日本政界●情報メモ

1094 投稿日:2012/02/29 18:01

【627】「小沢強制起訴裁判」は120年の議会史で最悪の事件だ!

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      <メルマガ・日本一新第91号>
◎「日本一新運動」の原点―98
日本一新の会・代表 平野 貞夫
 『議会政治の誕生と国会』(信山社刊)の刊行にあたって、日
本一新の会・会員の皆さんには、格別のご高配をいただいており
ます。 まずもって厚く御礼を申し上げます。
(「小沢強制起訴裁判」は120年の議会史で最悪の事件だ!)

 わが国の議会政治誕生までと、議会史120年の通史をまとめ
る目的のひとつに、「小沢強制起訴裁判」のような議会民主政治
を崩壊させる事件があったかどうかを検証することがあった。
 類似の事件はあったが、同様の事件はなく、120年の日本議
会政治を崩壊させたことにおいては歴史的不祥事といえる。そこ
で、類似の代表的事件の概要を説明し、わが国のありかたを歴史
の中から学びたい。

〈帝国人絹事件〉 昭和9年、齋藤実内閣で起こった軍部を背景
に政党の内紛を利用して検察が政治に干渉し、齋藤内閣が倒され
た事件である。
 同年2月7日衆議院本会議で、政友会の岡本一巳が台湾銀行の
所有株売却に関し政府を追及したことをきっかけに、検察が乗り
出し、前閣僚や大蔵省幹部、財界人ら16人が逮捕、起訴された
事件である。
 鳩山文部大臣らが議会で追及され、マスコミで批判を受け、鳩
山文相は辞任する。逮捕された高木帝人社長が検察の追求に抗し
きれず、「虚偽の自白」を強いられ、一大疑獄事件が組み立てら
れた。5月19日に黒田大蔵次官が起訴され、高橋是清蔵相の進
退まで及び、7月3日、小山司法相が「現職大臣の起訴もあり得
る」と閣議で報告、齋藤内閣は総辞職した。その後、わが国は急
速に軍事国家体制となり、先の大戦へと突き進んで甚大な犠牲者
を生み出し、国民は奈落の底を見たのである。
 この事件の背後には、軍部と検察が当時の齋藤内閣が満州問題
をめぐって国際的孤立を是正し、軍部の力の拡大を抑えようとし
たための倒閣であった。事件は、足かけ4年がかりで266回に
わたり公判が行われた。公判で、藤沼庄平警視総監が「起訴は司
法省・行政局長の塩野季彦が内閣倒壊の目的を持って仕組んだ陰
謀だった」と証言したことから真相が判明した。判決は「被告人
全員無罪、証拠十分にあらず、犯罪の事実なきなり」ということ
であった。軍部が司法省のドン、平沼騏一郎に働きかけたといわ
れ、後世「検察ファッショ」と呼ばれ、近代国家の汚点であると
さえいわれている。

〈小沢氏の西松事件・陸山会事件との比較〉 新憲法下、平成2
1年3月から始まった小沢一郎(当時民主党代表)の西松事件や
陸山会事件(以下、小沢事件)の背景や展開を検証して、「帝国
人絹事件」と比較すると、問題の本質が見える。

(1)事件の背景 「帝国人絹事件」の背景は、軍部と検察が共
謀して齋藤内閣の国際協調による軍部の力の拡大を抑えようとし
た方針に対する倒閣運動であった。小沢事件の背景は、当時麻生
政権(自公連立)が、民主党への政権交代を阻止するため、当時
民主党代表であった小沢一郎氏の政治資金をめぐり、内閣の指示
(?)で検察が行った「政治捜査」であった。麻生首相→森法相
→漆間内閣官房副長官→樋渡検事総長の主導で行われたものであ
る。私は森英介元法相から直接・間接の言動による傍証証拠をも
っている。両事件とも、議会民主政治を否定する「政治捜査」で
あることで共通する。小沢氏を政界から排除することで、わが国
の政治は劣化を極めている。

(2)捜査の展開 「帝国人絹事件」は高木帝人社長が追い詰め
られ「虚偽の自白」を行い、一大疑獄事件に組み立てられた。前
閣僚や官僚、財界人ら16名が逮捕起訴された。取り調べにあた
った黒木検事は「俺たちが天下を是正しなければ、いつまで経っ
ても世の中はきれいにならない」と豪語したといわれている。
「小沢事件」は、小沢氏への裏金を立件するため、政治資金収支
報告虚偽記載の容疑で、国会議員の元秘書と秘書二名を逮捕まで
して起訴した。小沢氏は虚偽記載の共謀で捜査されたが、不起訴
となった。この種の収支報告書で強制捜査が行われたのは始めて
であった。検察の狙いは、ゼネコンから小沢氏へ渡したとされる
「裏金」を立件することであった。そのため捜査範囲を全国へ拡
げ、約50社に対し、任意、強制を問わず徹底的な取調べを繰り
返した。しかし、事情聴取を受けたゼネコンの関係者は、『たっ
た一人』を除いて、全員がこれを否定した。この段階で特捜部の
見込み捜査は大きく揺らいだのだが、その『たった一人』が水谷
建設の川村社長であった。当時ゼネコン業界ではこんな話が出て
いた。それは水谷建設の川村社長には個人的に金銭問題があった
というもの。親しい女性にお金を渡したり、ギャンブルの精算費
用を捻出するために会社のお金を利用していたとのこと。その際、
政治家の名前を経理担当者に告げて、「裏金を●●先生に渡す。
領収書はもらえないよ」といって、会社の口座から現金を出金さ
せていたらしいとの噂である。そしてこの川村社長ただ一人が、
「小沢氏の秘書に裏金を渡した」と証言したのである。秘書を取
り調べた検事について不正違法な行為があったことは、当初から
知られていた。検事の捜査に協力しないとして、秘書に「小沢が
不起訴になっても検察審査会の強制起訴がある」との恐喝的発言
もあった。結局、特捜部は小沢氏の不正を立件できるだけの、証
拠も証人も集められるはずもなく、嫌疑不十分により不起訴を決
定した。しかし、特捜検事の予言どおり、法改正によって「強制
起訴権」を得た東京第五検察審査会により、この事件は「不起訴
不当」とされ、指定弁護士によって小沢氏は起訴されたのである。
さらに、小沢氏を「強制起訴」に追い込んだ検察審査会の人々は、
「良識ある一般市民」ではなかった。なぜなら審査請求・審査員
の選任、補助弁護人の選任、審査の実体、検察側の資料提出や、
説明等々が適法に行われたかどうか、議決の効力は法定手続きか
らいって「無効」ではないのか等、数々の重大な疑惑が発覚して
いる。さらに深刻な問題は、政権交代した民主党政権の有力閣僚
が、最高裁や法務省のスキャンダルを握りつぶし、その「貸し」
を利用して、「小沢元代表排斥計画」に持ち込んだという情報が
ある。この情報は目下のところ、精査中ではあるが、さまざまな
情況証拠が整いつつある。当然この問題は国会で追及されるべき
であるが、明らかになれば「帝国人絹事件」とは比較にならない
ほどの議会民主政治を崩壊させる歴史的不祥事である。立法・行
政・司法という国家統治の3権が、談合・癒着して法治国家を冒
涜する行為である。
 国民の国家統治への不信は計り知れなくなった。

(3)公判の状況 「帝国人絹事件」では、藤沼庄平警視総監が
公判で「起訴は司法省・行政局長の塩野季彦が内閣倒壊の目的を
持って仕組んだ陰謀だった」と証言したことから事件の真相が判
明。判決は16人全員無罪となった。では「小沢事件」はどうか。
元秘書3名が一審判決で「有罪」とされた。政治資金報告書の出
納帳への記載時期がずれていたことを「虚偽記載」とされたので
ある。日本を代表する会計学の権威が、実務としては「これは虚
偽ではなく、むしろこの記載時期の方が正しい」と証言したにも
かかわらずである。さらに驚くべきは、水谷建設からの裏金につ
いて証拠も示さず「あったと推認される」と判示した。おかしな
ことに、それに対する罪は問わなかった。ちなみに、この「裏金」
については特捜部でさえ立件を求めていない。これに対し、多く
の国民から「法と証拠にもとづかない裁判」で「裁判官の暴走」
との批判が噴出した。当然、3名は直ちに控訴した。小沢氏の強
制起訴裁判は、昨年10月6日から公判が始まり、3月9日論告
求刑、3月19日最終弁論、4月26日判決の予定である。公判
の中で、我々が想定した以上の検察の不祥事が判明した。大善裁
判長は2月27日の公判で石川元秘書の供述調書の大半を証拠と
して採用することを却下した。その中には田代検事が捏造した疑
惑のある検察審査会の強制起訴の前提となる資料があった。
「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」(代表・八木啓
代氏)の告発もあり、検察側が田代問題を調査中である。大善裁
判長をして、田代検事らの取り調べに、利益誘導や不適切なもの
があり、「個人的なものではなく、検察の組織的なもの」と断定
している。また、応援捜査で参加していた大阪地検特捜部の前田
元検事は、この公判において「非常に重要な証言」をするに至る。
「小沢氏への裏金提供の事実はない」と証言しているゼネコン関
係者の調書、捜査報告書、捜査メモなどがあったとしたのである。
さらに当時、東京地検特捜部の検事たちの大勢は、「小沢事件に
関して厭戦ムードが漂っており、上層部だけが立件へ強い意欲を
示していた」。つまり「検察上層部からの強い圧力」があったこ
とを示唆したのである。小沢弁護団は公訴棄却を主張している。
しかし、前田元検事の証言は、帝国人絹事件における藤沼庄平警
視総監ほどの重みを持つまでに至っていない。「小沢事件」の公
判を通じて噴出した検察や裁判所のあり方について、国民的批判
が沸き上がる中で、最高裁事務総局が発注した「検察審査員選定
ソフト」の談合疑惑や、裏金づくりが報道されるようになってき
た。本来であれば、その権能を発揮すべき国会が機能不全に陥っ
ており、国民はわが国の統治機構に強い不信を持つまでに至って
いる。

(笠間検事総長が日本の統治機構を建て直す『鍵』をもっている)

 「検察が健全でないと日本の社会正義は揺らぐ。検察官は、世
の中の人々に嫌われながら苦労している。平野君、どうか検察の
仕事を理解してやってくれ」。これは昭和46年7月の上旬、病
床に伏していた私の人生の師、元法務大臣・元衆議院議長、前尾
繁三郎氏の遺言である。
 私は衆議院事務局退職後、12年間参議院議員を勤めたが、約
11年間は前尾先生の遺言を生かすべく、法務委員会に所属し、
司法改革を中心に法務・検察・司法行政に尽力してきた。今、私
は前尾先生が逝去された76歳と同じ年齢となった。「村木事件」
や「小沢事件」など、最近の司法・検察の実態を考えるに、自分
の人生が何であったのか、自責の念に堪えかねている。

 漏れ聞くところによると、笠間検事総長が現在の検察界では最
も高い見識を持つ人物とのこと。検事総長に就任されるまでに、
さまざまな不正義と闘い、現場から叩き上げてここまできた良識
の人との評判である。仄聞によれば、部下からの信任も厚く、人
の痛みがわかる大物検事であるとのこと。さらに、大きな病気を
克服され、その闘病生活中も検察の健全化を憂い、否認事件には
慎重な姿勢を持ち続けてこられたことも重々承知しており、私は
国民の一人として心から敬意を表している。
 このままの検察・司法を続けるなら、わが国は再び奈落の底に
落ち、国民に塗炭の苦しみを強いることは必定である。笠間検事
総長の崇高な見識が、日本を再生させる礎となることを確信して
いるのは私ひとりではない。検察が持つ、本来の社会正義確立へ
の義務を果たすことは多くの国民の願いであり、私の生涯をかけ
た、議会民主政治確立への道であることも改めて訴えて、今号の
筆を置きたい。
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☆新刊書情報

『議会政治の誕生と国会』―崩壊・再生への道
       (平野貞夫著・信山社出版)3.780円(税込)

      特  別  価  格  案  内
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1、氏名、2、数量、3、所属(勤務先)、4、送付先住所、
5、電話番号、6、メールアドレス

を記載して注文してください。何れも送料込み、3.000円で
届きますからお買い得です。

1094 投稿日:2012/02/24 18:14

【626】↓[631]の補足(添付ファイルが表示できないので)

↓[631]の補足(添付ファイルが表示できないので)
ー添付チラシより引用ー
信山社出版(株) FAX 03-3818-0344
注文e-mail order@shinzansha.co.jp
名前
所属
住所
電話
e-mail
「本特価チラシを見た」と記入すれば
送料込みで 特別価格3000円(税込)で購入可能との事。

1094 投稿日:2012/02/24 14:00

【625】『議会政治の誕生と国会』―崩壊・再生への道        (平野貞夫著・信山社出版)

☆☆☆新刊書情報2件☆☆
『議会政治の誕生と国会』―崩壊・再生への道
       (平野貞夫著・信山社出版)3.780円(税込)
    『特別価格案内・添付チラシに詳細案内』
☆本のオビより
『崩壊の危機に瀕した議会政治の元凶を顕在化し、健全な感性を
呼び戻す縁(よすが)に、議会政治の誕生から150年の通史を
概観する』
『議会政治の歴史を知らずして、政治は出来ない。政治家は、そ
のよって来る所を理解・掌握することこそ、選挙戦略・勝利にも
通ずるはずである。本書を政治の抜本改革を志す人々に薦めたい』
                      推薦・小沢一郎
       ☆注          目☆
        ↓          ↓
既にご購入された方には申し訳のないことだが、今号に添付した
「チラシ」をプリントし、必要事項を記入して信山社出版にFA
X送信すれば、送料込の特別価格で手に入ると、後からいう。
代表に問うと「聞いてねぇぞ!」である。「何故、そんなことを
先に知らせない」と、担当には怒ったが、著者ともども商売っ気
のない出版社だとつくづく思う。ウィキペディアには、信山社出
版とは「売れ行きをさほど気にかけていないかのようなタイトル
を出版」とあることを紹介したが、「売れ行きを、ほとんど気に
かけない出版社」に、書き換えを依頼しよう。
            既購入者には、ホントにゴメンナサイ。
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「検事失格」(市川寛著・毎日新聞出版)1.680円(税込)
内容紹介
「私はこうして冤罪を作りました」 元“暴言検事”が実名告白
検察庁の内部・教育体制を暴く、“冤罪加害者”による衝撃ノン
フィクションが登場!、誰もが待っていた「本当の検察本」。
刑事裁判有罪率99%の裏側。小沢氏の裁判の行方が注視される
中、メディアには決して伝えられない、不当逮捕・違法捜査が生
まれる真の理由が明らかに。私たちには真実を“知る権利”があ
り、すべての冤罪被害者のために“知る義務”がある。

自らの恥をさらす覚悟で、精魂込めて「冤罪はこうして作られる」
「冤罪を生む検事はこうして育てられる」一例を書きました。
検察が抱える問題、冤罪問題を考える手がかりになればと願って
います。                      (著者)
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1094 投稿日:2012/02/22 12:44

【624】『議会政治の誕生と国会』―崩壊・再生への道 発刊にあたって 平野貞夫

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◎「日本一新運動」の原点―97(臨時増刊号)

日本一新の会・代表 平野 貞夫

(『議会政治の誕生と国会』―崩壊・再生への道
  発刊にあたって)

 東日本大震災と、それに起因する福島第一原発事故という、日
本にとって有史以来初めて経験する国難に立ち往生する政治家た
ち、まったく機能しない政府、迷走する国会、これが国家かと私
は悩んだ。この国難に私にできることは、明治時代に導入した議
会政治をふり返り、日本が何故こうも劣化したかを記録すること
であった。
 たまたま縁のあった学術専門書の出版で知られている『信山社
出版』の神山貢社長に、私の構想を理解していただき、刊行する
ことができた。神山貢社長とは法政大学の同窓で、原水爆禁止運
動で著名な安井郁教授のゼミで、7年ぐらい私が先輩という縁で
ある。「好きなだけ書けば」と助言され、その結果が400頁に
近い書物となった。2月27日(月)には発売される予定で、ま
ずは、執筆の動機に当たる「まえがき」をお読みいただき、その
意をご理解願いたい。

まえがき

 平成21年(2009年)8月30日に行われた第45回衆議
院総選挙で、日本国民の圧倒的多数は民主党に政権を担当させる
ことを選んだ。わが国の憲政史上画期的出来事であった。いな、
わが国の歴史で初めて国民の意思=投票で、政治権力がつくられ
たといえる。
 衆議院事務局から参議院議員など半世紀間、日本の議会政治の
なかで私は生きてきた。宿願の本格的「政権交代」が実現した―。
ようやくわが国で本格的「議会民主政治」は始まったと、生きし
方をふり返り涙を流したものであった。ところが一週間も過ぎる
と、政権交代した民主党が、議会民主政治を担える政党なのか大
きな疑問を持つようになった。
 それは、第1に政府与党の幹事長を「政策の協議を決定に関わ
らさない」ようにしたことだ。議院内閣制を採る議会政治国で、
これでは国家統治は不可能である。当初は「幹事長は選挙だけ」
という方針だった。国会対策も「官邸」ということだったようだ
が、これは憲法上の問題に気がついて、幹事長の担当ということ
に戻した。選挙でも国会対策でも「政策」と切り離すことはでき
ない。小沢一郎という政治家を政権運営の中枢から排除すること
を、民主党政権スタートの最大課題としたことが、政権を迷走さ
せ政治を劣化させた。
 第2は、民主党政権幹部の感情的で非常識で狂ったような「官
僚攻撃」であった。官僚のあり方や不祥事に対する意見や批判は
大いに結構だが、官僚の人格や職責を冒涜する発言が相次いだ。
多くの良識ある官僚に対して不安感と政権に対する嫌悪感を感じ
させたことである。行政を実行する官僚の協力なくして、適切な
政治は不可能だ。権力を握れば官僚は奴隷とばかり「官僚はバカ
だ」と呼んだ馬鹿な主要閣僚がいたが、これでは真っ当な政治が
できるはずはない。
 歴史的政権交代で民主党政権が成立して、日本の民主政治が著
しく劣化する。という現象に直面して私は悩みつづけてきた。そ
して平成22年6月、鳩山政権が行き詰まり、菅政権が成立した
とたんに、政権公約の基本を次々とクーデターのように否定した。
挙げ句の果てに、菅首相は「議会主義とは、ある意味で期間を限
定した独裁政治だ」とまで暴言を吐いた。議会主義政治家でない
ことを露呈した。菅政権の議会政治や憲法冒涜のいちいちを批判
するつもりはないが、東日本大震災・原発事故への対応は、政治
家としてより人間として許せないものがあった。
 「政権交代による健全な議会民主政治の定着」を目指して、私
は30数年、生命の全てをこれに懸けてきた。平成19年から2
年余、当時の小沢民主党代表に言われ、菅代表代行本人からも要
請され相談相手をしていたこともあった。今日の政治の劣化に直
面して、私は自責の念に苛まれている。
 本書は、政治改革の重要目標である「国民の意思による政権交
代」が実現したとたんに、日本政治の汚濁が吹き出すという「ポ
リチカル・パラドックス」を、どう解決するかという問題意識に
もとづいて執筆したものである。今日の政治の劣化の最大の原因
は、現在の国会議員のほとんどが、わが国で120年余にわたっ
て展開された議会政治を知らないこと?、知ろうとしないことで
ある。
 国会議員だけではない。国民も有識者もメディアも、審議スト
ップした国会を批判するに「一日一億円の経費の無駄」と論評す
るレベルだ。憲法で「国権の最高機関」を、その程度にしか考え
ない「日本の政治文化」に、問題の根本がある。与野党が国家国
民のために真剣に議論して審議が止まることは政治ではありえる
こと。もっとも党利党略、私利私欲のストップなら別だ。要する
に最近の日本人には、議会政治に対する健全な感性を喪失してい
ることが問題である。
 それを呼び戻すことが喫緊の課題であるとの思いをもとに、わ
が国で議会政治を導入する動きが始まって、今日に至るまで約1
50年の通史を世に出すことにした。後期高齢を過ぎた私にでき
ることはこの程度のことである。日本人とりわけ国会議員が、自
分たちの職責の歴史を知らないというか、無視しているところに
今日の政治の劣化があるという推認から執筆した。
 本書は、私が昭和63年(1988年)に執筆し、徳間書店か
ら政党政治研究会の名で刊行した『議会政治100年』を参考と
した。700頁を超える同書を整理・要約・補完した上で、平成
23年12月までの日本議会政治を追加し通史とした。執筆時間
に限られ、歴史の上の評価・特色づけなどが不十分であるが、民
主党政権でわが国の議会政治は崩壊したという私の怒りの信条を
理解されたい」

 この本の特色は、幕末の議会政治導入論から昨年の平成23年
までの約150年にわたるわが国の議会政治を概観した通史であ
り、単行本で今日までの議会通史は本書だけである。国会議員は
もとより、地方議会でその職責にあたられる多くの議員、首長、
そしてそれを選び出す側にいる国民のみなさんに、議会政治に強
い関心をもってもらうという目的で執筆したものだ。

(臨時増刊号への激励に感謝する)

 2月20日付の「メルマガ・日本臨時増刊号」には、多数の激
励やコメントをいただき、また、メルマガ作成に情報を提供して
いただいた方々に厚くお礼を申し上げる。
 特捜関係者の内部告発で「捜査資料には他の政治家への裏金提
供が結構記載されていた」については、早速それを証明するよう
に、平成21年3月7日付で、共同通信が「自民党有力議員側に
6千万円裏献金、西松関係者が供述」と発信していることも判明
した。
 問題はこれからだが、「小沢関係捜査」が政治的謀略である疑
惑がきわめて濃厚であることがさまざまな情報で明らかになった。
まず、巨大メディアがこの問題を素知らぬ顔で過ごせば、メディ
アとしての責任放棄であり、存在は不可能であろう。謀略に荷担
している事実を証明することになるからだ。そうではないと強弁
するなら、早急に真実の究明に起ちあがるのが、健全なメディア
としての役割ではないか。
 相も変わらず、何を考えているのかまったくわからないのが国
会だ。「小沢問題」を捜査や裁判より政治的に優先利用して、証
人喚問とか政治倫理審査会と、筋違いのことをいっていた人たち
はどのような責任をとるつもりか。最早、「小沢関係の捜査と裁
判」は議会民主政治に対する挑戦であったことを理解できない人
は国会議員の資格はない。今からでも、決して遅くはない。国会
として、直ちに真相究明に着手すべきだ。

 『議会政治の誕生と国会』の「結び」には、「小沢問題」につ
いて論じておいた。議員諸兄には参考にされたし。
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事務局雑話

漸く『議会政治の誕生と国会』―崩壊・再生への道(平野貞夫著・
信山社出版)が刊行される。発売日は2月27日(月)とのこと
だが、首都圏であれば今週末に店頭に並ぶと出版社が情報があり、
Amazonでは既に予約受付中。価格3.780円(税込)

さても、この新刊書は平野代表の渾身の1冊であると私は思う。
ただ、私も不勉強だから断定はできないが、議会史を学者の文章
で表層的に書いたものは他にもあるのだろうが、議会民主政治の
あれこれを、その現場から綴ったところにこの本の意味がある。
平野代表は「本の値段が高い」と愚痴るが、この類の書籍でこの
価格が高いと私は思わない。ウィキペディアによれば、信山社出
版とは「売れ行きをさほど気にかけていないかのようなタイトル
を出版」とあり、類は友を呼ぶ好例でもあろう。

この本の活かし方は、議会民主政治に関心を持つ人がまず読む。
次は、本とは「積ん読」ものとする議員さんに、カンパに代替し
て贈るなど工夫がいる。巷間でいわれるが「国政を担う政治家が
小粒になった」と私も思う。それは受験対策という択一式の問題
には強いが、自ら判断し、解決策を探すという創造的なことはま
ったく不得手な人たちが多いからである。
私は05年にあるところから文章を求められ、その中に『日本は
これからの80年で人口が半減すると予測されている。世界経済
に影響を与えるほどに大きくなった国家が、世界最大の速度で人
口減が進むのだが、この経験は地球上に先例がない。民主主義制
度のもとで、社会保障を含む国家としての仕組みなど、諸外国に
学ぶものなどないと私たちは自覚せねばならない』と書き遺して
いる。議会民主政治とは、選ぶ側と選ばれる側が健全に機能して
始めてその成果が期待される。まえがきには「国民も有識者もメ
ディアも・・・」とあるが、ここは耳が痛い。有識者やメディア、
そして政治家が好き勝手をやるのは、国民の選択能力、そして監
視力に瑕疵があるからではないだろうか。国会議員にも、そして
国民の側にも「理論武装」が求められている。

☆本のオビより
『崩壊の危機に瀕した議会政治の元凶を顕在化し、健全な感性を
呼び戻す縁(よすが)に、議会政治の誕生から150年の通史を
概観する』

『議会政治の歴史を知らずして、政治は出来ない。政治家は、そ
のよって来る所を理解・掌握することこそ、選挙戦略・勝利にも
通ずるはずである。本書を政治の抜本改革を志す人々に薦めたい』
                      推薦・小沢一郎

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2月18・19日の両日、稼業の岡山・兵庫出張を兼ねて足を延
ばし、大阪・京都を慌ただしく駆け巡ってきた。
主にお会いしたのは「日本一新の会」会員ではあるものの、関西
日本一新の会の活動には不参加の方々で、その思いを確かめる旅
でもあった。それぞれのご意見は事前にメールなどを頂戴してお
り、グループごとに刻限を調整してお会いし、大きな集会の中で
は聞けないお話を膝詰めで伺い、これからを語り合った。ただ、
それぞれの時間は限られていたことから十分とはいえず、続いて
のお話は他日を期すこととした。

また短時間ではあったが、河上みつえさんの集会にも立ち会って、
自身で研究された地方議会の歴史や役割・問題点などを拝聴した。
政治家の卵とは、孵化してナンボのものであり、孵化し損じた卵
はものの役に立たない。地道に研究し、それを固有の政策として
支援者に語る、それを基礎にして議席を得て活躍する、そんな議
員が多数になれば、議員歳費の多寡など問題ではない。あまりに
も「対費用効果」が悪いから、歳費削減や定数削減など本末転倒
の議論になるのだ。

そんな慌ただしさの中、19日に帰参して成分化したのが20日
発行の「臨時増刊号」である。平野代表から届いていた草稿を、
缶ビール片手でテキストにしてファックス送信、筆者校正、再送
信、さらに文字数が通例号より多かったために布置を調整して、
A4版2枚に納めるなど、2人の作業は深夜に及んだが、緊急臨
時号として20日早朝には配信ができて安堵した。

1094 投稿日:2012/02/21 09:49

【623】小沢氏の「強制起訴」裁判を監視すべし 平野貞夫

☆本号は無限拡散希望につき、転載許諾を必要としませんので、
 ブログ・メルマガをお持ちの方は、拡散をよろしくお願い申し
 上げます。
◎「日本一新運動」の原点―96(臨時増刊号)
日本一新の会・代表 平野 貞夫

(小沢氏の「強制起訴」裁判を監視すべし)

 2月17日(金)、東京地方裁判所は検察審査会から強制起訴
された小沢一郎氏の公判で、元秘書・石川知裕衆議院議員の捜査
調書(政治資金の虚偽記載を小沢氏に報告をし了承を得た)等を、
証拠として採用しないと決定した。大善裁判長の厳しい検察批判
が目立ったが、永田町では「小沢無罪で政界どうなるか」との話
が流れ始めたが、そう簡単な話ではない。
 現在の司法権が「法と証拠」で真っ当な裁判を行う保証はない。
昨年9月26日の東京地裁の石川議員らの判決を見れば明らかだ。
「虚偽記載」は問題の本質ではない。それが裁判の中心になるこ
と自体が問題なのだ。政治権力に指示された検察側が、小沢氏が
ゼネコンの裏金を受けとったとして、小沢氏の政治生命を断つた
めの冤罪をつくろうとしたことにあった。
 その裏金が、小沢氏に関してはまったく無かったために、会計
士の多くが適法であるという政治資金報告書を裁判で争うという
見当違いのことをやっているのだ。小沢氏を政界から排除しよう
と、わが国の既得権支配層の企みが、政治だけではなく、どれだ
け経済・社会の大きな損失を与えているか、国民の皆さんには是
非とも理解してもらいたい。
 亡国者たちの手先になった検察という国家権力がやったことを
内部告発した情報がある。小沢氏の陸山会問題に関わった東京地
検特捜部関係者の情報を、「メルマガ・日本」臨時増刊号で速報
する。

《仮面の民主主義・暗黒国家日本の正体》

 2月14日(火)の朝日新聞朝刊(東京13版)に注目すべき
「小沢裁判」の報道があった。『捜査資料開示を要求した小沢氏
弁護側 指定弁護士に』という見出しで、私が強い関心を持った
のは次の記事である。
「元検事の前田恒彦受刑者(44)=証拠改ざん事件で懲戒免職
=が小沢氏の公判で『存在する』と証言した取り調べ時のメモに
ついても開示を求めた。メモには『ゼネコンが小沢氏側への資金
提供を否定した』との記載があったとされ、指定弁護士が『70
通存在する』と弁護側に回答していた」
 この、『ゼネコンが小沢氏側への資金提供を否定した』という
捜査メモが、何故公判に提出されないのか。疑問をもった私は、
その日に検察問題に詳しいジャーナリストの友人に意見を聞いた。
友人は「ごく最近、東京地検特捜部関係者から重大な情報を聞い
た。この人物の氏名は明かせないが、きわめて重大な問題なので
伝えたい」とのこと。
 特捜部関係者の情報の要点は次のとおり。
(1)東京地検特捜部の小沢関係の捜査には「業務班」と「身柄
班」があった。前田元検事は身柄班なので詳しく知る立場ではな
い。自分の担当した範囲で知りうることを証言したと思う。
(2)業務班は約五〇社のゼネコンについて、小沢氏に裏金を渡
したかどうか、徹底的に捜査した、一〇〇人を超えるゼネコン社
員を絞り上げたようだ。水谷建設を除く全社が小沢氏への裏金を
否定した。問題の、水谷建設の川村社長については、政治家の名
前を使って会社の金を「女」に使っていたことを業界ではよく知
られていたので、特捜部では水谷建設の小沢氏への裏金を真に受
ける人はいなかった。
(3)ゼネコン約五〇社の捜査メモは、捜査資料としてきちんと
ナンバーを付して整理されている。捜査資料には他の政治家への
裏金提供が結構記載されていた。
(4) この捜査資料を小沢氏の公判に提出することについて、
検察側では最高検を巻き込んで大議論となっていた。現場で苦労
した人は「検察を正常にして国民の信頼を得るべきだ」と主張し、
赤レンガ組(東大卒等のエリートなど)の中には、絶対提出する
べきではないと対立した。結局、資料は指定弁護人に渡してある
として任せればよい、と検察側は判断しないことになった。検事
総長は腹を決めていたようだが・・。
(5)現在、検察内部では大きな議論が出ている。米国の大学に
留学して在米大使館などに勤務し、米国式の秩序維持に拘り、出
世だけしか考えない人たち、現場で苦労して検察を健全にしたい
という人たち、そして赤レンガ組でもそれを理解する人がいる。
小沢氏をめぐる捜査が検察内部に反省と論争をよんでいるのだ。
 これは、検察良心派の内部告発といえる。小沢氏への捜査が、
政権交代阻止のための「政治捜査」であったことを、私は平成2
1年3月の西松事件以来、機会あるごとに論じてきたし、「メル
マガ・日本」でも再三書いてきた。その私に、検察側の内部告発
とも思える情報がもたらされたことは、「天の配剤」といえる。
しかし、この情報を証明する術を私は持ち合わせていない。
 2月15日(水)には、小沢弁護団が要求していた「検察審査
会に東京地検が提出していた捜査資料」の開示を指定弁護人は拒
否した。こうなると、小沢氏の裁判について公正な公判が行われ
る保証はない。憲法上、国民の信託にもとづく裁判がこのような
状態で、公正に行われるはずはない。わが国は、民主主義の仮面
をつけた暗黒国家である。

《『権力の犯罪』の究明が日本再生の鍵だ》

 小沢氏をめぐる「政治捜査」、検察審査会の「強制起訴裁判」
をひと言でいえば、『権力の犯罪』である。次の問題を究明する
ことが、わが国の統治を正当化できる出発点だ。
第一、東京地方裁判所は、「小沢裁判」で小沢氏関係の捜査に当
たった東京地検特捜部部長及び副部長を証人として召喚し、真実
を究明すべきである。また、東京地検は「裏金捜査」で判明した
他の政治家を捜査すべきである。これを放置することは、検察庁
法違反となる犯罪である。
第二、小沢氏への「政治捜査」について、国会側の究明が、ほと
んど行われていない。与野党を超えたわが国の議会民主政治の存
立にかかわる問題であり、国政調査権の限界などない。捜査時点
の検事総長および関係者を証人喚問し、国会の権能で真実を究明
すべきである。
第三、ここ数年の巨大メディアの小沢氏に対する「人格破壊工作」
は、民主主義社会では許されない事態である。朝日新聞が「ゼネ
コンが小沢氏側への資金提供を否定した」と、捜査メモについて
報道するなら、それなりの情報と裏付けがあるはずだ。日本の巨
大メディアが社会の木鐸を自負し、真に日本の再生を願うなら、
小沢問題については真実の報道に立ち帰るべきだ。

(小沢氏の「強制起訴」に
          民主党政権が関与した疑惑を究明すべきだ)

 小沢氏の検察審査会による「強制起訴」は、民主党政権の有力
閣僚が関与していたとの情報がある。この問題は、統治権力の腐
敗として究明されなければならない。情報の要点を説明しておく。
(1)平成22年4月13日、民主党による「事業仕分け」で、
法務省所管の「事前調査」が行われた。その時社団法人「民事法
情報センター」の香川保一理事長の金銭スキャンダルが判明した。
(2)香川氏は最高裁判所判事、法務省官房長や民事局長などを
歴任し、最高裁と法務省のパイプ役として戦後活躍した大物法曹
人であった。
(3)同月16日、衆議院法務委員会で事業仕分けの事前調査を
行った民主党委員が、この問題を採りあげ、千葉景子法務大臣に
質疑を行った。それが読売新聞に小さな記事として報道された。
(4)この問題は、香川元最高裁判事が刑事責任を問われる可能
性があること。また、法務省の監督責任を問われることになるの
で千葉法相は対応に悩み、政権幹部に相談することになる。
(5)連休明けの5月8日、社団法人「民事法情報センター」は
突然解散し、多数の有料会員や利用者を困惑させた。
 この問題は、単なる社団法人の不詳事件として処理されるべき
ことではない。元最高裁判事・元法務省官房長や民事局長などを
歴任した香川保一理事長という法曹界の重鎮の刑事責任や社会責
任をもみ消し、不問にした千葉法相の責任は重大である。千葉法
相ひとりの判断で決めたことではなく、民主党政権の弁護士資格
を持つ有力閣僚の動きがあったとの情報があり、真相の究明が必
要である。

 法曹界に詳しい専門家の情報によれば、香川理事長を不問とし
て問題をもみ消した有力閣僚は、最高裁と法務省に絶大な「貸し」
をつくったことになる。その貸しを政治的に利用したのか、しな
かったのか。きわめて重大な問題であるとのこと。政局は、同年
6月に鳩山政権から菅政権に交代し、小沢元代表は排除される。
7月には参議院選挙が行われ、9月始めには民主党代表選挙とな
る。そして、検察から不起訴とされていた小沢民主党元代表は検
察審査会によって強制起訴となり、東京地裁で裁判を受けること
になる。同時に、民主党党員資格停止処分をうける。検察審査会
の構成、審査、議決の有無や手続きなどについて、さまざまな疑
惑が報じられている。その中に菅政権の有力閣僚の関与という情
報もある。それらは、強制力を持つ国家権力の腐敗、否、犯罪の
疑惑でもあり、国会において徹底的に真実を究明すべきである。
 国民の、国家に対する信頼の回復が、消費税増税よりも優先す
ることは自明の理である。

1094 投稿日:2012/02/11 12:53

【622】↓[627]の録画

↓[627]の録画
http://www.youtube.com/watch?v=8hPD2JfLK7E&feature=watch_response

1094 投稿日:2012/02/10 16:52

【621】小沢代議士のテレビ出演のご案内  「 政権交代の原点 小沢一郎、語る 」

1)小沢代議士のテレビ出演のご案内
  「 政権交代の原点 小沢一郎、語る 」
*放送日時
本日   2月10日(金) 21:00~21:55
(再放送) 2月13日(月) 22:00~22:55
(再放送) 2月14日(火) 朝4:30~5:25
 * 放送局 *  BS11 『IN side OUT』

http://www.bs11.jp/news/59/
報道スペシャル INsideOUT
【2月10日(金) 21時00分~21時55分、13日(月) 22時00分~22時55分】
鈴木 哲夫(BS11報道局長)
「政権交代の原点 小沢一郎、語る」
ゲスト:小沢 一郎(民主党元代表 衆議院議員)
永田町のキーパーソン、小沢一郎元民主党代表が緊急出演。
政権交代から2年余りで、3人の首相が誕生。その間、政権のありようは大きく変貌した。
国民との約束・マニフェストは、反故にされつつある。民主党政権は、どこで何を間違えたのか。
小沢一郎元代表が、政権交代の原点、国難を乗り切る日本政治のあり方を語る。

1094 投稿日:2012/02/09 18:29

【620】小沢一郎 対談動画 2012/02/09(木)

小沢一郎 対談動画 2012/02/09(木)
http://www.ustream.tv/recorded/20320871

1094 投稿日:2012/01/25 13:55

【619】《登石裁判官の変心》 平野 貞夫

☆本号は無限拡散希望につき、転載許諾を必要としませんので、
 お取り扱いをよろしくお願い申し上げます。
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      <メルマガ・日本一新第85号>
◎「日本一新運動」の原点―92
               日本一新の会代表 平野 貞夫

 私が、1月12日(木)に、東京地方裁判所の登石裁判官の、
「訴追請求状」を提出したところ、『サンデー毎日』と『日刊ゲ
ンダイ』が報道してくれた。ネットでは多数の方々から声援をい
ただいた。ネットでの議論は民主主義国家の司法のあり方をめぐ
って、真剣な意見が交換されているが、巨大メディアは無視を決
め込んでいる。これからの情報社会では「ネット・メディア」が
世の中を動かす予感がしてならない。
 そのネットでも、ある有識者から私に対して厳しい批判があっ
た。「小沢氏側近の平野貞夫元参議院議員が、訴追請求状を裁判
官訴追委員会に送ったことは、司法にプレッシャーをかけるパフ
ォーマンスに見え、全く賛同できない。政治家は国民の権利が侵
害されたときにこそ反応して貰いたい」という趣旨のものだった。

 私を政治家だと断定するのもどうかと思うが、基本的で重大な
ことを理解していないようだ。私の「訴追請求」が必ずしも「小
沢裁判」に有利になるとは限らない。次第によっては不利に展開
する可能性もあるのだ。それでも、登石裁判官については訴追し
なければならないと確信している。私を批判した有識者は、私の
訴追請求状や「メルマガ・日本一新」で述べた提出理由を知らず
にコメントしたのかも知れないが、この機会に「裁判官の訴追・
弾劾制度」について解説しておこう。

《裁判官の訴追・弾劾の根拠は憲法第15条にある》

 憲法第15条1項は「公務員を選定し、及びこれを罷免するこ
とは、国民固有の権利である」と規定している。この規定は憲法
前文の「国民主権主義」に基づくものであり、ここでいう公務員
とは、立法・司法・行政のいかんを問わず、広く国および公共団
体の事務を担当するすべての公の職員をいう。

《憲法は「裁判官の身分保障」を規定しているが、同時に国民主
        権に基づく「裁判官弾劾罷免」も規定している》

 憲法第78条を見てみよう。「裁判官は、裁判により、心身の
故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除い
ては、公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分
は、行政機関がこれを行うことはできない」

 解説をしておこう。「弾劾」とは、国民の意思を根拠に訴追行
為に基づいて、公権力により公務員を罷免する制度のことである。
憲法が裁判官について、弾劾によって罷免されることを認めた理
由は、司法権の独立を実効あらしめるためには裁判官の身分が保
障されなければならないが、司法権も主権の存する国民の信託に
より裁判所に属させたものであるからだ。それは、裁判官の地位
の究極の根拠は、前述した憲法第15条(公務員の選定および罷
免など)にあるからである。最高裁判所の裁判官に対する「国民
審査制度」もここに根拠がある。
 従って、裁判官が罷免されるのが心身の故障のために職務を執
ることができない場合に限るのではなく、裁判官が国民の信託に
反すると見られるべき行為をなした場合において、裁判官の身分
を保障すべき理由はなく罷免できる制度を憲法に設けているので
ある。

《裁判官の訴追・弾劾は、国会に弾劾裁判所を設けることが、
                  憲法に規定されている》

 憲法第64条は「国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判す
るため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。弾劾に関
する事項は、法律でこれを定める」と規定している。これに基づ
き、国会法第16章に「弾劾裁判所」を設け、弾劾裁判所と訴追
委員会の組織と構成を規定し、さらに『裁判官弾劾法』を制定し、
裁判官の訴追や弾劾についての手続きや権限などを設けているこ
とは、衆知のことである。

 ごく簡単にこの制度を説明しておく。日本国民なら誰でも、職
務上あるいは倫理上問題があるとして、裁判官を罷免するべきと
考えたとき、裁判官訴追委員会に「訴追請求状」を提出すること
ができる。訴追委員会は、訴追請求状を受理すると、訴追審査事
案として立件し審議を行う。審議には当然調査が伴い、証人の出
頭や記録の提出を要求することができる。裁判官を罷免する必要
があると認めるときは、訴追の決定により弾劾裁判所に訴追状を
提出する。弾劾裁判所は、公開の法廷で審理を行い、罷免するか
否かの裁判を行うことになる。
(裁判官訴追委員会事務局作成「訴追請求の手引き」
             http://www.sotsui.go.jp/を参照)

《登石裁判官訴追請求の問題点》

 弾劾による裁判官罷免には、当然のこととして理由が必要であ
る。弾劾法第2条には、(1)職務上の義務に著しく違反し、又
は職を甚だしく怠ったとき。(2)その他職務の内外を問わず、
裁判官としての威信を著しく失うべき非行があったとき、と規定
している。従って、訴追請求の理由もこれらの条件に該当するも
のでなければならない。ところが、『訴追請求の手引き』には、
「判決など裁判官の判断自体の当否について、他の国家機関が調
査・判断することは、司法権の独立の原則に抵触するおそれがあ
り、原則として許されません」と説明している。
 この説明に従うと、私の訴追請求は訴追委員会で受理されず審
議の対象とならない可能性がある。判決の思想・姿勢・内容など
に関係しており、司法権の独立に抵触するという理屈をつけてく
ると思われる。

 さて、罷免の第1条件である「職務上の義務」とは、「憲法尊
重擁護の義務」が最大の義務ではないか。さらに、わが国の憲法
は、人類が営々と築いた基本的人権を基盤としており、それに基
づいて推定無罪、罰刑法定主義、証拠中心主義などのことを規定
している。これらを徹底的に冒涜して、多くの国民から「裁判官
の暴走」と批判された「登石裁判官」は、前述したとおり「裁判
官が国民の信託に反すると見られるべき行為」そのものである。
まさに憲法が規定した「裁判官の弾劾」の対象とすべき典型的事
例である。仮に訴追委員会が「登石裁判官の訴追請求」を審議し
ないことになれば、訴追委員会が憲法の期待する職務を怠ること
になり、「憲法の遵守義務」に訴追委員会自体が違反することに
なりかねない。「司法権の独立」はきわめて大事なことである。
それは司法権が正常に機能して、社会正義を確保する役割を果た
すためである。しかし憲法は、司法権を行使する裁判官が「国民
の信託に反する行為」をすることを想定して、弾劾制度を設けて
いるのである。

《登石裁判官の変心》

 登石裁判官は平成14年1月30日、北海道大学で行われたシ
ンポジウムで、次のように発言している。

「刑事裁判も民事裁判も、要するに証拠による裁判が基本中の基
本だと思います。なぜいまさらに証拠による裁判を持ち出したか
というと、我々には非常に当然なことですけれども、実際の社会
では必ずしもそれが理解されていないような気がするからです」

 「証拠による裁判が基本中の基本」という考え方を公言してい
た登石裁判官が、何時からどういう理由で、まったく証拠を無視
して、憲法の規定する刑事法の原理を冒涜するような思想・信条
になったのか。これはまさに「裁判官の資質」に変化があったと
いえる。漏れ聞くところによれば、登石裁判官は最高裁事務総局
と密接な関係があるとのこと。もしかして、登石裁判官の変心は
「最高裁事務総局」の、力強い指導によるものかも知れない。

 私は、日本の司法府について、立法府や行政府よりましな統治
機構だと信じていたがそれは誤りだった。むしろ、国民が聖域と
して尊重してきた影で、どのようなことが展開していたのか、そ
の根本を疑ってみなくてはならない。しかし前述したように、よ
くよく考えてみれば、憲法の裁判官弾劾制度とは、そういう思想
で設けられているのだ。
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1094 投稿日:2012/01/18 12:49

【618】登石裁判官に対する「訴追請求状」平野貞夫

☆本号は無限拡散希望につき、転載許諾を必要としませんので、
 お取り扱いをよろしくお願い申し上げます。
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      <メルマガ・日本一新第84号>
◎「日本一新運動」の原点―91
               日本一新の会代表 平野 貞夫
 1月12日(木)に、東京地方裁判所の登石裁判官に対する、
「訴追請求状」を裁判官訴追委員会に郵送した後、自宅でサンデ
ー毎日のインタビューを受けている最中に小沢さんから電話があ
った。「登石裁判官を告発したんだって!」と驚いていた。
 丁度同じ日に「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」
(代表・八木啓代氏)が、石川議員の調書を捏造した田代検事・
他を「検察庁の一連の組織的犯行」として、最高検に告発し、そ
れを誰かが誤って報告したのが原因らしい。
 取材で、サンデー毎日の記者が私をしきりに攻めたてたのは、
4月に予定されている小沢さんの判決が「有罪か、無罪か、その
割合はどうか」という質問であった。「そんな質問に答える立場
にない」と断って次のように話したが、その部分は記事にならな
かった。しかし、大事なことなので「メルマガ・日本一新」では
しっかり説明しておきたい。

 まず第1点は、「小沢問題」は麻生政権の「政治捜査」で始ま
った事件であることだ。従って、東京地裁の判決は「政治判決」
となる可能性を排除できない。何故なら、憲法に基づいて「法と
証拠」による判決を行えば、「政治捜査」であることが国民の前
に明らかとなるからだ。
 第2点は、現在の法務省・検察・裁判所の劣化は驚くべき実態
である。「小沢裁判」でそれが露呈し始めた。裁判所の裏金づく
りなどの話は、元高裁判事の生目暉雄氏の『裁判が日本を変える』
(日本評論社)で、国民が知るようになった。これから司法府の
腐敗がさまざまな形で吹き出る可能性がある。従って「小沢裁判」
で少し正常化させ、被害を最小限としておこういう心理が働く可
能性もある、というのが私の見方だ。
 登石裁判官の訴追請求を行った理由は、私自身の反省が第一で
ある。私は「検察審査会法の改悪」には関係していなかったが、
裁判員制度・法科大学院制度、一連の米国化した商法改正、そし
て悪名高い「盗聴法」等々の成立に協力してきた自分自身の『非
行』を猛省してのことである。
 西松建設事件から始まる一連の「小沢排除の捜査と裁判」は、
自民党の麻生政権から始まって、民主党・菅政権に司法官僚によ
って引き継がれたものといえる。ここに問題の本質がある。さら
に巨大メディアがそれを煽動しているという実態が、野田政権で
も営々と続いていると私は見ている。この底知れぬ流れの中に、
現在わが国のあらゆる部分を劣化させた「悪性の癌」が潜んでい
ると思う。

 私が叫びたいのは、日本を支配しているのは、必ずしも財務官
僚だけではない。実は財務官僚も恐れる集団があるのだ。それは
司法試験という最も難解な試験に合格した人たちでつくられたも
のである。勿論、その人たちの中には、人々のために自分を犠牲
として生きている人たちが多くいることも承知している。しかし、
財務官僚をも支配するというか、コラボレーションして、わが国
を統治支配しようとする「検察官僚」の存在である。法務省に、
100人を超える検事をいれ、最高裁事務総局に約30%の迂回
検事がいて、内閣法制局を通じて、司法と行政を支配している実
態を、国会議員はなんと考えるか。
 それに加えて、最近各党の弁護士国会議員が増加している。そ
れは決して悪いことではない。立派に職責を果たしている弁護士・
政治家を何人か私は知っている。しかし、民主党政権となって、
弁護士・政治家が高い権力の地位に就くようになってこの方、国
政に多くの障害が出ていることも事実である。
 私が参議院議員として約11年間、法務委員会に所属していた
のは、国家社会の正義を担保するのは、司法界にあるという強い
思いであった。そのため、司法に関わる人材の養成、人間として
の常識と誠実を持つための改革を志したのだ。この部分の腐敗と
劣化が、今日の悲劇であるという憤りが、訴追請求の真意である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
訴 追 請 求 状(写)

平成24年1月12日
裁判官訴追委員会御中

                郵便番号 ***-****
                住  所 千葉県柏市
                     ********
                氏  名 平野 貞夫
                電  話 ***-****

 下記の裁判官について弾劾による罷免の事由があると思われる
ので、罷免の訴追を求める。

                記

1 罷免の訴追を求める裁判官
  所属裁判所   東京地方裁判所
  裁判官の氏名  登石郁朗裁判官

2 訴追請求の事由
  (総論)

 上記登石裁判官は、平成23年9月26日、自分が裁判長とし
て担当した事件、『平成21年(特わ)第517及び平成22年
(特わ)第195号、政治資金規正法違反被告事件』の判決にお
いて、法治国家たるわが国の憲法、刑事法規等の基本理念を否定
するだけでなく、人類が営々として築き上げた基本的人権という
条理を冒涜する、異常な心理状態で判示したものである。

 多くの常識を持つ国民から、登石裁判官の精神状態は異常と危
惧した意見が噴出し、これでは民主社会の正義も国民の安穏も維
持できないと、「裁判官の暴走」に厳しい批判が続出した。

 裁判官にとっての職務上の最大の義務は「憲法の遵守」である。
登石裁判官は憲法に対する職務を著しく怠っただけでなく、憲法
原理さえも冒涜したものである。このことは、裁判官としての威
信を著しく失わせただけでなく、司法の権威と信頼を失脚させた。
これは裁判官としての非行に止まらず、、人間としての非行に値
する。これを非行といわずに何を非行というのか。

 登石裁判官は、この「裁判官の暴走」といわれる異常判決を代
表する裁判長たる司法官である。その適格性や資質に重大な欠陥
があり、弾劾裁判によって罷免すべきである。

(代表的問題点の指摘)

(1)前記政治資金規正法違反被告事件は、平成21年3月3日
の大久保秘書逮捕の西松建設事件から始まる。これは民主党への
政権交代を阻止するため当時の麻生政権が政治謀略として、小沢
民主党代表を政界から排除しようとして仕組んだ事件である。
 私自身、その傍証をもっている。大久保秘書逮捕の2日前の3
月1日、当時の森英介法務大臣から直接、「小沢代表は、平成時
代になってから日本の政治を崩壊させた悪い政治家である」等の
暴言を聞かされ、何か事件的なものが起こりそうな予感があった。
その後、森法務大臣と親しく、私の友人でもある財界人から「森
法務大臣が、大久保秘書逮捕は私が指示したと内輪の会合で聞い
た」との情報を知らされた。また、政府高官が同じ政治資金規正
法問題を抱えた数人の国会議員について「自民党には波及しない」
と発言して問題となった。故に、これらの事件は捏造された政治
捜査である。これらの点を私はテレビや著書などで問題の提起を
行ったが、裁判では一切採り上げなかった。これらは、議会民主
政治の根幹を問う問題であり、登石裁判官は著しく職務を怠った
といえる。

(2)平成23年12月16日、小沢一郎氏の強制起訴に係る陸
山会事件の東京地裁公判に証人として出廷した元検事・前田恒彦
氏は、東京地検特捜部に応援入りしたときの状況について、次の
趣旨の証言を行った。「陸山会事件の捜査で検察のやり方は問題
があった。・・・主任検事から『この件は特捜部と小沢の全面戦
争だ。小沢をあげられなければ特捜の負けだ・・・』といわれた。
当時問題となっていた4億円について、(検察内部では)5千万
円は水谷建設、1億円は○○建設などと筋を描いていた。現場を
追いかけている担当検事らは、裏金の話を聞き出せないと感じた。
・・・4億円が企業からと妄想する人もいたが、正直ついて行け
なかった。○○検事も『石川さんの5千万円の裏金の事実はない
んじゃないか』と言っていた。副部長検事も『おそらくない』と
いう認識だった。・・・この事件で、捜査体勢が、途中でものす
ごく拡充された。『業者班』の捜査員を増やした。でも調書がな
いでしょう。裏金を渡しているという、検察の想定と違う取り調
べ内容は証拠化せず、メモにしていた。」
この前田元検事の証言は、(1)で述べた私の主張を証明する
ものである。これらの捜査段階の空恐ろしい実態は、裁判の審理
で究明されるべき問題であった。それがなされなかったことは、
裁判の公正さを著しく毀損した。昭和9年のいわゆる「帝国人絹
事件」は、当時の東京地方裁判所が公正な審理を行い、軍部と司
法省首脳が内閣の倒壊を図るために仕組んだ検察ファッショであ
ることを明らかにし、被告全員を無罪とする歴史に残る判決を行
った。ところが、今回の登石裁判官による判決は、前田元検事の
証言が示唆するように、政治捜査であり、検察側の議会民主政治
を抹殺する狂気の捜査を糾弾すべき立場にありながら、その問題
の検察調書をも逸脱して、裁判官が憶測、さらには妄想と思われ
るものまで推認で断定した。これらのことは、裁判官の暴走とし
て多くの国民を不安のどん底に陥れた。司法の権威を陥れた責任
は重大である。

(3)判決の代表的問題点は2つある。第1は、西松建設事件の
背景事情として、東北地方の公共事業での受注決定の際、大久保
秘書が業者を決める『天の声』を出す役割を担い、ゼネコンから
多額の献金を受け入れる窓口だった、との部分である。
 第2は、陸山会事件の背景事情として、小沢氏の地元の「胆沢
ダム建設工事」受注に絡み、水谷建設から04年10月に石川知
裕被告に、翌05年4月には大久保被告に、それぞれ5千万円が
渡ったと推論した上で、陸山会の土地購入の原資となった小沢氏
からの借入金「4億円」について、原資が証拠上明らかであるに
も拘わらず、原資不明と妄想し、4億円での土地取得が発覚すれ
ば、裏献金や企業と癒着した資金集めの実態が明るみに出る可能
性があるために隠蔽した、と推認した部分である。
 両件とも証拠はなく、中には検察調書によらず、憶測、推論、
妄想ともいえる心理状態で判決したものもある。これが裁判所の
判決として通用するなら刑事裁判を行う意味はない。憲法で保障
される裁判を受ける権利とは何か。憲法に保障されている「推定
無罪、罪罰法定主義、証拠中心主義」のすべてを冒涜して、裁判
官の恣意的価値観によって、特定のストーリーを予め描いた上の
判決といえる。従って、登石裁判長の憲法に対する理解度が正気
でないことは明らかであり、裁判官としても資質に著しく欠ける
といえる。裁判官の「自由心証主義」とは絶対的なものではない。
憲法の原理や規定の範囲で存在するものである。登石裁判官が、
何故「裁判官の暴走」と言われることを行ったのか、この点の究
明も必要である。精神状況の異常さによるものか否かの判定は、
裁判官訴追委員会の責任において究明すべき問題である。そのた
めの訴追請求でもある。

(結び)

 個人的なことだが、私は平成3年7月から同16年7月まで、
参議院議員であった。平成4年から約11年間、長期にわたって
法務委員会に所属し、その間集中して行われた司法改革に全力を
尽くしてきた。今日の検察と裁判所の暴走と劣化を見るに、慚愧
に堪えない。司法制度の改革に関わった私が裁判官の訴追請求を
行うことは、自己の反省を含め身を切る思いの決断であった。

 本訴追請求が訴追委員会において、仮に不問に付されるとすれ
ば、登石裁判官は憲法上の的確な資質を公認されることになる。
となると、重大な問題が起きることについて是非とも触れておか
ねばならない。まず、「裁判官の暴走」といわれる異常な判決が
特定の目的をもって行われたという疑惑である。
 すなわち、平成23年10月6日から、東京地方裁判所で始ま
った小沢一郎氏が検察審査会の強制起訴による裁判を、有罪に誘
導するための政治判決となる。

 そもそも、小沢一郎氏に関わる「西松建設事件および陸山会事
件」を強制捜査したこと自体が、前述したとおり、議会民主政治
を破壊する政治捜査であった。検察が総力を挙げて約1年半の時
間と巨額な税金を使って起訴できなかった事件を、政治権力と司
法権力が癒着して、検察審査会を利用しながら強制起訴とした疑
惑が生じている。

 「強制起訴」された小沢一郎氏の東京地方裁判所での公判で、
証人として出頭した田代検事(石川知裕被告の取調担当)が、虚
偽の捜査報告書を提出していたことである。それが強制起訴に対
し、大きな影響を与えたことが判明し、これが組織的に行われた
可能性がある。私は「小沢問題」は国家権力が複合して捏造した
「権力犯罪」だと推認している。

 しかし、現在の衆参両院議員の多くは、与野党に渡ってそのよ
うな認識をしていない。もし、登石裁判官の判決が判例として定
着するとなると、検察が起訴しなくても、裁判官が証拠もなく、
推認で判断すれば、政治家を犯罪人に仕立てたり、政治生命を失
わせることが可能となる。いわゆる「小沢問題」は、国民主権に
基づく議会民主政治が、わが国で維持できるか否かの瀬戸際とい
える。

 さらに、登石判決を正当として支持する法曹界の一部の人たち
の主張によると、近年に世界の主流となった「法廷中心主義」の
影響とのこと。裁判ですべてを決めていくという米国流の司法手
続きがわが国でも主流になったとの論である。確かに裁判員制度
など、米国の司法制度を導入した部分もあるが、憲法や刑事法規
が規定する「推定無罪・罪罰法定主義・証拠中心主義」などは遵
守されなければならない。それが司法手続きの基本である。

 若し、米国流の法定中心主義に改めるとするなら、それは国会
における立法によって改めことが議会民主政治であり、検察や裁
判所の恣意で変更できることでは断じてない。
 要するに、国会が本来の役割を果たしていないからこのような
事態となったのである。国会議員の多くが、議会民主政治の本旨
について無知、無感覚であることが原因である。現在のわが国の
統治機構、特に司法府はきわめて危機状況である。難しい司法試
験に合格した代わりに、人間性や常識を失ってロボット化した人
間たちが、立身出世で拝金という価値観にとりつかれ、精神や心
理状況を著しく異常化させて、司法界という特殊な世界で人間性
や常識を捨て蠢いているのである。私が参議院議員として担った
司法改革は、司法界で活躍する人材に、人間性を回復させること
であった。
 登石裁判官の判決は司法改革に逆流した典型といえる。

               記

  裁判所名:東京地方裁判所刑事第17部
  事件番号:平成21年(特わ)第517号及び
       平成22年(特わ)第195号
  当事者名:被告 石川知裕衆議院議員、
       池田光智及び大久保隆規元秘書
  代理人名:木下貴司、高橋司、吉田美穂子弁護士他