副島隆彦です。
今日は2026年7月9日です。
今日はね、ちょっと趣向を変えて、「頭が良くなるように考える」とはどういうことか、を教えます。
私が先週読んだニュースの記事をあげて、副島隆彦がどのように物事(ものごと)を考えるのか、その一つのやり方を教えます。私の本や文章を一所懸命に読んでくれてる人、まあ、本気で読んでくれてるのは2000人ぐらいかな。その人たちに本気で教えます。きっと何かを分かってもらえると思う。
戦略コンサルタントを名乗っている伊藤なんとかっていう人物が書いた「三菱自動車やホンダが、中国からさっさと撤退してよかった」という内容の次の記事【無料部分のみ】を 下↓ に貼ります。
〇三菱自動車もホンダも中国を捨てて本当によかった…”勝ちすぎたドイツ車メーカー”が辿った悲劇的な結末 PRESIDENT Online 2026/06/30
(記事の転載貼りつけ 始め)
中国の景気が低迷を続ける中、撤退したり事業を縮小したりする日本企業が相次いで報じられている。戦略コンサルタントの伊藤隆太さんは「三菱自動車もホンダも、資本と技術を中国に縛られる前に手を打った。一方、中国市場で勝ちすぎたドイツ企業は、巨大な投資が足かせとなり、動けなくなっている」という――。
ドイツ車は中国に賭け、日本車は逃げた
2020年、中国政府が不動産の過熱を抑えようと規制を強めた結果、大手デベロッパーが次々と経営破綻に追い込まれた。バブル崩壊から約5年、住宅価格はいまも下がり続けている。住宅価格の下落やデベロッパーの債務問題は、建設業だけの不況にとどまらず、地方財政、家計消費、若年層雇用、外資企業の投資判断にまで影を落としている。
中国国家統計局の集計によれば、5月の小売売上高は前年同月比0.6%減と、2022年12月以来初めて減少した。1~5月の不動産投資も16.2%減と落ち込みが続く。
中国への資本の入り方も変わった。中国商務省のデータでは、2025年の対中外国直接投資(FDI)は前年比9.5%減の7477億元にとどまった。
かつて中国は、多少の政治リスクを抱えても入り込む価値のある巨大市場だった。いまは市場の大きさそのものが、供給網、技術、資本を一つの政治空間に縛りつけるリスクにもなっている。
巨大な中国市場に深く入り込んだ企業と、中国以外でも作り、調達し、撤収できる余地を残した企業のどちらが、経済安全保障の時代に企業価値を守ったのか。答えは後者だ。中国で売る力より、中国に止められても作り、売り、逃げられる力のほうが重くなった。
中国バブル崩壊後の5年は、その転換を日本企業とドイツ企業の差として浮かび上がらせた。
三菱自動車やキヤノンは、中国での生産や利益の出にくくなった事業を縮小し、損失が膨らむ前に手を打った。ソニーやホンダも、中国への一極集中を避ける生産体制の見直しに動いた。
対照的に、フォルクスワーゲン、BMW、ポルシェといったドイツ車メーカー、世界最大手の総合化学メーカーBASなど、中国で成功してきたドイツ勢は、中国市場との深い結びつきがかえって身動きの取れなさに変わりつつある。
明暗を分けたのは、中国市場を好きか嫌いかではない。技術や人材、資本、供給網が中国に縛られる前に動けたかどうかである。
三菱自動車の「撤退」は正解だ
三菱自動車は中国で勝ち切れなかった。中国の自動車市場では、電気自動車(EV)とソフトウエアを武器にした中国勢が急速に台頭し、外資のガソリン車モデルは陳腐化した。三菱自動車が苦しんだのは、市場変化への対応が遅れたからでもある。
それでも、撤退を決めたことには経済安全保障上の意味がある。2023年10月24日に公表された三菱自動車の資料によれば、同社は中国における三菱ブランド車両の現地生産を終了し、合弁会社・広汽三菱の株式を中国側パートナーに譲り渡し、工場はEVブランド「Aion」の生産に転用させるとした。連結決算では特別損失243億円を見込んだ。
経営には、勝つための投資だけでなく、負けを固定化しない撤収もある。売れない工場を中国に持ち続ければ、資金も人材も部品の調達先も中国に縛られる。EV化が進んで中国側の発言力が増すほど、日本企業は合弁会社の中で自由に判断しにくくなる。
【以下、有料記事】
(転載貼りつけ 終わり)
副島隆彦です。それからソニーも、3兆円の売り上げがあるのに、もう中国から生産工場を撤退するということを先週発表したみたい。キャノンは、もう半年前からレーザープリンターの工場を全部やめて撤退した。それでこの伊藤と言う筆者は「それに比べてドイツ車は中国から逃げられない」と言っている。フォルクスワーゲンもポルシェもBMWもね。
大企業の場合、「もう儲けが少なくなって、これ以上ここ(中国)で作り続けても売上がどんどん落ちていく。中国国内で中国企業に負けていく」という問題がある。だから先を見て決断する。工場を辞めて撤退するか、合弁会社の形になっているから、それを中国側に資本金を買い取ってもらう。そういうことをするんです。中国側が安いお金で買って引き受けるから、そこで働いている人たちの職がなくなるわけではない。
日本の大企業は、投げ捨て値段でね。本当にもう10分の1くらいの値段で売って逃げる。これまで日本では、撤退というのは悪いことなんだって思われてきた。でも私は「逃げる力」というのがあると、ずっと思ってきたんですね。
だから生産が縮小して売上も堕ちた時にどうするか。どうも時代がまた一つ変わりましたね。「逃げろや逃げろ」でも逃げた方がいいんだ。そういう考え方にどうも人類全体がなりつつある、という風に考える。これが考え方の基本のところで、今日、私が話したいことです。
日本人が小さいころから受ける教育で、思考力を鍛えるとか考える力をつけるとか。それをいう時は、積極的に物事を言うんですよ。一番わかりやすい言葉だと「生産力」とか「生きる力」とか言うわけね。それでずっと「前向きに考えて、力が増える方向に考える」という方向できたんだけど。
ところが、さっき言ったように「逃げる力」っていうのが出てきた。ここでピンときて驚かなきゃいけない。
■ 過剰生産、過剰設備、過剰在庫
今の時代、どんなものでも死ぬほど作れるんです。でも売れない。作りすぎて売れない、これを過剰生産と言います。英語で surplus サープラスと言う。余剰と訳すけど、過剰生産、過剰設備、過剰在庫ですね。私は11年前、2015年に『余剰の時代』という本を書いています。

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商品が売れないと市場から戻ってきちゃって、倉庫にいっぱい溜まってしまう。余分な在庫を抱える。これは、企業経営者にとって死ぬほど嫌なことなんです。だからセールとかバーゲンで7割引き8割引きで売る、という考え方になるんですね。ならざるを得ない。これが資本主義というものが持っている恐ろしい面なんですよ。
特にアパレルというか女性のファッション、洋服とかね、山ほどたくさん売れ残るんですよ。最近はアパレル恒例の夏や冬のバーゲンセールも「固定客だけにシークレットセール」と言いながら、バーゲンを早期から繰り替えしているそうです。

この生産力のところが逆転しちゃってね。少量生産どころか、もう作らない方がマシだとなる。そして投げ捨てていくんですね。過剰生産、過剰設備、過剰在庫。これが、現代資本主義が直面した一番重要な問題です。このことはあまり言わないことになっています。
例として、先週読んだ記事も紹介します。カインズというホームセンターがあるんですが、関東地方を中心に東海、近畿地方にもチェーン店を展開している。そこで「一日カルピスの飲み放題」というのをやったそうです。ただ(無料)で客にカルピスを飲ませるわけですね。お客さんは「たくさん飲める、1リットル飲める」とか言って喜んでいるらしい。どうも、おそらくカルピス本社が認めたんだと思う。
きっともうね余っちゃって余っちゃってしょうがないんだ、メーカー側からは。山ほど作っても買ってもらえないんだから。この「ただ(無料)で飲ませる」がこれから流行りますよ。

〇夢のカルピス飲み放題がカインズに降臨! 年に一度の大盤振る舞いイベントが7月5日に一部店舗で開催「298円の爆安セールも」
だから過剰在庫っていうのは恐ろしいものなんですよ。ということは、今ペットボトル飲料一本を160円で売ってるとして、本当は100円、50円、20円、10円で売ったっていいんですよ、生産過剰になっているから。製造原価を割ったら企業は成り立たないというところまで行くけどね。でも製造原価なんて落ちるんです。160円のペットボトル飲料を10円で売ってもいい。

〇関連記事 セブンイレブン「おにぎり2個+対象ドリンク1本」同時購入でドリンク実質無料キャンペーン開催! msnニュース 2026年6月18日
〇関連記事 「カルピスが出る蛇口」本格展開 アサヒ飲料、2026年内に50台設置 日本経済新聞 2026年7月8日
(記事の転載貼りつけ 開始)
アサヒ飲料は蛇口をひねると「カルピス」がそのまま飲める専用機材「カルピスじゃぐち」の本格的な展開を始めたと発表した。9日から設置先をホテルや温浴施設などを中心に拡大し年内に50台の設置を予定する。2030年までに累計1,000台の設置をめざす。
「カルピスじゃぐち」は、蛇口をひねるだけで「カルピス」を楽しめるサービスだ。25年に実施した実証実験ではリゾートホテルや高齢者施設など合計10台を設置し好評だったことから本格展開を決めたという。【以下有料記事】
(転載貼りつけ 終わり)
■ 鈍感力
副島隆彦です。現代の世界っていうのは、悪い意味でここまでおかしくなってる。生産力が逆方向に働く。このことを考えてください。こういう時に副島隆彦はピンとくるんです。だから、前向きに明るく元気にいい方向へいい方向へと考えると言ってきたけれども、これからは撤退する力、逃げる力みたいなのが、もう本当に大事になってきてる。
例えば、もう死んじゃったけど文芸作家の渡辺淳一(1933-2014 80歳で死)という人がいた。彼は医者で、医療小説でデビューしたけれど、晩年は『失楽園』とか『愛の流刑地』とか半分エロス小説みたいなのばかり書いていた。一応文学者で売れっ子の、評判の高い人でした。
渡辺淳一
この渡辺淳一が2010年に『鈍感力』っていうのを書いたんですね。「鋭い感覚をしていることだけがいいことなのではなくて、人間は鈍感になった方がいい。なんでもかんでもビリビリと反応しない方がいいんだ」と。この本はちょっと売れました。

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こういう否定的価値判断なんだけど、逆の方向に働く考え方をするというのが大事です。これを今日はみんなに教えようと思った。この「逆の方向に考える」「普通は考えない方向に脳を使う」ということに慣れてくると、頭が良くなるんですよ。
■ 税印は『通行税』から始まった。今は『なんでも税』
この考え方で、今日は税金の話をします。もうみんな毎日、何かを買ったら『消費税』を払わされているから身に染みていると思う。働いていたら『所得税』。どこかに住んでいたら『住民税(市民税)』を取られますね。いろんな税金が生活にかかってきている。生きていく限り避けられない問題の中でも、重要なものの一つですね。「国家を経営するために税金が必要だから」という考え方で終わっているわけです。
この税金というのが何から始まったかというと、これは歴史学を研究すると分かるんだけど、『通行税』なんです。日本の戦国時代のそれぞれの大名たちが、各所に関所(せきしょ)を作った。そこで自分の縄張りであるところの領地に入った人から『通行税』を取った。これが始まりなんです。それ払わないと捕まっちゃう江戸時代になってもまだありました。

関所【(せきしょ)は、交通の要所に設置された施設で、通行税(せきせん)を徴収していた。中世日本では、関所を通過する人馬や荷物に対して、通行税が課され、特に江戸期以前は通行税が重要な収入源となった。関所は、通行の安全を保障するための施設であり、時代とともにその役割や税率は多様化した。関所の設置は平安時代から行われており、鎌倉時代以降に多くの関所が設置された。byAI】
副島隆彦です。「通行税を払う」というのは、「ここから向こうまで、30km街道を安全に通る権利を買う」ということです。300文(もん)とか500文とかを関所(せきしょ)で払うわけです。これを世界基準では Toll gate tax トールゲイトタックスと言います。
〇参考ブログ 読書生活 通行税(関銭)っていくら?戦国、江戸の関所事情
今ある所得税とか市民税というのは、実は1940年から始まったんです。つい最近、戦後からのことで、それまではなかったんですよ。それまでは、貧乏な人たちっていうか国民の9割以上の人は税金を払っていませんでした。
それまでは日雇いの職人さんか労働者がほとんどだった。百姓たちは年貢(ねんぐ)を取られていた。年貢は税金なんです。厳しい税金で「五公五民」(ごこうごみん)と言う言葉を私たちは中学校や小学校でも習う。収穫の半分は領主様におさめて、残りの半分だけを農民たちが自分の取り分としてもらえると。
そうやってもう税金をみんな無理やり払わされてきてるから、それ以外の税金はなかったんですよ。だって会社員なんていなかったんだから。日当て労働者か職人ばっかりですね。だから税金なかった。
だけど今はもう税金ばっかりです。この税金もだんだん発達していくと恐ろしいんです。所得税、住民税、固定資産税どころか、いろんな税金が増えてきてね。最近だけでも『復興税(特別復興所得税)』(2013~2037)とか『森林環境税』(2024~)、『宿泊税』(2026~)、『子育て税(子ども・子育て支援金)』(2026~)…ほっとくと、ものすごいんですよ。
国家は税金を取りたいから、「赤字財政を賄うために」というのを理由にして。例えば、ある瞬間から不思議なことが起きた。例えば『環境税』っていうのがあります。「優れた環境を守るために、汚(きたな)い空気や水を避けるために、皆さんも協力してお金を払いなさい」という考え方。分担金の発想ですね。この分担金の発想がどんどん税金の中に広まっていって、この『環境税』から段々とおかしなことが起きてくるんです。
〇関連記事 ●国の税収9兆円増、大企業は夏のボーナス100万円超、でも好況感は… 消費税減税の恩恵どこまで一般市民に Jcast nwes 2026.07.06
■ 発想の飛躍で『税目』を考える
副島隆彦です。ここからが思想、発想の飛躍だけど、例えば『幸せ税』っていうのを、取ろうと思うと取れるんですよ、実は。「人間が幸せであるんだから税金を払いなさい」とかね。まさかそんな、と思うかもしれないけど、近年の増税を考えたら、できてもおかしくない。他には『愛情税』とか『平和税』と『戦争税』。もっとおかしな話だと、例えば夫婦であっても性行為をしたら1回ごとに『性交税』を取るとか。こうやって、もう何でも取れるんですよ。
『空気税』とか『水税』、夢を見たら『夢税』を300円払え、とかね。バカみたいなことだけど。権力者、国家っていうのは考えつく時は考えつく。そして法律を通したら取れるんです。あり得ないと思うかもしれないけど、あり得るんですよ。
まさかそんなと皆さん思うだろうけどね。税目(ぜいもく)って言うんだけど税金の名前のことです。いろんな税目を作れる。副島隆彦の思考は、そこで飛躍するわけです。こういう発想を私はいつもするんですよ。
皆さん、頭がよくなりたかったら、こうやって、「とんでもねえ」というところまで思考を積み上げてください。
歴史学を勉強すると分かるんだけど、「税金は通行税が基本」というのは、日本だけでなくて世界中どこでもそうなんです。例えば、ヨーロッパのライン川沿いにある、中世に建てられた美しいお城群というのが観光地として今は有名です。

このライン川とか、他の川でもそうですが、川岸にお城があって、当時はお城から大砲を構えてるわけね。それで「この川のここからここまでの50kmを船で安全に通りたかったらお金を払いなさい」と。これが通行税です。

日本では『運上金(うんじょうきん)』と呼んだけど、船に税金をかけるんですね。逆にね、商人たちは税金を払いさえすれば、その区間は安全に通れると言って、税金を喜んだんです、実は。安全通行の地位、立場を喜んで買ったんです(通行税を支払った)。

ただ、繰り返し利用している人たちは、あまりにも領主様というか権力者が多いとそのたんびに税(お金)を取られるから嫌になったのね。だから織田信長が楽市楽座(らくいちらくざ)をして、関所を撤廃したんですよ。自分が権力者として支配した領域からは全部。商人たちは喜んだろうね。300km500km通行する分に関して、税金を取らないって言ったわけですから。

これが税金の怖さ、いうことです。室町時代、戦国時代の前ですけど、戦国時代最初の頃の、要するに暴力団の親分がやがて大名になるんですけどね。この何があったかというと『棟別銭(むなべつせん)』というのを取ったんです。『段銭(たんせん)』とも言います。我々は日本史を勉強してるから言葉だけは分かるんだけど、ただどこにも説明ないんです。この棟別銭が、商人たちへの税金の始まりです。
これは何のことかといったら、やっぱり領主様が強いとね、お城の周りに城下町ができて、市場ができるわけです。そこで交易をする。交易は奈良時代や平安時代では昼間だけ、天気がいい時だけやっていた。両天秤に収穫物を入れて、自分がその日に売りたいものを自分で天秤棒に担いで、何回か往復するかもしれないけど、運んで持ってくる。そして、人通りがあるところに筵(むしろ)を敷いた上に商品を並べて置く。そうやって売ったんです。

それが今に残っているのが露店【ろてん】ですね。あれがお店の基本なんですよ。だから夜になると泥棒とか強盗が来るから危ない。夜になる前に、商品を全部持って行ってどこかに持っていて隠すんですね。それが始まりです。

だから、「小屋掛け(こやがけ)」って言うんだけど、簡単な屋根だけ拭いて、板かなんかを敷いて雨が降っても簡単には濡れないようにする。そして、いつでも撤去できる。ヨーロッパでもバザールはそうですね。マーケットですけどね、市場(いちば)、マーケットです。フランス語でマルシェ、メルクトっていうのはスペイン語かな?メルカリっていうのもマーケットのことです。それからドイツではヴォーヘンマルクト。だからこうやって市場っていうのができるんですね。

今でもある。観光地の都市の真ん中で、毎日、朝に来て商品を並べて、夕方片付けて夜は全部撤退することっていう市場が、かなりあります。
領主がしっかりしていて、もう襲われない、危なくない、と言う状況になったら、家を建て出すんですね。きちっとした木造の。そして商店を構えていくわけです。商店がずらっと並んで固定しされていくわけです。そこに商人たちも住むわけですね。売上が安定してちゃんとあるしっかりとした大店(おおだな)なってくると、彼らに領主が税金をかけるんですね。それが棟別銭なんです。お互いにもう了解してるわけです。
ところが、暴力団たちっていうのがどこの国でもどんな時代もある。日本ではもう目立たくなったけど。フィリピンやインドネシアとかの途上国では、今でもね市場に暴力団が入り込んできてね、オラオラ言って、『みかじめ料』と昔は日本語でいいましたが、それを取りに来る。「ここはなんとか組の縄張りなんだ。ここで商売をやるならお金払え」と言うやつです。お金をせびって回る。今でもあるんです。本当にものすごいんです、このみかじめ料というものは。これも税金の一緒ですけどね、国家が取るんじゃない。

これは本当に、今でもものすごいんですよ、アフリカや南米諸国では。チラッチラッとテレビの片隅で映るんですね。商人たちがいやそうな顔してるのが映る。でも払うんですよ。
日本はそれ戦後、明治大正昭和の時代になくしていったんです。で、暴力団を暴体法(●)で警察と政府が押し詰めていったから。もう『みかじめ料』というものをほとんど払ってない時代になりました。

そのもう一つの別の姿が『サラキン』(サラリーマン金融)なんですね。昔は年率が100%というのがザラにあったんです。50年前、私が大学時代は49%でしたね。サラキンとかマチキン、あるいは暴力団金融があったのね。もうそれ表面上なくなったことになっています。それも税金の一種と言えます。

ほんの20年くらい前に日本はサラキンを廃止して、年率15%以上は絶対取らせないという法律に変わったんです。その後、大銀行がプロミスやアコムとかを買収して、大銀行が今は子会社に消費者金融をやらせているんです。

その商人たちはしっかりとした市民です。その市民階級の商人たちが次に払わされた税金が『●』だと思う。これは「お前のところの長男坊を兵隊で取られないようにしてやる。その代わりに税金を払え」というものです。これも基本の税金です。これはかなり根本的な話なんですが、どの本もあまり書いてません。税法にも書いてない。だけど、かなり本気の話です。今でもアメリカなんかで政治家上院議員の息子たちが戦争で徴兵で行ったときは、後ろの方にいるというか、戦争とは関係のないところにいる。最前線には行きません。
これをアメリカ国民は皆知ってるわけです。だからこの「戦争と税金」というのが人類の基本です。息子を戦争に取られないように税金を払う。これも人類のかなり厳しい現実なんです。
もうこれぐらいにします。今日は「逃げる力」というのを例に話しましたが、知識の蓄積と組み立てを、副島隆彦はこのようにやってきた。だから皆さんも、発想、発想を飛躍させていく方法というのを、自分でも考えなきゃいけません。何かを読めば何でも分かるというものではないんだ。思考は組み立てていかなければいけない。それによって疑う力が生まれて、批判的精神が生まれて、裏側が見えてくる。そういうことがたくさんあるんです。
(終わり)
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