「190」漫画『ワンピース』には、実在の大海賊たちがいた ワンピース 2⃣

副島隆彦です。今日は2026年7月24日です。
漫画『ワンピース』について2回目です。

前回は1800年代のアメリカに実在した海賊、ジャン・ラフィットの話をしました。ジャン・ラフィットは海賊でありながら、アメリカ国家の防衛に貢献した英雄として欧米人によく知られています。だから、イーロン・マスクたちも当然知っている。彼らはジャン・ラフィットの、その流れに従っていろいろやってるんですね。
ジャン・ラフィット(イメージ)

イーロン・マスクの大きな宇宙ロケット「スターシップ」だって、いかにも海の物語でしょう?スターシップという考え方自体がジャン・ラフィットの話に繋がって、それが日本の『ワンピース』とも繋がるんです。

だから尾田栄一郎の『ワンピース』のプロットを作っている人たちは、そのジャン・ラフィットたち海賊物語のパロディ、オマージュをやっている。クラシックスである海賊物語や冒険物語を、緩やかにオブラートで包んで、煙(けむ)にまいて、本当の実在の海賊たちの話が裏にあることをわざと隠しているんです。日本では。

 

■「キング・ザ・フィフス」=財宝(資産)の五分の一は王様(海賊の親分)のもの
『ワンピース』が影響を受けているもう一人、スコット・オディール(Scott O’Dell  1989-1989 91歳で死)という小説家がいます。大文字のOにアポストラフィーをつけるからフランス系の名前だ。航海の過酷な運命とか、歴史として残る実際の出来事とそれに翻弄されながら成長する少年少女、といった小説を描いた。児童向け歴史小説として6冊ぐらい邦訳されているから、子供の頃に読んだ人もいると思う。
スコット・オディール
【アメリカ・ロサンゼルス生まれ。イギリスの文豪ウォルター・スコットの曾孫に当たる。新聞記者、雑誌記者などを経て、1934年より小説家として本格的に活動をはじめる。1960年に発表した『青いイルカの島(英語版)』(Island of the Blue Dolphins, 1960)がベストセラーとなり、以後は児童文学作家に転向する。

他の作品に『黄金の七つの都市(英語版)』(The King’s Fifth, 1966)、『黒い真珠(英語版)』(The Black Pearl, 1967)、『ナバホの歌(英語版)』(Sing Down the Moon, 1970)、『鷹は昼狩りをしない』(The Hawk That Dare Not Hunt by Day, 1975)、『シア』(Zia, 1976)、『ブラックスター』(Black Star, Bright Dawn, 1988)などがある。1982年には『黄金の七つの都市』を原作としたテレビアニメーション作品『太陽の子エステバン』が、日本とフランスの合作で制作された。Wiki スコット・オデール wikiから】

副島隆彦です。その中の一つ、『The King’s Fifth』(邦題:『黄金の七つの都市』または、『王の取りぶんの、五分の一』)という海賊ものの小説がある。これは、「5分の1(ワン・フィフス)」という思想を描いているんです。財宝を発見したら、「その5分の1は王様の取り分だから、税金として王様に納めろ」というものです。

The King’s Fifth『黄金の七つの都市』
【コロンブスの航海から半世紀、スペインの少年エステバンは,隊長に誘われるまま,新大陸北部探検に加わった。彼の夢は,地図の空白部を自らの手で埋め、新地図を描くことだったが,隊長の目的は伝説上の黄金都市の発見にあった。黄金のためには平気で原住民を殺戮する男たちに少年の心は大きく揺れる。
10代のスペイン人征服者の視点から、アメリカ大陸の新世界におけるヨーロッパ人の金鉱探査が人々の生活と心にどのような影響を与えたかを描いている。題名は、スペイン王室が期待していた戦利品の五分の一の分配を指している。アンデルセン賞作家の力作】

 

副島隆彦です。この王様というのは大海賊(海賊の親分)、今だったら、世界レベルの大金持ちだ。彼らが「世界の資産の5分の1は自分のものだ」と考える。この思想は世界基準なんです。そして今も通用している。

こういう世界基準の思想は、例えば、金(きん)と銀(ぎん)の値段が15対1だ、というのと同じで歴史的に決まっている。もう古代ギリシャ・ローマの時代から、そういうふうに決まっているんですよ。けれども、それを知らない幕末の日本では金銀比価が5対1だったから、それで、オルコックとかイギリス人の悪い奴らに金(きん)が奪い取られて、日本から金(きん)が流出していった。それが江戸幕府の終焉に繋がった。

〇第2ぼやきリンク 「161」幕末に攘夷決行を決めた天皇と将軍が殺された ② 1863年~攘夷派の壊滅から、1866年の第二次長州征伐まで

「キングス・フィフス」という思想が重要です。イーロン・マスクの登場で、それが最近、復活したんだ。キングは王様、大金持ち、大富豪、大海賊。現在ならイーロン・マスクだ。彼のスペースXはロケット産業というけれど、本当はスターリンク(低軌道通信用人工衛星)を打ち上げているだけなんだ。先月6月12日にIPO(イニシアル・パブリック・オーハリングと)いってナスダックに上場した。上場時の時点でのスペースXの時価総額は1.75兆ドル(210兆円)の計算だった。それがワッと19%も上がって2.6兆ドル(320兆円)になった。兆はトリリオンというんだけど。

イーロン・マスク

135ドルで上場したスペースXの株価は160ドルまでわっと上がって、その後は下落して昨日(7月23日)の時点で118ドルにまで下がっている。

〇重たい掲示板 AIバブル(NVIDIAたち)がはじけ始めたようである。 AI bubble has burst. 副島隆彦 投稿日:2026/06/07

 

■ トリオネア(一兆ドル=160兆円の資産を持つ人)の登場
日本には “万(まん)” というのと “億(おく)” という言葉あるけど、これは数字を計算する上で本当に不便でね。世界基準は3桁ですけど、日本は万という言葉があるもんだから4桁になっちゃってる。本当に困ってるんだ、みんな。それが3✖4=12でね、兆(トリリオン)のところではじめて一致するんです。トリリオンの前がビリオンです。

〇参考リンク よりみち生活 日本語と英語の桁の数え方

 

30年くらい前までは、「お金持ち」といえばミリオネイヤー millionaire【ミリオネア wiki】だった。純資産が100万ドル、日本円で1億6千万円(1ドル160円で計算)あれば、「大金持ち」と言われた。500万ドルでも8億円ぐらいで、今では大したことないんですよ。昔は大変なお金だったんだけど。

ところが30年前くらいからゼロが3つ増えて、ビリオネイヤー billionaireが当たり前になった。10億は、日本語で言ったらビリオンね。10億ドルだと1600億円、30億ドルだと5000億円。これくらいのビリオネイヤーが「大金持ち」と言われるようになった。

だけど10年くらい前に、スペースXの株を6割ぐらい持っているイーロン・マスクが出現した。所有資産が5000億ドル(75兆円)ぐらいになって、イーロン・マスクが世界一の金持ちになったり、誰かに抜かれて二位になったりした。

そしてこの間、ついに「トリオネイアー trillionaire」という言葉が生まれたんです。先月の6月12日にスペースXがナスダックに新規上場(IPO)した。その値段(時価総額)がわっと上がったから、株主のイーロン・マスクの個人資産が160兆円ということになっちゃった。

つまり1兆ドルの資産を持つ大金持ちが出現した。これは人類史上初めてなんです。トリオネイヤーという言葉が急激に当たり前に使われるようになりました。

日本語では、「100万長者」、「10億万長者」だったのが「1兆万長者」という言葉になるしかないんだ。変な言葉ですけどね。これが出現した。

〇関連記事 イーロン・マスク、資産1兆ドル・約160兆円突破で世界初の「トリリオネア」に──フォーブス認定 2026年6月13日

こういう風に、King the fifth(キング・ザ・フィフス)という考え方が今も生きている、ということです。キングは世界の大富豪の頂点、だから昔の大海賊なんですよ、実は。

イーロン・マスクもジョン・ラフィットの話とか全部知っているからね。だから、その流れに従ってやってるわけ。いかにも海の物語であるスターシップという、大きな宇宙ロケットでね。

 

■ 実在の大財閥の動きも、『ワンピース』に入っている
『ワンピース』にはモルガンズという大富豪が出てきます。これのモデルはみんなも知っているロックフェラー財閥です。まあ、モルガン財閥というのも実在します。1870年頃にジェイ・ピー・モルガン(ジョン・ピアポント・モルガン John Pierpont Morgan、1837-1913 76歳で死)という人がいました。彼はロックフェラー1世(ジョン・デイヴィソン・ロックフェラー・シニア(John Davison Rockefeller, Sr 1839-1937 97歳で死)と同時代の人で、ニューヨークの金融財界を支配していた。

ジョン・ピアポント・モルガン(John Pierpont Morgan)【アメリカのモルガン財閥の創始者。金融王と称えられた】


ジョン・デイヴィソン・ロックフェラー・シニア(John Davison Rockefeller, Sr)【アメリカ合衆国の実業家、慈善家。石油王と称えられた。1870年にスタンダード・オイル社を創業し、ピーク時はアメリカの石油の90%をコントロールするなど、同社は石油市場を独占してアメリカ初のトラストを結成した。1897年に事実上引退し、その後は現代的フィランソロピーの構造を定義し、慈善活動に力を入れた。その資産はピーク時には9億ドルに上り、国の経済の1.5%以上であった。物価の変動を考慮すると史上最大の資産を持つ富豪とされている。ジョン・ロックフェラー wiki】


『ワンピース』のモルガンズ モルガンズ | キャラクター検索 | ONE PIECE.com(ワンピース ドットコム)

もう一人の重要人物がカーネギー(アンドリュー・カーネギー Andrew Carnegie 1835-1919 83歳で死)です。カーネギーホールを作った人で、立派な男です。カーネギーは1865年に、ピッツバーグというニューヨークから北に300kmぐらい行ったところに製鉄所をつくった。カーネギー製鉄所です。

アンドリュー・カーネギー(Andrew Carnegie)【スコットランド生まれのアメリカの実業家。鉄鋼王と称された】

カーネギーはスコットランド人(13歳の時にアメリカに移住)で立派な男なんです。いろんな仕事をしたのちに、カーネギー製鉄所の他にも、いくつかの製鉄所を創業した。技術革新をして、それがものすごく大きくなっていく。スコットランドの故郷の町にプールや図書館を作ったり、アメリカの医学研究なんかにも寄付をしたりした(現在のカーネギー研究所)。偉いんです。

やがて労働組合が騒ぐようになって、ストライキとかをいっぱいやる。カーネギーは、労働者のために住宅とかいろいろたくさん作ってあげた。それでも労働者が賃上げ運動をまだまだやるから、もう嫌になったんだ。1901年、66歳になったカーネギーは引退を考えて会社を株式会社にして、製鉄所を売り払っちゃった。それを銀行家のJPモルガンが、モルガン財閥が買って合併したんです。それが当時、史上初の10億ドルを超える企業、USスチールができたんですね。
歴代USスチール

今から一年前、2025年6月18日に、日本製鉄が米鉄鋼大手USスチールを買った。完全子会社化したと話題になりました。本当は、アメリカに無理やり買わされたんです。3兆円くらいかけて買収した。だから今は、日本製鉄がUSスチールに技術指導に行っているんです。現地に200人くらいが指導に行っていると思う。ハイテンショーン・スティール、略称はハイテンというんですけど、「錆びない超薄いスティール板」ですね。これの技術指導をしている。日本のトヨタなんかの自動車もハイテンを使っています。エンジンやモーターもこのハイテンで作るそうです。

ハイテン 高張力鋼 wiki

〇関連記事 日鉄のUSスチール買収1年、進む老朽設備の更新と生産効率化…森副会長「成長は海外に求める」 : 読売新聞 2026/06/18

アメリカにはハイテンを作る技術が無かった。アメリカで作れなかったんです。今回の 「買収」で、日本の技術、日鉄の技術が入ってUSスチールが作れるようになった。日鉄が買収したんだから、本来なら「US日本スチール」って名前を変えなきゃいけないんだけど、トランプが「名前を変えない」と言ったみたい。技術だけが日本から行くんですね。

 

カーネギーの話に戻すと、彼はその後、自分の手に入れたお金でカーネギーホールとか、これはニューヨークにある芸術劇場ですが、ああいうのを作ったりして、人々のために文化遺産を残しました。

カーネギー・ホール

 

■ 1914年に、世界覇権がイギリスからアメリカに移った
ニューヨーク財界人たちというのは民族資本なんですよ。分かりやすく言うと、1900年ぐらいが境目です。1913年にFRB(連邦準備制度理事会 Federal Reserve Board および連邦準備銀行Federal Reserve Bank)ができました。

しかしね。それの計画の段階、アメリカにFRBを作ろうという最初の時は、イギリスのロスチャイルド家が主導していたんです。当時の英ロスチャイルドのトップの男の弟がイギリスからニューヨークに来た。ニューヨークの財閥8人を、ジキル島(ミズーリ州かな。川の中の島)のお屋敷に集めて、アメリカに中央銀行を作ると決めた。その2年後、ウィルソン大統領を操ってFRBを作る法律を通した。それが1913年です。

私はこういうロスチャイルド家の話を全部、体系付けて、『世界覇権の大きな真実 ロスチャイルド230年の歴史から読み解く近現代史』(2021/2/27 ‎PHP研究所)という本に書きました。

アマゾンリンク へ 『世界覇権の大きな真実 ロスチャイルド230年の歴史から読み解く近現代史』(2021/2/27 ‎PHP研究所)

だから1913年までは、ニューヨークの大富豪たちは、イギリスのロスチャイルド家に頭があがらなかったんですよ。

ところが翌年の1914年、不思議なことに、ロックフェラーやJPモルガン、カーネギーら新興財閥のアメリカ民族資本がFRBを握った。そしてロスチャイルドを追い出したんです。

だから、この1914年に世界覇権がイギリス帝国から新興帝国のアメリカに移ったのね。これを私、副島隆彦がもう20年ぐらい前から書いています。

〇参考ブログ タイタニック号沈没と3大富豪の死|英米二大金融マフィアが対峙した20世紀初頭|CONSULTANCY M&K INC.🐍

タイタニック号【1912年4月14日深夜に氷山に衝突し、その際の損傷による浸水が原因となって翌15日未明に沈没した】

〇関連YouTubeリンク おしえてソエジー 1914年に奇怪なFRB(米連邦準備制度理事会)が策略で成立した。ロスチャイルド家が主導で作り始めたが、その裏の策謀でロックフェラー家が奪い取った。

 

副島隆彦です。正式に金ポンド体制が終わるのは、この後の1931年だ。イギリスのポンドのことをスターリング・パウンド(ポンド)と言うんです。スターリングはギラギラと輝くって意味ですよ。1931年、イギリスはこのスターリング・パウンドと金(きん)との兌換(エクスチェンジ)をやめた。これで正式に英ポンド体制が終わったことになる。でも本当は、その16年前の1914年に、すでにアメリカ帝国に世界覇権が移っていたんだ。FRBをアメリカ民族資本の財閥たちが握った時に。その後世界大戦が起こって(起こされて)ヨーロッパは戦争で火の海になった。

まあ、そういうことで、『ワンピース』のストーリーを作っている人たちは、この大財閥たちの動きのことをそれなりに自覚してるんですよ。だからモルガンズっていうのが出てきた。

今年(2026年)6月22日に、グリーン・スパン(1926-2026)という、2006年までFRB議長をやった男が100歳で死にました。彼らのことも少しは意識するかもしれないね。まあ、だから『ワンピース』は大財閥の話でもある。

 

③につづく

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