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副島隆彦の学問道場 投稿日:2024/01/11 22:30

【3096】古村治彦著『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』を読む。ウクライナ戦争は日本にとっての「対岸の火事」ではない。アメリカに騙されないためには米政界を分析する必要がある。

※冒頭に、古村治彦(ふるむらはるひこ)が加筆します。今日は2024年1月11日です。SNSI・副島隆彦の学問道場研究員の吉田祐二(よしだゆうじ)氏が、私の最新刊『バイデンを操(あやつ)る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)の書評を事務所宛に送ってくれました。吉田氏に深く感謝いたします。以下に、書評を掲載します。参考にして、是非手に取ってお読みください。加筆終わり。

「今日のぼやき」広報ページにはじめに、目次、おわりにを掲載しています。以下のリンクからご覧いただけます↓
「2105」 古村治彦(ふるむらはるひこ)の最新刊『バイデンを操(あやつ)る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』が発売 2023年12月15日

吉田祐二(よしだゆうじ)です。今日は2024年1月11日です。

古村治彦(ふるむらはるひこ)氏の新刊、『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を読了したのでその感想を書く。

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる←青い部分ををクリックするとアマゾンが開きます

2023年12月に刊行された本書は、前著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』(秀和システム)の続編である。『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』は2021年5月に刊行され、すぐに購入していたが未読のままになっていた。今回、『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』を読むにあたって、『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』と合わせて一気に読んだ。

古村氏はアメリカの大学への留学経験もある、本格的なアメリカ研究者である。初の単著である『アメリカ政治の秘密』(PHP研究所、2012年刊)以来、一貫してアメリカ政治についての著作をものしている。その手法は、アカデミックな専門書に目を通しながら、日々の新聞・雑誌記事を丹念に取集・整理していくことで、問題を発見していくことであり、英語でいうところのインヴェスティゲイティブ・ジャーナリズム investigative journalism である。「調査報道」と訳されると間が抜けた感じになってしまうが、ある事象について深く掘り下げるためなら専門書や新聞記事、最近なら動画まで、全てに取材して真実を明らかにしようとする態度のことである。こうしたスタイルは、文書の読解能力はもちろんだが、根気の要る仕事である。私も一時期、新聞記事を収集・整理していたが、数年でやめてしまった。なかなか出来ることではない。

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古村氏の強味(つよみ)は、学問的な基礎がしっかりしていることで、その辺の大学のアメリカ研究者よりも政治学、国際関係論の理論に詳しい。これは他の新聞記者には無い強味である。大手新聞社の記者が、ふんだんな資金を使って、人に調べさせて書いた記事はたしかに多くの情報を含んでいるが、その情報を整理して正当に解釈するだけの素養のあるひとはなかなかいない。古村氏は、個々の情報を、政治学や国際関係論の理論的枠組(theoretical framework, スィオレティカル・フレームワーク)にあてはめて解釈する。それにより、現在だけではなく、今後がどうなるか、未来の予想も出来るようになるのだ。これは、学問(science, サイエンス)の強味である。

●高級官僚たちの分析

古村氏の学問的な素養が遺憾なく発揮されているのは、登場人物たるアメリカ政財界の要人たちのプロファイル紹介だ。デヴュー作『アメリカ政治の秘密』以来、『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』でもそうだが、古村氏はそうした政界の大物たちの学歴、経歴(career, カリアー)、そして交友関係を鮮やかに分析する。政府要人にとっては、学歴や経歴などは公開情報であり、簡単に調べることが出来る。しかし、その大学がどの程度の格(ランク)であるのか、どのような系統なのか、アメリカに住んでいない者にとってはただの固有名詞に過ぎないそれらの情報が、古村氏の分析にとっては主要な材料になるのである。たとえば、以下の説明などは好例だ。

(貼り付けはじめ)

(副大統領のカマラ・ハリスの説明)ハワード大学は黒人大学 black universities and colleges の名門として知られている。黒人大学とは、アイヴィーリーグなどの名門大学がアフリカ系の学生たちの入学を制限していた時代、高等教育を行うために設立された、長い歴史を持つ大学群である。ハワード大学は「黒人大学のハーヴァード」と呼ばれる、トップ大学だ。(『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』、22ページ)

(貼り付け終わり)

なぜ学歴が重要かというと、アメリカは日本以上に学歴社会であるからだ。大学で選別され、さらに優等で卒業して奨学金を受け、よく仕事をした者だけが上流階級に入り込めるようになっている。日本と違いアメリカは猟官制度(the spoils system、スポイルズ・システム)であるから、高級官僚は選挙に勝った政治家からの引きによって政府の中枢、要職に就くことが出来る。そのために、彼らは自らの経歴に磨きをかけ、権力者からの覚(おぼ)えが良くなるようにしているのである。

そうした、選挙の洗礼を受けない高級官僚たちこそが、タイトルにもある「バイデンを操る者たち」である。よく知られるように、彼らは、大学教授、コンサルタント、政府閣僚のあいだを、「回転ドア」(revolving door、リヴォルヴィングドア)によって行ったり来たりする。その中でも、とりわけ重要だと古村氏が書いているのが、「ウエストエグゼク・アドヴァイザーズ社」というコンサルタント会社である。軍需・航空産業の顧客を数多く抱えている会社でありながら、その役員が政府にも入り込んでいる。端的に言って癒着であり、かつてアイゼンハワー(第34代大統領。1890-1969)が「軍産複合体」(Military-industrial complex, MIC)と呼んだものの現在進行形である。

ウエストエグゼク社が現在進行形であるとは、そこにビッグ・テック(Big Tech)と呼ばれる巨大IT(情報技術)企業群が絡んでいるからだ。20~30年前にはまったく存在感のなかった新興企業群が、アメリカ政治に大きな影響力を持ってきたことがよく分かる。そして、軍需産業とIT企業によって引き起こされるのが「サイバー戦争」である。

●分断する世界

軍需産業とIT企業を顧客にもつコンサルティング会社の役員がバイデン新政権の中枢にいる。だから「バイデン政権は戦争を始める」と古村氏は結論した。そうしたら、その8か月後には本当に戦争になった。『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』が刊行されたのは 2021年5月である。ここ数年の主要な出来事を以下に記す。

2020年2月 コロナウィルス流行。マスクが店頭から消える
2021年1月 バイデン大統領就任、連邦議会占拠事件
2022年2月 ウクライナ各地への攻撃が開始
2023年10月 ハマスのイスラエル急襲

コロナ騒動の渦中であったこともあるが、バイデン大統領の就任ほど目立たない就任式はなかった。世界はトランプ前大統領の動向ばかりに注目し、トランプの敗北が決まると次の大統領への関心は潮が引くようになくなってしまった。しかし、新政権の閣僚たちは着々と戦争の準備をしていた。新政権は「4年越しで成立したヒラリー・クリントン政権であり、第3次オバマ政権」であると古村氏は喝破した。外交政策はトランプの「孤立主義」(アイソレーショニズム、国内問題優先主義)から「人道的介入主義」へと取って代わった。それはつまり、他国への武力介入を辞さないということだ。

なかでも、古村氏はヴィクトリア・ヌーランドという女性外交官に注目する。彼女が10年以上前からヨーロッパ担当としてウクライナ問題に対処してきており、今回のウクライナ戦争の戦犯であるとはっきり指摘している。政府要人の分析から戦争の勃発を予言するだけでも素晴らしいが、古村氏はさらに今回のウクライナ戦争を通して世界情勢を分析する。

(引用はじめ)

今回の、ウクライナ戦争勃発によって、世界が大きな転換点に差し掛かっていることが明らかになった。それは、世界が2つの大きなグループに分裂しつつあるということだ。そのグループ分けが鮮明になってきた。それは、「西側諸国 the West 対西側以外の国々 the Rest」という新たな構図である。(140ページ)

(引用終わり)

アメリカはロシアを戦争に引き摺り込み、経済制裁をすればすぐにロシアは手を引くと計算していた。ところが、中国を始めとする「西側以外の国々」がこっそりロシアを支援したためロシアは屈しなかった。まだ戦争は終わっていないが、この時点でロシアはアメリカに勝利したことになる。世論調査でもヨーロッパもアメリカともに厭戦気分が出始めている。さらに、アメリカは想定していた武器備蓄も足りなくなり、日本を始めとする同盟国に武器の製造を指示したという。

私事ながら、私は機械業界で働いているのだが、去年あたりからアメリカ国内では軍需や航空機の部品の需要が増えているという情報や、日本政府が武器輸出についての規制緩和を検討しているという情報を聞いていた。ただ戦争が長引いているから足りなくなったのかと思っていたが、アメリカにとっては想定外のことで、彼らも慌てているのだと分かって愉快である。

また、中国とサウジアラビアが接近し、石油の決済を人民元で行う検討もしているという。ドルが基軸通貨の位置を明け渡すようなことになれば、アメリカは覇権国の地位を降りざるを得なくなる。アメリカの衰退のきざしが見える。

●ウクライナ戦争の教訓

さて、ウクライナ戦争を他人ごとと思ってばかりはいられない。明日はわが身である。
今回は対ロシアでウクライナが戦場になったが、対中国で戦争になった場合、日本か台湾が戦場になる可能性が高い。もともとヒラリー・クリントンは国務長官時代に「アジアへの回帰 Pivot to Asia」を謳っていた。つまり対中国強硬路線である。その外交政策がバイデン政権に継承されているならば、バイデン政権の本命はロシアではなく中国ということになる。

古村氏は国際関係論の理論、「バック・パッシング」(buck-passing)を紹介している。シカゴ大学の教授であったジョン・ミアシャイマーが提示した概念で、自分ではなく他人(他国)に代わって戦争してもらうことである。今回のウクライナがまさにそうである。アメリカはもはや自ら事を起こすような力はもう無い。だから、属国群を使って敵国と戦わせようとするだろう。ウクライナ戦争を予言した、アメリカ研究者の以下の警告を、日本人は真剣に受け取る必要がある。

(引用はじめ)

アメリカが、中国・ロシアと直接戦争ができないために国境を接する属国である日本が代理戦争(プロキシー・ウォー)をやらされる。このことを私は懸念している。アメリカが直接中国と戦えないために、まず、日本が中国を戦わされる、というバック・パッシングを、アメリカが行うことが怖い。最初に、南シナ海で、偶発的な事件が起きて、より正確に表現すれば、「起こされて」、日中間で死者が出て、そこから軍事衝突になることが怖い。アメリカは、このようなことを平気で仕組む。(291ページ)

(貼り付け終わり)

いかにもありそうな事態である。そして、踊らされてアメリカの意のままに騒ぐマスコミやSNS上での有名人が思い浮かぶ。国際関係を正確に理解している人は本当に少ない。専門家と称する学者たちが本当に分かっていない。テレビに出てくるような学者は皆アメリカの先棒かつぎと御用学者ばかりである。アメリカに唆(そそのか)されれば、かなりの確率で誘いに乗ってしまいそうである。しかし、『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』の「あとがき」を見るかぎり、そこにはとても難しいが、一縷(いちる)の望みはあるように読める。それを引用して本稿を終わる。

(引用はじめ)

本来、日本は米中どちらにも自分を高く「売りつける」ことができる位置にある。
より行動の自由があれば、中国に対しては「アメリカにつくぞ」という姿勢を見せて、アメリカに対しては「中国につくぞ」という姿勢を見せて、より良い条件を引き出すことも可能だ。しかし、悲しいかな、日本は敗戦国であり、アメリカの属国である。そのことを変えることは至難の業だ。(『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』 254ページ)

(引用終わり)

吉田祐二(よしだゆうじ)筆

(終わり)

副島隆彦 投稿日:2024/01/04 00:37

【3095】安倍派(統一教会)つぶし、解体の最新状況 と インドネシアがもの凄く重要だ論

副島隆彦です。 今日は、2024年1月4日(木)です。

新春のお慶びを申し上げます。今年もよろしく。
冒頭で。今日のぼやき に、私が書いた「今年のNHK大河の源氏物語の秘密」を載せたので、読み入ってください。

能登半島地震(1日)、羽田空港での航空機衝突事故(2日)で、日本は始まりました。
今年も、いろいろなことが起きるのだろう。 私は遠くから静かに見ている。自分に関係する大事件が起きた時も、もう急いで現場に駆け付けたりの、激しい動きは自分には出来ない。

私は、数年前から飛行機に乗るのが怖くなった。だからもう外国旅行にも行かなくなった。2日3日に、箱根駅伝をテレビで見ている多くの日本国民と同じだ。その前に、大晦日の紅白歌合戦を見て、「今の歌手の芸能界はこんな風なんだ」と感心する。

私が年の初めに、まず書いて皆に伝えて、教えたいことは、インドネシアという国が、これから物凄く、重要な国になる、という事実だ。このことを、どうしても急いで書いて皆に伝えておかなければ、と、私は、年末から焦っていた。ようやく書ける。
私、副島隆彦が、他の日本人のすべてよりも一早く、インドネシアを巡る大きな真実を、早く伝えないといけない。まず、一枚だけ、インドネシアの写真(画像)を載せる。

(ここに画像を貼る。プラボウォ とジョコ大統領の息子が並んでいる、11月21日付けのFTの写真 )

大統領選への出馬登録後に支持者に手を振るプラヴウォ国防相(左)と、ジョコ大統領の長男ギブラン氏

副島隆彦です。 この、顔の悪い、本当に大(だい)悪人だった、インドネシアの軍隊を、すべて握っている、プラボウォという男が、次のインドネシアの大統領になる。これはもう決まっていることだ。 選挙は、2月14日である。今の善人で、気取らないで、庶民大衆の味方であり、国民に大変な人気のあるジョコ・ウイドド大統領は、5年2期、10年(2014年から)の任期を終える。まだ62歳だ。

そして何と。この悪人顔の プラボウォの 横に副大統領になると決まっている、ジョコの長男坊のギブラン(36歳)が立っている。ここに大きな秘密がある。だが、西洋白人の、イギリスの 高級紙のFT(ファイナンシャル・タイムス)の記者たちでも分からない謎がある。 私、副島隆彦はそれを解読した。

その前に、最新の日本の政治のことを、急いで、ここで書いて置く。
日本の政治は、岸田首相による( 法務省・検察庁の独自の判断ということになっているが )自民党安倍派=統一教会(とういつきょうかい。人類のがん細胞だ。狂った人間たちの集団だ) を日本の国家体制から取り除いて、カルト(邪教。じゃきょう)の組織として、国家体制から摘出(てきしゅつ)手術するという大きな闘いが今も続いている。

今の安倍派潰(つぶ)し解体作業の実行は、日本国民にとって大変、喜ばしいことである。森喜朗(もりよしろう)はじめ安倍派の幹部たち全員が逮捕され、起訴されて刑事裁判に掛けられればいいのだが。そこまでは行かないだろう。森喜朗とその直接の子分たちは、厳密には、統一教会ではない。むしろ、統一教会を嫌っている、右翼暴力団体質の男たち(任侠=にんきょう=風の 愛国者を気取る)である。

私、副島隆彦は、前回(12月14日)には書かなかったが。今度の安倍派つぶしは、岸田文雄の、人生最大の悲願である「大宏池会(だいこうちかい)の復活、再統合」の復讐劇だ。岸田は、23年前に、森喜朗と野中広務(のなかひろむ)によって、宏池会の加藤紘一(かとうこういち)が当然に、次の首相になる予定で、そのための正当な手続きをずっと踏んで来たのに、それが叩き壊れた。あの2000年11月20日の ”加藤の乱”の屈辱、恥辱の日のことを。決して忘れていない。

加藤紘一が、森喜朗首相(当時)たちの、あまりもの非道(ひどう)にたいして、無念の怒りに駆られて、森への野党の不信任決議に同調して賛成投票する、という行動に出ようとした。この時に、横から谷垣禎一(たにがきさだかず)が縋りついて、「あなたは親分なのだから」と、必死で泣きながら止めた。その下の横に岸田も泣きながらいたのだ。私たちは、あの日本の政治ドラマの重要な「刃傷(にんじょう)松の廊下(ろうか)」の忠臣蔵並みのシーンを、今でも覚えてる。

(ここに、あの有名なシーンの写真を貼る)

副島隆彦です。だから岸田は、あの時の激しい屈辱を今も忘れていない。だからあれから23年後の今の政治ドラマは、明らかに復讐劇なのだ。 このあと、谷垣禎一は、大好きなスポーツ用の自転車を漕いでいて、人為的なピアノ線の仕掛けで大転倒して首の骨を折られた。今も車椅子の生活だ。このことへの復讐でもある。だから、岸田、頑張れ。あの日本国のばい菌の大ワルどもを、今こそ成敗せよ。

私、副島隆彦は、昔、谷垣禎一に、宏池会の箱根の勉強会に呼ばれて講演して、そのあと夕食で、お酒をご馳走になったことがある。その時、園田博之(そのだひろゆき。熊本が選挙区。園田天々光の義理の息子。立派な政治家だった)から、「副島さん。あんたの考えと私たち宏池会の考えは同じだ」と褒(ほ)められたことがある。嬉しかった。

この政治家たちは自民党の中にあって、本当に清廉潔白な人たちだ。何も汚(よご)れた悪いことをしない。ただし、汚れていない政治家は、人間の本性(ほんせい)の中にもある、現実の世の中にある穢(きたな)い、泥臭い力と、本当の実力が無い、とも言われる。

森喜朗の忠実な子分の、萩生田光一(はぎうだ こういち)くらいになると八王子市のチンピラ上がりの暴力団でありながら、統一教会の強力な支援で当選していた議員である。しかも創価学会の強い支援も受けてきた。このあたりは汚れた福祉と土建の利権政治だ。

森喜朗は最後に(12月7日)「 萩生田を先頭にして、一つにまとまって、岸田と戦うんだ」と幹部の子分たち8人を集めて怒鳴っていた。でもこれも崩れ去った。岸田は森喜朗からの電話に出なくなった。例の“5人組”は「血相を変えて、会長。会長だけは捕まらないでください。私たちが身を挺して守りますから。何とか逃げてください」と、もうほとんど国定忠治(くにさだ・ちゅうじ)の新国劇(しんこくげき)の名月赤城山(めいげつあかぎやま)のような感じになった。

ところが “6人目のユダ” になっていた下村博文(しもむら はくぶん。9月に、森に土下座して謝ったが許してもらえなかった。文教族を森から自分が奪い取った、と一瞬、文科大臣のときに下村は勘違いした)がすでに検察庁に10月段階で、ゲロゲロ自白して、安倍派事務総長 経験者(2018年はじめまで)として、内部帳簿をすべて検察官に渡した。だからもう安倍派の幹部どもは逃げられない。

ここで、ひとつだけ書き加えて置く。大(だい)ワルの暴力団体質の、森喜朗の父親の、森茂樹(もりしげき)は、実に立派な田舎政治家だった。誰も書かないので、私がここに書いて置く。石川県の南の 小松(こまつ)市の隣りの何とか村の村長を長く務めた。この人は、戦争中はずっと軍人で、中国戦線を、満州事変から、南京攻略、武漢三鎮(ぶかんさんちん)の攻略まで、ずっと最前線にいた。中隊長(大尉)クラスで、部下たちと戦い続けた。それなのに死ななかった。強運の人だ。

戦争の末期(1944年)は、部隊ごと南方戦線に回されて、トラック群島への上陸作戦とかに出ている。それでも死ななかった。そして戦後は、ずっと田舎の村長をした。この森茂樹は、戦後は戦争への鎮魂と、それからロシア(人)と友好関係を築くための日本海側の活動を熱心にやった。バカ息子の喜朗とは大きな違いだ。人の一生は、その人自身の選択と、持って生まれて性格、性癖 と、それから時の運(フォルチューナ fortuna ) に支配される。

この目下の安倍派(統一教会)の解体問題については、もう、これだけにしたい。次々に数人は逮捕されるだろう中堅小物の政治家たちなんか、どうでもいい。あとは政治資金規正法の不記載(ふきさい)罪の罰金刑で、50人くらいが処罰されて、終わりにする気だろう。このあと、こいつらが総選挙のときに、それぞれの選挙区で、たたき落されるかどうかの問題だ。

私は12月14日に、ここに書いたが、安倍派99人の底(そこ)のほうにたまっていた30人くらいの、福田達夫(ふくだ たつお)派の若手の政治家たちが、生き残って、安倍派が崩れ果てた後、福田派として旗揚げすればそれでいいことだ。

そうだ。ここでどうしても書いておかなければいけないことは、今、法務大臣をやっている、小泉龍司(こいずみ りゅうじ)という政治家は、気骨のある立派な政治家である。このことを、今の差し迫った状況で、日本国民に教えておかなければならない。小泉龍司は、埼玉県の北のほう(深谷市、埼玉11区)から出ている政治家だ。ずっと無所属の議員だった。私は2005年、今から18年前の、郵政民営化という大きな闘い(アメリカによる、馬鹿ヤロウの小泉純一郎を手先に使った、日本国民の大事なお金=郵貯と簡保、それから年金の積立金)を、ゴールドマンサックスをコンサルにして、アメリカに差し出し、現に奪い取られた)のときに。

この時、小泉龍司は国会で、ワルの竹中平蔵総務大臣に向かって、確か次のように質問(発言)した。「竹中さん。私はあなたのように英語は上手にしゃべれないけれど、日本国民の大事なお金を、アメリカにどんどん差し出すのはよくないのではないか」と。極めて正しいことを堂々と言っていた。その後、小泉龍司は、郵政民営化に反対した(52人の自民党の決意した議員たちと共に)。そのあとの9月の選挙で落とされた。小池百合子のような愚劣な(この女も統一教会の分派=文鮮明の5男坊派=だ )者たちがのさばった。

小泉龍司は、その後、2014年に、二階派に入って、それから自民党に復党した。小泉龍司は、東大法学部を出た、秀才でまじめな人間だ。極めて実直な人間だ。
(ここに小泉龍司の顔写真を貼る)

20年前から、私と私の弟子たちは「あのひとは偉いなあ」と話しあっていた。だから、この小泉龍司が、去年の9月の内閣改造の時から、法務大臣(法相)になっていたことは、素晴らしい布陣(ふじん)だ。だからこの時から岸田は、安倍派つぶしをやる気だったのだ。

もし今、この小泉龍司法務大臣の 悪口を書く、テレビ新聞の記者がいたら、そいつは、紛(まぎ)れもなく統一教会員である。絶対に許さん。皆さんも、じっと政治の動きをニューズで見ていて、彼ら腐ったメディアやテレビ評論家どもを監視しなければいけない。そして、これくらいのことは分かりなさい。

彼ら、腐り果てた、安倍派の提灯(ちょうちん)持ちの、テレビ評論家どもも、内閣官房機密費(かんぼうきみつひ。報奨金。ほうしょうきん)から、毎年、数百万円ずつ出ている(ワイロとして貰っている)。このことが、一覧表と共に、明らかにされればいいのだ。そうしたら、こいつらの、テレビ有名人の人生も終わる。テレビ、新聞の政治部長たちも同じだ。お前たちも政治家たちと長年、ツルんで(深くつながって)汚れているのだ。国民を洗脳する道具どもだ。今こそ、こいつらも叩き潰せ。

法務大臣は、検察庁に対して、指揮権を持つ、内閣(政権)からの重要な重し、目付け役だ。 いい加減な人間はこういう重要事態では就任させたらいけない。 皆が知っている、汚れまくりの、死にぞこないの、田原総一郎(たはらそういちろう)なんか、、国民がテレビで見ている前で、縛り首(絞首刑)にするしかない。田原は、森喜朗と、東京の下町の銭湯(せんとう)で、一緒に湯船に入って対談している本まで出している。

それから、松本剛明(まつもとごうめい)が総務大臣に復職した。この人は、元民主党で、小沢一郎にも近かった人だ。この松本剛明(ごうめい。たけあき)は、検察官あがりで、清廉潔白な政治家だ。政治資金規正法などを管掌(かんしょう)している都道府県の選挙管理委員会とかは総務省の管轄だ。だから重要だ。
(ここに松本剛明の顔写真を載せる)

もう一人、立派な政治家がいる。それは、浜松の南隣りの磐田(いわた)市(静岡3区)から出ている、宮澤博行(みやざわひろゆき 48歳)という政治家だ。防衛副大臣を辞めた。12月13日に、「自民党5派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金問題」で、清和政会(安倍派)から受けた、ノルマを超えた分のキックバックの金額が、3年間で140万円有った。収支報告書に記載して訂正した」と国会内で、テレビカメラの砲列と記者たちに、壁(かべ)ドン されて、壁際(かべぎわ)に追い詰められた時に、正直に対応した。その時、宮澤は、「(派閥の事務総長から)しゃべるな、じゃべるな。これですよ」と、正直にしゃべった。これが静岡の地元の有権者たちに大変、評判がよかったようだ。だから宮澤は次の選挙でも何が有っても、落ちないだろう。福田派に入るだろう。松野頼一(まつのよりかず。官房長官だった)も、本当は、福田派であることの正体を顕(あらわ)すだろう。
(ここに宮澤博行の写真を載せる)

この若手の宮澤博行も東大法学部出の秀才だ。小さい頃から貧乏な家で、アルバイトでずっと生きて来た。市会議員になって(28歳)、それから周りから、その実直な性格を慕われて、それで衆議院議員に当選した。これからの日本の指導者になる者は、貧乏な家から出てくる学歴のちゃんとある、人生の苦労も知っている、優秀な人間でないといけない。民衆もそれを期待している。もうバカ息子の3代目の世襲(せしゅう)議員どもは、全員、滅ぼせ。小泉進次郎(こいずみしんじろu)のような、近くで見たら、背がチビコロで、こんなに小さくて、マスコット人間のような、ハンサムお人形さんのような人間が、この世にいるのか、と私は思った。
何が「地盤、看板、鞄(かばん。資金)が無いと政治家にはなれない」だ。それからヘンな芸能人あがりやバカな美人女(本当の正体は鬼女=おにおんな=だ。男たちを次々に食い殺す。自分の体、女体=にょたい=を使って這い上がる)どもも、もう上に上げてはいけない。

宮澤博行が初当選したは、2012年12月の、仕組まれた、民主党の 野田“ブタ野郎”佳彦(のだよしひこ。こいつも松下政経熟の一期生で、統一教会だ。私、副島隆彦を一本釣りしに、2000年頃、私の前に出現したことがある)のあとの、安倍晋三(あべしんぞう。去年の7月8日に、高転(たかころ)びで、処分された)の首相復帰のときの、“ 安部チルドレン”だ。 だから、宮澤は、安倍派なのだが、この男は、防衛族(ぼうえいぞく)に入ったが、なかなか筋を通す政治家だ。 アメリカからの日本の防衛費の倍増の要求に対して、「そんなに急激に防衛費だけを上げることはできない」と、健全な発言をした。

だから、2020年の防衛費増強とウクライナ支援金(日本国民には内緒で、2021年と22年で3兆円ぐらい出している)の時、安倍晋三首相と 狂気の高市早苗に対して、「そんなに出せない」と、歯を剥きだして、いがみ合っていた、官房副長官(かんぼうふくちょうかん。政治家の方の)だった木原誠二(きはらせいじ。財務省上がりで、財務省のカネの配分権を握っている。木原はアメリカに物凄く嫌われている。だから木原は偉い。だからCIAの手先の文春大砲=ぶんしゅんたいほう=に狙われた。何とか今も、岸田と警察庁が木原を守っている。木原にアメリカ政府との交渉の、ど怒鳴り合いを英語でやらせないと、他の政治家では出来ない )と 共同のスタンスを宮澤博行たち自民党の防衛族の若い政治家たちは取った。だから、私は、宮澤のこの温厚な態度と健全な精神を評価している。宮沢は、当選した時(今、4回生)、自分の頭の髪の薄さから、「日本を明るくする会(頭のハゲの照り返しで)」という新人たちの議員連盟を作った。

ここで、最後に書いて置く。2009年の1月からだった。今から15年前だ。小沢一郎を、無理やり、嵌(は)め殺したのが、「陸山会(りくざんかい)事件」だ。すでに盟友の鳩山由紀夫(はとまやゆきお)の政権(2008年8月末から)は、たったの8か月で崩された。 陸山会は、小沢一郎の政治団体だ。ここの収支報告書に、「5千万円の記載がない。小沢は、政治資金規正法違反の犯罪者だ」と、激しい小沢弾圧を、検察庁とテレビ、新聞が、一斉に行った。

血塗られた汚れた、刃を振るって、田中角栄(たなかかくえい)の申し子の、実力政治家の小沢一郎の政治生命を、無理やりでも断とうとした。マイケル・グリーン(安倍晋三の先生)たち、アメリカの、CIAの日本操(あやつ)り班が、司令塔でやった。ところが、この政治献金の、西松建設(にしまつけんせつ)からの5千万円は、小沢一郎の収支報告書に記載されていたのだ。この事実が判明した時には、さすがに、テレビ、新聞、週刊誌どもも真っ青になった。

それでもだ。それでも、自分たちがアメリカの命令で、振り上げた刀を今さら下に下(おろ)せない。このあとは、見苦しく、発狂状態になってテレビ新聞が、「小沢は、悪者だ」キャンペーンを張り続けた。 あの時の、テレビ新聞週刊誌の幹部記者どもを今からでも、全員、引きづり出して処刑しなければいけない。
今、あいつらは、自分の血で汚れた唇を拭いながら、「もう、いいや。オレたちは、あの時はあの時で、上に命令されてやっただけだからさ」と、惨めなサラリーマン根性を丸出しにして、どこか東京の郊外の家で、ひっそりと生きているのだろう。だから、こいつらには、ジャーナリストとしての名誉は全く無い。それが、現世(げんせ)からのこの者たちへの仕返しだ。

小沢一郎は、西郷隆盛と似て、朝の散歩を子犬を連れて、下駄で、外を歩いた。そして、「このアパートが売りに出ているのか。これはなかなか、いいなあ。それなら、これを買って、秘書たちの住居にしよう」と、その為の政治献金たちを使った。純然たる政治活動の一環だ。私たち、田中角栄、小沢一郎を応援し続ける、日本国民、1千万人が残っている限り、私たちは負けない。今の、統一教会で、汚れ切った立民と国民の指導部どもを引きづり下ろして、本当に健全な、野党を作り直さないといけない。

兵庫県明石(あかし)市市長を12年間やって善政をやって、今は、満を持している、泉房穂(いずみふさほ)が、明石の地盤から、次の総選挙に出れば、西村康稔(やすとし。経産大臣を辞任した)に勝つから、準備しているだろう。あのトカゲのような顔をした、ワルの西村を、公然と応援する明石の経営者団体も、役人組織も、今はもう身動きできない。市民たちが厳しく監視している。だから、こうやって、汚れていない新しい、人の世の苦労を知っている政治家たちが、どんどん今から、たくさん出て来る。本当にいいことだ。

ああ、日本の政治の話は、これで本当にやめる。もうこれだけにする。

いよいよ、ここから、インドネシアの話に戻る。インドネシアという日本の南の方に有る大きな国(スマトラ島とジャワ島という大きな島=それぞれ人口1億人ぐらいと、その他の多くの島嶼=とうしょ=が1万2千島もあると言う。ボルネオ島とニューギニア島など。そこに7千万人から成る )が、本当に、急激に、世界政治(ワールド・ポリテイックス)で、重要な国に競(せ)りあがって来た。

このことの説明をする。私の以下の文章を読んだ人は、きっと全員、驚くだろう。
「そんな、重大な事実がインドネシアに有ったとは、知らなかった。これまで誰も教えてくれなかったよ」と。

何が重大なことかを簡略に書く。ところが、私が簡略に書こうとすると、またこれが大量の文書になる。実に困ったことだ。私の長文を読む脳の訓練ができていない人たちは、ここで すでにたくさん脱落するようだ。仕方がない。

インドネシアはもう、人口が2億7千万人もいる。ほんのこないだまで、2億人だと思っていたら、もうすぐ3億人である。非常に若い国である(老人はさっさと死ぬ)。インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は、見るからに実直な男で全く威張る気配もなく、世界水準の大物政治家に到達した(現在62歳)。華僑系の血も入っているようだ。
貧乏な家具屋から地元の市長になり(2005年、44歳)その後、ジャカルタ首都州知事になって、それから国民の信望を集めて大統領になった。今年、2期目10年で辞める。だが、ジョコは極めて頭のいい男だから、今年の2月14日の大統領選挙に向かって、素晴らしい奇策に出ている。

ジョコの実の父親は、1965年(今から58年前だ。私は、12歳だ)の軍事クーデターの時に殺されていようだ。ここにはインドネシアという国が背負った、悲惨(ひさん)極(きわ)まりない過去の悲劇が横たわっている。300万人のインドネシア共産党支持者と華僑が殺された。私は、ずっと、50万人ぐらいだろうと思っていた。そのように本とかに書いてあった。

ジョコはなんと、自分の長年の政敵で、インドネシア国軍、と、狂暴な暴力団(パンチャシリ)とか反共右翼たちを取りまとめて握って、支配してきた、見るからに悪い顔をしたプラボウォという男を、何と、2019年には、自分の国防長官(国防相)に抜擢してきた。 過去2回大統領選挙(2014年と2019年)で、このプラボウォに勝っている。下に載せた写真の顔つきを見たら分かるでしょう。

この極悪人だったプラボウォが、今年の2月14日の大統領選挙で当選することが、ほぼ決まっている。このプラボウォは、かつて、40年間インドネシアを独裁者として支配した、スハルトの娘(次女)と結婚している。1997年7月の「アジア通貨危機」(香港返還の4日後からはじまった)の時に、スハルトは、アメリカから捨てられて、翌年、大統領を辞めた。わざとらしくアメリカが仕組んだ反政府デモが起きていた。日本から橋本首相が「もう辞めなさい」と説得に行っている。

ここからが重要だ。プラボウォが次の大統領になるということは、インドネシアは再び恐ろしい軍事独裁の反響右翼の、アメリカの手先の国に戻る、ということを意味している。と普通は考える。

ところが、どうも、そうではないようだ。この悪人だったプラボウォが、本気で反省して悔悛(かいしゅん)したらしいのである。プラボウォは、政敵であった、ジョコ・ウィドドに、2015年から、強く説得され教育されて、考えを改めたのである。ここが、日本から見ていて、インドネシア研究の専門の学者や新聞記者たちでも、分からない点だ。

インドネシアは「1965年にすさまじい軍事クーデターが起きて、300万人のインドネシア共産党員と華僑系の人間たちが殺された。私はずっと、殺されたのは50万人ぐらいだろうと思っていた。ところが、2014年に公開されたオランダとスウエーデン製のインドネシアの政治の世界を描いた、ドキュメンタリー映画「アクト・オブ・キリング」2012年作 )が、2014年に日本でも公開されて、私たちに衝撃を与えた。

どうやら300万人だったようだ。針金で区部をぐるぐる巻きにして、出血しないで絞め殺して、布袋に入れて、ソロ川に、放り込んだ。そのことを証言している、恐ろしいヤクザ者たちが、踊りを踊りながら、自分の青年時代の蛮行を、不敵な笑い顔で、ずっとしゃべっていた。私はこの映画を見て、ぞっとした。このことは、後で述べる、

この事実は、デヴィ夫人の回想禄とも重なる。こデヴィ・スカルノという、日本の庶民層から這い上がった、下品だけれども、世界基準では貴族をきどる女性がたどった、この数奇な人物が重要だ。彼女は、インドネシア(イスラム国家)の国王(大統領)の正式の第4夫人だから、“プリンセス・デビ“と正式に、ヨーロッパの社交界で呼ばれる人物である。デヴィは、スカルノ大統領と結婚した。日本からの貢ぎ物である。ジャカルタに渡って、1年もしないで、クーデターが起きた。この大混乱に巻き込まれて、お屋敷の窓から逃げ出すようなことまでして、デヴィは生き延びた。敵のスハルト派の将軍の奥さんたちとも親しかったからだ。
夫のスカルノは、その後、幽閉されて、もう2度と会えなかった。その時にお腹に出来ていた、娘のカリーナが、この後、生まれて本当によかった。この話もずっとしなければいけない。

プラボウォはこの、「9・30クーデター」の大虐殺ときに24歳である。まだ下っ端軍人であった。それでも大量殺戮に下級将校として加わっている。この時の集団殺戮は、銃や刃物で殺すのではなくて、針金を首にぐるぐる巻きつけて、血が出ないようにして、袋にいれて、あの有名なソロ河に投げ込んだ。すさまじい残虐行為であった。

これをやらせたのは、アメリカのCIAであった。アメリカに反抗的だったスカルノを倒して、その次に、軍人のスハルトを大統領に立てて、インドネシアをアメリカの直接の支配下においた。 Clyde MacAroy クライド・マッカーロイ  という、このあと駐インドネシア・大使になった男が、この大虐殺を、スハルト将軍のインドネシア軍に実行させた。殺害すべき人間たちは、すべて、事前にCIAが調べていたとおりの情報と資料に基づくものだ。

(ここに私の本のページから貼る)

『副島隆彦の歴史再発掘』P223


『副島隆彦の歴史再発掘』(ビジネス社、2019年刊)

1965年というのは、日本では、東京オリンピックの次の年だ。新幹線も通って、高度経済成長で、アメリカの指導のもとで、日本が、どんどん豊かな国になり始めた年だ。
このときインドネシアは地底(じぞこ)に沈んだ。本当に、世界の舞台から消えて、真っ暗な、南洋の 地獄の国となった。それから50年たって、ようやくインドネシアは復興しようとしている。

次の新興大国として、意気揚々と、世界の檜(ひのき)舞台に戻ってきた。私はインドネシアに行ったことがないから、何でも見てきたようなウソは書けない。だが、物凄く感慨深いものがある。今、インドネシア人が、日本に観光旅行でたくさん来ている。男でちょっと偉い人達は、丸い四角い帽子をかぶっているのだが、それはほとんど見かけない。女の人たちの、イスラム教徒のヴェール(アバーヤの上)を頭に被っている。カラフルな色ものは、マレーシア人だ。地味な灰色か黒を着ているのが、インドネシア人女性だ。

どちらも同じ、マラヤ人である。マラヤ人は、元々はインドから来たイスラム教徒たちだ。 マレーシアは16世紀の500年間、イギリスの植民地だった。インドネシアは同じく500年間、オランダの植民地だった。そのオランダから1946年に、早くも独立した。激しい独立戦争を戦ったから、インドネシア人はオランダ、イギリス人を今も大嫌いである。そして、このインドネシア独立運動を、本気で助けてくれた旧日本軍の軍人たちが大好きなのだ。旧日本軍は、インドネシアでは、ほとんど悪いことをしていない。

だから今もインドネシアは、ものすごく親日(しんにち)的な国である。このことを日本人があまり分かっていない。去年の8月、徳仁(なるひと)天皇と雅子皇后が、即位後の初めての外国として、国賓として訪問した(下に写真を載せた)。この時、ジョコ・ウィドドの奥様(大統領夫人)と雅子皇后が、一緒に歌を歌った。それは「ブンガワンソロ・・・・」という歌である。 「ブンガワンソロ。川の流れに・・・・」という歌だ。

これはインドネシア人が、オランダから独立するときの、独立を誓った時の、民衆の歌である。このインドネシア独立運動があまりにもうまく行き過ぎたから、その後に、大きな悲劇が生まれたのだ。
日本が1945年の8月に8月に敗戦した後、武装解除されて捕虜収容所に入れられた10万人? の日本兵のうち、2000人の日本人が、その後も、インドネシアに居(い)残った。日本に帰っても、もう日本は焼け野原だ。復興なんかできない。と思ったらしい。ほとんどの日本兵捕虜は帰っていった。
だが、現地人の女性と結婚して子供をつくった日本兵たちは帰らなかった。彼らが「ムルデカ」という軍事組織を作って、戦争中からインドネシア人の青年たちを軍事訓練して、武器弾薬を与えて、独立運動を本気で助けた。

インドネシアは他のアジア諸国と違って独立戦争がものすごくうまくいった。内部での紛争も全くなかった。スカルノとハッタ(副大統領になる)の2人が指導者になって、日本軍の支援を受けながら、さっさと独立後の新国家をつくった。彼ら、独立運動の青年たちを育てたのは現地への派遣軍の日本軍だ。特に偉かったのは、今村均(いまむら きん。ひとし)大将である。
(ここに今村均大将の顔写真を貼る)

インドネシアのことを、蘭印(らんいん)という。「イランダ植民地のインド」という意味だ。ここへの派遣軍の司令官(第16軍司令官)であった、この今村均大将は、おどろくほどに立派な軍人であり、ものすごく部下たちから戦後も尊敬された。現地のインドネシア人を全く虐(いじ)めなかった。

だから、スカルノたちがオランダ軍とイギリス軍に対して一気に勝利した。インドネシアのかなり東のはずれのニューブリテン島のラバウル航空隊という、とんでもない東方に、日本軍の陸軍と海軍の駐屯地があった。ここを今村は、最後に、要塞化して、自給自足の態勢を築いた。だから、米軍(マッカーサー大将)はラバウルは強いので、ほったらかして、先へ先へと進軍した。ラバウルの日本兵たちは餓死しないように作物を植えて生き延びた。それを指揮したのも今村均大将である。

今村は戦後、裁判にかけられたが、何も悪いことをしていないので、有罪にならなかった。ところが今村は、自ら進んで、自分の部下たちがいるインドネシアの刑務所に入りにいった。マッカーサーがひどく感心したらしい。2年くらい入ってから日本に帰って来た。このことは、小説家の角田房子(つのだふさこ)が書いた「責任 ラバウルの将軍 今村均」(1984年刊)に詳しく描かれている。

インドネシアは独立後も、ニューギニアの東半分やバンダアチェの領有問題で、旧宗主国(そうしゅこく。コロニアル・マスター)のオランダと、長く、1960年代まで戦争を続けた。だからインドネシア人は、オランダが大嫌いなだ。ところが、それでも、あとのほうで書くが、500年間の植民地時代にオランダ人と血が混じっているから、複雑なことになる。日本人のように欧米白人とほとんど血が混じらなかった民族は、却(かえ)って世界性が無い、外国語が出来ない、という欠点があるだろう。

フィリピンやベトナムやミャンマー(旧ビルマ)は独立後も、ぐじゃぐじゃの内部紛争があったので、まとまりが悪かった。ところが、インドネシアは、さっさと、日本軍の応援で独立出来たので、優れた政治感覚で、スカルノ初代大統領が、「アジア・アフリカ会議(A・A会議)」というのを呼び掛けて作った。1955年に非同盟(ひどうめい)で中立国の同盟、理念を打ち出して、世界政治運動を始めた。

アジアやアフリカ諸国に呼び掛けて、バンドン(ジャカルタから140km)で「バンドン会議」を開いた。そこには、40か国ぐらいが集まった。
バンドン会議の60周年で、習近平たちが、このバンドンの地で、皆で、とぼとぼと、悲しそうに歩いた。多くのインドネシア人が殺されたことへの哀悼と、鎮魂だ。

つい最近2023年10月2日に、このバンドンまでの高速鉄道が開通した。中国の資金と技術である。インドネシア国民は大変喜んでいる。おそらくこの高速鉄道網がさらにスマトラ島とジャワ島2700kmの全部に通すことにだろう。そうなれば、どれぐらいインドネシアの経済が成長することか。

スカルノたちは調子に乗りすぎたのだ。ソビエトや中国側に立たず、同時にアメリカやヨーロッパ先進国側にも立たない、中立のA・A会議という国際運動である。これにアメリカが激しく怒った。それで、前述した1965年の「9・30クーデター」で300万人が虐殺された。 この時からインドネシアは世界政治の地底に沈んだ暗闇に落ちたのだ。

インドネシアには「プルタミナ石油」という巨大な国有の石油会社がある。隣りのマレーシアには、「ペトロナス」という石油・天然ガス会社がある。今、首都クアラルンプールには世界第2位の高さの「大丈夫かよー」と言われている、ペトロナス・タワーがある。世界1位を奪ったのは、ドバイの、ブルジェ・ハリファ・タワー(830m、163階建て 完成2010年)だ。プルタミナ石油はずっと、三菱、ロックフェラー系が握っている。先述したCIAのクライド・マッカロイが日本で育てたのが、統一教会の大幹部でもある岸信介(きしのぶすけ)である。

アメリカはスカルノ体制をたたきつぶして、日本にインドネシア原油をたくさん輸入させて、サウジアラビアからのもあるが、日本の高度経済成長を実行させた。その前に、1964年までに、日本のすべての石炭の鉱山を廃止した。これを“エネルギー革命”という。だから、インドネシアのスカルノは立派で優秀な人物だったが、アメリカにしてみれば、この野郎、許さん、ということだったのだ。中国も当時は、バカだから、その翌年の1966年から、毛沢東が再度権力を握って、文化大革命を始めた。このあとの10年間で、1億人くらいの中国農民が餓死した。

ジャカルタの大統領宮殿で、国防相に任命したプラボウォ・スビアント氏(左)と握手するジョコ・ウィドド大統領

だからインドネシア人は、腹の底から深く反省したのだ。この流れに極悪人だった、プラボウォのような軍隊トップの極悪人も加わる。ジョコ・ウィドドが、2015年からプラヴォの家の近くに引っ越して、徹底的に話し込んで、説得したようだ。

「私たちの国は、もうあんな悲惨なことをやってはいけない。同じ国民どうし対立して殺し合いをやってはいけない。外国にいいように操(あやつ)られてはいけない。インドネシアは、世界に向かって理想を主張できる国にならなければならないんだ」とプラボウォを、教え諭した。だから、こいつの顔がどんどんよくなっている。だから今年からもインドネシアが大事なのだ。

即位後、初めての外国への親善訪問(2023年6月17~23日)
天皇皇后両陛下 インドネシア ジョコ大統領夫妻と会見

このことを、副島隆彦が急いで日本国民に教えておかないといけない。 アメリカの手先のパーどもが、何も知らないくせに、威張っているヘンな国であるのが今の日本だ。
世界の言論を支配しているように自分たちでは思い込んでいる、後ろにを載せる11月21日のFT(フィナンシャル・タイムズ紙)が、その証拠だ。

前の方に載せた、プラボウォの横に立っているのが、ジョコ大統領の長男、ギブランである。このギブランが副大統領になる。奇妙なことに、ジョコの政党与党の「闘う民主党」からも候補者がでている。だけと、もう結果は出ている。ジョコは、スカルノの長女であるメガワティという、元の大統領が、この闘う民主党の党首であるから、もう、彼女たち頭の悪い人間たちを見限っている。

だから世界の政治評論では、「ジョコはこれから独裁者になって、上から大統領のプラボウォを操る気だ」という評論が、日本でもFTに倣(なら)って、今から始まるだろう。その程度の足りない頭の記者たちの記事である。自分たち英と米の白人がいつまでも、一番、頭がいいと信じ込んでいる。

私の最新刊の 『中国は嫌々(いやいや)ながら世界覇権を握る』に載せたが、金杉憲治(かなすぎけんじ)という外交官が、インドネシア大使だったのだが、次の中国大使に決まった。
(ここに 私の中国本の該当ぺージを載せる)

金杉憲治(かなすぎ けんじ)64歳 インドネシア大使から、2023年10月24日には非チャイナ・スクールからは7年ぶりとなる駐中華人民共和国特命全権大使に任命された

金杉は、親米(しんべい。pro-America プロウ・アメリカ)のアメリカの手先の外交官のように思われているが、決してそうではない。これから日本と中国とインドネシアの三角同盟をつくるための、外務省の重要な人材である。つい最近までの、垂英夫(たるみ ひでお)駐中国大使がちょっとひど過ぎた。垂(たるみ)は、中国に大嫌われながら、中国大使をずっとやっていた。ペルソナ・ノン・グラタータ(好ましからざる人物)として強制帰国させられてもおかしくなかった。

それは、佐藤優(さとう まさる)氏が『外務省ハレンチ物語』(2009年刊、徳間書店)に書いた、ハレンチきわまりない、上月豊久(こうづき とよひさ)駐ロシア大使(外務省の女子職員たちをたくさん犯した)と同じようなアメリカの忠実な手先だ。彼ら古臭い外交官の時代が終わろうとしている。

このあとは、私は、急いで、デヴィ夫人の伝記『デヴィ・スカルノ回想記』(2010年刊、草思社。旧姓 根本七保子の回想禄)からたくさん引用したいが、もう皆さんお疲れでしょうから、またにします。私は10年前に、デヴィ夫人と握手をして写真もとって、『税務署に痛めつけられた有名人たち』(光文社、2014年刊)という私の本で対談もした。

(ここにデヴィとスカルノの幸せな写真を載せる)

デビィ・スカルノ回想記

デヴィ・スカルノ(1940年生まれ、83歳)

私は、これから、デヴィの娘カリーナが、オランダ系の夫と産んだ息子が、どれぐらい3か国を繋(つな)ぐのに、重要かが分かる。この話は、そのうち書きます。
(ここに最近の デヴィの正月の、 北海道での、親子孫の3人の写真を載せる)

インドネシアはこれから大きく成長する。たとえば、日本の水産の養殖(ようしょく)技術がインドネシアにすでに移転していて、やがて世界の漁獲量の半分くらいはインドネシアになるだろう。今は、大きな高級魚一匹3万円みたいなのが、大きな生け簀(す)に入れられて、東京の“成田漁港”(成田空港)から中国に輸出されている。これからは、インドネシアから中国へ貨物便で高級魚が運ばれていくだろう。

インドネシアは、資源大国でもある。世界第7位の石油と天然ガスの産出国である。だから、日本と中国とインドネシアが同盟を結べば素晴らしいことになる。そのことを一番よく分かっているのが、日本の天皇家である。だから皇室外交をやって、ジョコ大統領夫妻を国賓として招き、そのあと天皇皇后が訪問した(6日間)。私たちは、今年2月のインドネシア選挙をじっとみつめて、東アジアの運命を一緒に切り開くことを考えなければいけない。   副島隆彦  記

( 以下は新聞記事の貼り付け)

〇 「両陛下、インドネシアへ公式訪問 17日から、親善目的で即位後初」
2023年6月9日 共同通信


インドネシア親善訪問天皇皇后

天皇、皇后両陛下が、6月17~23日の6泊7日の日程で、国賓としてインドネシアを公式訪問されることが、9日の閣議で決定した。友好親善目的では即位後初の外国訪問となる。滞在中、歓迎行事などに臨み、ジョコ大統領夫妻主催の昼食会で天皇陛下があいさつをする。

陛下がインドネシアを訪れるのは皇太子時代を含めて初めて。今年は日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の友好協力50周年に当たり、インドネシアはASEAN議長国を務めている。宮内庁によると、2019年8月に大統領から親書で招請があった。
両陛下は17日午前、羽田空港から出発し、午後に首都ジャカルタに到着する。


国賓としてインドネシアを訪問中の天皇皇后両陛下は、日本時間正午頃、そろってボゴール宮殿に到着し、大統領夫妻の出迎えを受けられました。

〇 「両陛下、インドネシア大統領夫妻とご会見」
2022年7月27日 産経新聞
天皇、皇后両陛下は27日、来日していたインドネシアのジョコ大統領夫妻を皇居・御所に招き、会見された。両陛下がお二方で外国の賓客との会見に臨まれるのは令和元年12月以来となる。

午後4時ごろ、スーツ姿の天皇陛下と、和装の皇后さまは御所の前に並んで大統領夫妻をお迎えに。陛下は平成27年に大統領夫妻と面会しており、「再びお会いできてうれしく思います」とあいさつされた。

宮内庁によると、陛下は会見で、インドネシアでの新型コロナウイルス感染症の状況や気候変動の影響についてご質問。ジョコ大統領が森林火災対策などに取り組んできたことを説明すると、敬意を表されていたという。
両陛下は会見を終えた後、御所の前で大統領夫妻の車が見えなくなるまで手を振って見送られた。

(転載貼り付け貼り終わり)


両陛下、インドネシア大統領夫妻と皇居・御所で会見(2022年7月27日)

副島隆彦 拝

副島隆彦 投稿日:2023/12/14 18:05

【3094】岸田首相の 安倍派つぶしは、ただの政界抗争(権力闘争)ではない。統一教会の解体だ。

副島隆彦です。今日は、2023年12月14日(木)です。

私は、ずっと黙って、この2週間、日本の政界( 自民党の政権政治家たちの動き)を ネットに載るニューズを追って見ていた。
岸田首相 が、12月6日から、急に、パー券資金還流(キックバック)問題(という悪慣行)を理由に、安倍派の幹部たち「5人組」を、切る(閣僚、3役を辞任させる)と言う動きになった。
始まりは、安倍派の、一応、幹部の塩谷立(しおのやりゅう)座長が、11月30日。キックバックを認める発言をした。

(転載貼り付け始め)

11月30日  (自民党 安倍派 塩谷 立 座長)
Q:ノルマを超えた分は(議員に)戻した?
「そういう話はあったと思いますね」
しかし、そのわずか5時間後「精査していない状況で発言をした」と撤回した。改めて、この発言について問われると…
(自民党 安倍派 塩谷 立 座長)
「あれはいろいろな質問の中で、そういう状況があったのかなと思っておりますが、事実関係把握しておりませんので、後ほど撤回をしたわけです」

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦です。今日12月14日の最新の新聞記事を一本だけ載せる。残りの記事は、うしろの方に、5本ぐらい長いが載せる。

(転載貼り付け始め)

〇 「 松野博一官房長官ら安倍派4閣僚が辞表提出 午後に交代 」
2023年12月14日   日経新聞

松野博一官房長官ら自民党安倍派(清和政策研究会)所属の閣僚4人が12月14日、岸田文雄首相宛てに辞表を提出した。首相は新しい官房長官に岸田派の林芳正前外相を充てる。自民党派閥パーティー券収入を巡る政治資金問題を受けて、政権の立て直しを図る。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦です。 岸田首相の次の首相の座を、安倍派99人を背景にして狙っていた、見るからにワルの萩生田光一(はぎうだこういち)政調会長も辞任した。あと残っているのは、岸田首相のとなりに、いけしゃーしゃーと女政治家代表の顔をして、座っている、高市早苗(たかいちさなえ)である。安倍晋三の盟友である。松下政経塾の2期生である。統一教会系の大姐御(おおあねご)である。 鬼のような、眉毛が吊り上がった顔の、あのまま、岸田の隣りに座っている。彼女は、安倍派を出ているが、まだ来年9月の自民党総裁選に出る、と息巻いている。

(ここに高市早苗の写真を貼る)

今度の、政変劇は、これまでの政界抗争とは、質と濃(こ)さ濃度が全く違う。これは、ただの自民党内の派閥抗争ではない。岸田の宏池会(こうちかい。吉田茂の系統)が、清話会(せいわかい。日本右翼の議員たちの集まり)を追い詰めて、勝利した、という、ような小さな話ではない。 世の中では、「あっぱれ、岸田が、やりよった」というような、“床屋政談(とこやせいだん)”レベルの話ではない。

この政変あるいは、政局(せいきょく)には、日本の国家総体としての 大きな決断が有ったのだ。 ただ単に、法務省・検察庁が、「安倍の内部からの垂れ込み(証拠の提出)があったので」、動き出して、安倍派の幹部たちを追及して、政治資金規正法の違反で、刑事罰を与えようと、ということだけでは済まない。

法務省・検察庁、さらには最高裁も だけでなく、各省の官僚トップたちと、財界(経済界)、さらには天皇家(皇室)の意思までが、 大きく纏(まとま)って、統一教会(安倍派)を、日本の国家体制から、排除、切除する、という決断のもとで動いている。

① 反共右翼(その中心は統一教会の会員60万人) ではない、②の温厚なる保守 の 者たちが、大同団結して、①の 統一教会を、カルト宗教団体であり、これ以上、日本の社会を宗教汚染させるわけにはゆかないと、高度のところで
判断した。

それに対して、「安倍派だけではない。裏金を配っていたのは。岸田政権そのものが危ない」と、今も足掻(あが)いて、「岸田の派閥もやっている」と 書く者たち自身が、本当は、日本のテレビ、新聞の中に潜り込んでいる、統一教会の 信者、活動家である。 評論家や新聞記者、研究員の肩書をしている。 統一教会は、 世界基準では Moonies ムーニーと言う。創業者の文鮮明(ぶんせんめい。ムーン・サンミョン Moon San Myon)の頭文字から付けられた英語名だ。 アメリカ帝国の首都のワシントンの政界までも、激しく汚染している。ビクトリア・ヌーランド国務省次官(アンダー・セクレタリー)が、公然たるMoonies ムーニー である。

ドイツの外相の女、カナダの外相の女、ポーランドの閣僚たちなど、公然と、このMoonies である。みんなは、「とてもそんなことは信じられない」と言うだろうが。ヨーロッパ諸国の政府までも、このように潜り込んでいる。世界中の政府や政党に潜り込んでいる。真に恐ろしいことだ。だから、日本にも、こうやって政治家(安倍派)にたくさんいるのだ。

創価学会(500万人ぐらい)の中にも、2割ぐらい統一教会が潜り込んでいる。公明党の県議とか市議の中にいる。だから、公明党が、恐れをなして、統一教会を、公然と非難しないで、ここまで来た。そして遂に怒って、
岸田首相と山口奈津男(なつお)公明党委員長が、「自公連立政権として連携して、今度の動きに出た。

立憲民主党の泉健太(いずみけんた)と 国民民主党の玉木雄一郎(たまきゆういちろう)のふたりの代表(党首)も、どうも、おかしい。統一教会の色が付いている。野党の議員たちの中にも、たくさん統一教会員が潜り込んでいる。だから、とても健全な野党勢力として、自民党に取って替わる政権など、今や、作れない。野党も一度解体して、一から作り直さないといけない。個別には能力のある野党議員たちがいる。

それから、日本の労働組合運動の、総本山(ナショナル・センターと言う)である、連合(れんごう)の会長をしている、奇怪な女、芳野友子(よしのともこ)も、統一教会員である。

この女(全繊維同盟。女工あがり)を育てたのは、強固な反共主義者の松下正寿(まつしたまさとし)という、統一教会の学者(立教大学の学長もした)で、労働組合の教育所の「富士社会教育センター」で、芳野を手塩にかけて育てた。松下は、教祖の文鮮明(ぶんせんめい)に私淑して、統一教会の関連組織「世界平和教授アカデミー」の初代会長だ。「日本共産党の労働運動への潜入を許すな」を信念と標語(スローガン)にして、遂に日本の労働運動までも統一教会が乗っ取った。この狂った反共右翼の者たちを、何とかしないと、本当に日本国の危機だ。

大手新聞社の中で、産経新聞(フジ産経グループ)は、明らかに統一教会の巣窟(そうくつ)である。記者たちの中に、公然と統一教会員の者たちがいる。私は、昔、産経の『正論』という言論誌に書いていて、追放されたので、これらの事実をよく知っている。

産経新聞と仲がいい、笹川財団(英語名は、ササガワ・ファウンデイション)が、日本維新の会 の資金源となっている。日本財団と 東京財団に分かれてる。維新の会の議員たちも、大きくは統一教会の別動隊だ。 創立者の笹川良一(ささがわりょういち)が、全然は、”黒シャツ党”として、イタリアのムッソリーニの真似をした国粋主義者だったが、戦後、やっぱり、岸信介(統一教会の教祖の文鮮明と盟友)たちと一緒に「世界反共(はんきょう)同盟」(WACL ワールド・アンタイ・コミュニスト・リーグ)を1968年に創立している。

朝日新聞の、この10年間での変質と思想偏向が、ひどい。2013年から、安倍晋三が首相に返り咲いて(7年8か月間の長期、首相をした。2020年9月まで)、朝日イジメが酷(ひど)かった。日本の左翼リベラル勢力の牙城だった朝日は、人事を内部から握られて、安倍晋三の言うことを聞く役員や記者たちに変貌した。朝日の凋落(ちょうらく)は恐るべきものだ。

さて。岸田首相が、腕組みして、空を仰ぐように、目を閉じて思案し、ところが、顔つきが少し明るくて、にやりと笑っているようにも見える写真が、写っている。これを、ここに貼って皆に見せることが大事だ。

(岸田首相の 腕組みの写真を、ここに貼る。記事の日付も)

12月8日、参院予算委で腕組みする岸田首相(左端)。右手前は松野官房長官

だから、今度の闘いは、岸田の大勝利だ。そして、新しい官房長官には、3か月前に、外相を更迭されて、一歩うしろに退(ひ)いたように見えた、林芳正(はやしよしまさ。”宏池会のプリンス” と呼ばれる )が、今日から復帰して就任した。今日の新聞の顔写真を見ると、元気いっぱいで、やる気十分だ。 いい面構(つらがま)えになった。以前のような、にやけた坊ちゃん笑いをしなくなった。
岸田が、あと2年、首相をしたら、そのあとは、林芳正だ、と、彼の顔に書いている。

林芳正官房長官

岸田と林芳正は、この20年間、安倍晋三から、虐(いじ)められ、怒鳴られて、それでも、我慢に我慢で、口答え(反論)しないで、ずっと耐えに耐えて来た。安部と同じ山口県(林)と、となりの広島県(岸田)が選挙区(地盤)だ。自分の地元もひどく汚された。それでも2人はずっと我慢していた。政治家の一番大事な資質(ししつ)は、我慢することだ。これを、この2人はずっとやってきた。だから、私はこの2人は、偉いと思う。

そうして、岸田が、ついに、人生で一度の大(おお)勝負に出た。それが、今回の、日本の国体(こくたい。国家体制)の上層部の総意を取り付けたうえで、安倍晋三の死(去年の7月8日)から、1年半経(た)って、ようやく、今回の安倍派解体、統一教会を日本の国家体制から切除手術する、という動きに出た。

だから、今、私たち、日本の反(はん)自民党、反(はん)権力(リベラル派)の人間たちがするべきことは、岸田政権を打倒しよう、ではなくて、この一幕だけは、岸田文雄を応援して、「頑張れ、岸田。安倍派=統一教会 を 徹底的に叩き潰せ」と応援することだ。私、副島隆彦は、このように考えます。

安倍派が、岸田内閣倒閣(とうかく)、退陣(たいじん)の動きを、先に仕掛けて来た。6月ぐらいからだ。それに対して、岸田はじっくり準備した後、反撃に出て、安倍派を解体に追い込む戦略に出た。

今日は、詳しく書かない(これまでにたくさん書いたので)が、 「最高検察庁内の、大幹部だった、統一教会の黒川弘務(くろかわひろむ)」 を検事総長(検察庁のトップ)にしようと、を安倍晋三が首相として押し切ろうとした2020年の 問題以来の、法務省検察庁内の、「もう、これ以上。統一教会が、法務・検察の中で蔓延(はび)こるのは許さない」という堅い、決断があった。 安倍派=統一教会が、日本の国家体制を、これ以上、乗っ取ることを、阻止する、と、厳しく決意していることを示している。

下 ↓の 記事に載せた、「 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済に関する法が12月13日成立した」 のとおりである。この統一教会を解散、解体の追い込む、日本の国家体制としての意思と、今度の、安倍派を自民党内の派閥として解体、消滅させる動きは、同時進行である。

再度、書く。 今、日本の国家体制そのもの が、安倍派潰しと 軌を一にして、統一教会を日本国家として解体し排除しようとしているのである。

統一教会問題になると、私、副島隆彦は、ものすごく厳(きび)しい表情になる。なぜなら、この20年間、私は、統一教会は、人類に食らいついた癌(ガン)細胞だから、切除(リムーブ)手術をしないといけない、と各所で書いて、ずっと言論で闘って来た。鈴木エイト氏たちが現れる前からだ。

その為に、私は、統一教から命を狙われて来た。今は、統一教会が大混乱だから、その隙(すき)で、統一教会 の別動隊である、エホバの証人(宮台真司=みやだいしんじ=氏を2022年11月29日に、都立大学で、殺そうとしたのは、エホバの証人の男だ。この男は1月に「自殺」して証拠隠滅した。警察は殺人未遂で送検した ) と 参政党(さんせいとう。神谷宗幣=かみやそうへい=参議院議員が代表。ここは、幸福実現党の支持票、175万票がそのまま移転して別物になり替わった政党) が、私、副島隆彦 の命を狙っている。だから、私は、注意、用心して生活している。

今回は、ふつうの、政治家たちどうしの権力闘争(power struggle  パウワ・ストラグル これは左翼用語。 power strife パウワ・ストライフ こっちは普通の政治学用語 )の、政界抗争ではない。ただの派閥抗争の、蹴繰(けたぐ)り合いではない。これを、ただの自民党内の、いつもの勢力争いだ、で済ます気が、私は、初めから無かった。だから私は、ずっと黙ってこの2週間の政局(せいきょく。これは内閣の解散、政権の交替を含む政治言葉だ) を見ていた。

私が、はっきり分かったことは、再度書くが、あの岸田の、腕を組んで、ひとりで、天を仰いだり、あるいは、にんまりする顔は、これはただの政界抗争ではない。統一教会を、日本の体制の外側に追放する、という日本の支配層の、共通した意思から生まれた健全な判断である。私は、この動きに賛同する。

それでも、安倍派の中にいる、福田派系(30人ぐらい。今は、福田達夫=ふくだたつお=が 長 )は、一切、名前が出て来ない。安倍派が分裂、解体したあと、福田派(ここが福田赳夫以来の清和研究会の元)が出来上がるだろう。

安倍が死んだあとの、返り咲き親分のドンの森喜朗(もりよしろう。この男は、大暴力団の山口組=日本のマフィア=の、実質の一番上だ ) は、「萩生田を、辞めさせるな」と騒いでいたが、もう黙った。森は、岸田に直接、電話を掛けて圧力を掛けていた。しかし岸田はもう電話に出なくなった。この瞬間に、森はすべての政治権力を失った。12月6日のことだ。

麻生太郎は、今も副総理で、あれほど安倍晋三と仲が良くて、ふたりで日本の汚れた政治を、この10年間(2013年から)ずっとやって来た。それなのに、「自分は麻生派 で宏池会 だ」で、安倍派の自壊(じかい)に対して、もう知らん顔をしている。自分が生き残ることで精いっぱいだ。岸田は、次は、麻生太郎を引退に追い込むだろう。

茂木派( 茂木敏充=もてぎとしみつ= が、青木幹雄から奪い取った旧経世会。竹下昇派)は、やや距離を取りながらも岸田を支えている。
菅義偉(すがよしひで)元首相は、安倍の葬式で、熱のこもった追悼文を読んだ通り、やっぱり、この男も、統一教会だったのだ。

宏池会系は、もともと、安倍派のような右翼やゴロツキのような、政治ゴロ(戦前の院外団=いんがいだん=)の蠢(うごめ)きである暴力団体質がない。おカネで汚(よご)れない。だから、上品に官僚たちと同居して官僚たちに操(あやつ)られる。それと、アメリカと絶対に喧嘩(けんか)しない。言うことを聞く。ケンカして自分たちが潰されないようにである。しかし、面従腹背(めんじゅうふくはい)で、アメリカからの厳しい、理不尽な、「日本は、もっとカネを出せ」の要求に、必死で何とか抵抗する。

今の日本は、不況が30年も続いて、精一杯頑張っても、岸田の宏池会の「軽武装(けいぶそう)経済優先」の宏池会の政治で、生き延びるしかない。日本国民の生活は、青息吐息で、すさまじい大量の貧困層を抱えて、やっとのことで生きている。それでも、まだ、日本国民は耐えられる。アメリカ帝国が、先に崩れるまで、堪え忍ぶだろう。

なぜ法務・検察が、本気になって安倍派を狙っているかというと、それは、「2019年7月の参院選広島選挙区 を巡る大規模買収事件」 の 時に、広島に東京の検察庁から派遣されて、河井案里のカネ配りを調べていた、36歳の、若い優秀な検察官が、統一教会に殺されたからだ。

この若い検察官が夜、帰って来て、自分のアパートの部屋に入ろうとした瞬間に襲って、連れ込んでて首を絞めて殺した。これが、統一教会が政治家たちを「自殺に見せかけて」殺す時の、いつものやり口だ。この事件は、週刊誌に書かれた。しかし、警察には手を出させないで、検察庁自身が、「これは、お前たち(警察)には扱わせない。俺たちがやる」と、深い決意を表わして、自殺で処理した。

その時以来、若い検察官たちすべてが、「捜査中の汚職事件の 担当検察官を殺すとは、何ごとか。絶対に許さん 」と、自分たちの仲間を殺されて、激しく怒り狂った。法務・検察の幹部たちも、法曹(ほうそう)仲間の弁護士業界の親分たちも、「もう、あいつら統一教会 を、日本の国家秩序は、絶対に許さない。根絶やしにする」と、なった。

このあと、河合案里を東京で逮捕した時に、案里を真っ裸にして、パンティと生理ナプキンまで剝ぎ取った。証拠隠滅を防止する、ということで検察の女子職員たちにやらせた。

統一教会によるこの若い検察官の殺しのことは、私は、佐藤優氏との対談本でも、詳しく語った。

ずっと下の方 ↓ に、中国新聞に載った 今年の9月の記事を載せる。「 2019年7月の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件(選挙での汚職)の際・・・河合案里(かわいあんり)は・・・」とある。

私は、明日(15日)発売の、私の恒例の中国本の新刊書 『中国は 嫌々(イヤイヤ)ながら 世界覇権を握る』(ビジネス社刊)の 中で、韓国(本当は北朝鮮)発祥の、統一教会を、今もまったく非難しないで、その同伴者となっている、 日本の ①反共右翼の者たちのことを書いた。それと、この①に引き摺られたままの ② 生来の温厚な保守の人たちへの、怒りを書いた。是非、読んで下さい。

(ここに、統一教会の今のトップの 韓鶴子=かんつるこ=ハン・ハクチャ=の 顔写真のページを貼ってください)

このあとは、新聞資料を、長々と、6本ぐらい載せます。 副島隆彦記

(転載貼り付け始め)

〇 「 安倍派、全員交代案に衝撃 実現なら「 安倍派の終わりの始まり」 」
2023年12月11日   日経新聞

(ここに、この記事に付いている 6人の顔の 写真を貼る)

自民党派閥の政治資金パーティーを巡る問題は最大派閥の安倍派(清和政策研究会)存亡の危機に発展した。安倍派に所属する全議員を政務三役から外す案が岸田文雄政権で浮上したためだ。安倍派内には衝撃が走っており、激しく反発する議員もでている。

2000年以降の日本政治は「清和会支配」と呼ばれる。民主党政権を除く7人の首相のうち4人が安倍派で、首相在職期間の8割ほどを占めたためだ。全員交代を迫られれば派閥の求心力低下は確実で、20年ほど続いた全盛期から一気に存続が危ぶまれる「終わりの始まり」の状況になりかねない。

首相は12月10日、都内のホテルで安倍派幹部の萩生田光一(はぎうだこういち)政調会長と政治資金問題の対応を巡りひそかに協議した。同日夜、全員交代案を耳にした安倍派幹部は「悪手(あくしゅ) だ。副大臣や政務官までも交代させるようなことになれば、(岸田)内閣不信任決議案に賛成してもいい」と激高した。

ある政務官は、「やりすぎだ。まともにやっている人までやめさせたら次の選挙で傷になる」と語った。別の所属議員は「衆院当選一回の議員まで巻き込むのはかわいそうだ」と述べた。安倍派は閣内に松野博一(まつのひろかず)官房長官、西村康稔(にしむらやすとし)経済産業相ら4人の閣僚だけでなく、5人の副大臣、6人の政務官を抱える。

副大臣や政務官は閣僚への登竜門にあたり、当選期数の浅い議員らにはこうしたポストは派閥に属する「恩恵」となる。最大派閥にはいっても恩恵を得られなければ派に遠心力が働くのは避けられない。すでに一連の政治資金問題を受けて、退会を検討する動きも一部に出ているという。

安倍派が首相に再考を求める事態も想定される。党幹部によると「全員交代案は複数の選択肢のうちのひとつ」といい、首相は調整を継続するとみられる。 茂木派幹部は「安倍派だけで政治資金問題が収まるとは限らず、そのときは後任を探すのも難しくなるのではないか」と指摘した。

全員交代といった反発を呼ぶ案が浮上するのは、政権の危機感の裏返しといえる。
今国会では政務三役に次々と問題が発覚して「辞任ドミノ」がおきた。東京地検特捜部の捜査が進むにしたがって、該当者を一人一人更迭するといった対応をとれば過去最低に落ち込んでいる内閣支持率の一段の低下を招きかねない。

〇 「 安倍派の池田氏、パーティー収入3200万円の不記載認める 」
2023年12月13日  日経新聞

自民党安倍派(清和政策研究会)の政治資金パーティー問題を巡り、衆院議員、池田佳隆(いけだよしたか)元文部科学副大臣の事務所は12月13日、派閥からの収入を政治資金収支報告書に記載していなかったことを認めた。関係者によると、同日までに2020〜22年の収支報告書を訂正し、安倍派からの還流分約3200万円を寄付として計上した。

パーティー収入の還流分について議員側が収支報告書を訂正したのが判明するのは初めて。東京地検特捜部は政治資金規正法違反(不記載・虚偽記入)の疑いがあるとみて捜査。過去の立件例も踏まえ、不記載額が多い議員側を重点的に捜査するとみられる。

安倍派は派閥のパーティー収入の一部を所属議員に還流させ、派閥・議員側双方の収支報告書に記載しなかった疑いがある。還流を受けた議員は数十人に上る。うち直近5年間の池田氏側の不記載額は四千数百万円で、約5千万円の還流を受けたとされる大野泰正参院議員側に続く規模とみられる。関係者によると、派閥からの還流分はいずれも収支報告書に記載していなかったという。総務省公表分の20〜22年の収支報告書を訂正した。

池田氏の事務所は「党から清和政策研究会を経て支払われる政策活動費と認識して収支報告書に記載しなかったが、寄付として記載すべき性質のものと判断した。政治に対する信頼を損ねてしまったことに深謝する」とコメントした。池田氏は地元の名古屋市で21〜22年に開いた議員個人の政治資金パーティーでも記載漏れがあり、約1100万円の収入を追加計上した。

〇 「 旧統一教会の被害救済、進む法整備 残る「自助努力」」
2023年12月13日   日経新聞

(ここに、分かり易く説明した、図版がある)

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の被害者救済に関する法が12月13日、成立した。教団の監視を強め、賠償の元手となる財産の散逸を防ぐ。既に施行された不当寄付勧誘防止法とあわせて救済の法整備が進んだが、被害者の自助努力が前提となる構図は変わらない。実効性の有無を継続的に検証する必要がある。

【関連記事】旧統一教会の被害者救済法が成立、教団財産の監視を強化
「教団の財産の動きを把握しやすくし、自由に移転できる状況をけん制する仕組みは被害者救済に向けた一歩だ」。近畿大の田近肇教授(憲法学)は法成立に一定の評価を語る。
新法は宗教団体に高額寄付をした被害者らが民事訴訟を起こす際の弁護士費用や、債権の保全手続きをする費用を支援する。財産流出を防ぐため、解散命令請求が出された宗教団体が不動産を処分する際は事前に行政機関に通知することも義務付けた。

狙いは「財産隠し」の抑止だ。教団が財産を海外などに流出させた場合、訴訟で賠償命令が出ても支払いが実現しない恐れがある。実際、1995年に解散命令を請求されたオウム真理教は所有不動産を関連会社名義に変えるなどして財産隠しを図ったとされる。
新法が不動産処分前の通知義務や目録提出を定めたことで財産状況は可視化されるが、処分自体を阻止することはできない。田近教授は「解散命令が確定した際に賠償の元手となる財産をどれほど保てるかは不透明」と指摘する。

法案審議の過程では、解散請求があった時点で裁判所が包括的に財産を保全できる規定の導入についても議論された。宗教法人法と同様に解散命令の手続きを定める会社法は、請求時点で裁判所が「財産管理命令」を出して資産を保全する規定がある。だが最終的に「信教の自由を害する恐れがある」との理由から見送られた。

被害の回復を個々の被害者自身が訴訟を通して自力で図る必要がある点もハードルとなる。教団の問題に長年対応してきた全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の阿部克臣弁護士は「被害者が自ら証拠を集めて訴訟を起こすのは負担が重い。当事者の自助努力に委ねられている点は変わらず、新法は無いよりマシな程度」と批判する。
全国統一教会被害対策弁護団も13日「教団による財産処分を把握しやすくなり被害者救済の一助となり得る」としつつ、財産保全の規定がないため「抜本的な対応策となり得ない」とする声明を公表した。

同法は付則で施行後3年をメドに「財産保全のあり方を含めて検討を加える」と明記された。政府は今後、状況次第で規定の見直しも検討するとみられる。
教団の被害者救済を巡っては1月、寄付者を困惑させるなどの違法な勧誘による寄付を最長10年間取り消せるといった不当寄付勧誘防止法も施行された。違法な寄付がただちに「無効」にならず、被害者側から「取り消す」必要がある同法についても救済範囲が狭いとの指摘があり、施行2年で見直すとの付則が付けられた。

救済の法整備が相次いで進むのは、解散請求を巡る裁判手続きが長期化するとの見方があるためだ。政府が宗教法人法に基づき、教団の解散命令を東京地裁に求めたのは10月。解散命令の効力が生じれば教団の財産は裁判所が選任する清算人が管理することになるが、膨大な証拠の検討が見込まれることから、結論が出るまでに「年単位の時間がかかる」(ベテラン裁判官)とみられている。
関係者によると、現在は教団側が地裁に意見書などを順次提出している段階という。双方の意見を直接聞く「審問」が開かれるとしても年明け以降となる見通しだ。

一方で、教団に関する被害相談はなお寄せられ続けている。日本弁護士連合会に2022年9月〜23年2月、教団に関する相談は550件寄せられ、うち422件は財産の被害に関するものだった。被害が1千万円以上だったとする相談が4割を占め「1億円以上」も26件あった。救済の実効性をどう確保するか、引き続き議論と検証が欠かせない。
【関連記事】
• ・旧統一教会の解散審理、長期化へ 法律論と具体論で攻防
• ・旧統一教会に解散命令請求へ 今後予想される流れとは

〇 「 河井(かわい)元法相、買収原資は安倍政権中枢からか 4人から6700万円思わせるメモ 自宅から検察押収 」
中国新聞  2023年9/8(金)
(ここに2人の顔を載せる )

河井克行(かわいかつゆき)元法相(左)と妻の案里(あんり)氏

( 副島隆彦注記。 この記事は、中国新聞(広島県が中心)のスクープだ。検察庁が広島の事件の現場から出したものだ。だから中国新聞だ。だが、東京の大新聞たちは黙っていて。この事実を報道しない。法務省=検察のトップから、岸田首相に それとなくのお伺い(あるいは打診)が数か月前にあって、それに対してようやく、岸田が、暗黙の許可を出したのだろう。 岸田は、安倍派(99人。そのうち統一教会系が60人 )の追い落としを狙っている。その計画中だ。東京のメディアは、この件を書かない。中国新聞を後追いして書くこともしない。奇妙な静けさだ。副島隆彦注記終わり)

2019年7月の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件 で、検察当局が20年1月に河井克行元法相(60)=服役中=の自宅を家宅捜索した際、当時の安倍晋三首相をはじめ安倍政権の幹部4人から現金計6700万円を受け取った疑いを示すメモを発見し、押収していたことが9月7日、関係者への取材で分かった。

検察当局は、元法相が広島県内の地方議員や後援会員に現金を配り回った買収の原資だった可能性があるとみて捜査していたという。 【図解】大規模買収事件を巡る金の流れ
関係者によるとメモはA4判。上半分に「第3 7500万円」「第7 7500万円」と書かれ、それぞれ入金された時期が付記されている。その下に「+(プラス)現金6700」と手書きで記され、さらにその下に「総理2800 すがっち500 幹事長3300 甘利100」と手書きされていた。・・・・ (以下略)

〇 「 元法務次官 辻裕教(つじひろゆき)を証人尋問 黒川元検事長の定年延長巡る訴訟事件・司法 」
2023年12月1日  日経新聞

( 副島隆彦注記。 この 辻裕教(つじひろゆき)仙台高検検事長(現職) が、法務省=最高検内の、 統一教会(学生時代は勝共連合)の活動家であり、黒川弘務に次ぐ  No2 で、この男を 法務・検察は、憎しみを込めて、獅子身中(しししんちゅう)の虫として、焼き殺そうとしている。副島隆彦 注記終わり)

東京高検検事長だった黒川弘務氏=辞職=の定年を延長した2020年1月の閣議決定を巡り、法務省が協議記録を不開示とした決定の取り消しなどを求める訴訟の口頭弁論が1日、大阪地裁であった。当時の法務次官、辻裕教氏が証人として出廷した。辻氏は「特定の検察官のためではなかった」と述べ、「(定年延長は)黒川氏を検事総長にするためだった」とする原告側の主張に反論した。

政府は従来、国家公務員法の規定に基づく定年延長は検察官に適用されないとの見解だったが、法務省は20年1月、解釈を変更。検察官にも適用できるとし、黒川氏の定年が延長された。元法務次官への証人尋問は異例。辻氏はこの日の弁論で「犯罪が複雑化し、担当者の交代で業務に支障が出る可能性があった」と話し、延長の必要があったとした。
原告の神戸学院大の上脇博之教授は関連文書の開示を求めたが、法務省は「作成していない」との理由で不開示としたため、22年1月に提訴した。

「 国は丁寧かつ合理的な説明不可欠」
弁護士で公文書管理に詳しい東洋大の早川和宏教授の話 事務次官という行政機関の事務方トップだった人物が文書開示を求める訴訟で証人尋問されるのは珍しい。実際に文書を作成する職員の方が証人としてふさわしかったのではないか。今回の訴訟が提起されたのは、官邸に近いとされた黒川氏のための解釈変更と国民に受け止められているからであり、国は丁寧かつ合理的な説明で真摯に向き合う必要がある。

副島隆彦注記。 この辻裕教(つじひろゆき)も、東大法学部の学生時代から、サークル活動で入って行った勝共連合(しょうきょうれんごう。統一教会の学生組織 )に入信して、やがて 狂い尽くした 秀才のひとりだ。 検察官になって法務省官僚の コースを歩んだ。黒川弘務の片腕(法務次官もした)で、各省のエリート官僚たちの中の、統一教会の 今の、現役(仙台高検検事長だ)のトップだ。岸田政権は、この男も追及する。

(ウイキペディアから転載貼り付け)

仙台高等検察庁検事長就任時に公開された肖像写真
(ここにウイキの 顔写真を貼る)

辻 裕教(つじ ひろゆき、1961年10月4日 – )は、日本の検察官、法務官僚。法務事務次官等を経て、仙台高等検察庁検事長。
人物  法務省大臣官房長や刑事局長、法務事務次官を経て、2021年より現職。
2023年6月、東京高等検察庁の黒川弘務元検事長の定年延長問題で、大阪地方裁判所は、当時法務次官を務めていた辻を証人尋問する事に決まった。現職検事長が証人尋問を受けるのは異例。・・・・

(転載貼り付け終わり)

今日は、これだけにします。 副島隆彦拝

副島隆彦 投稿日:2023/11/30 11:10

【3093】私の新刊の金融本「金(きん)は(まだ今から)3倍になる」の宣伝と、金の賢い買い方。

副島隆彦です。 今日は、2023年11月30日(木)です。
私の金融本の、最新刊である『 金融恐慌が始まるので 金(きん)は3倍になる』 (祥伝社、2023年12月1日発売 )の宣伝をします。
明日から全国の書店で発売です。大都市圏は、1日早くて今日から店頭の並んでいるかもしれません。 買って読んで下さい。

金融恐慌が始まるので 金は3倍になる
この本の宣伝は、すでに、今日のぼやき の方で、広告を始めていて、そこには、私が書いた まえがき や目次 が載っています。そちらを読みに行ってください。

私が、この本で強調したいのは以下のことです。
金(きん)の価格は、世界価格だから、日本国内だけで決まるのではない。もうすぐ、米国債(べいこくさい)が、あまりにも発行し過ぎて、信用を無くすので暴落する。このこととドルの暴落は同じだ。

だから、その時、  Gold – US Dollar Linkage Cut 「ゴールド・USダラー・リンケイジ・カット」 すなわち、「金ドルの連携の切断」 が起きる。世界中で、米ドル(=米国債)が信用を無くして暴落を開始する。それは来年でしょう。

だから、それと争うように、金(ゴールド)が、世界的に更(さら)に今よりも、どんどん価格を上昇させるだろう。目標は、今の1グラム=1万円 が、3倍の3万円になる時だ。それは、3年後のことだ。だから今のうちに、もっともっと、金(きん)を買いなさい、ということだ。

副島隆彦です。それから、以下に、2枚、この私の最新刊の本の中の、2枚(4ページ分)の画像(写真)の載せた。

(ここに、金貨=ゴールド・コイン= と 野口コインの福岡の天神(てんじん)の実店舗の画像のページを載せる)

野口コインを勧める


野口コインは田中貴金属よりも、金(きん)を安くで買える

上記の 画像にあるとおり、野口コイン(本店、福岡市)で、ネット販売でいいですから(わざわざ、お店まで行かなくて済みます)金の1オ(ウ)ンス・コイン(硬貨、31.1グラム)を買いなさい。この野口コインは、私、副島隆彦の信用保証付き(笑)です。

私は、この10月の福岡での野口コイン主催の講演 で、野口貴志 社長と親しく話して、この人は、本当に立派な経営者で信用がおける、と、確信しました。ですから、皆さんも、さらに、この野口コインで、金貨を買ってください。

(ここに野口コイン株式会社の HP を載せる)
https://www.noguchicoin.co.jp/


野口コインHPの表紙

副島隆彦です。野口コインでは、本当のたくさんの、豊富な金貨や銀貨、そして、100グラムの金の延べ板も売っている。 自分の気に入ったものを買いなさい。
私が、特に推薦するのは、上掲の ページ(拡大して、よく、読んで下さい)の中に書いてあるとおり、田中貴金属とかで買うよりも、野口コインの方が、1オンス金貨1枚で、6,000円も安くで買える。

このことを、私は、9月からお知らせしている。配達の手数料も安い。もう1オ(ウ)ンス金貨は、一枚が36万円ぐらいになっているはずです。

そして、野口コインで、英国王立造幣局(えいこくおうりつぞうへいきょく The Royal Mint )製の ブリタニア金貨 を買うと、さらに3,000円 安くで買えます。だから、このブリタニア金貨を買いなさい。メイプルリーフ金貨(カナダ国)とウイーン・ハーモニー金貨(オーストリア国)は、もう持っているから、少し飽(あ)きた、という人も買いなさい。

この The Royal Mint Official Partner 「ザ・ロイヤル・ミント(英国王立造幣局) オフィシアル・パートナー(正規代理店) 」 と、野口コインが、公然と名乗れることが、世界基準(ワールド・ヴァリューズ)から見て、どれほど高い信用があるか。このことを、今度の私の本で、詳しく書いた。この個所を、特に丁寧に読んで下さい。

アメリカ政府造幣局 が発行する、イーグル(白頭鷲=はくとうわし)金貨は、日本では買えない。アメリカでも買えない。アメリカの金持ちたちがすべて買い占めている。だからイギリスのブリタニア金貨を買いなさい。ブリタニア Britannia というのは、今のイギリス England を形成して表わす Great Britain Island  大ブリテン島 (=United Kingdom  ユナイテッド・キングダム 連合王国とも言います )を、女神さまだ、と見なして、”女神ブリタニア”という。その象徴としての金貨だ。

最新の、金の価格の動きは、 田中貴金属工業 の  公表している価格表で、

11月29日 店頭小売(こうり)価格 は、1グラム=10,682円
店頭買取(かいとり)価格 は、 1グラム=10,573円
1万円を越えている。この動きは、簡単には止まらないだろう。 金は、上がり続ける。

金の世界値段である、 NY(ニューヨーク)の 先物市場(COMEX)の 卸売りの金価格 は、10月31日 に、最高値があって、 1オウンス( ounce  31.1グラム)= 2017.70 ドル だ。 20,00ドルを、軽く突破している。

取り敢(あ)えず、これだけの事を、今日、皆さんにお伝えできればいい。
金の動きについては、以下に一本だけ記事を載せます。

(新聞記事の資料。 転載貼り付け始め)

〇 「金の価格、6カ月半ぶり高値 FRBの利上げ停止観測で買いが進む NY」
2023年11月29日 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20231129/k00/00m/020/011000c

11月28日のニューヨーク商品取引所の金先物(さきもの)相場は3営業日続伸し、取引の中心となる12月渡しが前日比27・60ドル高の1オンス=2040・00ドルと中心限月の終値としては5月上旬以来、約6カ月半ぶりの高値を付けた。
米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ停止の観測が強まり、外国為替市場でドルが主要通貨に対して下落した。このため、ドルの代替資産とされる金の買いが進んだ。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝

福松 博史 投稿日:2023/11/28 10:47

【3092】「日本は戦争に連れてゆかれる。狂人日記。戦争を嫌がった大作家たち」(共に作者副島先生 祥伝社新書から出版)を読んで私が思ったこと

マスメディア(テレビ 新聞 大手雑誌)の垂れ流す偽情報(フェイクニューズ)について。
イギリスの作家 ガリバー旅行記を書いたジョナサン・スウィフトの言葉。
嘘八百は空高く飛翔し、真実は足を引きずりながら後をついていく。
ガリバー旅行記の中の第4章「馬の国」が本当はとても重要だと私は思う。つまり、人類(人間)は”頭(気)が狂った猿”なんだということ。
”万物の霊長”だ、なんておこがましい。ちゃんちゃらおかしいのだ。

月刊誌 中央公論2023年12月号「陰謀論が破壊する日常」(について私が思ったこと)
9人の論者が雁首揃えて上から目線で一般国民の大衆に対して偉そうに正邪善悪の判断は自分たちにあって、お前ら無知蒙昧で下賤な奴らにはその資格がないから、「どれ、俺たちが諄々(じゅんじゅん)と説教をしてやる。」という傲慢で恐るべき態度だ。
①陰謀論に取りつかれている人々がSNSやネット上で急増している。
②その人たちがコロナワクチン接種の強要に反対している
③だから親子断絶などの分断を作り、日常生活を破壊しているのだ
④ということで反政府、反権力側のけしからん連中だから・・・・
⑤よってこいつら反抗的なけしからん連中を退治しなければならない。大政翼賛会に逆らうとは何事か。
という、三段論法ならぬ、五段論法だ。本当にしつこい。こいつらワクチンどうしてもうちたいんだろ?それならお国の為に本物のワクチン打って苦しんで死ね。と私は言いたい。コロナだからワクチンではない。逆だ。前もって初めから計画的にワクチンを売るために米軍軍事強硬派が中国の武漢にコロナ菌をばらまいたのだ。現職のトランプと習近平を叩きのめすために。
何事にも慎重に物事を考え、お国(お上)の命令に軽はずみな賛同、行動は控えるべきだと コロナバカ騒ぎの三年半、私は苦々しい思いだった。
神奈川県横須賀市の元市会議員の一柳さん。反コロナワクチンの切実な活動に尽力なさっておられた。健康上の理由であまり活動出来なくなってしまったということです。
私は、賛同、応援していた一人として、大変ご苦労様でしたと、お見舞い申し上げます。

前掲 中央公論12月号19pの大澤真幸氏の「不思議なキリスト教」(共著、新書大賞2021)について私が思ったこと。
キリスト教ローマンカトリックの聖書の重要な教え「処女懐妊」だって。はあ? 妊婦が”処女”だって? 妊娠したら、もうすでに、処女膜はなくなっているに決まっているだろう。こんなヨタ話を信じている方がバカだ。頭がイカレている、としか言いようがない。「信じる信じないのはあなた次第」なんてものではない。
必ず結果には原因があるのだ。と私は特に強く思う。

プロテスタント、宗教改革のマルチン・ルッター(1483~1546)。
(北ドイツのヴィッテンブルグ城の門の前で子供を作るぞ。だから女を抱かせろ。金儲けを認めろと喚いたのだ。1517年「95ヶ条の論題」)。
免罪符クソくらえ。
なんとこれに先立つ300年前にも日本では親鸞が同じことを既に実行していたのだ。僧侶の「女犯」の厳しい戒律を敢えて破ったのだ。こんなものクソくらえだと。つまり破戒僧だ。だから妻帯して、子供をもうけたのだ。
要するに宗教なんか共同幻想(マス・イリュージョン)の一種なのだ。だが、戒律を破ると、”異端審問”でとっ捕まったら教義に反したということで火あぶりの刑だ。
映画「アマデウス」。天才モーツァルトも当時のキリスト教ローマンカトリックに目をつけられて 若くして(35歳)、殺された。オペラ「フィガロの結婚」これがとんでもなくキリスト教を貶していると見なされてバチカンの逆鱗に触れたのだ。
アレクサンドリア(エジプト)のヒュパティア(天文学者、哲学者)も暴徒と化したキリスト教徒たちに惨殺されたのだ。映画「アレクサンドリア」の話で、あんな男女の恋愛の甘ちょろい話ではない。
本当は彼女はキリスト教の暴徒に襲われて、手にしたカキの殻で肉をそぎ落とされたのだ。本当は物凄く残虐な話なのだ。
だから「不思議なキリスト教」だ、なんてピントがずれた題名なのだ。本当は「いかれぽんちのキリスト教」が相応(ふさわ)しい言い方なのだ。と私は強く思う。ニーチェの「アンチ・クリスト」の事がどうしても頭に浮かぶ。そして遠藤周作の映画「サイレンス(沈黙)」の事も。

中央公論12月号44p、45p。古谷経衡氏。タイトル「日本のシニアはなぜはまってしまうのか?」について…
一言で言って、山口百恵の「プレイバック パート2」で「坊や 一体何を教わってきたの?」と私「も」言いたい。

私がガキの頃、学校で”何事が起こっても他人(ひと)のせいにするな、全部自分が悪いんだぞ。人殺しはいけないことだ、泥棒もいけないことだ。いじめや差別はするな。女子生徒の着替えや便所は覗くな。女の子のスカート捲りはやめろ。”エトセトラ…
で、運動会ではなんとマイムマイム、オクラホマミキサー、最高に楽しいフォークダンスと来たものだ。で、家では「いいか、よく聞け。女と酒(アルコール)が一番危険なんだぞ。特に商売女に気をつけろよ。化粧、おしろいは何のためにあると思う。男を騙すためなんだぞ。だから家から出るときに化粧をするだろう。そして帰って来てから落とすだろう。バカみたいな話だけどな。」
「お前みたいなやつはちょろいもんなんだぞ。のぼせるんじゃないぞ。女は怖いんだぞ。わかったか?」と母親から口うるさいぐらい言われたものだ。けっ。自分だって家から出る時化粧するじゃないかと鼻たれ小僧の私はずっと思っていた。そんなこと守れるわけないじゃないか。自由な男女交際がない世の中、そんなもん全然面白くない。人間生きている意味がないと私は強く思ったのだ。

話が飛んだが、つまるところ、学校や家庭と 実際の社会(世間)では道徳や規範が必ずしも一致している訳ではない。大人になるにつれてだんだん本音と建前が違うと言うことに気付かなければならない。と、私は思う。

そして13p。ドイツの政治学者 カール シュミットについて。「友敵理論」…政治的なものの根底には友と敵を線引きして その敵対性を高める人々の傾向がある。
私は思う。こんな事 古今東西老若男女当たり前すぎる位当たり前の話だ。オスマン帝国のメフメド2世、エリザベス一世(姉殺し)とその父ヘンリー八世(女房殺しとトーマス モア殺し)、斎藤道三や武田信玄、「東方見聞録」のマルコ ポーロの親子、フビライ ハーン(弟殺した)の身内の対立、断絶、殺し合いは 腐るほど…皆さんの方がよーくご存じでしょうが。

日本は戦争に連れてゆかれる 狂人日記2020(祥伝社新書 副島先生の本 2020年8月10日発売)の84ページから引用。
人類(人間)は目下(もっか)、第三次世界大戦への道を着々と歩みつつある。この戦争は迫りくる核戦争であり、生物化学戦争であり、サイバー戦争である。コンピュータ・ウイルスで相手(敵国のレーダー)を無力化して 軍事施設を爆撃するということもする。2007年9月にシリアを空爆したイスラエル軍が、このサイバー攻撃でシリアのレーダー(ロシア製)に捕捉されず、攻撃に成功した。
日本もまた、世界の一部として、次の大きな戦争(ラージ・ウォー、第三次世界大戦)に連れてゆかれる。またたくさんの人が死ぬ。

そして29ページから引用。
日米交渉の真実。
今から80年前、日本人は保守層だけでなく、リベラルや左翼だった人たちも含めて皆、対英米戦争にのめり込んだ。日本国民も同様にのめり込んだ。日本の中学校、高校の社会科の教科書には「ABCD包囲網」すなわちAアメリカ Bブリテン(イギリス) Cチャイナ Dダッチ(オランダ)の4つにほういされ経済封鎖(禁輸)されたので、仕方なく日本は戦争に打って出た、という書き方をしている。
(略)28pから。
ところが、真珠湾攻撃が起きるその日まで、日本国民はアメリカ合衆国と交戦するなどと思ってもいなかった。政府の要人たちと軍のトップたち以外は、アメリカ合衆国との開戦への動きを知らなかった。何も知らされなかった。この大事な事を日本史学者(昭和史専門家)たちが書かない。1941年(昭和16年)の4月から、「日米交渉」が始まっていた(その準備段階を含めれば2月から)。
アメリカ政府はコーデル ハル国務長官が「日本は中国から手を引け。政府機関も居留民も、全て引き上げさせよ」と初めから要求していた。交渉官(全権公使)の野村吉三郎は海軍大将であって、もともと外交官ではない。助っ人で送られた来栖三郎(くるす さぶろう)は外交官だが、日独伊の軍事同盟(三国同盟)を推進した男だ。アメリカに好かれるはずがない。
この二人の日本の高官は、アメリカ側と真剣な厳しい交渉などしていない。どうもおかしな外交交渉だったのだ。アメリカは初めから日本に戦争を仕掛けさせようと計画していた。このようにしか、今となっては考えようがない。日本はまんまと騙され(嵌めら)れたのだ。
交渉の山場では二人はフランクリン・ローズベルト大統領とも会って話した。真剣で切実な交渉に見せながら、どう考えても和気あいあいと話をしている。そして12月には交渉決裂となった。「ハルノート」が11月26日に出されて、日本側はそれを「最後通牒」だ、と受け取った。日本は開戦を決定し、12月8日の真珠湾攻撃となる。その前から日本の連合艦隊は動き出していた。択捉島(北方四島の一つ)の単冠湾から11月26日に艦隊は出動、出港して真珠湾攻撃に向かった。6艘の空母が戦闘機と必要人員を満載していた。
アメリカ側は「突然、日本に攻撃された」と言う。だが本当は全部、計画的に仕組まれていたのだ。日本が上手に操られ、先に手を出したように事前に設(しつら)えられていた。のちに『真珠湾の真実―ルーズベルト欺瞞の日々』(文芸春秋、2010年刊 ロバート・B・スティネット著。)で明らかにされた。真珠湾攻撃はアメリカによって上手に、用意周到に実行されたのだ。戦争が始まるときには、日本をまず中国との泥沼の戦争に引きずりこんでおいて、そのあと日米開戦を仕組んだ。当然シンガポールや香港など大英帝国(イギリス)が東アジアに持つ拠点への攻撃も予想されていた。日本国民はアメリカと開戦するなんて思いもよらず、知りもしなかった。

昭和天皇が出席する御前会議が開かれた。昭和16年(1941年)には真珠湾攻撃決定までに4回も御前会議があった。開戦を準備する動きは着々と進んでいた。この時点で、全てアメリカとイギリスに仕組まれていた。日本は昭和天皇以下、国家指導者たちが騙され、策に陥ちていたのだ。この世界史の真実を歴史学者を含めて日本の知識人たちは今もあまり自覚がない。それで一番ひどい目にあって苦労するのは一般国民である。

29pから日米交渉(1941年11月17日)の写真(共同通信イメージズ) 向かって右から来栖三郎、コーデル ハル、野村吉三郎。1941年4月から12月まで8か月も長丁場が続いた日米交渉は、連日日本で報道された。のらりくらりとした交渉だった。どうせ日本がアメリカの言うことを聞くとは思っていない。初めから仕組まれていた。
以上 引用終了。

要するに初めから猿芝居だったのだ。

守谷 健二 投稿日:2023/11/22 14:08

【3091】『日本史』は、どのようにして創られたのか、5

 『日本書紀』の原型は粟田真人の遣唐使(西暦703年)には成立していた。

 

『旧唐書』は703年の粟田真人の遣唐使の記事から始まっている。彼の使命は、天武天皇の命で創られた「日本の歴史」を唐朝に承認してもらうことであった。故に、この時『日本書紀』の原型は完成していた筈である。

ここで『日本書紀』編纂の段取りを検討する。

天武10年(681)三月、帝紀及び上古の諸事を定めしたまふ。

天武11年(682)三月、新字一部四十四巻を造らしむ。

朱鳥(あかみとり)元年(685)正月二日、天皇詔して曰はく、「朕、王卿に問ふに、無端事(あとなきこと)を以てす。依りて対(こた)へて言(もう)すに実(まこと)を得ば、必ず賜ふこと有らむ」とのたまふ。

ここに高市皇子、問はれて実を以て対(こた)ふ。

朱鳥元年十六日、天皇群臣に問ふに。無端事を以てす。即ちその時に実を得ば、絁(ふときぬ)綿を給ふ。ー『日本書紀』より

 

天武10年三月の「新字一部四十四巻」と云うのは、『日本書紀』を書く漢字を定めた事です。当時、日本語を書く仮名文字、カタカナは成立していなかった。すべて漢字の意味、音を借りて書かねばならなかったのです。しかし漢字の音と云っても、時代、場所によって異なっていました。漢字は既に日本に入っていましたが、日本語を表す漢字は、同一のものとは限らなかった。また日本でも筑紫と大和では発音が違っていた。その為、大和地方の発音を基準にして、中国のどの時代、どの地方の漢字の発音を採用するか、その統一した基準を定める必要があったのです。それを決めたと云うのが、天武11年三月の記事です。

朱鳥元年正月二日の「無端事(あとなきこと)」と云う熟語は、漢字の本国中国にも無く、日本でも登場するのはここだけです。それで学者も、何の意味か分からなかったようです。

天武の命じた歴史編纂は、天武天皇の即位を正統化する為の歴史です。つまり歴史の起点は、正統な皇位継承者であった天智天皇の長男である大友皇子を滅ぼした「壬申の乱」にある。この戦いを「正義の戦」に仕立て上げることであった。

つまり最後に起点を持つ歴史なのだ。是こそ「無端事」と云うべきだろう。誠に『日本書紀』編者たちの造語能力には恐るべきものがある。 

 

守谷 健二 投稿日:2023/11/17 12:03

【3090】『日本史』は、どのようにして創られたのか・4

中国(宋朝)は何故日本認識を変えたのか

 

前回、宋朝が日本の歴史認識を変えた事を指摘した。983年に編纂された『太平御覧』は『旧唐書』を踏襲して、倭国(筑紫王朝)と日本国(大和王朝)は別王朝であり、七世紀後半に日本の代表王朝は倭国から日本国に代わったとの認識に立っていた。

ところが1060年に撰上された『新唐書』では、日本の王朝は天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)を祖に持ち今の天皇まで絶えることなく日本を統治して来たとする『日本書』の述べる「万世一系」の歴史を持つと書く。

『旧唐書』と『新唐書』の日本認識は全く異なっている。『旧唐書』の史料を残した記録官達も、日本が「万世一系の天皇」の歴史を主張していたことは知っていた。

703年の粟田真人の遣唐使以降、彼等の最大の使命は、中国(唐朝)に『日本書紀』の歴史を認めてもらうことであった。

 

***日本国は倭国の別種なり。その国日辺にあるを以て、故に日本を以て名となす。あるいは云う、倭国自らその名の雅ならざるを悪(にく)み、改めて日本となすと。あるいは云う、日本は旧(もと)小国、倭国の地を併せたりと。その人、入朝するする者、多く自ら矜大(誇り高く堂々としていること)、実を以て対(こた)えず。故に中国是を疑う。***『旧唐書』日本国伝より。

『旧唐書』日本国伝は、703年の粟田真人の遣唐使の記事で始まる。これ以前は「倭国伝」である。

1060年に成立した『新唐書』以前は、『旧唐書』の認識が通用していたのである。

中国は記録の国である。史書を何よりも尊重し尊敬する。それが中国文明の一大特徴である。前出の史書の記事を軽々に書き換えることなどあり得ない事である。

しかし『新唐書』は、日本記事を書き換えている。983年から1060年の間に、いったい何が起きたのだろう。

日本国の東大寺の僧・奝然(ちょうねん)が宋朝を訪れたのは、984年であった。

 

***雍熙元年(984)、日本国の僧奝然、その徒五、六人と海に浮かんで至り、銅器十余事ならびに本国の『職員令』・『王年代記』各一巻を献ず。***『宋史』日本伝より

この『王年代記』に触発されて『新唐書』日本国伝は作られた。

不思議なことは、奝然が中国に着くや早々に宋の皇帝に謁見を許されていることです。皇帝への謁見がそんなにも容易なことだったのだろうか。奝然は名声の確立した高僧ではなかった、東大寺の一学僧にすぎない、日本国の公式の使者でもない。そんな者に何故皇帝への謁見が許されたのだろうか。

謁見が許された鍵は、奝然が持って行った「銅器十余事」にあったのではないか。

『日本歴史年表』(歴史学研究会編・岩波書店)がある、これは年表と銘打っているが、四百ページにも及ぶ大部なもので、現在日本にある年表で最も詳細で信頼がおける。

この年表の982年の項に「陸奥国に宋人に給する答金を貢上させる記事がある。これではないのか、奝然が持って行った「銅器十余事」の中身は。

奝然は、帰国後、988年に弟子の嘉因を宋朝に派遣している。それに持たせた貢上品は、金銀細工、水晶、螺鈿細工など平安朝工芸の粋の品多数と豪華なもので、とても一介の僧に用意できるものではなかった。(宋書・日本伝より)

奝然は、平安王朝の密命を帯びて宋朝を訪れたに違いないのである。『旧唐書』の成立は945年である。当時民間貿易は活発になっていた、『旧唐書』は、間もなく日本に齎されたろう。平安王朝はそれを見て驚愕し愕然としたに違いない。

大変な思いをし何度も遣唐使を派遣し、阿部仲麻呂など優秀な人材を唐朝に仕えさせ、日本の歴史を『日本書紀』のものに変えてくれるよう必死に働けかけをしたのに『旧唐書』は依然として元のままであった。

平安王朝の日本支配の正統性は『日本書紀』の記す「万世一系」にあった。何が何でも『旧唐書』の記事を覆さねばならなかったのです。

マルコポーロの『東方見聞録』の証言、ジパング(日本)は、黄金の満ちている国である。

少年の日、この事を聞いて不思議でしょうがなかった。どこにそんな根拠があると云うのか。またフビライハンの日本に対する異常な執着(二度に亘る元寇の襲来)、フビライも日本は黄金の満ちている国と信じていたらしい。マルコポーロは、フビライの王朝に仕えていた。

マルコポーロたちが、日本を黄金の満ちている国と信じた根拠は、奝然が運んで行った黄金にあったのではないか。奝然らは、『旧唐書』の書き直しを頼んだのではなかったか。それが完成した暁にはさらなる黄金のお礼をしますと約束して。

 

守谷 健二 投稿日:2023/11/13 10:18

【3089】『日本史』は、どのようにして創られたのか.3

 中国(宋朝)は、日本認識を変えた。

西暦945年に成立した『旧唐書』と、983年成立した『太平御覧』の日本認識では、「倭国(筑紫王朝)」と「日本国(大和王朝)」は別王朝で(661~663年)朝鮮半島で唐・新羅連合と戦ったのは倭国であると『旧唐書』は明記する。

七世紀後半まで日本を代表していたのは倭国(筑紫王朝)であった。

日本国(大和王朝)が日本代表王者として登場するのは八世紀初頭(703年)粟田真人の遣唐使の記事からだ。

これに対し1060年に成立した『新唐書』は、日本の天皇は「天御中主」を祖に持ち、血統の絶えることなく舒明天皇(在位629~641)・皇極天皇(642~645)まで連綿と日本を支配してきた。日本には王朝の交代など無かったと云う『日本書紀』の「万世一系」の歴史で書いている。

『旧唐書』と『新唐書』の日本認識は違うのである。何が中国(宋朝)の認識を変えさせたのだ。何が起きたと云うのだ。

中国文明の特徴の一つは、司馬遷の『史記』を文学の最高峰と崇め尊敬しているように、歴史記述(史書)を大事にする事にある。通常では、前出の記述を変えることなど行わない。よほどの確かな新しい史実でも発見されない限り、前述の記事を変えることは許されない。

983年の『太平御覧』の成立から1060年の『新唐書』の成立まで間に、そのような新事実が発見されたのだろうか。

『新唐書』が日本の歴史を「万世一系」の天皇史観で書いたのは、984年中国を訪れた日本の東大寺僧・奝然(ちょうねん)が持って行った「王年代記」による。

***雍熙元年(984)、日本国の僧奝然、その徒五、六人と海に浮かんで至り、銅器十余事ならびに本国の『職員令』・『王年代記』各一巻を献ず。***『宋史』日本伝より

***太宗、奝然を召見し、これを存撫すること甚だ厚く紫衣を賜い、太平興国寺に館せしむ。

上、その国王は一姓継を伝え、臣下も皆官を世々にすると聞き、因って歎息して宰相にいっていわく、「これ島夷のみ。乃ち世祚遐久(代々の位が遥に久しい)にして、その臣も継襲して絶えず。これけだし古の道なり。***『宋史』日本伝

しかし、これだけのことで日本に対する記述を変えたのだろうか、過去の歴史書の記述がそんなにも安っぽいものなのか。

中国の史官たちは、日本の王朝が「万世一系」史観を主張していることは十分に承知していた。天武天皇の命で編纂された『日本書紀』の歴史は「万世一系」である。これは703年(大宝三年)の粟田真人の遣唐使以来、毎回日本の遣唐使の主張する事であった。遣唐使の最大の使命は、唐朝(中国)に『日本書紀』の歴史を認めさせることであった。日本の執拗な働きかけに対しても中国の史官達は、首を縦に振らなかったのである。何故なら、それは真実ではないから。

では何故宋朝は、日本の王朝の言い分に同意したのであろうか。次回はそれを検討する。

副島隆彦 投稿日:2023/11/09 09:40

【3088】FT紙の「トランプ氏再選で変わる世界 マーティン・ウルフ筆」への私のコメント。

副島隆彦です。  今日は、2023年11月9日(木)です。

英高級紙の FT (フィナンシャル・タイムズ)紙の 今朝の記事に対する、自分の意見を書いた。
筆者は、マーティン・ウルフ Martin Wolf  ((チーフ・エコノミクス・コメンテイター)である。

Martin Wolf マーティン・ウルフ FT (フィナンシャル・タイムズ)紙 チーフ・エコノミクス・コメンテイター

私は、現在、自分の毎年恒例の 中国研究本 を 書き上げることをで苦しんでいる。
私は、2007年の9月15日の “リーマン・ショック”の前年そして、直前に出た、このリーマン・ショックを予言して当てた 私の金融本である、『ドル覇権の崩壊』(徳間書店刊)と、 『恐慌前夜』(祥伝社 刊)の2冊を書いていた。

 それでも、その時すでに、私は、中国のことを、どうしても書かないといけない、と必死の思いで、出版社に泊まり込んで、担当の編集者とふたりで、一心不乱になって、一冊、書き上げた。それが、『中国 赤い資本主義は 平和な帝国 を目指す』(2008年12月刊、ビジネス社刊)である。

『中国 赤い資本主義は 平和な帝国 を目指す』(2008年12月刊、ビジネス社刊)

 あれから15年が経(た)って、私は、今年で15冊目の中国本を出す。書名は、『中国は イヤイヤながら 世界覇権(せかいはけん)を握(にぎ)る』である。 今日からアマゾンで公表されるはずだ。

ところが、この本の 冒頭の まえがき から書き始めて、私は、相当に苦しんでいる。
なかなか書けない。 その理由は、あまりに激しい、“ぶち壊し言論”で、書き始めたからだ。
それら中に、ケンカ を売っている書き方だ。 「おい、中国が、もうすぐ、崩壊する、と、まだ、そんなバカなことを信じている、反共(はんきょう)右翼ども。その中心の統一教会(とういつきょうかい)どもよ。本当に、お前たちは、今の、この強大になった、中国が、潰れるとか、崩れる、と本気で思っているのか。馬鹿どもめ。ウクライナ戦争も、どうせ大国のロシアが勝つんだゾ 」 と、書きだした。

これでは、商業出版物として、とても成り立たない。のかな? と、自問しながら、1週間が過ぎだ。これが、今の副島隆彦の現状です。つまり・・・元気です。この本もなんとか書き上げます。

この他に、もうすぐ、恒例の私の金融本が、1か月遅れで、 『金融恐慌が始まる(ドルが没落する)ので 金(きん)は3倍になる』(祥伝社刊)が、発売になる。

 それから、幻冬舎新書からの、私の、初めてのスピリチュアル本である 『自分だけを信じて生きる  エマーソンに学ぶ スピリチュアリズム… 』(書名は、何だったっけ? これを今、公表していいのかな? )が、出ます。

私は、さっき、今朝読んだ新聞記事のことで、自分の考えと共に書いた。こういうことをやって、ほぼ毎朝、知識・情報の採集を自分の貯金箱(ちょきんばこ)に入れている。すでに、この私のコメント付きの新聞記事(ネット記事)の量は、数万個あって、膨大な量である。

私は、中国本がなかなか、書き上げられないものだから、じたばたして、えーーい、それなら、今朝の自分の記事コメントを、このまま、重たい掲示板に載せようと、決めた。以下の通りである。   副島隆彦拝

副島隆彦注記。 今朝、11月9日の記事である。 下の方に載せる。この 英FT(フィナンシャル・タイムズ紙)の トップ 幹部評論記者の マーティン・ウルフは、3年前の、2020年11月に実際に有った、あの 米大統領選挙で 巨大な不正を認めない。それなら、真実の新聞 評論にならない。欠陥、粗悪(そあく)記事だ。 だから、ウルフが、あれこれ真面目(まじめ)そうに、未来予測を書いても、どうせ、こいつも、英の デープステイトの 高級な一員であることに変わりはない。

だから、ほとんどが、読むに堪えない、くだらない内容の記事だ。 それでも、私は、そこから、グラフを2枚だけ採集した。中国の経済・金融での大きさと強さが、はっきりと、ここに 出ている。

購買力平価(こうばいりょくへいか。PPP パーチェス・パウワ・パリティ )では、すでに、中国が、世界GDPの 20%(20兆ドル)である。米と欧は、15%(15兆ドル)ずつだ。 これが世界の実態だ。

だが、真実は この中国の数字は、もっと大きい。 すでに 中国が、世界GDPの 40%ぐらいまで行っているだろう。これに台湾(人口2300万人、世界GDPの1%の1兆ドル)と か、アップルのスマホ( 真実は中国製だ )の売り上げ3兆ドル(400兆円)とかを足すと、もしかしたら、すでに中国が、世界GDPの60%(60兆ドル)ぐらいを占めているだろう。私、副島隆彦は、ここまで、平気で考える。

ちなみに、世界GDPは、2022年で、丁度100兆ドルである。私、副島隆彦は、自分の金融本で、この数字を算出して使っている。

 日本は、つい最近のIMFの発表で、世界GDPで、4位に転落した。ドイツに抜かれた。 ということは、どちらも、GDPで、4・2兆ドルである。 これは、1ドル=135円で計算された、名目GDPでの世界統計である。日本政府が、国内向けに公表している GDPは、従って、570兆円である。

「ついに、ドイツにも抜かれたか」と、慨嘆(がいたん)している 専門家たちが、居る。だが、その一方で、「あんな、ウクライナ戦争で、国内がガタついているドイツごときに日本が負けるはずがない。円安の所為(せい)で、起きている、こんなヘンな、IMFの発表なんか相手にするな」 という経済界からの意見もある。

 以下の記事は、 世界メディア言論の王者で頂点である FTの マーティン・ウルフでさえ、来年の11月のトランプ当選を 予測し始めた。 私、副島隆彦は、そうはならないと予言している。
英米の デープステイト どもが、アメリカの政治権力を、簡単に手放すはずがない。あいつらは、足掻(あが)きに足掻いて、またしても巨大不正選挙(ヴォウター・フロード)をするだろう。だが、アメリカの多数派国民の意思が、それをもう、許さない。 そうなると、アメリカの国家の3分裂になるしかない。私は、このことを、2019年に出した本で書いている。

『国家分裂するアメリカ政治 七顚八倒』(秀和システム 2019年刊)

 アメリカは、来年になったら、大統領選挙どころではない。それでも、一応、表面上は、2月中旬から、ニューハンプシャー州を手始めに、予備選挙(プライマリー)が始まる。
大統領選挙 どころか、アメリカは国家分裂する、と、私、副島隆彦は予測、予言してきた。今もこの考えに変わりはない。 すでに、大州のテキサスは、「連邦(ユナイテッド・ステイツ)からの 離脱の 州民投票を準備しつつある」 。テキサスを中心にして、① アメリカ中央国(セントラル)を作りつつある。これは「アメリカ共和国」とも名乗るだろう。テキサスを中心にして、すでに20ぐらいの中西部と南部の諸州が、テキサスの決断に同調して、次々と州民投票をして、連邦からの離脱をするだろう。 トランプは、来年の、どこかの時点で、テキサス州に、今のフロリダ州から、移動するだろう。

 なぜなら、デープステイト側は、トランプを、インチキの刑事裁判で、判決を出して、そのまま逮捕、収監ことが考えられるからだ。トランプ支持勢力が、トランプの逮捕を、許すはずがない。その時は、デープステイト側との、撃ち合い、銃撃戦が始まる。

  現在の世界を支配している、醜悪(しゅうあく)極まりない、デープステイト=カバール Cabal の アメリカの大(おお)金持ち白人どは、東部のニューヨーク、ワシントン それと、5大湖のシカゴたちからなる 旧来の、従来のままの、 ② アメリカ・イースト(東部)国になるだろう。この ②は、西欧のデープステイト共との同盟を続けて(これまでのUSAの国家借金も引き受けて、引きづって )の国になる。

③ 番目は、太平洋側のカリフォルニア州を中心にした、LGBTQたち(気色の悪い同性愛者たちと、麻薬常習者と 黒人の暴れ者たち)の国だ。ここは、どうしようもない殺伐とした、荒廃した国になる。浮浪者(バム bum )も ここに集まるだろう。 この③に、台湾と香港からの反共人間たち(法輪功=ファー・ルン・ゴン= 中国の統一教会勢力、キリスト教徒を名乗る)が 移ってゆく。ここに、日本からも、100万人ぐらい、反共右翼(統一教会系)が、移動して行けばいいのだ。

ちなみに、3年前の、2020年の11月4日の、大統領選挙での、巨大な不正選挙は、どのような規模だったかを、簡単に教える。 これに対して、トランプ動乱(トランプ革命)と呼ぶべき、国内騒乱が起きた。
1月6日に、ワシントンのアメリカ議会議事堂に、150万人のトランプ支持の人々が結集して、抗議した。

不正選挙の結果は、トランプ票が、1.1億票に落とされた。バイデン票が、インチキで、1・2億票とされた。それで、バイデンの勝ち、だと。
真実は、トランプ票は、1・4億票だった。それに対して、愚劣なるバイデン票は、3000万票だった。こんなにも差がある。アメリカ国民の8割は、トランプ支持である。今もそうだ。 
それで、選挙制度を弄(いじく)って、8000万票の 郵便投票(ゆうびんとうひょう。 mail-in voting メイルイン・ボウティング)というのを認めた。これで、どれだけでも票の捏造、水増しが出来る。 郵便投票というのは、普通は、重病者にために病室で行う。 
それから、Dominion (ドミニオン。アリストス・システム)という、不正集票マシーン(違法な表計算ソフト)を
使って、遠隔操作(遠く、ローマのヴァチカンから操作した)で、合計2000万票を、トランプからバイデンに、移し替えた( flip フリップという)。あるいは、トランプ票を激しく減少させる不正操作をした。
これで、結果として、上記の、バイデンの 逆転勝ち、とした。何という、狂った連中であることか。
これで、バイデンは、真実の3千万票(2016年の大統領選挙でも、ヒラリーの得票は、これと同じだった)に、8千万票の郵便投票と不正集計ソフトからの1千万票を足して、1.2億票、とした。

投票代議員数の獲得数でも、真実は、トランプが、50州合計で、420人ぐらいで、バイデンは180人ぐらいだ。それも、無理やり、数字を弄(いじく)って大逆転させた。何ということを、するやつらだ。これでは、人類史がひっくり返るはずだ。
私、副島隆彦は、これらのことを、自分の 『 裏切られた トランプ革命』(2021年4月刊、秀和システム)に、詳しく書いた。この本は、歴史の資料となるだろう。    副島隆彦 記

(転載貼り付け始め)

〇 2023年11月9日   英FT (フィナンシャル・タイムズ)

「 トランプ氏再選で変わる世界 」 マーティン・ウルフ筆 (チーフ・エコノミクス・コメンテイター)

・・・・だが、同盟関係にはリーダーが必要だ。当面の間、米国はそのリーダーでいなければならない。ロシアが欧州の脅威であり、中国が米国と肩を並べる競争相手である今、同盟関係の重要性は今まで以上に高まる。それは同盟国だけでなく、米国にも当てはまる。トランプ氏はこの点を理解しておらず、気に掛けてもいない。
購買力平価でみた中国の国内総生産(GDP)が世界に占める割合は米国とEUを上回る(赤が中国、青が米国、水色がEU)

注)購買力平価に基づく。EUは現加盟国で計算 出典)The Conference Board/FT
次に、世界経済に対する影響がある。トランプ氏はすべての輸入品に対して一律10%の関税導入を提案している。関税率こそ低いものの、1930年に成立した悪名高き「スムート・ホーリー関税法」の現代版といえる。報復関税を招くことは間違いない。また、数十年にわたって関税障壁の引き下げに取り組んできた米国の努力を否定することになり、世界貿易機関(WTO)に大きなダメージを与える。

それと同じく重要になりそうなのは、気候変動対策への影響だ。米国はバイデン政権が成立させたインフレ抑制法に盛り込まれている取り組みの多くを後退させるだろう。同様に深刻なのは、新興国や途上国におけるクリーンエネルギーへの投資促進の取り組みから米国が撤退する可能性があることだ。

中国の貿易規模は米国とEUを上回る(世界の貿易に占める割合、赤が中国、青が米国、水色がEU)

注)EU域内の貿易を除く。EUは現加盟国で計算 出典)IMF DOT/FT
今後の中国との関係も問題になるだろう。中国の台頭を敵視するのは党派を超えて共通であり、この点における変化はそれほど大きくはないはずだ。だが、トランプ氏の下では反中国のイデオロギー色が薄まるだろう。・・・・

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝

守谷 健二 投稿日:2023/11/08 13:35

【3087】『日本史』は、どのようにして創られたのか. 2

二つの『唐書』(3081の続きです。)

 

正史『唐書』は二つある。西暦945年に撰上されたものを『旧唐書』と呼び、西暦1060年撰上された方を『新唐書』と呼びます。

先に成立していたか、後に成立したかの違いでどちらも皇帝の命を受けて作られた「正史」です。

既に正史『(旧)唐書』があったのになぜ新たな正史が必要とされたのか?

『旧唐書』は、唐末の戦乱、唐朝滅亡後の短期間の王朝の交代があり史料の散逸がひどく、宋代になって多くの史料が発掘された故、より完成された「正史」の制作が要請された為であった。

それを考えれば、『新唐書』の方が完成度の高い「史書」になっているはずです。

しかし、実際には『旧唐書』の方の記事の方が正確で、資料的価値は『新唐書』は『旧唐書』に及ばないと云うのが中国では定説になっています。

『新唐書』完成直後に編纂を開始した『資治通鑑』は、唐代の記事は全面的に『旧唐書』に依拠し、『新唐書』をほとんど相手にしていない。

また考証学が盛んになった清代でも『旧唐書』の方が信頼度が高いとの評価である。

ただ日本では、『新唐書』を『唐書』と呼び、『旧唐書』をお蔵入りにし完全に無視してきた。(これは第二次世界大戦の敗北まで続きました)

 

『旧唐書』と『新唐書』の最大の違いは、日本記事にあります。『旧唐書』は、「倭国伝」と「日本国伝」の併記で日本記事を作ります。七世紀半ばまで日本を代表していたのは「倭国」(筑紫王朝)であり、「日本国」(大和王朝)が日本の代表王朝として登場するのは八世紀初頭からです。

つまり七世紀後半に日本では王朝の交代があった、と云うのが『旧唐書』の認識です。宋初(983年)に撰上された『太平御覧』は『旧唐書』の認識を踏襲しています。

一方『新唐書』は、日本には王朝の交代はなかった、天御中主を祖に持ち皇極天皇まで皇統の絶えることなく日本を統治して来たとする『日本書紀』の主張する万世一系の歴史で書く。

日本の王朝が『新唐書』に飛びつき『旧唐書』をお蔵入りにしたのは当然であった。(続く)