「2028」 藤森かよこ著『馬鹿ブス貧乏本 第3弾』を褒める 2022年12月4日

 副島隆彦です。今日は2022年12月4日です。

藤森かよこさんの新刊本の『馬鹿ブス貧乏な私たちが生きる新世界無秩序の愛と性』という本があります。
 KKベストセラーズから10月30日に出版されました。私は24日に藤森さんから献本してもらった。その後、1週間以内で読みました。それからもう1カ月以上が経ちました。この本がよく売れているようで嬉しい。

藤森かよこ
 この本は出版物のジャンルでいうと、フェミニズム(Feminism)とかジェンダー(Gender)というところに入っています。これは『馬鹿ブス貧乏』シリーズの3冊目で、一応これで終わりと藤森さんは言っています。だけど、彼女はこれからも本を書き続ける。
 この本が恐らく前の2冊よりも今の日本の時代と感覚に合っているので、ますます売れるでしょう。私は応援団で、彼女のこの本を褒めなければいけない立場です。

馬鹿ブス貧乏な私たちが生きる新世界無秩序の愛と性
 藤森かよこは、社会学者(ソウシオロジス))のフェミニストではなくて、アメリカ文学研究から始まって、アイン・ランド(Ayn Rand、1905-1982年、77歳で死)という、アメリカのリバータリアニズム(Libertarianism)運動の創業者の一人の女性思想家を日本に紹介した業績があります。今もそれをやっている。

 だから、政治思想も分かっている人です。彼女は大学教授も終わって、名古屋で読者人、読書三昧の生活をして、大衆向けの本を書き始めて、ドカンと売れたの、がこの『馬鹿ブス貧乏』シリーズの本です。これは大変よいことでした。この本は、発売後すぐに、アマゾンのフェミニズム
部門で、一位になりました。

アイン・ランド
 文科系知識人というのは、とにかく本を読む量が大事なんだ。たくさん読まなきゃ話にならない。18歳で東大文学部に入りましたみたいな連中は、本なんか何も読んでないからね。40歳ぐらいまでかかるんですよ、恐らく最低でも2000冊ぐらいの本、古典と言われているものの3分の1ぐらいは読まないと、文科系知識人としては成り立たない。

 ここが理科系との違いで、理科系は理学部、工学部、2つあるけど、数学、物理学が出来ればいい。世界で通用する。数学と物理学ができないと駄目ですけど。この分野で本当に優れている人は、日本ではあまり出ない。
 工学部から大企業に入っていく人たちは、大学で習ったことがそのまま、それぞれの産業分野に対応しているから、土木工学とか電気工学とか、原子力とかIT関係やら、ITコンピュータ関係でも、それでやっていけます。しかし文科系はそういう訳にいかない。

 みんながあんまり言いたがらないことだが、勉強秀才がそのまま文科系知識人として通用するということはない。ほとんどの大学教授たちは落ちこぼれです。論文ばかり、大学にいて30年、書き続けても、誰も読みません、そんなもの。

 誰も読まない論文集をいくら出しても、結局、最後はもう嫌になる。自分で自分が嫌になる。東大出版会と岩波書店や有斐閣(ゆうひかく)が出してくれる、ということになっても、「先生、まず、科学研究費(科研費、かけんひ )を200万円貰ってきてください」という話になる。文科省が出すんだけど、それを印刷代にする、とか、もう本当にそういう世界で、昔は、学者の本は、初版が2000部だったんだけど、今は500部になってきました。もう学者なんてもんじゃないんだ。日本国民が学者を捨てたとも言える。肩書だけが立派でテレビに出てくればそれなりの人だけど、書いた本なんか全く売れない。

 出版業界も、ますます酷(ひど)いことになっていて、ばたばた全国で書店が潰れて、出版社も潰れています。どの辺でボトム(大底、おおぞこ)が来るのか、私はじっと見ています。 日販、トーハンという 大手の取次(とりつぎ)という卸(おろし)の会社があって、これが商社機能を持っていて、お金を前渡しで、新刊本を出版社から引き受け(買い取りし)たら払ってくれる。
 それで、後で売れなかった分を返せと言うんです。この仕組みでできている。それで全国の本屋に配達してくれるんだけど、この配達するトラックがどんどん減っていて、それを動かす力もなくなりつつある。週刊誌や女性雑誌、ファッション雑誌、それから昔は男向けのエロ雑誌というのがいっぱいあって、そんなものももう配達する元気が取次になくなっている。特に日販というところは、もうAmazonの下請(したうけ)になっていて、Amazonに直送(ちょくそう)というか、出版社が直接、Amazonの倉庫に持ち込むようになったので、いよいよ日販は危ない。

 話を戻すと、『馬鹿ブス貧乏』シリーズが売れてよかった。藤森かよこはフェミニズムを大学で教えていた学者です。そうすると、私は30年前から東大のフェミニズムを専攻している女学者たち、代表は江原由美子(えはらゆみこ、1952年-、70歳)という人だった。今も難しい本を出している。もう誰も読まない。

 そうすると、それに対抗するように、上野千鶴子(うえのちづこ、1948年-、74歳)という女学者がいて、私より4歳ぐらい上かな。彼女は東大の文学部社会学科の女性学の専門で、女性学(フェミニズム)の分野で日本の権威になった。今はもう東大を定年退職して評論家になって、『在宅ひとり死のススメ』(文春新書)を書いてベストセラーになった。老人問題の権威にもなっている。その前には『スカートの下の劇場』とか『おひとりさまの老後』とか、そういう本で売れた人です。自分も年をとったから、女性学だけやってられない。

上野千鶴子

 上野千鶴子はマルフェミといいまして、マルクス主義フェミニズムという。左翼女性学ですね、一言で言えば。この立場の、女たちの知識人の世界では大御所みたいになっている。彼女より前の世代もいないし、一番古いところでは高群逸枝(たかむれ いつえ、1894-1964)という女学者もいたんだけどね。母権制(ぼけんせい)社会の研究とかをやった人たちだ。「原始、女性は太陽だった」と書いた、平塚雷鳥(らいちょう、らいてふ)という女性文学者もいる。廃娼(はいしょう)運動で、「人身売買である、売春宿(廓、くるわ)制度を廃止せよ」と闘ったキリスト教徒の女性たちがいた。

 女権拡張運動、女性にも参政権を与えよ、男女半平等だ、では、市川房江という活動家が有名でした。要するにもう男が女を支配する世界ではない、男女が平等だった古代社会の人類の世界があったんだとかいう本をいっぱい書いた人たちもいた。でも、もうみんな終わっていった。ほとんど忘れ去られた。そして、今は、女たちが、実質、実態のところで、男に対して荒れ狂っている。

 日本人が知っているのは、もう消えた言葉だけど中ピ連(ちゅうぴれん。中絶禁止法に反対しピル解禁を要求する女性解放連合)というのがあって、まだ学生運動の火が大学に残っていた時(1970年代中期)に、中絶(堕胎、アボーションabortion )をさらに合法化させる、ピルを飲むことを合法化させろ、という運動をやっていた榎美沙子(えのきみさこ、1945年-、77歳)という女性もいた。
 その頃は、「ウーマンリブ」と日本語で言ったけど、ウィメンズ・リベレーション(women’s liberation)ですけど、これがフェミニズムという言葉に変わった。アメリカが中心で、そういう先進的で、激しい過激派の女性団体が今もいる。過激派と言ったって、その後、どんどんおかしくなって、今はもうリベラル派、あるいは急進リベラル、民主党左派の女性団体も、みんなLGBTQ のほうに入っていって、ディープステイトの家来になった。彼女たちは、大衆の保守派である、アメリカ共和党の中のトランプ派と対立し闘うようなことになってしまっている。

榎美沙子
 だから、大きく世界の流れが変換していて、リベラル派と言われている連中の、左翼雑誌を出している連中までも、私、副島隆彦 の立場から見れば、気色の悪い進歩思想のまま、欧米白人世界で全体を上から操っている勢力に、加担する人々になってしまっています。

 NOW(ナウ)というのがあるんだけど、大きな女の団体です。この女の団体をベティ・フリーダン((Betty Friedan、1921-2006年、85歳で死)とか、グロリア・スタイナムとか、有名な女編集長が何人もいたんだけど、そんな時代ももう30年前の話です。
 『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち』(筑摩書房、1995年刊)の私の本の中に出て来ます。この婦人団体は今もあるんだけど。

ベティ・フリーダン
 でも、こういう日本で言えば、日本消費者連盟とか、ですが、大体そこの幹部の女の中に、断髪の麗人がいる。髪を短く男みたいに切って、男の服を着ていて、男みたいなしゃべり方をする女が大体、親分になるんです。それはレズビアンを名乗る。それで性的にも女しか相手にしなくなるわけで、アメリカのNOWだって、恐ろしいデブのゴリラみたいな女たちが大幹部たちです。で、男なんか大嫌いだという思想になります。レズビアンが支配している。
 そして、それに対抗しているのが女嫌いという系譜で、私も女嫌いの方に入っていて、ミソジニー(misogyny)と言うんだけど。英語でミソジニスト(misogynist)と言うんだけど、「gyny」が女です。「miso」が大嫌い という意味になる。日本語では女性差別主義者と訳す。セクシスト(sexist)という言葉もある。この流れもあって、ずるずるとここまで来た。

 藤森かよこが「新世界無秩序」という言葉を使っていますが、これはアノミー(anomie)という英語に相当して、ディルケームという学者が作った思想です。もう秩序が壊れているんだということです。
 アノミーになって、人間がみんな錯乱状態に入っていく。もっと簡単に言うと、日本が戦争に負けたとき、その前は、「天皇陛下は神様だ」と信じていた日本国民がほとんどだったんですが、アメリカ軍が入ってきて、日本人にデモクラシー(疑似、ですが)を植えつけて、占領政策をやって、そのときに頭がおかしくなった人々がいるんです。それがディスオーダー(disorder)、無秩序と言うんだけど、頭の中の無秩序が起きたんです。
 自分が信じていた前の考え、思想が、ガラガラと自分の頭の中で壊れたわけですね。このアノミーが今も起きていて、世界がどんどん、来年で戦後80年目になりますから、がらがら崩れている時の、女たちの生き方を真剣に考えようという本が『馬鹿ブス貧乏』シリーズです。

 前振りが長過ぎたけど、だから私は『馬鹿ブス貧乏な私たちが生きる新世界無秩序の愛と性』が出てから、藤森さんにメールで激励の手紙を書いて、「上野千鶴子を下から上に着く破りなさい」と言いました。下からぶち抜いて、あなたが女学者としての女性論の世界で、これまでよりももっと社会の表面に出て、女たち、大衆、民衆の女たちの意識と精神を代弁する立場で闘ってください、と。
 しかし言論人、評論家としては商売ですから、本は、1冊1600円ですが、その1割160円をもらう、という世界で生きている訳です。商品経済の中に入っている訳です、出版物も商品経済に入っています。きれいごとでも何でもないんです。

 「この1冊を書いて160円(ここから2割近く税金を引かれる)をもらいます。それをかき集めて生活しています」 と副島隆彦が講演会とかで言い出したんで、みんながびっくりしている。いっぱい本を出しているから、有名な作家、物書きはもっと儲かっている、と皆、思っている。子供や家族の分まで、将来までお金がたくさん入るって、それは嘘なんです。もう誰もそういう高収入の人はいません。売れている漫画家は別です。

 大江健三郎(おおえけんざぶろう、1935年-、87歳)や小林秀雄(こばやしひでお、1902-1983年、80歳で死)クラスの大言論人たちだって、死んだ後、新潮文庫や文春文庫とかで子供たちに印税が入るでしょって嘘で、もうほとんど入りません。もうあまり売れません、本なんか。それが分からないんです、みんな。スマホの影響もある。

 今日は藤森本を褒めます。大事なのは、この本の、どことどこが、副島隆彦にとって初めてのことで、吃驚(びっくり)して、おもしろかったと書くしかない。それを、この本の何ページの、何々だったと言っていきます。もうそれしかない。あとは、上野千鶴子を突き抜けろです。そして、新しい女性学というか、フェミニズムと言うのも、もう、古いのでしょう。しかし、女たちの世界って有るからね。確実に女たちの大きな台頭がある。

 そして、女は、体中心で行きますからね。女はその先のイデオロギー、すなわち、古代ギリシア以来の、イデア・ロゴス、イデア(観念)のロゴス(言葉、コトバ)なるものが、嫌いなんです。できないんです。知能が低いといえば低いんです。
 それで、知能というのはインテレクト(intellect)と言うんだけど。これには、意識、感覚、思考が入ります。
 仕方がないんです。子宮があるから、膣があるから、おっぱい があるからという問題としてもいいし、子供を産むための性、ジェンダー( gender )だから。そういうふうにできているので、抽象と観念が少ないんです。抽象は アブストラクト(abstract)と言います。
 このイデアも、マインド(思考)も、アブストラクトも全部、本当は、霊魂(れいこん、スピリチュアル)系なんですけどね。夢、幻、霊 の世界です。ただ、現代は、近代学問(サイエンス)が、これを、抑圧して、弾圧したので、思考、知能というコトバだけが認められていて、存在するのね。合理(ごうり。ratio ラチオ)と理性( りせい。reason レゾン、reason リーズン)しか、国家体制の一部である、学校公(こう)教育では、認めません。

 占い、呪(まじな)い、を、女子中学生たちが、教室の隅でやっている。どうしても、どうしても、女たちは、星占い、運勢占い、恋愛占いをしたい。それを学校は、柔らかく弾圧します。私、副島隆彦は、ようやく、今こそ、女たちが何が有ってもしぶとくやってきた、占い、呪い、そして、霊魂の世界に、自分も行こうと、堅く決意しています。

 藤森かよこ の今度の本は、性交売買(もう売春、買春 というコトバは使わない)で男と女が性行為をするのを商売(経済活動)にする訳ですから、性交売買を前提にした現代社会の各場面の問題をずっとえぐり出している。
 性交というのは、男と女が「互いの身体の全てを委ね合う行為である」(30ページ)と書いてある。ここからいろんな感覚、感情が生まれてくる訳だけど、こういうことをずっと書いている。あとは31ページにある、若杉友子(わかすぎともこ)という、陰陽(いんよう)の考え方にもとづいた野草料理と日本の気候風土に根ざした知恵を書いている女性評論家がいる。この若杉友子が『子宮(しきゅう)を温める健康法』で、女は子宮を温めなさい、おなかを温めなさいという、これも馬鹿みたいな真実を書いている。

 それから28ページに、石田衣良(いしだいら。1960年-、62歳)というとても人気のある、1960年生まれだから、もう62歳。この人は36歳で小説家になったんだけど、『池袋ウエストゲートパーク』という小説がヒットして、TBSのテレビドラマにもなって、多くの女たちがこれを知っているらしい。石田衣良の『娼年(しょうねん)』(2001年)という、中年の女たち(おばさま)を相手にしている売春夫の小説で、2001年に発表された。このことが書いてある。で、ボーイズクラブというのがあって、そこにちょっとお金の有る女たちが、若い男たちを買いに行くわけですね。で、セックスして性欲を満たすわけです。この話が全体を貫いています。

石田衣良
  私は、ボーイズラブとか、やよい と呼ばれる小説を、女子高生たちが、密かに読んでいることは、30年前から、言われていたので知っていた。ボーイズクラブというのは、今回、初めて知った。
 藤森本のすっと後ろのほうに行くんだけど、「女性向け風俗産業」という言葉があって、今はここまで来ています。もう300軒や400軒、女性専用風俗という産業があるんだそうです。その話がずっと書いていますから、この本を読んでください。

 あとは、更に過激化すると、障害者たちにも性欲があるんだ、これを社会が認めなさい。障害者たちの専用の性サービスの必要があると言って、それが障害者福祉活動の中に入っていく。136ページには、自分も障害者でありながら学者だった、藤森かよこと同じ桃山学院大学の同僚の生瀬克己(いくせかつみ)さんという学者の、いろんな研究が紹介されています。障害者たちの性欲を何とかしてあげなきゃいかん。してあげなきゃいかんというと変な言葉だけど、もうそれぐらいに切実だ。

 生瀬教授によると、手を使って、ビニール手袋をして、男の障害者の陰茎、ちんぽをこすってあげて射精させてあげるところまで、今、社会福祉の対象になっているらしい。さらにその先の性交まではなってないけれども、やがてなるでしょう。
 ところが、現に、風俗産業(セックスワーカーと言う)の女の人で、老人相手専門の人たちがいるらしい。回春サービスとか言う。それ以外にも障害者、手足がないような、あるいは体が動かないけど、その体の上に乗っかる形でセックスしてあげるという女たちが存在する。

 ベストセラー『五体不満足』(1998年刊、講談社。400万部売れた )を書いて、生来四肢((しし)がない障害者である、社会活動もし、政治家にもなろうとしている、乙武洋匡(おとたけ ひろただ、1976年4月6日 –  46歳)は、2016年3月に、5人の女性との不倫関係(奥さん以外と)が『週刊新潮』で報じられた。
 それで、その年の7月に自民党から参議院選に出馬するはずだったが辞退した。この乙武氏と進んで寝てあげていた、5人の、聖女のような介護の女性たちがいる。

 これをある女性編集者に私が聞いたら、「そうですよ、そういう人、たくさんいますよ」と言っていた。要するに聖女だというか、聖なる女たちで、男が求めるものを差し上げるという聖女、女神(めがみ)様になっている女たちがいる。相当頭がおかしいとも、私は思いますけれども、そういうことを頭おかしいと言っちゃいけないんだ。そういう女たちが本当にいるんですよ。すばらしいことですが、現代の女神さまですから。それで、子供ができちゃったりするんでしょうね。もう何ともはや、の世界まで来ている。そこまで現実が行っていることを藤森かよこの本が書いていますから、一回、しっかりこの本を買って読んでください。

 その一歩手前のところには、「夫にさっさと逝ってほしい」というコトバがあって、もうほとんどぶっ壊れていますからね、夫婦生活は、みんな。飽き飽きしてを通り越して互いに嫌がっていて、男も女も、集まると、自分の夫、妻の悪口を言い合っている。
 そこで不倫という言葉があって、石田純一(いしだじゅんいち、1954年-、68歳)が登場する。彼が、「不倫は日本の文化です」と偉大な真実の言葉を言っちゃった。何年頃だっかか。私にしてみれば、石田純一は、今も女性に人気があって偉い。ひょうひょうとしているから偉い訳で、あのひょうひょうとした石田純一がみんなは好きなんですね。この人は本当のことをさらりと言うということと、気取らないということが受けているんだと思う。 奥さんだった女優の松原千明(まつばらちあき、64歳)がつい最近、ハワイで亡くなった。

石田純一
 151ページに、藤森が、「晩節を汚しなさい」と書いてある。老人になってから、後添(のちぞ)いさんと言うんだけど。後妻、若いといってもそんなに若くない女性たちが、70、80のじいさんと結婚する。その金持ち老人の家族に大嫌われながら。なぜなら当然のこととして、財産目当てで女性は来ますから。

 そういう話も書いていて、それでいいんだ。じいさんは自分でつくった財産なんだから、自分で好きなように使えばいい。ただ、今は、必ず後妻で入ってくる人と、家族が契約書を書いて、相続権を主張しないとかするんです。本当にやります。こんなもの、アメリカ、ヨーロッパじゃ百年も前からやっていた。だから、「悪あがきをしなさい」と藤森は書いているから偉いなとは思った。まあ、そういう世界が現実にある。

 晩節を汚(けが)せ、と藤森が言ったから、そうだそうだと私も思います。私は反権力、反体制の人間だから、死ぬまで。だから威張る必要もないし、テレビに出て偉そうな人間のふりをする必要もないし、計算し尽くした上で話す、偉そうな発言をしているやつらに遠くから石を投げればいい。石投げ言論をやってきた人間だから、

 この本で私が一番強調しなければいけないのは、宮台真司(みやだいしんじ、1959年-、63歳)が「性的退却」と言ったそうだ。宮台真司については、私は個人としてよく知っているんだけど。一緒に勉強会をやっていた。東大の勉強会にも行っていた。しかし宮台真司は私のことを、煙たいだろうなあ。宮台君は、社会学者とか名乗らないで、日本の風俗評論家として一流なんだから、そこで生きていきなさいとかつて私は言ったんですね。

宮台真司
 もうあんまり宮台のむずかしい本なんか、男は読まないです。ただ、いろんなセックス産業系の世界にいる人たちと対談してその発言を本にして出しているようだ。ますますその世界にはまっていますね。そこの世界に親和性のある女たちが読んでいるのでしょう。なよなよした、ふにゃふにゃした男になっている。

 藤森本の後ろの方では、女たちの妊娠と出産の話と、膣ケアとか言われると、もう嫌になっちゃった。ああ、そうですか、という感じです。ただ、脱毛とかなんとか、女子中学生ぐらいから、電車の中の宣伝とかを見ていると。脱毛(だつもう)なんかしなくて、脇毛をちゃんと伸ばせ、馬鹿、と 私は言いたくなる。そういう時代が来ますよ、また。

 男でも自分に体毛がたくさん生えるのが不愉快で仕方がないというのがたくさんいるという。そういう馬鹿男がいっぱいいるのも分かるし、それがLGBTQへの道だからね。日本にもいっぱいいるんですよ、そういう人が。それは止めようがない。あとはホモ、オカマ、ゲイの世界です。トランスジェンダー(transgender)で、性転換の世界だから、性的倒錯症のところまで行って、最後はペドフィリア(pedofilia ) で子供たちを性欲の対象にして、あとは殺して食べるまで行っちゃったわけだから。世界最高権力者どもが。実際に。人類(人間)は、彼らをまとめて処罰しなければいけない。 
 そんなことしてませんとか言ったって、だめなんだ。証拠がたくさん出ている。もうそこまで行っちゃったんだから。これ何とかしなきゃいかんというところに今、来ている。

 だから、日本でも行くところまで行くでしょうけど。合法的に許される範囲でね。だから簡単なことで、男がブラジャーしてスカートをはいて、女の格好をして歩いていても構わないんですよ。それはその人の、嗜好性(しこうせい)という言葉を使うけど、趣味というよりも生まれたときからそういう人たちがいる。そういう東大教授までいる。安富歩(やすとみ あゆみ、1963年ー)という人です。自分は女なんだ、と途中から、どんどんそのことを隠さなくなった。今は女装をしている。

 もうそこまでアメリカなんか来ちゃったから。バイデン大統領もおかしい、ペドフィリアだ。彼のように表に出ているのと、裏に隠れている奴らが、ディープステイト、カバールです。表に出てこない大貴族とか大富豪とかね。あと、秀才たちが頂点を突き詰めてなった裁判官やら、法曹関係者(リーガル・ギルド)たち。あれがカバールなんですが、表に出て代表を務めている連中のところまで、今おかしくなりつつある。これを何とか、杭止(くいと)めなければいけないんですよ、人類が壊れるから。

 どうやって壊れるかというと、核戦争で壊れる可能性もある。人間の体、肉体の必然、ということから、その最も進歩した形で LGBTQ問題が出てきています。 藤森かよこはその一歩手前のところで立ちどまるだろう。アイン・ランドはそこまでおかしなことはしない女性思想家ですからね。リバータリアンというのは、異常なことはしません。元々、アメリカの開拓農民の思想ですから。立ちどまると思う。だけど相当、日本人も世界の流れに従って過激化して、かなりのところまで行くでしょう。

 この本を出版してくれて、藤森に助言した編集長が言っていましたが、フェミニズムやジェンダーというのは出版ジャンルとして現在、激戦区だそうです。今の日本で、もう本当にどんどんどんどん売れなくなってしまった本、出版物、出版文化と言うんだけど、のその中の激戦区なんです。ここで藤森さんに勝ち抜いてもらいたいと彼は言っていた。私もそう思います。

 藤森かよこは、編集長が言ったけど、私がつくった「愛とは何か」の定義を大事にしているそうです。この本の中にも出てきました。『副島隆彦の人生道場』(成甲書房、2008年刊)という本の中に載っているんだけど、「愛というのは、男と女が一緒にいて気持ちがいいこと、楽しいこと、うれしいことだ。これだけだ」 この定義はすばらしい定義で、我ながら、やっぱりそうだと思う。ということは、楽しくなかったら、気分よくなかったら、やっぱり別れるんですね、この男女は。そこが重要なんですよ。

 その次が、男はとにかく女とやりたい、セックスしたいという生き物なんだ、生物なんだということです。それに対して女はそうでもなくて、物欲のほうに走る。洋服とかバッグが欲しいとか。これも私がつくった業績なんですよ。「男の性欲、女の物欲」というのは。これは私の業績だから、業界人は泥棒しないように。馬鹿みたいで、そんなことを業績として認めないと言われても構いません。女は5歳で媚態(びたい)をつくって、ねだる。周りのじいちゃん、ばあちゃんとかに物をねだる。あれは女という生き物の本性なんです。男はそこまでできません。男は、外に出ていって闘わなきゃいけないから、雄(オス)の本性でね。

 動物レベルの雄雌(オスメス)問題のところまで行けば、人間が勝手に決めたことじゃないから、自然です。動物レベルまで行けば。それを自然なものとして全部認めるということで、言論の枠組みは厳格にできています。ここは揺るがせに出来ない。私の書いた『傷だらけの人生』の120ページに出ています。

やっぱり最後に。 鈴木涼美(すずきすずみ、1983年-、39歳)は慶應大学に行って、有名女子校出身でしょう。それで、ブルセラをやって、自分の汚いパンティを売りに行っている訳ですが、渋谷か新宿に。いいところのお嬢さんだったと思う。

鈴木涼美
 父親は法政大学名誉教授の鈴木晶(すずきしょう、1952年-、70歳)で、エーリヒ・フロムを翻訳しています。学者の家庭なんですよ。ただ、親子関係は悪くて家族は壊れていたのかな。だから慶應に行って、AV女優とキャバクラ嬢をやったんですね。彼女のだから精神と神経はどこか荒れ果てていると、Amazonの書評に書いている人がいた。

鈴木晶
 今は穏やかな大人の態度で対応して、人生論みたいな本をどんどん、去年今年、書いていますね。売れていると思う。それでも精神がどこか危ない。だから、上野千鶴子との『往復書簡』という最近の本では、上野を立てながら、持ち上げながら、自分が相談相手、相談してもらっている感じでやっているらしいんだけど、どうせ鈴木涼美の方が突き抜けていますから。ただ、危ないんですね、きっと。それを私も感じる。

 黒木香(くろきかおる、1965年-、57歳)という女優が昔いてた。最後は飛び降り自殺したのでなかったか。脇毛を生やした女で、彼女もどこか良い大学(横浜国立大学)を出ていたんだけど、社会の表面(テレビとか)にずっと出ていると、やっぱり頭がおかしくなるんですよ。そこをまわりが気をつけてあげないと。

黒木香
 藤森かよこが最後に、一番良いことを言っていた。1人でいいから本当に愛する人、愛し合える人、一緒にいて楽しい人を見つけなさいと。藤森かよこですら、それは私の場合は自分の夫ですと絶対に書かないんですよ。その凄さが、この本の凄さです。1人だけ見つけなさい、それがこの本の結論なんですよ。だから、かの鈴木涼美も、そういう男の人を1人見つけないと危ない、というのが私の考えです。

 だから、危ないですよという問題です、こういう世界は。薬物をやっている訳じゃない、薬の世界でおかしくなる訳じゃないし、まあ大丈夫でしょうけども、やっぱり飛びおりて死ぬみたいなことをしますからね。

 私たち大人のじじいになった人間が、余裕を持って遠くから眺めて言えるのは、そういうことです。皆さん、気をつけて、注意して生きてください、ということです。

宮台真司と鈴木涼美
 この鈴木涼美の登場は2013年に、日経の記者の時に集めた文章だと思うんだけどね、その本を青土社から出版している。東大の大学院で修士論文として提出したもので、その「AV女優論」が本になった。それでデビューです。2013年だから、30歳の時ですね。
 
 これは女の宮台真司が登場したということです。 宮台真司の女性版が登場したというふうに私は考えます。ふたりはかなり前から知り合いのようです。彼女が、先鋭だから女子中学生(13歳)の時から、宮台君のヒット作で、まさしく、ブルセラ・ブームに火をつけた『制服女子の選択』(1994年刊、講談社)を読んでいたという。

藤森さん、どんどん書き続けてください。そして、全国の女、男たちも、を元気づけてください。 以上で終わります。  副島隆彦 拝 

(終わり)

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