気になる記事の転載掲示板

◆巻頭言◆

新設されたこの掲示板(BBS)は、私、副島隆彦宛ての読者からの個人メールの転載サイトです。私の「今日のぼやき」ではとても対応できない状態になりましたので、このように拡張しました。

学問道場への入門許可の意味も含みます。別に自分は入門したい訳ではないという人もいるでしょうが。私宛てに挨拶を兼ねた簡略な自己紹介文を寄せてくれた人々と、ここの先進生たちとの情報共有の意味と更なる情報開示方針決定に従う趣旨もあります。以後は積極的に各掲示板の方へ書き込み投稿して下さい。(2001年4月1日記)
清野 眞一 投稿日:2011/12/12 17:26

【215】『物理学者が発見した米国 ユダヤ人 キリスト教の真実』刊行のお知らせ

西村肇先生が新刊書を刊行していました。
詳しくは、先生のホームページをご覧ください。
「まえがき」と「あとがき」と「モスクワにて TT生」だけでも
ホームページから読んでみてください。

(転載貼り付け開始)

Jim Nishimura Web site
物理学者が発見した
米国 ユダヤ人 キリスト教の真実
—技術・科学と人間と経済の裏面—
西村 肇
まえがき
     目次

1章 投資金融経済の崩壊とユダヤ人
   1.  基本性格は大衆欺瞞の賭博経済
   2.  大衆欺瞞Systemの複雑さ用語の物々しさ
   3.  超高度な賭博理論ユダヤ人の専売
   4.  金融業界と政府両方の中心にいるユダヤ人

2章 100年前の米国産業革命を行った人々
   1.  Carnegie, Morgan, Rockefellerの成功の仕方
   2.  作り上げられた偶像Edison
   3.  目立たない大物Westinghouse
   4. 天才Teslaと米国人Edisonの衝突
   5.  もう一つの虚像 無線通信のMarconi

3章 100年前にはじまった技術没落
   1. 米国の技術没落の理由
   2. 科学と天才が嫌いな米国社会
   3. 理論物理なしには不可能だった交流電化

4章 ユダヤ人とは
   1. ユダヤ人は白人なのかセム族か
   2. ユダヤ人の歴史神話でなく歴史事実
   3. 世界に散ったあと米国に集まったユダヤ人
   4. 米国で嫌われる二種のユダヤ人
   5. 白人ユダヤ人はどこから来たか

5章 Sephardiユダヤ人の「理性革命」 Enlightenment
   1.  Enlightenmentとは
   2.  Enlightenmentはなぜ理性革命か
   3.  Enlightenmentはなぜ18世紀のオランダで起きたか
   4.  Sephardiユダヤ人の知的巨人Spinoza
   5.  キリスト教社会におけるAtheism(無神論)のこわさ
   6.  EnlightenmentはSpinozaからはじまった□□
   7.  相対性理論にもSpinozaの影
   8.  Islamとの共存が可能にしたSephardi文化
   9.  ドイツ語系ユダヤ人のEnlightenment

6章 米国に移民したユダヤ人達
   1. Ellis島を通ったロシアからの移民達
   2. 米国各地に散ったユダヤ人の生活
   3. ユダヤ人の教育熱心と知的能力
   4. New YorkのCity College
   5. ユダヤ人の知的能力の頂点 Brandeis
   6. New York Brooklyn ユダヤ人のどん底

7章 この100年間のユダヤ人 受難の20年代
   1. 突然に門を閉じられたユダヤ人
   2. ユダヤの「世界支配」陰謀を世界に信じ込ませた
     「シオン議定書」
   3. 「シオン議定書」を徹底利用したFordとHitler
   4. 米国の大衆とドイツ人との共通性
   5. Luther(ルーテル)の反ユダヤ主義の教え
   6. Lutherの信念の根源は「Matai」伝
   7. Matai伝にひそむ謎
   8. Constantinus帝のキリスト教公認
     と暗黒中世のはじまり

8 章 復活の機会は30年代の不況と世界戦争
   1. 原爆を必要 とした米国, 助けたユダヤ人
   2. New DealのRoosevelt大統領とは
   3. 「New Deal」」の成功のかげの「間違い」
   4. Rooseveltにとって最大の屈辱2期目の不況
   5. 戦争準備に踏みきったRoosevelt
   6. 自力では原爆を作れなかった米国
   7. Radarで遅れた米国無線技術
   8. ユダヤ人の奇蹟 RCA会長Sarnoff
   9. 米国の経済学を作ったSamuelson

9章 情報革命を行っている人々
   1. 近景:10年前とは違う現代技術革命
   2. 遠景:「情報革命」は「電脳革命」である
   3. 電脳を使って情報革命を行っている人々
   4. 電脳を生み出した人々
   5. 情報革命遂行者にみる性格,人柄,宗教

あとがき
資料・参考図書
モスクワにて TT生

(転載貼り付け終了)

清野 眞一 投稿日:2011/11/26 09:46

【214】『「金・ドル体制」の終わり』に触発されて

『「金・ドル体制」の終わり』、とくに「欧州債務危機に臆されていた『爆弾』」に触発されたので書いてみました。

(貼り付け開始)

いよいよ濃くなる一方のEU諸国を覆う黒雲
―ユーロ危機を深化させる核心となるCDS

ドイツ国債の入札不調

 11月23日、ドイツ政府が実施した10年物国債の入札が当初の予想に反して大変な不調となった。募集額は60億ユーロだったのに落札額は約36億5千万ユーロにすぎない。このためユーロ圏諸国の政府首脳等にEUの未来に対する危機感が高まっている。
 今年のドイツ財政の赤字幅は、国内総生産(GDP)比で前年の3・3%から大幅に圧縮された1%になるとの見通しの中でのこの事態である。「このほどの不足額は珍しい」と驚いた独銀筋には、平均利回りが2%にならない低金利のために嫌われたのだとの依然強気の読みがあるものの、現実にはドイツ国債が「安全資産」との位置付けから滑り落ちつつあると見事に証明された形である。
 実際、11月23日ユーロの対ドル相場下落は7週間ぶりの安値となり、資金がユーロ圏外に流出しているとの見方を裏付けている。最近まで「安全資産」を求める資金流出の多くは、ユーロ圏内のリスクの高い国から安全な国への逃避を反映していたのに。
 確かにドイツ国債の発行の仕組みも入札結果に影響したようだ。同国は伝統的にプライマリーディーラー制度ではなく入札を行っている。この制度は、応札しなければにらまれるという圧力が銀行にかからない事を意味する。しかし今や欧州の銀行は出来るだけ国債保有を減らそうとしているか、少なくとも追加的な投融資を避けようとしているからだ。

入札不調の持つ意味

 これを受けて、11月23日のニューヨーク株式市場は大幅に下落し、翌日の東京株式市場も連日の年初来安値を更新し続けている。日経平均株価は、2009年3月31日の8109円18銭以来、2年8ヶ月ぶりの8千円台、8965円18銭で引けた。
 オーストリア通信(APA)は、欧州中央銀行(ECB)理事を務めるオーストリア中央銀行のノボトニー総裁はドイツ国債入札の結果を「警鐘」と呼んだと伝えた。またカナダのフラアティ財務相は、結果について「非常に重大な懸念」を抱いていると述べた。
 現実の判断として重要な点は、欧州委員会が「ユーロ共同債」の発行を提案した時期にドイツ国債の入札が重なった事に注目しなければならない。これまでドイツ政府は一貫して「ユーロ共同債」の導入に反対してきた。なぜならこれを認めれば、他のユーロ加盟国のデフォルトのリスクを共有する事を強いられ、自国の借り入れコストが上昇するからだ。つまり今回は、事実上ドイツが他のユーロ加盟国の総債務の一部に責任を持つと実質的に約束した事になり、ユーロ経済危機の全体の構造が大幅に変わる現実性が高いのである。
 この事について、ヘッジファンドのSLJマクロ・パートナーズ(ロンドン)創設者のスティーブン・ジェン氏は「ドイツが南欧あて請求書の支払いを始める事を欧州委員会が提案したその日に同国国債の入札が失敗した事は、偶然とは思えない」と述べた。またロイヤル・バンク・オブ・スコットランド欧州金利戦略部門を率いるアンドリュー・ロバーツ氏も「市場はドイツの信用の質が悪化したと受け止めている」との考えを示した。英国債を推奨する同氏は「危機が悪化すると、食事が終わった時に誰が勘定を払うのかという疑問が出始めるだろう。すべての道はドイツに通ず、だ」と譬えた。
 こうして、スペインやポルトガルなど一部ユーロ圏周辺国の10年物国債の従来は存在したドイツ国債に対するプレミアムは大きく縮小したし、英国債に対するプレミアムも0・26ポイントから約4分の1の0・06ポイントにまで縮小したのである。
 このようにユーロ圏の債務危機の黒雲は、ポルトガル・スペイン・イタリア等やフランスだけでなく、今や守護神のドイツを巻き込むまでに拡大しつつあり、ユーロ圏の政策担当者が早急な抜本的な解決策を打ち出す必要性がますます強まったのである。

クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のワナ

 ところでこの日、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場では欧州の各国債の保証料が上昇する。ドイツなど中核国の国債でさえ保証料は上がった。イタリア、スペイン、フランスの国債保証コストは過去最高水準に上昇した。この点が重要なのだ。
 今年密かにドイツ銀行は、イタリア国債に対する投融資残高を減らす事にした。だがこれは単に国債を売って減らしたのではない。国債だけでなく部分的には金融派生商品に関する信用契約で国債債務の債務不履行(デフォルト)に対する保護を買う事で投融資残高を減らした。こうしてドイツ銀行はイタリア国債への投融資残高を今年上半期に(少なくともネットベースで見た場合には)80億ユーロから10億ユーロ程にと、88%も減らせたと報告する事ができたのである。
 しかしここに極めて重大なワナがある。最近、こうした国債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)契約が本当に債務不履行(デフォルト)に対する効果的な「保険」となるのかどうかが不確かになってきた。そしてこの事が、さらに不安をかき立てる根本的な問題提起となる。まさに今までの狐と狸の化かし合いが見事に露呈したのである。
 欧州の大手銀行の債務不履行をネットではなく総量ベースで測ったら、各大手銀行はどれ位国債債務の不履行に耐えられるのか。言い換えれば、国債CDS市場の状況のせいで、ユーロ圏の銀行と債券市場を覆っている問題が悪化するのではないか、という疑問である。
 この議論に火をつけたのは、言うまでもなくギリシャだ。ユーロ圏の指導者たちは10月、既存のギリシャ国債の保有高に50%の債務減免を適用した上で新しい国債と交換するよう投資家に要請すると発表した。論理的に考えれば、これらの損失は債務不履行と見なすべきである。とすれば、やはりこれはCDS契約の支払いに値する事を意味する。
 金融派生商品に関する信用契約の本質は(少なくとも、近年、銀行の営業部隊が多くの投資家にCDSを売り込んだ際の謳い文句では)、投資家に債券の債務不履行のリスクに対する保険を与える事だからだ。そしてこうした契約の支払いが円滑に行われるように国際スワップ・デリバティブ協会(ISDA)が設けた充実したメカニズムが存在する。
 このメカニズムは既に、社債のCDSでは70回以上発動されてきた。例えば11月11日には、先に破産申請した企業ダイナジー・ホールディングスに関して、このプロセスが発動したばかりだ。しかし国家・ギリシャと1企業・ダイナジーとは全く異なる。少なくとも、ISDAのルールの下では異なっていた。ここにワナがあったのである。

国際スワップ・デリバティブ協会(ISDA)の居直り

 ユーロ圏の指導者たちがギリシャ国債の再編計画を発表した時、彼らはISDAのルールが定めた「債務不履行」の細かい基準を満していなかった(もっと正確に言えば、ISDAは意図的に基準に当てはまらないようにしていた)。特に注目すべきは、標準的なISDAの国債CDS契約の支払いが行われるのは、債務再編が強制的であるか、集団行動条項(CAC)が行使された場合に限ると定めている点にある。
 だがギリシャ国債の90%にはCACが盛り込まれていない。10月26日の発表は債務減免を「自発的」としていた。このため、ISDAは「すべての債務保有者が債務交換を強要されるわけではない」、ゆえにCDSは発動しないと結論づけた。ギリシャ国債で生じる損失が、当然にもダイナジーを上回る可能性が十分あるにもかかわらずにである。
 デリバティブコンサルタントのジャネット・タバコリ氏らは、この一件はCDS市場がインチキで、ISDAが不誠実な行為を働いている事を暴露したとの結論づけた。しかしISDA関係者はこの見解を猛烈に否定し、責任はすべとてユーロ圏の指導者たちにあるとした。さらに彼らは次のように付け加えた。結局のところ、ギリシャ国債のCDS残高(正味の想定元本)は「たったの」37億ドルで、その一部は担保で保証されているため、(皮肉なことに)仮に10月26日の発表が実際にCDSを発動させたとしても市場にはほとんど影響しなかっただろう、と。

EU経済危機をさらに増幅させるCDS

 確かにユーロ圏の金融システムに広がる混乱の規模からすれば、37億ドルは単なる誤差の範囲程度にすぎない。しかしここで極めて重大な問題は、国債CDS市場全体、そして銀行の債務がどの位のものという点にある。ユーロ圏の銀行が圏内の債務に対する債務不履行を担保するのにどれ位CDSを利用したかは全く明らかになっていない。
 しかしイタリアとフランスの国債CDSの残高は400億ドルをすでに超えており、国際決済銀行(BIS)は最近、米国の銀行が取引先のユーロ圏の銀行に対し、イタリア、フランス、アイルランド、ギリシャ、ポルトガルの国債と社債について5000億ドル超に相当する保護証券を売ったと述べているのである。
 今のところ、社債のリスクに対する保険の価値を疑っている人はいない。そして社債のCDSは今も比較的うまく機能しているように見える。だがギリシャの再建策を巡る論争が長引けば長引く程、各銀行が加入する国債CDSが担保となるかは大いに疑問である。
 そうだとすれば、ドイツ銀行などの銀行が手持ちのユーロ圏の債券を売る努力を一層増すと見てまず間違いないところだろう。従来は各国債の債務不履行を担保する保険とされてきたCDSが、今まさにEU経済危機をさらに増幅させる契機となってきたのである。
 まさに万物は移ろうのであり、ここでも弁証法が貫かれているのである。  

(貼り付け終了)

清野 眞一 投稿日:2011/11/22 09:40

【213】ペーパーを用意したのは宗像直子

「植草事件の真相掲示板」から貼り付けます。

またしても米国留学の官僚の独走が発覚しました。その人物の映像を各自ご確認ください。

(転載貼り付け開始)

「日本は全ての物品サービスを(TPPの)貿易自由化交渉のテーブルに乗せる」とペーパーを用意したのは宗像直子 投稿者:忍忍 投稿日:2011年11月21日(月)16時49分57秒
TPPの黒幕 経産省女性官僚がやったコト

<慎重派が呼んで吊るし上げ>

なぜ、彼女が黒幕と呼ばれるのか。
 日米で言った言わないでモメている野田首相発言、「日本は全ての物品サービスを(TPPの)貿易自由化交渉のテーブルに乗せる」というセリフ。これは経済産業省が事前に用意したペーパーに書かれていて、これを作成したのが宗像なのである。
http://gendai.net/articles/view/syakai/133810  日刊ゲンダイ

問題のペーパーはAPECのためにハワイに先乗りした枝野経産相にカーク米通商代表との会談用として渡された。たまたま枝野に密着していたテレビが映したことで、存在がバレた。その後、枝野はカーク通商代表との会談に臨み、あとからハワイ入りした野田首相はオバマ大統領と会談、交渉参加に向けた協議に入ることを表明した。枝野も野田もペーパーに書かれているような発言をしていないと言うが、米国は、野田がこのペーパーに沿ったセリフを表明したと発表。で、宗像は与野党のTPP慎重派から吊るし上げを食らっているのである。

宗像氏は東大法卒、ハーバードでMBAを取得した後、1984年通産省に入省した。通商経済政策局経済協力課、総務課課長補佐などを経て、ブルッキングス研究所やジョージワシントン大で研究をした。新自由主義に染まった役人の身勝手な暴走は許されない。

(転載貼り付け終了)

清野 眞一拝 投稿日:2011/11/10 08:23

【212】必見のサイト紹介

「植田信」さんの掲示板から貼り付けます。
彼がここで推奨するサイトは一見の価値があります。

(転載貼り付け開始)

TPPを推進するアメリカ側の正体=カルフォルニア州の輸出産業の意見を国家政策にしようとするロビー団体 投稿者:ウエダ 投稿日:2011年11月 8日(火)11時28分6秒
こんにちは、皆さん、植田です。

 TPPの話題です。
 こんなサイトがありました。

 「アメリカの誰がこのTPPを推進している黒幕なのか?以下のサイトがその正体です。」
 http://gigazine.net/news/20111104_tpp_mastermind/

  「この「全国貿易協議会」、略して「NFTC」という財界団体・同業組合がTPPの裏にいる存在であり、TPPを強力に推進しているわけです。NFTCは1914年に設立され、オープンでルールに基づいた国際貿易システムを主張する最も古く、そして最大の規模を誇っています。会員社数は300を超えており、ワシントンとニューヨークにオフィスを構えています。つまり、オープンな国際貿易と投資制度を促進する公共政策を主張し、専門知識および主要問題についての情報をフル動員して広め、さらに政策決定者とオピニオン・リーダーとの対話によって公開討論に影響を及ぼすことでグローバルな通商を進めることです。

もっとわかりやすく身もふたもない言い方をすると、政府関係者にロビー活動を行って自分たちの会員企業に有利な法律を政府に作らせるのがお仕事、というわけです。」

 見つけたばかりなので、まだ内容をよく見てないのですが、上の引用部分を見る限りでは、実にアメリカ的な資本主義精神の発揮です。

(転載貼り付け終了)

清野 眞一 投稿日:2011/10/23 09:00

【211】放射能については、実際に現地に出向いて調査した専門家を信じるべきである

「ライジング・サン(甦る日本)

”全てを疑え! 真実のみが悪を断つ 斬り捨て御免!!”」から貼り付けます。

(転載貼り付け開始)

2011年10月20日 (木)

放射能については、実際に現地に出向いて調査した専門家を信じるべきである

久々に更新します。 しばらく更新してなかったので忘れられていると思いますが(笑)。

未だにツイッター、TV,様々な場所で「放射能危険・怖い」+「福島差別」を言いまくっているアホどもがいる。 その者たちは、きっこや東海アマなどの、本名も出さない顔も出さない実際にどこに居住しているのかもわからない「危険煽り+福島差別」人の言葉を何の疑いもなく受け入れ、また放射線医学の専門家でもない小出、広瀬隆、武田、児玉の話を10%くらい理解したつもりで、それで自分たちも専門家になったつもりで「私たちがあなたを救ってあげる」善意よろしく、「危険説」を拡散しまくっている。

これは世間一般知られている、悪名高い統一教会や創価学会などの新興宗教の勧誘と物販しているのと同じ動きである。 それに気付いていないのが「放射能危険説ガチ信」の危険を煽っている者たち全員だ。

私は原発事故が起きた時点でも、そんなに怯えることはないと考えていたし、逃げようとも思わなかった。 ただあの時点よりも爆発などが広がれば一時的な避難も考えたが、やはり逃げるほどでもなかったようだ。

まず第一にそう認識できたのは、副島隆彦氏が、爆発後早急に現地に出向き放射線量を計測してきた報告を、目で(副島氏のサイトで)確認できたからである。 何でもそうだが、現地で、現場でやっていること・やってきたことが事実であり、そこから隠されようとされることの真実が分かるというものだ。

小出、武田、児玉、広瀬は誰1人とて現地(20キロ近辺)へ行って調査したこともなく、ただただ政府などの発表(これが全て疑わしい)によって危険説をばら撒いている。 もっともこの者たちは、とある放射能の専門家ではあるかも知れないが、「放射線医学の専門家ではない」ということの区別をしっかりしておくべきだろう。 ここがごちゃ混ぜになると話が進まない。

本日の副島隆彦の学問道場(重たい掲示板:745番)に、札幌医科大学教授の高田純教授が最近、出版した 『福島 嘘と真実』 (高田純著、医療科学社、2011年7月刊)の中の一部の抜粋が載っています。 

この文は非常に重要だと思いますのでこちらに1部転載します。是非読んで本当の事実を知って下さい。 福島でも大丈夫なのだから、他都道府県も大丈夫だ。 危険説を信じているあなた。そういう大丈夫だと言っているお前こそバカだと思いつつ、危険煽りしている自分こそが実は不安だから、こっそりブログを覗いているあなた。 そろそろ土人気質の「放射能恐い・危険+福島差別」教団から卒業しなさい。

「放射能恐い・危険+福島差別」教団のご本尊は、あなたたちが日頃から不満をもっている官僚機構と米国ですよ。 見ているがいい。 いや、すでに新しい巨額な儲け(利権など)は着々と進んでいるじゃないか。 そしてその利権は「税金」という形をして放射能危険派からも、大丈夫派からも収奪していくのだ。 新興宗教団体上層部が下っ端を使い、信者を増やし、金を巻き上げ高額な物を売りつける姿そのものじゃぁないですか?

(転載貼り付け開始)

副島隆彦の学問道場:「重たい掲示板 754番」より

(中略)

さて、以下に載せるのは、放射線学者であり、就中(なかんずく)、放射線防護学(ほうしゃせんぼうごがく)の専攻学者である 高田純(たかだじゅん) 札幌医科大学教授の最近の 文である。 ネットから私が拾ってきたものだ。 

 高田純教授が最近、出版した 『福島 嘘と真実』 (高田純著、医療科学社、2011年7月刊)の中の一部の抜粋だと思います。 以下の文の中に、高田純は、はっきりと、「 今回の放射性ヨウ素量が原因で、福島では誰一人として甲状腺がんにはならないと予測できる」 と書いている。引用する。

(引用始め)

   これらの値は、チェルノブイリ事故被災者の値の1万分の1から1000分の1である。かの地、ウクライナ、ベラルーシ、ロシア3カ国の被災者700万人の最大甲状腺線量は50グレイ(=50シーベルト)。その後数年から、総数で当時の4800人の子供たちに甲状腺がんが発生した。  (副島隆彦注記。チェルノブイリ事故から)  20年後の世界保健機関の調査報告である。 このリスクが線量に比例すると考えれば、今回の放射性ヨウ素量が原因で、福島では誰一人として甲状腺がん にはならないと予測できる。

(引用終わり)

 副島隆彦です。 このように、 福島で放射能にせいで癌になる ( 放射能による癌は甲状腺がんだけである) 人はひとりも出ない、という 専門医学者の 高田純の 表明を 私は尊重する。 

 専門家の言うことに、耳を傾けて、それに従うしかない。専門家でもなく、長年の研究もないくせに、放射能の人体への影響について、素人と同じくせに、偉そうに発言する者たちを、私たちは、厳しく排撃しなければならない。 

 放射線医学者たちのほとんど( 中に、数人、変なのがいるらしい) が、「これぐらいの微量の放射線量では発病しません」と口を揃(そろ)えて言っているのに、彼らのことを、 「御用学者だ」と、レッテル貼り ( labeling レイベリング)する 激しいバッシングの嵐が、この 4月、5月、6月、7月に あった。

 この動きに少しでも加担した者たち、全員を、私は、見つけ出し次第、あるいは、私の目の前に現れ次第、言論の力で厳しく、問い糺(ただ)し、説得する。一般人だろうか誰だろうが容赦しない。 私が、「ケンカ対談」本で、武田邦彦にやったのと同じ、それの進化した形で、問い詰める。   

 このおかしな、放射能コワイコワイの 現状 はまだまだ続くのだろう。私は、我慢して愚か者のすべてを説得し続ける。

副島隆彦拝

(以下は、『福島 嘘と真実』(高田純著、医療科学社)からの 一部の 転載である)

・・・・(2011年3月11日の) 宮城県沖地震の発生した当日、私は都内文京区にいた。文部科学省科研費研究「放射性ストロンチウムによる内部被曝線量その場評価法の検討」の一環として、楼蘭(ろうらん)周辺での核爆発からの黄砂に含まれていた放射性ストロンチウムによる日本人の内部被曝研究報告のためである。

 日本シルクロード科学倶楽部主催で、3月12日から、文京区シビックセンターの展示ホールにおける「シルクロード今昔 展示と講和の会」で研究成果を報告することになっていた。免震機能を有したシビックセンターはまったく無事であったが、施設の点検のため、会の開始がまる1日の遅れとなった。

 東京滞在の3月16日まで、展示会の内外で、放射線防護学の専門家として、新聞やテレビの要請に応えながら、チェルノブイリと福島との違いなどについての情報を発信し続けた。

 その後、帰宅するも、福島現地への調査には出発できなかった。それは、前年から計画していたモンゴル・ウランバートルでの第1回核放射線防護と衛生学の科学会議が、3月後半に予定されていたからである。

 そして、ひとり3月21日に出国した。 モンゴル核エネルギー庁との間で開催された科学会議において、楼蘭周辺での総威力22メガトン (1メガトン威力は、TNT火薬100万トンに相当する爆発エネルギー)の核爆発から噴き出した核の砂の降下によるモンゴル国の環境と人体への影響について討議された。 こ

れは2009年3月の憲政記念会館でのシンポジウム 「中国の核実験災害と日本の役割」に次ぐ、核災害の歴史上大きな意味ある科学会議となった。

 その間、3.11の巨大地震と津波による災害と福島第一原発影響の科学について、モンゴル国立大学で講演した。これらは、専門家のみならず、モンゴルの一般国民の大きな関心となり、新聞とテレビで報じられた。

  そして、3月28日に帰国するやいなや、モンゴル報告をする間もなく福島調査の方法を検討開始した。鉄道および高速道路の不通の問題があったが、東日本の広範囲な放射線衛生の状況を調査するべきと考え、陸路の調査旅行を計画した。 

この科学調査旅行に週刊誌の元気な記者が自身の車をもって、福島調査の同行取材を申し入れてきた。 ありがたい話だ。当然、まじめな報道姿勢を受け入れ、福島以後の機動的な調査となった。多くの国民へ素早く科学情報を拡散するばかりか、第三者の同行による科学調査の目撃証言にもなるからである。

  科学調査を4月6日から10日にかけて実施した。 さらに、12日までの東京滞在中に、都内の環境調査も追加した。調査は、福島第一原発20キロメートル圏内を含む札幌から東京まで、陸上の環境放射線と甲状腺線量を中心とした現地の人々の健康影響である。

 さらに6月18日、19日には南相馬市などで体内のセシウムを検査した。

 測定では線量の絶対値を評価することになる。ただし、これだけではわかりにくいのが核放射線災害である。そこで、過去に起こった核放射線災害事例と比較することで、この福島核災害の健康リスクを併せて浮き彫りにする。

 私はソ連崩壊後の1995年以来、カザフスタンのセミパラチンスク核実験場周辺影響とシルクロード楼蘭遺跡周辺のウイグルで行われた中国による楼蘭核爆発災害、チェルノブイリ周辺3カ国、南ウラルのプルトニウム工場周辺汚染、シベリアの地下核爆発、ビキニ核爆発災害といった世界各地の核放射線災害地を訪れ、核ハザードの環境と人体への影響(放射線防護学)を調査、研究してきた。

 そのなかで、現地の環境および人体への核放射線影響をその場で評価する方法と、トラベルケースに納まる各種の計測装置と線量評価ソフトを開発した。

ガンマ線外部被曝、地表および体内の放射性セシウムの定量、およびストロンチウムの内部被曝評価、地表面のプルトニウム汚染計測のためのアルファ線計測器、地球座標の確認のためのGPSおよび測量機器、ノートPCなどである。これが持ち運べる実験室・ポータブルラボである。

①ガンマ線スペクトロメータ Model 702 米国Ludlum社
②アルファ・ベータカウンタ TSC-362 日本アロカ社
③ポケットサーベイメータ PDR-111 日本アロカ社
④個人線量計 RAD-60 S フィンランドRADOS Tec.
⑤GPSナビゲータ 米国Magellan

 これまで、チェルノブイリの限界管理区域に暮らす住民の体内セシウムや、ビキニ被災となったロンゲラップ島民たちの前歯のベータ線計測からのストロンチウム量評価、彼らが摂取する食品の放射能、環境放射線などを測定してきた。

  今回の福島現地調査では、核緊急時であるために、致死線量まで計測できるフィンランド製の個人線量計に加え、前年12月に購入したばかりの国産車の価格ほどする米国製核テロ対策用に開発された 最新小型スペクトロメータ も持参した。急遽、実験室で、セシウム137やアメリシウム241の人工線源で試験するとともに、地表面の調査も行った。

 機材としては、粉じん吸い込み防止用のマスク数枚と、簡易使い捨て防護衣1人分を初めて携行した。過去の調査事例ではないことだ。

  さらに、10年前に開発した甲状腺に蓄積している放射性ヨウ素131の放射能を測る方法を、今回はじめて実践使用することとなった。小型のガンマ線線量計を、放射線医学総合研究所が保有するヨウ素131人体型線源を用いて校正した。

  それはヨウ素131の半減期が8日と短いため、核災害直後でしか測れないからである。今回の福島調査は震災後30日以内なので、十分測れるのであった。

  震災3カ月前に入手した携帯型のガンマ線スペクトロメータは、ロシア放射線医学センター所有のブロックプラスチックファントム(人体模型)でセシウム137放射能計測用に校正した前機種で二次校正したので、全身の体内セシウムの放射能が計測できるようになった。

これが、今回の福島事象でのポータブルホールボディカウンタである。なお前機種は、小型ながら国際比較で10%以内の差で一致を示している優れものである。

 さらに同機種は、環境中の放射性セシウムやヨウ素の地表での汚染密度をその場で計測できるように、同様に二次校正した。

 大災害は机上理論では通用しない。専門家は緊急時に現場へ入り、状況を評価し、正しい社会的意思決定に導かなくてはならない。医療班の他に放射線防護の専門家たちが現地入りし、被災者への対応や相談を受け付ける意味は大きいのだ。
 2011年4月8日・9日に 福島では、20キロメートル圏内からの避難者を中心に希望者68人に対し、甲状腺に含まれている放射性ヨウ素の放射能量の検査を行った。

 最初に、浪江町(なみえまち) からの避難者40人の希望者に対して検査した。彼らは、災害対策本部からの甲状腺検査もなければ避難時に安定ヨウ素剤も配布されていなかったと、私の質問に答えた。従来から原子力緊急被曝医療として、ヨウ素剤配布用の備蓄があったにもかかわらず、災害対策本部は何も手を打たなかったのは、大きな驚きである。絵に描いていただけの‘餅’だったのだ。

 その他は、二本松市立第一中学校区の保護者24人の希望者、飯館村の2人、東京からの福島調査に同行した2人の検査である。

 最初に、毎日検査して甲状腺に放射性ヨウ素が沈着していないと考えられる調査員自身の喉元(甲状腺付近)の測定値を、測定場所の背景値(バックグラウンド)とする。その後、被検者の甲状腺を測定して、その値から背景値を引き算した値が、被検者の甲状腺に沈着した放射性ヨウ素による線量率となる。 この甲状腺ヨウ素線量率に測定器の放射能換算計数を掛け算して、甲状腺内に沈着している放射能量値が求まる。

 この放射能の値は検査日のヨウ素131の放射能量である。半減期8日で日ごとに少なくなっているということは、以前にはさらに多くの放射能が甲状腺の中にあったはずである。 

 この推定はやや複雑な方法となるが、単純化して、3月12日に全量が甲状腺に蓄積したとして、最初の量を、国際放射線防護委員会勧告(ICRP Pub.78)の方式により推定した。その値に線量換算計数(ICRP Pub.71)を掛け算して、甲状腺線量が求まる。

 浪江町からの避難者40人の結果は、二本松市民に比べて全体的に甲状腺に蓄積していた放射性ヨウ素の放射能量は多かった。平均で2.4キロベクレル、最大で3.6キロベクレル。 他方、二本松市民は平均で0.1キロベクレル、最大で0.5キロベクレル。飯館村の2人は、平均で1.8キロベクレル。放射能の減衰を補正して推定された甲状腺線量の平均値(ミリグレイ)は、浪江町5.1 飯館村3.9 二本松市0.3であった。レベルで示すと、D,D,Eである。

 線量6段階区分

危険:A~Cの単位(シーベルト):ウイグル、広島・長崎、チェルノブイリ
A:4以上・B:1~3・C:0.1~0.9
安全:D~Fの単位(ミリシーベルト):福島、東海村、スリーマイル島
D:2~10・E:0.02~1・F:0.01以下

   これらの値は、チェルノブイリ事故被災者の値の1万分の1から1000分の1である。かの地、ウクライナ、ベラルーシ、ロシア3カ国の被災者700万人の最大甲状腺線量は50グレイ(=50シーベルト)。その後数年から、総数で当時の4800人の子供たちに甲状腺がんが発生した。 

(副島隆彦注記。チェルノブイリ事故から) 20年後の世界保健機関の調査報告である。 このリスクが線量に比例すると考えれば、今回の放射性ヨウ素量が原因で、福島では誰一人として甲状腺がんにはならないと予測できる。

 この理由は、1)人々の暮らす陸地へ降った放射能の総量がチェルノブイリに比べ福島では圧倒的に少なかった、2)汚染牛乳を直後に出荷停止とした、3)日本人は日頃から安定ヨウ素剤を含む昆布などの海藻類などの食品を採っているので、甲状腺に放射性ヨウ素が入る割合が低ヨウ素地帯の大陸の人たちに比べて少ないことによる。

 なお、6月後半の南相馬など3市での甲状腺検査では、ヨウ素が検出されなかった。これは環境中の調査と一致し、半減期8日からヨウ素量が1000分の1に減衰した理由による。

 2011年4月9日、10日と2日間にわたり20キロメートル圏内に突入し、放射線環境を調査しながら、徐々に福島第一原発敷地境界に接近していった。

 最初は、西側の八本松市から東に向かう行程である。葛尾村から浪江町に入り、その家畜や牧草地を調査し、双葉町から福島第一原発に接近する。

 避難圏内の浪江町のある地点に到着するも、その値は毎時0.017ミリシーベルト(=17マイクロシーベルト)、仮に24時間屋外に立ち続けたとしても、0.4ミリシーベルト(=400マイクロシーベルト)に過ぎない値であった。続く双葉町、大熊町での測定値も浪江町と大差はなかった(一般的な目安として100ミリシーベルトを超えると、健康に影響が出る危険性が高まるとされている)。

 そして核緊急事態が続いている福島第一原発の敷地境界の調査を開始した。福島第一原発の西門や、他のゲートやフェンスに沿って測定したところ、放射線の強さは避難区域の浪江町や双葉町の2倍程度であり、最大でも毎時0.059ミリシーベルト(=59マイクロシーベルト)であった。この値は、チェルノブイリの緊急事態時の値の1000分の1以下である。

 敷地内にプルトニウムが検出されたとの報道があったので、念入りに境界付近数か所の地表面でアルファ線計測を実施した。結果は最大で毎分7カウントしかなかった。空中ではアルファ線は検出されなかった。すなわちプルトニウム微粒子が空中を漂ってはいないのだ。アルファ粒子はプルトニウムが放射するが、空気中を5センチメートルしか飛ばないのだ。少しだけ、敷地境界近くの地表面にプルトニウムがあるかもしれないと考えられる。

  私の  セミパラチンスク ( (副島隆彦註。 旧ソ連、今はカザフスタンの東の都市。ここにユーラシア大陸の中心の標識がある) の核実験場内 の地表核爆発地点の調査では、毎分200カウントもの値だった。しかも、空中でも10カウントも計測されたのであった。その地表は、顕著にプルトニウムで汚染しており、プルトニウムの微粒子が舞い上がっているのだ。

 これと比較しても、福島第一原発での調査時に、プルトニウム微粒子の吸い込みのリスクは無視できる。したがってマスクは不要だったのだ。プルトニウムの吸い込みは、肺がんリスクを高めるが、この心配はいらなかった。

 私は オンサイト近傍(副島隆彦註。 原発の施設のそば、という意味) で最大10ミリシーベルトの被曝を覚悟していたが、実際は100分の1と低く、拍子抜けするものだった。さらにマスクと簡易防護衣を用意はしていたが無用だった。

 放射性物質は風向きなどによって数値が変わってくるため、ある一定時間測り、たとえその時、値が低くても決して安全とはいえないのではないかと疑問に思われるかもしれない。 ところが、今回の調査では5日間にわたって常に放射線量を測定している。

 福島20キロメートル圏内を出入りした3日間の積算線量は0.10ミリシーベルト(=100マイクロシーベルト) であった。 すなわち、今後の放射性ヨウ素の減衰を予測すれば、現地に1カ月滞在しても 1ミリシーベルト (=1000マイクロシーベルト) にも満たないのである。

 さらに、毎日、自分自身の喉元の計測もしたが、甲状腺線量は検出下限以下の範囲であった。

 結論からいえば、少なくとも原発の外や20キロメートル圏内のほとんどは、将来立ち入り禁止を解除できるし、今でも放置されている家畜の世話に一時的に圏内へ立ち入ることにリスクはない。

  もちろん、核緊急事態にある福島第一原発の敷地内が高線量であるのは別である。それは病院放射線科のがん治療用装置が致死線量を発するのと似た意味である。

『福島 嘘と真実』(高田純著、医療科学社)から 

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝

(転載終わり)

(転載貼り付け終了)

清野 眞一 投稿日:2011/10/22 07:56

【210】山下俊一氏を信頼してもっと重要視すべき

私たちは山下俊一氏を信頼してもっと重要視すべきです。この点ではまさに専門家に学ぶべきなのです。武田氏や小出氏は、放射線の人体への影響に関しては決して専門家ではないからです。

「新・心に青雲」から貼り付けます。

(転載貼り付け開始)

2011年10月21日

山下俊一氏の弁証法的解説

 
 ブログ「こころとからだな日々」の山下様から「がんの特効薬はなぜ世に出ない?」にコメントを頂戴した。主要部分をこちらにも掲載しておく。

    *     *     *
 私も自分がガンになったらどうするか、真剣に考えたことがあります。自力療法の操体法をしていて病気になったら他人におまかせというわけにもいかないと思いました。近藤誠の著書や、森下敬一の自然医学による指導を調べるうちに、ガンは必ずしも苦しみの大きい病気でもなく、恐ろしい病気ともいえないという面もあると分かりました。調べるうちに、ひょっとしたら自分は必要以上に恐怖を植えつけられていたのかもしれないとも感じました。

 ガン検診そのものが発がんを促す要素があるとも指摘され、手術も抗がん剤も痛みや不安、恐怖などマイナス要素も大きいと分かってきて、各人いろいろ自由に判断することですが、自分個人としては、すっぱり生活改善のみで、死ぬまでできるだけふだんどおりに過ごすというのもよいのではないかと結論した次第です。検診を受けずにガンと知らないまま、ガンに振り回されることなく死ねればそれはそれで自分には幸せな選択のように思われるのです。
     *     *     *

 「ひょっとしたら自分は必要以上に恐怖を植えつけられていたのかもしれない」という感想にはまったく同感である。
 私たちはことさら癌は恐ろしい死の病だと聞かされている。しかし実際は、船瀬俊介氏が言うように、人は癌で死んでいるのではなく抗がん剤の投与や放射線治療によって殺されているのだ。

 そして癌が怖いと日々怯えて神経質になり、癌検診で癌が見つかったらパニックになる。つまりは癌よりも心の問題のほうが大きい。

 癌にならないように普段から生活過程をととのえれば良く、それでもなお癌と宣告されたら、なおいっそう生活過程(とくに食事)を見直して、あとは山下様がおっしゃるように「死ぬまでできるだけふだんどおりに過ごす」が良いと思う。

 2008年に俳優の緒形拳ががんで亡くなったけれども、死去の5日前にはTVドラマ「風のガーデン」の制作発表会に出席していた。癌だと感じさせない見事な振る舞いだったと記憶している。

 「必要以上に恐怖を植えつけられていた」ということで言うと、原発事故による放射能被害も同様であろう。
 放射能で癌(甲状腺がん)になるとやたらに怯えるのはいかがかと思う。
 細胞が癌化する要素は、食事の悪さが第一であろうが、その他に体内の癌化をうながす活性酸素を増やして、DNAを傷つける要因はほかにもある。例えば水道水、農薬、環境ホルモン、食品添加物、電磁波、たばこなどである。
 福島原発から放出された放射性物質程度の量(100ミリシーベルト)なら、まったく問題にならないのに、子どもや妊婦が今日にも発癌するとわめきちらすのはどうかしている。

 あくまで「防護」の指標として、年間100ミリシーベルト以下なら大丈夫というものを、日本国では50ミリシーベルト以上は除染や避難の対象としているようだが、「市民運動家」どもはそれでもダメだ、1ミリシーベルト以下にしろと騒いでいる。

 私はYouTubeで、長崎医大の山下俊一氏の講演「福島原発事故の放射線健康リスクについて」(2011年4月17日)を見た。
前半 http://www.youtube.com/watch?v=9q9kaIIpSpw
後半 http://www.youtube.com/watch?v=kTF2gCugInc&feature=related

 山下氏は「福島県アドバイザー」にもなっていて、あちこち講演して住民の不安を取り除こうとされている。ところがその発言が無責任だとか、東電寄りだとかでぼろくそに批判する輩がいる。
 「福島県アドバイザー山下俊一氏の解任を求める記者会見」というのも見た。
http://www.youtube.com/watch?v=BLbQydJZbgI&feature=related

 私は山下俊一氏の説明は実に懇切丁寧で誠実なものであると思う。住民の中に放射能ヒステリーがいるのを承知で「闘って」おられるのは見事だと感じた。
 講演の質疑応答と、「山下俊一氏の解任を求める記者会見」で山下氏を避難する者は、アタマが悪いのではないか。科学的な説明を理解できていない。あきれるばかりだ。
 
 現状、放射性物質は恐れるにたりないと説く山下氏を、市民運動家どもは、それが東電やほかの電力会社の自己対応を甘やかすことになるという一点で避難、罵倒する。
 現下では放射能は心配ないとなれば、東電の責任はかぎりなく少なくなるかもしれないが、それと原発をやめるかどうかの議論とは関係ない。

 私は原発はやめるべきで、急ぎ代替エネルギーを開発すべきだとは思うが、放射能被害をことさらに煽りたてることには反対である。
 山下氏を非難する輩は、氏自身も語っているが、まさに風評被害を作り出している張本人である。被害者意識の行き過ぎが却って別の被害者を大量に作り出してしまっている。

 動画のなかで山下氏は「正しく怖がってほしい」と述べている。そのとおりだ。市民運動家たちは「間違って怖がっている」のである。
 なにも原発が100パーセント安全だとも言っていないし、今の放射線も100パーセント安全だとは言っていない。それを「怖い怖い」の市民運動家は、100パーセント安全と言わないからウソつきだ、まやかしだと騒ぐ。

 「絶対」とか「完全」とかの言葉の意味が理解できていない。
 まさに○か×かの受験勉強的読解力しかないのか…。
 だからこそ、弁証法的な捉え方の理解が必要なのである。山下氏はしっかりと弁証法的に説いているのに、市民運動家は「あれかこれか」の形而上学的にしか理解しようとしていない。

(転載貼り付け終了)

黒瀬 投稿日:2011/10/07 17:04

【209】出版物薬事法違反で出版社が逮捕されたのは異常。憲法で保証された言論の自由の弾圧行為

中田安彦さんのツイッターで気になるつぶやきを見かけました。
関連記事とともに天産します。

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アルルの男・ヒロシ twitter 2011年10月7日
出版物薬事法問題。サプリメントの販売側が逮捕されるのは理解の余地があるが、出版社側が逮捕されたのは異常。これを異常に思わないほうがおかしく、憲法で保証された言論の自由の弾圧行為になっている。効果があやふやである医療でも何でも薬事法で取り締まるのはいかがなものか。
posted at 14:13:41

●関連記事
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健康食品と効能本販売、出版社元社長ら5人逮捕
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111006-OYT1T00622.htm?from=popin

 がんへの効能などをうたった書籍と健康食品をセットで販売したとして、神奈川県警は6日、東京都八王子市の健康食品会社「キトサンコーワ」社長、国安春子容疑者(65)(東京都八王子市)を薬事法違反(無許可販売、未承認医薬品の広告禁止など)容疑で逮捕した。

 出版元の「現代書林」元社長、武谷紘之容疑者(72)(長野県軽井沢町)ら4人についても、同法違反(無許可販売のほう助、未承認医薬品の広告禁止)容疑で逮捕した。
 発表によると、国安容疑者は、医薬品の販売許可がないまま2009年6月~今年4月、首都圏などの男女6人に、カニの甲羅などから抽出したとされる「キトサン」を主成分とする錠剤「キトサンコーワ」84瓶(1瓶400粒入り)などと、「医師・研究者が認めた!私がすすめる『水溶性キトサン』」と題する本をセットにして計約80万円で販売した疑い。
 武谷容疑者ら出版側の4人は、医薬品の無許可販売と知りながら、「バイブル本」と呼ばれる書籍を出版し、商品の販売量を増やした疑い。また、5人は共謀して09年6月~昨年7月、バイブル本を男女6人に送り、未承認の医薬品を広告した疑い。
(2011年10月6日12時16分 読売新聞)

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無断で体験談掲載、症状も誇張…健康食品効能本
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111007-OYT1T00821.htm

健康食品ががんに効くなどとうたった本の出版会社関係者らが逮捕された薬事法違反事件で、本に購入者の体験談が無断で掲載されたり、症状などが誇張して表現されたりしていたことが、関係者への取材で分かった。

 神奈川県警幹部によると、逮捕された著者のフリーライター石田義孝容疑者(54)は「捏造(ねつぞう)やウソの部分もある」と話しているという。県警は、食品の売り上げを伸ばす目的があったとみて調べている。

 問題の本は、健康食品「キトサンコーワ」について取り上げた「現代書林」(東京都新宿区)発行の「医師・研究者が認めた! 私がすすめる『水溶性キトサン』」で、購入者7人の体験談を紹介。しかし、ホルモンが過剰分泌される病気と湿疹が治ったと紹介された主婦は、無断で掲載されたと話している。

 主婦によると、知人に勧められ、食品を購入したのは十数年前。病気や湿疹は徐々に改善したが、数種類の健康食品を使っていたといい、「どれが効いたか分からない」程度だった。数年後、知らない男から電話で効果を聞かれ、「多少はあった」と回答。さらに、キトサンコーワ社(東京都八王子市)に商品を買いに行った際には、社長の国安春子容疑者(65)から写真を撮らせてほしいと頼まれたという。

 主婦は今年に入って、自分の体験談が写真入りで掲載されていることを知った。湿疹の症状は「靴も履けないほど」と誇張されていた。抗議すると、国安容疑者は「商品には自信があるし、偉い先生も効果を認めている。迷惑はかけない」と説明したという。主婦は「広告塔にされたみたいで納得できない」と話している。

(2011年10月7日15時52分 読売新聞)
—–

五味英明 投稿日:2011/09/27 16:03

【208】自己紹介と御挨拶

初めてメールします。五味英明です。
副島先生のお名前は、別冊宝島の道具としての英語シリーズで知っていました。たまたま行った図書館で先生の著書「属国日本論」を見るまでは先生が政治思想や様々な思想、学問についてやっていたとは知りませんでした。先生の本を読んで驚きました。それからは、先生のお名前がでている本は、自分の近くの書店で見たら買うようにしていました。
今回「小室直樹の思想と学問」を読んで先生の学問道場を始めたきっかけを読んで、学問道場に入って勉強しようと思いました。小室先生の本も古本屋で探したり、書店で探したりして読んでいたので、小室先生のお弟子さんだった方々は羨ましいなあと思いました。
残念ながら私は、大学にも行っていないし、またみなさんにお届けするような情報ももちあわせていません。わからないことも多く、それを小室先生の本や副島先生の本を読んで理解しようと思っているのです。
また政治思想についてもくわしくはないし、政治的な人間でもありません。ほとんどすべて副島先生の本とそこにでている方々のお名前を覚えて関連する本を読んだり探したりしているのが現状です。それも難しくてなかなか前に進みません。ただ大雑把に言うと全体主義が私は好きではないということだけです。
最後に私は精神障害者です。年金をもらっています。自分のこの状態を考えにいれますと、リバータリアンの思想などを自分で体現できるひとを羨ましく思います。また自分の言うことが信じてもらえるのかとも考えてしまいます。このことは自分のまわりを見渡して最近よく考えることなのです。
まあそれはともかく、副島先生よろしくお願いします。

平田裕子 投稿日:2011/09/26 00:38

【207】高田純さん『世界の放射線被曝地調査』自ら測定した渾身のレポート

会員の平田裕子です。

(引用はじめ)
●「高田純さん『世界の放射線被曝地調査』自ら測定した渾身のレポート」
2011年9月25日 産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110925/bks11092510440012-n1.htm

■「福島は必ず復興できます」
 福島第1原発事故による放射線の人体への影響についてなぜか工学系の研究者の発言が目立つ。健康に詳しい医学系の研究者の声を聞いてみるとしたら、ビキニ水爆実験による被爆地から旧ソ連の核実験場までを実地調査した著者はその最適任者だろう。なにしろチェルノブイリの調査では、セシウムに汚染されたキノコを自ら食べて“人体実験”。実際に100日ほどで半分が体外に放出されることを検証している強者だ。

 今回の事故でも4月上旬、著者は札幌から電車やバスを乗り継ぎ、福島を目指した。県内には3日間滞在し、福島第1原発の門前まで調査に訪れたが「私の累積被曝(ひばく)線量はたった0・1ミリシーベルト。防護服を用意していたが、原発前でも着る必要がなく、拍子抜けするほどだった」と振り返る。結論として、原発で働く若い作業員は一時的に不妊の恐れがあるものの「福島県内の住民に放射線による健康被害はない」と言い切った。

 「放射線によって福島で誰か死にましたか。急性放射線障害で入院している人も一人もいない。このことはしっかり押さえておく必要があります」。大山鳴動して何とやらだ。返す刀で「チェルノブイリ事故の際の旧ソ連でも家畜は避難させた。それすらしない菅前政権はひどかった」と政府の不手際を指摘する。

 「PET(陽電子断層撮影)検査では数億ベクレルの放射性物質が人体に入りますが、皆さん検査を受けてもお元気ですよね。ラジウム温泉である三朝(みささ)温泉(鳥取県)も、入浴することでいろんな病気が治ります」と、放射線に対する過剰反応を戒める。

 世界の核被災地を見渡すと、広島・長崎が現地で復興を果たしているなど、元の土地に人が戻っている例は多い。放射線については被曝2世への遺伝的影響はない事実も明記している。4月に菅前首相が「原発周辺は10~20年は住めない」と発言したと伝えられ批判を浴びたが、著者は原発周辺に人々が戻る時期はそれほど遠くないとみる。「福島は必ず復興させねばならないし、復興できます」と力を込めた。(講談社ブルーバックス・1029円)

 溝上健良
                  ◇
【プロフィル】高田純
 たかだ・じゅん 昭和29年、東京都生まれ。広島大大学院博士課程後期中退。京都大化学研究所、広島大原爆放射線医科学研究所などを経て現在は札幌医科大教授。

(引用おわり)

副島隆彦 投稿日:2011/08/26 13:36

【206】「カール・マルクス へのインタヴュー 」という貴重な新聞記事(1871.7.18)を、ここに載せておきます。

副島隆彦です。 

重たい掲示板の 会員ページ「1240」番(2011年8月18日) に、私が佐藤勝(さとうまさる)氏と話した 「マルクスの「資本論」について」 という 対談文を 載せました。

これは、一冊の本の中に収録されるはずだったのですが、本としては、流産してしまいました。それで、その出版社から原稿をもらってきて、会員ページに載せました。 生々しい内容の 対談文です。 私、副島隆彦の青年期の、思想遍歴と マルクス体験 を 話しています。

それで、私が、ずっと記にしていて、これは重要だ、と 4年ぐらい前に、何かの拍子でネット上で見つけた 文が、以下のものです。 

この「カール・マルクス・インタビュー」(1871年7月18日)という新聞記事は、ものすごく重要です。  今から 丁度 140年前の記事です。

「カール・マルクス全集」にも収録されていない、生身に近い、マルクスの、政治活動家、革命家(扇動家)としての 本当に凄(すご)みのある発言です。

フランスのパリで、1871年3月3日に、普墺(ふおう)戦争のさなかに民衆が武装蜂起した。 そして3月28日に パリ・コンミューン(パリ・人民政府)が成立した。 そして、それからわずか2ヶ月後 の 5月28日には、帰ってきたフランス軍や警察によってコンミューン政府は、打倒されて崩壊した。
ルイ・ボナパルド(ナポレオン3世)も普墺戦争に負けて失脚する。

マルクスの著作の 「ルイ・ボナパルドのブリュメール18日」 にも描かれている。

私、副島隆彦は、以下のインタビュー記事で、マルクスは、このランドールという 政治ゴシップ新聞の記者から、悪意を込めたインタビューを受けて、それに対して 厳正に 弁明に近い、反論のような 答弁をしている。亡命先のロンドンでのことある。

7月18日にインタビュー記事は、この政治新聞に載ったのだから、5月末のパリ・コミューン崩壊(数千人の 活動家たちが、首謀者として処刑および投獄された)から、わずか2カ月弱(50日)のことである。

私、副島隆彦は、このインタビュー記事の中に、 ジウジオ・マッツィーにの名前を見つけて、感慨深い。 今になって、マッツィーニにたいするマルクスの評価の厳しさと正確さに敬服する。 やはり カール・マルクスという人は偉大なる政治思想家であり、革命家であったのだ。 

私、副島隆彦の熱心な読者たちで、学問道場の会員たちであっても、こういうカール・マルクスの文などというものの意味は、分からない人がほとんどだと思う。 私の弟子の若い 30代半ばの政治知識人を目指す者たちにも、おそらく ほとんどは理解困難だろう。 

だが、副島隆彦は、世界基準( ワールド・ヴァリューズ world values )での 思想と知識のとはどういうものであるかを、教えるのだから、どうしても こういう文も教えて、そして、次の世代に引き継いで行ってもらわなければ済まないのである。  分かってれるごく少数の者たちが、あとを継いでゆくだろう。

副島隆彦拝

 
 (転載貼付け始め)

カール・マルクス Interview
by R・ランドール、訳:山形浩生 <hiyori13@alum.mit.edu>

(The World、1871 年 7 月 18 日号)

 インターナショナルについて何かを調べ出せ、という依頼に応えて、わたしは努力してきた。この団体は現在、非常に難しい状況にある。ロンドンは間違いなくこの団体の本拠地だが、イギリス人たちはおびえており、ジェームズ王が陰謀のあとで何を見ても火薬のにおいをかぎつけてしまったのと同様に、何があってもインターナショナルの関与を疑うような状態になってしまっている。この組織の意識は、公衆からの疑惑に伴って高まった。

 そしてこの組織を導く者たちに何か秘密があるとするならば、かれらこそは秘密をよく守る人間の鏡である。わたしはその指導者級のメンバー 2 人と連絡をとり、1 人と気さくにことばをかわした。

 そしてその内容を以下にお示しする。わたしは以下のことを得心した。すなわち、インターナショナルは本物の労働者の集団ではあるが、その労働者を導いているのは別の階級出身の社会政治理論家たちである。

 わたしの面会したそのうちの 1 人は、インタビューの間中、工員のベンチにすわり、時々わたしとの会話を中断して苦情を受けていた。その苦情はかれの雇い主である数多くの班長の一人からのもので、遠慮会釈のない代物だった。この同じ人物が雄弁な演説を公衆の前で行うのを聞いたことがある。

 一節ごとに、自らを支配者と称する階級に対する憎悪のエネルギーをこめていた。この話者の一般生活をこうしてのぞき見てから、わたしはあの演説が理解できた。かれは、自分が完全な政府を組織できるだけの頭脳があると自負しているにちがいない。それなにの、ここでのかれは工員というもっとも敬遠される作業に人生を費やさざるを得ないのだ。

 かれは誇り高く繊細であり、それでいながらことあるごとに、小言に対して会釈を返し、猟師が猟犬に下す命令と同程度の文化性しかない命令に対して笑みを返さなくてはならなかったのだ。この人物は、インターナショナルの一面についてわたしにかいま見せてくれた。

 それは労働の資本に対する蜂起、生産する労働者の享受する中間層に対する蜂起である。それは時がきたれば力強く叩きつぶすであろう手であり、そしてそれを計画する頭についても、わたしは以下のカール・マルクス博士とのインタビューのなかでかいま見たように思う。

 カール・マルクス博士はドイツの PhD であり、実際の生きた社会の観察と書物の両方から抽出された広いドイツ的知識を持っている。また、かれが通常の意味での労働者であったことはないと述べておこう。かれをとりまく環境もその外見も、中産階級の裕福な人物のものである。

 わがインタビューの晩にわたしが通された書斎は、才覚をあらわして財を築きはじめた気鋭の証券ブローカーの部屋としても適切なものだったろう。非常に個人的に快適なものとなっており、趣味のよい気さくな人物のアパートだったが、その持ち主についてことさら何かを告げるわけではなかった。

 ライン川の眺めを描いた立派なアルバムが机の上に広げられ、それがかれの出自のヒントとなっている。わたしは爆弾をさがして慎重にサイドテーブルの花瓶をのぞきこんだ。石油のにおいを求めて鼻をならしたが、嗅げたのはバラの香りだけだった。わたしはこっそり自分の椅子に戻り、陰鬱な気分で最悪の事態を待った。

 かれは部屋に入り、わたしを礼儀正しく迎え、そしていまやわれわれは向き合ってすわっている。そう、わたしはあの革命の主導者、インターナショナルの本物の創始者にして指導精神たる人物、資本に対し、もし労働とやりあうつもりなら家に焼き討ちをかけられるであろうという宣言を書いた人物――つまりはパリ・コミューンの弁護人と、サシで向かい合っているのだ。

 ソクラテスの胸像をご記憶だろうか。当時の神への信仰を告白するよりも死を選んだ人間。横顔にあの見事な額のでっぱりを持ち、それが終わりの方で、鼻を形作る団子状に丸まった、切断された鈎のようなものに陰険につながっているのを? この胸像を思い浮かべつつ、ひげを黒く染め、あちこちに灰色を散らしてみるといい。

 こうしてできた頭を、恰幅のいい中背の身体にのせてみよう。あなたの目の前にいるのが博士だ。顔の上半分にヴェールをかぶせると、生まれながらの教区民と言っても通用する。しかし本質的な部分である巨大な眉をあらわにすれば、すぐに自分が相手をしているのが、あらゆる組み合わせ力の中でも最も驚嘆すべきものであることがわかるだろう――考える夢見者、夢見る思考家だ。

 別の紳士がマルクス博士とともにあった。同じくドイツ人だと思うが、英語がきわめて達者であったため、確信は持てない。かれは博士側の証人なのだろうか。そう思う。「評議会」は、このインタビューのことを聞いて、これ以降にその行いについて博士を喚問するかも知れない。なぜなら革命はなによりも己自身のエージェントを疑うものだからだ。するとここにいるのは、かれの補強証拠というわけだ。

 わたしはすぐに本題に入った。世界は、インターナショナルについて五里霧中です、とわたしは述べた。それを非常に嫌ってはいるものの、その嫌悪の対象がいかなるものなのかについて、はっきりとは言えない状態なのです。

 その霧の中を他の者より深くまでのぞきこんだと告白する一部の者は、そこに二つの顔を持つヤヌスの姿を見たと申しています。その一つの顔は、善良で正直な労働者の笑みを浮かべてるが、そのもう一つの顔には血に飢えた陰謀家の歪んだ表情が見えた、と。この理論を根付かせている謎を解明すべく光を当ててはいただけないものだろうか?

 教授は笑った。おそらくは多少の嘲笑もこめていたのだろう、われわれがかくもかれにおびえているということについて。「解明すべき謎などございませんよ」とかれは、非常に洗練されたドイツ訛で口を開いた。

 「ただ唯一あるとすれば、人間の愚かしさというものの謎かもしれませんな。われわれの団体は秘密でもなんでもなく、その議事録は一言一句が出版されていて、読みたければだれでも読めるという事実を果てしなく無視し続けるのですから。あなたもわれわれの綱領を一ペニーで購入できますし、パンフレットに一シリングお出しいただければ、われわれが自分で知っているのとほとんど同じくらいのことを、あなたもわれわれについて知ることができるのです。

――いま、「ほとんど同じくらい」とおっしゃいました。

 そうかもしれません。が、しかしそれでは知り得ない部分が、一番重要な秘匿部分なのではありますまいか。正直に申し上げますが、そして外部の観察者が持つ印象に従っていわせていただきますが、世間一般にこうしたあなたの主張が割り引かれて受け取られているというのは、大衆の無知による悪意という以上のものがあるにちがいないと思われるのです。そして今おっしゃったことのあとで、敢えておたずねするのが不躾でないならば、そもそもインターナショナルとな何なのでしょうか?

マルクス:それを構成する個人を見ればわかることです――労働者たちです。

――ええ。しかしながら、兵士はそれを突き動かす国家体の具現であるとは限りません。あなたがたのメンバーには何人か会いました。そしてかれらが陰謀家のような代物でないことは信じられます。だいたい、百万人の知る秘密はもはや秘密とは呼べませんから。

 しかしながら、これらの成員たちが単なる道具にすぎず、それがもっと強力で、こう付け加えるのをお許し願いたいのですが、大胆な秘密会議の手に握られているとしたらどうでしょう。

マルクス:そんな証拠は一つもないでしょう。

――先日のパリの暴動は?

マルクス:まずそもそも何らかの陰謀があったという証明を是非ともお願いしたいものです――あそこで起こったことがすべて、あの時点における状況の必然的な帰結でなかったという証明を。あるいは、そこに陰謀があったとしても、それにインターナショナルが荷担していたという証拠をお示し願いたいものです。

――インターナショナルのメンバーたちが数多く集団で参加していました。

マルクス:ではそれがフリーメーソンの陰謀だとも言えるわけですな、個人として参加していたフリーメーソン会員の数は多大なものでしたから。ローマ法王なら、まさにあの暴動をすべてフリーメーソンのせいにすることでしょう。そうなってもわたしは驚きませんがね。しかしながら、他に説明のしようがあるのではないですか。

 パリの暴動は、パリの労働者によるものです。労働者の中でもっとも有能なものが、その暴動の指導者であり指揮者であったことはまちがいないでしょう。しかしながら、もっとも有能な労働者は、同時にインターナショナルの会員でもあったのです。でも、だからといって集団としてのインターナショナルは、かれらの行動にいささかも責任があるわけではない。

――でも世間はそうは考えますまい。人々は、ロンドンから秘密指令が下ったとうわさしておりますし、資金まで出たとも申しております。インターナショナルの議事の表面上の公開性を主張なさっていますが、連絡上の秘密すら完全に存在しないのだと考えていいわけなんでしょうか。

マルクス:これまで組織された団体の中で、公開部分とそうでない部分を両方持たずに仕事を行ってきたものなどありませんよ。しかしながら、ロンドンからの秘密指令などという話は、中央のローマ教皇的な圧制と策謀から真義と道徳に関わる託宣が下されるようなお話ですが、そもそもインターナショナルの性格を完全に誤解したものです。

 もしそれが事実なら、インターナショナルは中央集権化された政治形態を持っているということになりますが、その実際の形態は地域のエネルギーと自主独立性を最も重視するよう設計されているのです。実のところ、インターナショナルは労働階級の政府とすら正しくは申せません。それは組合の連合であって、制御する力ではないのです。

――してその組合の目的とは?

マルクス:政治権力の奪取による労働者の経済的解放です。そしてその政治権力を、社会の目標のために行使することです。したがって、われわれの活動はあらゆる労働階級の活動を包含する広範なものでなくてはならない。ある特殊な性格のものにすれば、それを一部セクションのニーズに合わせることになります――つまり労働者だけの国家、ということです。

 しかしながら、少数者の目的を追求するために、すべての人々に団結するようお願いしたりなんかできないでしょう。それをするなら、インターナショナルはその名前を捨てなくてはならない。この団体は、政治運動の形態を指示するものではない。その目的に対して言質を与えるものなんです。それは労働の世界津々浦々に広がる、結びあった社会のネットワークなんです。

 世界の各部分で、問題のそれぞれ別の面が露呈してきて、その地の労働者はそれぞれ独自のやりかたで、自分たちの関心事に対応していくんです。

 労働者の中での組み合わせは、細かいところでは絶対にちがってきます。ニューキャッスルとバルセロナとではちがうし、ロンドンとベルリンでもちがう。たとえばイギリスでは、労働階級にとって政治的な力を示す方法はさまざまに開かれています。平和的なアジテーションが迅速かつ確実に目的を達成できるのに、暴動を起こすなんてきちがい沙汰です。

 フランスでは、何百という抑圧的な法律と階級間の道徳的な反目のため、社会的戦争という暴力的な解決方法が必要となるようですね。その解決方法の選択は、その国の労働階級の問題です。インターナショナルはその点について、指示するつもりはありませんし、ほとんど助言さえ与えません。しかし、そのすべての運動に対して、インターナショナルは共感を寄せ、自分の規定によって課された制限の範囲内で支援をさしのべるのです。

――して、その支援とはいかなる性質のものなのでしょうか。

マルクス:たとえばですね、解放運動のもっとも一般的な形態は、ストライキです。かつて、ある国でストライキが起こると、それは別の国から労働者が輸入されることによって打倒されてしまいました。インターナショナルは、これをほぼ完全に止めました。

 ストの計画を報されると、メンバーたちにその情報を広め、かれらはすぐにその闘争の地が不可侵なものとなるよう手配します。主人たちは、自分たちの雇い人と交渉するしかなくなります。ほとんどの場合、これ以上の支援は必要とされません。

 かれら自身の会費や、かれらがもっと直接的に関わっている社会が資金を供給しますが、かれらへの圧力が重くなりすぎて、そのストライキがインターナショナルの認めるものとなれば、共通財源から必要資金が供給されます。この手段によって、バルセロナの葉巻製造者のストは先日勝利をもって終わりました。
 
 しかしながら、社会はストライキに興味はありません。ただし、限られた状況下でそれを支持することはありますが。金銭的な視点からいえば、社会がストライキで何かを得ることは絶対になく、むしろ失うことのほうが多いでしょう。

 一言で要約するとこういうことです。労働階級は、富の増加のなかで貧しいままにおかれ、奢侈の増加の中で窮乏のままにおかれるのです。その物質的な欠乏は、道徳的な地位や肉体的な地位をも貶めるのです。それに対して他の者たちに頼ることもできません。このようにして、かれら自身が自分たちに関わる事象を自ら掌握することが、避けがたい必須事項となったのです。
 
 労働者は、自分たちの内部における相互の関係や、資本家たちや地主との関係を改めなくてはなりません。ということはつまり、社会を変えなくてはならないと言うことです。これが現存するあらゆる労働者組織の最終目標です。

 土地組合や労働組合、交易組織や友愛組織、生協店舗や共同生産は、そこに到達するための手段にすぎません。これらの組織の間に完全な結束を作り出すのがインターナショナルの仕事です。その影響は、あちこちに見られるようになってきています。

 スペインでは二紙、ドイツでは三紙、オーストリアとオランダでも同数、ベルギーでは六紙、スイスでも六紙がわれわれの考えを広めています。さて、インターナショナルのなんたるかを説明いたしましたので、それが陰謀に加担したとかいうお話についてご自分なりの見解をまとめていただけるかと思いますが。

――おっしゃることがよくわからんのですが。

マルクス:旧社会が、議論と団結という自らの武器を手にした労働に張り合う力を求めようとして、陰謀集団という汚名を着せるというでっちあげに頼らざるを得なくなっているのがわかりませんか?

――しかし今回の一件についてフランスの警察は、インターナショナルの関与について証明できると宣言していますが。これ以前の事件のこともありますし。

マルクス:しかしそうした事件については、よく見ていただければ、インターナショナルに対してかけられた陰謀の嫌疑がいかに浅はかなものかを示しているのだ、ということは言わせていただきましょう。

 この前の「陰謀」話をご記憶でしょう。国民投票が行われると報じられました。選挙民の多くは、判断がつかない状態でした。皇帝支配の価値がはっきりと感じられない状態になっていたんです。皇室が自分たちを守ってくれる対象としての脅威とな危険について、信じられないようになってきたからですね。

 新しいお化けが必要とされていました。それをねつ造すべく、警察が動きました。あらゆる労働者組織が警察には嫌悪を抱いていましたから、警察側としてはもともとインターナショナルに好意は抱いていなかったわけです。ここで警察はうまいことを思いつきました。インターナショナルを悪者にしてしまえばいい。

 そしてその団体の評判を落とすと同時に、皇帝側の利益になるようにしてしまおう、と。このうまい考えから、皇帝の命を狙った陰謀と称するとんでもない代物が出てきたわけです――われわれはあんな哀れな老人を殺したいなどとは思っちゃいないのですがね。

 で、警察はインターナショナルの指導者を逮捕しました。証拠をねつ造しました。裁判のために起訴状をつくり、その間に国民投票を行ったわけです。しかしながら、茶番がただの粗雑なでっちあげなのは、あまりにも明白でした。このスペクタクルを目撃した賢明なるヨーロッパは、その性質について一瞬たりともだまされませんでしたよ。

 だまされたのは、フランスの農民選挙民たちです。あなたがたイギリスの新聞は、この惨めな出来事の最初の部分だけ報道しましたが、その結末を報じるのは忘れてしまったのです。フランスの裁判官たちは、陰謀の存在は対政府サービスで認めたものの、インターナショナルの関与を示すものは何もなかったと宣言するしかなかったのです。

 今度のも、前と同じなんですよ。フランスの小役人がまたもや動いているわけです。世界で前代未聞の市民運動に説明をつけろといって呼ばれてきているわけです。これだけ時代の徴が出てきているんだから、正しい説明がわかりそうなものです――労働者の知性の高まり、その支配者たちの奢侈と無能の拡大、権力がついにある階級から人民へ移行しようとしていること、解放の大運動のために時も舞台も機会も満ちていること。

 しかしながら、これだけのことを見てとるためには、この小役人は哲学者でなくてはならないのですが、現実のかれはmouchard、イヌにすぎません。そしてその存在の法則に則り、かれはイヌの説明にすがっているわけです――「陰謀だ」という。昔ながらの偽造文書の束が、その証明を提供してくれるでしょうし、今回はヨーロッパも、おびえのためにそのお話を信じるでしょう。

――それはヨーロッパとしても無理からぬことでしょう。あらゆるフランスの新聞がそれを報じていますから。

マルクス:あらゆるフランスの新聞ね! ここにもその一例があります(とル・シチュアシオン紙を手にする)。事実関係についてのこいつの報道の価値を、ご自分で判断してご覧なさい。

 (読み上げる)「インターナショナルのカール・マルクス博士は、フランスに渡ろうとしてベルギーにて逮捕された。ロンドン警察はかれが関わっている結社に長いこと目をつけており、いまやそれを弾圧すべく積極的な動きに出ている」文章二つ、ウソ二つ。ご自分の判断で、この証拠を確かめられるでしょう。

 ごらんのとおりわたしは、ベルギーの牢屋にいるかわりにイギリスの自宅におります。また、イギリスの警察がインターナショナルやその関連結社に手出しできていないことはご承知のことと思います。しかしながら、あまりにも通例となっているのが、この報道が何の訂正もなされずに、大陸の新聞を駆けめぐるということなのです。そして、わたしがヨーロッパの全雑誌にここから回状を配ったとしても、それは続くでしょうな。

――こうした誤報に対して訂正を試みたことはおありですか?

マルクス:やりましたが、やがてうんざりしてやめてしまいました。マスコミ連中の信じられないずさんさの例として、たとえばその中の一つでは、フェリックス・プヤットがインターナショナルの会員にされていましたよ。

――するとちがうのですか。

マルクス:あんな野蛮な人物の居場所は、インターナショナルにはありませんよ。あの人物はかつて、無遠慮にもわれわれの名前を使って派手な宣言をしてくれましたが、すぐに撤回されました。が、もちろんながら新聞はこの撤回の方は無視してくれましたがね。

――ではマツィーニは、あなたがたの一員ですか。

マルクス:(笑いながら)いやいや。かれの思想の枠内にとどまっていたら、われわれはほとんど進歩しなかったことでしょう。

――これは驚きですね。わたしはてっきり、かれが一番進歩的な考え方の代表だと考えていたのですが。

マルクス:かれが代表しているのは、古くさい中産階級共和国の考え方にすぎません。われわれは中産階級とはなんら関係を持つつもりはないのです。マツィーニは 現代運動の最後尾にまで脱落してしまい、いまやドイツの教授たちといっしょです。かれらも、ヨーロッパでは未だに未来の文化的民主主義の使徒と思われていますがね。

まあ、一時はそうでした――たぶん 1948 年以前までは。当時はイギリス的な意味でのドイツの中産階級は、まだしかるべき発展をほとんど遂げていませんでした。しかしながら、いまやかれらは相対として反動側に行ってしまったので、プロレタリアートとはもはや袂を分かちました。

――あなたの結社に実証主義的な面を見ようとする人々もおりますが。

マルクス:そんなものはありません。 会員に実証主義者はおりますし、会員ではなくてもいっしょに活動する人々の中にも、そうした者はおります。しかしながらこれはその哲学のためではありませんし、われわれの理解しているような人民政府とも関係なく、古い階級関係にかわって新しい階級関係をつくりだそうとするだけのものです。

――すると、インターナショナルの指導者たちは結社のみならず新しい哲学を生み出さねばならないように思えるのですが。

マルクス:まさにその通り。たとえば、資本に対する戦いにおいて、もしミルの政治経済学から戦術を引き出すなら、われわれに大した勝利は望めますまい。かれは労働と資本の関係の一種類をたどってみせました。われわれは、別の関係をうちたてることが可能だと示したいのです。

――で、宗教は?

マルクス:この点については、社会の代弁者として語るわけには行きません。わたし自身は無神論者です。確かに、このような発言をイギリスで耳にすると驚かれるでしょうが、ドイツやフランスでは公然と述べることができるというのは、まあいささかの慰めではあります。

――それなのにこの国イギリスに本部をおいていらっしゃる?

マルクス:理由は明らかでしょう。結社の自由は、ここでは確立されています。ドイツでは、存在はしていますが、実際には無数の困難に取り囲まれています。フランスでは、そんな自由は長年存在すらしていませんでした。

――ではアメリカは?

マルクス:われわれの主要な活動拠点は、今のところヨーロッパの旧社会の中にあります。いままでは、多くの状況のため、アメリカでは労働問題がすべてを圧倒する大問題とはなってきませんでした。

 しかしながらそうした状況は急速に消滅しつつありますし、ヨーロッパで見られたのと同様、労働階級がコミュニティの他の部分とは別個に成長し、資本から切り離されるにつれて、急速に全面に出て来つつあります。

――このイギリスにおいては、あなたが希望なさっている解決は、なんであれ革命という暴力的な手段に頼らずに実現されるものと思うのですが。演説や新聞によってアジテーションを行い、少数派が転向して多数派になるというイギリス式のシステムは希望が持てると思うのですが。

マルクス:その点、わたしはあなたほど楽天的ではありません。イギリスの中産階級は、自分たちが投票の独占を保てる場合には、多数派の審判を受け入れる用意があることを常に示してきました。しかしながら賭けてもいいが、中産階級がきわめて重要な問題と考える点について投票で破れたばあい、この国でも新たな奴隷所有者の戦争が起こることでしょう。

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 わたしはこの印象的な人物との会話の趣旨を、記憶できた限り再現した。結論を出すのはお任せする。コミューン運動への関与について、肯定的・否定的に何を言われているにしても、インターナショナルは、よかれ悪しかれ文明社会が自らの中にあるものとして認識せざるを得ない新しい力を持つものであることはまちがいない。

Comment:ニューヨークの World 記者R・ランドールによるマルクス・インタビュー。記事は 1871 年 7 月 3 日に脱稿されている。

インタビューの間中ずっといっしょだったもう一人のドイツ人紳士は、エンゲルスだったと考えられている。 これに先立つことほんの数ヶ月、マルクスも関わっていた パリ・コミューン が流血の末に閉鎖されている。

(転載貼付け終わり)

副島隆彦拝