重たい掲示板

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柴田寛喜 投稿日:2011/03/29 02:10

【311】[338]原発流民

こんばんは。山形県の柴田寛喜(しばたひろよし)です。

副島先生の論を読み解くと、為政者は放射能に過剰に反応し、ありもしない危機に対する責任回避を行っている、と思われます。

原発の真実を隠すというような大それた陰謀を企てているのではなく、自己保身に走って、現実逃避しているだけなのではないでしょうか?

健康被害への責任を取りたくないという気持ちと、パニックの責任を取りたくないという気持ちが重なって、「自主退避」の促進を図っているのでしょう。

そうやって責任を曖昧にすることは珍しいことではありません。

責任回避に向ける情熱のすごさは、多くの方がお分かりだと思います。

私、地元の温泉にて福島県から避難されたご老人が話しているのを耳にしました。
移動につぐ移動を重ね、そのことを気丈に話しておられましたが、なおさら「流民」の悲哀が伝わってきました。

不適切かもしれませんがどうしても「流民」という言葉がしっくり来るのです。

日本人は動乱を起こさないのが立派だと信じていますが、それは素晴らしい面と哀しい面があります。

フクシマの人にはさまざまな意味でふるさとを返せと叫ぶ権利があります。

私たちも折を見てその一助を努めなければならないと思います。

見当はずれだったらごめんなさい。

中西省司 投稿日:2011/03/28 21:11

【310】[337]福島の野菜を買いに来られる 田山晃さん 

いわき市在住のNo.5161中西と申します。
田山さんの勇気ある行動に感謝して、いわき市内の現況を報告します。
いわき市小名浜は原発50km地点にあります。30km圏内ではありません(市の北端にある久ノ浜は30km圏内にかかります。副島先生が来られる四倉は30km強の圏外になります。ちなみに私の家は市の中央部にあり40km地点です)。
現在いわき市内では大手スーパーも含め野菜を売っているところが極端に少ない状況です。福島産だけでなく、どこ産の野菜も入ってこない、野菜だけでなく一般食品もほんのわずかしか入らず店を開けるとあっと言う間に完売してすぐに閉店となります。
いわき市民としては地元野菜でも何でも買えればすぐにでも買って食べたいのですが、販売量が少なくどこの店で売るかがわかりにくく、販売情報が入ってもすぐに売り切れてしまいます。決して買い占めたいのではなく、今日や明日に食べたい物を求めているので、いつ食べ物が無くなってしまうかという恐怖感もあります。年齢の行った人間にとって’すぐには健康に影響の出ない’程度の放射能など全く気にするものではありません。摂取を禁止して畑に生えているものをつぶす様なもったいないことをせず、事情を理解して食べたい人には好きに食べさせるような、物を大事にする施策をとることはできないのでしょうか?
その他、ガソリンも同じ状況で販売予定のスタンドは早朝から長蛇の列ができ、3時間待ってようやく高騰したガソリンが3千円分だけ入るということがいまだに続いています。
いわき市は3台から4台車を持っている家がたくさんありますが、これは豊かなためではなく車がないと生活が出来ないからです。ガソリンが無いと働きに行くことが出来ないし、食材を買いに行けなくなってしまいます。
したがって現在多くのいわき市民は物の不足により生活が大変困難な状況にあります。
このようになっているのは、いわき市内すべてが原発30km圏内と思われているため、物流トラックの運転手が放射能を恐れていわき市内に入ってきてくれないことによりわずかな物資しか入ってこないことが大きな要因になっています。
このままでは住民が離れ定って、いわき市が崩壊してしまうかもしれないという懸念もあります。
皆様のご協力をいただけますようお願いします。

田山 晃 投稿日:2011/03/27 21:31

【309】[336]福島の野菜を買いに行きます。

 会員No6479 田山晃といいます。父親の親戚が小名浜、久の浜、折木という場所にいます。みんな埼玉草加市と足立区へ避難してきています。
 小名浜、久の浜、折木の家は津波に流されずに済みました、ただ原発から30km圏内という事もあり不安だということです。親族はメディアを信じる人達ばかりなのですが、副島隆彦さんの活動を知れば安心して戻れると思います。
 
 副島隆彦さんと弟子の方々が活動してくれる事を親戚にも伝えます。どんだけ心強いかと思います。
 自分は福島まで行って野菜魚肉を買って食べてみんなに安全と伝えたいと思います、それぞれ、ツイッターやら日記やらで広く伝えられると思います。自分はmixiの日記で伝えたいと思います。
 
 副島先生達の活動場所が決まり次第住所などを教えていただきたいと思います。野菜を買いにいくと同時に差し入れを持って行きたいです。そして親戚に福島は大丈夫と自分が言いたいと思います。書き込み待ってます。
 こんな自分でも世のため人のためになる事をしたい。だから福島の野菜を食べます。 
 

 
 

Ms.K 投稿日:2011/03/27 15:17

【308】[335]再び、双葉町。

土曜日にも双葉町に行きました。

朝4時に家を出て、5時に米沢に着き、ガソリンスタンドで

9時の開店を待つ。米沢はまだ山形よりも恵まれていて、

満タンつめてくれるし、5時で前から3番目だった。

スタンドでガソリンを詰めたあとは、ホームセンターで

9時半まで開店を待って、

しこたま犬とねこのえさを買い込んで(約50kg買った)

一路福島をめざしました。

うちから双葉町まで、片道約170kmの道のりです。

火曜日と水曜日に解放した犬とねこにえさを配り終えて、

土地勘ない場所で、地割れで行く手を阻まれたりして

作業はなかなか進まない中、日暮れまでがんばりました。

土曜日解放した第1号。

土曜日の第2号。

水曜日に解放した犬。PTSD気味で鬱っぽい。

家の中から ぞろぞろと出てきた猫。やせようがひどい。

これも水曜に解放したやぎ。ちゃんと家で家人の帰りを待っている。

町を望む。左手の白い建物が小学校。

美しい双葉町の田園風景。

なにも怖くないのに・・・知ってさえいれば。

インフルを怖がるひとたちに、なにを説明してもむだなのかな、とも思う。

でも、いまならまだ、間に合います。

どうか、飼い主のひとに少しのあいだだけ、家に帰ってきてほしい。

政府も一時帰宅を検討始めたとのニュースが流れている。

でも、そんなの待たなくても大丈夫です。

動物たちもそろそろ限界です。

114号線、浪江の入り口の検問所では、どんどん軽装になって

この日、ちょうど検問所のところにあるガソリンスタンドの車列をさばいていた

自衛隊の人たちはみな、普通の紙マスク一枚でした。

ガソリンじゃなくて双葉町のうちに帰るっていうと、笑顔で本線に誘導してくれました。

つまり、だれでも、普通に帰れるのです。

避難所の人がこの記事を見ることはないかもしれないですが、

縁のある方はどうぞ、教えてあげてください。

どうか宜しくお願いいたします。

大内なんでかな 投稿日:2011/03/27 13:48

【307】[334]遺体安置所の写真がニューヨークタイムズに載ってるぞ

遺体安置所の写真がニューヨークタイムズに載ってるぞ

http://news020.blog13.fc2.com/blog-entry-1375.html

磯貝 太 投稿日:2011/03/27 11:58

【306】[333]会津若松市民です。

母が避難所でボランティア活動をしています、避難生活が長引いて被災者の方々は相当ストレスが溜まっているようです、子供たちは目の前で配給のおにぎりをゴミ箱へ爺さんにはこんな冷たいもの食べられるかと食事を投げつけられたそうです。酒をだせと暴れている方もいるそうで、やはり長引く避難所の生活、何かストレスを発散させてあげないといけないのでしょう。これからますます、被災者が会津へやってきます、どう受け入れてあげればよいのでしょうか?

乱筆で失礼しました。

副島隆彦 投稿日:2011/03/27 07:04

【305】[332]副島隆彦です。今日のぼやき の方に 私の「報告文 9」を書いて載せました。

副島隆彦です。 たった今、

今日のぼやきの広報ページに、 「1204」番として、「  明日からまた弟子たちと福島に行きます。原発の放射能の測定を続けます。四ツ倉海岸に活動拠点を作ります(報告文 9)。 2011.3.27 副島隆彦」を載せました。 ご覧ください。

私は弟子たちと福島に行きます。拠点とする家が、なんとか私たちの福島復興活動」の本部として、うまく使えればいいのですが。行ってみなければ分かりません。

私が、次に、載せたいのは、津波の死者の遺体安置所の中の様子とか、1999年の茨城県東海村での、JOC(ジェイ・オウ・シー、住友化学の子会社)の、臨界(りんんかい)事故で、激しく被曝(ひばく)して死去した 作業員ふたりの 焼けただれた体の写真とか、チェルノブイリ原発事故(1988年)で、高濃度の放射能をまき散らす事故原発をふさぎにゆく作業員たち(全員死亡した)たちの写真とかを、載せます。

津波で死んだ人の遺体を、自衛隊が収容する写真も載せなければならない。 報道(プレス) は、自主規制とか、してはけないないのだ。どんなむごたらしい写真でも、報道 として、国民に伝えるべき 事件、事故の真実として、映して、写して、見せなければいけないのだ。

 死者を冒涜するとか、被害者の人権に配慮すべきだとか、そういうことを言っているから、日本は、激しい、言論統制、思想統制の国に、されてしまうのです。 日本のジャーナリズムが、国民の番犬(ウオッチドッグ)として、権力を監視するために、国民の目である、という重要な役割を放棄して、「権力の番犬」に、なってしまっている。

 政府、東電、原子力安全・保安院( 原子力を規制し監視する委員会 の方がいつの間にか消えている)の官僚たちの、 大本営発表を、垂れ流すだけの、おろかな、国家による情報・知識統制の下部機関、下請け機関に成り下がっている。 この、今の事態は、日本国民にとって、危険だ。

 私たちは、被災者、退避者たちが、避難所から避難所へ、そして、親戚の家に引き取られていって、政府と東電を厳しく避難し、糾弾する声を上げられなくされて、疲れ切り、集団疎開させられ、悲憤慷慨の 嘆きの声をあげることも、それを報道することもしなくなったら、それは、日本が、国家統制体制の、翼賛政治(よくさん)政治体制に向かっていることの、危険な道だと、気づかなければならない。

特に、福島県民は、原発事故の退避(避難)で、封じ込められて、何も発言できないまま、抑え込まれ、そして、やがて無視されてしまう。福島第一原発から、10キロ圏の、双葉町(ふたばまち)は、埼玉県の加須(かぞ)市に移され、大熊町(おおくままち)は、会津若松市に移された。

楢葉町(ならはまち)と、浪江町(まみえまち)、広野町(ひろのまち)も、すぐに行政機能ともども、口封じで、仮設住宅の建設とともに、どんどん、散り散りバラバラにされて、隠し込まれてしまう。そのために、「原発の現場だけでなく周辺まで、今も危険です」 という 政府による巧妙に仕組まれた情報統制が行われている。

 福島県の浜通りには、原発事故の被災地として、誰も近寄らせないようにして、事故の傷跡を、誰にも見せないようにする気だ。私、副島隆彦は、それは間違った考えだと思います。 ですから、再び現地に向かいます。  副島隆彦拝

横濱 投稿日:2011/03/26 12:12

【304】[331]117万ベクレル

飯館村でヨウ素117万ベクレル 土壌、直ちに退避不要

 文部科学省は23日、福島第1原発周辺の福島県内で採取した土壌中の放射性物質の調査で、同原発から北西約40キロの飯館村で20日に採取した土から、土1キロ当たりヨウ素を117万ベクレル、セシウムを16万3千ベクレル検出したと発表した。土壌の放射性物質の量には国の基準値がなく、文科省は「直ちに退避が必要なレベルではないが、長期的な影響については専門家の判断が必要だ」としている。同原発から北西約45キロの川俣町で18日に採取した土壌からも、土1キロ当たりヨウ素8万4300ベクレル、セシウム1万4200ベクレルを検出した。

(共同通信社)

>記事のように、すさまじい放射能が現在も垂れ流れています。格納容器に破損があるのは、間違いありません。頭がおかしくなりそうです。

井上 投稿日:2011/03/25 22:42

【303】[330]返信ありがとうございます

5670番さん 早速の回答ありがとうございます。分かりやすくて、安心しました。上手くいくよう、今後少しずつ試してみます。

それから、群馬の「ゆみこさん」。逃避行中、職場からのバッシングに対して勇気が必要だったはずで、感心します。僕自身実家の関西に逃げようかと真剣に悩みましたが、職場や近所のしがらみを考えると、実行できませんでした。それに、原発は徐々になくしていくとのが望ましいという考えにも賛成です。昨日辺りから、テレビ・新聞は放射線問題にそろそろ幕引きをしたいというムードがみえみえで、自分たちが引き起こした風評被害という人災を福島の農家に転嫁しようとしてしか思えないような報道姿勢です。潜在的危険は日本全体として全く減っておらず、このままで幕引きされては堪りません。

アルルの男・ヒロシ 投稿日:2011/03/25 22:22

【302】[329]東京電力をどうするべきかの私案

アルルの男・ヒロシです。今日は2011年3月25日です。

<政治家は国民の前に姿を見せよ>

 「3・11東北関東大震災」から二週間を迎えました。未だ政府・民主党のこの地震の復興に関する動きは鈍いというほかはありません。閣僚は都内に留まっている必要があるかもしれないが、小沢一郎元代表を含め民主党の東北出身議員たちは東北地方の代表なのだから、しっかりと東北地方の復興に何が必要なのかを把握するとともに、大衆の面前にその姿を見せてもらわないと困る。

 ツイッターではとぼけていましたが、私のところには小沢一郎が岩手に行こうとしたが側近議員に止められて都内にとどまっていたらしいという又聞き情報が入っていた。民主党はいつ動くかと思っていたが、小沢系の原口一博元総務大臣や米軍とパイプがある長島昭久議員のような若手議員がツイッターで発言する以外は閣僚同士のゴタゴタの情報が流れてくる以外は動静が全く入ってこない。私が前回の投稿で指摘した東北地方の議員の連携は取れているのか、気になってしようがない。内閣と与党は一体的に動くべきかもしれないが、同時に政治家はそれぞれの選挙区の代表である。この件で民主党(一新会も凌雲会も)が表面的に動きをみせていないのは正直大問題であると思う。

 そうこうしているうちに自民党の動きは活発だ。南相馬に血縁がある麻生太郎元総理が24日に福島入りしたほか、自民党で自衛隊出身の佐藤正久参議院議員などは自分の故郷が被災地の福島県であることもあり、積極的にツイッターで物資の輸送状況などを報告している。安全保障の面では「かけつけ警護」などの”問題発言”もあった佐藤議員だがこういう時はやるべき仕事をしていると思う。

 そして、最後にアメリカのジョン・ルース大使はアメリカ合衆国のスポークスマンとして非常に優秀な働きをしている。天皇陛下、国会議員たちが足を踏み入れていない被災地にいち早く足を運び、被災者の子どもを抱き抱えて励ましのメッセージをかけた。原子炉の状況を探るのもアメリカの無人戦闘機であるグローバル・ホークが役立っている。(なぜか日本政府は尖閣ビデオと同様にその内容を公開しない・・・)震災救援で一番活躍しているのはもちろん自衛隊で米軍の活動は補助的なものなのだが、グローバルホークのような無人飛行機を日本がなぜ開発していなかったのか。自衛隊は戦争に従事することはなく、これからは災害救援で活躍しなければならないのに、必要な装備が揃っていないのは非常に心もとない。

[#IMAGE|d0033598_16132544.jpg|201103/25/98/|mid|350|245#]

 だから、普段はアメリカの外交政策に批判的な私もこのルース駐日米大使の行動は評価しなければ済まない。政治家は法律を通すことも仕事だが、同時に<みんなの代表>であるわけだから、災害が発生したときは、いち早く選挙区民の前に姿を見せ、国民を安心させなければならない。その「最低限」のことが出来ていないのは相当に深刻な問題だ。私はこのコミュニケーション・クライシスが日本の有権者に静かに与えている影響を冷酷に分析しなければならないと思う。

<金融工学と原子力工学も根は同じ>

 さて、今回の議題は、二回前の投稿でも指摘した日本の今後のエネルギー政策の根幹に関わる問題である。今、福島県の福島第一原発では自衛隊、消防、そして東京電力の協力会社(下請けや孫請け会社)の非正規雇用労働者たちによる必死の原子炉冷却作業、電源復旧作業が行われている。問題になっているのは、プルトニウムを装荷した「MOX燃料」を搭載した三号機である。プルサーマル計画というのは日本中の原発で発生した使用済み核燃料を再処理してMOX燃料に加工し、それを普通の原子炉(高速増殖炉ではない)で燃やす発電方式である。

 このプルサーマルは日本が原発を動かした結果持ってしまう余分なプルトニウムを核開発に使わせないように発電用のMOX燃料に加工させようという国際社会(つまり、欧州IAEAとアメリカ)の要求と原子力産業の意向によるものである。アメリカは正力松太郎(読売新聞社主)を使って、日本に原子力発電を導入させようとした。これは当時、米ソ冷戦の時代であり、ソ連ではなくアメリカが日本のエネルギー政策をコントロールし、日本をソ連にたいする反共の防波堤にしたてあげるという戦略の一環だった。ここで日本の財界に原子力財界人というものが登場した。

[#IMAGE|d0033598_1613521.jpg|201103/25/98/|mid|356|450#]

 その一例をあげれば、福島県に原発を誘致した渡部恒三・衆議院議員の支援者であった木川田一隆であり、その後継者とも言うべき、平岩外四であった。この電力ロビーに対してアメリカはゼネラル・エレクトリック社やウェスティングハウス社が原子力発電技術を日本の重電会社に教えた。だからアメリカによるおんぶに抱っこの形で日本の原子力産業が育成された。今回事故を起こした福島の原発はGEの技術であり、日本の技術ではない。日本の重電会社はアメリカがポンと与えてくれた新技術に舌なめずりしながら、それを少しだけ改良しただけである。日本という「猿の列島」ではこのような技術をオリジナルで作れるはずがない。属国は覇権国がこうだといったエネルギー政策を追従することでエネルギー安全保障を図っていくしかなかった。

 ところが、これは前にも書いたことだが、起きるはずのない「震災原発事故」が二週間前に起きたのである。アメリカで金融核爆弾がサブプライム危機やでデリヴァティヴの破裂という形で破裂した3年後に今後は日本で「原子力発電バブル」という巨大なバブルが破裂した。これをアメリカの経済評論家のナシーム・ニコラス・タレブは「黒い白鳥」と呼んだ。もともと「金融工学」という怪しげな学問は、物理学や熱工学をモデルに設計されている。だからというわけではないだろうが、原子力発電の事故と金融工学の事故というものは非常に共通性があるのである。金融工学も原子力工学も、「まれに起こりうる」ことは想定して安全設計が行われているが、今回のように「100年に一度とか1000年に一度」というような事態は想定していない。だから、一見強固に見えたものが、設計側の想定外の「ブラックスワン」が起きるとどうしようもなくなる。

 人間というものは愚かな存在で、2008年に我々がニューヨーク発で体験した「世界が一度終わった瞬間」の記憶をもうすでに忘れかけている。欧米の金融メディアを見るとたしかにレヴァレッジの比率は25倍というような往時のレベルから落ち着いているものの、今度は中央銀行がお札を擦り散らかして新興国にまでバブルを輸出している。今回の原子炉事故も、欧米のメディアを見ている海外の一般大衆からはすぐに忘れ去られていく危険性も大きい。

 福島原発は、まだ最悪の事態には至っていない。いわゆる反原発運動をやっている人が本で書いている想定シナリオでは、原子炉が運転中に地震が起き、緊急停止しないでそのまま原子炉建屋やタービン建屋の危機の故障や配管の破断が起きて暴走するというものが想定されている。そのような「瞬間的に放射能や放射性物質が広範囲に速いスピードで拡散して、急性放射能症で日本人がバタバタと死んでいく」という事態にはなっていない。

 ただ、このままだらだらと沈静化が手間取るようだと日本人全体の心が休まらないし、緩慢に外部に放射能がだらだらとすこしずつであるにしても流れていくということになる。だから2ヵ月後、3ヶ月後、福島原発が同じようなことをだらだらやっているようであると危ない、と私は判断する。放射性物質がどの程度の影響を環境や人体に与えているのかは、これも数年たたないとわからない。ただ、地震の前から日本の原発がある場所の近くでは甲状腺肥大や白血病の症状を患う人もいた、という。原発の排水が温かいために周辺の海では異様に大きな魚が釣れるということもよく知られている。放射能が私たちの健康に与える影響について、正直にわからないというしかない。これは難しいことなのだが、危機を煽りもせず、一方で冷静に心配するということが重要だと思う。

<東京電力は一時国有化し、分社化後に破綻処理せよ>

 ここからが本論である。今回の原発事故について、すでにマスメディアではこの原発震災に因る損害補償をどのように行うかが議論になっている。地震保険だけでも数兆円の支払い規模があると言われているが、問題は東京電力が住民にどのような保証を行うかということである。根拠法律は「原子力損害の賠償に関する法律」である。この法律には次のように書かれている。

(貼りつけ開始)

第二章 原子力損害賠償責任

(無過失責任、責任の集中等)
第三条  原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。
2  前項の場合において、その損害が原子力事業者間の核燃料物質等の運搬により生じたものであるときは、当該原子力事業者間に特約がない限り、当該核燃料物質等の発送人である原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。 (中略)

第三章 損害賠償措置
第一節 損害賠償措置
(損害賠償措置を講ずべき義務)

第六条  原子力事業者は、原子力損害を賠償するための措置(以下「損害賠償措置」という。)を講じていなければ、原子炉の運転等をしてはならない。

(損害賠償措置の内容)
第七条  損害賠償措置は、次条の規定の適用がある場合を除き、原子力損害賠償責任保険契約及び原子力損害賠償補償契約の締結若しくは供託であつて、その措置により、一工場若しくは一事業所当たり若しくは一原子力船当たり千二百億円(政令で定める原子炉の運転等については、千二百億円以内で政令で定める金額とする。以下「賠償措置額」という。)を原子力損害の賠償に充てることができるものとして文部科学大臣の承認を受けたもの又はこれらに相当する措置であつて文部科学大臣の承認を受けたものとする。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S36/S36HO147.html
(貼りつけ終わり)

 すでに報道されているが、地震など天災による場合、原子力事業者(東京電力)の賠償責任が軽減される可能性もある。また、第7条で書かれているように、損害賠償措置は、原子力発電の自賠責保険でカバーされるが、一事業所(つまりこの場合は福島第一原発)あたり1200億円が限度ということになる。それ以上の補償は東電が自腹でやらなければならない。

 日刊ゲンダイ(3月24日付)に東電の資産状況についての記事がある。これによると、東電の総資産が13兆円、資本金6800億円、売上高5兆円であるが、同時に職員の退職給与引当金を含める負債は8.8兆円。資産の部も流動性の低い原発などの有形固定資産が多いという。同紙は自由に動かせる現金等は1800億円だとしている。賠償金を払えない可能性もある、ということだ。

 また、24日の朝日新聞には、政府が緊急に決めた2兆円の融資の内訳について、「原発事故の解決と震災で壊れた火力発電所の修繕などの費用」と報じている。別の野村證券のアナリストの予測として火力発電所の燃料費が2900億円、社債の償還に5500億円、それから使用しなくなった原子炉の保全費用も2億円かかると見ている。これに風評被害などへの補償金が加わる、という。
また、最近になって東電の株価が反転急上昇しているのは政府側の買いが入っているのではないか、とも私は思う。

 つまり場合によっては東電は倒産する可能性があるということになるが、東電を倒産させるわけに行かないのが、国である経済産業省だという構図になる。これはちょうどシティバンクを潰さないように必死で支えた米連銀や財務省の姿と重なる。つまり、東電は「大きすぎて潰せない」(トゥ・ビッグ・トゥ・フェイル)であるという判断を国と財界はしているということだ。

<新エネルギー戦略の前に京都議定書の履行を中断せよ>

 原子力を「クリーンなエネルギー」として世界中に売り込むということで旗を振った経済産業省や文科省には、これだけの大地震が起き、アメリカ、中国、そしてタイまでも「原子力は棚上げ」という機運が出来ているというのに、まだこの期に及んでも「原子力は必要不可欠なエネルギー」だとバカのように口をそろえている。経団連会長の米倉弘昌や原子力安全・保安院(どこが安全か?)のスポークスマンとしてメディアに登場する気持ち悪い「カツラ男」の西山英彦審議官が「脱原発だと大規模停電だ」と国民に計画停電という「擬似戒厳令」を発動して脅しをかけている。

[#IMAGE|d0033598_16335871.jpg|201103/25/98/|mid|553|369#]

 しかし、国家が一企業を丸抱えで「支援」するというスタイルは他に代替案がない限りはもうやめにしなければならない。巨大な電力産業が崩壊し、個々人の家庭で発電が行えるようになる社会の実現はまだまだ先だが、とりあえず、東京電力や経済産業省は今回の大事故を引き起こした、災害想定の甘さに責任を取らなければならないし、一部の心ある技術者や地震学者・活断層学者たちの警告を無視してきたことを反省しなければならない。これは電力側に有利な判決を出してしまった最高裁の判事も含めて反省なければならない、ということだ。

 資本主義社会において企業が責任を取るというのは究極的には倒産(破たん)するということである。アメリカがサブプライム危機でウォール街の大銀行を救済し「焼け太り」させ、いわゆるモラルハザード(救済慣れ)の状態を作ってしまった。この愚を日本政府は東電に対してやってはならない。

 それではどうすればいいのか、という声が出てくるだろう。私の試案は以下のとおりである。

1.東京電力をまず2分割し、「原子力部門」と「非原子力部門(水力・火力・地熱・新エネルギーなど)に分社化し、損害賠償の責任は前者7、後者3の割合で負わせる。

2.東京電力(原子力部門)は即座に上場廃止、破綻処理とする。株主は非原子力部門の株式を旧東電株1に対して、新会社100分の1の割合で取得するものとする。つまり上場廃止時の株価を基準にその100分の1の価値を持つ株式を手に入れるわけである。別に政府が新会社の過半数の株式を一時的に保有する。

3.新会社はできるだけ早くに安定した財務基盤を確立する。そのために東京ガスなどと合併することを検討した方がいい。(あまり政治介入をするのは良くないが場合によっては株主として政府が権利を行使する事も考える)新会社が送電網を所有するか、いわゆる「発送電の分離」(アンバンドリング)を行うかについては他の電力会社との兼ね合いで議論する。

4.原子力発電については1年以内に今後の計画を取りまとめる「脱原子力国民会議」(仮称)にその議論を委ねる。東大教授ばかりではなく、海外の有識者、原子炉設計者、地震学者などが参加し、共同議長は内閣総理大臣と環境大臣とし、経産省や文科省、新設の復興庁や財界からも参考人を呼ぶ。

5.原子炉の運転に関しては地震学者の意見を聞きながら必要最低限は5年間は国の責任で行うものとする。原子力安全・保安院は解体する。

6.日本のエネルギー政策を根本から見直す。民主党が掲げた「二酸化炭素削減」のための成長戦略は廃止。自民党政権時代に採択されたCOP3の「京都議定書」の履行の中断を世界に宣言する。

7.天然ガス、石炭火力、水力、潮力、風力、太陽光といった既存のエネルギー源をまず充実させる。天然ガスはロシアと豪州との関係を強化し、中東以外の安定供給元を確保する。国家戦略としてこれを緊急に行う。その他の新エネルギーを開発するための資金援助を惜しまない。脱原子力のエネルギー技術、既存の化石燃料の省エネ技術を「新成長戦略」として国際展開する。

8.我が国の発電における原子力の割合を2020年には15%、2030年には5%に減らす数値目標を掲げる。

以上、私案とする。

 この中で東電の非原子力部門を東京ガスと合併させるべきだと書いたのは理由がある。日本はロシアとオーストラリアや中東の天然ガス輸出国に依存することになる。その際、例えばロシアの国営ガス会社のガスプロムだけに依存することになるとやがてパイプラインなども含めてロシア企業の傘下に置かれる可能せもある。外資株主を新会社では否定するべきではないが、何らかの買収防衛策を講じるべきであり、そのために新東電と東京ガスを合併させるべきだと考えるわけである。

 それに京都議定書の破棄・中断も大きな戦略転換であるが、危機を理由にすればどうとでもなる。世界中がフクシマ・ブラックスワンに怯えているあいだにやってしまうべきだ。そもそも京都議定書を真面目に履行しようと考えているのは日本だけであり、欧州もアメリカも中国も自国の利害に絡むように利用しているだけである。人間活動によるCO2が温暖化の原因であるという学説はほぼ破綻したことは数年前の「クライメート事件」で明らかになっている。

 このように3・11地震が引き起こした日本社会のリセットは新しい国家戦略のチャンスでもある。アメリカから与えられた原子力という技術で思考停止し、親米・反米という狭い思考枠組みから乗り越えて行くことが必要だ。原子力発電は冷戦時代の鬼っ子というべき存在であり、日本が自立した国家になるためには、自分の力で国家戦略を創り上げるべきなのである。