ふじむら掲示板
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Loginはこちら【671】岡田英弘マジックにご用心。
伊藤睦月です(会員番号2145)です。下記、鶴翼主義「地政学で解き明かす邪馬台国」についての会員番号1989号さんの問いかけに、コメントします。
(引用開始)「1里」の距離変換の相違から岡田先生の説(「日本史の誕生」第3章)とは大きく異なりますが、私は説得力のある文章として大変興味深く読みました。(引用終わり)
伊藤睦月です。まず、岡田英弘先生の「日本史の誕生」では、邪馬台国を「山口県下関市あたり」としていますが、これは、岡田先生のジョーク、悪い冗談だと考えています。その数ページ前に、「邪馬台国の場所を探すのは意味がない」という趣旨の記述があります。「それでもあえて比定するとすれば・・・」ということで、魏志倭人伝の記述ではなくて、隋書倭国伝に、隋の使者、裴世清が大和に向かう途中で「大秦国」という大規模な中国人コロニーに立ち寄った、という、記事があったことを根拠に、この大秦国を、かつての邪馬台国だとしています。
岡田英弘博士は、そもそも魏志倭人伝それ自体を、時の権力者に忖度しまくりの内容で、路程記事自体を、信用できない、と考えています。つまり、この記述は、岡田英弘博士が、当時(1970年代の)日本歴史学会全体をからかった、マジックを仕掛けたものだと考えています。1989さんは、岡田博士に担がれているのですよ。私も最初そうでしたが、上記がわかったときは、思わず「なんでやねん」とつっこんでしまいました。このことは、以前のふじむら掲示板への投稿にも書いたつもりですが・・・
あと、この「鶴翼主義」という人物は、何者ですかね。ちょっとよくわからないな。1989号さん、なにかご存じであれば教えてください。
それに「地政学で解き明かす」などと大げさですね。「地理学で解き明かす」ならわかるけど。地理学の学問水準に照らして、どの程度か、というのはありますが。私にはよくわからない。
とにかく、現時点では、覇権アメの拾い読みに夢中でして、(まだ第1章も読み切っていない)、この程度の感想で恐縮です。
以上、伊藤睦月記
【670】鶴翼主義「地政学で解き明かす邪馬台国」について
会員番号1989です。
皆さんは鶴翼主義の「地政学で解き明かす邪馬台国」をどうお読みになりますか。
https://note.com/kakuyokusyugi/n/n8c7e1d6e01c0
「1里」の距離変換の相違から岡田先生の説(「日本史の誕生」第3章)とは大きく異なりますが、私は説得力のある文章として大変興味深く読みました。
【669】覇権アメを拾い読みする(3)覇権アメの次に参照するべき本は、「映画本」で決まり!
伊藤睦月です。本日は、2025年9月8日(月)です。
昨晩、石破茂が自民党総裁の辞意を表明した。数日前に足(ひざ)の不調が報じられていたので、辞意表明は近いのでは、とは思っていた。石破には、特段の思いれはないが、トランプとの交渉や党内政局のゴタゴタは相当きつかっただろうな、とは思う。お疲れさまでした。
そして、次期総裁は、正直誰でもよい。宗主国(トランプ)からの被害を最小化し、「アジア人同士戦わず」を貫いてくれればよい。副島先生によれば、トランプは、ディープステイト側についたようだから(早速パクリ本がでていますね)、油断はできないが。髙市は論外、小泉も不安要素満載だ。
さて、覇権アメの第1章しか読んでないのに、なんだが、覇権アメを読んだら、あるいは、覇権アメの理解を深めるためにお勧めの本がある。それはいかのとおり。
1)ハリウッド映画で読む世界覇権国アメリカ(上)講談社アルファ文庫2004年
2)同上(下)
3)アメリカ帝国の滅亡を予言する<映画で読む世界の真実>日本文芸社2013年
伊藤睦月です。これら3冊は、最近の「今日のぼやき」にも紹介されている。アマゾンでは、3)は在庫があるようだが、1)、2)は、古本でしか扱っていないようだ。今度いつ再販されるかわからないから、ぜひ手に入れるべきだ。私は、この本に随分教えてもらった。覇権アメがハードル高いと感じられる方に是非お勧め。
一応、目次を紹介する。
(上巻)
まえがき
序章 アメリカ社会・差別の分裂線
第1章 アメリカ政治を動かしているもの
第2章 アメリカ社会の本質
第3章 アメリカの差別の構造
あとがき
(下巻)
序章 「政治的立場」とは何か
第1章 リベラルの嘘と偽善
第2章 西欧近代化とは何か
第3章 日本を考える
あとがきにかえて 私の政治思想遍歴
登場映画索引(上下巻療法掲載してあって、便利)
アメリカ帝国の滅亡を予言する
はじめに
PART 1 アメリカ 帝国神話の終焉
PART 2 ハリウッドの中の反骨精神
PART 3 アメリカの没落とヨーロッパの悲劇
巻末付録 本書で評論した映画の監督たち 15人のプロフィール
伊藤睦月です。副島ファンなら、これだけ見れば、読みたくなるでしょ?上記1)、2)は覇権アメとのリファレンス性が高いので、お得感がある。
上記1)、2)と3)とでは、アメリカ帝国に対する構えが違うことは、本のタイトルをみればすぐわかる。前2書は、「世界帝国」アメリカ、3)は、「滅亡が見えてしまった」アメリカ、執筆間隔は約10年。その間、アメリカに、そして副島先生に何が起こったのだろう。この間、学問道場を留守にしていた自分には興味深い。今後それについても書くことがあるだろう。とにかくこれも熟読必須。
なお、副島先生は、その後も、「副島隆彦の政治映画評論 ヨーロッパ映画編」ビジネス社2015年を上梓(じょうし:出版)されており、現在、日本映画編が連載中である。これも楽しみ。
さらに、「ハリウッド映画は、ディープステートの洗脳工作」という視点で書かれた、西森マリー「ハリウッド映画の正体」(副島先生監修、推薦)も気になっているが、まだ読み切れてない。この2書はまだアマゾンでも手に入るようだ。(私は、西森本は、電子書籍版でもっているが、年寄りには読みにくいので、今後紙版を手に入れたい、とは考えている)
以上、ちょっとした雑談でした。次回から覇権アメに戻ります。
伊藤睦月記
【668】覇権アメを拾い読みする(2)第1章にほとんどすべてが書いてある。
伊藤睦月です。本日は、2025年9月2日です。
この覇権アメを久しぶり(多分20年ぶり)に通読している。かなり脳みそがしんどい状態になっているが、また楽しくもある。こういった本を初めてザクザク読んでいける若い人たちが正直うらやましい。
1)第1章に、本書(第2章~第7章のエッセンスがほとんど詰まっている。
①本書の目的はアメリカ政治思想の全体像を把握させたうえで、ネオコンの動きから、リバタリアンの胎動までを概観し、第6章で、リバタリアンをしっかり理解させることを目的としている。
➁だから、第2章以下を読み進むにつれ、第1章を読み返したくなる。そうならない人は、よほど頭の強い人か、おばかさんである。
➂具体的個所を指摘しよとすれば、第1章の相当部分に注釈をつけなければいけなくなる。それは将来の副島学の研究者たち(何年後かな?)の役割だろう。
④なお、第8章(黒人イスラム勢力の動き)、第9章(左翼地知識人と急進左翼運動の現在)については、それまでの各章とのつながりが薄い。つまり、第1章の延長線上でとらえられない。その分、アメリカ政治思想のフロンティアとでもいうべき分野。これについては、副島先生の他の著作か、各分野の専門家の業績で補うしかない。本書の中でも一番長く寿命(賞味期限)が長いのは、この2章ではないかと思っている。私には正直、手に負えない。
2)アメリカ政治における、学者、知識人、評論家、大学、シンクタンクの存在の重要さを理解する。
①(引用はじめ)アメリカの一流コラムニスト(社会・政治評論家)の力をあまくみてはいけない。日本国内の雑誌や新聞コラムでしか通用しない日本言論人の「国内評論」とは桁が違うのである。・・・(中略)この事実の重たさに日本国内言論人は、そろそろ気づくべきなのだ。(同書46P)(引用終わり)
➁伊藤睦月です。この本がでてから、アメリカのシンクタンクに焦点を当てた新書本がいくつか出ているが、私には、この本のパクリにしかみえない。あと大学や、知識人や評論家たちをこれだけ大量に紹介した本は、一般向けとしては、皆無だろう。(例えば、トランプはハーバード大学を「反ユダヤ主義」と非難しているが、なんか奇妙な感じがする)
➂これに関しては副島先生の他著や投稿などで、断片的に表れるが、こういう、アメリカ、欧米の知的世界については、体系的に紹介した本はない、ので、副島先生の跡を継ぐ人材は現れないものか。今後に期待したいな。
3)副島先生の政治思想遍歴のいったんがうかがえる。
①(引用はじめ)・・・私は70年代の新左翼学生運動に影響を受けた世代の一人である。・・・(中略)・・・私のような人間は、人類の理想である社会主義の大義causeを裏切ったソヴィエトや中共に激しい憎しみの気持ちを抱いて1970、80年代をずっと生きた。・・・(中略)・・・そのことを私自身は、知識人としての歴史判断を誤らなかったと自負している。しかし自分が複雑な立場であることからは逃れられない。・・・(引用終わり:覇権アメ30-31P)
➁伊藤睦月です。この本が、文章が、1995年に書かれたものであることに、刮目(かつもく)すべし。ここまで正直な文章は当時なかったと思う。他の学者、知識人たちは、すべからく沈黙した。時代の変化、そして海外の学者や佐藤優氏らの著作が普及するにつれて、「資本論」が、再評価された。ただし、1970年代以降に生まれた新世代の知識人たちによってである。知の世界でも強制的な世代交代が起こっている。その中で、副島先生は数少ない存在である。
➂そういえば、佐藤優氏も副島先生も、オールドメディアにはまず、登場しない。佐藤優氏は、池上彰氏、という「影武者」(私の感想。その前は手嶋龍一氏だった)を使っているようだ。
④副島先生の思想遍歴については、他著に詳しいから、紹介することもあるだろう。その後については、先生の投稿を拾っていくしかないけれど。それについては、後日。私自身の思想遍歴についても、また後日。(きわめて月並みだけど・・・)
以上、伊藤睦月記
【667】覇権アメを拾い読みする(1)高校教科書レベルから始める。
伊藤睦月です。本日は2025年9月1日です。
朝から石破首相の膝について、報道されていた。昔から、自民党総裁が退陣する理由は、「体調不良」と相場が決まっているので、もしかして・・・とも思うが、あのストレスだらけの巨体を支える膝はさぞかし悲鳴を上げているだろう、と同じ膝関節変形症の身、としては、わかるような気がする・・・
ともかく、今回からは、副島学の基本書である、「覇権アメ」(世界覇権国アメリカヲ動かす政治家と知識人たち)を第1章から、通読しながら、所感を書かせていただく。ツッコミ大歓迎。レベルは共通テストレベルの知識があることを前提としている。(つまり高校教科書レベル)
さて、まずは、第1章「ネオ・コン」派の正体から。目次にある「小見出し」を読んでみよう。
1)80年代アメリカで何が起こったのか?
2)それは、「反ソ強硬路線」から始まった。
3)ネオ・コン派の知識人たち
4)ブッシュ(パパ)を揺さぶり落した台風の目
5)アメリカの言論誌は政治闘争の戦場である。
6)レーガンデモクラットの波がソ連を崩壊させた
7)本当は共和党の方が戦争をいやがる
8)「アメリカファースト!」の潮流が動き出した
9)共和党の保守主義を支持する中小企業経営者たち
10)永遠の保守思想たち
11)保守思想への巨大な地すべり
伊藤睦月です。この「覇権アメ」は、全9章、文庫本サイズで400ページぐらいある。しかも各章とも、岩波新書や中公新書1~2冊程度の情報量がある。だから、目次(小見出し)を頼りに読んでいくのが、一番賢い、と思う。
第1章は、80年代のレーガン政権(共和党)で採用された「サプライサイダー」経済学(ラッファーカーブ)の誕生に始まり、ネオ・コン派の誕生と政治変動(レーガン・デモクラット)、従来からの共和党保守思想、そして、本書の本当の主役である、リバタリアニズムの胎動が語られる。
副島ファンなら、言うまでもないが、この「ネオコン」「リバタリアニズム」、といった「コトバ」が、専門家レベルでなく、一般読者レベルにまで、浸透したのは、本書の登場(1995年)からである。これは間違いない。(同時期に佐々木毅東大教授や岡崎久彦が紹介しているが、それは、「覇権アメ(アメリカ政治思想大研究)」の後ですね。これは、押さえておきたい。
では、第1章から。(引用開始)
この「サプライサイドSupply-side (供給者重視)という経済理論自体は、もともとJFK(ジョン・F・ケネディ)が60年代初めにリベラルな経済運営をやって税金をカットしたところ、タイミングよく景気が回復したという過去の実績から始まっている。(「覇権アメ」24ページ)
サプライサイダーとマネタリストという相反したポリシーをいっしょにやろうとしたのが、レーガン政権だったのである。片方でサプライサイダーという「減税と、政府の経済への不干渉」の政策をやりながら、片方ではマネタリスト手法で「政府が積極的に干渉して通貨の流通量を統制しよう」としたのでる。(「覇権アメ26ページ」)
伊藤睦月です。サプライサイドの経済学、その中核理論である、「ラッファーカーブ」は、現在の主流派であるケインズ流経済学者からは、全否定され、今では、知らない人の方が多いかもしれないが、1970~2000年代にかけて、大流行した。「新自由主義」は、サプライサイドの経済学から出てきた。
サプライサイドの経済学の要点は2つ。1つ目は、「供給重視」(セーの法則を前提)2つ目は「適切な減税は、かえって政府に税収増をもたらす(この減税と増収の関係を表現したポンチ絵が「ラッファーカーブ」である)
セーの法則とは、「供給すれば需要される」とする。ケインズ以前からある考え。この関係を逆転させたのがケインズ。(ここまでは、高校レベル)
需要と供給の関係でいえば、政府支出は、政府の需要なので、コントロール可能。一方で、供給は、政府の手でコントロールできない。ということから、需要喚起は、政府によってできる、という考え。供給は、コントロールできないので、「自由放任」「夜警国家」を原則とする。その観点から、政策的には、減税、規制緩和、を推奨される。「セーフティーネット」などは、ケインズ的政策との妥協なので、できればしたくない。現在は、サプライサイドとケインズ政策との綱引きの結果で政策決定されている、というのが現状。
以上、稚拙な説明で恐縮だが、とりあえず、小休止。
伊藤睦月筆
さて、
【666】覇権アメの読み方。通読するより、TPOに応じて拾い読みするのが賢い。例えば、トランプの高関税政策は、今や、合衆国の古典的政策である。
1) 伊藤睦月です。本日は、2025年8月22日です。これまで覇権アメを手掛かりに、私なりのウンチクを披露してきた。凡庸なことは承知の上。さて、残りの章をどう読むか。
2)最初からザクザク読んでいくのも一法だが、かつての私のように、情報の洪水に溺れる人も多いと思う。
3)私が実践し、オススメの読み方は、TPO(自分の問題意識)に応じて該当部分を拾い読みする。一度通読したらそのままにしないで、ときどき本書を開き、辞書のように、読んでみること。どの部分を読むかは、注意深く記述している「小見出し」をとっかかりにすればよい。頭の負担もそれほどでもないし、自分の知見を高かめることができる。ただし、そうやって得た知見を他人に披露するのは、ちょっと考えた方が、良いかもしれない。
4)つまりは、覇権アメを「古典」のように読む、ということである。各記述は時代の制約下(1990年後半)にあることは否めないが、それは、どの古典も同様だ。
5)例えば、こういう記述がある。第3章から。
(引用開始)この立場(1980年代にネオリベラル派が唱えた、「産業政策論」のこと)は、外交面においては、アメリカの利益を積極的に追求する、エコのグローバリズム(経済覇権主義)の立場にたつ。・・・(中略)
6)彼ら(アメリカの大企業の大労働組合の幹部)の立場では、アメリカの労働者の生活を守るためには、外国の企業に厳しく課税してほしいし、アメリカの国内企業を倒産の危機から守ってほしい。
7)アイソレーションスト(保守派)のバットブキャナンは、すでにはっきりと、「アメリカは保護貿易(国内産業保護政策)に転じるべきだ」「アメリカは、覇権国(世界帝国)意識を棄てなければならない」とまで言っている。
8)ブキャナンとは犬猿の仲ながら、ネオ・コン派(民主党から共和党に転じた集団)のエドワード・ルトワックも『アメリカ衰退論』のなかで、「このまま行けばアメリカはもっともっとダメになり、まるで第三世界の都市のような荒れすさんだ国になる」と書いた。
9)民主党ネオリベラル派内からも、ロバート・カトナーが『自由放任経済の終わり』(1991年)を書いて、「もはやアメリカは自由貿易を言っている余裕などない。アメリカは管理貿易体制に移行して、輸入品に高関税をかけねばならない。
10)ヨーロッパや日本という国々は、もともとが自由貿易国家でなくて、重商主義(mercantilism マーカンティリズム、はく奪経済)国家なのであり、自分たちのことしか考えていない連中だから、アメリカが気前よく市場を開放しておくとどこまでも入り込んできて、勝手に商売をやってアメリカの富を盗んでいく」と言っている。これは明らかに、プロテクショニズム(保護貿易論)である。(引用終わり:覇権アメ144P-146P)
11)伊藤睦月です。トランプは1980年代に、民主党支持のニューヨーク財界人(不動産事業)としてビジネスキャリアを始めた人である。このころ、日本は、バブルにおごって、米国の不動産を買いまくった。若きトランプには、そのときのことが、しっかりと刷り込まれている、と思う。高関税政策は、半世紀前から、共和・民主共通のいわば挙国一致の「産業政策」のひとつ、であった。
12) ところで、今回の関税交渉の担当は、赤沢亮正(あかざわ・りょうせい1960-)である。彼のことはよく知らないが、赤沢は、鳥取の代議士一族の3代目であり、石破茂と臥薪嘗胆をともにした、盟友だそうだ。彼は国土交通省のキャリア官僚時代に米国コーネル大学のMBAをとっている。だから、英語による交渉は得意、そこまでいかなくとも、相手の言っていることや、部下スタッフの英語交渉は理解できている、と思えわれる。(これは意外と重要だと思う)
13)その赤沢が、テレビ(テレ朝)の朝のワイドショーで、「覇権国が貿易のルールを変えようとしている」と、いつものひょうきんな発言にまぎれて、しれっと言い放った。そのとき、一瞬だけど、司会者や他のコメンテーターの空気が明らかに変わった。凍り付いた、といってもよい。みんな本当はわかっているのだ。
(引用開始)日本としては、アメリカから、「言うことをきかないと、輸出させないぞ」「制裁措置(リタリエイションretalition)を発動するぞ」と言われたらどしようもない。日本の官僚たちが、いくら対等のふりをしても(そしてオールドメディアがいくらそのように演出しても:伊藤加筆)結局は、日本はアメリカの言うことをきくしかないのである。50年前の(敗戦のときの)ように、国が焼野原になりたくなかったら。売り手と買い手がケンカしたら、大抵の場合、買い手の勝ちなのだということを知らねばならない。自由貿易体制は日本の生命線である。(引用終わり:覇権アメ146-147p)
伊藤睦月です。これって何年前の文章だろうか。だからこの人の本は繰り返し読まずにはいられない。
以上、小休止
伊藤睦月記
【665】覇権アメ第4章の次は、第2章を読む。「建国の父」次世代の大統領3人について
伊藤睦月です。本日は2025年8月21日です。相変わらず、暑いね。前回までで「建国の父たち」を紹介したが、その次の世代の3人の大統領を紹介する。これで、7代。よそ様の国の大統領とはいえ、アメリカの小学校レベルなので、名前くらいは知っておいた方がよいと思う。
1)ジェームズ・モンローJames Monroe 1758-1831バージニア州選出。ジェファーソンの子分、地方分権派。モンロー宣言(最近では教書Doctrine、と高校教科書では表記されていることが多い)(1823年)で有名「西半球はもはやヨーロッパ植民地の対象ではない」地方分権派だが、ジョンアダムス政権時の国務長官や第5代大統領時代には、フロリダやルイジアナなど、連邦の拡大に貢献している。
2)ジョン・クインシー・アダムズJohn Quincy Adams 1767-1848 第6代大統領。ジェファーソンの流れをくむ民主共和党最後の大統領とよばれた。マサチューセッツ州名門アダムズ家の当主で、父親は、第2代大統領。おぼっちゃまくんらしく、ポトマック川を裸で泳ぐのが好きだったそう。内政よりも、外交、ということで、モンロー大統領の国務長官も務め、モンローとともに、合衆国の領土拡大に貢献した。(現在の合衆国の半分くらいを版図に入れた)
3)アンドリュー・ジャクソン Andrew Jackson 1767-1845初の民主党出身、 第7代大統領「オールドヒッコリー」、「アンドリュー1世」の愛称、「ジャクソニアンデモクラシー」、議会から初の不信任案、初の暗殺未遂事件を起こす。事績については、覇権アメに詳しい。後世のトランプ大統領まで、つながる、元祖ポピュリスト大統領。
4)高校世界史教科書では、ジャクソンの後は、リンカーンAbraham Lincoin 1809-1865 第16代大統領まで、話が飛ぶことになっている。この間は、奴隷制度廃止問題や先住民(インデアン)政策の変遷、合衆国の領土拡大の話が中心となる。
5)「マニフェスト・デストニー」(1845年ジョン・オサリバン)、「ゴールドラッシュ」(1848年)、「大陸横断鉄道の開通(フロンティアの消滅)」(1869年)は覚えておこう。そして「連邦派」と「地方分権派」の対立は、南北戦争Civil War1861-1865、でとりあえずの、頂点を迎える。(これにつては、ほかの副島本で学ぶことになる。)
とりあえず、ここまで。伊藤睦月記
4)
3)
【664】覇権アメ第4章の次は、第2章を読む(3)「アメリカ建国の父」は何人いたか。また「建国の母」もいたらしい。
伊藤睦月です。本日は、2025年8月20日です。前回の続き。
問2)「アメリカ建国の父」は何人いたか。
答)数え方はいろいろだが、最大52人。アメリカ小学校教科書に取り上げられている、有名どころは、8名。
伊藤睦月です。
1)アメリカ独立の重要イベントして、①大陸会議、➁独立宣言、➂合衆国憲法、がある。英国からの独立をもくろむ13の植民地州は、それぞれに代表を数名送り込んだ。彼らは州の代表として、議決や署名を行い、英国との戦闘の際は、司令官や参謀として、活動した。この3つすべてに参加した者はほとんどいないらしい。
2)独立が達成され、政情が落ち着くと、彼らの大半は、地元に帰った。中央に残った者たちは、大統領になったり、連邦裁判所の判事になったり、中央政府の要職に就いた。その代表的な人物が8名いる。(この辺の状況は戊辰戦争後の状況に類似している、と思う。)
3)中央に残ったメンバーは、当時の超大国、英国の特に経済的圧力(経済封鎖)に対抗するため、各州の上に、連邦政府を置き、財政と外交・軍事面で各州をリードしようとした。これが、「連邦派」(フェデラリスト)。副島本にある「中央集権」志向の党派。
4)そういう、連邦政府の権限強化は、各州の「自由」を奪い取ろうとするもので、行政のトップである、大統領は「王(キング)になろうとしている」、その中でも「財政(通貨発行権)」は各州が持つべき。という考え、「ロックの自然権のキモは、財産権の保障だから、特に州の財産権である、「通貨発行権」を奪うのはけしからん」という考え。これが「地方分権派」の主張の骨子。
5)「中央集権派」の中心人物は、アレキサンダーハミルトン Alexander Hamilton 1755-1804。彼については、覇権アメ132ページ以下に詳しい。
6)ただ、覇権アメでは、「地方分権派」の代表として、アンドリュージャクソン1767-1845(第7代大統領)をあげているが、ジャクソンは、「建国の父たち」の次の世代。当時、ハミルトンにたちはだかった、地方分権派の大物は、トマス・ジェファーソンThomas Jefferson1743-1826、第3代大統領である。日本でいえば、西郷隆盛のごとき人物だ。(西郷は廃藩置県で中央集権化をすすめたが、ジェファーソンは違う)
7)ジェファーソンは、独立宣言の起草者として有名だが、ジェファーソンは、実は、アメリカ合衆国憲法(本文)を起草せず、署名していない。「大統領の権限が強すぎる」「財政権を州から取り上げるのは反対」というのが理由。
8)アメリカ合衆国憲法(本文)を起草したのは、ハミルトン、ジェームズマディソンJames Madison,Jr.1751-1836、第4代大統領、ジョン・ジェイJohn Jay1745-1829、の3人の連邦主義者たちで、彼らは「ザフェデラリスト、The Federalist,という、論文集を共同執筆して、その啓蒙普及に努めた。だから地方分権派のジェファーソンたが強く反対した。
9)2人は、それぞれ、会派(連邦党VS民主共和党)をつくって、政治抗争を続けたが、初代大統領、George Washington1732-17991732-1799の仲介で、とりあえず、和解した。アメリカ合衆国憲法の本文はいじらないが、ジェファーソンたちの主張は、修正条項で取り上げられた。以前私が、独立宣言は自然権的(ロック)、合衆国憲法は、自然法的(アリストテレス)である、といったのは、各起草者の思想の違いに注目したから。
10)ワシントン政権下で、ハミルトンは財務長官(財務担当)、ジェファーソンは、国務長官(外交担当)となって、とりあえず収まった。両派の争いは、国内問題に対する方針の違いによるものと思われ、外交では、ジョンジェイが、ジェファーソンのもと、英国との停戦(講和)条約締結に協力しているなど、大きな争いはなかったようだが、南部出身のジェファーソンは、英国との関係は宥和的であったようだ。北部出身のハミルトンたち、連邦主義者の方が、対英強硬派。
11)この両者の対立は、アメリカ建国のアイデンティティにかかわる根深いもので、その影響(しこり)は、現トランプ政権の政策にまで及んでいる。部外者(属国民)たる我々も、覇権アメを読んで、知っておくべきだ。
12)伊藤睦月です。以上を踏まえて「アメリカ建国の父たち8人衆」プラスについて、ザーッと紹介する。
①ジョージ・ワシントン(初代大統領)、バージニア州代表、独立軍司令官、基本、地方分権派だが、連邦派にも理解を示す。バランスが取れている。
➁ジョン・アダムJohn Adams 1735-1826、第2代大統領、マサチューセッツ州代表、アメリカ海軍の創始者、独立宣言起草者、外交担当として、フランクリンとともに、パリ条約締結に尽力した。どちらかといえば、連邦主義者より。彼の副大統領がジェファーソンで、再選を阻止された。奴隷制度には反対。第6代大統領、ジョン、クインシーアダムズ1767-1846は、彼の息子。
➂トマス・ジェファーソン(第3代大統領):既出
④ジェームズ・マディソン・ジュニア(第4代大統領):既出、「フェデラリスト」だが、合衆国憲法署名のときは、ジェファーソン側に味方した。自身が大統領になると、連邦主義的な政策を推し進めた。
⑤アレキサンダー・ハミルトン(ワシントン政権下の財務長官):フェデラリストの中心人物、覇権アメにも詳しく出ています。
⑥サミュエル・アダムズ Samuel Adams 1722-1803 マサチューセッツ代表、フランクリンとならぶ長老格。クセの強い13州をまとめて、独立戦争に導いた。連邦派、地方分権派どちらかは不明。
⑦ジョン・ジェイニューヨーク州代表 フェデラリスト、:既出、初代連邦最高裁長官、主に、外交担当、ワシントンの意向を受けて、調整した「ジェイ条約」は、英国に対して弱腰だと批判された。
⑧ベンジャミン・フランクリンBenjamin Franklin 1706-1790マサチューセッツ州代表 外交担当、当時から世界的に有名な学者、知識人。主にパリ社交界に出入りして、人気者になり、欧州各国とイギリスとの離間に貢献。戦費調達など、アメリカ独立支援の国際情勢を作り上げた。影の大功労者。長老格。ジェファーソンを助けて独立宣言の起草に加わった。
以上が、「建国の父たち」のメジャー(教科書レベル)な8人衆。ほかにも各州を代表して、独立戦争に貢献した「地元のヒーロー」が50人近く、いたようだ。ウイキペディアに掲載されている。ほかにも、「建国の母」とよばれた女性たちがいたようだ。関心ある方はウイキペディアをご参照ください。(後で紹介するかもしれない)
とりあえず、小休止
以上、伊藤睦月記
。
toiu
4)
【663】覇権アメ第4章の次は、第2章を読む(2)アメリカ小学生並みの歴史知識をチェックする。(独立13州、って何?)
伊藤睦月です。本日は、2025年8月19日です。アメリカの政治思想を把握する前提として、アメリカの歴史をチェックする必要がある。意外と知らないのでは?私も、高校世界史教科書(山川)程度の知識は持っていると思っていたが、高校卒業後、50年の月日は・・・。情けない。(冷や汗)
そこで、初心に帰って、覇権アメ第2章を理解するのに、必要な歴史知識を整理しよう。これから紹介することは、アメリカの小学校レベルだから、誰でもついていけるはずだ。では・・・
問1)アメリカ独立戦争を起こした、英国植民地(13)を北からあげよ。
1,北部(ニューイングランド)
1)ニューハンプシャー州State of New Hampshire(イングランド南部の州名から採用)
①州都 コンコード、最大都市マンチェスター
➁独自の州憲法を持った州として最初。
➂大統領選挙の予備選挙が最初に行われる州
④州のモットーは「自由に生きる、もしくは死を」Live Free or Die
2)マサチューセッツ州 Commonweaith of Masaaachusetts(先住民のマサチューセッツ人に由来)
①州都 ボストン、州西側の中心が、スプリングフィールド
➁1620年、メイフラワー号のピルグリム(清教徒)が上陸して、プリマス植民地を建設。アメリカ建国神話となる。
➂ハーバード大学、MITなど歴史と伝統ある名門校がある。
④独立戦争の震源地の一つとされ、「自由の揺籃(ゆりかご)」と呼ばれた。1775年同州のレキシントンで、独立戦争が開戦した。
3)ロードアイランド State of Rhode Island(当時の開拓地の名前から採用)
①州都 プロビデンス
➁ロジャーウイリアムズ(?~1683)というバプテスト派の創始者の一人とされる神学者が活動した。
4)コネチカット州 State of Connecticut 「長い川」という意味の先住民の言葉に由来
①州都 ハートフォード、最多都市 ブリッジボード
➁オランダ人の入植地が起源、北アメリカ最初の憲法を作ったとされる。
➂金融、保険業が伝統産業
④トマスフッカーというピューリタンの神学者による入植活動が有名
2,中部
5)ニュージャージー州State of New Jersey イギリス海峡の島の名前に由来
①州都 トレントン、他に、プリンストンが有名
➁オランダ人が最初に入植
➂アメリカ独立軍の宿営地となり、トレントンの戦い、モンマスの戦いなどで有名「革命の交差点」ともよばれた。絵画「デラウェア川を渡るワシントン」が有名。
6)デラウェア州 State of Delaware 先住民デラウェア族の名が由来
①州都 ドーバー、最大都市ウィルミントン
➁オランダ人、スエーデン人、フィンランド人が最初に入植。
➂独立戦争時は、やや日和見的
7)ニューヨーク州 Stete of New York
①州都 オールバニ、最大都市ニューヨーク
➁最初に、オランダ人が入植、ニューアムステルダムと呼ばれたが、のち買収、ニューヨークとよばれる。
➂独立前から、商業、貿易の中心。
④1776年ロングアイランドの戦い、1777年サラトガの戦いなど、独立戦争の激戦地、であった。
8)ペンシルベニア州 Commonwealth of Pensyulvania クエーカー教徒である、「ウイリアム ペン(1644-1718)の土地」という名称に由来。「苦痛なくして勝利なし、威張らなくして王座なし、受難亡くして栄光なし」という名言が残っている。
①州都 ハリスバーグ、最大都市フィラデルフィア
➁フィラデルフィアにおいて、1775年第2回大陸会議が開催され、アメリカ独立宣言が起草、署名が行われた。
アメリカ合衆国憲法も、この地で起草された。「アメリカ合衆国誕生の地」とされる。
9)メリーランド State of Maryland ピューリタン革命で処刑されたチャールズ1世の王妃の名前が由来
①州都 アナポリス 最大都市ボルチモア、
➁英国王室ゆかりの州だが、独立戦争では、イギリス軍に頑強に抵抗したことでも知られる。アメリカ国歌のルーツとなった。後世の南北戦争でも、北軍側について奮戦した。
3、南部
10)ヴァージニア州 Commonwealth of Virginia「処女王」エリザベス1世が名称の由来
①州都 リッチモンド、最大都市 バージニアビーチ
➁ウォルター・ローリー1554-1618が、最初に植民地建設。
➂1781年、ヨークタウンの戦い、が有名
11)ノースカロライナ州 State of North Carolina 英国王チャールズ(カルロス)2世1630-1685に由来
①州都 ローリー、最大都市シャーロット、
12)サウスカロライナ州 State of South Carolina 清教徒革命で処刑された、チャールズ1世1600ー1649の名に由来
①州都コロンビア、最大都市 チャールストン、
➁13州のうち最初に独立を宣言した植民地、南北戦争の時も最初に離脱表明、大規模プランテーション
13)ジョージア州 State of Georgia 英国王ジョージ2世1683-1760の名が由来
①州都 アトランタ
➁いわずとしれた南部の中心、「風と共に去りぬ」
伊藤睦月です。以上、13州の名称を列記した。各州の詳細を上げだすときりがないが、位置関係だけでも押さえておきたい。(詳しめの、高校世界史教科書や、中学、高校で配布された地図帳が使える)
今回はここまで。伊藤睦月記
1)
【662】覇権アメ第4章の次は、第2章を読む(1)だから、副島本はやめられない。
伊藤睦月です。本日は2025年8月18日です。私の好みでは、第4章の次に第2章を読む。この2章で、巻頭にある「アメリカ政界の思想派閥の全体図」の、共和党の保守主義のコアな部分を知ることができる。学校教科書からの延長線上で、飲み込みやすい。この第2章「共和党保守本流という存在」と第4章はなかなかおいしいところで、ほかの章の理解もだいぶ進みやすくなるだろう。
1)第2章の前半で、まず目についた部分。
(引用開始)ここで説明しておかねばならない重要なことがある。それは、エドモンド・バークのようなイギリスの18世紀の「クラシカル・リベラル」Clasical Liberal(古典的自由主義者)の思想は、現代のアメリカに移し替えると、「トラディショナル・コンサバティブ」Traditional Consaervathive(伝統保守)になってしまう事実である。ここで「リベラル」と「コンサヴァティブ」という言葉の意味が、正反対に入れ替わってしまうのである。
(引用終わり:覇権アメ第2章87ページ:「リベラル」と「コンサバティブ」の本来の意味)伊藤睦月です。この後、先の投稿で、私が書いた、不器用な説明より、さらに洗練された説明がなされている。あー恥ずかしい。でも今更格好つけても、しょうがないよな、この覇権アメも20年ぶりに読み返しているから。こういうことも起きるさ。私は私のレベルでしか、思ったこと書けないから。これからも、なんとかの上塗りをやり続けるだろう。これも「ふじむら」だから、ええんとちゃう(苦笑)
伊藤睦月です。というわけで、次回から、第2章を読んでいきます。
以上、伊藤睦月記