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Loginはこちら【1480】[1810]天武天皇の正統性について
大伴氏の立場 2
壬申の乱の天武(大海人皇子)の勝因の第一は、美濃尾張国で近江朝(大友皇子)が徴兵していた二万の民衆を何の抵抗もなく手に入れたことです。
そして第二の勝因は、大和古京で名門大豪族の大伴氏が一族を結集して天武に付いたことです。
この大伴氏で最も活躍したのが、大和古京での蜂起の成功を、不破関(今の関ヶ原)に陣を張っている総大将高市皇子(天武の長子)に伝えた大伴安麿でした。安麿は、孝徳天皇(在位645~654)の下で右大臣を務めた大伴長徳の第六子と書かれています。
大伴安麿は、和銅7年(西暦714)五月、正三位大納言兼大将軍で亡くなっています。天武・持統朝の真の主宰者であった高市皇子が亡くなった持統十年以降、軍事の中心にあり文武朝・元明朝に睨みを利かせていた。安麿は。高市皇子の片腕であったと考えられます。
この安麿が『万葉集』の中心的歌人の大伴旅人、大伴坂上郎女の父、『万葉集』の最終編者と考えられている大伴家持の祖父であることは前にも述べました。
『万葉集』から安麿の最初の妻が、近江朝の大納言巨勢人卿の娘であったことが判ります。巨勢人卿は、大友皇子(明治に追号され弘文天皇)に最後まで忠義を尽くし「壬申の乱」の後、本人並びに子孫を悉く流罪に処す、との重い刑を受けています。安麿の最初の奥さんは、この巨勢人卿の娘だったのです。大伴旅人は、安麿と巨勢人卿の娘との間に誕生している。安麿の家庭を悲劇が襲っていた。安麿と妻は、引き裂かれていた。
安麿の二番目の妻は、石川郎女です。石川郎女は『万葉集』の中心的ヒロインです。草壁皇子(天武天皇と皇后後の持統天皇の間の子)と大津皇子が、石川郎女を争った歌が『万葉集』に残されています。
大津皇子、石川郎女に送る御歌一首
あしひきの山のしずくに妹待つと われ立ち濡れぬ山のしずくに 〔107〕
石川郎女、和(こた)へ奉る歌一首
あを待つと君が濡れけむあしひきの山のしずくに成らましものを 〔108〕
この〔108〕後の歌〔109・110〕を読むと、石川郎女は、皇太子草壁皇子の寵愛を受けていたが、草壁皇子のもとを去り、大津皇子に走った。大津皇子が殺害された原因に、この事があったのではないかと云われている。
つまり、石川郎女はいわく付の女性であった。草壁皇子の母である持統天皇に睨まれている存在であったのです。安麿の次男・大伴田主は、石川郎女との再婚に反対であったことが『万葉集』より判明します。
この石川郎女との間に生まれたのが女流歌人として最も多くの歌を残した大伴坂上郎女です。
和同7年(714)、大伴安麿が亡くなった後、第一の実権者に君臨したのが藤原不比等(養老四年、西暦720没)です。この不比等の時代に『日本書紀』は精力的に改修され完成を見ています。なお『古事記』は、和銅五(712)年正月に書いた、と序文は述べています。
藤原不比等の父・中臣鎌足は、天智天皇の信頼の篤い片腕でした。持統天皇は天武天皇の皇后でしたが、天智天皇の娘です。また元明天皇も天智の娘です。天智の娘たちは、父の信頼篤い中臣鎌足の遺子・藤原不比等を上手に匿い、大事に育て上げたのだと思います。天智系勢力の中心に藤原氏が成ってゆきました。
それに対し、天武系勢力の中心は大伴氏でした。藤原不比等が亡くなった後、高市皇子の子・長屋王が右大臣、左大臣(721~729)になり実権を握ります。まだまだ天武勢力が健在であった証拠です。
しかし、神亀六年(729)二月、藤原不比等の四人兄弟の共同謀議により長屋王は、謀反の濡れ衣を着せられ殺害された。天武系勢力の大々挫折です。天武系勢力の中心、長屋王家の藩屏の中心であった大伴氏は、何をしていたのか。
大伴氏の頭領・大伴旅人は、神亀四年の年末に太宰帥を拝命し、都を留守にしていたのです。帰京するのは天平二年(730)の年末です。大納言に昇進して帰京しています。『万葉集』は、第五巻を中心に、旅人の太宰帥時代の歌を数多く残しています。それらの歌を読むと、藤原四兄弟と、大伴旅人の間に、取引があったとしか思われないのです。大伴旅人が、長屋王を裏切ったのではないかと。
【1479】[1809]この7月、8月に世界で何が起きていたか。 そして 私の金融セミナー開催 のお知らせ
副島隆彦です。 この暑い夏の7月、8月に 世界で何が起きていたか。
以下に箇条書きにする。
初めに、お知らせしておきます。私たちの学問道場の先の定例会の講演会の
DVDの作成が、うまくゆかずに、手間取っています。 あと数日中には、からなず完成してお知らせしますので、 お待ちください。
待ち詫(わび)て、私どもに問い合わせをしてくださいました 会員の皆様にお詫びを申し上げます。
あと少しお待ちください。
もうひとつ お知らせです。 私、副島隆彦 が 5時間、ずっとぶっ続けで 演説する、恒例の 私の「金融セミナー」が、近日中に開催されます。来たる9月6日です。
場所は、東京の築地の朝日新聞社の本社の、入り口から中にずっと入っていったところにある 浜離宮(はまりきゅう)朝日ホールです。
( ここから お知らせ )
副島隆彦(そえじまたかひこ)の“予言者”金融セミナー 第10回
『「熱狂なき株高」で踊らされる日本』(徳間書店)発刊記念
マイナンバー制(預金検査)が襲いかかる!
金(ゴールド)と 現金 以外は信じてはいけない。
忍び寄るインフレと預金封鎖の実施へ。相続税対策は?
世界経済は、どう変化し、日本の運命はどうなる。
日本、中国、米国の今後の関係は?
副島隆彦(そえじまたかひこ)の“予言者”金融セミナー 第10回
*会場:浜離宮朝日ホール 東京都中央区築地5-3-2 朝日新聞東京本社・新館2階
*日時:2015年9月6日(日) 開場・受付:10:00~ 終了17:00(予定)
*受講料:15,000円(税込)/指定席
問い合わせ(平日:10~18時)
ブレイントラスト企画
TEL:03-6261-5465 FAX:050-3153-2488
メール bt-soejima@nifty.com
申し込み
http://kokucheese.com/event/index/326711/
(お知らせ 終わり)
副島隆彦です。 この金融セミナーでは金融、経済の最新 と この秋からの動きの 予測をします。テレビ、新聞などでは知り得ない 世界の 金融の本当の動きと ウラの動き、を知りたい人は来てください。あるいは、私の怒鳴り声での本気の演説を聞いて、ちょっと元気を出したい人もどうぞ来てください。 損はさせません。
それで、この暑苦しい、7月、8月に 世界で何が起きていたか。
1.7月5日に、ギリシアで国民投票(ナショナル・レファレンダム)があって、ツィプラス首相が60%の政策支持を得た。それでEUとの救済・支援策の交渉で EUに圧力を掛けて一応、勝った形になった。EUは、さらに900億ユーロ(12兆円ぐらい)の支援パッケージを示した。
2.7月8日。 中国で株式の暴落があった。高値だった上海総合指数(しすう)5100(6月12日)が、4000まで落ちた。 今(8月17日)は、4900まで持ち直している。
3.同じ7月8日から、BRICS(ブリックス)の5カ国の首脳会議がロシア(ウファという都市)であった。BRICS銀行が年内にも事業を開始して、AIIB(アジア・インフラ投資銀行)の開業と軌を一にする。
4.7月14日に、イランの “核抜き” 協議の合意が成立した。イラン国民は、35年間続いた 西側(ザ・ウエスト)からの 経済制裁 の解除が行われて大喜びしている。さっそくイギリスの資本がどんどん入っている。アメリカ人は、怖くてなかなかテヘランには入れない。
5.安倍晋三首相が、新国立競技場(千駄ヶ谷)の3000億円に膨れ上がった建設計画を全面見直しを決めた。
これと同時に、いや本当は半年ぐらい前から、多くの政治利権が暴かれ始めて、(最初は、無記名の投書から始まった) JOC(日本オリンピック委員会)に巣食っている者たちが追い詰められている。日本の暴力団政治の頂点にいる森喜朗(もりよしろう)とその子分たちの悪事が更に明るみに出て公然化して、彼は 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 会長を辞任するだろう。
まわりがザワツイていて、それをもう押さえつけることができない。刑事事件になるのを抑えることで精一杯だろう。
6.7月31日に、ハワイで TPP(ティー・ピー・ピー、環太平洋経済協力パートナーシップ)が大失敗して、合意見送り=交渉の無期限延期、すなわち交渉の決裂、崩壊になった。
ところが、アメリカ代表のフロマンは、自分の責任を自覚せずに、かつ、責任追及の動きが米議会にもない。実に不思議な感じだ。 フロマンのUSTR代表の地位は、米議会が政権に送り込んだ閣僚であり、各業種の製造業者たちの圧力団体の受け皿である。 誰も責任を取るものがいない、というのは不思議な感じだ。
ニュージーランドが、乳製品の低関税を一切受け付けなかった、ということでニュージーランドのせいにして、12カ国の代表たちは、皆、嬉しそうに、ニコニコしながら飛行機に乗って帰った。誰も責任を取らない。
日本の甘利明大臣も、喉頭がんにかかり、髪が真っ白になるほど苦労したのに、帰ってきても、「ご苦労さん」の労(ねぎら)いもどこからもない。
あれほどの大騒ぎを、日本の有識者たちもやったのに。「 TPPは、日本の国益に叶う、どうしても合意なければ済まない、重要な経済交渉です」と言って、偉そうな解説をしていた日本の有識者(専門家)たちは、今は、赤っ恥で、黙りこくっている。これも実に不思議な感じだ。
まるで、大型の台風が来る、で、皆で心配して大騒ぎしていたのに。いつの間にか、台風はどっかに行ってしまって、消えてしまって、「熱帯性低気圧に変わりました」で、誰も騒がなくなるのと似ている。白けるなあ。
これで、アメリカとヨーロッパが交渉している TTIP(ティー・ティー・アイ・ピー)という、人を喰ったような欧州版のTPPも、雲散霧消する。ヨーロッパ人が、あのISDS(アイ・エス・ディー・エス)条項などという、「アメリカ企業が、進出先の国で 虐(いじ)められたら、その国の政府を、ニューヨークで裁判にかけることが出来る。損害賠償を請求できる 」 などという、アメリカ帝国の傍若無人を受け入れるはずがないのだ。
TPP の崩壊の原因は、中国主導のAIIB(アジア・インフラ銀行)の設立が3月から騒がれたからだ。中国がぶち上げた AIIB と「一帯一路(いったいいちろ)」構想が、「ユーラシア大陸に これから 新たに10億人分の 巨大な 需要(デマンド)を作る」。 これは、 製造業者とか農業団体(食肉、酪農業者)とかの、商品の供給(サプライ)サイドのことしか考えていない、欧米の先進国の政策立案者(ポリシー・メイカー)たちの歴史的な敗北だ。デマンド(需要)創出派 と サプライ(供給)重視派の闘いで、サプライ派が負けたのだ。彼らは、これからの新しい世界の動きから取り残されてゆく。このことが、決まった、ということだ。
それと、金融市場(マネー・マーケット)という 仮想の世界で、実需(じつじゅ)の経済活動を無視して、仮需(かりじゅ)でしかない部分から派生した 金融取引が膨大化して、そこでの金融バクチ(博奕)しか脳がない、強欲金融人間たちが、敗北しつつある。自分たちが今でも、世界の金融の最先端技術(ハイテク)の エリート人間だと、大きく勘違いしていることが、大きな背景にある。
クレジット・デリバティヴなどという、今やその欺瞞的な手法が満天下に暴かれてしまった、インチキ金融商品で、「お金でお金が生まれる」と信じて疑わない、馬鹿野郎たちの時代が、もう終わっている。 世界は、2008年のリーマン・ショックのあとは、「(うそ臭い)金融 から (中身のある)実物経済(タンジブル・エコノミー)の時代へ 」と大きく変わったのだ。
だから 世界は、もっと、実需 = 有効需要(イフェクティヴ・デマンド)の創出こそが大事という 偉大なる経済学者のジョン・メイナード・ケインズが言ったとおりに、戻りつつある。マネタリストも 合理的予測派(ラッショナル・イクスペクテイソニスト)も底が割れて、本性が露見して、大敗北したのだ。 そのことが原因で、 米、欧、日の金融市場中心の世界は、いま、激しく再構築 = 変身(メタモルフォーシス)されつつある。 このことに気付かない者たちは、新しい世界の動きから取り残さてゆく。
アメリカが世界一で、日本はしっかり、お金を払い続けて、アメリカについてゆけば、日本は安泰だ、と考えている程度の人間たちでは、もう、これからの世界( 新興国と途上国が主導する )にはついて行けない。 勝手に自滅するがいい。
7.7月19日に、アメリカのユダヤ人の 強請(ゆす)り集(たか)りの人権団体である サイモン・ヴィーゼンタール・センター ( ここに電話しても、center?「センター?」としか応答しないことで、アメリカ国民には有名)が、三菱マテリアルを訴えていたことが分かった。 その和解で、94歳かの 米兵で日本で捕虜だった者(3人いた?)が、日本の収容所で強制労働をさせられた、と言って訴えていた件なのだが、それで、三菱マテリアルが、おそらく 1千万ドル(12億円)とかを 示談=裁判外の和解 で、払っただろう。
振るっていたのは、この和解の仲介に立ったのが、岡本行夫(おかもとゆきお)だったことだ。彼は、三菱マテリアルの社外重役(アウトサイド・ディレクター)もやりながら、同時に、自分の会社で、この和解交渉の報酬を受け取ったはずだ。利益相反行為(りえきそうはんこうい)だ。 何というキタナイやつだ。こういうことをして商売をやって生き延びている。 雅子妃と特別に親しいお友達だから、こういうアメリカからのユスリ、タカリにあうとビクついて、誰も何も書かない。財界人たちは、皆、白(しら)けて黙っている。
「恐ろしいなあ」、「うちもいつやられるか、分らんからな」、「気をつけようぜ」、「そんときはそんときさ」「安部首相にも困ったものだ。あいつがガキだから、いきがって、世界を敵に回すから、こういうことになるんだ」・・・ こういう感じだ。
その米兵には、200万ドル(2・4億円)ぐらいがゆくだろうが、あとは、岡本の手数料と、その他のほとんどは、サイモン・ヴィーゼンタール・センター行きだ。 被差別民の団体の、人権侵害を糾弾する闘いが、最後は、お金の問題で、ユスリ・タカリになって、それで、ますます、世の中の人々の重低音の差別感や、恐怖感と嫌悪感を作ってしまったこと、の まさしく、世界バージョンだ。
私が、最近、アメリカのテレビ・ニューズを見ていて気づいたのだが、「アメリカでは、人権(じんけん)の値段は6億円だ。高いなあ」ということだ。 アメリカで、警察官に職務質問のあと揉(も)めて、撃ち殺された黒人の値段は、ひとり 一律に、5百万ドル(6億円)ということが分かった。
ニューズを見ていたら、裁判所の民事裁判(損害賠償請求)で、判決は、いずれも、撃ち殺した警察官の所属する市議会や、シティ・カウンシル(数人の合議体)が、「5百万ドル払え」となっている。 そうか、アメリカの 人権( 人命そのものではない。人命など安いものだ。公然と争われた場合の人権の値段だ ) は、5百万ドルだと、分かった。
私は、20年前に、友人の弁護士と書いた『法律学の正体』や『裁判のカラクリ』という本で、この 「人権(じんけん)にも値段が有る」、「裁判所は、その値段を決める」と書いた。これは、Law and Economics ラー・アンド・エコノミックスという シカゴ法学派の理論である。 私は、こういう研究もずっとやって日本に紹介してきた。ところが、日本人の知能が落ちているので、それを受け止めるだけの知識人階級の能力がない。
「人権に値段をつける何て。そんなはしたないことはできない。私は考えたくない」という程度の、知能の低いリベラル派(この世の中を、自分の正義感とキレイごとだけで考える人たち)が、ほとんどだから、私は、ずっとじっと我慢して 世界基準の学問と思想のはこうなっている、と 日本への導入、紹介の仕事を、コツコツとやってきた。
自分の家族が警官に撃ち殺された、その家族(遺族)たちの、涙ながらに、しかし実に嬉しそうな顔がテレビに映る。それを ジーっと見ているのが、「進化した人間たち」である アメリカ白人市民たちだ。
「くそ、その5百万ドルは、オレの市民税だぞ」と、野卑な白人(だいたいデブ)は、テレビに向かって喚(わめ)いているはずだ。だが、外では、そんなことを言えない。
言ったら、周りから、白い目で見られる。でも、みんな、もう分かっている。うんざりしている。 アメリカ独特の偽善(ぎぜん、ヒポクリシー)と、合わせて、ヨーロッパでの、あの アフリカから押し寄せる経済難民たちのものすごさに、たじろいでいる感じが、今の世界だ。 人権にも値段が有るのだ、と、皆、日本人もそろそろ知りなさい。
こういう 問題は、私、副島隆彦しかはっきりとは書かない。私は、自分に何があってもいい、言論の自由と日本国の利益 のために闘う、と決めている人間だ。
8.7月23日。 世界一の超高級紙(ハイ・クオリティ・ペイパー)であるイギリスのFT(エフティー。フィナンシャル・タイムズ)を、日本経済新聞が、1600億円(8・4億ポンド)で買収した。
ザ・エコノミスト誌と FTの本社ビルの財産権(所有権)は別個にして売らなかったようだ。 FTの全株式で、時価で、たったの1600億円かよ、と、私は、このニューズを聞いた時、唖然とした。 ジャーナリストとか言論人とか学者たちの 値段は、本当に、このように安いものなのだ。日本だけでなくて世界中で、新聞記者や言論人の値段は安い。 50億ドル(6000億円)もしないのだ。 私は、素朴に、まずこのように驚いた。
その次は、喜多恒雄(きたつねお)という日経の会長と岡田直敏(おかだなおとし)社長が、ロンドンに乗り込んでいって、記者会見で、英語で、「栄誉あるFT紙を 私たち日本のニッケイがこのたび、ピアソン社から買いました。編集権の独立を尊重しますから、今のママ、記者たちは頑張ってください」と演説するのかと思ったら、日本人は全く誰も出てこない。馬鹿にされているのか、始めから相手にされていなかったのか。 本当に日本という国の国力と知能(能力)の低下は、激しいものが有る。
「日経225」やらの「インデックス債」という金融商品の、指標取引の市場で、FT の名前と合体できるし、FT のインデックス債の 新商品をこれからも作れるだろう、と見込んでのことだから、決して、日経の経営陣の判断は間違っていない。「FT がたったの1600億円だなんて。なんて安い買い物をしたんだ」と 皆から羨ましがられているだろう。
それもこれも、「中国に買われるわけにはゆかなかった。日本でよかった」というイギリス政府の判断が有るのだろう。 もし、FT が、中国の 人民日報とかに買われる、ということになると、アメリカが、まず、胃がひっくり返るような痛みを感じるはずだ。
イギリスと中国の連携、同盟は、もう、ここまでいっていたのか、と、世界中が大騒ぎになる。それを、「日本のNikkei で よかったよ」 ということなのだ。 日経は、あと数年したら、このFTの株を、10倍の 1.6兆円で、中国に売ればいいのだ。そういうことになるのではないかな。
9.8月11日から、中国政府(中国の中央銀行である 「中国人民銀行」。会長は、まだ、周小川=しゅうおがわ=のようだ )が、為替(人民元)のレートを2%切り下げた。
3日間、通貨の切り下げをやって、3.75%まで切り下げて、終わったようだ。これで、1ドル=6.4元 の 元安(げんやす)ドル高になった。
対(たい)日本円では、丁度1元=20円まで、元高(げんだか)円安になっていたのに、今は 1元=19.32円 の 元安になっている。 たいしたことはない。
新聞記事は、盛んに、「中国が、自国を通貨安にすることで、輸出の促進をはかって貿易黒字を積み増して、経済成長率6%台を何とか守ろうとしている」 と書いた。私は、そうは思わない。IMF は、不思議なことに、即座に、中国の通貨切り下げを「歓迎する」と発表した。「中国政府が、通貨を市場の価格に合わせた、自由度を高めるためのものだ」とコメントしていた。
スイス政府が、今年の1月15日に、スイス・フランを対(たい)ユーロで、一気に30%切り下げた。あれと同じだ。あれで、スイス・フランで、為替の投機をやって、「スイス・フランは確実に上がってゆく」と仕込んでいたヘッジファンドたちが軒並みやられた。 たとえば、ビルとヒラリー・クリントンの 娘であるチェルシーの旦那(ゴールドマン・サックスあがり)が主宰していたヘッジ・ファンドが、このとき 40億ドル(5千億円)の損を出した。その1割の500億円の損をビルとヒラリーは被(かぶ)っただろう。
11日の、人民元の突如の切り下げに、アメリカの財務省の高官たちは、苦虫(にがむし)を噛み潰したような反応を示した。
「中国の景気減速が、世界経済に悪い影響を与えている」というコトバは、今や日本国内のお定まりの 決まり文句だ。自分の国の景気を、他に国のせいにして、それで、恥じない、というおかしな 精神構造(メンタリティ)になっている。 「中国なんて、ろくでもない国で、大した力はない」と言い続けてきたのに、「こっちに悪い影響を与えるなよ」と引き痙(つ)った顔をしている。
だから、中国の元安(げんやす)の決断は、「中国元への為替投機で、巨額の儲けを出そうとした、国際投機筋に、一泡吹かせてやる」というのもだったろう。
ホット・マネー、シュート・マネー と呼ばれる、かつて 1997年にアジア通貨危機を引き起こした、ジョージ・ソロスのような、ゴロツキ投機家( 彼は、カール・ポパーという思想家の「オープン・ソサエティ」=開かれた社会=という名の思想に忠実だ、と40年間触れ回っている。このハンガリー系ユダヤ人の国際博奕ウチは、前記のサイモン・ヴィーゼンタールほどは悪質ではないが、金融市場での相場操縦を仕組む ) 連中が、今度も蠢(うごめ)いていたので、彼らの動きを、一気に、中国が叩き潰したのだ。
故に中国の勝利だ。 ホットマネー(「熱銭」 ねっせん と中国語で言う) とショートマネー(「飛銭」ひせん、という )が、人民元に襲いかかっていると、気づいた、中国の為替と債券 のファンドマネージャーたちが、政府に連絡して、一気に、元の切り下げを断行した。
そうしたら、こういう 一回あたりの金額が大きい(一玉で 5億ドル=600億円ぐらいだろう)取引で、ポジション(建玉、たてぎょく)を一週間も持ちこたえることができない。
それで、もんどり打って、ソロスや、ジョン・ポールソンのような連中が、さっさと”損切り”して手仕舞いして、損を出したはずなのだ。「ここらで、中国を痛めつけてやれ」と コンスピラシー(共同謀議、きょうどうぼうぎ)で、欧米のガラの悪い金融博奕打ち(=国際投機家)たちが仕掛けたのに、却(かえ)って、返り討ちにあって、大損して大負けしたのだ。
そうじゃないのか? 本当の 世界金融の事情通の人間だったら、こういうことは知っているはずだ。日経新聞の経済部の記者たち程度のオツムでは、ここまでの読みは無理だろうなあ。あるいは知っていても書けないだろう。中国のことは悪口しか書けないようになっている。記者たちの自分の出世に響く。
だから、アメリカの財務省や FRB の高官たちも、自分自身も 人民元投資(ちっぽけな人民元預金だけでなく)しているものだがら、今度、損を出して、それで、中国を恨(うら)んでいるのだ。今の中国は、それぐらい、頭のいいのが育っている、ということだ。日本人のエリートたちの、アメリカに洗脳され尽くした脳では、太刀打ち出来ないので、どうにもならない。日本人はオロオロしてるだけだ。 その様子が、私には、手に取るように分かる。
自分の国も、「1ドル80円を、 1ドル120円にまで」この3年間で、「 通貨の切り下げ 」(円安=えんやす=万歳)をやったのだ。そうして、日本も 通貨安(やす)競争=通貨戦争(つうかせんそん、カレンシー・ウォー)をやってきたくせに、人が同じことをやると、とたんに、「自由市場をないがしろにするものだ。中国は信用ならない」と言い出す。
安倍晋三を、育てて、こいつは、パーだから、いいように使って、2012年の11月から、一気に、円安、円の40%の暴落を仕掛けたのは、どこのどいつだ。 自分の通貨を、自分で、下落させて、毀損(きそん)し、世界からの信用を無くしておいて、よくも、それが正しい政策だ、と居直れるものだ。
私は、このことを指して、「自分の顔に自分で傷をつける、自損行為、自傷(じしょう)行為だ」と自分の本に書いてきた。 「もう日本円は、いらない。持っていても損をするから」と、世界中の商人や、外国人相手の小さな商売をしているおばちゃんたちから嫌われるようではいけないのだ。自分で自分の信用を落とす行動をしてはいけない。自国の通貨は高くて、信用が有るのが一番いいのだ。
8月13日の日経新聞の記事に、 アダム・ポーゼンというワル (ピート・ピーターソンIIE(アイ・アイ・イ―)国際経済研究所の所長)の「米利上げ、9月見送りも」という、インタヴュー記事が載っていた。ポーゼンは、今の日本の金融政策をあやつっている人間の一人である。
このポーゼンへのインタヴューの中には、おかしなことに、「FRB(イエレン議長)は、米金利を9月に上げる予定を、見送りするかもしれない」 とは、どこにも書いていない。インタヴュアーの日経のニューヨークの記者が勝手につけた見出しなのか、何の策略があってこういうことをしたのか、分からない。
ポーゼンも、中国の動きを掴(つか)めなくて、いらいらしている。この記事から分かった。 FRBが金利値上げを9月にやって、それで景気の舵取りに失敗することを、恐れている。 その感じが今のアメリカに満ち溢(あふ)れている。
私、副島隆彦は、ここ何冊かの自分の金融本で、「どうせアメリカは、金利をあげることはできない。景気が回復していないのに。金利だけを上げて、それで、景気の回復の合図にして、アメリカ国民の気風、ムード、空気だけを 無理やり押し上げようとしても、それは無理だ」 と書いてきた。
上げられるものなら、上げてみよ、だ。そのあとに襲ってくる管理できないインフレの波が怖いに決まっている。
10. 7月の前の、この6月中に何があったか。それは、私は、ここの 重たい掲示板に、7月13日に書いた。それを読んでください。かなり重要な事を書きました。
中国で激しい権力闘争が6月中に起きていて、その決着が着いた。 習近平が、上海閥=石油閥の 抵抗と反逆を抑えきって、安定させたようだ。北戴河(ほくたいが)という渤海湾に面した高級保養地での長老たちとの「夏の合宿」が何事も無く終わったようだ。
江沢民も、曽慶紅(そけいこう)も高級幹部たち用の施設で、柔らかい拘束状態に置かれたようだ。
副島隆彦です。 最後に、再度、来たる9月6日に開かれる 金融セミナーのお知らせを載せます。まだ席はあるそうですから、お申込みください。
(お知らせ)
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『「熱狂なき株高」で踊らされる日本』(徳間書店)発刊記念
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金(ゴールド)と 現金 以外は信じてはいけない。
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世界経済は、どう変化し、日本の運命はどうなる。
日本、中国、米国の今後の関係は?
副島隆彦(そえじまたかひこ)の“予言者”金融セミナー 第10回
*会場:浜離宮朝日ホール 東京都中央区築地5-3-2 朝日新聞東京本社 新館2階
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副島隆彦拝
【1478】[1808]敗戦後70年 の 終戦記念日 に 合わせて。
副島隆彦です。 今日は、2015年8月15日です。
暑いので、昼間も仕事をしていると、つい、ぼーっとなって
眠たくなります。 夏の午睡(ごすい)は体にいいから、夜の眠りの他にきちんと取ったほうがいい、とこの歳(とし)で改めて思います。
今日が終戦記念日(敗戦後70年、ポツダム宣言受諾の日。連合国からみれば、対(たい)日本戦争のVJ-day ヴィクトリー・アゲインスト・ジャパン・デイ) で、慰霊祭が各地であった。
天皇のお言葉があって、天皇・皇后からの、「世界を敵に回すようなことはやめなさい」という 安倍晋三への強い怒りがあって、それに安倍晋三が怯(ひる)んで遠慮した、という話はここには書きません。
昨日14日 の、安部首相の 全身ふて腐(くさ)れた感じの「侵略、反省、お詫び」の談話なのか声明文が 午後の6時の閣議のあとの官邸の記者会見場であった。 相当に圧力が、 勝利国である 連合国側=連合諸国 (ザ・ユナイテッド・ネイションズ) から、安倍に掛かったのだろう。
安倍の声明文は、もっぱら世界向けのもので、この声明文の中に、わざとらくし、付け加えられた、「・・・事変、侵略、戦争。いかなる武力の武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない」という文章は、主語が誰なのかはっきりしない、奇妙奇天烈な文だ。誰が、何の事変を起こし、何の侵略があり、何の戦争が有ったのか、まったく意味不明だ。
安倍たちは、こういう不可思議な表現で、安倍たちを厳しく監視しているアメリカが、「事変、侵略、戦争」というコトバを ポンと入れておきさえすれば、これだけで、自分たちを許してくれる、自分たちはこの窮地から逃げられる、と、心底ズルい人間がやる狡猾な、世界だましの、やり方に出た。 安倍晋三たちは、こういう自覚的な暴力団体質と、謀略人間の確信をもっている生来的な犯罪者たちだ。
私たち 日本国民は、このような 恐ろしい人間たちが、私たちの指導者(政権担当者)であることを、深く知って、身構えなければいけない。日本はどんどん危険な方向に引き釣りこまれて行きつつある。
国際法(インターナショナル・ラー)である サンフランシスコ講和条約の条文を私がずっと読んでいると、安倍が、勝手に自分(たち)の主観で、連合諸国に逆らうことはできない、ということが分かる。
この連合諸国(ザ・ユナイテッド・ネイションズ)が、そのまま、戦後の、現在の世界の秩序=支配体制であって、これが、The U.N.( ザ・ユーエヌ、◯ 連合諸国、 (× 国連 と訳すな)を作っているのだから、これに逆らう行動、と発言は、許されないのだ、ということが安倍晋三たちでも分かったのだ。
安倍晋三程度の知能の低い人間(たち)は、「外国がうるさいなあ。いつまで謝罪を続けさせられるんだよ―」と 言うことだけは何とかできた。しかし現在の世界の秩序に逆らうことはできない。 安倍たち、日本のチンコロ右翼(おそらく500万人ぐらいいる)が、「ヤルタ=ポツダム体制の打破」、「戦後レジームからの脱却」を言うと、世界=国際社会=ザ・ユーエヌ が、許さない。
そして、このザ・ユーエヌ(ユナイテッド・ネイションズ)とは、五大常任理事国(ごだいじょうにんりじこく)と日本語では訳される、ザ・ファイヴ・パーマネント・メンバーズを中心とする現在の世界体制である、 米、英、フランス、ロシア、中国 の 5大国である。 “世界のお役人さま”である。
この 5大国の合意事項に逆らうと、 軍隊による戦争行為ではなくて、 国際的な 警察(けいさつ)行動である、 PKO(ピース・キーピング・オペレーション)の対象になる。強制執行(フォース・メジュール)の対象になるのだ。 ザ・ユーエヌは、当事者となって戦争をするはない。警察行動をするのだ。警察行動の方が、国々の軍隊行動(軍事力の行使)よりも一段上である。このことは、私が、佐藤優(さとうまさる)氏と書いた「崩れゆく世界 生き延びる知恵」(日本文芸社、2015年4月刊)に書いた。しっかり勉強して下さい。
私、副島隆彦は、このことをずっと書いてきた。私の本をしっかり読む人たちは知っている。
日本のチンコロ右翼 (その中心部分は、今や、従業員もほとんどいないチビコロ経営者たち) は、こういう きちんとした知識がないので、安倍晋三の 低能 と 完全に気持ちが繋(つな)がっているので、「世界がウルセーんだよ。 いつまで謝り続ければいいんだよ」 という 反発心となって現れる。今も、この感じは続いている。それに対して、中国と韓国を始めとして、アジア諸国が、日本に訝(いぶか)しい表情をする。
チンコロ右翼たちは、自分たちが、日本国内は抑えきっていると思っている。いつも自分は、管理する側、保守の側、体制の側、と脳のてっぺんから決めている者たちが、右翼っぽい公務員や警察官を含めて、「自分はいつも勝ち組」の精神構造(メンタリティ)で動く。
そして彼らは、自分たち、2次元(平面)世界のレベルしか知能がないので、3次元の外側世界から、殴り付けられると、わけが分からなくなって、一体、どういう 力が自分たちに掛かっているかが、分からない。
このチンコロ右翼経営者層は、小学校、中学校時代から頭が悪かったので、学校の勉強があまりにも出来なかったので、教師たちに虐(いじ)められたので それで、「おい、日教組。はやく答弁しよろ」の 安倍晋三の 本音の発言どおり、日教組(にっきょうそ、日本教職員=きょうしょくいん=組合 )の悪口を死ぬほど言い続ける。
彼らを虐めたのは、教育行政をやっている出世組の役人化した教員たちから成る教育委員会なのであって、日教組ではない。 このことを、私、副島隆彦が、このチンコロ右翼たちと安倍晋三に教えて置かなければならない、と思ってこのように明確に書く。私が、こうしてはっきりと書いて教えておかないと、この低能たちは、自分たちのミジメ(惨め)だった学校時代の、不良生徒だった過去を忘れて、いい気になって、まるで、自分たちが、一家言(いっかげん)ある見識の有る人間であるかのように思い込んでいるから、彼らに、しつこく書いて教えておく。
同じ企業経営者であっても、社員(従業員)を50人、100人抱えて苦労して、必死に陣頭にたって経営をしている者たちは、絶対に、ヘラヘラした、政治的発言などできない。しない。
保守(ほしゅ)と右翼(うよく)は違うのだ。 本物の保守の経営者・資産家 と、チンコロ右翼は違うのだ。 チンコロ右翼たちが、いい気になって、「安倍ちゃん。頑張ってくれよ―。あの態度の悪いチャンコロ(中国人)、朝鮮人を、もっと傷(いた)めつけてくよ」 という、あの愚かな態度を、本当の保守の経営者・資産家たちは取らない。
本物の保守(コンサーヴァティヴ)の人間は、常に穏(おだ)やかである。何があっても激高(げきこう)することがない。常に穏やかに、人と接して、問題を我慢強く解決してゆく。ものごとを多方向からじっくりと考える。決してカッとならない。だから、安易に政治的な発言などしない。それが、本当の保守というものだ。
それに対して、高校時代に 頭にカミソリのソリを入れたような、不良上がりか、「僕たちは、ずっと地元の名士で、青年会議所と ロータリー会員の家で育って、勉強は出来なかったけど、経営者一族なの」という ボンクラ3代目のような連中が、チンコロ右翼だ。
この者たちは、勉強は出来なかったくせに、コソコソと金儲けだけはうまい。だから自分の分の資産を2億円ぐらいはちゃんと隠し持っていて、会社(法人)は、不景気ですでに潰(つぶ)してしまって、それで、浮世(うきよ)の憂さ晴らしで、「チャンコロ、チョーセンジンがうるせえ」を毎日、言っている。そうすると、自分が何だがとっても偉い人のように思えるらしい。
仲間も大勢いてくれるから、毎日、この大合唱だ。それで、産経新聞( 今や、ほとんど潰れかかっている)と夕刊フジの 「朴槿恵(パク・クネ)、この女、許せねえー」を読んで、溜飲(りゅういん)を下げている。 救(すく)い難(がた)い連中だ。
こういうのが、日本には500万人もいるから、ひとつの勢力だから、安倍晋三が辞めても、この勢力は残る。厳然として残る。私は、いつもこのことを心配している。 そして、創価学会までも、下部のおばちゃんたち(婦人部)の方から、特殊な別の宗教団体が、乗っ取ってゆかないかを、いつも心配している。
勝共(しょうきょう)右翼である きわめて特殊な宗教団体は、すでに警察官、自衛隊、外務省、裁判官、財務官僚たちの中にも、いまでは、相当数が潜り込んで 根草(ねぐさ)忍者のように潜んでいるから、この者たちの存在が恐ろしいのだ。彼らは、確実に日本を戦争に引き釣(づ)り込む。私は、そのように確信している。彼らは、前述したチンコロ右翼(ネトウヨという軽度の精神障害者たちを含む)を隠(かく)れ蓑(みの)にして、その中で動いている。
だから、安保法制 反対 の国会前の集会とかには、私たちは、十分に気をつけて徹底的に慎重になるべきだ。よっぽどのしっかりした主催者団体が開催するものでなければ、容易に近寄ってはいけない。あそこは、そこらじゅうがばい菌だらけなのだ。人間のバイキンの海だ。 おそらく特殊な宗教団体が、2割は入り込んでいる。
それから、かつての極左過激派団体の残党たちが蠢(うごめ)いている。 それから公安警察官(政治警察、警備=けいび=課に所属する)たちが、5%ぐらい入り込んでいる。 純粋な若者たちで、まだ世の中を知らない、生来、頭のいい、賢い人間で、優れた見識をもって、安倍晋三たちの安保法制の軒並み20本の法律の改正と可決(9月27日が衆議院の会期末)に反対する人たちは、十分に気をつけなければいけない。
この世には、たくさんばい菌が居て、自分たちを騙(だま)してくるのだ、
と厳しく、早めに自覚するべきだ。 妙に年だけをとって、ちっともうまくゆかなかった自分の人生の怨念(おんねん)と恨(うら)みを、公共の政治発言で、昇華(しょうか)させ、自分は立派な人間だ、とまわりに示したいだけの、精神が荒廃して崩れ果てた年配者たちには、近づいてはいけない。
そういう人たちは、ドストエフスキーが描いた『悪霊(あくりょう)』たちなのだ。政治的な怨念を背負った 悪魔たちだ。このことを真面目で多感な 若い人たちに忠言、助言 しておきます。
私、副島隆彦の目が黒いうちは、彼ら恐るべき、各種の悪霊たちの正体を、逐一、見抜いて、教えます。だから、いまのところは、静かにして私の言うことを聞いてください。じっと世の中の動きを見ていてください。そして、自分の生活を大事にして、少しでも楽しく、そして自分の将来への投資となることをコツコツと学んでください。
どうせ、チンコロ右翼の低能たちは、本を読みませんから、彼らとは違って、本を読んでください。 とりわけ私、副島隆彦の本を読んでください。 私は、「大きな枠組(わくぐ)みの中の真実」しか書きません。私は、読者を騙(だま)すことをしません。
以下に載せるのは、私と付き合いのある 編集者で、名うての本作りの名人です。 私に最新刊の本である 『中国、アラブ、欧州が手を結び ユーラシアの時代 が勃興する』(ビジネス社 、2015年7月刊)への 的確な批評をしてくれました。それを載せます。
(転載貼り付け始め)
『中国、アラブ、欧州が手を結び ユーラシアの時代が勃興する』
の読後感
2015年8月12日 ****
中国研究の7作目に当たる、最新刊を読了いたしました。
マスコミが中国経済の崩壊を連日、報道する状況の中で、敢然と中国経済の実相に切り込まれる姿勢に、ただならない勇気を感じました。
習近平(しゅうきんぺい)の「一帯一路(いったいいちろ)」経済の構想を、豊富な図版を用い、実にわかりやすく解説され、その卓越した内容に驚きを感じました。
新たに打ち立てたAIIB(エイ・アイ・アイ・ビー、アジア・インフラ投資銀行 )構想にイギリスが参加したことで、人民元の国際化の可能性は高まり、アメリカのドル覇権の金融秩序に陰りが見え始めたこともよくわかりかました。
第3章の「一帯一路で世界は大きく動く」は、習近平の「一帯一路経済構想」の実像と可能性を説得力のある視点で解説され、読み応えがありました。中東諸国を日本の真水化(まみずか)プラント技術で豊かな土地に変えていく作業が着実に始まっていることを、初めて認識しました。まさしく「一帯一路」構想は世界戦略と名づくべきもので、その将来が大いに期待されます。
中国はロシアとケンカをせず、インドとも「一帯一路」での話し合いをしながら、中央アジア、アラブ世界を通ってヨーロッパにまで直通する、地球規模の輸送路をという大きな構想で中国は生きている。
そのためには、「中国は戦争をしない。する必要がない」という捉え方は、実にまっとうだと思います。
また、中国の南米戦略として、新たに「ニカラグア運河計画」について触れられていることも驚きでした。大西洋と太平洋をつなぐという物流改革の構想は、習近平の発想力の大きさを証明しているようです。さすがのアメリカも「灯台もと暗し」の習近平の手腕にはさぞ焦っていることがわかります。
――日本国民はこういう世界の大きな動きを教えられないままに、ツンボ桟敷に置かれて、どんどん世界から取り残されてゆく。――という副島先生の嘆きが痛いほどよくわかります。
第4章「南沙諸島(なんさしょとう)をめぐる紛争の火種」も豊富な図版が用いられ実にわかりやすく読ませていただきました。南沙諸島はもともと各国の主張がぶつかり合う紛争地域であることがよくわかりました。 P135の「南沙諸島は4国が入り乱れて実効支配している」 の詳細な図で、紛争の実態が一目瞭然となりました。大マスコミはなぜこういう既成事実を報道しないのかと怒りに駆られます。
第5章「欧州とアジアをつなぐアラブ、イスラム教徒の底力」は先生のアラブ紀行を読むような気持ちで、楽しく読ませていただきました。 名画「アラビアのロレンス」を下敷きにして、かつて英、仏 帝国が、アラブ世界に対して行なった許されない欺瞞の数々を解説されていました。
特にアラブ独立運動の指導者であるハーシム家のフサイン・イブン。アリー王 (メッカ太守) について、的確な評価をされておられることに喜びを感じました。「アラビアのロレンス」の時代を彷彿とさせる貴重な歴史写真も参考になりました。
そして何と言っても、P189の「イスラム教の中心地帯であるヒジャーズ」の図がアラブの核心を突いていました。メッカからダマスカスまで北上する道 がアラブの中核だということがよくわかりました。
そして正当なハーシム家のフサイン国王から、ヒジャーズの地を略奪した(1924年)、サウド家の悪辣な所業に、絶望に似た気持ちを抱きました。
このアブドゥルアズイーズ・イブン・サウド(サウジの初代国王)という舌を噛みそうな悪辣な男に、アラブ世界の混乱がもたらされたかと思うと歴史の皮肉を感じます。この欲深な男と ロックフェラー家の連結で、アラブ世界はズタズタにされたのですね。
大作の映画「アラビアのロレンス」は私も3回観ましたが、初めてその内容がわかりました。それほど複雑な時代背景を下敷きにした難解な映画でした。私もアラビアのロレンスの颯爽とした生き方には深く共鳴していましたので、嬉しく読ませていただきました。
その他、数知れない知見に接しながら、今度の意欲的な著書を読ませていただきました。読後感が遅くなりましたことを申し訳なく思っています。
2015・8・12 ****
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦拝
【1477】[1807]副島隆彦先生・石井利明研究員講演DVD発表の遅れにつきまして
「副島隆彦の学問道場」須藤です。
副島隆彦先生・石井利明研究員による講演会のDVDの発表が遅れており、誠に申し訳ございません。
今回の私(須藤)個人の作業の遅さに加え、使用しているPCで発生したトラブルにより、完成が大幅に遅れることになってしまいました。
何とか、来週には頒布開始できる予定ではございます。只今全力で作業しております。
これほど遅くなってしまいましたが、DVDを待ち望んでおられるお客様には心からお詫びと感謝を申し上げます。発表の際にはどうぞよろしくお願いいたします。
副島隆彦の学問道場
須藤よしなお拝
【1476】[1806]天武天皇の正統性について
大伴氏の立場
天武天皇の「壬申の乱」での勝利の第一の要因は、近江朝・大友皇子(明治に追号された弘文天皇)が、美濃・尾張国で二万の民衆を徴兵していたこと。その徴兵されていた二万の民衆を、何の抵抗を受けることなく手に入れたことである。
第二の要因は、大和古京で名門大豪族の大伴氏が一族を結束して天武天皇(大海人皇子)に付いたことです。
西暦672年六月二十四日、大海人皇子一行、吉野を脱出して東国(尾張・美濃国)を目指す。
六月二十五日早朝、伊賀国にて高市皇子(天武天皇の長男)合流する。
二十六日、不破(現在の関ヶ原)を塞ぐことに成功したとの報告を受ける。高市皇子を不破に派遣し、軍事を見させる。
近江朝、この時にやっと大海人皇子等が東国に入ったことを知る。
二十七日、近江朝の徴収していた二万の兵を手に入れる。
二十九日、大伴氏、大和古京で蜂起、武器庫を襲う。大伴安麿等を不破に派遣し、大伴氏の蜂起の成功を、高市皇子に報告。
七月二日、不破より近江大津京を目指して全軍出撃、高市皇子総指揮をとる。
守谷です。天武の勝利に、大伴氏は大きく関与していました。大伴氏と天智天皇の間に対立があったようです。名門大伴氏は、天智の王朝に人材を送っていなかったようです。大伴氏と天智天皇の対立は、孝徳天皇(在位645~654)の朝廷で、大伴長徳が右大臣に就いている。孝徳天皇と皇太子・中大兄皇子(天智天皇)の間に対立が生じ、中大兄皇子が実権を奪い、孝徳天皇を難波宮に残し、皇后らを引き連れて明日香に帰ってしまい、孝徳天皇は難波宮で孤立して憤死する事件があった。
大伴氏は、最後まで孝徳天皇を支持していたのではなかったか。また孝徳天皇と中大兄皇子の対立は、時期的に見て朝鮮半島情勢と無関係であったはずがない。おそらく、孝徳天皇は、倭国(筑紫王朝)に協力し新羅討伐軍の派遣に積極的だったのではないか。
西暦六五〇年には、倭国は新羅討伐を決意していたのである。それが六六一年まで派兵開始できなかったのは、近畿大和王朝の協力を得るのに手間取っていたからである。
大伴氏は、氏の総意として大海皇子に味方した。これが天武勝利の大きな要因であった。このことがその後の大伴氏の運命を決定付けている。
また大伴氏は、『万葉集』との関係で重要である。『万葉集』は、ほとんど大伴氏の「私家歌集」と言って良い性格を持っている。大和古京出の大伴氏の蜂起の成功を、不破の高市皇子に報じた大伴安麿の子供が、大宰府で多くの優れた歌を残した大伴旅人、また女流歌人として最も多くの歌を残した大伴坂上郎女であり、『万葉集』の最終編者と云われる大伴家持は、旅人の嫡男、安麿の孫である。
以下次回につづく。
【1475】[1805]天武天皇の正統性について
『万葉集』〔16〕の額田王(ぬかたのおおきみ)の歌の解釈
天皇、内大臣藤原朝臣に詔(みことのり)して、春山の萬花の艶と秋山の千 葉の彩(いろどり)を競ひ憐れましめたまひし時に、額田王の、歌を以てこ れを判(さだ)めし歌
冬ごもり 春さり来れば 鳴かざりし 鳥も来鳴きぬ 咲かざりし 花も咲け れど 山を茂み 入りても取らず 草深み 取りても見ず 秋山の 木の葉を 見ては 黄葉(もみち)をば 取りてぞしのふ 青きをば 置きてそ歎く そ こし恨めし 秋山われは
一般的な現代語訳を載せます
天智天皇が、内大臣藤原朝臣にみことのりして、春の山の萬花の艶と秋の山の千葉の彩の優劣を問われた時に、額田王が歌を以てお答えした歌。
「春になると、冬の間鳴かなかった鳥も来て鳴いているし、咲かなかった花も咲いているが、山の木々が繁っているので入って取ることも出来ず、草が深く茂っているので手に取って見ることも出来ない。
秋山の木の葉を見る時は、もみじしたものを取って美しいと思い、青く残れる葉は、そのまま置いて嘆く、そこが恨めしいが、私は秋の山が優れていると思う。」
現代の万葉学では、春の山と秋の山の優劣を競った歌、と云うことになっているようです。「生命力の満ち溢れる春より、滅びを前にした一時(いっとき)の黄葉のほうが優れている。しかし、その黄葉の中に黄葉しきれずに青く残っている葉があるのが悔しい、」と額田王は嘆いている歌と。
しかしこの歌は、そんな単純な歌だろうか。ほんとうは寓意歌なのではないか。生命力の満ち溢れる春山は、日本列島の代表王者になった近畿大和王朝を指し、死を目前にした秋山は、朝鮮出兵の敗北で国民の信を失い、天智天皇の臣下にならなければならなかった倭王朝(筑紫王朝)を指し、黄葉の中に残る青葉とは、天智天皇に求められ、それを断れなかった額田王を指しているのではないか。
【1474】[1804]GEに喰い尽くされる東芝
みなさんこんにちは。相田です。
最近は時代が大きく動いているのを実感させられる出来事が続いています。
南部陽一郎が亡くなってしまいました。ある程度予想していましたが、やっぱり残念です。湯川は中間子、朝永はくり込みですが、南部はSSB(自発対称性破れ)と、カラークオークと、ひもの、ノーベル賞級発見の3掛けですからね。あの人は日本人じゃないとか未だに言う人もいますか、「ノーベル賞を受賞した時の国籍」が、そんなに意味があるもんですかね?
さて、東芝が世間の話題になっています。私は最近テレビニュースを見ないので、実感としてよくわかりませんが、社長、前社長、前々社長・・・・のお偉いさん達が、釈明に追われているようで、大変です。
たくさんの東芝の話が巷にあふれていますが、次の町田徹(まちだてつ)という方が、現代ビジネスというサイトで書かれた内容が、最も真実に近いのではないかと、私には思えます。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/44271
-引用始め-
町田徹「ニュースの深層」2015年07月21日(火)
膨らんだ「のれん代」1兆円超 東芝がひた隠す「原発事業の不都合な真実」
(中略)
ほとんど報じられていないが、今回のケースで怠ってはならないのは、同社の重要部門だった原子力事業の精査だろう。
中でも、鳴り物入りで2006年10月に4800億円あまりを投じて77%の株式を取得した米原発プラントメーカーのウェスチングハウス(WH)の子会社化は重要だ。当時の西田厚聡社長は、わざわざ説明会を開き、原発の建設や保全サービスなどで2015年には最大7000億円のビジネスが見込めると胸を張っていた。
この買収に伴って、東芝のバランスシート上ののれん代は急膨張した。2006年度(2007年3月末)の計上額は7467億円と1年前の6.5倍に急増した。
問題は、こののれん代の処理にある。
ちなみに、のれん代とは、買収金額と、買収対象になった会社の正味価値の差額を指す。買い手候補が2社以上で競合すれば、のれん代は膨らみがち。経営の実態を決算に反映しようとすれば、膨らみ過ぎたのれん代の償却は不可欠だ。
償却のやり方は、国際会計基準(IFRS)や米国基準と、日本基準で異なっている。IFRSや米国基準では、買収した企業(事業)の価値が下がったら償却するのに対し、日本基準は20年程度をかけて費用として計上し償却することになっている。
そこで東芝だが、同社は米国基準を採っている。WH買収前のことだが、2005年度第3四半期決算発表の席で、担当副社長がWHののれん代について「弊社は米国会計基準を採用しているので、毎年、(下がっていないか)公正価値の再評価を実施します」としながら、有望な事業なので「直近2、3年の間に減損をすることは想定しておりません」と言明した。
そもそも、この償却をしないという方針に無理があった疑いがある。WHの本国である米国では、1979年のスリーマイル島の原発事故以降、新たな原発の建設がストップしており、原発は有望なビジネスではなくなっていたからだ。
さらに、福島第一原発事故から約1カ月が経った2011年4月14日の佐々木則夫社長(当時)の言葉は不可解だ。日本経済新聞やロイター通信のインタビューで語ったもので、「会計監査人に見てもらって今の経営の中から減損のリスクはほとんどないと評価されている。実際の収益の源は(既存の)運転プラントと燃料から来ているので、新規プラントが少し遅延しても減損に至らないと思う」と述べたのだ。
福島第一原発事故で東京電力の企業としての存続が危ぶまれ、米国に続いて日本でも原発の新設が難しくなろうとしていた時期に、減損を不要と言い張る佐々木社長の態度は、リスクの過小見積りとみなされてもやむを得ない。ちなみに、東芝が2010年12月末に計上していたのれん代は約5489億円。このうち半分強がWH分だったとされる。
2012年10月、佐々木社長はさらに約1250億円を投じて20%分のWH株を追加取得した。米エンジニアリング大手のショー・グループから契約に基づく買い取りを迫られて、拒否できなかったのだ。この価格が妥当だったかどうかも精査が必要だ。
WH買収以来、すっかり安易なM&Aが定着した東芝の2014年末のバランスシートには、実に1兆1538億円ののれん代が計上された。仮に、全額を一括償却すれば、巨大に見える東芝の株主資本(1兆4264億円)があっさり吹き飛ぶ規模だ。そもそもWHののれん代の先送りは、必要なコストの計上や損失の処理を先送りするという点で、今回、問題になっているインフラ工事の経費先送りなどと同根の問題でもある。繰り返すが、精緻な調査を避けては通れない。
―引用終り―
相田です。読めば読むほどに恐ろしい話です。鳴り物入りで買収したWHの株価が下落して、まともに償却できなくなってしまったのを先送りしたのが、誰も怖くて触れない今回の事件の真相のようです。
わたしは、08年の「エコ洗脳本」で東芝のWH買収事件の真実と思うことを書きました。会員の方はいまでも「ぼやき」にある私の原稿を読めるはずです。あの時、東芝にWHを6千億円で買収させたのはGEです。断言できます。90年代半ば以降の東芝は(ついでにIHIと日立も)、GEに完全にクビ根っこを抑えられて、逆らえない状態にありました。
WHが売りに出されたときに、技術的な筋としては、長年の提携関係にあった三菱重工が買うのが当然でした。しかし、三菱がWHを買ってしまうと、アメリカを脅かす強力な重電企業が誕生してしまうため、GEが無理やり横槍を入れたのです。あの時、GEは日立と(仮面夫婦の関係で)共同入札し、東芝は単独入札するという「挟み撃ち作戦」で、三菱の買収を迎撃しました。
その後の3.11により、原子力で大儲けするという東芝の野望はあっけなく崩れ去りますが、2012年10月にはショー・グループから、「約束だったろう」と、1250億円で20%分のWH株を追加で売りつけられるという、情け容赦ない仕打ちを東芝は受けています。恐るべきヤクザの世界です。血も涙もありません。
結局の処、世界の原子力業界の黒幕はGEなのです。GEはもはや東芝、日立などの日本メーカー等はどうでもよく、原発技術をさっさと中国に持っていきたくて仕方ないように、私には思えます。これからは東芝をねちっこく追い詰めて、さっさとWH株を売り払わせて、中国に高く売りつけるという、えげつない作戦を立てているのでしょう。
これからの原子力の中心は、米、仏、日ではなく、中国とロシアです。共産主義国の天下です。
左翼の人たちが望んでいるのか知る由もありませんが、没落した日本のメーカーから、原子力技術が中国に渡るのを防ぐ術はありそうにないです。原発事故がひとたび起これば、風も海流も日本を直撃しますし、こちらに補修する技術も無くなれば、我々は、なすすべなく見ているしかなくなるのでしょう。
相田英男 拝
【1473】[1802]天武天皇の正統性について
額田王(ぬかたのおおきみ)と大海人皇子(天武)1800の続き
あかねさす紫野行きしめ野行き 野守は見ずや君が袖振る〔20〕
紫草(むらさき)のにほへる妹を憎くあらば 人妻ゆゑに吾恋ひめやも〔21〕
上記の二首は、天智7年(西暦668)五月五日の宮中あげての御狩りの際に額田王と大海人皇子の間で交わされた歌である。昭和を代表する歌人斎藤茂吉翁を筆頭に多くの歌人、学者たちが万葉集随一の歌と激賞しているあまりにも有名な二首である。彼らがこの二首をどの様に理解しているのか、斎藤茂吉の『万葉秀歌』より引用する。
「お慕わしいあなたが紫草の群生する蒲生の御料地ををあちこちとお歩きになって、私に御袖を振り遊ばすのを、野守に見られはしないでしょうか。それが不安でございます。」〔20〕
「紫の色の匂うように美しい妹が、もし憎いのなら、もはや他人の妻であるおまえに、かほど迄恋する筈がないではないか。そういう危ないことをするのも、おまえが可愛いからである。」〔21〕
他の歌人たち、学者たちの見解も斎藤茂吉ほど大げさではないが同様な見解である。しかし、私はこれらの見解に疑問を抱かずにおれない。まず〔20〕の歌である、「野守は見ずや」の「ずや」は、否定の「ず」と反語の「や」の合成である。「や」という言葉は、弓矢の「や」と同じく、相手にぶっつける意味を持つ。つまり、質問、問い質す役割を持つ。質問とは、自分に確信を持つことを相手にぶっつけることだ。同じ反語でも疑問の役割を持つ「か」とは異なる。故に「ずや」は、強い表現だ。それを踏まえて私の解釈を乗せる。
「あかねさす紫野行きしめ野行き、野守が見ていますよ、あなたが袖を振っているのを」
詰問口調、諌めているのではないか「あまり軽はずみなことをなさいますな」と。この天智7年というのは、天智天皇が正式に即位した年である。倭国が消滅し、倭国の大皇弟(大海人皇子)が近畿大和王朝・天智天皇の臣下となった年だ。
もっと理解に苦しむのが〔21〕の見解である。「吾恋めやも」は、「私は恋するだろうか、いや恋などしない」という恋を否定している。それが真逆の「恋し続けている」という解釈になっている。「人妻ゆゑに恋めやも」は「今は人妻だから、恋などするはずがない」という意味になるはずだ。
しかし、そう解すると、「紫草にほへる妹を憎くあらば」とのつながりが不自然となる。「憎くあらば」は「憎いのなら、今はもう人妻であるのに恋などするはずがない」と。余計なお世話みたいな歌になる。
この歌の解釈に私は長い間悩んできた。どうして斎藤茂吉翁のような解釈になるのか、どうしても納得がゆかなかった。苦し紛れに考えたのが、「紫草のにほへる妹を」の「を」目的格の助詞ではなく、間投詞と見てはどうか、というものです。ほとんどの歌人、学者たちは、この「を」目的格の助詞として解釈しています。
「を」は、まず感動詞として出発したと云います。今でも意外なことに遭遇した時「を!」と発します。そこから返事の「を」、承知した、確認した意味が発生し、そこから間投詞の「を」確認、強調の役割です。目的格の助詞となったのは、語順の違う漢文を読み下すため、動詞の目的語に必ず「ヲ」と記したため定着し広まった、といいます。もともと日本語には目的格の助詞はなかった。飯食う。酒飲む。のように。
そこで〔21〕の「妹を」の「を」を、間投詞と採れば、「むらさきのにほへる妹」を強調していることになります。「むらさきのにほへる妹、その妹が、憎くあらば(迷惑に思っているのなら)、もう人の妻なのだから、恋などいたしません」と。
額田王に諌められた元夫の大海人皇子が言い訳、弁解している歌ではないのか。みんなは、大恋愛歌のように解釈しているが、この二首の歌は、相聞(恋)歌の部に置かれてはいない。雑歌の部に置かれているのだ。『万葉集』の編者は、恋の歌とは認識していなかったのである。
反論質問もとむ。
【1472】[1801]私の短い夏休みは終わりました。次に出る本のこと。そして、7月8日に、中国発のニューヨーク株大暴落の恐怖が有ったこと。
副島隆彦です。今日は、2015年7月18日です。
台風の大雨と嵐が、3日間続いて、ようやく全国夏晴れになりました。
私は、台風が来る前に、3日間だけの夏休みをさっさと終わりました。私の考えでは、日本の本当の夏は、梅雨(つゆ)明けと競争するように始まる7月の初めの爽やかな一時期であり、それは、7月20日に終わってしまう、というものです。そのあとは暑ぐるしい真夏が続く。9月まで続く。
私は、熱海から、西湘バイパス(せいしょう、とは西湘南のことで大磯まで)をずっと走って、相模(さがみ)湾沿いをずっと三浦半島に向かいました。たった100キロのドライブですが、私の運転力ではこれぐらいが限度です。 ずっと書いていた原稿を書き上げたばかりの両眼には、路上の運転は、急激な環境変化であって、外界(がいかい)が二重に見える錯視症(パラブレプシア parablepsia )を 起こしそうでした。
浦賀(うらが)まで行って、あ、しまった、私は浦賀の港をぐるりと見て回るのをしなかった。ペリーの艦隊は浦賀に入ったが、上陸はしてない。浦賀は奥が深い。1853年の秋だ。隣りの久里浜(くりはま)に上陸している。そのまえに、江戸湾を深く、品川沖まで侵入して、江戸城に照準を合わせて空砲をドーン、ドーンと撃って、天守閣を確実に倒壊できる示威(しい)を示した。
これに江戸幕府は屈服した。ペリー艦隊を取り巻いていた日本側の小舟数百隻では相手にならない。 それで、幕府は、「(た)ぶらかし戦術」に出て、「来年来てくれ。来年なら交渉に応じる」と、少しでも、遠くに引き離そうとした。ペリーは、すぐに年が明ける(1854年)と、今度は、6隻の黒船(2500トン級。当時の世界の最新鋭の大型軍艦の基準)でやってきた。それで、東神奈川(今の横浜)に上陸して、日米交渉が始まったのだ。
私は、浦賀でおいしい地魚(じざかな)の料理をたくさんいただいたあと、夜に三浦海岸に移って、そこで短い夏の日差しを楽しんだ。三崎(みさき)漁港にも回った。天木直人(あまきなおと)氏の横須賀での選挙を弟子たちと手伝った時に、何回か行ったっきりだったので、10年ぶりぐらいか。
三崎漁港は、カジキマグロなどの遠洋漁業の拠点なのに、大型漁船の姿がほとんど見えなかった。湾は、ガラーンとしていた。日本は大丈夫かな。全国の港町がどこもこんな感じだ。もう魚は、輸入ものか、養殖ものになりつつある。これからは、大きな海洋面積と無数の島々からなるインドネシアが、魚をどんどん捕るだろう。
インドネシアの新興大国としてのものすごい隆盛を分かっている日本人は少ない。いろいろの産業分野でインドネシアの現場にいる人たち以外ではあまりいない。
私は、湘南海岸に思い入れがある。今日のぼやきに、数年前に「加山雄三論」を書いた。他の国民的な芸能人たちのこともこれから順番に書いてゆく。私たち日本人が生きた、この50年間を、なんとかさまざまな角度から書いて残しておきたいからだ。私の日本国民文化論だ。
私は、茅ヶ崎(ちがさき)の(加山)雄三ロード と、そこから1キロぐらい離れている、サザン(・オールスターズ)ビーチまで浜辺をずっと歩いた。もうあまり人も来なくなった閑散とした浜辺だ。土地の人に聞いたら、3年か5年に一辺ぐらいしかサザンのコンサートはないよ、とのことだった。
海辺には、上空をかならず鳶(とび)が舞っていた。三浦海岸の鳶もすばらしい。鷲(わし)ほどは大きくないが、それでも、羽根を広げると70センチぐらいはある。去年行った、沼津の 御用邸の先の浜辺(駿河湾)の立派な鳶(とび)たちは、1メートルぐらいあった。熱海のトビは、羽根を広げても50センチぐらいだ。餌の取りやすさの事情に因るのだろう。
私は、大磯と鎌倉もぐるりと回った。川喜多(かわきた)映画記念館にも久しぶりに行った。その先の源氏山(げんじやま、壽福寺、じゅふくじ)の、右大臣(うだいじん)実朝(さねもと)と母の北条政子の墓参りもした。私は、源実朝(みなもとのさねとも)の「金槐(きんかい)和歌集」のうち3百首ぐらいを覚えている。日本の知識人で、実朝の歌集を詠まない者は教養のない人だ。
私は、こうしてさっさと短い夏休みを終わった。さあ、今から歴史ものの本を書く。
私は、三浦海岸に出掛ける直前まで、「中国本 7」を書いていた。この本は、今月の終わりには、全国の書店に並びます。 書名は、『 中国、アラブ、欧州が手を結び ユーラシアの時代 が勃興する 』(ビジネス社刊) である。帯には、「一帯一路(ワンベルト・ワンルート)」とAIIB で 中国が勝つ。 いまこそ人民元、中国株を買うべきだ」と書いてある。
私は、この本を、突貫工事で実質2週間で書き上げたが、その最中(さなか)に、中国で、金融と政治の両方で、激動が起きていた。6月12日(金)に、中国株(上海総合指数 しゃんはいそうごうしすう )は5100台でピークを付けて、そのあと急落を開始して、やがて暴落となった。最終の どん底の値段は、3300台だった。それは7月8日だった。この騒ぎは世界の株式市場の動きに密かに大きな影響を与えていた。
この7月8日の中国の大暴落の大騒ぎは、取引停止の銘柄1300社(上場の2500企業のうち)に及んで、収束した。このあと、3800ポイントまで回復した。4000ポイントも7月13,14日には付けた。これが一番底だ。
この半年(年明けから)で、中国株は、2.5倍になっていた。急激な上昇だった。私の本の読者で、「先生。中国株で大儲けしたよ。もう売って利益を確保したよ」と伝えてきた人たちがいる。それが一転して暴落を始めた。それが株式市場というものだ。
博奕(ばくち)の才能のある人たちは、私、副島隆彦の本を、よーく読んでいて、そこから、本当の世界の動きを知ることの、自分の貴重な情報源としている。 私はこれで本望だ。
私が、こんどの「中国本 7」を書いている最中(さいちゅう)がまさに激動のさなかにあったことを自分で気付いていた。重要な事は、この本に書いた。
どうも6月11日の周永康(しゅうえいこう)の裁判の判決(無期懲役)の直後に、激しい権力闘争があったようだ。
そして、上海閥=石油閥 の大物たち数百人が、一斉に逮捕されたようだ。それは、習近平が、南の貴州省(きしゅうしょう)の遵義(じゅんぎ)を急に訪ねた、という記事を読んだ時に、私は、ピンと来た。
遵義会議(じゅんぎかいぎ)が開かれた地は、大長征(ロングマーチ)という、中国共産党にとっての、結党以来の最大の危機を乗り切った地である。毛沢東が、貧弱な農民兵の残兵1千人を率いて、命からがら井崗山(せいこうざん)に登って逃げ延びた(秋収(しゅうしゅう)蜂起(1927年)失敗)の時と同じぐらい、それ以来の厳しい教訓の地だ。毛沢東はまだ下っ端の幹部でしかなかった。
蒋介石の国民党の 100万人の兵力で、ついに第5次包囲網で、瑞金(ずいきん)を首都とする 江西(こうせい)ソビエト は陥落寸前だった。だから、1934年の10月に、ついに瑞金を捨てて、中国共産党本部(中央)は、国民党軍の包囲網から脱出して、南、そして西の山奥に逃げた。
その途中でたどり着いたが、遵義の都市だ。長征介しから3ヶ月後だ。この3ヶ月の戦争で、共産党軍は3万人を失った。そこの軍閥を掃討して会議を開いた。その遵義会議(じゅんぎかいぎ 1935年=昭和10年=1月15日から17日)の重要性は、現代中国史を研究している者たちで、知らないものはいない。
この遵義会議で、毛沢東が中国共産党の指導権を確立した、とされる。このことはちょっとした勉強家、本読みなら知っている。だが、なぜ、毛沢東がここで、都会出身の上品な、モスクワ留学帰りのエリートの幹部たちを屈服させて、権力を握ったのか、を知る者はいない。 後年の惨忍きわまりない毛沢東の数々の政治失敗のことをさておいても、横暴と惨忍さで人の気持ちを従えさせることはできない。
それは、尼将軍(あましょうぐん)政子の、承久の変(じょうきゅうのへん、1221年)の、攻め寄せる京都から朝廷軍の知らせの前に、うろたえる鎌倉武士たちの、「天子様に弓をひくことはできない。朝敵(ちょうてき)の汚名だけは受けたくない」という怯えきった態度に対して、政子が、幕府の大きな庭に居並ぶ武士たち数千人を前に、大音声(だいんじょう)で、「皆の者。源氏累代のご恩顧をなんと心得る」という大演説があった。
それで奮い立って、鎌倉武士たちは、涙を流しながら団結を誓いながら、激しく朝廷軍と戦い、勝った。そして京都まで攻め上がって検非違使(けびいし)と六波羅探題(ろくはらたんだい)を作って、自分たち、下臈(げろう)の身の侍(さむらい。さぶろう地下人たち)階級では、とても畏(おそ)れ多くて、押さえつけることなど出来なかった京都の公家たちを押さえ付けた。 あのとき、日本で、天子(てんし)思想(=天皇制イデオロギー)が、一度、崩壊したとされる。 あの感じが、実は、中国の現代史で、中国共産党の成立史の中であったのだ。
毛沢東は、この遵義(じゅんぎ)会議の場で、どうやら、モスクワから派遣されて来ていた、軍事顧問 でもあるコミンテルン(国際共産党)の政治委員(コミッサール)たち、(そのトップは、オットー・ブラウン)たちに向かって、
「このままでは、俺たち中国人は、皆殺しにされる。もうお前たちの言うことは聞かない。お前たちの指導は受けない」と怒鳴ったようなのだ。このとき天命(てんめい)が下ったのである。毛沢東が、この瞬間に、中国歴代の皇帝に連なる、“赤い(紅い)皇帝”となった。
だから、上海にあった党本部のインテリで、良い家庭の出で、高学歴の共産党の幹部たちまでが、周恩来(それまでは彼の方が格がずっと上だった。毛沢東は田舎者として小馬鹿にされていた)を含めて、毛沢東に屈服して跪(ひざまづ)いたのだ。これが遵義会議の本当の重要性だ。
この真実は、私、副島隆彦のようなずば抜けた感受性をした人間にしか見抜けない。西洋人の中国研究学者には到底分からない。東アジアの伝統である、「この男に天命が下る」という感じを理解できないと、東アジアの政治なるものの本質が分からない。
たとえば、韓国の金大中(きんだいちゅう)や、盧武鉉(ノムヒョン)のような大統領に成った男たちも、韓国独特の天命(ティエンメイ)が下ったのだ。それに財界人や軍人たちまでが自ら跪(ひざまず)くのである。
共産党軍(中国労農紅軍、ちゅうごくろうのうこうぐん)の長征=逃避行は、始めは10万人の軍隊だったが、最終地の陝西省(せんせいしょう)の延安(えんあん)に着いた時には5千人に減っていた。戦死者以外に、逃亡脱落兵もいる。 遵義(じゅんぎ)から先は、さらに雲南(うんなん)省の方に逃げて、それから四川省のチベット寄りの、大雪山(だいせつざん)を越えて、そこから北上して、延安にたどり着いている。
本体はの移動は、丁度、1年間だった(1935年10月、到着)が、別働隊の移動は、さらにあと一年続いて、1936年10月にようやく延安にたどり着いている。ここで、ソビエトからの支援物資で、なんとか生き延びている。それ以外は、やがてやって来た、アメリカの軍事顧問団による、「第二次国共合作」による支援である。
日本は、万世一系(ばんせいいっけい)のスメラミコト(大王、オホキミ、ミカド)が居るから、この天命の思想は、形の上では排除されている。それが、尊王家の山縣大弐(やまがただいに)や吉田松陰の「講孟箚記(こうもうさっき)」の主題だ。
だから、私は、習近平が、突然、遵義に行った、ということは、この時、6月16日に激しい権力闘争に勝ったのだな、と分かった。もうこれ以上、詳しいことは書かない。今度の本に書いた。読んでください。
何と、習近平は、自分の育ての親であり、自分を引き上げてくれた、曽慶紅(そうけいこう)までを拘束したようである。その上の、江沢民(こうたくみん)は、このまま静かに死なせるようだ。 曽慶紅こそは、上海閥=石油閥の大親分である。75歳だ。
私は、15年ぐらい前に、京都に呼ばれて、野中広務(のなかひろむ)氏と、東山の一流料亭で話をした時に(その前は、京都の魚市場で話した)、野中広務が、「曽慶紅さんが、・・・賈慶林(かけいりんさん)が・・・」といろいろ話してくれた。
野中広務は、上海閥とつながっている日本の大物政治家なのである。北京閥(共青団、きょうせいだん。今は、李克強=りこっきょう=首相が代表)は、小沢一郎と田中真紀子がつながっている。中間派で、福田康夫、二階俊博が、その両方とつながっている。
習近平は、福建省長、上海党委書記(上海のトップ)を曽慶紅の引きで務めた。そして、厦門(アモイ)事件=遠華(えんか)事件(1996年、上海閥によるアメリカとの巨額密輸事件の発覚)の全面解明を 抑えこむ為(ため)に、習近平は、曽慶紅たちから大事にされて抜擢されながら出世した。
ところが、習近平は、自分が属した上海閥=石油閥 を裏切って、反腐敗闘争として、今回全て叩き潰した。
それは、私、副島隆彦が、この10年、中国研究本 ― 初刊は、『中国 赤い資本主義は平和な帝国を目指す』(ビジネス社、2007年刊)以来、― ずっと追求してきた主題だ。
偉大だった鄧小平(とうしょうへい)は、「もうこんな貧乏はやめにする。共産主義の平等主義、理想主義では私たちは生きて行けない。中国はこれから豊かな国になる。民衆に良い暮らしを与える」として、改革開放(かいかくかいほう)政策(1979年から)を始めた。鄧小平も、前述した、遵義会議20名の参加者の中に、No5ぐらいで入っている。
そして、残酷な毛沢東を、劉少奇(りゅうりょうき)や、周恩来と共に、皇帝として戴(いただ)いている。このことがあるから、あれほど自分自身も毛沢東にひどい目に遭っても(3回殺されかかった)、現代中国の生みの親としての毛沢東を否定しなかった。
鄧小平は、善人でお人好しの理想主義者の胡耀邦(こようほう)と 張紫陽(ちょうしよう)が最高幹部(党の総書記=党主席)になっても、天安門事件などで、失脚していったのを知っているから、地獄の底から、「悪人でないと政治はできない」という原理で動いた。
だから、ワルの江沢民(上海閥のドン、日本の漢奸 )に1990年代を明け渡して、「我慢せよ、我慢せよ。政治指導者に必要なのは忍耐だ」と教えて、次の胡錦濤と 温家宝の 共青団(きょうせいだん)系に託した。
そして、胡錦濤(こきんとう)が、習近平を10年かけて育てた。 「お前なあ。中国はもう、党の幹部たち内部の、権力闘争や殺し合いなどやっていてはいけない。中国は世界を指導する国になるのだ」と懸命に、習近平を説得して教育した。そして、習近平を上海閥から奪い取った。「ワルが一番上にいないと、政治はできない 」、「李克強よ、お前は、首相=国務院総理=という一番、苦労の多い仕事をして我慢せよ」 と、育てた。
だから、この6月16日のあと、習近平は「これは、自分が生きるか死ぬかの闘いだ。反腐敗の闘争を続ける」と発言している。
このあとが大事だ。7月8日の、中国株の最後の暴落の日に、実はニューヨークの株に大暴落の危機が迫っていた。だから、この日、ニューヨーク株式市場(NYSE 、ナイス)は、4時間にわたって、取引停止にした。システム障害などではない。全面的に取引停止にしたのだ。
この日、中国から巨額の売り注文が殺到した。だから、ニューヨークの金融当局は慌てふためいて、それで、「システム障害」ということにした。東京市場も、この日、600円の急落を起こしている。ブルブル震えていたのである。
中国人の権力闘争のスサマジさの前に、世界の金融業界など、ひとたまりもない。このことが、今回の、表面化させなかった本当の大きな動きの背景だ。またしても地軸(ちじく)が動いた。中国人は、ユダヤ人もアメリカ人も怖くないそうだ。中国人が怖いのは、中国人だけだ、そうだ。中国人は内部での中国人どうしの争いや闘いさえ克服できれば、あとは容易(たやす)いののだ。
ましてや、日本人ごとき島国人間 は、相手にならない。東洋(トンヤン。東のほうの大洋で、太平洋のこと)の島に浮かぶ鬼ヶ島の鬼子(クイズー)にしか見えない。この日本人への典型的な別称を、だから東洋鬼子(トンヤン・クイズー)というのだ。
NY の株式を一気に売り払おうとしたのは、当然、上海閥、石油閥の人間たちで、習近平の側近の王岐山(おうきざん、No6) 共産党中央規律審査(きりつしんさ)委員長の糾察隊に、まだ捕まらないで世界中を逃げまわっている残党たちだ。
そして、この7月8日の、翌日から、上海の「人権派」弁護士たちが、一斉に検挙された。初めは30人だったが、やがて300人になった。中国の弁護士たちというのは、ほとんどが 外国で法律学の教育を受けて弁護士の資格を取ってきた者たちだ。彼らは、人権問題や住民紛争で、中国政府と穏やかに対決してきた人々だ。だが、今回は、おそらく、上海閥の巨額の資金の移動に関わっていたのだろう。
中国人が、今、どうして、このように、一人、数百億円、どころか数千億円、も超えて、数兆円とかを持っている人たちが出現しているのか。アラブの王族のような連中だ。一体、これほどの資金をどうやって、どこから、わずか、この30年間の急成長の間に、蓄財できたのか。中国研究をこの10年やってきた私でも分からない。
おそらく50億元(日本円で一千億円)ぐらいの金融資産を持っている中国人が300万人ぐらいいる。一代で民間の企業経営で儲かった者たち以外は、ほとんどは、中国の地方の 省の 共産党の幹部たちだ。だから、この地方幹部たちの極度の腐敗=汚職 を 徹底的に 取り締まる、というのが、習近平の政策の第一番目だ。 中国民衆もそれを支持している。現代中国の巨大地主で、オリガルヒは、地方幹部たちだ。
こういう巨大なバブル状態が、東南アジア諸国の華僑、華人(ホワレン)たちも巻き込んで進行している。もう日本ごとき貧乏の衰退国家(デクライニング・ステイト)では勝てない。相手にならない。日本のニューズでは、「中国の経済減速が進み・・世界の経済に影響が出ている」
と、毎日、寝言のような、半分、中国への悪口の、主観と願望だけでのニューズ報道が為されているが、実際に、自分で中国や香港に行って見てくるがいい。どこにも経済減速など無い。中国の実体経済は今も強いのだ。たったこれぐらいの株価の乱高下では、びくとしない、ということだ。
それでも、この背後で、これほどの激しい権力闘争が中国で起きていた。BRICS(ブリックス)会議で、ロシアに行って、習近平は、7月の頭に、プーチンと平然と、「中国は、これぐらい資金を出せる」という話をしていて、プーチンの方が、ぐっと腰を僂(かが)めて「お前の国は、そんな激しい権力闘争をやっていて、よくも、まあ、こんなに平然としているなあ」と、まじまじと習近平の顔を見つめていた。そして、ウン、ウン、俺はそれでいいよ、と頷(うなづ)いていた。
慌てふためいたのは、アメリカと日本だ。もし中国の上海閥が、NY と東京で、100兆円ぐらい株式の売り、換金をしたら、大暴落だ。そうしたら、NY株が2000ドルぐらい下げて、世界恐慌突入だ。日本も2000円の下げが起きて、東証の18000円を支えきれなくなる。さらには、江沢民の系統の政府系の投資会社(CIC)が、保有する米国債を一割(1兆ドル、120兆円)でも売り払ったら、やはり、もうアメリカは保(も)たない。
このことを、日本国民の、とりわけ、安倍晋三支持、大好きのチンコロ右翼・経営者たちに知られたくないから、だから、必死で、「中国株の下落と、取引規制は、世界に悪影響を与える。中国は信用をなくしている」とNHKまでが宣伝している。
だが、本心は、「そういう恐ろしいことはやめてくれよー、お願いだから。こっちが迷惑する。ただでさえ、インチキ通貨量を作って、政府主導で株価のつり上げをやって必死で粉飾で経済を支えてるのだから」なのだ。
中国の市場統制、と アメリカ、日本、そしてヨーロッパの市場統制は、全く同じレベルだ。 「売り家 と 唐(から)文字で書く 三代目」 を気取っているだけの先進国の米、欧、日がいつまで、お上品を決め込んでいることが出来るか、だ。
危機は、自分たちの方にこそある。 先進国は、人口も減り続けて、実体経済が、これほどに弱くなっている。新興国と、途上国は、人口増加も続いて、ものすごい成長を続けている。この現実を見ないで、一体、どこを向いて生きているのか。
7月8日の中国の株価の激しい急落を見て、びっくりしたNY市場は、ゴールドマンサックスが、早々(はやばや)と 「中国株は心配ない。これから27パーセントまた上がる」という記事を出した。 後の方に載せる。「中国は大丈夫だから、自分たちも大丈夫だ」と、ジェイコブ・ルー財務長官が、裏で、中国と話をつけて胸をなで下ろしている。
「お願いだから、NY の株と米国債の売却だけは止めてくれ。中国で何が起きていたか、私たちもだいたい知っているが、こっちに大きな影響が出てしまう」と、ルーと親分のロバート・ルービンが習近平に懇願したはずなのだ。 この6月、7月上旬に起きていた、大きな真実はこういうことだ。このとき、日本のワルの外交官の谷内正太郎(やちそうたろう)が極めて険しい表情で北京に向かった。
ギリシアの債務危機(デット・クライシス)で、この2ヶ月ずっとニューズを騒がせているが、あれも一種のヤラセだ。ギリシアの人口は、たったの1100万人で、日本の神奈川県ぐらいのものだ。こんなチビコロ国家の、わずか3400億ユーロ( 40兆円) の国家債務(これ以外に、民間銀行からの借金20兆円がある)の、返せ、返せない、返さない、更にはもっと支援の融資しろ、という話の方に、私たちを目眩(めくら)ましをしている。
ギリシア人の誇り高さ、は、「私たちの古代ギリシア文明がお前たちヨーロッパ文明の発祥であり礎(いしずえ)である。デモクラシーを教えてやったのは俺たちのご先祖様だ」という、ところから出ている。だから、ギリシア人たちは、ほどんど働かないまま、のんびりと暮らしている。
だから、今のツィプラス首相(シリザという政党)は、もう大物政治家になってしまったので、何を考えているかというと、“借金の踏み倒し(主にドイツからの)”など朝飯前で、その次に襲ってくるスペインの債務危機で、スペインの ポデモスという急進左翼の政党と組んで、他のEU諸国の急進左翼政党とも連携して、EUそのものをガタガタにしてやろうと、目論んでいる。
スペインの国営放送を見ていると、「わが国も、200億ユーロ(2.7兆円)を ギリシアに貸している。それを返してくれ。踏み倒し(債務免除)は許さない。もしそういうことが出来るのなら、私たちスペインも、ESM(イー・エス・エム ヨーロッパ緊急支援メカニズム)から金を貸してくれ」と言っている。だから、ヨーロッパの本当の危機は、スペインなのだ。それから、アイルランドと、ポルトガル、そしてイタリアだ。
世界の中心は、今や、ヨーロッパや、アメリカではない。目立たない、今も貧乏人が山ほどいる中国こそは、世界の中心になってしまっている。一体、これほどの人間がどこから沸(わ)いて来るのか分からないほどの人口の多さが、経済活力の土台だ。
以下に、上記のことに関連する新聞記事を載せる。
私は、数日前に、緊張した引き釣った顔をしたワルの谷内正太郎(やちしょうたろう)が、飛行機に乗り込んで、中国に向かうニューズを見た。以下の昨日(17日)の日経新聞に載っていた。9月2日が、中国の日本への戦勝記念日(「抗日戦争勝利70周年」)だ。その前か後に、安倍晋三首相が、中国に行くようだ。
よっぽど何か話し込まないと済まないことがあるようだ。その本当の理由は何か、まだ分からない。安倍晋三が、あれほど嫌(きら)っている、チャンコロ(中国人のことを正しくは、チャンコウレンと発声する)たちに膝を屈して話さなければならないことがあるようだ。 安倍は、呼びつけられて行くのである。
副島隆彦拝
(転載貼り付け始め)
●「中国、日本の高官に異例の厚遇 李首相が安保局長と会談 本格対話望む姿勢鮮明 」
2015年7月17日 日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM17H7T_X10C15A7EA1000/?n_cid=TPRN0005
訪中している谷内正太郎(やちしょうたろう)国家安全保障局長は17日、北京の中南海で中国の李 克強首相と会談した。政治家ではない谷内氏への対応としては異 例の厚遇で、 日本との対話を本格化させたい中国側の意向が鮮明になった。両氏は関係改善に 向け、首脳レベルの対話が重要との認識で一致した。
李首相が2013年の就任以来、現役の日本政府高官や政治家と会うのは極めて珍 しい。35分間の会談の冒頭で李氏は「今回の訪問は両国関係を正常な軌道に戻すこと にとって積極的な意味がある」と述べた。
谷内氏は16日に外交担当トップの楊潔篪国務委員(副首相級)と夕食を含めて 5時間半にわたって協議した。17日には中央軍事委員会のメン バーである常万 全国防相とも1時間会談した。中国側は谷内氏との対話を一方的に「ハイレベル政治対話」と位置づけ、重視する姿勢を強調した。
習近平指導部の谷内氏への期待は大きい。安倍晋三首相の戦後70年談話など歴 史認識の問題は避けて通れない。安倍首相の考えを正確に把握 し、中国側の意向を安倍首相に直接伝えられるパイプ役が必要となる。昨年11月に「最悪の日中関係」といわれる状況下で、歴史認識や領土をめ ぐり双方が受け入れ可能な合意文書をまとめた谷内氏を窓口として位置づけた。
安倍首相は9月初旬に訪中し、習国家主席と会談することを検討している。谷内氏と李氏の会談で安倍氏訪中の話題は出なかったとされるが、日中韓首脳会談については谷内氏が早期の実現に向けて協力を求めた。
中国経済の成長が鈍化するなか、社会の安定を重視する習指導部は大規模なデモや暴動につながりかねない反日感情を過度に刺激するのは避けた い。「予想以上の経済悪化が対日関係改善の大きな材料になっている」(日本の外務省幹部)との指摘もある。継続的な対話で関係改善を維持する のが基本的な構えだ。
一方で戦後70年の節目の年として、反日のドラマや映画を全国で放映する動きもある。反日カードの放棄はあり得ないとの指摘は多い。尖閣諸 島や東シナ海のガス田をめぐる問題も解決の糸口は見えない。日中間にいくつも残る火種をいかに管理するかは、谷内氏のパイプに委ねられた。
●「「異常事態」の中国株市場、商品や株式にグローバル投資家の売り」
2015年7月8日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0PI0LM20150708
中国リスクへの警戒感が市場に広がっている。
上場銘柄の約半数が売買停止となる「異常事態」にグローバル投資家は、株式や商品などのポジションを 手仕舞い始めた。実体経済への影響も懸念され、金利は低下、リスクオフの円買いも出ている。
ギリシャの財政問題も混迷を極めており、市場の楽観ムードは大きく後退している。
<アジアに広がるリスクオフ>
約半数の銘柄が売買停止となる異常事態となった。8日の中国株式市場の上海、深セン取引所では約1300社の企業が売買停止。全上場企業2808 社のうち約45%が売買できない状況となっている。
事前には「売ることができなければ、株価が下がることもない」(外資系証券)との楽観論もあったが、株安は止まらなかった。上海総合指 数.SSECと滬深300指数.CSI300はともに一時8%下落。取引可能な株に売りが集中しただけで、抑止効果はほとんどなかった。
予想に反し中国株が大きく下落して始まると、日本を含むアジアの市場は動揺。日経平均.N225は3%を超える下落となり、2万円大台を大きく割 り込んだ。香港ハンセン指数.HSIは6%、台湾加権指数.TWIIも3%を超える下落となっている。株式などリスク資産のポジションを落とす動 きが加速している。
中国株式市場への外国人の直接の投資は制限されており、マネーフローでの連関性が高いわけではない。しかし、名目GDP(国内総生産)で世界2位(1000兆円超)に巨大化した経済国における株式市場の「異変」に投資家も警戒感を強めている。
「中国株の下落はリスク量を増大させ、他市場でのグローバル投資家の利益確定売りにつながる。さらに株安が中国の実体経済に影響を与えれば、世界経済もただではすまない。影響は限定的と楽観視はできない」と、アムンディ・ジャパン投資情報部長の濱崎優氏は話す。
<CTAやHFからの売り>
実際、金属など商品市場では中国の景気減速に警戒感が強まり、価格が大きく下落。汎用性が高い金属で景気や需要に左右されやすい銅CMCU3は8 日の市場でやや反発したが、前日に6年ぶり安値を付けた。原油など19商品の先物相場で構成されるトムソン・ロイター/コアコモディティーCRB 指数.TRJCRBは7日の市場で3カ月ぶりの安値に下落している。
「コモディティ商品の最大の買い手は中国。株安による実体経済への影響が明確に見えたわけではないが、リスク回避の動きが世界の投資家に広がっている」(ばんせい投信投資顧問・商品運用部ファンドマネージャーの山岡浩孝氏)という。
前日7日の米ダウ.DJIが場中に切り返しプラス圏で引けたことで、安心感が広がりかけたが、止まらない中国株の下落に投資家心理も消沈したよう だ。市場では「株式や商品にはCTA(商品投資顧問業者)や、マクロ系ヘッジファンドなどからの手仕舞い売りが目立っているようだ」(大手証券ト レーダー)との声が出ていた。
ギリシャ問題の行方も不透明感が一層濃くなっており、マーケットにはリスクオフムードも広がってきた。円買いが強まり、ドル/円は一時122円割 れ。金利も低下し、日本の10年債利回りは0.415%と2週間半ぶりの低水準をつけた。
<矢継ぎ早の対策が「火に油」>
中国株が下落したこと自体を、市場関係者が驚いているわけではない。上海総合指数は年初から60%、昨年7月からは2.5倍という急上昇をみせて きた。その間、中国経済は減速感を強め、今年の成長率目標は7.0%と11年ぶりの低水準。景気に逆行して株価だけが上昇してきた一種の「バブ ル」であり、株価下落自体は健全な「調整」ともいえる。
市場の警戒感を強めているのは、中国政府のあわてぶりだ。学習院大学・経済学部教授の渡邉真理子氏は「ファンダメンタルズからかい離したような株 価の調整はある程度、想定されていたと思うが、矢継ぎ早に出てきた対策は、場当たり的な対策が中心だった。その裏には何があるのかと、逆にマー ケットの不安をあおっている」と話す。
約半数の銘柄が売買停止となっただけではなく、口座や空売りの監視や、自己勘定での株買い支援や投資上限の引き上げなど、株安対策が連日発表され ているが、株価は下落。むしろ油を注いでいるようだ。PER(株価収益率)などバリュエーション面では割高感も解消されつつあるが、実体経済に株 安の影響が出てくれば、水準は切り下がらざるを得ないだろう。
日経平均は年初から6月24日の高値まで20%上昇。それまで、ほとんど調整らしい調整はなく、今回の下落も「絶好の押し目買いのチャンス」(国 内証券ストラテジスト)と強気な声も残っている。だが、日本にとって最大の輸出先であり、インバウンド消費を支える中国経済だけに、単なる「調 整」とはかたづけられない不気味さもある。(伊賀大記 編集:田巻一彦)
●「ゴールドマン:中国株はバブルではない 27%上昇の予想維持 」
Goldman Sachs Says There’s No China Stock Bubble, Sees 27% Rally
2015年7月8日 ブルームバーグ
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NR57B56JTSEB01.html
中国株式相場が大幅な下落を記録しているにもかかわらず、ゴールドマン・サックス・グループの強気な見通しは揺らいでいない。
ゴールドマンの中国担当ストラテジスト、劉勁津氏(香港在勤)は、大型株から成るCSI300指数が今後1年間で27%上昇すると予想。当局の支 援策が投資家の信頼感を高めるほか、金融緩和で経済成長に弾みがつくためだと説明している。
また、レバレッジをかけたポジション(持ち高)は市場 の崩壊を引き起こすほど大きくはなく、バリュエーション(株価評価)には上昇する余地があると指摘した。
海外投資家による売却が記録的なペースに達し、中国の信用取引トレーダーによる売りは過去最大規模となり、中国株の時価総額からは3週間で3兆 2000億ドル (約390兆円)が吹き飛んだ。他の外資系投資銀行からはバブルを警告する声が高まっているが、こうした状況にもかかわらずゴールドマンは楽観的な見方を維持している。同社の予想は個人投資家の信頼回復に向けた中国当局の前例のない取り組みの成功にかかっている。
劉氏はインタビューで中国株について「まだバブルではない」と指摘。「中国政府には相場を支える多くの手段がある」と述べた。
7月1日にCSI300指数の目標を設定した劉氏は7日、予想を引き続き維持していることを確認した。同氏は過去1年間の大半、中国株の上昇を予 想してきた。CSI300指数は先月、7年ぶり高値に付けていた。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦拝
【1471】[1800]天武天皇の正統性について
額田王(ぬかたのおおきみ)と大海人皇子(天武)の関係
あかねさす 紫野行き しめ野行き 野守は見ずや 君が袖振る 19
むらさきの にほへる妹を 憎くあらがば 人妻ゆえに 吾恋めやも 20
『万葉集』巻一にある有名な二首の歌です。(数字は『万葉集』の歌の通し番号です。巻一の最初の歌が1で、巻二十の最後の歌が4516です。整理の都合上付けられたものです。)
上記の歌は、日本歌謡で最も愛唱されている歌で、たびたび小説や演劇、劇画の題材になり、額田王は日本では非常に愛され超有名な女性です。天武天皇(大海人皇子)の印象も額田王との関係で創られてきたといえると思います。
今私は、史料に即して額田王と大海人皇子の関係を洗い直したいと思います。額田王は正史『日本書紀』に一回だけ登場します。天武二年(西暦673)の天武天皇の結婚と子供たちを記した記載の中です。
″天皇、初め鏡王の娘額田姫王(日本書紀では姫王と表記している)を娶り、十市皇女を生しませり。″
天武天皇と額田王は、結婚しており、その間に十市皇女が生まれていたと云う記事です。(十市皇女は、壬申の乱で滅ぼされた大友皇子に嫁ぎ葛野王を生んでいた方です。)『日本書紀』での登場はここ一か所だけです。
ところが『万葉集』では、天智天皇に捧げる挽歌を作っており天智天皇にお仕えしていたと考えられている。
山科の御陵より退き散くる時、額田王の作る歌
やすみしし わご大君の かしこきや 御陵仕ふる 山科の 鏡の山に 夜はも 夜のことごと 昼はも 日のことごと 哭(ね)のみを 泣きつつありてや 百磯城(ももしき)の 大宮人は ゆき別れなむ 155
また第四巻に次の歌もある。
額田王、近江天皇(天智天皇)を思(しの)ひて作る歌
君待つと わが恋をれば わが屋戸の すだれ動かし 秋の風吹く 498
鏡王女の作る歌
風をだに 恋ふるは羨し 風をだに 来むとし待たば 何か嘆かむ 499
498の歌から、額田王は天智天皇の訪れを待つ身になっていたことがわかります。なお額田王の歌と鏡王女の歌はセットです。『日本書紀』に額田姫王は鏡王の娘と記されていることから、鏡王女と額田王は、姉妹と考えられています。最初天武天皇(大海人皇子)に嫁ぎ、後天智天皇の訪れを待つ身になっていたことが後の世の人々の好奇心を刺激するのでしょう。様々な物語が作られているようです。それに伴い19と20の歌の解釈も多様にあります、その検討は次回します。