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松村享 投稿日:2015/10/21 03:09

【1493】[1824]社会societyに壊された人々へ①

 松村享です。今日は2015/10/21です。

 私は、先日おこなわれたSNSI合宿に参加してきました。してきたんですが、私は熱をだして倒れ、加地龍太くんの車で、早々と東京に引きあげる事となってしまいまして、残念です。その際は、副島先生をはじめ皆さん、大変お世話になりました。久しぶりに会えて、嬉しかったです。

 六城さんとは、朝まで酒を飲んでいました。たまに、田中進二郎さんが、乱入してきました。「風邪ひきながら、朝まで酒とは、なんなんだ」というツッコミは、ご勘弁ください。六城さん、進二郎さん、とても良い時間でした。ありがとうございます。

 さて、なんで私が、ここでこのように書いているかというと、実は合宿の際に、発表したかったことがあるからであり、論考としてまとめたので、いっそ『学問道場』に集まる大勢の皆さんの前にて発表してしまおう、と考えたからです。

 夏あたりに、私のメールアドレスを乗っ取って、副島先生にメールをだした者がいます。嫌がらせですね。まあそれは、事務所の須藤よしなおさんが、ヘッダー情報を割り出して解決してくれました。

 私も当初は激怒していたのですが、だんだんと、このネット媒体の中で、顔をふせてウロチョロする類型のことを考えるようになりました。うまくいかない人間の、どろりとまとわりつく粘着性の怨念が、社会から締め出されて、どこにもむかいようのないままに、四方八方に流れだしている。

 社会が、人間を吸収しきれなくなっている。毎日、同じ生活をくりかえす社会人の、その内面には、おぞましい粘着物が溢れかえっている。当然といえば当然の帰結でもある。社会societyというのは、外来の輸入された思想であり、そもそも日本人の体質にはあっていない。A型の人間にB型の輸血をするようなものだ。体が拒否反応をおこしている。そうとうに深刻な状況である。

 私のメールアドレスを乗っ取ったあんた、自分では正常だと思っているのだろうが、私から見れば、輸血に失敗して錯乱状態である。精神構造が、迷路と化している。だから、まずは、錯乱しているありのままの自分を直視してください。これから私がおこなう処置が、まにあうかどうかは、わからない。最善を尽くすが、最後はあんたの体力しだいだ。

 この輸血は、太平洋戦争後、戦勝国のアメリカによって行われた。日本人という意味不明な民族を治療したこの手法は、社会工学Social engineeringと呼ばれている。

 「社会科学を応用して、社会の病気を治すための処方箋を書く」これが社会工学Social engineeringの目的である。古村治彦氏は、アメリカの大学で、このように明確に教えられたのだと『悪魔の用語辞典 これだけ知ればあなたも知識人』(SNSI副島国家戦略研究所 kkベストセラーズ 2009年)の中で書いている。

 「社会科学を応用して、社会の病気を治すための処方箋を書く」ーこの言葉は、果てしなく理想的だ。非常に前向きである。光り輝くような、キリスト教圏に特有の美しさだ。古村氏は、「アメリカでこの言葉を聴いて深く感動した」と上掲書で書いている。そして、帰国後に社会工学の本当の意味を知って、だまされたように感じた、とも。

 キリスト教は、『美』で包みこんだギフトgiftをくれる。あまりに清らかな美しさだ。それは現代の社会工学だけではなく、この2000年を通して変わらないキリスト教の伝統である。

 たとえば『予定調和pre established harmony』などもそうである。予定調和とは、Godがあらかじめ決めている調和、定めのことである。字面を見て欲しい。予定調和はpre established harmony、意訳すれば『あらかじめ奏でられていたハーモニー』だ。

 この語感は私に、天に描かれた壮大な虹をイメージさせる。いまちょうど、著述している私のかたわらで、バッハの音楽が流れはじめた。曲名は知らない。匂いやかな美しさを感じる。陶酔(とうすい)の美しさを、キリスト教は持っている。

 このようなキリスト教圏のイメージを受け継いでいるのが、社会工学なのだ。社会の病気を治してくれるのが、社会工学である。

 社会工学は、数字を適用して、あっちとこっちでバランスをとって、まるで数学の問題を解くかのように、というか数学そのものか、紙のうえで、人間の世界を再編成するのである。「数字をつかう」というのが重要だ。数学Mathematicsというのは、神学Theologyの一部だからだ。数字とGodは切っても切れない関係にある。ともに高度の抽象化である。

 『万物の根源は数字である』と宣言した古代ギリシャのピュタゴラス(紀元前582~紀元前496)から、ものごとを高度に抽象して、理論化して、いちばん高みの天空から、人間の世界を解釈する、という視点が発達した。

 空気+暖かさ=雨であり、人間+恐怖=パニックである。高度に抽象すれば、2+3=5だ。このような、絶対に変わることのない、2+3=5という、数界の普遍(ふへん)の法則、ユニヴァースuniverseを、Godはつかさどるのである。

 だから、数学Mathematicsは神学Theologyの一部なのだ。『新版 決然たる政治学への道』(副島隆彦著 PHP研究所 2010年)のp233に、キリスト教圏で一般的な、諸学の分類表がある。ここに画像として載せたいのだが、載せ方がわからない。

 この分類表を、じっと見て、しっかりと腑に落としこむことで、ちまたに溢れかえる、外国人の書いた難解な思想専門書を、じわじわと理解できるようになるのである。

 ここを理解せずに、プラトンがどうたら、ヴィトゲンシュタインがどうたら言ったって、難解な言語をふりまわす中二病のイタイタしい人間にしかなれない。

 この分類表を解読したなら、次は、SNSI研究員・鴨川光氏の論文『サイエンス=学問体系の全体像』(ウェブサイト副島隆彦の論文教室)を、何度も読み返すのがいい。鴨川氏のこちらの論文は、エンサイクロペディア・ブリタニカencyclopedia britanicaをベースにしている。

 鴨川氏は、原文のままのブリタニカを使っている。翻訳者に好き勝手に引き裂かれた日本語訳のブリタニカではない。未知の知識、未知の歴史を知る事ができる。現代日本には未上陸の、ユーラシアの学問体系の詳細な全体像を、理解できるのである。

 『サイエンス=学問体系の全体像』は、そうとうに膨大な文量だが、まだ未完成の論文であり、しかも打ち切られている。鴨川さん、書いてくだされ。私は続きを読みたいのです。これは、出版物にして欲しい論文だ。

 ともあれ、諸学の分類の中で、数学は、神学の一部なのだ。日本では、ほとんど知られていない未上陸の知識である。高校の数学が、難解なうえに何のためなのか意味不明なのは、あれが神学だからだ。

 数学が得意な人間は、数字の中に、Godの世界の美しさを感じているのである。「何のため」などはない。大事なのは美しさだ。「数式は美しい」とは、キリスト教徒の言葉である。天に描かれた陶酔の美しさこそ、キリスト教と、のちに続く社会工学の本態(ほんたい、本当の姿)である。

 そして、「数式は美しい」の連中が、日本に上陸した。太平洋戦争で壊滅した戦後日本に、社会工学がほどこされた。GHQの中のニューディーラーと呼ばれる連中が、戦後日本の青写真を描いたのである。現在の日本国憲法も彼らの手による。

 ニューディーラーは、私にいわせれば、キリスト教の聖職者である。『pre established harmony:あらかじめ奏でられていたハーモニー:数字の調和』に酔いしれた聖職者の最高傑作が、戦後日本なのだ。

 ここで明確にいっておくが、私は近代において生まれた、あらゆる政治思想のカテゴリーを、キリスト教の名の下に一括する。中には、「ニューディーラーは社会主義者であって、社会主義者は宗教を否定するので、彼らを聖職者と呼ぶのは筋違いだ」という、ガチガチの知識人の方もおられるだろう。

 だが私は、聖職者として一括する。近代と呼ばれるこの500年の、あらゆる政治思想は、キリスト教の各セクトであり、だからこそ日本人には理解がおよばない、という大きく単純化した視点から、私はこの文章を書いているのである。

 我々は、そろそろこの500年を総括しなければならない。それがたとえ、極東の島国からの発信であったとしてもだ。いや極東の日本人だからこそ、いえることがある。キリスト教の最高傑作としてつくりあげられた日本の民として、我々には、西欧近代500年を理解する必要がある。社会societyによって壊された人々よ、あなた達にむけて、いま私は書いている。2chなんかで暴れてないで、こっちを読んで欲しい。

松村享拝

副島隆彦 投稿日:2015/10/08 12:23

【1492】[1823]もう日本は貧乏国だ。 それと 世界の最新の重大な動き。ロシアのシリア空爆が世界戦争に繋(つな)がるだろう。

副島隆彦です。 今日は、2015年10月8日です。

 世界が、またひとつ戦争に向かって、大きく進んでいる。

 オバマとバイデンは、来年(2016年)中まで(正確には、2017年2月22日まで。次の大統領の就任式)あと 1年4ヶ月の任期があるから、“大きな戦争” large war ラージ・ウォー の開始の署名はしない。

 だが、そのあとは、もう分からない。 おそらく大きな戦争=第三次世界大戦(WW3) が始まるだろう。2017年からは、私たちが生きている極東(東アジア)でも、戦争が起きる。いや、特定の極悪人の、戦争しかけ集団が引き起こす。そのように着々と、事態は進行している。このように、考えないと、真に知性と思考力のある 人間だとは考えられない。

 今の日本人のほとんどは、脳(頭)をアメリカと、日本の右翼国家機関にヤラれている(侵されている)から、正常な判断力を持っていない。 中国と 北朝鮮を、コワイ、コワイ、気持ちの悪い国だ、と 厭(いや)がり恐怖することを中心に、洗脳(せんのう、ブレイン・ウォッシング=マインド・コントロール)されている。 だから高い知性と教養のある人間が、ドンドン減っている。

 私は、右翼と 保守は違うと考えている。右翼は、生来の犯罪者体質である。近寄ること自体が危険だ。 それに対して、本当の本来の保守(ほしゅ、コンサーヴァティヴス)は、立派な人達で、常に温厚で、何があっても、我慢強く、思慮深く対応する。

 私は、今も残っているこの本物の保守の人々に、期待している。彼らに希望を抱いている。彼らが、自営業者だったり、自分の従業員たちを、なんとか大事にして雇って給料を出して食べさせている。日本で今、この人達が、痛めつけられて減少、激減しつつある。このことを私は深く心配している。 

 あとは、たいして知能も、思慮もない、始めからずっと会社員=労働者をやるしか脳のない人たちだ。彼らの思考力は、残念ながらたいしたことはない。愛すべき国民大衆ではあるが、いざというときに闘えない。

 日本は、どんどん貧乏な国になっている。恐るべきことだ。普通の国民までが貧困化しつつある。多くの中小企業経営者は、廃業=清算(せいさん)、破綻、破産、して、大きな負債=借金を抱えた者たちは、夜逃げしつつある。 日本の ビンボー国への転落は、目も当てられないぐらいに、ヒドいものである。 

 このことを、皆で正直に語り合う、ということをしない。皆、自分は貧乏ではないと、まだ見栄(みえ)を張って気取っている。みっともない襤褸(ぼろ)を隠して、必死に取り繕(つくろ)っている。まわりから恥を掻(か)きたくないのだ。本気で、自分がどれぐらい貧乏になっているかを、言い合えば、大きな真実が見えてくる。

 下流老人(かりゅうろうじん)、老人破産 とかのコトバで、お茶を濁している。 東京の江東区(こうとうく)、荒川区、北区などの 最下層の極貧層(ごくひんそう)の人たちの困窮ぶりが、だんだん表面化してきた。 

 私、副島隆彦は、日本に3千ぐらいあるだろう職業、業種、産業のうちの、出版業界(しゅっぱんぎょうかい、本を作って本屋で売る、という仕事)に属する。この出版業界が、本当に追い詰められてヒドいことになっている。私はここに所属する。だから自分のこととして深刻に悩み苦しんでいる。 他の、3千の職業の人々も、本当に、業界、職業の、存亡(そんぼう)の危機に立たされていることが自分の肌身で分かる。 
 
 日本は急激に、とんでもない国になりつつある。ところが、 全員が知恵遅れで、低能(ていのう)で極悪人の 集団である 安倍晋三政権は、こういう国民の苦しみを理解しない。自分たちは権力者だから、自分たちには最後に悲劇が来る、それまでは大丈夫だ、と思い込んでいる。そのうち、彼らを天罰(てんばつ)が襲うだろう。
 
 この者たちは、幼児の頃から、十分に、ワルであり、冷酷な人間であり、他人の苦労が分からない人間たちだ。 ヒトを食って生きてきたのだ。「国民が、どうなろうと構わない。国民をどれだけでも追い詰めて、税金で奪い取ればいい。自分たち国家=政府さえ存続できればそれでいいんだ。世の中は、もともとそのように残酷に出来ている。権力者で勝ち組である自分たちだけが、生き残ればいいのだ」と、腹の底から考えている。そしてその子分たち、とうのが、いる。

 そして、 官僚=上級公務員ども、という、もう一種の、ワルい人間たちと、共同戦線を張っている。というか、本当は、以下の田中宇(たなかさかい)氏の文にもあるとおり、「日本の官僚が、アメリカに従属することで、自分たちの特権を温存する」のである。 低能の安倍たちなど、こいつらは大臣たちだから面従腹背(めんじゅうふくはい)で、いいように扱えばいい、と分かっている。

 この他に、日本には、今も500万人ぐらいの、チンコロ右翼の 反共(はんきょう)経営者、自営業者たち(この者たちの商売もうまく行っていない。貧困層に転落しつつある)だけが、産経新聞(さんけいしんぶん)右翼を中心に、安倍晋三を支えている。この者たちの、飢えた本性(ほんしょう)は、今や、半ば本気で中国との戦争の開始を求めている。

 自分たちの ちっともうまく行かない現実を、外側、外国に捌(は)け口(ぐち)を求めて、「戦争をするしか、もう、日本が生き延びる道はない」 と考えつつある。 大きな意味で、世界的な、戦争への扇動(せんどう)がある。震源地は、やはりアメリカの軍事凶暴派(タカ派、軍産複合体、ネオコン、ムーニーMoonie =統一教会=世界勝共運動、ヒラリ―派)である。

 この 9月30日に、ロシアが開始した シリア各都市への空爆と巡航ミサイルによる攻撃は、決定的に重要だ。 ロシアはついに外国への直接軍事行動に出た。これで、IS(アイエス)は、本当に、半分ぐらいを殲滅(せんめつ)されるだろう。今日(10月8日)で、もう3週間がたった。 ロシアのこの動きに、世界の各国の指導者たちが真剣に考え込んでいる。どうやら緒戦(しょせん)では、ロシアの勝ちのようだ。

 アメリカのアシュトン・“アッシュ”・カーター国防長官は、昨日(7日)の記者会見の声明で、「ロシアは、シリアの反政府勢力(自由シリア軍、FSA)に攻撃を掛けており、間違っている。これは、ISへの国際軍事協同行動ではない。アメリカは反対する」と語った。

 しかし、その口調は弱々しい。 アッシュ・カーターは、真面目な国務省官僚あがりで、決して軍事凶暴派ではない。いまのところはオバマに忠実だ。オバマ政権としては、ロシアが本気で、アルヌスラ戦線(ウラで、イスラエルとくっついている)とIS を 叩き潰そうとしていることに、反対できない。オバマの本心は、プーチンに賛成である。

(転載貼り付け始め)

◯「 ロシア、シリアに巡航ミサイル発射 米と亀裂拡大 」

 2015/10/8 日経新聞

 ロシアがシリアへの軍事介入の度合いを強めている。過激派組織「イスラム国」(IS)掃討の名目でシリアのアサド政権を支援するロシアは7日、これまでの空爆に加えて巡航ミサイルによる攻撃に踏み切った。アサド政権の退陣を求める米国の批判をよそに、ロシアは強硬策に拍車をかけている。米ロの亀裂が一段と深まってきた。

 ロシア国防省によるとミサイルは約1500キロメートル離れたカスピ海に展開している4隻の巡洋艦から計26発発射。11カ所の標的をすべて破壊した。ロシア軍は7日もシリア北部や中部での空爆を継続。9月30日の空爆開始からの8日間で112カ所の軍事関連施設を破壊したと発表した。

 プーチン大統領は7日、ショイグ国防相にISの掃討に向けて米国やサウジアラビア、トルコなど関係国と協力するよう指示。アサド政権が率いるシリア政府軍との連携を深めるよう求めた。

 プーチン氏はフランスのオランド大統領から反政府勢力の自由シリア軍とシリア政府軍が共同で反ISの軍事作戦に当たる案を提案されたとも表明。「興味深いアイデアであり、(両者が)力を合わせることができるなら(シリアの)政治的正常化のための好条件がつくられる」と評価した。

 ロシアからの協力呼び掛けに対し、カーター米国防長官は7日、訪問先のローマでの記者会見で「ロシアが何を言おうと、我々はロシアと協力することには合意していない」と強調。IS掃討をうたいながら、実際は親ロシアのアサド政権を支援するため、反体制派を標的にしているロシアの戦略には「悲惨な欠陥」があると指摘した。カーター氏はシリアでの空爆時に軍用機の衝突を避ける安全面での調整については議論を続ける考えを明らかにした。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦です。ロシアのシリア爆撃の概要は、以上の新聞記事の通りだ。

 IS 「イスラム国」を、作って育てたのは、(去年、2014年6月10日に、モスル制圧で突如出現した)、アメリカの軍事凶暴派と イスラエルと、サウジアラビア(サウド王家という中東全体からの嫌われ者のワルたちが支配している。ワッハーブ派という凶暴な宗派を持ち、アメリカによる石油買い、で支援されてきた王家。だから、サウド・アラビアとは、サウド(家が乗っ取っている)アラビアなのだ)だ。 

 ところが、今、アメリカと、イスラエルと、サウジアラビアの、 このワルの三カ国 の話が合わなくなっている。 分裂が起きている。ISが、自分たちの思うとおりに動かずに、モンスター化している。このことに苛立っている。 この分裂線を、今回、プーチンが、鋭く突いた。だから緒戦(始まりの戦い)ではプーチンの勝ちだ。

 ロシアは、 イランとイラク政府の、許可と承認を得て、上空を通って、戦闘爆撃機スホイ34 による空爆(エアレイド)と、巡航ミサイル「カリブル」(全長6メートル)を使って、1500キロ離れたカスピ海から攻撃している。 極めて正確に敵の 弾薬庫(アーセナル)とかに命中させている。

 ロシア空軍は、シリアの反体制組織のひとつの アルヌスラ戦線 と IS(「イスラム国」)に対して空爆(くうばく)を掛け、大きな打撃を与えている。 ロシアは本気だ。プーチンは、この計画を実行するために十分な根回しをしてきた。 

 私は、9月中旬に、プーチンがイスラエルのネタニヤフ首相と会談したことに、アレ、何かする気だな、と気づいていた。  プーチンは、「私は、IS(アイエス)の本拠、ラッカを空爆するからな。反対しないでくれ」 と あのとき言い切ったのだと分かった。「分かった」とネタニヤフは言ったようだ。

 事前に、ロシアのラブロフ外相がジョン・ケリー国務長官との数度の電話会談で、「ロシアは、ISを撃滅するための軍事行動に出る」と伝えている。だから、シリアは、イラクの北部のISの支配地域の上空での、アメリカ軍機と、ロシア軍機の軍事衝突(撃ち合い)が起きないように、事前に、互いの戦闘機の位置を知らせ合う信号送信の仕組みを作っている。ということは、オバマ政権としては、ロシアのIS爆撃を消極的に容認している、ということだ。

 オバマは、プーチンと十分に根回しして、アメリカとロシアが直接ぶつかることを上手に回避している。オバマとしては、イラクあるいはシリアに、米軍の地上部隊(グラウンド・インファントリー)を投入することを絶対にしたくない。 せっかく 2012年末に、イラクから最後のストライカー師団を撤退させたのに、また中東に、米軍を投入することは絶対にしない。少なくとも自分の任期中はしない。米軍自身がいやがってる。「もう、あんなところには行きたくない」と。

 プーチンは、いよいよとなったら、ISとアルヌスラ戦線を殲滅(せんめつ)するために、ロシアの地上軍まで投入すると決めているようだ。 このことが、再来年からの起きると危惧される「大きな戦争」の引き金となる。

 オバマが、ものすごく偉かった、賢かったのは、2年前の2103年の4月、と8月21日に、シリアで仕掛けられた罠(わな)に、乗らなかったことだ。あの時の、オバマの英断は、後世に語り継がれ、政治学者たちから高い評価を受けるだろう。

 それは、2013年の4月に、シリアの首都ダマスカスの郊外で、サリンガスが撒かれた、という事件だ。それで、シリアのバシャール・アサド政権に、濡れ衣を着せて、「アサドの政府軍が、化学兵器のサリン爆弾を使った」という国際報道キャンペーンを張った。 そして、オバマに、アサド政権を打倒するために、ダマスカス爆撃させようと仕組んだ。仕組んだのは、イスラエルと、アメリカの軍事凶暴派、とそれからサウジアラビアである。

 アサド政権は、何も悪いことはしていない。反政府軍という、おかしな、プロ pro の殺し屋の、傭兵部隊と戦っているだけだ。 さらに、同年、8月21日に、くりかえして、サリン爆弾を爆発させて、シリアの住民たち、子供を含めて、1400人を殺す、という事件が起きた。悶(もだ)え苦しんで死んでゆく人々の映像を、世界中に盛んに流した。すぐあとの9月に、国連の人権委員会と戦争犯罪(ウォー・クリミナル)の調査団が現地に入った。そして、オバマは、真実を知った。サリン爆弾≒化学兵器をヨルダン経由で、サウジから持ち込んで、破裂させたのは、イスラエルとサウジが、米軍の特殊部隊の協力で、自分たちの子分である、反政府軍のならず者たちを使ってやらせたのだ。

 オバマは、正しく判断して、ダマスカス爆撃をしなかった。このことで、日本の安倍政権を含めて、危険な世界の凶暴派のネットワークに入っているゴロツキたちが、心底、がっかりした。 アサドを潰して、シリアを泥沼にすれば、これで、いよいよ 中東全体を戦争に持ち込める、と 策略を仕掛けた者たちの負けだ。

 バシャール・アサドは立派な指導者だ。父親は独裁者だったが、彼は、今も冷静に世界のメディアに出てきて、自分たちの立場を話している。当然に、世界メディアは、バシャールの本当に言いたいことを伝えない。ヨーロッパの優れた知識人層は、皆、「バシャールはかわいそうだ」と擁護している。

 オバマは、シリアの反政府軍の中の、おかしな連中(アルヌスラ戦線、アハラール・アルシャームなど)には、重火器の援助をしなかった。 自由シリア軍(フリー・シリア・アーミー)というスンニー派の穏健な反政府軍にだけ武器援助をした。 それで今のように、まだ、中東発の世界戦争にならないで、おさまっているのだ。 

 オバマの優れた決断を引っ張りだしたのは、国連の戦争犯罪人検事局( 国際刑事司法裁判所 ICCJ )と人権委員会にいる、カルラ・デル・ポンテという女性だ。彼女は、真実を調査する国際検察官だ。 このデル・ポンテ女史が、「サリンを撒いたのは、反政府軍だ」と国連の現地調査団としての 真実の発言をスイスでした。
それで、ヨーロッパ人たちは動揺した。 凶暴な、右翼、戦争キチガイ人間たち以外なら、この大きな真実に気づいた。それでも、世界権力者たちは、この真実を覆い隠して、今も、国連の調査団の報告書を隠してしまって公表しない。ウクライナの上空での マレーシア機の撃墜の真実も発表しない。これが、今の世界だ。

 日本では、このカルラ・デル・ポンテ女史の活動は、何も知らされていない。
私、副島隆彦が去年、出版した。『副島隆彦の政治映画評論 4』(ビジネス社刊)の中で、このデルポンテ女史を扱った ドキュメンタリー映画を、取り上げた。日本の知識人とか、有識者、政治学者なんか、サル並みのアホばっかりだ。私は、彼らが私の目の前に現われて、少しでもえらそうな事を言ったら、つかみかかって殴り倒すだろう。「おまえは、本当に、大きな世界の真実を知っているのか」 と。  

 プーチンは、やがてロシア地上軍の投入までをする。シリアと、北イラクの IS(たかだか、10万人ぐらいの狂った傭兵部隊)を完全に、掃討(そうとう)するには、どうしても 地上軍を投入しなければいけない。そのためには、イラク政府の許可をもらい、イラン政府と十分に根回しして、イランの革命防衛隊(レヴォリューション・ガード)と共同作戦を取る必要がある。

 イランの革命防衛隊(これはイランの政府ではない義勇兵の、民兵組織の形だ 。私は、今年の4月に、テヘランで彼らの尋問を受けて、勉強になった )の将軍(司令官)が、7月末に、ロシアに行っている。 ということは、この時から、今度のロシアの軍事行動計画は始まっていたということだ。

 だから、このままゆけば、アメリカの軍事凶暴派が、ロシアの動きを黙って見ているわけにはゆかないから、ロシアへの制裁、と称して、やがてロシア軍と正面からぶつかることになるだろう。それは大きな戦争につながる。
そうなると、中国が、ゆくゆくは(今は、黙って知らん顔をしているが)、ロシアを支援することになる。中国が、ロシアにとっての ”大後方(だいこうほう、グレイト・バック)”になる。中国の支援がロシアを支える。

 そうなると、中国とロシアの、ユーラシアの同盟ができて、これに消極的に、ヨーロッパの「アメリカよ、もういい加減にせよ。世界支配のやり過ぎだ」と分かっている勢力が、この中ロを後押しするだろう。 いよいよ、ユーラシアの時代である。 アメリカ合衆国は孤立してゆく。

 このとき、アメリカの軍事凶暴派=反共右翼=イスラエル一点張りの 連中は、自分たち、先進国の 高度な技術と、金融大国の理屈で、勝ち続けることが出来ると思っているのか。 大きく、大きく考えると、アメリカは孤立しているのだ。 最後の味方は、カナダと日本だけ、ということになるだろう。

 そして、この日本にも、私、副島隆彦や以下に載せる田中宇(たなかさかい)氏のような言論人と、それから真に優れた人間たちが、極(ごく)少数だが存在する。そして、洗脳されきって、脅しあげられている日本国民に、真実を伝え続ける。この苦しい努力も続く。 最後は、アメリカの敗北だろう。 

 その前に、米ドルを、文字通り、紙切れにして、「外国から借りたカネは、一切、返さない」と宣言するだろう。そして、アメリカが世界を支配した、この120年間が終わってゆく。 ロックフェラー家が石油と共に勃興した、アメリカの時代が終わる。 その前に、世界戦争に打って出て、数年間の間に、数千万人の人間が、死ぬことになるだろう。

 日本もその例外にはならない。数百万人が次の戦争で殺されるだろう。私は、そのように冷酷に、未来予測(フューチャー・テリング)をしている。今の日本の貧困化は、その前兆である。

 今のヨーロッパ諸国は、シリアと、リビア( カダフィを、ヒラリーが殺したからだ。)の難民が流入することで、もう往生している。だから、ロシアが、ISやらを本気で叩いて、これ以上の中東難民の流入を阻止してくれることに賛成している。 自分たちでは、大したことは何も出来ないのだ。

 フランスの虎の子の原子力空母のシャルル・ドゴール号による、レバノン沖からの、IS爆撃とか言ったって、何の成果もあげていない。イギリスの爆撃も同じだ。 アメリカの顔色を伺(うかが)いながらの、西側同盟としての、最低限度の協同軍事行動という体裁だけだ。

 第一、アメリカの軍事凶暴派自体が、ISを作って育てたのだから、米軍が、本気で、ラッカのISの本拠を攻撃する、ということをしない。ドローンを使って爆撃のようなことをやっている。その実、「誤って」ISの支配地域に支援物資を投下した、ということまでやっている。 オバマと、チャック・ヘーゲル前国防長官は、このことで、怒っていた。「自分たち最高司令官の命令を、なぜ、軍は聞かないのか。どうしてISへの爆撃を強化しないのか。本当に、お前たちはやる気があるのか」と、オバマは怒っていた。しかし、何ごとも我慢だから、米軍内の 凶暴派、反共右翼=ムーニー の勢力に対して、何も手を打てないで、ここまでやってきた。

 だから、オバマとしては、プーチンに何一つ強いことを言えない。 このまま行くと、ロシアが、中東アラブ地域(リージョン)でも大きな力を持つようになる、と、イギリスBBCのモスクワ派遣の、如何にも軍事凶暴派で、体制ベッタリの、イギリス女の特派員が、今朝のBBCでも、ロシアを腐(くさ)すだけのコメントをしていた。

 日本の、みっともない安倍政権への屈従集団であるNHKなどは最早(もはや)、まともに世界基準の政治思想の理解や政治分析が出来る人材はいないので、お子様ランチ並の、低レベルの安倍政権への屈従報道をやっているだけだ。自分たちには何の判断力もない。

 以下に長々と載せる、”ウータン”田中宇(たなかウー)氏の世界政治分析が、優れていて、私が、この数日、ずっと観察して分析していたこととほとんど一致しているので、以下に、その「無料、勧誘版」を貼り付けます。

 この中に、トルコ政府(エルドアン政権)が、シリアとイラクにいるクルド人のクルド労働党との戦闘があるので、その分は、いやなのだが、ロシアの戦闘機が、トルコ領内に誤って入ってきたことで、ロシア政府がすかざず謝罪したので、「ロシアは友人だから」と、ロシアの、シリアでのISやアルヌスラ戦線への激しい爆撃に、反対していない。

 ヨーロッパ諸国の指導者たちも、ヨーロッパの集団的自衛集団であるNATO(ネイトー)軍の中にいる、反共右翼の、「ロシアとの戦争も辞さず」という凶暴派を除けば、「ロシアに頑張って欲しい」というのが、本音だ。

 ドイツおよびドイツ国民は、9月15日ぐらいから、降って湧いた、VW(フォルクスワーゲン)社の、排ガス規制逃れの秘密の違法ソフト摘発の件で、アメリカに怒っている。 

 今頃、何だよ、そんな違法ソフトの組み込みなんかを摘発しやがって、ディーゼル車では完璧な排ガス排除は出来ないことは専門家は全員、分かっていたはずだ。と、ドイツ人は、怒っている。これで、ドイツのアメリカ離れが、また加速する。

 アメリカは、ドイツ政府が中国に接近して「一帯一路」とAIIB を推進し、かつ、メルケル首相が、プーチンと北海ルートの天然ガスの供給とかでも合意し、ウクライナの調停(アービトレーション、仲介)でプーチンと密かに話し合っているので、ドイツいじめをやる、と決めたのだ。 

 フォルクスワーゲン社は、180億ドル(2兆円)ぐらいの懲罰金、罰金を、アメリカ政府(司法省)に払うことになるようだ。こうやって、アメリカは、自分の国の財政赤字が、文字通り、火の車 だものだから、外国の大企業を、傷めつけて恐喝(きょうかつ)のような大金の巻き上げを平気でやるようになった。トヨタもひどい目に会った。 

 アメリカの連邦政府の債務上限 20兆ドル=2400兆円の 引き上げの期限が迫っている。ワルのローマ法王フランシスコが米議会で演説したときに、後ろで、「私は辞任する」と突如、ベイナー下院議長が、政府の借金問題で、頭がおかしくなって、泣き出したのが、映像に映ってしまった。9月25日だったか。

 日本の東芝いじめ、東芝の経営危機も、 アメリカが、西室泰三(にしむろたいぞう、元東芝会長)を使って、「金融庁=アメリカの直属機関=が握る社外重役制度」を使って、三井ロスチャイルド系で、能力のある立派な人物である西田厚聰(にしだあつとし。 奥さんはイラン人 )の勢力を追い落とさせるために仕組んだのだ。

 トルコが、「ロシアは大事な友人だ」と言っていることが重要だ。こうなると、アメリカから離れようとしている中東の国々は多い。中東どころか、世界中で、アメリカの凶悪なやり方に嫌気が差している指導者たちが増えている。

 だが、彼らは、政治家だから、どっちつかずが一番。両方の勢力から、猫なで声がかかって、「タダでもらえるものなら、原発でも、高速鉄道(新幹線)でもいただいてしまいましょう」と、「まだまだ貧乏大国」のインドのモディ首相のように上手な立ち回りをしている。 こういう大きな事実を、日本のテレビ、新聞は、絶対に報道しない。

 バカのヌケサクなのだ、日本の、インテリ層や、有識者とか、専門家ぶっているバカたちは。世界基準(ワールド・ヴァリューズ)での大きな真実というものを、知らないのだ。理解する能力がない。アメリカによる戦後70年の洗脳教育というのは恐ろしいものだ。

 以下に、長々と載せる ウータン田中宇(たなかさかい)氏の文を、さらさらと読めるほどの、学力、知識力のある人には、私は何も言うことがない。だが、多くの人は、きっと以下の宇(ウ)ータンの文章は、難しくて、意味が不明だと思う。だから、私、副島隆彦が、分かり易く「今、世界に何が起きているか」 を、「ああ、日本は、本当に貧乏になった」と合わせて書いた。  以下の文をサラサラ読める人は、それでよろしい。その知能を褒(ほ)めてあげます。

 ただし、アメリカの世界覇権国(ヘジェモニック・ステイト)理論や、その他の世界政治の現在の骨格についての田中さかい氏の理解は、私、副島隆彦が、日本では誰よりも早く先駆者として、この30年掛けて築き上げてきたものであるから、そのことだけは、田中氏は、私、副島隆彦に敬意を払うように、ここで、言っておきます。

 それから、私は、「アメリカの覇権が終わったあと、世界は多極化(たきょくか、マルチ・ポーラー)する」理論論は、彦は採っていません。このことも言っておきます。 その他の分析では、田中氏のものとほとんど共有している、と言っていいい。  副島隆彦拝

(転載貼り付け始め)

田中宇の国際ニュース解説 無料版 2015年10月7日 http://tanakanews.com/

●最近の田中宇プラス(購読料は半年3000円)

ロシアのシリア空爆の意味 http://tanakanews.com/151004syria.php
米金融財政の延命と行き詰まり http://tanakanews.com/150928fiscal.php
不透明が増す金融システム http://tanakanews.com/150921bank.php

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★多極化とTPP
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 ロシアがシリア政府の要請を受けてISIS退治を始めたことで、世界の覇権体制の多極化と、米単独覇権体制の崩壊に、拍車がかかっている。前回の記事に書いたように、ロシア軍は数日でISISを総崩れの状態に追い込んでいる。

 おそらく今後半年以内に、シリアとイラクは、ISISやアルカイダのテロ組織がほとんど掃討され、ロシアとイランの傘下でかなり安定した状態が始まる。ロシアは今後ずっと、中東で大きな影響力を持つだろう。その分、米国
(や英仏)の中東における支配力が大幅に低下する。

http://tanakanews.com/151004syria.php
◆ロシアのシリア空爆の意味

http://asia.rbth.com/news/2015/10/04/russian_air_strikes_disrupt_supply_system_of_isis_terrorists_in_syria_-__49797.html
Russian air strikes disrupt supply system of ISIS terrorists in Syria – Russian General Staff

 10月5日、シリアでテロ組織を空爆中の露軍機が、間違ってトルコの領空内に数キロ入って飛行してしまい、トルコ空軍機が緊急発進し、ロシアがトルコに謝罪した。露軍機が領空侵犯したのを見て、米国がトルコに「露軍機を迎撃しろ」とけしかけたが、トルコ外相は「ロシアは友人だ。領空侵犯に対しては、友人として優しく注意喚起した」と表明した。

 今回の露軍のシリア進出は、トルコがシリアのクルド人を攻撃することを阻止しており、トルコはロシアに対して激怒している。しかしトルコは、中東で大きな力を持つようになったロシアを強く批判したがらない。ロシアは、トルコにアサド政権を容認せよと求めており、いずれトルコはしぶしぶ従うだろう。

http://tass.ru/en/world/826285
Moscow informs Ankara about Russian plane incident – Turkish PM

http://www.todayszaman.com/diplomacy_russian-made-fighter-jet-harasses-turkish-f-16s-over-turkeys-syrian-border_400643.html
Russian-made fighter jet harasses Turkish F-16s over Turkey’s Syrian border

 イスラエルのネタニヤフ首相は米CNNのインタビューで、露軍のシリア進出を非難しているNATO諸国と異なり、イスラエルはロシアを非難しないと表明した。
ネタニヤフは「もうロシアと対立していた時代には戻らない」と宣言し、今後はロシアと協調的な関係を維持すると述べた。トルコもイスラエルも、ロシアが中東の新たな覇権国であることをすでに認めている。

http://www.reuters.com/article/2015/10/03/us-mideast-crisis-syria-netanyahu-idUSKCN0RX0N520151003
Netanyahu says Israel’s relationship with Russia is good

 英国の議会では「英空軍もISISの拠点を空爆すべきだ」と要求する声が強まっている。ロシアが、シリアとイラクを席巻していたISISを退治すると、シリアとイラクに対する影響力を米英仏から奪う結果になる。英国が中東での利権をロシアに奪われないようにするには、ロシアが進めているISIS退治に参加するしかない。

 英国は従来、ISISを潰すふりをして強化する米国の策に協力し、米国と歩調を合わせてロシアを敵視してきた。それが突如、ロシアと一緒にISISを空爆しようという話になっている。露軍のシリア進出が地政学的な大転換で
あることが見てとれる。

http://www.rt.com/uk/317681-syria-bombing-hammond-support/
Support growing in Parliament for bombing ISIS in Syria, says UK FM

 英国の外務省の事務次官(Simon McDonald)は最近、英議会の外交委員会での証言で、「人権」がすでに英外務省にとって重要なテーマでないと表明した。
同次官は、人権よりも経済発展(prosperity agenda)の方が英外務省にとって優先的な事項だとも述べた。

 これまで英米の外交官たちは、ロシアや中国など新興諸国や発展途上国に対し、
人権問題を理由に経済制裁して弱体化させたり従属させる「人権外交」を得意としてきた。

 英外務省が人権を重視しなくなることの意味は、英国が、米英同盟による世界支配戦略をやめて、これまで人権問題で批判してきた中国や露イランやBRICSに接近し、それによって英経済を維持する策に転換したということだ。英国は、人権外交をやめることで、米覇権の崩壊と多極化に対応しようとしている。

http://www.independent.co.uk/news/uk/politics/human-rights-are-no-longer-a-top-priority-for-the-government-says-foreign-office-chief-a6677661.html
Human rights are no longer a ‘top priority’ for the Government, says Foreign Office chief

http://tanakanews.com/070118UN.htm
人権外交の終わり

 話をシリアに戻す。米国とロシアは、それぞれの陣営の地元の国々(米はサウジアラビアとトルコ、露はイランとエジプト)を引き連れて、シリア問題の解決を話し合う「コンタクトグループ」を設置した。EUも入れてくれと頼んだが、米国に断られてしまった。

 米国は、EUを除外することで、これまで米国と欧州諸国が共有してきた中東利権を、みすみす全部ロシアに渡してしまおうとしている。これは欧州を怒らせている。ドイツでは、メルケルの与党(CSU)の党首(Horst Seehofer)が、難民流入問題に絡む発言として、シリア問題で米国と組むのをやめてロシアと協調すべきだと提案した。

http://news.antiwar.com/2015/10/01/us-seeks-to-cut-europeans-out-of-syria-peace-talks/
US Seeks to Cut Europeans Out of Syria Peace Talks

http://rinf.com/alt-news/breaking-news/historic-news-finally-eu-and-u-s-are-breaking-apart/
Finally, EU and U.S. Are Breaking Apart

 ドイツなどEUは、米国の戦略失敗によって内戦状態が続くシリアやリビアから大量の難民が押し寄せ、非常に迷惑している。ISISなどテロ組織をこっそり育てて内戦を激化するばかりの米国より、テロ組織を空爆してどんどん潰すロシアの方がずっとまともだと欧州人が思うのは当然だ。

http://atimes.com/2015/10/a-syriaberliner-ensemble-escobar/
A Syria/Berliner ensemble: Escobar

http://rinf.com/alt-news/editorials/the-western-alliance-is-crumbling/
The Western Alliance Is Crumbling

 ドイツなどEU諸国は、ウクライナ危機でロシアに濡れ衣をかけて経済制裁する米国につき合わされ、対露貿易が減少して経済的な打撃を受けている。ウクライナとシリアの両方で、EUは米国のロシア敵視のやり方に怒っており、
米国を無視してロシアと関係を回復すべきだという声が強くなっている。先日は、メルケル首相が初めてクリミアがウクライナでなくロシアの領土であることを認める発言をしている。欧州の対米従属は終わりに近づいている。

http://russia-insider.com/en/german-government-wants-sanctions-russia-lifted/ri10147
German Government Wants Sanctions on Russia Lifted

http://sputniknews.com/politics/20151003/1027980523/merkel-admits-crimea-is-part-of-russia.html
Finally the Penny Drops: Merkel Admits Crimea is Part of Russia

http://tanakanews.com/140309russia.htm
プーチンを強め、米国を弱めるウクライナ騒動

 ウクライナでは今年初め「ミンスク2」の停戦合意が締結されたが、米国に好戦策を扇動されたウクライナ政府は兵器を前線から撤退させる約束を守らず、戦闘が続いてきた。しかし最近、ロシアとEUが協調して圧力をかけた結果、ウクライナ軍はようやく前線からの兵器の撤収を進めている。ウクライナの事態は少しずつ安定に向かっている。

http://news.antiwar.com/2015/09/30/envoy-east-ukraine-weapons-pull-back-deal-could-end-war/
Envoy: East Ukraine Weapons Pull-Back Deal Could End War

http://tass.ru/en/world/826097
Kiev to begin withdrawing weapons Monday – headquarters

http://www.reuters.com/article/2015/10/02/us-ukraine-crisis-meeting-france-idUSKCN0RW22O20151002
Ukraine’s Minsk process will run into next year: Hollande

http://tanakanews.com/150730ukraine.htm
ウクライナ危機の終わり

http://tanakanews.com/140404NATO.php
NATO延命策としてのウクライナ危機

 前回の記事にも書いたが、中国はアフリカ大陸の紛争解決に、国連平和維持軍の兵力と資金を出すことを国連総会で宣言した。ロシアがシリア内戦の解決に動き出したのを機に、米国覇権下で放置扇動されてきた各地の紛争が、露中など非米・反米勢力によって終結させる努力が開始され、覇権の多極化が加速している。

http://usa.chinadaily.com.cn/2015xivixitus/2015-09/29/content_22005596.htm
China to set up $1b peace fund

http://tanakanews.com/150924syria.htm
ロシア主導の国連軍が米国製テロ組織を退治する?

http://tanakanews.com/120206china.php
中国とアフリカ

 多極化が進むと、NATOは名前だけのものになってEUの欧州統合軍に取って代わられる。EUと中露が接近する。それと同時に多極型世界の「極」となる北米(NAFTA)や中南米(メルコスルなど)、アフリカ(アフリカ連合)などで、国際的な地域統合の動きが強まる。この流れは冷戦後、断続的に続いているが、欧州と、ユーラシア中央部(ロシア主導のユーラシア経済同盟、中露主導の上海協力機構)以外の地域では、地域統合があまり進んでいない。

http://tanakanews.com/120419americas.php
中南米の自立

http://tanakanews.com/f0306LaAm.htm
南米のアメリカ離れ

http://tanakanews.com/090707africa.htm
アフリカの統合

http://tanakanews.com/g1212NATO.htm
多極化に圧されるNATO

 露軍がシリアに進出し、中東覇権が米国の手から離れ始めた直後、米国が多極化に対応する地域統合の策を進めていることが再び話題になっている。その一つは、米国とカナダの軍事統合だ。カナダの公共放送(CBC)によると、米軍とカナダ軍の上層部は2013年から頻繁に会合し、米加両軍の統合について検討している。防衛力の統合は、国家統合の大きな部分だ。

http://www.cbc.ca/news/politics/canada-election-2015-military-integration-canada-us-1.3248594
Canadian military explored plan to fully integrate forces with U.S.

 米国とカナダは、空軍について、自国上空の防衛を担当する司令部(NORAD)を1950年代から統合して運営しているが、地上軍や海軍は別々に運営してきた。今回、米加は、海外派兵する際の部隊の統合を検討し、最終的に軍隊全体の統合にまでつなげていく構想も米加で共有していることが、カナダ軍がCBCにリークした文書で明らかになった。カナダ軍より米軍の方がはるかに規模が大きいので、統合はカナダ軍が米軍の傘下に入ることを意味している。

http://www.wsws.org/en/articles/2015/10/02/usca-o02.html
Canada’s top general discussed fully integrating its armed forces with US military

 米国は、イラクが大量破壊兵器を持っていないのに持っていると濡れ衣をかけて侵攻した03年のイラク侵攻や、シリア政府軍が自国民を化学兵器で攻撃したと濡れ衣をかけて13年に空爆しようとしたことなど、違法な海外派兵の策を繰り返してきた。カナダが海外派兵軍を米国と統合すると、このような違法行為にカナダも巻き込まれることになる。それを懸念するカナダ軍内の勢力が、CBCに米加軍事統合の計画をリークしたのだろう。

 世界的な長期の流れとして、戦後70年続いてきた米単独覇権の世界体制が崩れ、多極型の覇権構造に転換すると、国民国家が至高の存在であるという世界的な観念が過去のものになっていき、各地で国家間の統合が進むシナリオが、米国のCFR(外交問題評議会)などによって、折に触れてうそぶかれている。

 それを「陰謀論」と無視するのは簡単だが、EUや、露主導のユーラシア同盟、BRICSなどの動きを見ると、多極化は国民国家間の統合につながるだろうと感じられる。米加軍事統合は、そうした動きの一つだ。1民族1島国の天然国民国家の日本人には知覚・理解しにくい流れだ。

 米国が関与する地域統合のもう一つの動きは、10月5日に交渉が妥結したTPPだ。TPPは、米加メキシコの北米3カ国が1993年に締結した貿易協定であるNAFTAを基盤に、中南米やアジア太平洋の親米諸国を加えて新たな貿易圏を作る計画で、拡大NAFTAともいうべきものだ。

http://tanakanews.com/130812trade.htm
貿易協定と国家統合

 米国は、アジア太平洋諸国とのTPPと、欧州(EU)との協定であるTTIPという、2つの似た内容の自由貿易圏を同時並行的に交渉して設置することで、米国中心の新たな経済覇権体制として構築しようとしてきた。だが
TTIPは、24の全項目のうち10項目についてしか米欧双方の意見表明がおこなわれておらず、対立点の整理すら未完成で、まだ交渉に入っていない。
EUでは、署名活動として史上最多の300万人がTTIPに反対する署名を行った。

http://www.politico.eu/article/ttip-negotiations-not-even-half-done/
TTIP negotiations not even half done

 TPPもTTIPも、企業が超国家的な法廷(裁定機関)をあやつって国権を超越できるISDS条項や、交渉中の協定文が機密指定され国会議員でも見ることが許されていない(米議会では数人が見たらしいが、日本の国会議員は誰も見ていない)など、国民国家の主権を否定する傾向が強い。EUの調査では、欧州市民の96%がTTIPに反対だというが、当然だ。

http://tanakanews.com/120702TPP.php
国権を剥奪するTPP

http://truepublica.org.uk/united-kingdom/ttip-negotiations-fall-apart-as-eu-big-hitters-abandons-us/
TTIP Negotiations Fall Apart As EU Big Hitters Abandons US

 すでに書いたように、EUは今後、米国との同盟関係を希薄化して露中への接近を加速し、米単独覇権体制を見捨てて多極型世界の「極」の一つをめざすだろう。欧州がTTIPに同意する可能性は今後さらに低くなる。おそらくTTIPは破棄される。

 TPPだけが残るが、TPPは拡大NAFTAであり、米単独覇権体制の強化でなく、多極型世界における米国周辺地域の統合を強化するものになる。(米国の中枢には、単独覇権体制を声高に希求する人々と、多極型世界をこっそり希求する人々がいる。ベトナム戦争もイラク戦争も、単独覇権を過激に追求してわざと失敗させ、多極型世界を実現する流れだ。単独覇権型の貿易体制が多極型の体制に化けても不思議でない)

http://www.marketwatch.com/story/the-trans-pacific-partnership-charade-tpp-isnt-about-free-trade-at-all-2015-10-05
The Trans-Pacific Partnership charade: TPP isn’t about `free’ trade at all

 以前、日本はTPPの交渉に入っていなかった。日本がTPP交渉に途中から参加し、今や米国より熱心な推進者になっている理由は、世界の多極化が進む中で、何とかして自国を米国の傘下に置き続けたいからだ。

 日本の権力者が国際的に自立した野心を持っているなら、対米従属の継続を望まないだろうが、戦後の日本の隠然独裁的な権力者である官僚機構は、日本を対米従属させることで権力を維持してきた。対米従属下では、日本の国会(
政治家)よりも米国の方が上位にあり、官僚(外務省など)は米国の意志を解釈する権限を乱用し、官僚が政治家を抑えて権力を持ち続けられる。

 近年では、08~09年の小沢鳩山の政権が、官僚独裁体制の破壊を画策したが惨敗している。対米従属は、官僚という日本の権力機構にとって何よりも重要なものだ。

http://tanakanews.com/13012japan.php
日本経済を自滅にみちびく対米従属

 TPPは、米国の多国籍企業が、ISDS条項などを使って日本政府の政策をねじ曲げて、日本の生産者を壊滅させつつ日本市場に入り込むことに道を開く。日本経済を米企業の餌食にする体制がTPPだが、日本の権力である官僚機構にとっては、米政府に影響力を持つ米企業が日本で経済利権をむさぼり続けられる構図を作った方が、米国に日本を支配し続けたいと思わせられ、官僚が日本の権力を握り続ける対米従属の構図を維持できるので好都合だ。

 米企業が日本でぼろ儲けし、日本の生産者がひどい目に遭うことが、官僚にとってTPPの成功になる。官僚が、意志表示もほとんどしない国民の生活より、自分たちの権力維持を大事と考えるのは、人間のさがとして自然だ。

http://tanakanews.com/150618tpp.htm
大企業覇権としてのTPP

 米国はTPPに対し、貿易だけでなく経済システム全般の枠組みとして、今後の米国の影響圏設定の意味づけを持たせている。TPPに入れば、日本は、米国の影響圏内にいることを明示でき、世界が多極化した今後も、米国の経済システムの中に入って対米従属を続けられるが、TPPに入らなければ、日本は中国の影響圏に入るしかない。

http://fortruss.blogspot.ru/2015/10/obama-on-tpp-america-should-write-rules.html
Obama on TPP: America should write the rules of the global economy

http://www.ft.com/cms/s/0/2c07cd48-6b9b-11e5-8171-ba1968cf791a.html
US in position to write rules on trade

 今夏以降、中国経済が減速すると、日本経済が大打撃を受け、2四半期連続マイナス成長の不況入りが濃厚になっている。すでに日本経済は、米国などTPP圏より、中国に依存する度合いが強くなっている。長期的に見て、米経済は巨大な金融バブル崩壊の過程にあるので、日本経済にとって米国より中国の方が重要である傾向が、今後さらに強まる。放っておけば、日本は経済面から中国の傘下に引き込まれていく。隣の韓国は、経済面で中国の傘下に入ることをすでに容認している。

http://www.ft.com/intl/cms/s/0/0f66b698-67dd-11e5-97d0-1456a776a4f5.html
Japan’s Tankan shows dwindling business sentiment

http://www.wsj.com/articles/japan-industrial-output-slide-hints-at-recession-1443582684
Japan Industrial Output Slide Hints at Recession

 TPPに入っても、日本経済の中国依存が減るわけではない。TPPはもっと政治的、国際システム的、象徴的なものとして、日本が中国でなく米国の傘下にあることを示すものだ。TPPが重要なのは、関税率とか「コメや乳製品が値下がりして国民生活を助けます」とかいう経済面でなく、TPPが経済政策の政治的な枠組みであり、日本が米国の傘下にとどまるか、中国の傘下に追い出されるかという、多極化する世界の中での今後の日本の位置づけを明示している点だ。

http://tanakanews.com/150408japan.htm
安倍訪米とTPP

 日本ではここ数年、国民が中国や韓国を嫌うように仕向けるプロパガンダがマスコ”ミによって流布され、それを国民の多くが軽信している。こうした洗脳戦略も、米国が衰退して中国が台頭する多極化の傾向への対策だろう。洗脳戦略がなかったら、国民のしだいに多くが「米国より中国と組んだ方が日本経済のためだ」「TPPでなく日中韓で貿易圏を作れば良い」と思うようになり、民意主導で日本が対米従属から離脱していってしまう。

 それを防ぐため、国民が中国や韓国を「敵視」するのでなく「嫌悪」するよう仕向ける洗脳戦略が採られ、かなり成功している(敵視を扇動すると、日本が中国に対して攻撃的に関与してしまうことにつながり、どこかの時点で日中が折り合って和解してしまいかねない)。

http://tanakanews.com/120101CJKFTA.htm
TPPより日中韓FTA

 TPPと並んで、自衛隊が米軍と一緒に海外派兵できるようにする日本の集団的自衛権の強化も、対米従属維持のためだ。先に書いた、カナダ軍が米軍の傘下に入って海外派兵する新体制を作ろうとする米加軍事統合を、日本の集団的自衛権の強化と並べてみると、2つが良く似ていることに気づく。

 カナダは米国から「多極化の中で国家統合を進めたいなら、カナダ軍が米軍の傘下に入って海外派兵できるようにしろ」と言われ、迷いつつ進めている。
それを見た日本外務省が「うちも、米軍の傘下に入って海外派兵できるようにしますので、多極型世界における北米圏に入れてもらって良いですか」と申し出た。米国は了承し、日本は集団的自衛権を改訂した。NAFTA(北米経済圏)の拡大版であるTPPに、日本が何とかして入ろうとしたのと同じ構図だ。

 日本では、米国が昔から将来までずっと日本を傘下に入れ続けたいのだという勘違いが、意図的に流布されている。米国は歴史的に、ハワイやグアムを自国領にしたり、フィリピンを植民地にするなど、太平洋を自国の影響圏として設定してきたが、そこには日本が入っていなかった。

 単独覇権から多極型世界への(隠然とした)シナリオだった911前のサミュエル・ハンチントンの「文明の衝突」でも、日本は、米国にも中国にも従属しない「孤立文明」に分類されていた。TPPでも、米国は当初、米国と同様アングロサクソンの国である豪州とニュージーランド、豪州とフィリピンの間にある中小の諸国をTPPの交渉に入れていたが、日本を入れていなかった。

 第二次大戦後、米国が日本を自国の影響圏に入れておいたのは、ソ連や中国との冷戦構造があったからだ。日本は、米国が中露と対立している限り、米国にとって有益な場所にあるが、世界が多極型になり、米国と中露が対等な関係
で協調するようになると、米国が日本を傘下に入れておくとやっかいなことになる。日本は、米国の傘下に居続けるため、中露と米国の恒久対立を望み、中露と軍事対立し続けたい軍産複合体と結託し、多極型の世界運営の邪魔になる。

 だから、米国の単独覇権を過激に強化するふりをして破壊してこっそり多極型覇権に転換する策をやっているオバマ(や共和党の隠れ多極主義勢力)は、日本が延々と対米従属し続けることを望んでいない。オバマの本心は、TPPをまとめず頓挫させたかったのではないかと思われる。

 今回、TPPの交渉が妥結した一因は、乳製品問題で前回の交渉を頓挫させたニュージーランドを、日本が輸入増で譲歩してなだめたからだ。バイオ医薬品の独占期間の5年+3年の解決方法も日本が進めた。TPPは、日本のイニシアチブで妥結した。安倍政権を動かしている日本の官僚機構は、多極化が進んで日本が米国圏から切り離される前に米国にしがみつこうと、これまでにない積極性で対米従属を強化している。日本が主導してTPPを妥結に持ち込んだのはその一つだし、説明抜きで無理矢理に集団的自衛権を強化したのもそうだ。

http://www.nzherald.co.nz/business/new

5980 投稿日:2015/10/06 05:58

【1491】[1822]8年前に、日本人は足を踏み外した。

2007年 イーホームズ 藤田東吾氏の言葉(9条は、ドラえもん)
https://www.dropbox.com/s/bj2rsycjng0i7mb/fuzita.mp4
(貼り付け開始)
ところで、「耐震偽装事件」から今年の秋で10年となります。
あの事件はいったい何だったのか?
僕は2011年夏の終わりに早稲田で開催された「日本建築学会大会」の「構造部会」に出席しました。
そこで先生方から次の言葉を言われました。
「藤田君は会社を失ったけど(東北震災で)沢山の子供の命を救ったね」
http://ameblo.jp/togofujita/entry-12065420853.html
(貼り付け終わり)

4年前に日本ERIの買収を考え、山本繁太郎さんに会いにいった話し・・・
http://ameblo.jp/togofujita/entry-12061030432.html

税金で、できた。身体の結末

相田英男 投稿日:2015/09/30 00:25

【1490】[1821]真相はこちらです・・・

相田です。

下の投稿では怒りのあまり、うろ覚えの記憶で書いた箇所がありました。
元資料をあたった処、以下の文章を見つけました。本件の私の記述は全て下記の引用文に依るものです。以下の内容が正確です。

-引用始め-

サン・オノフレ原発は、全米でも特殊な原発で、Combustion Engineering(CE社)と言う会社が建設したもの。その蒸気発生器は、ウェスチングハウスが作った加圧水型原子炉では通常4つ付いている蒸気発生器が2個しかなく、同じ発電出力を得るために、ウェスチングハウスの加圧水型原子炉のものと比べて50%程度大きさが大きくなっている。だから、多分、三菱重工にこの手の蒸気発生器を造った経験はなかったはず。Combustion Engineeringの原子力部門はウェスチングハウスに2000年に買収されている。

米国内にある104基の原子炉の内、たったの14基がCE社の原子炉であり、なぜ、三菱重工にこの仕事が発注されたのか、それがまず疑問だ。次に、蒸気発生器にかなりの設計変更がされているという。当然、それは、発注側の注文であり、三菱重工はそれに従っただけだ。更に、発注側であるエジソン社はNRCに対して、蒸気発生器の設計変更を正確には伝えず、もともとあった蒸気発生器とほぼ同等のものを新たに据え付けると主張し、検査期間の短縮を図った様子だ。

この事件、かなりいろいろな事情が入り混じったもののように思える。

-引用終り-

上の文章を書いたのは、私がむかついた爺さんとの対談相手を務めていた、堀潤氏というライターの方である。堀氏は三菱の問題を下記に詳しくまとめている。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36079?page=4

実は堀氏の記事の最後には、本来は上の引用文があったのだ。しかし、堀氏のブログから現代ビジネスに内容が転載される際には、最後の追記文は何故か削除されてしまっている。元のブログ記事は読めなくなった。私がコピーしておいたテキストを上には載せた。

私は(もう読めなくなった)、上での追記文が、今回の一件での最も重要な記載をしていると思う。三菱の設計ミスと大騒ぎされているものの、相当にきわどい改造工事であったことを、エジソン社も重々承知だったのだ。さらには発注側(エジソン社)の依頼で、蒸気発生器にかなりの設計変更がなされたという。作った実績のない三菱に対して、エジソン社はさらに追加設計をさせたのだ。

最後の「発注側であるエジソン社はNRCに対して、蒸気発生器の設計変更を正確には伝えず、もともとあった蒸気発生器とほぼ同等のものを新たに据え付けると主張し、検査期間の短縮を図った様子だ」という記述については、もはや説明は不要だろう。

三菱は、記録しているエジソン社との打ち合わせ議事録を全て公開すれば、おそらく裁判に勝つだろう。筋が通っているのはどう見ても三菱の方だ。但し、裁判はアウェー開催なので、彼(か)の地のルールでやられる可能性もあるだろうが・・・

爺さんの発言にあった「川内原発を再稼働した九州電力と、サンオノフレ原発を廃炉にしたアメリカの電力会社サザン・カリフォルニア・エジソン社の、危険性を防止する思想の違いが、これほど明確に出ている。日本の電力会社は、大事故が起こる可能性を承知で、原発を運転している。もはや、狂気としか言いようがない」というのは、一体何をいっているのだろうか?

 原子力規制委員会に虚偽の書類を申請するアメリカの電力会社の方が、日本の電力会社よりも素晴らしい会社なのだ、というのが爺さんの主張なのだ。流石になんとも立派な、見上げた「モノの見方」ではある。

たいがいにせいよ、全く・・・・

爺さんの思考能力の基準を見極めるのに、今回の一件は大変参考になった。やっぱりこの程度の洞察力の人なのだ。

相田英男 拝

相田英男 投稿日:2015/09/26 23:10

【1489】[1820]結局のところはこうなのだろう・・・・

相田です。

 酔っ払った訳ではありませんが、以下のあの爺様の発言を読んで、書かずに居れませんでした。

-引用始め-

(以下の引用元はこちらです↓)
http://diamond.jp/articles/-/78689

ほんの3年前の2012年1月31日、アメリカのカリフォルニア州のサンオノフレ原発で、蒸気発生器の細管が破損したため、原子炉が緊急停止し、放射性物質が大気中に漏れた。サンオノフレ原発では、この写真の、三菱重工が納入したばかりの最新の蒸気発生器細管が穴だらけで破損していたことが明らかになったのだ。

 アメリカのNRC(原子力規制委員会)が、三菱重工の兵庫県の工場に抜き打ちの立ち入り検査をした、そして2基の原発が「廃炉になった」という大事件は、そういうことだったのだ。しかも、この蒸気発生器は2009~2010年に設置されたばかりで、稼働して1年たたずに事故を起こした。

つまり新品が事故を起こしたのだ!

加えて、日本の低レベルな原子力規制委員会や電力会社と違って、アメリカのNRCは、メカニックな問題に関して、きわめて高度な技術的能力を持っている。その頭脳集団が「三菱重工は信用ならない業者だ」と判定を下して、廃炉になったのだから、決定的である。

アメリカの電力会社が「廃炉」を決断したのは、三菱の欠陥製品を使って運転すれば、大事故を起こす、それがこわかったからである。莫大な損失となる「廃炉」より、大事故を起こした時の損失のほうが、桁違いに大きい。

だから、三菱重工に対して、9300億円、およそ1兆円というトテツモナイ巨額の損害賠償を7月に請求したのである。東芝が不正会計によって隠していた金額どころではない。

川内原発のメーカーは、サンオノフレ原発と同じ「三菱重工」なのである。再稼働した川内原発1号機はすでに新しい蒸気発生器に交換しているが、アメリカの事故が証明した通り、新品に交換してから大事故を起こしたのだ。つまり、鹿児島県では、もうまもなく大事故を起こす可能性がきわめて高い、という結論になる。

さらにひどいことに、10月にも再稼働しようとしている川内原発2号機は、新品の蒸気発生器を持っているが、交換しようとしていたところにフクシマ原発事故が起こったため、交換できないまま倉庫にしまった状態である。30年前に製造されて使ってきた、老朽化した巨大装置を、そのまま使う予定になっている。こちらは、すでに細管の破損を、山のように抱えているはずだ。交換しなければならないにもかかわらず、交換しないで運転しようとしている。

分りますか。

絶対にあってはならないことが、目の前で進行しているのだ。八重洲ブックセンター本店講演会での演題が、「川内原発は、ほどなく大事故を起こす!!」とは、そういう意味なのである。

 川内原発を再稼働した九州電力と、サンオノフレ原発を廃炉にしたアメリカの電力会社サザン・カリフォルニア・エジソン社の、危険性を防止する思想の違いが、これほど明確に出ている。

 日本の電力会社は、大事故が起こる可能性を承知で、原発を運転している。もはや、狂気としか言いようがない。問題は、このような大事件が、日本のテレビと新聞で、まったく問題になっていないことだ。

-引用終り-

相田です。

 イカれた爺さまが、また叫んでると今まで見過ごしてきたが、今度の話は流石に頭に来た。この件は、私もネット等で追いかけていたが、実情は広瀬の話とはかなり違う(筈だ)。

 そもそもこのアメリカの原発は、PWR(加圧水型軽水炉)とはいえ、三菱がライセンスで作って来たウエスティングハウス(WH)製ではなく、コンバッションエンジニアリング(CE)という別のメーカーが作った装置らしい。それが古くなって来たので、電力会社が改造して新しくしたいと思ったのだが、CE社はとうに無くなっていたので、代わりに三菱が改造を受け持ったという。

 三菱は当初はこの改造を受注するのに慎重だったのだが、電力会社からどうしてもと強く要請されて受けたらしい。同じPWR型とはいえ、WHとCEでは設計思想がかなり異なっている。別会社が設計したシステムに合わせて作るのに、三菱は相当に苦労したという。おそらくは、トラブルが生じる可能性も、契約時に十分に話し合った上で、改造工事に着手したのだろう。難しい工事を気楽に請け負うほど三菱は無責任な会社ではない。

 ちなみに受注契約が成立した後も、かの電力会社は、細かな仕様の変更を色々と三菱に要求したらしい。なんやかんやとすったもんだの上に、作ってみたら、トラブルが起きた、というのが、実情だという。

 NRCは電力会社に、運転開始に必要な安全対策の条件を提示したが、それに掛かる費用よりも、廃炉の方が安く上がるため、結局廃炉に決めたのだが、電力会社は腹いせに責任を全て三菱に押し付けたのだ。9千3百億というのは、アメリカのメーカー得意のハッタリだ。

 三菱はこれまでの経緯をきちんと踏まえた上で、冷静に裁判に対処していると思う。大人の対応だ。安易に挑発に乗らないのだ。マスコミが取り上げないのは、実情がはっきりしていないので判断出来ないからだ。多分、三菱側に分があるのだが、このご時世なので三菱の応援に二の足を踏んでいるのではないか。

 おい、爺さまよ。一体どういう風に見れば、上であんたの言うような話が作れるのだ?

 別会社が設計した原発システムに、後付で設備を加えるのがどれだけ技術的に難しいか、わからないのか?
あんたは技術の素人だよ。

「川内原発は、ほどなく大事故を起こす!!」だと?

 本当なのか???!

 鹿児島のほうは元々のWH流の設計で、アメリカの方はCEの設計ではないのか?設計が違うプラントの話を同じ土俵で何で議論できるのだ。何も考えずに、思いついたことをただ口から出しているだけでは無いのか、あんたは?

 爺さんよ、あんたにはまだ言いたいことがある。
 東芝のことだよ。

 東芝では、WHののれん代の話ばかり話題にされるが、火力事業の話も実は問題だ。東芝の火力発電事業は、GEと一体化していることは「当然あんたも」知っているだろう。何せあの広瀬さんなのだから。

 それなのに、東芝の火力事業が全く利益を上げていないのは、どういう訳なのだ?是非説明してもらいたいものだ。

 東芝は自分では蒸気タービンをこしらえて、GE様が設計なされた高性能ガスタービンと組み合わせて、世界最高性能のコンバインド発電システムを、大々的に売りさばいていたのではないのか?所謂H−systemというやつだ。

 H−systemについては、10年位前からあんたが盛んにヨイショしていたのを、私は忘れないぞ。今でも事あるごとにヨイショしてるよな?「原発は古い、これからはコンバインドだ」とかな。何回言ってるやら・・・

 さて、10年前からあんたがヨイショし続けている、このシステムを作っている東芝の火力事業が赤字続きなのは、一体なぜだ?10年間はダメでしたが、これからは売れます、ということなのか?

 結局東芝は、あんたが一押しの「世界のGE様」にひたすら騙され続けた挙句が、今の体たらくでは無いのか?火力でも原子力でも?

 あんたは日本の会社を無茶苦茶けなすくせに、アメリカの会社ばかりヨイショし続けて、一体何処の国の味方なのだ?あんた達は日本の「原子力ムラ」については嵩にかかって責め立てるくせに、「アメリカの原子力ムラ」のことは全く責めないのは、どういうつもりなのだ?

 「アメリカの原子力ムラ」の連中が何を企んでいるのか、この際、はっきりさせようではないか。

 それは、日本の重電メーカーを全て潰すことだ。
手始めに東芝で、次は本丸の三菱だ。日立は取り敢えずどうでもいいのだろう。正確には、日本のメーカーの原子力部門を潰して、技術を根こそぎ中国に持って行くつもりなのだ。違うのか?

 日本は福島ショックでしばらく立ち直れないので、サッサ見切りを付けて、これからは中国でがめつく稼ぐつもりなのだ。「アメリカの原子力ムラ」の連中は。船橋洋一がいきなりカウントダウンなんとか、なんて本を書き始めたのが、いい証拠だよ。

 あんたも、菅直人も、河野太郎も、大江健三郎も、みんな「アメリカの原子力ムラ」の提灯を担いでいるだけではないのか?ワザと気付かないようにしてるのか?

 本気だったらもう潮時ではないのか?これからは中国の原発と、どうやったら上手くやって行けるかくらい、少しは考えてくれたらどうかいな?

・・・・・・

 何だか太宰の「如是我聞(にょぜがもん)」みたいになってしまった・・・・
私は太宰のファンです。何十年も読んでないですが・・・・

相田英男 拝

守谷健二 投稿日:2015/09/24 13:02

【1488】[1818]天武天皇の正統性について

   正統性の創造者としての柿本朝臣人麿

 『万葉集』巻第三(235)
   天皇(すめらみこと)、雷丘に御遊(いでま)しし時、柿本朝臣人麿の作る歌

 大君は 神にし座(ま)せば 天雲の 雷の上に 庵(いほ)らせるかも

 「大君は 神にしませば」のフレーズは、『万葉集』巻第三の柿本人麿作の歌に初めて登場する。それ以前にはない。故に、人麿の発明と考えることが出来る。

 『万葉集』巻第二(167)
   日並皇子尊(ひなみしのみこのみこと)の喪仮(もがり)の宮の時、柿本朝臣人麿の作る歌

 天地(あめつち)の 初の時 久方の 天の河原に 八百万(やほよろず) 千万神(ちよろづかみ)の 神集(かむつど)ひ 集ひいまして 神分(はか)り 分かりし時に 天照らす 日女(ひるめ)の尊 天をば 知らしめすと 葦原の瑞穂の国を 天地の 寄り合ひの極み 知らしめす 神の命(みこと)と 天雲の 八重かき分きて 神下(かむくだ)し 座(いま)せまつりし 高照らす 日の皇子は 飛ぶ鳥の 浄(きよみ)の宮に 神ながら 太敷きまして 天皇(すめろき)の 敷きます国と 天の原 岩門(いはと)を開き 神あがり あがり座しぬ わご王(おほきみ) 皇子の命の 天の下 知らしめしせば 春花の 貴(たふと)からむと 望月(もちつき)の 満(たたは)しけむと 天の下 四方(よも)の人の 大船の 思ひたのみて 天つ水 仰ぎて待つに いかさまに 思ほしめせか 由縁(つれ)もなき 真弓の岡に 宮柱 太敷きいまし 御殿(みあらか)を 高知りまして 朝ごとに 御言問はさぬ 日月の 数多(まね)くなりぬる そこ故に 皇子の宮人 行方(ゆくへ)知らずも

 この歌は、持統三年(689)に亡くなった草壁皇子を悼んだ挽歌である。草壁皇子は、天武天皇と皇后(後の持統天皇)の間の生まれで、天武天皇の存命中に皇太子に立てられていたのだが、どうした訳があったのか天武崩御から三年たつのに即位することはなかった。皇太子のまま崩御してしまったのである。それ故、母である皇后が即位して持統天皇となる。そして、持統十年に草壁皇子の遺子・軽皇子(文武天皇)に譲位するのです。
 この歌のストーリーと修飾の仕方は、『日本書紀』『古事記』の天孫降臨神話、天照大神が天孫・瓊瓊杵尊に豊葦原瑞穂(とよあしはらみずほ)の国を与えたあの神話に瓜二つなのです。この王朝の最大のテーマは、天武の即位の正統性を創造することであったのです。そのためには神話さえも作り替えられたでしょのでしょう。天孫降臨神話は、人麿の「日並皇子尊(草壁皇子)」に捧げた挽歌が元だったのではないかと考えています。天皇は、人麿によって神に昇華させられたのではなかったか。

副島隆彦 投稿日:2015/09/21 13:05

【1487】[1817]さて、これから何が起きるか。それに備えましょう。

副島隆彦です。今日は、2015年9月21日です。

19日の未明、午前2時18分に、安保関連法案が参議院を通過しました。
これで、安倍内閣は、アメリカの命令通りに、東アジア(から中東にまで)に
おける戦闘行為に参加できる法律を手に入れた。

私は、条文を細かく読んでいないので、よくは分からないが、概要は次のとおりだ。

①「武力攻撃事態(ぶりょくこうげきじたい)法」 と
②「重要影響事態(じゅうようえいきょうじたい)法」(これは、これまでの「周辺事態法」の替り、拡張)と、
③「国際平和支援法」と
④ 「国連平和維持活動(PKO)協力法」の強化 の 4つの法律からなる

ということが、私の頭で分かった。

講談社黄

①は、日本国の「存立危機事態(そんりつききじだい)」 という言葉を新設して、他国、つまり、中国、ロシア、北朝鮮から( これにアメリカからも含むのか?)の日本国領土への侵略があったときに、「自衛隊が武力行使できる」とする法律である。これに規制をかけて「他に取りうる手段がないときに」としている。これで、憲法9条の「交戦権の否定」を脱法(だっぽう。コトバのくぐり抜け)をした。

②の「重要影響事態」法 というのは、これまでの「日本の周辺(すなわち、東アジアの海域ぐらいまで)の戦争事態だった」ものを、インド洋から先のホルムス海峡(イラン、中東)にまで、自衛隊を派遣できる。これまでような、掃海艇(そうかいてい。マイン・スウイーパー、機雷除去作業)だけでなく。

③の「国際平和支援法」で、これまではそのたびに特別法を通していたのに、それをやめて、包括法(ほうかつほう)一本で、「世界各地で戦争している他国軍(すなわちアメリカ軍)を、いつでも自衛隊が後方支援できる」とした。

これが、いわゆる後方支援活動(こうほうしえんかつどう)の中心だ。つまり歴史的には、戦場人足(にんそく)であり、荷物運び係(小荷駄方=こにだがた=)や、輜重兵(=しちょうへい=と言った)を日本の自衛隊がやる、ということだ。

④の「 PKO(ピー・ケイ・オウ)協力法 の改正」は、国連のPKO(平和維持活動=国際的な強制執行、警察活動)への参加につき、これまでは、後方での各国軍隊のウンコ処理(ゴラン高原PKOでやっていた。各国からの派遣軍の便槽≒べんそう=を集めてシドン、サイダの港まで捨てにいっていた)とか、水運び(イラク戦争で、東レの技術で海水の真水化したものを、南部バスラの港で作って、それを日本の航空自衛隊のC130輸送機で、米軍のイラク中の各基地に運んだ。ものすごく感謝された)だけでなく。

今後は、自衛隊員が自分の機関銃をもって、撃って、「他国軍(すなわちアメリカ軍)の“駆け付け警護”」が出来るようにした。

だから、③と④は、米軍の補助機関となって、「他国軍(すなわち米軍)を、いつでも自衛隊が後方支援できる」というコトバで総称して使うようになる。

ここまでの私、副島隆彦の説明を ぎゅっと纏(まと)めると、以下の朝日新聞の最近の記事の一部になる。 これぐらいは、私の上記の解説、説明に何度でも戻って、両方を読み返して理解してください。そうしないと、「安保法制って、何だったの」と人から聞かれたときに、もの知り、インテリとは言われない。

(転載貼り付け始め)

朝日新聞  2015年9月20日

・・・・安保関連法は、改正武力攻撃事態法、改正周辺事態法(重要影響事態法に名称変更)など10本を一括した「平和安全法制整備法」と、自衛隊をいつでも海外に派遣できる恒久法「国際平和支援法」の2本立て。「日本の平和と安全」に関するものと「世界の平和と安全」に関係するものにわかれる。

「日本の平和と安全」については、改正武力攻撃事態法に集団的自衛権の行使要件として「存立危機事態」を新設した。日本が直接、武力攻撃を受けていなくても、日本と密接な関係にある他国が武力攻撃されて日本の存立が脅かされる明白な危険がある事態で、他に適当な手段がない場合に限り、自衛隊が武力行使できるようにする。

また、朝鮮半島有事を念頭に自衛隊が米軍を後方支援するための「周辺事態法」は「重要影響事態法」に変わる。「日本周辺」という事実上の地理的制限をなくし、世界中に自衛隊を派遣できるようにした。後方支援の対象は、米軍以外の外国軍にも広げる。

「世界の平和と安全」では国際平和支援法で、国際社会の平和と安全などの目的を掲げて戦争している他国軍を、いつでも自衛隊が後方支援できるようにする。この際、国会の事前承認が例外なく義務づけられる。

これまでは自衛隊派遣のたびに国会で特別措置法を作ってきた。国連平和維持活動(PKO)協力法も改正。PKOで実施できる業務を「駆けつけ警護」などへ拡大。自らの防衛のためだけに認められている武器使用の基準も緩める。

( 朝日新聞 2015年9月20日  午前2時20分 )

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦です。 ここで必ず、「日本はこれで ”集団的自衛権” が行使できるようになった」という主張が出てくる。集団的自衛権とは何だ? と 聞かれて、すぐに答えられるインテリや、法律家(弁護士たちを含めて)、いない。なんて国だろう。

私、副島隆彦のような、総合知識人で、世界基準(ワールド・バリューズ)で、コツコツと知識を積み上げることのできる人間が増えないと、日本は、知能をヤラれている点で、ますますジリ貧だ。

アメリカ政府や、米軍の幹部たちは、日本政府(安倍政権)が、「これで集団的自衛権の行使を可能にする」というコトバを使うものだから、イヤがっている。

「なんで、日本軍ごときが、我が米軍と共同行動とかできるんだ。そんなことができるわけがないだろ。お前たちは、荷物運びの、私たちの後方支援活動で十分だ」、「集団的自衛権 ( collective defense right 国連憲章51条にちょろっと2行書いてある )というのは、欧州の各国の合同軍であるNATO(ネイトー)軍のようなものを言うのであって、敗戦国である日本政府が行使していい権利ではない」と考えている。 そういうものなのだ。

同じく、日本側の官僚トップの、内閣法制局の横畠裕介(よこばたけ・ゆうすけ)長官やら、元最高裁の長官だったちょっとは頭のいい、まだ良心のある 法律専門家や体制派の憲法学者たちが、今度の安保法制を物凄(ものすご)くイヤがったのだ。

彼ら法律家たちは、「日本には、個別的自衛権(こべつてきじえいけん)しかないし、これを十分に活用するかたちの法律改正でいい。それなら私たちは法律作りに懸命に従う。 もし、どうしてもというのなら、どうぞ憲法改正をしてください。そうすれば私たち法律屋は、憲法の下僕(げぼく、しもべ)ですから、それに従います」という態度だ。

だから、彼ら法律屋たちは、「法の“法的安定性”がない」、「“立法事実”がない」、「だから条文の案を作れない」という専門用語を使って激しく抵抗した。 だから、今度の安保法制は、日本側の誰たち(法律家たち)が作ったのか、今も不明だ。

横畠裕介は、「私には政府から連絡がない」「私は、承知していない」という国会答弁を繰り返していた。法制局の民事法制官も刑事法制官たちも知らないところで、法律の条文が作られた。だからアメリカの命令で動く特殊な連中が作文したのだ。

私、副島隆彦は、これから、このあと、安倍政権は、アメリカの凶暴な日本操(あやつ)り班の アーミテージ(タコ坊主。世界の真の麻薬王。米軍特殊部隊とCIAのウラ資金を作っている)や、ジョセフ・ナイや、マイケル・グリーンたちの命令で、中国の公船(中国海洋局)の船に、日本か、フィリピンか、ベトナムの公船(日本なら海上保安庁の船)をぶつけて、それで、軍事衝突(ミリタリー・コンフラグレイション)を起こすだろう。それはもうすぐだ。

9月16日ごろ、フィリピンの軍事(ただし文官=シビリアン)・警察の最高幹部たちが日本に来ていた。それからベトナムの政権党の書記長が来ていた。どうも、これらと日本政府が連携して、アーミテージの命令で、中国の公船(中国海洋局艦)にぶつけてゆく、という動きをしている。おそらく南シナ海だろう。 オバマは、それを「絶対にやるな」と制止している。

古来、政府(政権)の言うことを聞かないで、軍隊が勝手に暴走した形にして、軍事衝突の事件を引き起こした事例は山ほどある。日本の安倍政権は、アメリカ政府(オバマ政権)の強い意思に反抗して逆らって、アメリカの国内の軍事凶暴派と連携して動こうとしている。 かなり危険な行動に出そうである。

軍事衝突(ミリタリー・コンフラグレイション)で、双方で4,5人ずつの兵隊が死んで、これで日本国民が震えあがる。 日本は、安倍政権とタコ坊主の予定通り、一気に準(じゅん)軍事国家になる。国民生活に激しい統制と規制がかかるようになる。

第1段階である軍事衝突 のあとが、第2段階の事変(じへん。ミリタリー・コンフリクト)である。
ここで数百人の兵隊が死ななければいけない。それが、「事変(じへん)」という段階だ。ノモンハン事変とか、満州事変、日華事変、とかと同じ水準だ。これは今から数年先だ。今のウクラナイナの情勢は、この「事変」が終わって、停戦(シーズ・ファイア)している段階だ。

そのあと、ようやく、いよいよ、第3段階の 本格的な本当の戦争(warfare ウォーフェアー)になる。

私たちは、着々とこの道を歩かされている。「中東(ミドルイースト)だけでなく、極東(ファーイースト)でも戦争を起こさせろ。そうしないと、アメリカが帝国として生き残れない」という考えである。

この9月の25日、26日に、習近平が訪米してオバマに会いにゆく。この米中首脳会談で、今後一年間の世界が決まる。いろいろと駆け引きが有るようだ。
アメリカの金融崩れを中国が引き金を引く(すなわち、中国が持っている米国債を売る)ことを「やめてくれ。その代わりに」 という 交渉をする。

それでもオバマと習近平と(それから韓国の朴槿恵=パク・クネ=の3人)は、仲がいい。彼らは世界政治の王道に従って、「北朝鮮の核兵器を取り上げる」という東アジア戦略で動く。

この平和派(ハト派、dove )のオバマの決断を、アメリカの軍事凶暴派(タカ派 hawk ホーク)は、どうしても阻止して邪魔したい。だからイスラエルとネオコン派は、オバマを殺したい。オバマが大統領でいる間(来年末まで。より正確には再来年=2017年=の2月まで)は、オバマは、絶対に大きな戦争への OK の署名はしない。

だから、軍事凶暴派が、たとえ、オバマを暗殺してもバイデン副大統領がいる。バイデンは、11月までには大統領選挙に立候補するだろう。ヒラリーが弱体化するのをじっくりと待っている。 アメリカの軍事凶暴派(タカ派)の勢力は、なんとしてもヒラリーを勝たせたい。

アメリカ共和党(リパブリカン)は、ドナルド・トランプという下層白人大衆にものすごく人気のある、本音で本気で、大衆政治をやろうとする、まさしくポピュリスト populist ( 下から吹き上げる民衆の怒りと熱狂の政治)の男が出てきて、毎日、ゲラゲラの大衆政治をやっている。

トランプの、まるで、漫才そのものの劇場政治に、今のアメリカ人は酔っている。トランプ(NYの不動産王の、一代で這い上がった泥臭い男)を、テキサス州の上院議員のテッド・クルーズが支持表明した。リバータリアンで根性の有る、旦那とサケ漁の漁船にも乗っていた、元アラスカ州知事のサラ・ペイリンも「私もトランプの政権に入れててね」と支持表明した。

どうやって、来年の4月前までに、トランプたちポピュリストの勢力を、世界権力者たちが、押さえ付け、脅(おど)し上げ、叩き潰すのか。私は、今、その手口をシミュレーションしている。

アメリカ国内が弛緩(しかん)したお笑い政治をやっている間に、冷酷な軍事凶暴派が、戦争の2歩手前である軍事衝突を着々と仕組んでいる。それに私たち日本国民は引きづられて利用される。たまったものではない。

私は、以上のことを、自分の世界政治分析と近(きん)未来の予測の本である、『日本に恐ろしい 大きな戦争(ラージ・ウォー)が迫り来る』(講談社、2015年3月刊)に詳しく書いた。日本を含めた今後の世界の政治の動きのスケジュールを正確に知りたい人は、私のこの本を読んでください。

あるいは、北朝鮮が弾道ミサイル(核兵器の模擬爆弾)を日本海の、福井県の若狭湾の、領海(領土から22キロ)ぐらいのところに打ち込むかもしれない。北朝鮮の軍の中にも、アメリカのネオコン派や特殊な宗教団体の、凶暴な軍人スパイたちが入り込んで、世界戦争(ラージ・ウォー)が起きるように仕組んでいる。もし凶悪なヒラリーが、次の米大統領(2017年の2月から)になると、世界は確実に第三次世界大戦である。そのように、私は、私の前掲書の一行目に書いた。

だから、「これからこうなる。その次はこうなる。日本はこうなる。アイツらは、その次はこういう手に出てくる」と私は書いた。先へ先へ、近(きん)未来を予測、予言、先見(せんけん)することで、私は、日本国民が、急に慌(あわ)てないで済むように、書いた。

次に起きることを十分に予測して、それに備える、準備する、用心するべきだ。突発的に起きる(ように権力者たちは、見せかける)ことに対して私たちが予(あらかじ)め、注意深く、賢明に見抜いて対処することによって、私たちは自分自身の危機を乗り切ることが出来る。

急に起きる、たかが、軍事衝突(ミリタリー・コンフラグレイション military conflagration )で、南シナ海や東シナ海(尖閣諸島の海域)で、海上保安庁や自衛隊の軍事公務員が、数人、死ぬぐらいの事件で、私たちが、気が動転して、狼狽(うろた)えて、冷静な判断力を失うことが、彼らタカ派権力者、軍事凶暴派の、思う壺(つぼ)だ。

もう4年半前になる、2011年の3.11の大地震、大津波の後の、福島の原発事故で、これが起きた。動転した日本国民は、コワイ、コワイと大騒ぎして、自分の脳に突き刺さった恐怖心で、冷静な判断力を失った。私、副島隆彦が、真に頭のいい人間なら、「待てよ。ここで、アイツラの手に乗ってはいけない」と、放射能コワイの馬鹿騒ぎに加担してはいけないと、あれほど、福島の現地から、真剣に、皆を説得したのに。 頭の悪い人間たちは、「私はインテリよ。放射能を怖がるのは世界中のインテリの特権よ」みたいな低能(ていのう)状態をさらけ出した。

この手にハマることを” ショック・ドクトリン”と言うのだ、と、 私、副島隆彦は、2011年の4月から、ここの重たい掲示板に、ずっと書いたでしょう。真に頭のいい人間とは、何か、誰なのかを、(そして自分がアホだったのだ)と、しっかり事実に照らして、そろそろ認めなさい。

自分の頭が策略に載せられたときが、自分の負けだ。アイツラは始めから着々と、そういう手順で、このあと軍事衝突を画策し実行する。その突発ニューズに嵌(は)められて自分が錯乱状態になって取り乱して、根拠の無い恐怖心に捕(とら)われたら負けだ。 その時が、またしても日本国民の側の大敗北だ。

私、副島隆彦は、そのように前掲書『日本に恐ろしい大きな戦争(ラージ・ウォー)が迫り来る』 に徹底的に詳しく一冊まるまるで書いた。

この本では、大震災や、戦争2歩手前である、大惨事(ディザスター)型の突発事故を起こさせて、国民にショック(衝撃)を与えて、それで、国民を脅して、恐怖のどん底に叩き落として、それで、自分たち権力者が、いいように、緊急事態での支配と統制(コントロール)を行うのだと説明した。これを“ショック・ドクトリン ”という。

ショックドクトリン

あるいは、「大惨事便乗(びんじょう)型の資本主義(ディザスター・キャピタリズム)」という。これは、真の能力と勇気のある、カナダ人のジャーナリストの ナオミ・クライン女史が書いた本の書名だ。日本では、2012年に、東日本大震災の後に岩波書店から翻訳書が出版された。

まさしく『ショック・ドクトリン』であり、『ショック(を与えて、支配する)ドクトリン』である。

今の日本国民の多数意思は、「備えあれば憂いなし」と「しっかり戸締まりする必要がある。隣(とな)りに、中国と北朝鮮戦という ヘンな、危険な隣人がいるから」という感情操作で、出来上がっている。

属国日本論

私、副島隆彦が、長年、唱えてきた「アジア人どうし、戦わず。戦争だけはしてはいけない」 と「日本は、アメリカの属国である(『属国・日本論』1997年刊)。出来る限りの努力をして、敗戦によるアメリカの支配から私たちは徐々に独立しなければいけない。自分たちの運命を自分たちで決めることのできる国民にならなければいけない」と書いた。この私が築き上げてきた政治思想から、日本はほど遠いとこに今もいる。だが、私たち日本人の不屈の独立自尊(どくりつじそん。偉大だった福澤諭吉先生のコトバ)への努力は続いている。

最後に、書いておくが、9月19日の安保(あんぽ)法制法の可決に与党として賛成した 公明党(創価学会)は、池田大作名誉会長(まだ死んでいないのだろう)を始め、大きく脅迫されているのだ。だから公明党は法案に反対できないように、始めから締めあげられていて、出来上がっているのだ。 反対に回ったら、組織を叩き壊してやる、という大きな脅迫がある。

現実政治(リアル・ポリティックス)というのは、それぐらい恐ろしいものなのだ。こういうことを普通の頭をした人間たちには分からない。 日本共産党であっても、元気よく法案に反対しているように見えるが、「それ以上やったら、幹部たちを一斉逮捕で、組織を潰すぞ」という長年の脅迫が有る。だから、志位和夫(しいかずお)委員長以下、威勢は良さそうでも、組織だってはなにもやらない。衆議院議員が21人にもなって本当に良かった、という感じだ。 自分たちも、小沢一郎がやられたように、東京地検特捜部と 最高裁判所の”法の番人”の アメリカの手先の、”法律という刃物”を持っている連中に、やられたくない。 だから、共産党も、「アメリカは日本から出てゆけ。帰れ。対米従属論(たいべいじゅうぞくろん)は、共産党の十八番(おはこ)だぞ」 と、、近年、一言も言わない。

日本の大企業の労働組合も、「あんまり騒いだら潰(つぶ)すぞ」と脅されているから組織としては動けない。

あとの国民政党の皆さんは、お上品で立派な人たちだが、勢力としては力にならない。彼らは、立派なリベラル派の清潔で賢い国民だから、脅されることはない。だが、現実政治なるものの 泥臭い、真の恐ろしさを何も知らない。

今度の反対運動で、シールズ SEALDs という名で、生来の優れた学生たちが団結して現れた。これに全国の大学の感覚の鋭い、清新な学生たちが結集しつつある。 彼らはこれから気をつけなければいけない。自分たちの新生の組織を、内部に潜り込んでくる政治警察と、奇妙な宗教人間たちと、政治活動で長年の怨念を背負っている人間たちに、壊されないように、私たち、年長組の、このことに深い自覚が有る、強い人間たちが、しっかり見守って育てて守ってあげなければいけない。

私、副島隆彦は、「(19)60年安保闘争」(今から、55年前)の時に、国会正門前どころか、西門から、議事堂の内部もおびき寄せられて、そのあと、警官隊の一斉襲撃で、蹴散らされて、皇居のお堀の方に、雪崩(なだれ)を打って潰走(かいそう)させられた 学生たち2万人 の指導者だった者たち、 ひとりひとりの 運命を、ずっと調べてきた人間だ。この40年間の間に、彼らと会って、ズケズケと質問してきた人間だ。

たとえば西部邁(にしべすすむ)は、あの時、6月15日に、東大の駒場の一年生、2年生の ヒヨコ学生たちの部隊の指揮者だった。それで、逮捕されて長いこと裁判をやらされて傷めつけられた。それで、そのうち中曽根康弘という邪悪な政治家の家来、子分にになって、東大教授(駒場の教養部)にまではしてもらった。こういう知識人たち数百人の人生の遍歴を、私、副島隆彦は、彼らに20年遅れてやってきた後進の知識人として、ずっと観察して保存している。ここでの政治研究は、私の専門分野だ。

安保ブントの最高幹部だった、島成男(しましげお)に向かって、私は、彼が沖縄の精神病院の医師として死ぬ2年前に、 「島さん。 安保ブント(いわゆる、全学連という、過激派の日本での始まりの団体の上部組織)は、アメリカのCIAから資金を貰いましたか」 と、聞いた。 島成男は、「今は言えない。迷惑をかける人たちがいるから。 それでも、私たちは、ソビエトの大使館にいる、KGB(ケージービー)から殺されるとは思っていた」 と、私に証言している。

日本の秘密

こういう おそろしい真実を、私は、自分の 『日本の秘密』(2010年6月刊、PHP研究所 から復刊) に書いている。本当の政治なるものの片鱗の、おそろしい裏側を知りたい人は読んでください。私のこの本を読んで、外務官僚のイギリス派の国家情報官を務めた孫崎享(まごさきうける)氏が、大いに参考にしてくれたのだ。

今から、55年前の60年安保闘争 ( その10年後が、1970年「大学闘争」で、これで日本の学生運動は終わり。自滅、崩壊していった )の中から、出てきた、日本の政治人間たちの 過激派の学生運動の指導者たちに、私の先生である 吉本隆明(よしもとりゅうめい)は、 「そこらの商店街のオヤジたちからさえ、ただの青二才(あおにさい)の若造としか思われていない程度なのに、自分たちの頭の中でだけ、思い上がって、革命家(かくめいか)を気取る、この タルチョフたちは・・・」と、厳しく批判された。

学生運動が、大衆や労働組合と連帯できるのは、自分たちが知識人として自立したときだけだ。知識人として(職業として)自立せよ。そうするしかないのだ、と思想家・吉本隆明(2012年3月16日、87歳で逝去)は書いた。 私、副島隆彦は、この吉本のコトバを今も守っている。

この吉本の家の千駄木の小さな家に、のちに日本の過激派の各派の幹部になった者たちのほぼ全員が顔を出していた。吉本隆明は、文字通り、”日本の過激派の教祖”と呼ばれた人だ。たった数人しかいない私の先生のひとりだ。
私は、この人はすごい、と自分が判断したずば抜けた能力のある人しか、自分の先生にはしない。

副島隆彦拝

守谷健二 投稿日:2015/09/14 12:33

【1486】[1816]天武天皇の正統性について

  修史事業の中心にいた柿本朝臣人麿

 天武天皇の命令で始まった修史事業は、天武天皇の正統性を創造することであった。「壬申の乱」は、倭国の大皇弟による近畿大和王朝乗っ取り事件であった。戦いに勝利した天武には、正統性が絶対に必要であった。この正統性の創造を命じられたのが柿本人麿であった。ご存知のように人麿は、正史『日本書紀』『続日本紀』に一度も登場していない。故に謎の人物と云われ『万葉集』から奈良遷都以前に、石見国で下級地方官吏亡くなったと云われている。
 冗談ではない、人麿が地方の下級官吏などであったはずがない。天皇信仰の中核をなす万世一系(神代から天照大神の子孫である天皇が絶ゆることなくこの芦原の瑞穂の国を治めてきた)の創造者である。この王朝の最大の事業が、この修史である。その中心にいた人麿が、地方の下級官吏であったはずがない。奈良遷都(和銅三年、西暦710)以前に、柿本人麿としての役割を終えていた。人麿自身が、奈良遷都以前に死んだことを装ったのだ。人麿は、正史に全く登場しない、それは本名でないからだ。仮の名、ペンネームなのだ。人麿自身も、この修史は、歴史の捏造であることを自覚していたのだろう。神をも恐れぬ行為であることを。これから何回か人麿の歌を見てゆきたい。

 『万葉集』第一巻、29「近江の荒れた都を過ぐる時、柿本朝臣人麿の作る歌」

 玉襷(たまたすき) 畝傍の山の 樫原の 日知(ひじり)の御代ゆ 生(あ)れましし 神のことごと 栂(つが)の木の いやつぎつぎに 天の下 知らしめししを 天(そら)にみつ 大和を置きて あおによし 奈良山を越え いかさまに 思ほしめせか 天離(あまざか)る 鄙にはあれど 石走(いはばし)る 淡海(あふみ)の国の ささなみの 大津宮に 天の下 知らしめしけむ 此処と聞けども 大殿は 此処と云へども 春草の 繁く生ひたる 霞たち 春日の霧れる ももしきの 大宮処 見れば悲しも

 この歌が『万葉集』に登場する人麿の最初の歌である。万世一系の思想が語られた最初の歌である。

「橿原の 日知の御代ゆ(神武天皇の時から) 生れましし 神のことごと(全ての天皇が) 栂の木の いやつぎつぎに 天の下 知らしめししを(絶ゆることなく天下を治めてこられたのを) 天にみつ 大和を置きて あおによし 奈良山を越え 」

 人麿以前の歌には、この「万世一系」の思想はない。

    

副島隆彦  投稿日:2015/09/14 11:39

【1485】[1815]私は、今日(9月14日)国会正門前に様子を見に行ってきます。

副島隆彦です。  安倍政権が、「日本の 隣(となり)近所に、 危ない国があって、日本は しっかり戸締まりをしなければいけない。そうしないと国民生活の安全が守れない」 という 理屈=理論 で、国会を通そうとしてる 「安保法制関連法案(すべてで 20本か?) 」が、参議院を通過しそうである。 

 参議院で、9月17日(木)には、この法案を強行採決(すなわち野党は欠席)しそうだ。16日(水)には、横浜で、参議院の安保法制特別委員会の主催する公聴会(パブリック・ヒアリング、広く国民の意見を聞く機会の場)が持たれるようだ。 その次の日である17日に、この委員会で、さっさと決議をしてこの法案を おそらくその日のうちに、参議院の本会議を開いて、採血じゃなかった、採決をするようだ。

 ということは、17日、あるいは18日が、この法案が可決して法律になる(衆議院はすでに通っている)ようだ。 

 私、副島隆彦は、今日(14日)、月曜日)の 夕方6時半から国会正門前で、開かれる SEALDs (シールズ、 盾=たて=という意味にひっかけている)の 若者たち(ほとんどは、まだ大学生であるようだ) の集会を見学というか、様子を見てきます。 

 私が、知るかぎりでは、この SEALDs という 学生が中心の団体は、しっかりした学生たちの集まりである。  明治学院大学や日本大学の学生たちを中心にした団体で、この2年間に安保法制反対、戦争(に向かう日本)反対 の運動をしてきた。

 私は、遠くから、彼ら学生たちの様子をネット(ユーチューブとか)で見てきたが、真面目でしっかりした若者たちだ。 ゆがんだ考えをしていない。私は、彼らの行動を支持することに決めた。 それに呼応した、 野党(民主党、社民党、共産党、生活の党)の4つの党首=代表たちの 演説も 見た。  

 私は、シールズの運動を自主的、自然発生的に始めた学生たちを支持する。これに全国の大学の敏感な学生たちが、参加して、集まってきている。彼らは優秀な若者たちだ。今の日本が生んだ、緊要に必要な若い人間たちだ。

 彼らを育てて 見守っているのは、高橋源一郎(たかはしげんいちろう)という作家だ。彼は、明治学院大学の教授をしている。それから、内田樹(うちだたつる、神戸女学院の教授をしていた)と、上野千鶴子(うえのちずこ、東大の女性学の指導者)たちだ。 おそらく山口二郎(長いこと北海道大学にいた。今は、法政大学のようだ)もこれに加わっている。

 この人たちは、日本の急進リベラル派 の代表的な知識人、学者たちだ。私、副島隆彦よりも、数歳上で、 1969年、70年の東大闘争(学園紛争)を、20歳の若いころに経験している人たちだ。 

 私は、1970年から、45年経って、再び、アタマのいい、感覚の鋭い、時代の風を強く受け止めることの出来る、若い人たちが、こうやって出現して、日本人の結集軸となって、まとまって街頭に出てきたことを、大変うれしく思う。

 彼らが、今の日本で、一番、頭のいい若者たちだ。 彼らの顔は、きっと光り輝いているだろう。 私が、応援に行かなけば、私が時代から取り残される。

 だから、彼らの様子を 今日、午後6時半かららしいが、国会正門前に見に行ってきます。もし、時間の暇のある人は、来てください。 今日は、学問道場の旗は、持ってゆきません。が、私の顔を見たら、声をかけて、学問道場の会員だ、と言ってください。 

 以下が、情報です。 状況次第では、私たちも集団として行動しようと思います。  副島隆彦拝 

(基本情報です。転載貼り付け始め)

SEALDs
http://www.sealds.com/#upcoming-actions
9/14(月)18:30~ 戦争法案に反対する国会前大行動

デモ・抗議開催情報まとめ(戦争法案・安倍退陣等)
http://www57.atwiki.jp/demoinfo/pages/1.html

9/14( 月 ) 東京 千代田区議会 超党派有志 戦争法反対リレートーク(神保町交
差点) 17:30~ https://twitter.com/ic142373/status/639396341081178112

〃 東京 戦争法案廃案!9.14国会正門前座り込み行動 13:00~ 告知 Blog 行動予定
〃 東京 戦争法案廃案!安倍政権退陣!9.14国会包囲行動 18:30~ 告知 お願
い Blog 行動予定 案内チラシ 告知2
〃 東京 ミドルズ街宣チーム 街宣(お茶の水駅お茶の水橋口) 12:00~
https://twitter.com/MIDDLEs_gaisen/status/641822473990746112

〃 東京 第26回「安倍政権にNO!」街宣(JR有楽町駅日比谷口) 15:00~
https://twitter.com/soranoMasumi/status/642366561936764928

〃 東京 戦争法案廃案を求めるスタンディング行動(中村橋駅前) 16:00~
https://twitter.com/nerimapeace/status/642963643064152064

〃 東京 許すな!戦争立法 9.14国会行動(参院議員会館前) 18:00~ 告知 Blog
Labornet

〃 東京 “安倍政権は全国の市民の声を聞け!”国会正門前集会 11:00~ Blog

〃 山口 9.14 アベ総理の地元事務所に「戦争法案はヤメロ」と訴えに行こう!
12:20~ https://twitter.com/Bole3kio/status/641079219171160064

9/14-18 東京 国会前1週間連続座り込み闘争{国会前正門(国会に向かって左側
歩道)} - 告知 詳細

9/15( 火 ) 山形 安保法案に反対する山形緊急アクション 17:30~
https://twitter.com/SEALDs_Tohoku/status/641182997471866880
〃 茨城 参議院での戦争法案強行採決はゆるさない!いばらき総がかり行動
17:30~ https://twitter.com/raindrops98/status/639379733868756992

〃 東京 沖縄連帯「15日」宣伝行動(新宿駅西口) 12:00~
https://twitter.com/japanpeacecom/status/639984886653124608

〃 東京 中央公聴会開催抗議緊急行動(国会正門前) 12:30~ 告知 詳細
〃 東京 戦争法案廃案!9.15国会正門前座り込み行動 13:00~ 告知 Blog 行動予定
〃 東京 戦争法案廃案!9.15国会正門前大集会 18:30~ 告知 Blog 行動予定
〃 東京 戦争やだね!9.15緊急中野アピール『強行採決は許さない』(中野駅北
口) 18:00~ 告知 フライヤー
〃 東京 全国いっせい宣伝行動(上野駅マルイ前) 17:00~ Blog
〃 東京 安倍政権&メディア仲良しアピールin新橋(新橋SL広場) 18:30~ 告知
場所変更
〃 神奈川 リレートークとシール投票(大和駅) 16:30~
https://twitter.com/Standup_Kana/status/641151586702503937

〃 大阪 Stop!辺野古埋め立て 中央開発抗議 大成建設抗議 → 告知 詳細

9/16( 水 ) 千葉 戦争法案阻止 市原市民パレード 16:00~
https://twitter.com/wataame_hare/status/640129784224153600
〃 東京 戦争法案廃案!9.16国会正門前座り込み行動 13:00~ 告知 Blog 行動予定
〃 東京 戦争法案廃案!9.16国会正門前大集会 18:30~ 告知 Blog 行動予定
〃 神奈川 戦争法案廃案!9.16横浜・地方公聴会抗議行動 12:15~ 告知 詳細
Facebook
〃 神奈川 湯河原リレートーク(湯河原駅前) 14:00~
https://twitter.com/Standup_Kana/status/642280035236184064
〃 滋賀 戦争法案に反対する街宣行動@滋賀(JR南草津駅) 18:00~
https://twitter.com/shi_cop/status/642137928571817984
〃 大阪 戦争法案廃案!安倍ヤメロデモ! 18:00~ 告知 Blog

9/17( 木 ) 東京 戦争法案反対国会前集会(国会正門前) 18:30~ 告知 Blog スケ
ジュール
〃 東京 戦争法案廃案!9.17国会正門前座り込み行動 13:00~ 告知 Blog 行動予定
〃 東京 せたがやピースアピール(三軒茶屋駅周辺) 16:00~ Blog Blog2

9/18( 金 ) 東京 戦争法案に反対する国会前抗議行動(国会前北庭エリア)
19:30~ 告知 Website Facebook
〃 東京 戦争法案廃案!9.18国会正門前座り込み行動 13:00~ 告知 Blog 行動予定
〃 東京 チトフナ Kyodo DEMO 18:00~ フライヤー
〃 岐阜 9条壊すな!戦争させない!レッドアクション(名鉄岐阜駅前) 17:00~
https://twitter.com/GifuDatu/status/635987930285117440
〃 京都 もう黙ってられへん戦争法案廃案まで下京昼休み連続デモ 12:05~
Facebook

9/19( 土 ) 北海道 戦争法案に反対する怒りの緊急サウンドドラムデモ 14:30~
https://twitter.com/AFMA_asahikawa/status/641974088680890368
〃 埼玉 戦争反対!川越平和パレード第二回 17:00~
https://twitter.com/nonukeskawagoe/status/636331619574398977
〃 東京 戦争いやだ!共同大型宣伝(西新井・アリオ前) 14:00~ 告知 Facebook
〃 東京 もう黙ってられない!今の政治に物申すデモ 15:00~ 先行告知 Twitter
Blog
〃 東京 防災航空祭抗議情宣(立川駐屯地ゲート前)&C-1デモ → 告知 Blog ML
〃 神奈川 里山の秋❤お散歩デモ(雨天中止) 11:30~ 告知 Blog
〃 京都 戦争法案に反対する高校生京都デモ 15:00~ 告知 Twitter

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝

澤田 正典 投稿日:2015/09/10 20:48

【1484】[1814]まさかとは思うが・・・

 澤田正典です.今日は平成27年9月10日です.
 
 平成18年当時の,第一次安倍内閣のときの安倍晋三首相と,今の安倍晋三首相のお顔の輪郭,おそらく微妙に違います.お声も,体格も,雰囲気も,平成19年当時とは少し違うように,平成24年以降,特に最近は強く感じています.テレビで拝見しているだけですから,はっきりとはわかりませんが.
 現在の整形医学であれば,相当なことができるはずです.また,声紋については,映画の吹き替えなどで民生レベルでも高い技術が使用され始めていると思われます.そして,だんだん,徐々にすり替えていくと,どこで変化したのか,わからない.モーフィングの技術と同じ原理です.加齢や体重の増減,体調の良し悪しといった擾乱要因も加わりますから特定が難しくなる.
 もしかしたら,戦後の日本国の一般的なパターンから逸脱して,かつてない,より深刻な事態が現在の日本国に発生しているのかもしれない可能性が感じられます.極めて高度なレベルのソーシャルエンジニアリングが他の兵器とセットになって日本国民に使用されているのかもしれません.
 日本国の恒久なる平和と安寧と発展を祈ります.そして,このたびの水害で被災された皆様に心よりのお見舞いを申し上げます.
 日本国に住むすべての皆様は,お互いに慎重に行動して,御自分と御家族の身の安全と安心を精一杯智慧を絞り守り抜きましょう.

 澤田正典 拝