重たい掲示板
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Loginはこちら【1299】[1552]慰安婦問題についての若干の考察
本題に入る前に、この半年の間に一地方都市大津で起きた話題を二つご紹介いたします。
一つは大津市と琵琶湖を挟んだ対岸にある草津市を結ぶ有料の近江大橋(通行料金150円、有料区間6.1キロメートル橋梁部1.3キロメートル)が昨年の12月26日から無料開放されました。この橋は滋賀県道路公社が建設、1974年に開通して以来39年間通行料金を徴収する事で、橋の建設費の償還と無料化後の維持管理の基金の準備を整えて無料化にふみきりました。
無料化になった後、私自身も以前よりも頻繁に橋を利用する様になりました。やはり只であるという事は大変ありがたいことです。交通量がどのくらい増えたのか正確な統計は見ておりませんが、橋を通る時の実感としては二倍以上の車が通るようになったと思います。橋から大津市内に入るメインの道路はこのためかなり車両が増え、それを見越して一年以上前から周辺道路の拡張工事が行われていました。今も浜大津付近では拡張工事が行われています。
もう一つの話題は昨年の夏ぐらいから琵琶湖上空を飛ぶプロペラ機の重低音の不快な爆音が朝昼晩を問わず毎日頻繁に聞こえるようになり、爆音がうるさいので腹立たしく思っています。私が目撃したのは自衛隊のヘリコプターでした。それ以外の輸送機や米軍の飛行機も飛んでいるのかもしれません。夜中の三時ごろ目覚めたときにも爆音が聞こえていました。夜間飛行の訓練を行っているのでしょう。軍用飛行機の爆音など一昨年までは気にも留めた事がありませんでした。全く不愉快なことだと思います。
さて、表題の「慰安婦問題」に付いてです。
大津市には大津赤十字病院という立派な病院があります。ある事がきっかけで大津赤十字病院の歴史を調べた事がありました。
大津赤十字病院の前身は滋賀県駆黴院(くばい いん)という施設でした。なぜこのような聞きなれない施設が明治の初期に設けられたかと言いますと、話は幕末にまでさかのぼります。
【検黴制度の確立】
幕末、列強(露西亜、英国、亜米利加、仏蘭西 等)は日本に開国を迫り、それに抗しきれなくなった幕府は下田、箱館、長崎、神奈川 等を開港していきます。そして列強は各港に駐留軍を置くようになりました。それにともない列強の軍隊にとっては兵士の健康管理が重要でしたが、各港の遊郭では梅毒の蔓延が著しく、列強はその対策を幕府に強く要求していました。
1864年、英国では「性病予防法」が発布され、英国国内はもとより、世界各地の海軍駐屯地や植民地において英国軍兵士相手の女性に対して梅毒検査を強制的に行いました。
維新後の明治新政府にとっても、英国をはじめとする列強が強く要求する険黴制度(けんばい せいど 検梅ともいう)を確立する事が、近代国家に脱皮する上での急務であった為、全国の遊郭のあった場所に駆黴院を設置しました。滋賀県では明治九年(1867)に大津湊町(大津市中央一丁目)に仮駆黴院が設けられました。当初、駆黴院は娼妓を対象に性病の検査と治療を行う施設でした。その後、一般の病気や一般人の病人も対象とする病院となり今日の大津赤十字病院へと発展していきます。
【日本国における慰安婦制度の原初】
ある国の軍隊が他国の領土内に進駐し駐留するという事は、二国間の力関係において明らかに前者が後者より強い立場にあるという事を意味しています。幕末の日本が列強に開国を迫られ、しぶしぶ条約を結ばされ、開港地において外国人の居留を認めさせられました。更に1862年の生麦事件(薩摩藩の行列に騎馬の民間英国人が乱入したため藩士が切り殺した)等を理由に居留民を守るという口実のもと外国軍隊の駐留が行われたという史実は正にその事を示しています。
そして、外国軍の現地司令官(兵士の管理者)の立場から考えると、①「自軍の兵士の生活管理」を正しく行い、兵士らが駐留地の現地民とトラブルを起こさないように管理、指導する事が、どうしても重要な課題となります。特に②現地女性に対する不用意な性的衝動を厳格に指導する事は(ある局面においては)現地政府との交渉を滞りなく運ぶためにも必要な事でした。
又、③不用意に現地女性と交わり、梅毒をはじめとする性病に罹患する事を防ぐ為にも重要でした。ここに④兵士の相手をする女性の性病管理も行わなければならないという問題が生まれてきたのです。
これらの問題のすべてを解決する手段として、軍隊が管理する兵士相手の慰安施設及びその制度が必要となりました。これが慰安婦制度の始まりであり、日本における慰安婦制度の原初の形態は1860年の長崎においてみることが出来ます。
先に記した文久二年の生麦事件の2年前万延元年(1860)ロシア軍艦ポサドニク号が当時敵対関係にあった英仏の軍艦に追われて長崎港に避難するという事件が起こりました。(2014年の今年クリミア半島をめぐって米欧とロシアが対立していますが、この当時も1854年からクリミア戦争が始まり英仏とロシアは敵国同士であり、日本近海でも戦闘が行われていました。)そして、この事件があり、ロシア兵が長崎に上陸し居留する事を認めた結果、正に日本国における慰安婦制度の原初の形態とも言うべきものが出現したと考えられます。
このあたりの経緯を『日本梅毒史の研究』(福田眞人・鈴木則子編 思文閣出版 2005年)140ページから引用します。
(引用はじめ)
日本における梅毒検査(検黴)の始まりは、長崎におけるロシア兵を相手にした娼妓を対象にしたものだった。万延元(1860)年九月、長崎丸山遊郭の遊女たちに、ロシア軍艦ポサドニク号乗組員を相手にするために稲佐郷へ出稼ぎする許可が(引用者注:長崎奉行によって)与えられる。彼らは「ロシア女郎衆」、「マタロス女郎」(マタロスとはオランダ語のマドロス「海員」のこと)と呼ばれた。この「休息所」の設置と、娼妓の梅毒検査は艦長ビリーリョフの強い要求に従ったものだった。
中略
(引用者注:次に松本良順の自伝『蘭疇自伝』からの引用が書かれている。この人は当時長崎で医学伝習所所長を務めていたオランダ人医師ポンペの助手をしていた)
これよりさき露西亜は土・英・仏と兵を構え、露艦逐われて長崎港に来たり、船檣その他の毀損を修理せんことを乞う。すなわち上陸を許され、崎港の対岸なる護心寺に寓す。曠日無聊、兵卒等日々野径を逍遥し、発情の禁じ難き、動(どう)もすれば農家の婦女に戯る。艦長これを憂え、花柳の遊びは許さんとするも、梅毒の伝染を恐れ、娼妓の梅毒検査を行われんことを乞う。奉行岡部氏、検査のこと、可はすなわち可なれども、いまだ我が邦に行われざることなれば、遊郭の者、苦情を訴え紛擾を起こさんことを患い、予を招きてその計を問わる。余曰く、我に考うるところあり、よくこのことを弁すべしとて、遊郭花月楼(引田屋)に至り楼主を呼び、今度停泊せる露国人より奉行に乞うところのことを語り、かつ曰く、奉行の意は遊郭両町(丸山町、寄合町)を圧制してこのことを行うに忍びず、予をして力(ちから)可及的円滑にこれを計らしめんとなり。因って予が考案を述ぶべし。まず彼らが寓居する護心寺近傍において長屋を建築し、島原辺りの女子の醜美は論ぜず身体強壮なる者を撰び、十人余りを購い来たり(ただし平常の倍価を以て購うも可なり)、その長屋において露兵に接せしむべし。敢えて酒食を要せず、その揚代金不廉なるも可なり。(臨時の建築費を算すれば、これにたいする収入を計らざるべからず)
後略
(引用おわり)
ここでは、万延元年に長崎港に入港したロシア軍艦の水兵が長崎港周辺の一般婦女子に淫らな行為に及ぶので、それを防ぐために周辺の村落から娘を集め、新たに建築した長屋で梅毒検査を行った上で、ロシア水兵の相手をさせた。玄人の遊女ではなく素人の娘を撰んだのは、遊郭では花柳病が蔓延していたこと、梅毒検査に対する娼妓の反発が予想されたことからである。また、料金も通常の倍(別の個所では丸山遊郭の第一等娼の価四倍との記述も)も出したと述べている。
さらに、同書142ページから引用する。
(引用はじめ)
こうして娼妓の募集をするとたちまち十余人が集まり、彼らは稲佐(引用者注:長崎港近郊の稲佐郷)での営みにおいて収入多く、半年ばかりで相応の金を蓄え去ったという事である。さて、肝心の梅毒検査はどうであったか。
この時を以て計らずも梅毒検査を行う事を得たり。初二日はポムペ氏これを行い、次日よりは生徒ら(引用者注: 西洋医学を学ぶ日本人医師たち)二三日ごとに交代して行いたり。やがて艦の修繕全く成り、艦長はその属官を従え、予とポムペ氏を花月楼に招き、饗宴を開き、その周旋の労を謝したり。この時ポムペ氏笑って曰く、これみな露国の官費に出づ、なんの謝するところかあらん、と。予はまた今回検査法を実地に学び得たれば、他日これを我が国に行わんと私かに喜びたり。これ我が国にて駆梅の創始なり。
(引用おわり)
ここに記されている事を要約すると、遊郭花月楼の楼主は店の娼妓を出すのではなく、近郊の村落から素人娘を募集して、ロシア水兵の接待に当たらせた。それは通常の料金の何倍もの金額であった。素人娘からなるにわか娼妓たちも半年ばかりの特需が終わると相応の蓄えを得て帰った。また、ロシア水兵たちも安息と歓楽を得たのである。一方、ポンペ医師やロシア軍医から検黴方法を学んだ日本人医師は西洋医学を実体験する貴重な機会を得たので四者とも満足を得たと述べられている。
(つづく)
【1298】[1551] ウクライナ情勢で皆が知っておくべき真実。そして私の新しい金融本のお知らせ。
副島隆彦です。 今日は、2014年3月21日です。
「 鉄は熱いうちに打て 」と言う格言(マキシム)が有って、いろいろの含意があるのだろうし、歴史的、民族的にいろいろ解釈をするだろう。私にとっては、この格言は、「自分の金融・経済の本を書く際には、短期間で書く」ということでした。
私は、3月6日から丁度、10日間(15日まで)で一冊書き上げました。
出版社の独房のような(窓がない)会議室に籠(こも)って、オペレーターの人と2人で、原稿の打ち込み作業を始めた。
4日目から、ノドをひどくやられて、持病の気管支炎をこじらせて、私の場合は、風邪( かぜであって、感冒になどならない。感冒=インフルーエンザは風邪ではない。病原菌による感染症だ)になんか負けないぐらい慢性気管支炎で、長年の爛(ただ)れ、腫(は)れで鍛(きた)えあげているので、風邪なんか怖くない。厳しい環境で生きている動物(人間を含む)は、病気への耐性(たいせい)もものすごい。だから、ちょっとのことでは発病しない。
私は気管支炎がひどくて頭痛がヒドいまま、あとの5日間書き続けて、それで仕上げた。寝ている時間はほんの僅(わす)かだった。出来た本の名前は、「金融市場 を 操(あやつ)られる 絶望国家・日本」(徳間書店 刊)である。
この本は、見本本(みほんぼん)が4月3日に出て、それが著者である私に届いて、本屋に並ぶ発売は4月8日だそうだ。 即断、即決で、私は生きているから、私のこの最新版の金融・経済本には、株、債券、金(きん)、為替(円・ドル相場)からその他すべての金融問題を扱っている。
ビットコインのことから、ウクライナ情勢まで、最新の情報と知識を、凝縮した。 自民党内の政治家たちの動きもあれこれ、微細に書いた。私、副島隆彦が、たった10日間で書いた本だからといって、きっと粗製乱造(そせいらんぞう)だなどとは決して言わせない。 私の総合的戦略家(トータル・ストラテジスト)としての頭脳では、金融・経済場面への時間投入は、それぐらいで一冊を仕上げることが出来る。
だから、この本には、各種の金融統計資料をいつもの通り載せているが、最新の金融数字は、すべて3月13日(水)のものだ。本当なら、3月末には、書店に並べたかったのだが、出版・書籍流通業界の業界再編の煽(あお)りでうまく行かなかった。それでもまあ、いいや。
この「(すべての日本の、アメリカもそうだが)金融市場は(今や)政府、国家によって、操られている、市場操作されているのだから、そのことに鋭く気付いて、そのことを肝に銘じて、逆に、逆に自分の相場を張って、政府の動きの裏を書いて、この統制経済(コントロールド・エコノミー)の時代を生き延びよ」という本だ。
本の帯(おび。腰(こし)巻きとも言う)に、「いい加減に皆、気づけ!」と書いた。
株式投資をやっている人たちは、皆、薄々(うすうす)と気付いているのだ。それなのに深くは自覚していない。 今の若者用語で言うなら、「そろそろ気づけよー」である。そのことを私、副島隆彦は言っている。気付いているのに自覚がない。
政府が、株価を操作して、いいように市場を動かしている。それと、「日経300」とかの、日経平均の指標(インデックス)取引と、さらにそれに輪をかけて、大証(だいしょう。大阪証券取引所)を資本で乗っ取った、シカゴマーカンタイル取引所(CME,シーエムイー)の夜間取引の指標取引で、いいようにその日の株価を引き釣(づ)り回している。皆、分かっているのに、分かっていない。そのことを、今度の本一冊丸々で書いた。 乞うご期待、だ。
4月になったら、消費税の8%への増税で、日本の景気は、相当に悪くなる。安部首相とブレインの官僚たちは、日本国民に新たに襲い掛かる窮状に、それが国民が果たして耐えられか、自分たちの失政の重大な責任として感じずにはおれないだろう。責任者たちが責任を取るべきだ。
私は、この金融・経済本 に取り掛かる日(3月6日)の朝まで、ウクライナ情勢を調べていた。 それを、ここの重たい掲示板に載せてから、出版社の独房会議室に入りに行こうと思っていた。が、間に合わなかった。その時に、書き残したものを、以下に載せる。
あれから2週間が経(た)つが、私が情報を集めて、分析したとおりで、何の変化もない。「ウクライナでは、先に手を出して、政府を暴力で転覆させた 反政府勢力=今のウクライナの暫定政権 の負けだ。あのやり方では、西側とりわけヨーロッパ人たちの支持を取り付ける事はできない。暫定政権には、おかしな、奇っ怪な極右人間たちが入り込んでいる。
だから、全体は、ロシアのプーチンの 「寝技、押さえ込みの一本勝ち」だ。
プーチンは、柔道やテコンドーのような柔術(空手)の猛者だ。だからこれらの技を知っている。一旦、引いて、それからジワジワと時間を掛けて、暫定政権の内紛、分裂を待って、それから押さえ込むだろう。以下が、私が、3月6日に書いた文である。
* * * * *
副島隆彦です。今日は、2014年3月6日です。ウクライナ情勢の最新でもない、昨日のニューズを載せます。
英FT(フィナンシャル・タイムズ)は、「ロシアを世界が押さえつける」、と 負け惜しみで書くけれども、私は、今回の ウクライナ問題は、ロシアのプーチンの 寝技の一本勝ちだ、と 判定する。
プーチンは、ロシア軍をクリミア以外には投入をしないで、一旦、引いた。 このあともウクライナは、分裂国家、国論分断国家 として ズルズルと続くだろう。この点では、実は、日本とそっくりだ。
回廊(かいろう)国家=コリダ―・ネイション と言って、2つの大きな勢力(帝国)の間で、廊下(ろうか。corridor コリダー)のように外国の軍隊に行進され、踏みにじられ、居座られるものだから、国内が引き裂かれ分裂する。このような国家の分裂状態を繰り返す回廊国家 corridor nation が、ポーランドと朝鮮半島だ。
だが、もしかしたら、私たちの日本も回廊国家になりつつあるのかも知れない。アメリカと中国という2つの帝国の間で、ウクライナと同じような分裂国家の様相を呈する。
ロシアもウクライナも、そしてポーランドもベラルーシ(白ロシア)も、本当はスラブ(スレイブ)民族であって、いくら、ウクライナ人が、自分たちは、Russi ルーシー とは違う、西洋の純系白人だと気取っても(キエフ大公国の伝統)アジア人種との融合問題は消えてなくならない。
ウクライナ人が自分たちのことを、過度に西洋白人(ヨーロピアン・ホワイト)であって、モンゴル=キプチャク汗国に屈服したルーシー Russi のロシア人(モスクワ大公国)とは全く違うのだ、と言えば言うほど、 私たち東アジアの モンゴル系人種である 東洋人に対して失礼である。ヨーロッパ白人たちは、ウクライナを助ける力はない。
ウクライナ人は、自分が腹の底から分かっているとおり、「ロシアとの兄弟民族として生きてゆく」のが一番、仕合わせなのだ。自分を純系白人だと言って、そのことを鼻にかける人間を、私は軽蔑するし不愉快である。
この問題は、カフカス地方の、グルジアが始めた南オセチア侵攻とロシア軍の反撃による失敗( 2008年8月)と同じ感じだ。旧ユーゴのセルビア、ボスニアの問題とも同じだ。ヨーロッパ諸国の NATO(ネイトー)軍も アメリカ政府も どうせ軍隊を出動させない。そういう資金もない。
だからプーチンの勝ちだ。どうせ元々が、旧ロシア、旧ソビエトの領域( リージョン、region)の話だ。 勝手に、ヨーロッパ白人文明地域(リージョン)を外側に広げようとしても、うまくゆかない。本当の本当は、ロシア人も、ウクライナ人も、モンゴル帝国の一部だったのであり、「タタールの軛(くびき、頸木)」に長く支配された国々である。
このことでは、世界史(=人類史)の大きな歴史学に拠(よ)っている 岡田英弘(おかだひでひろ)教授と奥さまで後継者の宮脇淳子(みやわきじゅんこ)女史の研究が、世界基準でありずば抜けて優れている。
事態の推移を最新の新聞記事で確認しておく。
(転載貼り付け始め)
●「米国 ケリー国務長官のウクライナ訪問…事態打開を模索 」
毎日新聞 2014年3月4日(火) キエフ
緊迫するウクライナ情勢を受け、オバマ米大統領は3日午後、ロシアが南部クリミア半島で軍事活動を停止しない場合、「ロシアを孤立させ、経済に打撃を与えるあらゆる経済的、外交的措置を検討する」と明言し、対露交流政策の凍結に踏み切った。
ケリー米国務長官が4日にウクライナに到着、新政権首脳と土壇場の打開策を模索するが、ロシア側との歩み寄りが実現するのか不透明な情勢だ。
オバマ大統領は「ロシアが世界中から強い非難を受けていることは、ロシアが歴史の誤った側にいることを示している」と批判。ロシア側がクリミア半島のロシア系住民の保護を介入の理由としていることについて、全欧安保協力機構(OSCE)や国連が参加した「連絡グループ」を通じた監視団の派遣案などの受け入れを呼びかけた。
米政府は3月3日、ロシア南部ソチで7日に開幕するパラリンピックへ政府代表団を派遣しない方針を決定。国防総省もロシア軍との間の共同訓練や2国間協議、寄港など軍同士の交流を中断した。通商代表部(USTR)も、ロシアとの貿易や投資に関する協議を中断する方針を決めた。
欧州連合(EU)も対応を急いでおり、アシュトン外務・安全保障政策上級代表(外相)は4日、マドリードでラブロフ露外相と会談する。EUは緊急首脳会議を招集する6日までに、ロシアが事態を沈静化させる措置を取らない場合、ビザ自由化交渉を見直す方針を固めた。北大西洋条約機構(NATO)も3月4日、理事会を開催、軍事的警告を打ち出すべきか協議した。
クリミア半島の状況について、ウクライナのセルゲーエフ国連大使は、ロシア軍部隊が2月下旬以来、1万6000人の兵を投入していると指摘。戦闘は起きていない模様だが、AP通信はウクライナの軍施設を包囲したロシア部隊が威嚇射撃をしていると報じるなど、衝突の危機が残されている。ロシア大統領府によると、プーチン露大統領は3月4日、ロシア西部のウクライナ国境付近で実施していた軍事演習から、部隊の撤収を命じた。
ウクライナ新政権のヤツェニュク首相は「クリミア自治共和国は、昔も今も将来もウクライナ領だ」と「クリミア死守」の意向を強調。ケリー長官との会談では「ウクライナの主権、独立、領土保全」を確認し、支援を求める見通し。また数日中にEU本部のあるブリュッセルを訪れ、EU側とも対応策を協議する。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。私がネットでウクライナ情勢を調べていたら、以下の、櫻井春彦(さくらいはるひこ)という人物の文章が一番、しっかりしていて大変、勉強になった。
この人は、1955年生まれ(58歳)で、 早稲田大学理工学部卒業で、何を職業にしているか分からないが、以下の2冊の本を書いている。 世界各国の情報機関(国家スパイ組織)のことにものすごく詳しい人だ。書いていることは緻密で正確である。私、副島隆彦もビックリするほどの、ものすごい反米左翼 である。
桜井 春彦の著書
1.「 テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない ― アメリカによるテロの歴史」 桜井 春彦著 (2005年9月刊 、・・・社)
2.「 アメリカ帝国はイランで墓穴を掘る 」( 櫻井春彦著、洋泉社、 2007年3月刊)
の2冊だ。私は、この人の「櫻井ジャーナル」のブログを読んで、こういう人が日本にも居るんだなあ、と感動した。
(転載貼り付け始め)
http://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201402160000/
櫻井ジャーナル
2014.02.16
「 米国のヌランド米国務次官補は、ウクライナで50億ドルを扇動に使った
と公言、その手先はネオ・ナチ 」
アメリカの親イスラエル派、一般に「ネオコン」と呼ばれている勢力はウクライナでも体制を乗っ取ろうとしているわけだが、その手先として最前線で活動中のビクトリア・ヌランド国務次官補は、昨年12月13日、工作資金として50億ドルを投入していることを明らかにしている。ウクライナの体制を転覆させるために50億ドル、ざっと5000億円を使っていると公言しているのだ。
ジョン・マケイン上院議員と同じように、ヌランドはウクライナで公然と反ロシア勢力を支援してきた。こうした工作の担当として国務次官補に任命されたとも言える。何しろ彼女が結婚した相手はネオコンの大物、ロバート・ケーガンだ。
このヌランドがジェオフリー・パイアット駐ウクライナ大使と電話で話し合っている内容が今月、YouTubeで明らかにされた。その中でヌランドの口から 「EUなんかくそくらえ(Fuck the EU)」 という下品な言葉が飛び出し、話題になったが、問題は別のところにある。ウクライナの閣僚をどうするか検討していたのだ。
また、「オランダのロバート・セリー元駐ウクライナ大使が、国連特使としてキエフへ派遣されるとジェフリー・フェルトマン国連事務次長から聞いた」ともヌランドは話している。 その決定をヌランドは歓迎、そして 「EUなんかくそくらえ」という表現が出てくるわけだ。EUより国連の方がネオコンの意向に沿った動きをしているということなのだろう。確かに、シリアなどでもそうだった。
また、欧州対外行動庁(EEAS)のヘルガ・シュミット事務次長と駐ウクライナEU大使のヤン・トムビンスキーとの会話もアップロードされ、その中でシュミット事務次長は「アメリカからEUの対応が生ぬるいと言われている」ことを明らかにしている。
EU を「生ぬるい」と批判しているネオコンが何をしているかというと、ファシストを使った暴力行為だ。 ネオ・ナチの「スボボダ(全ウクライナ連合『自由』)」は反政府行動で棍棒、ナイフ、火焔瓶を手にし、ブルドーザーを持ち出してウクライナ政府を挑発、警官隊と衝突してきた。抗議行動を撮影した映像や写真の中に3本指の旗を見つけたなら、それはスボボダのものだ。ちなみにスボボダの旧党名は「ウクライナ社会ナショナル党」であり、かつてのドイツのナチは「ナショナル社会主義党」だ。
ウクライナのナショナリストは、OUN(オウ・ユー・エヌ)という団体の流れをくんでいる。この団体は1929年に創設され、イギリスの対外情報機関MI6(エム・アイ・シックス)と結びついた後、1938年頃に、今度はナチと手を組み、1941年にドイツ軍がウクライナを占領すると「新秩序」の障害になると考えられていた人々、つまりユダヤ人、ロシア人、知識人、コミュニストなどの虐殺していった。このときにOUNは勝手にウクライナの独立を宣言、ドイツとの関係が悪化するが、1944年にソ連軍と戦うため、ドイツ軍へ合流している。
戦後、OUN の幹部は再びMI6と結びつく。OUNのリーダーだったステファン・バンデラが、1948年にMI6に雇われている。が、その2年前、1946年にバンデラの側近だったヤロスラフ・ステツコが MI6 のエージェントになり、ABN(反ボルシェビキ国家連合)の議長に就任している。この団体は1966年にAPACL(アジア人民反共連盟/後のアジア太平洋反共連盟)と合体し、WACL(世界反共連盟)になった。
反政府行動ではスボボダのほか、アフガニスタン、チェチェン、グルジアといったカフカス地方での戦闘を経験したグループも参加しているようだ。そうした中にはシリアで反政府軍に加わっていた人々もいるようだ。今年1月、シリアからウクライナへ約350名が入ったという情報があり、ソチ・オリンピック期間中に何らかの動きがあるのではないかと考えている人もいる。
2014.3.3 櫻井ジャーナル
「2月中旬には米政府も露政府と協力し、話し合いで解決する意向だった
が、ネオコンが暴力で妨害」
反政府派と停戦で合意したとビクトル・ヤヌコビッチ大統領が発表したのは2月19日のことだ。流血を終わらせ、国に安定をもたらすための話し合いを始めるという内容だったようだ。
だが、その直後にネオ・ナチ、つまり「スボボダ」や「UNA-UNSO」などのメンバーが破壊活動を活発化、石や火炎瓶を投げるだけでなく、ピストルやライフルを撃ち始めて死傷者が急増、合意を実行に移すことは困難な状況になった。
2月21日の合意が成立した段階では、アメリカのバラク・オバマ大統領は、ロシアのウラジミール・プーチン大統領と同じように外交的な解決を目指すつもりだったようだ。だが、こうした方針を「ソフト」だと考えていたのがビクトリア・ヌランド国務次官補だ。
ジェオフリー・パイアット駐ウクライナ米国大使と次期政権の閣僚人事を話し合っている際、ヌランドは、EUが事態を外交的に解決しようとしていることに怒り、「EUなんかくそくらえ( Fuck the EU )」という言葉を口にしたわけである。
暴力行為のエスカレートは、外交的な解決を破綻させる有効な手段だった。「西側」のメディアは「平和的な市民」を「凶暴な警察隊」が弾圧したというストーリーで報道していた。だが、実際は、棍棒やナイフで武装した反ヤヌコビッチ派が石や火炎瓶を投げ、ピストルやライフルを撃ち始めて血と火の海になったのである。ウクライナの警官隊は、アメリカや日本に比べておとなしかった。
話し合いでウクライナの問題を解決させたくないため、ネオコンはネオ・ナチに暴力のエスカレートを求めたのだろう。そのためにネオ・ナチの立場は強くなり、暫定ファシスト政権で多くの主要ポスト、特に治安関係を手に入れることにつながったと見ることができる。ネオコンは状況を格段に悪化させた。
ウクライナのネオ・ナチは単に暴力的だということに止まらない。2004年からウクライナのファシストはバルト諸国にいくつもあるNATOをスポンサーとする施設で軍事訓練を受けている。
だが、それだけでなく、チェチェンでロシア軍と戦い、その残虐さで名前を知られるようになったアレキサンダー・ムージチコ(別名サーシャ・ビリー)のような人物、あるいはシリアからウクライナ入りした約350名の戦闘員もいる。
リビアやシリアでも戦闘が本格化する際、正体不明の狙撃手が反政府派と治安部隊、両方に向かって銃撃している。ウクライナでも同じことがあったと言われている。リビアやシリアでは狙撃が事態悪化の引き金になっているわけで、ウクライナ政府が反政府派と話し合いを進めている段階で狙撃するメリットはない。
ウクライナのネオ・ナチは軍事訓練を受けていたり、実戦の経験のあるメンバーがいるほか、シリアから入った戦闘員もいるのだが、UNA-UNSO のメンバーがやったと言う人もいる。UNA-UNSO は、ウクライナ政府の反腐敗委員会委員長や青少年スポーツ相にメンバーが就任しているネオ・ナチ団体だ。
私(櫻井春彦)はこれまでに何度も書いていることだが、ウクライナのナショナリストは歴史的にアメリカやイギリスの情報機関、そしてナチとの関係が深い。
戦後、アメリカはCIAの外部にOPC(オウ・ピー・シー)という破壊活動(テロ)機関を設置、後にCIAへ潜り込んで計画局(後に作戦局へ名称変更)の母体になったのだが、この機関はファシストのほか、マフィアやイスラム教スンニ派の武装集団(アル・カイダ)を手下として使っている。
OPCの元になったのは、第2次世界大戦でイギリスの秘密機関で心理戦、暗殺、破壊活動を担当していたSOE(エス・オウ・イー)と、アメリカの戦時情報機関OSS(オウ・エス・エス これが後にCIAになった。引用者注)が、共同で設立したゲリラ戦部隊のジェドバラだ。
シェドバラは戦後も活動を秘密裏に継続した。1949年にNATO(北大西洋条約機構。ヨーロッパ軍)が創設されるとその内部に秘密部隊が設置されるが、そのベースもジェドバラだ。
ジャーナリストのフィリップ・ウィランらによると、NATOへ加盟するには、その国は秘密の反共議定書(はんきょうぎていしょ)に署名する必要があり、「右翼過激派を守る」ことを義務づけていると言われている。
こうした秘密機関の存在が公的に認められたのは1990年10月のことだ。イタリアのジュリオ・アンドレオッチ首相が「いわゆるパラレルSID – グラディオ作戦」という報告書を発表したのだ。より正確に言うならば、発表せざるを得ないところまで追い詰められたのである。(詳しくは拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』を参照。)
この報告書のタイトルにもなっているが、イタリアでは秘密部隊を「グラディオ」と呼ぶ。「極左」を装って爆弾攻撃を繰り返し、左翼攻撃の環境を作り上げた「緊張戦略」の一環だった。他の国では名称が違い、例えばデンマークはアブサロン、ノルウェーは ROC、ベルギーは SDRA8 。ジョン・F・ケネディ米大統領暗殺やシャルル・ド・ゴール仏大統領暗殺未遂でもこの組織の名前が出てきた。ウクライナのネオ・ナチが、バルト諸国にあるこれらの施設で軍事訓練を受けている背景はここにある。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。このように櫻井春彦氏が書いている。これだけの重厚な文を、自分の知能と思考力を使って、さらさらとネットの文章で読んで、全体をしっかりと理解することが出来るだけの頭(思考力)出来る人はそれほどいない。
だから、私、副島隆彦が、こういう生来、頭のいい緻密な文章を書く人の文を、何とか普通の読書人階級の優れた感受性をした人々に分かりやすく、“負焼(ふや)かして ”、易(やさ)しく書き直して伝えるのである。
生来、頭の緻密な人間たちというのも困った人たちだ。情報をギューギュー詰めにするものだから、まわりの人たちが困ってしまう。
ここで、櫻井春彦氏は、優れたジャーナリストたちの間では、世界的に認められている事実として、
「・・・アメリカの親イスラエル派=ネオコンの・・・・手先として最前線で活動中のビクトリア・ヌランド国務次官補(アシスタント・フォー・ステイト・セクレタリー)は、昨年12月13日、工作資金として50億ドルを投入していることを明らかにしている。ウクライナの体制を転覆させるために(アメリカ政府は、すでに)50億ドル、ざっと5000億円を使っている・・・」 と書いている。
そして、実際に転覆させた。このヌーランド女史というアメリカのれっきとした現職の、政府高官は、今も、米政府内にいる。オバマ大統領や、直接の上司である、ジョン・ケリー国務長官によって、辞めさせられたという話は、ない。 オバマや、ケリーでも手が出せないのだ。 つまり、アメリカのワシントンの政治の世界もまた、大きくふたつに割れて、そのままいがみ合いながら闘いを続けているということだ。
オバマたちはハト派である。立派である。なるべく軍事紛争、外国への軍事侵攻をしたくない。それに対して、ヒラリーや、ジョン・、マケインを頭にお仕立てて、アメリカの凶暴な対外政策の継続を実施しようとする連中が、こうして、公然とアメリカ政府の外交政策の中枢にいるのである。
このビクトリア・ヌーランドという高官の女は、ワシントンの政界では、ムーニー Moonie = 統一教会 Unification Church の信者だと公然と噂されている人だ。 その夫が、ロバート・ケーガンというネオコン派で、今も現職の政治助言者(政府審議会の委員クラス)でワシントンで動き回っている元高官だ。だから、その 奥さんが、この ヌーランド 米国務次官補 である。
こういう人たちの恐ろしい動きが公然と、世界のメディアでは記事になっている。
彼女らが、今のネオ・ナチで人種差別主義者であり( 日本で言えば、嫌韓論、悪韓=あくかん=論や、反中国、を書いて、喚(わめ)いている人たちと同類だ)、今のウクライナの暫定政権のトップたちになっており、そしてカア彼らを背後から褻(け)しかけて、資金を与えて、動かしているアメリカ人たちだ。
こういう事実を、NHK を含めた、日本の体制側の主流派のメディアは一切、流さない。だから日本国民は、盲(めくら)、聾(つんぼ)、唖(おし)にされたままだ。
櫻井氏は、次のように書いている。
「・・・このヌランドが ジェオフリー・パイアット駐ウクライナ大使( 副島隆彦注記。ヌーランド女史の同志で、ウクライナ政府を暴力的に倒した黒幕である米大使、その人)と電話で話し合っている内容が今月、YouTubeで明らかにされた。その中でヌランドの口から 「EUなんかくそくらえ(Fuck the EU)」 という下品な言葉が飛び出し、話題になった」 である。この ユーチューブを見た日本人の世界情報追っかけ人間の、インテリさんたちは多い。
“Fuck the EU! – Exactly!” – Victoria Nuland & Geoffrey Pyatt
(※”Fuck the EU!”の台詞は、0:37の時点で出てきます。動画の下部の、右から4番目の四角いアイコンをクリックすると、英語字幕が表示されます。)
このビクトリア・ヌーランドの夫の、ロバート・ケーガンの本は、翻訳が出ている。それは、『 アメリカが作り上げた“素晴らしき”今の世界 』(ビジネス社、2012年2月刊、古村治彦 訳) である。 なんと、この本は、私、副島隆彦が監訳者として、その本の帯に、「ネオコンは世界支配を諦(あきら)めない」と打ち込んである。 「 オバマ政権にケーガンは、強い影響力を持つ。最新の米外の戦略論文!!」となっている。本当になあ、こういうことなのですよ。
さらに櫻井氏は、 「・・・ ウクライナのネオ・ナチ (副島隆彦注記。現在のウクライナの暫定政権の主要な人間たち)は、単に暴力的だということに止まらない。2004年からウクライナのファシストはバルト諸国にいくつもあるNATO(副島隆彦注記。アメリカが音頭を取って作った、集団的安全保障のヨーロッパ軍 )をスポンサーとする施設で軍事訓練を受けている。」
「 だが、それだけでなく、チェチェンでロシア軍と戦い、その残虐さで名前を知られるようになったアレキサンダー・ムージチコ(別名サーシャ・ビリー)のような人物、あるいはシリアからウクライナ入りした約350名の戦闘員もいる。リビアやシリアでも戦闘が本格化する際、正体不明の狙撃手が反政府派と治安部隊、両方に向かって銃撃している」
副島隆彦です。 こういうことを書いていると、本当に頭が疲れる。あまりに重たい情報が、ごろごろと転がり、そして数珠つなぎで一斉にやってくる。 ですから、頭を休み休みしながらでないと、こういう 世界政治情報の優れた文を読み進めてゆくことは普通の人には、出来ないだろう。私、副島隆彦の脳(頭。思考力)でもなかなか大変だ。
今度の2月21日、22日の、ウクライナの政変劇でも、実際には、「・・・正体不明の狙撃手たちが、反政府派と治安部隊、両方に向かって銃撃している」が起きていることがはっきりした。 追放されたヤヌコビッチ大統領を守っていた警官隊と、それを素手の平和的な抗議行動だけで活動していた反政府勢力の 人々の 両方を、奇っ怪な、危険な集団が、その両方を、狙撃してたくさん(おそらく200名ぐらい)殺している。
この者たちが、どういう人殺し集団であるかを、日本にいる私たちも、本気で、明日は我が身、として真剣に考えた方がいい。 日本でも全く同じことが起きるのだと、考えることが最もずぐれた知性と頭脳の持ち主ということになる。 政治の世界は、本当に恐ろしいです。素人さんが近寄ると、本当に撃ち殺されます。あるいは罠(わな)に引っ掛かります。
ウクライナの国会議事堂の前に、あちこち、たくさんお花が飾ってあって、死んだ(殺された)者たちに、ウクライナのキエフの市民たちが、しょんぼりと追悼の祈りを捧げている映像なら、日本のニューズでもチラチラと、数秒間とか流れた。
ウクライナ国民なら、皆、噂が広がって真実を知っている。しかし、本当の人殺しの、政治的な凶悪犯たちが、今、国民議会と暫定政権を支配しているのだから、怖くて滅多なことは口外出来ない。 そして、世界のメディアは、ロシアを非難することの一色だ。政治家たちを始め、皆、大きな真実を知っているくせに、よく、言うよ、だ。 インテリ層のヨーロッパ人たちは、これらの真実を知ったので、EUの緊急閣僚会議でも、本当は、そんなに立派な感じの、ロシア批判など出来ない。出来るわけがない。
自分たち白人優越主義者の方の、その「白人(キリスト教徒)文明を押し広げよう」という態度が、問題なのだ。
ヨーロッパ人は、今は、みんな、しょんぼりしているのが一番、いい。アメリカ人は、穏やかで、しっかりしたオバマたちを政権(執行部)を置いているので、まだ大丈夫なのだ。が、如何せん、ヒラリーを先頭にして、凶暴な、おかしな連中を、ワシントンの政界、財界、官界にたくさん巣食わせているから、この者たちを、何とかしないことには、やっぱり彼らを暴走させて、それで第三次世界大戦だ。
たいした知能もないくせに、「自分に考えは正しい。自分は頭がいい」などど、勝手に自惚(うぬぼ)れていると、いいように騙(だま)されて操(あや)られて、時代(じだい)の中で、こき使われます。そうやって民衆は、戦争に参加させられ、自ら戦場に行き、ひどい目にあったのだ。それが人類の歴史だ。 今、反原発運動をやっているような人々の中に、へんなのがたくさん潜り込んでいますから、本当に気をつけて下さい。 私、副島隆彦は、それらのすべてを見抜くことの専門家です。もっと言えば、超(ちょう)専門家です。
私、副島隆彦の 目の黒いうちは、すべての動きを見抜きます。ですから、私、副島隆彦と学問道場への皆さんからの信頼が、貴重であり、重要です。
最後の最後は、何を信じ、誰を信頼するか、だ。
むずかしい政治の事件の新聞記事や 解説文を、読むだけで頭が痛くなる人がたくんさんいます。その方がまともです。自分に正直に。自分の肌合いの、実感で分かることだけを。自分には、ここまでは分かった、と言うこと。常に疑うこと、いや待てよ、そうではないのではないか、とためらい、注意深く、用心深く、警戒しながら行動すること。それ以上は私は分からない、と言うこと。難しそうなことを分かったふりをしないこと。自分にはそれ以上は、分からない、と、 そのように自分のまわりにも言うこと。この正直な生き方の態度さえあれば、大丈夫でしょう。 ・・・
副島隆彦です。以上が、3月6日に書いて、そのままほったらかした文です。
このあと、私は、例の優れた言論人である、 田中宇(たなかさかい)氏の文章を読みました。この中に、ウクライナ情勢で、重要なことが書かれていました。引用します。
(転載貼り付け始め)
田中宇の国際ニュース解説 無料版 2014年3月9日 http://tanakanews.com/
●最近の田中宇プラス(購読料は半年3000円)
危うい米国のウクライナ地政学火遊び http://tanakanews.com/140305ukraine.php
「 プーチンを強め、米国を弱めるウクライナ騒動 」
この記事は「危うい米国のウクライナ地政学火遊び」(田中宇プラス)の続きです。
http://tanakanews.com/140305ukraine.php
EUの上層部で、ウクライナ新政権に対する懐疑の念が強まっている。2月22日の政権転覆によってできたウクライナ新政権は、前回の記事に書いたように、ネオナチ・極右の指導者が安保、軍事、警察、教育などの政策決定権を握っている。
政権転覆の直前、極右を含む反露の反政府勢力が、親露的なヤヌコビッチ政権を倒そうと、首都キエフ中心街の広場などに集まって反政府集会を続けていた時、何者かがビルの上から集会参加者や警察官を狙撃して、多数の死者が出た。この時、反政府勢力は、ヤヌコビッチ配下の兵士が狙撃犯だと非難する一方、ヤヌコビッチ政権は、反政府勢力の者が狙撃犯だと反撃した。
米欧マスコミの中には、ヤヌコビッチ政権による弾圧を大々的に報じ、狙撃もその一環であるかのような印象が醸し出された。しかし政権転覆後の今になって、狙撃が反政府勢力、つまり新政権の自作自演だった可能性が高まっている。
http://edition.cnn.com/2014/03/05/world/europe/ukraine-leaked-audio-recording/
Leaked call raises questions about who was behind sniper attacks in Ukraine
政権転覆直後、EU加盟国であるエストニアのパエト外相がキエフを緊急訪問し、知ったことや印象について2月26日にEUのアシュトン外相と電話会談した。その電話を録音した内容が最近、インターネットのユーチューブに漏洩した。
この中でパエト外相は、問題の狙撃について、政権転覆前に反政府勢力(つまり新政権)が負傷者や急病人のために中心街の広場に作った野戦病院(テント)の主任医師から聞いた話として、状況証拠から見て、ヤヌコビッチ前政権でなく、新政権が狙撃犯を雇っていた可能性が高いと話している。電話の相方であるEUのアシュトンは、初耳だと答えた。
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=ZEgJ0oo3OA8
Full leaked recording
パエトは、新政権が狙撃事件の真相について捜査したがっていないとも指摘した。新政権を率いる極右指導者は過去に暗い過去があるので多くのウクライナ人が彼らを信用していない、とも語っている。
エストニア外務省は、漏洩した録音が本物であることを認めつつ、パエトはキエフで聞いてきたことをアシュトンに報告しただけでウクライナ新政権を批判するつもりはない、と苦しい釈明をした。
実際には、アシュトンがパエトにキエフ訪問の印象を尋ね、その答えとしてパエトが新政権に関する悪評を並べており、漏洩後の釈明と裏腹に、パエト自身が新政権に対して悪い印象を持っていることが明白だ。
http://www.zerohedge.com/news/2014-03-05/behind-kiev-snipers-it-was-somebody-new-coaltion-stunning-new-leak-reveals-truth
“Behind The Kiev Snipers It Was Somebody From The New Coalition” – A Stunning New Leak Released
http://www.dailymail.co.uk/news/article-2573923/Estonian-Foreign-Ministry-confirms-authenticity-leaked-phone-call-discussing-Kiev-snipers-shot-protesters-possibly-hired-Ukraines-new-leaders.html
Estonian Foreign Ministry confirms authenticity of leaked phone call discussing how Kiev snipers who shot protesters were possibly hired by Ukraine’s new leaders
エストニアはウクライナと同様、ロシアの隣にある小国で、1940年から91年までソ連に併合され、厳しく支配された。ソ連崩壊でようやく独立し、EUに入ったエストニアの人々(国民の3割を占めるロシア系以外)の多くは、ロシアの覇権や威圧が大嫌いだ。
それを考えると、ウクライナ新政権が反露的であるにもかかわらず、エストニアの外相が新政権に悪い印象を語っているのは、深い意味を持つ。パエト外相は、親露・反露という尺度を超えて、ウクライナ新政権がロシアと敵対するために混乱や暴力を扇動して、自国周辺の東欧ロシアの広域が不安定化することの方を懸念しているのだろう。
http://news.antiwar.com/2014/03/05/ukraine-protest-leaders-hired-kiev-snipers/
Ukraine Protest Leaders Hired Kiev Snipers
前回の記事に書いたとおり、2月初めには、米政府がウクライナの政権転覆を支援し、新政権の首脳人事に介入していることが、米国の国務次官補と、駐ウクライナ大使との電話会談のユーチューブへの漏洩で暴露されている。
そして今回、米国が作ったウクライナ新政権の極右性や過激さをEUが懸念していることも、ユーチューブによって暴露した。米国製のシステムであるユーチューブによって、米国の覇権が揺るがされている点が興味深い。
http://www.youtube.com/watch?annotation_id=annotation_2612647377
Victoria Nuland phoning with Geoffrey Pyatt
ウクライナ新政権が、狙撃者を雇って自分たちの仲間を自作自演的に狙撃させ、それをヤヌコビッチ政権のせいにして政権転覆を成功させようとしていたとなれば、新政権の国際信用は急落する。
ウクライナ新政権は「テロリスト」ですらある。ウクライナを政権転覆した極右勢力の指導者であるドミトリイ・ヤロシ(Dmitryo Yarosh)は最近、何度もロシアで爆弾テロを行ってきたチェチェン人のテロリスト(Doku Umarov)を支援し、どんどんロシアでテロをやってもらおうと、極右のネットメディアのサイトに書いて提案している。ヤロシはその後、5月の大統領選挙への立候補を表明した。
http://news.antiwar.com/2014/03/02/report-ukraines-right-sector-leader-urges-terror-attacks-on-russia/
Report: Ukraine’s Right Sector Leader Urges Terror Attacks on Russia
http://www.ibtimes.co.uk/ukraines-neo-fascist-right-sector-leader-dmytro-yarosh-run-president-1439324
Ukraine’s Neo-Fascist Right Sector Leader Dmytro Yarosh to Run for President
米国のネオコンは、以前からウクライナの反露極右だけでなく、チェチェンの反露テロリストを支援し、チェチェン人の対露テロはテロでなくロシアの支配に対する抵抗運動だ、と正当化してきた。
その点で、ネオコンに支持されたウクライナの極右がチェチェン人の反露テロを支持するのは当然といえるが、この支持表明はロシア政府に「ウクライナ新政権はテロリストだ」と非難する正当性を与えてしまい、国際政治的にウクライナ新政権自身を不利にしている。露政府は、発言者のヤロシを、テロを公然と支持するテロリストとして逮捕
すべく、国際指名手配した。
http://rt.com/news/yarosh-interpol-wanted-terrorism-954/
Russia puts Ukraine far-right leader on international wanted list over calls for terrorism
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。 ああ、ここまで読んで、疲れた。 田中宇(たなかさかい)氏だから、宇宙の宇(う)で、宇(ウ)ータンともネット世界では呼ばれているのだが、彼が、書いて報告してくれることは、大量だから、英文記事まですべて読もうとすると本当に大変だ。世界中に流れているこれらの新聞記事は、しっかりした根拠があり、出典が明示してある。
もう、いくらなんでも私も疲れました。これぐらいにしましょう。ウクライナ人も大変だね―。
副島隆彦拝
【1297】[1544]マレーシア航空機の件について
学問道場のみなさん、マレーシア航空機の行方不明事件について、
●墜落説
●行方不明説
●ハイジャック説
など、入り乱れています。
しかし、この件は乗客割合(ほとんどが中国人)から考えても、
中華人民共和国をターゲットとした事件であると考えて間違いないと思います。
大事なことはこれに惑わされないことです。
この事件はそれはそれで重要な事案ですが、これに目を引きつけられている
間になにか、中国経済について大きな動きがあるはずです。
私は浅学にてその「大きな動き」をつかめません。
いま、リアルタイムで起きている、中国・東南アジアについての経済の動きを
解説できる方はぜひ投稿をお願いします。それが我々が世界を読み解く鍵に
なるはずです。
【1296】[1543]新聞の書評欄より
毎日新聞に属国日本論に関係する本の書評が掲載されていましたのでご紹介します。マコーマック氏はそのものずばり『属国』という本も書かれています。
「サンフランシスコ体制」「属国」がこの著作のキーワードということです。
毎日新聞 2014年3月2日 今週の本棚
『転換期の日本へ』J・W・ダワー G・マコーマック NHK出版新書
以下引用開始
著者の二人は、米豪を代表する日本研究者。知日派として知られる。本書はそんな二人による警告の書である。
キーワードは「サンフランシスコ体制」と「属国」。この二つが戦後日本を規定してきたという。「サンフランシスコ体制」とは1951年のサンフランシスコ講和条約に規定された秩序のあり方を示す。ここで日本はアメリカの属国となることを宿命づけられた。日本の為政者はアメリカに主体的に服従していく。
マコーマックは「サンフランシスコ体制の本質は不平等」と断言する。日米の共謀で「二つの日本」が誕生し、沖縄に負担が押し付けられた。周辺諸国との領土問題は、意図的に「未決」にされた。将来の紛争の種をあらかじめまいておき
日本政府の共産国家との連携を封じ込めたのである。
さらに日本の再軍備を後押し、「核の傘」を提供することで、アメリカの戦術計画に組み込んだ。日本の防衛はアメリカにイニシアティブを握られ続ける。
属国であることの代償は大きい。エリートたちは自国の利益よりも、アメリカの利益を優先する。しかも対米従属派がナショナリストを名乗り、日本の利益を優先すると「反日」と罵倒される。この転倒が外国人の眼には奇妙なものに映る。
いま時代は大きく変化している。アメリカの覇権は低下し、中国の台頭が著しい。「パックス・アメリカーナ」は終焉の時を迎え、世界の警察としての信用を失っている。
そんな中、アメリカは中国に対して両義的な態度をとることで、プレゼンスを維持しようとしている。中国を「仮想敵」と捉えながら、一方で中国に接近する。
日本はアメリカとともに中国を「仮想敵」としたい。だからアメリカが中国への親密な態度をとると、より一層、尾っぽを振って対米追従を突き進む。そんな自発的追従を続ける日本はアメリカは軽んじる。中国首脳を歓待し、日本政府を冷遇する。負のループが加速する。
二人は安倍政権に対して厳しい意見を投げかける。安倍内閣は法や民主的手続きを軽視し、粗雑なパターナリズムを振りかざしていまいか。隣国に対しては独善的な論理で挑発し、歴史的に構築された信義を重んじていないのではないか。
安倍首相こそが、対米従属という戦後レジームを踏襲しており、自国の独立を遠ざけているのではないか。
二人は、現在を「パックス・アメリカーナ」から「パックス・アジア」への転換期と捉える。この流れを本物にするためには、日本と中国が連帯しなければならない。日中が手を結べば新しい時代が到来する。そう彼らは訴える。
以上引用終わり
以下中島氏の見解が述べられておりますが、長くなりますので省略します。
親中国的な外交政策をとる日本の政治家はアメリカにより徹底的に排除される。
そしてアメリカが考える日本の外交政策を体現する政治家の出現を待つ。
「対米従属派がナショナリストを名乗り」登場するとアメリカは中国と日本の仲介者の立ち位置をとる(効果的な仲介はしない)。日本には対中強硬策を取らせ手駒として扱い、アメリカは中国と対立的でない外交政策を探求する。これがオフショアバランシングなのでしょうか。
「転換期」ということですが、副島先生がどこかで書かれているように日本自体で、自らの取り巻く状況を変えるのは難しいのかもしれません。
【1295】[1541]なぜビタミンCが効くのか(副作用のない抗ガン剤)
近代医学・医療掲示板に「ビタミンC点滴と断糖療法でガンが消える! 西脇俊二著 KKベストセラーズ」の書評を載せてあります。ご興味ある方は覗いてください。
【1294】[1540]日本の読書人階層の結集である伊藤律生誕百周年シンポジウムに行ってきた感想②日本の文化人を代表する83歳の篠田正浩さんの講演に私は衝撃を受けた。
津谷(つや)侑太(ゆうた)です。今日は、2014年3月6日です。
伊藤律生誕百周年シンポジウムに行ってきた感想の続きを書きます。
伊藤律のシンポジウムは瑞浪市で開かれました。岐阜に住んでいる私ですが、瑞浪には久しぶりに足を運びます。
電車で何時間もかかってしまい、瑞浪駅に着いたときには午後三時(シンポジウム開催は午後一時から)近くになっていました。
岐阜市には柳ヶ瀬(やながせ)という商店街があるんですが、人はものすごく多いですね。瑞浪駅は日曜だというのに人はほとんどおらず、少し淋しく感じました。そこから十分くらい歩いたところにシンポジウムが開かれる、瑞浪市総合文化センターに入りました。
レンガ立ての立派な建物です。
シンポジウムが行われていたホールは七百人収容の巨大なホールでした。私が入っていくともうシンポジウムは佳境を迎えており、映画監督(2003年に引退)の篠田正浩(しのだまさひろ)氏の講演がはじまっていました。
篠田監督は岐阜県岐阜市出身、現在は東京在住なのだろうと思います。私は「梟(ふくろう)の城」(司馬遼太郎原作)の映画しか、見たことがありません。2003年に映画監督引退後は何をしているのか、知らなかったんですが、講演活動や本の執筆で元気に活動されているようです。奥さんは女優の岩下志麻(いわしたしま)さんですね。
本当は渡部富哉(わたべとみや)氏の講演や伊藤律の次男である伊藤淳(いとうじゅん)さんの講演もあったんですが、私が遅刻をしたので、もう終わっていました。
それで篠田監督の講演から聞くことになったんです。
私は失礼ながら「映画監督の自慢話でも聞かされるのか。やだなあ」と思って期待してなかったんですが、この篠田監督の話がとても面白かった。行ってよかったと思いました。
それはなぜかというと、篠田監督しか知らない秘密の裏話が満載だったからです。映画監督というのは、政財界、芸能人や文化人といったさまざまな人からいろんな話が聞けるので、歴史学者や歴史評論家よりも歴史の真実に肉迫できるんでしょう。
篠田監督の話で面白かった点を列挙すると
・東條英機は日米戦争には反対だったが、暗殺される恐怖で日米交渉反対を仕方なく言っていた。
・スパイ・ゾルゲという映画を撮ったとき、渡部富哉氏の伊藤律本を読んで、伊藤律がスパイであるという考えを捨てた。映画『スパイ・ゾルゲ』のシナリオは全部出来上がっていたが、伊藤律がスパイでないとあったので、全部捨てて、一からシナリオを作り直した。
・2003年の『スパイ・ゾルゲ』に対する反応はゼロ。世間から無視された。
・天皇家は神道ではなく、仏教。聖武天皇が東大寺を建てているのがその証明。
・孫が小学五年生でネトウヨになった。インターネットで反韓国になった。
などです。
篠田監督は現在の世界情勢にも通じているようでウクライナの政変の話まで飛び出し、まさしく日本を代表する一級の知識人、文化人という感じでした。八十三歳という高齢なのに、その頭の回転の速さ、知識量には脱帽です。私はこのシンポジウムに来て篠田正浩という傑物を発見したことが大きな成果でした。
私以外の他の聴衆は篠田監督の話に「そうだ!そうだ!」という感じで拍手を送っていました。私もつられて、拍手していました。安部晋三批判のところが一番盛り上がっていました(笑)
まさか私は瑞浪市で世界最高情報を持つ篠田正浩という人物の話が聞けるとは思いませんでした。安部晋三批判に大笑いが起きていましたから、ここに来た聴衆はリベラルなんでしょう。
おそらくは読書人階級の人たちです。とにかく、篠田監督の話は熱気に満ち、ホール内は盛り上がっていました。やっぱり安部晋三は読書人階級には嫌われているんだな(笑)と思いました。
しかし、私は安部晋三が嫌いではないです。彼が靖国参拝したときに不戦の誓いと言い放って、「A級戦犯とされた人たちは無実であり、冤罪だ。板垣征四郎(いたがきせいしろう、満州事変を起こした陸軍軍人)も東條英機も松井石根(まついわね、南京大虐殺の陸軍責任者)もみんな親中国派で親米派じゃないか、だから和平派の彼らが合祀されている靖国で平和を祈って何が悪い」という感じに私には見えました。ただ、私は首相が靖国参拝するのは副島先生の言うとおり、世界に逆らうので反対です。
細川護煕(ほそかわもりひろ)熱烈支持である中田安彦さんや古村治彦さんにも篠田監督の話を聞いていただければ、元気が出たのではないか、と思います。お見せできなかったのが残念ですね。
今日はここまでにします。
津谷侑太拝
【1293】[1539]日本の読書人階層の結集である伊藤律生誕百周年シンポジウムに行ってきた感想①
津谷(つや)侑太(ゆうた)です。今日は、2014年3月4日です。
今日は岐阜県瑞浪(みずなみ)市で開かれた伊藤律(いとうりつ)シンポジウムに行った感想を書こうと思います。
伊藤律は日本共産党のナンバー2だった人物で野坂参三(のざかさんぞう)という悪い共産党指導者にはめられ、中国に送られて27年獄中にあった人物です。
そのあと、目も耳も不自由となりながらも、日本に送り返されてきました。
しかし、伊藤律が投獄されている間、日本では松本清張が『日本の黒い霧』
で伊藤を尾崎秀実(おざきほつみ)を特高警察に密告した特高のスパイだと告発していました。これに同調して尾崎秀樹(おざきほつき)という尾崎の異母弟(いぼてい)の評論家が伊藤はスパイであると書き続けました。
この事実を私は副島先生の『属国日本論』によって知りました。『属国日本論』では渡部富哉(わたべとみや)氏の『偽りの烙印 伊藤律スパイ説の崩壊』(五月書房、1993年刊)が紹介され、私はかねてより興味を持っていました。
そして最近(2010年)では尾崎を特高に売ったのは川合貞吉(かわいさだきち)という戦後評論家になった男だと判明しました。加藤哲郎教授がアメリカの公文書館に発見したそうです。
私は野坂参三、川合貞吉、尾崎秀樹らの共同謀議があって伊藤律への人格攻撃を仕組んだと見ています。
これは山本五十六への人格攻撃として阿川弘之が山本をほめるふりをしながらも、あったかどうかもわからない愛人スキャンダルを書いて、山本のイメージを悪くしたことと似ています。阿川は山本五十六の家族から名誉毀損で訴えられています。三村文男さんが阿川説に追随(ついずい)して、この愛人スキャンダルを本当のことのように書いてますが、私は異論がある。これはまたの機会に論文を書いて徹底検証します。
話を元に戻すと渡部富哉さんのサイトである、ちきゅう座で伊藤律の故郷である瑞浪市でシンポジウムが開かれることを知り、岐阜在住の私は行ってみることにしたわけです。それはなぜかというと有料の「今日のぼやき」で副島先生が以下のように述べていたからです。ナンバーは「978」 9月に行われた、『時代を見通す力』(PHP研究所)の発刊記念講演会の模様を再録しました。(1)ですね。
(引用開始)
だから若い人たちに助言したいのは、いろいろな文化人・知識人・学者の姿形(すがたかたち)を1回でいいから見ておいてください、ということです。それは後々、非常に役に立ちます。
(引用終了)
私の頭には副島先生のこの文章が残っていました。渡部富哉さんという、体制派には入っていない八十四歳の高齢の言論人、昭和史研究家を一度見ておこうと思いました。
長くなったので分割して続きはまた次回書いていきます。
津谷侑太拝
【1292】[1538]【報告文】2月22日、23日に、熱海の副島先生の仕事家で、文章指導の合宿がありました
長井大輔(ながいだいすけ)です。今日は3月4日です。
2月22日、23日に、熱海(あたみ)の副島先生の仕事家で、文章の書き方を学ぶために、合宿が行われました。参加者は、六城雅敦(ろくじょうつねあつ)さん、田中進二郎(たなかしんじろう)さん、津谷侑太(つやゆうた)さんと、私(長井)でした。その時の、模様を報告します。
22日に、田中さんの評伝『西周』、23日には、長井の評伝『榎本武揚』、六城さんの評伝『森鴎外』、津谷さんの論文『二・二六事件は木戸幸一が仕組んだ』が、先生の添削(てんさく)を受けました。
田中さんと私の評伝は、はじめて、先生の赤ペンが入るので、一人6時間かけて、手直しを受けました。田中さんと私の評伝は、字数が約10000字を超える大論文です。しかし、先生は一文、一文、自ら、読み上げながら、指導してくました。
先生の添削を受けながら、私は、先生の文章指導は、基本に忠実なものだと思いました。決して、高等な技術を弄(ろう)するというものではなく、徹底的に基礎・基本に忠実に文章を書きなさいというものでした。
先生の文章術の主眼は、どう書いたら、読者にとって、読みやすくなるのか、わかりやすくなるのか、という点におかれているのだと思います。適宜(てきぎ)、接続詞や助詞、助動詞などの品詞が入れ替えられ、補足されていきました。
また、今回の勉強会で、私は「、」や「。」といった句読点の打ち方や、()や「」などの括弧(かっこ)のつけ方が、ものすごく大事だと感じました。細部にこだわることによって、読者にとって、読みやすい文章、わかりやすい文章はできあがるのだと思いました。
文章指導終了後、先生自ら、赤ペン、青ペンを入れて、添削した原稿を頂きました。先生の著書『説得する文章力』に掲載されている原稿のように、びっしりと先生のコメントが書きこまれていました。まさに、『説得する文章力』の実践授業でした。
先生から直接、文章指導を受けることができて、非常にありがたいことだと思いました。先生から受けた文章指導を、何とかして自分のものとするべく、今後も、努力していきたいと思います。
長井大輔 拝
【1291】[1537]プーチン大統領が握るヨーロッパの天然ガス
前田和寿です、
ウクライナがヨーロッパ世界に与えている衝撃は予想以上です。
副島先生が以前から指摘しているように、EU諸国が使う天然ガスの4分の1はロシアから来ています。そのパイプラインはほぼウクライナ経由。プーチン大統領が握っている綱はヨーロッパ人の生活に直結しています。おとなしくクリミア半島(Crimea クライミア)だけは手渡すかもしれません。
引用先:http://www.businessinsider.com/ukraine-hopes-russia-will-not-change-gas-price-2014-2
【1290】[1536]高い確率で予想される日中の軍事衝突に対して慎重になるための論理について
はじめまして。初めて投稿させていただきます。
わふまなふと申します。職業はIT技術者・SE(システムエンジニア)をしています。年齢は32歳です。東京都在住です。
この度は、去る1月31日に投稿された副島先生の投稿、「 [1525]安倍の靖国参拝問題から、その後の世界の動きを洞察、予言する。」及び、3月1日に開催されました『キャロライン・ケネディ駐日大使着任が 日本政治中枢に与えている衝撃』に大きく感銘を受けたため、それにお応えする気持ちで筆を取った次第です。
未熟者ですが、何卒よろしくお願いいたします。
■はじめに
私は、去る1月31日に投稿された「 [1525]安倍の靖国参拝問題から、その後の世界の動きを洞察、予言する。」に大きく感銘を受けました。
そこで、僭越ですが、私も未来予測を書いてみようと思いました。
なお、恐縮ではありますが、私も、今回は詳細な根拠やデータは挙げずに、「断言、断定、予言」の文体で書かせていただきたいと思います。
■まずは、尖閣諸島事変、東シナ海事変についてからです。
結論から言いますと、発生する可能性が極めて高いと思います。
日本国の空気・民意の大部分が日中軍事衝突を積極的にであれ、消極的にであれ、ほとんど容認してしまっているように感じます。
曰く、
「軍人同士(海上自衛隊と中国人民解放軍海軍)が衝突するだけなら構わない。」
「抑制的に軍事衝突することによって、内閣の支持率が上がり、穏やかな軍備拡張によって雇用が増え、福祉も改善し、景気が良くなるなら…いい。」
「今やらないと、今後はもうできないかもしれない。(中国が台頭し、且つ米国の覇権が衰微するので。)」
気持ちは良くわかります。私は安倍晋三首相以下、右傾化する日本国の空気に同情的です。
しかし、やはりここはもっと慎重にならなければいけないと思います。
以下で、少しシミュレーションしてみたいと思います。
・シミュレーション1.
×月×日、×時×分×秒。尖閣諸島周辺、あるいは東シナ海周辺で、日中の軍事衝突が発生しました。
さて、軍事衝突をしてその後、どのように中国と外交交渉しますか?その交渉の落とし所はどこですか?
そして、いつまで事態を継続して、いつ事態を収束しますか?
・シミュレーション2.
もし、軍事衝突がエスカレートしたらどうなりますか?
もし、東京や北京でテロ(テロル)が発生したらどうなりますか?中国の過激派、北朝鮮の過激派、日本の過激派、アメリカのネオコンの過激派が実行する可能性についてはどう思われますか?
もし、私達の身の回りでテロ(テロル)が発生したらどうしますか?
その時でもまだ、私達は、穏やかな軍備拡張によって雇用が増え、福祉も改善し、景気が良くなるならいいといえるでしょうか?
それでもいいという方もいらっしゃると思います。
それは嫌ですという方もいらっしゃると思います。
しかし、私が皆様に申し伝えたいのは、日中の軍事衝突を積極的にであれ、消極的にであれ、また、意識的にであれ、無意識的にであれ、容認するという方は、上述のような場合をきちんと想定しておいていただきたいということです。
■次に、これらの国際的緊張の本質についてです。
これは私の創見ではなく、国際関係論の中でよく指摘されることですが、
国際的緊張の本質は、実は国内問題なのです。
なんらかの難しい国内問題があって、その問題を解決することの代わり・代替策として、国際的な緊張を高めるという選択肢が選ばれるということが多いのです。
今回もこのパターンに該当すると思います。
では、日中の緊張の高まりの本質にあたる、国内問題とは何でしょうか?
それは、景気(雇用、賃金、労務問題、税制、金融政策)、福祉(健康、育児、介護、年金)、防災、原発、規制緩和・・・先の東京都知事選挙で主要争点となったことがそうです。
日本国内は問題・課題が山積ではないですか。
そして、それは中国でも同じなのです。韓国でも。アメリカでもそうです。
財政問題、金融問題、ブラック企業問題、格差問題、少子高齢化…
これらの解決困難な国内問題があるからこそ、時の政権は統制を強めて、経済を回復し、自らの支持率を維持するために、あえて国際的緊張を高めるのです。
これは、もはや国家運営・共同体運営のお約束・マニュアル・常套手段のようなものです。
ですから、私達は本来であれば、国内問題にこそ目を向けるべきなのです。
・・・ですが、ただ、確かにこの度の右傾化は、その日本の国内問題の解決が、日本一国の範囲だけでは解決ができないことから生じたものでありました。
そもそもの文脈を辿れば、第二次大戦後、戦後レジーム(サンフランシスコ講和条約、日米安全保障条約)を受け入れ、
米ソ冷戦下をアメリカ合衆国の下で、朝鮮戦争、ベトナム戦争、中東戦争を経ながら高度経済成長からバブル経済へ。(ロックフェラーセンターを買収したのでした。)
しかしそして、東西冷戦終結し、その後すぐに、バブルは崩壊します。
そして、アメリカ一強時代へ。湾岸戦争、失われた10年、9.11テロ、イラク戦争、アフガン紛争。
そして、リーマンショック、3.11東日本大震災です。
そもそもの問題は衰微するアメリカの覇権、及びそれにより利害が変化した日米同盟にあるのでした。
端的にいえば、アメリカが日本を保護する理由がなくなったということです。(それどころか、TPPによって、日本の国益に干渉し始めています。)
このような流れの中で、3.11東日本大震災と、あの福島第一原発の事故が発生して、日本のナショナリズムが高揚し、金融緩和(アベノミクス)、財政出動、排外主義(反中、反韓、反米)、軍備拡張・・・になって行くのは大局的な視点から見れば、ごくごく自然なことです。
つまり、そういう意味では、日本の種々の国内問題は確かに、進化/深化した国際化/グローバリゼーション=パックス・アメリカーナ、及び新型大国間関係(G2)の帰結なのです。ですから、そういう意味では国際的緊張の高まり及び日本の右傾化は正しいのです。問題の本質は国際関係の方にあるのですから。
しかし、その右傾化が正しいのも、今述べたような国際情勢に合致する限りにおいてです。政治は生き物です。国際政治も生き物です。国際情勢は常に変化します。
私が申し上げたいのは、基本的には、現在の国際的緊張の高まり及び右傾化は、国内問題を解決するためだということです。
つまり、国際関係よりも、国内問題の解決こそがより重要だということです。
優先順位は国内問題の方が上なのです。
国内問題がまずあって、それが、国内だけで解決できない問題だから、国際問題が前面に出てきているのです。
そのことを忘れてはいけないと思います。
ですから、私達は、現在は右傾化するという道を歩んではいますけれども、今までと同じように、いつもどおりに冷静に舵取りをして、安易に軍事衝突を容認するというようなことは慎まれた方がよろしいように思われるのです。
■若年層・若者について、お伝えしたいことがあります。
最初に自己紹介させていただいた通り、私は現在32歳なのですが、若年層のひとりとして、皆様にお伝えしたいことがあります。
今、若年層の生活はますます厳しくなっています。もちろん世代にかかわらず大半の方々が同じような状況に置かれているということはわかっておりますが(特に、児童、女性、高齢層など)、今回は若年層の話をさせてください。
ようやく3.11東日本大震災以降、ブラック企業問題をはじめとして、
奨学金(お金がないと大学を卒業できない)や、就職活動(仕事が見つからない、見つかるけど低賃金労働)、結婚活動(相手が見つからない、見つかるけど結婚資金がない)、待機児童(子供を生んでも預ける保育所がない)、年金(生涯収支がほとんどゼロ、又はマイナス)、などの問題が注目されるようにはなってきました。
政府もようやく対策をとり2014年度予算に盛り込まれたそうですが、まだ予断は許さない状況です。実感として、不満・不公平感が和らいでいるわけではありません。
しかし、若年層支援に対する多くの団塊世代、高齢層の方々の意見は以下のようなものです。
「甘やかしてはいけない」
「私達の若い頃は現在とは比べ物にならないほど貧しかった」
「あなたたちは貧しい、貧しいというが、戦時中を知っているのか?」
結論から申し上げれば、このような意見が、若者を軍事衝突に向かわせています。
人々曰く、
「中国が反日を口実にして若者の暴走を許しているのだから、日本も、若者の雇用対策を口実にして、若者に軍隊で働いてもらえばいいではないか。」
「日本が軍事のノウハウを得て、新しい国際秩序の中で普通の国として生きていくためには、避けることのできないプロセスです。」
私達は戦争や軍事衝突を知りませんでした。ですが、これからそれを知ろうとしています。
これで、もう、「あなたたちは貧しい、貧しいというが、戦時中を知っているのか?」と、言われることもなくなります。
おそらく、先行世代からすれば、これは愛のムチなのだと思います。
私達若年層は先行世代の愛(のムチ)によって、軍事衝突へ向かわされています。
さて、ところで、最終的に若者達はこの愛のムチに感謝するでしょうか?
私が危惧するのは、若者の反動です。
特に、現在の団塊世代、高齢層が、若年層の問題に対して、
「不満や不公平感があるなら、自分達で奪え。私達もそうしてきたのだから。」
というように考えている点がとても気がかりです。
若者はこの要請に対して、「わかりました」と了承せざるをえない状況です。
私は日本人は、前述のようなストーリー(物語)を本気で実現しようとしていると思います。
私はこの脚本に一定の共感は感じます。確かに親と子の関係は乗り越え、乗り越えられるもので、一面では、人類の歴史は親子闘争の歴史であったと思います。
ですけれども、それでは、やはり「いつか来た道」なのです。
第二次世界大戦前夜に起きたことを、そして、その後に辿った道を、もう一度繰り返すだけだと思います。
■最後に
最後に、恐縮ですが、簡単ではありますが、私の推奨案を付言させていただきたいと思います。
まず、なによりも、このたびの国際的緊張に対しては、引き続き、冷静且つ毅然と対応し、そして、軍事衝突については、あくまでも国際協調関係(戦後レジームのことですが、、但し変わりつつあります)を第一として、(今後予想される)新しい国際秩序における日本の誇りある地位を前提として慎重に対応するのが望ましいと思います。
(※安易な軍事衝突は戒められるべきであり、あくまでも今後予定されている新しい国際秩序の中で、今までよりも日本に有利な立場を得るという目的のために、あえて、穏やかに右傾化してみせていく。というのがもっとも賢明で、あるべき姿勢なのだと思います。)
そして、日本は、今一度東アジアの中で、世界の中での自身の地位を選びとるべきなのです。
7、80年ほど前に一度は踏み誤った道を今度こそ、自分達の手で、しっかりと掴み取るべきなのです。
先を見据えて、未来を見据えて、中国と対峙して、アメリカと対峙して、世界と対峙して、その時に日本は、この国のために一命を捧げ、犠牲になった御霊(みたま)に真に報いることができるのだと信じています。
わふまなふ拝