
同時に 知識人がけしからんと思うのは 「おまえ 何もやったことがないんだよ」ってことなんです
つまり ひとつの政治的な運動に類することが起こったときに 何人が動いて どれくらいカネがかかるかってことが 一度も体験したことないからわかってないんですよ
たとえカネをもらったところで カネをくれた人のイデオロギーに沿って運動するなんてことはないですよ カネを出すほうは黙って出す もらったほうが「ありがとう」ってお礼をいって それでいいじゃないかというだけのことです

1094 投稿日:2021/05/05 16:12

【782】新刊 「吉本隆明が語った 超資本主義の現在

出版社 : 文化科学高等研究院出版局 (2021/4/20)
発売日 : 2021/4/20
言語 : 日本語
新書 : 192ページ
ISBN-10 : 4910131116
ISBN-13 : 978-4910131115

吉本隆明が語る情況には、本質課題が埋もれている! 吉本の未収録インタビューを取り上げ、それぞれに監修者が「学ぶコメント」を論述。労働形態、家族などにおける「超資本主義」への変貌を考えるための理論地平を示唆する。【「TRC MARC」の商品解説】

吉本隆明が語る情況には、本質課題が埋もれている!
未収録インタビュー拾遺。
家族が壊れていく、対幻想が変貌し、ワークや親子関係、男女関係、老人の位置も変容していく。変わらぬ政治の愚行、経済地盤・事象 の変化、歴史観の歪みや変節、のなかに政治・経済・社会の本質を照らし出すものがある。
日本の特殊性のなかに普遍を探り、未解の課題を浮き立たせる、情況論からの本質示唆。「今だから」こそ見えてくるものがある。

超資本主義へと変貌していく「現在」において、解体していくもの、失われていくもの、そして新たに可能性と限界性を合わせもって出現していくものがある。労働形態、親子関係、家族、民族、社会 主義、ナショナリズム、経済、政治、歴史、セクシュアリテなどにおける「超資本主義」への変貌が示される。
 書籍内容
超資本主義への変容が内在する問題構成を理論生産へと開く
「学ぶコメント」:思想発言を理論化するガイドつき

(1)超資本主義の現在における労働関係・親子関係の変容
   フリーター、パラサイト・シングル、家族
   *コメント「国家と社会」*

(2)日本の特殊性の中に普遍を探る
   日本の歴史ブームとナショナリズム
   *コメント「国家と歴史と場所」*

(3)世界金融の現場に訊く 経済の本性
   *コメント「経済の本性・本質へ」*

(4)分散し矮小化していく政治と社会
   *コメント「思想態度、精神と情況変化」*

(5)家族・老人・男女・同性愛をめぐって
   *コメント「生存と男女」*

本文抜粋 109頁
つまり カネの流れをある程度よりもケチくさくすると 一切の反体制的な政治活動とか労働運動
そういうのが全部 無に帰してしまうというか すべて成り立たないんですよ 資本家は自分のカネ儲けと 資本家同士の結びつきはやるけど 労働組合は何もしないかといったら それはウソで ちゃんとやってるんですね 両方で抜かりなくやっているんです
それをある程度以下にきざむのは ちょっとおかしいんです たとえば六〇年ごろでも 全学連の主流派の幹部連中が 右翼の田中清玄から三〇〇万円ぐらい借りたというんですね そしたら 借りた男と田中清玄がレストランで会食して飲んでいるところを 共産党に写真を撮られちゃって 世間に向けて悪宣伝されたんです
たとえば柄谷行人なんかは 雑誌の座談会で あいつら幹部どもは右翼のカネをもらったりしてよくないとかいっているわけです そんなことをいうインテリが大勢いるんです
だけど 僕はそうはいわないんです 僕の原則は 右翼だろうが左翼だろうが 寄付されたカネはみんなもらっちゃえてことです その代わり 応分の宣伝はする だから 僕にいわせれば問題にならないんです 柄谷は実際の活動を何も知らないくせに おかしいとかいうんですが 僕なんかは冗談じゃないよって思いますね
中略
同時に 知識人がけしからんと思うのは 「おまえ 何もやったことがないんだよ」ってことなんです
つまり ひとつの政治的な運動に類することが起こったときに 何人が動いて どれくらいカネがかかるかってことが 一度も体験したことないからわかってないんですよ
たとえカネをもらったところで カネをくれた人のイデオロギーに沿って運動するなんてことはないですよ カネを出すほうは黙って出す もらったほうが「ありがとう」ってお礼をいって それでいいじゃないかというだけのことです

1094 投稿日:2021/05/05 16:12

【781】新刊 「吉本隆明が語った 超資本主義の現在

出版社 : 文化科学高等研究院出版局 (2021/4/20)
発売日 : 2021/4/20
言語 : 日本語
新書 : 192ページ
ISBN-10 : 4910131116
ISBN-13 : 978-4910131115

吉本隆明が語る情況には、本質課題が埋もれている! 吉本の未収録インタビューを取り上げ、それぞれに監修者が「学ぶコメント」を論述。労働形態、家族などにおける「超資本主義」への変貌を考えるための理論地平を示唆する。【「TRC MARC」の商品解説】

吉本隆明が語る情況には、本質課題が埋もれている!
未収録インタビュー拾遺。
家族が壊れていく、対幻想が変貌し、ワークや親子関係、男女関係、老人の位置も変容していく。変わらぬ政治の愚行、経済地盤・事象 の変化、歴史観の歪みや変節、のなかに政治・経済・社会の本質を照らし出すものがある。
日本の特殊性のなかに普遍を探り、未解の課題を浮き立たせる、情況論からの本質示唆。「今だから」こそ見えてくるものがある。

超資本主義へと変貌していく「現在」において、解体していくもの、失われていくもの、そして新たに可能性と限界性を合わせもって出現していくものがある。労働形態、親子関係、家族、民族、社会 主義、ナショナリズム、経済、政治、歴史、セクシュアリテなどにおける「超資本主義」への変貌が示される。
 書籍内容
超資本主義への変容が内在する問題構成を理論生産へと開く
「学ぶコメント」:思想発言を理論化するガイドつき

(1)超資本主義の現在における労働関係・親子関係の変容
   フリーター、パラサイト・シングル、家族
   *コメント「国家と社会」*

(2)日本の特殊性の中に普遍を探る
   日本の歴史ブームとナショナリズム
   *コメント「国家と歴史と場所」*

(3)世界金融の現場に訊く 経済の本性
   *コメント「経済の本性・本質へ」*

(4)分散し矮小化していく政治と社会
   *コメント「思想態度、精神と情況変化」*

(5)家族・老人・男女・同性愛をめぐって
   *コメント「生存と男女」*

本文抜粋 109頁
つまり カネの流れをある程度よりもケチくさくすると 一切の反体制的な政治活動とか労働運動
そういうのが全部 無に帰してしまうというか すべて成り立たないんですよ 資本家は自分のカネ儲けと 資本家同士の結びつきはやるけど 労働組合は何もしないかといったら それはウソで ちゃんとやってるんですね 両方で抜かりなくやっているんです
それをある程度以下にきざむのは ちょっとおかしいんです たとえば六〇年ごろでも 全学連の主流派の幹部連中が 右翼の田中清玄から三〇〇万円ぐらい借りたというんですね そしたら 借りた男と田中清玄がレストランで会食して飲んでいるところを 共産党に写真を撮られちゃって 世間に向けて悪宣伝されたんです
たとえば柄谷行人なんかは 雑誌の座談会で あいつら幹部どもは右翼のカネをもらったりしてよくないとかいっているわけです そんなことをいうインテリが大勢いるんです
だけど 僕はそうはいわないんです 僕の原則は 右翼だろうが左翼だろうが 寄付されたカネはみんなもらっちゃえてことです その代わり 応分の宣伝はする だから 僕にいわせれば問題にならないんです 柄谷は実際の活動を何も知らないくせに おかしいとかいうんですが 僕なんかは冗談じゃないよって思いますね
中略
同時に 知識人がけしからんと思うのは 「おまえ 何もやったことがないんだよ」ってことなんです
つまり ひとつの政治的な運動に類することが起こったときに 何人が動いて どれくらいカネがかかるかってことが 一度も体験したことないからわかってないんですよ
たとえカネをもらったところで カネをくれた人のイデオロギーに沿って運動するなんてことはないですよ カネを出すほうは黙って出す もらったほうが「ありがとう」ってお礼をいって それでいいじゃないかというだけのことです

1094 投稿日:2021/05/05 16:12

【780】新刊 「吉本隆明が語った 超資本主義の現在

出版社 : 文化科学高等研究院出版局 (2021/4/20)
発売日 : 2021/4/20
言語 : 日本語
新書 : 192ページ
ISBN-10 : 4910131116
ISBN-13 : 978-4910131115

吉本隆明が語る情況には、本質課題が埋もれている! 吉本の未収録インタビューを取り上げ、それぞれに監修者が「学ぶコメント」を論述。労働形態、家族などにおける「超資本主義」への変貌を考えるための理論地平を示唆する。【「TRC MARC」の商品解説】

吉本隆明が語る情況には、本質課題が埋もれている!
未収録インタビュー拾遺。
家族が壊れていく、対幻想が変貌し、ワークや親子関係、男女関係、老人の位置も変容していく。変わらぬ政治の愚行、経済地盤・事象 の変化、歴史観の歪みや変節、のなかに政治・経済・社会の本質を照らし出すものがある。
日本の特殊性のなかに普遍を探り、未解の課題を浮き立たせる、情況論からの本質示唆。「今だから」こそ見えてくるものがある。

超資本主義へと変貌していく「現在」において、解体していくもの、失われていくもの、そして新たに可能性と限界性を合わせもって出現していくものがある。労働形態、親子関係、家族、民族、社会 主義、ナショナリズム、経済、政治、歴史、セクシュアリテなどにおける「超資本主義」への変貌が示される。
 書籍内容
超資本主義への変容が内在する問題構成を理論生産へと開く
「学ぶコメント」:思想発言を理論化するガイドつき

(1)超資本主義の現在における労働関係・親子関係の変容
   フリーター、パラサイト・シングル、家族
   *コメント「国家と社会」*

(2)日本の特殊性の中に普遍を探る
   日本の歴史ブームとナショナリズム
   *コメント「国家と歴史と場所」*

(3)世界金融の現場に訊く 経済の本性
   *コメント「経済の本性・本質へ」*

(4)分散し矮小化していく政治と社会
   *コメント「思想態度、精神と情況変化」*

(5)家族・老人・男女・同性愛をめぐって
   *コメント「生存と男女」*

本文抜粋 109頁
つまり カネの流れをある程度よりもケチくさくすると 一切の反体制的な政治活動とか労働運動
そういうのが全部 無に帰してしまうというか すべて成り立たないんですよ 資本家は自分のカネ儲けと 資本家同士の結びつきはやるけど 労働組合は何もしないかといったら それはウソで ちゃんとやってるんですね 両方で抜かりなくやっているんです
それをある程度以下にきざむのは ちょっとおかしいんです たとえば六〇年ごろでも 全学連の主流派の幹部連中が 右翼の田中清玄から三〇〇万円ぐらい借りたというんですね そしたら 借りた男と田中清玄がレストランで会食して飲んでいるところを 共産党に写真を撮られちゃって 世間に向けて悪宣伝されたんです
たとえば柄谷行人なんかは 雑誌の座談会で あいつら幹部どもは右翼のカネをもらったりしてよくないとかいっているわけです そんなことをいうインテリが大勢いるんです
だけど 僕はそうはいわないんです 僕の原則は 右翼だろうが左翼だろうが 寄付されたカネはみんなもらっちゃえてことです その代わり 応分の宣伝はする だから 僕にいわせれば問題にならないんです 柄谷は実際の活動を何も知らないくせに おかしいとかいうんですが 僕なんかは冗談じゃないよって思いますね
中略
同時に 知識人がけしからんと思うのは 「おまえ 何もやったことがないんだよ」ってことなんです
つまり ひとつの政治的な運動に類することが起こったときに 何人が動いて どれくらいカネがかかるかってことが 一度も体験したことないからわかってないんですよ
たとえカネをもらったところで カネをくれた人のイデオロギーに沿って運動するなんてことはないですよ カネを出すほうは黙って出す もらったほうが「ありがとう」ってお礼をいって それでいいじゃないかというだけのことです

1094 投稿日:2020/10/07 17:29

【779】古九谷の暗号:加賀藩主・前田利常がつくった洗礼盤 孫崎紀子 (著)

古九谷の暗号:加賀藩主・前田利常がつくった洗礼盤 単行本 - 2019/1/29
孫崎紀子 (著)

加賀藩ゆかりの焼き物「古九谷」。加賀藩第二代藩主・前田利常(としつね/1594-1658)。キリスト教において罪を清める儀式で使用する「洗礼盤」。この3つのキーワードを手掛かりに、歴史の闇に葬られた謎を解いてゆく。南蛮貿易によりキリスト教が布教され、1605年の日本の信者数は75万人ともいわれる。加賀でも高山右近の影響で多くの大名が信者となり、利常の時代にも多くのキリシタン藩士を抱えたが、「バテレン追放令」により、彼らは表向きは棄教する。利常は自分のために犯した罪(大坂の陣等)の洗礼ができるよう、キリシタンのシンボルを忍ばせた古九谷の絵皿=洗礼盤を藩士に贈り、後世には「伝世品古九谷平鉢」と呼ばれるようになった「利常の洗礼盤」。その誕生の背景や過程なども明かされ、興趣は尽きない。(オールカラー)

【目次】

第一章 加賀の利常とキリシタンの間
利常とは?/洗礼とは?/利常は、なぜ、洗礼盤をつくらせたか?/キリスト教と茶の湯/金沢と高山右近/キリスト教の伝来と茶の湯/加賀の一向一揆と蓮代寺/加賀藩前田家の支配/大坂冬の陣・夏の陣/利常の意図/寛永十四年(一六三七)のこと/寛永十五年(一六三八)のこと/寛永十六年(一六三九)のこと/寛永十七年(一六四〇)のこと

第二章 三一二枚の追賞
「利常の洗礼盤」と「古九谷」/後藤才次郎と九谷村/才次郎は釜山へ/「倭館」の釜山窯/九谷村の色絵九谷焼/加賀藩の藩窯「越中瀬戸」/再興九谷

第三章 隠されたキリシタンマーク
「伝世品古九谷平鉢」とよばれてきた「利常の洗礼盤」/「利常の洗礼盤」の素地と同じ窯の山辺田遺跡の色絵/「利常の洗礼盤」に見えるキリシタンのシンボル/キリシタンマークの実例/意図して描きこまれたキリシタンマーク/巧妙に隠されたキリシタンマーク/キリシタンマークのいろいろな隠され方/「利常の洗礼盤」に見られる水の表現のいろいろ/一掃された加賀でのキリシタンの影

第四章 「洗礼盤」の誕生と利常の守り
長崎から来た明の陶工/瓦焼の蓮代寺とは/蓮代寺の飛地/「利常の洗礼盤」の誕生地は、蓮代寺の飛地/「利常の洗礼盤」の誕生を守った武士たち

第五章 炭倉の三人の侍はどこへ
「九谷村の古九谷」誕生への道のり/秘密が守られた陰には、武士たちの繋がりが……

第六章 キリシタンの残照
野村家/脇田家と玉泉園/松平忠輝遺品の古九谷の謎

第七章 利常の関与――図柄はどこから?
狩野派との関わり/漆器制作との関わり/『八種画譜』との関わり/景泰藍(七宝)との関わり/日本の意匠との関わり


加賀藩ゆかりの焼き物「古九谷」。加賀藩第二代藩主・前田利常(としつね/1594-1658)。キリスト教において罪を清める儀式で使用する「洗礼盤」。この3つのキーワードを手掛かりに、歴史の闇に葬られた謎を解いてゆく。南蛮貿易によりキリスト教が布教され、1605年の日本の信者数は75万人ともいわれる。加賀でも高山右近の影響で多くの大名が信者となり、利常の時代にも多くのキリシタン藩士を抱えたが、「バテレン追放令」により、彼らは表向きは棄教する。利常は自分のために犯した罪(大坂の陣等)の洗礼ができるよう、キリシタンのシンボルを忍ばせた古九谷の絵皿=洗礼盤を藩士に贈り、後世には「伝世品古九谷平鉢」と呼ばれるようになった「利常の洗礼盤」。その誕生の背景や過程なども明かされ、興趣は尽きない。(オールカラー)

【目次】

第一章 加賀の利常とキリシタンの間
利常とは?/洗礼とは?/利常は、なぜ、洗礼盤をつくらせたか?/キリスト教と茶の湯/金沢と高山右近/キリスト教の伝来と茶の湯/加賀の一向一揆と蓮代寺/加賀藩前田家の支配/大坂冬の陣・夏の陣/利常の意図/寛永十四年(一六三七)のこと/寛永十五年(一六三八)のこと/寛永十六年(一六三九)のこと/寛永十七年(一六四〇)のこと

第二章 三一二枚の追賞
「利常の洗礼盤」と「古九谷」/後藤才次郎と九谷村/才次郎は釜山へ/「倭館」の釜山窯/九谷村の色絵九谷焼/加賀藩の藩窯「越中瀬戸」/再興九谷

第三章 隠されたキリシタンマーク
「伝世品古九谷平鉢」とよばれてきた「利常の洗礼盤」/「利常の洗礼盤」の素地と同じ窯の山辺田遺跡の色絵/「利常の洗礼盤」に見えるキリシタンのシンボル/キリシタンマークの実例/意図して描きこまれたキリシタンマーク/巧妙に隠されたキリシタンマーク/キリシタンマークのいろいろな隠され方/「利常の洗礼盤」に見られる水の表現のいろいろ/一掃された加賀でのキリシタンの影

第四章 「洗礼盤」の誕生と利常の守り
長崎から来た明の陶工/瓦焼の蓮代寺とは/蓮代寺の飛地/「利常の洗礼盤」の誕生地は、蓮代寺の飛地/「利常の洗礼盤」の誕生を守った武士たち

第五章 炭倉の三人の侍はどこへ
「九谷村の古九谷」誕生への道のり/秘密が守られた陰には、武士たちの繋がりが……

第六章 キリシタンの残照
野村家/脇田家と玉泉園/松平忠輝遺品の古九谷の謎

第七章 利常の関与――図柄はどこから?
狩野派との関わり/漆器制作との関わり/『八種画譜』との関わり/景泰藍(七宝)との関わり/日本の意匠との関わり

出版社からのコメント
石川県九谷焼美術館館長 武腰潤氏推薦!
「古九谷誕生の謎に迫る。知られざる加賀キリシタンと利常の智恵。こんな切り口があったのか!驚きがとまりません。」
著者について
一九四八年生まれ。金沢大学薬学部卒業、同医学部附属ガン研究所助手を経て、一九七一年に結婚後、外交官である夫と共に、ロンドン、モスクワ、ボストン、バグダード、オタワ、タシケント、テヘランに住む。
「マンナ」「ムミヨとウズベク語」「日本語とウズベク語の比較」「舎衛女のうた」などのエッセイ・論文がある。
二〇一四年から二〇一七年まで、上智大学・山岡三治教授「文化交渉学特講」(文学研究科)の講師を務めた。
著書に『「かぐや姫」誕生の謎――渡来の王女と"道真の祟り"』(現代書館)がある。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
孫崎/紀子
1948年生まれ。金沢大学薬学部卒業、同医学部附属ガン研究所助手を経て、1971年に結婚後、外交官である夫と共に、ロンドン、モスクワ、ボストン、バグダード、オタワ、タシケント、テヘランに住む。2014年から2017年まで、上智大学・山岡三治教授「文化交渉学特講」(文学研究科)の講師を務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報
* 発売日 : 2019/1/29
* 単行本 : 208ページ
* ISBN-10 : 4768458432
* ISBN-13 : 978-4768458433
* 出版社 : 現代書館 (2019/1/29)
* 言語: : 日本語

1094 投稿日:2020/03/03 12:34

【778】吉本隆明氏「横超忌」へのお誘い

https://ameblo.jp/maekawaf/entry-12579355910.html
NEW!2020-03-03 08:41:44
昨年経験したので準備が素早く整いました。横超社HPnews欄にUPしています。
書籍やDVD等希望の方は私のメール maekawafujikazu@yahoo.co.jp に連絡下さい。
3月16日(月)15:00吉本家墓前、現地集合です。
交流会は、17:00から池尻大橋「鉄板焼 不二」で、2~3時間程度を予定しております。
法政のKAYOちゃんやお京さんにも声かけよう。
元AGU、南部地区AIF、首都圏AIF,全国AIF,叛旗派シンパ諸氏、吉本ファンの皆様!!
一人静かに吉本氏を追悼するのもいいですけど、「横超」を呑みながら騒ぐのも選択肢かな!?飲兵衛大森は、考えます。昔の同志達が、続々とあっちの世界に逝っています。
法政 救対ー赤燈の克ちゃんに会いたいです。連絡下さい。

http://www.ohchosha.sakura.ne.jp/ouchouki.pdf
横超社主催
〈知〉の巨人・吉本隆明氏を偲び「横超忌」へのお誘い
令和 2 年 2 月 3 日
(株)横超社 星野陽一 依田秀雄 大堀由利 前川藤一
横超忌開催要項
■ 日時: 令和 2 年 3 月 16 日(月) 15:00~15:30 ■ 於: 京王井の頭線・京王線 明大前駅 徒歩 5 分
築地本願寺和田堀廟所 墓地 20-4 吉本家墓前現地集合
■ 献杯参加費: 200 純米生詰原酒「横超」 ツマミ付代金 ■ 交流会: 17:00~
田園都市線 池尻大橋駅 徒歩 2 分 鉄板焼「不二」 下記当社 HP 参照
( http://ohchosha.sakura.ne.jp/kokode/index.html)
■ 交流会参加費: 5,000 円 「横超」・ビール等飲み放題 ■ 交流会定員: 20 名前後
当日は「不二」定休日のため、貸し切りとなります
※ 詳細は3月1日、当HPにて告知予定
横超社一同

1094 投稿日:2019/03/13 11:04

【777】吉本隆明氏を偲び「横超忌」へのお誘い

http://www.ohchosha.sakura.ne.jp/ouchouki.pdf
横超社主催
〈知〉の巨人・吉本隆明氏を偲び「横超忌」へのお誘い
横超忌開催要項
■ 日時: 平成 31 年 3 月 16 日(土) 14:00~16:30
■ 於: 京王井の頭線明大前駅徒歩 5 分 築地本願寺和田堀廟所 ■ 交流会前半: 築地本願寺和田堀廟所 14:00~15:00 ■ 墓参: 墓地 20-4 吉本家墓 浄土真宗僧侶供養お務め 献杯 ■ 交流会後半: 築地本願寺和田堀廟所会館 15:30~16:30 ■ 交流会 2 次会: 池尻大橋 鉄板焼き不二 17:00~
■ 交流会受付: 墓参のみの方 無料
15:00~15:30
献杯参加者 交流会参加者 2 次会
1,000 円 純米生詰原酒 横超 乾き物提供
3,000 円 (3,000 円払えない方は前川にご相談ください) 定員一杯となりました。
※受付に名前等知らせたくない方は、記名拒否で結構です。名刺だけでも結構です。 ※交流会場には吉本氏縁の DVD、書籍、酒ラベル等の販売、10 月創刊雑誌「横超」の予約受
付します。 ※書籍、ビラ等は、横超社に断わって頂ければ構いませんが、主催者への最低限の忖度が必要で
す。
※喧嘩等の発生には霊園であり、かつ横超忌の趣旨を鑑み排除します。 当日は文学者も横超忌を企画しており、先輩達が、優先されます。失礼の無いようお願いします。
■同志友人諸君、吉本ファンの皆様へ
横超忌を定着させよう。「吉本ばなな」は、知っていても、「隆明 WHO?」の世代に、こんな面白く、かつ思想の 世界性を獲得した傑物を知って頂くことは、残された私たちの責務です。横超社は、困窮した老人達のホーム 「横超園」建設を目標に設立した会社ですが、吉本の「共同幻想論」「言語にとって美とはなにか」「心的現象 論」の英訳、仏訳を成し、吉本の功績を世界に発信する事を考えております。生きていれば、ノーベル文学賞 受賞も大江健三郎と比較しても当然です。
横超忌への参集をお願いします。
横超社一同
平成 31 年 3 月 1 日
(株)横超社 星野陽一 依田秀雄 前川藤一

1094 投稿日:2018/11/07 13:51

【776】村上篤直×橋爪大三郎=対談 〈人間・小室直樹〉を探す旅へ

読書人紙面掲載 特集
更新日:2018年10月26日 / 新聞掲載日:2018年10月26日(第3262号
村上篤直×橋爪大三郎=対談
〈人間・小室直樹〉を探す旅へ
https://dokushojin.com/article.html?i=4469

昭和と平成を駆け抜けた稀代の社会学者・小室直樹。多くの著作を残し、社会学者の橋爪大三郎をはじめ、宮台真司、大澤真幸、副島隆彦ら今、日本の社会学研究の最前線で活躍する多くの弟子たちを輩出した彼の生涯を村上篤直氏が上・下巻一五〇〇頁超にわたり綴った『評伝 小室直樹』がミネルヴァ書房から刊行された。

過激な発言ばかりが注目される小室直樹の実像、学問の真髄とは? 小室と面識がないにも関わらず綿密な取材を重ね、これほどの大著を書き上げた村上とは何者か。本書刊行を機に伝説の「小室ゼミ」で塾頭を務めた橋爪氏と村上氏に対談をお願いした。
(編集部)

目 次
第1回
奇跡のような評伝
2018年10月26日
第2回
小室直樹の著書に命を救われる
2018年10月27日
第3回
真面目な近代人としての共通点
2018年10月28日
第4回
小室直樹本人さえも知らない小室直樹像
2018年10月29日
第5回
会津藩士の血脈
2018年10月30日
第6回
「学問をしている人」
2018年10月31日
第7回
「社会科学の復興」を合言葉に
2018年11月1日

第1回
奇跡のような評伝
橋爪 大三郎氏
橋爪 
 本書は上・下二巻で各巻七〇〇頁を超える大変なボリュームです。これだけ膨大な原稿になりそうになったら、ふつう、編集者が黙っていないでしょう。「四六判で四〇〇頁以内にしてください」と注文が入るはずだ。それが今回、著者の情熱そのままの分量で出版になった。ミネルヴァ書房は偉い、とまず言いたい。小室直樹博士をテーマにするなら、中途半端でなく、きちんとした形で出しましょうと、出版社が覚悟を決めた。その思い切りが功を奏して、素晴らしい本になったと思います。
村上 
 ありがとうございます。出版社のお力添えのおかげで素晴らしい本に仕上げていただきました。それに、この本は自分ひとりの力だけでは到底書き上げることは出来なかったわけで。担当編集の水野安奈さんの叱咤激励をはじめ、多くの方に支えていただき完成に至りました。ただ、当初の予定では「二五〇から三〇〇頁くらいの内容で」と言われていたのは事実です(笑)。
橋爪 
 これだけ分厚い二冊本ですが、各冊が一五章ずつにまとめられているでしょう。これが読むのに、絶妙なバランスなんですよ。それに、小室先生の生涯を時系列に追ってはいるのだが、単なる一本道ではなくて、小室先生が少年時代を過ごした会津でのエピソードとか、京大に進学して以降の学業に勤しむ姿、破天荒な私生活、編集者との交流、などなどのテーマがうまく切り替わっていく。そもそも誰の人生だって、時系列ではうまく語りきれないいくつかのテーマがあるわけで、そこをバランスよく、巧みな筆致でうまくかき分けている。

そして各章の長さ。長すぎる章もなく短すぎる章もなく、うまく釣り合いがとれている。丹念な取材が掘り起こしたエビデンスも盛り沢山で、資料価値も極めて高い。まさに奇跡のような本だと言えますよ。
村上 
 本書を読んでいただく方には小説を読むような読み物を楽しむ感覚で読んでもらいたいと思いながら筆を進めました。小室先生ご自身がまさに物語の主人公のような人物ですから。少年時代から片鱗をみせる破天荒さも面白いし、御本人は茶化して自分のことを語っていらっしゃいましたが、その反面とても生真面目な顔をもっていらっしゃる。そんなギャップもまた面白い方なんですよね。

小室先生の人生を多くの方に知っていただきたいので読みやすい構成という点は心がけました。章の長さ然り、文体然り。それに改行も多くしたんですよ。決して小室スタイルを踏襲したというわけではないのですが、読みやすさを意識したら自然とこのような内容、形式になりました。
橋爪 
 村上さんのご本は、小室博士の経歴をトレースするだけではなくて、博士がのこした著作のそれぞれに記されたメッセージをしっかり正確につかまえている。これは本当に容易ならざることです。『評伝 小室直樹』を書くのに、ここまで深く小室博士の内面に分け入り、しかも細かなディーテイルをおろそかにせず、隅々まで相当のエネルギーをつぎ込んでいるのが伝わってくる。小室先生もさぞお喜びになっていることでしょう。

これだけの内容の書物は、言うまでもないことですが、書きたいと思っても一朝一夕で書けるものではありません。だからこそ、この仕事をなし遂げられた作者の村上さんも、極めて稀有な存在だと言えます。本書を手にした読者の皆さんは、小室博士その人に驚くと同時に、博士と一面識もない村上さんがなぜ、これほどの情熱を傾けてこれだけの大長編を書くことになったのだろう、と不思議に思うことでしょう。
第2回 小室直樹の著書に命を救われる >