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Loginはこちら【1587】[1920]地震と火山爆発は同じ7
会員番号2953の澤田正典です.今日は平成28年5月8日です.
副島先生と学問道場の会員の皆様に心から感謝申し上げます.長い説明が続き,本当にごめんなさい.
常温核融合とは何か,についてから,考察を述べたいと思います.地震や火山爆発といった,極めて大きなエネルギーの放出が確認される自然現象には核エネルギーが深く関与しているはずです.地殻内部とマントル層は核分裂と核融合と核変換が自然現象として日常的に発生している領域です.
常温核融合は,私自身は実験して確かめたわけではありませんが,信憑性の高い研究成果は沢山存在し,ネットでも情報を十分に得ることができます.常温核融合は実在する現象だと考えるべきでしょう.にも関わらず常温核融合はタブーになっている.その根拠として,原子核同士は常温では,核力が働くほどの至近距離まで接近できるわけがないという,物理学上の教義があるからだと思います.常温環境下では,原子核が抱えるプラスの電荷による斥力によって原子核同士がはじき合って,原子核同士がぶつかることはできないという考え方は,一見正しい.ですが実際に常温核融合という現象が存在する以上,その考え方には何らかの見落としがあるはずです.
おそらく,常温核融合が発生している場合,電気的な斥力の問題が消えていると思います.常温核融合は,水が電気分解されている状況下において,マイナス極側の電極内部で発生します.この電極には水素吸蔵特性を持つ金属が使用されます.水素吸蔵特性はどんな素材も持っていて,鉄でも水素脆性破壊といった形で鉄原子同士の隙間に水素が入り込んで問題を起こします.水素原子は水の中でイオン化して陽子になってしまえば,どんな隙間にも入り込んで,他の原子同士の隙間に,もぐりこむことができる.そこに電気分解のプロセスが働けば,マイナス極側の端子の内部にどんどん水素原子核(陽子)が吸い込まれて浸み込んでいきます.常温核融合の実験で使用されることの多いマイナス極側の端子としてパラジウムがありますが,パラジウムは水素吸蔵特性に優れた金属です.
パラジウムの原子同士の隙間には,イオン化された水素原子,つまり陽子がどんどん吸い込まれて蓄積されます.そこに,マイナス極側の端子として負電圧が加わると,大量の電子が端子内部に供給されて陽子の周囲は過剰な電子で満たされます.すると,その電子のうちの一つが,水素原子核(=陽子)に取り込まれて中性子に変化する(電子捕獲).中性子は周囲の水素原子核に捕獲(中性子捕獲)されて重水素や三重水素を作る.中性子捕獲されたときに質量欠損が生じて核エネルギーが発生する.その核エネルギーでパラジウム原子核の分裂や重水素同士,三重水素同士,重水素と三重水素の核融合が発生する.これが,考えられるプロセスのうちの一つです.(この中性子捕獲がタングステンで行われると,タングステンからプラチナができる.)
地殻内部は複雑系ですから,単純な一つのモデルだけでは正確な説明が難しい世界です.地殻内部には多種の元素が存在し,核反応のプロセスも複数想定する必要があります.それでも,より代表的なプロセスから着手して,少しずつ地殻内部における核反応のメカニズムを解明するしかありません.(地殻の持つ原子核物理学的な物性が,地震活動における余震発生確率の時間的な変化と関連しています.この曲線は放射能の半減期に伴う放射線量の時間的な変化のグラフなどにかなり近い部分がある.また微小地震の発生状況などを観察していると,直線的な分布や半円状の分布を示すことが多く,まるで霧箱で宇宙線を観測しているようなイメージになります.ある程度の透過力がなければ地殻内部にまで宇宙線が侵入することは難しいはずですから,おそらくはニュートリノ程度の粒子が微小地震のトリガーになっている場合があるのでしょう.ニュートリノは相互作用しないという説明がよくなされますが,ニュートリノの検出装置であるスーパーカミオカンデはせいぜい直径40m×高さ40m程度の空間スケールの水槽であるようですから,その程度の質量の水であれば地殻内部に大量に存在しますので,ニュートリノが地殻内部で地下水に反応して中性子を発生させるくらいの現象も当然存在するでしょう.)
地殻構成物質として代表的な花崗岩の中には,天然のウランが微量ながら含まれています.ウランも水素吸蔵特性を持っています.特にウランはパラジウムよりも沢山の水素原子核を吸蔵できます.このウラン原子のうち,特にウラン235の近傍で中性子が発生しウラン235に中性子捕獲されると,規模は小さいながらも原子炉やウラン型核爆弾と同じ核分裂を起こす.それが周囲の重水素原子核同士の核融合を起こして高速中性子を放出すし,ウラン238をブースターとしてより大きな核分裂を起こす.次第に発生する核エネルギーと中性子の量が大きくなって地殻内核爆発を起こす.天然の多段水素爆弾です.発生する中性子の量に従って地震の規模が大きくなっていきます.(プレートテクトニクスによって地殻内部に働く応力は大きなものですから,核爆発といえども初期のうちは,応力軸に対して直角の方向へのみ向かう爆圧となります.爆心では物質が吹き飛ばされて空虚になりますので,爆圧よりも応力の方が大きい間は,応力軸において爆心へ向かって地殻が移動します.この地殻内部における核爆発に特有の初期圧力分布により,震源球として特徴ある「押し領域」と「引き領域」が発生します.そして地殻内部が部分的に破壊されてプレートテクトニクスによる応力が部分的に解放されます.)
自然現象として発生する地震においては,マグニチュードが1とか2といった,無感地震がほとんどであり,地殻内核爆発(=地震)は日常的に発生していますが,大抵は,余程のことがないかぎり,核反応の連鎖はすみやかに収束して,大きな地震にはなりません.大きな地震になるためには,それだけの核燃料の局部的な蓄積や高密度な分布が必要になります.それが自然現象として発生する確率は十分に低く,311のときのように三つの震源が同時に発生したとか,今回の九州の地震のように同一地域にある複数の断層でマグニチュード6クラスの地震がほぼ同時に起爆したとか,人為的な要素が働かない限り,現象としてまずありえない.それは確率論的な話である.実際,地震学上の過去の事例が提示できない.また,昔の地震と異なり,最近の災害地震で地震計に記録される震動の波形が地下核実験の核爆発の波形と同じです.昔の地震の波形は,最初,マグニチュードの小さな地震から始まって,次第に大きな震源へと育っていく時間的な成長過程がはっきりとわかる波形になっています.
では地殻内部における核燃料(水や海水や重水や重水素化リチウム等)の人為的な充填が行われたのかどうか,さらには人為的な起爆が行われたのかどうかという話になるわけですが,恐ろしいことですが,その疑いは311においても今回の九州の地震においても,十分に存在する様子です.なぜ将来の震源地でボーリング調査していたのでしょう?なぜ311の震源地で海洋掘削船「ちきゅう」が海洋プレートをボーリングしていたのでしょう?今も掘りまくっています.疑惑が疑惑のまま調査されずに放置されたまま事態が進行中であること自体が異常であり,不正選挙や911と全く同じ構図です.権力者自体が犯罪者なんだろうなあと,テレビで彼らの子供っぽい幼稚な行動や莫迦っぽい人相を見れば一目瞭然,バレバレです.この人工地震及び人工火山爆発という社会工学兵器は無差別大量殺人兵器です.
澤田正典 拝
【1586】[1919]たちの悪い気管支炎について
先生、どうか長生きしてもらわないと困るんです。
だまされたと思ってビフィズス菌飲んでみてください。気管支炎症もアレルギー性鼻炎も、全て老化による免疫機能低下すなわち自然現象。
副島節でいくと、こうして昔の人たちは徐々に体力尽き命が尽きと言う事だと
思いますが、先生にはそれでは困るんですよ。
お勧めは○下○丹スティックタイプのビフィーナS、これをほぼ毎日一回食後に。
【1585】[1918]私の金融本が出ました。 それから トランプ候補 の勝利のこと。
副島隆彦です。 2016年5月5日で連休のさ中です。 私は、持病の慢性の気管支炎がひどくて体調が悪くてずっと臥せっていました。体力と気力がなかなか戻らない。
私は、「大暴れずるトランプとアメリカの真実」 という本を急いで 書かなければ、と4月12日(火)に、 最新刊の金融本を書き上げて、後楽園にある組み版屋(くみはんや。今の日本の出版業界の、本つくりのプロセスの説明は、今日は出来ません)を、徹夜明けで出て、それから他の2社の仕事を始めようと、意気揚々と、そのまま出掛けたのです、が、その翌日から、ヘバってしまって、体が動かなくなりました。
それでも、講演会をその週末に2つこなすために大阪にも行き。月刊誌の原稿を2か月分を書いた。それから、伊豆半島の伊東市のサナトリウムに言って、ある名医との対談をした。
そして、前述した、2冊の本を何とかしなければ、と もがく のだが,体が動かない。63歳になった。本当に、体が思うように動かくなった。
69歳(もうすぐ70歳)のドナルド・トランプは、「(酒とタバコで)早死にした兄からの教訓で、自分は、酒もタバコも(コーヒーさえも)飲まない。 多くの優秀な人たちが、(それらで)人生を台無しにしてきたのを沢山見てきたからだ」 と 話している。
本当だなあ、と、思う。偉い人は、それなりの注意深い生き方をしている。
だが、私、副島隆彦は、酒もタバコも、好きな人は、どんどんやればいいと、思っている。ほかの人たち(家族を含めて)の迷惑にならなければ。タバコは、おそらく体に悪いだろうが、合っている人たちの頭にはものすごくいいのだろう」と考えてきた。
ある人の趣向を その人にやめなさい、などと、私は言ったことはない。 私は、何でもかんでも健康第一の健康主義者(健康信者、健康宗教 )が大嫌いだ。どうせみんな(皆)死ぬんだ。
私の最新刊の金融本(徳間書店刊)である 『 マイナス金利 「税」 で凍(こお)りつく日本経済』 は、現在、全国の書店に並んでいるはずです。 本屋で手に取って、パラパラめくってください。金融本 というビジネス書の ひとつのジャンル(分野)が、今は本当に滅んでしまって、書く人がいなくなりました。私のほかに、あと何人が書いているだろうか。
私は、“ 時代の目撃者、証言者 ” として、現状の、最新の事実を集めた金融本を書いてゆく。それは私の運命だ。
アルル君が、宣伝の書評を書いてくれて、今、今日のぼやき に載っていますので、そっちを読んでください。 体と頭がぼろぼろになるまで、3週間ぐらい精魂込めて、ずっと書き続けます(グラフを作ったり、最新の世界中の最先端の情報を集めたりする)から、本当に体にガタが来ます。
頭も酷使するので、高血圧症になって、圧迫頭痛(あっぱくずつう)が起きます。こういう生活をしていたら、長くはないだろうなあ、と自分でも思う。 それが書きあがったのが、4月12日だった。書いた直後は、精神(気分)が、拝になっていて、気力が充実しているので、そのまま、次の2冊を書き始める、というきになる。
がだ、そういうわけにはゆかない。もう歳(とし)だから、体が効(き)かなくなった。 重労働の肉体労働をしているのと、あまり変わらないことをやっている。きっとランニング・ハイのようなユーフォリア(熱病)状態に、一冊の本を書き上げた直後には、なる。
フルマラソンでも、ハーフマラソンでも、八ケ岳の野辺山の100キロマラソンでも、完走した時の爽快感というのは、こういう感じだろうと、私はいつも思う。そうやって、この30年が過ぎた。
ドナルド・トランプの共和党内での、大統領候補者の指名者争い の戦いの勝利が確定した。5月3日のインディアナ州での彼の勝利が、それを決めた。
私が、今、ネットで見ていたら、CNNの 報道が、動画を含めて網羅的(もうらてき)で、一番、分かりやすかった。以下の URL を貼りますから、見に行ってください。
http://www.cnn.co.jp/usa/35082126.html
トランプの勝利は、そのまま、今の世界中のエスタブリッシュメント(体制派、主流派。穏健派。いつも自分は勝ち組で管理側で得をする方の人間だ、という人たち)が、しかめっ面をする。
エスタブリッシュ人間たちにとっては、トランプのような、ドロドロの泥臭い、ヤクザ者そのものの、不動産業者あがり( 60階、70階 建ての超高層ビルを、それこそ400棟ぐらい作ってきた)が米大統領になってもらっては、困るのだ。
私、副島隆彦は、ちっとも困らない。やれやれ、どこまでもやれ、トランプ。自分のやりたいようにやれ、だ。アメリカ帝国が、正直に、ドル通貨という弱体通貨の信用の真実の崩壊と共に、国家としての破産宣言をすることろろまで、ゆくべきだ。 それが本当のアメリカン・デモクラシーだ。みんなの代表(リーダー、指導者)になる者は、堂々と、皆の前に出て、徹底的に、演説をやって、質疑応答をして、皆の信頼を勝ち取らなければいけない。
ただ単に演説、弁舌がうまい、ということではない。体を張って、皆の前で、自分の考えと、政策(やるべきこと。やりたいこと)を言うことだ。ウソはバレる。いくらウソを言っても、誤魔化(ごまか)しはきかない。
それでも、この先は、11月8日の大統領選挙まで、長い、トランプの選挙戦(遊説、ゆうぜい)の旅は続く。ワルの女の、ヒラリーとの戦いが続く。世界中のエスタブリッシュメントは、どうしてもヒラリーを勝たせようと団結する。
それはそれは、恐ろしい、醜(みにく)い、きたならしい者たちの、現世を支配している者たちの、悪魔のような、トランプ押し潰(つぶ)しの破壊工作だろう。 日本の、チンケな、テレビ、新聞人間たちなどは、おちょぼ口になって、「トランプさんて、ちょっと変ですようね 」ということぐらいしか言わないで、関わらないようにするだろう。こいつらにとっては、かわいいのは自分だけだ。自分の出演番組さえ守れればいいのだ。 あああ、あーあ、私、副島隆彦は、日本のドナルド・トランプになりたい。彼のように皆の前で、ずっと演説をしたい。 すべてをぶちかましたい。もっともっと言いたい放題、を言って、 そして撃ち殺されて、死んでしまいたい。
そうだ。 私たちの学問道場の定例会が、5月29日(日)にあります。前回は、私は、アラブ人、イスラム教徒の正装( 移民たちは、きたないポロシャツ姿)であるアバーヤじゃなかった、男性の正装の白い服とアーガル)をしてやりました。今回は、あのトランプの真似をして、トランプキャップをかぶって、金髪のかつらでもして、やります。
私は、病み上がりで、どうも体調がよくないですが、それでも、5月29日には、元気いっぱい、講演=公演を やります。私のほかに、早稲田大学の数学・物理学者の小澤徹教授(53歳ぐらいかな。働き盛りです )が、「数学と物理学の限界」 というような、貴重な話をします。 皆さん、どんどん申し込んでください。
申し込みはこちら ⇒ https://www.snsi.jp/tops/kouhou/1895
それでも、トランプは、海千山千(うみせんやません)の、アメリカ帝国の金融首都のニューヨークの生まれ育ちですから、東京の人間たちが田舎者(地方出身者)をひそかに差別して、「地方の人は、あっちに行って。私たちだけで金持ち階級どうしだけで結婚するのよ」という感じで、ニューヨーク金持ち階級の意思を、十分に体現した、アメリカ政治をやるだろう。
私は前にも書いたが、右翼軍人高官たち や 右翼警察官幹部たちがトランプの周りを固めているから、もう暗殺はできない。
ニューヨークユダヤ人金持ちたちも、トランプは、娘の イヴァンカ Ivanka の結婚相手が、正統派のジュー で NYの元締めの息子。 元の奥さんも Ivana イヴァーナ で、 これらは、 Ivan=イワン=のバカ、と蔑称で呼ばれるロシア人の 日本で言えば 太郎という名前の女性形 だ。 )が、いるから、ものすごく強い。
私、副島隆彦は、急いで自分のトランプ本を書かなければと、焦って来ました。ところが、気力が萎(な)えていて、どうも元気が出ない。 何とかしまて、もうすぐ 元気を出します。 副島隆彦 記
(転載貼り付け始め )
〇「 トランプ氏の共和指名確定=ケーシック氏が撤退表明―米大統領選 」
時事通信 2016年5月5日(木)
米大統領選の共和党候補指名争いで、ジョン・ケーシック・オハイオ州知事(63)は4日、同州で演説し、選挙戦からの撤退を表明した。これにより、指名争いに残っているのは実業家ドナルド・トランプ氏(69)だけになり、トランプ氏の指名獲得が確定した。
ケーシック氏はこれまで地元のオハイオ州でしか勝利していないが、夏の党大会が決選投票にもつれ込めば、主流派の自身に勝機があるとみて選挙戦を続けてきた。しかし、2位のテッド・クルーズ上院議員(45)が3日に撤退を決めたことで決選投票の可能性が事実上なくなったため、撤退を決断した。
〇「共和党 ランプ氏が指名確実になった クルーズ氏が、ついに撤退 」
2016年05月3 日 ロイター
.
5月3日、11月の米大統領選挙に向けた候補指名争いは、中西部インディアナ州 で予備選が実施され、共和党は獲得代議員数で首位を走る実業家ドナルド・トランプ氏(写真)が勝利した。テッド・クルーズ上院議員は選挙戦からの撤退を表明し、トランプ氏の指名獲得はほぼ確実な情勢となった。
11月の米大統領選挙に向けた候補指名争いは3日、中西部インディアナ州で予備選が実施され、共和党は獲得代議員数で首位を走る実業家ドナルド・トランプ氏が勝利した。テッド・クルーズ上院議員は選挙戦からの撤退を表明し、トランプ氏の指名獲得はほぼ確実な情勢となった。
オハイオ州のジョン・ケーシック知事は指名争いに残る意思を示しているが、トランプ氏との差は大きく、トランプ氏優位は揺らがない。
トランプ氏は、インディアナ州予備選での結果について「素晴らしい勝利」と表明。「クリントン氏は通商を理解していない、良い大統領になれるわけがない」と述べ、本選に向けてクリントン批判を強めた。
共和党全国委員会のプリーバス委員長はツイッターで、トランプ氏を事実上の党指名候補と呼び、クリントン氏打倒へ党内結束を訴えた。民主党の予備選は、バーニー・サンダース上院議員が勝利したが、ヒラリー・クリントン前国務長官の指名獲得は既に濃厚になっている。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦 拝
【1584】[1917]地震と火山爆発は同じ6
会員番号2953の澤田正典です.今日は平成28年5月1日です.
長い説明が続き,御迷惑をおかけしております.どうか御寛容頂けますと有難く存じます.
(私自身,まさか地震活動や火山活動のメカニズムを解明することが,これほど広範な専門領域に踏み込むことにつながるとは,当初,予想していませんでした.)
前回までに,大気電流によって気象現象が駆動されるメカニズムについて部分的に述べました.(のちほど,集中豪雨,竜巻,つむじ風,台風も含めて,そこに電気力が関わっていることを述べたいと思います.気象兵器の原理は単純なものです.)
大気電流は,地表面や海面から電離層へと向かうマイナスの電荷の移動(電子の移動)ですが,地球全体で常に休み無く流れ続ける大気電流によって,次第に地殻や海からは電子が大気中へと抜けてしまいます.また電離層内部のプラスの電荷も,次第に大気電流によって中和されて消えてしまいます.その抜けてしまった電子と,消えてしまったプラスの電荷は,太陽風によって常に地球に供給されています.
太陽風は,水素原子が電子と陽子にバラバラになって地球に飛んでくるものです.その存在比や個数や速度や密度は常に変動しています.(全体的に見ると,どうやら陽子よりも電子のほうが,たくさん地球まで届いているようです.)
電子と陽子は,電気的な力,電荷の大きさとしては,符号が異なりますが同じ大きさを持っています.ところが質量は全く異なり,陽子は電子よりも1,836倍も重い粒子です.太陽から高速で地球まで飛来してくる電子と陽子のそれぞれに対して,同じ電磁気学的な力が加えられたとき,質量の軽い電子は,より簡単に,その運動方向が変化してしまいます.
地球は天体として磁場を持っています.この磁場に太陽風が衝突すると,太陽風の成分である電子と陽子は電磁気学的な力を受けます.このとき,質量の差によってふるいにかけられて,電子は地球磁場の磁力線につかまって,螺旋運動しながら地球の北極と南極(正確には磁北と磁南)の大気上空に進みます.その後,電離層,成層圏,対流圏を経て,電子は極域の地殻からマントル層へと吸収されていると考えられます.丁度,それを効率よく行いうる,安定した強い大気の運動が,極域の成層圏と対流圏には存在するようです.
陽子は質量が大きい分だけ電子よりも直進性が強いので,電子と同じように地球磁場から力を受けてブレーキをかけられつつも,おそらく,ほとんどの陽子は地球大気上空に,ほぼまっすぐ到達しているはずです.その供給量は低緯度帯である赤道周辺の上空が最大となり,緯度が高くなるほどに少なくなると考察しています.
地球天体レベルでの大きな電流が,大体ここまでに述べた経路に近い形で存在する可能性はあります.すると,地殻内部において上下方向に電位差が存在し,それによって地殻内部で地下水が電気分解されている可能性も導かれます.
(少し話が横にそれますが,海水も電気分解されているはずです.メタンハイドレードは海水の電気分解によって発生した水素ガスによって,海底に堆積した有機物が還元されて炭化水素になったものでしょう.また還元されたときに酸素が深海に放出され,それが深海の生態系に関わっている可能性もあります.)
多種の元素で構成される地殻の内部において,もしも常温核融合の現象が発生しうる条件が一通り揃っていて,酸素ガスと水素ガスが地殻内部に蓄積されるメカニズムも存在するとなりますと,地震爆発説は弾性反発説と比較して,次第に有利となります.
澤田正典 拝
【1583】[1916]天武天皇の正統性について
柿本人麿の悲劇(その10)
〔1886〕人麿の悲劇(その7)で「吉備の津の采女(うねめ)の死(みまか)りし時、柿本朝臣人麿の作る歌一首並びに短歌」巻第二〔217~219〕は、人麿が亡き妻に奉げたレクイエム(鎮魂歌)であることを論じた。
妻を見殺しにした人麿は、懺悔、慰霊の旅を続けなければならなかった。「吉備津の采女」に対する鎮魂は、己の妻に対する鎮魂と響きあっている。
この歌の次に配置されているのが「讃岐の狭岑島(さみねのしま)に、石の中に死(みまか)れる人を視て、柿本朝臣人麿の作る歌一首並びに短歌」220~222である。
讃岐の狭岑島に、石の中に死(みまか)れる人を視て、柿本朝臣人麿の作る歌
玉藻よし 讃岐の国は 国柄か 見れども飽かぬ 神柄か ここだ貴き
天地 日月とともに 満(た)りゆかむ 神の御面(みおも)と 継ぎて来る
中の水門(みなと)ゆ 船浮けて わが漕ぎ来れば 時つ風 雲居に吹くに
沖見れば とゐ波立ち 辺見れば 白波さわく
鯨魚(いさな)取り 海を恐(かしこ)み 行く船の 梶引き折りて
をちこちの 島は多けど 名くはし 狭岑の島の 荒磯面(ありそも)に 庵てみれば
波の音(と)の 繁き浜べを 敷たへの 枕になして 荒床に 自伏(ころふ)す君が 家知らば 行きても告げむ
妻知らば 来も問はましを 玉鉾の 道だに知らず おぼぼしく 待ち恋ふらむ 愛(は)しき妻らは
《訳》
(玉藻よし)讃岐の国は、国柄が良い故か、見ても見飽きることが無い。それとも神柄がとても貴いのか、天地日月とともに永久に満ち栄えて行くだろう神の御面として受け継いできた。
中の港から我らが出港し漕いで来ると、季節風が大空に吹き、沖には大きなうねりが立ち、浜辺には白波が騒ぎ押し寄せている。
(鯨魚〈いさな〉取り)海が恐ろしいので、櫂を全力で漕ぎ、あちらこちらに島々は沢山あるが、良い名である狭岑の島に泊まり、仮庵を作りあたりを見回すと、波の音の頻りにする浜辺を枕として、荒床に倒れ伏しているあなた。
あなたの家が分るなら、行って知らせましょう。妻が知ったなら、やって来てあれこれ夫を発見した時のことなどを問うだろうに。
あなたの死を知らせる道すら知らない。不安な思いで待ち恋い慕っているだろう、あなたの愛しい妻は。
この歌の命は、後半にある。
「荒床に 自伏(ころふ)す君が 家知らば 行きても告げむ 妻知らば 来も問はましを 玉鉾の 道だに知らず おぼぼしく 待ちか恋ふらむ 愛しき妻らは」
人麿は、実に心優しい。海岸に打ち伏している屍に人麿の心は共振を起こしている。「あなたの家路が分ったら、飛んで行って、あなたの奥さんに教えてあげましょう」と。
必死に捜索したが、ついに発見できなかった妻、その妻への鎮魂と、狭岑の島の海岸に一人伏している屍への思いが重なり合い共鳴しているのを歌い上げている。
人麿は、妻への鎮魂の旅をいまだに続けていたのである。
【1582】[1915]地震と火山爆発は同じ5
会員番号2953の澤田正典です.今日は平成28年4月29日です.
すみません,続けさせていただきます.どうかお許しください.
地球の中心部が強いプラスの電荷を持ちますので,そのプラスの電荷が宇宙からマイナスの電荷(電子)を集めます.すると,地表面や海面がマイナスの電荷を持ちますので,地球大気の上空50kmより高い場所に存在する電離層が静電誘導されて,電離層の内側がプラス,外側(宇宙空間側)がマイナスの電荷を持ちます.結果,地表面や海面から上空50kmにある電離層との間には,およそ30万ボルト程度の電位差が発生します.これは大気電場と呼ばれています.この大気電場に従って大気電流が流れます.地殻や海水が半導体や導体という電気を通しやすい物質で構成されているのに対して,大気は絶縁体なので,大気電流は主に大気を構成する分子やちり等に付着して,大気イオンや静電気となって移動する形で流れます.
水分子は分極した構造を持っている特徴があり,分子自体がプラス極とマイナス極を持っているため,静電気を帯びやすい,大気中においてプラスイオンにもマイナスイオンにもなりやすい分子です.地表面や海面から大気中に放出される水蒸気は,地表面や海面と同電位の状態で放出されるため,電子を付着させた状態で,静電気を保った状態で,マイナスイオンとして大気中に放出されます.水蒸気は,電気的な力を得て地表面や海面から大気中に上昇します.もちろん,特に昼間は,太陽光によって与えられた熱力学的な力も加わって大気中を上昇します.
このマイナスイオンとなった水蒸気は,大気中を上昇して行くうちに,プラスに偏った電気を持つちりや分子と出会います.これは地表面や海面が持つマイナスの電荷に引かれて,電離層から下降してきたプラスイオンです.これらが大気中で出会うと,プラスイオンの周りに,マイナスイオンとなった水蒸気が凝集を始めます.凝集を始めると水滴となって,次第に全体の質量が大きくなっていきます.それでもしばらくは,空中に浮いていられる程度の浮力を保ちます.これが雲です.
大気電場を連続観測していると,上空が青空や星空であるときは,地表面がマイナスに,大気側がプラスに観測されますが,その観測地点の上空に雲が現れると,たちまち地表面がプラスに,大気側がマイナスに逆転して観測されます.地球上における,ごくローカルな1地点において,上空に雲がかかった程度のことで,地球大気全体の電気的な構造が引っ繰り返るはずもありませんから.雲が強くマイナスに偏った電荷を抱えていることがわかります.実際,雲の底面が,きれいに地表面と平行に,平らになっている様子が,よく観測されますが,雲が地表面から電気的な斥力を受けているためであると考えると納得できます.
雲が大量にマイナスイオンを抱え込むと雷雲となり,負電雷の原因となります.夏は暑いため,地表面や海面から大気中に供給される水蒸気の量,つまりマイナスイオンの量が増えます.大気中にはマイナスイオンが蓄積されていき,熱力学的な力も伴って,上昇気流を伴いながら積乱雲を形成します.このとき,大気の絶縁を破るほど電位差が大きくなったときに,積乱雲から地上へ向けて一気に電子が移動します.これが雷(負電雷)です.この放電に伴い,積乱雲を構成していた水滴が電気的な浮力を一気に喪失しますので大雨となって地上に降り注ぎます.この雨が大気の絶縁を弱めますので,ますます放電が助長され,雨量も増していきます.発達した積乱雲は対流圏の最上部(圏界面)まで到達すると横に広がりながら圏界面にマイナスイオンを蓄積していきます.そして,その電荷が十分に蓄積されたとき,一気に電離層との間で放電が発生し,電離層へ向かって電子が移動します.これが成層圏における雷であるブルージェットです.スプライトやエルブスといった超高層雷放電現象も,この一連の電荷の流れの中で説明される現象と思われます.
澤田正典 拝
【1581】[1914]地震と火山爆発は同じ4
会員番号2953の澤田正典です.今日は平成28年4月24日です.
ここからは,地球という天体における電気的な力について考察していきます.
地殻内部において核爆発を引き起こす原因となる,核燃料の生成と起爆に関わる大きな要因として,電気力があります.
地球という天体においては,中心部が電気的に強いプラスの電荷を持っていると考えられるため,電気的な活動が活発に行われていると考えます.地球の中心部が電気的に強いプラスの電荷を持っていると考える理由は,次のとおりです.
・極めて高圧であるため,圧力を支えるために,原子核同士の反発力が必要となり,負電荷が邪魔になる.
・極めて高圧であるため,原子間距離が接近し,隣り合う原子同士で電子殻が重なり合い,電子同士の間で斥力が発生し,電子が追い出される.
・極めて高温であるため,電子が大きな運動量を持ち高速運動し,その速度は中心部で最大となり,結果として中心部ほど電子密度が疎となる.
以上により,地球の中心部は電気的に強いプラスとなり,追い出された電子が,その周囲に高密度に集まっていると考えます.
この高密度な電子の層が,おそらくは下部マントル層か,地球コアとの境界付近にあるはずです.
この高密度電子層においては,電気抵抗が非常に小さい可能性があります.そして地球コアの周囲に球面状に閉じて分布しているため,電流が発生した場合,長期的に保存されてきた可能性があります.
原始地球において,太陽から無数のプラズマの固まりが地球に叩きつけられてきました.このプラズマの塊である太陽風やコロナ質量放出(CME)に含まれる荷電粒子は,高速の,電子や水素原子核(=陽子,プロトン)で構成されており,負電荷,もしくは正電荷そのものであり,その比率や密度や速度や空間分布を刻一刻と変化させながら,断続的に地球に叩きつけられてきました.この結果,地球の周囲では太陽風やCMEによる磁場が発生したり消滅したりします.この常に変動する磁場が,電磁誘導の原理で,地球内部に電流を駆動してきたと考えられます.
電流は流れ続ける性質がありますので,最初のうちは,太陽風やCMEにおける電荷の正負の比率や密度,速度,空間分布の偏りにあわせて,くるくると電流の回転軸を回転させながら電流としてのエネルギーを徐々に蓄えていったのでしょう.そしてある程度以上の電流が貯えられてくると次第に安定してきて,ほぼ一定の回転軸でドーナツ状の電流として保存されるようになったと考えられます.
おそらく,ほぼ赤道面に平行な回転面を持つ,ドーナツ状の電流が,現在も地球内部に存在します.それが今も,地磁気の発生源です.このドーナツ状の電流の回転軸がくるんとひっくり返ると,地磁気の逆転になります.地球が何らかの電磁気学的な強い力を外から受けたときに,実際にそういう現象がかつて何回も繰り返し発生してきたと考えられます.
なお,おそらく地球以外の天体も,その内部に,ほぼ同様の電気的な構造を持っているはずです.太陽も.
澤田正典 拝
【1580】[1913]地震と火山爆発は同じ3
会員番号2953の澤田正典です.今日は平成28年4月23日です.
副島隆彦先生,守谷健二先生,他諸先生方,いつもありがとうございます.私がこの重掲に,何度も投稿してしまい,すみません.
今回はまず,地殻変動の分類をします.プレート運動によって地殻に弾性エネルギーが蓄積されて,それが解放される現象は存在します.弾性エネルギーの解放に伴い発生する地殻変動の現象は,
・プレート境界型地震の発生後,プレート境界の上面側の地殻で見られる,長期的な伸張変動(余効変動).
・プレート境界において発生する,スロースリップ,ゆっくり地震,サイレント地震.
です.プレート境界で地震=核爆発が発生すると,高温によってプレート境界面の岩盤が溶解し,その面の摩擦力が低下し,弾性エネルギーの解放による長期的な伸張変動が発生すると考えています.これが,私の解釈による余効変動のメカニズムです.そして,温度の低下に従う摩擦力の回復と,弾性エネルギーの解放に伴う復元力の低下により,時間が経過するにつれて余効変動は収束していくと考えます.東北太平洋沖地震の震源となったプレート境界では,今でも余効変動が継続しています.核爆発の大きさも相当なものでしたが,それだけではなく,弾性エネルギーの蓄積も,たしかに,大きかったのでしょう.
プレート境界はもともと,強固に固着しておらず,摩擦力程度の弱い力で,上面プレートと海洋プレートの面同士が接着されています.静電気的な力が,この摩擦力に関与する場合もあると思います.そして,ある程度の弾性エネルギーが蓄えられると,たとえプレート境界型の地震が発生していなくとも,復元力のほうが摩擦力に勝り,ゆっくりと滑ります.それがスロースリップという現象であり,東海地震の想定震源域の周辺で,ときおり発生が確認されている現象だと推理されます.房総半島で何度か観測されてきたゆっくり地震も,同様の現象でしょう.
プレート運動はゆっくりとした運動ですから,弾性エネルギーの蓄積は基本的にゆっくりと進みますので,開放されるときも,ゆっくりと解放されるはずです.そして弾性エネルギーが解放されないまま時間が経過するほどに,弾性エネルギーは地殻を塑性変形させながら消滅するはずです.地殻内部には,弾性エネルギーはほとんど残っていないと思います.プレート運動で押されていますから,応力は働いていますが.
プレートテクトニクスが直接的に関与している現象など,この程度です.
なお,地殻内地震において余効変動が発生した場合,それが必ずしも弾性エネルギーの解放に起因するとは限りません.核爆発に伴う高熱が関与した,別のメカニズムである可能性も考えられます.
次に,核爆発や核反応に伴い発生する地殻変動の現象は,
・すべての地震における震動.
・プレート境界型地震における,プレート境界をせん断破壊面としたせん断破壊の促進と応力の解放.
・地殻内地震における,地殻内部の部分的なせん断破壊の促進と応力の解放,及び断層面の形成.
・火山におけるマグマ水蒸気爆発.
・火山におけるマグマ上昇及び火山性微動.
です.ここでは,核爆発や核反応によって発生するエネルギーのうち,力学的なエネルギーの関与が大きなものを上に,熱力学的なエネルギーの関与が大きなものを下に書いてあります.また,断層面は応力を解放したせん断破壊面であり,地震動のエネルギー源である核爆発とは無関係ですから,地震動の振動の方向成分と,断層面の変位の方向成分も無関係になります.
今後,修正することがあるかもしれませんが,今は上記のとおりに分類したいと思います.
こういった分類を確実に行う目的上においては,現在の地震学が蓄積している,力学的な物理量の観測データが,後々,役立つだろうと思っています.(ただし,そんな研究をしたところで,地震予報や災害予測には,ほとんど役に立ちません.優先順位で言えば,一番最後の方です.今の地震学では,一番最後にやればよいことを,わざわざ,一番最初にやろうとしているのです.なんらかの謀が働いているに,決まっているではないか.そんなことをしている間に,税金を払っている日本国民の皆様が津波や地震や火山災害で何万人も亡くなっているのです.ひどい話である.)
私は副島隆彦先生の書籍と講演会に感謝しています.私にとって大切な恩師です.ベンジャミンフルフォード先生,リチャードコシミズ先生にも,感謝しております.そして,船井幸雄先生に,深く感謝しております.
澤田正典 拝
【1579】[1912]天武天皇の正統性について
柿本人麿の悲劇(その9)
《柿本朝臣人麿、妻死(みまか)りし後、泣血哀慟して作る歌》〔207~216を検討してきた。そこで明らかになったことは、
1、三首の長歌の長歌の後半は、三首とも必死になって妻を捜し求めている様を謳っている。
〈大鳥の羽易の山に 汝が恋ふる 妻は居ますと 人の言へば 岩根さくみて なづみ来し 好けくもぞ無き うつそみと 思ひし妹が 灰にてませば〉〔213〕
「うつそみと」…生きていると 「思ひし妹が」・・・信じていた妻が 「灰にてませば」…灰なのだもの
三首とも、人麿が必死になって捜索していたことを歌っているのです。〔207〕の歌では、人麿の妻が苦境にあったことを歌っています。人麿は、世間の目、評判が恐ろしくて妻の元へ通うことが出来ないと歌っている。ほとぼりが覚めたらまた逢えるようになるさ、とのんきに構えていた。既に二人の間には子供が誕生していたのにです。
人麻呂の妻は、遂に堪え切れずに覚悟の失踪を遂げた、と私は読み解いた。
「世の中を 背きし得ねば かぎろひの 燃ゆる荒野に 白妙の 天領巾(あまひれ)隠れ 鳥じもの 朝立ちいまして 入日なす 隠りにしかば」〔210〕
人麿の妻は、お里でひっそりと暮らすことすら世間の批判の的になり、厳しい視線の中にあったのだ。まるで村八分のような。そんな妻の苦境を人麿は十分承知していた。しかし、世間が怖いと救いの手を差し伸べることが出来なかった。時間が経てばほとぼりも覚め、また逢えるようになるさ、と。
そんな中、妻は死に装束に身を正し、覚悟の失踪を遂げたのである。
私の目にした全ての解説書は「世の中を 背きし得ねば」を「人間が死ぬと云うのは逃れようのない世の摂理」と訳している。題詞の「柿本朝臣人麿、妻死(みまか)りし後、泣血哀慟して作る歌」を無批判に受け入れ、人麿の妻は死んでしまっているのだ、と決め付けて解釈しているのだ。
死んでしまっているのなら、どうして人麿は必死になって捜索する必要があると言うのだ。
人麿は、妻を見殺しにしたのである。妻殺しの原罪を負って出発した詩人が柿本人麿である。
【1578】[1911]司馬遼太郎からのメッセージ
会員番号1602番の石川 満章と申します。人生の折り返し地点は越えています。かなりの左寄りからだいぶ戻して、中道左派的な考えに落ち着いています。
今回は、NHKテレビテキスト「100分de名著 司馬遼太郎スペシャル」をお勧めしたいと思い投稿する次第です。
http://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/52_shiba/index.html
私は、「属国日本史 幕末編」の影響だけではありませんが、司馬遼太郎の作品に傾倒する人があまり好きではありません。身近にそのような人はひとりもいないのですが、読んだことも無いのに、見聞きするものから勝手に猛烈サラリーマン的なイメージを作り、忌避してきました。
それはNHKのテレビドラマ「坂の上の雲」が放映された時期に、ますます強化されました。「美しい日本を取り戻す」などという人達の盛り上がりとともに。
それなのにこのテキストを私が手に取ったのは、その表紙に磯田道史という名を見つけたからです。
「武士の家計簿」でその名を知り、朝日新聞の土曜版の「備える歴史学」の連載で、歴史の出来事の説明を面白く読ませて頂いたので、この人が書くならと購入しました。
磯田氏は司馬作品を、敗戦で全てを失う前の日本は素晴らしかったと言っているのではなく、”日本国家が誤りに陥っていくときのパターンを何度も繰り返し示そうとしました。”と読み解いています。
司馬遼太郎自身、日本軍の精神論の犠牲になりかけたそうですから、戦前の日本を礼賛するはずもないでしょう。
このテキストのおかげで、私の司馬遼太郎作品への考えは一新されました。もし、私のように司馬遼太郎を毛嫌いしている人がいましたら、このテキストを手にとってみて下さい。
私は、「この国のかたち」、「二十一世紀に生きる君たちへ」から読んでみたいと思います。