「188」漫画『ワンピース』には、実在の大海賊たちがいた

副島隆彦です。今日は2026年7月2日です。

今日は、漫画の『ワンピース』について論じます。

私がなぜ私が『ワンピース』のことを評論しなければいけないのか。後ろに貼り付けますが、4月17日に私がネット上で拾った記事がきっかけです。


ワンピース【海賊王を夢見る少年モンキー・D・ルフィを主人公とする、「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」を巡る海洋冒険ロマン。夢への冒険・仲間たちとの友情といったテーマを前面に掲げ、バトルやギャグシーン、感動エピソードをメインとする少年漫画の王道を行く物語として人気を博している。また、長年にわたりながら深く練り込まれた壮大な世界観・巧緻な設定のストーリーも特徴。ONE PIECE – Wikipediaから】

作者の尾田栄一郎

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副島隆彦です。日本国内で4億5千万冊売れて、海外で1億5千万冊。これには、数千万人いるといわれるオンラインを含めてアニメ版などを見た人たちは含まれていないそうです。今は何巻まで出ているの?毎月一冊?

【調べましたら、明日2026年7月3日に最新刊115刊が出る予定です。一冊が10話くらい。週刊雑誌の連載でたまに休載もありますので、だいたい4か月に一冊新刊が出ています。】

あなた(秘書S)も読んだことがあるの?

【はい。私は自分の子供が愛読していた(る)ので、それにつきあって66巻くらいまでは読んでいます。登場人物が増えて読み返す必要が出て来たのと、描写が性的に鼻につくようになって読まなくなった。でもやっぱり気になって、話題が出た時は「今どうなってる?」って聞いてしまう。私の身近でも『ワンピース』愛読者は多いですよ。今日は大丈夫かなあ…先生は?】


ONE PIECE.comから女性登場人物

私にとって『ワンピース』はですね。20年以上前に私の息子がテレビで見ていたり漫画本を買ってきているのを、私が横でチラチラ見てたことがあるくらいです。大した時間量ではありません。一所懸命、うちの息子と奥さんにどういう話なのか聞いたんだけど、ほとんど何も教えてくれませんでした。すなわち解説できないんですね。うちの家族では。

この『ワンピース』について、副島隆彦があれこれ書かなければいけないものかと考えますがね。やはりこれだけの影響力のある大作の日本漫画について、全く論じないというわけにはいかない。おそらく日本人が分かっていないだろうことを、私が話します。

もう最終章に突入したのでもうすぐ終わると言われていますね。
【もう何年も前から言われてる】集英社の週刊ジャンプという少年漫画雑誌に『ワンピース』の連載が始まったのは1998年からだから、もう28年経つわけです。実写版というのがあるようですが、その話はしません。

アメリカにReddit(レディット)という掲示版ありまして、これはアメリカの若者をはじめ気の利いた民衆、政府に批判的な人間たち、リバタリアンとかが参加しているサイトなんです。このRedditのワンピース版には600万人のフォロワーがいると。これはフィクションの作品としてはスターウォーズの460万人やハリーポッターの360万人を超えて、世界一だそうです。

Reddit(レディット)【アメリカ合衆国の掲示板型ソーシャルニュースサイト。主に英語圏のユーザーを対象とする。ニュース記事、画像のリンクやテキストを投稿し、コメントを付けることが可能。カリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置くReddit, Inc.が運営する。2025年2月時点の月間利用者数は7億6500万人。Reddit – Wikipediaから】

〇参考YouTube #おしえてソエジー#副島隆彦の言論「リバータリアニズム」「私は リバータリアンだ」と言う人がアメリカ全土で増えている。キレイごとを言わない。徹底的に個人主義で、個人の意見と判断を尊重する。

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■ 『ワンピース』は、「仲間を作る技術」を描いている

私が偶然ネットで拾った記事(後半は有料)というのがこれです。タイトルは『世界を支配するのは誰か。最終章に突入したワンピースが問いかける反キリスト的な壮大な問い。ピーター・ティールが考察』というものです。月刊誌『文芸春秋』の2026年3月号に全訳が載ったそうで、その一部の解説がネット記事になった。この記事を読んだことで、私が自分のワンピース論を書いておかなきゃと思ったんです。

それで、ピーター・ティールが何と言ったか。一言(ひとこと)で言うと「『ワンピース』のルフィはキリストだ」ということのようです。無料部分だけ読めばいいです。


〇関連記事 ピーター・ティールのワンピース論 | ピーター・ティール | 文藝春秋PLUS 会員用 2026/01/08

(記事の転載貼りつけ 無料部分のみ 始め)
2016年の米大統領選挙の共和党候補選びでトランプが躍進し始めたころ、日本の官界や知識層には、はなから高を括る姿勢が顕著だった。そんな中で、一部の観察者が鋭敏にアメリカで起きている地殻変動の気配を嗅ぎ取ったきっかけは、フェイスブックへの初期投資で同社を育てたり、オンライン決済サービスPayPalを共同創業したりして「シリコンバレーのドン」の異名をとっていたベンチャー投資家ピーター・ティールのトランプ支持表明だった。

筆者自身、16年夏に全面的に民主党支持だったシリコンバレーの大物たちの中からティール1人が飛び出して、トランプを大統領候補に正式指名した共和党全国大会で演説をすると決まった時、米国の知人の若手保守派知識人が異様な興奮ぶりを見せていたのを思い出す。16年のトランプ当選後、政権移行チームに入ったティールはIT業界の大物たちをトランプに引き合わせたが、大物たちは当時「トランプ現象」の意味を見通せず、トランプと距離を置き高を括ったのは日本のエリート社会と同様だった。

ティールは22年中間選挙で、かつて自分の下で投資家修業をしたJ・D・ヴァンスの上院議員選出馬を支援し当選させると、24年大統領選挙のトランプ返り咲きに当たっては、そのヴァンスを副大統領に据える工作の中心となった。ヴァンスをトランプの後釜にして、アメリカの新時代をつくり出そうとするティールの企図がのぞく。そうしたティールの目的は何なのか。

一般にティールはIT業界によく見られる、自由な技術発展と市場原理を追求するテクノリバタリアンだとみなされてきた。ただ、16年のトランプ支持表明以降、主に米英の言論界でティール思想を探る動きが活発になり、その宗教的発言が注目されるようになってきた。母校スタンフォード大学での講義を基にした著書『ZERO to ONE』(原著2014年刊)も日本ではビジネス書と受け止められたが、スタンフォードで哲学を学んだ時の恩師であったフランス人ポストモダン哲学者ルネ・ジラールの模倣欲望論などの影響が強くうかがわれ、背後には独特の宗教観がのぞく。

宗教系誌First Thingsに2025年10月1日付で発表された本論考(本号と次号に2回に分けて掲載。原題 Peter Thiel & Sam Wolfe, Voyages to the End of the World(「世界の終わりへの航海」))は、そうしたティールの思想的現在地と、彼がトランプ=ヴァンスを通じてアメリカを誘導していこうとする方向性を考える上で、貴重な判断材料となろう。

論考のテーマは「神と人と科学技術」だ。前世紀に原子力の世界に踏み込み、さらにAIやバイオ技術の発展で人類は存在論的課題に向き合っている。その最先端に立つティールがキリスト教神学の知識を縦横に用い、果たして人類は「反キリスト」=滅亡の危機に直面しているのかを論じる。

近代のはじめにそれを論じた哲学者F・ベーコンから『ガリヴァー旅行記』の風刺作家J・スウィフト、現代では世界的に話題を呼ぶ尾田栄一郎の未完の長編コミック『ワンピース』が重要な題材だ。

なお『聖書』の引用は新共同訳と英語の欽定訳を参照、ベーコン『ニュー・アトランティス』は岩波文庫(川西進訳)、『ガリヴァー旅行記』は同文庫(平井正穂訳)を用いたが、一部は改変した。

〇関連記事  『ワンピース』のルフィはキリストだ | ピーター・ティール | 文藝春秋PLUS 会員用 2026/02/07

『ウォッチメン』は反キリストの科学擁護
著作の人気で判断するなら、スウィフトはベーコンとの論争で勝利したと言える。今日でも何百万もの読者が『ガリヴァー旅行記』に笑い転げている。思想の影響力で判断するなら、最終的にはベーコンが勝利した。スウィフトが懸念した科学技術による詐欺は、今日、憂鬱なほどまで現実味を帯びている。しかし全体として見れば、ベーコン流科学は予言したほぼ全てを実現した。スウィフトは科学者たちが胡瓜(きゅうり)で世界を照らそうとする試みを嘲笑したが、1879年にはエジソンが白熱電球で成功を収めた。ガリヴァーの孫たちが彼の航海を再現したければ、1780~90年代に英国船を高速化した銅板張り船体と鉄製接合、さらにその数十年後に登場した鉄製蒸気船で、迅速かつ安全に実現できたはずだ。19世紀のワクチン、自動車、電話、蒸気機関車は、スウィフトが描いたラガードではなくベーコンのベンサレムの予想が正しかったことを示した。

しかしスウィフトの空飛ぶ島は、科学の「軍民両用」問題を予見していた。サミュエル・コルトが最初のリボルバーを設計したのは1830年、リチャード・ガトリングが機関銃を製作する30年前であり、その6年後にはアルフレッド・ノーベルがダイナマイトを発明した。ノーベル賞創設で良心の呵責を和らげたノーベルは、この流れがどこへ向かうかを誰よりも理解していた。第一次世界大戦で起きた凄惨な殺戮にもかかわらず、さらに多くの死者を出す戦争が続いて起きるのを阻止できなかった。1943年までに、平和を待ち望む声が拡がる中で、米大統領選で共和党大統領候補だったことのあるウェンデル・ウィルキーが『ワン・ワールド』を出版した。この旅行記はスターリンの粛清を適当にごまかし(「スターリンは淡いパステル調の服を着る」と記したりしている)、世界政府樹立が望ましく、また必然だと主張した。『ワン・ワールド』はアメリカ史上最も売れたノンフィクション作品のひとつとなった。

▶︎第二次大戦後の「ワン・ワールド」構想
第一次世界大戦の激戦地ソンムでの機関銃の乱射がベーコン的楽観主義に傷をつけたならば、核兵器はそれを完全に吹き飛ばした。原爆開発を遂行したロスアラモスはベーコン的科学の目指した終着点であり、到達点でもあった。科学が世界を終わらせる手段を生み出した一方で、今や世界は科学を終わらせる手段を求めだした。『ワン・ワールド』は1946年のプロパガンダ映画『ワン・ワールドか、さもなくば滅亡か』へと変貌し、世界政府を遠い未来の希望ではなく差し迫った必要性があるものとして描いた。「国際連合は原子力の全世界的管理を確立せねばならない」と映画のナレーターは声を大にして訴えた。「選択は明白だ。それは生か死かである」。原爆開発者J・ロバート・オッペンハイマーも同意した。「世界政府なくして恒久平和はありえず、平和を達成できなければ原子爆弾戦争は避けられないと多くの者が言う。この見解に同意せざるを得ない」。

冷戦は「ワン・ワールド」構想に幕を引いた。しかし1963年、キューバ危機から1年も経たぬうちに、冷戦の闘士であるジョン・F・ケネディが躊躇しながらもこの構想を再燃させた。アメリカン大学卒業式での演説でケネディは「単に我々の時代の平和ではなく、永遠の平和」の夢を語った。この平和は「紛争を解決し……最終的に軍備を廃絶できる条件を整える国際システム」によって実現されるはずだった。ケネディ暗殺に米政界の関与を疑う者の中には、この演説が彼の運命を決定づけたと考える者もいる。

▶︎「世界を見守り、人類最後の時を生きる者」というヒーロー像
それから20年後、ハルマゲドンへと夢遊病のように向かう世界を目覚めさせるため、アラン・ムーアはスーパーヒーロー漫画『ウォッチメン』(1986~87年)を執筆した。これは反キリストを現代的に描いた作品である。『ウォッチメン』はパラレルワールドが舞台だ。冷戦は激化し、リベラルな国際秩序は終わったように見える。物語が始まる1985年にはリチャード・ニクソンが五期目の大統領を務めている、という想定だ。

書影『ウォッチメン』
ムーアのスーパーヒーローたちは二つの意味で「見張り人(ウォッチメン)」である。世界を見守る者であり、人類最後の時を生きる者だ。ムーアがタイトルの由来とした『イザヤ書』の「厳しい幻」は両方の意味を包含する。「わが主はわたしにこう言われた。『さあ、見張りを立てよ。見るところを報告させよ』」(イザヤ21:2、6)。『イザヤ書』の見張り人はバビロンの終末的崩壊を目撃する。『ウォッチメン』冒頭の血まみれのコマから、ムーアが繰り広げる世界にも同じ運命が待ち受けているように見える。各章の終わりには、真夜中へ向かって時刻を刻む世界終末時計が描かれる。核兵器時代において、ムーアのスーパーヒーローたちはどこか滑稽だ。1人を除き、超能力を持たない。だが、独立性と行動力がある彼らは危険な存在である。物語の中で市民の抗議者たちは「誰が見張り人を見張るのか」と、古代ローマの風刺詩人ユウェナリスの言葉を引用して叫ぶ。これに対し、物語の中で1977年にキーン上院議員の提案で制定された条例は政府公認以外のスーパーヒーローを非合法化しているという設定だ。それを受けて、ウォッチメンが1人ずつ殺害されていくところから、物語は始まる。

▶︎時空を超越する天才科学者、ドクター・マンハッタン
『ウォッチメン』で唯一の超能力者であるジョナサン・オスターマンは原子物理学者だ。実験室の事故でオスターマンは「ドクター・マンハッタン」へと変身する。彼は素粒子を操り、時空を超越する存在であり、人工知能と核兵器を融合させたような存在となっている。ドクター・マンハッタンは、現代における終末論的論理を強調するような存在でもある。このマンハッタンの脅威をもってしても冷戦を緩和できないなら、いったい何によればいいのか、とムーアは問う。

(転載貼りつけ 終わり)

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副島隆彦です。『ワンピース』が一体、何を表現しているか。簡単に言うと、「仲間を作る技術」ということです。この物語の登場人物の基本行動は、「敵だらけの海に出て行った時に、仲間を作って、逆境にめげないで、挫折しないで、みんなで団結して共同行動を取る」ということですね。「良い理解者たちが外側にいるから、その人たちを求めて行動する」ということです。

私はどこかで読んだけど作者の尾田 栄一郎(おだ えいいちろう 1975- 51歳)がインタビューで「自分(尾田)は12歳から年を取らないんだ」と言っていた。12歳以下の子どもの世界にずっと留(とど)まり続けるんですね。成長がないというか、あえてしない。大人の世界を拒否しているんですね。それで世界性を獲得すると。

 

■ 『ワンピース』には実在した海賊の話の元ネタがある

それで私が種明かしをしますが、この漫画家 尾田栄一郎が作者の『ワンピース』には、実は原作があります。というかモデルになった人物とその背景があるんです。おそらくは、ストーリーを展開していく上で、尾田栄一郎を支えて情報を与えている人たちがどうもいるようです。『ワンピース』の作者(たち)はそれを細かく調べているんですね。

【ああ、なるほど。『ワンピース』は、何年も遡(さかのぼ)っての、少年漫画の常識を超えた伏線回収が魅力の一つです。これらストーリーのすべてが作者一人の創作というのには、ずっと違和感があった。それなら深く納得です。どうして公(おおやけ)にしないのかな】

伏線の例 バーソロミューくまのセリフ
〇参考ブログ ワンピース、くま!壮絶すぎる人生を年齢ごとに年表まとめ!肩書きありすぎ!ジニーとボニー誕生。旅行するならどこに行きたい? – 平成令和JUMP (←クリックしたら移動します)

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副島隆彦です。“海賊もの” という分野がストーリーの基本にある。1810年頃、アメリカにジャン・ラフィットという大海賊が実在したんです。このジャン・ラフィットを描いたのが、1958年の映画『The Buccaneer(大海賊 バッカニア ジャン・ラフィット: ニューオリンズの紳士海賊) 』です。日本語版にはなっていません。ユル・ブリンナーという、坊主頭のアメリカの俳優がジャン・ラフィットを演じました。ユル・ブリンナーは、映画『王様と私(1956年)』の王様の役が当たって有名になったロシア出身の俳優で、西部劇にもよく出ていた。

ジャンラフィット と ルフィ
ジャン・ラフィット【(1782年9月15日 – 1826年?) は、19世紀初期にメキシコ湾で活動した海賊。合衆国によるルイジアナ買収(1803年)後、ニューオーリンズ近くのバラタリア に “王国” を設立した。米英戦争のニューオーリンズの戦いにおいて、1000人以上の兵士をアンドリュー・ジャクソン側(アメリカ側)に出して エドワード・パケナム(Edward Pakenham)率いるイギリス軍と闘った。ジャン・ラフィット – Wikipedia 参照】

1958年の映画『The Buccaneer』からワンシーン

このジャン・ラフィットの「ラフィット」が「ルフィ」になったんです。【なるほど。ちなみに『ワンピース』には、ラフィットという人物も出てきます(初登場は234話、23巻)】

ラフィット

実在したジャン・ラフィットは、アメリカのカリブ海に面したルイジアナ州ニューオリンズのバーボン・ストリートというところにいた。1803年の、米英戦争のニューオーリンズでの戦いの時、第7代大統領になったアンドリュー・ジャクソンの助っ人(すけっと)に行ってイギリス軍と闘ったんです。アンドリュー・ジャクソンは軍人です。軍人が大統領になったんですね。その後、隣のテキサス州のガルベストン島に海賊の街を作った。

1810年ごろですから、スペイン帝国とも戦っている頃だ。スペイン帝国がメキシコをとっていたわけですから。そこからやがて独立していったのがテキサス州(1820年)ですね。

 

■ 映画とオペラ、「海賊もの」の基本

“海賊もの”はもっと古くからあります。『パイレーツ・オブ・ぺンザンス』(ぺンザンスの海賊 )というのがある。ギルバート・アンド・サリヴァン という作者たちがいて、1879年の作品ですね。130年以上前のヨーロッパのオペラです。

それがアメリカのブロードウェイでもミュージカル作品として演じられた。この『パイレーツ・オブ・ぺンザンス』は“海賊もの”の基本です。『ワンピース』は、ここからも影響を受けていますね。

パイレーツ・オブ・ペンザンスから一場面

 

■ 『ワンピース』に影響を与えている古典文学作品たち

『ワンピース』は、主人公のルフィがいつか海賊王になることを目指して旅をするというストーリーですね。カリブ海をイメージする、どこかの島にあるワンピース(ひとつなぎ)の秘宝を探して航海を続けて、それを手に入れた人が海賊王になると。

カリブ海はかつて15世紀ぐらいから海賊が栄えた土地です。だから“カリブの海賊” (カリブ海の海賊 (歴史) – Wiki)というテーマが、その頃からある。

彼らはバッカニア(バッカニア – Wiki)と呼ばれました。あなたがさっき言ったバーソロミュー(バーソロミュー・ロバーツ – Wiki)という名前の大海賊もいましたよ。


カリブ海

このテーマで、1967年にウォルト・ディズニーが「カリブの海賊」というアトラクションを作ったんです。【アトラクションのボート乗り場の看板には、「LAFFITE’S LANDING(ラフィットの船着場)」と記されている】

その後、ディズニー映画にもなりました。2003年のジョニー・デップ主演の映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』(The Pirates of Caribbean)でわーっと人気がでてシリーズになっている。

それから、『ワンピース』には他の筋立てからの影響も垣間見えます。ジュール・ヴェルヌ(1828-1905 77歳で死)というフランスの作家が小説を書いて、そのうちの3つが映画になっている。

一つは『80日間世界一周』(1873)という小説です。映画(1956)の方は、見た人がたくさんいると思います。この映画は日本でも撮影がされていて、鎌倉の大仏とか京都の平安神宮、芸者や温泉宿とかが出てくる。気球に乗ったりして、とにかく80日間で世界を回る。古い映画ですけど大作です。

二つ目が『海底二万里』(1870)。これも映画『⚫︎海底二万哩(マイル)』(1954)になって、私は少年時代に見ました。ディズニー映画です。ネモ船長という恐ろしい人が出てきて、初期の古い潜水艦ノーチラス号で、敵である海賊かなんかを撃退に行くんです。この映画も素晴らしい作品だった。

三つ目が『征服者ロビュール』(1886)です。これも映画『キャプテン・ロビュール』になってますが、これは空飛ぶ戦艦の物語です。これも、麦わら一族のルフィたちのテーマを作ってますね。【ルフィ達のサニー号はなんと、空中を1km飛べるんです】

空中艇(くうちゅうてい)と言うテーマは、これは宮崎 駿(みやざき はやお)の天空の城ラピュタにも大きな影響を与えています。ラピュタにはガリバー旅行記とかも入ってますけど(ラピュタと言う名前は、ガリヴァー旅行記の空飛ぶ島「ラピュタ王国」からとっている)。ですからこういうのがワンピースの原型にあるんです。【ああ、空島スカイピア】

こういう古典の物語が基本になっているんです。日本人は知らないで『ワンピース』を読んでいるけど、知識として知っておいた方がいいですね。

あとは何だろう。『メトロポリス』っていう映画がある。これは1980年の映画ですけどね。これにロボットが出てくる。ロボット映画の原型みたいなね。

あと影響を与えたのは、アメリカで1827年にスタートした児童向けミステリーのシリーズ、『ハーディ・ボーイズ』The Hardy Boysという小説がある。日本語にしたら、「少年探偵団」という言葉になるんだけど。これをアメリカの少年たちはものすごく読んだんです。

これは例えば日本では、私の世代が手塚治虫の漫画に夢中になったのと同じですね。手塚治虫の黄金時代を私は横目で見ながら生きてきましたから、気持ちがよくわかりますが。『ハーディ・ボーイズ』は、アメリカ(1977)やカナダ(2022)でテレビドラマにもなりました。

〇参考ブログ フランクリン・W・ディクソン原作 ドラマ「ハーディ・ボーイズ」シーズン3本予告編 | Librarian Nightbird

ですからストーリーラインって言うんだけど、これがある限り、『ワンピース』は続くんですよ。これらの古典文学作品をクラシックスといいます。100年経っているとクラシックスなんです。『ワンピース』にはこのクラシックスとSF(Science Fiction)とミュージカルの要素もある。

【2016年に、『ワンピース』はスーパー歌舞伎にもなったんですよ】

conspicuous conceptionって言うんだけど、顕示的消費、贅沢と訳される。「あえて、目に見えて見せびらかす」というこの考え方、テーマがスーパー歌舞伎にあって、これが大事です。

 

■ 世界政府はディープ・ステイト

『ワンピース』には「世界政府」、ワールド・ガバメントというのが出てきて、これが大きく言うと悪(ワル)なんですね。ルフィたちはこの世界政府と戦う。それで最近、漫画の中の話で、「世界政府」を「ディープ・ステート」と言い出したようです。はっきりと、尾田栄一郎がそう書いたそうです。だからルフィたちはディープ・ステートと戦っているんですね。

【ちょっと分かり易すぎるような。ルフィ達こそが(良い)ディープ・ステイトだっていう考察もありますよ】

いやいや、もうそんなことを言い出すときりがないから。私はそういうのは相手にしません。ストーリーを壊すと読んでいる方が困る。

【私は読んで面白かったから貼っておきます】
〇参考ブログ 【AIラジオ】麦わらの一味の「ディープステイト」的性質に関する包括的構造分析 #ONE PIECE #考察

 

副島隆彦です。でもまあ、ディープ・ステイトといっても複雑構造ですからね。紙一枚めくると、全く反対の世界が現れるという。政治の世界なんかまさにそうでね。私はそういうのをいっぱい見てきましたから。

 

■ 30年前に、日本のアニメがフランスで放映されていた

30年前に、私はパリのホテルでテレビをつけたら、日本のアニメ『マジンガーZ(ゼット)』をやっていた。フランスでの普通のテレビ局で放映していたんです。きっと何回も再放送していたんでしょう。ものすごい人気だったと思う。

あと、アニメではなくて東映が作った『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975~77)ですね。【その後の『ウルトラマン』(1966~)『仮面ライダー』(1971~)…総称して「スーパー戦隊シリーズ」というそうです】

これが海外でも人気がでた。だからゴレンジャーの、日本人が(着ぐるみなしで)演じてるところだけを、アメリカ人に置き換えちゃったのね。でもそれ以外のところは日本語で撮ったやつなんですよ。着ぐるみを着て演じてるシーンはそのまま(日本人)。脱いだらアメリカ人、というね。

これらをベースにアメリカで『パワーレンジャー』(1993~)いうテレビドラマが制作された。

パワーレンジャーが、アメリカでものすごく売れたんです。ヨーロッパでも放映された。パワーレンジャーシリーズを作ったアメリカのサバン・エンターテイメントのハイム・サバンという人はエジプト生まれのユダヤ人(アメリカ合衆国とイスラエルの二重国籍者)だから、中東でも放映された。湾岸諸国を含めて、中東の子どもたちに熱狂的に支持されたそうです。今、東映がその権利をもう一回買い直して何かをやってるらしい。

〇関連記事 大作「パワーレンジャー」で蘇った日本のスーパー戦隊 産経新聞 2017/6/12

 

■ 世界に席巻する日本の漫画

だから日本の漫画がこれだけの影響を世界に与えて、それがテレビのアニメ(アニメーション)になりました。この話にどうしても移ってきますね。

だから私は、ワンピースを論じた次はですね、どうしてもドラゴンボール論もやりますよ。なぜなら今のフランスの大統領のマクロンが『ドラゴンボール』を好きなんですね。【ドラゴンボール論を別にするなら、今回はワンピースから外れないで】ちょっと外れる。もうちょっと。しょうがないんだ。あとサウジアラビアの次の国王になるムハンマード・ビン・サルマン、MBSって言うんだけど、中東最大の権力者です。サルマンがまた大好きなんだ、『ドラゴンボール』を。

『ドラゴンボール』の作者の鳥山 明(とりやま あきら 1978-2024 68歳で死)は数年前に死にました。今日はドラゴンボール論はやりませんが、やっぱりナンバー・ツーは『ドラゴンボール』ですね。フランス人たちが一生懸命見たんです。マクロンは私より若くて60代ですが、私と同じ今70代の人も皆、少年時代に見てるんですね。

【ワンピースの話に戻れますか?】もうちょっと待ってね。それとナルト。ナルトがドカーンとアメリカでもヒットした。『忍者タートル』(1984~)というのが先にあった。タートルというのは亀ですから、亀が忍者の格好してるんですけど、この“忍者もの”の漫画がアメリカでものすごくヒットとしたんです。ナルトも“忍者もの”ですね。少年ジャンプだと思う。長く連載しているでしょう。ワンピースと同じくらいかな。

ナルト【週刊少年ジャンプで1999年43号から2014年50号まで。全700話で、単行本は72巻と外伝1巻です。

最近、トランプ大統領がナルトに扮した動画をSNSにあげて物議をかもした、という記事を見て、アメリカでナルトは人気があるんだなと】


〇関連記事 トランプ大統領が「ナルト」に扮する動画が物議、中国ネット「気の毒」「著作権料を請求したらいい」

女の子は『セーラームーン』ですね。あと、『コナン』というのがあってね、あなたコナンのこと知ってる?

【『美少女戦士セーラームーン』も『名探偵 コナン』も、どちらも子供が夢中で見ていたのを横で見ていました。「また小学生が殺人現場に居合わせたの?」とかブツブツ言って】

コナンのアメリカ版もすごいみたい。だからゴレンジャー、ナルト、コナン・・・そうやって現在に繋がってるんですね。

あとはやっぱり、これも言っとかなきゃいけない。剣士はアメリカでは「ソードマン」と言うんですが、ソードは武器、刀です、だから「刀マン」です。その異名をとった千葉 真一(ちば しんいち 1939-2021 82歳で死)という映画俳優がいた。

千葉真一【日本を代表する映画スター・アクションスターとして、海外ではSonny Chiba(サニー・チバ)の通称で名高い。吹き替えに任せず、特技の器械体操・極真カラテ四段・乗馬・スキー・少林寺拳法弐段を活かしたアクロバティックなスタント・殺陣を自ら演じてきたことや、名優としての存在感も併せ、定評を博している。
芸能生活は60年を越え、映画・テレビ映画・ドラマ・演劇など、計1,500本以上の作品に出演[36][37]。創設したジャパンアクションクラブ (JAC) からは、数々のスタントマン・スーツアクター・殺陣師・俳優・アクション監督を輩出している。本職だけではなく、指導者として後進の育成をし、映画・演劇の演出、製作にも参画するなど、多岐にわたり活躍していた。千葉真一 – Wikipediaから】

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副島隆彦です。ジャパンアクションクラブ(JAC)というのをやっていたんです。日本ではバカ扱いされてほとんど知られないまま、ジャパンアクションクラブは借金を十何億円抱えて倒産した。千葉真一は苦しみながら死にました。奥さんの野際陽子(のぎわようこ 1936-2017 81歳で死)が一生懸命助けたんだけど、やっぱり助けきれませんでした。


野際陽子(1972年の写真)

千葉真一はブルース・リーやジャッキー・チェーンの日本版ということで。アメリカの黒人たちにものすごい人気があったということが、すごいことです。アメリカではSonny Chiba(サニー・チバ)と呼ばれて、その名前を知らない人はいませんよ。

あと、『キーハンター』とか色々、日本でもテレビ番組とか映画を作って頑張ったんですけど、日本人はあまり相手にしなかった。かわいそうなことをしました。

だけど千葉真一はクエンティン・タランティーノ監督の『キル・ビル』(2003)という大作映画に出ています。あれが最後じゃないかな。すごいことなんですよ。タランティーノの映画に出演したっていうことだけでもね。もう話がずれちゃったから終わり。【はい。話を戻しきれませんでした】

『キル・ビル』に出演する千葉真一

 

(終わり)

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