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Loginはこちら【1483】[1813]2015年8月30日国会前抗議活動の様子を投稿します
副島隆彦を囲む会・古村治彦です。
長らくお待たせを致しました、講演会・定例会DVDの発送は昨日から開始いたしました。お届けまでもうしばらくお待ちくださいませ。ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。ご注文はまだまだ受けつけております。
※以下のアドレスからご注文いただけます↓
https://www.snsi.jp/shops/index#dvd
2015年8月30日(日)に日本各地で安保法制反対の集会やデモ行進が行われました。東京にある日比谷公園や国会議事堂前には、主催者発表で12万人、警察発表で3万人の人々が集まったということです。
その時の様子が分かる写真と動画を貼り付けます。
●写真
●動画(リンクをクリックしていただくと動画が始まります)
①日比谷公園から国会前の様子
https://www.youtube.com/watch?v=6ohr-TAI14M
②抗議集会の様子(5分過ぎから各野党党首の演説があります)
https://www.youtube.com/watch?v=qim1R1fEvEk
※いずれも「真実を探すブログ」(http://saigaijyouhou.com/blog-entry-7814.html)から転載を致しました。
古村治彦拝
【1482】[1812]私の金融セミナーは満員御礼。 世界株崩れ が続いて、2番底 ができつつある。
副島隆彦です。 今日は、2015年9月2日です。
ついに世界的な金融崩れが始まったようだ。 日経平均は、1日、724円下落して終わった(18165円)。そして、今朝の5時に、NY株式市場は、469ドル下落で終わった(16000ドル割れがあった)。
一回目の8月24日崩れ(1番底)、を、政府たちは買い支えきれなかったようだ。これは2番崩れの発生である。
下↓ の 「1809」番でお知らせした 「 9月6日。副島隆彦(そえじまたかひこ)の“予言者”金融セミナー 第10回 」は、申込者があふれて、満員御礼となりました。
まことにありがたいことです。多くの人がキャンセル待ちになっています。それで、私は、追加公演を計画したのですが、そうではなくて、もっと本格的に、なんとか10月の頭(あたま)に、次の 金融セミナーを、今度は、東京体育館のような大会場を借りきって行なおうかと目論(もくろ)んでおります(笑)。
従いまして、今から、会場に出かけようとお考えの皆様は、どうか、もう少し情勢をじっと見て、お待ちください。すべては目下の“世界金融崩れ”の成り行き次第です。
私が、近著「官製相場 の 暴落が始まる」(祥伝社)と 「熱狂なき株高 で踊らされる日本」(徳間書店) で予測してきて通りの事態になった。 サブプライム危機(2007年8月)、翌年のリーマン・ショック(2008年9月)から8年だ。
あれから8年が経ったのだ。 噫(ああ)、あれから8年だ。私は、6年目ぐらいで大暴落、大恐慌突入 を予測していたのだが、そのあと2年、粘られて遅れた。ようやく、私が予測(予言)した通りに大暴落が始まった。私は、急いで今の事態を分析し、これからの激しい動きを予想、予見しなければいけない。
私は、ここの「今日のぼやき、1551番」で、8月25日に、次のように書いた。
(転載貼り付け始め)
昨日(24日) 、日本の株価(東証の平均株価)が、895円 暴落しました。先週末(金曜日)の600円下落を引き続いたものだ。 NYの株価も落ち続けている。 昨夜、10時半に、「NYダウ 取引開始直後、1000ドル下げ」というニューズがあった。終り値は、400ドルぐらいの下げだろう。
この動きが今週、ずっと続くようだと、世界経済はいよいよ停滞し、大不況に突入する。この動きをなんとか阻止しようとして、現在、米・欧・日の先進国3地域で、深刻に連携、談合をやっているだろう。
計画的な “株価吊り上げ” を、このあとも、政府資金の投入でやって乗り切ろうとするだろう。株価の大暴落を喰い止めようという必死の弥縫策(びほうさく)だが、この 統制経済(コントロールド・エコノミー)の・・・・市場操作 に失敗するようだと、今の動きは、確実に「ドル覇権の崩壊」に繋(つな)がる。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。 日本政府と、アメリカ政府(米財務省とFRB)が、この2回目の株崩れを買い支えて阻止できないようだと、本格的な世界的な株の大暴落の始まりとなる。
2回目の株暴落を 日本の政府資金(年金=GPIF、日銀ETF、郵貯)で買い支えて、ヘッジファンドたちの 日経平均先物(にっけいへいきんさきもの)の売り崩しを阻止できないようだと、さらなる“連鎖する大暴落”となる。
政府が、「どれどれ権力者であるオレさまたちが 」と 自分でバクチを張ると、失敗するに決まっている。
軍隊とか警察とか、税務署とかの権力機関を自由に動かせる、と 思って、市場(マーケット)という、人智(じんち)を越えた世界に、いいかと思って、嵌(はま)り込むと、動きを見透かされて、ヤラれるに決まっている。本当に愚か者たちだ。
アメリカのFRB議長のジャネット・イエレン 婆さんは、恒例の8月末の、ワイオミング州ジャクソンホールでの会合を欠席して逃げまわっている。表に出てこない。怯(おびえ)まくって、どうしていいか分からなくなっている。
「9月の米の政策金利(短期金利)の0.25%の引き上げ」どころの騒ぎではない。 そんなことをしたら、アメリカから資金が一斉に逃げるから、NYの株価がさらに暴落を続ける。
それよりも怖(こわ)いのは、米国債(ナショナル・ボンド、財務省証券)の大きな崩れである。一番恐ろしい、この「債券バブルの崩壊」、「緩和(かんわ)マネーの終わり」の話はここには書かない。
「中国の景気減速が世界に悪い影響を与え」と、すべて、中国のせいにして、今の世界株崩れを説明しようとする。なんというワルいやつらだろう。あれほど中国のことを長年、腐(くさ)して見下(みくだ)して、軽蔑してきたくせに。
今頃になって、「世界の経済は、実は(実需中心である。世界の実物経済を支えてきた)中国を中心に動いているのだ」ということを、いつの間にか、認めている。
中国は強いから、株式(上海総合指数)が、3000ポイントを割って、2500近くまで崩れても平気だ。 中国人は、天性の博奕(ばくち)打ちだから、平然としている。暴落したら、そこから買い上げる。 日本人のように、これぐらいのことでは脅(おび)えない。
私は、『中国、アラブ、欧州 (ロシアもインドも)が手を結び ユーラシアの時代 が 勃興する』(ビジネス社刊、2015年8月初 刊) を出した。 その中で、「(7月に)中国株の 一番底だ。 この先の動きを見極めて、人民元預金をして、中国株を買うべきだ。中国は強い。中国は勝つ」 と書いた。 この本を買って読んでください。
中国は、「社会主義的な特色のある市場経済 」を 実行しているから、いつでも統制経済(とうせいけいざい、コントロールド・エコノミー)に移行できる。先進国は、「自分たちは近代人で、法の支配(ルール・オブ・ラー)を大事にするから、株式市場の閉鎖 とか株式の取引停止などということは出来ない。法律違反だから」 と 強がりで言っている。
どうせ、このあとは、取引停止の連続的な嵐が 世界中の各市場で 起きるのではないか。
GPIF (114兆円。年金資金投資運用 なんたら)は、日本国民の大事な、年金の積立金を、株というバクチに突っ込んで、「15兆円、儲かった」と宣伝したばかりだが、この8月末からの 株崩れで、痛手を受けて、もう20兆円ぐらいの評価損 を出しているようだ。
ということは、「あと11兆円あるはずの、日本国内株式 への投資余力(よりょく)」が消えてしまっているようなのだ。 彼らが、(政府の機関のくせに)発表しないから、真実が分からない。 のたうち回っているのではないか。あの GPIFの建物から、飛び降り自殺する責任者が、数人、出ることを私は希望する。
公的資金から利益を出す、というのは禁止である、と全国の公務員は、頭の芯(しん)から、叩きこまれた重要な、「公務員の服務規程、教育勅語、戦陣訓」だったはずだ。それを、竹中平蔵たちが、「公務員も 利益出せ、利益を出せ」と喚(わめ)いて、法律違反をたくさんやって、今の事態だ。
アメリカさまに 日本国民の 大切な資金を貢ぎ続けることしか頭にない、本当に、悪魔の様なやつらだ。“インタゲ”の旗振り人、伊藤隆敏(いとうたかとし)、西室泰三(にしむろたいぞう)たちも同罪となる。 日本国民の年金が、吹き飛んだら、お前たちは、本当に、国民から石を投げられるでは済まない。縛り首だ。
日本政府とアメリカ政府とEU(ヨーロッパ)政府が、目下の株崩れを、買い支えることが出来ないと、何が起きるか。このあとどうなるか、だ。やっぱり、中国と同じで、ゆくゆくは、・・・市場統制、取引停止、市場閉鎖 ということになるのではないか。バカな奴らだ。
私、副島隆彦 の友人のひとり は、「副島。このあとは、ずっと暴落だから、日本版のVIX(ヴイアイエクス、恐怖指数)を買うよ」 と言った。以下の 「株が暴落しそうになったら、激しく跳ね上がって儲かる」日本版の VIX(恐怖指数)のURLを載せます。 天性、博奕打ちの素質のある人は、参考にしてください。
1552 国際のETF VIX短期先物指数
http://www.nikkei.com/markets/company/index.aspx?scode=1552
2030 iPath VIX短期先物指数連動受益証券発行信託
http://www.nikkei.com/markets/company/index.aspx?scode=2030
副島隆彦です。 以下は、最新の新聞記事だ。
(転載貼り付け始め)
●「 NYダウ終値、469ドル安…1万6058ドル 」
読売新聞 2015年9月2日(水)5時58分配信
【ニューヨーク=越前谷知子】1日のニューヨーク株式市場で、ダウ平均株価(30種)は大幅下落し、前日終値比469・68ドル安の1万6058・35ドルと3営業日連続で下落して取引を終えた。ナスダック店頭市場の総合指数は、140・40ポイント安の4636・11で取引を終えた。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。 お、この読売新聞のNYにいる 越前谷知子(えちぜんやともこ)という記者は、愛国者・中川昭一(なかがわしょうち)の失脚と死に関係している女だ。死ぬまで、中川の亡霊の追いかけられるだろう。
「この300億ドル(3兆円)は、ヨーロッパの貧しい国々に、日本からのプレゼントです」と、ストロスカーンIMF議長(当時、後に、女性問題スキャンダルでアメリカの計略で失脚させられた。フランス大統領になるべき人だった)を喜ばせた。中川昭一財務大臣(当時)は、「日本の外貨準備高から、切り取って与えた」のだ。これにアメリカ財務省が怒り狂った。それで、中川昭一は、殺された。
(転載貼り付け始め)
● 「 日経平均大引け、大幅続落 700円超下げ、中国景気への警戒感 」
2015/9/1 15:07 日経新聞
9月1日の東京株式市場で日経平均株価は大幅続落した。終値は前日比724円79銭(3.84%)安の1万8165円69銭で、直近の安値を付けた8月25日以来の低水準だった。東証1部の95%以上の銘柄が下げるほぼ全面安の展開だった。
きょう午前発表の8月の中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)が好不況の分かれ目である50を下回ったことで、中国景気の減速懸念が再び強まった。
投資家の運用リスクを回避する動きが続き、外国為替市場で円相場が1ドル=120円台半ばまで円高・ドル安が進行。輸出企業の採算悪化を懸念する売りも重なった。終盤には株価指数先物に断続的に売りが出て下げ幅を広げ、きょうの安値で終えた。
●「 日経平均先物、夜間で一時300円超下落 欧州株安、円高で売り加速 」
2015/9/1 18:02 日経新聞
9月1日夕刻 の大阪取引所の夜間取引で、日経平均先物が一段と下げ足を速めた。中心限月である2015年9月物は一時、同日の清算値に比べ320円安い1万7790円まで下げた。
日中と夜間取引を合わせて8月26日以来の安値水準。欧州株式相場が軒並み下落したことを嫌気した売りが続いた。
外国為替市場で円相場が対ドル、対ユーロともに円高が進み、日本企業の輸出採算の悪化を懸念して売りの勢いが増した面もある。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。 現在の 朝8時30分の 「日経平均先物」は、17,880円で、995円安だ。▲5.07%だ。 暴落が続いている。
しかし、 「24時間市場」の「日経平均CFD」の方は、17,845円 の 安値から切り返しつつあって、318円安だ。 ▲1.78%だ。 アメリカのヘッジファンド=国際投機筋=どもは、“日本売り”を続けるつもりだ。
このあと、今日の東京市場が開くのだが、安値から始まり、もみ合うだろう。日銀は、日銀ETFを、義理堅く、336億円今日も投入するかもしれないが、政府の主力艦であるGPIFが、 2000億円ぐらい突っ込んで、一個師団投入で、「何がなんでも吊上げてやる」と出るか、見ものである。
副島隆彦拝
【1481】[1811]天武天皇の正統性について
藤原氏について
藤原不比等が『日本書紀』に登場するのが持統三年(689)です。これ以前には、藤原氏は存在しません。すべて中臣氏です。『日本書紀』は、万世一系の天皇の日本統治を正統化するために創られた書ですが、また藤原氏の存在を正当化する書でもあります。
天武天皇の時代に始められていた「史書編纂」は、大宝元年(700)には、一応完成を見ていた。遣唐使・粟田真人は、それを携えて唐に渡ったのでした。しかしそれのあまりの独創ゆえ、唐朝に受け入れてもらうことが出来なかった。改訂する必要がありました。改訂作業の参考にしたのが中国最新の正史『隋書』でした。
『古事記』は、改訂版『日本書紀』の青写真です。『古事記』が推古天皇で終わっているのは、隋朝が推古天皇の時に滅び、記述がそこで終わっているからです。『古事記』は、和銅五年(712)正月、稗田阿礼が語ることを、太安万侶が書記した、との序文を持つ。
この二年後の和銅七年、「壬申の乱」の生き残りで、天武朝・持統朝の真の主宰者・高市皇子の片腕で、軍の実権を握っていた大納言兼大将軍・大伴安麿が亡くなっています。この時から藤原不比等が亡くなる養老四年(720)八月までが真の不比等の時代です。『日本書紀』は、この年の四月に撰上されています。不比等は、改訂『日本書紀』に、藤原氏の存在の正統性を創造して書き入れました。
天智八年十月十日、内臣・中臣鎌足が重い病に倒れたので、天皇が自ら見舞いに出向き、これまでの労をねぎらった。また十五日”天皇、東宮大皇弟を藤原内大臣の家に遣わして、大織冠と大臣の位とを授く。よりて姓を賜いて、藤原氏とす。これより後、通して藤原内大臣と云う。十九日、天皇、藤原内大臣の家に幸(いでま)す。”
不比等の時代は、いまだ天智勢力と天武勢力が拮抗していた。不比等死後に実権を握ったのは、高市皇子の息子の長屋王(ながやのおおきみ)です。不比等は、用心深く大皇弟(後の天武天皇)の顔もちゃんと立てて『日本書紀』を創っています。養老四年の不比等の死から、神亀六年(729)二月、長屋王殺害まで、長屋王の時代です。長屋王の殺害は、不比等の四人の息子の共謀です。不比等の四人の息子はそれぞれ独立して藤原四家を作りました。長男の武智麿の家を南家と云い、次男・房前(ふささき)の家を北家、三男・宇合(うまかい)の家を式家、四男・麿の家を京家と呼びます。
天武系勢力の重心・長屋王を滅ぼし、藤原氏の時代が始まったかに見えました。しかし、好事魔多し、天平九年(737)、わずか四か月の間に、藤原四家の当主が四人とも病に倒れ死んでしまった。人々は、長屋王の怨霊が荒れ狂うのを見たのです。長屋王の遺子・鈴鹿王を知太政官に祭り上げ、天武系の人物である橘諸兄を右大臣に任じ、長屋王の荒れ狂う御霊を慰めた。ここに天武勢力が息を吹き返したのです。
続く。
【1480】[1810]天武天皇の正統性について
大伴氏の立場 2
壬申の乱の天武(大海人皇子)の勝因の第一は、美濃尾張国で近江朝(大友皇子)が徴兵していた二万の民衆を何の抵抗もなく手に入れたことです。
そして第二の勝因は、大和古京で名門大豪族の大伴氏が一族を結集して天武に付いたことです。
この大伴氏で最も活躍したのが、大和古京での蜂起の成功を、不破関(今の関ヶ原)に陣を張っている総大将高市皇子(天武の長子)に伝えた大伴安麿でした。安麿は、孝徳天皇(在位645~654)の下で右大臣を務めた大伴長徳の第六子と書かれています。
大伴安麿は、和銅7年(西暦714)五月、正三位大納言兼大将軍で亡くなっています。天武・持統朝の真の主宰者であった高市皇子が亡くなった持統十年以降、軍事の中心にあり文武朝・元明朝に睨みを利かせていた。安麿は。高市皇子の片腕であったと考えられます。
この安麿が『万葉集』の中心的歌人の大伴旅人、大伴坂上郎女の父、『万葉集』の最終編者と考えられている大伴家持の祖父であることは前にも述べました。
『万葉集』から安麿の最初の妻が、近江朝の大納言巨勢人卿の娘であったことが判ります。巨勢人卿は、大友皇子(明治に追号され弘文天皇)に最後まで忠義を尽くし「壬申の乱」の後、本人並びに子孫を悉く流罪に処す、との重い刑を受けています。安麿の最初の奥さんは、この巨勢人卿の娘だったのです。大伴旅人は、安麿と巨勢人卿の娘との間に誕生している。安麿の家庭を悲劇が襲っていた。安麿と妻は、引き裂かれていた。
安麿の二番目の妻は、石川郎女です。石川郎女は『万葉集』の中心的ヒロインです。草壁皇子(天武天皇と皇后後の持統天皇の間の子)と大津皇子が、石川郎女を争った歌が『万葉集』に残されています。
大津皇子、石川郎女に送る御歌一首
あしひきの山のしずくに妹待つと われ立ち濡れぬ山のしずくに 〔107〕
石川郎女、和(こた)へ奉る歌一首
あを待つと君が濡れけむあしひきの山のしずくに成らましものを 〔108〕
この〔108〕後の歌〔109・110〕を読むと、石川郎女は、皇太子草壁皇子の寵愛を受けていたが、草壁皇子のもとを去り、大津皇子に走った。大津皇子が殺害された原因に、この事があったのではないかと云われている。
つまり、石川郎女はいわく付の女性であった。草壁皇子の母である持統天皇に睨まれている存在であったのです。安麿の次男・大伴田主は、石川郎女との再婚に反対であったことが『万葉集』より判明します。
この石川郎女との間に生まれたのが女流歌人として最も多くの歌を残した大伴坂上郎女です。
和同7年(714)、大伴安麿が亡くなった後、第一の実権者に君臨したのが藤原不比等(養老四年、西暦720没)です。この不比等の時代に『日本書紀』は精力的に改修され完成を見ています。なお『古事記』は、和銅五(712)年正月に書いた、と序文は述べています。
藤原不比等の父・中臣鎌足は、天智天皇の信頼の篤い片腕でした。持統天皇は天武天皇の皇后でしたが、天智天皇の娘です。また元明天皇も天智の娘です。天智の娘たちは、父の信頼篤い中臣鎌足の遺子・藤原不比等を上手に匿い、大事に育て上げたのだと思います。天智系勢力の中心に藤原氏が成ってゆきました。
それに対し、天武系勢力の中心は大伴氏でした。藤原不比等が亡くなった後、高市皇子の子・長屋王が右大臣、左大臣(721~729)になり実権を握ります。まだまだ天武勢力が健在であった証拠です。
しかし、神亀六年(729)二月、藤原不比等の四人兄弟の共同謀議により長屋王は、謀反の濡れ衣を着せられ殺害された。天武系勢力の大々挫折です。天武系勢力の中心、長屋王家の藩屏の中心であった大伴氏は、何をしていたのか。
大伴氏の頭領・大伴旅人は、神亀四年の年末に太宰帥を拝命し、都を留守にしていたのです。帰京するのは天平二年(730)の年末です。大納言に昇進して帰京しています。『万葉集』は、第五巻を中心に、旅人の太宰帥時代の歌を数多く残しています。それらの歌を読むと、藤原四兄弟と、大伴旅人の間に、取引があったとしか思われないのです。大伴旅人が、長屋王を裏切ったのではないかと。
【1479】[1809]この7月、8月に世界で何が起きていたか。 そして 私の金融セミナー開催 のお知らせ
副島隆彦です。 この暑い夏の7月、8月に 世界で何が起きていたか。
以下に箇条書きにする。
初めに、お知らせしておきます。私たちの学問道場の先の定例会の講演会の
DVDの作成が、うまくゆかずに、手間取っています。 あと数日中には、からなず完成してお知らせしますので、 お待ちください。
待ち詫(わび)て、私どもに問い合わせをしてくださいました 会員の皆様にお詫びを申し上げます。
あと少しお待ちください。
もうひとつ お知らせです。 私、副島隆彦 が 5時間、ずっとぶっ続けで 演説する、恒例の 私の「金融セミナー」が、近日中に開催されます。来たる9月6日です。
場所は、東京の築地の朝日新聞社の本社の、入り口から中にずっと入っていったところにある 浜離宮(はまりきゅう)朝日ホールです。
( ここから お知らせ )
副島隆彦(そえじまたかひこ)の“予言者”金融セミナー 第10回
『「熱狂なき株高」で踊らされる日本』(徳間書店)発刊記念
マイナンバー制(預金検査)が襲いかかる!
金(ゴールド)と 現金 以外は信じてはいけない。
忍び寄るインフレと預金封鎖の実施へ。相続税対策は?
世界経済は、どう変化し、日本の運命はどうなる。
日本、中国、米国の今後の関係は?
副島隆彦(そえじまたかひこ)の“予言者”金融セミナー 第10回
*会場:浜離宮朝日ホール 東京都中央区築地5-3-2 朝日新聞東京本社・新館2階
*日時:2015年9月6日(日) 開場・受付:10:00~ 終了17:00(予定)
*受講料:15,000円(税込)/指定席
問い合わせ(平日:10~18時)
ブレイントラスト企画
TEL:03-6261-5465 FAX:050-3153-2488
メール bt-soejima@nifty.com
申し込み
http://kokucheese.com/event/index/326711/
(お知らせ 終わり)
副島隆彦です。 この金融セミナーでは金融、経済の最新 と この秋からの動きの 予測をします。テレビ、新聞などでは知り得ない 世界の 金融の本当の動きと ウラの動き、を知りたい人は来てください。あるいは、私の怒鳴り声での本気の演説を聞いて、ちょっと元気を出したい人もどうぞ来てください。 損はさせません。
それで、この暑苦しい、7月、8月に 世界で何が起きていたか。
1.7月5日に、ギリシアで国民投票(ナショナル・レファレンダム)があって、ツィプラス首相が60%の政策支持を得た。それでEUとの救済・支援策の交渉で EUに圧力を掛けて一応、勝った形になった。EUは、さらに900億ユーロ(12兆円ぐらい)の支援パッケージを示した。
2.7月8日。 中国で株式の暴落があった。高値だった上海総合指数(しすう)5100(6月12日)が、4000まで落ちた。 今(8月17日)は、4900まで持ち直している。
3.同じ7月8日から、BRICS(ブリックス)の5カ国の首脳会議がロシア(ウファという都市)であった。BRICS銀行が年内にも事業を開始して、AIIB(アジア・インフラ投資銀行)の開業と軌を一にする。
4.7月14日に、イランの “核抜き” 協議の合意が成立した。イラン国民は、35年間続いた 西側(ザ・ウエスト)からの 経済制裁 の解除が行われて大喜びしている。さっそくイギリスの資本がどんどん入っている。アメリカ人は、怖くてなかなかテヘランには入れない。
5.安倍晋三首相が、新国立競技場(千駄ヶ谷)の3000億円に膨れ上がった建設計画を全面見直しを決めた。
これと同時に、いや本当は半年ぐらい前から、多くの政治利権が暴かれ始めて、(最初は、無記名の投書から始まった) JOC(日本オリンピック委員会)に巣食っている者たちが追い詰められている。日本の暴力団政治の頂点にいる森喜朗(もりよしろう)とその子分たちの悪事が更に明るみに出て公然化して、彼は 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 会長を辞任するだろう。
まわりがザワツイていて、それをもう押さえつけることができない。刑事事件になるのを抑えることで精一杯だろう。
6.7月31日に、ハワイで TPP(ティー・ピー・ピー、環太平洋経済協力パートナーシップ)が大失敗して、合意見送り=交渉の無期限延期、すなわち交渉の決裂、崩壊になった。
ところが、アメリカ代表のフロマンは、自分の責任を自覚せずに、かつ、責任追及の動きが米議会にもない。実に不思議な感じだ。 フロマンのUSTR代表の地位は、米議会が政権に送り込んだ閣僚であり、各業種の製造業者たちの圧力団体の受け皿である。 誰も責任を取るものがいない、というのは不思議な感じだ。
ニュージーランドが、乳製品の低関税を一切受け付けなかった、ということでニュージーランドのせいにして、12カ国の代表たちは、皆、嬉しそうに、ニコニコしながら飛行機に乗って帰った。誰も責任を取らない。
日本の甘利明大臣も、喉頭がんにかかり、髪が真っ白になるほど苦労したのに、帰ってきても、「ご苦労さん」の労(ねぎら)いもどこからもない。
あれほどの大騒ぎを、日本の有識者たちもやったのに。「 TPPは、日本の国益に叶う、どうしても合意なければ済まない、重要な経済交渉です」と言って、偉そうな解説をしていた日本の有識者(専門家)たちは、今は、赤っ恥で、黙りこくっている。これも実に不思議な感じだ。
まるで、大型の台風が来る、で、皆で心配して大騒ぎしていたのに。いつの間にか、台風はどっかに行ってしまって、消えてしまって、「熱帯性低気圧に変わりました」で、誰も騒がなくなるのと似ている。白けるなあ。
これで、アメリカとヨーロッパが交渉している TTIP(ティー・ティー・アイ・ピー)という、人を喰ったような欧州版のTPPも、雲散霧消する。ヨーロッパ人が、あのISDS(アイ・エス・ディー・エス)条項などという、「アメリカ企業が、進出先の国で 虐(いじ)められたら、その国の政府を、ニューヨークで裁判にかけることが出来る。損害賠償を請求できる 」 などという、アメリカ帝国の傍若無人を受け入れるはずがないのだ。
TPP の崩壊の原因は、中国主導のAIIB(アジア・インフラ銀行)の設立が3月から騒がれたからだ。中国がぶち上げた AIIB と「一帯一路(いったいいちろ)」構想が、「ユーラシア大陸に これから 新たに10億人分の 巨大な 需要(デマンド)を作る」。 これは、 製造業者とか農業団体(食肉、酪農業者)とかの、商品の供給(サプライ)サイドのことしか考えていない、欧米の先進国の政策立案者(ポリシー・メイカー)たちの歴史的な敗北だ。デマンド(需要)創出派 と サプライ(供給)重視派の闘いで、サプライ派が負けたのだ。彼らは、これからの新しい世界の動きから取り残されてゆく。このことが、決まった、ということだ。
それと、金融市場(マネー・マーケット)という 仮想の世界で、実需(じつじゅ)の経済活動を無視して、仮需(かりじゅ)でしかない部分から派生した 金融取引が膨大化して、そこでの金融バクチ(博奕)しか脳がない、強欲金融人間たちが、敗北しつつある。自分たちが今でも、世界の金融の最先端技術(ハイテク)の エリート人間だと、大きく勘違いしていることが、大きな背景にある。
クレジット・デリバティヴなどという、今やその欺瞞的な手法が満天下に暴かれてしまった、インチキ金融商品で、「お金でお金が生まれる」と信じて疑わない、馬鹿野郎たちの時代が、もう終わっている。 世界は、2008年のリーマン・ショックのあとは、「(うそ臭い)金融 から (中身のある)実物経済(タンジブル・エコノミー)の時代へ 」と大きく変わったのだ。
だから 世界は、もっと、実需 = 有効需要(イフェクティヴ・デマンド)の創出こそが大事という 偉大なる経済学者のジョン・メイナード・ケインズが言ったとおりに、戻りつつある。マネタリストも 合理的予測派(ラッショナル・イクスペクテイソニスト)も底が割れて、本性が露見して、大敗北したのだ。 そのことが原因で、 米、欧、日の金融市場中心の世界は、いま、激しく再構築 = 変身(メタモルフォーシス)されつつある。 このことに気付かない者たちは、新しい世界の動きから取り残さてゆく。
アメリカが世界一で、日本はしっかり、お金を払い続けて、アメリカについてゆけば、日本は安泰だ、と考えている程度の人間たちでは、もう、これからの世界( 新興国と途上国が主導する )にはついて行けない。 勝手に自滅するがいい。
7.7月19日に、アメリカのユダヤ人の 強請(ゆす)り集(たか)りの人権団体である サイモン・ヴィーゼンタール・センター ( ここに電話しても、center?「センター?」としか応答しないことで、アメリカ国民には有名)が、三菱マテリアルを訴えていたことが分かった。 その和解で、94歳かの 米兵で日本で捕虜だった者(3人いた?)が、日本の収容所で強制労働をさせられた、と言って訴えていた件なのだが、それで、三菱マテリアルが、おそらく 1千万ドル(12億円)とかを 示談=裁判外の和解 で、払っただろう。
振るっていたのは、この和解の仲介に立ったのが、岡本行夫(おかもとゆきお)だったことだ。彼は、三菱マテリアルの社外重役(アウトサイド・ディレクター)もやりながら、同時に、自分の会社で、この和解交渉の報酬を受け取ったはずだ。利益相反行為(りえきそうはんこうい)だ。 何というキタナイやつだ。こういうことをして商売をやって生き延びている。 雅子妃と特別に親しいお友達だから、こういうアメリカからのユスリ、タカリにあうとビクついて、誰も何も書かない。財界人たちは、皆、白(しら)けて黙っている。
「恐ろしいなあ」、「うちもいつやられるか、分らんからな」、「気をつけようぜ」、「そんときはそんときさ」「安部首相にも困ったものだ。あいつがガキだから、いきがって、世界を敵に回すから、こういうことになるんだ」・・・ こういう感じだ。
その米兵には、200万ドル(2・4億円)ぐらいがゆくだろうが、あとは、岡本の手数料と、その他のほとんどは、サイモン・ヴィーゼンタール・センター行きだ。 被差別民の団体の、人権侵害を糾弾する闘いが、最後は、お金の問題で、ユスリ・タカリになって、それで、ますます、世の中の人々の重低音の差別感や、恐怖感と嫌悪感を作ってしまったこと、の まさしく、世界バージョンだ。
私が、最近、アメリカのテレビ・ニューズを見ていて気づいたのだが、「アメリカでは、人権(じんけん)の値段は6億円だ。高いなあ」ということだ。 アメリカで、警察官に職務質問のあと揉(も)めて、撃ち殺された黒人の値段は、ひとり 一律に、5百万ドル(6億円)ということが分かった。
ニューズを見ていたら、裁判所の民事裁判(損害賠償請求)で、判決は、いずれも、撃ち殺した警察官の所属する市議会や、シティ・カウンシル(数人の合議体)が、「5百万ドル払え」となっている。 そうか、アメリカの 人権( 人命そのものではない。人命など安いものだ。公然と争われた場合の人権の値段だ ) は、5百万ドルだと、分かった。
私は、20年前に、友人の弁護士と書いた『法律学の正体』や『裁判のカラクリ』という本で、この 「人権(じんけん)にも値段が有る」、「裁判所は、その値段を決める」と書いた。これは、Law and Economics ラー・アンド・エコノミックスという シカゴ法学派の理論である。 私は、こういう研究もずっとやって日本に紹介してきた。ところが、日本人の知能が落ちているので、それを受け止めるだけの知識人階級の能力がない。
「人権に値段をつける何て。そんなはしたないことはできない。私は考えたくない」という程度の、知能の低いリベラル派(この世の中を、自分の正義感とキレイごとだけで考える人たち)が、ほとんどだから、私は、ずっとじっと我慢して 世界基準の学問と思想のはこうなっている、と 日本への導入、紹介の仕事を、コツコツとやってきた。
自分の家族が警官に撃ち殺された、その家族(遺族)たちの、涙ながらに、しかし実に嬉しそうな顔がテレビに映る。それを ジーっと見ているのが、「進化した人間たち」である アメリカ白人市民たちだ。
「くそ、その5百万ドルは、オレの市民税だぞ」と、野卑な白人(だいたいデブ)は、テレビに向かって喚(わめ)いているはずだ。だが、外では、そんなことを言えない。
言ったら、周りから、白い目で見られる。でも、みんな、もう分かっている。うんざりしている。 アメリカ独特の偽善(ぎぜん、ヒポクリシー)と、合わせて、ヨーロッパでの、あの アフリカから押し寄せる経済難民たちのものすごさに、たじろいでいる感じが、今の世界だ。 人権にも値段が有るのだ、と、皆、日本人もそろそろ知りなさい。
こういう 問題は、私、副島隆彦しかはっきりとは書かない。私は、自分に何があってもいい、言論の自由と日本国の利益 のために闘う、と決めている人間だ。
8.7月23日。 世界一の超高級紙(ハイ・クオリティ・ペイパー)であるイギリスのFT(エフティー。フィナンシャル・タイムズ)を、日本経済新聞が、1600億円(8・4億ポンド)で買収した。
ザ・エコノミスト誌と FTの本社ビルの財産権(所有権)は別個にして売らなかったようだ。 FTの全株式で、時価で、たったの1600億円かよ、と、私は、このニューズを聞いた時、唖然とした。 ジャーナリストとか言論人とか学者たちの 値段は、本当に、このように安いものなのだ。日本だけでなくて世界中で、新聞記者や言論人の値段は安い。 50億ドル(6000億円)もしないのだ。 私は、素朴に、まずこのように驚いた。
その次は、喜多恒雄(きたつねお)という日経の会長と岡田直敏(おかだなおとし)社長が、ロンドンに乗り込んでいって、記者会見で、英語で、「栄誉あるFT紙を 私たち日本のニッケイがこのたび、ピアソン社から買いました。編集権の独立を尊重しますから、今のママ、記者たちは頑張ってください」と演説するのかと思ったら、日本人は全く誰も出てこない。馬鹿にされているのか、始めから相手にされていなかったのか。 本当に日本という国の国力と知能(能力)の低下は、激しいものが有る。
「日経225」やらの「インデックス債」という金融商品の、指標取引の市場で、FT の名前と合体できるし、FT のインデックス債の 新商品をこれからも作れるだろう、と見込んでのことだから、決して、日経の経営陣の判断は間違っていない。「FT がたったの1600億円だなんて。なんて安い買い物をしたんだ」と 皆から羨ましがられているだろう。
それもこれも、「中国に買われるわけにはゆかなかった。日本でよかった」というイギリス政府の判断が有るのだろう。 もし、FT が、中国の 人民日報とかに買われる、ということになると、アメリカが、まず、胃がひっくり返るような痛みを感じるはずだ。
イギリスと中国の連携、同盟は、もう、ここまでいっていたのか、と、世界中が大騒ぎになる。それを、「日本のNikkei で よかったよ」 ということなのだ。 日経は、あと数年したら、このFTの株を、10倍の 1.6兆円で、中国に売ればいいのだ。そういうことになるのではないかな。
9.8月11日から、中国政府(中国の中央銀行である 「中国人民銀行」。会長は、まだ、周小川=しゅうおがわ=のようだ )が、為替(人民元)のレートを2%切り下げた。
3日間、通貨の切り下げをやって、3.75%まで切り下げて、終わったようだ。これで、1ドル=6.4元 の 元安(げんやす)ドル高になった。
対(たい)日本円では、丁度1元=20円まで、元高(げんだか)円安になっていたのに、今は 1元=19.32円 の 元安になっている。 たいしたことはない。
新聞記事は、盛んに、「中国が、自国を通貨安にすることで、輸出の促進をはかって貿易黒字を積み増して、経済成長率6%台を何とか守ろうとしている」 と書いた。私は、そうは思わない。IMF は、不思議なことに、即座に、中国の通貨切り下げを「歓迎する」と発表した。「中国政府が、通貨を市場の価格に合わせた、自由度を高めるためのものだ」とコメントしていた。
スイス政府が、今年の1月15日に、スイス・フランを対(たい)ユーロで、一気に30%切り下げた。あれと同じだ。あれで、スイス・フランで、為替の投機をやって、「スイス・フランは確実に上がってゆく」と仕込んでいたヘッジファンドたちが軒並みやられた。 たとえば、ビルとヒラリー・クリントンの 娘であるチェルシーの旦那(ゴールドマン・サックスあがり)が主宰していたヘッジ・ファンドが、このとき 40億ドル(5千億円)の損を出した。その1割の500億円の損をビルとヒラリーは被(かぶ)っただろう。
11日の、人民元の突如の切り下げに、アメリカの財務省の高官たちは、苦虫(にがむし)を噛み潰したような反応を示した。
「中国の景気減速が、世界経済に悪い影響を与えている」というコトバは、今や日本国内のお定まりの 決まり文句だ。自分の国の景気を、他に国のせいにして、それで、恥じない、というおかしな 精神構造(メンタリティ)になっている。 「中国なんて、ろくでもない国で、大した力はない」と言い続けてきたのに、「こっちに悪い影響を与えるなよ」と引き痙(つ)った顔をしている。
だから、中国の元安(げんやす)の決断は、「中国元への為替投機で、巨額の儲けを出そうとした、国際投機筋に、一泡吹かせてやる」というのもだったろう。
ホット・マネー、シュート・マネー と呼ばれる、かつて 1997年にアジア通貨危機を引き起こした、ジョージ・ソロスのような、ゴロツキ投機家( 彼は、カール・ポパーという思想家の「オープン・ソサエティ」=開かれた社会=という名の思想に忠実だ、と40年間触れ回っている。このハンガリー系ユダヤ人の国際博奕ウチは、前記のサイモン・ヴィーゼンタールほどは悪質ではないが、金融市場での相場操縦を仕組む ) 連中が、今度も蠢(うごめ)いていたので、彼らの動きを、一気に、中国が叩き潰したのだ。
故に中国の勝利だ。 ホットマネー(「熱銭」 ねっせん と中国語で言う) とショートマネー(「飛銭」ひせん、という )が、人民元に襲いかかっていると、気づいた、中国の為替と債券 のファンドマネージャーたちが、政府に連絡して、一気に、元の切り下げを断行した。
そうしたら、こういう 一回あたりの金額が大きい(一玉で 5億ドル=600億円ぐらいだろう)取引で、ポジション(建玉、たてぎょく)を一週間も持ちこたえることができない。
それで、もんどり打って、ソロスや、ジョン・ポールソンのような連中が、さっさと”損切り”して手仕舞いして、損を出したはずなのだ。「ここらで、中国を痛めつけてやれ」と コンスピラシー(共同謀議、きょうどうぼうぎ)で、欧米のガラの悪い金融博奕打ち(=国際投機家)たちが仕掛けたのに、却(かえ)って、返り討ちにあって、大損して大負けしたのだ。
そうじゃないのか? 本当の 世界金融の事情通の人間だったら、こういうことは知っているはずだ。日経新聞の経済部の記者たち程度のオツムでは、ここまでの読みは無理だろうなあ。あるいは知っていても書けないだろう。中国のことは悪口しか書けないようになっている。記者たちの自分の出世に響く。
だから、アメリカの財務省や FRB の高官たちも、自分自身も 人民元投資(ちっぽけな人民元預金だけでなく)しているものだがら、今度、損を出して、それで、中国を恨(うら)んでいるのだ。今の中国は、それぐらい、頭のいいのが育っている、ということだ。日本人のエリートたちの、アメリカに洗脳され尽くした脳では、太刀打ち出来ないので、どうにもならない。日本人はオロオロしてるだけだ。 その様子が、私には、手に取るように分かる。
自分の国も、「1ドル80円を、 1ドル120円にまで」この3年間で、「 通貨の切り下げ 」(円安=えんやす=万歳)をやったのだ。そうして、日本も 通貨安(やす)競争=通貨戦争(つうかせんそん、カレンシー・ウォー)をやってきたくせに、人が同じことをやると、とたんに、「自由市場をないがしろにするものだ。中国は信用ならない」と言い出す。
安倍晋三を、育てて、こいつは、パーだから、いいように使って、2012年の11月から、一気に、円安、円の40%の暴落を仕掛けたのは、どこのどいつだ。 自分の通貨を、自分で、下落させて、毀損(きそん)し、世界からの信用を無くしておいて、よくも、それが正しい政策だ、と居直れるものだ。
私は、このことを指して、「自分の顔に自分で傷をつける、自損行為、自傷(じしょう)行為だ」と自分の本に書いてきた。 「もう日本円は、いらない。持っていても損をするから」と、世界中の商人や、外国人相手の小さな商売をしているおばちゃんたちから嫌われるようではいけないのだ。自分で自分の信用を落とす行動をしてはいけない。自国の通貨は高くて、信用が有るのが一番いいのだ。
8月13日の日経新聞の記事に、 アダム・ポーゼンというワル (ピート・ピーターソンIIE(アイ・アイ・イ―)国際経済研究所の所長)の「米利上げ、9月見送りも」という、インタヴュー記事が載っていた。ポーゼンは、今の日本の金融政策をあやつっている人間の一人である。
このポーゼンへのインタヴューの中には、おかしなことに、「FRB(イエレン議長)は、米金利を9月に上げる予定を、見送りするかもしれない」 とは、どこにも書いていない。インタヴュアーの日経のニューヨークの記者が勝手につけた見出しなのか、何の策略があってこういうことをしたのか、分からない。
ポーゼンも、中国の動きを掴(つか)めなくて、いらいらしている。この記事から分かった。 FRBが金利値上げを9月にやって、それで景気の舵取りに失敗することを、恐れている。 その感じが今のアメリカに満ち溢(あふ)れている。
私、副島隆彦は、ここ何冊かの自分の金融本で、「どうせアメリカは、金利をあげることはできない。景気が回復していないのに。金利だけを上げて、それで、景気の回復の合図にして、アメリカ国民の気風、ムード、空気だけを 無理やり押し上げようとしても、それは無理だ」 と書いてきた。
上げられるものなら、上げてみよ、だ。そのあとに襲ってくる管理できないインフレの波が怖いに決まっている。
10. 7月の前の、この6月中に何があったか。それは、私は、ここの 重たい掲示板に、7月13日に書いた。それを読んでください。かなり重要な事を書きました。
中国で激しい権力闘争が6月中に起きていて、その決着が着いた。 習近平が、上海閥=石油閥の 抵抗と反逆を抑えきって、安定させたようだ。北戴河(ほくたいが)という渤海湾に面した高級保養地での長老たちとの「夏の合宿」が何事も無く終わったようだ。
江沢民も、曽慶紅(そけいこう)も高級幹部たち用の施設で、柔らかい拘束状態に置かれたようだ。
副島隆彦です。 最後に、再度、来たる9月6日に開かれる 金融セミナーのお知らせを載せます。まだ席はあるそうですから、お申込みください。
(お知らせ)
副島隆彦(そえじまたかひこ)の“予言者”金融セミナー 第10回
『「熱狂なき株高」で踊らされる日本』(徳間書店)発刊記念
マイナンバー制(預金検査)が襲いかかる!
金(ゴールド)と 現金 以外は信じてはいけない。
忍び寄るインフレと預金封鎖の実施へ。相続税対策は?
世界経済は、どう変化し、日本の運命はどうなる。
日本、中国、米国の今後の関係は?
副島隆彦(そえじまたかひこ)の“予言者”金融セミナー 第10回
*会場:浜離宮朝日ホール 東京都中央区築地5-3-2 朝日新聞東京本社 新館2階
*日時:2015年9月6日(日) 開場・受付:10:00~ 終了17:00(予定)
*受講料:15,000円(税込)/指定席
問い合わせ(平日:10~18時)
ブレイントラスト企画
TEL:03-6261-5465 FAX:050-3153-2488
メール bt-soejima@nifty.com
申し込み
http://kokucheese.com/event/index/326711/
(お知らせ終わり)
副島隆彦拝
【1478】[1808]敗戦後70年 の 終戦記念日 に 合わせて。
副島隆彦です。 今日は、2015年8月15日です。
暑いので、昼間も仕事をしていると、つい、ぼーっとなって
眠たくなります。 夏の午睡(ごすい)は体にいいから、夜の眠りの他にきちんと取ったほうがいい、とこの歳(とし)で改めて思います。
今日が終戦記念日(敗戦後70年、ポツダム宣言受諾の日。連合国からみれば、対(たい)日本戦争のVJ-day ヴィクトリー・アゲインスト・ジャパン・デイ) で、慰霊祭が各地であった。
天皇のお言葉があって、天皇・皇后からの、「世界を敵に回すようなことはやめなさい」という 安倍晋三への強い怒りがあって、それに安倍晋三が怯(ひる)んで遠慮した、という話はここには書きません。
昨日14日 の、安部首相の 全身ふて腐(くさ)れた感じの「侵略、反省、お詫び」の談話なのか声明文が 午後の6時の閣議のあとの官邸の記者会見場であった。 相当に圧力が、 勝利国である 連合国側=連合諸国 (ザ・ユナイテッド・ネイションズ) から、安倍に掛かったのだろう。
安倍の声明文は、もっぱら世界向けのもので、この声明文の中に、わざとらくし、付け加えられた、「・・・事変、侵略、戦争。いかなる武力の武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない」という文章は、主語が誰なのかはっきりしない、奇妙奇天烈な文だ。誰が、何の事変を起こし、何の侵略があり、何の戦争が有ったのか、まったく意味不明だ。
安倍たちは、こういう不可思議な表現で、安倍たちを厳しく監視しているアメリカが、「事変、侵略、戦争」というコトバを ポンと入れておきさえすれば、これだけで、自分たちを許してくれる、自分たちはこの窮地から逃げられる、と、心底ズルい人間がやる狡猾な、世界だましの、やり方に出た。 安倍晋三たちは、こういう自覚的な暴力団体質と、謀略人間の確信をもっている生来的な犯罪者たちだ。
私たち 日本国民は、このような 恐ろしい人間たちが、私たちの指導者(政権担当者)であることを、深く知って、身構えなければいけない。日本はどんどん危険な方向に引き釣りこまれて行きつつある。
国際法(インターナショナル・ラー)である サンフランシスコ講和条約の条文を私がずっと読んでいると、安倍が、勝手に自分(たち)の主観で、連合諸国に逆らうことはできない、ということが分かる。
この連合諸国(ザ・ユナイテッド・ネイションズ)が、そのまま、戦後の、現在の世界の秩序=支配体制であって、これが、The U.N.( ザ・ユーエヌ、◯ 連合諸国、 (× 国連 と訳すな)を作っているのだから、これに逆らう行動、と発言は、許されないのだ、ということが安倍晋三たちでも分かったのだ。
安倍晋三程度の知能の低い人間(たち)は、「外国がうるさいなあ。いつまで謝罪を続けさせられるんだよ―」と 言うことだけは何とかできた。しかし現在の世界の秩序に逆らうことはできない。 安倍たち、日本のチンコロ右翼(おそらく500万人ぐらいいる)が、「ヤルタ=ポツダム体制の打破」、「戦後レジームからの脱却」を言うと、世界=国際社会=ザ・ユーエヌ が、許さない。
そして、このザ・ユーエヌ(ユナイテッド・ネイションズ)とは、五大常任理事国(ごだいじょうにんりじこく)と日本語では訳される、ザ・ファイヴ・パーマネント・メンバーズを中心とする現在の世界体制である、 米、英、フランス、ロシア、中国 の 5大国である。 “世界のお役人さま”である。
この 5大国の合意事項に逆らうと、 軍隊による戦争行為ではなくて、 国際的な 警察(けいさつ)行動である、 PKO(ピース・キーピング・オペレーション)の対象になる。強制執行(フォース・メジュール)の対象になるのだ。 ザ・ユーエヌは、当事者となって戦争をするはない。警察行動をするのだ。警察行動の方が、国々の軍隊行動(軍事力の行使)よりも一段上である。このことは、私が、佐藤優(さとうまさる)氏と書いた「崩れゆく世界 生き延びる知恵」(日本文芸社、2015年4月刊)に書いた。しっかり勉強して下さい。
私、副島隆彦は、このことをずっと書いてきた。私の本をしっかり読む人たちは知っている。
日本のチンコロ右翼 (その中心部分は、今や、従業員もほとんどいないチビコロ経営者たち) は、こういう きちんとした知識がないので、安倍晋三の 低能 と 完全に気持ちが繋(つな)がっているので、「世界がウルセーんだよ。 いつまで謝り続ければいいんだよ」 という 反発心となって現れる。今も、この感じは続いている。それに対して、中国と韓国を始めとして、アジア諸国が、日本に訝(いぶか)しい表情をする。
チンコロ右翼たちは、自分たちが、日本国内は抑えきっていると思っている。いつも自分は、管理する側、保守の側、体制の側、と脳のてっぺんから決めている者たちが、右翼っぽい公務員や警察官を含めて、「自分はいつも勝ち組」の精神構造(メンタリティ)で動く。
そして彼らは、自分たち、2次元(平面)世界のレベルしか知能がないので、3次元の外側世界から、殴り付けられると、わけが分からなくなって、一体、どういう 力が自分たちに掛かっているかが、分からない。
このチンコロ右翼経営者層は、小学校、中学校時代から頭が悪かったので、学校の勉強があまりにも出来なかったので、教師たちに虐(いじ)められたので それで、「おい、日教組。はやく答弁しよろ」の 安倍晋三の 本音の発言どおり、日教組(にっきょうそ、日本教職員=きょうしょくいん=組合 )の悪口を死ぬほど言い続ける。
彼らを虐めたのは、教育行政をやっている出世組の役人化した教員たちから成る教育委員会なのであって、日教組ではない。 このことを、私、副島隆彦が、このチンコロ右翼たちと安倍晋三に教えて置かなければならない、と思ってこのように明確に書く。私が、こうしてはっきりと書いて教えておかないと、この低能たちは、自分たちのミジメ(惨め)だった学校時代の、不良生徒だった過去を忘れて、いい気になって、まるで、自分たちが、一家言(いっかげん)ある見識の有る人間であるかのように思い込んでいるから、彼らに、しつこく書いて教えておく。
同じ企業経営者であっても、社員(従業員)を50人、100人抱えて苦労して、必死に陣頭にたって経営をしている者たちは、絶対に、ヘラヘラした、政治的発言などできない。しない。
保守(ほしゅ)と右翼(うよく)は違うのだ。 本物の保守の経営者・資産家 と、チンコロ右翼は違うのだ。 チンコロ右翼たちが、いい気になって、「安倍ちゃん。頑張ってくれよ―。あの態度の悪いチャンコロ(中国人)、朝鮮人を、もっと傷(いた)めつけてくよ」 という、あの愚かな態度を、本当の保守の経営者・資産家たちは取らない。
本物の保守(コンサーヴァティヴ)の人間は、常に穏(おだ)やかである。何があっても激高(げきこう)することがない。常に穏やかに、人と接して、問題を我慢強く解決してゆく。ものごとを多方向からじっくりと考える。決してカッとならない。だから、安易に政治的な発言などしない。それが、本当の保守というものだ。
それに対して、高校時代に 頭にカミソリのソリを入れたような、不良上がりか、「僕たちは、ずっと地元の名士で、青年会議所と ロータリー会員の家で育って、勉強は出来なかったけど、経営者一族なの」という ボンクラ3代目のような連中が、チンコロ右翼だ。
この者たちは、勉強は出来なかったくせに、コソコソと金儲けだけはうまい。だから自分の分の資産を2億円ぐらいはちゃんと隠し持っていて、会社(法人)は、不景気ですでに潰(つぶ)してしまって、それで、浮世(うきよ)の憂さ晴らしで、「チャンコロ、チョーセンジンがうるせえ」を毎日、言っている。そうすると、自分が何だがとっても偉い人のように思えるらしい。
仲間も大勢いてくれるから、毎日、この大合唱だ。それで、産経新聞( 今や、ほとんど潰れかかっている)と夕刊フジの 「朴槿恵(パク・クネ)、この女、許せねえー」を読んで、溜飲(りゅういん)を下げている。 救(すく)い難(がた)い連中だ。
こういうのが、日本には500万人もいるから、ひとつの勢力だから、安倍晋三が辞めても、この勢力は残る。厳然として残る。私は、いつもこのことを心配している。 そして、創価学会までも、下部のおばちゃんたち(婦人部)の方から、特殊な別の宗教団体が、乗っ取ってゆかないかを、いつも心配している。
勝共(しょうきょう)右翼である きわめて特殊な宗教団体は、すでに警察官、自衛隊、外務省、裁判官、財務官僚たちの中にも、いまでは、相当数が潜り込んで 根草(ねぐさ)忍者のように潜んでいるから、この者たちの存在が恐ろしいのだ。彼らは、確実に日本を戦争に引き釣(づ)り込む。私は、そのように確信している。彼らは、前述したチンコロ右翼(ネトウヨという軽度の精神障害者たちを含む)を隠(かく)れ蓑(みの)にして、その中で動いている。
だから、安保法制 反対 の国会前の集会とかには、私たちは、十分に気をつけて徹底的に慎重になるべきだ。よっぽどのしっかりした主催者団体が開催するものでなければ、容易に近寄ってはいけない。あそこは、そこらじゅうがばい菌だらけなのだ。人間のバイキンの海だ。 おそらく特殊な宗教団体が、2割は入り込んでいる。
それから、かつての極左過激派団体の残党たちが蠢(うごめ)いている。 それから公安警察官(政治警察、警備=けいび=課に所属する)たちが、5%ぐらい入り込んでいる。 純粋な若者たちで、まだ世の中を知らない、生来、頭のいい、賢い人間で、優れた見識をもって、安倍晋三たちの安保法制の軒並み20本の法律の改正と可決(9月27日が衆議院の会期末)に反対する人たちは、十分に気をつけなければいけない。
この世には、たくさんばい菌が居て、自分たちを騙(だま)してくるのだ、
と厳しく、早めに自覚するべきだ。 妙に年だけをとって、ちっともうまくゆかなかった自分の人生の怨念(おんねん)と恨(うら)みを、公共の政治発言で、昇華(しょうか)させ、自分は立派な人間だ、とまわりに示したいだけの、精神が荒廃して崩れ果てた年配者たちには、近づいてはいけない。
そういう人たちは、ドストエフスキーが描いた『悪霊(あくりょう)』たちなのだ。政治的な怨念を背負った 悪魔たちだ。このことを真面目で多感な 若い人たちに忠言、助言 しておきます。
私、副島隆彦の目が黒いうちは、彼ら恐るべき、各種の悪霊たちの正体を、逐一、見抜いて、教えます。だから、いまのところは、静かにして私の言うことを聞いてください。じっと世の中の動きを見ていてください。そして、自分の生活を大事にして、少しでも楽しく、そして自分の将来への投資となることをコツコツと学んでください。
どうせ、チンコロ右翼の低能たちは、本を読みませんから、彼らとは違って、本を読んでください。 とりわけ私、副島隆彦の本を読んでください。 私は、「大きな枠組(わくぐ)みの中の真実」しか書きません。私は、読者を騙(だま)すことをしません。
以下に載せるのは、私と付き合いのある 編集者で、名うての本作りの名人です。 私に最新刊の本である 『中国、アラブ、欧州が手を結び ユーラシアの時代 が勃興する』(ビジネス社 、2015年7月刊)への 的確な批評をしてくれました。それを載せます。
(転載貼り付け始め)
『中国、アラブ、欧州が手を結び ユーラシアの時代が勃興する』
の読後感
2015年8月12日 ****
中国研究の7作目に当たる、最新刊を読了いたしました。
マスコミが中国経済の崩壊を連日、報道する状況の中で、敢然と中国経済の実相に切り込まれる姿勢に、ただならない勇気を感じました。
習近平(しゅうきんぺい)の「一帯一路(いったいいちろ)」経済の構想を、豊富な図版を用い、実にわかりやすく解説され、その卓越した内容に驚きを感じました。
新たに打ち立てたAIIB(エイ・アイ・アイ・ビー、アジア・インフラ投資銀行 )構想にイギリスが参加したことで、人民元の国際化の可能性は高まり、アメリカのドル覇権の金融秩序に陰りが見え始めたこともよくわかりかました。
第3章の「一帯一路で世界は大きく動く」は、習近平の「一帯一路経済構想」の実像と可能性を説得力のある視点で解説され、読み応えがありました。中東諸国を日本の真水化(まみずか)プラント技術で豊かな土地に変えていく作業が着実に始まっていることを、初めて認識しました。まさしく「一帯一路」構想は世界戦略と名づくべきもので、その将来が大いに期待されます。
中国はロシアとケンカをせず、インドとも「一帯一路」での話し合いをしながら、中央アジア、アラブ世界を通ってヨーロッパにまで直通する、地球規模の輸送路をという大きな構想で中国は生きている。
そのためには、「中国は戦争をしない。する必要がない」という捉え方は、実にまっとうだと思います。
また、中国の南米戦略として、新たに「ニカラグア運河計画」について触れられていることも驚きでした。大西洋と太平洋をつなぐという物流改革の構想は、習近平の発想力の大きさを証明しているようです。さすがのアメリカも「灯台もと暗し」の習近平の手腕にはさぞ焦っていることがわかります。
――日本国民はこういう世界の大きな動きを教えられないままに、ツンボ桟敷に置かれて、どんどん世界から取り残されてゆく。――という副島先生の嘆きが痛いほどよくわかります。
第4章「南沙諸島(なんさしょとう)をめぐる紛争の火種」も豊富な図版が用いられ実にわかりやすく読ませていただきました。南沙諸島はもともと各国の主張がぶつかり合う紛争地域であることがよくわかりました。 P135の「南沙諸島は4国が入り乱れて実効支配している」 の詳細な図で、紛争の実態が一目瞭然となりました。大マスコミはなぜこういう既成事実を報道しないのかと怒りに駆られます。
第5章「欧州とアジアをつなぐアラブ、イスラム教徒の底力」は先生のアラブ紀行を読むような気持ちで、楽しく読ませていただきました。 名画「アラビアのロレンス」を下敷きにして、かつて英、仏 帝国が、アラブ世界に対して行なった許されない欺瞞の数々を解説されていました。
特にアラブ独立運動の指導者であるハーシム家のフサイン・イブン。アリー王 (メッカ太守) について、的確な評価をされておられることに喜びを感じました。「アラビアのロレンス」の時代を彷彿とさせる貴重な歴史写真も参考になりました。
そして何と言っても、P189の「イスラム教の中心地帯であるヒジャーズ」の図がアラブの核心を突いていました。メッカからダマスカスまで北上する道 がアラブの中核だということがよくわかりました。
そして正当なハーシム家のフサイン国王から、ヒジャーズの地を略奪した(1924年)、サウド家の悪辣な所業に、絶望に似た気持ちを抱きました。
このアブドゥルアズイーズ・イブン・サウド(サウジの初代国王)という舌を噛みそうな悪辣な男に、アラブ世界の混乱がもたらされたかと思うと歴史の皮肉を感じます。この欲深な男と ロックフェラー家の連結で、アラブ世界はズタズタにされたのですね。
大作の映画「アラビアのロレンス」は私も3回観ましたが、初めてその内容がわかりました。それほど複雑な時代背景を下敷きにした難解な映画でした。私もアラビアのロレンスの颯爽とした生き方には深く共鳴していましたので、嬉しく読ませていただきました。
その他、数知れない知見に接しながら、今度の意欲的な著書を読ませていただきました。読後感が遅くなりましたことを申し訳なく思っています。
2015・8・12 ****
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦拝
【1477】[1807]副島隆彦先生・石井利明研究員講演DVD発表の遅れにつきまして
「副島隆彦の学問道場」須藤です。
副島隆彦先生・石井利明研究員による講演会のDVDの発表が遅れており、誠に申し訳ございません。
今回の私(須藤)個人の作業の遅さに加え、使用しているPCで発生したトラブルにより、完成が大幅に遅れることになってしまいました。
何とか、来週には頒布開始できる予定ではございます。只今全力で作業しております。
これほど遅くなってしまいましたが、DVDを待ち望んでおられるお客様には心からお詫びと感謝を申し上げます。発表の際にはどうぞよろしくお願いいたします。
副島隆彦の学問道場
須藤よしなお拝
【1476】[1806]天武天皇の正統性について
大伴氏の立場
天武天皇の「壬申の乱」での勝利の第一の要因は、近江朝・大友皇子(明治に追号された弘文天皇)が、美濃・尾張国で二万の民衆を徴兵していたこと。その徴兵されていた二万の民衆を、何の抵抗を受けることなく手に入れたことである。
第二の要因は、大和古京で名門大豪族の大伴氏が一族を結束して天武天皇(大海人皇子)に付いたことです。
西暦672年六月二十四日、大海人皇子一行、吉野を脱出して東国(尾張・美濃国)を目指す。
六月二十五日早朝、伊賀国にて高市皇子(天武天皇の長男)合流する。
二十六日、不破(現在の関ヶ原)を塞ぐことに成功したとの報告を受ける。高市皇子を不破に派遣し、軍事を見させる。
近江朝、この時にやっと大海人皇子等が東国に入ったことを知る。
二十七日、近江朝の徴収していた二万の兵を手に入れる。
二十九日、大伴氏、大和古京で蜂起、武器庫を襲う。大伴安麿等を不破に派遣し、大伴氏の蜂起の成功を、高市皇子に報告。
七月二日、不破より近江大津京を目指して全軍出撃、高市皇子総指揮をとる。
守谷です。天武の勝利に、大伴氏は大きく関与していました。大伴氏と天智天皇の間に対立があったようです。名門大伴氏は、天智の王朝に人材を送っていなかったようです。大伴氏と天智天皇の対立は、孝徳天皇(在位645~654)の朝廷で、大伴長徳が右大臣に就いている。孝徳天皇と皇太子・中大兄皇子(天智天皇)の間に対立が生じ、中大兄皇子が実権を奪い、孝徳天皇を難波宮に残し、皇后らを引き連れて明日香に帰ってしまい、孝徳天皇は難波宮で孤立して憤死する事件があった。
大伴氏は、最後まで孝徳天皇を支持していたのではなかったか。また孝徳天皇と中大兄皇子の対立は、時期的に見て朝鮮半島情勢と無関係であったはずがない。おそらく、孝徳天皇は、倭国(筑紫王朝)に協力し新羅討伐軍の派遣に積極的だったのではないか。
西暦六五〇年には、倭国は新羅討伐を決意していたのである。それが六六一年まで派兵開始できなかったのは、近畿大和王朝の協力を得るのに手間取っていたからである。
大伴氏は、氏の総意として大海皇子に味方した。これが天武勝利の大きな要因であった。このことがその後の大伴氏の運命を決定付けている。
また大伴氏は、『万葉集』との関係で重要である。『万葉集』は、ほとんど大伴氏の「私家歌集」と言って良い性格を持っている。大和古京出の大伴氏の蜂起の成功を、不破の高市皇子に報じた大伴安麿の子供が、大宰府で多くの優れた歌を残した大伴旅人、また女流歌人として最も多くの歌を残した大伴坂上郎女であり、『万葉集』の最終編者と云われる大伴家持は、旅人の嫡男、安麿の孫である。
以下次回につづく。
【1475】[1805]天武天皇の正統性について
『万葉集』〔16〕の額田王(ぬかたのおおきみ)の歌の解釈
天皇、内大臣藤原朝臣に詔(みことのり)して、春山の萬花の艶と秋山の千 葉の彩(いろどり)を競ひ憐れましめたまひし時に、額田王の、歌を以てこ れを判(さだ)めし歌
冬ごもり 春さり来れば 鳴かざりし 鳥も来鳴きぬ 咲かざりし 花も咲け れど 山を茂み 入りても取らず 草深み 取りても見ず 秋山の 木の葉を 見ては 黄葉(もみち)をば 取りてぞしのふ 青きをば 置きてそ歎く そ こし恨めし 秋山われは
一般的な現代語訳を載せます
天智天皇が、内大臣藤原朝臣にみことのりして、春の山の萬花の艶と秋の山の千葉の彩の優劣を問われた時に、額田王が歌を以てお答えした歌。
「春になると、冬の間鳴かなかった鳥も来て鳴いているし、咲かなかった花も咲いているが、山の木々が繁っているので入って取ることも出来ず、草が深く茂っているので手に取って見ることも出来ない。
秋山の木の葉を見る時は、もみじしたものを取って美しいと思い、青く残れる葉は、そのまま置いて嘆く、そこが恨めしいが、私は秋の山が優れていると思う。」
現代の万葉学では、春の山と秋の山の優劣を競った歌、と云うことになっているようです。「生命力の満ち溢れる春より、滅びを前にした一時(いっとき)の黄葉のほうが優れている。しかし、その黄葉の中に黄葉しきれずに青く残っている葉があるのが悔しい、」と額田王は嘆いている歌と。
しかしこの歌は、そんな単純な歌だろうか。ほんとうは寓意歌なのではないか。生命力の満ち溢れる春山は、日本列島の代表王者になった近畿大和王朝を指し、死を目前にした秋山は、朝鮮出兵の敗北で国民の信を失い、天智天皇の臣下にならなければならなかった倭王朝(筑紫王朝)を指し、黄葉の中に残る青葉とは、天智天皇に求められ、それを断れなかった額田王を指しているのではないか。
【1474】[1804]GEに喰い尽くされる東芝
みなさんこんにちは。相田です。
最近は時代が大きく動いているのを実感させられる出来事が続いています。
南部陽一郎が亡くなってしまいました。ある程度予想していましたが、やっぱり残念です。湯川は中間子、朝永はくり込みですが、南部はSSB(自発対称性破れ)と、カラークオークと、ひもの、ノーベル賞級発見の3掛けですからね。あの人は日本人じゃないとか未だに言う人もいますか、「ノーベル賞を受賞した時の国籍」が、そんなに意味があるもんですかね?
さて、東芝が世間の話題になっています。私は最近テレビニュースを見ないので、実感としてよくわかりませんが、社長、前社長、前々社長・・・・のお偉いさん達が、釈明に追われているようで、大変です。
たくさんの東芝の話が巷にあふれていますが、次の町田徹(まちだてつ)という方が、現代ビジネスというサイトで書かれた内容が、最も真実に近いのではないかと、私には思えます。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44271
-引用始め-
町田徹「ニュースの深層」2015年07月21日(火)
膨らんだ「のれん代」1兆円超 東芝がひた隠す「原発事業の不都合な真実」
(中略)
ほとんど報じられていないが、今回のケースで怠ってはならないのは、同社の重要部門だった原子力事業の精査だろう。
中でも、鳴り物入りで2006年10月に4800億円あまりを投じて77%の株式を取得した米原発プラントメーカーのウェスチングハウス(WH)の子会社化は重要だ。当時の西田厚聡社長は、わざわざ説明会を開き、原発の建設や保全サービスなどで2015年には最大7000億円のビジネスが見込めると胸を張っていた。
この買収に伴って、東芝のバランスシート上ののれん代は急膨張した。2006年度(2007年3月末)の計上額は7467億円と1年前の6.5倍に急増した。
問題は、こののれん代の処理にある。
ちなみに、のれん代とは、買収金額と、買収対象になった会社の正味価値の差額を指す。買い手候補が2社以上で競合すれば、のれん代は膨らみがち。経営の実態を決算に反映しようとすれば、膨らみ過ぎたのれん代の償却は不可欠だ。
償却のやり方は、国際会計基準(IFRS)や米国基準と、日本基準で異なっている。IFRSや米国基準では、買収した企業(事業)の価値が下がったら償却するのに対し、日本基準は20年程度をかけて費用として計上し償却することになっている。
そこで東芝だが、同社は米国基準を採っている。WH買収前のことだが、2005年度第3四半期決算発表の席で、担当副社長がWHののれん代について「弊社は米国会計基準を採用しているので、毎年、(下がっていないか)公正価値の再評価を実施します」としながら、有望な事業なので「直近2、3年の間に減損をすることは想定しておりません」と言明した。
そもそも、この償却をしないという方針に無理があった疑いがある。WHの本国である米国では、1979年のスリーマイル島の原発事故以降、新たな原発の建設がストップしており、原発は有望なビジネスではなくなっていたからだ。
さらに、福島第一原発事故から約1カ月が経った2011年4月14日の佐々木則夫社長(当時)の言葉は不可解だ。日本経済新聞やロイター通信のインタビューで語ったもので、「会計監査人に見てもらって今の経営の中から減損のリスクはほとんどないと評価されている。実際の収益の源は(既存の)運転プラントと燃料から来ているので、新規プラントが少し遅延しても減損に至らないと思う」と述べたのだ。
福島第一原発事故で東京電力の企業としての存続が危ぶまれ、米国に続いて日本でも原発の新設が難しくなろうとしていた時期に、減損を不要と言い張る佐々木社長の態度は、リスクの過小見積りとみなされてもやむを得ない。ちなみに、東芝が2010年12月末に計上していたのれん代は約5489億円。このうち半分強がWH分だったとされる。
2012年10月、佐々木社長はさらに約1250億円を投じて20%分のWH株を追加取得した。米エンジニアリング大手のショー・グループから契約に基づく買い取りを迫られて、拒否できなかったのだ。この価格が妥当だったかどうかも精査が必要だ。
WH買収以来、すっかり安易なM&Aが定着した東芝の2014年末のバランスシートには、実に1兆1538億円ののれん代が計上された。仮に、全額を一括償却すれば、巨大に見える東芝の株主資本(1兆4264億円)があっさり吹き飛ぶ規模だ。そもそもWHののれん代の先送りは、必要なコストの計上や損失の処理を先送りするという点で、今回、問題になっているインフラ工事の経費先送りなどと同根の問題でもある。繰り返すが、精緻な調査を避けては通れない。
―引用終り―
相田です。読めば読むほどに恐ろしい話です。鳴り物入りで買収したWHの株価が下落して、まともに償却できなくなってしまったのを先送りしたのが、誰も怖くて触れない今回の事件の真相のようです。
わたしは、08年の「エコ洗脳本」で東芝のWH買収事件の真実と思うことを書きました。会員の方はいまでも「ぼやき」にある私の原稿を読めるはずです。あの時、東芝にWHを6千億円で買収させたのはGEです。断言できます。90年代半ば以降の東芝は(ついでにIHIと日立も)、GEに完全にクビ根っこを抑えられて、逆らえない状態にありました。
WHが売りに出されたときに、技術的な筋としては、長年の提携関係にあった三菱重工が買うのが当然でした。しかし、三菱がWHを買ってしまうと、アメリカを脅かす強力な重電企業が誕生してしまうため、GEが無理やり横槍を入れたのです。あの時、GEは日立と(仮面夫婦の関係で)共同入札し、東芝は単独入札するという「挟み撃ち作戦」で、三菱の買収を迎撃しました。
その後の3.11により、原子力で大儲けするという東芝の野望はあっけなく崩れ去りますが、2012年10月にはショー・グループから、「約束だったろう」と、1250億円で20%分のWH株を追加で売りつけられるという、情け容赦ない仕打ちを東芝は受けています。恐るべきヤクザの世界です。血も涙もありません。
結局の処、世界の原子力業界の黒幕はGEなのです。GEはもはや東芝、日立などの日本メーカー等はどうでもよく、原発技術をさっさと中国に持っていきたくて仕方ないように、私には思えます。これからは東芝をねちっこく追い詰めて、さっさとWH株を売り払わせて、中国に高く売りつけるという、えげつない作戦を立てているのでしょう。
これからの原子力の中心は、米、仏、日ではなく、中国とロシアです。共産主義国の天下です。
左翼の人たちが望んでいるのか知る由もありませんが、没落した日本のメーカーから、原子力技術が中国に渡るのを防ぐ術はありそうにないです。原発事故がひとたび起これば、風も海流も日本を直撃しますし、こちらに補修する技術も無くなれば、我々は、なすすべなく見ているしかなくなるのでしょう。
相田英男 拝