日本政界●情報メモ
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「植草一秀の『知られざる真実』」から貼り付けます。
(転載貼り付け開始)
2010年6月18日 (金)
「菅政権の超緊縮財政政策が日本経済を破壊する」
1992年から2010年まで、日本経済はゼロ成長を続けた。この間、米国経済は2.24倍の規模に拡大、中国経済の規模は12.08倍に拡大した。日本は世界経済の成長から完全に取り残されて、停滞の20年を経験したことになる。
日本経済長期低迷の原因は三つある。第一は、1980年代後半のバブル経済の後遺症が大きかったこと。第二は、不良債権問題の早期適正処理を実行できなかったこと。第三は、経済政策が適正に運営されなかったこと、である。
「山高ければ谷深し」という言葉がある。1980年代後半、急激な円高進行のなかで、金利が急低下し、日本の資産価格が急騰した。日銀は1987年以降にマネーサプライを抑制しなければならなかったが、米国発の株価急落=ブラックマンデーなどが発生したことなどを背景に、金融政策の引き締めへの転換が遅れた。
その結果、日本に大規模な資産価格バブルが発生した。1990年代に入り、バブルが崩壊し、その余波として経済活動に強い下方圧力が生じたのである。
しかし、20年間も経済停滞が持続したのはバブル崩壊だけが原因ではない。バブル崩壊に対応する経済政策が適切に運営されなかったことが強く影響した。
第二の要因として提示した不良債権問題早期処理の失敗。日本政府は不良債権問題が表面化した1992年に抜本的な対応を実行するべきだった。ところが、大蔵省は天下り先の破たん処理に消極的な姿勢を示し、何も対応策を取らずに、問題を先送りした。
1998年になって、小渕政権が初めて抜本的な対応に動き始めたが、その後、小泉政権がマクロ経済政策対応を誤り、結局、問題が完全に解決せぬまま、20年の年月が流れたのである。
全体を通してみると、日本経済低迷20年の最大の要因は、経済政策運営の失敗にある。日本経済は1996年と2000年に本格浮上するチャンスを得た。いわゆる巡航速度の経済成長が実現し、この安定成長を維持すれば、さまざまなひずみが解消する好機を得たのである。
このチャンスをつぶしたのは、財務省の近視眼的な財政再建原理主義だった。1997年度、橋本政権は景気と金融に大きな不安が存在するなかで消費税増税に踏み切った。事態をより深刻化させたのは、消費税増税以外にも大規模なデフレ政策が併用されたことである。
2001年度に登場した小泉政権は、危機的な財政状況を改善することが最優先課題であるとして、超緊縮財政政策を実施した。これと並行して、「退出すべき企業を退出させる」方針を掲げ、企業の破たん処理を推進した。
この結果、株価は2年で半値に暴落し、日本経済は金融恐慌の危機に直面した。結局、小泉政権は公的資金で銀行を救済するという、掲げた方針とは正反対の施策で対応せざるを得なくなった。一方、このプロセスは、政策運営を事前に知った者だけが莫大な不労所得を得るための背徳の政策シナリオだった可能性が高い。
2008年から2009年にかけて、米国発で新しいバブル崩壊が表面化した。今回のバブル崩壊は不動産バブル崩壊ではなく、デリバティブ金融バブルの崩壊である。
不動産バブル崩壊の規模は兆ドル単位だが、デリバティブ金融バブル崩壊の規模は100兆ドル単位である。通常兵器と核兵器との格差に近い。
600兆ドル規模に拡大したと見られるデリバティブ金融商品の価格バブルが破裂した。損失は数兆ドルに達する見込みだが、現状ではまだ1兆ドル程度しか処理が完了していない。
2009年に主要国は巨大な財政政策を発動した。このケインズ政策により、世界経済は一時的な回復を示した。しかし、この政策効果が縮小するにつれて、先行き不透明感が広がり始めている。
新たな問題を生み出す先頭に位置するのが欧州である。欧州諸国の一部に財政事情が極度に悪化して、デフォルト不安が表面化した。もとより財政支出拡大に消極的な欧州諸国が、一段と緊縮財政にかじを切り始めた。詳しくは『金利・為替・株価特報』をご高覧賜りたい。
このタイミングで、日本で政治クーデターが発生した。
国民生活を最優先する政権が総辞職し、米国、官僚、大資本と癒着する新政権が民主党内クーデターにより樹立された。
この菅新政権が財務省主導の財政再建原理主義に基づく暴走を開始した。
2011年度当初予算での国債発行金額を44.3兆円以内に抑制し、2012年度に消費税率5%ポイント引き上げを実施する態勢を示し始めたのだ。消費税率が5%引き上げられれば、9兆円の増税になる。この方向に政策が進めば、日本経済が三たび破壊されることは間違いない。
日経平均株価は本年4月5日の11,339円をピークに下落波動に転じる可能性が高まる。
財政収支が極度に悪化した最大の理由は、不況の進行にある。したがって、財政健全化にとって、まず必要なことは、経済の回復である。
経済を回復させ、政府支出の無駄を排除する。増税などの増収措置は最後に発動すべき施策なのだ。増税で景気が良くなることはあり得ない。増税で景気が悪化すれば、財政収支は良くなるどころか悪化する。これは橋本政権時代に経験済みである。
政府支出が追加される領域で、当該分野の成長が促されるのは当たり前の話だ。これを成長戦略と呼ぶことはできない。一国経済の国際経済における分業のあり方の変化に伴い、成長分野は変化する。
かつて、日本が輸出で成長を実現した時代は、製造業が成長のけん引役だった。これからの日本では、医療、介護、養護などの分野の成長が拡大するのは当然のことである。
財政の健全化、経済成長の実現、持続可能な安定した社会保障制度の確立は、いずれも重要課題だが、緊縮財政でこれらが実現するわけではない。
「強い経済、強い財政、強い社会保障」の言葉は正論だが、この言葉には、その実現のための具体的方法はまったく含まれていない。問題は、この課題をどのようなプロセスで実現するのかである。
この視点で問題を捉えるときに、もっとも可能性の高い政策失敗は、財務省主導の超緊縮財政政策路線の道に引き込まれることである。この道は「けもの道」である。橋本政権も小泉政権もこの「けもの道」に迷いこんで、主権者国民に多大の犠牲を生んだ。
消費税増税を明確に打ち出すことが、「勇気ある行動」として称えられやすい風潮があるが、こうした人気目当ての政策運営は危険極まりない。
世界経済が2011年に向けて、再び悪化する懸念が強まりつつある現在、経済政策に求められる最優先課題は、「景気回復の維持」である。「景気回復維持」を捨てて、財政収支均衡化に突進して経済を破壊し、国民に多大の犠牲を生み出した歴史事実の前に謙虚でなければならない。
菅直人新政権のマクロ経済政策運営に巨大なリスクが浮上している。
(転載貼り付け終了)
【62】「極私的新聞解説+佐藤優氏の分析」
「渡瀬夏彦の「沖縄 チムワサワサ 日記」」から貼り付けます。
(転載貼り付け開始)
2010年06月17日
「極私的新聞解説+佐藤優氏の分析」
仲井真知事が菅首相と官邸で会談し、国会での代表質問が一通り終わったのが、6月15日。
翌16日には、いつも読んでいる東京新聞と朝日新聞のほかに、ご近所の図書館で毎日、読売、日経、産経の全国紙を手にした。この日は、重要な日であるからして、WEBで読めない記事までチェックしたかったのだ。
注目すべきは、東京や朝日だけでなく、毎日新聞が「普天間問題」に関連して真っ当な署名記事を載せていたことだ
ちなみに読売、産経は、国会での質疑を載せたのみで、「普天間問題は終了!!」と言わんばかりに、「沖縄の民意」や沖縄の現実を意図的に無視している。相変わらずの「対米追従・沖縄切り捨て」の徹底ぶり。わたしはこの2紙を図書館とWEBでチェックはするが、個人的不買運動続行中である。
日経は、普天間については当たり障りのない小さな囲み記事でお茶を濁しており、特筆すべき点なし。
さて、毎日新聞である。
オピニオン面(10面)の「記者の目」欄。政治部の上野央絵(うえの・なかえ)記者による次の記事を読んで頼もしく感じたのは、わたしだけだろうか。部屋に帰って毎日jpをチェックしたら、幸いWEBでも読めるようになっていたので、全文を引用紹介したい。
毎日新聞・2010年6月16日・[記者の目]欄
菅新政権の「普天間」政策 「県外・国外」の原点に立ち返れ
→http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20100616k0000m070123000c.html
***
記者の目:菅新政権の「普天間」政策=上野央絵(政治部)
「沖縄に迷惑をかけ、社民党を政権離脱に追い込んだ責任を取る」。鳩山由紀夫前首相は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題をこう総括して辞任した。後を引き継いだ菅直人首相は11日の所信表明演説で「私の最大の責務は歴史的な政権交代の原点に立ち返って、国民の信頼を回復することだ」と語った。そこで菅首相にお願いしたい。普天間問題においても「県外、国外」の原点に立ち返って、沖縄県民の信頼を回復してほしい。さもなければ自ら「外交の基軸」とうたった日米同盟を結果的に危うくすることになる。
◇辺野古84%反対 知事容認は困難
鳩山氏が党代表として昨年の衆院選で訴えた「最低でも県外」が守れず、自民党政権下で日米が合意した「沖縄県名護市辺野古移設」をほぼ追認したことは、民主党政権に対する沖縄の不信感を決定的にした。毎日新聞と琉球新報が5月末、沖縄県民を対象に実施した合同世論調査では、辺野古移設に「反対」との回答が84%で、反対のうち、▽無条件撤去38%▽国外36%▽県外16%だった。
民主党内でも「国外」がくすぶり続けている。
「君、サイパンに行ったんだよなあ。今度ゆっくり話を聞かせてくれよ」。4日午後、衆院本会議場での首相指名選挙の最中。民主党の小沢一郎前幹事長が川内博史衆院議員の肩をたたき、ささやいた。川内氏は5月上旬に米自治領北マリアナ連邦のサイパン、テニアン両島を視察。地元首長から「米海兵隊の駐留を受け入れる余地がある」との言質を引き出していた。
さらに川内氏が自分の席に戻りがてら、鳩山氏に「お疲れさまでした」と声をかけると、返ってきた言葉は「やっぱり、テニアンだよね」だった。「自らの思いを実現できなかった無念さ」を感じ取った川内氏は、新たな日米合意に盛り込まれた「グアムなど日本国外への訓練移転」を足掛かりに「訓練だけでなく代替施設も国外に移す働き掛けを今後も続ける」と話す。
鳩山氏の「思い」とは、2日の辞任表明で訴えた「対米依存の安全保障からの脱却」だ。であれば最初からそう内閣の方針を決め、関係閣僚に号令をかければよかったと思うが、鳩山氏はそうしなかった。大きな要因は、社民党との連立だろう。「沖縄の米軍基地縮小と自衛力増強はセット」が鳩山氏の考え。安保観の異なる社民党と、いずれ衝突は避けられなかった。
菅首相は党代表選に出馬表明した3日の記者会見で、普天間問題について「鳩山首相自ら辞めることで重荷を取り除いていただいた」と語った。菅政権発足を受けた毎日新聞の世論調査では「辺野古移設賛成」が過半数を占め、5月の調査と賛否の傾向が逆転した。しかし、社民党の連立離脱で「重荷が取り除かれた」とみるのは早計だ。むしろ、本土と沖縄の民意のギャップが広がった深刻な状況と受け止めた方がいい。
仲井真弘多知事は15日、菅首相と初めて会談し、「県外、国外への県民の強い要求」を改めて指摘、「日米共同声明でまた辺野古という方向が出て、県民の期待は失望に変わった。声明の実現は難しい」と明言した。知事が4月25日の県民大会で語った「沖縄の過剰な基地負担は差別だ」との言葉は重い。
普天間移設を巡る日米合意には代替施設の具体的な位置、配置、工法の検討を8月末までに完了するという期限が設けられた。政府は「環境配慮型埋め立て」工法を念頭に置いており、公有水面埋め立て許可権限を持つ知事の了解が必要だが、11月の知事選で再選を目指すとみられる仲井真知事が県民世論の大勢に反する「辺野古移設」を容認できる状況にはない。
◇安保のあり方 党内論争決着を
菅首相が「日米合意を踏襲する」とする中で知事が了解できる状況を作り出すには、日米合意に盛り込まれた「米軍の訓練の県外・国外への移転」の具体化が最低条件。さらに、鳩山氏が言うように、自主防衛力を高めて沖縄の米軍基地縮小を目指すなら憲法や日米安保条約の問題に踏み込むべきだし、それに触れないのであれば国内で基地負担の平等化を目指すべきだ。
菅首相は就任後、最初の街頭演説(12日、東京・新宿駅前)で「外交とは内政だ。国民が多少の代償を払っても、この国を守ろうとしているのか。それが外交の最も基本的な力だ」と訴えた。鳩山氏が身をていして問題提起した「日本の安全保障はいかにあるべきか」の論争に、民主党政権として決着をつけなければ、沖縄県民は納得しないと私は思う。「内政」なくして日米同盟の深化もあり得ない。
***
記事中とくに注目していただきたいのは、川内博史衆議院議員が、今月4日の国会で、前幹事長の小沢一郎氏やそれから鳩山由紀夫氏からも、「ねぎらいの言葉」と受け取れる声をかけられているくだり。おいおい、あんたら「辺野古回帰」の日米合意をしておいて、どういうこっちや、ええ加減にせーよ!! とツッコミを入れたくもなるが、貴重な事実を知らせる記事であることに変わりはない。
川内氏は、当ブログで何度か紹介してきた人物だ(6月20日の名護市民会館でのシンポジウムにも登場予定)。彼が務める沖縄等米軍基地問題議員懇談会・会長のポジションは、民主党代表としての職務に専念しなければならぬ鳩山由紀夫氏から川内氏へ「あとはよろしく頼む」と託されたものであることは、あまり知られていない気がする。鳩山氏の「思い」だけは、やはりウソではなかったようなのである。
いずれにしても、「グアム・テニアン移転案」の意見が、あるいは「県外・国外移設」を目指す動きが、民主党内において、決して軽んじられていたわけではない、というその証明のような記事がここにあるわけである。
そうなると、また浮かび上がってくるのは、鳩山政権におけるこの流れを見事なまでに叩き潰した「A級戦犯」はいったい誰かという話。
面白いことにタイミングよく、昨日の紙面では、この「記者の目」と並ぶ位置に、佐藤優氏(作家・元外務省主任分析官)の文章も載っている。
「異論反論」というコーナーで、タイトルはこんな具合に問いと答えがセットになった形である。
《佐藤さん! 鳩山さん辞任の原因どう見る?
外務官僚の「クーデター」》
そこで佐藤氏は、外務官僚だった自身の意識を振り返りつつ、持論を述べている。
わたしの言葉で乱暴に翻訳すると、「首相には、国民の代表としての立場と、エリート意識に溢れた官僚たちのトップとしての立場の二つがあるが、このたびは、国民の代表としての立場の首相が、エリート意識の塊の官僚側の意思決定に負けてしまった」ということになるけれども、以下、佐藤氏の寄稿の後半部分を引用しておこう。
《米海兵隊普天間飛行場の移設先を自民党政権時代の辺野古(沖縄県名護市)に戻すことによって「国家の重要事項に関しては政権交代で生まれた首相であっても官僚の決定を覆すことはできない。日本国家を支配するのは官僚である」という現実を突きつけ、官僚の政治に対する優位を目に見える形で示そうとしたのである。普段は霞が関の嫌われ者である外務官僚が、今回は官僚階級総体の利益を代表した。
鳩山政権崩壊後に生じた政官の力関係の現状を「ゲームのルール」として定着させることを霞が関の集合的無意識が望んでいる。このルールが定着すると政府の政策は、自民党政権時代よりも国民から遠ざかる。どのようにして、菅直人首相の中にある国民の代表としての立場を強化するかが焦眉の課題だ。》
さらに付け加えれば、同日の毎日新聞24面(文化面)では、我部政明・琉球大教授が、「安全保障 節目の年に」と題するシリーズ対談の最終回に登場し、相容れぬ主張の持ち主・松尾文夫氏(ジャーナリスト)を相手に、「日米合意は結局、履行できないでしょう」と明言している。同感である。興味のある方はぜひ図書館でご覧ください。
同日の朝日新聞と東京新聞の「普天間問題」関連記事については、改めて。
東京は梅雨の晴れ間の真夏日。ふーっ、暑い。
ところで、きょうは明るいニュースがあった。
友人の沖縄在住スポーツフォトグラファー・黒田史夫氏から、写真つき携帯メールが届いた。
待望の「第一子誕生」の知らせであった。
ほんっとに、おめでとう!!
幸せのおすそ分け、ありがとうねー。
本日は良き一日なり。
(転載貼り付け終了)
【61】「「はやぶさ」のロマンは高すぎる」
「心に青雲」から貼り付けます。
(転載貼り付け開始)
2010年06月18日 | 自然科学
「「はやぶさ」のロマンは高すぎる」
小惑星イトカワまで往復して、無事帰還したとされる探査機「はやぶさ」。
7年の旅路を終えて6月13日深夜のオーストラリアの砂漠にカプセルが落ちた(らしい)。奇跡の成功と言われる。
けれど、これは本当のことなのか? 誰がいったい確認できるのだろう。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、なにしろ前科がある。前科者に信頼はない。
もとはNASAのいかさまであるが、アメリカの月面着陸はなかった話である。
「人類月面着陸はウソ」(06年7月25日)
http://blog.goo.ne.jp/hienkouhou/e/0877bb9968a45784e9c6b8d3bf986651
で、詳しく書いておいた。
なのに、JAXAはアメリカに同調して人類は月面に降り立ったのだと言い張っている。つまり嘘つきなのである。
その嘘つき連中が、今度の「はやぶさ」に関しては本当のことを言っていると、誰が信じられよう? アポロ計画のように仕組まれた芝居ではないと断言できようか?
JAXAにとっても、月面着陸が本当にあったとしておいたほうが、今後のいかさまの「夢」を国民に売って税金から研究費をかっさらうのに都合がいい。
こう言えば、日本の科学技術による世界に冠たる快挙になんたるイチャモンをつけるのかと、誹(そし)られるのは承知しているが、なんとも「はやぶさ」の奇跡はタイミングが良すぎる、とみなさんは思いませんか?
そのタイミングとは? そう、民主党が宇宙開発予算を大ナタをふるって削減したことであり、それを進めようとしてい鳩山内閣を、クーデターでアメリカ隷属派の官僚や議員どもが阻止しようとした、このタイミングである。
ものごとは、なんでも一度はカネの問題を通してみなければなるまい。
麻生政権時の2010年度予算概算要求時の17億円が、鳩山政権の概算要求やり直しと、さらなる「事業仕分け」で3000万円にまで削られた経緯があった。
そこへタイミング良く、開発費用約127億円をかけた「はやぶさ」が成功をみせつけてくれたのである。
さっそく、メディア各社は、「はやぶさ」の壮挙を褒めちぎった。そしてこの技術を眠らせてはならない、継続しろと言い始めた。つまりは公的機関へ税金を注ぎ込めと。まさにJAXAにとって願ったり叶ったりではないか。
「はやぶさ」の開発費用は、国際宇宙ステーション参加の毎年の負担金400億円よりもずっと安いんだとか。
「はやぶさ」の成果を引き継ぎ、世界をリードするためにも、政府は来年度予算で後継機の開発を支援すべきだとか。
JAXAの主張を後押しする論調ばかりがいっせいに花開いた。
だから逆に、本当に「はやぶさ」が仕事を完了したのかと、疑問が湧く。
毎日新聞の社説(2010.6.15)では「低コストでできる無人探査の魅力を再認識した人は多いだろう。米国が小惑星探査に意欲を見せていることも念頭に、ぜひ予算をつけたい。」とまで言い切っている。手放しの持ち上げようだ。こういう場合は眉に唾して読むべきであろう。
そもそも対米隷属と、役人御用達の御用メディアなのだから、裏があると構えておくべきである。
開発費127億円が、どうでもいい小惑星探査なんかに使われずに、子どもの保育園支援に使われていたらどうだったろうか、とはなぜ考えない?
私は自分の税金が、何の日本社会に利益をもたらさない小惑星無人探査なんかに使ってほしくない。宇宙開発とは、もう何の社会的に役に立たないボケ老人に介護費を注ぎこむような愚行である。
本ブログ「宇宙開発の目的とは」(07.7.6)
http://blog.goo.ne.jp/hienkouhou/e/05b83d2df69bc0207baa52710164dcf3
で書いたことだが、世界中の子供から大人まで、人類が宇宙に進出するのは当たり前の事であり、人類の使命でもあると思っている。見事に洗脳されちゃった。
だが、かつて評論家・山本夏彦氏が「何用あって月へ?」と、人類が月に行ったとか宇宙開発を進めているとかで大騒ぎする風潮をあざ笑ったことがあった。私も同感で、宇宙進出は意味がないと思っている。
宇宙進出の夢は、第一義的には科学のためではないかと思われるかもしれないが、これはおおいに疑問である。天文学者や宇宙研究者たち自身は、科学のためにと思ってやっているかもしれないが、あんなものは科学ではない。それが証拠に、南郷学派は別に惑星に探査機を飛ばさなくても、宇宙誕生の謎、生命体誕生の謎を解ききったではないか。
たしかに“技術の進歩”のおかげでロケットは飛んで行くし、もしかしたら本当に60億キロ飛んで帰還したのかもしれない。電波望遠鏡で、とんでもない遠くの星がわかるようになったとか、月の裏側の写真を撮ったり、火星に無人機が着陸することはできても、それがどうした? なのである。火星の写真だと言っても、あれはいわば加工した写真であって、バカチョンカメラで写すほどのリアリティすら疑わしい。何百枚の火星表面の写真が撮れたからといって、掛かった莫大な費用に見合うものとは言えまい。
人工的に純金をつくることができるとしても、費用を考えれば引き合わないだろう。1グラムの純金の値段が1000円だとして、それをつくるのにかかるカネが100万円かかったら意味がない。宇宙開発とはそういうバカげたものだ。
「はやぶさ」は途中、トラブルに見舞われて、通信も途絶したではないか。それが奇跡の復活? ゾンビか? それはJAXAがそう言っているだけであって、誰か第三者機関が確認したわけではあるまいに? 私はこの時点で、JAXAどもの脳裏にどんな思いがよぎったか想像できる。
これはまずい、なんとかしなければ、次の10年、研究者たちが食っていけない。成功させないと、もう一度やらせてくれとは言いにくくなる。
そうだ、でっち上げてでも「はやぶさ」プロジェクトは成功したことにしなければならない、それが日本の「科学技術」のためのだから、と。
関係者自身が「神がかりだった」とか「夢のようだ」と語っている。つまり探査機の持ち直しは「不可能」だったのだ。それを「どんなときでも諦めないことの大切さを伝えた」だと? よくいうわ。
いやアメリカのNASAが追跡している、と言うかもしれないが、JAXAはいうなればNASAの植民地じゃないか。おそらくは、小惑星の無人探査を日本に命じてきたのであろう。
小惑星「イトカワ」の微細な砂?? そんなものの分析で「太陽系の初期の知識が深まるはず」(毎日新聞の社説)があろうか。砂がもし本当にイトカワのものであったにせよ、どんな物質が何ナノグラムあったからと言って、太陽系の謎が解けるはずがない。断言しておく。
なぜなら、彼ら研究者には弁証法がないからである。弁証法がないということは、対象(この場合は宇宙)の全体の生々発展を捉えることができないということを意味する。体系的に対象を見るすべを持たない者どもが、いくら127億円かけて砂を拾ってきたとて、それはただの分析で終わるだけである。
実際、米ソが持ち帰ったと称した「月の石」も、偽物だからだろうが、当時太陽系誕生の謎が解けると多いにはやし立てられたものだったが、な~んにも解明できなかったじゃないか。あれも偽物を、何年もかけてただ「分析」しただけ。
それが仮に分析できたとしたら? 彼らはまた言うだろう。もうちょっとで太陽系の謎が解けるんですよ、人類の悲願じゃないですか、それを日本がやり遂げる実力があるんです、だからもう一度、今度は予算を増やして300億円ください。(そうすればわれわれはあと20年食っていけます、というホンネは隠して)
「はやぶさ」の成功で、日本の縮み志向が懸念される今、あきらめずに挑戦することの素晴らしさを国民みんなに印象づけられたではないですか、サッカーW杯で日本が一つ勝ったことのように、若者が自信と意欲を持つきかけになれば、300億円なんか安いものですよ、と。
若者に自信と意欲が芽生えた? バカ言うなよ、そんなものは泡沫(うたかた)でしかない。
私の推測はこうだ。日本のJAXAは、アメリカから無人探査の開発を要求されたのだと思う。なにせ日本はアメリカの属国なのだ。自分勝手な、スターウォーズに関わる研究開発をさせてくれるはずがない。
アメリカは、今もアフガンやイラクで無人偵察機や無人爆撃機を飛ばしている。その関連で、無人で飛行して敵地に進入し、地面に降りてまた飛び上がって帰還する探査機(地球上の、である)の開発研究を、日本のカネでやらせようとしているのではないか。
日本の宇宙開発関係者も、仕事をほしくてしょうがないだろう。名誉もほしいし、事業団の職員、研究者を食わせていかなければならないからだ。
今度の「はやぶさ」のような仕事は、アメリカが、たとえばロシアのどこかに無人偵察機を飛ばし、そこから戦時中の日本軍の特攻ロケット「桜花」みたいに探査機を切り離して地上に降ろさせ、それで砂をしゃくってくるのである。その砂を分析すれば、どんな鉱物資源が眠っているか、あるいは地下にどんな施設をこしらえようとしているかなどが、スパイを潜り込ませなくてもわかるのだろう。
そういう方面で活用するぐらいしか、小惑星の砂を拾ってくる技術は役にたつまい?
メディアは、民主党政権が「事業仕分け」すると「はやぶさ」後継機もできなくなり、技術が継承できなくなり、人材も失われると脅すけれど、別にそれでかまわないじゃないか。
むろんアメリカに貢いだ(今も貢いでいる)米国国債を売り払ってカネをつくるっていうのなら、127億円くらいは捻出できるだろうから使わせてやってもいい。それを存亡をかけてぜひJAXAにやってもらってはどうか。
なんでも「お強請り(ねだり)」するばかりが能ではあるまい。資金は自分で見つけられたし。
(転載貼り付け終了)
【60】「消費税10%:悪徳ペンタゴンにとことんなめられる国民」
「新ベンチャー革命」から貼り付けます。
(転載貼り付け開始)
2010年6月18日 No.143
「消費税10%:悪徳ペンタゴンにとことんなめられる国民」
1.消費税10%を参院選争点に、悪徳ペンタゴンの悪知恵
2010年7月11日、参院選が決定、早速、2010年6月18日の大手新聞にいっせいに“消費税10%”を大見出しで報道しています。悪徳ペンタゴン(注1)の一味・大手新聞は、例によって誰の要請なのか、消費税10%を参院選の争点にすべく、世論誘導を開始しました。
悪徳ペンタゴン連中は民主党に消費税10%を認めさせようとしているのは明らかです。
6月頭に辞任した小沢・鳩山コンビ率いる民主政権は、これまで消費税を上げないと公約してきたのですが、悪徳マスコミは、菅政権に消費税10%を公約させようと世論誘導を始めたとみなせます。なお野党第1党・自民党は消費税10%引き上げを参院選用マニフェストに明記したようです。
一方、菅民主政権は、自民の消費税10%公約を“参考にする”とお茶を濁したかっこうです。今後、大手マスコミのうち何社かは、消費税10%の既成事実化を目指して、自民よいしょ、民主攻撃キャンペーンに入るのでしょうが、この路線で各マスコミの足並みがそろうかどうか、未知数です。柳の下のドジョウ作戦ミエミエです。
また、筆者の悪い予感、すなわち自民、民主どっちにころんでも、米戦争屋の手のひらで踊らされる事態(日本の永久的対米属国化という悪夢)になりそうです。つまり日本国民の選択権(オプション)が奪われるということです。
2.図に乗るな、悪徳ペンタゴン
背水の陣を敷いた自民党は、消費税10%公約と引き換えに悪徳ペンタゴン支持をとりつけたのは明らかです。
一方、小沢・鳩山コンビの追い落としに成功して慢心した悪徳ペンタゴンが図に乗ってきたのも明らかです。悪徳ペンタゴンは今回のねつ造的世論調査作戦にて国民を思うままに誘導できると自信をもち、悪徳ペンタゴンが一致団結すれば消費税10%を実現できると読んでいるのです。
世論調査国民よ、あなたたちは、悪徳ペンタゴンからとことんなめられているのですよ、いい加減、気付いてください。
3.消費税値上げに賛成する世論調査国民の頭脳構造を疑う
悪徳ペンタゴンの狙いは何か、ズバリ、消費税など間接税を財源とする外国為替資金特別会計(注2)にて米国債を買い増し、米国戦争屋に年間20兆円を献上するためでしょう。その財源として、消費税を5%から10%に上げれば、年間20数兆円の税収増(=GDP500兆円の5%)が得られるはずです、ただし、景気がこれ以上悪化しないという前提で。偶然か、両者、数字がピタリ一致します。
ところで、オバマ大統領は先ごろ、向こう5年で100兆円(1兆ドル)の軍事費削減(年間平均20兆円)を発表しています(注3)。現在、日本をステルス支配する米国戦争屋にとって、連邦軍事予算削減を穴埋めするのに、当然、日本国民のふところを狙ってきます(注3)。日本の買い増す米国債を財源に特別予算枠を設定して、極東防衛予算などの名目にて、米国民負担の軍事予算削減分を補充・確保するつもりでしょう。筆者が米国戦争屋の会計担当だったらそうします。
戦争屋傀儡政党・自民党が、親米官僚(悪徳ペンタゴンの一味)経由にて戦争屋の要求に屈して、消費税10%を選挙公約に入れざるを得なくなったということです。非常にわかりやすい話です。これまで、選挙前に、消費税値上げを訴えて、勝った政党はないのです、当然です。国民からみれば、不景気で収入は減るは、増税はされるは、という、踏んだり蹴ったりの話ですから。庶民は悲鳴を上げ、消費低迷で企業も悲鳴です。自民党は、財務省が背後から毎度、要求する消費税値上げ公約をめぐって、これまでさんざん苦労しています。
ところが、財務官僚と、彼らと癒着する大手マスコミの洗脳によってなのか、世論調査国民の過半数66%が消費税増税に賛成しているそうです(読売新聞6月12~13日調査)。エエー! 世論調査国民の頭脳構造はいったいどうなっているのか、不思議でしようがありません。
4.消費税は国民に還元されない
周知のように消費税は、日銀の円売り・ドル買いオペ(結局、米国債に化けて米国にドルが還流される)、大量の官僚天下り法人経費、そして国債償還(償還と同時に借り換え債を発行するので、実質的には国債を保有する金融機関への利払い)に当てられ、国民には還元されないとみなしてよいでしょう。国民には取られ損です。この点が、北欧諸国とは大違いです。財務省と癒着する日本の金融機関は、われわれの預貯金にほとんど利子を払わないのに、われわれ預貯金を原資に買う国債の利子を政府からたっぷり受け取っています。大手銀行は笑いが止まらないはずです。
上記のような悪徳ペンタゴン・ウハウハの構造は、ネット情報をちょっと調べれば、すぐにわかる話です。ただし、大手新聞をいくら読んでもわかりません(笑)。
悪徳ペンタゴンのカモにされている世論調査国民のみなさん、もういい加減、カモにされるのは止めてください、他の国民が大迷惑です。
5.日本の根本問題:米国が日本国民から借りたカネを返さないこと(大赤字で返せない)
日本全体の対米ドル債権累積総額は700兆円規模(日米研究のプロ・副島隆彦氏の試算)といわれています。そのうち、日本政府のドル債権保有は2001年以降だけで100兆円(財務省公表)、また2001年以前の対米貿易黒字累積相当額および米国債利子累積分は秘密にされています。
日本政府の官僚も政治家も、米国政府に対し、日本の保有する米国債の償還を要求する勇気がないのです。もし面と向かって要求したら、急死した故・橋本元首相や、不審死した故・中川元財務大臣と同様の運命が待っているのです。
民主党も、この問題(タブー)を取り上げたら、かつて暗殺された故・石井紘基元民主党衆院議員のような運命が待っていると知っているのです。
ちなみに日本の大手マスコミは、このタブーを国民に知らせないようにするために存在すると言って過言ではありません。
政権交代を果たした小沢・鳩山コンビは、これ以上、米国に日本の国富を吸い上げられないよう、対米独立(日米安保見直し含む)を希求したのです。だからこそ、米国戦争屋の代弁機関である大手マスコミや、米国戦争屋のロボット官僚(一部の官僚)に追い落とされたのです。この不健全極まりない日米構造の実態を知ってください、世論調査国民のみなさん。悪徳マスコミの言いなりになるということは、自分で自分の首を絞める愚行です。いい加減、目を覚ましてください。
6.官僚天下り法人経費を合理化すれば、消費税値上げは不要
政権交代によって、官僚天下り法人の事業仕分けが行われるようになっています。消費税、酒税、ガソリン税など間接税の徴収になぜ、官僚が熱心であるか、それは、これらの税金は、官僚の収入になるからです。国民に還元するという北欧先進国の発想は、これっぽっちもない!ということ。世論調査国民よ、彼ら官僚の詭弁にころっとだまされないようにしましょう。
言っておきますが、日本の大手マスコミは、われわれからカネと取って、官僚と癒着(記者クラブなどで)して、官僚の代弁者に成り下がっていると思った方がよいです。大手マスコミ情報へのアンチテーゼを提供するネット情報をもっと勉強してください。
あなたたち、世論調査国民の不勉強が、国政選挙で間違った1票を生み、その結果、他のマジメな多くの国民への不利益をもたらすのです。その意味で、国民の選挙で成り立つ民主主義体制とは、ときの権力やマスコミの言いなりになることではなく、国民がかしこくなって、ときの権力やマスコミへの批判力をつけて初めて成立するシステムです、お忘れなく。
注1:悪徳ペンタゴンとは元・早稲田大教授・植草一秀氏の造語である。日本に蠢く一部の(1)政治家、(2)官僚、(3)マスコミ人、(4)財界人を指し、日本国民の利益より、米国寡頭勢力(主に戦争屋)の利益を優先する(あるいは優先させられる)買弁家的日本人、および(5)米国ジャパンハンドラー(買弁日本人をコントロールする米国人)を指す。日刊ゲンダイを除く日本の大手マスコミはことごとく悪徳ペンタゴン化していることが、2009年9月の政権交代によってあらわになった。
なお、戦争屋とは、デビッドRF財閥を頂点に形成される米国の軍産複合体を指し、米国の軍産政官学に広く分布する米国覇権主義者集団を指す。戦後日本は、米国戦争屋によってもっぱらステルス支配されてきた。米国寡頭勢力を構成する米国覇権主義者には他に銀行屋がいて、彼らは国際金融資本や米国中央銀行FRBを支配しているが、戦争屋に比べて、日本支配への執着心が薄い。オバマ政権は米国主流の戦争屋系というより、どちらかといえば銀行屋系に属しているが、戦争屋の謀略部隊から常時、監視を受けている。そのため、オバマ政権が戦争屋の意図に逆らうと、必ず何らかの妨害工作が行われる。
注2:外国為替資金特別会計、あるいは特別会計(平成22年度純計176兆円)はウィキペディア参照
注3:本ブログNo.140『緊急警告:米国戦争屋の対日圧力が凶暴化する危険高まる』2010年6月12日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/15071565.html
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【59】「財務省路線走狗の低劣な法人税減税提唱者」
「植草一秀の『知られざる真実』」から貼り付けます。
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2010年6月17日 (木)
「財務省路線走狗の低劣な法人税減税提唱者」
日本の財政収支が著しく悪化したことは事実である。2009年度は財政規模102.5兆円に対して税収は36.9兆円にしか達しなかった。国債発行金額は53.5兆円と歳入の50%を突破した。財政非常事態と称して差支えないだろう。
しかし、わずか2年前、2008年度当初予算での国債発行金額は25兆円だった。2007年度では実績ベースで国債発行金額は25.4兆円だった。
わずか1年で国債発行金額=財政赤字は2倍増を示したのである。
財政事情急変の主因は経済情勢の急激な悪化にあった。2008年後半に深刻化したサブプライム金融危機の影響で、世界的に不況が伝播した。
日本では麻生政権の認識が甘く対応が遅れたが、経済が深刻化した時点で14兆円規模の史上空前の補正予算が編成された。官僚利権てんこ盛りのバラマキ予算の典型だったが、この歳出拡大を主因に財政赤字が激増した。
さらに赤字拡大を増幅させたのが、税収見積もりの間違いである。麻生政権が見積もった税収は実績を9兆円も上回る過大見積もりであることが判明した。歳出の激増と税収の激減により、日本の財政赤字は25兆円から一気に50兆円超えに2倍増を示したのである。
今後、日本では人口の年齢別構成の高齢化に伴い、社会保障関係支出の激増が予想される。財政収支のバランスを改善させると同時に、高齢化が進展した段階での財政破たんを回避するための方策を早急に検討することが求められている。
政府債務残高のGDP比は早晩、200%を突破する情勢にあるが、この数値は主要国のなかで突出して悪化したものである。日本の場合、国内での所得と支出のバランスから生じる貯蓄が国内での実物投資を大幅に上回り、巨大な資金余剰が生じているため、政府部門が巨額の赤字を計上しても資金のひっ迫が生じることがない。
これが欧州諸国などとの決定的な違いだが、将来にわたって資金余剰が持続する保証は存在しないため、できるだけ早期に財政収支バランスを改善させることが求められている。
財政収支を改善させる方策として、以下の三つをあげることができる。
第一は、経済改善により税収の増加を図ること、
第二は、政府支出の無駄を排除すること
第三は、増税などの歳入増加策を実施すること、
である。
一般会計税収は、1990年度に60.1兆円あった。これが、2009年度、2010年度に37兆円にまで減少した。20年間で23兆円も税収が減少したのである。経済規模を示すGDPは、1990年度が451.7兆円、2009年度が476.0兆円で、2009年度が1990年度を上回っている。
税収を1990年度と2009年度(補正後)と比較すると、
所得税 26.0兆円 → 12.8兆円
法人税 19.0兆円 → 5.2兆円
消費税 4.6兆円 → 9.4兆円
となっている。
特徴的であるのは、法人税が1990年度と比較して4分の1程度にまで激減したのに対して、消費税が2倍強に増加したことである。消費税については1997年度に税率が3%から5%に引き上げられたことが影響している。
この数値だけを踏まえても、次のことが言える。
日本経済を復調させ、経済活動を健全化させることにより、税収の大幅増加を期待できること。経済低迷による税収の激減こそ、日本の財政収支悪化の第一の要因なのである。
第二に重視されなければならないことは、政府支出の無駄を排除することである。麻生政権は2009年度に巨大な補正予算を編成したが、官僚利権てんこ盛りのバラマキだった。これらのバラマキを排除することが優先されなければならない。
鳩山前政権は、政府支出の無駄排除を優先するために、増税の逃げ道を封印した。当初は消費税についての論議すら行わないと言明したが、その後、論議は許容するが2013年の衆院任期満了までは消費税増税を行わないことを確約した。賢明な姿勢を示していた。
ところが、菅新政権は消費税増税に前のめりのスタンスを鮮明に示し始めた。
さらに驚くべきことに、「増税で景気が良くなる」との珍説まで示し始めたのである。菅新首相は完全に財務省路線に取り込まれたと言ってよいだろう。
日本政治を支配し続けてきた主勢力は米・官・業の三者である。政治権力を安定的に掌握するには、この三者と手を握ることが最も効率的である。この鉄則に乗った典型的人物が小泉純一郎氏だった。米国、官僚、大資本と癒着する政治を実行し、その見返りとして長期政権を獲得した。
「官」の中核は、財務省と法務省である。財務官僚、検察官僚との関係を良好に保つことが政権安定の要であるとの判断を菅新首相は保持しているのだろう。
財務省の切望は消費税大増税を実現することである。消費税は、景気変動に左右されない最強の安定財源である。どんなに不況が深刻化しても、所得水準の低い一般大衆に確実に年貢を納めさせることができる。情け容赦のない酷税である。
現在生じている税制論議で、何よりも不可解なことは、法人税について、減税論議が先行していることだ。1990年度の税収水準と比較して、法人税は4分の1に激減した、最大の減税実施税目なのである。消費税は逆に2倍に拡大した最大の増税税目である。
法人税減税が先行して取り上げられているのは、政治の支配者である大資本を消費税大増税論議の賛同者に引き込むためである。これが財務省の常套手段である。
法人税減税を提唱し続けてきた人物は、消費税大増税に向けての財務省の基本戦術に組み込まれている人物とみて、まず間違いない。
この問題と、企業団体献金全面禁止論議とは表裏一体をなしている。
これまでの日本政治は、企業団体献金容認を通じて、大資本が政治を実質支配する構造で運営されてきた。企業団体献金全面禁止が実現すると、大資本が政治権力を支配するパイプが断ち切られることになる。大資本の政治権力支配の力は急激に衰えることになる。
逆に言えば、企業団体献金の容認は大資本による政治支配を温存するための中核政策であり、大資本を消費税大増税支援者に引き込むことは、同時にマスメディアを消費税大増税支援者に引き込むことと同義になる。なぜなら、マスメディアは営業収入のすべてを大資本に依存する存在であり、大資本の意向に反する報道を展開できないからだ。
米官業による政治支配を維持しようとする勢力=利権複合体としての米官業政電=悪徳ペンタゴンは、企業団体献金全面禁止の実現を阻止しようとしている。
霞が関中核勢力である財務・検察勢力も、大資本による政治支配継続を切望している。大資本が背後に存在して、初めて霞が関勢力も巨大利権の配分にありつけるからである。
大資本と対立する利害勢力が「国民」である。小沢一郎民主党元代表が示した「国民生活が第一」の方針こそ、「米官業による日本政治支配」に対峙するアンチテーゼだったのである。
菅直人新首相は財務省路線に乗った経済政策運営を始動させた。その骨子は、
①緊縮財政の強行
②法人税減税と消費税大増税の組み合わせ
③政府支出の無駄排除の凍結
である。
第二小泉政権が動き始めたと言ってよいだろう。
この政治は、政権交代を実現させた国民運動と逆行するものである。
幸い、菅直人新首相の最大の役割は、7月の参院選実施に向けての「選挙管理内閣」に限定されている。9月に民主党代表選が予定されているから、菅新首相はそれまでのワンポイントの登板である。
9月の民主党代表選で主権者国民の総意に基づく新しいリーダーを選出すれば良い。1997年度、2001年度と、日本経済は財務省主導経済政策で二度撃破された。この失敗の教訓を活用しなければ、日本そのものが愚劣な国に堕してしまう。
賢者は歴史に学び、愚者は歴史を繰り返すことを肝に銘じなければならない。
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【58】「「沖縄式交渉術」が分からなければ菅直人政権でも「普天間問題」は解決しない
「現代ビジネス」の「ニッポンと世界」の「国際ニュース分析官 佐藤優」から貼り付けます。
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2010年06月17日(木)
「「沖縄式交渉術」が分からなければ菅直人政権でも「普天間問題」は解決しない
東京の政治エリートは楽観し過ぎている」
菅直人新内閣の成立によって、内閣と民主党への支持率はV字型に回復した。これを国民世論がムードに流されやすいからと見るのは間違いだ。去年8月30日で民主党への政権交代を選択した国民は変化を求めている。
「自公政権が続けば、日本はこれからじり貧になる。民主党政権になれば、とにかく変化が生じる。その結果が良くなるか悪くなるかはわからない。しかし、とりあえず、しばらくの期間、民主党に機会を与えよう」というのが、今回の政権交代の底に流れる国民の基本認識であると筆者は見ている。
鳩山由紀夫総理(本稿における肩書きは出来事が起きた当時のものとする)と小沢一郎民主党幹事長は、政治家が官僚を指揮する構造転換を本気で行おうとした。これがかつてない危機意識を霞が関(中央官庁)の官僚にもたせた。
小鳩政権が「サブスタンス(政策の実質的内容)に通暁せず、無知蒙昧な国民に迎合する民主党のポピュリスト政治家が国家の支配者になったら、日本がダメになる」という官僚の集合的無意識を刺激したのである。
ここで、大活躍したのが検察官僚と外務官僚だ。財務官僚、外務官僚、検察官僚は「霞が関村」で、偏差値が特に高い秀才集団である。それだからこそ、「われわれを抜きにして日本国家は存立し得ない」という強い主観的な使命感をもっている。
検察官僚は、「社会をきれいにしたい」という欲望をもっている。きれい好きの検察官僚の職業的良心に照らして観察すると、鳩山も小沢も自民党の旧来型政治家と変わらないくらい不潔な存在に見える。そこで、特捜官僚(東京地方検察庁の検察官)が、「天に代わりて不義を討つ」と旧陸軍青年将校のような気迫で、小鳩の腐敗を追及した。そして小鳩政権打倒に大きな貢献をした。
さて太平洋戦争に敗北した後、日本が生き残るために米国との同盟が不可欠になった。日米安保条約という名称であるが、その本質は軍事同盟だ。外務官僚は、「外国語に堪能で、国際情勢と国際法に通暁したエリートであるわれわれにしか、日米同盟を維持することはできない」という信念をもっている。そして、外交の素人である政治家が、日米同盟のサブスタンスに関与すると、天が落ちてきて日本国家が崩壊するという形而上的恐怖を抱いている。
鳩山総理は外務官僚の「正しい指導」に耳を傾けない宇宙人だ。宇宙人による日本国家崩壊を防ぐために、ありとあらゆる手段を用いて、外務官僚が鳩山総理を包囲した。岡田克也外務大臣、北澤俊美防衛大臣、平野博文内閣官房長官は、外務官僚と認識を共有する「かわいい政治家」に変貌した。
しかし、米国の名門スタンフォード大学で博士号をとった知識人の鳩山はなかなか外務官僚の言うことを聞かない。そこで外務官僚は、米国からの圧力、外務官僚と共通の視座をもつ記者たちの応援を得ながら、真綿で首を絞めるように鳩山包囲網を構築していった。
ここで漬け物樽を想像してみよう。民主党という漬け物樽の中蓋の上に、検察官僚が「政治とカネ」という大きな石、外務官僚が、「普天間問題」という大きくて重い石を置いた。小鳩政権が崩壊したので、その石が取り去られた。そのことによって、中蓋が再び浮き上がった。国民の変化への希望はまだ消えていない。それだから菅政権の支持率が60~70%という「常態」に戻ったのである。
沖縄戦体験者が負傷すれば抗議活動は止められない
日本の安全保障にとって普天間問題が死活的に重要ならば、7月11日の参議院議員選挙における重要な争点になるはずだ。なぜなら5月28日の日米合意に従って、8月31日までに、<普天間飛行場のできる限り速やかな返還を実現するために、閣僚は、代替の施設の位置、配置及び工法に関する専門家による検討を速やかに(いかなる場合でも2010年8月末日までに) 完了させ(る)>ならば、沖縄が猛反発し、沖縄にあるすべての米軍基地に対する地元住民の感情が急速に悪化するからだ。
さらにその後、工事を強行しようとすれば、座り込みなどの抗議行動が起きる。警察力(機動隊)を用いて住民を排除しようとすると、小競り合いが起き、その過程で負傷者が発生する。座り込み抗議に参加している沖縄戦体験をもつ80代の高齢者が負傷するような事態になれば、保革の壁を超えた文字通り「島ぐるみ」の抗議活動が起きる。そうなると、米軍基地が住民の敵意に囲まれ、日米同盟の機能が低下する。
このような状態に陥ることを避けるためには、日米合意の見直しが不可欠だ。当然、参院選の重要争点になるはずである。しかし、近未来に発生する危機に関する東京の政治エリート(国会議員と官僚)の感覚はきわめて鈍い。
恐らく、沖縄が要求を突きつけるような形で交渉を行わないことの意味を誤解しているため、東京の政治エリートは根拠薄弱な「楽観論」をもってしまっているのだと思う。6月15日、沖縄県の仲井真弘多知事が上京し、菅直人総理と会談した。朝日新聞の報道を見てみよう。
<菅首相、沖縄知事と会談 日米合意踏襲と負担軽減伝える
菅直人首相は15日午前、首相官邸で沖縄県の仲井真弘多知事と初めて会談した。首相は、沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設をまとめた先の日米合意を踏襲するとともに、沖縄の負担軽減に取り組む考えを表明。
知事は「『少なくとも県外』と言った民主党に対する県民の期待は失望に変わった。日米合意は遺憾で、(辺野古移設の)実現は極めて厳しい」と伝えた。
首相は、23日の沖縄慰霊の日に沖縄県を訪問する意向を示し、仲井真氏もこれを歓迎した。また、仲井真氏が普天間移設とは別に米兵が関係する事件事故についても「大幅な軽減に取り組んでほしい」と要望したのに対し、首相は応じる意向を示したという。
約30分間の会談には仙谷由人官房長官らも同席。首相が応接室に先に入り知事を出迎える配慮を見せた。
仲井真氏は会談後、「普天間は危険な飛行場。そのまま置いておくのはおかしい。なるべく早く返還してもらうことが元々のスタートだ。政府が責任を持ってきちんと解決してもらうのが筋だが、どうまとめていこうとしているのか、よく分からない」と不満を語った。> (6月15日asahi.com)
楽観視する外務官僚の「謀略シナリオ」
仲井真知事の「『少なくとも県外』と言った民主党に対する県民の期待は失望に変わった。日米合意は遺憾で、(辺野古移設の)実現は極めて厳しい」という発言を菅総理がどう受け止めたかは不明だ。しかし、外務官僚は、「何とかなる」と考え、次のような戦略(謀略)を考えていると思う。
1.本件を名護市、特に辺野古周辺地区だけが関係する軍事問題であると土俵を限定する。
2.普天間飛行場の危険を除去することができるので、沖縄全体の利益のためにこの決定は必ずしもマイナスでないというプロパガンダ(宣伝)を行う。
3.辺野古移設への反対闘争に「疲れ」が出るのを待つ。
4.東京から「沖縄のほんとうの友人」なる複数の民間人を派遣する。これらの民間人は、首相官邸、外務省、防衛省と独自のパイプをもっている。沖縄人と酒を酌み交わし、いっしょに肩を組んでカラオケを歌う。
そして、最初は聞き役に徹する。辺野古への移設を受け入れさせるために沖縄で鍵を握るのが誰かを物色するために、善人のふりをしているのだ。しかし、その本質は東京のエリートの利益を体現した工作員だ。
5.そして、利益誘導で、辺野古地区への移設を受け入れさせる。
いわゆる「アメとムチ」の政策だ。菅政権が、優れた民間工作員を雇い、数億の内閣官房機密費(報償費)を投入すれば、この謀略は成功するかもしれない。しかし、筆者はそのための「機会の窓」は、ほぼ閉じかけていると見ている。
なぜなら、機密費に対する国民の監視の目が厳しくなっており、自国民である沖縄県民にこのような「裏のカネ」を投入するリスクが大きくなっているからだ。機密費なくして、名護市や辺野古周辺地区での切り崩し工作は不可能である。
また、政府の工作に協力しても、それが露見した場合、非難されることを恐れて、このようなリスク負担の高い秘密工作を引き受ける能力の高い民間人を見つけることが難しくなっているからだ。
普天間問題の突破口をどう見つければよいかについては、入念な研究が必要だ。6月4日、衆参両院で内閣総理大臣に指名された後の記者会見で菅氏は、「数日前から『琉球処分』という本を読んでいるが、沖縄の歴史を私なりに理解を深めていこうとも思っている」(6月5日東京新聞朝刊)と述べた。
沖縄返還直前に政府高官が分析した「特別な小説」
筆者は、菅総理が言及した本は、沖縄初の芥川賞作家・大城立裕氏の名著『小説琉球処分』(講談社、1968年)であろうと推定している。1991年の再版に際して、大城氏は、沖縄返還にあたった日本政府の官僚が本書から沖縄との交渉術を学んだという話を披露している。
<琉球処分という言葉すら、およそ知られていなかった。連載がはじまったころ(引用者註*本書の元になる小説が1959年から60年に琉球新報に連載)、ある友人が「処分という言葉はおだやかでないね」とコメントしたほどである。
そのコメントには、当時祖国復帰運動がさかんであった環境のなかで、その情勢に水を差しかねない題名への批判が込められていたと思う。
二年後の一九六二年に、歴史学者の井上清氏が学術論文に琉球処分をあつかったあと、この言葉が歴史家のあいだでは、やおら浸透するようになった。
しかし、「琉球処分」という言葉が日本政府によって作られたということは、いまなお知識としてひろく普及しているとはいえない。沖縄の民衆がそのひがみから生みだした言葉だと、誤解している人が多い。
作品が、連載当時はそれほどの関心をもたれなかったのに、一九七二年の復帰間近になってから、関心をもたれるようになったのは、皮肉であった。復帰路線を敷く作業をしていた日本政府官僚のあいだで、沖縄研究のテキストにしている、という話もあった。
彼らのあいだでは、琉球政府の役人が、琉球処分当時の王府役人と変わりがない、という感想があったと聞いた。また復帰路線のありかたに批判的であった革新の側では、日本政府がその政策の都合ばかりを押しつけてくる、という意味で、政府役人が琉球処分当時と変わりがない、という批判をしていたようである。
そのことは、私自身が書きながら予感していたように思う。松田の報告書を読みながら、両者の文化的基礎が違いすぎることを、つよく感じた。
日本本土と琉球とでは、歴史の出発に一千年も差がつき、琉球は中世をとびこして近世にはいったから、その後の歴史に無理が生じたのだと、私は考えている。つまり、近代を準備する文化が育っていなかった。一方、日本では近世にはやくも近代が準備されていた。このギャップは恐ろしい(拙著『休息のエネルギー』農山漁村文化協会、一九八七年参照)。
その無理が最初にあらわれたのが、琉球処分であった。とくに、松田と王府高官たちとのやりとりに、それを私はかぎとった。松田は沖縄県設置とおなじ年に東京府知事に任命されたが、いわば日本近代のドラスティックな能吏のはしりである。相手の王府高官たちは、まったく前近代の典型である。
資料の行間に、その対照を読みより、それを描くことが楽しみであった。読者が退屈を越えて、それを読み取ってもらえれば、幸いである。>(「後記」大城立裕『ファラオ原点叢書4 小説琉球処分』ファラオ企画、1991年、477~478頁)
沖縄返還当時の官僚には、『小説琉球処分』を読み解くことで、沖縄の内在的論理の把握につとめ、それを政策に生かそうとする知性の幅があった。
民主主義においては、多数派の立場が圧倒的に強い。現在も人口がわずか138万人に過ぎない沖縄は、民主主義制度の下では、常に負け続ける宿命下にある。そのような沖縄には独自の交渉術がある。
日本の国家統合が内側から崩れる日
この交渉術を理解するために『小説琉球処分』は、特別の地位を占めている。袋小路に陥った普天間問題を解決するためのヒントがいくつも隠されている特別の小説なのだ。
1879(明治12)年、警察と軍隊を引き連れ、松田道之処分官が、首里城明け渡しを強要し、尚泰王に上京を迫った。しかし、王の側近たちは、さまざまな遅延戦術をとる。その状況に直面した松田道之処分官の心境を大城氏はこう描写する。
<われながら、よくこれだけの根気を身につけたものだ、と松田はひそかに嘆じた。五年来、何十回あるいは何百回、琉球の高官どもと談判をした。根気くらべの談判であった。しかし、あの談判の相手には理屈があった。詭弁だらけとはいえ、理屈があった。
縦横の詭弁と戦うのは苦労であったが、しかしそれなりに外交官としての張り合いもあった。ところが、この談判はどうだ。理屈ぬきに「九十日延期を。病気だから無理だ」とくる。はねかえしてもはねかえしても寄せてくる—卑小な蚊の群れにもたとえようか。
発言する者は、代表的な二、三人。残りはだまって折ふし表情を変えるが、—-よろしい、この根気どちらが折れるか・・・>(大城立裕『小説琉球処分』講談社、1968年、544頁)
結局、松田処分官は、根気くらべに負け、警察力と軍事力で問題を解決した。このツケが、今日の普天間問題にまで及んでいるのだ。
日本は大国だ。これに対して、琉球王国は小国だった。しかし、小国には小国の生き残りの論理と交渉術がある。沖縄県内への普天間飛行場の移設に関与する東京の政治エリートは、理屈抜きの「はねかえしてもはねかえしても寄せてくる」ような静かな抵抗を沖縄から受けるだろう。
すでに、沖縄では最保守陣営に属し、東京の政治エリートとの諍いを極力回避する傾向の強い仲井真知事が、無意識のうちに、「はねかえしてもはねかえしても寄せてくる」ような抵抗を始めている。
そして、その抵抗を繰り返すうちに、沖縄の人々の間に、かつて自らの国家であった琉球王国が存在し、それがヤマト(沖縄以外の日本)によって、力によって滅ぼされたという記憶がよみがえってくる。そうなると日本の国家統合が内側から崩れだす。
その過程が始まっていることに気づいている東京の政治エリートがほとんどいないことが、現下日本の悲劇である。
(転載貼り付け終了)
【57】「増税・財政再建路線は「脱小沢」を貫くための仕掛?」
「日々坦々」から貼り付けます。
(転載貼り付け開始)
2010/06/18(金) 03:52
「増税・財政再建路線は「脱小沢」を貫くための仕掛?」
久しぶりの週刊朝日ネタ
今週号は小沢研究20年、このブログでも度々取り上げさせていただいた、渡辺乾介氏による≪菅直人も知らない小沢一郎の肉声≫がトップ記事で掲載されている。
あのガセが多いので有名な菅さんの元秘書の某氏に煽られたのではないかと思われる、このごにいたって衆参W選挙を掲載してしまい、また、前原誠司の≪小沢神話はマスコミがつくりあげた虚構だ!≫(読む気もおこらないが・・・)
を同時掲載されているので、月曜には買ってはいたが、ここで紹介するのをひかえていた。
もっとも「月刊日本」のように全く立場の違う論客同士を闘わせるというのはありなのだが、今週の週刊朝日は、読みたい記事が一つのみで、これでは、わざわざオカネを出してまで読もうと思わないし、立ち読みで十分ということになる。
まずは気を取り直してその渡辺氏の記事を紹介する。
リード文
≪その功罪や好き嫌いはともかく、20年以上にわたって日本政治の中枢にあり続けたのが小沢一郎前幹事長(68)だ。つい直前まで我が世の春を謳歌していた権力者は新政権が誕生したいま、何を思い、これからどいしようとしているのか。だれよりもこの男に肉薄する政治ジャーナリストが、いまの本音を読み解く。≫
「私の知る限り、小沢が鳩山内閣に疑念をもったのは3月上旬です。」「普天間を含めて、あまりにも言葉が走りすぎる。こういうことを総理大臣がやってはいけない。どうも早晩行き詰まるね。危ないな」
と刺激的な言葉がならぶ。
鳩山・小沢ダブル辞任の真相として、既に小沢さんの中には3月の時点で「辞任」のタイミングを覗っていたことになる。
自身の「政治とカネ」をめぐる問題をかかえながら自分も辞めることを強く示唆したものとして次の小沢氏の話を紹介している。
≪「世の中の流れがこうもつくられてしまうと、ある意味で歴史の流れだから、何人(なんびと)たりともこれに抗することはできない。この政権交代を結実させるためには、鳩山だけにダメだというわけにはいかないだろう」
小沢の判断基準は一にも二にも、参院選で勝つためにはいかにすべきかということ。鳩山さんはいかにも自分が小沢を道連れにしたかのような言い方でしたが、小沢が枝野幸男幹事長との引き継ぎ後、「引くも進むも一緒」と言ったでしょう。あのとおりですよ。実際は小沢が主導したんです。≫
渡辺氏は、その辞任の真相は本当にお粗末だったと次のように語っている。
≪鳩山さんは社民党の連立離脱がどんな影響をもたらすかを理解しないまま、米軍普天間基地の辺野古移設を決断してしまった。鳩山さんは国民新党さえいれば、参議院では与党が1議席多い多数派だから、なんとかなると思い込んでいました。ところが、現実には、参議院の委員会によっては、社民党の委員を加えて初めて与党が多数派になっていたから、社民党が抜けると与野党がひっくり返る。審議はストップして成立しない重要法案が出てくる。鳩山さんは、国会対策を経験したことがないから、こういう仕組みがわからない・・・≫
その後、鳩山、小沢、輿石の三者会談があり、1回目にそうした状況を説明されて初めて事態の深刻さを理解した、というのだ。
なんともお粗末な話だが、小沢さんが以前(たぶん昨年の12月)「社民党が離脱すると言ってるのはブラフ(脅し)じゃない」「社民党が抜けたら大変なことになりますよ」と鳩山さんに警告していた、とのこと。
また、そうした鳩山さんの認識不足に対して渡辺氏は、
≪小沢は、3年前の参院選のときから社民党との間で選挙協力を用意周到に進め、連合も引き込んで、ようやく政権交代にこぎつけた。それを鳩山さんは簡単に壊しちゃった。苦労して大事に大事に社民党を扱ってきた意味を、鳩山さんはまったくわかっていなかったんです。さすがに2度目の三者会談では、鳩山さんは事態をのみ込んでいました。その段階で小沢は「3人一緒ですよ」と言ったんです。・・・鳩山さんはその時点で、自分だけが辞めさせられるわけじゃないとわかったわけです。≫
と鳩山さんのお坊ちゃん度を評価?している。
W辞任で、鳩山さんは小沢さんに辞任を勧告したようなことを言っているが、実際は最後通帳を突きつけられたのは鳩山さんだったようだ。
本ブログ6/2エントリー≪小沢さんが突きつけた三行半と鳩山総理の最後っ屁≫でも書いたが、渡辺氏の記事を読むとこの見方は概ねあたっていたかもしれない。
さらに渡辺氏は「小沢が許さない閣僚たちの名前」として、前原、岡田、北沢、長妻をあげている。
なぜ長妻か、それは力不足だったから、ということだ。
今回の増税議論について気になることを言っている。
*****政治ブログ***********
≪小沢が自らの問題で国民の信を失ったことは事実です。ただ、そのことと民主党が増税路線に変わることは、何の関係もない。ポイントはそこです。小沢は、なぜいま、菅政権が増税を口にしなければいけないのかと疑問に思っている。小泉純一郎元首相による構造改革以降、格差が拡大し、国民生活がこれほど疲弊している現状では、消費税の増税を封印し、まずは国民生活を元気にする。それが3年前の参院選で小沢が訴えたことです。民主党として初めて独自の予算編成をするのは来年度分からだし、ムダ削減の成果もまだ十分でない。財政再建は必要だけれども、それを増税で、という党内合意もまだない。このままでは公約違反になってしまいます。「反小沢」とか「非小沢」とされる人間たちが、増税・財政再建路線を、政権を奪うための口実にしているのではないか。小沢にそう映っているとしたら、それは政権交代の大義に対する裏切りと思うのではないか。≫
昨日のエントリーではないが、菅さんの小手先政治では、この見方は十分あり得ると思う。
小沢さんに対する対立軸で、一番明確なのが「増税・財政再建優先」路線である。
消費税増税に対して国民も受け入れに傾いていることなどが世論として出たのを考慮して、これを軸に「排除の論理に重ね合わせても戦える」と考えたとしても大きくは事実と離れていないだろう。
この後の記事で渡辺氏は、菅政権はまだ小沢さんの手のひらの中にある例として、参院選での複数区見直しを断念し、小沢秘書軍団をそのままにしていることをあげている。
参院選後の代表選挙は菅さんが無投票で再任されるが、その後は細野、海江田、原口あたりが小沢グループのリーダーとして世代交代の象徴になり、岡田、前原、野田などは旧世代においやられ、2年後には小沢さんが勝負に出る、と言っている。そこでの争点は「増税派」と「アンチ増税派」の戦いが始まる、とのこと。
小沢さんは「真の国民主導政治」と「安全保障の枠組み」の道すじさえ出来上がれば、禅譲・引退もあることをほのめかしている。
最後に、≪参院選後に小沢さんがどのような政策を唱えるかにより、民主党が音を立ててきしみ、大海に浮かぶ小舟のように揺れる可能性がある≫と結んでいる。
各政党のマニフェストが出てきた。
民主党は国民主導の国民のための政治から、「官僚主導の政治」へと転換し、昨年の衆院選でのフレーズがことごとく消えている。
この民主党のマニフェストで一番ほくそ笑んだのが財務官僚だろう。以下日刊ゲンダイの記事を転載させていただく。
【菅・仙谷の腰砕けに霞ヶ関官僚は高笑い】(日刊ゲンダイ2010/6/17)
≪幹部人事の「政治主導」は断念!
きのう(16日)の仙谷官房長官の会見はビックリ仰天だった。夏の官僚幹部人事について、自民党時代と同様に、各省庁が提出する人事案を追認するというのだ。
幹部人事を官邸主導で行うための国家公務員法改正案が、16日に閉会した通常国会で廃案になったため、仙谷は「適材適所で配置する図式が実現していない」とか言い訳していたが、政治主導の断念を宣言したも同然である。改正法案の成立を見込み、各省庁は幹部人事を凍結していたが、従来の官僚主導に逆戻りすることになる。
「脱官僚・政治主導」は民主党の1丁目1番地だったはずだ。この理念に国民が共鳴したから、政権交代が実現した。なのに、わずか9カ月で官僚に屈服するなんて、とんだ裏切りではないか。
「そもそも仙谷大臣は公務員制度改革に熱心ではなかった。思い入れがないから、公務員制度改革の担当ポストも、アッサリ玄葉光一郎政調会長に譲った。玄葉さんには公務員制度の知識なんて、まったくないのに……」(民主党中堅議員)
菅首相の変節も気になる。首相就任会見では、「官僚こそが政策や課題に長年取り組んできたプロフェッショナル」などとヨイショ。その後も、官邸に事務次官を集めて「一層の協力、努力をお願いする」と頭を下げていた。
民主党政権の腰砕けに、ひそかにキバを研いでいた官僚たちは「それ見たことか」とほくそ笑んでいる。「族議員が少ないぶん、民主党は御しやすい」(国交省キャリア)なんて声もある。菅や仙谷は、官僚にここまでナメられていることを分かっているのか。≫
これでは完全に後退である。政策までもが「脱小沢」で貫かれているように思えてくる。
最後までお読みいただきありがとうございます
(転載貼り付け終了)
【56】「民主党対米隷属派候補の識別リスト作成が急務」
「植草一秀の『知られざる真実』」から貼り付けます。
(転載貼り付け開始)
2010年6月16日 (水)
「民主党対米隷属派候補の識別リスト作成が急務」
私が小泉政権を政権発足時点から厳しく糾弾し続けたのは、小泉政権の政策基本方針に原因がある。
小泉政権の政策基本方針とは、
①市場原理主義
②対米隷属外交
③官僚利権温存
④政権の大資本との癒着
だった。
政権運営上の問題は、独裁的に権力を行使し、警察・検察・裁判所、メディアをも支配下に置いたことである。
小泉政権が強化した基本方針は、戦後日本政治の基本構造であった。紆余曲折はあったが、底流にこの基本方針が存在し続けたのが、戦後日本の政治構造である。
政権交代を実現し、日本政治に新しい時代を開かせることは、この日本政治構造を刷新することである。
新しい日本政治の基本方針とは、
①共生重視主義
②自主独立外交
③官僚利権根絶
④政権と大資本の癒着排除
である。
同時に警察・検察・裁判所制度の近代化とマスメディアの民主化を実現しなければならない。
昨年8月30日の総選挙を通じて、政権交代の大業が実現した。政権交代の大業を導いた最大の功労者は民主党の小沢一郎氏であった。主権者国民は小沢一郎氏が率いる民主党を支持し、政権交代を実現させた。
しかし、本ブログで指摘し続けてきたように、民主党内部には日本政治構造の刷新に反対する議員が少なからず存在する。
その中心が民主党六奉行プラスワンの対米隷属派議員である。
小沢一郎氏の力量に劣等感と怨嗟の情を抑えきれない反党議員の代表が渡部恒三氏である。渡部議員の下に、仙谷由人氏、岡田克也氏、野田佳彦氏、前原誠司氏、枝野幸男氏、玄葉光一郎氏の六奉行が名を連ねる。
昨年8月の総選挙で主権者国民は民主党を支持した。支持して理由は、民主党が、
①共生重視主義
②対米隷属からの脱却
③官僚利権の根絶
④大資本と政治権力との癒着排除
を、明確な政権公約に掲げたからである。
対米隷属からの脱却の直面するテーマとして取り上げられたのが、在日米軍のあり方の見直しである。
鳩山前首相は「最低でも県外」と明言した。
菅直人新首相は「米軍海兵隊の国内駐留は必要不可欠なものではない」との基本的見解を表明し続けてきた。
ところが、菅直人氏は首相に就任するやいなや、5月28日の日米合意を絶対視する主張を展開し続けている。
沖縄選出参議院議員で民主党沖縄県連代表を務める喜納昌吉氏が、
『沖縄の自己決定権-地球の涙に虹がかかるまで』
-沖縄にもう基地はいらない(未来社)
沖縄の自己決定権
著者:喜納 昌吉
販売元:未来社
Amazon.co.jpで詳細を確認する
を出版された。
喜納昌吉氏は名歌「花」の作者としても有名な音楽家でもある。新著紹介のサイトには、「音楽は転職、政治は本職」の言葉が紹介されている。
菅新首相は民主主義と主権者国民の強固な意志を甘く見るべきでない。
喜納氏は著書のなかで、政権交代後に沖縄の基地問題に関して菅首相と交わした会話を紹介した。喜納氏が「沖縄問題をよろしく」と言ったところ、首相は「沖縄問題は重くてどうしようもない。基地問題はどうにもならない。もうタッチしたくない」と漏らし、最後は「もう沖縄は独立した方がいい」と言い放ったという。
民主党は在日米軍のあり方を見直す方針を昨年総選挙のマニフェストに明記した。沖縄県の主権者はこの公約を信用して、民主党に各個人の重い一票を投じた。民主主義の原点は主権者国民が持つ、それぞれの重い一票にある。
菅直人氏は所信表明演説で、
「「1票の力が政治を変える」。当時の強烈な体験が私の政治の原点です」
と述べた。故市川房江議員の選挙活動を支援した体験を紹介してこう述べた。菅新首相はこの原点に立ち返り、主権者国民の切実な声を反映する政治の実現を目指すべきではないのか。
民主党は在日米軍のあり方を見直すことを政権公約に掲げて選挙を戦い、多数の主権者国民の支持を獲得して政権を樹立した。そうであるなら、新政権はこの政権公約を実行に移すために真摯に努力することが求められる。
鳩山政権の副総理の地位にあった菅直人氏が、「沖縄問題は重くてどうしようもない。もうタッチしたくない」と発言したのが事実だとすれば重大な問題だ。
鳩山政権が総辞職に追い込まれたのは、鳩山総理が主権者国民の信頼を踏みにじったからである。どんなに重い問題であっても、主権者国民と約束したからには、政治は体を張って信義を守り抜かねばならない。
どうしても不可能なときには、主権者国民に対して主権者が納得し得る説明を示す必要がある。菅直人氏も小沢一郎氏の説明責任を求めてきた一人であるが、他人に説明責任を求めるなら、その前に自分が説明責任を果たすことが不可欠だ。
菅新首相は普天間基地問題について、「日米合意を踏まえる」ことを再三表明しているが、問題になっているのは、主権者国民の同意を得ずに、日米政府が勝手に作成した日米合意そのものなのである。
主権者国民に対して、沖縄の主権者の声を無視して、米国の要求通りの日米合意を政府が勝手に結んでしまったことについて、何らの説明も示されていない。
海兵隊の沖縄駐留が日本の安全と東アジア全体の安全と安定を確保する「抑止力」として機能しているから必要だとの説明だけが繰り返されている。
しかし、米軍海兵隊の沖縄駐留については、菅直人氏自身が必要不可欠なものではないことを、これまで、繰り返し明言してきているのだ。
総理に就任した瞬間に、これまでの考え方が急変したのなら、その経緯と理由を示さなければ、主権者国民は理解しようがない。
菅直人新首相は6月23日の沖縄戦没者慰霊式典に出席する意向を示しているが、いまのままの言動では、沖縄の主権者から「帰れ」コールを浴びせかけられて当然である。「帰れ」コールを回避するために官房機密費がばらまかれることを、納税者国民が許さないことも銘記するべきだ。
政権交代実現により達成するべき日本政治構造の刷新の中核をなす項目が、対米隷属からの脱却なのである。
①市場原理主義
②官僚利権温存
③大資本と政治権力の癒着
のいずれもが、日本政治の対米隷属と不可分に結びついている。
民主党内対米隷属派議員は、
①市場原理主義
③官僚利権温存
④大資本と政治権力との癒着
を容認する基本姿勢を示していることを認識する必要がある。
6.2クーデターにより、政権交代後に成立した新政権の基本方針が、
①共生重視主義 → 市場原理主義
②自主独立外交 → 対米隷属外交
③官僚利権根絶 → 官僚利権温存
④大資本と政治権力の癒着排除 → 大資本と政治権力の癒着維持
に転換するなら、もはや政権交代後の政権とはいえ、連続性は存在しないことになる。
文字通りの「クーデター=政権転覆」であり、主権者国民はこの最重要事実を正確に把握しなければならない。
幸い、民主党内の対米隷属派議員は民主党議員の大宗を占めているわけではない。参院選で対米隷属派に属さない自主独立派の議員を増加させれば、民主党の進路を正道に戻すことが可能になる。
6.2クーデターで、民主党内対米隷属派は不正で不当な手段により、主権者国民の手から民主党の実権を奪ってしまった。主権者国民は、限られた手段と機会を最大に活用して、対米隷属勢力の手から主権者国民のための政党である民主党の実権を奪還しなければならない。
その基本は、9月代表選で、民主党正統を民主党代表の地位に就任させることである。民主党対米隷属派は、代表選にサポーター投票を組み合わせる戦術に売って出る可能性もある。民主党内正統派は、いまからサポーター選挙にも備えて、サポーター登録の獲得活動を始動させなければならない。
政権交代新政権が
①市場原理主義
②対米隷属
③官僚利権温存
④政治権力と大資本の癒着維持
に向かうなら、政権交代は小泉政治への回帰を意味することになる。小泉政治賛同者が菅新政権に賛意を示していることも、分かりやすい状況証拠である。
主権者国民は参院選で、民主党自主独立派、国民新党・新党日本、社民党候補者を支援し、民主党内対米隷属派の当選を妨げなければならない。
そのために、民主党立候補者の分類リストを早急に作成し、主権者国民に提示する必要がある。
(転載貼り付け終了)
【55】「続・「高野論説」に垣間見える、非人間性と欺瞞性」
「心に青雲」から貼り付けます。
(転載貼り付け開始)
2010/06/16(水) 17:41
「続・「高野論説」に垣間見える、非人間性と欺瞞性」
今日も「高野孟」にこだわってみた。
というのも、今まで「The Journal」を通じて民主党支持者、特に小沢支持者を騙し続けてきた、その罪は重いと思うからである。
本ブログ6/13エントリー≪高野論説で気づいたオリジナル民主党の台頭と小沢氏排除の論理≫は多くの人に読んでいただき、反響もあった。(参照:阿修羅掲示板)
「高野論説」の中で高野氏は、小沢氏の欠陥として内田樹『日本辺境論』を取り上げながら、
≪最初から「説得の言語」を持とうともせずに「恫喝の語法」に頼り、そしてさらに言えば、その恫喝の語法を貫徹するために、言語そのものを用いることさえも放棄して、組織や人事や選挙を通じて力をみせつけて、自分が「最高実力者」であり「闇将軍」であることを有無を言わせず認めさせ、「立場の差を構築」しようとするのが小沢流と言えるかもしれない。≫
と口汚く罵っている。かなりの決め付けであり、やはり考え方でも田原総一郎の子分であったことがよくわかった。
別に高野氏が「反小沢」だろうが「嫌小沢」だろうが、そんなことは知ったことではないし、勝手にどうぞくらいである。
ただ、何故こだわるのかといえば、小沢氏が進めてきた政治改革を支持するフリをして、多くの読者を取り込みながら、内実はその多くの読者を騙してきた、という結果的な詐欺的事実があるからである。
かくいう私も騙され続けてきたクチだ。
このサイトに何故、田原総一郎の説を載せるのか、いつも疑問に思いながら、親分子分だからしょうがない、くらいに思ってきた。
それが、この6月12日の「高野論説」で、その本性を思いっきり出してきて、今まで抑えてきたものが爆発したように書きなぐっている。ほぼ田原氏の意見とも一致しているのではないかと思う。
以前の「高野論説」”鼠一匹”も出ない?小沢事情聴取──追い詰められているのは検察であるの冒頭で、
≪東京地検特捜部が目指しているのは、政治家=小沢一郎の抹殺すなわち議員辞職であり、それは無理だった場合でも、せめて幹事長辞職に追い詰めてその影響力を決定的に削ぐことである。≫
と言っているが、今まで自分のホンネを隠し、表面的には「政治とカネ」で追及されている小沢氏をフォローしていたが、実は民主党のためだけだった、ということがよくわかった。
私も白状をすれば、高野氏の論説で今まで惹きつけられたものは一つもなかった。平野貞夫氏や二見伸明氏、田中良昭氏などの論説を楽しみにしていたくらいだ。
*****政治ブログ***********
知らなかったのだが、このジャーナルのコメント欄は、承認制になっているとのことで、もっと反論があってしかるべきと、反対意見の少なさを不思議に思っていた。
定かではないが、菅総理になったと同時くらいに承認制になり、反論を受け付けなくなった、と阿修羅コメント欄に書いてあった。
この「高野論説」の小沢氏の評価の中に、人と人との心情的なつながりというものを無視して語られていて、小沢氏がどのような理想に向かって行動してきたのか、どういう人たちに対して説得しようとしていたのかが、一切抜け落ちている。小沢氏が自民党を離党して、今日の政権交代に至る過程の全てを表層的にのみ捉え、その見方は悪意に満ち満ちている。
小沢さんは「政策」などに関しては、ストレートにわかりやすく、伝えようという努力の後がみられるが、こと「政局」に関係するような話題は、本人の口からは語られず、側近などから漏れ伝わってくるのが常である。
あることないことペラペラしゃべる、マイクを向けられたら喜びいさんでマスコミが意図するようなことを進んで言って媚びを売る連中とは、そもそも人間の重みが違うのである。
小沢さんの影響力を考えれば、当たり前の話なのだが…。
既に小沢一郎を過去の人だとして先日、私のツイートに変な返信がついていた。
「小沢さんにはまだ大きな仕事が残っている」というツイートに対して、
≪まだ小沢ですか。逃げた女房にいつまで未練を残しているんですか。≫ と、わざわざ返信してくる民主党支持者と思われる輩がいる。(参照)
そういう人間に限って歴史を軽んじ、先人達の功績に思いを馳せることもなく、年輩者に対しての尊念(尊敬の念)も持ち合わせていない、他人を思いやる心の余裕もない、自分の力で生きている、くらいに考えているような、自己中で傲慢な、人間として欠陥がある者だと思う。
これと全く同じことを高野孟氏に感じる。
菅政権も歴史的政権交代の最大の功労者に対して、その評価もせず、逆に「黙って引っ込んでろ」などと言えるのは、まさに同類である証拠といえるのではないだろうか。
(転載貼り付け終了)
【54】「菅直人に宰相の資質なし(上)」
「心に青雲」から貼り付けます。
(転載貼り付け開始)
2010年06月16日 | 政治問題
「菅直人に宰相の資質なし(上)」
《1》
私は正直言って、小沢一郎という政治家にあまり関心がなかった。マスゴミが「闇将軍」だの「毒」だの「壊し屋」だのと言うからには、逆に本当は違うのだろうと思ってはいた。マスゴミは嘘つきなのだから。だが、それ以上の関心はなかった。
副島隆彦氏などは、彼こそ「日本国王」なのだと以前から主張しているけれど、それは対米関係(属国で隷属させられている)においてそうだと言えるだけで、小沢氏の主体性においては、リーダーたらんとしているのか、裏方に徹しようとしているのか、どっち付かずの存在だったという印象を拭えない。
それに関連して、「阿修羅掲示板」にあった記事を紹介したい。テーマはあくまでリーダーとは何か、である。
民主党・自由党合併直後の小沢インタビュー「次の総理菅直人について 」(週刊現代 2003年11月29日号)が、ブログ「日々坦々」に掲載されている。重要な箇所を引用する。当時は民主党が菅直人代表で、自由党の小沢一郎党首と合併したところであった。
http://etc8.blog83.fc2.com/blog-entry-494.html
* * *
――民主党と自由党が合併して1ヵ月半ほど経った。民主党の良くない点は、どこか。
小沢 日本的なところ。日本的コンセンサス社会の体質をまだ残していますね。会議を例にとっても、時間をかけ、全員の意見を聞きさえすればいい、それが素晴らしいことだという意識が根強い。その結果、意見がまとまらない項目について、採決したり、リーダーが責任を持って決めたりすることはない。自民党も労働組合も、この文化に根差している点では同じです。
――トップダウンにすべきということか。
小沢 トップダウンが一概に悪いわけではない。トップが、理念や哲学をちゃんと持っていて、失敗した際に責任を取れるならね。しかし、民主党の場合、それ以前に、議論ばかりしてないで、結論を出すことの重要性に気付かないといけない。角が立たないように玉虫色に、難問を先送りし、コンセンサスを形成する。これは日本的民主主義であって、真の民主主義ではありません。
――菅代表にも、そうした体質が残っている?
小沢 菅さんだけではありません。みんな旧来の体質を引きずっています。民主主義は、結論を出すために多数決というシステムがあり、ポジションがあるわけです。民間の会社をご覧なさい。役員会が真っ二つに分かれたら、社長が決断する以外ないでしょう。それができない会社は、市場から退場させられます。
菅さんは、日産の社長、カルロス・ゴーン流を学ばなくてはいけない。「私は改革をこのように進める。それができなかったら、責任をとって辞める」この一言をズバッと言うことこそが、欧米流の民主主義の神髄です。今までは日本的民主主義で済んできました。しかし、グローバリゼーションの中、それでは立ち往かなくなっています。幕末と同じ時代背景なのかもしれない。
* * *
小沢氏がいう「日本的コンセンサス社会の体質」すなわち「会議を例にとっても、時間をかけ、全員の意見を聞きさえすればいい、それが素晴らしいことだという意識」は、民主党にかぎらず、わが国のほとんどの組織がかかえる宿痾であろう。さすがにこの指摘は小沢ならではだ。私は小沢氏を見直した。
7年前から菅の愚かさを的確に見抜いている。だが、こういうことを言うから小沢は、「 日本的コンセンサス社会の体質」を引きずる政治家や官僚、マスゴミ記者から嫌われるのだ。菅も、陰で小沢の悪口ばかり言っているそうだ。
「議論ばかりして」「結論を出すことの重要性に気付かない」「角が立たないように玉虫色に、難問を先送りし、コンセンサスを形成する」これがこれまで官僚・役人が主導してきた「日本型民主主義」だと小沢氏は言っている。まったくそのとおりである。
昨年8月の民主党政権奪取で、そうした病態を変えて政治家が主体的に政策立案と実行をしていこうじゃないかと発足したはずが、鳩山がこけたら、菅直人があっと間に、元の官僚主導に戻してしまった。これは官僚どもによるクーデターである。
国会では「議論ばかりして」「結論を出すことの重要性に気付かない」「角が立たないように玉虫色に、難問を先送りし、コンセンサスを形成する」ように仕掛けておいて、すべてを官僚の利権に沿うよう誘導してきたのが、本邦の明治このかたのありようだった。
これをマザコンという。
さらに引用を続ける。
* * *
小沢 菅さんは庶民派ですし、市民との交流もある。これはすばらしいことだと思います。けれど、宰相に求められる資質はそれだけではない。俗に等身大の政治などというでしょう。だけど、僕は総理大臣というのは一般大衆とは同じ感覚であるべきではないと思っています。同じ感覚では総理大臣は勤まりません。
一般大衆の関心というのは、基本的には家庭であり会社であり、隣近所です。だけど総理は全国的というよりは国際的な視野をもって、国のため国民のためと信ずることを断固としてやらなければなりません。それが総理の重みということになるんでしょうが、それを菅さんに身につけていただきたい。その意味で庶民派から一歩、脱皮していただきたいと考えています。
* * *
小沢氏は、民主党と合併した直後だから、穏便な表現をして菅を叩いていないが、本心は菅をバカにしていることが見て取れる。菅は庶民派ですばらしい、などとおべんちゃらを言っているが、小沢氏のホンネは、「菅みたいな等身大の政治なんていう奴はバカだ、マザコンだ。一国のリーダーが一般庶民と同じ感覚で、政治の修羅場がくくれるか」と言うのだ。
まさにそのとおりだ。だからマスゴミをはじめとして、官僚も、自民党も、大企業も小沢が嫌いなのである。庶民感覚で政治をするのが良いと思っているのか、大衆がそういう感覚(等身大で、市民派)なら御しやすいと考えているからだろう。
アメリカとて、優秀なリーダーが登場して日本を団結させてしまうのが、一番困るから、真性のリーダーらしい萌芽が出るとすぐに潰しにかかる。アメリカの言う事に隷属する首相ばかり据える。
(転載貼り付け終了)