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Loginはこちら【1937】[2306]相田様の投稿に関連して
相田様の投稿を、いつも興味深く拝読させていただいています。
ありがとうございます。
[2305]の投稿に関係があると思い、参考のため以下の日経新聞(4月18日1面)の記事を、一部転載します。
なお、この転載はYahoo!ファイナンスhttps://news.finance.yahoo.co.jp/detail/20180418-01070701-fisf-stocks
からのもので、日経新聞の紙面の内容とは表現が少し異なっています。
(転載開始)
純利益世界で3割増、10位内に中国4社、米国と拮抗、17年度、7年ぶり伸び
先進国でIT関連の技術革新が収穫期に入り、新興国では資源高が業績を押し上げることで世界的に企業業績の拡大が加速している。QUICK・ファクトセットで世界約100カ国・地域の約8700社(予想・速報値含む)を集計した17年度の純利益合計額は4兆ドル(約420兆円)と3年ぶりに過去最高更新、増益率も前年度比29%増と7年ぶりの水準になる。
純利益額上位20社には米国12社、中国の銀行4社と通信1社、英国のブリティッシュ・アメリカン・タバコが第2位、韓国サムスン電子が第5位、日本のトヨタ自
<7203>が第13位にランクされた。トップはアップルで第3位にウォーレン・バフェットが会長兼CEOを務めるバークシャー・ハザウェイ、第4位が中国工商銀行。上位10社に限れば、米国4社、中国4社と拮抗している。米国企業はIT企業が6社、金融4社、医薬品1社、石油1社で07年度に首位だった米エクソンモービルは17位に後退、4位だった米ゼネラル・エレクトリック(GE)は赤字転落など、重厚長大型の企業が大きく後退している。
(転載終了)
上記のとおり、GEは不調のようですね。
なお、神戸製鋼には、安倍首相がサラリーマン時代に勤務していましたね。
また、アイン・ランドの著作「肩をすくめるアトラス」の翻訳者は脇坂 あゆみ氏ですが、彼女は日本ゼネラル・エレクトリック(GE)を退社した後、この本を書いたんですよね。
何か関係があるのだろうかと思いつつ、投稿させていただきました。
失礼いたしました。
【1936】[2305]買春で辞職した新潟県知事と、爆発した旅客機のジェットエンジンの話
相田です。
重ねて投稿ですが、今回はどうしても書きたかったので、御容赦ください。
新潟県知事の米山隆一が以前に、女子大生を買春していたという、週刊誌の報道があった。それを認めて、知事を辞任するという。米山氏は、灘高校、東大理科三類を経て、医師として働きながらも、司法試験にも合格するという、学歴エリートの頂点を極めた人物だ。そのエリートが、数度の挫折を経て政治家になった。しかし、将来を嘱望されながらも、女性問題によりあっけなく失脚してしまう。私が学生時代に読んだ、高橋和巳(たかはしかずみ)の小説「悲の器」の内容を、そのまま地で行く筋書きで、大変感慨深い。高橋和巳といっても、若い人たちはほとんど知らないだろう。私の学生の頃(バブル期末から崩壊期)にも、高橋和巳を読む者など、既に誰もいなかった。
「悲の器」のような文学の古典(という程古くはないが)の持つ力は、侮れないものがある。描かれた内容が、実際に起きてしまうのだから凄い。人間心理や社会のあり方に対しての、深い洞察を踏まえて描かれた小説は、虚構とはいえど、真実を抉り出すものだと実感した。
米山隆一は、柏崎原発の再稼働については否定派(マスコミは慎重派と書いているが)だった。しかし私は、米山の原発再稼働反対の姿勢は、上辺だけで心が込もっていない、と思っていた。「地元の新潟県に原発があると、危なくて怖い」という、米山の肌感覚から生じた、素直な反対の気持ちではなかっただろう。「やっと県知事になれたのだから、出来るだけ目立ってやろう」という、不純な目的に、原発を利用していると思った。怪しげな下心が見え隠れしていたので、私は米山が好きでは無かった。
とはいえ、米山の掲げた「新潟県独自に行う安全性の検証が、柏崎原発の再稼働の条件だ」という主張には、真剣に向き合うべきだと、私は考えていた。これまでの原発推進側の、一般市民に対する説明のやり方には、問題が多くあるのは明白だ。上辺だけで心が込もってないとはいえども、米山の出した再稼働への条件は、鋭い処を突いていた。流石は、頭が抜群に切れる、エリートだけのことはある。これから東電や政府と新潟県の間で、丁々発止の議論が始まるのだろう。時間はかかるが、議論が深まっていけば良い、と、少しは期待はしていた。それで、この結末である。持って行きようのない虚しさと、脱力感から、しばらく私は抜け出せそうにない。
これでは米山は、単に、原発の再稼働を遅らせて、東電に莫大な損失を与えただけの、単なる迷惑な人で終わってしまうではないか。知事を辞めても会社経営などで、稼ぎはあるらしい。それならば、「悲の器」でも読んで、もう一度、自分を見つめ直したらどうか?多分、米山は「悲の器」をまだ読んでないだろう。既に読んでいて、女子大生を誘っていたのなら、それはそれで立派だとは思うが・・・・・
さて、セクハラだ、買春だと騒がしい世相だが、私の今の一番の関心は、日本ではなくアメリカにある。何といっても、GE(ゼネラル・エレクトリック)が、いつ潰れるのか、という状況と期待から、目が離せない。
ジャック・ウェルチが社長を辞める2000年頃には、GEの株式時価総額は、50兆円近い莫大な金額だった。ところが、今では何と、10兆円程度の5分の1まで減ってしまった。2017年の初頭から現在までの間にも、16兆円も減ったのだ。それだけ株価が、急激に値下がりした、ということだ。今のGEの株価は13ドルくらいだ。ちょっと前までは30ドル近い価格だった。「時価総額が10兆円といえば、三菱重工(1.4兆円)や日立製作所(3.8兆円)の、数倍もあるじゃないか。まだまだ立派な会社だよ」と思うかもしれない。しかし、さすがに下がり過ぎだ。投資家のGEへの信頼は完全に失われた、と言ってよい。。
最近では、ウォーレン・バフェットがまたGEの株に興味を示している、といった噂話がニュースに載るだけで、GEの株価が1ドルくらい上がったりする。数日経つと、また元の株価まで、すぐに下がるのだが。全くもって、情け無い会社になり果ててしまったものである。天下のGEたるものが。
数日前にサウスウエスト航空という会社の旅客機が、ニューヨークの空港を離陸した直後に、エンジンが破損して、壊れた部品が窓を突き破り、フィラデルフィアに緊急着陸する事故があった。窓側に座っていた乗客の女性は、頭に部品が激突して死亡した。40代の女性で2児の母親だが、大きな銀行の役員の一人だったという。痛ましい事故である。
壊れたエンジンの製造元はGEだった。正式にはCFMインターナショナルという、GE とフランスの製造メーカーとの合弁会社だ。しかし、アメリカで用られるエンジンは、GE系列の工場で組み立てられている。だから、今回壊れたエンジンの製造責任は、GEにある。既に、アメリカ国家交通安全委員会(NTSB)による事故の調査が、始まっているらしい。
壊れたのは、エンジンの前側にあるファンブレード(回転翼、温度は高くならない部品)だという。疲労破壊で回転中に吹っ飛んだらしい。飛行中の旅客機で、ジェットエンジンの回転部品が壊れて、人にぶつかるなどという事故は、絶対にあってはならないものだ。川崎重工の新幹線台車の製造ミスなどよりも、遥かに罪が重い。神戸製鋼のアルミなどは、十分な強度があるにもかかわらず、欠陥材料だと、散々非難を浴びせられた。人が死んでしまったGEのエンジントラブルと、神戸製鋼のアルミ素材の仕様書の不正では、一体どっちが問題なのか?誰か俺に教えてくれや、と、声を大にして叫びたい。
既にウヤムヤになっているが、少し前に羽田空港で、離陸中に火を吹いた旅客機のエンジンも、GE製だった。しっかりGEのロゴがエンジンの脇に書かれていたのを、私はニュースで見た。やっぱり今のGEは、何かおかしい。会社全体がトラブルの抱え過ぎで、細かい技術的な配慮が足りなくなっているのではないか?滅亡へのカウントダウンが、ヒタヒタと刻まれているのを感じる。東芝の車谷会長の舞台への登場も、いよいよ近いと、私は観る。
相田英男 拝
【1935】[2302]ぼやき「2034の」内容の件
相田です。
ぼやき2034で副島先生が言及されている、日本のメーカーが得意とする高性能の鉄鋼材料とは、高張力鋼(ハイテンションスチール、略称 ハイテン)と呼ばれるものです。鉄鋼材料の中でも、最高ランクの強度を持つ素材で、厚さを薄くしても高い強度が得られるため、近年、自動車の鋼板に多用されています。川崎重工が削り過ぎて問題になった、新幹線の側バリの材料もこのタイプの筈です。
ハイテンの難点は、強度が高すぎるため、冷間(れいかん、室温のこと)プレス加工で成形する時に、スプリングバックという現象がおきやすく、きちんとした形が作れないことです。このため、ハイテンの製造には、高度な加工技術が必要です。このハイテン材の製造に実績があるのが、神戸製鋼所です。神戸製鋼は色々と叩かれますが、一流の素材メーカーです。
ちなみにハイテンの製造が難しいため、ヨーロッパのメーカーでは対抗技術として、ホットスタンプ法が開発されました。こちらは、900度を超える高温でプレス成形して、形を最初に作ってしまい、同時に金型内部で素材を急冷(クエンチという)します。急冷の効果で、金属のミクロ組織を微細安定化させて、ハイテンを超える強度を得ると共に、成形も安定させるという、優れた技術です。
コストや使う部材の寸法などの観点から、ハイテンとホットスタンプには、一長一短があるようです。材料技術も日々地道に進歩しています。
相田英男 拝
【1934】[2301]NHKをめぐる若干の考察(2)
車を運転していて、NHKのラジオ放送を聞いていると、番組の途中でニュース速報が入り、せっかく楽しく聞いていた番組が途中で中断されることがよくある。
その番組が、時の人へのインタビューであったり、著名な識者の興味深い話の途中であったりしたら、まったく腹立たしく思う。しかもそのニュース速報はほんの取るに足らないような地震速報であったり、交通情報であったりする。
私は滋賀県に住んでいるのだが、例えば、「・・・・震源地は和歌山市の西方20キロメートルの海底で、各地の震度は、震度2が和歌山市、震度1は・・・・。この地震による津波の恐れはありません」とか、「ここで大阪から交通情報をお伝えします。・・・・・送電線のトラブルで不通になっていた南海電車の運行は先ほど・・・・復旧し運転が再開されました」などほとんど緊急性もなく、縁もゆかりもない土地の情報を(恐らくは関西の2府4県で)聞かされることになっている。
これは、2011年の東日本大震災以降、頻繁に行われるようになり、当時は本当に異常さを感じた。今でも違和感と腹立たしさは感じるが、だんだん馴らされてきているのかも知れない。
通常の番組のディレクションとは全く別のしかも最高に強力なディレクションを行う権限のある上部組織がNHKの中に置かれていて、そこの判断によって、通常の番組に割り込む形でニュース速報を流しているのだろう。
だから、国会中継も意図的に中断することが出来るのだ。
しかし、このような些細なニュースを流す意味はニュース自体にはほとんど存在しないから、あるとすれば別の意図が存在するのだろう。(異常な事態を常態にする為?)
異常を普通のことと感じさせる為に、国民を慣らしてしまおうという意図が感じられる。
また、2012年以降の国政レベルの選挙における開票速報も異常である。
投票締め切りの午後八時を過ぎて、開票速報の特別番組が始まると途端に流される自民党圧勝のニュース。当確の速報。NHKの出口調査に基づくという。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
広々とした緑の草原に散らばって草を食(は)んでいる平和な羊たちの周りを、牧羊犬が走り回り、時には吠えて、何千頭もの羊を駆り立てて見事に一か所に集めてしまう。そんな光景が目に浮かんで来る。
【後ろめたさと世間体を逆手に取り脅迫するNHKの集金人】
受信料に関するNHKの公式なコメントは次のようなものである。
「放送法第64条で『NHKの放送を受信できる受信設備を設置した者は、NHKと受信契約をしなければならない』と定めています。したがって、テレビをお備えであればNHKを見る見ないにかかわらず、受信料をお支払いいただくことになります」とNHKは主張している。
しかし、この主張は半分しか正しくない。つまり、真実の中に真実でないことを巧みに潜り込ませて、相手をだましてしまう、典型的な詐欺師の手口と同じなのだ。
その上、更に問題なのは集金、契約業務を下請け業者に丸投げし、夜遅く戸別訪問をし、大声を出し、ドアを叩いたり、蹴ったりするという悪質、卑劣なことをしている。
その際、彼らは法律を前面に持ち出し、「法律違反は恥ずかしいことです。電波をただで使うのは犯罪です」というようなことを大声で、隣近所にわざと聞こえるように叫ぶ。さらに、「払わなければ、裁判に訴えるぞ」と脅す。(地方から上京してきたばかりの一人暮らしの若い女性のマンションに夜遅くこのようなNHKの集金人が来た時の恐怖や恥ずかしさを想像してください)
人に「後ろめたさ」を感じさせ、「脅迫し」、「世間体を保つ為に」やむなく契約させるためのあざとい手口なのだ。
小説『1Q84』の中で、女主人公の青豆が隠れているマンションの部屋に、NHK集金人が戸別訪問してきて、実にイヤらしく、ねちっこく語る口上(こうじょう)が、素晴らしい描写力で真にせまるリアルな筆致で描かれています。
Book3の95ページから一部を省略して引用します。ゆっくり鑑賞してみましょう。
(引用はじめ)
ドアベルは十回は鳴っただろう。セールスの人間にしては執拗(しつよう)すぎる。彼らはせいぜい三度しかベルを鳴らさない。青豆が沈黙を守っていると、相手は拳でドアをたたき始める。それほど大きな音ではない。しかしそこには硬い苛立ちと怒りが込められている。「高井さん」、中年の男の太い声だ。僅かにしゃがれている。「高井さん、こんにちは。出ていただけませんか」
高井というのは、部屋の郵便受けに出してある偽名だ。
「高井さん、お邪魔でしょうが、出ていただきたいんです。お願いしますよ」
男は少し間を置いて反応をうかがう。返事がないとわかると、再びドアをたたき始める。前よりも少し強く。
「高井さん、中におられることはわかっております。だからややこしいことは抜きでドアを開けて下さいな。あなたはそこにいるし、この声が聞こえている」・・・・・・
・・・・・・ようやくノックが止み、男の声が再び廊下に響く。
「高井さん、わたくしNHKの受信料をいただきに参りました。そうです。みなさまのエネーチケーです。あなたが中にいらっしゃることはわかっております。どれだけ息をひそめていても、それはわかるのです。長年この仕事をしておりますから、本当にお留守なのか、居留守を決め込んでいるのか、見分けられるようになります。どれほど音を立てないように努めても、人間には気配というものがあります。人は呼吸をしますし、心臓は動いていますし、胃は消化を続けています。高井さん、あなたは今現在部屋の中におられる。そしてわたくしがあきらめてひきあげるのを待っておられる。ドアを開けるつもりも、返事をするつもりもない。なぜならば受信料を払いたくないからです」
男は必要以上に大きな声を出している。その声はマンションの廊下に響き渡る。それが男の意図していることなのだ。大声で相手の名前を呼び、嘲り、恥ずかしい思いをさせる。そしてそれを近隣の人々への見せしめにする。もちろん青豆は沈黙を守り続ける。相手にすることはない。・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・しかし男は青豆の部屋の前で演説を一席ぶつことに決めたようだ。
「高井さん、かくれんぼはもうよしましょう。こちらも好きでこんなことをやってるんじゃありません。わたくしだってこれでけっこう忙しいのです。高井さん、あなたはテレビを見ておられるでしょう。そしてテレビを見ている人は誰しも、エネーチケーの受信料を払わねばなりません。お気に召さないかもしれませんが、法律でそのようにきまっております。受信料を払わないのは、泥棒窃盗をしているのと同じなのです。高井さん、あなただってこれしきのことでドロボー扱いされたくないでしょう。こんな立派な新築マンションにお住まいなのだから、テレビの受信料くらい払えなくないはずです。そうですよね?このようなことをみんなの前で大声で言い立てられて、あなただって面白くありませんでしょう」・・・・・・・「高井さん、しつこく繰り返すようですが、わたくしにはわかっておるんです。あなたが部屋の中にいて、じっと耳を澄ませておられることが。そしてこう思っておられる。なぜよりによって自分の部屋の前でいつまでも騒ぎ立てるのだろうと。どうしてでしょうね、高井さん。たぶんわたくしが居留守というものをあまり好きではないからです。居留守というのはいかにも姑息ではありませんか。ドアを開け、エネーチケーの受信料なんか払いたくないと、面と向かって言えばいいではありませんか。すっきりしますよ。わたくしだってむしろその方がすっきりします。そこには少なくとも話し合いの余地があります。ところが居留守というのはいけません。けちなネズミみたいに奥の暗い所に隠れている。人がいなくなったらこそこそ出てくる。つまらない生き方だ」・・・・・・・どこでもいい、どこかの部屋の前で派手に騒ぎ立てて、まわりの住民を威嚇することがこの男の本当の目的なのだ。自分の部屋の前でそんなことをされるくらいなら、受信料を払ってしまった方がましだと、人々に思わせようとしている。この男はおそらく方々で同じようなことをして、それなりの成果を収めてきたのだろう。
「高井さん、わたくしのことを不快に思っておられるでしょう。考えておられることはそれこそ手に取るようにわかります。はい、わたくしはたしかに不快な人間です。それは本人もわかっております。しかしです、高井さん、感じのいい人間には集金なんぞできません。どうしてかと言いますと、世間にはエネーチケーの受信料を払うまいと心を決めた方々がたくさんおられるからです。そういうところからお金をいただこうとすると、なかなかそういつも感じ良くはしていられません。わたくしにしても、『そうですか、エネーチケーの受信料なんか払いたくないと。よくわかりました。どうもお邪魔しました』と言って、気持ちよく立ち去ってしまえればと思います。しかしそうはいかんのです。受信料を集めるのがわたくしの職務でありますし、またわたくしは個人的に、居留守というものがどうしても好きになれんのです」
男はそこで口をつぐみ、間を置く。それからノックの音が十回続けて響きわたる。
「高井さん、そろそろ不快な気持ちになったのではありませんか。自分が本物の泥棒のように思えてきたのではありませんか。よくよく考えてみてください。我々が問題にしているのは、そんな大した額のお金ではありません。そのへんのファミリー・レストランで食べるつつましい夕食一回分程度のものです。それだけ払ってしまえば、泥棒扱いされることもありません。大声で偉そうなことを言われ、しつこくドアを叩かれることもありません。高井さん、あなたがこのドアの奥に身を潜めておられることはわかっております。あなたはいつまでもそこに隠れて、逃げおおせられると考えておられる。いいですよ、隠れていらっしゃい。しかしどれほどこっそり息を潜めていても、そのうちに誰かが必ずあなたを見つけ出します。ずるいことはいつまでも続けられません。考えてもごらんなさい。あなたよりも遥かに貧しい暮らしをしている人たちが、日本国中で毎月誠実に受信料を払っておられます。それは公正なことではありません」
ドアが十五回ノックされる。青豆はその回数を数えている。
「わかりました、高井さん。あなたもかなり頑固な方のようだ。けっこうです。今日のところは引き上げましょう。わたくしもあなただけにいつまでもかかわっているわけにもいかない。でもまたうかがいますよ、高井さん。わたくしは一度こうと決めたら、簡単にはあきらめん性格です。居留守も好きではありません。またうかがいます。そしてまたこのドアをノックします。世界中がこの音を聞きつけるまで叩き続けます。約束します。あなたとわたくしとのあいだの約束です。よろしいですね?それではまた近々お会いしましょう」
足音は聞こえなかった。たぶんゴム底の靴を履いているのだろう。
(引用おわり)
放送法は昭和25年6月1日(1950年)に施行された。第二次大戦に敗戦し、日本がアメリカ軍の占領下にあった時期である。
三週間後に朝鮮戦争が勃発する。マッカーサーがトルーマン大統領によって連合軍最高司令官を罷免され日本を去るのは翌年の4月である。二年後(1952年)の4月サンフランシスコ平和条約が結ばれ、日本は形式的に独立する。
朝鮮戦争(1950年6月~53年7月)をきっかけとして、日本経済の目覚ましい復興が始まる。
繊維業界では戦後の衣料品不足に加え、朝鮮戦争による特需が起こり、ガチャマン景気(機織り機がガチャっと動くと一万円儲かるほどの好景気)といわれたし、あらゆる業界の景気が良くなった。
当時、私の父は繊維業界に関係していたので、糸を巻き取る木製のスピンドルの様々な見本を沢山持って帰ってきてくれ、子供たちはそれをオモチャにして遊んでいた。
このような時代の状況を背景に、最も手軽な娯楽としてラジオが広く一般の家庭に普及していった時期でもあった。
私が5歳のころ、父が米軍払い下げのポータブルラジオを買ってきた。樹脂製のワインレッドの角が丸みを持った小型ラジオで、家にあった木製の筐体(きょうたい)のラジオと全く違う色と形をして、別の世界から来たもののように感じた。
そして、確か日曜日の朝10時ぐらいから『立体放送の時間』というNHKの番組があり、父は箪笥の上に置いていた古いラジオの隣に、このポータブルラジオを少し離して並べて置き、一つをNHK第一に、もう一つをNHK第二に合わせて、立体音響でクラシック音楽を楽しんでいた。(まだFM放送はなくNHK第一と第二を使ってステレオ放送でクラシック音楽を流していた)
こういう風にすると音楽が立体的に聞こえると説明してくれたが、五歳の私には何のことかさっぱり分らなかった。
まだステレオという言葉もなく、レコードはSP(standard playing78回転)の時代でLPレコード(long playing 33 1/3回転)はまだ日本では発売されていなかった。
話を戻すと、この放送法の成立過程ではマッカーサー麾下(きか)のニューディーラーたちの意向が強く働き、ある意味でNHKは理想の公共放送を目指した時期でもあったと私は推測する。
受信料を徴収するために、多くの集金人が募集され、この人たちは非常に真面目に根気よく公共放送の意義を広める伝道者としての役割も果たしたと思われる。
娯楽を求めていた国民はある程度「同意」した上で、受信料を払っていた人が多い。
【受信契約義務はあるが受信料の支払い義務はない】(放送法さえ守らないNHK)
繰り返しになるが、NHKはこう主張する。
「放送法第64条で『NHKの放送を受信できる受信設備を設置した者は、NHKと受信契約をしなければならない』と定めています。したがって、テレビをお備えであればNHKを見る見ないにかかわらず、受信料をお支払いいただくことになります」
放送法の解釈としては、このNHKの主張の前半は正しいが、後半は正しくない。放送法のどの条項にも受信料支払いの義務は書かれておらず、また支払わなかったとしても罰則があるわけでもない。
もう一度繰り返すが、放送法ではNHKとの契約は義務としているものの、受信料の支払いについては規定されていない。当然のことながら、受信料を支払わなかったとしても罰則は一切ない。
つまり、「受信契約義務」と「受信料の支払い義務」は全く別物であるのに、一体であるかの如く主張するNHKは『放送法』にさえ違反したことを主張しているだけでなく、法律よりも上位にある憲法に保証された「契約の自由」や「思想信条の自由」にも抵触する疑義(疑い)がある。
さらに、放送法では「放送の不偏不党、真実および自律を保障」(1条2項)や「政治的に公平であること」「報道は真実を曲げないですること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」(4条の2)が定められているが、NHKの報道は明らかにこれらの条文に違反している。
つまり、NHKのは受信料の支払い義務については放送法を偽り、詐欺的口上で主張する一方、放送法に定められた義務については一切無視をしている。
これでは、ろくでもない記事を満載した雑誌を(頼みもしないのに)毎月送りつけてきて、購読料を請求し、支払いを拒否すると暴力団が押しかけてきて脅迫するのと同じではないか。
テレビを勝手に見て、電波を盗んでいるというのなら、盗まれたくないなら、スクランブルというカギをかけて受信料を払った人だけが見れるようにすればいいだけのことだ。
ところが、このスクランブル方式に一番賛成しないのは、当のNHKなのだ。
なぜなら、スクランブルにすると受信契約をする人が激減し、NHKの収入も激減することは確実である。私の感覚では今現在スクランブル方式をすれば、国民の3~4割しかスクランブル契約をしないだろう。
そして、その数は今後、高齢者がどんどん消えていくことから、年々少なくなることも確実だろう。
戦後、放送法が出来た当初、公共放送の理想に燃えスタートしたNHK。良い番組を沢山作り、かつては国民の求心力の要(かなめ)として、重要な位置にいたNHK。
それが、今や国民にとって危険な存在に成り下がっている。NHKの放送する番組の内容からも、NHK職員の犯罪の多さからも、NHKの受信料の徴収の現場の実情からもそれらのことはいくらでも指摘できる。
さらに、さらに言うならば、NHKの主張は人類が過去の歴史において獲得してきた諸原理原則を、ないがしろにしている。
18世紀のアメリカ独立戦争のスローガン「代表なければ課税なし」と同じで、「発言権なければ受信料支払いの義務なし」と主張できるのだ。
この投稿の冒頭紹介した事例のように放送のディレクションや報道の内容に不満があっても、それを変えさせる手段がわれわれ国民にはないのだ。
13世紀、英国のマグナ・カルタにおける「同意なしには課税できない」という原則。
NHKを視聴しない人、NHKを視聴したくない人、NHKなんかそもそも必要と考えない人に対して、NHKは契約締結と受信料の支払いを拒否する権利を認めなければならない。当たり前のことではないか。
平成30年4月7日 投稿
【1933】[2300]高畑勲(たかはたいさお)が肺がんで死んだ。
相田英男です。
アニメ作家の高畑勲(たかはたいさお)が亡くなった。しばらくの間、昔のアニメについて、ネットなどで色々と語られるだろう。
自分の場合は、一番記憶にあるのが「じゃりんこチエ」だ。家出していたチエちゃんのお母さんが、帰ってきてチエちゃんと一緒に暮らし始めた時は、嬉しかった。お父さんが半グレで、舎弟のカルメラ屋とつるんだりする設定は、コンプライアンスにあまりに厳しくなった今のアニメだと、放送禁止になるかもしれない。「じごく組」とかも出てくるし。
さて、アニメについては実はどうでも良い。高畑の死因は肺がんだったという。ヘビースモーカーだったのだろう。高畑は、宮崎駿とコンビで、共産党の支持者だったのも名高い。しかし、原発の放射線が危ないと主張しつつも、タバコはバンバン吸っても平気だというのは、一体どういう心境なのか?タバコを吸わない私には、理解に苦しむ。
私は見ていないが、「風立ちぬ」というアニメ映画の中でも、主人公の飛行機の設計家がタバコを吸う場面が、頻繁に登場するらしい。評論家の池田信夫が、「低線量放射線の危険を訴える宮崎駿が、自分の作品の登場人物にタバコを吸わせるのは、おかしいだろう?」と、ブログに書いていた。池田信夫の方も色々と言われているが、池田のこのコメントには、私も強く同意する。
以前に、左翼系の論者として名高い(らしいが、よくは私は知らない)、市田良彦、王寺賢太、小泉義之、絓秀実、長原豊の5人(面倒なのでルビはふらない)が討論した、「脱原発異論」(作品社、2011年)という本を、買って読んだことがある。討論の内容は、はっきり言って私にはどうでもよかった。4人がそれぞれの、薀蓄(うんちく)を垂れ流すだけの、私には「ああそうね、良かったね」というだけだった。しかし、面白かったのは対談ではなくて、討論者5人の写真の方だった。4人全員がタバコを加えながら、対談に臨んでいた。丸二日を費やしたらしいから、各人4箱以上は、対談中に吸ってるのではないか?
別にどれだけタバコを吸っても、本人の自由だから良いだろうとは思う。しかしながら「福島事故でまき散らされたセシウムから出る、年間100ミリシーベルト以下の低線量放射線を浴びることが、命にかかわるほど危険だ」という前提で、お互いが対談しながらも、自分の肺の中に、明らかに発ガン性があると証明されている煙を、ひたすら流し込むという行為は、如何なものなのだろうか?こんなことにケチをつける、私のセコさが問題なのだろうか?
「無理にタバコを止めるとストレスがかかるので、精神的にリラックス出来る方が、かえって体には良い。だから、少しぐらいタバコを吸っても許されるだろう」とか、あいつ等は、言い訳するだろうか?それならば、福島事故の直後に現地入りした、医師である山下俊一(やましたしゅんいち)氏が、「ニコニコ笑っている人には、放射線が寄り付かずに、ガンになりません」と、被災者達にリラックスを勧める発言をした。その山下氏を「犯罪者だ、殺人者だ」と罵倒して、裁判にまで訴えた、広瀬隆等のスタンドプレーを、あいつ等は一体どう考えているのか?
納得できないと怒る私の、了見が単に狭いだけなのか?
左翼の論者達が、大変な勉強家で、頭が良いことは私も認める。作っているアニメ作品にも、素晴らしい物が多い。しかし知識人ならば、言行不一致というか、物の理り(もののことわり)という事についても、少しは考えてみたらどうなのか?
私は最近、だんだんわかってきた。原発反対を訴える殆どの論者は、原発の危険性や、福島県の被災者達の苦労など、全く心配などしていない、心にも留めてなどいない、という事実を。菅直人も、枝野幸男も、小泉純一郎も、米山隆一も、河野太郎も、小林よしのりも、「阿蘇山噴火の際に、火砕流が押し寄せて原発が壊れるから止めろ」と訴えた広島の住人も、その訴えを認めた裁判官も、原研労組の連中も、熊取六人組も、広瀬隆も、渋谷陽一も、井野博満も、吉岡斉(この間死んだ)も、坂本龍一も、V6の井ノ原快彦も、名前が思い出せないが、その他大勢の連中の全てが、心配などは、全くしていない。
要は、原発をネタにして、自分達が目立ちたいだけだ。自分が目立つためだけに、福島原発事故を利用しているのだ。結局は、物の理屈に沿って、論理的に考え続けることなど、どうでもいいのよ。だって、よくよく考えていけば、逆に、自分の方にも問題がある事を、認めざるを得なくなるだろうが。
単なる思い込みが全てだ。思い込みが彼らの結論なのだ、ということが、ようやく実感出来てきた。理屈で彼らを説得できると思って来た私が、あまりにも浅はかだったのだ。
高畑の話から飛躍し過ぎたが、お許し頂きたい。
相田英男 拝
【1932】[2298]元(もと)国税局勤務 を名乗る もの書きの大村大次郎(おおむらおおじろう)に気をつけて下さい。 国税庁のまわし者だ。
副島隆彦です。 今日は、2018年4月4日(木)です。
強く気になったことが一件あるので、急いで書きます。
この重たい掲示板の 下 ↓ の方の「2294」番の 3月27日に投稿の 会員の kenji fujikawa (藤川けんじ)君 の文は、優れた内容の良い文です。
(転載貼り付け始め)
重たい掲示板
[2294] 財務省の巨大既得権、予算権と徴税権のマッチポンプ構造 投稿者:kenji fujikawa 投稿日:2018-03-27 09:20:25
「国家=税」というのは、副島さん著作の読者なら、皆が認識しているところであると思います。元国税官の方が、ニッポン財務省の組織・機構そのものの中に、”マッチポンプ構造”が働いていることを、告発した記事を紹介します。・・・・
(転載貼り付け終わり)
ところが、藤川君の文の、後ろ半分に、長く引用されている 大村大次郎(おおむらおおじろう) という人物のネット上に公開されている文章に、会員は、皆、強く警戒するように、私、副島隆彦から 注意を発しておきます。
この 元(もと)国税調査官 の 国税大村大次郎(おおむらおおじろう)というのは、とんでもない謀略(ぼうりゃく)人間である。 藤川くんが引用して貼り付けした、この男の文の文末に、 以下のように人物紹介されている。
(転載貼り付け始め)
執筆者プロフィール : 大村大次郎(おおむら・おおじろう)
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。 この大村大次郎 という 人物は、近年、あちこちの出版社から、大っぴらにたくさんの本を次々と出している。そのことは、この男の名で、 アマゾンの本を検索(リトリーブ)すれば分かる。ほとんどは、「税務署は、ここから攻めてくる。その手口を公開します 」という感じの本だ。
この大村大次郎は、この名前自体、おそらく 仮名(かめい、ペンネーム、シュードニム)で仮面をかぶっている男だ。私は14年まえ(2004年)の、自分が抱えた税金裁判(租税裁判)の時に、この男および彼の本を出していた出版社から、私に連絡があったときから強く疑っている。
私の方から、その後、その出版社に連絡して、会いましょう、と言っても、出てこなかった。 この男は、上記の通り、大卒で、10年間、確か私の記憶では、長崎県の税務署で税務調査官をしていた。私は、この男と、電話で話しているのだ。おかしな動きをする男だ。
例えば、上記の 「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)という、数年前に出た本も問題なのだ。このような、本を平気で書いて「あらゆる領収書は経費で落とせる」を実行した経営者や自営業者たちが、全国にたくさんいた。そして、その多くの人が、税務署から調査を受けて、ヒドい目にあったのだ。
このことは、全国にいる税理士たちがザワザワと噂(うわさ)しあっている。特に、税理士試験合格組の、「国税上がり」ではない、自分の顧客(依頼者)のために本気で、税務署と対応、対決、交渉している税理士たちが、すべて知っていることだ。 「この大村 という男は、とんでもない奴だ。国税庁の回し者だ。おかしなことばかり書いている」と 言っている。だから、ここに集まる会員たちは、気をつけてください。 大村大次郎 は、今も国税庁と繋(つな)がっている謀略人間である。
私、副島隆彦 は、この男と面と向かって対決しようと思っている。いろいろと質問して、問い質(ただ)したいことがたくさんある。私と学問道場が、14年前に、 財務省・国税庁・関東信越国税局と闘って、税金裁判を続けた記録は、『私は税務署と闘う 恐ろしい日本の未来』(ビジネス社刊 2005年)という本に余すことなく書いている。
私が、弟子たちと税務署に抗議に出掛けて、その前で、私が、ずっと演説した内容は、DVDにして、私たちの学問道場でずっと販売し続けた。全国の税理士たちや、税務署にヒドい目にあったことのある 資産家や経営者が、皆で、回し見した。 トップ画面の「副島隆彦の講演ビデオ」から購入画面に入ってください。
私は、この大村大次郎のような、国税庁の回し者の、スパイ人間が、堂々と、いろいろの出版社から、たくさん、本を出して、まるで、「私は、納税者(国民)の味方です。税務署の手口は、こういうものです。それを、元国税調査官だった、私が、公開します」という、感じで、ずっと書いている。これ自体が、謀略、マニューバーなのだ。
権力者というのは、こういうことまでやる。本当に怖いことだ。皆さん、本当に気をつけてくださいよ。世の中は、こういう風に恐ろしいのです。
私、副島隆彦が、ここまで書いても、当の大村大次郎(おおむらおおじろう)から何か言ってこない、あるいは、事実誤認で名誉毀損で訴える、と、言ってこないようだったら、皆さん、やっぱり、大村はおかしい、怪しい人物だ、と判断してください。
私、副島隆彦は、今からでも、彼が本を出している出版社を通して、この男に連絡を取って、「私、副島隆彦 と会って話しなさい」と 動こうと思う。
もっと書きたいことがあるが、これだけを、みんなの注意を喚起するために、書いておきます。世の中は恐ろしいのです。
何でもかんでも、すぐに、自分の味方だ、自分と同じ考えだから、仲間だ、と安易に考えないようにしてください。常に 慎重な判断が必要です。 藤川くんも気をつけてください。
副島隆彦拝
副島隆彦です。2018燃4月6日です。
追加で、大村大次郎 が、これまで出している本の、アマゾンの主要なものを 以下に並べて載せます。こんな いかがわしい本を、この男は、国税庁の 広報公聴(こうほうこうちょう)課の、 極悪(ごくあく)公務員どもと、グルになってやっている。 自分たちがやっていることが、公務員倫理規定に違反して、違法である、という事実を無視している。 私は、彼らを糾弾する。副島隆彦記。
(アマゾンの ページからまとめたののを、転載貼り付け始め)
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(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。いやはや、とんでもない数の本を、こいつはこの10年で、書いて出している。私、副島隆彦の真似本(まねぼん)を、私の本にぶつける形で出している。本当に悪質 極まりない謀略人間だ。
副島隆彦 記
【1931】[2297]『属国日本論』の読書感想文
丁度、『属国日本論』が読み終えたんで、この本はもう通説な事もあって、感想文を書くつもりもないんですが、下のいくつかの重たい掲示板の意見とか殆ど全てその通りだというついでになんか書いてみます。(ただ、最終的に多国籍企業を作らないといけないと思うんで、そこでなんか護送船団方式な事が必要になると思います。もうそんなレベルでなそうですが)
というのも疑問があるからで、属国のように扱うことは基本的に良くないことです。なぜ日本の勝ち組はこういう事を隠すんでしょうか。中国とかなら、尾ひれをくっつけてアメリカの悪さを宣伝するところです。アメリカが隠れてカッコのよくない属国化のような事をしたいという事があれば、出所を隠して噂とかの形で、米国のそういう部分を国民の共通認識にした方が良いし。全然、隠す部分でなくて手持ちのカードだと思うんです。バブル崩壊で金融で200兆円から1000兆円くらい取られたとか(僕の見積りはその時は300兆円強)。地位協定で日本にはソルベンティがないからこういうことがあったとか。タカタは言われるが、ボーイングとかGEには言えなかったとか。色々言っても結局赤毛が増えたとか。そこが全部知りたいところだと思うんです。実際にアメリカに面と向かって言い返すかどうかは、相手は特に覇権国な訳だから作戦を考えるところな事は当たり前だし。隠す理由がアメリカが抱きしめるほどとっても好きというのであれば、そういう人はアメリカに行って貰えば良いし、反共で動くにしても事実ならそれをしながら米国と協力すれば良い訳で。基本的に共和国の方が未来的で、遅れた概念の君主国である日本に、土人でなく合理的であるはずの西洋人が、そういう時には非合理になって来るはずがなく(だから結局は土人とか関係ないと思うし)、基本的にはアメリカとかの共和国に向かうフローだけである。日本人には生まれた所の文化がすきだから、古くてもそれが良いわけですし。例えば、アメリカが覇権を失ったとして、今の大きなマネーフローがなくなって移住者とかその家族が逃げ出そうとしても、合理的な結論から日本は共和国でないんで押し返すくらいです。それと最近、ナショナリスト(?)な僕でも自民党とか他の戦後世代の愛国者の方がさらに頭の芯からやられている感じがするんです。心配になる程です。あとハーフの人の扱いに考えもない。あと誰から買うという事もあると思います。
PS:放送法も変えたいようですし(あれは僕には良さげです)、このブログもYOUTUBEの番組作ってみてはどうですか。読書人でない人のレベルアップも重要で、ついでに本の売り上げが上がるんではないでしょうか。僕なんかは政治映画とか絶対無理で、映像だと全く理解できないんですが。
【1930】[2296]やっと「天皇とは北極星のことである」の重たさが解った
会員番号8177番の森本達樹と申します。
時折、会員専用掲示板へ駄文を投稿させていただいております。
先日、「天皇とは北極星のことである」を読み返し、その内容の重厚さに、改めて、驚愕いたしました。そして、この本は、極めて重要な事が書かれています。
この掲示板を読みに来られる方々で、まだ「天皇とは北極星のことである」を読んでいない方に、ぜひ副島先生と斎川眞先生の共著「天皇とは北極星のことである」を知っていただきたく思い、今回は、こちらの掲示板に投稿させていただきます。
「天皇とは北極星のことである」は、副島先生が、
日本国の国王である「天皇」というコトバは、どのようにして中国からもたらされて日本にやってきたか、を明らかにする本である。(序文。P1)
と述べられている通りの本である。
日本人の「ナショナル・ヴァリューズ(民族固有価値)」の起源と、それが生まれた時代背景が書かれてある。
特に、副島先生が、21ページにわたって書かれた序文は圧巻である。
その序文を読めば、白村江の戦いから、(奈良の)大仏開眼までの日本と中国の国情と相関関係の概観が把握でき、本編の各章の内容もすんなりと頭に入る。
私が思わず笑ったのは、
奈良の大仏の前での灌頂の儀式が度々、行われた。(中略)ゾロゾロと合計二〇〇〇人もの貴族たちが、順番に灌頂を受けた。(序文。P19)
という一節である。
これは、さしずめ、当時の貴族たちにとって、ビートルズが来日したような熱狂だったのだろう。しかも、海外ではブームが去ったビートルズの…。
「天皇とは北極星のことである」の内容を、事細かく紹介するのは無理だ。
「ぜひ、読んで欲しい」としか言えない。
ただ、私が、この本を読み終えて思ったのは「日本のナショナル・ヴァリューズや文化。国体(国制)までもが、どう考えても、学術的には中国からの移転である」という事である。
これは、ナショナル・ヴァリューズを重視する人々、特に親天皇派には受け入れがたい考えだろうが、「天皇とは北極星のことである」には、日本建国の年や、天皇号の深意を、資料と事実を提示して記述されている。
歴史(観)は政治経済の根幹に関わるので、日本のナショナル・ヴァリューズの起源を信じたくない人は信じなくて良いと思う。
こと、天皇に関しては、ナショナル・ヴァリューズとワールド・ヴァリューズ(世界普遍価値)は対立関係にあると思う。
それが顕著なのが、今上天皇の退位問題だろう。
(関連記事貼り付けはじめ)
新元号天皇陛下退位日、19年4月30日決定 翌日から新元号
https://www.asahi.com/articles/ASKCZ6TBXKCZUTFK015.html?ref=tw_asahi
(関連記事貼り付け終わり)
この件で「皇室を敬愛する」人達が怒りの声を上げないのに違和感を覚える。
「北ガーッ」と喚いていた人が、現在、ダンマリを決め込んでいるのと同じである。
私は、未来志向で前向きな生き方・考え方を貫くためにも、この件では、ワールド・ヴァリューズ(ウィンザーナイゼイション)を支持する。
今からでも、皇室典範を改正すべきだ。
「天皇とは北極星のことである」の論説で貫かれている柱に、「日本(倭国)は中国の属国だった。中国の属国をやめて(柵封体制から離脱して)目指したのは中国のような国家(律令国家。小中華帝国。)だった。」もあると思う。
柵封体制を離脱したのは、日本の国家意思であったが、律令国家の作り方(法典編纂)に必要な律令や律令解釈書の写本を遣隋使・遣唐使が日本へ持ち帰っていた事実は重要だ。(第三部/第二章)
これは、日本の国体(国制)も中国の移転である事を意味する。
日本は、明治維新後は英国の、先の大戦後は米国の属国であるが、近い将来、世界覇権国家となった中国の属国(柵封体制)に戻る。と、私も考える。
中華思想では天帝は一人だけなので、日本の天皇の存在を認めないかもしれない。
皇室を廃する事はないと思うが、天皇が「日本国王」である事を、日本人に思い知らせるだろう。
そもそも、今上天皇こそが日本国民に「ワールド・ヴァリューズ」を知って欲しいと、お望みなのかもしれない。
(関連記事貼り付けはじめ)
天皇陛下の「やり残した仕事」 退位前「訪韓」に関心強める韓国メディア
https://www.j-cast.com/2016/08/10274995.html?p=all
(関連記事貼り付け終わり)
「北朝鮮処分」同様に、天皇訪韓の実現からも目が離せない。
さいごに、「天皇とは北極星のことである」を、より深く理解するために役立つ副島本は、「なぜ女と経営者は占いが好きか」だと思います。
ぜひとも「天皇とは北極星のことである」を読んで、できれば、読後感を「重たい掲示板」に投稿していただき、皆様の御意見を、お聞かせ願います。
【1929】[2295]26日の 「習近平・金正恩の北京会談」を、ずっと10本の記事で後追いした。
副島隆彦です。 今日は、2018年3月28日(水)です。
私は、昨日、27日は、午前10時からテレビで、佐川宜寿(のぶひさ)への証人喚問を、始めの方だけ見ていたが、馬鹿らしくなって、やめた。警察と 検察を、安倍が押えているのに、何か、「私が捜査の対象になっておりますので、その件にはお答えできません(証言拒否)」だ。
この、馬鹿野郎たちを、まとめて、安倍晋三以下、どうやったら、誰が、犯罪者として捕まえることが出来るのだ。 よくもこんな茶番劇を見せられて、みんな我慢しているものだな、と、私は思った。
安倍晋三も 麻生太郎も、暴力団のようなやつらだ。 こういうのが、私たちに国の指導者をやっている。なんという悲惨な国だ。 暴力団のような犯罪者たちが、のうのうと権力者をやっている。これを引き釣り降ろすことが出来ない。
日本国の最大の弱点は、指導者の質の悪さだ。世界基準(ワールド・ヴァリューズ world values )からして指導者になる者たちがあまりにもヒドい。国民は、まじめでしっかりしているのに。
すぐにアメリカにヘコヘコしてお金を貢ぐことで、日本の指導者にして貰っている売国奴どもが、いつも上に居座っている。アメリカと対等に交渉しようとする愛国者は、すぐに、文春や読売新聞のスキャンダル攻撃で、潰される。
あの篭池(かごいけ)夫婦を 大阪地検の特捜部 の 女の特捜部長だそうだが、こいつが、捕まえて、口封じをしている。篭池は、もう200日(6カ月)も長期勾留(こうりゅう)されている。 本当に、検察というのは、汚れきった連中だ。きっと特殊な政治宗教団体のメンバーたちだ。
それから、裁判官たちまでが、ヒラメ野郎( ヒラメは、目が上ばっかり見ていて、それで砂地の側の目まで、上側に移動してきた、奇妙な魚) ばっかりで「司法の独立」がなくて、自民党の言いなりで、汚れきって、腐敗している。
篭池が、外に出ていたら、簡単にたくさんの証言を取れて、それで、昭恵や安倍晋三まで、すぐに犯罪者として逮捕されるだろう。 本当にワルいやつらだ。警察と検察が、汚れている国は、それでは、一体、誰が、まじめに犯罪捜査( インヴェスティゲイション investigation ) をするのか。
アメリカの 連邦捜査局 FBI(エフ・ビー・アイ) は、フェデラル・ビューロー・オブ・インヴェスティゲイション で、より正確には、連邦(各州のではなく)犯罪捜査局(あるいは、庁)なのだ。 司法省(デパートメント・オブ・ジャスティス DOJ)の外局である。
今日は、私は 北朝鮮の問題を書く。
私が、「北朝鮮の金正恩が、26日に北京を電撃、訪問した」を知ったのは、27日の 朝の3時過ぎだった。私は、体調が良くて元気な日は、朝の3時に寝覚めて起きるようになった。老人性早起症(ろうじんせいはやおきしょう)だ。まだ真っ暗だ。それでネットのニューズで知った。 以下の ロイターの 記事だった。
その前のブルームバーグの報道 が一番、早かったようだ。
私は、これから長々と10本の新聞記事を載せます。まじめな人は、ずっと、丁寧に読んで、付き合ってください。 人間は、ひとつのことをコツコツとやる、まじめさが大事なんだ。 副島隆彦記
3月28日 午前8時に新華社が発表した 北京での 旧金平・金正恩会談 の写真
(転載貼り付け始め)
1.「 北朝鮮の金正恩氏、中国を訪問=通信社 」
2018年3/27(火) 3:02配信 北京 26日 ロイター
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が中国を訪問したと、ブルームバーグ が26日、関係筋3人の情報として報じた。報道が確かであれば、北朝鮮の最高指導者の地位を継承した2011年以来、初の外遊となる。
訪中の理由や旅程などの詳細は明らかになっていないという。ロイターは金氏の訪中を確認していない。これに先立ち、日本の複数メディアが、北朝鮮要人が特別列車で北京に到着したと報じている。
共同通信は関係筋の情報として、訪中は、悪化している中国との関係改善を図る狙いがあると伝えた。関係筋はロイターに対し、北朝鮮の要人が列車で中国遼寧省(りょうねいしょう)丹東(タントン)に到着したことを明らかにした。
同情報を巡り、中国外務省の報道官は定例記者会見で「把握していない」と応じている。
韓国大統領府は声明で「関係諸国と緊密に連絡を取り、状況を注視している」とし現時点で、在北京北朝鮮大使館は電話に応じていない。また、北京では大通りの警備が強化され、天安門広場では旅行者が排除されるなど、厳重態勢が敷かれたという。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。このあと、私が、ネットから採集した記事を、どんどん、 2、3、4 ・・・と下の方に並べて載せてゆく。 2 の 日本語のブルームバーグの記事には、共同通信と日本テレビの 26日の報道が一番、早かったようで、この2社に拠(よ)ると、と書いている。
私、副島隆彦は、この鴨緑江(おうりょくこう)の河口の丹東(タントン 旧名は、沈東。 日が沈む都市という意味) )に9年前に調査で行った。 鴨緑江の向こう側に、北朝鮮の兵士たちが見えた。 明かりは暗かった。2つ横断橋=鉄橋 が掛かっていて、一つは旧日本政府が作ったものだが、橋が朝鮮戦争の時の爆撃で真ん中で落ちていて「断橋(だんきょう)」と呼ばれている。 ここが、中国と北朝鮮の 国境の西の端(はし)である。
(転載貼り付け始め)
2「 北朝鮮の金委員長が中国を電撃訪問、期間や会談相手は不明-関係者 」
North Korean Leader Kim Jong Un Is Said to Be Visiting China
2018年3/27(火) 1:18配信 ブルームバーグ
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が北京を電撃訪問した。関係者3人が明らかにした。
2011年に最高権力者の座に就いて以来、金正恩氏の外遊( 副島隆彦注記。確か、このとき、権力者になた、お披露目で北京に行った) が伝えられたのはこれが初めて。 取り扱いに注意を要する情報であることから匿名を条件に語った関係者によると、滞在期間や会談相手など詳細は現時点で不明。
共同通信は、北朝鮮の要人用とみられる列車が中朝国境の丹東を通過した可能性があると報道。日本テレビは、正恩氏の父、正日氏が2011年の死亡直前に北京を訪問した際に使用したものに似た列車が26日に北京に到着した映像を報じていた。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。 次の 3 の日経新聞の26日の夜の10時20分の記事が、共同通信 の記事である。かなり早かったことが分かる。
(転載貼り付け始め)
3「 北朝鮮要人が訪中か 北京の外交施設、厳戒 」
2018/3/26 22:20 日経新聞
【北京=永井央紀】北朝鮮の要人が乗ったとみられる列車が26日、中国の北京に到着した。
北京の釣魚台迎賓館(ちょうぎょだいげいひんかん)や人民大会堂など外交に使われる施設の周辺は厳重な警備がしかれた。要人について関係筋は「金正恩(キム・ジョンウン)委員長だ」としたが、外交筋では妹の金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長の可能性も取り沙汰される。
北京の釣魚台迎賓館を出る、要人を乗せたとみられる車列。門外では厳重な警備が敷かれていた=26日(共同)
中朝関係筋によると列車は北朝鮮から中国遼寧省丹東を経由して北京に到着。その後、要人は車列で迎賓館へ向かったという。中国外務省の華春瑩報道官は26日の記者会見で、北朝鮮の政府関係者が週末に丹東に現れたのかという質問に「把握していない」と答えた。
人民大会堂周辺には特別警察の車両が配備され、地元住民が「元首級を迎えるときの対応だ」と述べた。ただ、海外首脳が訪中した際に飾られる国旗はなく、秘密裏の訪中とみられる。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。以下の④の読売新聞の記事は、共同通信に少しだけ遅れて書かれている。
(転載貼り付け始め)
4 「 正恩氏本人乗った可能性も…北京に特別列車到着 」
2018年3/26(月) 23:37配信 読売新聞
厳重に警戒される釣魚台周辺(26日午後9時30分、北京で)=安川純撮影
【北京=東慶一郎、ソウル=中島健太郎】 中国・北京に26日、北朝鮮の要人が乗ったとみられる特別列車が到着し、北京市内では厳重な警備が敷かれている。
北朝鮮要人の訪中が事実とすれば、4月の南北首脳会談、5月末までに予定される米朝首脳会談を前に、北朝鮮が悪化していた中国との関係改善に乗り出した可能性がある。
韓国政府関係者は26日、中国を訪問したとみられる北朝鮮の要人が金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の妹、与正(ヨジョン)氏の可能性があり、正恩氏本人である見方も排除できないと語った。中国、北朝鮮メディアは26日夜までに、関連情報を伝えていない。
北京市内では、中国高官が外国要人と会談する人民大会堂や、要人の宿泊する釣魚台国賓館周辺が厳重に警備されている。外交筋によると、警備態勢は各国首脳が集まる国際会議以上の厳重さで、26日に約20台の車列が両施設の間を行き来したという。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。 次の⑤ の時事通信の記事は、アメリカのホワイトハウスのシャー副報道官( 報道官は、サラ・サンダース女史)が、記者会見で、「確認できず」 と述べた。すなわち、ホワイトハウス(大統領官邸)は、金正恩の北京への秘密での訪問、習近平との会談を 知らなかった、ということである。 国務省=CIA からの情報が、26日の夜に届いて居ない、ということだ。
(転載貼り付け始め)
5「 米、金正恩氏訪中 確認できず 」
2018年3/27(火) 6:28配信 【ワシントン時事】
シャー米大統領副報道官は、26日の記者会見で、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長
が中国を訪れたとの一部米メディアの報道について、「確認できない。報道が必ずしも正しいかどうか分からない」と述べた。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。次の ⑥の 韓国の中央日報 の記事が、 詳細を伝えている。
(転載貼り付け始め)
6 「金正恩委員長、中国北京を電撃訪問」
2018年03月27日07時55分 中央日報日本語
過去に北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記の中国訪問で専用列車として使用されたとみられる特別列車が26日午後、北京に到着したことが把握されたと、北京消息筋が明らかにした。
匿名を求めたこの消息筋は「かなり多くの北朝鮮代表団が北京に到着したようだ」とし「南北、朝米首脳会談を控えた時期であり、非常に注目される」と話した。 政府筋も特別列車の北京到着を確認し、「しかしこの列車に金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長や金与正(キム・ヨジョン)労働党第1副部長が乗っているかどうかはまだ確認されていない」と伝えた。
情報消息筋は「この特別列車は金日成(キム・イルソン)主席の直系家族、いわゆる白頭(ペクトゥ)血統でなければ利用するのが難しいという点、北京と丹東の厳重な警戒状況を勘案すると、乗っているのは金正恩委員長-金与正(キム・ヨジョン)副部長の兄妹のうち1人である可能性が高い」と伝えた。
これに関連し米ブルームバーグ通信は3人の消息筋を引用し、「金正恩委員長が北京を電撃訪問(surprise visit)した。2011年の執権後、初めての海外訪問と知られている」と報じた。ブルームバーグは金委員長がどれほど滞在するか、誰に会うかは確認するのが難しいと伝えた。
これに先立ち日本テレビは、特別列車がこの日午後3時ごろ北京市内に入る場面を撮影して報じた。日本テレビは「この列車は2011年に金正日総書記が訪中した当時の列車と非常に似ている」と伝えた。この列車の到着前後に北京駅と周辺線路一帯には普段より厳重な警備が敷かれた。
特に北京駅に降りた北朝鮮代表団は自動車に別れて乗り、迎賓館として使用される釣魚台に入った。その後、夕食会の時間に人民大会堂に向かい、午後10時30分ごろまた釣魚台に戻った。
人民大会堂の前では北朝鮮大使館の多くの車が目撃された。これに先立ち鴨緑江(アムノッカン)周辺の中朝境界付近にある丹東でも25日午後から北朝鮮と中国をつなぐ鉄道線路周辺に壁が設置されるなど普段より強化された警備態勢が目撃された。一部の報道によると、この日午後11時ごろ、爆弾感知車両1台が先に中朝境界線を通過した後、すぐに高位層を乗せたとみられる列車が中国領内に入った。
北朝鮮情報専門サイト「デイリーNK」の消息筋は、「約1週間前から駅舎に壁が設置され、鴨緑江(アムノッカン おうりょくこう )を越えてきた列車が見えないようにしている」とし「その時から金正恩委員長が中国とロシアに行くという噂が広まっている」と伝えた。
中国外務省の華春螢(かしゅんえい)報道官は定例ブリーフィングで「北朝鮮高官が丹東に到着したのは事実か」という質問に対し「知っていることは何もない」と答えた。
過去の金正日総書記の訪中では日程を終えて北朝鮮に戻った後に中朝双方が国営メディアを通じて訪中の事実を確認するのが慣例だった。 2000年5月下旬に、金正日委員長は金大中(キム・デジュン)大統領との最初の南北首脳会談を2週後に控えて、中国を電撃訪問し、江沢民国家主席らと会談した。これは金日成主席の死去後に金正日総書記が北朝鮮最高指導者になって初めての訪中だった。
金正恩委員長の訪中については最近悪化した中朝関係を勘案すると可能性は低いという見解もある。しかし電撃的な南北首脳会談、米朝首脳会談合意など最近の一連の流れを勘案すると、金正恩委員長が世間の予想を覆す動きを見せる可能性も排除できないという見方もある。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。 この韓国の中央日報の記事から、分かったことは。 3月25日の午後11時に、丹東(タントン)の中朝国境を特別列車が超えた。よく26日の午後3時に北京駅に到着した。それを日本の日本テレビ(JNN)が撮影した。
このあと、車で、国賓が泊まる 釣魚台迎賓館( 中国の最高幹部たちが住む、中南海=ちゅうなんかい=の近く)に入った。この夜、人民大会堂で、晩餐会の前に、習近平と金正恩の会談が行われたようだ。
あとに載せる新聞記事から、翌27日は、中関村(ちゅうかんそん。 ハイテクとITの中心地)にゆき、それと、北京市の南部の天壇公園(てんだんこうえん)を訪ねている。それから午後3時に北京駅から特別列車で、北朝鮮に帰っていった。
上の記事で、「 中国外務省の華春螢(かしゅんえい)報道官は定例ブリーフィングで「北朝鮮高官が丹東に到着したのは事実か」という質問に対し「知っていることは何もない」と答えた 」となっていて、 中国外交部(がいこうぶ。日本の外務省に相当する)は、習近平周辺から、何も知らされていなくて、ほったらかしであることが分かる。中国の外交部は力が無くて、対外問題でも、習近平が勝手に、自分で行っていることが分かる。
そして、今日28日の朝、先ほど、 中国の国営放送局の 新華社(しんかしゃ)が、「習近平、金正恩会談」を正式に認めた。これと同時に、「北朝鮮の朝鮮中央放送なども、金委員長の訪中を報じた」 と書いてある。 この記事を、7とする。
(転載貼り付け始め)
7 「 中朝首脳>訪中の要人は金正恩氏 習近平主席と会談
2018年3/28(水) 8:40配信 毎日新聞
中国国営通信新華社は28日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が25~28日に中国を非公式訪問し、習近平国家主席と会談したと報じた。
金正恩氏が最高指導者に就任した後に外国訪問が確認されるのは初めて。訪問は習主席の招きによるもので、金委員長の李雪主(リ・ソルジュ)夫人も同行したという。
北朝鮮の朝鮮中央放送なども、金委員長の訪中を報じた。今回の訪中は、南北、米朝首脳会談を4~5月に控える中、核兵器やミサイルの開発を巡って冷却化している中朝関係を修復することを目指したものとみられる。
会談で金委員長は、「(祖父である)金日成(キム・イルソン)主席と(父親である)金正日(キム・ジョンイル)総書記の遺訓に照らし、朝鮮半島の非核化の実現に力を尽くすのは、我々の変わらない立場だ。平和的な雰囲気を作ることで問題は解決できる」 と発言。非核化に向けて積極的に取り組む姿勢を表明した。
北朝鮮は度重なる核実験や弾道ミサイル発射で国際的な制裁を受けており、中国との有効関係を確認して各種の援助を引き出したい思惑もある模様だ。
習主席は「我々は中朝の伝統的友誼を絶えず伝承していくべきだと何度も表明している。これは中朝両国が歴史と現実に基づき、国際・地域構造と中朝関係対局を踏まえて行った戦略的選択であり、唯一の正しい選択である。一時的なことによって変えてはならず、変わることはない」 などと述べた。
習指導部としては、中朝会談をきっかけにして、朝鮮半島問題への対処で調整役としての役割を確認し、首脳会談の実施を目指す米国に対抗したい思惑もあるとみられる。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。 これで、3月25日からの「習近平、金正恩の 北京会談」のすべての
流れが分かった。
この会談で重要なのは、 金正恩が、「非(私は)核化(ひかくか)に向けて積極的に取り組む」と表明したことだ。 それに対して、習近平が、 「我々は、中朝の伝統的友誼を絶えず伝承していくべきだと何度も表明している。 これは中朝両国が歴史と現実に基づき、国際・地域構造と中朝関係対局を踏まえて行った戦略的選択であり、唯一の正しい選択である。一時的なことによって変えてはならず、変わることはない」と述べた、と報じられた。
習近平は、金正恩 に、 世界基準での、 非核化(ひかくか。denuclearization デ(ィー)ニュークレアライゼイション )を厳しく、金正恩に要求した、ということだ。すなわち、北朝鮮が開発して持っている核兵器(弾道ロケットと 核弾頭) を、すべて、完全に自主的に破壊して、「後戻りの出来ない 国際社会が検証する 完全な核兵器の廃棄」を求めた、ということだ。
金正恩は、これに対して、明確な返事はしなかったはずだ。金正恩は、ちょっとやそっとのことでは、自分の核ミサイルを手放さない。手放したら、自分の終わりだと、よーく分かっている。核ミサイルを持っているから、自分は世界的な名士で、世界中が、自分に一目(いちもく)置いて、ひれ伏すのだと、ジュージュー分かっている。
今度の会談で、大事なことは、キム・ジョンウンにとっては、北京から招かれ、鄭重(ていちょう)に招待される形で、対等の立場で、習近平と会談が出来た、ということだ。このあと、おそらくモスクワにも招待されて、プーチンとも会談をするだろう。
3月22日(日本では23日)に、トランプの安全保障(=軍事)担当の補佐官が、ハーバート・マクマスター(陸軍中将。戦車隊長だった。中将=3つ星=のまま、公職を終わる。4つ星 four stars フォー・スターズ すなわち大将 に、最後にトランプ大統領にしてもらえないまま、解任された。 あのダグラズ・マッカーサーも4つ星将軍=陸軍大将のまま、トルーマン大統領にクビを切られて、終わったのだ) が、解任された。
そして同時に、ジョン・ボルトン元(もと)国連大使 が、後任に付いた。 の人事に、世界中の訳知(わけし)り人間たちが、ゾゾゾ、と震え上がった。
このジョン・ボルトンは、「トランプ大統領と自分の意思一致で、必ず、北朝鮮への軍事オプションを実現する」と 決めている、超(ちょう) 軍事強硬派だ。 このことは、アメリカ政治を、本当に知っている人なら、全員知っている。
このジョン・ボルトンという男の重要性については、私は、もう暫(しばら)くしたら、学問道場の会員ページに、詳しく書きます。待っていてください。 私、副島隆彦が、日本では、一番のアメリカ政治研究の 頭脳なのだ。他の日本人学者や新聞記者たちは、私から学んで、私の真似をするしかない。何か、私に反論できるなら、してごらん。
だから、金正恩も、このジョン・ボルトンの登場に、心底、震え上がった。だから、急きょ25日に、急いで、中国からの招待に応じて、北京に行った。 何とかしないと、自分の終わりが、近い、と。
このあと、私は、以下に載せるコラムの記事を読んだ。 ほとんど発表と同時に読んだ。この文を書いている 遠藤誉 (えんどうほまれ)女史だ。筑波大学の教授をしておられた。
遠藤女史は、私、副島隆彦の中国研究本を、よく読んでくれていて、『チャイナ9(ナイン)』(今は、最高指導部は、「チャイナ・セブン」で7人になった)という彼女の本は、私、副島隆彦の中国本の影響が、ものすごく出ている優れた本。私は、彼女と、そのうち会って、親しく話したいと思っている。
決して、中国問題の専門家ではなくて、中国語もほとんど出来ない、私でも、遠藤誉女史のような、日本の中国研究の泰斗(たいと)と、対等に、いろいろお話しできるだろう。
遠藤女史(1941年生だから、今、77歳)は、もう、20年の昔、盗作作家で有名だった、山崎豊子(やまざきとよこ)が、「大地の子」という大ヒット小説を書いたときに、日中の合いの子で、戦乱の中を苦労して生き延びた、子供を描いた、あの小説の、本当の原作は、『チャンズー』(中国語で何と書くのかな) という、遠藤誉(えんどうほまれ)女史の 自伝のような体験記だった。 山崎豊子が、ドロボウの事実を長年、認めないで、ずっと頑張ってたので、遠藤女史は、裁判で苦労なさった。
彼女は、日本人だが、幼児から中国で育った、頭の中は、ほとんど中国人と変わらない人だ。だから中国人の政治人間たちと、ツーカーである。 山口淑子(やまぐちよしこ。大鷹姓でもある。 名作映画「支邦(シナ)の夜」の李香蘭=りこうらん=)と同じ、脳の中が、日本人と中国人とで、融合しているというか、引き裂かれている人だ。
副島隆彦が作った理論では、ポリティカル・クレオール political Creole 、帝国と属国の混血者たち。両者をつなぐ人々。雅子妃もそうだ。自分のアイデンティティ で苦しんで、脳が割れたりする )あるいは、ダングリグ・マン dangling man 「2つの国民文化の間の 宙ぶらりん人間」 あるいは、ペンジュラム・スウイング・マン pendulum swing man と呼ばれるべき人々だ。
私は、遠藤女史の、中国研究の レベルの高さを認める。彼女が、日本政府への中国情報の提供者のひとりであることもよく分かる。優れた情報だ。だが、ここには、一つ難点がある。
私はもっと彼女の本を読むべきなのだ。だが、彼女には、筑波大学(福田信之 初代学長以来 )は、どうも統一教会 Moonie の勢力の力が強い、頭のてっぺんから、反共、反共産主義の信念の 闘士 が、集まっているところだ。遠藤女史にも、どうも、その口吻(こうふん)、口ぶりが、強く感じられる。この点は、公然と指摘し、批判しておかなければいけない。
だから、今も、まだ、CIAのエイジェント(アメリカの国家情報部員)で、強固な反共の宗教的な信念を持った、表面上は、ジャーナリストを名乗る者たちが(日本人の編集者たちを含めて)結集している、ニューズウイーク Newsweek 誌 に、こうして、コラムのページを持っているのだ。
以下の遠藤誉女史の文も、ニューズウイークでの文である。
彼女は、勢い込んで、自分の能力の限りを尽くして、中国の政治情報を、誰よりも早く、掴(つか)んでいることを、赤裸々に書いていて、私は 以下の中の、記事を8 とする。
「 (金正恩が)来了――! 「来たよ!」という意味だ」 のあたりを読んでいて、感動しました。
(転載貼り付け始め)
8 「 コラム 金正恩氏、北京電撃訪問を読み解く──中国政府高官との徹夜の闘い 」
2018年3月27日(火)08時58分 Newsweek ニューズウイーク誌
遠藤誉 ( えんどうほまれ 東京福祉大学国際交流センター長)
3月26日、金正恩氏が北京を電撃訪問したことが分かった。筆者は一日中、中国政府高官とはホットラインで確認を行なっていたが、夜9時頃判明。最大の後ろ盾である中国とよりを戻した上で、米朝会談を有利に持っていく計算だ。
「来了(来たよ)!」――中国政府高官と夜まで続いた確認作業
今月の20日前後に、中国外交部も北朝鮮担当者および中共中央対外聯絡部が北京にある北朝鮮大使館の人と会っていた事実は把握していた。何かが起きるだろうと、必死でアンテナを張り巡らせた。26日、2011年に金正恩の父親、故金正日総書記が最後に訪中した時に乗っていたのと同じ種類の列車が北京に着いていた。中国版ツイッターの微博(ウェイボー)が列車の姿を伝えていた。金正日のその旅は、北朝鮮の改革開放を模索する最後の旅だった。
もしかして金正恩委員長が乗っているのではないかと、中国政府高官に緊急連絡し情報を得ようとしたが、箝口令が布かれているので、今の段階では一切何も言えないという回答が戻ってきた。それでも交通規制が外国の首脳級レベルだという情報だけはくれていた。
そのことで、何が起きているか、自分が何を言いたいかを察してくれと言わんばかりの具体的な知らせもくれた。筆者は、「金正恩は結局のところ中国が長年唱えてきた『双暫停(米朝双方が暫定的に停止し、対話の席に着け)』という戦略に従ったわけだから、ここで北京と仲直りしてもおかしくはない。
双暫停(そうざんてい)戦略を最初に教えてくれたのは、あなたではないか。それがようやく実ったのだから、次は金正恩が北京に挨拶に行くのが順当な流れだろう」と畳みかけた。
何度も往復書簡を「短信(ショートメッセージ)」で繰り返している内に、遂に決定的な二文字が携帯に飛び込んできた。
来了( 副島隆彦割り込み、際めて余計な、ルビ付け。ライラ と読むのかな )――! 「来たよ!」という意味だ。
この二文字が入ってきたのは26日の夜9時。北京時間の8時だ。急いでコラムを書こうと、相手に許可を得ようとしたが「まだダメだ」という。発表する段階ではないからだとのこと。金正恩なのか、それともその妹の金与正(キム・ヨジョン)なのかを確認するためのメッセージを出したが、それを最後にメッセージは途絶えた。寝てしまったのか。
個人的なことで恐縮だが、25日の夜は(私は)3時間しか寝ていない。そのまま徹夜をして公表の許可が出る時間まで待ったら、倒れてしまう。北京との時差は1時間なので、どうせ夜中はこれ以上変化を来さないだろうと諦めて、夜中の1時に就寝した。
朝6時に目覚めると、ブルームバーグが「金正恩が電撃訪中」という発表をしていることを知った。すぐさま北京にショートメッセージを出そうとしたが、北京はまだ朝5時。いくらなんでも失礼だろう。日本時間の7時まで待った。 「もう公表していいか?」 すると、
「まだ官方(政府側)は公表していないが……」という返事が来た。
いや、もういいだろう。筆者(私)は待ちきれずにキーボードを叩き始めた。
金正恩、電撃訪中の背景金正恩がこの段階で北京を電撃訪問したということは、明らかに習近平と中朝首脳会談を行うということになるはずだ。
4月に入れば南北首脳会談が、5月になれば米朝首脳会談が予定されている。米朝会談はティラーソン国務長官の更迭により手続き上少し延期されるかもしれないが、何れにせよ開かれるのは確実だろう。
しかしトランプ大統領は、対話路線のティラーソンを解任して、後任に「金正恩を除去することを優先せよ」と主張するポンペオ氏を当てている。またマクマスター米大統領補佐官(安全保障担当)を解任して戦争大好きの強硬派ボルドン氏を起用している。
これは即ち、米朝会談が決裂した場合は北朝鮮を先制攻撃するというシグナルをトランプが発していることになる。金正恩がこの人事を看過するわけがない。となれば頼りになるのは、何と言っても世界で唯一の軍事同盟国である中国だ。
中国とよりを戻すことにより、中国とロシアをしっかり味方に付けておいてから米朝首脳会談に臨む。もちろん南北首脳会談にしても、韓国は米韓軍事同盟を結んでいる。韓国を震え上がらせるには、何と言っても韓国が経済的に最も頼りにしている中国と緊密であることを韓国に見せつけるのがいい。
こうして韓国およびアメリカと首脳会談するときに、交渉を北朝鮮に有利に運ぶために、この段階では何としても中朝首脳会談を行い、中朝の蜜月を米韓に見せつけておくことが不可欠なのだ。
蚊帳(かや)の外に置かれる日本
ロシアのプーチン大統領は、早くから金正恩の味方であることを公言して憚らない頼もしい味方である。昨年の7月5日には、「双暫停」に関して中露共同声明を出しているほどだ。となれば、中露、日米韓そして北朝鮮という六者会談の中で、北朝鮮が接近する国として唯一外されているのは日本だけということになる。
3月23日のコラム「日本外しを始めた北朝鮮――日朝首脳会談模索は最悪のタイミング」で書いたように、もし日本が拉致問題を重視して小泉元総理のように北朝鮮への電撃訪問を断行していれば、この流れは日本が主導することになり、安倍総理は今ごろノーベル平和賞を受賞する候補に挙げられていたことだろう。
しかし安倍内閣には筆者の声は届かなかったようだ。ひたすら圧力を叫び続けてきた。今この段階に至ってから、急遽、日朝対話のオファーをするなど、あまりに外交戦略としては悪すぎるシナリオだ。
ロシアは元スパイ暗殺疑惑によりイギリスと断交状態にあり、EUとも思わしくない関係になっている。こんな時に、これまで北朝鮮の味方として発言してきてあげていたプーチンとしては、文句なしに金正恩と蜜月関係を演じることだろう。
その金正恩としては、これまで非難してきた関係国と仲良くなるわけだから、一つだけ敵国を創っておいて、国内の求心力を保っていなければならない。そこで六者会談のうちの日本だけをターゲットにして非難し続け、かつ「もし俺と会いたいのなら」と条件を付け、日本からは巨額の戦後賠償金をせしめる魂胆だろう。そのことは3月23日付けのコラムに書いた通りだ。
習近平と会うであろう、もう一つの理由
なお、これまで習近平が、北朝鮮にとっての最大の敵国「米帝国主義国家」と新型大国関係などといって蜜月を演じてこようとしてきたことに金正恩は激怒し、絶対に習近平とは会わないという覚悟を貫いてきた。
しかし今度は、自分自身が、その「最大の敵国、米帝国主義国家」の首脳と会うことを決意したのである。こうなると、「いやー、私も( あなたにも )会いますから」と、習近平に挨拶に赴かない訳にはいかない。したがって訪中の目的は習近平に会い、中朝首脳会談を行なうことにあるだろうと考えられる。
当然、その後、ロシアにも行き、プーチン大統領とも会うことになるのではないだろうか。
背中に中国とロシアという大国を抱き、本来敵国であった韓国とアメリカの首脳と会談する。こうすれば北朝鮮に有利になり、トランプの強硬派人事に対抗することもできる。いざとなったら北朝鮮への先制攻撃という可能性に対抗するために、習近平に会い、プーチンに会うという金正恩の戦略と見る。
p.s.:なお、中国政府高官は、訪中したのが金正恩か金与正かに関する確かな回答はしていない。そこに未確認の要素はあるものの、先ず金与正を訪中させてから金正恩が訪中するという段階を踏む時間的余裕はない。その前提の範囲内で以上のコラムを書いた。
[執筆者]遠藤 誉(えんどうほまれ)
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』(飛鳥新社)『毛沢東 日本軍と共謀した男』(中文版も)『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。
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副島隆彦です。 そして、一つ前の 8 の新華社(しんかしゃ)の記事で、今回の極秘の 「習近平・金正恩 3月26日北京会談」の事実が、正式に公表された。 以下に最後に載せる 9 は、
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9 「 金正恩が電撃訪中…習近平と初の首脳会談 」
2018年 3/27(火) 21:37配信 ハンギョレ新聞
金正恩・北朝鮮労働党委員長が25~27日に中国を訪問し、北京で習近平国家主席と会談したことがハンギョレによる取材の結果、確認された。左は金委員長が2月8日の朝鮮人民軍創建70周年記念閲兵式に参加した姿、右は今月20日に北京人民大会堂で全国人民代表大会(全人大)閉幕式を終えた習主席が手を振る姿
南北-朝米会談を控え、中国との関係復元に乗り出す 執権7年ぶり初の海外訪問…27日に北京を出発 夫人のリ・ソルチュ、妹のキム・ヨジョン第1副部長同行観測も
金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮労働党委員長が中国を電撃訪問し、習近平・中国国家主席と初の首脳会談をした。
25~27日の日程で中国を訪問した北朝鮮の高位級要人は金委員長だったことがハンギョレによる取材の結果、確認された。2011年北朝鮮の最高指導者になった金委員長は、7年ぶりに初の外国訪問地に中国を選択した。南北首脳会談と歴史的朝米首脳会談を控え、伝統の友邦である中国との関係復元に重きを置いて主要懸案を議論したと見られる。
金委員長は26日夕方、習近平主席と首脳会談をするなど、中国共産党指導部に会ったことが分かった。中国のある著名な国際関係専門家は27日「金委員長は26日に北京に到着し、夕方には会談および宴会に参加し、釣魚台(国賓宿舎)18号室に泊まり、午後に帰国する」と伝えた。金委員長は、非核化や平和体制など南北、朝米首脳会談の議題と関連して習主席などと意見を調整したという。
金委員長は25日夜、専用列車で北朝鮮と中国の境界隣接地域である新義州(シンウィジュ)と中国遼寧省の丹東(タンドン)駅を通過して中国を訪問した。専用列車が北京駅に到着する姿と、訪中団一行が黒塗りの乗用車10台余りに乗り込み、オートバイの護衛を受けながら北京市内を移動する光景は、一部の日本の放送メディアと社会関係網サービス(SNS)を通じて公開された。金委員長が留まった釣魚台18号室は、父親の金正日(キム・ジョンイル)国防委員長が北京訪問の際に泊まった所だ。
金委員長が夫人のリ・ソルチュ氏、妹のキム・ヨジョン労働党第1副部長と共に同行したという観測もある。車列が27日、北京の大学と情報技術(IT)企業の密集地域である中関村と観光地の天壇公園で目撃され、台湾の<東森>放送は、金委員長は中関村を、リ・ソルチュ氏とキム副部長は天壇公園をそれぞれ訪問したと伝えた。金委員長はこの日午後3時(現地時間)頃、北京での日程を終え専用列車に搭乗し第3の場所に移動した。
金委員長がまっすぐ帰国したか否かは確認されていない。韓国の情報当局は、専用列車が朝中界を通過した時から動きを追跡・分析してきた。
金委員長の電撃訪中は、北朝鮮の核・ミサイル試験と中国の制裁で最悪の状態に陥った両国関係が急速に復元される信号だ。だが、突然の“変数”ではなく、金委員長が南北、朝米首脳会談を提案する時には朝中関係の復元まで念頭に置いて計画したことと分析されている。
キム・ヨンチョル仁済大教授は「伝統的に北朝鮮は交渉力を高めるための豊富な経験を有している。そうした次元で朝米関係のためにも朝中関係を解いておくことが意味が大きい」として「北朝鮮の(過去の)外交に注目する必要がある。重要なことは、北朝鮮が一方には偏らないということ」と話した。今回の訪中が、朝米首脳会談を控えて対米交渉力を高める結果を持たらすだろうが、対北朝鮮強硬派であるジョン・ボルトン米ホワイトハウス国家安保補佐官の指名など最近の米国側の動きに対応して突然に推進したことではないとの解釈だ。
北京/キム・ウェヒョン特派員、キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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副島隆彦です。 そして、今回の「3月26日習・金 北京会談」のことを、あとから考えたら(28日に)、以下のもう一本の、ハンギョレ新聞の予測 10 が的確で、正しかったとこが分かる。
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10 [ニュース分析 米国に続き日中との首脳会談も浮上…大統領府「朝米会談前に調整」
登録:2018-03-19 ハンギョレ新聞
大統領府「韓米首脳で核心議題を協議
南北会談の成果を米朝会談の土台に」 韓中日の早期会談・訪日も積極的に検討
北朝鮮非核化や体制安全保障などを連携 南北米越えて中日ロの関心事も反映
対話路線に転じた日本、朝日会談など取り上げ 中国での「チャイナ・パッシング」の懸念の高まりを受け
特使派遣など、朝中関係の改善を模索
南北は4月末、第3回首脳会談を板門店の南側の平和の家で開くことで合意した。写真は1月9日、平昌冬季五輪への北朝鮮の参加問題などを協議するため、南北高官級会談が開かれた平和の家の様子=写真共同取材団//ハンギョレ新聞社
朝鮮半島情勢が南北間・朝米間の首脳会談の推進をきっかけに、巨大な連鎖対話の渦の中に吸い込まれている。韓米首脳会談が4月の南北首脳会談と5月の米朝首脳会談をつなぐ「飛び石」会談として取り上げられる一方、朝中、朝日、韓中、韓日、韓中日対話も探索される雰囲気だ。
最近になって朝鮮半島周辺でこのように連鎖対話に向けた動きが始まったのは、北朝鮮核問題の解決が朝鮮半島における平和体制の構築と連動している事案であるためと言える。また、朝鮮半島の平和体制は、北東アジア冷戦の解体というさらに大きな構図から見ると、南北米などの3カ国以外にも中国や日本、ロシアなどにも関わる問題だ。周辺国との連鎖対話が避けられないのも、このためだ。チョ・ソンニョル国家安保戦略研究院責任研究委員は「北朝鮮が非核化の見返りとして望む体制の安全保障は、南北と米国だけでなく、中国やロシア、日本によって保障される案が有力だ」と話した。ここに南北や中国、日本など個別国家の外交・安保利益が相まって、連鎖会談の動きが加速化しているのが現状だ。
朝鮮半島周辺国の連鎖首脳会談関連の発言//ハンギョレ新聞社
大統領府では韓米首脳会談の推進に向けた動きが目立っている。時期は4月の南北首脳会談と5月の米朝首脳会談の間になるものと予想される。イム・ジョンソク大統領府秘書室長は16日、南北首脳会談準備委員会の初会議を終えた後、「南北首脳会談が行われてから、ある程度期間を置いて朝米首脳会談が開催されることになれば、韓国側としてはなるべく(韓米首脳の間に)核心的な議題を持って実務的にでも韓米首脳会談をした方がいいのではないかと思っている」と述べた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が先に南北首脳会談をした後、その成果を持ってドナルド・トランプ米大統領と協議することで、(米国側が)朝米首脳会談に備えるようにする構図を明らかにしたのだ。
大統領府は、日本や中国との首脳会談にも開かれた姿勢を示している。大統領府関係者は18日、記者団に「4月の南北首脳会談と5月の米朝首脳会談の開催日程が決まれば、その間に韓米首脳会談を入れて、その次に韓日、韓中首脳会談の日程が出るだろう」と話した。
これに先立ち、文大統領と日本の安倍晋三首相は16日、電話会談を行い、韓中日の3カ国首脳会談をできるだけ早い時期に開催するということで意見が一致し、文大統領の早期訪日も検討することにした。注目される部分は日本の劇的な変身である。安倍首相は先月、平昌(ピョンチャン)冬季五輪のため訪韓し、文大統領に会った際、「韓米合同軍事演習を予定通りに実施すべき」として文大統領と対立したが、今月13日にソ・フン国家情報院長が東京の官邸を訪れた時は、「文在寅大統領のリーダーシップに敬意を表する」と賞撰した。
日本では朝日首脳会談を進める可能性も取りざたされている。安倍首相は実際、16日に文大統領と電話会談を行った際、2002年9月の小泉純一郎元首相の「平壌(ピョンヤン)宣言」に触れ、朝日対話に対する期待感を示した。日本の変身は、対北朝鮮制裁を主張するだけでは、急速に進む朝鮮半島の対話局面で一人取り残されかねないという懸念によるものと見られる。
ややもすれば、日本人拉致被害者問題を外交舞台で取り上げることも難しくなるという不安感も大きい。実際、日本の河野太郎外相は17日、ワシントンでカン・ギョンファ外交部長官に「南北関係の進展によって日本人拉致被害者問題を含む日朝間の懸案も解決されることを期待している」とし、日本人拉致被害者問題を朝鮮半島情勢と連動させようと努めた。
中国も最近の局面転換で朝中関係の改善を積極的に模索するものと見られている。現在、朝中関係は歴代最悪だ。血盟関係を掲げてきたにもかかわらず、2011年12月に金正恩(キム・ジョンウン)体制が発足してから、6年以上の間一度も首脳会談が開かれなかった。中国では最近、朝米が中国を経由せず直接疎通する局面が展開され、いわゆる「チャイナ・パッシング」への懸念が高まっているという。成均館大学のイ・ヒオク教授は「中国は最近、対話局面で役割が制限され、今後東アジアの版図をめぐる米国との競争で不利な立場に立たされかねないと懸念している」とし、「中国の対北朝鮮特使の派遣と朝中首脳会談、いずれも実現可能なカード」だと話した。特使団を送るなら中国が20日、全国人民代表大会(全人大)の閉幕後、これらの行事を北朝鮮に説明する形になる可能性が高い。
( パク・ビョンス先任記者、ノ・ジウォン、キム・ボヒョプ記者、東京/チョ・ギウォン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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副島隆彦です。さらに3本目のハンギョレ新聞の記事を載せます。この3本目の ハンギョレ新聞は、25日から慌ただしくなった状況を、正確に伝えている。25日の午後11時半の、特別列車の国境線通過。26日の午後3時の北京駅到着、 などである。
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●「朝中間の高官級要人の訪問情況 …国境地帯周辺を統制」
登録:2018-03-27 05:43 ハンギョレ新聞
消息筋「どちらの訪問なのかは確認できない」
現地では「丹東駅に隠し幕、周辺を統制」 南北・朝米首脳会談控え朝中関係にも注目集まる
4月の南北首脳会談と5月の朝米首脳会談が予定された中、北朝鮮と中国の間に高官の訪問情況が捉えられた。
朝鮮半島情勢に詳しい消息筋は26日、「朝中間に高官の訪問情況がある」とし「ただし、北朝鮮の要人が中国を訪れたのか、中国側の要人が北朝鮮を訪問した情況なのかは確認されていない」と伝えた。この消息筋は「南北および朝米首脳会談が予定されるなど、朝鮮半島情勢が早いテンポで進められている状況で、中国が朝鮮半島情勢に対する影響力の維持・確保を目指して動き出したものとみられる」と付け加えた。
共同通信などの外国メディアは、北朝鮮の高官級人物が中国を訪問したものとみられると報道しているが、この消息筋は「どちらが訪問したのか、誰が訪問したのかは確認されていない」としながらも、「ただし、朝中間に重要な動きがありそうだ」と話した。朝中国境地帯の中国遼寧省丹東の消息筋は「先日から丹東駅周辺に隠し幕が設置されて、25日から駅周辺が統制された」と伝えた。
ある消息筋は「25日夕方9時頃から丹東駅周辺の警戒が強化され、誰か貴賓がくる可能性について話す人たちがいた」と伝えた。25日、丹東は北朝鮮と中国の両方が警戒が強化されていたという。また、26日、中国東北地域を通過する列車の多くが予定より遅れたというニュースも報じられた。
これと関連し、金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の訪中説が流れているが、この消息筋は「朝中両国のうち片方の高官が動いた情況はあるが、その人は金正恩ではないものとみられる」と話した。
これに先立ち、共同通信は同日付で、中国指導部が外国主要人物を迎える北京釣魚台と人民大会堂の周辺で同日、厳重な警備態勢が取られたとして、警備の状況から要人は北朝鮮最高指導部の一員である可能性があると伝えた。ただし、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長なのかどうかなど詳細は明らかではないと伝えた。
中国外交部の華春瑩 (かしゅうえん)報道官は、26日の定例記者会見で、北朝鮮の関係者が中国を訪問したかという質問に、「あなた(記者)が話している状況については知らない」と答えた。(北京、東京/キム・ウェヒョン、チョ・ギウォン特派員 )
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副島隆彦拝
【1928】[2294]財務省の巨大既得権、予算権と徴税権のマッチポンプ構造
「国家=税」というのは、副島さん著作の読者なら、皆が認識しているところであると思います。
元国税官の方が、ニッポン財務省の組織・機構そのものの中に、”マッチポンプ構造”が働いていることを、告発した記事を紹介します。
なにがマッチポンプかというと、日本国の”予算権”と”徴税権”。
タテマエ上”予算権”を持つ国会議員は、”予算の組み方”を知らない。”専門性の壁”により、予算権の執行は、財務官僚が行う。しかも、徴税権を執行する国税庁トップ・ナンバー3は、財務省キャリアで占められている、という事実。財務省は事実上、国民にとっての”アメ”と”ムチ”、両方について決定する権限を持っている!
組織での構成員の行動原理は、”保身”。
不景気で税収減の中、先に自分らの取り分を確保、保身の行動原理で国民にエサをばらまき、バラまく量を超した重税を国民に課すようになるのは、至極自然な現象とも言えます。しかも、徴税では国民に対して”差押え”までやるのだから、確実に回収できてしまう。
そもそも予算組みも徴税も、要は演算能力、算数の能力。もはやこれを無理に人間がやることでないのでは?と考える。私は早急に”AI政府”でも開発したほうが良いと思う。コストカットできるし、能力ある人なら、民間に出てもらったほうが、人材活用になる。
<元国税が暴露。佐川氏も就いた財務省の子分「国税庁長官」の正体(一部転載)>
・国税庁長官って何者?
森友学園の公文書書き換え問題で、ついに国税庁長官の佐川氏が辞任しましたね。それにしても、最近、ニュースでよく耳にする「国税庁長官」って、一体何者なのでしょう。財務省と国税庁は違う機関なのに、財務省の幹部だった人が国税庁長官になるのって、少し不思議ではありませんか? なんかその辺の人事関係、省庁の力関係というのは、一般の人にはなかなかわかりづらいですよね。なので、今回は、国税庁長官のポストとは何なのか、ということをご説明したいと思います。
国税庁は、建前の上では、財務省から独立した組織ということになっています。国税庁側は、「国税庁と財務省は、独立した緊張関係にあり、決して従属の関係ではない」などと言っています。しかし、これは単なる建前ですね。現実とは程遠い、きれいごとです。というのも、国税庁は実質的に財務省に支配されているのです。
国税庁は、国民に対して警察をしのぐほどの強大な権力を持っています。国税の職員は、税金に関することならば、国民のありとあらゆる事柄について調査する権利を持っています。国民には、それに対する拒否権がありません。見方によっては警察の捜査権よりも、国税庁の税務調査権の方が強力なのです。
国税庁は、そういう強力な権力を持っているわけですから、本来、ほかの省庁などに支配されず独立していなければなりません。そして、建前の上では、国税庁はほかのどこの省庁にも支配されない、ということになっています。
が、実際は残念ながら財務省に支配されているのです。それは、国税庁の幹部を見れば明白です。まず国税庁トップである国税庁長官のポスト、これは財務省のキャリア官僚の指定席なのです。そして、国税庁長官だけではなく、次長、課税部長も財務省キャリアの指定席です。国税庁長官、次長、課税部長の3職は、国税庁のナンバー3とされており、つまり、国税庁ナンバー3はいずれも、財務省のキャリアで占められているのです。他にも、強大な権力を持つ、調査査察部長や、東京、大阪、名古屋など主要国税局の局長も、財務省のキャリアが座っています。
国税庁にとって財務省はGHQのようなものなのです。この人事を見れば、国税庁が財務省の言いなりになっていることは、誰が見たって明白です。国税庁長官というのは、会社で言えば、「社長」である。社長の言うことに逆らえる社員などはいないはずです。普通の会社であれば、社長の次の権力者などが派閥をつくって、社長派と反社長派などが拮抗するというようなことも、稀にはあります。しかし、国税庁の場合は、社長だけではなく、トップ3が押さえられているのです。これだと、国税庁が財務省に刃向うことなど、絶対にできないはずです。
また現場にいた筆者なども、財務省のキャリア官僚というのは、神のような存在であり、逆らうことなどありえない絶対的な支配者であったことを肌身で知っています。つまり、国税庁は財務省の絶対服従の子分なのです。
財務省が国税庁を握っているということは、実は財務省の権力のカナメになっているものでもあります。財務省というのは、国家的な強い権限を持っていることは、皆さんご存知の通りです。財務省は、国の予算を握っています。建前の上では、国の予算を決めるのは、国会であり、国会議員たちがその策定をすることになっています。しかし、国会議員のほとんどは、予算の組み方などはわかりません。だから、実質的に、財務省が策定しているのです。これは、自民党政権であっても他の政権であっても変わりはありません。
国家予算を握っているということは、莫大なお金を握っているということです。だからこそ、財務省の権力は大きく、他の省庁や経済界などからも恐れられているのです。そこまでは、世間にも十分に認知されているはずです。
しかし、財務省はもう一つ大きな権限を持っています。場合によっては、こっちの権力の方が国に与える影響は大きいかもしれません。その権力というのが「徴税権」です。財務省は、徴税権を直接握っているわけではありません。しかし、財務省の外局である「国税庁」がそれを持っているのです。そして先に述べましたように国税庁は実質的に、財務省の支配下にあります。「徴税権を持つ」ということは、予算権限を持つのと同等か、それをしのぐような強力な権力です。
これまで述べてきたように、国税庁は、国民全部に対し、「国税に関することはすべて調査する権利」を持っています。国民にはこれを拒否する権利はないのです。このような強大な権利を、予算権を持っている財務省が握っているのです。
実は、これは非常に恐ろしい事でもあります。「予算というエサをばら撒くことで言う事を聞かせる」ということのほかに「徴税検査をちらつかせて言う事を聞かせる」ということができるのです。これでは国民も企業も、財務省の言う事を聞くしかなくなる、ということです。
「予算権」と「徴税権」の両方ともを実質的に一つの組織が持っている国というのは、先進国ではあまりありません。予算をつくる機関と徴税を担う機関は、明確に分けられていることがほとんどなのです。日本の財務省への権力集中は異常なことなのです。
そもそも財務省というのは、以前は大蔵省と称されていましたが、大蔵省にあまりに権力が集中しすぎて、たびたび不祥事を起こしたために解体され、財務省に組織替えしたのです。が、生まれ変わったはずの財務省も、大蔵省の「予算」と「徴税」という主要な権力基盤はそのまま引き継がれているのです。「予算」と「徴税」の両方の権力を握っている限り、財務省の不祥事、不正はなくならないと思います。
(以下略)
MAG2NEWSより
http://www.mag2.com/p/news/353522?l=dov0ce499b
執筆者プロフィール:大村大次郎(おおむら・おおじろう)
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。
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