気になる記事の転載掲示板

◆巻頭言◆

新設されたこの掲示板(BBS)は、私、副島隆彦宛ての読者からの個人メールの転載サイトです。私の「今日のぼやき」ではとても対応できない状態になりましたので、このように拡張しました。

学問道場への入門許可の意味も含みます。別に自分は入門したい訳ではないという人もいるでしょうが。私宛てに挨拶を兼ねた簡略な自己紹介文を寄せてくれた人々と、ここの先進生たちとの情報共有の意味と更なる情報開示方針決定に従う趣旨もあります。以後は積極的に各掲示板の方へ書き込み投稿して下さい。(2001年4月1日記)
会員 投稿日:2021/05/04 20:10

【285】李鋼哲「言論の自由とマスコミ統制・自粛・忖度」

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SGRAかわらばん855号(2021年1月28日)
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SGRAエッセイ#658
◆李鋼哲「言論の自由とマスコミ統制・自粛・忖度」

最近、新型コロナ禍の中で言論の自由とマスコミ統制問題がクローズアップされている。

共同通信によると、国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF、本部パリ)は2020年4月21日、2020年の世界各国の報道自由度ランキングを発表した。対象の180カ国・地域のうち、日本は前年から1つ順位を上げ66位となったが、メディアの編集方針が経済的利益に左右されると改めて指摘された、と報道された。新型コロナウイルスの大流行に絡み、オルバン政権が強権的な姿勢を強めるハンガリーは順位を2つ下げ89位。情報統制を敷く中国は177位のままだった。感染者はいないと主張する北朝鮮は179位から再び最下位へ1つ落ちた。1位は4年連続ノルウェーで、フィンランド、デンマークがそれに続く。米国の順位は48位から45位に上がったという。

以上のランキングと関連して言論の自由が各国でどのように保証されているのか、または統制されているのか、筆者の関心はそこにある。

そもそも、現代のほとんどの国家では憲法により「言論の自由」が保証されている。自由度が一番低い共産党の独裁国家である北朝鮮や中国でも憲法では「言論の自由」や「出版の自由」、「集会の自由」などが保証されているはずだが、実態は甚だ「違憲」状態ではないだろうか?しかし、権力が憲法を踏みにじることができる権力構造の国であるため、「違憲状態」をチェックできるはずがない。

だからといって民主主義諸国ではどうであろうか?日本は先進国であり民主主義国とは言え「言論の自由」が保証されているとは言い切れない。筆者はゼミ生に課題を出して日本の「報道の自由度」を調べさせた結果、66番目であることが分かった。ただし、調べる前に何人かの学生からは「先生、ランキングは後ろから数えた方が早いんじゃないですか?」と冗談めいて言ってきたので、ちょっとびっくりした。普段は新聞をあまり読んでいない若い学生でさえそう感じるのだから。

最近、コロナ禍に関する情報に対しても民衆からの疑心暗鬼の声が聞こえる。ある事件をきっかけに筆者はそのような不信感には裏付けがあると確信した。

先月、北陸大学の隣の金沢大学(国立大学)の准教授がコロナ禍で死亡したと、本大学の職員から立ち話で聞いた。「えー、そんなこともあるの?」とびっくりし、すぐインターネットで調べてみたら、このような記事が見つかった。42歳の若い教員で、11月中旬ころに体調を崩し病院でインフルエンザと診断され、薬をもらって自宅療養していた。熱は多少下がったが治らなかったので、保健所に2回電話をしてPCR検査を希望したが、医師の診断なしでは検査を受けられないと、同じ回答を得たという。単身赴任だったので、奥さんがSNSで連絡しても返事がなく、大学の職員に連絡して確認を依頼したところ、死亡していることが見つかった。もともと喘息があったが、死亡後のPCR検査で新型コロナと判定されたという。

このような事件は重要な報道の種になるはずだ。ところが、新聞にもテレビにもほとんど報道されず、事件発生10日後に北陸中日新聞に次のような短い記事が載っただけであった。
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【2020年12月5日:北陸中日新聞】
インフルエンザとの同時流行に備え、石川県内では先月、新型コロナウイルスと双方の検査に対応できる指定医療機関が180カ所まで拡充されていた。先月26日の死亡確認後に新型コロナ感染が分かった金沢大准教授の高橋広夫さん=享年42=は、整備されたはずの新たな体制の中で、検査を受けられなかった。
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全国的には同じ系列の東京新聞に掲載されているものの、これだけでは、地元の多くの人にさえ知らされていない。大きく報道されなかったのは大学側の隠蔽なのか、行政側の忖度なのか、その裏のことは知るすべがない。このような事件はマスコミが取り上げ、行政側に対して責任を追及するのが民主主義国家のメディアではなかろうか?同じような隠し事や過小報告が他の地域にもあるのではないか?知り合いの有識者たちの話を聞くと、政府が意図的に隠しているのではないかと疑心暗鬼だ。報道の自由が制限されているのか、あるいはメディア側が自粛や忖度をしているのか、それとも両方なのか?報道の自由度ランキングが66番目の実態が実証できる一つの事例である。

では、報道の自由度が45番目のアメリカはどうだろうか?今度の大統領選挙を通じて、筆者の民主主義に対する信奉は完全に崩れてしまった。筆者は多言語の優位を生かして、今度の選挙戦に深い関心を持ってYouTubeなどに頼り、台湾のメディア、韓国のメディア、アメリカの華人系メディアなどを通じて、一般の主流メディアでは取り上げていない「裏の情報」を毎日のように目の当たりにして、選挙過程の実態が客観的に報道されていないことにがっかりした。

結論的に言うとアメリカの民主主義はもう崩壊している。なぜなら主流メディアは真実の一面しか報道しないからだ。「不正選挙」で「権力がもぎ取られている」ことには目をつむっており、エスタブリッシュメント勢力がアメリカ憲法や民主主義を踏みにじっていることについては、ほとんど報道されていない。SNSやネットメディアは政治的に主張が違う人々のメディアへのアクセスを封殺、ツイッターがトランプ大統領を封殺したのが典型的で、世界最大の民主主義国家の大統領がメディアの自主判断によって発言が封印されるという前代未聞の事態が発生しているのだ。ツイッターだけではない、FACEBOOKなど他の主流ソーシャルメディアは、自分たちの判断基準(ファクトチェック)に則って国民の声を封殺しており、これは国家権力ではないメディアの言語道断であろう。メディアが偏向の報道しかしないとき、国民は政治判断の材料としての真実を手にすることができず、そうなったら民主主義の実行手段である選挙の公正性・公平性はゆがんでしまい、民主主義はもはや崩壊したと言っても過言ではないだろう。

公正、公平に真実を国民に知らせる使命を背負っているはずのメディア(筆者の価値判断基準で)が中立性を失い、政治に介入する時、公正、公平、自由な報道はもはや望めないのではないか?筆者が信奉し追求してきた民主主義の価値観、哲学や理念はもはや心の中で崩れていくような気がしてたまらない。筆者は今後独裁政権を批判する根拠を失いかねない。

独裁政権でメディアが厳しくコントロールされていることは誰もがわかっている事実だ。しかし、民主主義国家では言論統制は「論外」だと思われる民衆が多いのではないか?いずれも国民が真実を知る権利を奪われている点では「五十歩百歩」ではなかろうか?独裁国家の「リーダー」や「知性人」は今度のアメリカ選挙戦を見て、民主主義総本山の米国をあざ笑っている。「ほら、やはり民主主義も偽善ではないか?言論の自由も嘘ではないか?」、「やはり我々の体制が優越だ」と。かれらは新型コロナ禍への対応についても「制度的優越性」を強調する。

だからと言って、言論の自由を無慈悲に弾圧する独裁政権が自分たちを正当化できるとは到底思えない。いつかは国民から見捨てられるに違いない。かの国は主権在民の「人民共和国」であり、封建王朝ではないのだから。かつて「無産階級(プロレタリア)の独裁」を掲げて百姓のために造った政権は、今や「有産階級(ブルジョア)とエリート階級の独裁」に変質したように思われてならない。

どこの国でも、いつの時代でも、国民の民意をくみ取り真に国民のための政治を行わない政権は、安定して長続きすることができないと筆者は考えている。中国の古典にも「水能載舟、亦能覆舟」《荀子哀公》という名言がある。その意味は、為政者は船の如く、民は水の如し;水は船を乗せて安全に航行することもできるが、船を倒して沈没させることもできる。為政者に対する戒めの諺である。

<李鋼哲(り・こうてつ)LI_Kotetsu>
中国延辺朝鮮族自治州生まれの朝鮮族。1985年中央民族大学(中国)哲学科卒業後、中共北京市委党校大学院で共産党研究、その後中華全国総工会傘下の中国労働関係大学で専任講師。91年来日、立教大学大学院経済学研究科博士課程単位修得済み中退後、2001年より東京財団研究員、名古屋大学研究員、総合研究開発機構(NIRA)主任研究員を経て、06年より北陸大学教授。2020年10月、一般社団法人東北亜未来構想研究所を有志たちと創設、所長に就任。日中韓+朝露蒙など東北アジアを檜の舞台に研究・交流活動を行う。SGRA研究員および「構想アジア」チーム代表。近著に『アジア共同体の創成プロセス』(編著、2015年、日本僑報社)、その他論文やコラム多数。

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関口グローバル研究会(SGRA:セグラ)事務局

加藤 剛 投稿日:2020/06/29 21:54

【284】随分と景気の良い破綻

米シェール大手・チェサピーク、破産法適用を申請

[ニューヨーク 28日 ロイター] – 米シェール開発大手のチェサピーク・エナジー<CHK.N>は28日、連邦破産法11条の適用を申請した。ここ数年で経営破綻した米石油・ガス開発企業の中では最大規模。

米南部・オクラホマ州に本社を置くシェールガス開発の草分け的存在だが、多額の債務と新型コロナウイルスによるエネルギー市場の混乱で経営が悪化していた。ここ数カ月、再編に向けた準備として債権者との交渉を進めていた。

同社は、約20年以上前にオーブリー・マクレンドン氏が創業。同氏は2013年に退任し、現在の最高経営責任者(CEO)ダグ・ローラー氏が就任したが、その時点で130億ドルの負債があった。ローラー氏は支出削減や資産売却で債務の削減を進めたが、今年に入ってからの原油相場の大幅下落で経営が悪化し、資金繰りに行き詰まった。

同社は発表文で「破産手続きを通じてバランスシートを強化し、長年引きずってきた契約上の義務を再編することで、より持続可能な資本構造を達成したい」と表明した。破産手続きの間も業務は継続するという。

再編計画によると、同社は既存債務のうち約70億ドルの再編を目指している。金融機関は融資限度枠の範囲で繰り返し借り入れが可能な「リボルビング・クレジット・ファシリティ」を通じた債務再編支援に合意し、債権者からも支援合意を取り付けたという。

合意の一環として、破産手続き中の業務継続を可能にする9億2500万ドルのDIPファイナンスを確保した。

チェサピークはまた、債務の前倒し返済を支援するための総額25億ドルの融資の条件に合意。破綻手続き終了時に計画する6億ドルの新株発行についても、金融機関と社債保有者の一部が支援に合意した。

会員 投稿日:2020/05/31 11:59

【283】石正麗研究員、中国国際テレビ(CGTN)に登場

TBSニュースと毎日新聞で報道されました。

■TBSニュース

(転載始め)

武漢の“バットウーマン”研究員「速やかな情報提供」強調
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3988814.html
2020年4月26日 20時17分

 海外メディアから「バットウーマン」と呼ばれ、中国・武漢のウイルス研究所に所属する研究員が国営メディアの取材に答え、新型コロナウイルスに関する情報は国際機関に速やかに提供してきたと強調しました。

 「2020年1月12日にWHOにウイルスの全ゲノム配列を提出した」(中国科学院武漢ウイルス研究所 石正麗研究員)

 武漢ウイルス研究所の研究員、石正麗氏は、国営メディアが25日に配信したインタビューにこのように答え、国際機関に対し速やかに情報提供を行ったことを強調しました。撮影された日は不明ですが、新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、石氏がメディアに登場するのは初めてです。

 石氏は研究所からのウイルス漏えい疑惑については答えていませんが、一部の研究プログラムへの資金提供が停止されたことに対し、「科学が政治化されている。非常に遺憾に思う」と述べました。

 アメリカメディアによりますと、トランプ政権が先月下旬、武漢のウイルス研究所が行うコウモリのコロナウイルスに関する研究への資金援助を停止したということで、石氏の発言はアメリカを念頭においたものとみられます。

 石氏は、SARSのウイルスはコウモリが起源だと特定したとして、海外メディアから「バットウーマン」と紹介されたほか、「研究所の秘密文書を持ってフランスのアメリカ大使館に保護を求めた」との情報がインターネット上で流れるなど、動向が注目されていました。

 武漢ウイルス研究所をめぐっては、24日に所長がウイルスの漏えい疑惑を否定するインタビューが配信されていて、中国としては国の内外に対し疑惑を払しょくする狙いがあるとみられます。

(転載終わり)

■毎日新聞

(転載はじめ)

新型コロナ 武漢研究所 研究員「対策に貢献」 情報提供強調
https://mainichi.jp/articles/20200528/ddm/007/030/074000c
毎日新聞2020年5月28日 東京朝刊

 中国科学院武漢ウイルス研究所でコウモリの保有ウイルスを研究する石正麗研究員は25日、中国国営中央テレビ系列の中国国際テレビ(CGTN)のインタビューに答え、新型コロナウイルス対策につながる国際的な取り組みに積極的に貢献してきたと訴えた。石氏については、新型ウイルス発生との関連を疑う見方も出ていた。

 石氏は、同研究所が新型ウイルスのサンプルを2019年12月30日に入手し、短時間で遺伝子情報などを突き止め、1月12日に世界保健機関(WHO)や全世界の科学者に提供したと説明。(・・・以下毎日新聞会員限定公開)

(転載終わり)

会員 投稿日:2020/05/05 15:07

【282】台湾メディア「自由時報」、武漢ウイルス研究所の石正麗研究員が、極秘書類と共にアメリカに亡命と報道。中国メディア「環球時報」は否定

台湾・自由時報 2020/05/02
被爆攜千份秘密文件「叛逃」美國 武漢實驗室石正麗急説明
https://news.ltn.com.tw/news/world/breakingnews/3152889

より

■「叛逃(亡命)」の元ネタは ネチズンのツイッター(DeepL翻訳)
――――――
重大消息:武汉病毒研究所出逃欧洲的高级研究员就是石正丽本人!带着全家人和近千份秘密文件,已经在法国向美国大使馆申请庇护。帮助她出逃的正是被抓的公安部副部长孙立军。美国已经同意与法国共享其全部情报!人赃俱获,此刻连一向高调友共的默克尔也全力批共并提出赔偿。大幕拉开…… pic.twitter.com/jEqNd8Bv4f
― 号角 (@QXc92sXFfLDx1py) April 30, 2020

「ビッグニュース:武漢ウイルス研究所からヨーロッパに逃れた主任研究者は石正麗Shi Zhengli本人だ! 家族とほぼ1000の秘密文書を持って、フランスの米国大使館に亡命を申請した。逃亡を助けたのは、逮捕された孫麗軍Sun Lijun公安副局長だった。アメリカはすべての情報をフランスと共有することに合意した! みんな捕まってしまって、もともと共産党の味方として注目されてきたメルケルでさえ、今では共産党を全面的に批判して賠償金を提示している。カーテンが開く…」
――――――

■亡命否定の根拠は石正麗のWeChat投稿(DeepL翻訳)
―――
これに対応して、中国の公式メディア「環球時報」は、石正麗Shi ZhengliシーチェンリがWeChatに2日に発表したメッセージを投稿し、「亡命した」ことを否定した。 石正麗は微信朋友圈WeChatの友だちサークルで次のように述べています。「親愛なる友たち、私と私の家族はすべて元気です! どんなに難しいことがあっても、噂通りの「亡命」はないだろう。 何も間違ったことはしていない、心の中には科学への確固たる信念がある。 雲が開いて太陽が昇る日があるはずです。」

このメッセージには、人生の写真9枚も添付されており、「環球時報」紙は、WeChatの友だちサークルが実際に石正麗Shi Zhengli自身によって送信されたことが確認されたと述べました。
―――――

●In Deep 2020/05/04 掲載の翻訳文
https://indeep.jp/wuhan-female-virus-scientist-went-into-exile-in-us/
より

(転載始め)

武漢ウイルス研究所のシー・ツェンリ研究員が、1000の極秘書類を持参した上で、アメリカに「亡命」した

自由時報 2020/05/02

新型コロナウイルスの拡大がいまだに続いている中、最近、世界の多くの国がこの新型ウイルスが、中国の武漢の研究所に関連している可能性があるという疑惑を表明している。

アメリカ政府もまた、さまざまな公開情報を調べる中で、ウイルスの出所は「中国科学院からの可能性が最も高い」と判断したと発表している。関連が疑われているのは、武漢ウイルス研究所と武漢疾病管理予防センターだ。

最近、武漢ウイルス研究所の副局長である石正麗(シー・ツェンリ)氏が、家族と共に、「 1,000近くの秘密文書」を持ち出した上で、ヨーロッパに逃亡し、アメリカに亡命を求めたと伝えられている。

中国の最高レベルの病原体研究施設である武漢ウイルス研究所の主任研究員であるシー・ツェンリ氏が、中国からの逃亡に成功したことは、4月24日、アメリカ大統領の元上級顧問であるバノン氏により伝えられたとされる。

シー・ツェンリ氏はフランスにあるアメリカ大使館に亡命を申請したされる。彼女の脱出を助けたのは、中国の公安部門の副局長であるスン・リジュン(Sun Lijun)氏だとされる。リジュン氏はその後、中国当局に逮捕された。

しかし、中国の国営メディア「グローバルタイムズ」は、シー・ツェンリ氏が亡命したことを否定している。

現在、各国で、新型コロナウイルスが中国武漢の研究所から流出したものなのではないかとする疑惑が噴出しているが、今のところ、それを証明できる根拠はない。

英国のメディア「デイリー・テレグラフ」は、アメリカ、オーストラリア、その他 5か国で構成される調査機関「ファイブ・アイ・アライアンス (Five Eyes Alliance)」が、新型コロナウイルスの発生源が、武漢ウイルス研究所なのか、それとも、武漢の海鮮市場なのかを調査中だとしていて、中国とオーストラリアも、この調査に参加したと報じている。

調査では、武漢ウイルス研究所でコウモリの研究に関係していたシー・ツェンリ氏と、もうひとりの科学者である周鵬(ゾウ・ペン / Zhou Peng)氏が調査の対象となっている。

(転載終わり)

■元記事
武漢ウイルス研究所でコウモリでのコロナウイルス感染実験を繰り返していた女性科学者が「多数の機密資料と共にアメリカに亡命」した可能性があり、国家間闘争は新たな段階に

https://indeep.jp/wuhan-female-virus-scientist-went-into-exile-in-us/

投稿日:2020年5月4日 更新日:2020年5月5日

会員 投稿日:2020/05/03 18:00

【281】新型コロナ感染症:ノーベル賞を受賞した日本発の治療薬「イベルメクチン」が救世主に?

(転載始め)

新型コロナ感染症:ノーベル賞を受賞した日本発の治療薬「イベルメクチン」が救世主に?

https://news.yahoo.co.jp/byline/ishidamasahiko/20200408-00172075/

石田雅彦 | ライター、編集者
2020/4/8(水) 8:00

 寄生虫感染症の「ワンダードラッグ」と称賛されるイベルメクチン(Ivermectin)は、2015年のノーベル医学生理学賞を受賞した大村智氏が土壌の微生物から分離したアベルメクチンという物質からできた薬だ。今回、オーストラリアの研究グループにより、イベルメクチンが新型コロナウイルスの増殖抑制に効果的という研究結果が発表された

◆土の中からワンダードラッグ

 北里研究所にいた大村智氏が、静岡県伊東市川奈の土壌から採取した放線菌の一種(Streptomyces avermitilis)にアベルメクチンという物質を作り出す能力があるのを発見したのは1979年のことだ(※1)。この物質がマウスに寄生した線虫を殺す作用があることがわかり、当初はウシなど家畜の寄生虫感染症に効く薬として開発された。

 その後、アベルメクチンから開発されたイベルメクチンが発展途上国の人々を苦しめていた河川盲目症(オンコセルカ症、ブヨにより感染)という寄生虫感染症にも効果があることがわかり、ヒト用のイベルメクチンが開発されることになる。

 そしてイベルメクチンは、象皮病にもなるリンパ系フィラリア症(カにより感染するフィラリアという蠕虫による寄生虫感染症)、世界で数千万人が感染しているとされる糞線虫症(糞線虫が消化器官に寄生する寄生虫感染症)、などにも効果があるということがわかり、特に熱帯・亜熱帯地域の発展途上国で多くの人を救ってきた(※2)。

 新型コロナ感染症が世界的に猖獗を極めている。治療薬の開発は喫緊の課題だが、このウイルスに対してはこれまで抗インフルエンザ薬のアビガン、抗エイズウイルス薬のカレトラ、エボラ出血熱の治療薬のレムデシビルなど様々な医薬品が試されてきた。

 今回、そうした候補薬に名乗りを上げたのがイベルメクチンだ。オーストラリアのビクトリア感染研究所の研究グループが、イベルメクチンを試したところ、新型コロナウイルスの増殖を抑え、ウイルス数を劇的に減少させる可能性があることを発表した(※3)。ちなみに、世界で最初に新型コロナウイルスを培養したのもオーストラリアの研究グループ(メルボルン大学ドハーティ研究所)だ。

◆新型コロナウイルスを99.98%も抑制

 本来、イベルメクチンは寄生虫感染症の薬剤だが、HIV-1(ヒト免疫不全ウイルス)のタンパク質生成を阻害することが確認され、インフルエンザウイルスなどのRNAウイルス、狂犬病ウイルスなどのDNAウイルスの増殖を防ぐことが実証されているようだ。

 重要なのは、米国のFDA(食品医薬品局)にも承認されているように、イベルメクチンが約30年間に渡ってヒトの寄生虫感染症の薬剤として広汎に使用されてきたことだろう。特に、河川盲目症やリンパ系フィラリア症の薬剤として多くの発展途上国で使われてきた。

 もし、イベルメクチンが新型コロナウイルスの増殖を抑えることができれば、各国の薬事承認の過程を省くことが期待され、ストックも大量にある上に生産ラインもすでに整備され、特許も切れている(大村智氏は特許を放棄した)ことから大きな可能性があることがわかる。また、イベルメクチンの安全性は、妊娠中の使用に関してはっきりとわかっていないものの、システマティックレビュー研究で有害事象の報告はないとしている(※4)。

 同研究グループは、新型コロナウイルスとよく似たSARSウイルス(SARS-CoV)が1本鎖のRNAウイルスであることから、イベルメクチンも新型コロナウイルスに効くのではないかと考え、細胞を使った試験(in vitro)をしてみたという。

 すると、イベルメクチンを使ってから24時間後に新型コロナウイルスのRNAが93%減少し、48時間後には99.98%減少したことを観察した。また、イベルメクチンによる毒性作用は見られなかったという。

 これは、イベルメクチンが新型コロナウイルスのタンパク質生成を阻害し、増殖を強く抑制したことを意味する。同研究グループは、まだ細胞を使った実験室内の結果であり、さらなる研究が必要としている。

 新型コロナ感染症には、一刻も早いワクチンと治療薬の開発が待たれている。イベルメクチンという日本発の治療薬に期待したい。

※1:Satoshi Omura, Kazuro Shiomi, “Discovery, Chemistry, and Chemical biology
of microbial products.” Pure and Applied Chemistry, Vol.79, Issue4, 2007

※2:Eric A. Ottesen, William Campbell, “Ivermectin in human medicine.” Journa
l of Antimicrobial Chemotherapy, Vol.34, Issue2, 195-203, 1994

※3:Leon Caly, et al., “The FDA-approved Drug Ivermectin inhibits the replica
tion of SARS-CoV-2 in vitro.” Antiviral Research, doi.org/10.1016/j.antiviral.
2020.104787, April, 3, 2020

※4:Patricia Nicolas, et al., “Safety of oral ivermectin during pergnancy: a
systematic review and meta-analysis.” THE LANCET, Global Health, Vol.8, Issue1
, e92-e100, January, 2020

石田雅彦
ライター、編集者
tokyohelper
masahiko.ishida.180
official sitehttps://daigomi.com/

いしだまさひこ:医科学修士(MMSc)。近代映画社で出版の基礎を学び、独立後はネットメディア編集長、紙媒体の商業誌編集長などを経験。ライターとして自然科学から社会科学まで多様な著述活動を行う。横浜市立大学大学院医学研究科博士課程在学中。JASTJ会員。元喫煙者。サイエンス系の著書に『恐竜大接近』(集英社、監修:小畠郁生)、『遺伝子・ゲノム最前線』(扶桑社、監修:和田昭允)、『ロボット・テクノロジーよ、日本を救え』(ポプラ社)など、人文系著書に『季節の実用語』(アカシック)、『おんな城主 井伊直虎』(アスペクト)など、出版プロデュースに『新型タバコの本当のリスク』(著者:田淵貴大)などがある。

(転載終わり)

会員 投稿日:2020/05/03 17:53

【280】ノーベル賞大村氏ら開発“抗寄生虫薬”が治療薬に?

(転載始め)

ノーベル賞大村氏ら開発“抗寄生虫薬”が治療薬に?
2020/0502 07:25 ANN NEWS
https://news.tvasahi.co.jp/news_society/articles/000183113.html

 新型コロナウイルスの治療薬の候補として、ノーベル賞を受賞した北里大学の大村智特別栄誉教授が中心となって開発した「抗寄生虫薬」が期待されています。

 「イベルメクチン」は体内の寄生虫による感染症の治療薬で、主にアフリカで効果を上げています。アメリカやオーストラリアの研究チームが新型コロナウイルスにも効果があると報告していて、日本の北里大学でも3月から研究が始まっています。大村智記念研究所の花木秀明センター長はイベルメクチンがウイルスの増殖を抑える効果があるとみていて、今後、患者に投与するなどして1年以内には承認を得たいと話しています。イベルメクチンは世界で5億人以上の投与実績があり、安全性が高いということです。

(転載終わり)

会員 投稿日:2020/05/03 17:49

【279】大村氏のイベルメクチン、新型コロナに効果 米ユタ大が報告

(転載始め)
大村氏のイベルメクチン、新型コロナに効果 米ユタ大が報告
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58525110X20C20A4I00000/
2020/4/27 12:24 日本経済新聞

抗寄生虫薬のイベルメクチンを新型コロナウイルスの患者に投与したところ、投与して
いない患者に比べて死亡率が約6分の1に低下したとの報告を米ユタ大学などの研究チー
ムがまとめた。重症化した患者にも効果があったというが、治療に使うにはさらに確度
の高い試験が必要としている。

イベルメクチンは2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した北里大学の大村智特別栄
誉教授が開発した。アフリカなどで寄生虫による感染症の撲滅に効果を上げている。

研究チームは、20年1月~3月に治療を受けた新型コロナウイルスの患者約1400人を調査
。北米や欧州、アジアの169の医療機関でイベルメクチンを投与された約700人の患者と
、投与されず別の薬などによる治療を受けた約700人の死亡率を比較した。

その結果、イベルメクチンを投与していない患者の死亡率は約8%だったのに対し、投与
した患者は約1%と低かった。人工呼吸器が必要な重症者の死亡率をみると、投与してい
ない患者で約21%だったのに対し、投与した患者では約7%だった。

研究チームは、今後はランダム(無作為)化比較試験と呼ぶ信頼度の高い試験を進め、
治療効果が確実かどうか確かめる必要があるとしている。

北里大学・大村智記念研究所の花木秀明センター長は「これまでのイベルメクチンの通
常の投与量とほぼ同じ量で、死亡率が大きく下がる結果が出たことに驚いている」と話
した。

(転載終わり)

会員2370 投稿日:2020/03/30 14:40

【278】「Crimson Contagion 2019」 シミュレーションで米国のパンデミックへの影響を警告

クリムゾン・コンテイジョン(真紅の感染)

■CORONAVIRUS
‘Crimson Contagion 2019’ Simulation Warned of Pandemic Implications in US

https://www.nbcchicago.com/news/local/crimson-contagion-2019-simulation-warned-of-pandemic-implications-in-us/2243832/

●DeepL翻訳
コロナウイルス
クリムゾン・コンテギャン2019」シミュレーション、米国でパンデミックの影響を警告

2019年のパンデミック演習では、州や連邦政府関係者が懸念する分野が指摘されていました。

By Carol Marin & Don Moseley – Published March 24, 2020 – Updated on March 24, 2020 at 5:24 pm

シカゴでは、2019年8月に戻って、連邦政府機関は、国がパンデミックをどのように扱うかを確認するために模擬訓練を実施しました、具体的には、既知の治療法がない致命的な世界的なアウトブレイクです。演習では、医療物資の不十分な量を含む、国家の欠点の数を指摘した。

これは「クリムゾン・コンタギオン2019機能訓練」と呼ばれ、配布のためのものではないと記されている。 ニューヨーク・タイムズ紙がいち早く報じ、掲載した。

これはコロナウイルスではなく、インフルエンザについての演習であったが、予言的に中国で始まりシカゴに上陸するという仮想的なアウトブレイクについて、文書は具体的な問題領域を指摘している。

8月13日、イリノイ州とアリゾナ州からコネチカット州までの11の州で、連邦、州、地方の当局者が4日間の演習を開始しました。

シナリオ。

中国で新型インフルエンザの大規模な発生が始まり、急速に拡大し、米国のシカゴで最初に検出され、人と人との接触によってパンデミックの割合にまで拡大する。

演習ごとに備蓄ワクチンは、ウイルスを封じ込めるための直接の一致ではありません。

国家試験に参加したのは

19 連邦政府機関
十二州
七十四地方保健所
八十七病院
報告書によると、ホワイトハウスの国家安全保障会議の関係者が演習中にブリーフィングを受けたという。

主な調査結果の中には

重度のインフルエンザのパンデミックのための連邦政府の資金源が不足している。
防衛生産法の適用方法の混乱
現在の医療サプライチェーンと生産能力では、需要を満たすことができませんでした。
グローバル生産では、個人用保護具や付帯用品の国内需要を満たすことができなくなる。
アリソン・アーワディ博士はこの演習に密接に関与し、その結果としてシカゴの準備を強化した。FBIが市と同様の行動をとったかどうかについてはコメントしませんでした。

ローリ・ライトフット市長は記者団との電話会見でこう述べました。

“連邦政府が私たちを助けてくれないのは明らかです。”彼らは騎兵隊ではない”

シカゴ公衆衛生局、緊急事態管理通信局、および州保健局と緊急事態管理局がこの演習に参加した。

報告書とArwady博士は、多くの連邦機関が協力して対応戦略を考案したことを称賛しているが、パンデミック演習では、国家的な協調的な対応がない場合、米国内で1億1,000万人の疾病、770万人の入院、58万6,000人の死亡という悲惨な結果を予測していた。

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■CORONAVIRUS
‘Crimson Contagion 2019’ Simulation Warned of Pandemic Implications in US

The 2019 pandemic exercise pointed to areas of concern for state and federal officials

By Carol Marin & Don Moseley ? Published March 24, 2020 ? Updated on March 24, 2020 at 5:24 pm
https://www.nbcchicago.com/news/local/crimson-contagion-2019-simulation-warned-of-pandemic-implications-in-us/2243832/

In Chicago, back in August 2019, federal agencies conducted a mock drill to see how the nation would handle a pandemic, specifically a deadly global outbreak with no known cure. The exercise pointed to a number of national shortcomings, including an insufficient amount of medical supplies.

It is called the ‘Crimson Contagion 2019 Functional Exercise’ and is marked not for distribution. The New York Times was the first to report and publish it.

This was an exercise about the flu, not the coronavirus, but the document points to specific problematic areas for a hypothetical outbreak that, prophetically, begins in China and lands in Chicago.

On August 13, in Illinois and 11 states from Arizona to Connecticut, federal, state and local officials began the four-day exercise.

The Scenario:

A large-scale outbreak of novel influenza begins in China and quickly spreads, first detected in Chicago in the U.S. and grows to pandemic proportion by human-to-human contact.

Stockpiled vaccines, per the exercise, are not a direct match to contain the virus.

Involved in the national test were:

19 federal agencies
12 states
74 local health departments
87 hospitals
According to the report, officials at the National Security Council in the White House were briefed during the exercise.

Among the key findings:

Insufficient federal funding sources for a severe influenza pandemic
Confusion on how to apply the Defense Production Act
The current medical supply chain and production capacity could not meet the demand
Global manufacturing would be unable to meet the domestic demand for personal protective equipment and ancillary supplies
Dr. Allison Arwady was intimately involved in the exercise and ratcheted up Chicago’s preparedness as a result. She had no comment on whether the feds took the same actions the city did.

Mayor Lori Lightfoot was blunt in a telephone briefing with reporters.

“It is clear to me the federal government will not help us,” she said. “They are not the cavalry.”

The Chicago Department of Public Health, the Office of Emergency Management and Communications, as well as the state Health Department and Emergency Management Agency, took part in the exercise.

Though both the report and Dr. Arwady commend many federal agencies for working together and devising response strategies, the pandemic exercise predicted dire consequences–110 million illnesses, 7.7 million hospitalizations and 586,000 deaths, all in the U.S. in the absence of a coordinated national response.

海員2370 投稿日:2020/02/15 21:54

【277】「国内感染は始まっている。死亡者数の最小化を最大の目標に」~新型ウイルス対策で元WHO幹部が提言

(転載始め)

「国内感染は始まっている。死亡者数の最小化を最大の目標に」~新型ウイルス対策で元WHO幹部が提言
https://news.yahoo.co.jp/byline/egawashoko/20200213-00162972/
江川紹子 | ジャーナリスト
2020/2/13(木) 19:45

「死亡者の数を最小限にする。これが、オールジャパンで取り組む最大の目標だ」――独立行政法人地域医療機能推進機構理事長で、世界保険機関(WHO)の元西太平洋事務局長の尾身茂氏が2月13日、日本記者クラブで記者会見し、新型コロナウイルス対策は水際作戦を強化するより、すでに感染早期にあるとの認識で、対応するよう提言を行った。

■新型インフルでは日本はダントツに死亡率が低かった

 尾身氏は冒頭、2009年の新型インフルエンザについてのデータを示し、「対応にはいろいろ批判もあったが、実は日本は世界でもダントツに死亡率が低かった」と述べた。自治体が早期に広範囲な学校閉鎖を行うなどして、初期の流行を一旦封じ込めたことが奏功した、と説明した。

(※図あり 尾身氏の会見資料(2009年11月6日現在のデータ)より作成
 2009年の新型インフルエンザ 各国の死亡率 人口10万人当たり。
 日本0.2 カナダ2.8 イギリス2.2 メキシコ2.9 アメリカ3.3 南アフリカ1.8 アルゼンチン14.6 オーストラリア8.6 ブラジル7 チリ8.1 ニュージーランド4.4)
 

■国内感染早期である、との認識が必要

 そのうえで、今回の新型コロナウイルスについて、日本では軽症者を含む感染が始まっており、少なくとも感染早期の段階にある、との認識を示した。そして、症例定義から「中国湖北省への渡航歴」や「航歴があって発熱・呼吸器症状を有する人との接触歴」を外し、具体的な臨床条件を示して、肺炎の患者を早期に診断・隔離・治療できるようにすべきだ、と提言した。

 水際作戦は「やらないよりやった方がいい」ものの、新型コロナウイルス肺炎は、潜伏期間が長く、多くが軽症で、無症状の感染者もいることから、水際での封じ込めは困難だと指摘。すでに国内でも軽症者を含む感染が進行していると考えられ、それに応じた対策にシフトする時期に来ている、と述べた。

■軽症者は一般病院、開業医などが診る準備を

「感染しても多くは軽症だ。ただ、高齢者や基礎疾患を持っている人を中心に、一部重症化する。重症になると(症状は)きつい。今後、死者が出る可能性はある」として、重症感染者の早期発見によって死亡者数を最小化することが大切だと強調した。

 今後、感染が拡大した場合には、感染症指定病院は高齢者などのハイリスク者の死亡を最小限にする対策を中心に行い、重症でない患者は一般の医療機関でも診療し、軽度の人は自宅待機をするなど、検疫強化にこだわるのではなく、適切な診断と治療が受けられる医療体制の整備に対策の重点を置くことが重要だと訴えた。

■企業と国民に伝えるべきメッセージ

 また、企業に対しては、感染が拡大しても事業の運営を中止するのではなく、継続するために在宅勤務などを活用するよう、今から対策を考えて経済活動への影響を最小にすることが大切だと述べた。

 国民に対しては、

・感染者の多くは軽症である

・熱が下がらない、咳や倦怠感が続く、息が荒い・苦しいなど肺炎を示す症状がある場合は、渡航歴にかかわらず、コールセンターなどに相談する

・手洗いや咳エチケットの徹底、不要不急の集まりや人混みを避けるなどで一定の予防効果がある

ことをしっかり伝えることが大切だ、とした。

■「日本人でも、外国人でも」

 また横浜港に停泊中のクルーズ船については、「乗客が感染リスクが高い状態に置かれており、このままでは感染対策上も倫理的にも問題だ」として、順次速やかにPCR検査を実施の上、下船させるよう求めた。その際、外国人については「政府としては難しいところだろうが、日本人でも外国人でも命という点では一緒。国際社会のリーダーとして度量の深さを示して欲しいと個人的には思う」と語った。

■やるべきことをやれば死亡率は極力抑えられる

 感染症の大流行に共通するのは初動の遅れがあるとし、今回も中国・武漢での初期対応の遅れがあったと指摘したうえで、日本の政府には、正確な情報を迅速かつ継続的に発信することで、国民の不安を払拭するだけでなく、感染者が不当な扱いを受けることがないようにすべきだと述べた。

「今後、日本でも感染拡大する可能性はある。しかし、2009年の新型インフルエンザでは、国、地方自治体、医療界、国民がそれぞれの役割を果たした結果、死亡率は世界で圧倒的に低かった。今回もALL JAPANでやるべきことを確実に行えば、死亡率を極力抑えることができる。大事なのは、死亡者を最少にすることだ。国際的な評価も死亡率で決まる」

(転載終わり)

会員2370 投稿日:2020/02/15 21:39

【276】コロナウイルス感染 世界マップ

Coronavirus COVID-19 Global Cases by Johns Hopkins CSSE
https://gisanddata.maps.arcgis.com/apps/opsdashboard/index.html#/bda7594740fd40299423467b48e9ecf6

コロナウイルス感染 世界マップ 日本経済新聞提供
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-world-map/
マップはWHO、中国国家衛生健康委員会などの発表をもとに集計。