ふじむら掲示板

副島系掲示板の"補集合"としての役割
伊藤 投稿日:2025/08/18 16:07

【662】覇権アメ第4章の次は、第2章を読む(1)だから、副島本はやめられない。

 伊藤睦月です。本日は2025年8月18日です。私の好みでは、第4章の次に第2章を読む。この2章で、巻頭にある「アメリカ政界の思想派閥の全体図」の、共和党の保守主義のコアな部分を知ることができる。学校教科書からの延長線上で、飲み込みやすい。この第2章「共和党保守本流という存在」と第4章はなかなかおいしいところで、ほかの章の理解もだいぶ進みやすくなるだろう。

1)第2章の前半で、まず目についた部分。

(引用開始)ここで説明しておかねばならない重要なことがある。それは、エドモンド・バークのようなイギリスの18世紀の「クラシカル・リベラル」Clasical Liberal(古典的自由主義者)の思想は、現代のアメリカに移し替えると、「トラディショナル・コンサバティブ」Traditional Consaervathive(伝統保守)になってしまう事実である。ここで「リベラル」と「コンサヴァティブ」という言葉の意味が、正反対に入れ替わってしまうのである。

(引用終わり:覇権アメ第2章87ページ:「リベラル」と「コンサバティブ」の本来の意味)伊藤睦月です。この後、先の投稿で、私が書いた、不器用な説明より、さらに洗練された説明がなされている。あー恥ずかしい。でも今更格好つけても、しょうがないよな、この覇権アメも20年ぶりに読み返しているから。こういうことも起きるさ。私は私のレベルでしか、思ったこと書けないから。これからも、なんとかの上塗りをやり続けるだろう。これも「ふじむら」だから、ええんとちゃう(苦笑)

 伊藤睦月です。というわけで、次回から、第2章を読んでいきます。

以上、伊藤睦月記

 

 

伊藤 投稿日:2025/08/17 20:47

【661】覇権アメ第4章を読む(6)その他、第4章の次にどこを読むべきか。

 伊藤睦月です。本日は2025年8月17日です。さきほど、大河ドラマ「べらぼう」を見終わったところ。時代は田沼時代末期の世情、「浅間山噴火」「天明の大飢饉、大洪水」「天明の米騒動」に対し、当時の為政者や庶民がどう対応していったかなどを描いており、現代の世情を想起させるものとなっている。大河のテーマは、2年前には決まっているから、当時から現在を予見していたのか、あるいは、ある種の「誘導」が行われているのか、よくわからん。ドラマの今後の展開が楽しみ。

1)これまで、覇権アメ第4章を読みながら、気になるところを書いてきた。これ以上書くと,第4章すべてを引用しなくてはならなくなるので、この辺でやめておこう。

2)そもそもこの本は、高校社会科書(倫理、政治経済、世界史、日本史)程度の知識しかない者を対象に、アメリカ政治思想の全体像を、わからせようとするもので、1995年の初版以来、この本を超えるテキストは、まだ出現していない。

3)それだけに、他の政治思想本とは際立った特色がある。

①この本で取り上げられた、政治思想は、あくまでも「世界覇権国アメリカ」で受容された思想、しかも「英語」で理解された思想を、現代の「日本語」で説明した本。

➁そのため、欧米の政治思想の各テーマの取り上げ方、説明の仕方は、かなり、メリハリが効いている。高校教科書の記述とはかなり、異なったものになっていることがある。ただし、「間違って」いるのではない。「世界覇権国アメリカではこのように理解され、説明されている」ように執筆されているのだろう。

➂例えば、フランス(デカルト、モンテスキューなど)やドイツ(カントなど)といった、教科書定番の思想や人物は、ほとんどふれられていない。欧州思想との関連については、フランシスフクヤマの「歴史の終わり」を取り上げているが、この本で扱われているのは、ヘーゲル、ニーチェ、くらいだ。

④でも、アメリカ政治思想の全体像を把握するためには、大変すぐれた記述法だと思う。副島先生は、このことに関して、次のように説明している。

(引用はじめ)日本人は、世界帝国(覇権国、ヘジェモニック・ステイトhegemonic state)という考えをきわめて軽視している。アメリカは現在、世界覇権国なのであり、日本は、他の多くの国々と同じように、その属国である。覇権国であるアメリカの、文化と政治と知識と社会の動きを軽く見てはいけない、と私は思う。

 とりわけ政治思想や政治哲学において、いつまでたっても、フランスとドイツが偉いなどと考えていること自体大間違いだ。フランスもドイツも、それからイギリスも、実はこの数十年の間にアメリカに負けて、あらゆる意味で現在はその支配下にある国である。・・・(中略)このことに、どうして日本の知識人たちは気づこうとしないのだろう。それとも政治思想なら何が何でもフランスとドイツが一番で、アメリカの優位に気づきたくないのか。明治以来の、独仏=高級思想の構図が否応なく崩れてきているのだ・・・

(以上、引用終わり:覇権アメ第二章134ページ)

4)伊藤睦月です。私が第4章から読んでいるのは、高校教科書に加えて、大学法学部の教養科目のテキスト(法思想史、政治思想史)を読みかじっていたからであって、必然性はない。読者諸兄の、知識レベルに応じてどこからでも、ザクザク読んでいけばよろしいかと。でも高校世界史、倫理、政治経済の教科書や共通試験レベルの参考書は、読んでおいた方が、この本も読みやすくなるであろう。(詳しすぎるとかえって混乱するかも)教科書に出てこない、人名やトピックがてんこ盛りで出てくるのに戸惑わないために。ウィキペデイア情報もかえってわかりにい場合が多いように思える。

5)伊藤睦月です。覇権アメの次に読むべき本、英語力のある方は、この本に紹介されている、英語本や雑誌に直接当たられるのがよいと思う。また、私のようにそこまでの学力がない者は、そういうレベルの読者のために、副島先生が用意している本にアクセスすることだ。私もそうやってきた。具体的な紹介は、また後日。

以上、伊藤睦月記

 

 

5)

 

 

 

伊藤 投稿日:2025/08/16 11:24

【660】覇権アメ第4章を読む(5)なぜ、ロック「市民政府二論」の第一論文が、日本語に訳されてないのか。

 伊藤睦月です。本日は、2025年8月16日です。トランプ=プーチンのトップ会談が始まった。やはり、まず、「大国」どおしで、大親分通しで、話をつけるのである。ゼレンスキーは、なんだかんだ言っても、それに従わざるを得ない、「小国」の悲しさ、である。日本も程度の差はあっても、同じ立場である。現に、北朝鮮には、手をださせてもらえないではないか。

1)さて、自然権の採用については、覇権アメ第4章には、こう書かれている。

(引用はじめ)ロックのこのナチュラル・ライツの思想は、その後、近代政治革命家たちによって、「コンスティチューショナルconstitutionalな(憲法典に定められた、憲法体制としての)権利、right」、つまり「憲法条文の中で保障を宣言された諸人権」となっていった。これがアメリカ独立革命戦争の成果である「アメリカ独立宣言」(1776年)であり、フランス革命の動乱の中で生まれた「フランス人権宣言」である。アメリカの建国の父たちは、フランスの革命家たちは、ロックの思想を自分たちの思想のお手本として、嬉々として採用したのだ。

(引用終わり)伊藤睦月です。上記の副島先生の説明は、一言一句、すべて正しい。正しいのだが、それではなぜ、バークの両者に対する評価が、正反対になったのか。私なりに考えてみる。どーも細かいことが気になるタイプなので。前項で述べた、「ホイッグ党」つながりのほか、フランスは王様の首をちょん切って、「自然の決まり」を台無しにしたので、大混乱がおきた、(1種のアノミーが起きた)ということもあるかもしれないが、それ以外の要因を探してみる。

2)ロックの自然権思想は、「社会契約説」という仮説(フィクション)のうえに、人工的に(演繹的に)作られたもの。したがって現状変更の哲学になる。自然の決まりをあるがままに認める、自然法思想は、そういう仮説にはたっていないので、現状変更の哲学にはなりえない。(漸進的に、少しずつ改良、改善していく、ことがせいぜい)

3)社会契約説は、ホッブス由来、ロック由来、ルソー由来、ヘーゲル由来、マルクス由来、とさまざまあるが、人工的に、人間の頭の中で考え出された、という点では共通している。もっと、おおざっぱな分類をすれば、プラトン由来。プラトンは、シラクサの僭主(王)のブレーンとして、自分が思い描く「哲人王」を作ろうとして、独裁者をつくってしまい、大失敗した。後世、このプラトンの考えは、代々継承されて、この失敗も性懲りもなくくりかえされて、「呪縛」となったという論者もいるくらいだ。

4)伊藤睦月です。アメリカ独立戦争のリーダーたち、(建国の父たち)は、独立宣言では、ロックの社会契約説を採用したが、アメリカ合衆国憲法という、具体的な人権カタログや統治機構を作る際には、そのまま採用しなかった。アリストテレスの「ニコマコス倫理学」や「政治学」主張された、自然法的なシステムを採用した。これでバークの思想と根っこのところで途切れなかった。

5)ところで、バークの思想を強く批判したのが、生粋の革命家(18世紀のチェ・ゲバラ)であった「トマスペイン」(コモンセンス)」である。彼は、アメリカ独立後、過激すぎて、アメリカを離れ、謀反人として、出身の英国にも入れず、コロコロトップが変わっていた、フランス政府にも受け入れられず、欧米周辺をうろうろして、憤死している。

6)フランスの革命家たちは、アメリカと違って、王制打倒後のプランはなにもなかった。勢いあまって王様の首をちょん切ったり、ロックやルソーの社会契約説やアメリカ独立宣言を参考にして、それよりも先進的な(過激な)人権宣言を作ったが、すぐに、無効化した。そして、きちんとした理論的根拠をもたないまま、派閥抗争(殺し合い)をくりひろげ、ナポレオンによって、混乱を収められた。プラトンの失敗を繰り返したともいえる。アリストテレスは、王制の失敗の行きつく先は、独裁制、だと喝破したが、ナポレオンの台頭で、それが現実になる。バークの「省察」はナポレオン登場以前に執筆されたが、フランス革命の失敗とナポレオンの登場を予言した本、とされている。(と、私、伊藤はみている)

7)ここで、表題の問いに対する、私伊藤の考えを簡単に述べる。「羊頭狗肉」もはなはだしいけど。

①ロックの市民政府二論の第一論文は、「父権について」という表題である。当時の有力な政治思想であった「王権神授説」を聖書(当時は歴史的事実と考えられていた)の記述などを根拠に主張した論文だ。ロックはこれを徹底的に批判した。その要旨は、簡単に言ってしまえば、「聖書の記述は歴史的事実と違う。嘘っぱちのフィクションだ」というもの。そのため、当時のピューリタン革命失敗後の反動期(王権が優位)に、この本は、ヤバい本となって、匿名で執筆され、名誉革命(1688年)が成功して、やっと初版が出版された。という本である。

➁そして、第二論文は、第一論文で現体制(当時)を否定した後の、新しい「市民政府」の統治機構や、人権カタログを提案したもの。経験論たる、ロック哲学の「白紙:タブラ・ラーサ」(素質より環境だ)というコンセプトを基礎にしている。そして、このアイデアは、広く現代に浸透している。例えば、「未成年」(子供は小さな大人ではなく、未熟な存在だから、教えておげなければならない)という考え。(ルソーが最初ではない)など。など。

➂ところで、ロックの自然権思想は、明治初期に福沢諭吉らによって、日本に紹介された、とされている。(天賦人権説)、そして、第二論文は、戦後の日本国憲法の人権カタログの一部に採用されたため、日本語訳(鵜飼信成訳、岩波文庫)が出たが、第一論文はなかなか出ず、2000年代になって、やっと完訳(加藤節訳、岩波文庫)が出た。覇権アメが世に出た、1995年前後には、まだ完訳がでていなかった。(時代を感じるね)

④では、なぜ第一論文の翻訳が遅れたのか。それは、第一論文は、天皇制(明治憲法=大日本帝国憲法体制)を否定する内容だからだ、と私伊藤は考える。当時の明治憲法は、当時のプロシャ憲法を参考に、天皇大権(主権)を前提に、臣民として、適用制限のかかった、ロックの自然権(人権カタログ)を採用したもの。天皇関連は、自然法的、人権カタログは、自然権的、といった、シロモノであった。当時はそれなりに機能していたのだろう。だから、今でも明治憲法の支持者はすくなからず存在する。

⑤だから、第一論文は、ほとんどフィクションである、第二論文より、危険な書、ということになる。革命の書の本命は第一論文の方である。副島先生の見立てによれば、明治憲法下の天皇制は、プロシャ式だが、内実は、イギリス王室をモデルにしたものだという。そうであれば、結果的に英国王室の存在を否定しかねない、第一論文は、存在できなかった、のではないか、と私、伊藤は考える。

⑥2000年に入って、完訳がでてきたのは、第一論文の危険性が薄まったため。それは、天皇家の代替わりにも関係ある、のではないかと思うが、今のところ確信はない。これについては、ゆっくり考えることにする。多分急ぐこともあるまい。とも思っている。今回は、ここまで。

以上、伊藤睦月拝

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伊藤 投稿日:2025/08/15 08:03

【659】覇権アメ第4章を読む(4)アメリカ合衆国は、「近代思想」による世界初の、そして成功したほとんど唯一の人工国家である。(続)

伊藤睦月です。本日は、2025年8月15日です。朝7時過ぎくらい。

1)この項で、お伝えしたいのは、226ページの「ヨーロッパ政治思想の全体構図」という、1枚のポンチ絵。30年前、この絵を見たときの衝撃は、今でも忘れない。この本を第1章から順番に読んできて、感心しつつも、頭にストレスが溜まってきたところで、この絵をみて、スッキリさせられた、というもの。思想を「微分」するという、アイデアはとても新鮮だった。ここで、「ヨーロッパ政治思想」、というのは、「世界覇権国(アメリカ)の保守思想」、だろうという、重箱の隅をつつくことしかできないが。

2)ここで、確認しておきたいのは、アメリカ政治思想対立の本命は、自然法派(バーキアン)対人定法派(バーキアン)だということ。自然権派(ロッキアン)、人権派(現代リベラル派)、動物の権利派(アニマルライツ派)は、自然法(人間の意思を超えるものがある)を前提している、という点で、自然法から展開されたもの。外見や事象はずいぶん違うが、根っこは同じ。ああ、そうか。

3)しかし、現実の社会や政治世界を形作っている政治思想は、自然権と人権であり、これによる人工的な、国造りに最初に成功したのが、アメリカ合衆国、(人工ではない、という意味で)自然国家を人工的な改造手術(これをソーシャル・エンジニアリング、社会工学というらしい)を施して、大成功を収めたのが、わが国、日本、であるらしい。中途半端な結果に終わったのが、フランスとドイツ(ワイマール共和国)それぞれ明暗が分かれ、悲喜劇を繰り返している。違う改造手術を施されたのが、ロシア。後、イタリアとかスペイン、ギリシャの例もあるが、そこは、置いといて、おおざっぱなくくりでとりあえずは、十分かと思っている。

次からは、少し、重箱、というかウンチクに入らせていただく。悪しからず

以上、伊藤睦月記

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伊藤 投稿日:2025/08/14 10:05

【658】覇権アメ第4章を読む(4)アメリカ合衆国は、「近代思想」による、世界初の、そして、成功したほとんど唯一の人工国家である。(イントロ)

 伊藤睦月です。本日は、2025年8月14日です。これからは、私が覇権アメ、特に第4章を読んで、あれこれ思いついたことを書く。その大半は、副島ファンや政治思想史を多少ともかじった方なら、当たり前すぎて、「それが何か?」と言われそうな内容だ。ちょっと気恥しいが・・・

1)この本は、20世紀、21世紀前半の「世界覇権国」である、アメリカ合衆国の政治思想ガイドブックである、当たり前だろ、といわれそうだが、実はあたりまえでない。現在わが国に、流布している。「政治思想本」は、この本を除き、すべて、「欧米」(古代ギリシャ・ローマを含む)の政治思想本である。アメリカ合衆国のそれにフォーカスした本は、すくなくとも、この本の初版本(現代アメリカ政治思想大研究)が出現した1995年以前には、一般向けの本としては、存在しなかった。と、あえて言い切ってしまおう。

2)この本の第4章は、バーク由来の「自然法思想」とロック由来の「自然権思想」という、二大保守思想の対立から、話が始まっている。ここであえて、問うが、なぜ、バークなのだ。バークは、アメリカ独立戦争には理解を示したが、フランス革命は否定した。それはなぜか。バークは、英国のホイッグ党の政治家として、活動した政治家だ。英国では、彼は保守政治家とはみられていなかったのではないか。では、なぜ米国では保守、とみなされているのだろうか。(この答は、覇権アメのどこか、に書いてありますが、わかりますか?)

3)英国政治史において、ホイッグ党対トーリー党の対立は、高校教科書レベルのトピックスだ。後世、自由党対保守党の英国二大政党制、自由党の代表的政治家は、グラッドストーン、保守党の代表は、ディズレーリ、2人はライバル、とセットで覚えたものです。

4)そして、自由党は、いつしか労働党にその地位をとってかわられ、「自由民主党」という少数政党になってしまっている、まるでわが国の「社民党」みたいだ。

5)英国では、18世紀に、スコットランドを併合して、「連合王国」となるまでは、「イングランド王国」であったが、英国に限らず、欧州の「保守派」というのは、王制支持者、つまりは、「王党派(トーリー)」のことだ。ホイッグ党は、王権制限派であって、長年、トーリー党と対立抗争を続けていた。

6)ホイッグ党(派といったほうが、正確かも)、の最過激派集団が、クロムウェル率いる「清教徒」’共和制派)で1649年に時の英国王の首をちょん切った。クロムウェルの死後、1660年に王制が復活したが、1688年にホイッグ党の穏健派とトーリー党(当然、英国国教徒)とで、カトリック教徒の王様を追放して、オランダから王様を擁立した。(名誉革命)

7)だから、当時英国では、ホイッグ(山賊という意味の俗語らしい)は由緒正しい保守派(トーリー)からすれば、かつて、王様の首をちょん切った「反逆者」の末裔で、とんでもない連中だ。その仲間である、バークが保守、であるはずがない、ということになる。なるが、新大陸では、違うのである。バークが生きた時代には、ホイッグが穏健化して、王様の存在は認めて、穏健化してきた、ということもあるだろう。名誉革命を主導した政治思想は、ロックの「自然権思想」である。

8)新大陸では、英国本国では、「反逆者」扱いである、ホイッグたちが、迫害を逃れてきて、植民してきた。彼らが新大陸の先住者(ここでは、ネイティブアメリカンの存在は無視・迫害された)、支配者層になった。そしてホイッグの思想、バークの思想が、米国の由緒正しい政治思想(保守思想)のひとつ、となった。だから、独立戦争の時、バークは、植民地側に理解を示した。だって元は思想的には、仲間だもの。それに、フランス革命のような混乱がなぜか起きなかったからだと思う。もし、そのようなことが起きれば、バークは、独立戦争にも反対したであろう。

 伊藤睦月です。次は、ロックの「自然権思想」にかかわるお話になる。以前にも述べたが、以上のことは、ほとんどすべて、副島先生か、小室直樹博士の本を読めばわかること。高校教科書を注意深く読めば、わかるレベルだ。その程度なので、悪しからず。次から、本題。

以上、伊藤睦月記

 

 

 

 

伊藤 投稿日:2025/08/13 09:41

【657】覇権アメ第4章を読む(3)ちょっと気になることが・・・「青山直篤」という人物。

伊藤睦月です。本日は2025年8月13日です。

 1)先日、NHKBSをチラ見開いていたら、イーロンマスクを特集していて、彼の背後にいる理論家、という位置づけで、カーティスヤービンの紹介、インタビューを放送していた。ヤービンについては、「暗黒啓蒙主義」とか「君主制」といったキーワードで、今日のボヤキや重たい掲示板で、副島先生や、古村さんが以前に紹介していたような。さすがに早いな、と感心していたところ。

2)で、たまたま、今朝コンビニで買った朝日新聞(総合2:時々刻々)に「トランプ主義亀裂」という大見出しに「旧来支持者vsテック右派」、「移民やAI政策 保守派も応戦」「暗黒啓蒙」思想家ヤーレビン氏影響力増す」「民主主義を否定」「王が必要」という、中・小見出しが踊っていた。

3)また、テック右派の人物として、カーティスヤービン、イーロンマスク、マークアンドリューセン、ピーターディール、「多様な人物が混在する「トランプ主義」」に連なる人物群として、スティーブ・バノン(MAGA),JDバンス(副大統領)、マージョリーテイラーグリーン(トランプ側近の強硬派議員)、パトリックデニーン(カトリック保守)が紹介されていた。これらの人物については、すでに、副島=古村の観察、分析が始まっているだろう。のでそれを楽しみにしよう。

4)私が気になったのは、この記事の執筆者「青山直篤」と」いう人物。「なおたか」「なおあつ}とでも読むのだろうか。

5)朝日新聞のhpによると、1981年生まれ、東京大学法学部卒、現在朝日新聞ニューヨーク支局長。記事書署名には、(バークリー=青山直篤)となっているので、バークリーが人名でなく地名なら、カリフォルニア(ucla)で書かれたものだろうか。

6)青山氏は、高校生時代に「プルデンシャルクラスルーム」というプログラムに参加して、渡米してしている。このプログラムの詳細は知らないが、将来、「アメリカ帝国と属国日本とのカウンターパート候補」として育てられている人物なのかな。

7)大学時代は、北岡伸一のゼミにいたようだから、そういったつながりがある人物なのだろう。あくまでも「候補」として、育成、観察されているようだ。

8)こういったことを「世代交代」というのだろうが、日米とも新しい担い手が胎動し始めている、ということなのだろう。

9)まあ、私のできることは、「覇権アメ」を読み返して、あれこれ思いめぐらすことぐらいか。

福岡は、豪雨過ぎて、また猛暑復活のようです。ご自愛を。

(以上、伊藤睦月記)

 

 

伊藤 投稿日:2025/08/13 06:35

【656】お断りを2つほど・・・

伊藤睦月です。本日は、2025年8月13日、です。

わたしのとうこうに関し、お断りを2つ。

1)まず、私の投稿の編集がうまくいかず、非常に読みにくくなっている。これは、私のスキル不足によるもので、申し訳ない。将来、編集スキルを身に着けたら、修正します。あしからず。

2)次に、言わずもがな、のことかもしれないが、この文章は、「私、伊藤が、副島先生の本を、こう読んでいる」と勝手に披露している、というものであって、私独自の知見はほとんどない。私の読み違え、誤解、ということはありえる。私が「重掲」ではなく、「ふじむら」に投稿しているのも、その保険のようなものであるので、悪しからず。

では、投稿を続けます。折からの酷暑、ご自愛ください。

伊藤睦月拝

 

 

 

伊藤 投稿日:2025/08/12 10:03

【655】議論とは、相手を言い負かすことではなくて、自分の弱点を徹底的に考えることである。ー「覇権アメ」第4章を読む(2)

2、第4章の理解のキモ(ここだけは押さえよう)

伊藤睦月です。本日は、2025年8月12日です。この文章の引用から。この文章を十全に理解し、運用できれば、この本を最低限マスターしたことになる。

(引用はじめ)・・・これで、アメリカの法思想界の対立軸の背景にあるものを説明した。そしてそれらは、大きく①のナチュラル・ロー(バーキアン)派、➁のナチュラル・ライツ(ロッキアン)派、③のヒューマンライツ(リベラル)派、そして④のポジティブ・ロー(ベンサマイト=リバータリアン)派の四つの対立図式であると考えることができた。この対立図式はそのまま、政治思想の対立図式でもある。

(引用終わり:覇権アメ246P)伊藤睦月です。各派の基本コンセプト、他派との違い、関係などは、覇権アメ本文を熟読してください。一読しただけで、わかったような気になってしまうが、騙されないように。私がそうだったから。これを曼荼羅風に表現したのが、「現代アメリカ政治思想各派見取り図」であり、アメリカ政界の派閥対応関係を表現したのが、「アメリカ政界の思想派閥の全体図」である。ニュースなどのメディアで、アメリカ政治関連の報道があるごとに、この2つの鳥観図を念頭に置けば、大きくは迷わない、簡単なようでなかなか一筋縄ではいかない。私もそのひとりだ。あとは、私なりに理解していることをいくつか。

3 アメリカ政治思想は、共和党(コンサバティブ)の思想派閥の動向がメイン。民主党(リベラル)の思想派閥は、それほど難しいものでは、ないらしい。

4 コンサバティブの思想派閥(全体図から)

①ネオ・コン派(こうもり集団)

➁サプライサイダー派

➂保守本流派(バーキアン)

④アイソレーショニスト派

⑤チャイナ・ロビー派(反共・台湾独立支持派)

⑥宗教右派

⑦リバータリアン派

※民主党(リベラルズ)各派(あ:大労組リベラル穏健派、い:急進リベラル派、う:「ネオリベラル」派、え:「ニューデモクラット」派、のリベラル4派と、共和党(コンサバティブ)の①ネオ・コン派、➁サプライダー派、③保守本流派(バーキアン)が、「グローバリスト連合」、それ以外(④アイソレーショニスト派、⑤チャイナ・ロビー派、⑥宗教右派、⑦リバータリアン派)は、「反グローバリスト連合」、これだけ教えてもらえば、いくら鈍感な私でも、以下のことくらいはわかる。

1)かつて、1980年代のレーガン時代には、民主党→共和党へ「転向」した一派(ネオコン派)が躍動した。そして、冷戦終結に貢献した。レーガン以後は、民主党(リベラルズ)の思想のうち、穏健派が優勢となった。冷戦の勝利に酔って油断したのだと思う。2001年9月11日は、冷戦勝利で、かえって存在理由を失った、ネオコン派を中心とする「グローバリスト連合」(強硬派)の策動だったのだろう。

2)いわゆる、2010年代トランプ支持で、躍動したのが、アイソレーショニスト(アメリカファースト!)、チャイナロビー派(反共右翼)、宗教右派、リバータリアン、といった、反グローバリスト連合であった。彼らの全部または一部が「岩盤支持層」と呼ばれたり、「宗教右派」の躍動の一部が、日本のメディアでも話題になった。

3)また、彼らの躍動により、「でいーぷ章の理解のキモ(ここだけは押さえよう)

 

伊藤睦月です。本日は、2025年8月12日です。この文章の引用から。この文章を十全に理解し、運用できれば、この本を最低限マスターしたことになる。

 

(引用はじめ)・・・これで、アメリカの法思想界の対立軸の背景にあるものを説明した。そしてそれらは、大きく①のナチュラル・ロー(バーキアン)派、➁のナチュラル・ライツ(ロッキアン)派、③のヒューマンライツ(リベラル)派、そして④のポジティブ・ロー(ベンサマイト=リバータリアン)派の四つの対立図式であると考えることができた。この対立図式はそのまま、政治思想の対立図式でもある。

 

(引用終わり:覇権アメ246P)伊藤睦月です。各派の基本コンセプト、他派との違い、関係などは、覇権アメ本文を熟読してください。一読しただけで、わかったような気になってしまうが、騙されないように。私がそうだったから。これを曼荼羅風に表現したのが、「現代アメリカ政治思想各派見取り図」であり、アメリカ政界の派閥対応関係を表現したのが、「アメリカ政界の思想派閥の全体図」である。ニュースなどのメディアで、アメリカ政治関連の報道があるごとに、この2つの鳥観図を念頭に置けば、大きくは迷わない、簡単なようでなかなか一筋縄ではいかない。私もそのひとりだ。あとは、私なりに理解していることをいくつか。

 

3 アメリカ政治思想は、共和党(コンサバティブ)の思想派閥の動向がメイン。民主党(リベラル)の思想派閥は、それほど難しいものでは、ないらしい。

 

4 コンサバティブの思想派閥(全体図から)

 

①ネオ・コン派(こうもり集団)

 

➁サプライサイダー派

 

➂保守本流派(バーキアン)

 

④アイソレーショニスト派

 

⑤チャイナ・ロビー派(反共・台湾独立支持派)

 

⑥宗教右派

 

⑦リバータリアン派

 

※民主党(リベラルズ)各派(あ:大労組リベラル穏健派、い:急進リベラル派、う:「ネオリベラル」派、え:「ニューデモクラット」派、のリベラル4派と、共和党(コンサバティブ)の①ネオ・コン派、➁サプライダー派、③保守本流派(バーキアン)が、「グローバリスト連合」、それ以外(④アイソレーショニスト派、⑤チャイナ・ロビー派、⑥宗教右派、⑦リバータリアン派)は、「反グローバリスト連合」、これだけ教えてもらえば、いくら鈍感な私でも、以下のことくらいはわかる。

 

1)かつて、1980年代のレーガン時代には、民主党→共和党へ「転向」した一派(ネオコン派)が躍動した。そして、冷戦終結に貢献した。レーガン以後は、民主党(リベラルズ)の思想のうち、穏健派が優勢となった。冷戦の勝利に酔って油断したのだと思う。2001年9月11日は、冷戦勝利で、かえって存在理由を失った、ネオコン派を中心とする「グローバリスト連合」(強硬派)の策動だったのだろう。

2)いわゆる、2010年代トランプ支持で、躍動したのが、アイソレーショニスト(アメリカファースト!)、チャイナロビー派(反共右翼)、宗教右派、リバータリアン、といった、反グローバリスト連合であった。彼らの全部または一部が「岩盤支持層」と呼ばれたり、「宗教右派」の躍動の一部が、日本のメディアでも話題になった。

3)彼らの躍動により、「ディープステート」(その一部がかつて「軍産複合体」とよばれた)の存在が明らかになった。(さらに、その上位に位置する、カバールの存在が、副島=西森により日本に紹介された。)また、旧来の陸・海・空軍にではなく、宇宙軍、サイバー軍に新しい「利権」を見出した、イーロンマスクに代表される「新・軍産複合体」の存在、胎動、も確認された。(これは、副島=古村の業績だと思う)

4)反グローバリスト連合に対する、グローバリスト連合による切り崩し工作の先兵となっているのが、それまでリベラルズに浸透していた、いわゆる「ムーニーズ(旧統一教会系のカルト集団とそれに対するシンパ)で、まずは、反共というコンセプトで、チャイナロビー派に食い込んだと思われる。チャイナロビー派は、そもそも第二次世界大戦中の中国戦線で、蒋介石(国民党軍)の義勇軍(フライイングタイガーといって、ゼロ戦と死闘を繰り広げた)がルーツだから、世代交代の際に侵入したのだろう。それから誰がどう浸透したかは、私には、正直わかりません。

5)トランプは、当初は、民主党支持のニューヨーク大富豪のひとりであったが、たたきあげの不動産屋、土建屋出身として、共和党に入党、反グローバリスト連合の旗頭となって、ポピュリスト支持の2人目の大統領となった。

6)ちなみに、一人目はアンドリュージャクソン(「ジャクソニアンデモクラシー」は「猟官制」とのセットで、高校教科書レベル、少なくとも私の世代は。)、本来2人目になるはずだった、民主党と人民党(ポピュリスト党)両方の支持をえたブライアンは、大統領選で共和党候補に敗れた。

7)ブライアンは、それなら、と担ぎ上げたウイルソンに裏切られ、グローバリスト連合に加担された。失意のブライアンは、ウイルソン大統領の論功行賞で、一応国務長官になった。第1次世界大戦でアメリカの参戦が遅れたのは、国務長官のブライアンに代表される、反グローバリスト連合が抵抗したから。

8)グローバリスト連合に加担していた、ウイルソンは、1915年にブライアンを罷免し、第1次大戦に参戦した。戦後国際連盟の創設を提唱したが、反グローバリスト連合優勢の議会により、米国加盟は阻止された。これも、テーマ自体は高校教科書レベルである。

9)以上からすれば、国際連盟、国際連合は、グローバリスト連合により、つくられたものであり、トランプ及びトランプ勢力から、目の敵にされている背景がわかるだろう。

10)そして、2人目のポピュリスト大統領トランプの変節(副島先生の見立て)による動向を見極める一つの手がかりが、国際連合への態度になるのかな。

伊藤睦月です。覇権アメからは、まだ、インスパイアされているが、それらについては、また後日。とにかく、第4章を読み込むことが、「副島学」入門のツボだということが、言いたかったために、長々書いてしまいました。「そんなこと、わかりきっている」という方々、恐縮です。でも「ふじむら掲示板」なら許されるよね!

以上、伊藤睦月拝

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

伊藤 投稿日:2025/08/11 15:32

【654】議論とは、相手を言い負かすことではなくて、自分の弱点を徹底的に考えることである。ー「覇権アメ」第4章を読む。(1)

 伊藤睦月です。本日は、2025年8月11日です。最近の副島先生による、米国政治情勢分析を、読み解くためには、「世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち(通称「覇権アメ」講談社アルファ文庫1999年)の第4章の理解が必須だとのこと。ご本人が強調しておられる。

 この文庫本にして400頁余の本は、「属国日本論」と並び、副島隆彦の主著とされ、「副島学」入門者は、まず、この2冊を読め、ということになっている。(学問道場ホームページ)

 そこで、この「覇権アメ」特に「第4章「法」をめぐる思想闘争と政治対立の構図」について、私の理解しているところを書く。まあ、副島学徒としては、凡庸な学力しか持ち合わせていない、年金暮らしの貧乏老人の繰り言のようなものだから、「ああ、この程度か」と思っていただければ、それで結構。この文庫本は皆さんお持ちである、という前提で書かせていただく。

1、「覇権アメ」の全体構成(まずここを押さえよう)

この文庫本は、次の構成から編集されている。

1)文庫本のためのまえがき

2)凡例

3)現代アメリカ政治思想各派見取り図

4)アメリカ政界の思想派閥の全体図

 伊藤睦月です。この本は、上記1)、3)、4)を理解し、運用能力を身に着けさせることが、目的である。

以下、第1章~第9章は、そのための各論、補足説明である。なお、巻末の

5)単行本のあとがき

6)人名索引

7)付録1 シンクタンク(研究所・研究財団)一覧

8)付録2 政治評論誌一覧

9)付録3 政治討論・ニューズ番組一覧

 伊藤睦月です。この巻末付録は、専門家であればあるほど、「おいしい」資料だ。本書の初版は、1995年の「アメリカ政治思想大研究」(筑摩書房)で、2024年最新のアップデートが必要だとも思うが、私の能力を超える。

 なお、第1章~第9章の表題は以下の通り。

第1章 「ネオ・コン」派の正体

第2章 共和党保守本流という存在

第3章 試練に立つ民主党リベラリズムと行動科学

第4章 「法」をめぐる思想闘争と政治対立の構図(今回の主目標)

第5章 ユダヤ系知識人と財界人の政治力

第6章 リバータリアン保守思想の台頭

第7章 宗教右派の運動と社会問題対立の激化

第8章 黒人イスラム勢力の動き

第9章 左翼知識人と急進左翼運動の現在

 伊藤睦月です。これだけのラインナップで、アメリカ政治思想全体を見渡した本や論文集は、わが国においては、個別テーマ別にはあったかもしれないが、以前は存在しなかった。もしこれらを改変、アップデートする必要があるとすれば、それは、この本がみずから、そうした、というほかはない。唯一無二の本。

 さて、イントロはこれくらいにして、次回から、第4章を読んでみることにします。

以上、伊藤睦月拝

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なお、この

 

 

伊藤 投稿日:2025/08/08 13:28

【653】ゼレンスキー(ウクライナ)には、国際政治の当事者ではない。それは日本も同じ。勘違いせずに、その制約下で何ができるかだ。

伊藤睦月です。まずは、「覇権アメ」から引用。

(引用はじめ)

国際政治における「リアリズム」Rialismというのは、簡単に言えば、「ある国の国内問題のゴタゴタの内容がどのようなものであれ、そのことと国際政治とは無関係だ。それらの国内問題とは無関係に、その国の国家的運命は、周りの国々、とりわけ強大な国との関係によって、決定される」という理論である。要するに「小国や普通の国の運命は、アメリカやソビエト(現ロシア)という覇権国どうしの覇権抗争の中で決定されてゆくのだ」という冷酷な理論である。(覇権アメ第2章、講談社アルファ文庫版114p)

(引用終わり)

伊藤睦月です。真正の副島ファンなら、この引用だけで必要充分だろう。余計なおせっかいだが、少し補足する。

1)ウクライナ紛争に関して、米ロ(トランプ=プーチン間)で停戦協議が行われており、ゼレンスキー(ウクライナ)が不服を述べているが、これは、リアリズムの政治世界においては「仕方がないじゃん」ということになる。

2)ゼレンスキーは、「EUも当事者だ」と主張しているが、EU自体がそうではないことは十分にわかっている。それは英国も同じ。

3)ブレジンスキーが「グランドチェスボード」で、プレイヤーとした「ユーラシア覇権の当事者」(ロシア、中国、英国、仏国、いわゆる国連安保理常任理事国)のち、実質当事者は中国。ロシアも実は過去の栄光に敬意を表されているだけでは。)

4)だから、EU、英国は、一応トランプとは話をするが、ゼレンスキーとは、愚痴を聞いてやるだけ。それどころか、関税協議を通じて、米国式の軍備体系をある程度受け入れざるを得なくなって、一層属国化が進んだ、とも思える。

3)だからゼレンスキーとしては、18世紀の「ポーランド分割」の轍を踏まないよう、19世紀の「ベルリン会議」における、英仏のようにうまく立ち回れればよいが、当時からのロシアにとって、「悲願であった」クリミア半島は、あきらめる、あきらめさせられる、そこらへんで、手を打つべきだ。ゼレンスキーは失脚するかもしれないが。そこが彼の試金石。

4)リアリズムは、それと対立する「理想主義」(カント「永遠平和のために」)と違って、一見根本的な解決にはならないが、これ以上の流血を止めるという、必要最小限度の効用はある。トランプはそれしか考えていないだろう。

 ガザの事例も同じ。というか、ハマスはそもそも国家ですらないのだから、パレスチナの「意思」は入らない。(だからEUがパレスチナを国家承認をしてネタニヤフとトランプにちょっかいを出している。彼らは、状況によってすぐに撤回するのではないか)

(ここで、さらに引用する。)

 つまり、国家というのは、それぞれひとつずつが、ビリヤードの玉のようなものであって、他の玉がぶつかってくるととピーンと弾き飛ばされて別の玉にぶつかってゆく。その国の国内の事情がどのようなものであろうとも、それらの内部関係とは無関係に外部的な理由だけで決定されるのである、とする理論である。日本が戦後半世紀にわたって西側世界(自由陣営)に組み込まれ、アメリカの核の傘に守られてきたという冷厳な事実もこのリアリズム(現実主義)からのみ説明がつくのである。

(引用終わり:覇権アメ114P)

伊藤睦月です。現実主義は、「外圧主義」、だから、「内圧の状況、石破おろしのようなものは、関係ないのでは」だから石破も粘り腰になれる。本日のドタバタ(8月8日の両院議員総会)がどうなるのだろう。

また、今般の関税交渉も、この文脈で読み取れるのか。なにか違うような気がするが。

ま、現役引退した年寄りの独り言だけど。次は、「覇権アメ」の第4章を読んでみよう。

以上、伊藤睦月筆