日本政界●情報メモ

投稿日:2010/06/18 06:33

【59】「財務省路線走狗の低劣な法人税減税提唱者」

「植草一秀の『知られざる真実』」から貼り付けます。

(転載貼り付け開始)

2010年6月17日 (木)
「財務省路線走狗の低劣な法人税減税提唱者」

日本の財政収支が著しく悪化したことは事実である。2009年度は財政規模102.5兆円に対して税収は36.9兆円にしか達しなかった。国債発行金額は53.5兆円と歳入の50%を突破した。財政非常事態と称して差支えないだろう。

しかし、わずか2年前、2008年度当初予算での国債発行金額は25兆円だった。2007年度では実績ベースで国債発行金額は25.4兆円だった。

わずか1年で国債発行金額=財政赤字は2倍増を示したのである。

財政事情急変の主因は経済情勢の急激な悪化にあった。2008年後半に深刻化したサブプライム金融危機の影響で、世界的に不況が伝播した。

日本では麻生政権の認識が甘く対応が遅れたが、経済が深刻化した時点で14兆円規模の史上空前の補正予算が編成された。官僚利権てんこ盛りのバラマキ予算の典型だったが、この歳出拡大を主因に財政赤字が激増した。

さらに赤字拡大を増幅させたのが、税収見積もりの間違いである。麻生政権が見積もった税収は実績を9兆円も上回る過大見積もりであることが判明した。歳出の激増と税収の激減により、日本の財政赤字は25兆円から一気に50兆円超えに2倍増を示したのである。

今後、日本では人口の年齢別構成の高齢化に伴い、社会保障関係支出の激増が予想される。財政収支のバランスを改善させると同時に、高齢化が進展した段階での財政破たんを回避するための方策を早急に検討することが求められている。

政府債務残高のGDP比は早晩、200%を突破する情勢にあるが、この数値は主要国のなかで突出して悪化したものである。日本の場合、国内での所得と支出のバランスから生じる貯蓄が国内での実物投資を大幅に上回り、巨大な資金余剰が生じているため、政府部門が巨額の赤字を計上しても資金のひっ迫が生じることがない。

これが欧州諸国などとの決定的な違いだが、将来にわたって資金余剰が持続する保証は存在しないため、できるだけ早期に財政収支バランスを改善させることが求められている。

財政収支を改善させる方策として、以下の三つをあげることができる。

第一は、経済改善により税収の増加を図ること、

第二は、政府支出の無駄を排除すること

第三は、増税などの歳入増加策を実施すること、

である。

 一般会計税収は、1990年度に60.1兆円あった。これが、2009年度、2010年度に37兆円にまで減少した。20年間で23兆円も税収が減少したのである。経済規模を示すGDPは、1990年度が451.7兆円、2009年度が476.0兆円で、2009年度が1990年度を上回っている。

 税収を1990年度と2009年度(補正後)と比較すると、

所得税 26.0兆円 → 12.8兆円

法人税 19.0兆円 →  5.2兆円

消費税  4.6兆円 →  9.4兆円

となっている。

 

 特徴的であるのは、法人税が1990年度と比較して4分の1程度にまで激減したのに対して、消費税が2倍強に増加したことである。消費税については1997年度に税率が3%から5%に引き上げられたことが影響している。

 この数値だけを踏まえても、次のことが言える。

 日本経済を復調させ、経済活動を健全化させることにより、税収の大幅増加を期待できること。経済低迷による税収の激減こそ、日本の財政収支悪化の第一の要因なのである。

 第二に重視されなければならないことは、政府支出の無駄を排除することである。麻生政権は2009年度に巨大な補正予算を編成したが、官僚利権てんこ盛りのバラマキだった。これらのバラマキを排除することが優先されなければならない。

 鳩山前政権は、政府支出の無駄排除を優先するために、増税の逃げ道を封印した。当初は消費税についての論議すら行わないと言明したが、その後、論議は許容するが2013年の衆院任期満了までは消費税増税を行わないことを確約した。賢明な姿勢を示していた。

 ところが、菅新政権は消費税増税に前のめりのスタンスを鮮明に示し始めた。

 さらに驚くべきことに、「増税で景気が良くなる」との珍説まで示し始めたのである。菅新首相は完全に財務省路線に取り込まれたと言ってよいだろう。

 日本政治を支配し続けてきた主勢力は米・官・業の三者である。政治権力を安定的に掌握するには、この三者と手を握ることが最も効率的である。この鉄則に乗った典型的人物が小泉純一郎氏だった。米国、官僚、大資本と癒着する政治を実行し、その見返りとして長期政権を獲得した。

 「官」の中核は、財務省と法務省である。財務官僚、検察官僚との関係を良好に保つことが政権安定の要であるとの判断を菅新首相は保持しているのだろう。

 財務省の切望は消費税大増税を実現することである。消費税は、景気変動に左右されない最強の安定財源である。どんなに不況が深刻化しても、所得水準の低い一般大衆に確実に年貢を納めさせることができる。情け容赦のない酷税である。

 現在生じている税制論議で、何よりも不可解なことは、法人税について、減税論議が先行していることだ。1990年度の税収水準と比較して、法人税は4分の1に激減した、最大の減税実施税目なのである。消費税は逆に2倍に拡大した最大の増税税目である。

 法人税減税が先行して取り上げられているのは、政治の支配者である大資本を消費税大増税論議の賛同者に引き込むためである。これが財務省の常套手段である。

 法人税減税を提唱し続けてきた人物は、消費税大増税に向けての財務省の基本戦術に組み込まれている人物とみて、まず間違いない。

 この問題と、企業団体献金全面禁止論議とは表裏一体をなしている。

 これまでの日本政治は、企業団体献金容認を通じて、大資本が政治を実質支配する構造で運営されてきた。企業団体献金全面禁止が実現すると、大資本が政治権力を支配するパイプが断ち切られることになる。大資本の政治権力支配の力は急激に衰えることになる。

 

 逆に言えば、企業団体献金の容認は大資本による政治支配を温存するための中核政策であり、大資本を消費税大増税支援者に引き込むことは、同時にマスメディアを消費税大増税支援者に引き込むことと同義になる。なぜなら、マスメディアは営業収入のすべてを大資本に依存する存在であり、大資本の意向に反する報道を展開できないからだ。

 米官業による政治支配を維持しようとする勢力=利権複合体としての米官業政電=悪徳ペンタゴンは、企業団体献金全面禁止の実現を阻止しようとしている。

 霞が関中核勢力である財務・検察勢力も、大資本による政治支配継続を切望している。大資本が背後に存在して、初めて霞が関勢力も巨大利権の配分にありつけるからである。

 大資本と対立する利害勢力が「国民」である。小沢一郎民主党元代表が示した「国民生活が第一」の方針こそ、「米官業による日本政治支配」に対峙するアンチテーゼだったのである。

 菅直人新首相は財務省路線に乗った経済政策運営を始動させた。その骨子は、

①緊縮財政の強行

②法人税減税と消費税大増税の組み合わせ

③政府支出の無駄排除の凍結

である。

 第二小泉政権が動き始めたと言ってよいだろう。

 この政治は、政権交代を実現させた国民運動と逆行するものである。

 幸い、菅直人新首相の最大の役割は、7月の参院選実施に向けての「選挙管理内閣」に限定されている。9月に民主党代表選が予定されているから、菅新首相はそれまでのワンポイントの登板である。

 9月の民主党代表選で主権者国民の総意に基づく新しいリーダーを選出すれば良い。1997年度、2001年度と、日本経済は財務省主導経済政策で二度撃破された。この失敗の教訓を活用しなければ、日本そのものが愚劣な国に堕してしまう。

 賢者は歴史に学び、愚者は歴史を繰り返すことを肝に銘じなければならない。

(転載貼り付け終了)

投稿日:2010/06/18 06:29

【58】「「沖縄式交渉術」が分からなければ菅直人政権でも「普天間問題」は解決しない

「現代ビジネス」の「ニッポンと世界」の「国際ニュース分析官 佐藤優」から貼り付けます。

(転載貼り付け開始)

2010年06月17日(木)
「「沖縄式交渉術」が分からなければ菅直人政権でも「普天間問題」は解決しない
東京の政治エリートは楽観し過ぎている」

 菅直人新内閣の成立によって、内閣と民主党への支持率はV字型に回復した。これを国民世論がムードに流されやすいからと見るのは間違いだ。去年8月30日で民主党への政権交代を選択した国民は変化を求めている。

 「自公政権が続けば、日本はこれからじり貧になる。民主党政権になれば、とにかく変化が生じる。その結果が良くなるか悪くなるかはわからない。しかし、とりあえず、しばらくの期間、民主党に機会を与えよう」というのが、今回の政権交代の底に流れる国民の基本認識であると筆者は見ている。

 鳩山由紀夫総理(本稿における肩書きは出来事が起きた当時のものとする)と小沢一郎民主党幹事長は、政治家が官僚を指揮する構造転換を本気で行おうとした。これがかつてない危機意識を霞が関(中央官庁)の官僚にもたせた。

 小鳩政権が「サブスタンス(政策の実質的内容)に通暁せず、無知蒙昧な国民に迎合する民主党のポピュリスト政治家が国家の支配者になったら、日本がダメになる」という官僚の集合的無意識を刺激したのである。

 ここで、大活躍したのが検察官僚と外務官僚だ。財務官僚、外務官僚、検察官僚は「霞が関村」で、偏差値が特に高い秀才集団である。それだからこそ、「われわれを抜きにして日本国家は存立し得ない」という強い主観的な使命感をもっている。

 検察官僚は、「社会をきれいにしたい」という欲望をもっている。きれい好きの検察官僚の職業的良心に照らして観察すると、鳩山も小沢も自民党の旧来型政治家と変わらないくらい不潔な存在に見える。そこで、特捜官僚(東京地方検察庁の検察官)が、「天に代わりて不義を討つ」と旧陸軍青年将校のような気迫で、小鳩の腐敗を追及した。そして小鳩政権打倒に大きな貢献をした。

 さて太平洋戦争に敗北した後、日本が生き残るために米国との同盟が不可欠になった。日米安保条約という名称であるが、その本質は軍事同盟だ。外務官僚は、「外国語に堪能で、国際情勢と国際法に通暁したエリートであるわれわれにしか、日米同盟を維持することはできない」という信念をもっている。そして、外交の素人である政治家が、日米同盟のサブスタンスに関与すると、天が落ちてきて日本国家が崩壊するという形而上的恐怖を抱いている。

 鳩山総理は外務官僚の「正しい指導」に耳を傾けない宇宙人だ。宇宙人による日本国家崩壊を防ぐために、ありとあらゆる手段を用いて、外務官僚が鳩山総理を包囲した。岡田克也外務大臣、北澤俊美防衛大臣、平野博文内閣官房長官は、外務官僚と認識を共有する「かわいい政治家」に変貌した。

 しかし、米国の名門スタンフォード大学で博士号をとった知識人の鳩山はなかなか外務官僚の言うことを聞かない。そこで外務官僚は、米国からの圧力、外務官僚と共通の視座をもつ記者たちの応援を得ながら、真綿で首を絞めるように鳩山包囲網を構築していった。

 ここで漬け物樽を想像してみよう。民主党という漬け物樽の中蓋の上に、検察官僚が「政治とカネ」という大きな石、外務官僚が、「普天間問題」という大きくて重い石を置いた。小鳩政権が崩壊したので、その石が取り去られた。そのことによって、中蓋が再び浮き上がった。国民の変化への希望はまだ消えていない。それだから菅政権の支持率が60~70%という「常態」に戻ったのである。

沖縄戦体験者が負傷すれば抗議活動は止められない

 日本の安全保障にとって普天間問題が死活的に重要ならば、7月11日の参議院議員選挙における重要な争点になるはずだ。なぜなら5月28日の日米合意に従って、8月31日までに、<普天間飛行場のできる限り速やかな返還を実現するために、閣僚は、代替の施設の位置、配置及び工法に関する専門家による検討を速やかに(いかなる場合でも2010年8月末日までに) 完了させ(る)>ならば、沖縄が猛反発し、沖縄にあるすべての米軍基地に対する地元住民の感情が急速に悪化するからだ。

 さらにその後、工事を強行しようとすれば、座り込みなどの抗議行動が起きる。警察力(機動隊)を用いて住民を排除しようとすると、小競り合いが起き、その過程で負傷者が発生する。座り込み抗議に参加している沖縄戦体験をもつ80代の高齢者が負傷するような事態になれば、保革の壁を超えた文字通り「島ぐるみ」の抗議活動が起きる。そうなると、米軍基地が住民の敵意に囲まれ、日米同盟の機能が低下する。

 このような状態に陥ることを避けるためには、日米合意の見直しが不可欠だ。当然、参院選の重要争点になるはずである。しかし、近未来に発生する危機に関する東京の政治エリート(国会議員と官僚)の感覚はきわめて鈍い。

 恐らく、沖縄が要求を突きつけるような形で交渉を行わないことの意味を誤解しているため、東京の政治エリートは根拠薄弱な「楽観論」をもってしまっているのだと思う。6月15日、沖縄県の仲井真弘多知事が上京し、菅直人総理と会談した。朝日新聞の報道を見てみよう。

 <菅首相、沖縄知事と会談 日米合意踏襲と負担軽減伝える  菅直人首相は15日午前、首相官邸で沖縄県の仲井真弘多知事と初めて会談した。首相は、沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設をまとめた先の日米合意を踏襲するとともに、沖縄の負担軽減に取り組む考えを表明。
 知事は「『少なくとも県外』と言った民主党に対する県民の期待は失望に変わった。日米合意は遺憾で、(辺野古移設の)実現は極めて厳しい」と伝えた。

 首相は、23日の沖縄慰霊の日に沖縄県を訪問する意向を示し、仲井真氏もこれを歓迎した。また、仲井真氏が普天間移設とは別に米兵が関係する事件事故についても「大幅な軽減に取り組んでほしい」と要望したのに対し、首相は応じる意向を示したという。
 約30分間の会談には仙谷由人官房長官らも同席。首相が応接室に先に入り知事を出迎える配慮を見せた。

 仲井真氏は会談後、「普天間は危険な飛行場。そのまま置いておくのはおかしい。なるべく早く返還してもらうことが元々のスタートだ。政府が責任を持ってきちんと解決してもらうのが筋だが、どうまとめていこうとしているのか、よく分からない」と不満を語った。> (6月15日asahi.com)

楽観視する外務官僚の「謀略シナリオ」

 仲井真知事の「『少なくとも県外』と言った民主党に対する県民の期待は失望に変わった。日米合意は遺憾で、(辺野古移設の)実現は極めて厳しい」という発言を菅総理がどう受け止めたかは不明だ。しかし、外務官僚は、「何とかなる」と考え、次のような戦略(謀略)を考えていると思う。

1.本件を名護市、特に辺野古周辺地区だけが関係する軍事問題であると土俵を限定する。
2.普天間飛行場の危険を除去することができるので、沖縄全体の利益のためにこの決定は必ずしもマイナスでないというプロパガンダ(宣伝)を行う。
3.辺野古移設への反対闘争に「疲れ」が出るのを待つ。
4.東京から「沖縄のほんとうの友人」なる複数の民間人を派遣する。これらの民間人は、首相官邸、外務省、防衛省と独自のパイプをもっている。沖縄人と酒を酌み交わし、いっしょに肩を組んでカラオケを歌う。
 そして、最初は聞き役に徹する。辺野古への移設を受け入れさせるために沖縄で鍵を握るのが誰かを物色するために、善人のふりをしているのだ。しかし、その本質は東京のエリートの利益を体現した工作員だ。
5.そして、利益誘導で、辺野古地区への移設を受け入れさせる。

 いわゆる「アメとムチ」の政策だ。菅政権が、優れた民間工作員を雇い、数億の内閣官房機密費(報償費)を投入すれば、この謀略は成功するかもしれない。しかし、筆者はそのための「機会の窓」は、ほぼ閉じかけていると見ている。

 なぜなら、機密費に対する国民の監視の目が厳しくなっており、自国民である沖縄県民にこのような「裏のカネ」を投入するリスクが大きくなっているからだ。機密費なくして、名護市や辺野古周辺地区での切り崩し工作は不可能である。
 また、政府の工作に協力しても、それが露見した場合、非難されることを恐れて、このようなリスク負担の高い秘密工作を引き受ける能力の高い民間人を見つけることが難しくなっているからだ。

 普天間問題の突破口をどう見つければよいかについては、入念な研究が必要だ。6月4日、衆参両院で内閣総理大臣に指名された後の記者会見で菅氏は、「数日前から『琉球処分』という本を読んでいるが、沖縄の歴史を私なりに理解を深めていこうとも思っている」(6月5日東京新聞朝刊)と述べた。

沖縄返還直前に政府高官が分析した「特別な小説」

 筆者は、菅総理が言及した本は、沖縄初の芥川賞作家・大城立裕氏の名著『小説琉球処分』(講談社、1968年)であろうと推定している。1991年の再版に際して、大城氏は、沖縄返還にあたった日本政府の官僚が本書から沖縄との交渉術を学んだという話を披露している。

 <琉球処分という言葉すら、およそ知られていなかった。連載がはじまったころ(引用者註*本書の元になる小説が1959年から60年に琉球新報に連載)、ある友人が「処分という言葉はおだやかでないね」とコメントしたほどである。
 そのコメントには、当時祖国復帰運動がさかんであった環境のなかで、その情勢に水を差しかねない題名への批判が込められていたと思う。

 二年後の一九六二年に、歴史学者の井上清氏が学術論文に琉球処分をあつかったあと、この言葉が歴史家のあいだでは、やおら浸透するようになった。
 しかし、「琉球処分」という言葉が日本政府によって作られたということは、いまなお知識としてひろく普及しているとはいえない。沖縄の民衆がそのひがみから生みだした言葉だと、誤解している人が多い。

 作品が、連載当時はそれほどの関心をもたれなかったのに、一九七二年の復帰間近になってから、関心をもたれるようになったのは、皮肉であった。復帰路線を敷く作業をしていた日本政府官僚のあいだで、沖縄研究のテキストにしている、という話もあった。

 彼らのあいだでは、琉球政府の役人が、琉球処分当時の王府役人と変わりがない、という感想があったと聞いた。また復帰路線のありかたに批判的であった革新の側では、日本政府がその政策の都合ばかりを押しつけてくる、という意味で、政府役人が琉球処分当時と変わりがない、という批判をしていたようである。
 そのことは、私自身が書きながら予感していたように思う。松田の報告書を読みながら、両者の文化的基礎が違いすぎることを、つよく感じた。

 日本本土と琉球とでは、歴史の出発に一千年も差がつき、琉球は中世をとびこして近世にはいったから、その後の歴史に無理が生じたのだと、私は考えている。つまり、近代を準備する文化が育っていなかった。一方、日本では近世にはやくも近代が準備されていた。このギャップは恐ろしい(拙著『休息のエネルギー』農山漁村文化協会、一九八七年参照)。

 その無理が最初にあらわれたのが、琉球処分であった。とくに、松田と王府高官たちとのやりとりに、それを私はかぎとった。松田は沖縄県設置とおなじ年に東京府知事に任命されたが、いわば日本近代のドラスティックな能吏のはしりである。相手の王府高官たちは、まったく前近代の典型である。
 資料の行間に、その対照を読みより、それを描くことが楽しみであった。読者が退屈を越えて、それを読み取ってもらえれば、幸いである。>(「後記」大城立裕『ファラオ原点叢書4 小説琉球処分』ファラオ企画、1991年、477~478頁)

 沖縄返還当時の官僚には、『小説琉球処分』を読み解くことで、沖縄の内在的論理の把握につとめ、それを政策に生かそうとする知性の幅があった。
 民主主義においては、多数派の立場が圧倒的に強い。現在も人口がわずか138万人に過ぎない沖縄は、民主主義制度の下では、常に負け続ける宿命下にある。そのような沖縄には独自の交渉術がある。

日本の国家統合が内側から崩れる日

 この交渉術を理解するために『小説琉球処分』は、特別の地位を占めている。袋小路に陥った普天間問題を解決するためのヒントがいくつも隠されている特別の小説なのだ。

 1879(明治12)年、警察と軍隊を引き連れ、松田道之処分官が、首里城明け渡しを強要し、尚泰王に上京を迫った。しかし、王の側近たちは、さまざまな遅延戦術をとる。その状況に直面した松田道之処分官の心境を大城氏はこう描写する。

 <われながら、よくこれだけの根気を身につけたものだ、と松田はひそかに嘆じた。五年来、何十回あるいは何百回、琉球の高官どもと談判をした。根気くらべの談判であった。しかし、あの談判の相手には理屈があった。詭弁だらけとはいえ、理屈があった。
 縦横の詭弁と戦うのは苦労であったが、しかしそれなりに外交官としての張り合いもあった。ところが、この談判はどうだ。理屈ぬきに「九十日延期を。病気だから無理だ」とくる。はねかえしてもはねかえしても寄せてくる—卑小な蚊の群れにもたとえようか。

 発言する者は、代表的な二、三人。残りはだまって折ふし表情を変えるが、—-よろしい、この根気どちらが折れるか・・・>(大城立裕『小説琉球処分』講談社、1968年、544頁)

 結局、松田処分官は、根気くらべに負け、警察力と軍事力で問題を解決した。このツケが、今日の普天間問題にまで及んでいるのだ。

 日本は大国だ。これに対して、琉球王国は小国だった。しかし、小国には小国の生き残りの論理と交渉術がある。沖縄県内への普天間飛行場の移設に関与する東京の政治エリートは、理屈抜きの「はねかえしてもはねかえしても寄せてくる」ような静かな抵抗を沖縄から受けるだろう。
 すでに、沖縄では最保守陣営に属し、東京の政治エリートとの諍いを極力回避する傾向の強い仲井真知事が、無意識のうちに、「はねかえしてもはねかえしても寄せてくる」ような抵抗を始めている。

 そして、その抵抗を繰り返すうちに、沖縄の人々の間に、かつて自らの国家であった琉球王国が存在し、それがヤマト(沖縄以外の日本)によって、力によって滅ぼされたという記憶がよみがえってくる。そうなると日本の国家統合が内側から崩れだす。
 その過程が始まっていることに気づいている東京の政治エリートがほとんどいないことが、現下日本の悲劇である。

(転載貼り付け終了)

投稿日:2010/06/18 06:24

【57】「増税・財政再建路線は「脱小沢」を貫くための仕掛?」

「日々坦々」から貼り付けます。

(転載貼り付け開始)

2010/06/18(金) 03:52
「増税・財政再建路線は「脱小沢」を貫くための仕掛?」

久しぶりの週刊朝日ネタ

今週号は小沢研究20年、このブログでも度々取り上げさせていただいた、渡辺乾介氏による≪菅直人も知らない小沢一郎の肉声≫がトップ記事で掲載されている。

あのガセが多いので有名な菅さんの元秘書の某氏に煽られたのではないかと思われる、このごにいたって衆参W選挙を掲載してしまい、また、前原誠司の≪小沢神話はマスコミがつくりあげた虚構だ!≫(読む気もおこらないが・・・)
を同時掲載されているので、月曜には買ってはいたが、ここで紹介するのをひかえていた。

もっとも「月刊日本」のように全く立場の違う論客同士を闘わせるというのはありなのだが、今週の週刊朝日は、読みたい記事が一つのみで、これでは、わざわざオカネを出してまで読もうと思わないし、立ち読みで十分ということになる。

まずは気を取り直してその渡辺氏の記事を紹介する。

リード文
≪その功罪や好き嫌いはともかく、20年以上にわたって日本政治の中枢にあり続けたのが小沢一郎前幹事長(68)だ。つい直前まで我が世の春を謳歌していた権力者は新政権が誕生したいま、何を思い、これからどいしようとしているのか。だれよりもこの男に肉薄する政治ジャーナリストが、いまの本音を読み解く。≫

「私の知る限り、小沢が鳩山内閣に疑念をもったのは3月上旬です。」「普天間を含めて、あまりにも言葉が走りすぎる。こういうことを総理大臣がやってはいけない。どうも早晩行き詰まるね。危ないな」

と刺激的な言葉がならぶ。

鳩山・小沢ダブル辞任の真相として、既に小沢さんの中には3月の時点で「辞任」のタイミングを覗っていたことになる。

自身の「政治とカネ」をめぐる問題をかかえながら自分も辞めることを強く示唆したものとして次の小沢氏の話を紹介している。

≪「世の中の流れがこうもつくられてしまうと、ある意味で歴史の流れだから、何人(なんびと)たりともこれに抗することはできない。この政権交代を結実させるためには、鳩山だけにダメだというわけにはいかないだろう」
小沢の判断基準は一にも二にも、参院選で勝つためにはいかにすべきかということ。鳩山さんはいかにも自分が小沢を道連れにしたかのような言い方でしたが、小沢が枝野幸男幹事長との引き継ぎ後、「引くも進むも一緒」と言ったでしょう。あのとおりですよ。実際は小沢が主導したんです。≫

渡辺氏は、その辞任の真相は本当にお粗末だったと次のように語っている。

≪鳩山さんは社民党の連立離脱がどんな影響をもたらすかを理解しないまま、米軍普天間基地の辺野古移設を決断してしまった。鳩山さんは国民新党さえいれば、参議院では与党が1議席多い多数派だから、なんとかなると思い込んでいました。ところが、現実には、参議院の委員会によっては、社民党の委員を加えて初めて与党が多数派になっていたから、社民党が抜けると与野党がひっくり返る。審議はストップして成立しない重要法案が出てくる。鳩山さんは、国会対策を経験したことがないから、こういう仕組みがわからない・・・≫

その後、鳩山、小沢、輿石の三者会談があり、1回目にそうした状況を説明されて初めて事態の深刻さを理解した、というのだ。

なんともお粗末な話だが、小沢さんが以前(たぶん昨年の12月)「社民党が離脱すると言ってるのはブラフ(脅し)じゃない」「社民党が抜けたら大変なことになりますよ」と鳩山さんに警告していた、とのこと。

また、そうした鳩山さんの認識不足に対して渡辺氏は、

≪小沢は、3年前の参院選のときから社民党との間で選挙協力を用意周到に進め、連合も引き込んで、ようやく政権交代にこぎつけた。それを鳩山さんは簡単に壊しちゃった。苦労して大事に大事に社民党を扱ってきた意味を、鳩山さんはまったくわかっていなかったんです。さすがに2度目の三者会談では、鳩山さんは事態をのみ込んでいました。その段階で小沢は「3人一緒ですよ」と言ったんです。・・・鳩山さんはその時点で、自分だけが辞めさせられるわけじゃないとわかったわけです。≫

と鳩山さんのお坊ちゃん度を評価?している。

W辞任で、鳩山さんは小沢さんに辞任を勧告したようなことを言っているが、実際は最後通帳を突きつけられたのは鳩山さんだったようだ。

本ブログ6/2エントリー≪小沢さんが突きつけた三行半と鳩山総理の最後っ屁≫でも書いたが、渡辺氏の記事を読むとこの見方は概ねあたっていたかもしれない。

さらに渡辺氏は「小沢が許さない閣僚たちの名前」として、前原、岡田、北沢、長妻をあげている。
なぜ長妻か、それは力不足だったから、ということだ。

今回の増税議論について気になることを言っている。

*****政治ブログ***********

≪小沢が自らの問題で国民の信を失ったことは事実です。ただ、そのことと民主党が増税路線に変わることは、何の関係もない。ポイントはそこです。小沢は、なぜいま、菅政権が増税を口にしなければいけないのかと疑問に思っている。小泉純一郎元首相による構造改革以降、格差が拡大し、国民生活がこれほど疲弊している現状では、消費税の増税を封印し、まずは国民生活を元気にする。それが3年前の参院選で小沢が訴えたことです。民主党として初めて独自の予算編成をするのは来年度分からだし、ムダ削減の成果もまだ十分でない。財政再建は必要だけれども、それを増税で、という党内合意もまだない。このままでは公約違反になってしまいます。「反小沢」とか「非小沢」とされる人間たちが、増税・財政再建路線を、政権を奪うための口実にしているのではないか。小沢にそう映っているとしたら、それは政権交代の大義に対する裏切りと思うのではないか。≫

昨日のエントリーではないが、菅さんの小手先政治では、この見方は十分あり得ると思う。
小沢さんに対する対立軸で、一番明確なのが「増税・財政再建優先」路線である。
消費税増税に対して国民も受け入れに傾いていることなどが世論として出たのを考慮して、これを軸に「排除の論理に重ね合わせても戦える」と考えたとしても大きくは事実と離れていないだろう。

この後の記事で渡辺氏は、菅政権はまだ小沢さんの手のひらの中にある例として、参院選での複数区見直しを断念し、小沢秘書軍団をそのままにしていることをあげている。

参院選後の代表選挙は菅さんが無投票で再任されるが、その後は細野、海江田、原口あたりが小沢グループのリーダーとして世代交代の象徴になり、岡田、前原、野田などは旧世代においやられ、2年後には小沢さんが勝負に出る、と言っている。そこでの争点は「増税派」と「アンチ増税派」の戦いが始まる、とのこと。

小沢さんは「真の国民主導政治」と「安全保障の枠組み」の道すじさえ出来上がれば、禅譲・引退もあることをほのめかしている。

最後に、≪参院選後に小沢さんがどのような政策を唱えるかにより、民主党が音を立ててきしみ、大海に浮かぶ小舟のように揺れる可能性がある≫と結んでいる。

各政党のマニフェストが出てきた。

民主党は国民主導の国民のための政治から、「官僚主導の政治」へと転換し、昨年の衆院選でのフレーズがことごとく消えている。

この民主党のマニフェストで一番ほくそ笑んだのが財務官僚だろう。以下日刊ゲンダイの記事を転載させていただく。

【菅・仙谷の腰砕けに霞ヶ関官僚は高笑い】(日刊ゲンダイ2010/6/17) 

≪幹部人事の「政治主導」は断念! 
きのう(16日)の仙谷官房長官の会見はビックリ仰天だった。夏の官僚幹部人事について、自民党時代と同様に、各省庁が提出する人事案を追認するというのだ。
幹部人事を官邸主導で行うための国家公務員法改正案が、16日に閉会した通常国会で廃案になったため、仙谷は「適材適所で配置する図式が実現していない」とか言い訳していたが、政治主導の断念を宣言したも同然である。改正法案の成立を見込み、各省庁は幹部人事を凍結していたが、従来の官僚主導に逆戻りすることになる。
「脱官僚・政治主導」は民主党の1丁目1番地だったはずだ。この理念に国民が共鳴したから、政権交代が実現した。なのに、わずか9カ月で官僚に屈服するなんて、とんだ裏切りではないか。
「そもそも仙谷大臣は公務員制度改革に熱心ではなかった。思い入れがないから、公務員制度改革の担当ポストも、アッサリ玄葉光一郎政調会長に譲った。玄葉さんには公務員制度の知識なんて、まったくないのに……」(民主党中堅議員)
菅首相の変節も気になる。首相就任会見では、「官僚こそが政策や課題に長年取り組んできたプロフェッショナル」などとヨイショ。その後も、官邸に事務次官を集めて「一層の協力、努力をお願いする」と頭を下げていた。
民主党政権の腰砕けに、ひそかにキバを研いでいた官僚たちは「それ見たことか」とほくそ笑んでいる。「族議員が少ないぶん、民主党は御しやすい」(国交省キャリア)なんて声もある。菅や仙谷は、官僚にここまでナメられていることを分かっているのか。≫ 

これでは完全に後退である。政策までもが「脱小沢」で貫かれているように思えてくる。

最後までお読みいただきありがとうございます

(転載貼り付け終了)

投稿日:2010/06/17 07:29

【56】「民主党対米隷属派候補の識別リスト作成が急務」

「植草一秀の『知られざる真実』」から貼り付けます。

(転載貼り付け開始)

2010年6月16日 (水)
「民主党対米隷属派候補の識別リスト作成が急務」

私が小泉政権を政権発足時点から厳しく糾弾し続けたのは、小泉政権の政策基本方針に原因がある。

小泉政権の政策基本方針とは、

①市場原理主義

②対米隷属外交

③官僚利権温存

④政権の大資本との癒着

だった。

 政権運営上の問題は、独裁的に権力を行使し、警察・検察・裁判所、メディアをも支配下に置いたことである。

 小泉政権が強化した基本方針は、戦後日本政治の基本構造であった。紆余曲折はあったが、底流にこの基本方針が存在し続けたのが、戦後日本の政治構造である。

 政権交代を実現し、日本政治に新しい時代を開かせることは、この日本政治構造を刷新することである。

 新しい日本政治の基本方針とは、

①共生重視主義

②自主独立外交

③官僚利権根絶

④政権と大資本の癒着排除

である。

 同時に警察・検察・裁判所制度の近代化とマスメディアの民主化を実現しなければならない。

 昨年8月30日の総選挙を通じて、政権交代の大業が実現した。政権交代の大業を導いた最大の功労者は民主党の小沢一郎氏であった。主権者国民は小沢一郎氏が率いる民主党を支持し、政権交代を実現させた。

 しかし、本ブログで指摘し続けてきたように、民主党内部には日本政治構造の刷新に反対する議員が少なからず存在する。

 その中心が民主党六奉行プラスワンの対米隷属派議員である。

 小沢一郎氏の力量に劣等感と怨嗟の情を抑えきれない反党議員の代表が渡部恒三氏である。渡部議員の下に、仙谷由人氏、岡田克也氏、野田佳彦氏、前原誠司氏、枝野幸男氏、玄葉光一郎氏の六奉行が名を連ねる。

 昨年8月の総選挙で主権者国民は民主党を支持した。支持して理由は、民主党が、

①共生重視主義

②対米隷属からの脱却

③官僚利権の根絶

④大資本と政治権力との癒着排除

を、明確な政権公約に掲げたからである。

 対米隷属からの脱却の直面するテーマとして取り上げられたのが、在日米軍のあり方の見直しである。

 鳩山前首相は「最低でも県外」と明言した。

 菅直人新首相は「米軍海兵隊の国内駐留は必要不可欠なものではない」との基本的見解を表明し続けてきた。

 ところが、菅直人氏は首相に就任するやいなや、5月28日の日米合意を絶対視する主張を展開し続けている。

 沖縄選出参議院議員で民主党沖縄県連代表を務める喜納昌吉氏が、

『沖縄の自己決定権-地球の涙に虹がかかるまで』
-沖縄にもう基地はいらない(未来社)

沖縄の自己決定権
著者:喜納 昌吉
販売元:未来社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

を出版された。

 喜納昌吉氏は名歌「花」の作者としても有名な音楽家でもある。新著紹介のサイトには、「音楽は転職、政治は本職」の言葉が紹介されている。

 菅新首相は民主主義と主権者国民の強固な意志を甘く見るべきでない。

 喜納氏は著書のなかで、政権交代後に沖縄の基地問題に関して菅首相と交わした会話を紹介した。喜納氏が「沖縄問題をよろしく」と言ったところ、首相は「沖縄問題は重くてどうしようもない。基地問題はどうにもならない。もうタッチしたくない」と漏らし、最後は「もう沖縄は独立した方がいい」と言い放ったという。

 民主党は在日米軍のあり方を見直す方針を昨年総選挙のマニフェストに明記した。沖縄県の主権者はこの公約を信用して、民主党に各個人の重い一票を投じた。民主主義の原点は主権者国民が持つ、それぞれの重い一票にある。

 菅直人氏は所信表明演説で、

「「1票の力が政治を変える」。当時の強烈な体験が私の政治の原点です」

と述べた。故市川房江議員の選挙活動を支援した体験を紹介してこう述べた。菅新首相はこの原点に立ち返り、主権者国民の切実な声を反映する政治の実現を目指すべきではないのか。

 民主党は在日米軍のあり方を見直すことを政権公約に掲げて選挙を戦い、多数の主権者国民の支持を獲得して政権を樹立した。そうであるなら、新政権はこの政権公約を実行に移すために真摯に努力することが求められる。

 鳩山政権の副総理の地位にあった菅直人氏が、「沖縄問題は重くてどうしようもない。もうタッチしたくない」と発言したのが事実だとすれば重大な問題だ。

 鳩山政権が総辞職に追い込まれたのは、鳩山総理が主権者国民の信頼を踏みにじったからである。どんなに重い問題であっても、主権者国民と約束したからには、政治は体を張って信義を守り抜かねばならない。

 どうしても不可能なときには、主権者国民に対して主権者が納得し得る説明を示す必要がある。菅直人氏も小沢一郎氏の説明責任を求めてきた一人であるが、他人に説明責任を求めるなら、その前に自分が説明責任を果たすことが不可欠だ。

 菅新首相は普天間基地問題について、「日米合意を踏まえる」ことを再三表明しているが、問題になっているのは、主権者国民の同意を得ずに、日米政府が勝手に作成した日米合意そのものなのである。

 主権者国民に対して、沖縄の主権者の声を無視して、米国の要求通りの日米合意を政府が勝手に結んでしまったことについて、何らの説明も示されていない。

 海兵隊の沖縄駐留が日本の安全と東アジア全体の安全と安定を確保する「抑止力」として機能しているから必要だとの説明だけが繰り返されている。

 しかし、米軍海兵隊の沖縄駐留については、菅直人氏自身が必要不可欠なものではないことを、これまで、繰り返し明言してきているのだ。

 総理に就任した瞬間に、これまでの考え方が急変したのなら、その経緯と理由を示さなければ、主権者国民は理解しようがない。

 菅直人新首相は6月23日の沖縄戦没者慰霊式典に出席する意向を示しているが、いまのままの言動では、沖縄の主権者から「帰れ」コールを浴びせかけられて当然である。「帰れ」コールを回避するために官房機密費がばらまかれることを、納税者国民が許さないことも銘記するべきだ。

 政権交代実現により達成するべき日本政治構造の刷新の中核をなす項目が、対米隷属からの脱却なのである。

①市場原理主義

②官僚利権温存

③大資本と政治権力の癒着

のいずれもが、日本政治の対米隷属と不可分に結びついている。

 民主党内対米隷属派議員は、

①市場原理主義

③官僚利権温存

④大資本と政治権力との癒着

を容認する基本姿勢を示していることを認識する必要がある。

 6.2クーデターにより、政権交代後に成立した新政権の基本方針が、

①共生重視主義 → 市場原理主義

②自主独立外交 → 対米隷属外交

③官僚利権根絶 → 官僚利権温存

④大資本と政治権力の癒着排除 → 大資本と政治権力の癒着維持

に転換するなら、もはや政権交代後の政権とはいえ、連続性は存在しないことになる。

 文字通りの「クーデター=政権転覆」であり、主権者国民はこの最重要事実を正確に把握しなければならない。

 幸い、民主党内の対米隷属派議員は民主党議員の大宗を占めているわけではない。参院選で対米隷属派に属さない自主独立派の議員を増加させれば、民主党の進路を正道に戻すことが可能になる。

 6.2クーデターで、民主党内対米隷属派は不正で不当な手段により、主権者国民の手から民主党の実権を奪ってしまった。主権者国民は、限られた手段と機会を最大に活用して、対米隷属勢力の手から主権者国民のための政党である民主党の実権を奪還しなければならない。

 その基本は、9月代表選で、民主党正統を民主党代表の地位に就任させることである。民主党対米隷属派は、代表選にサポーター投票を組み合わせる戦術に売って出る可能性もある。民主党内正統派は、いまからサポーター選挙にも備えて、サポーター登録の獲得活動を始動させなければならない。

 政権交代新政権が

①市場原理主義

②対米隷属

③官僚利権温存

④政治権力と大資本の癒着維持

に向かうなら、政権交代は小泉政治への回帰を意味することになる。小泉政治賛同者が菅新政権に賛意を示していることも、分かりやすい状況証拠である。

 主権者国民は参院選で、民主党自主独立派、国民新党・新党日本、社民党候補者を支援し、民主党内対米隷属派の当選を妨げなければならない。

 そのために、民主党立候補者の分類リストを早急に作成し、主権者国民に提示する必要がある。

(転載貼り付け終了)

投稿日:2010/06/17 07:25

【55】「続・「高野論説」に垣間見える、非人間性と欺瞞性」

「心に青雲」から貼り付けます。

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2010/06/16(水) 17:41
「続・「高野論説」に垣間見える、非人間性と欺瞞性」

今日も「高野孟」にこだわってみた。

というのも、今まで「The Journal」を通じて民主党支持者、特に小沢支持者を騙し続けてきた、その罪は重いと思うからである。

本ブログ6/13エントリー≪高野論説で気づいたオリジナル民主党の台頭と小沢氏排除の論理≫は多くの人に読んでいただき、反響もあった。(参照:阿修羅掲示板)

「高野論説」の中で高野氏は、小沢氏の欠陥として内田樹『日本辺境論』を取り上げながら、

≪最初から「説得の言語」を持とうともせずに「恫喝の語法」に頼り、そしてさらに言えば、その恫喝の語法を貫徹するために、言語そのものを用いることさえも放棄して、組織や人事や選挙を通じて力をみせつけて、自分が「最高実力者」であり「闇将軍」であることを有無を言わせず認めさせ、「立場の差を構築」しようとするのが小沢流と言えるかもしれない。≫

と口汚く罵っている。かなりの決め付けであり、やはり考え方でも田原総一郎の子分であったことがよくわかった。
別に高野氏が「反小沢」だろうが「嫌小沢」だろうが、そんなことは知ったことではないし、勝手にどうぞくらいである。

ただ、何故こだわるのかといえば、小沢氏が進めてきた政治改革を支持するフリをして、多くの読者を取り込みながら、内実はその多くの読者を騙してきた、という結果的な詐欺的事実があるからである。

かくいう私も騙され続けてきたクチだ。
このサイトに何故、田原総一郎の説を載せるのか、いつも疑問に思いながら、親分子分だからしょうがない、くらいに思ってきた。

それが、この6月12日の「高野論説」で、その本性を思いっきり出してきて、今まで抑えてきたものが爆発したように書きなぐっている。ほぼ田原氏の意見とも一致しているのではないかと思う。

以前の「高野論説」”鼠一匹”も出ない?小沢事情聴取──追い詰められているのは検察であるの冒頭で、
≪東京地検特捜部が目指しているのは、政治家=小沢一郎の抹殺すなわち議員辞職であり、それは無理だった場合でも、せめて幹事長辞職に追い詰めてその影響力を決定的に削ぐことである。≫

と言っているが、今まで自分のホンネを隠し、表面的には「政治とカネ」で追及されている小沢氏をフォローしていたが、実は民主党のためだけだった、ということがよくわかった。

私も白状をすれば、高野氏の論説で今まで惹きつけられたものは一つもなかった。平野貞夫氏や二見伸明氏、田中良昭氏などの論説を楽しみにしていたくらいだ。

*****政治ブログ***********

知らなかったのだが、このジャーナルのコメント欄は、承認制になっているとのことで、もっと反論があってしかるべきと、反対意見の少なさを不思議に思っていた。
定かではないが、菅総理になったと同時くらいに承認制になり、反論を受け付けなくなった、と阿修羅コメント欄に書いてあった。

この「高野論説」の小沢氏の評価の中に、人と人との心情的なつながりというものを無視して語られていて、小沢氏がどのような理想に向かって行動してきたのか、どういう人たちに対して説得しようとしていたのかが、一切抜け落ちている。小沢氏が自民党を離党して、今日の政権交代に至る過程の全てを表層的にのみ捉え、その見方は悪意に満ち満ちている。

小沢さんは「政策」などに関しては、ストレートにわかりやすく、伝えようという努力の後がみられるが、こと「政局」に関係するような話題は、本人の口からは語られず、側近などから漏れ伝わってくるのが常である。

あることないことペラペラしゃべる、マイクを向けられたら喜びいさんでマスコミが意図するようなことを進んで言って媚びを売る連中とは、そもそも人間の重みが違うのである。

小沢さんの影響力を考えれば、当たり前の話なのだが…。

既に小沢一郎を過去の人だとして先日、私のツイートに変な返信がついていた。

「小沢さんにはまだ大きな仕事が残っている」というツイートに対して、

≪まだ小沢ですか。逃げた女房にいつまで未練を残しているんですか。≫ と、わざわざ返信してくる民主党支持者と思われる輩がいる。(参照)

そういう人間に限って歴史を軽んじ、先人達の功績に思いを馳せることもなく、年輩者に対しての尊念(尊敬の念)も持ち合わせていない、他人を思いやる心の余裕もない、自分の力で生きている、くらいに考えているような、自己中で傲慢な、人間として欠陥がある者だと思う。

これと全く同じことを高野孟氏に感じる。

菅政権も歴史的政権交代の最大の功労者に対して、その評価もせず、逆に「黙って引っ込んでろ」などと言えるのは、まさに同類である証拠といえるのではないだろうか。

(転載貼り付け終了)

投稿日:2010/06/17 07:20

【54】「菅直人に宰相の資質なし(上)」

「心に青雲」から貼り付けます。

(転載貼り付け開始)

2010年06月16日 | 政治問題
「菅直人に宰相の資質なし(上)」

《1》
 私は正直言って、小沢一郎という政治家にあまり関心がなかった。マスゴミが「闇将軍」だの「毒」だの「壊し屋」だのと言うからには、逆に本当は違うのだろうと思ってはいた。マスゴミは嘘つきなのだから。だが、それ以上の関心はなかった。

 副島隆彦氏などは、彼こそ「日本国王」なのだと以前から主張しているけれど、それは対米関係(属国で隷属させられている)においてそうだと言えるだけで、小沢氏の主体性においては、リーダーたらんとしているのか、裏方に徹しようとしているのか、どっち付かずの存在だったという印象を拭えない。

 それに関連して、「阿修羅掲示板」にあった記事を紹介したい。テーマはあくまでリーダーとは何か、である。

 民主党・自由党合併直後の小沢インタビュー「次の総理菅直人について 」(週刊現代 2003年11月29日号)が、ブログ「日々坦々」に掲載されている。重要な箇所を引用する。当時は民主党が菅直人代表で、自由党の小沢一郎党首と合併したところであった。
http://etc8.blog83.fc2.com/blog-entry-494.html
*       *        *
――民主党と自由党が合併して1ヵ月半ほど経った。民主党の良くない点は、どこか。

小沢 日本的なところ。日本的コンセンサス社会の体質をまだ残していますね。会議を例にとっても、時間をかけ、全員の意見を聞きさえすればいい、それが素晴らしいことだという意識が根強い。その結果、意見がまとまらない項目について、採決したり、リーダーが責任を持って決めたりすることはない。自民党も労働組合も、この文化に根差している点では同じです。
――トップダウンにすべきということか。

小沢 トップダウンが一概に悪いわけではない。トップが、理念や哲学をちゃんと持っていて、失敗した際に責任を取れるならね。しかし、民主党の場合、それ以前に、議論ばかりしてないで、結論を出すことの重要性に気付かないといけない。角が立たないように玉虫色に、難問を先送りし、コンセンサスを形成する。これは日本的民主主義であって、真の民主主義ではありません。

――菅代表にも、そうした体質が残っている?

小沢 菅さんだけではありません。みんな旧来の体質を引きずっています。民主主義は、結論を出すために多数決というシステムがあり、ポジションがあるわけです。民間の会社をご覧なさい。役員会が真っ二つに分かれたら、社長が決断する以外ないでしょう。それができない会社は、市場から退場させられます。

 菅さんは、日産の社長、カルロス・ゴーン流を学ばなくてはいけない。「私は改革をこのように進める。それができなかったら、責任をとって辞める」この一言をズバッと言うことこそが、欧米流の民主主義の神髄です。今までは日本的民主主義で済んできました。しかし、グローバリゼーションの中、それでは立ち往かなくなっています。幕末と同じ時代背景なのかもしれない。
        *        *        *
 小沢氏がいう「日本的コンセンサス社会の体質」すなわち「会議を例にとっても、時間をかけ、全員の意見を聞きさえすればいい、それが素晴らしいことだという意識」は、民主党にかぎらず、わが国のほとんどの組織がかかえる宿痾であろう。さすがにこの指摘は小沢ならではだ。私は小沢氏を見直した。

 7年前から菅の愚かさを的確に見抜いている。だが、こういうことを言うから小沢は、「 日本的コンセンサス社会の体質」を引きずる政治家や官僚、マスゴミ記者から嫌われるのだ。菅も、陰で小沢の悪口ばかり言っているそうだ。
 「議論ばかりして」「結論を出すことの重要性に気付かない」「角が立たないように玉虫色に、難問を先送りし、コンセンサスを形成する」これがこれまで官僚・役人が主導してきた「日本型民主主義」だと小沢氏は言っている。まったくそのとおりである。

 昨年8月の民主党政権奪取で、そうした病態を変えて政治家が主体的に政策立案と実行をしていこうじゃないかと発足したはずが、鳩山がこけたら、菅直人があっと間に、元の官僚主導に戻してしまった。これは官僚どもによるクーデターである。
 国会では「議論ばかりして」「結論を出すことの重要性に気付かない」「角が立たないように玉虫色に、難問を先送りし、コンセンサスを形成する」ように仕掛けておいて、すべてを官僚の利権に沿うよう誘導してきたのが、本邦の明治このかたのありようだった。
 これをマザコンという。

 さらに引用を続ける。
       *        *        *
小沢 菅さんは庶民派ですし、市民との交流もある。これはすばらしいことだと思います。けれど、宰相に求められる資質はそれだけではない。俗に等身大の政治などというでしょう。だけど、僕は総理大臣というのは一般大衆とは同じ感覚であるべきではないと思っています。同じ感覚では総理大臣は勤まりません。

 一般大衆の関心というのは、基本的には家庭であり会社であり、隣近所です。だけど総理は全国的というよりは国際的な視野をもって、国のため国民のためと信ずることを断固としてやらなければなりません。それが総理の重みということになるんでしょうが、それを菅さんに身につけていただきたい。その意味で庶民派から一歩、脱皮していただきたいと考えています。
    *        *        *
 小沢氏は、民主党と合併した直後だから、穏便な表現をして菅を叩いていないが、本心は菅をバカにしていることが見て取れる。菅は庶民派ですばらしい、などとおべんちゃらを言っているが、小沢氏のホンネは、「菅みたいな等身大の政治なんていう奴はバカだ、マザコンだ。一国のリーダーが一般庶民と同じ感覚で、政治の修羅場がくくれるか」と言うのだ。

 まさにそのとおりだ。だからマスゴミをはじめとして、官僚も、自民党も、大企業も小沢が嫌いなのである。庶民感覚で政治をするのが良いと思っているのか、大衆がそういう感覚(等身大で、市民派)なら御しやすいと考えているからだろう。
 アメリカとて、優秀なリーダーが登場して日本を団結させてしまうのが、一番困るから、真性のリーダーらしい萌芽が出るとすぐに潰しにかかる。アメリカの言う事に隷属する首相ばかり据える。

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投稿日:2010/06/17 07:16

【53】「菅直人に宰相の資質なし(下)」

「心に青雲」から貼り付けます。

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2010年06月17日 | 政治問題
「菅直人に宰相の資質なし(下)」

《2》
 少し別の観点から見てみる。
 わが流派の最高指導者が、最近発足した菅内閣を評しておっしゃったことだ。<B>

 「菅直人は(郵政改革法案や公務員改革法を)会期中成立で押し切れたのに、(民主党の新幹部連中に)妥協してしまった。せっかくのチャンスだったのに。大衆は『押し切る』『すごい』というのを求めている。大衆は豪傑や英雄を求めているのだ。小泉みたいな奴が大衆の人気を集めたのは、小泉がいろいろ押し切るさまを見せつけたからだ。だから鳩山由起夫は実際は決断もできない女の腐った奴だとわかって、大衆は離れたのだ。本当は小沢一郎のような豪腕がほしいのだ。」</B>

 私は、しょせん菅直人はユダヤ・マフィアの手先でしかないと思うから、「せっかくのチャンス」とは思わないが、一般論でいえば、菅はリーダーシップを発揮するべきときに、なにもできなかった。これで前原、仙石、岡田、樽床、安住、枝野らの売国奴に舐められる仕儀となるだろう。

 副島隆彦氏らは、菅直人がダークサイトに「最近」落ちたように言うが、私はもっと昔から、つまりは市民運動で市川房枝のもとに出入りしたころから、ダークサイトに落ちた男だと思っている。いくら幸運かもしれないが、一介の「べ平連」活動家ごときが、政治の頂点に登り詰められるわけはあるまい。なにかの闇の手が菅に差し伸べられていたのだ。

 ヤンキー教師ともてはやされた義家弘介とか、ただの主婦だった人が偶然出あった文芸春秋の編集者に「原稿書かせて」と頼んだら、いいよとなって、とんとん拍子に評論家になった(クライン孝子)とか、ジャズ喫茶の経営がうまくいかなくて初めて書いた小説が当たって超流行作家になったとか(村上春樹)……そんなシンデレラみたいな話はみんな怪しいのだ。

 誰もが知るように、菅は市民運動の出である。市民運動とか草の根民主主義なんてものは、それがマスゴミに取り上げられるようであれば、実態はユダヤ・マフィアにとってはじめから仕掛けられたものであるか、または取り込みやすいものでしかない。

 こんな「等身大の思想」の権化みたいな奴に国家の統括はできない。国家は、他の国家との食うか食われるかの鬩ぎあいをやっていかねばならないのだから、「一般庶民と同じ感覚」であったり、「議論ばかりして」「結論を出すことの重要性に気付かない」「角が立たないように玉虫色に、難問を先送りし、コンセンサスを形成する」でしかない政治運営をしていたのでは、国際社会で負けるに決まっている。
 すべてはまた官僚の掌で踊らせれるだけ。

 菅は市民運動の出自だとは言い条、山口県宇部市の出身であることが、どうにも不気味である。偶然とは思えない。
 以前、本ブログ「山口県田布施町の怪」(07.8.16~17)で取り上げたことだが、明治以降、日本の首相はこのあたりからやたらに出るのである。
http://blog.goo.ne.jp/hienkouhou/d/20070816

 日本国家の真相は、明治維新で長州藩田布施一味に国家を乗っ取られたということである。長州藩の田布施一味とは、山口県熊毛郡出身の政治家らのことだ。熊毛郡の田布施町は光市と柳井市に挟まれた寒村だった。列挙してみると、大室寅之祐=明治天皇、伊藤博文、木戸幸一、宮本顕治、河上肇、難波八助、松岡洋右、安倍源基(終戦時の内務大臣)、賀屋興宣、岸信介、佐藤栄作、安倍晋三などは田布施一味の末裔である。

 宇部市と田布施は離れてはいるが、同じ長州藩である。菅はなんと、就任して1週間も経たないうちに、故郷・宇部を訪問している。小学校の恩師を見舞った? みなさんは菅くらいの年齢になって、わざわざ小学校の恩師を見舞いますかね? なにかいわくがありそうに思えてならない。

 菅はかつて、日本人拉致の主犯とされ、韓国に投獄されていた 辛光洙(シン・ガンス) の助命、釈放の嘆願書に署名している。あの安倍元首相からさえ「間抜け」と言われたが、本当は菅が単なるうす甘いサヨクだからではなくて、朝鮮人を祖先に持つ「在日系」だから、シン・ガンスを擁護し、北朝鮮の拉致を認めなかったのではないかという気がしてくる。
 なにしろ、田布施町はイワクのある土地なのだ。ということを「山口県田布施町の怪」でしたためた。

 菅直人の国会での就任演説や各党の代表質問への答弁をテレビで聴いたが、バカらしくて2~3分で切ってしまった。菅は官僚の書いたであろう作文を棒読みするだけ。それもシドロモドロ。
 あんなものは演説ではない。だらだらと、しまりなく、頼りないったらない。まさに当たり触りなく、カルロス・ゴーンがやったという「私は改革をこのように進める。それができなかったら、責任をとって辞める、この一言をズバッと言うこと」が皆無である。

 鳩山は少なくとも、普天間移設問題で、それをやろうとはした。しかしお坊ちゃまの悲しさで、自信を示したのはかけ声だけで、なんの成算もないのに「僕を信じて」と言い放っただけであったから、みんなあきれて離れていった。菅にはそれすらない。

 わが流派の最高指導者は、「イデオロギーとは思いではない、体を動かすことができることだ」と説かれる。私は昔からあの菅直人のヌメッとした顔や話し方が大嫌いで、テンから信用していなかったけれど、日本を立ち直らせるべく、イデオロギーで引っ張る気はまったくないのだ。つまり菅からは、その立ち居振る舞いや演説という「体を動かす」ことで国民にイデオロギー教育していない。できない。

 ヒトラーやムッソリーニは大衆を熱狂させたではないか。やったことの善し悪しは別である。
 わが流派の最高指導者がおっしゃるとおり、ヒトラーは「 大衆が『押し切る』『すごい』というのを求めていることに見事に応えた。
 大衆は豪傑や英雄を求めているのだ。だから坂本龍馬や織田信長が人気がある。
 だが、どこを見渡しても、俺が天下をとって日本の英雄になってやる、という人間はどこにもいない。

 民主党が、政権をとって郵政民営化を阻止する、官僚の天下りを廃止する、公務員のあり方を根本から変える、と「押し切る」様子を見せたあたりでは多いに期待を持たせた。しかし民主党内のユダヤ・マフィアの手先、官僚、マスゴミによって、ネガティブキャンペーンを連日張られて、初志貫徹し損なってしまった。

(転載貼り付け終了)

投稿日:2010/06/16 06:36

【52】「主権者国民政権樹立が目的の9月民主党代表選」

「植草一秀の『知られざる真実』」から貼り付けます。

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2010年6月15日 (火)
「主権者国民政権樹立が目的の9月民主党代表選」

菅新政権が発足し、新鮮さも作用して高支持率を確保している。

しかし、政権交代を実現した昨年8月30日の総選挙の際に掲げた基本政策、政権公約が大幅に後退している感が強く、このまま進めば、何のための、誰のための政権交代であったのかとの根本的な疑念を否定しきれなくなる。

繰り返すが、政権交代実現により達成しなければならない三大課題は以下のものだ。

①対米隷属からの脱却

②官僚利権の根絶

③政治権力と大資本の癒着排除

対米隷属からの脱却がとりわけ強く意識されるようになったのは、小泉政権以降である。小泉政権が推進した郵政民営化は米国が求めた政策であった。

350兆円の日本国民の貴重な金融資産、日本郵政が保有する巨大不動産資産を外国資本が収奪するために推進された政策である。

米国のイラク軍事攻撃は正当性のない暴挙だった。世界随一の平和憲法を有する日本は、イラク問題の平和的解決を最後まで追求する世界的な使命を帯びていたにもかかわらず、小泉元首相は、米国ブッシュ政権が国連での合意を形成せずに軍事攻撃を開始したにもかかわらず、直ちに米国に追従する方針を表明した。

2003年にかけて日本では株価暴落と経済崩壊が広がった。この経済危機は小泉政権が人為的に引き起こしたものである。この経済破壊活動の余波で、多くの国民が失業、倒産、経済苦自死に追い込まれた。

小泉政権がなぜ人為的な経済破壊活動を展開したのかが問題である。その目的は日本の資産価格を暴落させることにあったと考えられる。

りそな銀行がいけにえにされたが、あらかじめ預金保険法第102条第1項第1号規定を活用することが計画されていたと考えられる。この第1号規定を活用すると、銀行を破たんさせずに公的資金で救済できる。

最終的にりそな銀行の繰延税金資産は3年計上が認められたが、論理的に説明できない3年計上は、銀行救済の第1号規定を利用するための逆算から算出された数値だったのだ。不可解な3年計上決定が、一連のプロセスが「謀略」であるとの濃厚な疑惑を裏付けてしまった。

日本の資産価格が暴落する過程で、暴落価格の日本の実物資産買占めに出動したのが外資系ファンドであった。外資系ファンドはその後の3~4年の間に巨大な不労所得を確保した。政府ぐるみの巨大インサイダー取引が実行された疑いが濃厚に存在しているのだ。

敗戦後日本の歴史は米国による支配の歴史である。敗戦直後、マッカーサー率いるGHQは、日本を新たな民主主義モデル国とすることを試みた。財閥解体、農地解放、労働組合育成、公職追放など、大胆な民主化政策が推進された。片山哲社会党政権が樹立されたのも、GHQによる戦後日本占領方針から生み出されたものであった。

ところが、1947年に米ソ冷戦が始まると、米国の対日占領政策は大転換した。日本を反共防波堤として強化、育成する方針が採用され、日本の民主化措置に強力なブレーキがかけられた。米国は日本に対米隷属政権=傀儡政権を樹立することに腐心する。

米国が重用したのが吉田茂元首相と岸信介元首相だった。CIAは岸信介政権に対して選挙資金まで提供し、内政干渉を続けた。岸信介政権以降の日本政治の保守本流は、こうして対米隷属=米国傀儡政権の基本性格を帯びるようになったのだ。

この対米隷属から脱却することなくして、真の日本の独立はあり得ない。鳩山前総理の大きな過ちは、安易なスタンスで普天間問題を取り上げたことにあった。民主党マニフェストには「在日米軍基地のあり方についての見直し」の文言が明記された。

鳩山前首相は普天間基地の県外、ないしは海外移設を主張したが、結局、最後は腰砕けに終わった。

日本国憲法には主権在民が明記されている。日本の主権者が総意として普天間基地の辺野古移設を拒絶するなら、辺野古の海岸を破壊する基地を作ってはならないのである。

鳩山前首相が内閣総辞職に追い込まれた最大の理由は、普天間問題で主権者国民の意思を踏みにじる日米合意を、連立与党の同意、主権者国民の同意を確保することなく決定してしまったことにある。

鳩山前首相が辞任し、後継首相に就任した菅直人氏は、まずこの点を明確に認識しなければならない。日本国憲法を尊重し、民主主義のルールに則って政治を運営することが正しいとするなら、主権者国民の意思を無視した政府の外交方針決定には、まったく正統性がない。これを押し通すなら菅首相の民主主義観が疑われる。

対米隷属から脱却することは容易なことではないと思われる。しかし、最初から対米隷属にかじを切ってしまったのでは救いようがない。

総理の椅子に1秒でも居座り続けたいなら、対米隷属を追求することがもっとも効果的である。小泉元首相はこれだけで5年半も総理の座に居座り続けた。

歴代首相で在任期間が長い首相は、例外なく対米隷属の基本姿勢を示した人物である。菅新首相は市民運動から出発し、これまで革新的な発言を示してきたが、それは総理の座を射止めるための手段にすぎなかったのだろうか。

総理の椅子に座り続けることは「私益」である。対米隷属から脱却することは「公益」である。「公よりも私」を優先するリーダーの下で、国民が幸福になることはあり得ない。国民の不幸が最大になることは間違いない。

参院選に向けての民主党マニフェストから在日米軍基地問題の見直しの文言が消されるとの報道が示されている。

沖縄の人々は、民主党のおもちゃにされたことになる。この問題に対するけじめもつけず、沖縄県民の意思を踏みにじる日米合意を政府が勝手に米国と成立させ、主権者である地元住民には日米政府が決定したのだから、つべこべ言わずに政府決定に従えとの態度を押し通すのであろうか。

普天間問題に対する政府決定の是非が参院選で問われなければならない。

官僚利権の中核である天下りを根絶するには、「役所によるあっせん」を禁止してもまったく意味はない。天下り各機関は「役所によるあっせん」ではないと言い逃れれば、それでおしまいなのである。

退職直前10年間に関与した企業、業界、団体への就職を退職後10年間は禁止する、という程度の客観基準が法制化されなければ、天下り根絶は不可能である。

前原国交相が道路5社の社長に民間人を起用する方針を示した。この方式も小泉政権そっくりである。各企業には生え抜きの職員が多数存在する。この生え抜き職員こそ、企業の実態を熟知し、問題点をもよく理解している。

天下りを排除して、経営幹部に登用すべき人材は企業内部に存在するはずである。まったく縁もゆかりもない民間人を起用するのは、あらたな利権政治に他ならない。各種ポストをえさに、民間企業、財界人を利益誘導するのが小泉流の「人事の利権化」政策だった。

大資本と政治権力の癒着を排除するには、企業団体献金の全面禁止を法制化することが何よりも有効である。

小沢一郎元民主党代表は小沢氏周辺に対する不当で不正な検察権力行使に毅然と対応して無実潔白を訴えると同時に、「企業団体献金全面禁止の法制化」を提案した。

菅新首相は「企業団体献金全面禁止」の法制化をなぜ国民に約束しないのか。「政治とカネ」にクリーンな民主党を訴えるなら、「企業団体献金全面禁止」を明確に公約に盛り込むべきである。

また、官房機密費の不透明な使用が指摘され続けてきた。官房機密費が御用言論人に配られ、公共の電波が歪められてきた疑いが濃厚に存在する。

官房機密費は税金を財源としている。政治家が独自に調達した資金でない。その使用に際しては、一点の曇りの存在も許されない。

官房機密費の使途の全面公開が求められる。御用言論人、報道を担うメディア職員に対して利益供与が行われていたとするなら、国会で全容を解明しなければならない。

①対米隷属

②官僚利権

③大資本と政治権力との癒着

が、そのまま温存されるなら、政権交代はその意義の大半を失うことになる。

 他方で、菅新首相は2011年度予算を緊縮予算とする方針を早々と掲げ、また、政府支出の無駄排除がほとんど実現していない段階で、消費税大増税=法人税減税の方針が明示されてしまった。

 これでは自民党政権と変わりはなく、小泉対米隷属政権と極めて類似した政権になってしまう。

 民主党に政権交代実現の大業を託した主権者国民は政権交代によって対米隷属からの脱却を希求したのであって、対米隷属路線が敷かれるなら、これは主権者意思に反するものになる。

 幸い、本年9月に民主党代表選がある。この代表選を通じて、主権者国民の声が現実の政治に反映される新体制が構築されることが強く望まれる。政局の大きなヤマ場は参院選後に持ち越しにされる。

 問題の最大の原因は、菅新首相が民主党内原理主義者・対米隷属派勢力に民主党の実権9月民主党だし票選でを渡してしまったことにある。この布陣が主権者国民の意思に反することは明白である。

 民主主義の根幹は、国民に主権があり、主権者国民の意思が反映されるように政治が運営されることにある。多くの主権者国民の負託を受けた公党が、公党内の勢力争いに狂奔し、政党や政治を私物化することは許されるはずがない。

 9月の代表選で、民主党を支持する多数の主権者の意向を正しく反映する新体制を構築することが強く求められる。

(転載貼り付け終了)

投稿日:2010/06/16 06:32

【51】「日本にとって不幸中の幸い:極東戦争勃発ねつ造作戦失敗」

「新ベンチャー革命」から貼り付けます。

(転載貼り付け開始)

2010年6月15日 No.142
「日本にとって不幸中の幸い:極東戦争勃発ねつ造作戦失敗」

1.天安事件の意味するもの

 本ブログでは、米オバマ政権の動き、米戦争屋の動き、日本政治の動き、極東各国の動きなどをウォッチしています。その中で、筆者がどうしても引っ掛かるのが、3月26日に発生した天安事件(注1)です。

 中国、ロシアが疑っている通り、この事件の犯人は北朝鮮ではないと筆者も思います。この事件は、オバマ政権に追い詰められた米戦争屋が仕掛けて、大失敗した結果であると筆者は個人的に読んでいます。

 オバマは戦争屋の要求に屈して、アフガンへの米兵力増派を実施しているものの、アフガン戦争は起きていません。アフガン戦争を準備してきた戦争屋のあせりが手に取るようによくわかります。天安事件はその延長線上で勃発しています。

2.天安事件にみる米国戦争屋シナリオの顛末

 米戦争屋が、彼らの最優先市場(戦争ビジネスの市場)をまず中東(アフガン含む)に置き、次に、極東に置いていることは明らかです。中東で戦争できなければ、やむを得ず、極東で戦争を起こそうとします。戦争勃発が彼らの本業ビジネスだからです。

極東米軍は、北朝鮮の動きをスパイ衛星で逐一、監視しています。北の潜水艦の動きも当然、監視の対象です。北の領海近傍で米韓が合同演習すれば、北の潜水艦も動くことは、事前にわかっていたはずです。

 そこで、密命を帯びた米軍の艦艇もしくは潜水艇が、北の仕業と見せかけて、韓国艦艇を撃沈させた(原潜の意図的体当たりの可能性もあり)のですが、おのれも手負いとなって作戦自体は大失敗した(注1)。そのため、韓国の大手テレビ局KBSに危うく、この戦争屋による極東戦争勃発ねつ造作戦(第二トンキン湾作戦)がばれそうになった。そこで、戦争屋は韓国大統領を恐喝して、北犯人説でごまかそうとした。しかしながら韓国民にはうすうす見破られています。

以上が、筆者のみる戦争屋シナリオの顛末です。

3.戦争屋のシナリオが成功していたら

 それでは、もし、戦争屋の仕掛けたと思われる、この極東戦争勃発ねつ造作戦が成功していたら、今頃、極東はどうなっていたでしょうか。

想定されるシナリオとは、

 まず、3月26日、韓国哨戒艦艇・天安が真っ二つにされて沈没、極東米軍が即座にスパイ衛星の画像を公開、北の潜水艦艇が天安を攻撃したと発表、戦争屋直営メディアCNNがはでにこのニュースを世界中に流す。極東米軍が北朝鮮への報復空爆を開始、ただし、故意に、ポイントをはずして空爆し、大事な敵役キム・ジョンイルは絶対に殺さない。そして今度は、空爆を受けた北朝鮮が韓国や日本に向けて、ミサイル発射、こうして、極東戦争が起きていた可能性があります。ここで、中国・ロシアが出てきて、戦火の拡大防止のため、米朝両国に停戦を要請する。その結果、戦争の拡大は起きないものの、韓国、日本の一部にミサイル攻撃の被害がでて、日韓で多数の市民が殺傷される。

 世界中で戦争勃発の仕込みをしている米戦争屋は、その気になれば、世界中どこでも、このように、容易に戦争を引き起こせるのです。

4.極東各国の目まぐるしい動き

天安事件後、イ・ミョンバク韓国大統領訪中(上海万博に便乗して訪中)、キム・ジョンイル北総書記の訪中、ヒラリー・クリントン米国務長官(オバマ政権の代表)の訪中・訪日・訪韓、韓国済州島における日中韓首脳会談、中国首脳(温家宝)の緊急訪日、その翌日6月2日鳩山辞任発表、ロシアの天安事件調査団の訪韓など、目まぐるしい動きが極東で起きています。

 以上の動きから推測されることは、(1)米オバマ政権(アンチ戦争屋)、(2)中国、(3)ロシア、(4)韓国、(5)日本の5者にて水面下での戦争屋の極東暴発対策が練られ、(6)戦争屋の敵役・北朝鮮との調整は(2)の中国が行っているわけです。上記6者の共通目標はただひとつ、戦争屋の極東暴発をいかに抑え込むか、にあります。

ちなみに米国の場合、オバマ政権と対峙するかたちで、戦争屋がモンスターのようにオバマの眼前にたちはだかっているという構造です。

 天安事件という、戦争屋の陳腐でミエミエの常套手段“極東戦争勃発ねつ造作戦”の大失敗によって、今、極東で戦争屋が孤立したかたちになっています。天安事件に関して、戦争ビジネスを生業(なりわい)とする、あの凶暴な戦争屋が借りてきた猫(猫ではなくライオンか?)のようにおとなしいのは、そのせいとしか考えられません。

5.戦争屋にとってケガの功名

 米国の国家安全保障戦略の最高責任者・デニス・ブレア国家情報長官が、戦争屋一派(おそらく戦争屋配下のネオコン過激派)の暴発の責任ととって5月末で辞任していますが、この作戦失敗に、戦争屋にとってケガの功名がありました。それは、在日米軍の撤退を目論んでいた、日本の小沢・鳩山アンチ戦争屋政権を崩壊に追い込むことに成功したからです。天安事件の真相を秘密裏に知り、極東戦争危機に震え上がった鳩山首相(注2)が、一転、戦争屋にひれ伏して、従属忠誠を誓ったのです。こうなったら、普天間問題もへちまもありません。極東で戦争するのだけは止めてください、その代わり、戦争屋サマの言うことは何でも聞きますと。

 こうして、鳩山民主党政権は一夜にして、戦争屋従属政権に豹変してしまったのです。それを引き継いだのが菅政権です。戦争屋ロボットの大手マスコミは、やんやの大喝采、お手盛り世論調査のねつ造大サービスを頻発しています。いい加減にしろと言いたい!

いずれにしても、不幸中の幸いで、当面、極東戦争が回避されたのです。単に、結果オーライにすぎませんが。

中長期的には、小沢民主党は、大手マスコミのねつ造世論調査を逆手に取って7月参院選で大勝利して、政権安定化を図り、体制を立て直して、日本の独立目指して再挑戦です。

注1:本ブログNo.135『韓国哨戒艦艇「天安」事件:第二のトンキン湾作戦の失敗だった?』2010年6月1日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/14656817.html

注2:本ブログNo133『極東戦争危機に震え上がる鳩山首相』2010年5月29日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/14536231.html

ベンチャー革命投稿の過去ログ
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm

テックベンチャー投稿の過去ログ
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-PaloAlto/8285/column-top.html

(転載貼り付け終了)

投稿日:2010/06/16 06:29

【50】「名護や宜野座の「地元住民」は、負けない!!仲井真弘多県知事が、菅直人首相に会った」

「渡瀬夏彦の「沖縄 チムワサワサ 日記」」から貼り付けます。

(転載貼り付け開始)

2010年06月16日
「名護や宜野座の「地元住民」は、負けない!!仲井真弘多県知事が、菅直人首相に会った」→http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-163565-storytopic-53.html 

15日、その日の琉球新報のWEBサイトに、次のような記事を発見した。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-163596-storytopic-5.html
以下に全文を引用紹介する。
                        *

日米合意撤回求め意見書 宜野座村議会2010年6月15日
 【宜野座】宜野座村議会(小渡久和議長)は15日に開会した村議会6月定例会で、米軍普天間飛行場の県内移設を盛り込んだ日米合意の撤回を求める意見書案を全会一致で可決した。
 意見書では、同飛行場の辺野古崎移設を盛り込んだ日米合意について「県民の総意を踏みにじる合意は断じて容認できるものではない」と批判。基地を抱える村内の状況を挙げて「代替施設が辺野古に建設されれば基地被害はさらに増大し、これまで以上に生命の危機と騒音の被害にさらされることは明らか」として、日米合意の撤回を求めている。
 あて先は首相や外務大臣、防衛大臣、駐日米国大使など。 【琉球新報電子版】

                    *

県外の皆さんのために念のため申せば、宜野座村は名護市東海岸のすぐ南に隣接する村であり、辺野古新基地建設が強行された場合、やはり大きな被害を受ける「地元」である。その意思表示の意味は、重く大きい。

新基地計画の直接の地元地域とされる、いわゆる久辺3区(辺野古、豊原、久志)のうち、久志区の行政委員会が《移設に反対する稲嶺進名護市長の考え方を支持する決議を全会一致で可決した》のは、つい最近のことだが→http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-163481-storytopic-53.html、政府による露骨な「地域分断工作」にもかかわらず、「辺野古新基地建設の日米合意」を絶対に認めない、という声は、つまり、名護市周辺でますます高まりを見せているわけである。

新基地計画を断固阻止しようと、長年地道に住民運動を続けている人たちが存在する一方で、「どうせ基地ができるのなら、被害をガマンする代わりにカネを貰いたい」という人がこの地域にいるのは残念ながら事実である。わたしはその人たちに対しては、「哀しさ」を覚える。

しかしそれより何より、旧自民党政権が長い間行ってきた「アメとムチ」政策を、菅直人・民主党新政権がそのまま引き継いで、地域をズタズタにしようとしていることに対して、激しい怒りを禁じえない。

日米合意を踏襲するという答弁に終始した、昨日の菅首相の国会答弁は、悲惨極まりないものだった。

東京は涙雨。真夜中のボヤキでありました。おやすみなさい。

(転載貼り付け終了)