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Loginはこちら【3064】[3564]ジェーン・バーキンの死(76歳)から思うこと。
副島隆彦です。今日は、2023年7月23日(日)です。
私は、フレンチpop(モダンなシャンソンと言ってもいい)の 歌手の ジェーン・バーキン Jane Birkin の死のことがずっと気になって、もう一週間が過ぎた。
この7月16日に、76歳で死去した、ジェーン・バーキン Jane Birkin は、フランスの アイコン(icon 現代のミューズ。女神さま。元々は英国人 )として、フランス国民、いやフランス語が少しでも理解できるヨーロッパ白人たちすべてに 憧(あごが)れられ、尊敬され続けた歌手で映画女優だ。 以下の記事の写真のように、最後は、にっこり微笑(ほほえ)んでいる、お婆(ばあ)さんだった。
(転載貼り付け始め)
〇 「ジェーン・バーキンさん死去 エルメスのバッグ「バーキン」由来 」
2023年7/16(日) 朝日新聞
2021年7月、カンヌ国際映画祭で写真撮影に応じるジェーン・バーキンさん=ロイター
英国生まれの俳優で歌手のジェーン・バーキンさんが7月16日に亡くなった。76歳だった。フランス文化省が同日、発表した。
フランスメディアなどは、近親者の話として、バーキンさんはパリの自宅で亡くなっているところを発見されたとしている。バーキンさんは以前から心臓病を患っており、2021年には軽い脳卒中を起こした。
2人目の夫、セルジュ・ゲンズブールとともにヒット曲を生み出し、過激な性描写でも話題になった「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」(1969年)は世界的ヒット曲に。
同曲をモチーフに、同じタイトルで夫が監督した映画も話題を呼んだ。ほかにもヒット曲「無造作紳士」、カンヌ国際映画祭最高賞の「欲望」など幅広く活躍し、ファッションモデルとしても活動。
仏ブランド「エルメス」の人気バッグ「バーキン」の名前の由来にもなった。同社の公式ホームページによると、バーキンさんとエルメスの会長が飛行機に乗り合わせたのがきっかけで誕生したという。
東日本大震災の翌月に来日し、その後も世界各地でチャリティーコンサートを開いた。娘のシャルロット・ゲンズブールも俳優で、初監督作で母の素顔に迫るドキュメンタリー「ジェーンとシャルロット」が8月に公開を控えている。 朝日新聞社
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。この記事を私は、早朝ネットで読んで、彼女の死を知って、私は、涙ぐんだ。彼女の死への哀悼(あいとう)と共に、過ぎ去っていった自分の過去の30年前への哀感(あいかん)だ。
今の私は、古びた新左翼(しんさよく new left ニュー・レフト)のままの政治知識人 であり、金融・経済の予言の本を書いて食べている日本の言論人だ。私も老い浚(さらば)えた。ジェーン・バーキンは、私よりもたった7歳上だった。
私にも普通の日本人の若者としての、50年前の青春があった。数人の女性との深い付き合いがあった。地方出身の貧乏な青年だったから、女性関係では、いつも相手を傷つける形での残酷な終わり方をした。どんな人にとっても、青春はきっと惨(みじ)めで、愚かで、残酷で、甘酸っぱいものだろう。
若い男女が愛し合って、そして分かれる(決裂と離別)という体験は、その2人だけのものだ。だが多くの男女が、過去に苦(にが)い思い出として経験している。一緒に生活出来なければ、分かれるしかない。ただし、人(他の人たち)にあれこれ言うことではない。私生活の秘密( privacy プライヴァシー)に属する、private プライヴェット なことだ。それでも、自分のごく身近な長年の友人たちは、それを知っている。 2つ目の新聞記事を貼る。
(転載貼り付け始め)
〇 「 発禁 「性交ソング」 で時代に衝撃 バーキンさん死去 」
2023年7/17(月) iza (産経新聞のウェブ版) パリ 三井美奈 筆
フランスの歌手で女優のジェーン・バーキンさんが、7月16日、76歳で亡くなった。日 本では、高級ブランドのバッグ「バーキン」の由来となったことで知られる。フランスでは1960年代、事実婚の夫、故セルジュ・ゲンズブールとともに「性解放と自由」のシンボルとなったことで、国民の記憶に刻まれている。
【写真】2011年4月、東日本大震災支援のチャリティーコンサートで来日したジェーン・バーキンさん
仏テレビ各局は、7月16日、バーキンさんを悼み、69年のヒット曲「ジュ・テーム・モワ・ノンプリュ」を流し続けた。 題名は「 愛しているわ。(あなたは? )さあ、どうかな、俺はもう愛していない (副島隆彦が、挿入し、加筆した訳。本当は愛している)」の意味。ゲンズブールと2人で性交中の男女の会話を歌い、喘ぎ声まで挿入されている。
エロティックな歌詞は欧州でセンセーションを起こし、バチカンのローマ教皇庁は「性の逸脱」と非難した。イタリアでは(当時)放送が自粛された。バーキンさんは当時、22歳だった。
ロンドンで英軍人の家庭に生まれ、女優としてデビュー。最初の夫と離婚後、パリに活動拠点を移し、ジャン=リュック・ゴダール監督の映画「右側に気をつけろ」にも出演した。 ゲンズブールとは1968年、映画共演で知り合った。 有名なバッグ「バーキン」は、1984年、高級ブランド「エルメス」社長が飛行機内でバーキンさんの隣に座ったのがきっかけで生まれた。
エルメスのバッグは、モナコのグレース・ケリー王妃が愛用した「ケリー」が代表的だったが、3女の母親だったバーキンさんが物がたくさん入るよう、「4倍大きいバッグを作って」と提案したという。
抜群のスタイルと都会的なジーンズ姿で、女性たちのファッション・リーダーとなった一方、人権、社会活動にも熱心だった。2011年4月、東日本大震災から1カ月も経たないうちに訪日し、東京で復興支援コンサートを実施。「みなさんの冷静で、隣人を思いやる振る舞いに、みんなが心を打たれています」と被災者にエールを送った。
(副島隆彦加筆。さらに12月にも東京国際フォーラムCホールで、チャリティ・コンサートを開いている) (パリ 三井美奈)
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。次の一枚の写真が、その後の楽しそうな家族全員の再会を撮っている。
(副島隆彦から。ここに、画像を一枚貼る 私のGZEにある )
1986年2月27日、シャルロットはクロード・ミレールの『なまいきシャルロット』の 役でセザール有望若手女優賞を受賞した。ケイト・バリー、ジェーン・バーキン、セルジュ・ゲンズブールに囲まれるシャルロット。 photo : PAT/Getty Images
副島隆彦です。次に、いよいよ、この曲(1969年)の 最高の、ユーチューブの公式版を見て下さい。今聞いても物凄いです。このパリのエッフェル塔の下とか、シテ(中の島)のポンヌフの辺りで、ふたりで抱き合って歌う様子が、すべてを突き抜けて、すばらしい。
〇 Serge Gainsbourg Jane Birkin Je t’aime, moi non plus Subtitles – YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=dn7-jOgiP14
Serge Gainsbourg Jane Birkin Je t’aime, moi non plus Subtitles
この「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」は、屹度(きっと)今の 10代、20代の若い人たちにも、受け継がれて、今から日本でも、再(さい)大ヒットすると、私は確信する。
早くアメリカのくだらない、あのハリウッドのバカ映画たちの時代が終わって欲しい。50年前(1970年)までは隆盛していた、フランスとイタリアと、ドイツとスウエーデン(例えイングール・ベルイマンの)ヨーロッパ映画たちの時代が、戻って来て欲しい。
やっぱりフランス文化が最高だ。もうこれ以上のものは人類にはない。
そして、さらに真実は、この Serge Gainsbourg セルジュ・ゲンズブール と Jane Birkin ジェイン・バーキンの愛(1968年から1980年までの12年間。あとは家族愛として)が、人間の生(なま)の生(せい)のプロモーションとして最高だ。
私たち人類(人間)の芸術と 文学と 政治のすべては、共同の幻想( mass illusion マス・イルージョン)だ。すべては、人間と言うおかしな生き物が、集団で、共同で作り出す、幻想だ。生(なま)の現実の、私たちのそれぞれの、生活の外側のすべては。
このすべては共同幻想(きょうどうげんそう)である論は、私、副島隆彦の先生だった、日本の思想家の吉本隆明(よしもとりゅうめい、2012年3月、87歳で死)が作って唱えた理論だ。例えば、宗教 とか、国家そのものが、人間の共同幻想だ。
ジェーン・バーキンから、生まれた「エルメスの “バーキン”バッグ の始まり」の私なりの理解は、あとの方で書きます。
私は、この数週間で、次々と語り下ろしで、重要な人たちの一生を振り返っている。去年死んだ、フランスの偉大だった、アヴァンギャルド(前衛)で、ヌーベルバーグの旗手の映画監督、ジャン・リュック・ゴダール のこと。
それから、天才芸術家の、パブロ・ピカソが、なぜ人類の大(だい)天才の画家だったのか、を最後まで生きた、愛人のフランソワ・ジローの101歳の死(6月6日)に触発されて、ピカソのことを、私は大きな謎解きとして語った。 それから、アラン・ドロンの、老体の老醜の話も聞いた。
アラン・ドロンの映画「太陽が知っている」(1968年)に、何と、ジェーン・バーキンが出ていた。セルジュ・ゲンズブールと出会う直前だ。
ゴダールの出世作 「勝手にしやがれ」(1960年作)でデビューした、ジャン・ポール・ベルモンドも、去年の9月に死んだ。アラン・ドロンが、老骨に鞭打ってその葬儀に出来てきた。そこに例のヒロミという、ドロンの別荘(ビッラ)で20年以上、家政婦としてドロンの身の回りの世話をした(共棲でもある)日本人女性が背後に写っている。
アラン・ドロンの、衝撃的な映画「太陽がいっぱい」(ルネ・クレマン監督。ああ、これも「勝手にしやがれ」と同じ1960年作だ)のことも、どうしても書かなければ。
副島隆彦です。 私の頭が、いろいろとこんがらがって、私の脳がおかしくなりそうだ。次に、この「ジュテーム・モア・ノン・プリュ」の曲の6年後に、そのまま、セルジュ・ゲンズブールが監督して、映画(1975年制作)にした。そしてジェーン・バーキンが、主演した。この大(だい)問題作になった映画の、 ユーチューブ版の プレヴュー(宣伝版)を載せます。開いて見て下さい。息をのみます。
〇 【5/29(土)公開】セルジュ・ゲンズブール没後30年記念 初監督映画『ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ 4K完全無修正版』予告編 – YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=KMs0IuA_hGA
【5/29(土)公開】セルジュ・ゲンズブール没(1991年)後30年記念 初監督映画『ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ 4K完全無修正版』予告編
副島隆彦です。私は、久しぶりに、実に38年ぶりに、この映画の情景(シーン)を見て、泣き出した。 私にとっての38年前だ。私はこの問題作の映画を、確か1985年に見たから、私は32歳だった。この映画は、1976年にフランスで制作されたのに、日本ではずっと公開禁止だった。それが公開されたのが、確か10年遅れの1985年だ。私は、勘の鋭い、ちょっと精神的に不安定な女性に強く誘われて、この映画を渋谷に見に行った。評判になっていたのだ。
当時、原宿に「ピテカントロプス」という最先端のファッション・リーダーたちが集まる店が有って、そこは、エディターや、テレビのディレクターや、芸術家たちのたまり場だった。裏の方では、大麻(ハッシッシ)を飲み回ししていた。そういう世界を、私も微(かす)かに知っている。私は深入りはしなかった。
この映画は、はっきり書くと、若い女性が、ゲイ(同性愛者)のキレイな青年と、肛門性交(アナル・セックス)をする映画だ。そこに上記の、ジュテーム・モワ・ノン・プリュの曲が、全体に流れて使われていた。監督と主演が、だから、Serge Gainsbourg と Jane Birkin だった。 きっと今から、今の時代の、まさしく「やおい」そして「ボーイズ・ラブ」の世代の、日本の女の子たちが、この映画を必ず、見るだろう。
この映画に、ジェーン・バーキンが、まるで少年のアドニス のような感じで、登場して、ハンサムの頂点のゲイの若者と、性交をして愛し合う。そして周りから心配される。ゲイにはゲイの男どうしの血の掟(おきて)があるから、このあとが大変だった。愛する人に裏切られたと感じたゲイの少年は相手を殺すことが多い。この映画では、最後は男どうしで、去ってゆく。
今から50年前の、フランス人の芸術家たちは、さっさとここまで突き抜けていた。時代の先端を生きる、ということは、大変なことで、その最先端を生きる芸術家たちが、それを実行し実践する。体制派からの激しい非難 と、社会からの顰蹙(ひんしゅく)買いと 人々からの軽蔑の果てのところで、次の時代が形作られてゆく。
今はこの映画は、完全版が買えるし、ダウンロードも出来るだろう。私は、もう見なくていい。あの時代を、思い出して、泣くぐらいで、もう十分だ。
愛する人との、それそれの時に、愛し合った気(け)だるい時間が、たくさん過ぎ去っていったので、もうそれでいい。いや、それでも、人間にとっては、幾つになっても、今この時の、今の愛も大切だ。
副島隆彦です。次に。さっきネットを開いたら、この「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ」の曲の和訳(日本語訳)が載っていたので、ビックリしたので、転載する。 きっとフランス語が良くできる、優れた女性のウエブサイトだ。
私、副島隆彦が、さらにこの訳に、フランス語が良くできる人に、しつこく聞きだして、ようやく(なんと、38年かけて)分かった、より 正確で、精密な日本語訳を、書き加える。
こんな加筆は余計なことかもしれない。だが日本で、誰かが、これをやらないといけない。外国の文化を、理解し、移植(いしょく。 transplant トランスプラント)し、受け入れ、受容(じゅよう)する、というのは大変なことだ。長い時間がかかる。
(転載貼り付け始め)
「 調子はずれに日々は過ぎゆく 気の向くままの好きなものブログ 」 から
https://ameblo.jp/yy-anette/
「 ジュテーム・モワ・ノン・プリュの和訳 」
2011-06-22 テーマ:フレンチPOP
≪ 和 訳 ≫
愛してる Je t’aime ジュ・テーム 愛してる Je t’aime ああ…愛してるわ・・・・
あなたは? 俺? さあね? moi non plus モワ・ノン・プリュ
ああ…わたしの恋人 oh , mon amour オ・モ・ナムール
打ち寄せるさざ波 la vague のように 俺は Je vais きみの 腰の間 entre tes reins を行ったり来たり きみの腰の間 を寄せてはかえす まだ大丈夫さ
愛してる 愛してる ああ…愛してるわ・・・・
(あなたは?) 俺? さあね?
ああ… わたしの恋人
(ここで、副島隆彦が、執拗に割り込み解説。 この entre tes reins 「アントレ・テ・リアン」 の 「君の腰の間を」 というのは、女性の外(がい)生殖器のことの、フランス語の、婉曲的な表現。
だから、「君の股(また)の間 antre ( アントレ between ) のあそこの部分に、僕の性器を挿入していて、それを、波 la vague ラ・ヴァーグ のように、押したり引いたりする、の意味。副島隆彦の割り込み解説、終わり)
あなたは tu es チュ・エ 、波 la vague ラ・ヴァーグ 、わたしは moi 裸の島 moi lile nue モア・リル・ニュ
わたしの腰に向かって あなたは押し寄せる、そして押しかえす
わたしの腰に向かって 寄せてはかえす
(繰り返し。リフレイン)
Je vais … Je vais et Je Viens ジュ・ヴェ ジュヴァ・エ・ジュ・ビアン
Entre tes reins アントレ・テ・リアン
et je me retiens 私は、もう抑えきれない。我慢できない エ・ジュ・ム・レ・ティアン
(ここで、ライム rhyme 韻=いん=を踏んでいる)
そして 一緒に‥…
愛してる 愛してる ああ…愛してるわ・・・・
(あなたは?) 俺? さあね?
ああ… わたしの恋人
肉体の愛 l’amour physique ラムール・フィジーク は 抜け道がない sans issue サン・スエ 終わることがない。出口がない
俺は きみの腰の間 entre ttes riens アントレ・テ・リアン を行ったり来たり
きみの腰の間を寄せてはかえす まだ大丈夫だよ
ああ… わたしの腰に向かって あなたの波は、押し寄せる、そしてかえす
わたしの腰に向かって 寄せてはかえす
そして 一緒に‥…(行きましょう)
愛してる 愛してる ああ…愛してるわ・・・・
(あなたは?) 俺? さあね?
ああ… わたしの恋人
肉体の愛は 抜け道(出口)がない
俺は きみの腰の間 を行ったり来たり
きみの腰の間を寄せてはかえす まだ大丈夫さ
イヤ、今よ! non! mintenant ノン・マンテナン
はやくきて! Viens ! ヴィヤン あああ・・・・
(転載貼り付け終わり)
〇Serge Gainsbourg&Jane Birkin /Je t’aime moi non plus(セルジュゲンスブール&ジェーンバーキン ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ)歌詞付 Lyrics
https://www.youtube.com/watch?v=UatSXpRJ98Q&list=RDEMfrH84jLWBgJWlITvAb3VcA&index=3
副島隆彦です。以上です。スゴいでしょ。以上が、上に載せた、ユーチューブの、この2人のデュエットの歌詞(リリック lyric )と、その日本語訳、および、私、副島隆彦による、しつこい解説の加筆です。
これで、分かったかな。この曲のすばらしさが。私たちは、今から54年(1969年制作)のこの曲に圧倒される。もっと本当は、この曲は、実は、女優のブリジット・バルドー Bregitte Bardot が、当時、愛し合っていたゲンズブールに作らせて、自分で歌ったのが初め(1968年)だ。54年、経(た)った、今だからこそ、今の若い人たちが、この歌を平気で、自然に、歌えるようになって欲しい。
副島隆彦です。 私は、エルメス Hermes の バーキン Birkin のバッグの話も、このあと書きたい。短く書く。
私は、「高級品のブランド・バックの世界」のことも、すでに先月、語り下ろしている。それは、学問道場の会員ページに載せる。
ここで、副島隆彦は、「(フランス、イタリア製の)ブランド・バック」と書く。日本の女たちは、ブランド・「バック」 brand back と、敢(あ)えて、無意識に言う。バッグ bag とは、言わない。「バック」だ。このことの深淵(しんえん)に、私、副島隆彦は気づいている。
フランス製の高級ブランド・バックたちは、東京の銀座に、お店が有って、その支店が、日本全国の地方都市のデパートにまで有る。
それらには、超一流から、2流、3流の、さらに 日本国産品の、ほとんど、真似(コピー商品ではない。コピーものの輸入、販売は、日本では犯罪になる)の、どんどん安くなる。一個3万円とかの、まあ、それでも、とってもかわいい日本国内ブランドのバッグたちだ。
その頂点に、エルメス Hermes のバックがある。モナコ公妃(こうひ。プリンセス)になった米女優のグレイス・ケリー Grace Kelly から、作られた ケリー・バッグが、今は、400万円だ。 クロコ(ダイル。最高級の わに革)だと、2千万円する。
〇ケリーバッグを持つ、グレース・ケリー
その次が、シャネル Chanel で、例の C のマークを組み合わせたロゴだ。
シャネルのバッグが、30年前には、20万円、30万円台 だった。今は、私が、今回、調べて、わかったことだが。はっきりと、135万円から140万円(税別)だ。と言うことは、シャネルのバッグ一個で 丁度、ピッタリ、1万ドル だ。このことが分かった。
ここで、天才(バカボン)副島隆彦は、鋭く気づいた。これは世界中の女たちにとっての、「価値の基準だ」。 この、No2 ( 他に、カルティエ Cartier もある。だが、カルティエは時計が主。アメリカのティファニーは宝石が主 ) のシャネル Chanel のバッグが、1万ドル。というのが、世界中の女たちの「価値の基準」だ。次の、 Gucci グッチと、ルイ・ヴィトン Louis Vuitton は、それぞれ 3位、4位だ。そのあと、ずっと、セリーヌ、イヴ・サンローラン、プラダ・・・20位まで。
私は、これまで、この事に気づかなかった。だが、気づいている男は、すべての経済学者や社会学者を含めて世界中にいない。私、副島隆彦だけが鋭く気づいた。
私は、世界中の、金持ちの女たち(つまり、金持ちの男と結婚できた女たち、ということ)と、その予備軍、および、その下の方に付いている、「死ぬほど、ブランド・バックが欲しい」 世界中の女たち。今は、新興国の女たちも。中国人も、イスラム教徒のアラブ世界の女たちも。
彼女たちが、この「価値の基準」 value judgement あるいは、world values ワールド・ヴァリューズ 「世界普遍価値」を作って、堅く守っている。このことを、私は、これまで40年間、分からなかった。 それで、私は、自分の奥さん(になった女性)に、これらのバッグのことで、ヒドイことをした。私の奥さんは、これらのブランド・バックが、大好きな人だった。そしておそらく、今も。
彼女は、「 ブランドバックなんか、ブルジョワ bourgeois 趣味よ」と言って、見向きもしない、左翼あるいは、リベラル派の女では、まったくなかった。私は、このことに気づかなかった。私の奥さんは、まったくの非政治的( a-pollitical エイポリティカル )の 保守( conservatives コンサーヴァティヴ)だ。私は、本当にこの事実に何年も気づかなかった。このことは私の人生の悲劇のひとつだ。
彼女にとっても悲劇だ。右(保守)と、左(左翼、リベラル派)は、一緒に暮らして、夫婦になっても、どうしても話が合わない。おそらく必ずケンカ別れする。
新婚旅行のハワイでも、そのあとの香港でも、ロスアンジェルズでも、私は、彼女に、Duty Free shop (当時は、アゼリア。一流ホテルの横に付いていた)で、自由に買ってあげることが出来なかった。それで激しく大ゲンカになって、それで、彼女を、ひっぱたいたこともある。今のDV(ディ・ヴイ。domestic violence )だ。 私と奥さんに深い亀裂が入り始めたの、その時からだ。 それでも私たちは、離婚はしない。しても仕方がない。あとは、家族愛と、人生の共同体だ。
私は結婚が遅くて、確か38歳だった。物書き、言論人で何とか、自力で食べられるようになるまでは結婚しない、子供を作らない、と決めていた。それまでにいろいろとあったから。 私も、まだ貧乏だった。だから、そんな、当時一個100万円(今は400万円になっている)もした、ケリー・バックや、バーキンを 買ってあげることが出来なかった。今から考えると、本当に泣きたくなる。
だから、ジェーン・バーキンの、以下にたくさん載せる、写真(画像)たちの、バーキン( このバック が彼女の為に出来た 1984年よりも前は、彼女はいつも、必ず便利で軽い、藤(とう rattern ラタン)の丸いバスケット・バッグ を持ち歩いている)の姿を見て、私は、深く思いつめる。
ところが、ところがだ。私の奥さんも、なかなかしぶとくて、おそらく、私が、何とか買ってあげた(許可を出した)バッグや時計や服以外 に、ちゃんと、ケリー(ケリを入れてやる、と、昔、私は喚(わめ)いたことがある)も、バーキンも、ちゃっかり持っている。 いつの間にか、数個ずつ買って密かに持っているようだ。それ以外のものも少しづつ買って貯め込んでいる。詳しいことは知らない。彼女のクローゼットは開けられない。女は、決して、男に負けていない。私は唖然とする。
リスが、巣穴にどんぐりや栗の実を、着々と貯め込むように。女たち(全部とは言わない)は、しぶとくブランドバックを蓄(たくわ)える。これは、世界基準の女たちの行動であって、日本だけではない。
今なら、「買いたいなら買いなさい」と、私が、奥さんに言えるか。と言ったら、言えるわけがない。一個、400万円だぞ! みんな、ブランド品を、バカバカ買えるほど、金持ちではない。日本は、この30年で、本当に貧乏なのだ。金持ち層まで貧乏になっている。アメリカさまに、日本政府が、ふんだくられて、裏金で貢がされるからだ。その総額は、この40年間で、残高 1800兆円(16兆ドル)だ。
その代わりに日本に担保(保証)として渡されているのが、紙切れの米国債だ。金融では、貸借は売買の形をとる。アメリカは、これらの大借金を、1円、1ドルも、日本に返す気がない。 いざという時には、全額、踏み倒す。その時に、米ドルの大暴落を起こす。
私、副島隆彦は、日本一優れた頭脳で、ずっとこのことを自力で、計算して来た。これらのことは、自分の本に書いてきた。
思い出したが、私の奥さん( 配偶者。今はすっかり仲が悪い。あまり口も利かない)が、20年ぐらい前に、ぽつりと言ったコトバがある。「このバーキンの、この品番のものは、サウジアラビアの(首都の)リヤドのお店にあるの」 と。
本当に、この「女たちの価値の基準」は、それぐらい世界規模で、世界基準なのだ。今は、もっと厳しく管理されて、自社の製品のすべての所在を新製品なら把握している。
今や、店舗の前に、列を作らせて、入場制限をして、さらには、なかなかブランド・バックを売ってくれない、という事態にまでなっている。 これまでの、すべての客は管理されていて、バーキンとケリーは、ひとり年に2個までしか売らない。
色や素材違いでたくさんの“バーキン”を所有しているヴィクトリア・ベッカム。
副島隆彦注記。ベッカムの奥さんのヴィクトリアのように、最後まで、気取り続けて・ファッション・モデルをやり続ける女もいる。
そして、これらの高級時計と宝石と、バックと洋服(プレタポルテ、高級既製品)は、実物資産(じつぶつしさん)だ。まさしく、私、副島隆彦が躍起(やっき)になって、「今のうちに買いなさい。どんどん買いなさい 」と、奨めている、実物資産(タンジブル・アセット tangible asset )なのだ。だから、今頃にになって、私は、ヨーロッパ製のブランドバックに目覚めたのだ。 やがて紙切れになると決まっている、ドル紙幣や、米国債とは違うのだ。
30年前(1993年)に、30万円だったシャネルの、使い古したバッグは、リサイクルショップにもって行くと、おそらく元の値段の2割の6万円ぐらいだろう。だが、箱に入って、保証書が付いていて汚れていないと、おそらく20万円で売れる。
バーキンとケリーなら、30年前に、100万円(約1万ドル)だったものが、もしかしたら、200万円で、売れるのではないか。いや、希少価値(スキャーシティ・ヴァリュー scarcity value )が出て、300万円かもしれない。
エルメルもシャネルも、カルチエも、自社の製品の違法コピー商品が、世界中で荒れ狂っていることもあって、どんどん生産を厳しく縮小している。そうすると中古品の値段が、跳ね上がる。
トヨタの「アルファード」(安いので600万円。高いと1千万円) の、新製品の供給が間に合わなくて、2年待ちとかになっているという。そうすると中古のディーラーも、トヨタの系列だから、トヨタは、アルファードの中古がどんどん高くなることを喜んでいる。
だから、ジェーン・バーキンの、これらの写真のように、気さくで、庶民的で、気取らない、高級毛皮(ファー)服反対運動(飼育され、撲殺されるミンクやテンが可哀そう)や環境保護運動や政治運動にも参加した女性のことを、人々は知っている。
ジェーンは、頭のいい、リベラル派の女性だ。そこらのアホの、パープリンの女優や歌手たちとは違う。
日本の東日本大震災の直後に、ひとりで急いで飛んで来て、ジェーンは、被災地の現地を見て回った。支援のコンサートも開いた。渋谷のパルコの前でも歌った。 ジェーンは、自分のバーキン( 赤ちゃんの哺乳ビンが入って、持ち歩ける、大きな手提げバッグが欲しい、から始まった。旅行バッグほどではない大きさ)が古くなると、オークションに出して、チャリティ(寄付)する。
ジェーンが、フランスの周りの人たちに、「危ないから、日本には行かない方がいい」と止められたのに、行くと言って聞かなかった。そして実行した。 津波と原発事故に、世界中から、「日本人はかわいそう」と同情と憐(あわ)れみが集まった。募金もたくさん来た。しかし、私たち日本人は、それどころではなかった。自分たちの安全と、現地の被災者たちの話で、溢(あふ)れていた。同情と連帯の音楽家たちのコンサートなんかピンとこなかった。
それでも、ここからが大事なのだ。現地にいる、原住民である私たち日本人が、どう思っているか、ではないのだ。 世界中の、まわり、が、どう思うかが、重要なのだ。日本人には、知識層を含めて、「まわり(世界)が、日本をどう思っているか」の視点が抜けている。
私、副島隆彦の才能は、いつもここを凝視する。 今回、ユーチューブの、古いニューズ動画のひとつを見て、分かった。 ジェーン・バーキンが、2011年の4月(3.11の1か月後)に、渋谷のパルコ前で、アカペラで歌った後、ボランティアのいかにも、活動家の日本人女性が、ジェーンをバンに載せようとして、英語で、「今から、福島に行きます」と、言った。そうしたら、ジェーンが、さすがに、「大丈夫なの」と英語(彼女は、もともとイギリス人)と、小声で聞いた。
日本人のボランティアの、あまり格好も気にしていない女性が、「大丈夫ですよ」と言った。ジェーンは、もう肚(はら)を決めているから、そのままバンに乗り込んだ。
このあとも、ジェーンの動きは、フランスでも、ネットで報道されたらしい。
そうしたら、ここからが、大事なのだが、「おお、ジェーンが、フクシマ に行ったぞ。福島の原発事故の、放射能の被害はたいしたことはないようだ。現地の人間が元気で生きている」と、ヨーロッパの優れた知能の、知識人たちは、分かったはずなのだ。
大きく外側から見ること(自分たちの外側の目を分かること)の大事さ、として、何かあったら、とにかく現地に入ること。このことの重要性が、分かっていないと、超一流の人間にはなれないのだ。 ジェーンが、「大丈夫?(フクシマに行っても)」と一言、言って、車に乗りんだ、ときに、ジェーン・バーキンは、人類の超一流の人間であることが、証明されたのだ。 だから、私、副島隆彦は、ジェーン・バーキンを、腹の底から尊敬し、自分の同志だと思う。
〇2020年イギリス、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館で開催された「バッグ:インサイド・アウト」展で。ジェーン・バーキンが愛用し使い古した“バーキン”も展示された。
日本の大地震、津波の時のバーキンのバッグは、記事にもあるとおり、チャリティで、1200万円になって、日本赤十字に寄付した。ジェーンは、歳を取った40代からは、コンサートで歌う時も、ただのジーンズにTシャツだ。娘たちを愛して、3回、事実結婚をした以外は、ヘンなスキャンダルは起こしていない。
やっぱり、Serge Gainsbourg セルジュ・ゲンズブール の音楽家(シャンソンの作曲、かつ歌う。映画監督も。元々はロシア系の移民)としての才能が、素晴らしかったのだ。彼は、アル中(酒乱と薬物 )で65歳で死んだ(1991年)。 ジェーン・バーキンの、あのちょっと出っ歯というか、すきっ歯(真ん中の歯にすき間が有る)の、あの表情が、庶民受けする。
上の方に載せた、映画の ユーチューブと曲 を、もう一度、皆さん、見て下さい。何度でも見て下さい。私は、見るたびに泣き出す。 自分の過ぎ去っていった昔でもある。
この映画にも、少しも威張っていない。気取っていない、生(なま)のママ のフランスがある。それでも映画だから、キレイに描いている。この映画(1975年)を作った時、ジェーン(1947年生)は、もう28歳で2児の母だ。 監督したゲンズブール(1926生)が49歳だ。ジェーンは、ハンサムなゲイの男と深く愛し合う、まるで18歳の少年のように登場した。
この映画は、必ずしも、若者たちの愛を描いていない。苦しい現実の中で、ありったけの貧しい生活の現実を引き受けながら、それでも、がむしゃらに、自分たちの愛を実行している。
まさしく、私たちが、毎日やっていることそのものだ。汗臭い、泥だらけの愛だ。忙しい生活の中の、私たちの現実そのものだ。このことを、私、副島隆彦は今、はっきりと分かった。
副島隆彦です。さらに、資料として、ジェーン・バーキンの 姿の写真を、どんどん載せます。
(転載貼り付け始め)
(ここに、バーキンの膨らんだバッグを持っている、ジェーン・バーキンの ELLE(エル)誌の写真付き記事を、貼ってください)
〇 「 永遠のアイコン、ジェーン・バーキン。愛と栄光、そして波乱に満ちた人生を振り返る 」
2023年7/20(木) ELLE (フランスのエル)誌
2023年7月16日、ジェーン・バーキンが76歳で息を引き取った。ファッションと芸能の関係者だけでなく、世界中が今、悲しみに明け暮れている。希代のアイコン、歌手、俳優、母親、そしてアクティビストとして活躍した彼女の人生をここに振り返る。
仏版『エル』から。
【写真】ジェーン・バーキンを物語る、”フレンチロリータ”ファッションを総覧 俳優として前途有望なスタート
Getty Images 『欲望(Blow Up)』のワンシーン。
(ここに、この記事の彼女の 画像=写真 を、以下同じく、貼る)
1946 年12月14 日にロンドンで、イギリス海軍軍人の父と、俳優の母の間に生まれたジェーン・バーキンは、俳優のキャリアに転向する前にモデルとして第一歩を踏み出した。
1965年にリチャード・レスター監督の映画「ナック」(Le Knack… et comment l’avoir)にシャーロット・ランプリングと共演したとき、彼女はまだ20代だった。 銀幕でのデビューの 2年後の1967年に、ミケランジェロ・アントニオーニ監督の 「欲望 」 Blow Up に出演。
同年、(英国人の)ミュージシャンのジョン・バリー(副島隆彦加筆。映画「007」の主題曲を作曲した)と結婚し、第一子ケイト・バリー出産をした(21歳)。だが、その後すぐに別居した。
そのとき、この若手俳優は、母国イギリスを離れてフランスに定住することを決心し、映画の世界で名を上げたいと考えた(副島隆彦注記。フランス映画のオーディションを受けた)。 このときのジェーンは、ひとつの出会いが、以後の自身の人生を一変させるだろうとは全く思っていなかった。
セルジュへの第一印象は「傲慢な人」
(ここに画像) Getty Images
ピエール・グリブラット監督の映画「スローガン」Slogan のキャスト(主演)に選ばれたジェーンは、共演するセルジュ・ゲンズブールと、視線を交わすことになる。 若かった彼女の目に、彼は “複雑で傲慢(ごうまん)な人” に映り、一目惚(ほ)れではなくとも、2人の出会いは、後に芸術界の最も象徴的なラブストーリーの始まりとなった。
「 突然、私はこの(男の)傲慢さが内気(うちき)からくるものだと分かり、彼の性格の複雑さを理解した。それは愛くるしいものよ。 面白くて、魅力的で、思いやりがある」とジェーンは振り返った。これが、このあと12年間にわたる 神話的で情熱的な愛の始まりとなった。
ジェーンとセルジュ、伝説的なカップルの誕生
(ここに画像)Getty Images
1971年、ジェーンとセルジュにとって第一子となるシャルロットが誕生
2人は一緒に「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ(Je t’aime, moi non plus…)」を歌い(1968年)、1971年7月に、シャルロット・ゲンズブール(次女)が誕生した。
ジェーンは、セルジュのミューズとなり、同時に( 副島隆彦注記。フランスのそして欧米世界の)全世代のアイコン的女性のシンボルとなった。この魅力的なカップルを、誰も否定することはなかった……ひとつのことを除いて。 ( 副島隆彦注記。それが、このあとの1975年制作の、同名の映画が持つ、激しい内容 )
マスコミから「ゲンズバール」 と挑発された彼の、度重なる過剰行為に疲れ果てた若かりし頃のジェーンは、ヴェルヌイユ通りにある自宅を、2人の娘とともに離れる以外に解決策がないと考えた( 1980年、ジェーンが33歳の時。ゲンズブールが酒乱で暴力も振るったらし )。「ジェーンは私のせいで去ってしまった」とセルジュは告白したが、(その後も)仕事のパートナーであるジェーンから離れることはなかった。(その後も、2人は一緒に仕事をした。娘たちとも交流した)
セルジュと別居中にもかかわらず、ジェーンは、楽曲「ラ・ジャヴァネーズ」 La Javanaiseでもコラボレーション(共同制作)を続けた。特に1978年にリリースされたアルバム「想い出のロックン・ローラー」 Ex-fan des sixties) で一緒に仕事をしたジェーンだが、ジャック・ドワイヨン(フランスの映画監督)の腕の中で、再び愛を見つけることなる。1982年、彼女は娘ルー・ドワイヨンを腕に抱き、新たな幸せをつかんだ。(副島隆彦注記。ジェーンは、3人目の女の子を産んだ。この監督とは3年間だけ。そして以後はひとり )。
成功と波乱
私生活と並行して、ジェーンは歌手としてのキャリアを積み上げ、「追憶のランデヴー」Versions Jane)、「ラヴ・スロウ・モーション」 A la lumière 、「ランデ・ヴー」 Rendez-vous、 さらには「フィクションズ」 Fictionsなど、長年にわたっていくつかのアルバムを発表している。 しかし、彼女は映画への思いを忘れてはいなかった。
90年代、俳優としてのキャリアを追求しながら、カメラの裏側に立ち2つの短編映画を監督。 一般公開されている作品は、「ジェーン・バーキンのサーカス・ストーリー」36 vues du Pic Saint Loup(2009 年)、 Si tu meurs, je te tue(原題011 年)だけでなく、Quai d’Orsay(原題 2013 年)も鑑賞できる。
(画像を貼る)2021年8月、カンヌ国際映画祭『ジェーンとシャルロット』上映会のフォトコールにて、次女シャルロットとツーショット
俳優業の成功の裏で、プライヴェットでは悲劇にも見舞われた。1991年にセルジュ・ゲンズブール(65歳死)と、彼女の父デヴィッド・バーキンを相次いで亡くした。
013年に、長女であるケイト・バリーの悲劇的な喪失(副島隆彦注記。飛び降り自殺)を経験することに。当時46歳だったケイトは、パリ16区にあるアパートから転落し、意識不明の状態で発見された。この信じがたい出来事に対してジェーンは、「娘が亡くなったとき、私の人生は終わった」とラジオ「フランス・インテル」のマイクで打ち明けた。
しかし、ジェーン・バーキンは、愛する人たち、そして何よりも娘のシャルロットとルーに支えられ、何年もかけて立ち上がる力を見つけた。次女のシャルロットは、彼女(母親)に、フィーチャーしたドキュメンタリー『ジェーンとシャルロット』Jane par Charlotteも製作し、2021年の第74回カンヌ国際映画祭で共同上映された。
人生に輝きを取り戻したかのように見えたジェーンだったが、数カ月後には健康上の問題が彼女を襲うことに。 2021年9月、ドーヴィル・アメリカ映画祭への出席が予定されていたが、ジェーンは脳卒中を患い、訪米はキャンセルされた。彼女は2021年の予定を全て延期した。
2022年と2023年は、「ごめんなさい、寝ていたの!」と、ジェーンらしいジョークを言いながら、療養を続けていた。2023年7月の3週目の日曜日、ジェーン・バーキンは忘れられないアイコンとしての記憶を残して永遠の眠りについた。
translation :ELIE INOUE from elle.fr
・ジェーン・バーキン、フォーエバー! 記憶に残る永遠のフレンチスタイルをプレイバック
•ジェーン・バーキンに学ぶ! フレンチシックな愛されフェイスの6か条
•神話的カップル、ジェーン・バーキンとセルジュ・ゲンズブールの不都合な真実?
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•今すぐ真似したい!ジェーン・バーキンのデニムスタイル
最終更新:7/20(木) 19:20 ELLE DIGITAL
〇 「【追悼】ジェーン・バーキンの“フレンチシック”を物語る、5つのキーアイテム 」
2023年7/22(土)
<https://www.elle.com/jp/>
フレンチシックを体現する
ジェーン・バーキンは、白Tシャツやかごバッグなど、ベーシックなアイテムをおしゃれ名品にアップデートさせたスタイルアイコン。いま見てもフレッシュな彼女の装いを紐解くべく、ジェーンのマストハブなアイテムをお届け。ジェーン流“レス・イズ・モア”をつくる、5つのベーシックアイテムとは? <https://bit.ly/3OotaIr> 【写真】ジェーン・バーキンを物語る、”フレンチロリータ”ファッションを総覧
【1】さらっと着こなす、白Tシャツ
白いTシャツにデニムパンツは彼女のワードローブに欠かせない存在。切りっぱなしのデニムが70年代らしさ満点! 足もとはこれまた彼女のシグネチャーアイテム、バレエシューズを合わせて。
【2】カットオフされたデニム
ジェーンが好んではいていたリメイク風のデニム。そこに真っ赤なサンダルを合わせれば、パリシックなお出かけスタイルの完成! コンパクトな白Tシャツにかごバッグは、“ジェーン・バーキンと言えば”のお約束アイテム。
【3】スラックス&「コンバース」のマニッシュコンビ
ジャケットを羽織ったマニッシュスタイルは白T&白パンツの潔いコーデが鍵。こんなハンサムなコーディネートでも、かごバッグ&スニーカーでハズすのがジェーン流。
【4】ガーリーなミニドレス
来日した際は、ヴィンテージライクなミニドレス姿を披露し、とびきりキュートだったジェーン。ドレスには、ロングブーツとかごバッグを合わせたアイコン的スタイルで、世界中のファンを魅了。
(副島隆彦注記。この1971年の来日の時、ジェーンのおなかはカエルさんのように膨らんでいた。妊娠7か月だった。娘のシャルトッロを身ごもっていた。映画「ジュテーム・モア・ノン・プリュ」は、この4年後に作られた。)
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦拝
【3063】[3563]泉房穂(いずみふさほ)が、橋下徹と遣(や)り合った討論のことで。
副島隆彦です。今日は、2023年7月18日です。
日本の国内政治のことで、ちょっと気になったことを書く。
この4月まで明石市長で、地方政治で業績を上げた、私も次の野党の政治指導者として期待してる、泉房穂(いずみ・ふさほ)氏の本が出た記念のエベント(講談社主催)があった。
そこに、あの橋下徹(はしもととおる)氏が招かれた。トークショー(討論会)が、先日7月15日に東京の池袋のエベントevent ・ホールであった。その記事を一本、載せる。
これは、『政治はケンカだ! 明石市長の12年』(講談社、5月1日刊 )の発刊発売記念の催し物である。ここには、朝日新聞政治部記者あがりの鮫島浩(さめじまひろし)氏(53歳)も司会者として壇上にいた。
私は、討論の内容を、参加した人から詳しく聞いた。「安倍政権と岸田政権は、どちらがマシか」から始まったそうだ。私、副島隆彦は、今日は、この文章では、政策論議や、日本の政党の再編問題(これを政局=せいきょく=ともいう)については書かない。
私がカチンときたのは、橋下が、以下のスポニチの記事にあるとおりのことを、泉房穂に向かって冒頭から言ったことだ。事前の打ち合わせも無かったそうだ。記事をまず読んでください。
(転載貼り付けはじめ)
●「橋下氏 ギャラ90分100万円!? 元明石市長が著書発売記念イベントで暴露」
2023年7月16日 スポニチ
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2023/07/16/kiji/20230716s00041000074000c.html
トークショーで激しく応酬する泉房穂氏(右)と橋下徹氏
兵庫県明石市の元市長、泉房穂氏(59)が7月15日、都内で著書「政治はケンカだ! 明石市長の12年」(講談社)発売記念のトークショーを行い、ゲストに迎えた元大阪市長の橋下徹氏(54)に“公開説教(こうかいせっきょう)”された。
事の発端は、7月14日の泉氏のツイッターの投稿。「前半の1時間半限定、対談動画は橋下事務所で再利用を条件に100万円と聞いています」と、橋下氏のギャラを暴露。自身については「お金は気にしないと言っていたら、“3時間フル参加で5万円”と(主催者から)連絡がありました」とつぶやいた。
これが、橋下氏の逆鱗(げきりん)に触れた。冒頭 「僕は社会常識と人間性って重要だと思う。泉さんはひどい。報酬を公にするのはダメですよ」と非難。「民間人(みんかんじん)の報酬をべらべらしゃべるのは社会常識に反する」とまくし立てた。先制パンチを浴びた泉氏は「今日は政策論争をやりたい。よろしくどうぞ」と 反論せず。2人はその後、安倍、岸田両政権の評価や野党の今後などについて激論を交わした。
(転載貼り付けおわり)
副島隆彦です。この記事から分かることは、橋下は、90分間の登壇で、講談社から100万円をもらった。それに対して相手の泉房穂は、本人が「お金のことは気にしない(いくらでもいい)」と言ったのだろう、5万円だった。このことを泉房穂 本人が、前日にトゥイッターで書いた。このことに橋下が不快で、始めから泉に文句を言って「民間人の報酬をベラベラしゃべるのは社会常識に反する」と言った。
ここで私、副島隆彦は、橋下という人間の悪質(あくしつ)さを改めて、強く感じた。このとき泉は、「政策論争をやりたい」と受け流した。
橋下徹は、15年前から政治家(大阪市長と、府知事)をやっていたから、政治家の実績と経験を積んでいる。だから百戦錬磨で何でも分かっている。こいつは自分のことを「今は、芸能人だ」と戦略的に防御する態度で押しまくっている。そして始めの方で、「自分は政界復帰する気はない」と言い切った。
ところが、橋下徹は、今も有力な国民政治家なのだ。ただ、公職(こうしょく。みんなの代表)にないだけだ。そして今も必ず週刊誌等が「橋下は政界復帰するのではないか」と書く。
私は、こいつは、本当にタチの悪い人間だと腹の底から知っている。だから騙されない。もし橋下が、今後、政治情勢が煮詰まって、政治家(国会議員)になることがあるとしても、こいつは、カエルのツラにしょんべんでケロケロ笑いながら、「そのときは、そのときですよ。事情が変わったんだから」と居直るだろう。周りを煙(けむ)に巻いて、一言も反省なんかしない。こいつは腹の底からこういう男だ。
私は、15年前に「橋下徹の出現は、日本版ムッソリーニだ(つまり笹川良一だよ)」と予言した人間である。 2008年1月に、急激に出現して、大阪府知事選挙に当選(このとき38歳)して、登場したときから、このことを予測して、その出現の危険性を、私なりに分析して主張した。私の本にも書いた。今もこの考えに変わりはない。橋下徹は、本当に危険な人間だ。
2008年1月の大阪府知事選挙での橋下徹(38歳)
1922年に、イタリアで政権を握った時の、「戦闘集団ファッシ」を率いたムッソリーニ
日本維新の会(党)は、実質的に、今も橋下徹が党首である。そのことを本人も維新の会(党)も徹底的に否定するだろうが、私は信じない。まわりの人たちも信じない。
橋下徹の 根本的な悪質さは、「今は、私は政治家ではなくて、民間人(芸能人)ですから、私が何をしゃべっても、私の自由だ。私は公職に無いから、私は何でも言っていい。個人の言論の自由だから、責任を追及されることはない」という、ずる賢さの極みの、謀略政治が出来る天才だ。一般人(民間人)と政治家(公人、こうじん)を、上手く使い分けて、変わり身の術で、人々を欺(あざむ)く。
日本国民がこの男の、弁術(べんじゅつ)爽(さわ)やかに、コロリと騙されて、話に引き込まれて、洗脳されたら、日本国は、どこまででも悲惨な道を歩まされる。
私は、この橋下徹から5年前に名誉棄損(あるいは営業妨害)で訴えられている。その裁判の経過については、そのうち公表する。こいつは、自分にとって気に入らない人間を、次から次に訴えて、これまでにおそらく100人ぐらいを訴えて、相手を委縮させる効果を狙う(そのうち60回ぐらい敗訴している)。私の場合も、出版社と込み(共同被告)で訴えられた。
私が、こう書くことで、橋下が、再び訴えてくることも有り得る。やってみろよ。受けて立つから。この男は、大阪のいちばんドギタナイ地区と、ドキタナイ業種(業界)の顧問弁護士をしてきた男だ。
大きな意味で、東京の人間たちが橋下を嫌って、東京進出をさせなかった理由が、このへんにある。 石原慎太郎と、新党をつくったり、ケンカ別れしたりしながら、くだらない日本政治の引きずりまわしを、これまでに散々やった。被害者は私たち日本国民だ。ハッキリ書くが、日本の民衆(国民)は、少しバカだから、こいつらにすぐ騙される。私は、腹の底から、このことが分かる。
橋下は、芸能プロダクションの「タイタン」に所属していて、いわゆる芸能人値段でテレビに出ている。だから、芸能プロダクションが交渉して当然のように出演料が100万円になったのだ。このことに私、副島隆彦が文句をつけてもどうにもならない。「こんなに大きなお金を、有名人たちは、毎回、毎回、もらっているんだー。有名人というのはスゴイなー」と貧乏人(お庶民)のひがみ根性で、言うことに意味はない。こんなことは今の人は皆、知っている。
有名人とパンピー(庶民大衆)の違いを前提として、今の世の中は厳然(げんぜん)と成り立っている。この実質的な収入差別の問題は、あまり議論しても意味(生産性)がないことになっている。しみったれたテレビ出演料とかのお金の話をすると、芸能人、俳優、スポーツ選手(あがり)たちの、年収何億円の高収入の話にすぐなるので、人々は黙ることになっている。さらには憧(あこが)れの対象になる。
「他人の職業を羨(うらや)むことは、人間としてやってはいけないことだ( 自分の職業に打ち込みなさい)」と福沢諭吉(ふくざわゆきち)先生が昔、書いていた。それはそうだ。だが、今の日本の芸能人どもは、制度としての身分差別(士農工商)がなくなった大衆社会における現代の特権(とっけん)階級だ。かつての平安、室町時代の貴族や、戦前まであった華族(かぞく。元大名や公家たち)が、占領軍(米軍)によって根絶やしにされて消えた後の、現代における貴族さま たちだ。本当は、参議院というのは貴族院(きぞくいん。House of Peers ハウズ・オブ・ピアーズ 上院とも言う)のことだ。それが今は、宗教団体の利益代表や、芸能人たちがたくさん当選している。
だから自分は、「公人(public personage パブリック・パーソネッジ)ではない。選挙で選ばれた、皆の代表)ではない。だから、民間人(一般人)である(芸能人の)報酬をべらべらしゃべるのは社会常識に反する。泉さん、あなたはこの社会常識に欠けるよ」と、まくしたてたと、上の記事に書いてある。
私、副島隆彦は、そんなことはないと思う。泉房穂が、「自分が貰うのは5万円だ」と正直にトゥイッターで書いたのは、私は正しい行動だと思う。まさしく泉房穂の登場が、貧困層の日本国民の代表である、という強い意思で、自然に書いたことである。だから私はこの泉の態度は素晴らしいと思う。
これこそ、まさしく民衆(みんしゅう)主義者( ポピュリスト、populist アメリカの長い政治で生まれた )である。日本では、ポピュリストと言うと、必ず頭ごなしに、大衆煽動(せんどう)家 と訳すことになっている。アメリカ政治思想の研究者である私、副島隆彦は、アメリカ政治の大きな太い流れを全部知っている。
泉房穂は、まさしく日本のポピュリスト(民衆主義者)である。アメリカの政治の中で、どれほどの優れた真の民衆主義者たちが、次々と登場し、そして暗殺されてきたことか。このことを、私は自分のアメリカ研究の本にも書いてきた。ウイリアム・ジェニングズ・ブライアンや、ヒューイ・ロング Huey Long や チャールズ・リンドバーグたちだ。
だから橋下ごときの、姑息で、猪口才(ちょこざい)な、「目くらまし」の「7変化(へんげ)」の カメレオン人間の手口なんかには乗せられない。橋下のような、生まれながらの本物の、ファシスト(国家社会主義者)で、幼いころからの苦難の人生で、歪んだ精神をしている男は、自分に不都合な真実がバレそうになると、ビリビリと即座に反応する。頭がいいといえば確かに頭がいい。そして橋下は、口からペラペラと何とでも、その場の雰囲気をひっくり返すだけの力を持っている。
今から30年ぐらい前は、私もたまにテレビに、若手の評論家として出させられたことが何十回かある。だから、このときの経験で分かる。私のような若い評論家や大学教授たちは、いわゆる「文化人枠(わく)」であって、出演料は5万円だった。
この金額は、今も変わらないだろう。それに対して、100万円というのが、一流有名人の値段だ。いわゆる芸能人たちは1番組30万円ぐらいだろう。2流、3流の芸能人、漫才師(お笑い)になると、テレビに出して貰いたいから、2、3万円か、タダみたいな人たちもいる。田原総一朗や、林真理子クラスだと、冗談でなく、景気のいい頃は、一回の講演料で500万円だった。
ここに仲介(斡旋)する、芸能プロダクションというのが存在して、その真実の真実は、暴力団が背景にいる人たちの世界だ。まさしく橋下徹が、その甘いマスク(顔つき)で、世の中を誑(たら)し込んでいる、その裏側の真実の姿だ。恐ろしい世界だ。そこは、健全な国民や、まじめなリベラル派(自民党政治が嫌い)の人々は、とても近寄れない世界である。たしかに近寄らない方がいい。
いわゆる、それらアンダーグラウンド(暴力団の世界、かつナマの現実政治)を少しでも垣間見て、恐ろしい目に遭った人々は、二度と近寄ることをしない。
若い女たちでも、調子に乗って、自分の性の解放ぐらいに思って、変なパーティーに連れてゆかれて、実質、集団強姦されて、ひどい目に遭ったら、もう二度と近寄らないだろう。
橋下徹というのは、そういう大阪という土地柄の、地底(じぞこ)の穢(きたな)いところから這(は)い上がってきた男だ。やしきたかじんたち の応援団と、笹川財団(米国では、ザ・ユーエス・ジャパン・ファウンデーション)の力 を背景にして計画的に押し上げられた男だ。
戦前は、英、米帝国を敵に回して、威勢のいい民族主義者を気取ったのに、敗戦したあとは、卑屈に生き延びて、変節して、反共右翼(はんきょううよく)として、アメリカの下僕、手先になりきって、反共の防波堤(ぼうはてい。bullwork against Communism ブルワーク・アゲインスト・コミュニズム) )の尖兵(せんぺい)になった者たちだ。だから、統一教会(世界反共同盟)のメンバー(構成員)たちだ。橋下徹よ、こう書いたことで、もう一回、私を訴えるか。やってみろ。
このような次第で、私は、上掲したスポニチの記事に強く反応した。だから、私が言いたいのは、「泉房穂氏と、鮫島浩氏は、こんな恐ろしい男に騙されないようにしてください。このまま言っては何だが、あなたたち程度では、橋下にダマされる。自分たちでは、逆に、橋下を取り込んで、反自公の政治勢力に維新(橋下)を巻き込もうとしている」のだろうが。
あなたたちよりは、私の方が年齢からいっても、自民党政治の裏側の恐ろしさや、泥臭い生の政治のところをチラチラと目撃して、イヤな目に遭いながら、政治知識人としての自分の仕事を築いてきた。泉房穂が、簡単に橋下徹に騙される、とは思わないけれども、「やっぱり、こいつには、十分、気をつけてください」と申し上げるしかない。
泉房穂よ、あなたは、これからの日本政治の改革勢力の大事な人なのだから、私は、老婆心から遠くの方から心配しながら、見ている。イザとなったら私も駆けつける。このトークショーの前日の7月14日には、岩手県の盛岡市で「いわて県民集会」があった。そこは実質的には小沢一郎を応援する人たちが結集した会だ。
主催者は、岩手県知事の達増拓也(たっそたくや)で、この男は、なかなかしっかりしている。「希望郷いわて、その先へ。」 「岩手県から日本の政治を変えよう」が標語(スローガン)だったはずだ。詳しくは分からない。
この集会に泉房穂が呼ばれて演説している。今から急いで日本の政治改革のための勢力を結集して、自民党、公明党の与党の今の体制をひき釣り下ろして、新しい政治をつくらなければいけない。それは世界政治の動き(ウクライナ戦争もある。アメリカ発の世界の金融崩れも起きる。アメリカ国内の政治の大分裂も起きている)と、それに対応した、世界各国のそれぞれ政治の変動 に連なるものである。個別、いろいろな国で起きている、最新の急激な情勢変化は、ここでは書かない。
確かに日本は、その中の落ちこぼれであり、日本の野党勢力など、バラバラ状態で、見るも無残な、ヒヨコちゃんたちの集まりになっている。立憲民主も国民民主も、一回、解体、解党 しなければ済まない。たとえどんなに無力でお金がなくて、ヒヨコのような集団になり果てているとしても、そこから新しい国民の力が生まれてくるのである。そのとき、維新の会(党)をどういうふうに処遇するかで、日本国民自身が、考え込んでいる。
私は、維新の会(党)は危険な集団だ、とはっきりと判断している。小沢一郎と泉房穂の考えは一致していて、「自民党に投票しない人たちは、みんなで野党の統一候補を決めることで、それぞれの選挙区で、投票してくれるだろう。そうしたら日本政治を変えられる」という大きな戦略で今は動いている。これは正しい考えだ。絶対的に正しい考えだ。
だが、橋下徹と、吉村洋文(ひろふみ、1975年生。48歳)大阪府知事と、前の党首の松井一郎たちは、本当にワルたちであるから、ここと一緒に動こうとする甘い考えは捨てた方がいい。必ず騙される。今の維新の党首(代表)馬場伸幸(1965生。高卒、市会議員上がりの 朴訥=ぼくとつ=なやつ)を、見ていても、橋下が遠隔操作で、維新を操(あやつ)っていることが如実に見て取れる。
今の日本国民の多くは本当に、貧乏だ。そして野党の政治家たちも、権力に近くないので、おカネが回ってこないので、本当に貧乏だ。貧乏だ、貧乏だ、と自虐的に喚(わめ)くことは、みっともないことだが、そんなことは言っていられない。ヘンな気取りを、もう、止(や)めなければならないぐらいに、貧乏だ。
マレーシアやインドネシアからも、大量に来ている旅行者 や、いかにも貧乏そうなヨーロッパの下層白人たちの旅行者と、ちょっと口をきくと「日本は物価(買うもの、食事)が本当に安い」と言う。1日10ドル(1380円)で、十分に食事をとれる。本当に日本は貧しい国になったのだ。1億2000万人の国民のうちの、下の6000万人は、おそらく年収300万円以下で、手取り20万円ぐらいで生きている人がたくさんいる。その子どもたちと、老人たちがいる。
何とか国を立て直さなければいけない。そのためには、民衆を代表する、優れた指導者が出現しなければいけない。それをまわりから支えなければいけない。だから、貧乏人(貧困層)の国民を本気で大事にしようとする、泉房穂に、私は期待している。
この貧乏人主義の立場から、私はハッキリと書く。泉房穂が5万円しか貰(もら)えなくて、橋下徹が100万円というのは、やはりおかしい。対等なトークショーにならない。やはり、このことに文句を言わなければいけない。「(自分は、始めから芸能人値段だから)民間人なのだから、社会常識に照らして、そのギャラ(報酬)のことをバラシてはいけない」と、橋下が言うのは、やはり、自分が、民間人と準公人(じゅんこうじん。 今は政治家ではないが、実質的には政治家。選挙応援も、ガンガンして回る)を、巧妙に使い分ける、その大策略がバレることへの防御策でもある。私は、そのことに勘(かん)付く。
「テレビのギャラのことを番組で口にするなよ」と、まるでビートたけしが言うようなことを橋下徹が言うからと言って、それに騙されてはいけない。泉房穂よ、もっともっと本当のことを書け。そして、もっともっと本当のことを、国民に向かって、言い続けろ。それを日本国民、民衆は、腹の底から待ち望んでいる。あんなやつらに遠慮なんかする必要はない。
最後に書くが、今の日本の支配階級(ルーリング・クラス ruling class )は、橋下のようなファシスト(国家を下から破壊するために動く不満分子の糾合)のガラの悪いのも含めて、大きくはアメリカ、ヨーロッパの超財界人層(ちょうざいかいじんそう)によって、上から操(あやつ)られている手駒、手下(ヘンチマン henchman )に過ぎない。CIAやローマ・カトリック教会の手先たちだ。
日本国民の本当の利益を裏切って、英米支配層の、気色の悪いやつらに奉仕している人間たちにすぎない。ちっとも偉くない人間たちだ。だから日本国民から本当の尊敬と敬意を得ることはない。橋下徹は、この程度の男だ。自分の主観(しゅかん)では、相当に自分では優れた言論を披露している積(つも)りなのだろうが。
ベニート・ムッソリーニは、最後は、世界政治の大きな力で、ミラノで公開の銃殺刑にされ、逆さ吊りにされた歴史事実(1945年4月28日)を、橋下徹よ、よく考えろ。 ヒトラーは、その2日後に、ベルリンの首相(ヒューラー)官邸の地下壕で、愛人と服毒自殺した(4月30日、あるいは5月1日)。 橋下よ、お前の真の親分で、お手本の笹川良一(ささがわりょういち)が、一体、ずっと何をやって来た男か、考えろ。
一体、誰が、誰たちが、お前たちが敬愛した安倍晋三を殺した(処分した)(去年の7月8日。一周年私笑)のか。この世界政治の大きさなるもの を、よーく考えろ。何が、「安倍政権の方が、今の岸田政権よりも、ずっと優れていた」だ。バカヤローどもめが。この、狂った反共政治宗教団体の統一教会( Moonies ムーニー)の片割れどもめが!
私が以上のことを書くと、すぐに極端言論(過激派 extremist エクストリーミスト の思想 )として体制と大勢(たいせい)から排除される。このようにして、私の40年間が過ぎた。それでも、私は「この世の大きな枠組みの中の真実」を暴き立てて、日本国民に教え続けることを死ぬまで、やめない。 副島隆彦拝
【3062】[3562]「BRICSによる 金(ゴールド)を裏打ちとする 新世界通貨が、8月22日に登場する」を載せる。
副島隆彦です。今日は、2023年7月11日(火)です。
この8月22日から、世界が変わる。
この日をもって、米ドル(同じく米国債 ) の世界的な通用力が落ち始める。すなわち「ドルの暴落」 The Dollar Falls 「ザ・ダラー・フォールズ」 の事態が急激に始まる。以下に載せる記事は、極めて重要である。
(転載貼り付け始め)
〇 「BRICSによる 金(ゴールド)を裏打ちとする 新通貨が、8月に登場する」
デイリー・レコニング 誌 2023年6月6日 筆者 ジム・リカーズ
ジム・リカーズ
〇 (原文) BRICS Gold-Backed Currency Coming in August
Tuesday, 6/13/2023 Daily Reckoning by James G. Rickards
http://dailyreckoning.com/rickards-drops-bombshell/
(転載貼り付け終わり)
という記事である。この記事の日本語訳を、後ろに全文載せる。英文の原文も載せる。今日、私が、以下に載せる長文の記事 は、のちのち時代を先駆した金融評論文として、世界史で高く評価されるだろう。
BRICS(ブリックス)の新興5大国が、現在の米ドルによる世界一極支配を、この
新しい世界通貨の作成、誕生、導入によって、突き崩してゆくだろう。
この「金(きん)を保証(プレッジ)とするBRICS新通貨(ニュー・カレンシー new currency ) という世界通貨(ニュー・ワールド・カレンシー)」の出現によって、私たちが住む今の世界は、根底から変化する。
まさに、私、副島隆彦が、この17年間(2006年から)ずっと唱えて来た、
「ドル覇権(はけん)の崩壊」 “ The Collapse of US Dollar Hegemony “ 「 ザ・コラプス・オブ・ユーエス・ダラー・ヘジェモニー」 である。
これは、この8月22日から24にまで、南アフリカの都市ダーバンで開かれる、BRICSの首脳会議の、今年の年次総会で決定され発表される。だから、この会議の開会の日で、ある、8月22日に、さっさと この「金(きん)で裏打ちされる 新世界通貨」すなわち、「BRICS 通貨(カレンシー)」の出現と開始である。
だから、この8月22日をもって、世界通貨体制(ワールド・カレンシー・オーダー)が変わる。
1971年8月15日の、“ニクソン・ドル・ショック” と 呼ばれる、「米ドル紙幣を、外国政府からの要求であっても、金の地金(じがね)に、アメリカ政府は交換しない(出来ない)」という 事態が起きた、今から52年前 のことだ。
それでも、このあと持続したのは、やっぱり米ドルを基軸通貨(key currency キー・カレンシー) とする 「修正IMF体制」( 別名、「ドル・石油通貨体制」)であった。米ドルは金(きん)との兌換(だかん。交換)を自ら拒否したのに、それでも、「ワシントン・リヤド密約」で、世界中の原油(クルード・オイル)の取引は米ドルで決済すること、を決定した。
これは、IMF・世界銀行体制(ブレトンウッズ体制。WW2の終戦前の1944年7月から発足)への、約束違反だ。金との交換を停止した米ドルは、大きく信用をなくした筈(はず)なのに、その後もこの52年間、世界の貿易決済で支配的な通貨であり続けた。
この米ドルによる世界支配が、遂に8月22日に、終焉(しゅうえん)を迎えるのである。 ドル覇権がこの日をもって終わり始める。
米ドルの信用は、この日から、急激に衰退し、下落してゆく。このことは、ほぼ確実な事である。「ドルの暴落」が始まる。アメリカ合衆国国内では、激しいインフレ(ハイパーインフレ)が始まる。それに対応して、日本なども、新しい通貨を発行する緊急の準備態勢に入る。
私、副島隆彦は、この予測(予言)を、自分の毎年2冊出し続けた金融本で、ずっとこの16年間、書いてきた。だから、もう、これ以上、あれこれ言わない。
米国務長官のトニー・ブリンケンに続いて、米財務長官のジャネット・イエレンが、この7日から9日まで、北京にいた。何を慌てて、この2人が、中国の首脳部に頭を下げて、これほど、中国叩(たた)き、虐(いじ)め、制裁による包囲網、そして、台湾での戦争の嗾(けしか)け をやってきたのに、なぜ、あんなに卑屈なまでの低姿勢で、中国に行ったのか。
新聞記事どもの書くことは、すべて外(はず)れだ。何も本当のことを書いていない。私、副島隆彦が、はっきり書く。ブリンケン と イエレンは、「中国よ、もっと、米国債を買ってくれ。世界の秩序の為に、仲良くしようよ」と言いに行ったのではない。
アメリカにはもうそんな余裕もない。真実は、「中国よ、その保有する米国債を、NYの市場で売る、ということをしないでくれ (それだと、ドルが世界中で暴落を始める)」 と、懇願(こんがん)しに行ったのだ。中国は、言を左右にして、相手にいい返事はしなかった。少しだけ相手の惨状に同情するふりだけをしただろう。
アメリカ政府は、この8月22日の、「BRICS新世界通貨」の発表、誕生のことを事前に知っている。だから、大慌てで、その対策を立てているのである。
以下に載せる 重要な、6月6日付けの、Daily Reckoning デイリー・レコニング誌の、有名な金融アナリストの James G. Rickards ジム・リカーズによる の文を、私が、初めて読んだのは、6月23日である。
日本の金融アナリストで、やがてトップの地位と信用を持つであろう人から、送られてきた。その後、私は自分でも調べて、この記事の信頼性の高さを、多角的に確認した。
ここでは、コモディティ・バスケット commodity basket 方式も、ずっと研究されたのだが、「まだ間に合わない」ということで、金(きん)だけを、評価して、それを担保、保証、裏打ちとする新通貨の発行に踏み切る、ことが、決定されたようである。と言うことは、金(きん)の世界値段は、今から、もっと、もっと上がる、ということだ。
政治の力(アメリカによる)で、徹底的に押さえつけられている 日本国内の金の価格も、屹度(きっと)跳ね上がる。 今の数倍の値段になる。これ以外には、私は考えようがない。
以下のとおり、 元の 英文の原文を、自動翻訳機に掛けた。が、それでは、とても8割ぐらいしか、読めなかったので、それを私が、手直しするのに手間取った。 最後は、私の弟子の金融の専門家が、やってくれた。さらに、それに、私が、もっと分かり易くするために、手を加えた。
(転載貼り付け始め)
●「BRICSによる金(ゴールド)を裏打ちとする新通貨が、8月に登場する」
デイリー・レコニング 誌 2023年6月6日 ジム・リカーズ 筆
http://dailyreckoning.com/rickards-drops-bombshell/
今日から約2ヶ月後の、8月22日に、国際金融で、1971年以来もっとも重要な進展が発表される、とジム・リカーズ氏は『デイリー・レコニング』誌に書いた。
それは、世界的な決済でドルの役割を弱める。最終的には、現在の主要な決済通貨であり、基軸通貨としての地位を持つ、米ドルに、BRICS新通貨が、置き換わる可能性がある、新しい主要な世界通貨の登場である。それは、これから数年のうちに起こるだろう。
この大変化が起こるプロセスは前例がない(アンプレシデンテッドである)。世界は、ここから起きる、地政学(ジオ・ポリティカル geo-political )的な巨大な衝撃波に対する備えをしていない。
この金融ショックは、BRICS(ブリックス)と呼ばれるグループによってもたらされる。BRICSは、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの頭文字をとったものだ。
BRICSによる世界基軸通貨(ワールド・キー・カレンシー)の地位獲得の劇は、世界貿易、海外直接投資、投資家のポートフォリオに、劇的で予期せぬ影響を与えるだろう。
現在のBRICSシステムの発展で、最も重要なことは、今もBRICS加盟国数が拡大していることだ。拡大した組織は、非公式に BRICS+(プラス) という名称で呼ばれている。
現在、BRICSに正式に加盟を申請しているのは8カ国だ。その他に17カ国が加盟希望を表明している。正式に加盟申請している国は以下の8カ国、 アルジェリア、アルゼンチン、バーレーン、エジプト、インドネシア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦である。
それ以外で関心を表明している17カ国は以下の通り。アフガニスタン、バングラデシュ、ベラルーシ、カザフスタン、メキシコ、ニカラグア、ナイジェリア、パキスタン、セネガル、スーダン、シリア、タイ、チュニジア、トルコ、ウルグアイ、ベネズエラ、ジンバブエ。
このリストには、今後のBRICS会議への参加人数を増やす、という以上の意味がある。
サウジアラビアとロシアは、世界3大エネルギー生産国のうちの2カ国だ(エネルギー・ビッグスリーのもう1カ国は米国だ)。 ロシア、中国、ブラジル、インドの4カ国は、国土面積で、地球の陸地の30%を占め、同じく埋蔵する天然資源を保有する。
世界の小麦と米の生産量のほぼ50%、世界の金(きん)埋蔵量の15%(公表されている分だけだ)が、BRICSのなかに入る。一方、中国、インド、ブラジル、ロシアは、地球上で最も人口の多い9カ国のうちの4カ国である。合計の人口は32億人(世界人口80億人のうちの)だ。BRICSが、地球の人口の40%を占める。
中国、インド、ブラジル、ロシア、サウジアラビアのGDPは合計29兆ドルで、名目上の世界GDPの28%を占めている。しかし、購買力平価(こうばいりょくへいか。 purchase-power parity パーチェス・パウワ・パリティ) で、GDPを換算すれば、BRICSのシェアは、世界の54%を超える。
また、ロシアと中国は世界3大核兵器保有国のうちの2ヶ国である(もう1つは米国)。
人口、国土、エネルギー生産高、GDP、食糧生産高、核兵器など、あらゆる指標から見ても、BRICSは、単なる多国間の討論会ではない。BRICSは、欧米の覇権主義に対する、実質的で確実な見込みの高い選択肢だ。BRICSは共同で行動することで、新たな多極化、あるいは二極化する世界の一極となる。
この8月22日に発行が発表されるその新通貨は、何もない場所に生み落とされるわけではない。ブリックス新通貨は、すでに資本と流通・通信が洗練されている、現在の新興大国の国際ネットワークに投入される。この新興大国のネットワークが、新ブリックス通貨が成功するチャンスを、さらに大きく高めるだろう。
BRICS諸国はまた、加盟国を結ぶ光ファイバーの海底通信システムの開発も進めている。これは「BRICSケーブル」という名称で開発されている。 BRICSケーブルを開発し始めた理由のひとつが、米国家安全保障局(NSA)による、既存のケーブルネットワークを経由するメッセージ通信へのスパイ行為を阻止することにある。
このブリックス新通貨で、ドルを捨てようとする試みの背景には、いったい何があるのか。その答えの主な部分は、米国が経済制裁という手段を使って、ドルを武器化(weaponization、ウエポナイゼイション)している現実にある。
2007年から2014年にかけて、私は何度も財務省、国防総省、情報機関の米政府高官たちに、「ドル制裁(サンクション sanctions )の乱用は、敵対国が制裁の影響を避けるためにドルを放棄することにつながる」と警告してきた。
制裁を受けた国が米ドルを放棄することは、アメリカによる制裁の効力を弱める。米国に予期せぬコストを課し、最終的には、ドルそのものの信頼を崩壊させることになる。この私の警告はほとんど無視された。 私たちは今、私のこの予測の第1段階と第2段階にすでに到達しており、第3段階に危険なほど近づいている。
長年にわたり、米国はイランのような国々を罰するために制裁を行ってきた。しかし昨年のウクライナ侵攻後、米国とその同盟国(西側同盟 the West ザ・ウエスト)が、ロシアに課した制裁は、これまでの制裁体制をはるかに超えていた。前例のない大きさだった。
他の多くの国々は、この事態を見て、ある問題でアメリカの逆鱗(げきりん)に触れれば、次は自分たちの番だ、という結論に達した。そしてその恐怖は、ドル体制から完全に脱却しようとする動きを大きく加速させた。
この願望は、ロシアなど現在のターゲット国に限ったことではない。中国、イラン、トルコ、サウジアラビア、アルゼンチンなど、潜在的なアメリカによる経済制裁のターゲット国にも共有されている。
BRICS+は、世界の決済、ひいては世界の外貨準備を脱ドル化( de-Dollarization ディー・ダラーライゼイション)させる、現実的な取り組みを実行しているのである。
私は、何年も前から、多くの人が考えているよりも長い間、ドルは世界の主要基軸通貨であり続けると主張してきた。
だが、私は(大きく考えを変えて)この記事では、「 BRICS+(プラス)の新通貨が、世界の新しい主要基軸通貨になって、ドルの終焉を大きく加速させる可能性がある」と書いている。その理由を紹介する。
私が以前まで考えていたよりも、なぜ、脱ドル化がこれほど早く実現できるのか。国際貿易で、モノやサービスの決済通貨(ペイメント・カレンシー)としてのドルから脱却したい、という世界的な(多くの国の)願望は、決して、今に始まったことではない。
今日では、このドル回避の動きは、新たな機軸を必要とする議論ではなく、短期間で出現しつつある、現実そのものである。
ドバイと中国は最近、ドバイからの石油輸出の支払いに中国人民元(レンミンビ)を受け入れる、という取り決めを結んだ。ドバイは、その人民元を使って、中国から半導体や製造品を購入することができる。
サウジアラビアと中国は、石油と人民元の交換について同様の協議をしている。まだ決定的な結論には至っていない。サウジアラビアは、長年にわたってアメリカと石油・ドル協定を結んでいる。そのため、こうした話し合いは複雑になっている。しかしながら、この方向に向けての進展が大いに期待されている。
中国とブラジルは最近、貿易において各国が相手国の通貨を受け入れるという、広範な2国間通貨協定に合意した。一方、中国とロシアの間には、2つの超(ちょう)大国が、共同で米国に立ち向かうという、戦略的関係を広げている。
両国間の貿易では、ロシアは、中国の製造品やその他の輸出品に対してルーブルで支払うことができる。いっぽう中国は、ロシアからのエネルギー、戦略金属、兵器システムに対して、人民元で支払っている。
しかし、こうした取り決めもすべて、8月22~24日に、南アフリカのダーバンで開催されるブリックス(BRICS)首脳会議で発表される、BRICS+(プラス)の新通貨に引き継がれ、取って代わられることになるだろう。
このブリックス+(プラス)の新通貨は、加盟国間の貿易で、実際に取り引きされる商品(コモディティ)のバスケットにペグ(連動)される。最初の議論では、BRICS+(プラス)新通貨のためのコモディティ・バスケットには、石油、小麦、銅、そのほかに、世界的に一定の量が取引されている必需品が、含まれた。
おそらく、BRICS+(プラス)の新通貨は、日常的な取引に使用する紙幣のような形では、利用できないだろう。新しいBRICS+(プラス)の金融組織が管理する、許可制の、台帳(レジャー、ledger 勘定元帳) 上のデジタル通貨となる。
暗号化された情報伝達網によって、参加する当事者(国)が支払い、支払われるべき取引が記録される。しかし、これは暗号通貨(クリプト・カレンシー)ではない。非(ひ)中央集権的(すなわち分散型)でもなく、ブロック・チェーン上で管理されるのでもなく、承認の無いすべての参加者に開示されている訳でもない。
BRICS新通貨の作業グループから(私にもたらされる)最新情報では、この商品(コモディティ)バスケットの価値の評価方法について、1944年の、ブレトンウッズ会議で、ジョン・メイナード・ケインズ卿(きょう)が、遭遇したのと同じ問題に遭遇しているという。
ケインズ卿は、当初、バンコール( bank-all )と呼ばれる世界通貨のために、商品バスケット方式を提案した。しかし、バスケットに含まれる国際的な商品(コモディティ)も、完全に代替可能(同価値とする)ではない。例えば、原油には、粘度(ねんど)や硫黄分などの属性によって70以上の細かい等級分けがある。
最終的にケインズ卿 は、商品(コモディティ)バスケットは必要なく、利便性と統一性の理由から、単一商品である金(ゴールド)(だけに依る)の方が、通貨を固定する目的に適していると考えた。
統一的な価値を評価・維持する基準として、コモディティ(商品)バスケットは非現実的であることから、今回のBRICS+の新通貨は、金(ゴールド)の重さだけに連動することになりそうだ。
これは、BRICSのメンバーであるロシアと中国の強みを生かす。ロシアと中国は、世界の2大金(きん)産出国であり、金準備高の上位100ヶ国の中で、それぞれ6位と7位にランクされている。
こうした動きや関連する動きは、しばしば「基軸通貨としてのドルの終焉 」
The end of the dollar as a reserve currency. 「ジ・エンド・オフ・ザ・ダラー・アズ・ア・リザーブ・カレンシー」 と 喧伝(けんでん)される。このようなコメントには、国際通貨や為替のシステムが、実際にどのように機能しているのかについて、その理解不足が表れている。
このような分析のほとんどに見られる重要な間違いは、決済通貨(payment currency)と基軸通貨(reserve currency リザーブ・カレンシー )のそれぞれの役割を、区別していないことである。決済通貨は財とサービスの取引に使われる。各国は自分の好きな法定通貨(リーガル・テンダー legal tender ある国の貨幣 )で取引することができ、米ドルである必要はない。
いわゆる「基軸通貨」は違う。基軸通貨は、国家にとっては、貿易黒字によって獲得した余剰利益の「貯蓄口座」なのである。この残高は、通貨ではなく証券(国債)の形で保有される。
金融アナリストたちが、「 米ドルが主要な準備通貨である」 と言うとき、彼らが実際に意味するのは、「各国がその通貨建ての証券(債券、bond ボンド)を保有している」ということだ。世界の外貨準備(フォーリン・リザーブ)の60%は、ドル建ての米国債(べいこくさい)である。外貨準備とは、実際には米ドル通貨ではなく、(ドル建て)証券(債券)なのだ。
その結果、大規模に発達した国債取引市場 がなければ、基軸通貨にはなれない。規模、多様な満期、流動性、決済、デリバティブ、その他の必要な機能において、米国債の市場に匹敵する国は、今のところ世界中どこにもない。
つまり、ある国の通貨を「基軸通貨」にしようとするとき、本当の障害は、その通貨を投じるだけの規模がある、各国政府が発行する国債(ナショナル・ボンド)の取引市場が存在しないことなのだ。
そのため、準備資産として、その国の通貨を、国債に置き換えることは、望んでも難しいのである。この点では、世界のどこの国も、まだアメリカの足元におよばない。
しかし、ここからが面白い。この点にこそ、米ドルが、主要な準備通貨(リザーブ・カレンシー)としての地位を、考えられていたよりも、ずっと早く失う、その理由がある。
BRICS+(プラス)の新通貨は、NY(ニューヨーク)の米国債市場を飛び越えて、世界の舞台で、国債に対抗できるほど深くて、流動性のある新しい債券市場(ボンド・マーケット)を、ほとんど何もないところから作り出す機会を提供するからである。
重要なのは、一度に20ヶ国以上で、個人投資家たちに自国通貨で、BRICS+(プラス)の新規国債を買ってもらえることだ。
BRICS+(プラス)債 は、銀行や郵便局などのリーテイル(小売りの)金融機関を通じて販売される。このブリックス債 は、BRICS+通貨建てである。しかし、個々の投資家は、自国の通貨建てでこの債券を購入できる。それを通貨市場の為替レートで換算できる。
BRICS+の新通貨は、金(ゴールド)に裏付けられているため、ブラジルやアルゼンチンのようなインフレや債務不履行(さいむふりこう。default デフォールト)に陥りやすい国の通貨に比べ、魅力的な価値の貯蔵手段となる。
とくに、中国人は、これまで海外市場への投資をほとんど禁止されており、中国国内の不動産や株式に過剰投資してきた。だから、このような新しい投資先に魅力を感じるだろう。
この新らしい市場が、魅力的な運用先として機関投資家に受け入れられるには、時間がかかるだろう。しかし、BRICS+(プラス)の新通貨建ての投資対象に、インド、中国、ブラジル、ロシアなどの、すさまじい規模の個人投資家の資金が投資される。だから、BRICS加盟国の間での、貿易で積み上がる貿易黒字の余剰資金を、吸収することができる。
つまり、即席の「基軸通貨」を作る方法は、自国民を買い手として、即席の「債券市場」を作ることだ。
アメリカは、1917年に、同じようなことをした。1790年から1917年まで、アメリカの債券市場(ボンド・マーケット)は、専門家たちだけのものだった。小売(こうり。retail リーテイル)の金融 市場は存在しなかった。
それが変わったのは、第一次世界大戦中にウドロウ・ウィルソン大統領が、戦費調達のために自由国債(Liberty Bonds、リバティ債。戦時公債 )を発行したときだ。
アメリカのすべての主要都市で、債券購入促進集会や、リバティ債のパレードが行われた。リバティ・ボンドを買うことが、愛国者の義務になったのだ。
この努力は功を奏し、金融市場 を一変させた。アメリカ国民が、個人投資家として、株式や債券、証券を購入するようになった。
BRICS+(プラス)が、リバティ債のような愛国心を盛り上げるモデルを採用すれば、(欧米)先進国の金融市場の支援がなくても、BRICS+(プラス)の新通貨建ての世界準備資産 を作ることができるだろう。
金(ゴールド)で裏打ちされたブリックス新通貨の導入、その「決済通貨」としての急速な利用、さらに、「準備資産=基軸通貨」としての段階的な使用という、この一連の流れは、これまでの数年間の開発期間を経て、来たる2023年8月22日から始まるのである。
BRICS+(プラス)の直接の加盟国を除いて、世界は、この見通しをこれまでほとんど無視してきた。その結果が、これから数週間のうちにおとずれる。それが国際通貨システムの大変動なのである。
筆者のジェームズ・リカーズ氏について。 弁護士、エコノミスト、投資銀行家、金融作家。ジェームズ・G・リッカーズは、現在、アメリカとイギリスの投資家向けに発行されている、「アゴラ・ファイナンシャル」 の主要ニューズレター「ストラテジック・インテリジェンス」の編集者である。
ニューヨーク・タイムズ紙でベストセラーに入った “ Currency Wars(通貨戦争、つうかせんそう)」(2011年刊)、 「The Death of Money(ドル消滅 ザ・デス・オブ・マネー)」(2014年刊)、 The Road to Ruin(ザ・ロウド・トゥ・ルイ―ン)」(2016年刊 ) を、ペンギン・ランダムハウスから出版している。
〇 ( ここから、英文の原文 を載せる )
● ” BRICS Gold-Backed Currency Coming in August”
Daily Reconing JUNE 6, 2023 by Jim Rickards
https://dailyreckoning.com/rickards-drops-bombshell/
On 22 AUGUST – about 2 months from today – the most significant development in international finance since 1971 will be unveiled, reckons Jim Rickards in The Daily Reckoning.
It involves the rollout of a major new currency that could weaken the role of the Dollar in global payments and ultimately displace the US Dollar as the leading payment currency and reserve currency.
It could happen in just a few years. The process by which this will happen is unprecedented, and the world is unprepared for this geopolitical shock wave.
This monetary shock will be delivered by a group called the BRICS. The acronym BRICS stands for Brazil, Russia, India, China and South Africa.
This play for global reserve currency status by the BRICS will affect world trade, direct foreign investment and investor portfolios in dramatic and unforeseen ways.
The most important development in the BRICS system concerns the expansion of BRICS membership. This has led to the informal adoption of the name BRICS for the expanded organization.
There are currently eight nations that have formally applied for membership and 17 others that have expressed interest in joining. The eight formal applicants are: Algeria, Argentina, Bahrain, Egypt, Indonesia, Iran, Saudi Arabia and the United Arab Emirates.
The 17 countries that have expressed interest are: Afghanistan, Bangladesh, Belarus, Kazakhstan, Mexico, Nicaragua, Nigeria, Pakistan, Senegal, Sudan, Syria, Thailand, Tunisia, Turkey, Uruguay, Venezuela and Zimbabwe.
There’s more to this list than just increasing the headcount at future BRICS meetings.
If Saudi Arabia and Russia are both members, you have two of the three largest energy producers in the world under one tent (the US is the other member of the energy Big Three).
If Russia, China, Brazil and India are all members, you have four of the seven largest countries in the world measured by landmass possessing 30% of the Earth’s dry surface and related natural resources.
Almost 50% of the world’s wheat and rice production as well as 15% of the world’s gold reserves are in the BRICS. Meanwhile, China, India, Brazil and Russia are four of the nine highest-population countries on the planet with a combined population of 3.2 billion people or 40% of the Earth’s population.
China, India, Brazil, Russia and Saudi Arabia have a combined GDP of $29 trillion or 28% of nominal global GDP. If one uses purchasing power parity to measure GDP, then the BRICS share is over 54%. Russia and China also have two of the three largest nuclear arsenals in the world (the other leader is the United States).
By every measure – population, landmass, energy output, GDP, food output and nuclear weapons – BRICS is not just another multilateral debating society. They are a substantial and credible alternative to Western hegemony.
BRICS acting together is one pole of a new multipolar or even bipolar world.
When the new currency launch is announced in August, the currency will not fall on an empty field. It will fall into a sophisticated network of capital and communications. This network will greatly enhance its chances of success.
The BRICS are also developing an optical fiber submarine telecommunications system that would connect its members. It is being developed under the name BRICS Cable. Part of the motivation for BRICS Cable is to foil spying by the US National Security Agency on message traffic carried through existing cable networks.
What’s behind this quest to ditch the Dollar? In no small part the answer is US weaponization of the Dollar through the use of sanctions.
On numerous occasions from 2007-2014, I warned US officials from the Treasury, Pentagon and intelligence community that overuse or abuse of Dollar sanctions would lead adversaries to abandon the Dollar to avoid the impact of sanctions.
Such abandonment would lead to the diluted potency of sanctions, unforeseen costs imposed on the US and eventually to the collapse of confidence in the Dollar itself. These warnings were mostly ignored.
We have now reached the first and second stages of this forecast and are dangerously close to the third.
For years, the US has used sanctions to punish nations like Iran. But the sanctions the US and its allies imposed on Russia after it invaded Ukraine last year went far beyond previous sanctions regimes. They were unprecedented.
Many other nations began to conclude that they could be next if they run afoul of the US on certain issues. And that fear has greatly accelerated the push to opt out of the Dollar system entirely.
This desire is not limited to current targets such as Russia but is shared by potential targets including China, Iran, Turkey, Saudi Arabia, Argentina and many others.
The BRICS present a realistic effort to de-Dollarize global payments and eventually global reserves.
For years, I’ve argued that the Dollar would remain the world’s leading reserve currency for longer than most people think.
But below, I show you why a new BRICS currency could greatly accelerate the demise of the Dollar as the world’s leading reserve currency.
How could it happen so much faster than I previously thought?
The global desire to move away from the Dollar as a medium of exchange for international trade in goods and services is hardly new. The difference today is that it’s gone from a discussion point to a novelty to a looming reality in a remarkably short period of time.
Dubai and China have recently concluded an arrangement whereby Dubai will accept Chinese Yuan in payment for oil exports from Dubai. In turn, Dubai can use the Yuan to buy semiconductors or manufactured goods from China.
Saudi Arabia and China have been discussing similar oil-for-Yuan arrangements but nothing definitive has yet been put in place. These discussions are made complicated by Saudi Arabia’s long-standing petro-Dollar deal with the US Still, some progress along these lines is widely expected.
China and Brazil have recently reached a broad-based bilateral currency deal where each country accepts the currency of the other in trade. Meanwhile, there’s a growing strategic relationship between China and Russia as the two superpowers jointly confront the United States. In the trading relationship between the two nations, Russia can pay in Rubles for Chinese manufactured goods and other exports while China pays in Yuan for Russian energy, strategic metals and weapons systems.
Yet all these arrangements may soon be superseded by a new BRICS currency, which will be announced in Durban, South Africa, at the annual BRICS Leaders’ Summit Conference on Aug. 22-24.
The currency will be pegged to a basket of commodities for use in trade among members. Initially, the BRICS commodity basket would include oil, wheat, copper and other essential goods traded globally in specified quantities.
In all likelihood, the new BRICS currency would not be available in the form of paper notes for use in everyday transactions. It would be a digital currency on a permissioned ledger maintained by a new BRICS financial institution with encrypted message traffic to record payments due or owing by participating parties. (This is not a cryptocurrency because it is not decentralized, not maintained on a blockchain and not open to all parties without approval.)
The latest information from the BRICS working groups is that this basket valuation methodology is encountering the same problems that John Maynard Keynes encountered at the Bretton Woods meetings in 1944.
Keynes initially suggested a basket of commodities approach for a world currency he called the bancor. The difficulty is that global commodities included in any basket are not entirely fungible (there are over 70 grades of crude oil distinguished by viscosity and sulfur content among other attributes).
In the end, Keynes saw that a basket of commodities is not necessary and that a single commodity – gold – would better serve the purpose of anchoring a currency for reasons of convenience and uniformity.
Based on the impracticality of commodity baskets as uniform stores of value, it appears likely that the new BRICS currency will be linked to a weight of gold.
This plays to the strengths of BRICS members Russia and China, who are the two largest gold producers in the world and are ranked sixth and seventh respectively among the 100 nations with gold reserves.
These and related developments are frequently touted as the “end of the Dollar as a reserve currency.” Such comments reveal a lack of understanding as to how the international monetary and currency systems actually work.
The key mistake in almost all such analyses is a failure to distinguish between the respective roles of a payment currency and a reserve currency. Payment currencies are used in trade for goods and services. Nations can trade in whatever payment currency they want – it doesn’t have to be Dollars.
Reserve currencies (so-called) are different. They’re essentially the savings accounts of sovereign nations that have earned them through trade surpluses. These balances are not held in currency form but in the form of securities.
When analysts say the Dollar is the leading reserve currency, what they actually mean is that countries hold their reserves in securities denominated in a specific currency. For 60% of global reserves, those holdings are US Treasury securities denominated in Dollars. The reserves are not actually in Dollars; they’re in securities.
As a result, you cannot be a reserve currency without a large, well-developed sovereign bond market. No country in the world comes close to the US Treasury market in terms of size, variety of maturities, liquidity, settlement, derivatives and other necessary features.
So the real impediment to another currency as a reserve currency is the absence of a bond market where reserves are actually invested. That’s why it’s so difficult to displace Treasuries as reserve assets even if you wanted. Again, no country in the world can come close to the US in that regard.
But here’s where it gets interesting, and why the Dollar could lose its leading reserve status much faster than previously thought.
That’s because the BRICS currency offers the opportunity to leapfrog the Treasury market and create a deep, liquid bond market that could challenge Treasuries on the world stage almost from thin air.
The key is to create a BRICS currency bond market in 20 or more countries at once, relying on retail investors in each country to buy the bonds.
The BRICS bonds would be offered through banks and postal offices and other retail outlets. They would be denominated in BRICS currency but investors could purchase them in local currency at market-based exchange rates.
Since the currency is gold backed it would offer an attractive store of value compared with inflation- or default-prone local instruments in countries like Brazil or Argentina. The Chinese in particular would find such investments attractive since they are largely banned from foreign markets and are overinvested in real estate and domestic stocks.
It will take time for such a market to appeal to institutional investors, but the sheer volume of retail investing in BRICS instruments in India, China, Brazil and Russia and other countries at the same time could absorb surpluses generated through world trade in the BRICS currency.
In short, the way to create an instant reserve currency is to create an instant bond market using your own citizens as willing buyers.
The US did something similar in 1917. From 1790-1917, the US bond market was for professionals only. There was no retail market. That changed during World War I when Woodrow Wilson authorized Liberty Bonds to help finance the war.
There were bond rallies and Liberty Bond parades in every major city. It became a patriotic duty to buy Liberty Bonds. The effort worked, and it also transformed finance. It was the beginning of a world where everyday Americans began to buy stocks, bonds and securities as retail investors.
If the BRICS use a kind of Liberty Bond patriotic model, they may well be able to create international reserve assets denominated in the BRICS currency even in the absence of developed market support.
This entire turn of events – introduction of a new gold-backed currency, rapid adoption as a payment currency and gradual use as a reserve asset currency – will begin on Aug. 22, 2023, after years of development.
Except for direct participants, the world has mostly ignored this prospect. The result will be an upheaval of the international monetary system coming in a matter of weeks.
ABOUT JAMES RICKARDS : Lawyer, economist, investment banker and financial author James G.Rickards is editor of Strategic Intelligence, the flagship newsletter from Agora Financial now published both in the United States and for UK investors. A frequent guest on financial news channels worldwide, he has written New York Times best sellers Currency Wars (2011), The Death of Money (2014) and The Road to Ruin(2016) from Penguin Random House.
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。以下に、私の最新刊の本の宣伝をします。これを読めば、上記の記事の重要性が、さらによく分かります。
(ここに 私の本の表紙と、アマゾンのページへのリンク を貼ってください)
米銀行破綻の連鎖から世界大恐慌の道筋が見えた
米銀行破綻の連鎖から世界大恐慌の道筋が見えた
副島隆彦です。 前の方で書いた、ロシア政府が、7月7日に、この「BRICS 世界新通貨」の重要性を、確認した、という記事である。
(転載貼り付け始め)
〇 「 ロシア政府、BRICSが金裏付け通貨を立ち上げることを確認 」
WORLDHAL TURNER 07 JULY 2023
https://halturnerradioshow.com/index.php/en/news-page/world/breaking-news-russia-confirms-brics-to-launch-gold-backed-currency
国営ロシアテレビ(RT エル・ティ)は、「ロシア政府は、BRICSとして知られるブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカが、金に裏打ちされた新しい貿易通貨を導入することを明らかにした」と伝えた。
正式な発表は、今年8月22日に、南アフリカのダーバンで開催されるBRICS首脳会議で行われる予定だ。
これが実現すれば、米ドルのような「不換紙幣(フィアット・マネー)」の終焉を意味する。世界中の国々が、この新しい金の裏付けのある通貨を対外貿易に使用することに、どれくらいのスピードで切り替えるかはまだわからない。
この新しい通貨を使う国が増えれば増えるほど、対外貿易のために米ドルを保有する必要がなくなった国から、外国で保有されていた米ドルが、アメリカに戻って行くことになる。 米ドルがアメリカに戻ってゆくと、アメリカ国内では、かつてなかったようなインフレが起こるだろう。
アメリカは、現在もうほとんど何も製造していない。 アメリカで売買されるものは、ほとんどすべて海外で製造されている。 米ドルが海外から戻ってゆくと、米ドルの価値は他の通貨に対して急落する。つまり、外国から商品を買うのに、より多くの米ドルが必要になる。したがってアメリカ国内では突然、劇的なインフレが起こる。
アメリカは、この事態を食い止めるために、過去に何度も実際の戦争に踏み切った。 最近の例としては、リビアとイラクが挙げられる。
リビアでは、指導者のモハマル・カダフィが、金(きん)の裏付けのある全アフリカ通貨を作ろうと提案した。 彼の提案の発表から1ヵ月も経たないうちに、リビアでは暴動と反乱が起こり、最終的にカダフィは暴徒化し、路上で残酷に殺された。
イラクもサダム・フセイン大統領の下で同様の努力をした。 彼は、「イラクは石油を米ドル以外の通貨で売り始める」と発表した。このことがアメリカをイラク戦争2(2003年3月20日 )へと駆り立て、フセインを政権から引きずり下ろした。フセインは地面の穴に隠れているところを発見され、逮捕され裁判にかけられ、首を吊られた。
米国は、世界の事実上の基軸通貨(キー・カレンシー)である米ドルの信用を失墜させるようなことを世界中の誰かがしようとすると、それを深刻に受け止める。
アメリカはすでに、ウクライナ紛争をめぐってロシアと直接、自分が戦争したくてうずうずしている。 今日のBRICSの金(きん)取引通貨に関する発表で、アメリカの新通貨構想の「グローブ」が外されるのは論理的だと思われる。ロシアとBRICS諸国が、8月に発表することを実行に移せば、アメリカの世界支配は完全に崩壊する。
アメリカ政府内部には、「世界の支配権を失うくらいなら、むしろ世界全体を焼き尽くすことを、自分たちは望む」という人々が大勢いる。 簡単に言えば、彼らは「自分たちの金融支配力を維持するためなら手段を選ばず、自分たちの権力を脅かすあらゆるものを、積極的に、悪意を持って、残忍に、破壊する」と言う。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。 以上の通りだ。 英文と、その日本語訳の文を、しっかりと読むことは、大変、手間(てま)かかるのことであり、大変だ。自分の知能、思考力への大きな負担となる。だが、この作業は、大きな世界の真実を知りたい人々にとっては、避けて通れない道だ。
この学問道場に集まる人たちは、皆、ひとりで、コツコツとやってください。自分の為(ため)なのだから。 副島隆彦拝
【3061】[3561]E・トッドと、池上彰の対談を、私が、縮(ちぢ)めて載せる。「どうもロシアが勝ちつつある」と。
副島隆彦です。 今日は、2023年7月2日(日)です。
副島隆彦です、7月5日に、追加で、2人の対談の3本目をうしろに付け加えた。
以下に、私が、貼り付ける記事は、6月13日に発売された、
『問題はロシアより、むしろアメリカだ 第三次世界大戦に突入した世界』(朝日新書)に伴って、対談者である、イマニュエル・トッドと 池上彰(いけがみあきら)の 発言の一部を、 本の中身をそのまま、屹度(きっと)この本を売る宣伝の意味もあるのだろうが、最近、しつこくネットで読めるようにしている。これを、私が、ここに転載する。
ただし、E・トッドの主張である、「このウクライナ戦争では、ロシアが問題なのではない。アメリカが問題なのだ」に、池上が、突き動かされて、「ロシアの戦略が成功しつつある(のかも)」 と、ここで池上の大きな、思考転換(しこうてんかん)、思考の変更が、如実に見られる。だからこの対談文 の 記事を、 ここに貼り付ける。
ここで、私、副島隆彦は、ここで、評論、言論業界でやってっはいけない、極(きわ)めて異例なことを、引用文に対して敢えてやる。上記の池上彰の主張の中心点である、「ロシアの戦略が成功しつつある・のかも」の「のかも」を、私が省いた。消した。
このように、 2人の対談者の語りの文を、私が、私の能力、知能を使って、勝手に縮めて、短くする。
どうも、だらだらした 読みにくい、トッドの英語(トッドは、フランス知識人だが。きっと英語で話した。この英語が実は聞きづらいのだ。とてもフランス語で話したとは思えない、分かりにくい 翻訳文だ )の翻訳者が、きっと 苦労したであろう日本語訳文だ。 池上の語りの日本文の方は、正確に起こしているようだ。それも、だらだらと、読みにくい。
だから、それらを、私が、ばっさりと、ガツンと、言い切り、断定の文に、切り詰めて、縮めて、明瞭にした。 接続詞も ほとんど、すべて削った。
今の私たちが話す、現在の日本文の「・・・ではなかろうかと思う」とか、「・・・ということではないだろうか」とかの、不要な、言葉は、すべて私の判断で削除した。
その方が、トッドと池上にとっても、主張が明確になっていい。 現在の日本文は、だらだらと不要な間投詞と接尾部が多く煩雑だ。現在の私たちが書く、日本文は、まさしく劣等言語(れっとうげんご)だ。私たちは、「〇〇は〇〇だ」と、断言、言い切りの、もっと文を約(つづ)めた断定の文にしないといけない。
この考えは、私、副島隆彦の最近の大きな信念だ。日本文の、曖昧(あいまい)表現の、知恵遅れにしか見られない、不明瞭な文を、絶滅したい。その人が、何を言っているのか、をはっきりさせる。 異論、反論、当事者たちからの抗議を、私は、受け付けます。
以下、私が、具体例として、訂正した ネット上の 2人の発言の文の訂正、修正 は、きっと、あとあと重要な主張になるだろう。
元の2人のしゃべり文を読みたい人は、以下のURLに、戻って原文と、私、副島隆彦による 縮(ちじ)め文と、照らし合わせて、確認してください。
https://news.yahoo.co.jp/articles/68c151d38f171b4f35fe573a04153b86dca62f35
(転載貼り付け始め。ただし、副島隆彦が、加筆、短縮、修正してある)
〇 ウクライナ戦争の裏で進む「アメリカの危機」 池上彰「結果的にロシアの世界戦略が成功しつつある」 アエラ誌
2023/06/30 筆者:エマニュエル・トッド,池上 彰
1年以上たった現在でも激しい戦闘が続く、ウクライナ戦争。すでに世界情勢に多大な影響を与えているが、その行く末はどうなるのか。対外的な戦争を行っている状況で、各国とも内政に問題を抱えている。特に注意しておきたいのがアメリカ国内の分断だ。
フランスの歴史人口学者であるエマニュエル・トッド氏とジャーナリストの池上彰氏が対談。『問題はロシアより、むしろアメリカだ 第三次世界大戦に突入した世界』(朝日新書)より一部を抜粋、再編集し、紹介する。
問題はロシアより、むしろアメリカだ 第三次世界大戦に突入した世界
* * *
池上彰 この先、この戦争はどうなるか。ウクライナはロシアを国内から追い出すまで戦争を続けると言う。プーチン大統領は、ドネツクやルハンスクなどウクライナ4州から撤退しない。
アメリカも、この戦争から抜け出すことは難しい。ヨーロッパ諸国も、ロシアに経済制裁をした結果、天然ガスが入ってこないことで経済的打撃を受けている。この戦争に勝者はいない。延々とみなが負ける負け戦が続く、この未来が来るのでは。
エマニュエル・トッド この戦争が始まったとき、私は地政学の本を書いていた。世界は中国対アメリカという構図で見ることができると考えた。アメリカの生産力がひじょうに弱まっている。中国も出生率が低下している。だが、この構図だけで世界を見るのは正しくないことに気づいた。
私は焦点をロシアに移した。すると、ロシアは保守的だが、たとえば乳幼児の死亡率を引き下げた(副島隆彦注記。これはプーチンのすばらしい業績だ。これと、ロシアの男たちの死亡年齢を5歳上げた)。乳幼児の死亡率がアメリカを下回った。だから社会として安定した国であると分かった。
ロシアの人口は減少傾向にあり、ロシア的な帝国主義を世界に広めていくほどの
勢力ではない。中国も同様に出生率が低下している。だからこの2国が、今の世界システムで問題(災難、危険)なのではない。
ヨーロッパは、混乱しつつも、社会的にはまあまあ安定している。イギリスが危機的な状況にあるから、私は、アメリカの問題に向き合うことになった。
世界のシステムを考えていくうえで、どの国が問題か。世界が不安定化していく中心はアメリカだ。世界がこれから先に向き合うのは、アングロサクソン圏、とくにアメリカの「後退のスパイラル」だ、と私は気づいた。問題は、ロシアでも中国でもなく、アメリカだ。
いまの人類が直面している問題は二つ。地球温暖化と、アメリカだ。この戦争がどういう形で終わるか、あるいは終わりがあるか分からない。その理由は、不確実性(uncertainty アンサーテンティ)だ。 ロシアと アメリカの軍需生産力が不確実だ。どう終わるのかは、なかなか見えづらい。
さまざまな終わり方の可能性を考えていくと、アメリカ社会が貧困化などの問題で後退のスパイラルにますます入り込んでいく。このことに因(よ)る「アメリカの崩壊」があり得る。
フランスのジャーナリストたちは、ロシアが50%くらいの確率で崩壊すると見ている。だが私は5%だが、アメリカが崩壊すると見ている。イギリスもおそらくこれから後退し、崩壊を迎える。この可能性がある。
池上 番の危機は、アメリカの危機だ。みんなロシアが危機だ危機だと、日本ではいろんな人が言っている。しかし実はアメリカが大変な危機的な状況なのだということですね。
確かに、アメリカ国内での分断ということは、明らかに進んでいる。共和党の内部が分裂をしている。下院の議長が15回も投票しなければ決まらなかった。ト
ランプが
「選挙に出る」と言ってしゃしゃり出ている。共和党も、トランプについていくという人ばかりではない。
じゃあバイデン大統領は大丈夫なのか。機密文書の問題が出てきたり高齢で。アメリカ自身が迷走している。アメリカ自身が危機的な状況にあると考えなければいけない。
ロシアがこの戦争の前から、「世界でアメリカが唯一の大国であってはいけない。多様な世界でなければいけない」と言っていた。今回のウクライナ戦争をきっかけに世界がさまざまに分断し、多様になっている。これでロシアの世界戦略が成功するかもしれませんね。
ウクライナは大変な苦戦をしている。私たちはそこだけを見てしまうが、もっと広く長く見ると、ロシアの世界戦略が成功しつつある。
トッド この分断した世界が、必ずしも不安定な世界だ、とも限らない。
分断した世界が不安定だと言い切るのは間違いだ。人口の面から停滞した国があって、ある程度、平和的で安定した社会(国)もある。アメリカがただ1国の世界覇権国家として存在し続けるといった世界のほうがむしろ危(あやう)い。世界の不安定化を招く。分断された世界の方が、不安定ではない。
池上 なるほど。メディアが一方的に伝えていることに対して、「ちょっと待て。いやいや、問われているのは実はアメリカなんだ」という、オルタナティブな別の見方も提示すべきだ。そして冷静な視点でこの戦争を見るべきだ、とトッドさんから教(おそ)わっている。
この戦争はどういう形で終わるか。この戦争の終わり方が私は見えない。どういう形で広がるか、あるいは終わるか、を(あなたは)どう考えるか。
トッド そうですね……。この戦争は「終わらない」と思う。 私は5年だと思う。(私の専門である)人口動態(学。 じんこうどいたいがく。demography デモグラフィー)で見ると、ロシアの人口が減り始めるのが5年後である。第1次世界大戦、第2次世界大戦ともに5年ほどで終わった。
池上 私の予測では、プーチン大統領の頭のなかに、4年間の「独ソ戦」(ロシアでは大祖国戦争と言う )がある。第2次世界大戦中の1941年6月から45年5月にかけて「独ソ戦」があった。
ドイツの侵略で、現在のウクライナの土地で大戦車戦をやった。4年かかってドイツを追い出した。だから、少なくとも4年は続くだろう、とプーチン大統領は考えているだろう。
だから、少なくともあと3年間くらいは、やはり私たちも残念ながら、覚悟しなければいけない。結果は勝者がいないという戦争だ。私たちはこう認識すべきだ。
この戦争が終わったとき、中国、インド、サウジアラビアといった国が勝者として生き残ると考えられるか。
トッド 2つの大国が対決すると、その後にその周りにいた国が台頭してくる、ということが人類の歴史のなかである。
第1次世界大戦もヨーロッパのなかで対立が起き、ヨーロッパは自殺するような形で崩れた。この対立のなかからアメリカの世界覇権というものが生まれた。
この意味で、池上さんのおっしゃった、その他の国々が勝者のようことがあり得る。ただし、これらの国は世界の覇権を取るほどではない。
インドという国は、人口が多い、ひじょうに多様な国で、ムスリムの人口も多い多宗教国家で、本当に不確実だからわからない。世界を支配するほどの力は
ない。サウジアラビアもない。
むしろロシアが勝者になる可能性がある。この戦争は単なる軍事的な衝突ではなく、実は価値観の戦争(the war of values ザ・ウォー・オブ・ヴァリューズ 。大きな価値 が対立する戦争。どちらも後には引けない戦いになる )だ。西側の国(the West ザ・ウエスト)は、アングロサクソン的な自由と民主政治 が普遍的で正しいと考えている。
一方のロシアは、権威主義でありつつも、あらゆる文明や国家の特殊性を尊重するという考えが正しいと考えている。中国、インド、中東やアフリカなど、このロシアの価値観のほうに共感する国は意外に多い。
〇 「 エマニュエル・トッド×池上彰対談 ウクライナ戦争、中国の参加で見えた「米国の凋落」 」
2023/06/14 アエラ誌 朝日新聞 (の中の、まだ生き残っっている左翼インテリ記者の残党たちの活動による よい仕事だ。副島隆彦)
歴史人口学者・家族人類学者 エマニュエル・トッドさんEmmanuel Todd 1951年、フランス生まれ。家族構造や人口動態などのデータで社会を分析、ソ連崩壊などを予見。近著に『トッド人類史入門 西洋の没落』
ジャーナリスト・池上 彰さん(いけがみ・あきら) 1950年、長野県生まれ。名城大学教授、東京工業大学特命教授。主な著書に『池上彰の「世界そこからですか!?」』など
ウクライナ戦争の終わりが見えない。各国の思惑も絡むなか、注目すべきは「アメリカの凋落」だと指摘する歴史人口学者のエマニュエル・トッドさんと、ジャーナリストの池上彰さんが語り合った。AERA 2023年6月19日号の記事を紹介する。
* * *
ウクライナ戦争が始まって1年3カ月余。ゼレンスキー大統領が「反転攻勢」の開始に言及するなど、依然として出口は見えない。ロシアを抑え、軍事費で世界1位と2位は、アメリカと中国だ。その中国はなぜ、このところウクライナ戦争に仲介の動きを見せているのだろうか。エマニュエル・トッドさんと池上彰さんは6月13日に、『問題はロシアより、むしろアメリカだ』(朝日新書)を出版する。ウクライナ戦争を「終わらない戦争」とみる2人の対談内容を本誌で緊急報告する。
池上:中国の習近平国家主席が、2023年3月20日にロシアを訪問して、プーチン大統領と会った。この動きを(トッドさん、あなたは)どう見るか。
トッド:ロシアがこのウクライナ戦争で分かったことは、ウクライナが軍事面でNATOに支えられている。
ロシアは、戦争経済(ウォー・エコノミー)の段階に入った。この戦争はもう消耗戦だ。たくさんの兵士が死んだ。資源面においても、たとえば軍事品、大砲etcが重要になった。この分野で、ロシア側も西側(the West ザ・ウエスト。欧米)も、「アメリカの弱さ」に気づいた。アメリカの生産面における弱さを知って、「中国がロシア側で参加する」ということが明らかだ。
■米が負ける可能性
グローバル化した世界で、工作機械の分野で、中国は世界の約30%だ。日本は約15%、ドイツも同じ約15%。イタリア、アメリカは7%、8%だ。これは私の仮説だが、アメリカとNATOの国々の負けが見える。
中国の態度は、中国はこのウクライナ戦争が始まった時点から、常にロシアを支えた。ロシアが負けると、アメリカは次は中国を攻撃すると、中国にはわかっている。だからロシアを支える。
中国がここ最近、態度を少しずつ変えてきている。アメリカとNATO側が、この戦争に負ける、と中国は気づいたのではないか。中国はウクライナ戦争で、アメリカが、この戦争を台湾まで広げることで決着となると、最初は厳しく見ていた。ここ最近は、「このヨーロッパでの戦争は台湾までは来ない。ロシアとウクライナの地で終結する」と見ている。
■産業生産力の戦争
この戦争を産業生産力の面から見よう。アメリカは爆弾や大砲を十分に生産できない状況になる。アメリカは、同盟国の工業国にプレッシャー(圧力)をかける。どこの国か。ヨーロッパではドイツ、アジアでは韓国と日本、とくに日本だ。
アメリカ側についている国で、産業国家は、日本とドイツだ。アメリカがこの2国にプレッシャーをかけ始める。
池上:態度を少しずつ変えてきている中国は、23年2月24日に、ロシアとウクライナの、停戦に向けての仲介案を出した。これをどのように評価するか。中国の狙いは何か。(あなたは)どう見るか。
トッド:世界レベルで、「中国は仲介国である」と、自身を位置付けた。
23年3月10日に、外交関係を断絶していたサウジアラビアとイランが、中国の仲介で外交関係を正常化する合意をした。サウジアラビアの同盟国であるアメリカは蚊帳の外だ。
この「世界の地政学ゲーム」に中国が入ってきた。先ほど触れたが、「ロシアがこの戦争で負けることはない」とわかったからだ。中国は、「アメリカはだんだん傾いていく大国だ」と見ている。そして中国が世界政治の中心に近寄る。だからこその3月10日の行動(サウジとイランの国交回復、和解を仲介した)だ。
■NATOを潰す目的
世界的なアクター(役者)の一つとなった中国は機会があるたびに、「アメリカに取って代わろう」としている。ここには、「真の和平案はない」と私は考える。
中国とロシアの同盟関係の目的は、NATOを潰すことだ。アメリカの産業界が非常に弱くなっているとすでにわかっている。
私の悲観的な見方を話す。ロシアと中国は、この戦争をやめることに利益がない。続けることにこそ意義がある。逆にアメリカは、自分のしかけた罠にハマってしまった。
この戦争は近い将来どうなるか。ロシアと中国は人口的な面、人的資源の面で、だんだんと人口が減ってくる。
ロシアの人口ピラミッドから、5年後に人口が減るという時期が来る。これからの10年ぐらいで中国も労働人口の30%が縮小する。だからロシアと中国にとっては、今がアメリカのヘゲモニー(覇権)を崩壊させるチャンス、時期だ。 (構成/編集部・小長光哲郎、通訳・大野舞)※AERA 2023年6月19日号より抜粋
「 問題はロシアより、むしろアメリカだ 第三次世界大戦に突入した世界 」 (朝日新書)
エマニュエル・トッド,池上 彰 2023年6月13日 発売
●エマニュエル・トッド(Emmanuel Todd)
歴史人口学者・家族人類学者。1951年、フランス生まれ。家族構成や人口動態などのデータで社会を分析し、ソ連崩壊などを予見。主な著書に『我々はどこから来て、今どこにいるのか?』(文芸春秋)『第三次世界大戦はもう始まっている』(文春新書)など
●池上 彰(いけがみ・あきら)
ジャーナリスト。1950年、長野県生まれ。NHKの記者やキャスターを経て、フリーに。名城大学教授、東京工業大学特命教授。主な著書に『世界史を変えたスパイたち』(日経BP)『第三次世界大戦 日本はこうなる』(SB新書)など
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。どうやら、トッドの主張に押されて、 池上彰 が、私、副島隆彦の影響を受けだした。 池上は、「どうもロシアの世界戦略が成功しつつある」
西側(the West ザ・ウエスト)ではない、非(ひ)欧米諸国の、団結をようやく受け入れ出した。最近の言葉でいえば、非(ひ)西側は、インド、サウジと中東諸国、ブラジルと南米諸国として、アフリカ54か国、など のglobal south 「グローバル・サウス」である。ここには、ロシアと中国がはいる。
私、副島隆彦は、池上彰が、「どうも、ロシアが勝ちそうだ。アメリカの国内が危ない。ロシアよりも、アメリカが先に崩壊するのではないか」と、この対談本で、言い出したから、と言って、急に驚かない。 私にとっては、西側=G7体制は、the Deep State デープステイト = cabal カバール の 極悪人(ごくあくにん)たちが、頂点で支配する体制だから、世界人民によって、打倒されるべきだ、と、ずっと主張してきた。池上彰が、ここまで来るとは微(かす)かにも思っていない。
それでも、この2人の発言に、日本のインテリ層は驚かなければいけない。自分の頭が少しでも良くなるためには。そう思うので、対談での主張を勝手に、約(つづ)め言い切り、断定の文にすることで、明瞭にした。日本語(文)の、今の、劣等、欠陥言語 の巨大な欠点を、私たちは、なんとかしないといけない。 副島隆彦拝
副島隆彦です。今日は、2023年7月5日(水)です。さらに追加で、3本目の、トッド・池上対談の ネット上の、アエラ AERA 誌の 文章を、以下に転載します。
〇 「 アメリカがドイツに戦争をしかける理由 ウクライナ戦争で見えた「保護国」に依存するアメリカ 」〈AERA〉
2023年6/27(火) アエラ誌 朝日新聞出版
(副島隆彦注記。私が、この対談へも、手を加えて、だらだらとしたおしゃべり文章を短く縮(ちぢ)めて、断言、言い切りの明瞭な文にした )
ウクライナへの最大の支援国としてロシアの軍事侵攻を阻むアメリカ。しかし、アメリカにはドイツへの介入の目論みがある。こう語るのは、フランスの歴史人口学者であるエマニュエル・トッド氏だ。その背景をジャーナリストの池上彰氏との対談をまとめた 『問題はロシアより、むしろアメリカだ 第三次世界大戦に突入した世界』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集し、紹介する。
* * *
池上彰 トッドさんはドイツについて、アメリカは、実は、今回ロシアにだけでなく、ドイツにも戦争をしかけていると言う。ロシアとドイツを分断して、ドイツ経済を破綻させようとしていると指摘している。なぜ、アメリカはその必要があるのか。その試みは成功するのか。
エマニュエル・トッド そうですね、アメリカが、ドイツ経済を完全に破壊させるというのは正確ではない。あくまでも自分たちアメリカ、そして西側のためのものとしてだけドイツ経済を保ちたい、ということだ。 ロシアの補完的なものにドイツがなるのではなくて、あくまでもアメリカのためにドイツはあるべきだ、とアメリカは見ている。私は、アメリカがドイツ経済を破壊しようとしているとまでは言わない。
それでも、ロシアとドイツを結ぶ天然ガスのパイプライン「ノルドストリーム」が人為的に爆破された(副島隆彦注記。これは、アメリカ軍とノルウエー軍の水中工作部隊がやったことが、ほぼはっきりしている。
アメリカは今もしらを切っている。副島隆彦注記)この出来事を見ても、アメリカがそういう、ドイツ経済を破壊したい思惑を持っていることがわかる。 アメリカがいまの戦争に勝つためには、ドイツの産業と工業の力、そして日本や韓国の工業の力がなくては勝てないん。これらの国々が、軍需品を生産してくれることが必要。
つまりこれらアメリカの「保護国」( ほごこく。Protectorate プロテクタレット。従属国と同じ意味。副島隆彦注記) が、軍需品の生産をしてくれる必要があるん。 この状況は、始まったばかりだ。もし、ウクライナ軍が負けてしまったら、NATOはいまの状況をコントロールできなくなる。もしそうなったら、ドイツがアメリカに従わなくなることも想定できる。状況はますます複雑になっている。
ポーランドの大使が「もしウクライナ軍が負けたら、今度はポーランド軍が戦争に突入する」と発言した。このことからも、ひじょうに状況は複雑になる。ポーランドという国は、ヨーロッパの歴史を眺めてみると伝統的に、無責任なところがある。ひじょうに複雑化してしまう。いろいろと想像はできる。
18世紀のヨーロッパでは、ドイツとロシアが、ポーランドを潰(つぶ)すこと(領土を分け合って、ポーラントを国家として消滅させた。副島隆彦注記。 )をした。ポーランドを分割した。 予測であり、考えたくもないようなことなので、私も話すのがとても難しい。
ドイツ自身が何を考えているの、全くわからない。私自身、このウクライナ戦争で、ドイツがアメリカに非常に従順であることに驚いた。 ノルドストリームをアメリカが破壊したことに対しても、されるがままだった(副島隆彦注記。一片の抗議声明もドイツ政府は出さなかった)。
この状態は、1812年にナポレオン軍がロシアへ侵攻してきたときを、私たちに思い出させる。 あのときナポレオン軍が次第に勢いを失って、どんどん後戻り(撤退。withdraw ウイズドロー) をせざるを得なくなった。あの時代は、フランスとロシアは人口がほぼ同じだった。ナポレオンが率いるフランス軍の下には、ひじょうに多くのドイツ人も含まれていた。
ロシアに対してフランスとドイツは同盟国だった。ところがフランスがだんだんと敗北して、戦況が怪しくなった。このときに、ドイツは、フランスを見棄てて(離反して)ロシア側についた。 このことからも、ドイツが今後、どういった行動に出るか、見えない。もしかしたらアメリカがナポレオンのときのフランスと同じ目に遭う。この意味で「ナポレオン=バイデン」と言うことができる(笑)。
いまの状況を見る限り、戦況はアメリカに完全に優位だと言えない。いろんな国がそれを感じ取って動き始めている。今、私が言っていることはあくまでも予測でしかない。半分冗談として捉えていただきたい。
私はこれらの要素を考えて分析をしていこうと思う。いまの時点では、こうなるだろうと、予測はできない状況だ。 ここで私は、ひじょうに断定的なものの言い方を、つまりいわゆる西洋のディスクールで聞かれ考え方とは少しズレた、かなり断定的な言い方をしている。
実は、西洋のディスクール(discourse 言説。げんせつ。英語ではディスコース。講演。談話。 コトバによる思想の伝達のこと。副島隆彦注記)はひじょうに偏(かたよ)っている。だから、私のものの言い方もひじょうにエクストリーム(過激 extreme )になり、断定的な言い方になる。 話の全体(コーパス corpus ) つまりいろんな議論に関する分析(アナリシス analysis )と ディスクール(議論)の全体で、そのなかのマジョリティー(多数派意見)はどのようなものなのか。
そのマジョリティーの人が何を言っているかに配慮するので、私のこの(ヨーロッパ知識人としては過激な)言い方がある。 西洋では、「プーチンはモンスター(怪物、妖怪)だ。それに対して、アメリカは自由の擁護者だ」とよく言われる。この意見は、西洋ではどこでも誰でも、言っている。みなが目にする話だ。
それに対して、私の意見はマイノリティーだ。だが、誰から何かを奪う意見ではない。私は、意見の多様性、多元性というものを擁護したい。
池上 トッドさん自身は、「ちょっと断定的な言い方をしますが」とか、あるいは「私は、アメリカフォビア( America phobia 米国嫌い)だ 」とちょっと冗談めかして言う。このような保留(りゅうほ。reserve 限定条件。差し控え) をしつつも、このウクライナ戦争は多様な見方が本当に必要だ思うのですね。
メディアが一方的に伝えているなかで、「ちょっと待てよ(問題はアメリカだ)」という視点が、非常に大事である。このとき極めて知的レベルの高いトッドさんの視点が、私には大変参考になる。このウクライナ戦争の今後を見ていくうえで、とても大事な視点だと思った。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦拝
【3060】[3560]ロシアはやはり大国である。ワグネル民兵軍 の待遇を改善する。そして新たな戦線に向かわせる。
副島隆彦です。今は、2023年6月25日(日)午後6時です。
ロシアは、やはり大国である。ロシア人は、ひとりひとりの人間が大きい。さすがに大国である。欧米=デープ・ステイト=NATO勢力(今のところは武器援助だけ) を敵に回して、人口は、たった1億5千万人しかいないのに、よく戦っている。何があっても、実に堂々たるものだ。 そしてその大後方(だいこうほう。 the great back グレイト・バック)に、大国の中国がいる。私たち日本人も、彼らに見習わなければいけない。
日本人は、敗戦後のアメリカによる、この78年間の属国 奴隷化 と、イギリス(大英帝国)による幕末からの、170年間の洗脳が、キツイものだから、大きな頭脳をした人間たちが、どうも出現しにくい。この点が、今回のロシアの動きで、よく分かった。
ロシアには、本当の、大物の政治家、軍人たちが、歴史の必然として、その民族の運命を背負って出現するものである。 ワグネルの指導者の プリゴジンは大物だ。ロシア国民から、英雄として尊敬されている。それを、殺すことのできるロシア国軍の幹部も、国家警察( FSB ロシア連邦保安庁)の幹部たちもいない。
ワグネルは、堂々と軍用車両を連ねてロシアの各都市を移動している。ロシア国軍の攻撃用ヘリコプターと偵察機が、ワグネルの宿営地(軍営、ボロネジ州にあったようだ )を攻撃して、ワグネルの兵士たちを殺したので、そぼ攻撃ヘリと偵察機を、ただちに撃墜している。さすがにワグネルは強い。そのあと、ロストフ州の州都ロストフ・ナ・ドヌ―に移動した。そこから、モスクワまで、M4と呼ばれる、政府連絡道路(高速道路)がある。
民衆に愛される指導者が、本当に偉いのだ。民衆、国民大衆から尊敬されない者が、一国を指導してはいけない。
(以下の1番目の記事の写真を、それぞれの個所に貼ってください)
ワグネルの創設者プリゴジン氏はモスクワに向けて進軍していた(24日、ロストフナドヌー)=ロイター
副島隆彦です。プーチンは、一度は、ワグネルの動きを、国家に対する裏切り(反乱)として、鎮圧すると宣言した(日本時間、24日、午後4時。現地、午前10時)が、裏側で、交渉を進めて、ワグネルという私兵集団(準軍事組織。民兵部隊。PMC=民間軍事会社=。歴史的には、傭兵 mercenary マーシナリーでもある)を、ロシアの正規軍の下に付ける、ということで、合意した。ウクライナ東部の最前線で、激しい戦闘をして来た、ワグネルへの、ロシア国民からの、尊敬と敬意は深い。 ワグネルの兵士たちは、訓練中の残り(予備役)をいれたら、合計4万人ぐらいが、元囚人たちらしい。すでに、この1年半の戦いで、2万人が死に、その倍の数が負傷兵として病院にいるようだ。
そして、プーチン大統領は、私、副島隆彦が、これまで、自著で書いてきたとおり、哲学者王(てつがくしゃおう。哲人政治家=てつじんせいじか= philosopher king フィロソファー・キング 哲学者でありながら優れた独裁的な国家指導者 )である。
私は、自分の本 『プーチンを罠(わな)に嵌(は)め、策略に陥(おとしい)れた 英米ディープ・ステイトは ウクライナ戦争 を第3次世界大戦にする』(秀和システム、2022年7月刊。あとで、アマゾンのリンクを貼ってください。)の 236ページからあとに、このことを書いた。
プーチンを罠に嵌め、策略に陥れた英米ディープステイトはウクライナ戦争を第3次世界大戦にする
プーチンは、古代ギリシアのアテネの指導者、“賢帝(けんてい)”ペリクレスと、それを、40歳年下で支えた、ソクラテスの 再来だ。
だから、プーチンは、政治の大天才だから、こういう内部の揉め事(もめごと)ぐらいは、簡単に解決する。西側(デープステイト)の愚劣なメディアどもが、何を言おうが、ロシア人は、大国の、大きな人間たちなのだ。
プーシキンと、チャイコフスキーと、トルストイとドストエフスキー、その他、多くの世界最高峰の 芸術家、文学者 を生んだ国だから、人間のスケールが、大きいのだ。プーチンの24日の演説の全文を、佐藤優氏が、私に送って来てくれたので、うしろの方に載せる。
私たち、日本人も、欧米を支配する愚劣な超エリート階級と、ローマカトリック教会と、裏に隠れた悪魔の大富豪たち、すなわち、ディープ・ステイト=カバールたちと、闘い続ける、ロシア国民に、連帯して、私たちの日本で、反撃の狼煙(のろし)を上げないといけない。
そのために、下 ↓ の方に、「おお、ついに、小沢一郎が動き出した」(6月16日)と、「次の日本の指導者になるべき、泉房穂(いずみふさほ)の東京での7月5日(水)の、出版記念講演会」のお知らせを、転載します。 私たち日本人も、少しでも、大きな人間になって、ものごとを、大きく、大きく、捉(とら)えて、鷹揚(おうよう)にふるまえる国民に成りましょう。それだけの能力と資質を、私たちは、持っています。 以下に、私が今朝、書いた文を載せる。 副島隆彦 記
副島隆彦注記。 今は、6月25日午前10時半です。
まず、下の記事の中の 画像の 「6月24日、ロストフナドヌーから引き上げるワグネルの部隊=ロイター」は、ワグネルの 英雄たちの 、まさしく、堂々たる、勝利の行進だ。それを取り巻いているロシア国民たちの安心した感じと、ワグネルへの尊敬と、敬意が感じられる。
各都市の ロシア正規軍(国家軍隊)の司令官たちも、ワグネル軍の通行に対して、敬意を表して、道を譲っている。通行を邪魔していない。歴戦の勇者たちである、ワグネル軍の兵士たちは、動きがゆったりとしている。いつでも死ぬ覚悟である軍人と言うのは、いつもはのんびりしているものだ。
ワグネル軍が入った、ロストフ・ナ・ドヌーの都市の正規軍 の司令官たち と、プリゴジンが、和気あいあいと、司令部の中庭の隅の椅子で、しんみりと話し合っている様子も映った。
そして、当然ながら、プーチン大統領も偉い。 さすがに大(だい)指導者である。プリゴジンを、ベラルーシに 送った(おそらく最側近の者たち、数十人だけと共に)ということは、どういうことになるか。ベラルーシ大統領のルカシェンコは、プリゴジンを、客分として、丁重に迎えたあと、兄弟分として、NATO軍との対峙、対決のことを、これから真剣に、話し合うだろう。
これからの、ヨーロッパ戦線の最前線であるポーランドとの国境線に、これから、再編成されるワグネルが結集してゆく、ということだ。 このことに、西側同盟(すなわち、デープ・ステイト、反共右翼。WACL ワックル =世界反共同盟= 統一教会 Moonies ムーニーの別動隊 )の歪んだ精神をした、ヨーロッパ各国の将軍たちの集まりであるNATO軍は、ワグネルという、
今や、実戦の中で、多くの戦死者を出してバフムートの戦いを勝ち抜いた、現在の地球上で、最強の軍隊と、これから対峙することになる。NATO軍が、やがて、この最強のワグネル軍と、正面戦の歩兵同士の市街戦をすることになる、と考えたら、NATO軍の将軍(司令官)たちは、ぞっとしているだろう。プリゴジンをしたって、また、ワグネルの兵士たちが、今度は、ベラルーシの最前線に再結集してくるからだ。
すでに、ウクライナ東部の戦いに、ポーラント軍の兵士たちが、5万人、ルーマニアや、スウエーデンの兵士たちも、数万人が外国人義勇兵(ボランティーア・アーミー、志願兵)の形で、実は参加している。 副島隆彦記。
〇 「 ワグネル、武装蜂起を停止 プリゴジン氏はベラルーシへ 」
2023年6月25日 3:02 日経新聞
ベラルーシ大統領府は24日、同国のルカシェンコ大統領が民間軍事会社ワグネル創業者のエフゲニー・プリゴジン氏と協議し、ワグネル戦闘員によるロシア国内での武装蜂起の停止で合意したと発表した。ロシア通信は同日、ロシアのペスコフ大統領報道官がプリゴジン氏の刑事事件は取り下げられ、プリゴジン氏はベラルーシに出国すると述べたと報じた。
・岐路に立つロシア、和平か混迷か ワグネル反乱
・ワグネル、ロシア南西部から撤収開始か 欧米メディア
ベラルーシ国営ベルタ通信によると、協議では両者がロシア国内で流血の事態に至ることを避けることで合意した。ルカシェンコ氏がロシア国内でのワグネル武装勢力の移動停止と、緊張緩和のためのさらなる措置を提案し、プリゴジン氏が受け入れたという。ワグネル戦闘員の安全保証などが議論されたもようだ。
プリゴジン氏も通信アプリのテレグラムで「我々はモスクワまで約200キロメートルまで来た。この間、我々戦闘員の一滴の血も流さなかった」「我々は隊列を反転し、計画に従い、駐屯地へと戻っていく」と投稿した。
ベルタ通信などによると、両者の協議に先立ってロシアのプーチン大統領はルカシェンコ氏と協議し、ワグネルの武装蜂起への対応について議論した。両首脳は共同で問題解決にあたることで合意したという。
24日にロシア南西部のロストフ州を出発したワグネルの部隊は幹線道路を北上してボロネジ州などを通過し、首都南方まで迫っていた。
6月24日、ロストフナドヌーから引き上げるワグネルの部隊=ロイター
プリゴジン氏は6月24日、ワグネルの戦闘員がウクライナ国境近くのロストフ州に入ったと通信アプリに投稿した。ロシア連邦保安局(FSB)は武装蜂起を呼びかけた疑いでプリゴジン氏の刑事訴追に向けた捜査を進めていた。
プリゴジン氏はワグネルの多数の戦闘員がロシア軍にミサイルなどで攻撃されて死亡したと主張、ロシアのショイグ国防相とゲラシモフ参謀総長への面会を要求していた。「抵抗するものはただちに抹殺する」などとも述べ、モスクワに進軍する意向を示していた。
ウクライナへの侵攻については、プリゴジン氏は、「 ショイグ氏ら軍上層部がプーチン氏をだまし、自らの利権のために始めた」とも主張していた。
プーチン大統領は6月24日午前の緊急のテレビ演説でワグネルの武装蜂起について「内部の裏切りも含め、あらゆる脅威から国民と国を守る」と反乱を非難した。ロシア軍への軍事行為は「裏切り者だ」と強調し「犯罪行為への参加を止めるという唯一の正しい選択」をするよう求め、投降を呼びかけた。
首都モスクワではワグネルの進軍への警戒が一段と高まっていた。ソビャーニン市長は24日「対テロ作戦が宣言された」と通信アプリに投稿した。防衛産業など一部を除いて26日を休日とすることを決め、市内の移動を極力控えるよう市民に求めた。
〇 「 プーチン大統領、軍事蜂起のプリゴジン氏を反乱罪に問わず 」
6/25(日) 7:25 AP
(副島隆彦注記。 実にいい写真だ。この緊張した状況で、これだけ、一般国民と、この距離の近さで、堂々と写真を撮れる、ということは、本当に大物の人間のすることだ。 プリゴジンは偉い)
ロシア南部ロストフ州の南部軍管区司令部周辺から離れる際に、地元市民と写真を撮るワグネルのプリゴジン氏(右)=2023年6月24日、AP
ロシアの民間軍事会社「ワグネル」が武装蜂起した問題を巡り、プーチン大統領は6月24日、ワグネル創設者のプリゴジン氏を反乱罪に問わない決定を下した。ペスコフ大統領報道官が国営メディアで明らかにした。プリゴジン氏がモスクワへの進軍停止と事態の沈静化に同意したため。
【写真】地元市民が路上に…ワグネル撤収、ロストフ州は今
ロシア南部ロストフ州の南部軍管区司令部周辺から離れる準備をするワグネルの戦闘員たち=2023年6月24日、AP
プーチン氏は24日午前のテレビ演説で、南部ロストフ州の軍施設などを占拠したワグネルの行動について「裏切りだ」と糾弾し、プリゴジン氏ら指導部を処罰する考えを示していた。
この方針をわずか半日で転換したことに関し、ペスコフ氏は「流血と内紛、先の見通せない衝突を避けることがより重要な目的だった。そのためにベラルーシのルカシェンコ大統領がワグネルとの交渉に乗り出し、プーチン氏も適切な決断を下したと、その意義を強調した。
一度は反乱だと非難したプリゴジン氏について、ベラルーシに出国できるようにプーチン氏が身の安全を保証した」と説明している。一連の交渉を巡っては、プーチン氏とルカシェンコ氏も電話で協議したという。 ペスコフ氏は、「モスクワを目指して進軍していたワグネルの部隊を拠点に戻すことで合意した。更に蜂起に参加しなかったワグネルの雇い兵に関しては、ロシア軍と契約を交わせることを約束した」という。政府がワグネルの懐柔策に乗り出した格好だ。【モスクワ大前仁】
〇 「 武装反乱の画策を受け、プーチン大統領が国民に演説 」 スプートニク
2023年6月24日
https://sputniknews.jp/20230624/16365158.html
プーチン大統領はロシア国民、ロシア軍や治安維持機関、また嘘と脅迫によって武装反乱の道へと押し出された人々に向け、次のような声明を表した。
プーチン大統領の演説の主旨は以下の通り、
ロシアは自国の未来のために極めて苦しい戦いを行っている。西側の軍事、情報の全てのマシンがロシアに対抗している。
これは国民の命運を左右する戦いである。この戦いにはあらゆる勢力が一丸となり、結束し、責任をとることが求められる。
団結を裂く行動は、事実上、前線で戦う戦友に対する背信である。
今、ロシアは裏切りに直面している。途方もない野心と私利私欲が反逆につながった。意図的に裏切りの道を歩んだ者は全員が処罰は逃れようがなく、法の前にも国民に対しても答えねばならない。
ロシア軍とその他の国家機関は必要な命令を受け、ロストフ・ナ・ドヌーの状況安定化のために断固とした行動をとる。反乱を組織した者はロシアを裏切った。ゆえにその責任を取ることになる。
6月24日、ロシア国家対テロ委員会は、モスクワ及びモスクワ州で発生しうるテロを未然に防ぐために対テロ作戦体制が発動されたことを明らかにした。
6月24日、ロシア国防省は民間軍事会社「ワグネル」の突撃隊の隊員に対し、彼らがプリゴジン氏の犯罪的な賭けに騙され、武装蜂起に引き込まれている旨を伝え、隊員らの身の安全は保証されているとして、早急にロシア国防省または治安維機関の代表らと連絡を取るよう促し、「ワグネル」の多くの隊員は常設の配置への安全な帰還が保障されるよう助けを求め、すでにそうした支援を受けたと呼びかけた。
6 月23日深夜、ロシア連邦保安庁広報センターは、エフゲニー・プリゴジンの名であたかもロシア国防省が民間軍事会社「ワグネルの後方部隊」にミサイル攻撃を行ったとしてSNS上で拡散されている情報は全て事実には即しておらず、煽動のための情報だと発表した。翌24日、ロシア国防省がこうした声明を表した。
ロシア・ロストフナドヌーで、民間軍事会社ワグネルの隊員と言葉を交わす地元住民(2023年6月24日撮影)。
ロシア・ロストフナドヌーで、民間軍事会社ワグネルの隊員のそばに座る地元住民(2023年6月24日撮影)。
ロシア・ロストフナドヌーに進軍した民間軍事会社ワグネルの部隊(2023年6月24日撮影)。
〇 佐藤優氏からの、私、副島隆彦を含めて少数の人たちへのメール(今日の午前11時13分)の中のあったプーチン大統領演説。
(転載貼り付け始め)
・・・・こういうときはロシアのプーチン大統領が何を言うかを正確に把握することです。
<「ロシア国民への呼びかけ」
2023年6月24日 午前10:00(モスクワ時間、日本時間同日16:00)
私は、ロシア国民、軍隊、法執行機関、特殊部隊の職員、現在、戦闘陣地で戦い、敵の攻撃を撃退し、英雄的な活躍をしている兵士や指揮官に対して呼びかける。私はまた、欺瞞や脅迫によってこの犯罪的冒険に巻き込まれ、武装反乱という最も重大な犯罪の道へと突き進んでしまった人々に対しても呼びかける。
ロシアは現在、未来のために苦しい戦いを強いられており、ネオナチとその主人たちの侵略を退けている。事実上、西側の軍事、経済、情報機構全体が我々に向けられている。我々は、国民の生命と安全、主権と独立のために、千年の歴史を持つロシアであり、ロシアであり続ける権利のために戦っている。
わが国民の運命が決定されるこの戦いには、あらゆる勢力の団結、結束、統合、責任が必要である。われわれを弱体化させるあらゆるもの、内部からわれわれを弱体化させるために外敵が利用するあらゆる種類の不和を避けなければならない。
そして、我々の団結を分裂させる行動は、事実上、我々の同胞、今、最前線で戦っている我々の戦友に対する裏切りである。わが国と国民に対する背中からの攻撃である。
これはまさに、1917年にロシアが第一次世界大戦を戦ったときに受けた打撃そのものである。ロシアから勝利が盗まれた。軍と人民の背後での陰謀、揉め事、政治的な駆け引きによって、最大の衝撃、軍の破壊、国家の崩壊、広大な領土の喪失がもたらされた。その結果が内戦という悲劇だった。
ロシア人がロシア人を殺し、兄弟殺しがおきた。さまざまな種類の政治的冒険主義者と外国勢力が国を分裂させ、打算的利権を得た。
我々は、このようなことが再び起こることを許さない。われわれは、国内の裏切りを含むあらゆる脅威から国民と国家を守る。
我々が直面しているのは、まさに裏切りである。度の超えた野心と個人的利益が反逆につながった。祖国、国民、そしてワグナーの戦士や指揮官たちが他の部隊とともに戦い、死んでいった大義に対する裏切りだ。
ソレダルやアルテモフスク(バフムートに対するロシア側の呼称)、ドンバスの町や村を解放した英雄たちは、ノヴォロシヤのため
、ロシア世界の統一のために戦い、命を捧げた。彼らの名と栄光は、反乱を組織し、国を無政府状態と兄弟殺し、最終的に敗北と降伏に向かわせようとしている人々によって裏切られた。
繰り返すが、いかなる内乱も、われわれの国家体制、国家としてのわれわれに対する死をもたらす脅威である。それはロシアにとっても、わが国民に対する攻撃である。そのような脅威から祖国を守るための我々の行動は、厳しいものになるだろう。
故意に裏切りの道を歩んだ者、武装蜂起を準備した者、恐喝やテロリズムの方法をとった者はすべて、避けられない罰を受けることになり、法とわが国民の両方に対する責任を取ることになる。
軍とその他の政府機関は必要な命令を受け、モスクワ、モスクワ州、その他の多くの地方で、追加のテロ対策が導入されている。ロストフ・ナ・ダヌーの情勢を安定化させるためにも、断固とした措置がとられる。ロストフ・ナ・ダヌーの状況は引き続き複雑であり、文民当局と軍当局の活動は事実上できなくなっている。
ロシア大統領として、最高司令官として、ロシア国民として、私は国を守り、憲法秩序、国民の生命、安全、自由を守るために全力を尽くす。
軍事蜂起を組織し準備した者、戦友に対して武器を向けた者は、ロシアを裏切った。そして、彼らはその責任を負うだろう。そして私は、この犯罪に引きずり込まれようとしている人々が、致命的で悲劇的な、取り返しのつかない過ちを犯さないよう、唯一の正しい選択、つまり犯罪行為への参加をやめることを強く求める。
私たちは、私たちにとって大切で神聖なものを擁護し、祖国とともにどんな試練も乗り越え、さらに強くなっていくと私は信じる。
出典:http://kremlin.ru/events/president/news/71496>
副島隆彦です。佐藤優氏は、明後日、27日に、腎臓移植の手術を受けるそうです。手術の成功と彼の無事、健康への復帰を祈ります。
〇 副島隆彦注記。 よし。 ついに 小沢一郎が、動き出した。日本も変わる。この流れを作れ。 自民党・公明党の与党連合と戦う、野党勢力を、急いで、作り直さなければいけない。今の立憲民主と、国民民主の、 統一教会(とういつきょうかい。Moonies ムーニー)に、乗っ取られている指導部を、叩き壊して、
新しい、日本の野党勢力の中心(核心)を作らなければいけない。ただし、日本維新の会(党)は、野党ではない。あれは、笹川財団がうしろにいる、統一教会勢力の別動隊だ。日本国民は、こいつらの正体を、見誤ってはいけない。だから、野党勢力は、維新とは戦わなければいけない。以上が、私、副島隆彦の考えです。
〇 「 剛腕・小沢一郎氏が動き立憲衆院53人決起「野党候補一本化で政権交代実現」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/324671
2023/06/17 日刊ゲンダイ
「野党候補の一本化で政権交代を実現する有志の会」設立会見で、記者の質問に答える小沢一郎衆院議員/(C)日刊ゲンダイ
立憲民主党は次期衆院選での「野党共闘」「候補者調整」を否定し、単独で戦う方針を打ち出しているが、そんな執行部に対して党内多数が「違和感」と「危機感」を持っていることが分かったからだ。
立憲民主党の衆院議員12人が呼びかけ人となって「野党候補の一本化で政権交代を実現する有志の会」を設立、6月16日記者会見を開いた。呼びかけ人は、小沢一郎氏、小川淳也氏、手塚仁雄氏、阿部知子氏、菊田真紀子氏ら党内のグループ横断のメンバー。岸田首相が衆院解散のブラフで野党を揺さぶっていたこともあり、2日程度の急な呼びかけだったが、賛同者はすでに所属衆院議員(97人)の過半数の53人に上り、まだ増えているという。
設立趣意書では「立憲単独で政権交代を果たすことは困難」「自民・公明連立政権では日本の存立が危ういと考えるすべての勢力が結集すべき」「過去のさまざまな行き掛かりや好き嫌いの感情などは、日本再興の大義の前に、一切捨て去ることを互いに呼びかけたい」と訴えている。
野党の範囲は「あえて何党とは明示していない」という。候補一本化については、小川淳也氏が私見と断りながらも「政権に向かうという思いが本物ならば、他党も含めた予備選も選択肢に入らないはずがない」と発言。
小沢一郎氏は「各党が全部候補を立てたのでは自民党に勝てるわけがない。候補の一本化、野党間の協力が大事だと思っている人が大多数だ。この思いを、はっきり声に出すことに、有志の会の意味がある」と話した。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏が言う。
「小沢さんは昔から『野党が与党と1対1で戦えば政権交代できる』と言ってきました。実際、4月の衆院千葉5区補欠選挙は、野党候補が一本化できていれば勝利していた。理念が違うのに野合だという批判には『自公連立はどうなのか』と言い返せばいい。2大政治勢力でいつでも政権交代が起きるという緊張感は、自民党にも日本の政治にもプラスになります」
〇 「 小沢一郎氏ら11人の衆院議員が発起人、野党候補一本化求める会を設立 50人以上の議員が賛同」
https://www.nikkansports.com/general/nikkan/news/202306160000541.html
2023年6月16日 日刊スポーツ
立憲民主党の小沢一郎氏や小川淳也前政調会長ら11人の衆院議員が発起人を務めて設立された「野党候補の一本化で政権交代を実現する有志の会」が16日、国会内で会見を行った。有志の会は次期衆院選で「野党候補の一本化」による野党共闘の必要性を訴え、この日までに執行部以外の50人以上の所属議員の賛同を得たとしている・・・・。
〇 副島隆彦です。次に、これからの日本の政治指導者として、その最先頭に立ってくれるであろう、と、私、副島隆彦が、強く期待する、あの泉房穂(いずみふさほ)氏(3月まで兵庫県明石市長 12年間) と、鮫島浩(さめじまひろし)氏(朝日新聞政治部記者あがり)の「出版記念のトークショー」が、来週7月5日にあります。 以下の通りです。 時間と興味のある人は、行ってください。 日本の政治が変わる(私たちが大反撃に出る)、その歴史的な記念となる日でしょう。
(転載貼り付け始め)
泉房穂前明石市長 出版記念『政治はケンカだ!』
http://www.loft-prj.co.jp/schedule/loft9/252072
2023年7月5日(水)
LOFT9 Shibuya
18:00開場、19:00開演
【出演】泉房穂(前明石市長)@izumi_akashi
【ゲスト】鮫島浩(ジャーナリスト)@SamejimaH
【司会】今西憲之 @maido_osaka
「暴言王」と呼ばれながら、3期12年、明石市を市民目線で「優しい街」に変貌させた、兵庫県明石市の市長、泉さん。実は「優しい」との噂も。どっち本当?
ラジカルな激辛トークの夜。「政治はケンカだ!」(講談社)の販売とサイン会、写真撮影も可
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦 拝
【3059】[3559]私の最新刊本 と ウクライナ戦争の最新の戦況。
副島隆彦です。今日は、2023年6月21日(水)です。
私のウクライナ戦争の 最新の戦況(せんきょう)分析を、6月15日に、「今日のぼやき」に載せました。読みに行ってください。
この一か月、私は、ずっと自分の最新刊の 金融本を書いていた。疲れ果てた。たった一冊の金融本づくりに、手間取ってこの2か月を費やした。 最後の10日間は、我ながら、鬼気(きき)迫る感じになった。疲労困憊(こんぱい)、精魂(せいこん)尽き果てた。自分の知力、体力の限界だったが、なんとかやり上げた。
(ここに この本の表紙と、アマゾンのページへのリンク を貼ってください)
米銀行破綻の連鎖から世界大恐慌の道筋が見えた
この本は、発売が遅れに遅れて7月1日になった。読者の皆さんには、お待ちどう様、と申し上げる。著者である私の手元には、24日(日)に見本(みほん)本が届く。
たった一冊の、いつもの金融本と言っても、私に取っては心血を注いだ本だ。6月7日に最終的に私の手から離れた。最後は、私のキタナイ手書きの、いつもの、ぐちゃぐちゃのゲラ原稿への手入れだ。
ウクライナ軍の大反攻( 大規模の 反転攻勢 counter offensive カウンター・オフェンシヴ)は、6月4日の未明の、午前1時半から始まった。 分かったことは、大攻勢の中心の戦線は、南部ジャポリージャ州の 原発のあるところ(ロシア軍が占領している)の 東側あたりと、それと同州の東の端(はし)のドネツク州寄りの2方向から一斉に南下して、マリウポリとベルジャンシクの港 まで丁度、一直線に、100キロある、まで一気に到達する、という電撃作戦(ブリッツクリーグ)だった。それが失敗した。
ウクライナ軍の、12個、合計6万人の兵力の予備部隊の、突撃旅団(とつげきりょだん。 assault brigade アソールト・ブリゲイド )のうち、まだ、温存している、残り6旅団を除いて、どうも3万人の 最前線の 強襲部隊が、ロシア軍に大敗北したようだ。
この特別編成の攻撃部隊は、この1年間、アメリカとイギリスで、訓練を積んで、西側の最新兵器の操作、運転ができるようになった連中だ。
ところが、このウクライナ軍の、温存された、最精鋭の職業軍人たち( いやいや徴兵された、雑兵の兵隊たちではない )が、次々と最新兵器を置き去りにして、後方に逃亡している。誰も死にたくはない。
このあと、アメリカ軍の主力戦車である「エイブラムズ」(それでも20年ぐらい前の古い型)が、30両ぐらい、撃破されたら、もうウクラナイ軍は、これ以上、前進する気力を失うだろう。
プーチン大統領が、6月9日に、下から報告を受けて言った通り、「ウクライナ軍は、反撃に大敗して、ロシア軍の10倍の損失を出している」のとおりだ。「ウクライナ軍の攻勢の兵力の25%、1万人ぐらいを失った」なのだ。
私が、今日のぼやき に書いた、6月15日での、「ウクライナ戦争の戦況(ウォー・シチュエイション)の最新分析」を読んで下さい。
ロシア軍の 横に一線の ザポロージャ州全体の 第一次防衛線にも、まだ到達していないし、突破も出来ていない。それよりも前に、ロシア軍が、さっと2キロうしろに退いた。
そこに幅2.5メートルの深い塹壕線が掘ってあった。そして地雷線(トリップ・ワイヤー)が仕掛けてあった。まさしく「飛んで火に入る夏の虫」だ。これにウクライナ軍は、真夜中に計画通り真正面から進撃して、まんまと引っかかった。米軍の暗視ゴーグルをしているから、自分たちは真っ暗闇でも前進できる、と慢心した。
その塹壕線の上は、落とし穴の仕掛けになっていた。そこにドイツ戦車の「レオパルド2」と、米製の「ブラッドレー」歩兵戦闘車が、各所で、見事(みごと)に落ちて嵌(はま)って擱座(かくざ)して、そのあと、どうも日が昇ってから、ロシア軍の対戦車の攻撃(武装)ヘリ の「Mi 8 」と「Ka 52」に襲撃されて破壊されている。Su-34 「スホイ34」戦闘爆撃機にもやられている。
始めから、航空優勢(air cover エア・カヴァー。昔の言葉で、制空権。こっちの方が、日本人には分かり易い)が、ウクライナ軍には無いのに、どうしてこういう無謀(むぼう)なことをするのか、私には、始めから(4月から)理解できなかった。
今のウクライナ政府は、英米のデープステイトの、完全な操られ人形 (puppet パペット)だから、途中で計画変更とか出来ないのだ。狂っている、としか言いようがない。
去年の2月24日からの、ロシア軍のウクライナ侵攻(特別軍事作戦)は、プーチン以下、ロシアの指導者全員が、罠(わな)に嵌(はま)って、英米の戦略に落ちた。周到に、2014年から、プーチンを誘(おび)き出して、我慢の限界を、越えさせたのだ。
プーチンは、「2週間で、首都キエフを制圧できる」という、西側(デープステイト)の高級スパイが潜り込んでいた、FSB(ロシア連邦保安庁)の甘い戦略に載せられた。
その後も、一か月(3月30日まで)に、キエフ攻撃の包囲網を解除して、ロシア軍は、一気に撤退(ウイズドロー)して、そして戦力をウクライナ東部(ドンバス地方)に、移動ささせて、ロシアの伝統の、長期戦の構えに、切り替えた。それまでの4月、5月まで、1000台以上のロシアの戦車と、3000台の装甲車や、軍用車が、ウクラナイナ軍の、対戦車ミサイルや、ドローンによって、撃破された。 このように、緒戦はロシアのボロ負けだった。
だから、私、副島隆彦は、『プーチンを罠に嵌め、策略に陥(おとしい)れた 英米ディープステイトは、ウクライナ戦争を第3次世界大戦にする』(秀和システム刊、2022年7月)という自分の本を書いて、細かく現状を報告した。今も、私のあの時の、この本以上に、日本国内で、ウクラナイ戦争の全体像を克明に描いた本は他にはない。そのように自負している。あの本には、サルマトという核戦争用の、ロシアの最新の核兵器のことまで、全部書いている。
大反攻の 開始の6月4日から2週間が過ぎて、今日21日で、18日が経(た)った。ウクライナ軍の大敗だ。各所で、ドイツ政府が供与した、高性能の重戦車の「レオパルド2」が、合計で30台ぐいらが撃破された。
ウクライナ軍は、「8つの村を解放(奪い返し)した」という宣伝と、「2キロ前進した」と「合計で100平方キロメートルを解放した」ばかりを、公表している。占拠したのは8つとも、村(集落)だけだ(笑い)。 こら、「100平方キロ」 というのは、たったの、10キロメートル四方(しほう)だぞ。
ウクライナは大平原だから、見渡せば見える距離だ。 このたった10キロの進撃さえできないで、その前で、ウクライナ軍は、止まっている。このあとの彼らの運命は、どうなるか、だ。
米製の主力戦車の「エイブラムズ」の突撃旅団(機械化部隊。 昔の、戦車隊から成る 機甲師団=きこうしだん=だ )が、このあと、まとまって30台ぐらい、ロシア軍に撃破された映像、画像が、出たら、もう、反共右翼の、「ウクライナ、頑張れ」の戦争オタク、反共キチガイたちも、しゅーんとなるだろう。
それでも、アメリカの兵器企業、軍需産業にしてみれば、どんどん兵器、武器が、破壊されて、消費されれば、こんなにいいことはない。
最新式の兵器の新製品を、どんどんこれからも作れるから、儲かって、儲かって仕方がない。
これが、現代世界を支配している、ワルたちの資本家の魂だ。まさしくデープステイト、一昔前の言葉では、「軍産複合体(ぐんさんふくごうたい。 ミリタリー・インダストリアル・コンプレックスが、今の世界を支配している)と、 アイゼンハウワー大統領が自責の念に駆られて、1960年の退任直前に言い放ったコトバ)だ。
ウクライナ人が、どれだけ死んでも、知ったことか。 自分たちが作った兵器が、どのように撃破され破壊されるのかの、実証実験(じっしょうじっけん)が、まざまざと出来て、大変、大喜びだろう。デープ・ステイトというのは、そういう連中だ。
それを、世界民衆の側から、叩き潰しにゆく、時代が、遂に来たのだ。私、副島隆彦は、この国で、自分の命のある限り、最先頭で戦う、と決めている。だが、それでも、私は、国家戦略家だから簡単には動かない。
ザポリージャ州やドネツク州(バフムートと、マリインカ と、ヴェルカノヴォルシカ、とアウディーイウカの戦線 )の 斥候拠点(ストロング・ポイント)よりも後方の、町、小さな都市の入り口にびっしりと、敷いてロシア軍 の第一次防衛線にさえ、ウクラナイナ軍は、まだ一か所も到達していない。
「そこまで、まだ10キロある」だと(笑い)。だから「ウクライナ軍、頑張れ」で、追い詰められた、かつての阪神タイガーズ・ファンの、絶叫する応援団みたいになっている。
日本のテレビ局の、 テレ朝も、日テレも、TBSも、それから、統一教会(Moonies ムーニー)そのものと化している フジ・産経も、 そこに出演している、馬鹿ども(防衛研究所の連中を含む)も、今や、重苦しい、雰囲気になっている。
司会者の女たちも、私は、テレ朝の 上山千穂(うえやまちほ)が、好きだが、もう、勇ましそうに燃えるこの女でも、困り果てて、もう呂律(ろれつ)が、回らなくなりつつある。
テレ朝の報道ステーションの、あのドラえもんが、最近、誰を出演させて、何を言っているか、私は、まったく知らない。なぜなら、報ステ、は、ほぼただの、安売りを、ヤフーにしないからだろう。
このあと、この人たちは、テレビ局、丸ごとまとまって、横一線で、隣りの局のことを気にしながら、どうやって、言い訳、弁解、居直りをしながら、自分たち自身の、偏向(へんこう)報道を、胡麻化(ごまか)しながら、「ロシア側の発表も、公平に扱わないといけない」という、報道局の下積みの社員たちからの、抗議と提言があって、態度を、少しづつズラしながら、「ウクライナの反転攻勢、頑張れ」から、惨(みじ)めに、みっともなく、撤退してゆくのだろう。
元々、こういう、反ロシア、反中国の、反共右翼(はんきょううよく)体質の連中だ。日本の支配勢力(すなわち、アメリカの手先集団)そのものの意向を受けて、自分たちも、日本のエリート階級の一員として、 デープ・ステイト the Deep State に、徹底的に忠実なのだ。
日本国民は、黙っている。 「戦争はイヤだなー」と思いながら、じっとして、何も言わないで、知らん顔をして、自分の目先のことだけで、生きている。戦争に成れば、苦労をさせられるのは、自分たち、民衆、庶民だ、と腹の底から、本能で分かっている。だから、テレビなんかには、踊らされない。民衆(一般国民)は、反共右翼ではない。
一体、ウクライナ戦争がどのように行われているか、さえ知らない。それよりも、広末涼子(ひろすえりょうこ、42歳)の不倫と、中年女性の自由な生き方のことに集中している。
私は、これまで、自分の本の一冊、一冊、手を抜かないで自分で書いて、作って来た。それで、この40年間(30歳から)もう230冊ぐらいを書いて出した。私は先月70歳になった。私が、死んだ後、これらの本が残る。 いい加減なつくりの、頭の悪い人間たちが書いた本は、消えて無くなる。
自分で一行も書いてもいない著者たち(ふざけた人間どもだ。こんな者たちでも、テレビ有名人を気取っていた時代もある)もいた。そういうことをたくさん、やったから、今、テレビ、新聞紙(がみ)に続いて、紙の本の出版業界も、死につつある。私は、自分が所属する、この出版界の裏側の裏側まで、知っている。
来年(2024年)には、日本の本と雑誌、漫画の取次(とりつぎ)の大手の、以前は最大手だった日販(にっぱん)が、全国の書店へのトラックでの配送を停止する。これを、「出版業界での2024年問題」と言う。ということは、日販は、静かに死んでゆく、ということだ。そうすると、あとに残るのは、東販(とうはん)だけということになる。
あとは日本市場で、勝手に横暴(おうぼう)を極める、アマゾンだけだ。アマゾンは、「出版社は、本が出来次第、直接、印刷屋から、市川(いちかわ)のアマゾンの倉庫に、運んで来い」(これを、直送=ちょくそう=と言う)という態度である。
アマゾンの、このアメリカ帝国の力を背景にした、傍若無人(ぼうじゃくぶじん)に、日本側は、為す術(すべ)もなく、この20年が過ぎた。今、一冊の本の売り上げの、30%(3割)は、アマゾンからのネット販売だ。こういう厳しい業界で、私、副島隆彦は生きている。それでも、私は、まだ生きて生活している。全国に、私の本が出たら、文句を言わずに、買う人たちがいるからだ。
他のほとんどの、日本の本書き、言論人、大学知識人たちの本は、小さく成り果てて、とても、国民文化 と呼べるものではない。テレビに出て、発言している、評論家や教授たちの本は、出しても、3千部ぐらいしか売れない。だから潰(つぶ)れかかっている、ほとんどの、旧来の威張っていた、出版社たちでも、渋い顔をして、もう、彼らの本を出したがらない。
だが、それでも、次々と出すしかない。そうやって業界が今も、不思議なことに生き延びている。 「誰が、一体、こんな分厚い、400ページもある学術書を、読むんだよー。いい加減にしてくれよー」と、当の 出版社の編集者たち自身が、毒づきながら、自分自身が愚鈍だということも気づかずに、誰も読まない本を、作り続けている。
これを、惰性(だせい)という。この惰性のことを、物理学では、慣性=かんせい= inertia イナーシア と言って、 the law of inertia ザ・ラー・オブ・イナーシア 「慣性の法則」と言う。
私が、13歳(中学生)の時から、ずっと憧(あこが)れて、見上げて来た、岩波書店、朝日新聞の日本の左翼インテリ勢力 を、“ 朝日・岩波文化”と 言うのだが、もう、あばら家のようになっている。 岩波書店の、正社員で、30台で、手取りの給料が20万円代だそうだ。このかつての日本の出版社エリートの頂点たちが、餓死寸前のような感じだ。
東京の神田の近くの、小学館(漫画、アニメで、旺盛に生き伸びている)に、建物(本社ビルも)を次々に売却して、岩波書店は、今も、竹の子(タケノコ)生活をしている。見るも無残である。かつての、インテリ大衆(中学校や高校の教師たちが、その中心だった)は、皆、80歳台になって死んでいった。 私、副島隆彦は、それらを、茫洋、亡羊(ぼうよう)として、眺めてやる。私もまた、この朝日岩波文化の一員として、死んでゆくのだ。
亡羊(ぼうよう)というまさしく、その言葉の通りの、光景を、私は、10年前に、モンゴル国の、首都のウランバトールから、100キロぐらい先の、草原と言うよりも、乾燥した岩石砂漠のゲル(中国語ではパオ)の村から、遠くに、羊の群れが、自主的に、自然の水飲み場で飲んで、そのあと、いつの間にか、遠く10キロぐらい先に去ってゆく姿を、私はみた。ふと気づいたら、次の群れが、ずっと後方からやって来るのが見えた・・・。 その他ぶつぶつ。
あとは今日のぼやきを読みに行ってください。他のことは、また、すぐに書きます。 副島隆彦拝
【3058】[3558] ロバート・ケネディJr(ジュニア)の 2024年 大統領選 出馬表明の 演説動画を紹介します。【後編】
(後編ここから)
一会員(一弟子)です。今日は、2023年6月1日(木)です。【前編】からの続きです。
前置きが長くなりました。それでは、以下に、ロバート・ケネディJr.の2024年大統領選立候補の表明演説の動画のサイトのアドレスを転載します。
英語が分からない方でも、ロバート・ケネディJrの、さわやかで活力にあふれる演説の姿と、この出馬表明の演説に盛り上がる、アメリカン・リベラルのメッカ、米国内でも最もリベラルと言われるボストンの支持者たちの雰囲気を、ぜひ感じ取ってください。
出馬表明演説の様子
(和訳をつけて転載始め)
【ロバート・ケネディJr. 2024年大統領選 立候補の表明演説の動画】
● ”Robert Kennedy Jr. Announces 2024 Presidential Campaign”
(ロバート・ケネディJrが、2024年の大統領選挙への出馬を表明した)
C-SPAN(シー・スパン、アメリカの政治報道専用の放送局) APRIL 19, 2023(2023年4月19日)
( ↓ クリックしてご覧ください)
https://www.c-span.org/video/?527511-1/robert-kennedy-jr-announces-2024-presidential-campaign
Robert F. Kennedy, Jr., the son of former attorney general and 1968 presidential candidate Robert F. Kennedy, announced his 2024 Democratic presidential campaign at a rally in Boston. Mr. Kennedy said he was running for president because he wanted to challenge the connection between government and corporate power, press for greater economic equality, and heal the nation’s political divides. He also talked extensively about his vaccine skepticism and criticisms of handling of the COVID-19 pandemic.
(引用者訳:元司法長官で、1968年の大統領候補ロバート・F・ケネディの息子であるロバート・F・ケネディJr(ジュニア)は、ボストンでの集会で、2024年の民主党大統領選挙への出馬を表明した。ケネディ氏は、大統領選に出馬する理由として、企業の政府に対する巨大な影響力に異議をとなえ、経済レベルをより格差のない状態にもどす努力と、米国内の政治的な分裂を治療したいと訴えた。また、ワクチンに対する懐疑的な考えや、コロナ(COVID-19)のパンデミックに対する、米政府の対応などについても、幅広く批判を展開した)
(和訳をつけて転載終わり)
動画を見て頂ければ分かるとおり、まるで、大統領の就任演説のように立派で、重厚な、大統領立候補の演説です。
19世紀に始まる、ケネディ家の歴史から語り始める。さらに続けて、1776年のアメリカ独立戦争(American Revolution)の時代の様子までを、悠然と語る。まさに、殺された叔父(おじ)と父親の、ケネディ一族のゴースト(怨霊、スピリット)が、そのまま、このまだ生きているこのロバート・ケネディJr.に乗り移って、激しく訴えている。
演説開始から【14分】くらいから、殺された自分の父親(ロバート・ケネディ)と叔父(ジョン・F・ケネディ)のことを語り始める。そして、「政府もメディアも、国民にウソをつく。いまや政府を信用している米国民は、今では22パーセントしかいなくなった」と語ります。
ロバート・F・ケネディの家族(左端がロバート・ケネディJr.)
伯父ジョン・F・ケネディとロバート・ケネディJr.
父親のボビー(ロバート)・ケネディが、暗殺された1968年当時は、「ベトナム戦争」に反対して大統領選に立候補した。このときに、ロバート・ケネディJr(ジュニア)は、そばで一緒に動いていた。だから、自身が目撃した、当時のエピソードを、細かに語っています。ロバート・ケネディJrは、当時14歳で、父親のそばにずっと付いて回っていた。その時の様子を、時代の目撃者として、じっくりと話している。感動的な演説です。
演説動画の【1時間14分】あたりから、「ウクライナ戦争」について語り始めます。
父親のロバート・ケネディが、「ベトナム戦争」に反対して、当時、同じ民主党の現役の大統領、リンドン・ジョンソンへの対抗馬として立候補していた。だから、自分の境遇を父親に重ねています。
現役のおなじ民主党の大統領であるジョー・バイデンに対抗し、いまアメリカが、ロシアとの「代理戦争」として戦っている「ウクライナ戦争」に、真っ向から反対している。これが、この度の大統領選への出馬する理由であると、はっきり表明しています。
だから、父親のロバート・ケネディ(シニア)が、1968年に大統領に立候補したときに応援していた世代のアメリカ人たちは、「デジャヴ」(既視感)を感じるようです。それくらい、ロバート・ケネディJr(ジュニア)のこのたびの立候補には、感慨深い感情がある。
この演説のなかで、「この戦争(ウクライナ戦争)が、アメリカの国益になるのか」と問いかけている。そして、「そうではない」と、キッシンジャーの名前も挙げて、強烈に批判している。
戦争を長期化させてロシアを疲弊させることが、アメリカがウクライナ戦争に参加している「最大の目標」(chief objective)だと言うのは、人道的な(ヒューマニタリアン)目的としても間違いである。少しでも早く流血を減らして、戦争を終結させることが、いまやるべきことだ。アメリカとロシアという2つの核保有大国の衝突が、ウクライナという第三国で行われている、と訴えます。
演説動画の【1時間20分】あたりから、副島先生が書かれた、米軍人が、リタイア後にホームレスになっていると言う事実も語られます。アメリカ国民の困窮・貧困の実態を、具体的な数字を上げながら訴えています。
動画の【1時間23分】から、バイデン政権は、あわせて4500万人ものアメリカ国民に社会保障を一気に減らすと、決定した。低所得者層の米国民への「フードスタンプ」(政府の食料支援の配給券)や社会保障の支給額を減らすと、一斉に告知した。
そのいっぽうで、破綻したシリコンバレー・バンクを救済するために、300億円ドル(約4兆円)もの米ドル紙幣を増刷している。経営がまずくて破綻した、中小銀行への支援金の支払いに当てている。さらには、ウクライナに「軍資金」も、すでに合計で300憶ドル(約4兆円)も送り続けている。そう言ってバイデンを批判している。
このあと続けて、【1時間24分】あたりから、「だから我々(の政府)には、戦争と銀行支援に使うための金はある」と訴える。この資金は、「中国と日本から、巨大な金利を払いながら借りている借金」である。そう言い切っています。
そして、バイデン政権は、「コロナの支援金とロックダウン政策のために、さらに激しく米ドル紙幣を増刷(プリンティング)している。このために、私たちはインフレーションに直面している。インフレが、貧困層に対する最も過酷な課税(タクゼイション、Taxation )である。飢えているアメリカ人が、今、米国内にはあふれている」と語る。
そして、【1時間27分】ちょうどから、副島先生が先に引用した記事で取り上げられた、「私たちは、世界に800米軍基地を保有している・・・」と言う話が始まります。そのなかで、
“You cannot be imperial state at overseas and democracy state at home“
(海外で帝国をやりながら、自国内で民主国家でいることなどできない)
(1:28:25から)
と言って、聴衆の喝采(かっさい)を浴(あ)びている。
このあとに、「アメリカ建国国の父」の一人であるジョン・アダムズの話、アイゼンハワー大統領の「軍産複合体」(ミリタリー・インダストリアル・コンプレックス)という言葉で政府と軍部と大企業の癒着を批判した話、それから、叔父(おじ)のジョン・F・ケネディの話が続く。
そして、「中流階級を再建することで、民主政治(デモクラシー)が復活できる」と主張する。
さらに続けて、ジョージ・W・ブッシュが2004年から始めた「イラク戦争」への批判、オバマ政権でISIS(イスラム国)を創り上げ、アメリカ政府の戦費をさらにかさ増ししたこと。結局、大量破壊兵器も何も出てこなかった、という批判を展開している。8兆ドルもの財政資金が、これらのまったくのムダな軍事政策のために消えて行った。
いっぽうで、中国は「一帯一路」政策で、アフリカなどの国々のインフラを再建させることに、同じくらいの資金を費やしている。世界の新興諸国への支援で、有効に活用している、と言って、中国の動きを称賛しています。
演説の動画の【1時間35分20秒】あたりから、「ブラジルやサウジアラビアが、米ドルから人民元に国際決済での利用する通貨をシフト(スィッチ)させ始めている」と語り始める。しかし、この話を始めてすぐのタイミングで、なぜか、演説している会場のビルで緊急ベル鳴り始め、熱がこもっていた演説が中断されます。
それでも、ボビー・ケネディJrは、落ち着きながら、話をまとめようとする。しかし、さらに緊急放送は続いて、「避難をする準備をしてください・・」というアナウンスまで流れ始める。おかしい。ボビーJr.は、「私たちを止めようとしたな。ナイストライだ」と、ジョークも交えて冷静に対応します。聴衆も、「ボビー頑張れ!愛してるよ!」と声援を送る。
それで、その場をおさめて、そのあとさらに話を続ける。そして、サウジアラビアとイランが平和協定を結んだこと、中国がそれを仲裁したことも取り上げます。
そしてこの最後に、動画の【1時間39分】あたりから、「すべての米軍基地を閉鎖」する、という主張を語り始めます。
「早く何かをしなければ、アメリカ経済が崩壊する。米兵をすべて引き戻して、米軍基地をすべて閉鎖して、その資金で中流階級のために新しい投資を始める」という言葉で、この演説のもっとも重要な主張を終えている。
そのあと、「大企業と戦争に、私の国が盗まれているのを、見ていられない。これがケネディ家の政治だ!」と言ってまとめています。
最後の、この演説の締めの言葉は、以下でした。
“I’m not safe. To the vested interests, I’m not safe. But my job is to keep you safe.”
(私は、既得権者たちにとっては危険人物である。しかし、私の仕事は、既得権者ではなくあなたたちの安全を守ることだ)
(1:45:42から)
なお、「ウクライナ戦争」の話が始まるこの動画の【1時間14分】より前の1時間くらいは、まさに、ロバート・ケネディJrの本領である、米国民が、アメリカの巨大食品企業と医療産業によって、戦後ずっと、おかしな食品や薬漬けにされている事実。その結果、今ではアメリカ国民の54パーセントが、何らかの「成人病(chronic disease)」(生活習慣病、慢性疾患、肥満や糖尿病、ガンのこと)にかかっているという実態と、その政治的な原因について語っています。その他、アメリカ国内のさまざまな環境問題と、それへの取り組みについても、ジョークを交えながら、生き生きと語り続けます。
コロナ危機がはじまるより何年も前から、ケネディJrが批判を唱え訴訟を闘ってきた「ワクチン被害」のこと。そして、コロナ危機のおかしさと米政府によるコロナ対策への批判も展開しています。
3年前(2021年初め)から、ロバート・ケネディJrは、反コロナワクチン派(anti-Vaxxer、アンチ・ヴァクサー)としての活動をしている。もともと、環境弁護士として、大手製薬会社のワクチンのために、アメリカ国内で子どもを中心に起きている膨大な「ワクチン被害」に対する、反ワクチン活動に取り組んで来ました。
今回の、ロバート・ケネディJrの「反コロナ活動」で、ディープ・ステイト側から、ものすごく嫌われたようだ。自分の妹や弟、それから、アメリカの駐日大使も務めていた、ジョン・F・ケネディの長女キャロライン・ケネディ(1957年~、65歳)や、ロバート・ケネディ(シニア)の長男(兄貴にあたる)や、その息子で甥っ子になる「JFK3世」と呼ばれるジョセフ・ケネディ3世(1980年~、42歳、米下院議員)などの親族たちから、激しく嫌われている。
今のケネディ・ファミリーの大半は、すでにディープ・ステイト勢に取り込まれた「体制派」で、ディープ・ステイト側だ。
最後に、ロバート・ケネディJr出馬の記事は、日本国内のメディアの、日本語の記事には、内容があるものが見つからなかった。
副島先生が、先に取り上げた堀田佳男氏の記事と、高濱讃というワシントン在中のジャーナリストによる、ロバート・ケネディJrに対して批判的な悪意のある記事しか、詳しく解説した日本語記事はありません。
それで、以下の「アジアタイムズ(Asia Times)」という、香港を拠点とする調査報道ジャーナリストたちが、親中国、親ロシア、親新興諸国の立場から、それでも西側に寄り添うようにできるだけ公平に書いているニューズサイトがある。このなかの、よくまとまった英文記事を自動翻訳して、私が手直しした記事を、以下に転載します。
欧米の大手メディアによる英語記事のなかでは、ほとんど見られない、ロバート・ケネディJrの出馬表明とその演説内容を、「世界の平和に貢献するだろう」と、高く評価しています。貴重な海外メディアの記事です。じっくり読んでみてください。
(和訳して転載始め)
●「RFK Jr.(ロバート・ケネディJr.)は、強力な反戦、反帝国主義の立場を表明した ケネディの米大統領選への出馬は、平和にとっては無視することができない」
By ジョン・ウォルシュ
アジアタイムズ 2023年4月25日号
https://asiatimes.com/2023/04/rfk-jr-takes-strong-anti-war-anti-empire-stance/
ロバート・フランシス・ケネディ・ジュニアは、4月19日に民主党から米大統領選に出馬することを表明した。演説の冒頭のすぐあと、こんな言葉を口にした:
「55年前の先月、私は14歳の少年として、父(ロバート・ケネディ)がワシントンD.C.の上院議員会館で、アメリカ大統領選への出馬を表明した、その後ろに座っていた。当時の父は、いろいろな意味で、今の私と同じような立場にありました」
「(わたくし)ロバート・ケネディは、自党の大統領を相手に立候補したのです。戦争に反対していました。この国がかつてないほど分極化されているときに、彼は立候補しました」
このようにしてロバート・ケネディの息子は、自分が「戦争に反対して出馬した」ということを、真っ先に教えてくれている。ジョー・バイデンによる、ウクライナ人を大砲の餌食(えじき)にした、ロシアに対するアメリカの残酷な代理戦争に反対して、出馬したのである。
彼は、父親が、勝つ見込みがほとんどない、負ける可能性が高いと思われていたことを、私たちに思い出させる。しかし、RFK(ロバート・ケネディ)シニアは、暗殺された1968年6月6日には、カリフォルニア州の都市部と、サウスダコタ州の農村部の予備選挙で勝利していたのだ。
つまり、ロバート・ケネディの息子も、自分の立候補を軽んじてはいけないと、訴えているのだ。
RFK Jr.(ロバート・ケネディJr.)は、出馬の発表前から、バイデン支持者の間で14%の支持を受けていた。また、民主党の44%近くが、バイデン以外の候補者を望んでおり、2024年にバイデンが出馬することを望むのは25%に過ぎない。
全2時間の演説は、多くの意味で印象的であった。演説のビデオはここで見られる。トランスクリプト(演説の文字起こし)はここで読める。
ケネディは、用意されたテキストを読んではいなかった。しかしながら、演説の内容は、注意深く要点がまとめられていた。その演説は、新鮮で、肩ひじを張らない雰囲気であった。そして、じっくりと耳を傾けるに値するものであった。
この演説のポイントの多くは、RFK Jr. の選挙サイト「Kennedy 2024.com」の「Peace(ピース、平和)」のセクションに、次のようにまとめられている:
「(アメリカの)国防関連の支出は、年間1兆ドル近くある。我々は世界中に800もの軍事基地を維持している。ベルリンの壁が崩壊した後にもたらされるはずだった平和の配当は、償還されることはなかった。今、私たちにはもう一度チャンスがある」
「大統領として、私、ロバート・F・ケネディ・ジュニアは、帝国を解散させるプロセスを開始します。私たちは、軍隊を帰還させます。次から次へと起こる戦争のために、返済不可能な負債を積み重ねることを終わらせます」
「軍隊は、国を守るという本来の役割に戻ります。代理戦争、空爆作戦、秘密工作、クーデター、非合法の軍事組織など、あまりにも普通になってしまった、ほとんどの人が気づいていないような、あらゆることを終わらせます。これらは、いまでも続けられています。私たちの力を絶えず消耗させています。今こそ故郷に帰り、この国を取り戻す時です」
「戦争好きな帝国が、自らの意志で武装解除するとき、それは世界中の平和のひな形(見本)となる。私たちが自発的に帝国を手放し、代わりに強く健康な国として平和に奉仕するのは、今からでも遅くはない」
そして、ウクライナについて:
「ウクライナでは、最も重要な優先事項は、ロシアの残忍な侵略の犠牲者であるウクライナ人の苦しみを終わらせることだ。ウクライナ人は、少なくとも2014年までさかのぼる、アメリカによる地政学的な策謀(machinations、マキネイションズ)の犠牲者でもあるのだ」
「私たちは、私たちの使命を明確にしなければならない。勇敢なウクライナ人が、自分たちの主権を守るのを助けることなのか。それとも、ウクライナを、ロシアを弱体化させるための駒(ポーン)として利用することなのか。
ロバート・F・ケネディは、前者を選ぶだろう。彼は、ウクライナに平和をもたらし、我々の資源を本来あるべき場所に戻すための、外交的な解決策を見出すだろう」
「私たちは、ロシアの国境から、我々の軍隊と核搭載ミサイルを撤退させることを提案する。そうすれば、ロシアはウクライナから軍隊を撤退させ、ウクライナの自由と独立を保証するだろう。国連平和維持軍は、ロシア語を話す東部地域の平和を保証するのである」
「私たちは、この戦争に終止符を打つ。私たちは、ウクライナの人々の苦しみに終止符を打つ。それは、すべての国を非武装化するという、より広大な計画の始まりとなる」
「私たちは世界を、敵・味方という観点から見ることを止めなければならない。ジョン・クインシー・アダムズが書いたように、『アメリカ人は(わざわざ)外国まで行って、退治するべき怪物を探したりはしない』」
これらは、強い言葉であり現実の問題である。「帝国」「代理戦争」「クーデター」「2014年に遡る地政学的な(アメリカの)策謀」といった課題は、主流メディアでは婉曲(えんきょく)に表現されるか、あるいは、全く触れられない。醜(みにく)い帝国の事実ばかりである。
だから、このロバート・ケネディJr. の立候補は、主流メディアがやったように、意図的に無視したり、mRNAワクチンが良いか悪いかという議論や、立候補をめぐるケネディ家の内輪もめの話だけに矮小化(わいしょうか)させることはできない。
例えば、帝国主義体制の代表格であるニューヨーク・タイムズ紙は、その短い裏面記事の中にさえも、いまのアメリカ人に頭をもたげている(ロシアという)核保有国との戦争について、全く触れようとはしない。
RFK Jr.(ロバート・ケネディJr.)の言葉を、すべて額面通りに受け止めるべきだとは言わない。しかし、民主党の政治支配層(エスタブリッシュメント)やその支持者が皆そろって、ウクライナ戦争に熱中している現状を考えると、彼の立候補を、機会を狙った「日和見(ひよりみ)」と見ることは難しい。
ロバート・ケネディJr.は、中国の「一帯一路構想」を賞賛することまでしている。いっぽうの、アメリカによる終わりのない戦争への支出と、対比させているのだ。これは、控えめに言っても、アメリカの政治権力者・支配階級(エスタブリッシュメント)にとっては「タブー」である。
RFK Jr.(ロバート・ケネディJr.)の立候補は、他の候補者たちと同様に懐疑的に扱われるべきではある。しかし、冷遇や冷笑されるべきものではない。彼の演説は、敬意をもって聴かれるべきものである。
【原文】
●”RFK Jr takes strong anti-war, anti-empire stance Kennedy’s candidacy for US president is not to be ignored when it comes to peace”
By JOHN WALSH
ASIA TIMES APRIL 25, 2023
https://asiatimes.com/2023/04/rfk-jr-takes-strong-anti-war-anti-empire-stance/
(和訳して転載終わり)
一会員(一弟子)拝
【3057】[3557]ロバート・ケネディJr(ジュニア)の 2024年 大統領選 出馬表明の 演説動画を紹介します。【前編】
一会員(一弟子)です。今日は、2023年6月1日(木)です。
副島先生が、ひとつ前の書き込みで取り上げたとおり、ロバート・ケネディJr.(ジュニア)が、大統領へ立候補する表明演説をボストンで行いました。今年2023年4月19日でした。
演説会場でのロバート・F・ケネディ・ジュニア
私は、このときの演説の様子を、そのまま放映する動画サイトを見つけました。以下は、このおよそ1時間50分の演説の動画を見て、私がその中で、重要だと思うポイントをまとめました。走り書きのメモです。
とくに、副島先生が衝撃を受けた、「世界に800ある米軍基地をすべて閉鎖する」という公約の演説を、ロバート・ケネディJr本人が、直(じか)に語りかける姿を見たいと思った。だから、その部分の演説を中心に書き出しました。
ロバート・ケネディJrは、日本のメディアでは露出を抑(おさ)えられてきた。今でも日本では、ほとんど報道されない。
しかし、ロバート・ケネディJr(ジュニア)こそが、アメリカの真の「反体制派のリベラル」の中心人物だ。反体制派(はんたいせいは)というのは、「アンチ(アンタイ)・エスタブリッシュメント(anti-establishment)」と言って、日本語にもなっています。
ロバート・ケネディJrは、「環境問題」と「消費者保護」が専門の弁護士として、ずっと仕事をしてきた。政治家ではありません。アメリカでは、「グリーン(Green)」と呼ばれます。「緑の党=グリーン・パーティ」というアメリカの第三政党と活動してきたからだ。しかし、このときの「グリーン・パーティ(緑の党)」は、いまの欧米のネオナチ系の緑の党とは別物だ。この元祖の「緑の党」から乗っ取られ、分離している。
ロバート・ケネディJrは、古くからの環境(公害)弁護士の重鎮(じゅうちん)である「ラフル・ネーダー派」の、消費者保護運動の活動家たちと、一緒に動いてきました。
ラルフ・ネイダー(1934年~、89歳)とロバート・ケネディJr(1954年~、69歳)たちは、大企業との裁判をずっと闘ってきた。
ラルフ・ネイダーこそは、アメリカの消費者保護運動、環境活動家たちの「精神的指導者」であり、「アメリカ消費者運動のヒーロー」であると、副島先生の『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち』(講談社α文庫、1999年間刊、原書は1995年に筑摩書房から刊行)の392ページでも、すでに取り上げられている。
ラルフ・ネーダー
例えば、ロバート・ケネディJrが若い頃つとめていた、カリフォルニアの環境問題専門の弁護士事務所は、モンサント社などの巨大農業企業に対する農薬被害の訴訟で、賠償金3億ドル(約400億円)を企業側に払わせている。あの悪名高い「ラウンドアップ」という除草剤だ。
アメリカのリベラル活動家や弁護士たちには、これだけの活力と、高い能力がある。大企業を相手取って闘うという、こうした左派(リベラル、レフテスト)の環境活動家たちは、アメリカで1960年代に誕生している。
消費者保護、環境保護、一般国民のために、巨大企業を告訴する活動や、大企業と癒着して、利権をむさぼり、国民の消費者被害をかえりみない政府や政治家たちを、次々に告発してきた。
このアメリカ発祥の環境・消費者保護活動の「創業者」が、ラルフ・ネイダーだ。そして、その20歳年下の弟子が、ロバート・ケネディJr.である。
日本国内にも、環境評論家や環境・消費者保護派のジャーナリスト、環境・消費者活動家は、たくさんいる。彼らの活動の「原型」「プロトタイプ」が、このアメリカの「元祖」反政府・反大企業の環境活動家、消費者運動、環境保護活動家の、ラルフ・ネイダーであり、ロバート・ケネディJrということだ。だから、この二人の名前や業績に触れずに、日本で環境活動家や消費者保護、反ワクチン派、反政府ジャーナリストを名乗ることは、本当はできない。アメリカ「本家」が築き上げた、この闘いの歴史を学ばずには済まない。彼らがこの戦後60年間に成し遂げてきた軌跡と、その実績を知る必要がある。
このロバート・ケネディJr.が、今になって、2024年の米大統領選挙というこの決定的タイミングで、表(おもて)に大きく出てきたことが、世界の歴史が動いていることの証明だ。
民主党(デモクラッツ)最大の「反体制派」が、このロバート・ケネディJr.(1954年~、69歳)である。いっぽう、共和党(リパブリカン)の中での最大の「反体制派」が、ドナルド・トランプ元大統領(1946年~、76歳)だ。だから、この二人は同格だ。そして、どちらも、政治家の出身ではない。
2017年にトランプタワーでトランプと会談した直後のケネディJr.
アメリカ二大政党のそれぞれのなかで、まさにいま現在、「反体制派(アンチ・エスタブリッシュメント)」「民衆派(ポピュリスト)」の大御所として、構えている。共和党内と民主党内の、それぞれの「草の根」の、一般国民の支持者たちから、強力な支持を集めています。
ロバート・ケネディJr.は、JFK(ジョン・F・ケネディ、1917~1963)の実弟であり、ケネディ政権で司法長官をつとめたロバート・ケネディ(1925~1968)の次男(6人兄弟)だ。良く知られるとおり、ケネディ兄弟は、いずれもアメリカの支配層によって殺されている。まさに今、「ディープ・ステイト」として世界中に知られるようになった欧米世界の支配権力者たちである。不可解で、謎の多い暗殺事件ということで、いまだに真相が明かされていない。
JFK当選直後の家族写真。JFKの右隣がロバート、椅子に座っているのがテッド
ロバート・ケネディJr.は、現在も精力的に、活動を続けている。国民の生活や健康に被害を与える「大企業犯罪」、アメリカ政府による「戦争経済」「軍産複合体」(ミリタリー・インダストリアル・コンプレックス)と「金融資本」による、米政治・経済への組織的な支配に、真正面から、対決し続けています。
アメリカの左派(左翼)=リベラル勢力のなかでも、最も良心的で「戦争反対」をどこまでも突き抜けて貫く、精神的な過激派である。政治思想の全体構図の中では、環境保護派「動物の権利」までも主張する「アニマルライツ派」という最左翼に位置づけられる。(『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち』、226ページの図から)
だから、大企業をスポンサーとする大手メディアや、体制派の政治家や知識人たちからは、「陰謀論者」とか「過激主義者(extremist、過激派)」とレッテルを貼られてきた。
しかし、ロバート・ケネディJrは、どこまでも、徹底した庶民派だ。自分は、いい家柄のサラブレッドなのに。だから偉い。尊敬を集める。父親のロバートケネディも叔父(おじ)のJ.F.ケネディも、そうだった。
「アメリカの一般国民、中流階級(ミドル・クラス)の繁栄によってこそ、健全な民主政治(デモクラシー)が実現できる」という政治信条が、ケネディの環境・消費者保護活動の骨格にある。
つまり、リベラル派の、左翼活動家・知識人のなかにいる、強力な「庶民派=ポピュリスト」である。これが、「伝統的リベラル派」(トラディショナル・リベラル、クラシカル・リベラルとも呼ばれる)だ。ロバート・ケネディJrが、いまアメリカのリベラルのなかで、ただ一人、これを代表して引っ張っている。
「トラディショナル(伝統的、元来の、復古的)・リベラル」というのは、さんざん批判を受けてきた「ネオ・リベラル」に対して、意識的に使われる言葉だ。彼ら、伝統的な本流のリベラル政治家たちは、「外国への介入主義・干渉政策」(インターヴェンショニズム)とアメリカの「世界支配主義」(グローバリズム)という、「帝国主義」の覇権政策に強く反対する。
トランプ大統領に代表される、保守派(右派)の「アイソレイショニズム」(国内問題優先主義)とまったく同じことを主張している。だから、お互い、通じるところがある。
これは、彼らの思想のおおもと、源流が、同じところにあるからだ。これが、「アメリカ建国の思想」です。イギリスの貴族党「トーリー党」に対抗した経営者や商人たちの「ホイッグ党」が掲げた、リベラルの思想である。
「リベラル(Liberal )」というのは、個人の権利と自由な経済活動、王権や政府からの権力介入に徹底して対抗する、巨大な政府権力による専制、貴族や官僚機構の強権的な政策、全体主義や国家統制を否定する、「クラシカル・リベラル」の伝統を継ぐ政治思想だ。
これに対峙するのが、「グローバリズム」(覇権主義、地球支配主義)だ。アメリカが世界中に出ていって、アメリカの価値(ソフトパワー)と世界の警察(ハードパワー)で世界を管理しようと訴える。民主党のヒラリー・クリントン(1947~、75歳)たち狂信的な好戦的「グローバリスト」(世界支配主義者)である「ネオ・リベラル」の左翼たちと、共和党の「ネオ・コン」(ネオ・コンサヴァティヴ、新保守)の勢力である。ここと、大きく対立する。
だから、ロバート・ケネディJrは、民主党にとっても、第3政党にも、非常に重要な活動家であり、リベラル派のなかでも貴重な存在なのだ。そして、このように、右派(保守)と左派(リベラル)が同じ主張を唱える部分で、「リバータリアン(Libertarian)」という、第3の政治勢力が生まれた、ということが分かる。
副島先生が30年も前から、アメリカの政治思想研究で書かれてきたとおりだ。『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち』(講談社α文庫、1999年間刊)などで暴き出したとおり。アメリカの民主党・リベラル勢力は、「グローバリスト」の政治家や巨大企業に乗っ取られている。
民主党の左翼・リベラル派の中にありながら、アメリカの企業支配と軍事力によるグローバルパワーで、世界を救済して助けるフリをして、その上で管理しておくべきだ、と考える。これが、「グローバリスト」(地球支配主義者)の勢力だ。ロバート・ケネディJrは、彼らを、アメリカ政府のなかの「帝国主義者」(インペリアリスト)であると、批判しています。
これが、共和党のなかの「ネオ・コン」(ネオ・コンサヴァティヴ、新保守)勢力とも結びついている。好戦派のヒラリー・クリントンを頂点とする狂った民主党内の「ディープ・ステイト」勢力のことだ。
これに対して、本来の、「伝統的なリベラル」(Traditional Liberal)、あるいは「南部民主党」(サザン・デモクラッツ)などの、「庶民派、民衆主義=ポピュリズム」の、元来のリベラル派たちが、ボビー・ケネディJrを、草の根で支えている。
アメリカの世界支配・帝国主義の政治・経済政策や、外国での干渉戦争で、アメリカの一般国民が犠牲(ぎせい)になることに、徹底して反対する。これが、左派の「リバータリアン(Libertarian)」にもつながっている。
それでも、ロバート・ケネディJrも、いっときは、ヒラリー・クリントンやオバマの政治活動で、一緒に動いていた。ここに至る経緯は、2000年に、あの『不都合な真実』というドキュメンタリーや著作を2006年に出して、世界的にヒットしたアル・ゴア(1948年~、75歳)の、2000年の大統領選出馬をサポートしたことが発端だ。
アル・ゴアとヒラリー・クリントン
このときに、長年共闘してきた師匠(ししょう)の、環境・消費者保護の社会活動家ラルフ・ネイダーは、民主党ではなくて、第三政党の「緑の党(グリーン・パーティ)」から、アル・ゴアに対抗して出馬している。このときに、アル・ゴアを支援する側に立ったロバート・ケネディJrは、ラルフ・ネイダーから引き離されている。
しかし、アル・ゴアやヒラリー、オバマたちの実態(本性)を知って、袂(たもと)を分かっている。彼らこそが、まさに巨大企業や軍産複合体と癒着して動いていた。そのための好戦的なタカ派の政策を強行している「張本人」たちだ。だから、近年は、ロバート・ケネディJrは、またラルフ・ネイダーとは仲直りして、良好な関係を維持しています。
ラルフ・ネイダーは、1960年代から、アメリカの大企業たちを相手取って、たくさんの訴訟を仕掛け続けてきた。アメリカの消費者保護運動を、たった一人ではじめた活動家である。
その端緒が、GM(ゼネラル・モータース)でした。1960年から販売したシボレー・コルヴェア(Chevrolet Corvair)という自動車の設計で、安全性に大きな欠陥があることを、百件以上の実際の事故の事例を調査して、GM社に対して、製造・販売の中止と被害者(購入者、消費者)への賠償を求めた。
その時、ラルフ・ネイダーが書いた自著、『Unsafe at Any Speed(どんなスピードでも自動車は危険だ)』(邦訳無し、1965年刊行)が、全米でベストセラーになった。ラルフ・ネイダーは、同書でそのGM車の危険性を具体的で詳細に訴え、全米の注目を集めた。これがその後の、GMによる同車の製造を中止にまで追いやった。アメリカ政府による自動車メーカーへの安全性基準の制定へと動かしている。
こうした、政党や政治家の派閥を飛び越えた、市民、消費者を保護する活動家として、ラルフ・ネイダーは、全米に知られるようになる。消費者・環境者保護活動家として、アメリカの戦後時代を、一世風靡(いっせいふうび)した。だから、ラルフ・ネイダーは、これまでにも、民主党や第3党(ザ・サードパーティ)の新党から、大統領選挙に出馬するよう歎願(たんがん)され、実際に4回、立候補している。
2000年の共和党のジョージ・W・ブッシュと民主党のアル・ゴアとの大統領選挙対決のときには、環境問題を訴える民主党候補のアル・ゴアを助けるべきだ、と言われていた。しかし、構わずに、第3政党から出馬している。民主党の支持層のなかのアル・ゴアへ行くべき票を、第三党のラルフ・ネイダーが奪い取ってしまった。それで、民主党内から、同志であるはずのアル・ゴアの当選をさまたげた、と批判を受けた。
しかし実際は、ラルフ・ネイダーは、アル・ゴアの環境保護活動が、大企業やNYの金融資本のヒモ付きであるあることを知っていて、嫌っていた。
ラルフ・ネイダーは、このように、アメリカのリベラルの庶民派活動家の、大御所(おおごしょ)の存在です。いまでも、89歳で現役で活動している。ネイダーの後を継ぐロバート・ケネディJrは、ケネディ家のブランドもあり、米国内では、いまでも根強い人気があります。大物政治家や巨大企業などの既存の権力者に立ち向かい、一般国民を守るポピュリスト(民衆主義者)の活動家として、多くの指示を集めています。
だから、政敵であるはずの共和党のドナルド・トランプが、大統領に当選した2016に、ロバート・ケネディJrは、何と、トランプ政権の「ワクチン安全性特別委員会」(Vaccine Safety Task Force)の議長候補として、トランプから声をかけられている。
実際、2017年の1月10日には、ロバート・ケネディJrはトランプ大統領と会って話しています。そして、一旦は、この役職への就任を引き受けている。ここから、トランプ大統領とのつながりが始まっています。
しかし、反トランプを掲げるハリウッド俳優のロバート・デニーロが、慌てて、翌月の2月に、ロバート・ケネディJrに会いに行った。そして、反ワクチンのキャンペーンを一緒にやろうと誘い込んでいる。ロバート・ケネディJrをトランプから引き離そうと動いた。このため、ロバート・ケネディJrのトランプ政権入りは、実現されていません。
ビル・ゲイツとアンソニー・ファウチ
極めつけは、ロバート・ケネディJrが2021年に出版した、『アンソニー・ファウチの真実:ビル・ゲイツ、大手製薬会社、そして民主政治と公衆衛生を巡る世界戦争』(原題:“The Real Anthony Fauci: Bill Gates, Big Pharma, and the Global War on Democracy and Public Health.”、邦訳無し)という衝撃の著作だ。
(アマゾンのページ)
https://www.amazon.co.jp/Real-Anthony-Fauci-Democracy-Children’s/dp/1510766804
この本は、アメリカ本土では、決して「陰謀論」あつかいはされず、ベストセラーになっている。その緻密で科学的な分析と実態を暴き出したことで、あらゆる方面から、高い評価を受けています。
元FBIの捜査官や、映画『JFK』(1991年)のオリバー・ストーン監督など、多数の有力な人物から、レビュー(review、書評、日本で言えば本の帯の推薦文)を集めている。ニューヨーク・タイムズ紙やウォール・ストリートジャーナル紙、アマゾンでも、ベストセラー書籍となっている。
コロナワクチンの安全性への激しい攻撃と、その裏側にいたアンソニー・ファウチと、ビル・ゲイツを中心とするCDC(米疾病予防管理センター)やダボス会議(世界経済フォーラム)の組織的なワクチン薬害問題を暴いたこのロバート・ケネディJrの本が、はたして、日本で邦訳されて出版されるか。
(前編ここまで)
【3056】[3556]5月20日、ウクライナ東部の バフムートの陥落を中心に、集めた記事を載せる。
副島隆彦です。今日は、2023年5月25日(木)です。
以下に、ウクライナ戦争の 最新の、この5月20日からの、記事を集めてものを大量に載せる。
5月5日に、激怒するワグネルの創設者プリゴージン 「砲弾をもっと送れ」と。その背後に、戦死した自軍ワグネルの、兵士たちの死体袋(ボディ・バッグ)が山積みしてあった。
副島隆彦です。私が、このバフムートでの戦闘の報道で、唯一、笑ったのは、プリゴージンが、「ゼレンスキーよ。(5月21日に)広島に行って、バイデンから(よくやった。かわいいやつだと、おまえの、そのチビの体躯の)おでこ にキスをしてもらえ」と、語ったときだ。
それを、日本のニューズ報道では、故意に、ねじ曲げて、「ゼレンスキーよ、(広島で)バイデンのおでこ にキスをしろ」と、逆に翻訳していた。チビのゼレンスキー(160センチぐらいだ)が、長身(190センチぐらいある)のバイデンの額(ひたい)にキスするには椅子の上に乗ってからでないと出来ない。
こういう姑息(こそく)なことを、日本のテレビ局は、あれこれやる。日本語に翻訳して報じるから、世界中にバレないと思って。バカなんだ、こいつら。いつもいつも、アメリカの手先、子分で、本当に卑屈(ひくつ)なやつらだ。
あとは、ゼレンスキーを、5月21日に、広島空港(北の山の中になって、広島市内まで1時間ぐらい書か有る)で、出迎えたのは、木原誠二(きはらせいじ)官房副長官だけ、たったひとり、だった。木原は、財務省上がりで、今の政府で、おカネを払う責任者だ。
木原は、ゼレンスキーを、激しく睨みつけながら、「このヤロー。よくも、日本から、ウクラナイ支援金として5兆円もふんだくったな」と、ブルブルと、怒りに満ちた表情をして、ゼレンスキーの手を握り潰しそうなキツイ握手をしていた。
すでに、5月19日に、隣りの山口県の岩国(いわくに)の米軍基地に、降り立った、バイデンと、岸田は、すぐに日米首脳会談をした。 親分のバイデンが実際に来ないと、属国からのカネの奪い取り、巻き上げ、徴収はできない。現実の世界政治でやっていることは、こういう朝貢(ちょうこう)だ。暴力団の世界と変わらない。
アメリカにカネを払う担当の、秋葉剛男(あきばたけお)国家安全保障局長(こっかあんぜんほしょうきょくちょう。前の外務省事務次官、3年やった )と、木原誠二のふたりは、この日米会談の時に、本当にイヤそうな顔をして、ぐったりしていた。
この時、バイデンに、10兆円、日本は払ったのだ。 そのうちの5兆円(400億ドル)は、アメリカの財政赤字が火の車( 今、債務上限=さいむじょうげん= debt ceiling デット・シーリング で騒がれている。31.4兆ドルを越した ) だから、それを穴埋めする資金の一部としての5兆円だ。
残りの5兆円(400億ドル)は、ゼレンスキーに、直接払うのではないが、ウクライナ軍に、米軍と、英軍が、ただで与え続けている、兵器、弾薬の代金だ。それを、アメリカの軍需産業(マグダネル・ダグラス、レイセオン、ロッキード・マーティン・マリエッタ、ボーイングたち。多連装ミサイルとか榴弾砲のロケット砲などだ。それと戦闘機。 戦車ならクライスラー社だ )に、払う。英国からは、例の”聖(セイント)・ジャベリン”やNLAR(エヌラー)と呼ばれる、携行、肩掛け式の小型の対(たい)戦車ミサイルだ。
それで、英米の最新兵器が、ウクライナに、どんどん運び込まれる。アメリカの軍需産業に、払っているカネの、半分以上は日本からの資金だ。
だから、この5月19日の日米会談の場で、「日本が、新たに10兆円を払う」ことが決まった。だから、次の日の、ドル円の 為替相場が、びゅーんと急に、3円、動いた。それまでの、1ドル=135円が、急に138円に、円安・ドル高になった。今日(25日は、さらに139円だ)。
これぐらいの巨額の政府のカネが動ないと、一気に4円の円安(えんやす)は、起きない。このことを、はっきりと知っている、日本の知識層の人間たちは、あまりいない。為替の現場の 専門家たちで、この真実を口にしたら、殺される。日本は、世界政治の中で、こんな目に遭(あ)っている。
日本のメディア(テレビ、新聞、週刊誌、ネット情報誌)は、一切、まったくこの真実の報道をしない。 それで、日本人の中の、勘の鋭い国民が、「バイデンも、ゼレンスキーも、どうせ、カネ取りに来たんだろ」と、ぶつぶつ言っている。これが、真実の日米関係だ。
だから、へいこらと、アメリカの手先を、何十年もやっている者たちでも、このアメリカからの、日本資金の、毎回、毎回の、ふんだくりに、そろそろ、業(ごう)を煮(にや)やして、 「アメリカ、このヤロー」と、言い出している。
だが、それでも、日本国内は、統一教会(ムーニー Moonies 。殺された安倍勢力 )を中心に結集している、愚劣な、狂った頭をしている連中が、反(はん)共産主義の、反ロシア、反(はん)中国の、デープステイトの、燃えるような、信念で、出来上がっているものだから、すべてはそれに押し流される。 私、副島隆彦が、この大きな見方(概観。アウトルック)で、一番、大きな所から、私たちの日本国を見ている筈(はず)である。
ひとり、岸田文雄だけが、首相だから、体を張って意気揚々と、元気よくふるまって、自分の、この「 2023 広島G7 」の晴れの舞台を、ボロボロになりながら、必死で演じていた。 哀(あわ)れなものだ。
ウクライナ戦争の話に戻る。 東部ドネツク州の 最激戦地であった、ウクライナ軍の要衝(ようしょう)だったバフムートは、この5月20日に陥落した。
(ここに、ワグネルの幹部たちと並んでいる、バフムート制圧の日の写真を貼る)
本当に、ロシアの民間軍事会社(PMC)の ワグネルが、市内を完全に制圧したようだ。
ロシア側の大勝利である。 このバフムートの戦いで、ワグネルは、自軍の 5万人の兵力のうち、2万人が戦死し(このうち囚人兵が1万人)、1万人が負傷した。
そのように、プリゴージン本人が、5月24日に「テレグラフ」で語った。後ろの方の記事に有る。そしてウクラナイ軍の側の死傷者のおおよその数字も語っている。5万人が死に、7万人が負傷した、と。
この戦争で、一番、正直なのはプリゴージンだ。ウクライナ政府や軍のトップたちは、どうも自分の主観、希望、願望が入って、ウソつきが多い。アメリカ政府の軍事部門(ホワイトハウスのNSC)や、英国の参謀本部の発表も、誇張された、ウソが多い。故意に、ロシア軍を中傷している。
このバフムート戦では、市内はワグネル軍が死者を多くだしながら、突撃して前進した。ロシア軍の空挺部隊(VDV 。パラトルーパーズ) が、市の南北の両側面を支援しながら、バフムート戦線で、もう10か月(去年の7月から)、ずっと戦ってきた。
今度のバフムート戦で、プリゴージンは、ロシアの英雄になった。それは、ナポレオンのモスクワ侵攻(1812年)の時、それと戦う、劣勢のロシア軍の中から、百姓上がりのクトゥーゾフ将軍が、英雄となった。 雪の中を敗走するナポレオン軍を、タイガの森の中から、クトゥーゾフの軍隊が、じっと見守っていた。祖国の危機の時に、真の英雄が、民衆の中から生まれて来る。さすがにロシアは、鷹揚(おうよう)に構える大国だ。
プリゴージンは、5月5日に、「もっと、砲弾を送れ」と、ロシア軍の幹部たちに、向かって、鬼のような形相で怒鳴っていた。彼の背後には、死んだ自分の部下のワグネルの兵士たちの戦死した死体を詰めたボディ・バッグが山積みになっていた。こういうことが出来て、初めて真の国民の英雄が生まれる。ロシア国民は、みんなで泣きながら、この映像を見ていただろう。
すぐに、ロシア側は内部で分裂している、と、西側報道は、作り話をする。何の根拠もなく、こういうウソの報道をする。生きている組織、団体は、必ず、内部で路線を巡って、対立が起きる。それはどんな勢力の中でも起きることだ。ロシア側だけの話ではない。愚劣な
西側の国民戦争メディアは、自分たち自身の、その狂ったような、反ロシアの、偏向(へんこう)報道を、内部で冷静に見直すべきだ。それが出来なければ、国民に見放されて自滅する。
この欧米(デープ・ステイト)に唆(そそのか)されて出来ている、今のウクライナ政府と、それを支援する者たちは、世界中で、まだ、苦し紛(まぎ)れの、負け惜しみで、「もうすぐウクライナ軍の大(だい)反撃が、始まる」とずっと言い続けている。 反撃に出て突撃する方が、陣地を固めて防御する側よりも、最低で3倍の兵力を損耗(そんもう)する。
このあと、彼らは、どういう風に、自分たちのこれまでの発言を、捻じ曲げて、自分たちに都合のいい方向に、作り変えてゆくのだろうか。 人間というのは、本当に、浅(あさ)ましい生き物だ。
この戦争は、まだまだ、続く。だが、そのうち、この冬か来年の始めに、中国が、仲裁(mediation ミーディエイション)する形で、停戦(ていせん。 cease – fire シース・ファイア) すなわち、最前線(フロント・ライン)での「撃ち方ヤメ」 となるだろう。
それがその後、何回か破られる。が、それでも、やがて休戦(きゅうせん。truce トルース )となる。 この休戦は、そのまま、和平交渉(わへいこうしょう。 peace talks ピース・トークス)の始まりとなる。 その和平交渉の会談の場所は、おそらく 中央アジアの カザフスタン国 (カリモフ大統領)の首都のアスタナ となるだろう。
副島隆彦注記終わり。
(ここに、画像を貼る)
ウクライナ東部ドネツク州バフムートでロシア国旗を掲げる民間軍事会社ワグネル戦闘員と創設者プリゴジン氏(中央)=5月20日に通信アプリ「テレグラム」に投稿された動画より(AFP時事)
〇 「 ワグネル、バフムートを完全制圧と主張 プーチン氏も「称賛」 」
2023年5/21(日) 10:34 AFP
(ここに画像を貼る)
ウクライナ・バフムートの損壊された建物の屋上でロシア国旗と民間軍事会社ワグネルの旗を振るワグネルの戦闘員。ワグネルの関連会社コンコルドがテレグラムに投稿した。
【AFP=時事】 ロシアの民間軍事会社ワグネル(Wagner)の創設者エフゲニー・プリゴジン(Yevgeny Prigozhin)氏は20日、ワグネル部隊がウクライナ東部のバフムート(Bakhmut)を制圧と主張した。
ワグネル、バフムート制圧と主張 ロシア国旗を手にする創設者プリゴジン氏 ロシア国防省も、「(ロシア軍の)南部軍管区部隊の砲撃・航空支援を受け、ワグネルが進軍した結果、アルチョモフスク(バフムートの旧ソ連時代の呼び名、Artemovsk)の解放は完了した」と発表した。
ロシア大統領府(クレムリン、Kremlin)は、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領がワグネル、正規軍双方を「称賛した」とする声明を公表した。国営タス通信(TASS)が報じた。
〇 「プリゴジン氏がバフムト「完全制圧」を主張 ワグネル撤収か 」
2023年5/21(日) 2:56
”プリゴジン氏がバフムト「完全制圧」を主張 ワグネル撤収か”
ロシアの民間軍事会社「ワグネル」を率いるプリゴジン氏がバフムトの完全制圧を主張し、部隊を撤収させると述べた。ウクライナ側は否定している。
プリゴジン氏は5月20日、廃虚の街の中でロシア国旗を掲げたビデオをSNSに投稿し、ウクライナ東部の激戦地バフムトを完全に制圧したと主張した。 そのうえで、休息と再訓練のために5月25日からワグネルの部隊を撤収させる。
一方、ウクライナ軍東部方面部隊のチェレバティ報道官はロイター通信に対して「真実ではない。我々の部隊はバフムトで戦闘を続けている」と述べ、プリゴジン氏の主張を否定した。
(副島隆彦注記。 下↓の記事は、負け惜しみだ。両軍はどちらもバフムートの戦闘(攻防戦)を、ギリギリでずっとやって来たのだから、こんな自分たちの夢、願望、主観だけの、元気づけの記事(さすがに産経新聞だ)を書いても、情勢は変わらない。
去年の7月から、もう10か月、バフムート市で激しい戦闘があった。ただし、現在も、バフムート市 の郊外の 北側と南側に、ウクライナ軍が、前進し侵攻して来ているのは事実のようだ。 そのウクライナ軍の真つ正面の反対側に、ロシアの精鋭の空挺部隊(VDV)が、陣地を作って対峙している。
そして、その背後にロシア軍の野戦砲の部隊と、長距離ロケット部隊もいるだろう。両軍が、睨み合って戦線が出来ている。だからそう簡単には最前線は、変更できない。
副島隆彦記)
〇 毎日新聞・・・・ プリゴジン氏は、ロシア国旗を掲げたワグネル部隊とともに動画に登場し「バフムトの制圧に224日間かかった」と主張。ショイグ国防相、ゲラシモフ参謀総長のこれまでの戦略を批判した上で、プーチン露大統領に対し「我々に母国を守る偉大な名誉を与えてくれた」と感謝を示した。
ワグネルは今後、バフムトをロシア軍に引き継ぐという。ロシアの報道によると、プーチン氏もバフムトを掌握した部隊を祝福した。
〇 「 ウクライナ軍報道官「ワグネルを包囲し全滅させるだろう」 バフムト陥落を改めて否定 」
2023年5/22(月) 8:28 ・・・・
ロシアによるウクライナ侵略で、露国防省が制圧したと主張した最激戦地の東部ドネツク州バフムトに関し、ウクライナ軍東部方面部隊のチェレバティ報道官は21日、市内の南西部をなおウクライナ軍が保持しているとし、バフムトの陥落を改めて否定した。ウクライナ軍のシルスキー陸軍司令官は5月21日、「バフムト郊外でウクライナ軍が前進している」と述べた。ウクライナメディアが伝えた。
チェレバティ氏は、バフムト市内には露民間軍事会社「ワグネル」の部隊が展開しているが、同市郊外で前進しているウクライナ軍が「ワグネルを遅かれ早かれ包囲し、全滅させるだろう」とも述べた。
一方、ワグネルトップのプリゴジン氏は、5月21日、「バフムト制圧の任務は完了した。5月25日 にワグネルは戦闘地域を離れる」と改めて表明。「今後、ワグネルは確保した陣地を露正規軍に引き渡した上で撤退し、部隊の再編成に着手するとし、今後2カ月間は戦闘に参加しない予定だ」と主張した。 ただ、米シンクタンク「戦争研究所」は、「バフムト郊外にウクライナ軍が展開する中、ワグネルが無傷で撤退できる可能性は低い」との見方を示している。
〇 (この下 ↓ のBBCのニューズ動画を私も見た。「バフムートは陥落したとロシアが言っているが 」と、記者が質問して、それにゼレンスキーが、英語で 「バフムートには、もう、ウクライナ軍はいない。ロシア軍の兵士の死体だけだ」と、認めた。バイデンが厳しい表情で横にいた。この発言は決定的だ。
このゼレンスキーの発言を、ウクライナの大統領室の報道官が、慌てて、急いで必死に否定し始めた。だがもう遅い。この様子がおもしろかった。副島隆彦記)
(ここにふたりの画像を貼る)
米国のバイデン大統領(右)と会談するウクライナのゼレンスキー大統領=広島市内で2023年5月21日、AP
〇 「 バフムートは完全に破壊され「何もない、死んだロシア人しかいない」とゼレンスキー氏 」
2023年 5/21(日) 21:02 © BBC News
ウクライナとロシアの間で昨年から激しい攻防戦が続く東部バフムートについて、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は5月21日、ロシアによって完全に破壊されてしまったと述べた。ただし、ロシアに制圧されたわけではないという。
広島で開かれている主要7カ国首脳会議(G7サミット)のため来日中のゼレンスキー氏は、ウクライナはバフムートを掌握しているのか記者団に質問されると、「残念なことで、悲劇だが、今日のところはバフムートは私たちの心の中にだけある」と英語で答えた。G7閉幕後、ジョー・バイデン米大統領との首脳会談に臨む冒頭でのことだった。
「もうあそこには何もない。地面と、大勢の死んだロシア人しかいない」のだとも説明。 「我々の防衛者たちは、強力に働いた。もちろんその見事な働きを、私たちはありがたく思っている」と述べた。
こうした発言を受けて一時、大統領が陥落を認めたとの報道が出たものの、ウクライナ大統領府はすかさずこれを否定。バフムートは都市として完全に破壊されたと大統領は答えたが、ロシアに制圧されたと認めたわけではないと説明した。
ウクライナのハナ・マリャル国防次官は、21日に通信アプリ「テレグラム」で、ロシアはバフムートを包囲できず、逆にウクライナ軍が「半分」街を取り囲んだのだと書いた。 「郊外の側面で私たちの部隊は前進を続けている。そのため、敵がバフムートにいるのは非常に難しい」とマリャル次官は述べている。 ゼレンスキー大統領の発言は、ジョー・バイデン米大統領との首脳会談に際して、記者の質問に答えてのもの。
その場でバイデン氏は、アメリカ政府がウクライナに3億7500万ドル(約517億円)規模となる追加の軍事支援を提供すると発表。ゼレンスキー氏はこれに感謝した。
国務省発表によると、38回目となる追加支援には、高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」の砲弾や対戦車兵器の補充、医療用装甲車両やトレーラー、トラック、部品などの提供が含まれるという。© BBC News
〇 「 プーチンの焦りでロシア特殊部隊が”ほぼ全滅”…米紙が報じた「ソ連のターミネーター」の末路 」
2023年5/22(月) 時事通信
2023年5月9日、モスクワの赤の広場で行われた軍事パレードに出席したプーチン大統領 – 写真=dpa/時事通信フォト
■無謀な作戦の犠牲になったロシアの特殊部隊
ロシアの特殊部隊「スペツナズ」が、ウクライナ侵攻後の1年間でほぼ壊滅状態に追い込まれている。 米ワシントン・ポスト紙はインターネット上に流出した米国防総省の機密文書をもとに、旅団によっては兵員の90~95%が失われたと報じている。
2022年夏にウクライナから帰還した5つのスペツナズ旅団は、「1旅団を除くすべてが大きな損失を被っている」ことが判明したという。 スペツナズはロシアの特殊部隊の総称だ。なかには暗殺など秘匿性の高い任務を担う部隊もある。米ワシントン・ポスト紙によると機密文書は、「スペツナズ第346旅団は兵士900人中775人が死傷し、「旅団全体をほぼ失った」状態にある。 スペツナズが大きな打撃を被った原因は、高難度のミッションに投じるべき高スキルの人材を前線に投入した。
■東部ドンバス地方から生還できたのは7人に1
軍事・防衛産業関連のニュースサイトである 米タスク&パーパスは、「スペツナズは「ロシア連邦が擁する最高のエリート部隊」だ。この部隊がウクライナで破壊されスペツナズはウクライナで全滅しつつある。
スペツナズの戦闘員は昨年来、マリウポリやヴュレダル、そして東部ドンバス地方の作戦に投入。スペツナズ第346旅団は900人のコマンドウ(特別奇襲隊員)が所属。戦闘から帰還したのは125人だけだったという。7人に1人(14パーセント)。
ロシア南部の第22スペツナズ旅団が使用する基地、侵攻の前後を写した衛星写真が含まれていた。侵攻数カ月前の2021年11月と、その1年後に撮影されたもの。
■衛星写真で明らかになった“全滅”の実態
前者には「ひしめく車両で賑わう車両保管所」が写っていた。一方、ウクライナからの帰還後にあたる後者では、参戦前に保有していたティグル小型戦術車両の数が半分以下に減った。車両が「極度の枯渇状態」にある。 兵員の損耗はさらに激しい。この第22旅団を含む3つのスペツナズ旅団について、兵員の90~95%が死傷した。2月に東部ドネツク州ヴエレダルの町で、スペツナズ旅団長の死亡。
■「ソ連のターミネーター」という残虐なイメージ
スペツナズは1957年、冷戦下のソ連時代にロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)内に創設された。戦場の偵察や破壊工作を担うほか、暗殺や諜報(ちょうほう)活動を担う専門性の高い部隊も。米インサイダーは、その秘匿性の高さやソ連亡命者が記した書籍の影響から「ソ連のターミネーター」との残虐なイメージを帯びた部隊であると紹介。
暗殺部隊と位置づけられる参謀本部・特殊作戦指揮部の特殊作戦部隊(KSSO)を筆頭。陸軍スペツナズとして8旅団と1独立連隊、および海軍スペツナズとして4艦隊など、約1万7000人がいる。 FSB(ロシア連邦保安庁)特別指定センターのまさにエリートの対テロ部隊から、連邦林業局のそれほど手ごわくない即応部隊までの部隊が存在する。
・・・ロシアにとって陸軍の兵士の能力も心許なかったと指摘している。自動車化狙撃団の歩兵らが十分な成果を上げなかった。キーウ攻略や東部と南部での作戦が不調に終わった。エリート空挺(くうてい)部隊やスペツナズなどを前線に出す方針に転換した。
高度なボディーアーマーや暗視ゴーグル、熱検知機器など最新の装備と共に戦場に投入された。スペツナズの活躍の機会はなく。その多くが殺されたり、捕虜になったりした。彼らの特殊車両は破壊された。
〇 「 ウクライナ、次はない反転攻勢が間近か 」
2023年5/22(月) ・・・・
西谷 公明(エコノミスト 元在ウクライナ日本大使館専門調査員) 1953年生
(副島隆彦注記。こいつは、かなり冷静。冷ややかに見ている。 元在ウクライナ日本大使館専門調査員だったのだ。私と同年生)
【ロシア・ウクライナ戦争】 国内産業はほぼ麻痺、欧米の年300億ドル超える巨額支援はいつまで
この春、ウクライナ国民は生活防衛のため、郊外の畑で春の種まきに忙しい。 幸いにも現在、都市部の停電はおおかた復旧し、お湯の供給も再開されているそうだ。
しかし、ロシア軍によるミサイル・ドローン攻撃は全土に広がって、経済がほとんど崩壊状態。 2022年のGDP(国内総生産)は前年比マイナス30.4%。
保たれているのは公共輸送機関やライフラインと、食料品店やレストラン、カフェなどの生活まわりのサービス分野ぐらい。その他は農業を除いてほぼ麻痺状態。 被占領地域は国土の18%、面積にして約20万平方キロ。なんと日本の本州の広さ。 機械や鉄鋼、非鉄、石炭はじめ鉱工業の大半は、ロシアと縁の深い東部と南部のこの一帯とドニエプル河流域。多くはすでに廃墟と化している。マリウポリの製鉄所は破壊され、国内最大のクレメンチュク製油所も損壊した。
ウクライナは天然ガスの生産国だ(バイデン大統領の子息ハンター氏がマイダン革命後の2014年4月から5年間、取締役を務めていたブリスマ社が開発・生産)。
国内需要を満たすほどではない。戦渦で産業需要が落ち込んで、いまは自国産だけで間に合っている。 原油と軽油、重油などの石油製品(つまり、戦車やトラクターの燃料)は、ほぼ全量を欧州や中東からの輸入に依存。
他方、侵攻以来、政府は全土に戒厳令を布告し、「平時の国家予算のほぼ全額を軍関連に充ててきた」(シュミハリ首相談)。穀物輸出は毎月せいぜい10億ドル。
財政赤字は毎月30億ドルから35億ドル。 22年、西側は合計310億ドルを送金(国際機関と二国間の融資)して財政を支援した。23年も、これとほぼ同額の金融支援を続けている。 これには巨額の軍事支援は含まれない。
ドイツの「キール世界経済研究所」の試算は、軍事や医療・人道を含めた国際社会による支援 (22年1月24日から23年1月15日までに表明されたもの)は総額1600億ドル近く(参考ながら、21年のウクライナの名目GDPは2000億ドルだった)。
西側としても、これだけの支援をいつまでも続けるわけにはいかない。 最大のドナーである米国は来年秋に大統領選挙を控えて、バイデン政権によるウクライナ支援の是非が問われる。欧州有力国も国内の物価高への対応に追われる。グローバルな金融不安も燻ぶりつづける。 勝算はあるか?停戦に応じるつもりはないか?
西側首脳はゼレンスキー大統領に対し、折々に打診してきた。 だが、戦時のリーダーに、もはや他の選択肢はない。 ウクライナにとり、後のない戦いが始まる。
■西谷 公明(元在ウクライナ日本大使館専門調査員) 1953年生、長銀総研を経て1996年在ウクライナ日本大使館専門調査員。2004ー09年トヨタロシア社長。2018年N&Rアソシエイツ設立し、代表。著書に『ユーラシア・ダイナミズム』『ロシアトヨタ戦記』など。岩波書店の月刊世界の臨時増刊「ウクライナ侵略戦争」で「続・誰にウクライナが救えるか」(2022年4月14日刊)を執筆。2023年1月に『ウクライナ 通貨誕生-独立の命運をかけた闘い』(岩波現代文庫)を復刻。
〇 「 ロシア軍、バフムートで地雷除去開始 親ロシア派の当局者が明かす 」
2023年5/23(火) 13:11 CNN
(CNN) ウクライナ東部の要衝バフムートで、ロシア軍が地雷の除去を開始している。東部ドネツク州で親ロシア派勢力が名乗る「ドネツク人民共和国」の幹部、デニス・プシリン氏が明らかにした。 プシリン氏は5月22日、ロシアのテレビで「予備的段階の地雷除去作業が進行している」と述べた。
ロシア国営タス通信がコメントを報じた。 「同市を解放したロシア軍は、建物に爆発物が仕掛けられていないか調べている。地雷除去の完遂は我々にとって重要だ。非常に骨が折れる、困難な作業だが、現地の戦闘がそれだけの規模だったということだ」(プシリン氏)
ロシアの民間軍事会社ワグネルのトップ、エフゲニー・プリゴジン氏も、自身のSNSテレグラムで地雷除去作業が始まったことを確認した。
同氏は5月20日、数カ月にわたる過酷な攻勢を経てバフムートを完全掌握したと主張。翌日には、ワグネルの部隊がウクライナ東部の前線から全面撤退すると明らかにしていた。「奪取を約束した土地は最後の数平方センチまで制圧した」としている。 ワグネル撤退後の自分たちの陣地は、ロシア国防省に引き渡すとした。
一方ウクライナは、バフムート西部の狭い区域を保持していると主張。同市を囲む地域では前進しており、有利な立場にあると強調している。
〇 「 ウクライナ軍総司令官「負傷」か ロシア報道、ウクライナは反論 」
2023年5/24(水) 22:11 ロイター
ウクライナ軍のザルジニー総司令官(ロイター=共同)
国営ロシア通信は、5月24日、ウクライナ軍のザルジニー総司令官が今月初めに前線で負傷して開頭手術を受け、今後の任務継続が困難な見通しだとのロシア治安当局筋の話を報じた。一方、ウクライナ国家安全保障・国防会議のダニロフ書記は24日、ザルジニー氏が同日ゼレンスキー大統領に報告を行ったと表明し、事実上反論した。
ロシア通信の報道によると、ザルジニー氏は5月初め、ロシア軍との交戦が続いているウクライナ南部ヘルソン州内の陣地でロシア軍のミサイル攻撃を受け、破片で頭蓋骨に多数の傷を負ったため首都キーウ(キエフ)の病院で手術を受けた。ウクライナ軍内の複数の消息筋から得た情報という。(共同)
〇 「 ロシアの守備、衛星画像で明らかに ウクライナによる反撃を前に 」
Satellites reveal Russian defences before major assault
2023年5/23(火) BBC 追加取材:トム・スペンサー
ロシアの守備、衛星画像で明らかに ウクライナによる反撃を前に BBCヴェリファイ(検証チーム)
要塞が並ぶビーチリゾート、対戦車用の溝が掘られた幹線道路――。BBCヴェリファイ(検証チーム)による衛星写真の分析で、ウクライナの大規模な反撃に備えるロシアの守備の一端が明らかになった。 ウクライナでは数カ月にわたって膠着(こうちゃく)状態が続いている。
西側から供与された兵器があれば大きな戦果を上げられると証明したいウクライナにとって、近く始まるとされる反撃は重要な試練になるとみられる。 BBCは今回、数百枚の衛星画像を分析。ロシアが昨年10月以降にウクライナ南部で大幅に増強している塹壕や要塞の重要地点をいくつか特定した。 以下の四つの地点からは、ロシアが反撃に関してどんな予測をしているのか、ウクライナ軍はどんな守備に遭遇する可能性があるのかがうかがえる。
1. クリミア半島西海岸
2014年にロシアに併合されたクリミア半島は、かつてビーチリゾートとして知られた。 25キロメートルにわたる海岸線にはいま、折り畳み椅子やパラソルではなく、ロシア軍が設置した防衛施設が散らばっている。 下の画像は西海岸で唯一、崖や丘などの自然の防御物がない、開けた砂浜地帯の状況を示している。
まず、海岸沿いに「竜の歯」と呼ばれるピラミッド形のコンクリートブロックがあるのが分かる。戦車などの軍用車両の前進を阻むのが狙いだ。 その背後には塹壕が連なっており、迫りくる攻撃から身を守るのに使われる。塹壕沿いに、いくつかの格納施設も確認できる。 海岸に沿って、木材の山、掘削機、「竜の歯」の予備などがある。画像が撮影された3月には、建設作業がまだ行われていたことがうかがえる。
軍事専門家の一部はロシアのこうした守備について、海からの攻撃を想定したものではなく、どちらかというと念のための措置である可能性が高いと指摘する。ウクライナは海軍力が低いからだ。 情報アナリストのレイラ・ゲスト氏は、「ウクライナが陸ではなく大胆にも海からクリミアを攻撃してきた場合に、それを阻止するために要塞が置かれているとみられる」と話す。 この浜辺の要塞は、広い範囲に張り巡らされた塹壕の一例に過ぎない。
オープンソースアナリストのブレイディ・アフリック氏の調査を基に作成した下の地図には、要塞を示す小さな丸印が無数に存在している。 BBCはソーシャルメディア上の動画から個々の塹壕の位置を特定することで、他の重要な要塞の場所を特定した。 正確な位置が分かったあとは、衛星画像を用いて塹壕の連なり全体を追うことができた。
2. トクマク
トクマクは、ウクライナ南東部の主要道路が通る小さな街だ。ウクライナ軍にとっては、クリミアと他のロシア支配地域を分断させるうえで有用な場所だろう。 この街に関しては、軍事要塞にするためにウクライナ人住民らを追い出していると報じられている。そうすることで、ロシア兵は物資と退却基地を得ることができる。
上の衛星画像では、トクマクの北側に塹壕が2本の線状に掘られているのが分かる。ウクライナの攻撃が予想される方向だ。 これらの塹壕の背後では、街を囲むように要塞が配置されている。下の拡大した衛星画像では、守備が3層になっているのがはっきりと見て取れる。 画像の最上部には、対戦車用の溝が確認できる。深さは通常2.5メートル以上あり、敵の戦車を動けなくするために掘られている。
その後ろには「竜の歯」が数列並ぶ。さらにその背後にも、また塹壕が張り巡らされている。 ウクライナ軍は、これ以外のわなにも直面することになりそうだ。 米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)のマーク・カンシアン氏は、トクマクの3層の防衛線の間には地雷が隠されている可能性が高いと言う。 「地雷原はすべての防衛で標準となっている。
ロシアはこの戦争で、広い範囲で地雷を使っている」 「ここでは地雷原は広く、よりわかりにくくなっている。ウクライナの攻撃を遅らせ、砲兵や歩兵などが敵を攻撃できるようにしてある」 BBCはトクマク近郊の他の三つの町についても、同様に要塞化されていることを発見した。
3. 幹線道路E105号線
トクマクの西では35キロメートルにわたって続く幹線道路E105号線に沿って、対戦車の溝と塹壕が延びている。 E105号線は、ロシアが掌握している南部メリトポリと、ウクライナが保持している北部ハリコフを結ぶ、戦略的に重要な道路だ。これを押さえた側は、一帯で部隊を容易に移動できる。
もしウクライナ軍がこの道路を使おうとすれば、ロシアは防衛線の後ろから重砲で狙ってくる可能性が高い。ロシアの砲撃拠点は、近くの別の道路(T401号線)も射程内に収めており、こちらも狙ってくる可能性がある。 「ロシアは、最近作られたウクライナの装甲部隊を気にかけている。もしそれらの部隊が幹線道路を走ることができれば、非常に迅速に移動できる」とCSISのカンシアン氏は言う。 「ロシアは、それらの部隊を道路から追い出し、動きを遅らせようと思っている」
4. マリウポリの北のリヴノピリ
港湾都市マリウポリは、東部のロシア占領地域と南部のクリミアを結ぶ戦略的な位置にある。また、街が包囲され、頑強な兵士らが数カ月間持ちこたえた時には、侵攻に対する抵抗の象徴になった。 ロシアは、ウクライナがこの都市の奪還を試みるだろうと想定している。
そこでBBCは、マリウポリの周辺地域を調査。その結果、円を描くように掘られた塹壕がいくつもあるのを発見した。 マリウポリの北55キロメートルにあるリヴノピリという小さな村の付近では、円形の塹壕の真ん中に土が盛られている。これは、迫撃砲を守るためか、銃を安定させるためのものとみられる。
一方、円形の塹壕は、兵士が身を隠すとともに、迫撃砲を移動させてどの方向に対しても狙いを定めるのを可能にしている。 このことからは、丘や川など自然の防御物がない開けた地域を、他の塹壕の連なりも使いながら、ロシアが守ろうとしていることが分かる。 しかし、一部のアナリストらは、ウクライナ軍が同様の衛星画像やドローンによる監視を活用することで、これらの守備隊の多くを特定し回避できると指摘している。
英セキュリティー・コンサルタント「シビリン」のアレクサンダー・ロード氏は、「ロシア側はウクライナ軍を、多数の地雷が設置され、ロシアの迫撃砲がすでに狙いをつけている特定のルートに誘導しようとするだろう」とする。 衛星画像からは守備の状況が一目瞭然だが、それもロシアの計画の一部なのかもしれない。
〇・・・・プリゴジンはショイグとゲラシモフは不必要に殺され負傷した何万人について、「彼らの素人っぽいやり方が何万人ものロシア人を破壊した」と述べた。
西側情報機関の推定で、ワグネルは5万の戦闘員をウクライナで展開した。米国家安全保障会議(NSC)のカービー報道官は、「 12月以来、死んだ2万人のうちほぼ半分がバフムトを攻略しようとしたワグネル戦闘員である」と。
(副島隆彦注記。ワグネルは、総兵員 5万人で、バフムートに攻勢をかけ(攻撃し)、(去年の7月から、10か月かけて)3万人の死傷者を出した、というのが、大きな真実の数字だろう。そして、2023年5月20日に、バフムートの市街をすべて制圧した。これで、目出度(めでた)く バフムート陥落となった。 下 ↓ の 朝日新聞の 5月25日続報でも、 プリゴージンの発言が、正確で正しい。 )
〇 「 バフムートの戦闘で「戦闘員2万人死亡」 ワグネル創設者が明かす 」
5/25(木) 0:05 朝日新聞
ロシアの民間軍事会社「ワグネル」創設者のプリゴジン氏は5月24日、「激戦地となったウクライナ東部ドネツク州バフムートでの戦闘で、戦闘員2万人以上を失った」と親プーチン派の政治家ドルゴフ氏によるインタビューで明らかにした。ロシアの独立系メディア「アストラ」が報じた。
プリゴジン氏によると、「 受刑者約5万人を戦闘員として採用し、うち約2割が戦闘で死亡。ほかの形で契約した戦闘員もほぼ同数が死亡した。負傷者も他に1万人程度いる」と語った。 また、プリゴジン氏は、「ウクライナ軍側の死者を5万人、負傷者を5万~7万人」と見積もった。 バイデン米大統領は、5月21日、「ロシアはバフムートの戦闘で10万人を失った」としていた。 朝日新聞社
〇 「 バフムートの名称を「アルチェモフスク」に変更へ 親ロシア派当局者 」
2023年5/24(水) 7:46 CNN
(ここにシプーリンの写真を貼る)
バフムートの名称変更に言及した「ドネツク人民共和国」の幹部、デニス・プシリン氏
(CNN) ウクライナ東部ドネツク州で親ロシア派勢力が名乗る「ドネツク人民共和国(DPR)」の幹部、デニス・プシリン氏は5月23日、同州の都市バフムートを訪れ、今後、同市がソ連時代に呼ばれていた「アルチェモフスク」という名称で認識されるようになると述べた。
同氏は、SNSテレグラムに投稿した動画で「バフムートは不運にもウクライナだったが、今は違う。ロシアだ。だから名称もバフムートではなく、アルチェモフスクになる」と語った。 動画には、プシリン氏が激しく破壊された都市の街路を軍服姿で歩き、ⅮPRの旗を建物に立てる様子が映っている。 同氏はまた「バフムートを奪取したことにより、ロシア軍にはウクライナ国内でさらに領土を獲得する経路が開けた」とも主張した。 その上で、「この街は新たに生まれ変わる。新しい住宅や職場、学校を建設する」と約束した。
(副島隆彦注記。 こら、テレ朝。 下 ↓の 記事で、ウソを書くな。プリゴージンは、まず、自分の軍隊である「ワグネルが、世界で最強だ」と言った。その次に、「 自分たちと戦ったウクライナ軍を、世界で2番目の軍隊だ」とエール yell を送った。
こういうことを、勝手に以下のように捻じ曲げて報道するのが、負け惜しみに満ちている、日本の 反ロシア報道だ。バフムートの戦いで自分たちが必死で応援するウクライナ軍が敗北して、相当に残念無念で、口惜しいのだろう。防衛研究所の高橋杉雄や、東大先端研の 小泉悠たちは、あれほど、ウクライナ軍が反撃して勝利する、というようなことを、日本のテレビ局の各社で、毎日のように、ずっとしゃべっていた。
この者たちは、今週から後のテレビ番組で、どうやって、自分たちの予測の間違い、失敗を、言い包(くる)めて、取り繕(つくろ)うのか。彼らの顔が歪(ゆが)んで、引き攣(つ)る、その表情を、多くの人が、じっと見守るだろう。
テレビで政治報道の番組を見るのが好きなインテリたち、200万人ぐらいは、一体、どういう気持ちで、この ” 御用(ごよう)足し コメンテイター ” たちが、このあとも、自信たっぷりに、ペラペラと、テレビで話すのを、我慢して見続けるのか。 テレビを見ている人も、いろいろだろうから、ということだろう。 副島隆彦注記、おわり)
〇 「ワグネル 創設者プリゴジン氏「世界最強の軍隊」とウクライナ軍を称賛 」
2023年5/24(水) 23:05
”「ワグネル」創設者プリゴジン氏「世界最強の軍隊」とウクライナ軍を称賛”
ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者・プリゴジン氏はウクライナ軍を「世界最強の軍隊になった」と称賛する一方で、ウクライナ侵攻については「同族の戦いで目的がない」と批判しました。 プリゴジン氏は5月23日に公開されたインタビューで、敵対するウクライナ軍について「ロシアが非武装化しようとした結果、世界最強の軍隊の一つになった」と称賛した。
一方で、ウクライナへの侵攻については「同族同士の戦いで具体的な目的がない」と侵攻自体を批判しました。 ただ、プーチン大統領の責任には言及せず、国防省やエリート層の責任だとしています。 また、プリゴジン氏はウクライナが準備を進める大規模な反転攻勢を念頭に、戒厳令の導入と新たな動員が必要だと主張しました。
〇 時事通信。5月24日。・・・・ ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者プリゴジーン氏は、「ロシアは、ウクライナでの軍事行動で目標とした「ウクライナの非武装化」に失敗した。ウクライナ軍は今や世界最強の軍隊の一つになったと述べた。
親(しん)ロシア政権の政治学者が、プリゴージン氏へのインタビュー動画を、5月23日に公開した中で語った。長期戦を見据えて国内の楽観論を戒めたとみられる。
プリゴージン氏は、ロシアが主張するウクライナ東部ドネツク州バフムト制圧 を機に、ワグネルを撤収させる方針。 ロシア国防省との対立に続き、今回の発言もプーチン政権批判と受け取られかねない。注目を集めることで影響力を保持する狙いもありそうだ。
インタビューでは、根拠不明な数字ながら「開戦前は、ウクライナ保有の戦車が500両 だったが、今は、5000両ある。実戦で戦える兵士が2万人だったが、今は40万人だ」と、非武装化と逆の結果になっているという認識を示した。 バフムートの戦場での経験を踏まえ、プリゴジーン氏は「ウクライナ軍は今日、最強の軍隊の一つになった」と評価。「高度な組織力、準備、情報を有している」と分析した。
〇 「 ウクライナは戦争に勝てないとハンガリー首相、追加支援反対崩さず 」
Orban Says Ukraine Can’t Win War as He Justifies Veto on Aid
2023年5/24(水) ブルームバーグ
(ここにオルバン首相の写真を貼る)
Viktor Orban
(ブルームバーグ) ハンガリーのオルバン首相は、隣国であるウクライナに同情を示しつつも、ロシア撃退でこれ以上支援できることはないと述べ、欧州連合(EU)のウクライナ向け支援を巡る自身の考えを崩さなかった。
カタール経済フォーラムに際して 5月23日行われたブルームバーグ・ニュースのジョン・ミクルスウェイト編集主幹とのとのインタビューで、「ウクライナの軍事的な抵抗は失敗する運命にある。さらなる支援の実施は犠牲者を増やすだけだ」と論じた。
「感情的には悲劇だ。われわれ全員の心はウクライナ人とともにある。だが、人命を救うことが責務である政治家として、自分は発言している。この戦争に勝利できる見込みはない」と続けた。ハンガリーはEU加盟国の中でロシアのプーチン大統領と最も緊密な関係を持ち、EUのウクライナ向け金融支援のうちの5億ユーロ(約750億円)分の実施を阻止。ロシアへの追加制裁にも反対している。
オルバン氏の見解は、春に開始が見込まれていた反転攻勢を前にウクライナに兵器供給を続けた支援国の分析と食い違う。この反攻が劇的な急展開をもたらす可能性には慎重な見方をしているが、ロシア軍を撃退し、領土を回復するゼレンスキー大統領の計画を支援国は後押ししている。
オルバン氏の発言に対して北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長はブリュッセルで、「ウクライナは既に、領土を解放しロシアを撃退する能力があることを証明した。NATO諸国からの支援が重要であることは明らかだ」と指摘。プーチン大統領がこの戦争に勝利しないようウクライナが確実に阻むことに確信があるとも語った。
オルバン氏はあらためて、即時停戦を呼び掛けた。ただ、現時点での停戦呼び掛けはウクライナに対する降伏の要求に等しいとの批判もある。 オルバン氏はまた、ロシアのウクライナ侵攻を米ロの代理戦争と位置づけるロシア政府の公式見解と一致する主張も繰り返し、米ロ間で合意が成立する場合のみ戦闘は終わると語った。米政府は、和平の形態や時期を決定するのはウクライナだとの姿勢を維持している。
オルバン氏の発言について、ウクライナ外務省は「ロシアの侵攻責任」を見逃しているとして非難。「ウクライナはロシアの占領から領土を完全に解放するまで戦いを継続する。ウクライナの平和回復だけでなく、欧州全体の安全保障を確保するにはそれが唯一の方法だ」と、同省のニコレンコ報道官がフェイスブックに投稿した。
来年の米大統領選にもオルバン氏は触れ、トランプ前大統領の再選を望んでいると表明。バイデン大統領とはそりが合わないが、米国を批判するのはビジネスにとって良くないと述べた。
〇 「 ベルゴロド州の戦闘2日目、襲撃グループがロ軍の兵員輸送車を奪取か 映像公開」
2023年5/24(水) 9:50 ・・・・
ロシア義勇軍は5月22日、ロシアのベルゴロド州コジンカで、ロシア軍の装甲兵員輸送車を奪取したとして映像を公開した。ベルゴロド地方での戦闘は2日目に入った。ロシア当局は、ウクライナから武装した戦闘員が侵入したとしている。
22日の襲撃には装甲車が使用されたとみられ、ウクライナ戦争開始以来、ロシア国内で起きた襲撃としては最大規模のものとなった。ただ、襲撃に加わった戦闘員の数や所属、衝突の規模など詳細は独自に確認することはできなかった。 襲撃グループは、国境の町コジンカと複数の町を占拠したと主張。
その後、ロシア当局は同州グライヴォロン地区から住民を避難させた。 ロシア政府は「この攻撃はウクライナ軍によるものだと非難。攻撃を撃退して、70人を殺害した。ロシアによるバフムート掌握から関心をそらすために、工作員が破壊活動を行っている」と主張した。
ロシア義勇軍は、昨年8月に極右のロシア人によって設立され、ウクライナ戦争でロシア軍を相手に戦ってきた。ベルゴロド州の戦闘について、ウクライナは関与を公式に否定。ポドリャク大統領顧問は「ウクライナは関与していない」とツイッターに投稿した。「周知の通り、戦車はロシアの軍需店で売られているし、地下組織のゲリラ集団はロシア国民で構成されている」と皮肉った。
〇 「 露民間軍事会社ワグネル、ウクライナ東部激戦地・バフムトから引き揚げへ 創設者、国防相と参謀総長をののしる 」
2023年5/5(金) 19:13 日テレNEWS
ロシア国防省を批判していた民間軍事会社ワグネルの創設者が新たな動画を公開し、ウクライナ東部の激戦地バフムトから10日に引き揚げると述べた。 プリゴジン氏は、5日に公開した新たな動画で、激戦地のバフムトについて、「 ロシアの戦勝記念日の9日までに制圧するつもりだったが、国防省が意図的に妨害し、1日から砲弾の供給がなくなった」と批判した。
そのうえで「5月9日まではバフムトで戦うが、10日に国防省に引き渡す」と述べました。 これに先立ち公開した動画でも、プリゴジン氏はショイグ国防相とゲラシモフ参謀総長を名指ししてののしり、戦闘員の遺体を指さしながら、被害が拡大していることについて批判していました。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦拝
(副島隆彦注記。以下の3枚の画像を、あとで適宜の場所に移して貼る)
ロシアの民間軍事企業「ワグネル」創設者のエフゲニー・プリゴジン氏
激戦が続くウクライナ東部ドネツク州バフムートで 2023年4月26日
ロシアがバフムートで白リン弾使用か ウクライナが映像公開
副島隆彦拝
【3055】[3555]衝撃。ロバート・ケネディJr が、「世界中の米軍を撤退させる」と選挙公約した。
副島隆彦です。今日は、2023年5月15日(月)です。
私は、以下のアメリカ政治のニューズに、大変、驚いている。
あのロバート・ケネディ(1968年6月5日に、暗殺された)の長男 のRobert “ Bobby “ Kennedy Jr. (69歳)が、 先月の 4月19日(水)に、次の大統領選挙に立候補した、ことは知っていた。
だが、彼、ボビー・ケネディ・ジュニア が、以下の載せる、5月12日の 次の記事に有る通り、
「 (米国の)国外にある 800の 米軍基地を(すべて)閉鎖し、直ちに米軍を帰還させて、米国を模範的な民主政 国家にする(戻す)」
と、演説で、語ったという。 この4月19日の 大統領選への立候補を表明した、選挙公約( ポリシー・プラットフォーム policy platform と言う )で、「アメリカ領土の外の、世界中に置いている 米軍の基地を、すべて、閉鎖して、即座に全面的に米国内に、撤退(ウイズドロー withdraw )させる」と、表明した、のである。
これには、私、副島隆彦は、大変、驚いた。驚いて、この記事を読んだあと、そのまま、4日間、 私は、ほぼ、寝込んだに等しい。他の仕事に、ほとんど手が付かなくなった。自分の頭が、氷付いたようになった。
まず 記事の冒頭だけ載せる。
(転載貼り付け始め)
● 「当選したら世界中から米軍を撤退させる、ケネディ候補が衝撃の発言
米大統領選は意外な展開になる可能性も」
By 堀田 佳男 JBpress 2023.5.12
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/75144
(ここに、この記事の画像を貼ってください )
大統領選への出馬を表明したロバート・ケネディJr(4月19日、写真:ロイター/アフロ)
「米国の外交政策は破綻している。国外にある800の米軍基地を閉鎖し、直ちに米軍を帰還させて、米国を模範的な民主主義国家にすべき」こう断言するのは米民主党から次期大統領選に出馬しているロバート・ケネディJr(69)である。
ケネディ氏といえば暗殺されたケネディ大統領の甥、そしてロバート・ケネディ元司法長官の息子という血筋で、米政界のサラブレッド的な人物である。 現在は環境問題を扱う弁護士をしている。・・・・
( あとの記事は、うしろに載せる)
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。 この記事は、5月12日ヤフーの世界記事の中の、JBpress というネットの情報記事のサイトの会社 に、 堀田佳男(ほったよしお)というライターの記事として載った。私は、この堀田佳男という人が、どんな経歴の人か、知らない。
12日に、この記事を、読んだ日本人は多いだろう。だが、それでも、ほとんど人は、へーと、思っただけで、それ以上の関心を持たないで、通り過ぎただろう。
私、副島隆彦は、そういう訳(わけ)には、行かなかった。
私は、この「在外(ざいがい)の世界中に置いている 800の 米軍の 軍事基地から、自分が、大統領に当選したら、ただちに、基地を閉鎖して、空軍も、海軍も、陸軍も、その他の軍隊も、全面的に、一気に、引き揚げる、というのである。
ということは、沖縄と中心として、日本国内の 各地の駐留米軍 の 約6万人の米軍兵士・軍人が、米本国に帰る、ということだ。そのほかに、2万人の洋上(ようじょう)というか、実際には、横須賀と佐世保にいる、米海軍の空母と、原子力潜水艦(核兵器を、勝手に、日本政府には何も言わないで、搭載している)もイージス艦の艦隊も、撤収して、日本から、去る、というのである。
東アジア(極東 Far East ファー・イースト )には、その他に、韓国に、在韓米軍が、約2万人いる。マッカーサー大将が、朝鮮戦争の時に、連れて来た、旧米陸軍第5軍(the Fifth Army ザ・フィフス・アーミー)を中心にしている。今は、在日米軍と合わさって、合計、10万人で、PACOM(パコム)と言って、大きくは、米軍の太平洋軍(パシフィック・コマンド)の一部となっている。 司令部は、ハワイの真珠湾に有る。
それと、台湾にいる。 米軍の空軍のスクワドロン(最新鋭の 戦闘爆撃機が、16機と、16機の編隊からなる飛行大隊)を始め、軍事顧問団(ミリタリー・アタッシェ)のようなふりをして、おそらく、2万人ぐらいの米軍が、台湾に、隠れるようにして駐留(インストール)している。
故ロバート・ケネディ司法長官 の息子 Bobby Kennedy Jr. が、4月19日に、「これらの在外米軍の 800基地のすべてを、ただちに閉鎖して、すべて、米国領土に帰還させる」と、選挙公約で言った、のである。
私、副島隆彦は、うろたえた。うろたえて、その後、4日間、頭が、回らなくなった。
私のこれまでの、人生の、自覚的に生きただけでも60年の人生で、こんな 発言が、アメリカ国内から、公然と、起きてこようとは、想像もつかなっか。
想像がつかないのではない。 私は、「米軍は、日本から出て行け。いつまでも、外国の領土に、平気な顔をして居座って、日本から、巨額の おカネをふんだくって、のうのうと、のさばっているな ! 」 「米軍は、さっさとアメリカに帰れ !」 と、ずっと、自分の脳の中で、言い続け、ぶつぶつをしゃべり続けて来た。
昔は、日本人もみんな知っていた、有名な ” Yankee , Go home . ” 「ヤンキー・ゴー・ホーム」 という言葉もある。これを、集会で、米軍基地の前で、叫んでいた、日本民衆が、50年前には、たくさんいた。今は、日本共産党でも言わなくなった。なぜ何だ。
ある国に、外国の軍隊が、居座っていたら、それは、軍事占領(オキュペイション)だ。その国は、主権国家( sovereignty ソブリーンティ 国家主権もつ国 )ではない。すなわち、独立国(インデペンデント・ステイト)ではない。他の大国への従属国家、すなわち、属国(ぞっこく a tributary state トリビュータリー・ステイト 朝貢国 )である。
私、副島隆彦は、この考えを、ずっとこの30年間、表明して来た。『属国・日本論』(初版は、1997年。25年前)、主張し続けて来た。だから、このロバート・ケネディの息子(69歳)の発言を知って、気が抜けた。それから、4日間、ものごとへの思考が定まらず、上(うわ)の空(そら)になった
この 駐留米軍の全面撤退 が、東アジアでも、実現するかもしれない、のである。 今から、78年前の、1945年の8月の、第二次世界大戦の終結以来、ずっと、世界覇権国(ザ・ヘジェモニック・ステイト the hegemonic state )であり続けた、アメリカ帝国(アメリカン・エムパイアの 軍隊 が、続々と、米国内に、帰ってゆく、というのである。
そのなことが、果たして、起こるのか? 私、副島隆彦は、自分が、この30年間、自分で勝手に、日本の民間人の国家戦略家(ナショナル・ストラレジスト)を名乗って、政治言論を、やって来て、本もたくさん書いてきて、それで、自分の冷静な客観予測ではない。願望、夢、希望でもない。私は、今、どう言ったらいいのか、分からなくなって、ひとりで考え込んでいる。
それに対して、「いや、そんな現実味の無い、途方もない、考えは、全く成り立たない。ロバート・ケネディなど、大統領選挙に出る、と言ったって、有力候補にはならない。どうせ、バイデンが勝つんでしょ」 と、 したり顔で、あれこれ、言いたい人は、言えばいい。
そんな事は、アメリカ政治と政治思想の研究を、40年間やってきた、私が、一番、知っている。「ボビー・ケネディは、民主党内の候補者決定(ノミネイション)の選挙では、10%も得票できない」と、ずっと、言われてきた。あれこれ、私、副島隆彦は、たくさんのことを知っている。
アメリカ民主党(デモクラット the US Democats ) というのは、本来、
アメリカの貧しい人々と、健全な労働組合と、移民たちが支えた、リベラル派の大衆政党だった。 それに対して、米(べい)共和党というのは、金持ちと企業経営者(資本家)と、農場経営者たちの党だ。
ところが、この貧乏人たちの大政党である、米民主党は、邪悪な勢力に、乗っ取られている。 いつの間にか、軍産複合体(ぐんさんふくごうたい。ミリタリー・インダストリアル・コンプレックス。アイゼンハウワー大統領が、辞任間際に使ったコトバ)の大企業経営者たち、グローバリスト(globalist 地球支配主義者) 、それを、今の言葉で言えば、デープステイト(the Deep State) そして、カバール( Cabal 英チャールズ2世の 5人の極悪人の重臣たちの名から)に乗っ取られてしまった。
それでも、それでも、アメリカ民主党には、汚れていない、本物の民衆が支える、本物の反(はん)保守のリベラル派が、厳然として、岩盤のような層として存在する。
その真のアメリカ民衆の願いと、希望が、今、ロバート・ケネディの大統領選への出馬の表明(4月19日)となって、公然と現れた。素晴らしいことである。
しかし、ロバート・ケネディの、この「在外米軍、全800基地の、世界中からの全面撤退」の公約は、抑えこなれ、押しつぶされて、日本の私たちまで、届かなった。届くのに、ようやく一か月かかった(5月12日)。 何と言うとだろう。
このロバート・ケネディJrの、偉大な発言を、押さえつけ、押しつぶし、教えない為に、日本のメディア(テレビ、新聞、週刊誌、ネット記事)もある。何ということだろう。なんという、卑劣な連中だろう。
とりあえず、この記事を、日本で初めて書いて、私たちに知らせてくれた、堀田佳男氏に、敬意を表し感謝の言葉を送ります。
自分のお父さんの ロバート・ケネディが、兄のジャック・ケネディ( JFK John F. Kennedy 1963年11月22日に暗殺された)の5年後に、同じように殺されて、それで、アメリカ合衆国から、本当のデモラクシー(民主政体。みんしゅせいたい)の 光が、消えて、60年が経(た)つ。 この60年間は、私の人生の60年間でもある。
世の中は、苦しみに満ちている。どんな人の人生も、生きてゆくうえでの、苦しさを、たくさん背負って、そして、喘(あえ)ぎながら、我慢に我慢をしながら、踏ん張って、生きている。 その個々の人間の苦しみの 総和(そうわ)としての、国民政治、というものがあり、それらを、さらに世界中で合計した、世界政治(ワールド・ポリティックス)というものがある。
その世界政治の頂点であり、中心であり続けた、アメリカ帝国の中から、自らの、「 帝国の終わり」 the end of American empire 「ジ・エンド・オブ・アメリカン・エムパイア」を、宣言するに等しい。しかも、それを、高らかに宣言して、「アメリカは帝国であることをやめるべきだ」 「在外米軍のすべてを、世界中から、撤収、撤退させる」という、コトバが、アメリカの有力な政治家の家系の人間が、言い放ったのだ。
このロバート・ケネディJrの偉大なコトバの前に、愚劣な、人間どもは、心底、脅(おび)えるがいい。お前たちの、気色の悪い、言論など、人類史の闇の中に、突き落としてやる。
このケネディの選挙公約 の重要性に、私、副島隆彦は、たった、ひとりで静かに感動している。 確かに、私は、「米国の衰退(すいたい。デクライン decline )と共に、米軍の世界中からの撤退も起こる、と、私は、何十回も、これまでの自分の本たちの中に書いてきた。それらの本は、今も証拠として残っている。
だが、私、副島隆彦の体も、頭も、年齢と共に、衰えて行く。「なにくそ。私は、あと、10年は、生きるぞ」と、最近、決意を新たにしたばかりだ。あと10年有れば、いろいろなことを見ることが出来る。自分が、予想して、書いた 予言たちが、次々と当たるだろう。
私が、書いた予言たちに対して、「このバカは、何という、愚かなことを書くのだろう」と、随分と、あちこちで、蔑(さげす)まれて、アホ扱いされた。そういう、私の物書き人生の40年間(30歳から)だった。それらが、少しづつ、事実として目の前に現われることで、報われてゆく。私は、それらの事態を、毎日、横目でじっと睨(にら)みながら、静かに、死んでゆきたい。
さあ、こんなに、私の 前書き が長くなった。 以下に、ロバート・“ボビー”・ケネディ・ジュニアの 「世界中の在外米軍の基地 800を閉鎖して、米軍人たちを、すべて、アメリカに帰還させる」の選挙公約の記事を、読んで下さい。
あ、そうだ。米軍が自国内に撤収して、軍人たちが、「ああ、よかった。もう、軍人、兵士なんかやりたくない。人殺しの職業 は、まっぴらだ。もう、いやだ。自分が戦争、戦闘 で死ぬのも御免だ。自分の故郷で、静かに生きたい」と、 多くの米軍人が、ほっとして望む、として。
それでは、殺し合い、戦いをしないでは済まない、人間という愚かな生き物の、その本性(ほんせい。nature ネイチュア)は、どうなるんだ。
在外米軍が、本国に帰還して、それぞれ、自分の田舎の市 の外れの、連隊(れんたい。レジメント)に帰されて、そして、除隊(じょたい)して。それで、そのあと、何で食べて行くのか。どうやって家族を養ってゆけるのか。職は簡単には、見つからない。
・・・そうだ。その時、巨大な、失業(しつぎょう)の問題が、アメリカ社会全体に、待ち構えている。
兵士たちの兵役の終わりと除隊 の問題とは、そのまま、そのあとの巨大な失業(しつぎょう unemployment アンエンプロイメント )の問題だ。そんなことは、分かっている。人類(人間)は、いつも、どこの国でも、どんな時代も、この問題を抱えて生きて来たのである。 副島隆彦 記
(転載貼り付け始め)
● 「当選したら世界中から米軍を撤退させる、ケネディ候補が衝撃の発言 米大統領選は意外な展開になる可能性も 」
By 堀田 佳男 JBpress 2023.5.12
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/75144
(ここにも、記事の画像を貼る)
大統領選への出馬を表明したロバート・ケネディJr(4月19日、写真:ロイター/アフロ)
「米国の外交政策は破綻している。国外にある800の米軍基地を閉鎖し、直ちに米軍を帰還させて、米国を模範的な民主主義国家にすべき」こう断言するのは米民主党から次期大統領選に出馬しているロバート・ケネディJr(69)である。
ケネディ氏といえば暗殺されたケネディ大統領の甥、そしてロバート・ケネディ元司法長官の息子という血筋で、米政界のサラブレッド的な人物である。 現在は環境問題を扱う弁護士をしている。
そのケネディ氏が大小合わせて800ほどもある国外の米軍基地を閉めるべきであると公言したのだ。再選を目指す現職バイデン大統領への強烈なカウンターパンチと受け取られているが、どこまで本気で米軍基地を閉鎖しようとしているのか。 国際関係のバランスを考慮すれば、国内だけでなく国外に米軍基地を置いておくことは半ば常識とされており、その反響は大きい。
米メディアに発言した同氏の言葉をもう少し探ってみたい。 「米国の年間国防関連支出は1兆ドル(約135兆円)にもなり、世界中に800もの軍事基地を維持している」 「にもかかわらず、ベルリンの壁が崩壊した後にもたらされるはずだった平和は訪れていない」
「大統領に当選した場合、私ロバート・ケネディJrは米国という帝国を解き放つ準備に入るつもりだ。米国は次から次へと起こる戦争のたびに返済不能な負債を積み重ねている」
「軍隊は国を守るという本来の役割に戻るべき。代理戦争をはじめとして、他国を空爆したり秘密工作をすることがあまりにも普通になってしまっている」 「戦争好きな帝国(米国)が自らの意志で武装解除をすれば、それは世界中の平和の雛形になるはずだ」
「健全な国家として平和に奉仕するのは今からでも遅くはない」
ここまでの言説を眺めるかぎり、理想を追求するケネディ家の人物らしさが見受けられるが、同氏の主張がどこまで有権者に受け入れられるかは分からない。
ただ今回、1980年に現職カーター大統領に挑んだケネディ大統領の末弟エドワード・ケネディ上院議員のような役回りを果たすかもしれず、党内の反バイデン派をまとめ上げる可能性は捨て切れない。というのも、米NBCテレビが発表した最新の世論調査では、回答者の70%は「バイデン氏の再選を望まない」としているからだ。
7割の有権者がバイデン氏の再選を望まない理由の一つが年齢である。 仮に再選を果たした場合、2期目が終わる時は86歳になっており、職務遂行に疑問を抱く人は多い。大統領としての支持率に目を向けても、バイデン氏に人気があるとは言いがたい。
米世論調査の分析を行うウエブサイト「ファイブ・サーティ・エイト」によると、現在の支持率は42.5%でしかない。過去1年半以上、50%を超えたことはなく、不支持率の方が高くなっている。
米民主党関係者に取材すると、次のように述べた。 「ロバート・ケネディJrは民主党主流派とは違う立ち位置で、ある意味で異端の意見をもつ人物といえる」 「しかし、同氏のもつ活力と『ケネディ』というブランドネームは魔法のような力があり、今後大統領候補として一気に求心力を得られるかもしれない」
800もの米軍基地を閉鎖するというアイデアは誰しもが賛同するものではないが、選挙序盤にこうした大胆発言をすることで、バイデン大統領へのアンチテーゼとして一石を投じることはできそうだ。米国の国防予算は世界一でありながら内部から空洞化してきていると、ケネディ氏は述べる。 インフラ、産業、経済が脆弱では強い国家、安全な国家を維持することはできないとする。
さらに同氏はケネディ政権が発足した場合、米国を再び強い国にすることが最優先課題であると述べている。そのためには冒頭で記したように、帝国主義的な政策を終わらせる必要がある。それが国外の米軍基地の閉鎖なのだという。
一見、矛盾するようにも思えるが、米国内の衰退した都市、老朽化した鉄道、腐敗したインフラ、低迷する経済に目を向けて再建することが強い国につながると捉えている。
ウクライナでも同様の考え方を実践するつもりでいる。 ロシアに対して、ウクライナ国境付近から軍隊と核兵器搭載ミサイルを撤退させて、ウクライナの自由と独立を保証させるつもりだ。そして国連の平和維持軍が同地域の平和を保証すべきだと考える。
ジョン・クインシー・アダムズ( 副島隆彦注記。アメリカ第6代大統領 )が、1821年の独立記念日の演説で使った「米国は怪物を退治するために国外に出ていくことはない」という言葉に立ち返り、交戦的な態度を改めるべきとのスタンスに立つ。そして世界を敵や敵対者という視点でみることをやめなければならないとする。
これはある意味で理想論としての外交政策である。ケネディ氏が本気で取り組んだ時にどういった成果が出せるのか定かではないが、いまのケネディ氏の外交スタンスであることに間違いない。
共和党に目を向けると、ドナルド・トランプ前大統領が再び選挙戦に舞い戻ってきている。 ただ世論調査では60%が「トランプ氏は出馬すべきではない」と回答しており、米有権者の過半数はバイデン大統領にもトランプ氏にも次期大統領になってほしくないとの思いであることが分かっている。
理想論を掲げるロバート・ケネディJrが米国の表舞台に立てるのかどうかは、これからの選挙戦を見なくてはいけないが、バイデン大統領にはこういうことを述べている。「この国を建て直す方法を見つける時がきた。簡単なことであるとは言わない。しかし、少なくとも私には何が必要であるかが分かっている」
そう述べた後、父ロバート・ケネディ氏の言葉を引用して、いまの米国に必要なものを口にしている。 「互いを愛する気持ちと知恵、そして思いやりが重要」 今後、大統領選の民主党レースでケネディ氏がどこまで支持を伸ばし、本当に現職バイデン大統領の牙城を崩せるかが見ものとなる。 ケネディという魔法の力はどこまで通用するのか――。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。 追加で、英文を載せます。 上記の 堀田 佳男氏の文の内容となった、
ロバート・ケネディ Jr の、選挙公約の 文章は、以下の通りです。
堀田氏が、要約で書いている通りのことが、ケネディの 「 2024年 大統領選のためのキャンペーン・ウエブサイト」に載っています。
(転載貼り付け始め)
RFK Jr’s campaign website, Kennedy 2024.com, as follows:
“Annual defense-related spending [by the US] is close to $1 trillion. We maintain 800 military bases around the world. The peace dividend that was supposed to come after the Berlin Wall fell was never redeemed. Now we have another chance.
“As president, Robert F Kennedy Jr will start the process of unwinding empire. We will bring the troops home. We will stop racking up unpayable debt to fight one war after another.
“The military will return to its proper role of defending our country.
We will end the proxy wars, bombing campaigns, covert operations, coups, paramilitaries, and everything else that has become so normal most people don’t know it’s happening. But it is happening, a constant drain on our strength. It’s time to come home and restore this country.
“When a warlike imperial nation disarms of its own accord, it sets a template for peace everywhere. It is not too late for us to voluntarily let go of empire and serve peace instead, as a strong and healthy nation.”
And on Ukraine:
“In Ukraine, the most important priority is to end the suffering of the Ukrainian people, victims of a brutal Russian invasion, and also victims of American geopolitical machinations going back at least to 2014.
“We must first get clear: Is our mission to help the brave Ukrainians defend their sovereignty? Or is it to use Ukraine as a pawn to weaken Russia? Robert F Kennedy will choose the first. He will find a diplomatic solution that brings peace to Ukraine and brings our resources back where they belong.
“We will offer to withdraw our troops and nuclear-capable missiles from Russia’s borders. Russia will withdraw its troops from Ukraine and guarantee its freedom and independence. UN peacekeepers will guarantee peace to the Russian-speaking eastern regions.
“We will put an end to this war. We will put an end to the suffering of the Ukrainian people. That will be the start of a broader program of demilitarization of all countries.
“We have to stop seeing the world in terms of enemies and adversaries. As John Quincy Adams wrote, ‘Americans go not abroad in search of monsters to destroy.’”
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦拝