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Loginはこちら【2257】[2651]日本統一王朝の初代天皇(その一)
守谷健二です。七世紀、八世紀の日本の政治情勢を書きたいと思います。
我々日本人が学んできた『日本史』は、中国正史『旧唐書』の日本記事を誤りと決め付け無視することで創られてきました。
『旧唐書』は、日本代表王朝を七世紀半ばまで倭国(筑紫王朝)で作り、八世紀初頭から日本国(近畿大和王朝)を日本代表と扱っています。当然「白村江の戦」で唐・新羅連合軍と戦った相手は倭国であったと記します。
七世紀半ばまで日本列島を代表していたのは倭国(筑紫王朝)で、勢力は近畿大和王朝を圧倒していました。
『隋書』は、「新羅・百済は皆倭を以て大国とし珍物多しとなし、並びにこれを敬仰し、恒に通使往来す。」と書く。
つまり倭国は、新羅・百済に対し宗主国の立場にあった。その新羅が西暦650年、唐朝に走り、唐朝の完全な臣下に入ったのです。これは倭国に対する裏切りでした。この時から倭国の新羅討伐は喫緊の課題になっていた。
それなのに661年八月まで新羅討伐軍を派兵できなかったのは、背後に控える大和王朝(日本国)の協力を取り付けることが出来なかったからです。大和王朝は近年目覚ましく国力を充実させていました。
西暦661年正月六日、斉明天皇は筑紫行幸に出発します。教科書に「新羅討伐への親征」と書かれている事です。
しかし『日本書紀』は、この二日後に船中で大田皇女(中大兄皇子の娘、大海人皇子に嫁いでいた)が女子を出産した、と書きます。
いったいこれはどうしたことでしょう、新羅討伐のため、戦争するための筑紫行幸ではありませんか。それに身重の臨月になっている皇女を、どうして帯同する必要があったのですか。これは日本最初の正史『日本書紀』の記事です。
百済王朝は、この前年(660年)八月に唐・新羅連合に滅ぼされていました。斉明天皇はこの事実を知っていたのでしょうか。知った上で身重の皇女を帯同していたのでしょうか、私はとても信ずることが出来ません。倭国が情報を遮断していたのではないか。
斉明天皇は661年七月崩御します。新羅討伐の出兵は翌八月に強行されました。
もし日本列島が統一王朝になっていたなら、斉明天皇は日本全体の天皇です。その天皇が崩御した翌月に戦争を開始するなど許されることか。
私は次のように考えます。日本には二つの王朝が並立していた。『旧唐書』の記事は正確である。
力関係は、倭国が断然優っていたが、近年の大和王朝の充実は無視できなかった。
大和王朝を説得する切り札として大海人皇子(天武天皇)が派遣され、何とか説得することに成功し、中大兄皇子(天智天皇)の娘・大田皇女との婚姻が成立した。
斉明天皇の筑紫行幸は、身重の大田皇女を無事倭国に送り届けるのが目的であった。筑紫王朝と大和王朝の同盟が成立したことを大々的に披露するための行幸であった。
斉明天皇は、筑紫について初めて百済王朝の滅亡を知らされたのだろう。斉明天皇は出兵反対、同盟解消をも言い出したのではなかったか。天皇の死は、どうも暗殺の気配がある、『日本書紀』が、そう匂わせているのだ。
半島出兵は、663年八月「白村江の戦」において倭国軍の壊滅的惨敗に終わった。
三万もの海外派兵であった。倭王朝は大打撃を被ったのである。力関係は完全に逆転していた。倭国の民の怒り恨みは大きく、都の治安さえ守ることが出来なくなっていた。
次回につづく。
【2256】[2650]『秀吉はキリシタン大名に毒殺された』の感想と関連記事
9月28日に発売された田中進二郎著『秀吉はキリシタン大名に毒殺された』を早速購入して、大変面白く読ませていただきました。
本書は副島先生の代表作『属国・日本論』の理論を16世紀後半から17世紀初期に至る識豊政権の成立から徳川政権の初期までの時代に当てはめて見るとどのような歴史が展開されていたのかを従来の日本史では説明されていなかった「秘密」の解明によって組み立てた新しい日本史といえます。
副島史観の新たな分野への展開であり、さらに深く掘り下げて考察を加えたものであると思いました。
大航海時代以降の地球上で展開された、西洋人による非西洋世界の植民地化の歴史を見ると、植民地主義者の常套手段として以下のような事が行われました。
①まずキリスト教の宣教師を送り込み、原住民の一部をキリスト教の信者にする。
②キリスト教徒となった原住民社会を橋頭保にして、商人を送り込み、交易を行い、現地の権力者である王や貴族に貢物を贈り取り入る。
③ところが、現地社会の保守層からは異物(宣教師、貿易商人、キリスト教)の侵入に対するきわめて正常な反応として、排斥運動が起こり宣教師や貿易商人の殺害事件が必ず起こる(幕末の生麦事件のように)。
④結果、自国民(宣教師や貿易商人)の安全を守るという口実を設けて、軍隊の駐留を認めさせる。(生麦事件ではその後、各港の居留地に外国の軍隊の駐留が行われ、その駐留は明治8年まで続いた)
本書によって多くの人は16世紀後半の日本で行われたキリスト教の宣教師の布教活動の実態を知り、日本史の見方を大きく変えることになるだろう。
この時代に行われたキリスト教の布教を純粋な信仰と伝道の情熱の発露であり、遠い海を乗り越えてはるばる日本までやってきたと漠然と思いこんでいた人は、実はローマ・カトリック教会の隠された日本占領、支配の計画があり、本能寺の変や秀吉暗殺の計画もその裏で画策したのはイエズス会の宣教師だったということを知って驚愕するだろう。
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著者である田中進二郎さんへのインタビュー動画と本書『秀吉はキリシタン大名に毒殺された』をめぐっての雑談動画がYouTubeの尾崎全紀チャンネルにアップロードされています。(4時間27分の内前半1/3が著者へのインタビューです)
尾崎全紀(おざきまさのり)さんは出版プロデューサーで重たい掲示板5400-5402で紹介されている『バブビ』本(*)のプロデュースをした人です。
(*)藤本かよこ著『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください。』
YouTube尾崎全紀チャンネル
↓↓↓↓↓↓
https://www.youtube.com/watch?v=6Ctfbytj7Jo
(2020年10月23日投稿)
【2255】[2649]米大統領選挙の終盤で、トランプが負ける、と騒ぐ馬鹿たちが湧いて来た。
副島隆彦です。 今日は、2020年10月22日(木)です。
18日の金融セミナーは、盛況で終わりました。「コロナが怖いので遠慮します」と言う人たちと、会場に入りきれなかった皆さん、その他400人ぐらいの申し込み者には、翌日19日に、オンライン配信動画と講演資料(60枚のスライド)を主催者が送ったそうだ。講演を録画したDVDの発送は約1か月掛かる。お待ちください。
私は、このあと、自分の家の雑木が繁った庭の手入れ(まるで山仕事だ)を、息子とやっていて、風邪を引きそうで怖かった。だが体を暖かくして何とか乗り切った。
アメリカ大統領選挙の 投票日まであと12日だ。私は、ずっとトランプが勝って再選される、と予測(予言)してきた。今もこの立場だ。 何ごとも優れた知識人と学者は、物事(ものごと)を、大きく決めつけなければいけない。 知識とは、言い切り断定で激しく決めつけることだ。
「ものごとは決めつけてはいけない」というのは、いつも穏やかな生き方をして、激しいことをしない、庶民、大衆の生き方だ。こういう書き方をすると、嫌われることは分かっている。
優れた知識人が、限られたわずかの証拠と情報だけから、ものごとをバシーンと、大きく決めつけること。これを「デカルトの 帰納法(きのうほう、induction インダクション)」という。このヨーロッパ近代思想の大きな知識を、日本の知識人たちは、今も実は誰も知らない。何のことだか分からない。私は、本当の天才だった小室直樹先生から習ったから知っている。このことを、今日は、ここのうしろの方に、簡潔に書く。
11月3日の投票日の 翌日4日の午前2時とか(日本では午後4時頃)にも選挙の結果は決まらない。アメリカ全土を上げての権力闘争だから、両勢力が、真っ二つで割れているので、トランプ勢力 対(たい versus ヴァーサス) バイデン候補というよりも、反(はん)トランプ勢力の激突だから簡単には収まらない。バイデンというボケ老人なんか、どうでもいい。アメリカ国民は皆、こいつがボケでアルツハイマー症だと全員知っている。それなのに、それなのに、なんで? なんで、バイデンが勝つの? だよ。全く。このことを、まず、よーく考えましょう。
アメリカの反(はん)トランプ勢力は、絶対に負けを認めないで、激しい国内闘争を続ける。反トランプ派は、急進リベラル派を装った4大メディア(テレビ、新聞)と、ウソ八百の世論調査(poll ポール と言う)と、軍産複合体(ぐんさんふくごうたい)、大銀行・大企業連合、ビッグ・テック(GAFA+MS)などが、反トランプで暴れ続ける。
1か月間ぐらい「得票数の数え直し」とか「郵便投票の分の到着送れ票を加算せよ」とかで、暴れ続けて、最後は、米最高裁判所の判断(判決の一種)ということで、トランプ勢力が押し切るだろう。
全くの泥仕合の、大混乱状態になる。“ America is divided . “ 「アメリカ・イズ・デヴァイデッド」すなわち 「アメリカは(国家が)分裂している」 とか、「アメリカ・イズ・シック」 “America is sick .” 「アメリカはビョーキ、病気 だ」と、現に、言われている。
160年前の、1861年から4年の南北戦争のような内戦(ないせん civil war シビル・ウォー。同じ国民どうしの殺し合い)状態を呈する。それでもトランプ政権が、ひとまずは混乱を収束させる。そして、このあとの4年間のアメリカ帝国の苦難だ。
今日は、私のこの文の後(うしろ)に、田中宇(たなかさかい)氏の、優れたネット配信の文を載せる。よく読んでください。長くて、むずかしいけど。彼は「トランプが勝利する」とはっきりと書いている。私も彼と同じ考え、予測だ。4年前と同じだ。
(転載貼り付け始め)
11月3日の投票日の当日や翌日に選挙結果が確定する可能性は低い。郵送投票分
の開票などに手間取ると予測される。確定が遅れるほど、双方が相手方の選挙不
正を言い出し、対立が激化し、暴動が悪化して内戦に近づく。選挙結果が信頼で
きるものになると考えているのは、共和党支持者の44%、民主党支持者の74%だ。
残りの米国民は、選挙不正が行われると予測している。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。 田中宇氏は、たくさんのアメリカの主要な英文記事のネットで読めるものを、根拠として載せてくれている。とても、これだけの大量の英文を、次々に読める人間は居ない。私も、時々、「お、これは凄そうだな」という記事しか読まない。みんな自分の生活で忙しくて手一杯だから世界政治の動きへの関心に時間を割(さ)けない。田中宇氏は、こういうことをコツコツとやって、私たちに供給してくれるから有りがたい。
アメリカの大統領選挙は、まるで、「赤勝て、白勝て」の 運動会のような感じで、 世の中は、大きくは結局、 A かBかの二者択一になるようになっている。人間(人類)の判断、というのは、そのように「AかBか」のどっちかを選ぶように出来ている。
特に、政治の 権力闘争 に なると、どちらかが勝って生き残り、敗者は権力を失って退場してゆく。本当に戦争になって「雌雄(しゆう)を決する」となったら、王様、権力者どうしは殺し合いだ。民衆は、じっと両者の闘いを見ている。勝った方の言うことを、無言のまま聞く。それが「支配と被支配」、「統治者と被統治者(ひとうちしゃ)」の冷酷な掟だ。 「おい、副島、お前は、そういう体制側の論理を認めるのか」と聞かれたら、「そうだ。認める」と答える。
私は、すでに、『国家分裂(デヴァイデッド)するアメリカ政治 七顛八倒(しちてんばっとう)』(2019年3月刊、秀和システム)を書いている。ここで、私は、「10年後に、アメリカは、(西部国、中央国、東部国の)3つの国に “ 国家分裂 ” する」と書いている。
読みたい人は買って読んでください。
重要なのは、政治学(せいじがく、politics ポリティックス)という学問(サイエンス)が、ヨーロッパでこの500年間掛けて築き上げた理論(セオリー)だ。それに従わなければ、私、副島隆彦は、知識、思想、学問を 自分の人生の基本において、それで言論商売人を続けることは出来ない。 理論(セオリー)と、論理(ロジック)というのは、突き詰めれば、決め付けだ。物事(ものごと)を決め付けることが、近代学問(サイエンス)だ。
これを、「デカルトの帰納法(きのうほう)」という。この「帰納法」というコトバだけなら、日本人は、知識層なら、一応皆、知っている(ことになっている)。 帰納法 (きのうほう、 induction インダクション) の 反対側、対立概念が、演繹(えんえき、deduction デダクション)だ。演繹(えんえき)などと、書くから、これまた、意味不明の、まるで、禅宗(ぜんしゅう)の仏教用語のようだ。
事実、明治になってから、こういう、むずかしい、抽象、観念語は、ほとんど禅宗(ぜんしゅう。特に臨済宗)の用語を使って、日本語に翻訳した。
西周(にしあまね)、箕作麟祥(みつくりりんしょう)、井上哲次郎(いのうえてつじろう)、富井政章(とみいまさあき)たち、明治初期の、語学秀才たち(西洋語と西洋学問に没頭した。ヨーロッパ留学でフリーメイソンに入って帰って来た)が、やった翻訳業の仕事だ。欠陥翻訳語もたくさん有る。これらが今も私たちを苦しめている。 彼らが、明治の中期に、例えば、ドイツ市民法典(GBG、ゲー・ベー・ゲー)から、日本民法典を、一条、一条、翻訳して、それを法務省に馬車で運んで作ったのだ。
仏教の禅宗という思想(臨済宗と曹洞宗と黄檗宗=おうばくしゅう=がある)は、本当の姿は、仏教そのものの否定だ。禅宗(Zen Buddhism 、ゼン・ブディズム)の根本思想は、「神も仏もあるものか」である。「道で、神と出会ったら神を殺し、仏(ブッダ)と出会ったら仏を殺し」という思想だ。
禅宗は、それまでの仏教が築いた、民衆の救済の思想を否定し、打ち壊した。救済は己自身で為せ、この現世で。あの世など無い、という現実保守の思想だ。権力者と大金持ちたちの思想だ。
それを「自力(じりき)」という。これが、実は、16世紀のヨーロッパで、ジャン・カルヴァンが唱えた、予定(プレデスティネイション、predestination 救済されか否かは予め決まっている)の思想と、裏側の真実が同じなのだ。
私、副島隆彦は、既にこのことの解明も、『 隠された歴史 そもそも仏教とは何ものか』(PHP研究所刊、2012年)でやった。この本も重要な本だ。自分で言うのも何だが。一体、仏教とは何なのか、を本気で知りたかったら、この本を読みなさい。
演繹(えんえき)というのは、「それで、それで。その次は、こうなって。こうなって」と話を、順番に繋(つない)でゆくことだ。これは、どんな人でも出来る。私たちが、現に、毎日、やっていることだ。話を、「外側へ外側へ、押し広げてゆくこと」だ。これが演繹(デダクション)だ。
これを、岩波国語辞典などでは、「 普遍的命題から特称(とくしょう)命題を導き出すこと」と書いてある。何のことだか、普通の人には分からない。ここの命題(めいだい、proposition プロポジション)というのも分からない。命題については、今日は教えない。簡単に言えば「質問をすること」だ。
国語辞典では、演繹についての定義(デフィニション)を、このあと続けて、「一般的に、組み立てた論理によって、特殊な課題を説明すること」と書いてある。これなら少しだけ分かり易くなった。でも、どうせ分からない。こうやって、分かった振りと、どうせ分からないで、日本のバカ大学の、馬鹿大学教育は、戦後も75年間も続いてきた。ちんぷんかんぷん という、元は中国語らしいコトバだけが、はっきりしている。
訳(わけ、和解、わげ)が分からん、という多くの日本人の正直な反応だけが正しい。演繹(えんえき)法は、誰でも出来る。みんな現にこれをやってコトバを使っている。だが帰納(きのう)法が分からない。
帰納法は、極めて優れた人間だけが、出来る、使える。たとえば、私、副島隆彦のような人間が、「なぜ、トランプが再選されるか。そしてあと4年間も大統領をする」と書くときの、理由として、「なぜなら、4年と4年で8年間するのが、アメリカ大統領の正常なあり方だからだ」と、決めつけるからだ。
この馬鹿みたいに、簡単な「決めつけ」のやり方のことを、帰納法をいう。ぐーっと内側に向かって、考えを押し詰めてゆく感じだ。これが、特称命題(とくしょうめいだい)から、一般(普遍、あるいは、全称)命題を導き出すことだ。それに対して、演繹は、その逆で、「一般(普遍、全称)命題から、特称命題を導くこと」と、反対方向の思考であって、真逆だ。 何となく、でいいから、このように分かりなさい。
私、副島隆彦が、さらに決めつけをやって、「なぜトランプが勝って再選されるのか」は、「トランプは、アメリカの半分、失業している、しかし泥臭い、本物の立派な白人の男たち(実直で、素直な若い女たちも含む)の燃えるような正義の情熱の、圧倒的な支持があるからだ」と、これが、特称命題だ。だから、「トランプが勝利、再選される」が一般(全称)命題となる。これが、デカルトの帰納法の使い方だ。こういう決めつけの連続だ。ただし、この帰納法は、極めて優れた人間だけが使える。一般人には使えない。何となく分かりなさい。
私が、4年前のトランプの当選を予言して当てた時に、書いた本『トランプ大統領とアメリカの真実 次はトランプで決まり 』(日本文芸社、2016年7月刊)は、その冒頭から、「何故、トランプが勝つのか」で、それは、「5月18日に、ヘンリー・キッシンジャーが、トランプに電話して、『ドナルド。ウチに来てくれ。話がある』で、トランプが、NYのアッパー・イーストのキッシンジャー(今98歳)の家に行ったこと」これが、特称命題だ。
「だからドナルド・トランプが当選する」という一般(普遍)命題を私は導き出した。こういうことは、天才しか出来ない。このことを、皆、分かりなさい。
今も、私がこの予言をして当てた本の、冒頭からの書き出しを、誰も正面から、自分の頭で考えて、それを、厳しく検査、精査して、検証(testification テスティフィケイション)しようとしない。それぐらいに、世の中は一般人で、満ち溢(あふ)れている。
最近は、私、副島隆彦から、情報を仕入れに来る自分では、インテリで、アメリカ通で、頭がいいと思い込んでいるアホたちがたくさんいる。彼らは業界人だ。それでも私の、あの本の、始めの方の、「キッシンジャーが、ドナルド、うちに来てくれ」と言って、トランプが、会いに行った。そして、キッシンジャーが、自分の親分である“世界皇帝”デイヴィッド・ロックフェラー(翌年、2017年3月に101歳で大往生した)のコトバを、伝えた。
「ヒラリーとビルの思い通りにさせない。この2人は、私が死ぬのを待っている。私から世界権力を相続する気だ。私が死んだら、このふたりは、すぐに戦争(第3次世界大戦)を始める。そのように着々と動いている。ヘンリー、お前が食い止めろ。だから、トランプに大統領をやらせる、と彼に伝えてくれ」と言った。これで決まったのだ。
私の本の読者たちは、もう一度、私のあの本を、しっかり読みなさい。予言者が、予言を当てる、というのは、「デカルトの帰納法」を使うからだ、と分かりなさい。だが、ずば抜けて優れた人間だけが、この技は使える。
「なぜ、副島先生は、トランプの当選を予言できたのですか?」と、素直に聞いてくる人がたくさんいる。私は、素直で正直な人間が大好きだ。この人たちは、私の予言の的中に肯定的に、好意的に驚く。だがそれ以上のことを考えない。今から、皆さんも、自分の霊能力(れいのうりょく)に近い、「鋭く感じる脳」を鍛えてください。自問自答を繰り返しながら。
これからは、私たちは、自分の霊能力を鍛える、ということを、私たちの目標のひとつにしましょう。私は、このことに大きく気づいた。ユニテリアンとエマーソンの研究をしていたら、ここに、到達した。超越論的直感(トランセンデンタリズム)を大事にして、スピリチュアリズムの本来の姿に、私もようやく到達した。
それでは、なぜ、「トランプは落選する、負ける」と、激しく書く馬鹿たちが、これほどに喧(かまびす)しく最終盤になって、メディア(ネット報道を含む)で湧いて出てきたのか。
それは、彼らが、Moonie 統一教会(ムーニー。 ローマ・カトリック教会と CIAが作った、気色の悪い、韓国発祥ということになっている、歪んだ、クレチン病の政治宗教団体)と、ヒラリー派と、アメリカの軍産複合体と、the Deep State 「ザ・ディープ・ステイト」(陰に隠れた、アメリカの特権層。官僚どもを含む)が、トランプへの憎しみを、激しく募(つの)らせているからだ。トランプが、勝ち続けることは、自分たちの勢力の自滅だからだ。自分たちの利権(スペシャル・インタレスト)の喪失だからだ。
中国へのコロナウイルス攻撃は、このアメリカの 反(はん)トランプ勢力は、失敗した。中国は、この攻撃(だから、これが、① 核戦争に次ぐ、② 生物化学戦争(バイオ・ケミカル・ウォーフェア)だ。その次が、③ サイバー戦争(電子戦争)だ。
もっと分かりやすく書くと、こいつらは、とにかく、トランプが、いけ好かなくてキライなのだ。その根底にあるのは、「とにかく、中国を叩き潰さないといけない。中国と戦争をしないといけない。そうしないと、アメリカの世界支配、世界覇権が終わってしまう」という考えだ。そして、その手先たちが、日本にも、大量に500万人ぐらいいる。
もっと端的に言えば、反共右翼(はんきょううよく)たちだ。彼らからすれば、本物のアメリカの民衆の代表であるポピュリスト(populist 民衆=みんしゅう=主義者)のトランプが、憎らしくて、憎らしくて、仕方が無いのだ。この本音の、正直さを、この反共右翼たちは、あんまり、はっきりとは言わない。だが、副島隆彦が、全部、摘発して、ひとりひとり、この、今や、追い詰められてきた日本の反共右翼どもを、名指しで、叩き始めるだろう。
なぜなら、中国は、今も、巨大な成長を続けて、貿易黒字も続けて、こんなコロナ攻撃のあとでも、経済成長率で、4.3%(年率換算)を示しているからだ。外国との行き来の人間の動きは、飛行機を止めることで、止めてしまった。全くバカなことをしたものだ。ロックダウンで自分の国の経済と、商店街を殺していて、それで、成長率(本当は、衰退率=デクライン・レイト=)が、マイナス9%(年率換算)になってしまった。アメリカも、ヨーロッパも、日本もそうだ。 バカなんだ。
ただし、中国への片肺(かたはい)飛行による武漢(ぶかん)へのコロナ攻撃は失敗した。だが、ミラノで撒いた別のコロナ株(かぶ)が、アメリカにブーメラン効果(エフェクト)で、戻って来て、政権担当者のトランプを痛めつけたのには、ヒラリー派、ムーニー勢力にとって、「やっただけのことは有った」だ。トランプは、このことに気づいていて、「コロナ・ヴァイラスで狙われたのは、自分だ」と分かっている。
もうこれぐらいで、今日は止(や)めよう。 以下に田中宇(たなかさかい)氏の文を載せる。
それにしても、宇宙の宇(う)を、さかい と読ませる名前を、彼の両親は、戸籍の出生届の時に、決めたものだ。人の名前と住所と、電話番号と、メール・アドレスは、その人を表す、記号であって、他の人たちのために有る。 自分の為に有るのではない。個体識別だ。だから、電話番号や、メール・アドレスをしょっちゅう変える人は、その分、周囲の人の手を煩(わずら)わせているのだと、自覚すべきだ。 副島隆彦記
(転載貼り付け始め)
Subject: [ 田中宇:隠れ支持者がトランプを再選させる ]
Date: 17 Oct 2020
田中宇(たなかさかい)の国際ニュース解説 2020年10月17日 http://tanakanews.com/
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★隠れ支持者がトランプを再選させる
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11月3日の米大統領選挙が近づき、トランプとバイデンのどちらが勝つか、同時
に行われる連邦議会選挙がどうなるか、各種の予測が出回っている。マスコミや
権威筋・エスタブ系の予測のほとんどは、バイデンが勝つと予測している。議会
選挙も民主党が勝ち、上院の多数派が共和党から民主党にくつがえって民主党が
上下両院を制するとの予測が多い。
一方オルトメディア系・非権威筋には、エスタブ(リッシュメント)系と対照的
に、トランプが圧勝して議会も共和党が下院もとって上下院を制するという予測が多い。旧来の常識に沿うなら、頭の良い権威筋が正しく、オルト(オルタナティブ)系は勝手に妄想しているだけ、という話になる。だが、前回2016年の選挙時には、
権威筋がこぞって民主党クリントンの勝利を予測・確信していたのに、結果はトランプの勝ちだった。事後にわかったのは、権威筋が民主党びいきで、世論
調査のサンプルに占める民主党支持者の割合を増やしたりしてクリントン優勢の
方向に歪曲していたことだった。今回も、権威筋の世論調査は民主党側に歪曲さ
れている。権威筋は秀才で正しく、オルト系は馬鹿な妄想家、という旧来の常識
は4年前に崩れた。それなのに今回も権威筋は同じ間違いを繰り返している。
http://www.realclearpolitics.com/epolls/2020/president/us/general_election_trump_vs_biden-6247.html
2020 General Election: Trump vs. Biden
http://tanakanews.com/160927trump.php
優勢になるトランプ 2016
http://nationalinterest.org/print/blog/2020-election/polls-wont-decide-trump-vs-biden-coronavirus-and-economy-will-170583
Polls Won’t Decide Trump vs. Biden. Coronavirus and the Economy Will
エスタブ系の予測で唯一、16年の選挙でトランプ当選をあてた民間調査会社トラ
ファルガーは、今回もトランプが勝つと言っている唯一の予測だ。トラファルガ
ーは他のエスタブ系予測と異なり、トランプや共和党を支持する米国民の多くが
世論調査に対して自分がトランプを支持していることを言いたがらない「隠れ支
持者」である点を加味して予測を出している。また今回の選挙では、2大政党と
も有権者登録する人が増えているが、接戦諸州ではいずれも登録者が増えるほど
共和党が優勢になる傾向だ。
http://texasscorecard.com/commentary/ellis-the-trafalgar-effect/
The Trafalgar Effect
http://www.zerohedge.com/markets/jpmorgans-kolanovic-has-warning-those-expecting-crushing-biden-victory
JPMorgan’s Kolanovic Has A Warning For Those Expecting A Crushing Biden Victory
米国は911後のテロ戦争やリーマン危機以降、2大政党間の分裂や貧富の格差が
ひどくなった。マスコミや学術界、IT企業など新興勢力が握るようになった経済
界など、米国の権威ある勢力はすべて民主党支持者が席巻している。グーグル
(アルファベット)、アップル、アマゾン、マイクロソフト、フェイスブックの
5社が、そのまま民主党の5大献金元だ。インターネットは丸ごと民主党である。
ブッシュ政権がイラク戦争や単独覇権主義で大失敗し、共和党は悪者にされた。
http://www.investmentwatchblog.com/95-of-donations-from-silicon-valley-big-tech-employees-have-gone-to-joe-biden/
95% of donations from Silicon Valley Big Tech employees have gone to Joe Biden
http://tanakanews.com/200820trump.htm
米大統領選挙戦を読み解く
職場からインターネットのSNSまでのあらゆる場所で、共和党支持者が自分の政
治信条を表明するとひどい目に合う。共和党支持者は、マスコミなどエスタブ系
の世論調査が民主党寄りであると知っているので調査に答えない。支持政党なし
とかごまかしを言う。共和党系のケイトー研究所によると、今や共和党支持者の
77%が自分の信条を言いたがらない「隠れ」の状態だ。昔の日本の隠れキリシタ
ンなどと同様、彼らは自分たちの信条を抑圧されているだけに、熱狂的に共和党
やトランプを支持している。今夏の共和党大会への参加者の85%が熱狂者だった。
エスタブ系の諸調査はバイデンが8-12%優勢だと予測しているが、これらの予測
は「隠れトランプ支持」の要素を加味していない。「隠れ」の存在を控えめにで
も加味すると、トランプ圧勝の予測に変質する。
http://www.cato.org/blog/poll-62-americans-say-they-have-political-views-theyre-afraid-share
62% Say the Political Climate Prevents Them from Sharing Political Views
http://www.bloomberg.com/opinion/articles/2020-10-04/the-electoral-antidote-to-america-s-fevered-delirium-under-trump
Electoral Antidote to America’s Fevered Delirium Under Trump
http://www.zerohedge.com/political/gallup-finds-majority-americans-believe-trump-will-win-re-election
Gallup Finds Majority Of Americans Believe Trump Will Win Re-election
http://www.gatestoneinstitute.org/16337/self-censorship-in-the-us
Self-censorship in the US
上記の理由から、私はトランプが再選されると予測している。トランプは、前回
16年に辛勝だったが、今年はもっと余裕のある勝ち方になる。圧勝の可能性も大
きい。前回に予測を間違えたマスコミや権威筋は、今回も間違える。間抜けだ
(米国の一般市民の56%がトランプ再選を予測している。マスコミより一般市民
の方が正しく予測している)。マスコミや権威筋は、なぜ同じ過ちを繰り返すの
だろうか。
http://patriotrising.com/and-just-like-that-the-entire-left-became-covid-conspiracy-theorists-thanks-to-trump/
And just like that, the entire Left became covid conspiracy theorists thanks to Trump
マスコミは諜報界(軍産複合体)の傘下にある。今や諜報界はトランプ側(隠れ
多極主義勢力)に握られている。トランプと諜報界はこの4年間暗闘し、トラン
プ側が勝って諜報界を隠然支配している。トランプ側は、諜報界を通じてマスコ
ミや権威筋が今回の大統領選の予測を間違えるように仕向けている。それによっ
て、米国の覇権維持に必要なマスコミや権威筋の権威を落とし、無力化しようと
している。民主党支持者をぬか喜びさせた挙句に落胆・激怒させ、民主党の左派
が選挙後に全米各地でトランプ敵視の暴動を起こすよう仕向けている。暴動が続
くほど、覇権国としての米国の当事者能力が低下する。
http://www.zerohedge.com/political/trump-tweets-he-leaving-walter-reed-hospital-monday-evening
After Returning To White House, Trump Implores Americans Not To Let
COVID-19 “Dominate Your Life”
11月3日の投票日の当日や翌日に選挙結果が確定する可能性は低い。郵送投票分
の開票などに手間取ると予測される。確定が遅れるほど、双方が相手方の選挙不
正を言い出し、対立が激化し、暴動が悪化して内戦に近づく。選挙結果が信頼で
きるものになると考えているのは、共和党支持者の44%、民主党支持者の74%だ。
残りの米国民は、選挙不正が行われると予測している。
http://www.zerohedge.com/markets/confidence-accuracy-us-election-record-low-gallup
Confidence In Accuracy Of U.S. Election Is At Record Low: Gallup
http://www.stationgossip.com/2020/09/trump-calls-election-fraud-like-youve.html
Trump calls election a ‘fraud like you’ve never seen’ as he attacks mail-in ballots and refuses to say he will accept the results
バイデン敗北により、民主党の主流であるエリートな中道派は政治力が低下し、
民主党は左翼の政党になっていく。2大政党の両方を覇権運営担当のエリート・
軍産が握り、どっちが勝っても似た結果になる米国の2大政党制が崩れていく。
左翼は暴力組織の傾向を強め、トランプの再選を認めず、トランプを追い落とそ
うとする政権転覆の「カラー革命」を米国で試みそうだ。来年1月20日の就任日
までにはトランプ再選が確定するだろうが、その後も左翼はトランプを敵視し続
けて暴動や破壊行為を続け、米国の社会や政治経済の安定や覇権を崩壊させてい
く。同盟諸国は米国に愛想を尽かし、中露と協力する方向に転換していく。米国
の左翼は以前から諜報界に入り込まれており、トランプに戦いを挑み、米国を壊
しつつ負ける「敵」として機能させられている。
http://www.wsj.com/articles/an-american-coup-attempt-11602181261
An American Coup Attempt
http://www.stationgossip.com/2020/09/sen-rand-paul-says-left-wing-mobs-are.html
Sen. Rand Paul says left-wing mobs are PAID, well-organized thugs, confirming they are terrorists-for-hire
米国のプロパガンダ操作を担当する諜報界がトランプ側に握られていることは、
いくつかの状況から推測できる。たとえば、投票日2週間前という今のトランプ
にとって素晴らしいタイミングで、バイデンの息子であるハンター・バイデンが
中国から贈賄されていた疑惑が改めて出てきたこと。ハンターバイデンの疑惑噴
出を受け、ツイッターやフェイスブックといった民主党支持のSNS運営企業が、
バイデンに不利な投稿を削除・隠蔽する動きを開始した。これも、これまであま
り問題にされてこなかったSNSの民主党側への不正な政治偏向を暴露すること
になり、トランプを有利にする。
http://original.antiwar.com/?p=2012341099
Trump Orders Russiagate Documents Declassified So What!
http://www.thegatewaypundit.com/2020/10/breaking-joe-biden-subject-federal-criminal-investigation-role-spygate-activities-ukraine/
Joe Biden is the Subject of Federal Criminal Investigation Into His Role in Spygate and Activities in Ukraine
コロナに関しても、WHOが今のタイミングで都市閉鎖が愚策である(感染対策
の効果がなく、経済的なマイナスが大きすぎる)ことを認め始めた。今回の選挙
で、バイデンがコロナの恐怖扇動に乗る姿勢、トランプは逆にコロナ軽視と経済
重視なので、WHOが都市閉鎖を否定し始めたことはトランプを優勢にする。先
日のトランプ自身のコロナ感染(劇)も、コロナを克服したトランプがホワイト
ハウスに帰ってきた時にマスコミの前でマスクを外す演技など、コロナのインチ
キに振り回されて疲れている米国民のウケを狙ったやらせだった可能性がある。
http://www.naturalnews.com/2020-10-07-cnn-watching-trump-remove-mask-on-tv-will-kill-you.html
CNN says watching Trump remove his mask on TV will kill you
http://www.zerohedge.com/political/cnn-analyst-labels-president-trump-biological-terrorist
CNN Analyst Labels President Trump “A Biological Terrorist”
米諜報界(軍産)は、気に入らない大統領を辞めさせる力を持ってきた。冷戦を
終わらせようとしたケネディやニクソンやカーターは、任期途中で殺されたり辞
めさせられたり再選を阻止された。冷戦後、軍産内で力を増したイスラエルに楯
突いたパパブッシュも再選を阻止された。
ビル・クリントンも軍産を抑圧して楯突いたが、彼は金融界を味方につけていた
ので再選できた。それ以降のすべての大統領が、金融バブルの膨張維持に力を注
いできた。リーマン危機は子ブッシュ2期目の終わりに起きた。金融界は軍産の資
金源であり、両者は相互扶助関係だ。軍産の無力化は、ケネディが試みて殺され、
クリントンが途中まで進めたが苦戦した。トランプは、史上最も軍産の無力化に成功
しており、軍産から再選を阻止されにくい。その観点からも、トランプは再選され
る可能性が高い。
“I Was Aghast” – MSM Attacks Trump For Removing Mask On White House Steps http://www.zerohedge.com/political/i-was-aghast-msm-attacks-trump-removing-mask-white-house-steps
この記事はウェブサイトにも載せました。
http://tanakanews.com/201017trump.htm
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦 拝
【2254】[2648]YouTubeで視聴させていただきました
1018(日)の講演をオンライン視聴させてるいただきましたが、来たるべき日に備えるためのいいお話でありがとうございます。
【2253】[2647]村人は最初に井戸を掘った人を忘れない
初めて投稿いたします。
日本企業で30余年働き、今年から中国企業の顧問を務めております。
たまたま自身の出来事に重ねて中国の故事を調べたところ、日本の歴史の一面にたどり着き、ご紹介したくて投稿しております。
http://www.peoplechina.com.cn/zhuanti/2012-04/20/content_448026.htm
人民日報のページのURLを貼り付けます。
「飲水思源(インシュイスーユェン)」 村人は最初に井戸を掘った人を忘れない、つまり豊かな村の村人は、最初にこの地に来て井戸を掘った=人が暮らせるように水の確保を成し遂げた人を忘れない。の意味です。中国の方は故事成語を使うときに、目の前のことに当てはめる意味ともう少し大きな意味と重ねて使います。1972年日中国交化に向けて当時の田中角栄首相が訪中した際に、同じく当時の周恩来首相が感謝の言葉として伝えたと広く知られています。
ですが上記に貼り付けた人民日報の記事では、トップの政治家ではなく日中国交正常化に尽力した中国や日本の関係の方々を指してこの言葉を用いています。周恩来首相が田中首相に対して、日本に感謝してこの言葉を使ったのか、恩を忘れずに帰ってきたねと田中首相を誉められたのか、当時の日本のメディアには読み取れなかったのかも知れません。
この記事の中にもう一つ、小さなことと大きなこと、2つを重ねて表現する中国の人の事例が見つかったので今回投稿しました。記事の中で日中友好の場に居合わせた米国卓球代表団が周恩来首相の招きに応じて訪中し、毛沢東主席が「小さな球が大きな球を動かした。」と表現したとあります。小さな球はピンポンのボールですが、大きな球は地球、言い換えるとピンポンが扉を開いた世界情勢を指して毛沢東が発言したのでは無いかと思いました。
日中友好のイベントの中で朝鮮戦争以後交流のなかった中米の交流の兆しが芽生え、その後に訪中した田中首相に周首相が貴方は恩を忘れない/貴方の恩を忘れないと伝えた。世界に先んじて公の場で中国を認めた日本を妬んだ欧米諸国によって田中首相は前途を閉ざされましたが、その先見の明により世界に戦後をもたらした功績は大きいと思います。
安倍総理が就任直後に最初の訪問国として中国を選ばれたこと、2009年の平成天皇と習近平副主席との特例会見設定など、日中の政治家は双方を尊重した行為を以後も続けておられます。
表向きは米国重視の姿勢を保ちながらが、メディアに同調表現を流布させながら水面下で過去の双方の恩を返す、もし私の想像通りなら私の将来も明るいのでしょう。
【2252】[2646]『秀吉本』のブックレヴューと、誤記・誤植の訂正一覧
拙著『秀吉はキリシタン大名に毒殺された』は大型書店の日本史コーナーで、平積みか面陳(めんちん 表紙を見せて立てて販売)してあります。
『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛を込めて書いたので読んでください』
の著者の藤森かよこ先生にも、次のような書評を頂きました。またその下のおふたりのブックレヴューのように、高い評価を頂いております。
また、お読みになられた方はアマゾン・ブックレヴューに投稿して頂けると幸いです。
続編もできるだけ早く出そうと思います。
(以下、アマゾンの拙著のブックレヴューより一部を引用)
●日本アイン・ランド研究会(_藤森かよこ先生)
5つ星のうち5.0 「キリシタン研究を通して浮かび上がる世界の中の戦国時代末期と江戸時代初期の日本!続編大期待!!」
学問的な労作である。説得力あります。非常に勉強になった。同時に面白く読み進めることができる歴史ミステリーの趣もあった。日本史への見方を衝撃的に変えます。
なによりも、キリスト教に感化されなかった信長と秀吉と家康の偉大さ、ニーチェに匹敵する「自分の外部に依拠するものを持たない」精神の無頼さとファンタジーに逃げないリアリズムが、為政者の資質であるという著者の示唆に感銘を受けた。
(以下は長文のため中略。)
私(藤森かよこさん)の感慨。
(1) それほどにも日本で広まったキリスト教のいったい何が日本人の心に響いたのか?仏教も神道も与えることできなかった救済とユートピアへの希望か?弱者のルサンチマンの吸収装置であるキリスト教は、形を変えて人類史に生き続けている。社会主義や共産主義として。キリスト教の魅力って何?やっぱ救済とユートピアの甘美さ?
(2)明治まではキリシタンの歴史は隠されなければならなかったにせよ、明治以降もキリシタンの日本史における影響の大きさが日本史研究において正当に認識されていないのは、なぜか?
(藤森かよこ先生の書評ここまで 全文は↓のほうの記事にある拙著のアマゾン紹介で読めます。)
●星のうち5.0 「日本史におけるキリスト教影響の甚大さを痛感させられる「問題作」か」
(2020年10月8日)
「織豊・徳川政権」「キリスト教」「茶の湯」「安土桃山文化」が全て必然的につながっていたことを大きく提示している。キリスト教が台子(デウス)茶、天守(天主)閣、九谷焼、狩野派絵画など、今日「日本らしい文化」とされているものを数多くもたらし、それらが単なる文化の話でなく政治抗争の流れから明快に説明されていることに意義があるだろう。
また「キリシタン」一般でなく、「キリシタン大名」という存在にスポットを当て、「転向」という日本の現代政治思想にもつながるテーマから、戦国大名の行動原理に切り込んでいく視座も特異である。「転向」は覇権国の周辺国につきまとう宿命なのかと考えさせられる。「転向」(キリスト教の棄教)をうまく利用し、関ケ原を制した家康の戦略に対する考察も興味深い。
終章の「忠直卿行状記」の真相も衝撃的だった。
タイトル「毒殺」がどぎついのでそこに目が行ってしまいがちだが、世界覇権国の支配戦略から「日本文化」まで解き明かそうとする意欲的な著作といえる。
●「5つ星のうち5.0 日本人が知らない真実の日本(近世)史」
2020年10月9日
田中進二郎氏、初の単著である、この本は、監修の副島氏2018年の『日本人が知らない 真実の世界史』の日本近世史版だ。
この2冊の本の構造は同じである。
それは、副島氏の独自の自説である、「帝国―属国理論」、「政治と経済は貸借を取り合ってバランスする」という理論に、副島史観ともいうべき、人間が持つ「食べさせてくれ理論」、遊牧民の「ドドド史観」、最後は人類の脳が取りつかれる「熱狂史観」の3つを加えたものだ。
田中氏の本書も相似形だ。
もう少し言えば、日本が西洋世界に発見された1543年の種子島への鉄砲伝来によって、それまで東アジア中心の日本国の歴史が、西洋世界ともつながったことによる余波である。その余波は巨大なもので、権力者たちばかりでなく庶民たちの生活や信条まで及んだ。その結実が、天才、信長なのである。
しかし、その余波が余りに巨大なものだから“日本史(=国史)”の学者たちは、正面から対峙することが出来ない。何でもかんでも、日本国内だけで物事が完結したように“ゴニョニョ”と訳も分からない事を言うだけだ。
本能寺の変(1582年)の22年後の1605年にイエズス会は英国で同じ事をしようとして未遂に終わった。これは火薬陰謀事件(Gunpowder Plot)としてウィキペディアにも載っている。もはや時代は、文献(それも日本の)だけを奉る歴史学者たちより、市井の人間たちの方が深い理解に達している。それは、田中氏も本書の中で言及しているが、NHKスペシャル『戦国~激動の世界と日本~』などにも現れている。
世の中、「教科書に書いてある日本の歴史ってなんか変だ」という空気(ニューマ)、精神が誕生しつつあるように思う。それは、近代500年が大きな転換にあるからだ。近世は現代へと一直線に続いている。
●以下は、『秀吉はキリシタン大名に毒殺された』の誤記、誤植の訂正一覧です。
本をお持ちの方は、直しておいてください。
副島先生の推薦文より
P4 9行目 清正は生涯、秀吉にX臣臣して、→〇 秀吉に臣従して
主な登場人物の生没年のページより
高山右近の生年 X 1555年→ 「〇1552年から1553年にかけて」
p19 最後の行 Xイギリス国教会は今でも長老派教会(カルヴァン派・プレズビテリアン)
として続いている。→長老派教会(ハイチャーチ・プレズビテリアン)として続いている。
(カルヴァン派はローチャーチで、国教会から弾圧されていた。副島先生から間違いだと指摘ありました。)
p21 3行目 羽仁五郎著X『ミケランジェロ』(1968年刊)→『ミケランヂェロ』(1939年刊)
p21 6行目 ロレンツォ豪華王は、それよりもX30年前にローマ教会によって暗殺された。
→「40年前に」に訂正 (1492年 メディチ家のロレンツォ豪華王はコロンブスの新大陸発見の年に死んでいます。ボッティチェッリはその後、怒りのあまり、発狂していく。)
p37 11行目(ザビエルと会ったのは)千利休(田中与四郎)はX27歳→〇29歳
p39 後ろから三行目 明から程大位著『算法統宗』(さんぽうとうそう)という算術書が伝わる。→(ソロバンの)算術書が伝わる。
日本では、京都の僧侶たちが、いち早くソロバンに熟達した。
p44 5行目 X「つまり 鉄砲の国産品の鉄砲は」→「つまり国産品の鉄砲は」
p59 5行目 X近江の三方ヶ原の戦い→〇遠江国(とおとうみ 静岡県)の三方ヶ原
(近江は京都から近い湖=琵琶湖、遠江は浜名湖をさしている)
P61 最後から2行目 『武士の日本史』( 岩波新書刊)→「高橋昌明著」を入れる。
p83 6行目 日本の天皇は中国の北極星を意味する→「天皇星」からとってきた称号だ。
→北極星を意味する〇「天皇大帝(てんこうたいてい)」からとってきた称号だ。
( 参考: 副島隆彦・斎川眞著『天皇とは北極星のことである』PHP刊 p36より)
(つまり「天皇」という称号は中国古代王朝からのパクリだった、ということ。 )
p130 ・p133・p134に引用したルイス・フロイス『信長の死について』の訳全文は、
浅見雅一著『キリシタン教会と本能寺の変』(角川新書 2020年刊)の史料編に、掲載されている。
p162 1行目 (高山右近はバテレン追放令ののち、)X内藤ジョアン(如安)とともに、領国の明石を去って、小豆島にしばらく潜んだ。
→内藤ジョアンはこの頃、小西行長の家臣だった。高山右近が小豆島に潜んだときに、ジョアンが行動を共にしていた。なお小西行長が関ヶ原で敗死したあとの1602年に、ジョアンは金沢へ落ち延びている。
p162 6行目 X「加賀の七尾」y→?〇「能登国の七尾」
(七尾市は能登半島にある)
p163 7行目 「日蓮宗・本行寺というのは、X江戸の浅草、下関、高槻にも点在している。」
「江戸の浅草」を消してください。浅草の本行寺は、浄土真宗の何の変哲もない寺らしい。
p166 2行目 「九谷焼のルーツの古九谷(こくたに)は、もともと加賀藩三代目藩主の前田利常が、洗礼盤としても使えるように、絵付けさせ焼いたのが始まり、と孫崎紀子(まごさき・のりこ)氏は証明している。」
金沢から南に離れた、蓮代寺(れんだいじ)という寺で密かに、1637年に作らせている。
蓮台寺の窯は洗礼盤を焼かせた後、前田藩が徹底的に破壊して、幕府の公儀隠密に疑われないようにした。藩主の利常がこれだけ警戒した理由は、二代藩主・前田利長が、幕府の忍者に殺されたためではないか?高山右近がマニラに追放された1614年に、利長は急死した。
同じページの次の段落で「大聖寺」で九谷焼を作らせたのは、その二十年あとの1655年のこと。これが一般に「古九谷」と呼ばれている。大聖寺藩という前田の支藩が、加賀の小松の南に置かれていた。その大聖寺をずっと山奥に入ると九谷村がある。
(古九谷は最初は蓮代寺で、のちに大聖寺藩の九谷村で密かに焼かれた、ということ。)
p171 3行目 誤植 「として破壊を進めた」を消す。
p180 3行目 X「宗教革命」→〇「宗教改革」
p183 10行目 「本当は小西軍が漢城(ソウル)にX入場した時、」→〇「
入城した時」
p192 8行目 「生まれたばかりの秀頼(お拾)が、成人まで育つというX確証はない。」
→「保証はない。」
P200 「スペイン宮廷ウォルシンガム」→「ウォルシンガム」を消す。
P205 最後の行「1906年」は「1609年」の間違い。
P213 1行目 「片桐且元はXどっちつかずで、最後までふらふらした。」
→片桐且元は家康側について、大坂城の内偵をした高等スパイである。
P219 最後の行 X「毛利輝元」→「毛利秀元」(ひでもと)
P224 「当時の南蛮人バテレンというのは、ロザリオをつけたX東大教授のようなものである」(六城雅敦著『隠された十字架ー江戸の数学者たち』)
→〇「ロザリオをつけたMIT(マサチューセッツ工科大学)教授のようなものである」
(六城雅敦氏の「隠れた十字架」p57)
P227 後ろから4行目
「(宇喜多秀家)の正室・豪姫は実家の加賀の前田家に戻って、」
補足: 1602年から1608年まで、豪姫は京都で秀吉の正室・北の政所に面倒を見られた。
その後、金沢へ行った。母である、利家の正室・まつが豪姫の面倒を見た。
P227 後ろから2行目 「関東平野の利根川の湿地に、キリシタンは多く隠れ住むことになった。」
補足:「戦国時代に採掘が始まっていた足尾銅山(栃木県)にも、キリシタンが隠れていた。」
p232 6行目 「1619年(板倉)重昌は彼らを牢につないだが、」
→「重昌は京都の耶蘇教の信者を牢につないだが、生かしたままにしていた。」
P234 2行目「領国で乱行な振る舞いが続いたため、」→「領国で乱行が続いたため、」
P234 4行目 「菊池寛の短編小説『忠直卿行状記』」
補足:(1918年発表)
p237 最後の行 忠直配流のf3年前→「f」を消す。
田中進二郎拝 2020年10月11日
【2251】[2645]Re : 日本学術会議会員任命問題
日本学術会議法
http://www.scj.go.jp/ja/scj/kisoku/01.pdf
第17条に
日本学術会議は、二百十人の日本学術会議会員をもつて、これを組織する。
とあります。
ということは、欠員が生じたままでは明らかにこの条文を破っているわけです。
相田英男氏が「朝日新聞の高橋真理子氏はよくわかっている」とおっしゃる通り、高橋氏はこの点も指摘しています。この条文を遵守するためには、内閣総理大臣は、学術会議が推薦してきた会員の中に不適格な候補者がいて、その者を任命できないという場合には、学術会議に向かって不適格と判断する根拠を示し、代わりの候補者を推薦するよう説得する義務があるでしょう。
それをしていないのに「法律にもとづいた判断だ」と強弁する人たちが指導層を形成しているということになると、諸外国の知識層から見て「日本はまともな法治国家ではない」という評価になってしまうのは当然のことだと思いました。
【2250】[2644]日本学術会議の行く末に期待する
相田です。
短く書きます。
日本学術会議という、あまりにもマイナー過ぎる団体の存在が、今になって、俄然、世間の注目を集めている。
私は、学術会議の会員だった訳ではなく、学術会議員に選ばれるような立派な研究者でも、未だかつてない。しかし、今回騒がれている問題の原因については、日本でもトップレベルの知識を自分は持っている。その自負がある。
そもそもは、私が原発の歴史を自己流で研究する際に、1953年の「茅・伏見提案」について詳しく調べたのがきっかけだった。その舞台となった「日本学術会議」とは、一体どのような組織なのか、興味を持った。自分で納得行くまで、資料を集めて調べた。
驚いたのは、学術会議を作る際に、マッカーサー配下の軍人達や、ニューディーラーと呼ばれる左翼知識人達が、積極的に援助していた、という事実だった。これは、副島先生の「属国日本論」そのものの世界ではないか、と、私の目から鱗が落ちた。
現在の学術会議という組織の、わけのわからなさは、発足当時の複雑な情勢に由来するものである。学術会議の成立過程については、広重徹が情熱を込めて書き残している。私は広重の幾つかの著作を手元に置いて、今でも折りを見て読み返している。なので、現在の学術会議員の当人達以上に、問題の状況がよく理解出来る。
新たに就任した首相のしでかした、最初のチョンボになったせいで、学術会議に関する新たな新聞のニュースや、識者のコメントが、毎日ネットに掲載されている。こんな情勢になるとは全くの想定外だった。私は今、出来る限りの記事に目を通している。
私は、広重や武谷三男が今でも生きていたら、どのように熱くコメントしていただろうか、と、思いを馳せずにはいられない。
今回の件については、コメントを書く多くの著者が、どの程度のレベルの見識や、勉強量を持っているかが、私には手にとるようにわかる。なので、大変興味深い。「この人は、よくわかっているな」と、私が思うのは、自民党の船田元(ふなだはじめ)代議士と、朝日新聞の高橋真理子氏くらいだ。この二人は、かつての当事者だったり、よく事情を調べられていたりして、内容に説得力がある。他の論者はみんな、とりあえず何か言っておくか、というノリで書く様子が透けてしまい、中身があまりにも薄過ぎる。
今から、広重の本を読み返して学術会議の勉強しようとしても、茅誠司、ハリー・ケリー、嵯峨根遼吉、小倉金之助、兼重寛九郎、矢内原忠雄、などの古い学者の名前に困惑するだけだ。内容を理解する頃には、ブームは終わっているだろう。
もうすぐ開催される臨時国会で、学術会議案件は、野党による追求案の筆頭に挙げられている。私は成り行きを期待して見守るつもりだ。学術会議がこれからどうなるか、よりも、外からコメントする識者達が、どの程度の見識とやる気を持って、記事を書いているかが、私には丸わかりになる。そっちの方が大変楽しみだ。書かないで済ませて、やり過ごした連中も、しっかり覚えておくつもりだ。
相田英男 拝
【2249】[2643]副島隆彦学問道場の方々への御礼
副島隆彦学問道場の方々へのお礼 田中進二郎
拙著『秀吉はキリシタン大名に毒殺された』(電波社)が、学問道場の皆さまの、様々なご支援によって、想像していないほどの反響を頂いております。
Amazon売れ行きランキングで、
戦国・安土桃山時代1位(ベストセラー)ただ今2位
歴史学 8位
日本史総合 22位
地理・歴史 62位など
驚異的な人気を頂いております。
昨日やっと、Amazonなどから、本が届いた方も多いかと存じます。
なお、今朝(10/4)、朝日新聞1面下に拙著の広告が、電波社から出ましたので、朝日新聞をご購読の皆さまは、ご覧ください。
自分でも何が起こっているのか、よく把握できておりませんので、これで失礼します。
秋の休日にご一読くだされば、幸いです。
ますますのご支持給わりますよう、お願い申し上げます。
田中進二郎拝
【2248】[2642]日本学術会議の問題についての核心
相田です。
最近はおちゃらけた投稿ばかりでしたが、今回はマジで行きます。
新たに総理になった菅氏が、日本学術会議のメンバー数人を承認しなかったと、物議を醸している。それに関する記事の一つを引用する。
(引用始め)
2020/10/3 16:00 (JST) ©株式会社京都新聞社
社説:学術会議人事 萎縮生む不当な介入だ
学術の立場から政府に政策提言する「日本学術会議」の新会員について、菅義偉首相が同会議推薦の候補者105人のうち6人を任命しなかった。首相が一部の候補者を「排除」した形だ。法律上、会員の任命権者は首相だが、現在の制度下で推薦された候補者が任命されなかったのは初めてだ。
加藤勝信官房長官は「任命する立場に立って、しっかりと精査していくのは当然」と述べ、法律に基づく判断だと強調した。だが、なぜ任命しなかったのかについては明らかにしていない。理由を示さず一方的に人事に介入することは、政府への過剰な忖度(そんたく)を生み、会議の活動の萎縮につながるおそれがある。学問の自由を著しく侵害する行為だと言わざるを得ない。
学術会議は日本の科学者を代表する組織として、1949年に設立された。「学者の国会」とも呼ばれ、前政権下では防衛省による軍事研究への助成制度を批判するなど、政府から独立した立場で提言を続けてきた。会員には、高度な専門性が求められる。このため、学術会議は各分野の代表となる会員候補を推薦し、政府もこれを尊重してきた。
ところが今回、菅首相はこの慣例を変えた。任命しなかった6人には、共謀罪の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法に反対したり、安全保障関連法案の審議過程で違憲性を主張したりした学者が含まれている。法律上の任命権を盾に、前政権の政策に異論を唱えた人物を外したと受け取られても、仕方あるまい。
懸念されるのは、今回のケースが、政府に恣意(しい)的な人選を認める前例となることだ。菅首相は、官房長官時代から官僚組織の掌握に人事権を活用してきた。総裁選中に出演したテレビ番組でも「反対するのであれば異動してもらう」と明言している。科学者に対しても、首相自ら人事権を握っておきたいとの意向なのだろう。
無難な勧告や提言だけしていればいいと言わんばかりの対応では、専門的な知見を政策に生かす機会が奪われよう。政府にとってもマイナスになるのは明らかだ。学術会議はきのうの定例総会で、菅首相に対し、任命を見送った理由の明確化と、改めて6人を任命するよう求める要望書の提出を決めた。政府は真摯(しんし)に応じるべきだ。
(引用終わり)
相田です。
さて、今回の問題で騒いでいる政治家や、マスコミ関係者の中で、日本学術会議というものが、そもそもが、どういう目的で作られた組織なのか、正確に理解出来ている人物はいるのだろうか?
おそらく誰もいないだろう。
学術会議の別名が「科学者の国会」と呼ばれる、その本当の理由も、騒いでいる連中の殆どは知るまい。70歳以上の、大学出の方々はご存じであろうが。
学術会議が終戦直後に作られた詳しい経緯を書いた本は、今では簡単には見当たらない。科学史家の広重徹(ひろしげてつ)が残した「科学の社会史」、「戦後日本の科学運動」か、同じく、科学史家の中山茂がリーダーとなって、トヨタ財団の支援でまとめたプロジェクトの成果である「通史 日本の科学技術」(全5巻)、を読めばわかる。物理学者の伏見康治(朝永振一郎よりも数学の能力が高いといわれた人物)の自伝「時代の証言」にも、学術会議の発足についての記載がある。
しかし、令和の今になり、これらの古い本を読む方は、殆どいないだろう。
結論をいうと、日本学術会議の設立は、日本の科学体制の歴史を辿る中で、最重要の出来事である。断言できる。
私は自著の「東芝本」に、上記の本を参考にして、学術会議の結成についての経緯を、ざっくりと書いた。読んだ人は殆どいないだろうが・・・。ちなみに元になった原稿を、「重たい掲示板」の過去ログに残しているので、興味がある方は辿っていただければよい。物好きの方がいれば、であるが。
日本学術会議とは、1949年に、日本国が米軍の支配下にあった時代に発足した学術組織だ。その目的は、戦前の旧い学術組織を全て解体して、一本化し、現場の科学者達の手に、取り戻す事だった。文科、理科の両方における日本の学術分野の全体の方針を、科学者達自信の代表により決定するために、学術会議は作られた。学術会議員の選抜はは、科学者達による直接選挙であった。直接選挙で選ばれた二百数十人の学術会議員の合議により、日本の学術方針を決める場が、本来の学術会議だったのだ。
しかし、1980年代に体制が変わり、議員の選抜は直接選挙から、科学者同士の推薦による方式となった。そこで推薦された会員候補者を任命するのが、総理大臣の役割だと、現在の学術会議法には定められている。だから法律に則って、今回は相応しくない学者達6名の任命をしなかった、と言うのが、菅総理の説明らしい。
さて、道理の上からは、菅総理の言うことは全く正しい。しかし、相手の科学者達の気持ちは、これでは絶対に収まらないだろう。学術会議の役割には重要な不文律がある。菅総理の判断は、その伝統的な不文律を踏みにじる行動だからだ。
その不文律について、伏見康治(昭和53年から57年まで学術会議長を勤めた)は、「時代の証言」の中で、発足当時の学術会議法を引用し、次のように語っている。
(引用始め)
日本学術会議法
第1条第2項
日本学術会議は内閣総理大臣の所轄とする。
第1条第3項
日本学術会議に関する経費は、国庫の負担とする。
この第1条第3項が注意が必要である。およそ国の機関で国費で賄わないものがあるだろうか。国の他の機関の設置法で、こういう条項のあるものがあるだろうか。これは日本学術会議が実は国の機関ではなく、政府から独立したものであることの実際上の保障なのである。日本学術会議の運営上の事務を担当する事務局があるが、この部分は政府の一部なのである。科学者の会員が色々な会合を催すのに必要な費用も国が負担する。しかし会員の集合体である日本学術会議の本体は、政府と全く独立して物を言うことができる。時にはその時点での政府の政策に対して、真向から反対する意見を出してよい訳である。
(引用終わり)
相田です。学術会議は総理大臣の直轄下に置かれた理由は、総理大臣に科学知識の助言を行うためで、等はない。学術会議を政府と切り離した、完全な独立組織とするためである。伏見によると、政府の意向とは完全に独立に、場合によっては政府の意向に反してでも、自由な発言権を科学者達の代表に与える事が、学術会議には当初は許されていたのだ。
発足当初の学術会議は、世界的に見ても例のない、過激な民主主義の理想の下に作られた組織だった。GHQ -SCAPにいたニューディーラー(多くはアメリカ共産党員だった)の、意気込みを受けて作られたからだ。
ニューディーラー達は、日本の科学者達に、自らの考えにより、国家の学術体制の理想形を作るように、強く訴え続けた。アメリカ側との連絡を取り持ったのは、「リエゾン」と呼ばれる、学術分野毎に分かれた、能力の高い若手研究者の少人数のグループであった。
学術会議の準備段階で議論されたアイデアの一つには、「科学および教育に関するあらゆる政策、研究費の決定・配分の案を決定し、国会の決議を得たうえで政府にその執行を命令し、監督する権限を持つ “最高科学者会議” を設置せよ。最高科学者会議のメンバーは、科学者による直接選挙で選べ」という、過激な案まであったという(広重の著作による)。さすがにそこまではやりすぎだ、ということで、「科学者の意見を政府に提言する組織」という内容で、落ち着いたらしい。
学術会議発足後の、占領下での国が貧しい時代には、日本の学術に関する重要事項の全ては、学術会議の議題として審議され、承認を受けた後に政府で実施されていた。文字通り学術会議が、日本の科学体制の司令塔として活動していた。しかし、朝鮮戦争を経て経済復興が本格化すると、学術会議のまどろこしい議論を待つ余裕が、経済界や政府には無くなって来る。1954年に当時は駆け出しの若手議員だった中曽根康弘により、「原子力予算」が国会に提出され、成立した。これをきっかけに、科学技術庁が学術会議とは別に設立される。科技庁を通じた研究開発予算は、学術会議の審議を経ることなく、研究現場に行き渡り始めた。
このように自民党の政治家達により、学術会議の当初の権限は、徐々に切り崩されていった。一方で、学術会議側にも問題が生じていた。議員を直接選挙により選ぶ仕組みを利用して、レッドパージにより農林省を追放された、農学者の福島要一(ふくしまよういち)や、同じく国立科学博物館を追放された、古生物学者の井尻正二(いじりしょうじ)等が、20年以上に渡り議員に在職し続けるという、部外者から見てあまりにも不可解な事象が生じていた。
彼らのような、組織に属さない在野の研究者でも、政治思想的な影響力を駆使することで、票を集めて議員になる事が出来た(当時は学術会議員の当選回数には制限は無かった)。右翼議員として名高い森山欽司(もりやまきんじ)から、「アカの巣窟と化している」と罵倒された、日本原子力研究所(原研)の、労働組合(原研労組)のリーダーだった中島篤之助(なかじまとくのすけ)も、学術会議員を長く務めていた。
森山が科学技術庁長官時代に起こった不祥事を、国会で追求する際に、中島は共産党議員から何度か、証人として国会に呼ばれている。中島の発言が始まった途端に、森山が「お前のようなものが、どうしてこの場にいるのだ」という嫌味を述べたのが、国会の議事録に残っている。
結局、1970年代になると、高い理想を掲げていた学術会議の中に、多くの矛盾が存在することが露呈するようになる。そのような状況で、自民党議員達から、かねてから反政府的な発言を繰り返す学術会議員への対応として、直接選挙から推薦方式への選抜方式の変更が、要望として出された。伏見康治が会長の時代に、なし崩し的に、学術会議法は自民党により修正される。これにより、直接選挙による学術会議の体制は終焉を迎えたのだった。
科学者自身による直接選挙のしくみが奪われたことで、学術会議の理念は実質消滅した。当時の覚書として、政府は学術会議が挙げた推薦人について、口を挟むことはない、と述べた内容が、議事録に残っているらしい。しかし、菅総理は今回、その約束を反故にした。長くなったが、そういう経緯である。
はっきり言って、現状の日本学術会議は、あっても無くてもどうでも良い、老人達の寄合のような集団に過ぎない。このまま時を重ねれば、自然に忘れ去れる存在だと、私は思う。しかし、学術会議を店仕舞いするのであれば、単に終わらせるだけではいけない。設立時に唱えられた崇高な理念が、現実のものになったのか、理念が未だ実現しないのであれば、どうすればよいのか、きちんと総括しなければならない。それこそが、後を継ぐ者の責務である。
学術会議が成立した時、菅総理は物ごごろつかない赤ん坊に過ぎなかった。秋田の田園の中で、首が座るかどうかの幼児がのんびりと過ごす同じ頃に、東京では多くの学者が集まり、米軍の監視の下て、激しい議論を交わしていた。科学技術の力が劣った故に廃墟にされた日本の社会を、科学の力を正しく使うことで復興させることを目指して、科学者達は理想をぶつけ合っていた。その事実をせめて認めて、その意思を(形だけではあるものの)受け継ぐ、今の学者達に対して、僅かでも理解を向けてもらえないのか。
菅総理はそんなことは、恐らくは、全く関知しないであろう。科学者達の怒りは、そこから発しているのである。
最後に書くが、自分よりも弱い相手に対して、厳しい道理を説いて、バッサリと斬り捨てるのも、仕方がないのかもしれない。しかし、それならば、今度は、自分よりも強い相手に対峙した際に、相手の道理により切り捨てられることを、今から覚悟すべきだろう。
相田英男 拝