「109」 サブプライム危機から世界恐慌へ(38) 2008年4月の記事を載せます。 2009.6.3

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副島隆彦です。今日は、2009年6月3日です。

 引き続いて、2008年4月の記事を載せます。 もしかしら、すでに以前ここに載せたものと同じ記事が重複して載っているかもしれません。 私が使っている、3台のPCの中に、分散して集めているので、そういう事も起きます。 あとで私自身が確認してみます。サブプライム・ローン崩れが起きて、丸2年も経ちますと、私の記憶もかなり、いろいろと混ざってしまいます。 副島隆彦記

(転載貼り付け始め)

●「崩壊したウォール街のビジネスモデル-新たな収益源 見つからない」

2008年4月28日 ブルームバーグ

 ウォール街の金もうけマシンは壊れてしまった。金融業界始まって以来最悪の損失を受け、修復が試みられているものの、向こう数年にわたって収益に悪影響が出そうだ。

  米シティグループやメリルリンチ、スイスのUBSなど主要銀行や証券会社は米サブプライム住宅ローン市場の崩壊から合わせて 3,100億ドル(約32兆4,600億円)もの評価損や貸倒損失を計上した。

  業界全体では4万8,000人が職を失い、4人の最高経営責任者(CEO)が事実上更迭された。米5大証券会社は過去1年間に時価総額で計1,100億ドルを失った。ビジネスモデルが機能していると確信する人間は もはや誰もいない。金融機関幹部や当局者らは原因の究明を進めているが、信頼回復に向けて一致した解決策は見つかっていない。

 検討対象になっているのはレバレッジや簿外投資、資産の証券化、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)で、過去10年の記録的な好業績をもたらした原動力だ。これら無くして、成長するのは難しいだろう。

 イーグル・アセット・マネジメントのマネジングディレクター、トッド・マカリスター氏は「当面、証券各社は大変だろう。最近の成長の主エンジンだった証券化が抑制され、規制は強まる。すべてが不利に働いている」と語る。

 米証券5位ベアー・スターンズが破たん寸前に陥り、先月には身売りが決まったことから、 ウォール街のビジネスの危険性は、銀行と証券の垣根を設けたグラス・スティーガル法が撤廃された1999年以降に醸成されたことが浮き彫りになった。

 同法の撤廃を受けて、投資銀行と預金受け入れ機関(銀行)は互いに競争し始めたのだ。サンフォード・C・バーンスティーンのアナリスト、ブラッド・ヒンツ氏は信用危機について、「投資銀行は預金ベースを持たずに商業銀行分野へ傾き、商業銀行はリスク管理を知らずに投資銀行業務を始めた。その結果がこれだ」と話す。

利益率低下につながる行為
 当局は新たな規制を図っているものの、作業には数年かかりそうだ。 その間、投資家からの圧力でモルガン・スタンレーやメリルリンチ、リーマン・ブラザーズ・ホールディングス、シテ
ィ、UBSなどでは事業の変化を余儀なくされている。各社は保有株の持ち分売却や資本増強を実施し、借り入れによって資産を膨らませるレバレッジを抑制している。

 これは利益率の低下につながる行為だ。収益源が減るなかで、ウォール街の幹部は 失われた事業に代わる新たな成長源を見つけようともがいている。

 ゴールドマン・サックス・グループのロイド・ブランクフェインCEOや モルガン・スタンレーのジョン・マックCEO、リーマン・ブラザーズのリチャード・フルドCEO、シティのビクラム・パンディットCEOはそれぞれ、今月開催された年次株主総会で、信用危機は始まりよりは終わりに近いとの認識を示した。 が、近い将来の収益性回復を予想したCEOは皆無だ。

 ファー・ミラー・アンド・ワシントンのマイケル・ファー社長は、 「毎四半期末に、ウォール街各社のCEOは過去最悪の四半期は去ったと語ってきたが、利益率を押し上げる起爆剤を示唆した人間はいない。 『最悪期は終わった』との彼らのお題目を信じて金融株を買うことなんかできない」と語る。

金融サービス部門の米企業利益に占める割合は昨年38%に達し、1994年の21%から拡大したが、パトナム・インベストメンツの投資副責任者、ジェフリー・ナイト氏は、同部門の収益性回復には時間がかかるとみる。同氏は「金融部門は新たな均衡点に向かって縮小している。 この部門の資産が経済全体の多くを占めるようになるには恐らく数十年かかるだろう」と話した。

●「ドル下落で米財政赤字が拡大 日本勢などが米国債投資に消極姿勢 」

2008年4月28日 ブルームバーグ

 ガソリンや小麦価格の高騰、住宅価格の下落という米経済のマイナス要因に、ドルの下落に伴う財政赤字の拡大という新たな項目が加わった。ドル安進行で日本勢を中心にした外国投資家は、米国債投資に消極的になっている。

 日本の投資家の米国債保有額は計5,866億ドルで、発行残高全体の12%を占める。 1-3月期はドルの対円相場が1995年以来13年ぶりの安値に下落したことで、 その価値は7%目減りした(米メリルリンチの指数による)。

 日本の4大保険会社の3社、第一生命保険と明治安田生命保険、住友生命保険は、米国の債券に投資するよりも、世界で最も低い日本の債券利回りを受け入れたい考えのようだ。

 国際投信の投信「グローバル・ソブリン・オープン」の運用担当チームで責任者を務める堀井正孝氏は、ドル安に歯止めがかかるとみるのは時期尚早だと指摘。米経済の低調な伸びはしばらくの間続くとの見通しを示した。日本投資家の米国債保有額は世界一。2007年3月-7月に92億ドル増え、6,206億ドルとなったが、それ以降は今年2月までに340億ドル減少した。米財務省が15日発表した。

 米ゴールドマン・サックス・グループによると、今年度(2007年10月-08 年9月)の 米財政赤字は5,000億ドルと、過去最高を更新する見通し。昨年は1,630億ドルだった。米連邦準備制度理事会(FRB)の2006年の研究リポートによると、外国投資家による米国債の買い支えがなくなれば、長期金利は0.9ポイント押し上げられることになるという。

 日本以外のアジア諸国でも、米国債投資を手控える動きが出ている。米国債保有額が2位の中国や韓国の運用担当者らは、欧州の債券、株式、商品を選好している。

● 「米金融・債券市場=続落、株高やインフレ懸念が圧迫」

2008年 4月 25日ニューヨーク、 ロイター

 米金融・債券市場は続落。終盤にかけて株価が上昇したことや、エネルギー・食品価格の上昇が全般的なインフレ高進につながるとの見方が圧迫要因となった。

 インフレ懸念を背景に、連邦準備理事会(FRB)による追加利下げの余地が狭まるとの観測が高まった。日本の3月全国消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、コアCPI)は前年比1.2%上昇と、1998年3月以来の高い伸びとなった。これを受けて、世界的なインフレ圧力上昇への懸念が高まった。

 バンク・オブ・アメリカ証券の経済ストラテジスト、マシュー・ムーア氏は「商品・食品価格が高止まりしており、インフレ高進の要因となっている。オーバーナイトで入ってきた日本のインフレ指標もかなりサプライズだった」と指摘。これが債券の需要を鈍らせたとの見方を示した。

 終盤の取引で指標の10年債は9/32安、利回りは3.87%。前日終盤は3.84%だった。2年債は1/32安、利回りは2.43%。海外市場での下げに追随し、一時は2.50%を上回り1月中旬以来の高水準をつけた。前日終盤は2.40%だった。

 朝方には4月のミシガン大消費者信頼感指数確報値が26年ぶり低水準となったことを受け、下げ幅を縮小する場面もあった。5年債は5/32安、利回りは3.18%。30年債は22/32安、利回りは4.59%。一時は2月下旬以来の高水準である4.62%まで上昇した。前日終盤は4.55%だった。

● 「世界の金融システムは麻痺状態=OECD事務局長」

2008年 4月 25日 ロイター

 経済協力開発機構(OECD)のグリア事務局長は25日、世界の金融システムは麻痺状態にあり、正常に戻るには時間がかかる、との認識を示した。同事務局長はチェコの議会に出席し「金融システムは麻痺している。普通のオペレーションの多くが行われていない」と述べた。

 同事務局長によると、OECDは当初、2008年前半は困難な時期になるが後半は好転し、2009年は正常な状態を取り戻すと予想していたとしたうえで「現在は、2008年いっぱい困難な時期が続き、09年前半になって回復に向かい始める可能性があると考えている。正常に戻るのは2010年になるだろう」と語った。

● 「 米アムバックの第1四半期は予想超える赤字、株価急落」

2008年 4月 23日  ニューヨーク、ロイター

 米金融保証大手のアムバック・フィナンシャル・グループ が23日発表した第1・四半期決算は予想を超える赤字となった。

 モーゲージ債に絡み10億ドル相当の引当金を計上。午前の取引で株価は30%近く急落した。第1・四半期の赤字額は16億6000万ドル(1株当たり11.69ドル)。前年同期は2億1330万ドル(同2.02ドル)の黒字だった。

 諸項目を除いた1株損失は6.93ドル。アナリストは1.82ドルの赤字を予想していた。前年同期は2ドルの黒字だった。カレン最高経営責任者(CEO)は声明で「今回の結果に失望している。しかし第1・四半期の資本増強と戦略的事業対策により、現在のクレジット状況を乗り越えることができると引き続き確信する」と述べた。

 同社の資本水準はS&Pの目標を上回っており、ムーディーズの目標も第2・四半期に上回る見込みとした。クレジット・デリバティブ商品のエクスポージャーに絡み17億ドルの評価損を計上。債務担保証券(CDO)に絡む評価減は9億4040万ドルだった。

●「米アムバックの債務保証コストが過去最高に、予想を上回る赤字で」

2008年 04月23日 ニューヨーク、 ロイター

 米クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場で、金融保証(モノライン)大手のアムバック・アシュアランスの債務保証コストが過去最高水準へ急上昇した。親会社のアムバック・フィナンシャル・グループの第1・四半期決算が予想を超える赤字となったことが理由。

 CMA(シカゴ・マーカンタイル取引所)データビジョンによると、アムバック・アシュアランスのCDSは初めてアップフロント支払いベースでの取引となり、保証コストは5年物で11%プラス年間500ベーシスポイント(bp)。 CDS市場では、債務不履行の懸念が高まった場合にアップフロント支払いで取引される。

 CMA(シカゴ・マーカンタイル取引所) によると、22日時点では、アムバック・アシュアランスのCDSスプレッドは700bp程度だった。CDSスプレッド1bpは、債務1000万ドルに対する保証料1000ドルに相当する。モノライン大手MBIAの債務保証子会社のCDSスプレッドも約95bp拡大し805bpとなった。

● 「220億円の経常赤字に=サブプライム損拡大-あおぞら銀行」

2008年4月23日 時事通信

 あおぞら銀行は23日、2008年3月期の連結業績予想を下方修正し、最終利益が50億円(従来予想265億円)、経常損益が220億円の赤字(同30億円の黒字)に転落すると発表した。

 米国の低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローン関連投資や米国での企業買収関連投資損失の拡大などが要因。 08年3月期の業績予想を下方修正するのは3回目。サブプライム問題で経常赤字に陥るのは大手行であおぞら銀が初めて。

●「英大手銀が損失1兆2000億円計上、株主割当増資を実施へ」

 2008年4月22日  読売新聞

【ローマ=中村宏之】  英銀行大手のロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)は22日、米国の低所得者向け住宅融資 「サブプライムローン」 問題に伴う金融市場混乱の影響で、2008年の1年間に59億ポンド(約1兆2000億円)の損失を計上すると発表した。

 資本増強を図るため、総額120億ポンド(約2兆4000億円)の株主割当増資を実施する。米投資銀行のゴールドマンサックスやメリルリンチなどが引き受ける。非中核事業である保険部門を売却して、約40億ポンドの資本増強も行う。

 RBSは、これまで増資は必要がないとの姿勢だった。しかし、金融市場の混乱が長期化していることから、「現時点での資本増強が適切と判断した」と説明している。 RBSの2007年のサブプライム関連の損失額は約25億ポンド(約5100億円)で、08年はその2倍超に達する。

 市場では「RBSが損失をすべて開示し処理を断行した」との前向きな見方が出る一方で、他の金融機関でも損失が拡大していくのではないかとの懸念が消えていない。

 欧州系の銀行ではスイス金融大手のUBSが1日、2008年1~3月期決算で約190億ドル(約1兆9600億円)の損失を計上する見通しを示した。先の見えない金融機関のサブプライム関連損失の拡大が、欧州でも市場の大きな不安材料となりそうだ。

● 「商業銀行保有のモーゲージ証券と500ポンドの国債との交換を提案=英中銀 」

ロンドン 2008年4月21日 ロイター

 イングランド銀行(英中央銀行)は21日、 信用収縮に直面している銀行を支援する対策の詳細案を発表した。それによると、英中銀は銀行に対し、取引が困難になっているモーゲージ証券を、特別に発行する国債総額500億ポンド(997億6000万ドル)と交換することを認める。

  対象となるのは2007年末時点での保有資産で、新たな貸し出しは対象とならない。 資産スワップの期間は1年で合わせて3年まで更新できる可能性がある。

●「米経済の先行き、悲観的な見方が拡大=全米企業エコノミスト協会 」

2008年 04月 21日 ワシントン、ロイター

 全米企業エコノミスト協会(NABE)の四半期調査によると、エコノミストの間で米経済の先行きに悲観的な見方が増えている。景気後退(リセッション)入りを予想するエコノミストも、前回調査から増加した。

 調査は会員エコノミスト109人を対象に3月24日─4月8日に実施した。第1・四半期の実績や短期の見通しに「非常に悲観的な」見方が目立ったという。米国建設業協会のチーフエコノミスト、ケン・サイモンソン氏は「第1・四半期は5年ぶりに、利益率が低下したとの回答が上昇したとの回答を上回った。会員企業の需要の伸びは、2001年の景気後退以降、最低となった」と指摘した。

 調査では、回答者の約30%が2008年上半期の米国内総生産(GDP)がマイナス成長になると予想。他の大半の回答者も成長率を1%未満と予想している。前回1月の調査では、マイナス成長を予想した回答者は全体の10%にとどまっていた。景気後退は2四半期連続のマイナス成長と定義されることが多い。NABEによると、3カ月前よりも悲観的になったとの回答が全体の70%を占めた。

●「 サブプライム損失、計4兆6000億円=米シティ2期連続赤字」

ニューヨーク2008年4月18日 時事通信

 米金融最大手シティグループが18日発表した第1・四半期(1~3月)決算は低所得者向け高金利型(サブプライム)住宅ローン問題絡みの評価損などが152億ドル(約1兆5600億円)に上ったことから、前年同期の50億1200万ドルの最終黒字から51億1100万ドルの赤字に転落した。

 また、金融市場の混乱が本格化した昨年下期以降のサブプライム関連損失は累計で約450億ドル(約4兆6000億円)に達した。

 赤字決算は昨年第4・四半期(98億3300万ドル=約1兆円)に続き、2期連続。このため、従業員約37万人のうち、9000人を削減する方針を示した。また、サブプライムローンに直接起因する評価損は60億ドルに達した。1株当たりの赤字は1.02ドルで、市場予想平均の0.95ドル(トムソンファイナンシャル調べ)より大きかった。

● 「G7、米財務長官は市場混乱で「この先さらに問題も」 欧州は為替文言修正で成果」

2008年4月11日   ロイター、ワシントン

 11日にワシントンで開かれた7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)で、欧米は市場混乱や世界経済に厳しい認識を示した。

 景気悪化を示す材料が相次ぐ米国。G7が開催された11日に発表された4月の米ミシガン大学消費者信頼感指数も26年ぶりの低水準という結果だった。

 ポールソン米財務長官は、G7閉幕後の記者会見で、金融市場の緊張が続いている、としたうえで「この先もさらに問題が待ち構えているかもしれない」と発言。「この時期のわれわれの取り組みにおける最重要課題は、実体経済への影響を抑えることだ」と述べた。

 G7の共同声明は「われわれの経済が長期的に回復力を有していることを確信しているが、短期的な世界経済見通しは悪化した」、「国際金融市場の混乱はいまだにチャレンジングであり、われわれが想定したよりも長引いている」としている。

 <金融安定化フォーラムが最終報告書>
 今回のG7の目玉の一つは、金融安定化フォーラム(FSF)の最終報告書だった。

 G7は、最終報告書に盛り込まれた市場混乱の再発防止に向けた提言に支持を表明し、具体的な項目を挙げて実行する方針を示した。

 米サブプライムモーゲージ(信用度の低い借り手向け住宅ローン)の焦げ付き急増は、信用市場に波及し世界的な信用不安に発展。米連邦準備理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)など米欧の中央銀行は、市場への資金供給拡大、政策金利の引き下げといった対応を迫られた。

 独連銀のウェーバー総裁は会見で、2007年と2008年第1・四半期に銀行が計上したサブプライム関連の評価損が約2250億ドルと指摘。シュタインブリュック独財務相は「このような数字は、かなりの懸念要因といえる」と述べた。

 <共同声明の為替部分が修正>

 今回の共同声明では、為替に関する部分が修正された。
 共同声明の為替に関する部分は前回2月の東京G7まで「為替レートは経済ファンダメンタルズを反映すべきとの考え方を再確認」、「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済成長にとって望ましくない」、「われわれは、引き続き為替市場をよく注視し、適切に協力する」というのが常套句(じょうとうく)化していたが、今回は「前回の会合以降、主要通貨において時として急激な変動があり、われわれはこれらが経済および金融の安定へ与え得る影響について懸念している」という表現が盛り込まれた。ユーロ高が進行する為替市場の不安定な動きに懸念を表明していた欧州勢の意向が反映された格好だ。

 修正について、パドアスキオッパ伊経済財務相は「過去数年間見られなかった懸念を反映している」と説明。 欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は、為替に関する声明をどう理解すればよいか、との質問に「詩のようなものだ、それ自体が物語っている」と答えた。

● 「G7声明、世界経済さらに悪化…ドル急落に危機感」

2008年4月12日   読売新聞

 【ワシントン=広瀬謙哉】 先進7か国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が11日、ワシントンで開かれ、共同声明を採択した。

 声明は、世界経済について「引き続き困難な時期に直面し、短期的な見通しは悪化した」と厳しい認識を示し、国際金融市場の混乱も「想定したより長引いている」と指摘した。また、為替市場でのドルの急落に対し、懸念を示した。金融不安を抑え込むための安定化策としては、各国の金融当局が連携して大手金融機関への監視を強めることなどを挙げた。

 世界経済の現状認識では、米国の低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」焦げ付き問題をきっかけにした混乱から抜け出すどころか、さらに悪くなっているとの厳しい見方だ。前回(2月)、前々回(2007年10月)に用いた「ファンダメンタルズ(基礎的諸条件)は引き続き堅固」との表現は消えた。

 為替相場については「前回の会合以降、主要通貨において時として急激な変動があった」と指摘した。「経済や金融の安定へ与える影響を懸念している」として、円やユーロに対するドルの急落に強い懸念を示した。特定の通貨を念頭にG7共同声明が為替相場に懸念を表明したのは、ユーロ安が進んでいた2000年9月のプラハG7以来だ。

 そのうえで共同声明は、各国が「引き続き為替市場をよく注視し、適切に協力する」との前回声明の表現を踏襲した。金融安定化策の内容は、日米欧の金融監督当局などで作る金融安定化フォーラムが最終報告書をG7に提出し、了承された。

 「100日以内」に実行しなければならない優先順位の高い勧告として、金融機関に対し、今後発生する損失見込みなどについて、次回の決算発表時に開示することなどを求めた。08年末までに実施する施策として、国際的に活動する大手銀行や証券会社ごとに監視するため各国の金融監督当局による会合を設置することなどを挙げた。

 会議後には、みずほコーポレート銀行、米シティグループなど日米欧の金融機関10社を招いた夕食会が開かれ、金融市場の見通しなどについて意見交換した。金融機関側からは「今後も悪いニュースが出てくる」など、市場の安定化にはなお時間がかかるとの意見もあった。

● 「「為替」 FASBのfair valueの解釈⇒G-7緩和合意?
101.40/ドル・円東京為替市場概況」

2008年4月14日   フィスコ

 ドル・円は、シドニー市場の高値101円97銭から101円04銭まで下落後、101円40-50銭で小動き。ユーロ・円は、158円61銭から159円67銭で推移。ユーロ・ドルは1.5658ドルから1.5730ドルで推移。

 昨年末、米系金融機関は、米国財務会計基準審議会(FASB: Financial Accounting Standards Board) 157号 により、レベル3 (時価の推測が基本的には必要なく、簿価で評価) を「公正な評価 fair value 」、すなわち限りなくゼロの時価評価への強制評価を余儀なくされたが、今月は、バーナンキFRB議長が時価評価の緩和を示唆しており、金融安定化フォーラム(FSF)は、公正価格の見積もりを要請していることから、G-7 による緩和合意の可能性が指摘されている模様。

仲値:101円44銭
NYMEX原油先物時間外取引:高110.14ドル、安109.61ドル、直近109.69ドル(史上最
高値112.21ドル)
日経平均株価:始13132.67円、高13132.67円、安12917.92円、直近12971円。
《MY》

● 「米ワコビア、60─70億ドルの資本注入を受ける可能性」

フィラデルフィア 2008年4月13日 ロイター

 13日付の米ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)電子版は、米ワコビアが外部の投資家から数十億ドルの資本注入を受け入れる可能性があると報じた。

 WSJによると、13日夜にも最終的に条件がまとまる見通しだが、ワコビアは60億ドルから70億ドルの資本注入を受け入れる可能性がある。投資家は、1株あたり23─24ドル前後で株式を取得する見通しという。ワコビアからのコメントは、現段階では得られていない。

● 「 米ワシントン・ミューチュアル、08年クレジット損失140億ドルの可能性=ゴールドマン 」

2008年 4月 11日 ロイター

 ゴールドマン・サックス のアナリストは11日、米大手貯蓄金融機関ワシントン・ミューチュアルが 2008年に、140億ドルのクレジット損失の引き当てを余儀なくされる可能性があるとして、同銘柄の空売りを推奨した。

 ゴールドマンのアナリスト、ジェームズ・フォザリンガム氏は リポートで、ワシントン・ミューチュアルの08年の損失が1株当たり 3.30ドルとなり、10年まで利益を計上できない状態が続く可能性があるとの見通しを示した。これまでは08年の1株損失を1.00ドルと予想していた。

 09年の見通しについては、従来の1株当たり1.10ドルの黒字予想から、損益均衡に引き下げた。投資判断は「セル」で、目標株価を12ドルから10ドルに引き下げた。また、住宅ローン関連の損失を170─230億ドルと推定。しかし、これまでに処理した額は30億ドルにとどまっていると指摘した。 そのうえで「今年発生すると予想されるクレジット費用を踏まえれば、ワシントン・ミューチュアル株の空売りを推奨する」と述べた。

● ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙は2008年4月11日、 米エコノミストの73%が「米経済は底打ちを確認していない」との認識と報じた。

 米連邦準備制度理事会(FRB)がベア・スターンズの救済を支援してから初めて取られた世論調査で、明らかになっている。 住宅価格の底打ちについては、「2009年の上半期」との予想が最も多く38%。次いで「09年下半期」が29%だった。FRBは景気が08年下半期に改善するとの予想を示す一方、「08年下半期」に底打ちするとの回答は17%に止まった。

 今回の調査ではベア・スターンズヘのFRBの対応について、86%が支持すると回答。 ただバーナンキFRB議長への信任は100点中78点と、2月調査時点の75点から小幅に上昇したに過ぎない。 一方でポールソン米財務長官に対する採点は2月時点の74点から73点とわずかに低下した。 経済を下押しする要因として最も多かった回答は「信用市場の悪化」で35%。 次いで「消費支出の低下」が25%と並ぶ。「住宅市場」との回答は13%だった。

● (副島隆彦注記。私は、農林中金の 以下の記事とほとんど同じ内容の日経新聞の同時期の記事を読んだ。 この 高谷正伸(たかたに まさのぶ)理事 は、この4月の時点で、生贄にされることが世界基準では決まっていたということなのだろう。

 こういうことを分かってやっている。やはり、この4月に、大きな態勢、と体制の組み換えを、グローバリストたちはやったのだろう。注記終わり)

「今の金融市場は絶好の投資機会=農林中金専務理事」

2008年4月8日 東京、ロイター

 農林中央金庫は足元の市場環境を「絶好の投資機会」とみて、積極的な有価証券投資を行う。同社の高谷正伸専務理事は8日、同社や野村ホールディングスが出資するプライベート・エクイティ・ファンド・リサーチ・アンド・インベストメンツ の開業記念セミナーで「ここは絶好の投資機会とみており、相当量の投資をすることを決めたばかりだ」と述べた。

 具体的な投資対象や投入額については言及しなかったが、足元では「金融株を買いに入っている」ことを明らかにした。農林中金は積極的な有価証券運用で知られており、07年3月期の総資産68兆円のうち、有価証券が52兆円を占めている。「10年前に大きくグローバルな分散投資に舵(かじ)を切った」(高谷氏)結果、有価証券の5割程度を海外分が占めている。

 07年9月中間決算ではサブプライム関連商品で384億円の償却を実施するなど、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題による打撃も受けているが、「日本のような成熟経済では貸し出し需要がそうは増えないとの見通しは変わらない」(同氏)ため、今後も国際分散投資を続ける方針という。

 高谷氏によると、同社のポートフォリオは債券が約50%、株式が10%、クレジットが20%、不動産が7%、オルタナティブが2.3%などとなっており、オルタナティブのほぼ半分がプライベート・エクイティ(PE)で残りがヘッジファンド。

 同社はPE投資を96年に開始するなど、オルタナティブ分野でも他の国内勢に比べ先進的。高谷氏によると、PEは当初2年は運用成績がマイナスだったが、その後は好調で「10年あれば7年がプラス20%、3年がマイナス20%という感じで、10年間投資するならこのアセットを積んだ方がいい」との見方を示した。

 同氏は「グローバル分散投資には、いいものと悪いものが必ず混在していて悪いものを許容することも大事」と指摘。「伝統的アセットについては(運用の悪化を)許容するのに、新しいアセットについては損失が出ると『なぜ』となる。運用者はしっかり防御しないといけない」と述べた。

 農林中金はポートフォリオの三分の1を外部の運用会社に委託しており、ヘッジファンドやPEについては全て外部ファンドに委託している。委託分については多額の手数料を支払っているが、高谷氏は「世界のいろいろなアセットクラスのマネージャーを雇うことができたので、この10年で大きく(ポートフォリオを)変えることができた」と指摘した。

 今後のPE投資については、サブプライム問題による信用収縮で世界でPE案件が減速しているため、「今年はお休みの年」になるという。ただ、一連の混乱が収束し、景気が上向く局面では再び投資の好機が来るとみており「今は力をためて次の展開に備える準備をする時期」と述べた。

● 「シティ損失1兆円超か 米アナリスト1-3月予想 市場、再び動揺も」

共同通信、ニューヨーク 2008年4月4日

 4月中旬に本格化する米金融機関の今年1~3月期決算発表で、再びサブプライム(高金利型)住宅ローン問題関連の巨額損失が計上される見通しが強まっている。

 米アナリストは米銀最大手、シティグループの損失を100億ドル(約1兆円)超と見積もるなどしているが、各社の損失が予想を大幅に上回ると、市場が再び動揺する恐れもありそうだ。

 米証券大手のゴールドマン・サックスは、シティが約120億ドルの損失を計上すると予想。ほかのアナリストのリポートでは約131億ドルに達するとの見方もある。

 同ローン問題が本格化した昨夏以降、計300億ドル規模の損失を計上しているシティは、累計が400億ドル超に膨らみそうだ。 昨夏以降の損失が計250億ドル規模の米証券大手、メリルリンチも、各アナリストが今年1~3月期は20億ドル以上と予想。50億ドル超との指摘もあり、シティとともに同期決算が赤字になるとの見方が広がっている。

 両社に比べ、これまでの打撃が少ない米銀大手のバンク・オブ・アメリカとJPモルガン・チェースの損失は、いずれも数十億ドルの範囲との予想が多い。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝

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