日本政界●情報メモ
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Loginはこちら【83】「日本が初の海外軍事基地を新設」
四月二十三日、フランスのAFP通信は、「日本が初の海外軍事基地を新設」と題する記事を配信しました。しかし日本のマスコミはほとんど報道しなかったのです。
それは、0九年三月からアフリカ・ソマリア沖の海賊対策で派遣されている海上自衛隊は、ソマリアに隣接するジブチにあるアメリカ基地に同居していたのですが、今回拠点となる基地をジブチに建設するとの報道です。自衛隊はついに海外に軍事基地を持つ事になりました。「四千万ドル(約三十七億円)をかけた基地は年明けにも完工」するのです。
AFPの取材に答えた海上幕僚監部所属(当時)の北川敬三二等海佐は、「国外で唯一、アフリカでは初の日本の基地となる見通し」だと語り、これを受け、ロシアやシンガポールなどの海外メディアは「日本初の海外軍事基地」に関する報道をしています。
後述するが井沢氏の調査によると、五月十一日、この重大な事実について鋭い問題意識を持つフリーランスの岩上安身記者は、記者クラブ員以外にも開放している記者会見で、岡田外務大臣に対して「これは基地ではないか」と質問していました。
すると大臣は「今、海賊対策で船だけではなくて、飛行機も出している訳です。その飛行機を整備するとか、そういうことが必要になります。そういうスペースを確保したということです。それを基地と言うかどうかは別にしてということです」「各国それぞれ飛行機を持っていますから、そういったスペースを確保しているということです。(中略)船を出している、それを上から海賊船を見るために出している飛行機ですので、お考えのような基地というものではありません」(「外務大臣会見記録」)と答えました。
井沢氏は、この答えを聞いた大手マスコミに所属する外務省記者クラブの面々も「ああスペースなんだ、基地じゃないや、じゃニュースにしなくてもいいな」と「判断」したと推論した。実際には本当にこんな推論が成り立つものかあやしいものです。私は残念ながらこの時点ではフォローしていない。ユーチューブにもこの動画は出ていないのです。
このように、大臣は「基地」ではなく「スペース」だとの強弁でこの場を乗り切ったのです。まさに官僚体質が強い岡田氏の面目躍如のとんでもない詭弁ではないでしょうか。この会見に同席していた大手マスコミに所属する外務省記者クラブの記者たちも、この答弁に問題意識もなく納得したか、関心があってもデスクに握りつぶされたかは全く定かでなく、現実に一切報道されていないのです。さすがにインターネット上では鋭い感覚を持つ何人かの人たちがこの問題を論じています。ぜひ皆さんにも読む事をお勧めします。
こうした状況の中で、井沢元彦氏 は『週刊ポスト』の七月二日号に、「拝啓 岡田外務大臣 なぜあなたは『海外初の(建設費37億円)の自衛隊基地(BASE=ベース)を「活動拠点(SPACE=スペース)と言い換えるのですか」との記事を発表しました。
もちろん自衛隊は軍隊であれとする彼の指摘は基地を持つ事を隠すなとの右翼的なものです。しかしこの事実に対して報道管制がしかれているかのような現状の中では、彼の反論は反面教師としての意義を持っています。社民党や共産党は、事ここに至るまで、一体何をしているのでしょうか。彼らはまるで音無の構えでこの事実を知らないかのようです。
通勤電車内の『週刊ポスト』のど派手な中刷り広告は、労働者民衆の目を当然にも引き付ける事でしょう。労働現場で反戦平和勢力を自負する私たちがぜひとも取り上げたい話題です。自衛隊は抑止力を持った専守防衛体制を堅持する事に特化すべきなのです。
この軍事基地を造る事はアメリカから押しつけられたものでしょうか。それとも自衛隊海外派兵の一環なのでしょうか。日本国家は一体何を企んでいるのでしょうか。
【82】「「民意」より「官意」を重んじる「菅官政権」」
2010.06/25 [Fri]
「「民意」より「官意」を重んじる「菅官政権」」
小沢一郎は、やはり、僕らの小沢一郎だ。
財務官僚の思惑どおり、翼賛的な「消費税増税」の大合唱に対し、ついにその態度を明らかにした。
しかも、山梨県の片田舎、ビールケースの上から演説したあとで・・。
「3年前の参院選も昨年の衆院選も、『すぐ増税はしない。無駄を徹底的に省き、財源を捻出(ねんしゅつ)する。それでも財源が不足する時は消費税の論議をする』というのが我々の主張だった。(そうした認識は)変わっていない」
そう、だからこそ、僕らは民主党に票を投じたのだ。
しかし、菅政権はそれを反故にし、「民意」よりも「官意」を重んじる政権であることを次第に明らかにしつつある。
今日も一票、お願いします。
今日、菅代表と谷垣総裁は、参院選第一声で、異口同音に「ギリシャのようになっていいのか」と国民を脅した。
脅して、庶民の貧しい財布から金を掠め取ろうとする行為は、道端で待ち伏せて金を脅し取る強盗とどう違うのか。
国の規模も債務の内情も違う日本とギリシャを単純に同一視して、「ギリシャのようになれば、まず年金がカットされる。次に給料がカットされる」と、露骨に有権者に恐怖を煽るような菅総理の演説をきいたとき、僕は、昨年の衆院選で高く掲げられた「国民の生活が第一」というスローガンが、ゴミのように捨て去られてしまったことを、はっきりと感じた。
政権交代の果実であったはずの、「官僚主導打破」が夢まぼろしのように消えてしまった。
これは、とりもなおさず、旧体制の復活を意味するものなのではないか。
菅首相が霞ヶ関と手を組んだのは、足を引っ張られるのが怖いからだけではない。
有力な政治家が官僚を味方につけると、政敵のスキャンダルから官邸や党内の動き、どの議員がどんな陳情を取り次いだかなど、どんどん情報が入ってくる。
次の首相を窺っていた現実主義者の菅氏は、そこまで計算して副総理の頃に霞ヶ関と組んだのではないか。
その見返りに官僚に踏まされたのが「消費税増税」の踏み絵だったというわけだ。
国民のカネで地位を買ったと批判されても仕方ない。
週刊ポスト7月2日号
戦後、はじめて実現するかのように見えた真の「民主主義」は、再び「官主主義」に後退してしまった。
しかし、はっきりと、小沢一郎氏は、「消費税増税反対」の旗幟を鮮明にした。
東京の町田市で「増税」を叫んだ菅氏と、地方の片田舎で「増税反対」を明らかにした小沢氏と、どちらが、庶民、貧乏人の味方であるのか、明らかだろう。
選挙後の小沢氏の反転攻勢を期待したい。
(転載貼り付け終了)
【81】「大企業減税庶民10兆円増税阻止が参院選争点」
「植草一秀の『知られざる真実』」から貼り付けます。
(転載貼り付け開始)
2010年6月24日 (木)
「大企業減税庶民10兆円増税阻止が参院選争点」
参議院選挙が公示された。
7月11日投票に向けて17日間の選挙戦が展開される。
政権交代実現後、初めての国政選挙になるが、直前に鳩山政権から菅政権への交代があり、菅首相が消費税増税方針を示したため、参院選最大の争点として消費税問題が浮上することになった。
1996年10月20日の総選挙では、橋本政権が消費税率の2%引き上げ方針を掲げ、この問題が大きな争点になった。
比例区での得票率では自民党が32%、新進党が28%を獲得した。この年に創設された民主党は14%を獲得し、新進・民主両党の合計得票率は42%と自民党を大幅に上回った。
しかし、小選挙区制を軸とする選挙では、得票率1位の政党が圧倒的多数の議席を獲得する。自民党獲得議席は239、新進党は156、民主党は56となり、橋本政権は政権を維持して消費税増税に踏み切った。
日経平均株価は1996年6月に22,666円にまで上昇し、日本経済は順調に回復軌道に乗っていたが、消費税増税方針が閣議決定された翌日から株価は下落トレンドに転換。98年10月の12,879円に向けて大暴落した。
日本経済は深刻な不況に突入、大証券、大銀行が相次いで破たんし、日本経済は金融恐慌の淵にまで追い込まれた。
1996年10月の総選挙で、非自民勢力が結集したならば、日本の運命は異なるものになったと考えられる。政権は交代し、消費税増税は回避されていた。日本経済の回復は維持され、税収が増加して財政赤字の減少も進展したはずである。
橋本政権は消費税増税を強行実施したが、財政赤字は96年度の21兆円から99年度の37兆円へと激増してしまった。
菅首相は消費税率の10%への引き上げを示唆した。菅内閣の閣僚で政策調査会長を兼ねる政策決定責任者である玄葉光一郎氏は、
「マニフェスト発表の場で自身の言葉で言ったのだから、当然、公約になる」
と明言した。
民主党内で民主的に論議した形跡はまったくないが、消費税大増税10兆円庶民大増税が民主党の選挙公約になった。
他方、自民党、立ちあがれ日本、が消費税増税方針を明確に掲げている。
これらの勢力が衆参両院で過半数の議席を確保すれば、消費税大増税=庶民直撃10兆円大増税が実行に移される可能性が一気に高まる。
選挙前に消費税増税を掲げた勢力に議会過半数の議席を主権者国民が付与すれば、財政当局は主権者国民の「お墨付き」をいただいたと説明することになる。
世界経済は2011年に向けて、極めて大きなリスクを抱えている。
2008年から2009年にかけて、世界経済は100年に1度の「金融津波」に見舞われた。震源地の米国で財政、金融、資本増強の三位一体の政策対応がフルに動員されたため、2009年から2010年にかけて小幅改善が示されたが、問題が解消したわけではない。
詳しくは『金利・為替・株価特報』2010年6月25日号に記述するが、日本経済もなんとか戦後最悪の状況から一歩抜け出ただけの状況だ。
1996年の橋本政権、2000年~2001年の森・小泉政権は、回復初期の日本経済に超緊縮財政を実行して、日本経済を破壊した。
まったく同じ過ちに菅政権が着手し始めたのである。
『賢者は歴史に学び、愚者は歴史を繰り返す」
の言葉をかみしめる必要がある。
主権者国民が主要税目の税収推移をよく知らないと思われるので、あらためて税収推移グラフを掲載する。
国税収入は1990年度の60.1兆円から2009年度の36.9兆円に減少した。このなかで、消費税は1990年度の4.6兆円が2009年度には9.4兆円に倍増。他方、法人税は1990年度の18.4兆円から2009年度の5.2兆円に激減した。4分の1に激減した。
菅政権はこの期間に倍増した消費税収入をさらに倍増させる、9~10兆円庶民大増税を公約に掲げたのだ。他方、4分の1に激減した法人税を減税すると公約しているのだ。
大企業優遇=庶民いじめの税制改悪が公約に掲げられている。
民主党は政府支出の無駄排除をやり抜くまでは増税に移行しないと約束してきたが、この約束を破棄して、政府支出の無駄を温存したままで庶民大増税に踏み切ることを公約に掲げたのである。
この悪政を容認することはできない。
参院選では、民主党の小沢一郎氏グループの候補者を個別に支援する以外は、比例区では国民新党、社民党を中心に消費税大増税反対を明示する政党に投票するしか選択肢はない。
菅政権を選挙管理内閣に限定し、9月民主党代表選で主権者国民の意思を尊重する新しいリーダーを生み出さなければならない。
(転載貼り付け終了)
【80】「「岩手日報」は故江藤淳先生の墓前に土下座し、謝罪したのか? それとも間違いは何もないと思っているのか?」
「毒蛇山荘日記」から貼り付けます。
(転載貼り付け開始)
2010-06-24
「「岩手日報」は故江藤淳先生の墓前に土下座し、謝罪したのか? それとも間違いは何もないと思っているのか?」
一地方新聞のこととはいえ、新聞社の顔ともいうべき「社説・論説」のコーナーにおいて、江藤淳先生の著書・論文の「引用」と「解釈」をめぐって、「無智・無学・無教養」を絵に書いたような、あまりにもお粗末な、記者たち(論説委員)の勉強不足を露呈してしまった、初歩的な「捏造事件」を引き起こした「岩手日報」だが、その後、「岩手日報」には抗議が殺到していると言う噂も聞かないではないが、それはともかくとして、その後、訂正記事なり謝罪記事なりを何らかの形で出したのだろうか。それよりも、僕は、江藤淳先生の墓前に土下座し、謝罪すべきだと考えるが、捏造記事の執筆者である宮沢徳雄とその記事を天下に晒した「岩手日報」の連中は、どう考えているのか。何事もなく、頬かむりして済ますつもりなのか。さて、読者からのコメントで知ったのだが、江藤先生の小沢一郎論「帰りなん、いざー小沢君に与う」を収録した『月に一度』を『小沢君、水沢へ帰りたまえ』と改題し、詐欺師・屋山太郎の解説つきで復刊した新刊本の書評が、「週刊ポスト」に載っているらしいが、筆者は佐野真一ということだが、予想通りというか、版元の思惑通りというか、「小沢一郎批判」に沿った書評になっているらしい。佐野真一は、沖縄に関しても、沖縄ブームに便乗するかのように、「沖縄を美化する作家や評論家が…」と、婉曲的に大江健三郎やその他の左翼系の沖縄論を批判するかのような、思わせぶりな内容の著書を刊行したばかりだが、『東電OL殺人事件』に象徴されるような通俗読み物ライターらしく、つまり、所詮は毒にも薬にもならないような「通俗大衆小説的メロドラマ的ナラティヴ」に依拠する物書きだから、何を書こうと別に関心もないが、今、まさに渦中にある「小沢一郎」に対して、どう書いているのかには、佐野真一の物書きとしての立ち位置を含めて、僕も関心がある。さて…。「週刊ポスト」を「立ち読み」(笑)してきたが、やはり、文学青年崩れの甘ったれた三流通俗ライターの分際で、「政治家・小沢一郎」を見下したかのような横柄な語り口で、上から目線で大法螺を吹いているではないか。笑止である。そもそも結果が分かってから「解説」や「論評」をするのは「後講釈」であって、批評ではない。こんなことを言っ(書い)ている。
「闇将軍の条件というと、いろいろありますけどね。一つは『住まい』、家屋敷や構えも、私は重要だと思う。角栄の目白御殿は、立地といい有象無象を問わず呑み込む佇まいといい、まさに闇将軍の住まいでしたよ。対して世田谷・小沢邸は立派は立派だが、どうも凡庸なんだな。人を引きつけない、来る者を選ぶ家という気がする。」「…キングメーカー角栄は、金を集め人を集める天才だった。重要なのは、金は人に配るためにあったことだ。小沢の場合はその肝心の『人』がいない。彼の地元・岩手は原敬や鈴木善幸など政治家を多数輩出した。なかでも後藤新平がいい言葉を残している。『金を残して死ぬものは下、仕事を残して死ぬものは中、人を残して死ぬものは上』だとね。」「・・・ところが小沢は裏切られるのが怖いのか、前原や枝野ら反小沢を遠ざけ、金は残せても人は残していない。つまり後藤の言葉を借りれば政治家として下か中どまりで…」
というような調子で、馬鹿も休み休み言えばいいものを、バカ丸出しの例えどおりに、水戸黄門的な政治漫談的弁舌を、批評的緊張感もなく垂れ流している。「溝に落ちた犬はたたけ」という大衆的ルサンチマンの捌け口的な「小沢一郎批判」のレベルの低さには、「佐野真一が特別寄稿」と名うっている宣伝文句が泣くというものである。「特別寄稿」という見出しを出しているにもかかわらず、こんな「文学青年崩れの甘ったれた三流通俗老い耄れライター」しか捕まらなかったのか。おまけに、最後にこなことまで言っている。
「比較的御しやすいと思った鳩山から最後の最後に予想外の怪力で抱きつかれて心中させられたあの解任劇には、それこそ玉川上水で太宰治を心中に踏み切らせた山崎富栄の悪女ぶりを思い出したなあ(笑い)」
今時、太宰治や山崎富栄を持ち出してくるとは・・・。さすが、「文学青年崩れ」の甘ったれた三流通俗老い耄れライターだけのことはあるなあ(笑い)。さて、僕が、佐野真一なる物書きの存在を知ったのは『東電OL殺人事件』であるが、そのあまりにも通俗的な「文学青年崩れ」的なロマンチシズムにうんざりしたことを覚えている。たしか「東電OL」でありながら、売春婦に身を窶し、そして渋谷の貧しい外人アパートの一室で殺されていた女性の心の闇を説明するのに、坂口安吾の『堕落論』の中の有名なフレーズ「生きよ、堕ちよ」を使っていた。太宰治に坂口安吾とくれば、誰でも手の内が見えすぎると思うはずである。以後、満州関係の『甘粕正彦・乱心の曠野』等、書店ではよく見かけたが手に取ったことはない。三島由紀夫は推理小説がきらいだったらしいが、実は僕も推理小説が嫌いなのであるが、それは「答えの分かっている問題」、つまり「結論が出てしまった問題」に興味がなかったからだ。しかるに佐野真一の書くものは、ことごとく「結論の出ている問題」を「後講釈」的に物語る類いのものばかりである。批評も思想も何もない。書くものがことごとく水戸黄門的な、陳腐なメロドラマになるはずである。要するに、ちょっとまともな物書きならば、小沢一郎を批判・罵倒するとしても、小沢一郎が実権を握っている時にやるだろう。こういう陳腐なメロドラマしか書けない通俗ライターは、小沢一郎が復権し、政界の最高実力者に返り咲いたら、今度は、一斉にゴマスリを始めるか、あるいは我関せずとばかりにひたすら沈黙を守り通すことだろうなあ・・・(笑い)。
(転載貼り付け終了)
【79】「民主党の豹変:極東戦争を防ぎ、国民の命を守るためだった?」
「新ベンチャー革命」から貼り付けます。
(転載貼り付け開始)
2010年6月24日 No.145
「民主党の豹変:極東戦争を防ぎ、国民の命を守るためだった?」
1.菅民主党政権への批判は見当違い
米戦争屋傀儡の自民党従米政権に嫌気が刺して、政権交代を切望してきた国民(主に民主支持者)は、対米独立に挑戦しようとした小沢・鳩山政権に強く期待し、熱烈に支持してきました。筆者もその一人です。ところが、政権交代後、戦争屋率いる悪徳ペンタゴン日本人に執拗に攻撃されて、6月2日、遂に精根尽きた小沢・鳩山W辞任の後、6月4日、間髪入れず菅政権が誕生、早、約3週間経ちます。7月11日には参院選が行われます。各党、すでに選挙モードに突入しています。
ところが、小沢・鳩山辞任後の菅政権は、民主支持国民の期待を裏切り、政権交代前の自民党となんら変わらず、小泉政権の再来と指摘する人もいるほどです。菅政権の正体が明らかになるにつれて、政権交代時に民主党を支持していた政治ブロガーやネット愛好者の菅政権への批判は高まる一方となっています。次期参院選では、真剣に民主党を支持してきた国民ほど、民主離れして、亀井氏率いる国民新党に傾斜すると思われます。その意味で国民新党の躍進は、予想以上に大きいような気がします。
確かに、菅政権が今のまま続けば、政権交代の意味はまったく失われます。しかしながら、菅政権を安易に批判するのはちょっと待って下さい。
2.民主党の変節は、菅政権ではなく、鳩山政権末期に起きた
菅政権になって、民主党の政治が、政権交代直後に比べて、180度、変節しているのは確かですが、筆者の観察によれば、民主党が変節したのは、菅政権誕生前の5月4日の連休中、鳩山首相の沖縄訪問時だと思われます(注1)。鳩山首相が、沖縄駐留の米海兵隊が抑止力だとか、なんとかと、沖縄県民に向って、つぶやいた時点が決定的な民主変節ポイントだとみなせます。要するに、この時点で、民主は米戦争屋率いる悪徳ペンタゴン連中との戦争に負けたのです。
現在の菅政権の路線は、5月連休に白旗を挙げた鳩山首相の意向に沿っています。すなわち、今の民主は悪徳ペンタゴン従属政党に豹変しています、少なくとも、見掛け上は・・・。しかしながら、真に変節したかどうか、現段階では不透明です。悪徳ペンタゴン連中は、彼らの天敵・小沢氏が民主党内で要職に就いてなくても、党内にて健在であるかぎり、民主が心底、悪徳ペンタゴン従属党になったかどうか、懐疑的でしょう。
いずれにしても、民主が君子豹変したのは事実ですが、変節ポイントがどの時点だったかによって、変節後の民主に対する見方は大きく異なってきます。
民主の変節ポイントが5月連休中であるという筆者の見方に立てば、現在の菅政権は、小沢・鳩山コンビ政権末期に起きた民主全体の変節路線に粛々と従っているに過ぎません。菅首相およびその取り巻き閣僚が小沢・鳩山コンビを裏切っていると批判するのは早計です。
3.なぜ、民主は豹変したのか
それでは、民主はなぜ、5月連休に党全体として豹変したのか、筆者の見方では、韓国哨戒艦艇・天安沈没事件(3月26日発生)の真相が、鳩山政権に内密に伝えられたからだと推測します。この事件の成り行き如何で、極東戦争が引き起こされる危険を民主幹部が肌身で察知したからでしょう。天安事件真相発覚以降、民主は党として、米国戦争屋(悪徳ペンタゴンの首魁)に逆らえない状況(有事)にあると判断しているのです。その結果が、民主の対戦争屋無抵抗主義の採用となったということです。消費税引き上げもおそらく米戦争屋の要求です。
民主は米国戦争屋から、言う事を聞かないと、極東戦争を起こすと強く恫喝された可能性が高いのです。
この状況は、人質を取って立てこもった凶悪犯に、言う事を聞かないと人質の命はないと脅かされた警察が、凶悪犯を刺激しないよう、言う事を聞くポーズを取っている状況に近いでしょう。
4.民主は今後、どうするのか
いずれにしても、7月参院選が終わるまで、現在の路線(悪徳ペンタゴンに従うポーズ)で突っ走るのは確かです。民主変節に怒り、国民の間で民主離れが起こるのは当然、織り込み済みでしょう。この流出票は、国民新党に流れてくれればよいのです。なぜなら、国民新党党首・亀井氏と小沢・鳩山コンビはツーカーですから。
政権交代後、悪徳ペンタゴン連中の執拗な攻撃を経験し、小沢・鳩山コンビは、民主党単独で、戦争屋と対峙しても勝ち目のないことを思い知ったはずです。確かに小沢・鳩山民主(内なる敵・民主党内戦争屋シンパの妨害あり)のみで戦争屋に対抗するのは到底、不可能です。絶対に独立するという国民の強い意志と応援が必須だったのですが、悪徳ペンタゴンにだまされて、日本国民の応援が極めて弱かったのです。これこそ、小沢・鳩山コンビ最大の誤算でした。残された唯一の道、それはオバマ政権がどれだけ、戦争屋弱体化に成功するかにかかっています。オバマ大統領とて、個人的には命がけです。
いずれにしても、小沢・鳩山コンビは、オバマや欧州系寡頭勢力による米戦争屋弱体化作戦に賭けるしかありません。世紀の悪徳モンスター・戦争屋退治は、不甲斐ない国民の多い日本にとって残念ながら、他力本願です。
5.極東戦争回避は、中露の努力の賜物か
今回、かろうじて極東戦争が回避されたのは、鳩山首相が戦争屋にひれ伏して無条件降伏したからでしょうか、残念ながら違います。それより中露の努力に拠るところが大きいのは確かです。とは言え、中露といえども。米戦争屋の暴発を完全に抑えることはできません。何と言っても、戦争屋自身が極東戦争を勃発させることに失敗したことが、戦争回避の最大の理由です。さらに韓国が戦争屋をかばってドロをかぶったことも奏功しています。戦争屋は、彼らの常套手段・戦争勃発ねつ造作戦に失敗して、一時、蒼くなったものの、韓国のおかげで恥をかかなくて済み、ホッと一安心、韓国に大きな借りができてしまいました。また、いつものように悪役を演じさせられてきた北朝鮮も大迷惑でしょう。しかし、これまでのように、戦争屋の中東作戦に呼応して、北朝鮮が極東で挑発行動を行って、戦争屋に協力する意欲も低下しているでしょう。今後、北朝鮮は米戦争屋よりも中国の言うことを良く聞くようになりそうです。
天安事件で大失敗した戦争屋は当分、極東でデカイ面はできなくなっています。
それにしても、したたかな戦争屋はころんでもタダでは起きない。鳩山政権を対戦争屋無抵抗主義に変節させることに成功したのです。
鳩山政権も、対戦争屋従属と引き換えに、極東戦争危機を取り除き、日本国民の命を守ったわけです。
民主党にとって、凶暴な戦争屋対策がいかに困難を極めるか、われわれ国民はもっと理解を示す必要があります。ところが肝心のマスコミは戦争屋の陣営ですから、マスコミが日米関係の真実を国民に知らせることは絶対にありません。これだけはネット情報に頼るしかありません。
それにしても腹が立つのは、このような戦争屋の言いなりになってきた悪徳ペンタゴン日本人(大手マスコミ人を含む)の罪深さです。彼らこそ、日本に巣食う悪性ガンそのものです。
注1:本ブログNo.122『普天間問題:オバマ・鳩山vs米国戦争屋・悪徳ペンタゴンの代理戦争』2010年5月5日
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/13531636.html
ベンチャー革命投稿の過去ログ
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm
テックベンチャー投稿の過去ログ
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-PaloAlto/8285/column-top.html
(転載貼り付け終了)
【78】「大資本減税庶民大増税提唱の菅路線は挫折する」
植草一秀の『知られざる真実』
マスコミの伝えない政治・社会・株式の真実・真相・深層を植草一秀が斬る
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2010年6月23日 (水)
「大資本減税庶民大増税提唱の菅路線は挫折する」
6月24日の参院選公示を控え、日本記者クラブ主催の9党首討論会が開かれた。
菅首相が消費税率の10%への引き上げ方針を示唆したことを背景に、消費税問題が参院選の重要争点として浮上している。
日本の財政事情が悪化していることは事実である。しかし、日本の場合、国内の所得支出バランスと実物投資の差額から生じる国内資金余剰が巨額であり、財政赤字をすべて賄ったうえでなお巨額の資金余剰が残り、この資金が海外流出している。
財政赤字を国内資金で賄うことのできない米国などの事情とは大きな差が存在する。
日本の国債発行金額は2008年度当初予算では25兆円だった。それが、サブプライム金融危機に伴う景気後退に対処するための補正予算編成と税収減少により、一気に53兆円に拡大した。予算規模の半分以上を国債発行で賄う現状は異常であり、財政状況の改善が重要課題であるのは事実である。
しかし、この財政収支悪化が景気悪化を背景に生じたものであることを踏まえねばならない。財政収支は不況の局面で悪化し、公共の局面で改善する。
不況では景気対策が必要となり、税収が減少すると同時に社会保障関係支出が増加するからだ。好況ではこの逆の現象が生じ、財政赤字が減少する。
不況の局面で財政赤字が増大することは景気を支える効果を併せ持つ。好況の局面で財政赤字が減少することは景気を冷やす効果を持つ。
この効果を財政の景気自動調整機能(ビルトイン・スタビライザー)と呼ぶ。
不況の局面で財政赤字が拡大することはこの意味で当然のことであり、不況の結果拡大した財政赤字を人為的に縮小させようとする政策は、財政収支が持つ景気安定化効果を消滅させてしまうことも考慮しなければならない。
財政赤字が拡大した最大の原因は、「税収の減少」にある。「税収の減少」をもたらした最大の原因は「不況の深刻化」にある。国税収入は1990年度に60兆円あった。これが2010年度には37兆円に減少した。23兆円も税収が減少したのである。
したがって、財政赤字を縮小させるための第一の方策は、税収の自然増を確保することなのである。税収の自然増は、景気回復によってもたらされる。
政府がいま最優先すべき課題は、「景気回復」である。「景気回復」が財政赤字を縮小させるために最も有効な施策である。この点を的確に指摘したのは国民新党の亀井静香氏である。
また、消費税大増税を検討する前に絶対に実行すべき課題が存在する。
政府支出の無駄排除である。政権交代実現後、「事業仕分け」が実施され、メディアに大きく取り上げられた。しかし、現状は「学芸会」の域を出ていない。「業務の抜本的な見直し」などのあいまいな決定が相次ぎ、最終的に無駄が排除される見通しはまったく立っていない。
政府支出の無駄を排除するうえで不可欠であるのが「天下り」の根絶である。民主党は「天下り根絶」を主張し続けてきたが、与党になった途端に、「天下り根絶」が「天下りあっせん根絶」にすり替えられた。
両社は「似て非なるもの」である。「あっせん」を禁止しても、「天下り」の実態を「あっせん」によるものではないと言い逃れられると、天下りは野放しにされることになる。
この意味で、鳩山前首相が公約した「衆議院任期中の消費税増税封印」の決定は正しい選択である。民主党は消費税を衆議院任期中は引き上げないことを公約として掲げ、総選挙を戦った。増税の逃げ道を封じておかなければ、無駄な歳出削減の実効性を確保することはできない。
菅首相は突然「消費税率の10%への引き上げ」を発言したが、党内での決定手続きを経て発言したものなのか。消費税率引き上げは民主党の「公約」として決定されたものなのか。
菅首相は、まずこの点を明らかにする責任がある。
昨年8月の総選挙で政権交代を実現させた主権者国民は、増税検討の前の「政府支出の無駄排除」の方針に賛成して民主党に投票した。その民主党の方針が、突然、「政府支出の無駄排除なき大増税」に転じるのなら、主権者国民は増税詐欺の被害者になる。
主要国税税目の推移を改めて提示する。
グラフに示されるように、消費税は1990年度の4.6兆円が2009年度には9.4兆円に倍増した。法人税は1990年度の18.4兆円から2009年度の5.2兆円に激減した。4分の1に激減したのだ。
このなかで、菅政権は法人税減税と消費税大増税を提案しているのだ。
政府税制調査会が2007年11月に発表した「抜本的税制改革に向けた基本的考え方」の17~18ページに以下の記述がある。
「法人実効税率とは、国・地方合わせた法人課税の表面税率のことである。我が国の法人実効税率は、国際的に見て高い水準にあり、引き下げるべきという議論がある。この問題を検討するに当たり、当調査会は、平成19 年度の税制改正に関する答申を踏まえ、課税ベースも合わせた実質的な企業の税負担、さらに社会保険料を含む企業の負担の国際比較を行った。また、企業減税による企業部門の活性化が雇用や個人の所得環境に及ぼす影響等についての調査・分析を行った。課税ベースや社会保険料負担も考慮した企業負担については、モデル企業をベースとした試算において、我が国の企業負担は現状では国際的に見て必ずしも高い水準にはないという結果も得た。」
つまり、日本の法人税率は国際比較上、高い水準にはないとの結論を日本政府の見解として示しているのだ。
にもかかわらず、菅政権は消費税大増税・法人税減税の方針を示している。
政権交代の最大の目的は、米・官・業による日本政治支配の基本構造を打破し、主権者国民による政治支配の構造を構築することにある。
この目的を達成する試金石になるのが、①普天間基地の海外移設、②官僚天下りの根絶、③企業団体献金の全面禁止、である。
ところが、菅政権は米官業による日本政治支配構造に逆戻りさせる政策方針を相次いで示し始めているのだ。
税制改革については、党内の民主的な意思決定手続きも経ずに、独裁的に消費税大増税=法人税減税の方針を明示してしまった。法人税減税は大資本を消費税大増税賛成に引き込むための施策であると考えられ、菅政権が主権者国民から大資本に基軸を移したことを意味すると受け取れる。
政府支出の無駄排除を優先しない消費税大増税、20年間に4分の1に激減した法人税をさらに減税する大資本優遇の法人税減税方針に賛成することはできない。
参院選では、民主党内小沢氏グループ候補者を個別に支援する以外、比例区では国民新党、社民党を支援するのが主権者国民の正しい選択であると考えられる。
9月代表選をもって菅政権に終止符を打ち、主権者国民の意思を尊重する民主党代表を選出して、もう一度、主権者国民政権を構築することがどうしても必要である。政府支出の無駄排除なき消費税大増税に突き進む菅民主党に対しては不支持の姿勢で臨むことが求められる。
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【77】「屋山太郎は「詐欺師」だったのか?」
2010-06-23
「屋山太郎は「詐欺師」だったのか?」
昨日は、豊島公会堂横の某所で行われた「月刊日本」主催の「植草一秀講演会」に行って来たが、狭い会場だったとはいえ、椅子が足りないほどの盛況であったが、半数は申し込みの段階で、満員ということでお断りしたらしいから、植草先生の個人的な人気というのはもちろんあるだろうが、それだけではなく、もっと根深い社会的な流動化の「うねり」のようなものを強く感じた。植草先生は、「米・官・業・政・マスコミ」の、いわゆる「悪徳ペンタゴン」による国家支配の実態を経済の観点から暴露していったわけだが、とりわけ菅直人に関して、これまでの個人的交流等を踏まえて、あまりにも急激な言動や思想の変化、つまり「菅直人の変身」の有様を語ったのが印象的だった。菅直人も、結局、「米・官・業・マスコミ・・・」の支配権力に屈服したのであり、屈服することによって「小沢一郎排除」「官僚・マスコミ迎合」「日米合意の尊重」等を交換条件に総理総裁の椅子を手に入れたということになる。植草先生の話を聞きながら、「左翼」「市民派」の出身とは言いながら、地位や権力のために「魂を売った」菅直人内閣は、おそらく自民党政権よりも自民党的になっていき、日本国民にとっては不幸なことだが、権力維持と政権維持のためには何でもやる…警察も闇の力も行使する…という「小泉政権の再来」ということになっていくのだろうと思った。さて、話は変わるが、「岩手日報」の捏造社説問題だが、元はといえば、捏造騒動の原点は「産経新聞」と「屋山太郎」の問題であったわけだから、「岩手日報」の捏造社説を許してはならないのは当然だが、「岩手日報」だけを批判するのは公平ではないだろう。羊頭狗肉を売る詐欺本『小沢君、水沢にかえりたまえ』の巻頭に、本文の趣旨とは百八十度も違うようなトンデモ解説を書いて平然としている屋山太郎の厚顔無恥の詐欺師ぶりが、いかにも「官房機密費」まみれの「新聞記者あがりの政治評論家」を彷彿とさせて、面白い。詐欺のお先棒を担いで平然としていられるとは、「新聞記者あがりの政治評論家」って、そこまで卑しく、卑屈に、しかも居丈高になれるものなのか。屋山太郎は解説で、江藤淳の代表作を『閉ざされた言語空間』だと書いているが、むろん誰でも知っているように 江藤先生の代表作は『夏目漱石』論や『漱石とその時代』等、いわゆる漱石論であって、『閉ざされた言語空間』は政治思想関係の著書としては貴重なものだろうが、江藤先生にとっては一種の「余技」の産物に過ぎない。そんなことも知らずに江藤淳を語り、江藤淳の本の解説を書き、「江藤淳は小沢一郎に期待し過ぎた」とか「江藤淳も小沢一郎に騙されていた」等と、死者に鞭打つようなトンチンカンな批評を付け加えるとは、これまた、いかにも「官房機密費」まみれの「新聞記者あがりの政治評論家」にふさわしい不遜な所業と言うべきか。江藤先生は、すでに学生時代に「三田文学」に発表した『夏目漱石』論で、次のように書いている。「しかしぼくらが漱石を偉大という時、それは決して右のような理由によってではない。彼は問題を解決しなかったから偉大なのであり、一生を通じて彼の精神を苦しめていた問題に結局忠実だったから偉大なのである。(中略)彼が「明暗」に「救済」の結末を書いたとしたら、それは最後のどたん場で自らの問題を放棄したことになる。(中略)そして生半可な救済の可能性を夢想するには、漱石はあまりに聡明な頭脳を持ちすぎていたのである。」僕は、「彼は問題を解決しなかったから偉大なのであり…」と書きうるような鋭い人間観察力と鑑識眼を持つ「江藤青年」が、後年、政治家・小沢一郎に対して行った論評において、他人から「期待しすぎた」とか「騙されていた」とかいうような解説がされるとは思わなかっただろう。むろん、江藤淳には「小沢一郎」という政治家の人間的本質が見えていたのだ。「見える人には見えるだろう」(小林秀雄)とでも言うほかはない。おそらく江藤淳は、自分よりも若い「政治家・小沢一郎」を論じるのに、漱石を論じるような姿勢で臨んでいたのである。だからこそ、批評家生命を賭けて、「小沢一郎絶賛」の文章を書き、残してくれたのである。ところで、屋山太郎は、「そもそも小沢氏が『理想とする日本の姿』とは何か。それは全く見えない。」「能弁に保守思想を語るが、小沢氏は保守政治家ではない。」「しっかりとした国家観と歴史観を持った保守政治家だと考える人は多かったが、それは全くの間違いである。」「権力志向ゆえに、トップに上りつめること自体が彼の目的だからだ」「つまり、何があろうと曲げないという信念がない。」…と、「語るに落ちる」ともいうべき批判を展開しているわけだが、これは江藤淳の小沢一郎評価とまったく関係ない内容のものである。これらの文を読むまでもなく、批評力の欠如、思想性の不在を感じないわけにはいかないが、では、屋山太郎の理想とする保守とは何であり、保守思想とはどんな思想であり、また保守政治家とは誰なのか、と問いたい。まともに答えられるはずがない。この程度の粗雑で、稚拙な「小沢一郎批判」を書くぐらいなら、見苦しい詐欺師的振る舞いはやめて、自分で「小沢一郎批判」の本を書けばいいではないか。何故、江藤先生の貴重な「小沢一郎論」の解説として、江藤論文を汚す形で、下品な「小沢一郎批判」を書き連ねねばならないのか。僕は、この解説文を読んで、屋山太郎が「保守」だと初めて知ったが、こんな下司野郎が保守だというのなら、即刻、僕などは保守をやめてもいい。江藤淳先生や小林秀雄の「保守」はラディカリズムとしての保守であり、屋山太郎のような世俗的な、世渡り上手な「処世術的保守」ではない。僕は、小沢一郎的「保守思想」は、江藤先生や小林秀雄の保守思想に近いと考える。
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【76】「官報談合、この「官とメディア」の問題は相当に根が深い」
「日々坦々」から貼り付けます。
(転載貼り付け開始)
2010/06/23(水) 12:09
「官報談合、この「官とメディア」の問題は相当に根が深い」
週刊ポストの上杉氏の官房機密費追及記事を取り上げようと思っていたが、今週の週刊朝日の佐藤優氏の≪外交機密費を受け取った新聞記者たち≫は今までの論点とは違う、官僚によるメディア支配とその手口という衝撃的な記事だった。
(週刊朝日7/2号)
リード文
≪官の利益のために世論を誘導する―霞が関がメディアを篭絡(ろうらく)するために使うのは「官房機密費」だけじゃない。外務省もまた「外交機密費」を大いに活用していたのだ。手口は巧妙だ。官僚と記者が育む「黒い友情」の実態を、”伏魔殿”の裏の裏まで知り尽くす男、作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏(50)が語った。≫
この中では官僚がどのように新聞記者を手なずけ、手下にしていくのか。官僚の支配下に置かれた新聞記者によってその後なにが起こっているのか、が見えてくる。
佐藤氏も手を染めたという「白紙領収書」問題は、実際に5・6回、200枚以上の白紙領収書を作成したことを告白し、その時は、はっきりと有印公文書偽造で明らかに犯罪であることを認識していたと語っていることには驚くと同時に、外務省の中で組織として常態化、慢性化していたことがよくわかる。
渡しがお小遣いをもらっているわけではないからまあ、こういうことはやってもいい範囲だ」と思ってきたことを佐藤氏は述懐している。
こうしてつくられた白紙の領収書は、海外視察で、首相や外務大臣に同行してきた記者達に配られ、そこにいい加減な数字を書き込んで経費として精算し、お金を受け取る、というなんともミミッちいことを
していたというのだ。
これは90年代なかばで各社が経費節減で厳しくなり、この「白紙領収書」を渡す慣行もなくなったということだ。
その後には外務省のマスコミ対策は変化し、外務省の記者クラブ「霞クラブ」の特定の記者にターゲットを絞り工作し、そこに「機密費」が使われているということだ。
「機密費」から接待を受けた記者は次第にその弱みから、外務省よりの記事を書き、また頼まれたレポートなどもアルバイトで書いていた、ということだ。
各国大使館に配布される「政局レポート」という報告書は「公文書」のかたちで省外秘になっていて、「これは霞クラブの記者に内々に執筆してもらったものです。厳に当省出身の幹部職員のみに回覧してください」という注意事項があり、佐藤氏も度々目にしたとのこと。
こういう協力的な記者を外務省では「与党」と名づけ、それに反して抵抗してくる記者を「野党」として分類している。外務省がまず狙うのは、この「野党」の記者ということだ。
正義感が強く、国民の「知る権利」に応えるという意識が高い”誠実”な記者で、そういう記者には、外務省も誠実なふりをして対応し、徐々に手懐(てなず)けていき最終的には「与党」の記者を増やしていくというのだ。
その徐々にというのが大変巧妙で、佐藤氏も言っているが、「スパイ」が協力者を作るときの典型的な方法だとということで、妙に納得した。
*****政治ブログ***********
「野党」に区分けされた正義感あふれ外務省にも公然と批判してくる誠実な記者を、まずは誠実なふりして対応し「野党」から「建設的野党」になっていただいて、ある程度、関係が深くなったところで”悪魔の囁き”をする。
「あなたのような政局動向に通じている記者の見解を、ぜひ外務省の幹部、あるいは在外公館の幹部に伝えたい。匿名でリポートを書いてくれないか」
そして数十万を渡す。これももちろん「外交機密費」から出ているという。
最初はできるだけハードルを低くして攻めて行く。
「新聞の重要な記事のところに、赤で記しをつけてください」
「切り抜きをください」
「切り抜きにコメントを書いてください」
「報道についてリポートを作ってください」
「役所の中の様子を教えてください」
という”本当の狙い”に行き着く。
≪そして、だんだんモノを受け取ることに慣れさせ、その対価としてカネをもらう習慣をつけ、できるところから少しずつ深みにはめていくわけです。いったんこのリポートを書いたら、もう一生終わりです。どんな社も、記者が取材で得た政治家の懇談メモ=表に出さない前提の(オフレコ)メモを使って、官からカネをもらってリポートを書いたことが露見したらクビです。それがわかっているから、そういう記者は、”無二の親友”になる。こうして「野党」側から「与党」側に移行してくる記者な少なくないのです。≫
佐藤氏は、現在報道されている情報で、特に外交問題と検察の特捜部に関連する案件に関しては「9割」が官の側からの情報だと断定している。
そうした官僚側が取捨選択した、官僚の意向に沿ったヨイショ記事など、マスメディアは官製情報とも呼べる情報を垂れ流し、国民のためというより官僚のためのメディアに成り下がっている、といえる。
これについて我々は「暴走検察」でイヤというほど見せられてきた。
それが全省庁にあてはまっている、ということだろう。
元時事通信記者で経済関連記者クラブに所属していた相場英雄氏が、『Business Media 誠 』の中で、政治部記者と官房機密費について次のように書いている。(参照)
≪筆者が接した「ごく一部の政治部ベテラン記者たち(他社を含む)」の中には、有力政治家からもらった高額な宝飾品を誇示したり、はたまた住宅購入に当たり、派閥領袖(りょうしゅう)から頭金の支援を仰いでいたことを嬉々として明かしてくれた人物さえ存在した。こうした人は1人や2人ではなかった。他の同僚、また他社の記者からも同様の話を多数聞いたことがある。政治部の中でも、特に自民党の大派閥担当、あるいは政局取材に強みを持つ記者ほどこの傾向が顕著だったと鮮明に記憶している。要するに、担当した政治家やその秘書、あるいは派閥との結びつきがどれだけ強いかが、記者に対する暗黙の評価対象になっていたからだ。 現在問題となっている官房機密費に関して、筆者は野中氏が指摘した「官房長官の引き継ぎ簿」を実際に目にしたわけではない。誰がいくら、いつ受領したかなど詳細に関しても知り得る立場にない。 ただ先に触れたように筆者が接した「ごく一部の政治部ベテラン記者たち」の事象に当てはめれば、一連の官房機密費問題に対して抱く心証は「さもありなん」であり、「クロ」なのだ。≫
官房機密費や外交機密費なども含め、この「官とメディア」の問題は、相当に根が深い。
これからも追及の手を緩めることはできない。
最後までお読みいただきありがとうございます
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【75】「主権者との契約違反を示す菅首相の深刻なぶれ」
「植草一秀の『知られざる真実』」から貼り付けます。
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2010年6月22日 (火)
「主権者との契約違反を示す菅首相の深刻なぶれ」
菅直人首相が就任早々、深刻な「ぶれ」を示し始めた。
民主党は昨年8月30日の総選挙で消費税増税について、衆議院の任期4年間は消費税増税を行わないことを明示した。鳩山前首相は論議を行う必要もないとしたが、その後、論議については全面的に封印するものでないと軌道修正した。
他方、在日米軍のあり方の見直し、天下りの根絶、企業団体献金の全面禁止、取り調べ過程の全面可視化、などを政権公約として掲げて総選挙を戦った。
マニフェスト選挙で主権者国民は、マニフェストに掲げられた政権公約を政党と主権者国民との間の約束=契約とみなして投票に臨む。主権者国民はマニフェストに基づいて政権選択を行うことによって、望ましい政策運営を確実に確保することができるようになる。
主権者は国民である。政治は主権者の意思に基づいて運営されなければならない。国政選挙に際して主権者国民がマニフェストに基づいて投票を行い、主権者国民の選択のよって政権を担う政党がマニフェストに掲げた施策を確実に実行する。
こうしたプロセスを通じて、主権者国民の意思が現実の政治に反映されることになる。これがマニフェスト選挙の持つ意義である。
このプロセスが十分に意義を発揮するには、いくつかの条件が不可欠である。
①政党が実現可能性も含めて十分な検討を行ったうえで公約を示すこと
②公約に掲げた政策を必ず実行すること
③主権者国民が政党の公約をよく理解して投票すること
④政党は公約を安易に変更しないこと
⑤公約を変更する場合には、十分な検討を加えるとともに、主権者国民に納得のできる説明をすること
これらの条件が十分に満たされることが不可欠である。
政党が選挙の際に掲げた公約を守らないことは一種の「詐欺行為」である。主権者国民に対する「背任」と言ってもよい。
公約違反を繰り返す政党は「詐欺政党」として、主権者国民からやがて相手にされなくなる。これは自業自得だが、政党にとって政権公約は命綱である。このことを肝に銘じなければ政党が主権者国民からの信頼を勝ち取ることはない。
昨年の総選挙から10ヵ月も経過していない。鳩山政権は表看板になった普天間基地移設問題で、重大な公約違反を示した。
マニフェストには「見直し」の表現が用いられたが、首相は「最低でも県外」と明言した。首相=党代表の言葉は「公約」と受け止められて当然である。
5月14日には、同意を得る必要のある三者=連立与党、主権者国民(地元住民)、米国について、主権者国民の同意を優先することを改めて明言した。
ところが、5月28日の決着は、連立与党、主権者国民の意思を無視した、米国の要求通りの決着だった。この重大な公約違反が鳩山政権総辞職の主因になった。
後継政権である菅直人政権は、前政権の公約違反を是正するところから出発する責務を負っていた。これが民主主義のルールである。
ところが、菅直人政権は、主権者国民との約束、マニフェストを安易に、一方的に変更することを無造作に実行し始めた。
菅直人首相は市民運動出身者で、二世議員でもない。庶民目線で、既成の権力構造に対して大胆に切り込んでいってくれるのではないかとの期待が大きい。こうしたイメージも作用して、政権発足時の高い政権支持率が示されたのだと考えられる。
しかし、菅首相が高い支持率に対する慢心から、主権者国民との約束=契約である政権公約に対して無責任な行動を示すなら、主権者国民は間違いなく菅政権に対して厳しい鉄槌を下すことになるだろう。
菅新首相は普天間基地移設問題について、主権者国民の意思を無視した日米合意をそのまま踏襲することを宣言した。総選挙の際に民主党が示した約束=公約を破棄することを全面的に支持する姿勢を明示したのである。
この姿勢が許されるはずがない。沖縄の切り捨てである。9ヵ月間の沖縄県民の期待、日本国民の期待に対して、後ろ足で砂をかける行為である。
菅直人首相は突然、消費税大増税の方針を明示した。2012年度中にも消費税が10%に引き上げられることも示唆された。
そもそも、民主党内での民主的な意思決定手続きを経て菅首相は消費税大増税方針を明示したのか。菅首相は民主党のこれまでの執行部による意思決定を「独裁的」と批判してきたのではないか。
主権者国民との関係において、消費税問題は最重要政策課題である。安易な公約提示は許されないし、まして、政権担当中の無責任な公約変更は「詐欺行為」と批判されて当然のことがらである。
民主党は天下り根絶を訴え続けてきたが、天下りを根絶するには「あっせん」を禁止してもまったく意味はない。かつて自民党の天下り禁止が「あっせん禁止」だったとき、民主党は「あっせん禁止」では実効性がないと強く批判してきた。
天下りを根絶するには、「退職直前10年間に関与した業界、企業、団体には、退職後10年以内には就職できない」といったような客観的な再就職規制を法制化することが不可欠である。こうした意味での「天下り根絶」策も大幅に後退している。
菅首相が最重要視している「政治とカネ」問題について、民主党は「企業団体献金の全面禁止」を政権公約に掲げている。2009年には国会に法案も提出した。
ところが、その後、進展が見られない。民主党は「えせ国民会議」である21世紀臨調に諮問し、「えせ国民会議」である21世紀臨調は「政党本部に対する企業献金」を温存させる「ザル規制」を提示した。
この案に沿って「ザル規制」を設置するなら、これも重大な公約違反である。
法務省が検討を進めてきた取り調べ過程の可視化についての検討は、勉強会が全面可視化に反対の姿勢を示している。取り調べ可視化に反対している法務省に検討させれば、このような結論が示されるのは勉強会を開催するから明らかだ。
日本の警察・検察・裁判所制度、刑事訴訟制度、法の運用は、前近代的である。現代国家である大前提は、この側面の制度が近代化されることである。
現状は、政治権力が好き勝手に一般市民をどうにでも取り扱える「暗黒社会」そのものである。政治権力の恣意により、無実潔白の人間を犯罪者に仕立て上げることが可能であり、他方でれっきとした犯罪者を無罪放免できる仕組みが温存されているのである。
この点についての政権公約も破棄されかかっている。
菅新首相が無責任で背徳的な消費税大増税方針を示したことを受けて、一部世論調査が支持率急低下を示し始めた。菅直人首相はあわてて発言の軌道修正を始めた。支持率の動きに連動して発言が変動すること自体が、主権者国民の不信を増幅させる。
菅首相は、もう一度、昨年8月の総選挙の際の主権者国民との約束=契約をじっくりと読みなおすべきである。同時に、本年5月末までの鳩山前首相の発言もしっかりと把握すべきである。これらが集積されて主権者国民との契約が形成されている。
契約違反の公約修正に手を染める前に、主権者国民との約束=契約の確実な実行に全精力を注ぐべきである。
前原国交相の提示した新高速道路料金制度について、小沢一郎前民主党幹事長が批判したのも、その内容が主権者国民との約束に反するからだった。
前原国交相は八ッ場ダムの工事中止についても、無責任な対応を続けている。他人を批判する前に、自分の行動の無責任さを恥じるべきである。
主権者国民は民主党を二つに分けて、支持・不支持を決めなければならない。参院選では主権者国民に不誠実な民主党新派に厳しい主権者国民の声を届けなければならない。
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【74】「佐藤優氏の重要発言。外交機密費について」
「渡瀬夏彦の「沖縄 チムワサワサ 日記」」から貼り付けます。
(転載貼り付け開始)
2010年06月22日
「佐藤優氏の重要発言。外交機密費について」
昨日に引き続き、佐藤優氏の重要発言について、である。
今朝コンビニの週刊誌コーナーでたまたまその記事を目にしてしまったがゆえの、二日連続の「佐藤優シリーズ」である。
本日発売(東京などで)の「週刊朝日」に、佐藤優氏の発言が4ページにわたって掲載されているのである。
もうご覧になった方もあるかもしれない(県内の皆さんは、もう少しお待ちください)。
見出しとリード文だけでも、ご紹介しておこう。
*
元外務省主任分析官 佐藤優が語る
外交機密費を受け取った新聞記者たち
「官房機密費」どころじゃない!
官の利益のために世論を誘導する――霞が関がメディアを籠絡(ろうらく)するために使うのは「官房機密費」だけじゃない。外務省もまた「外交機密費」を大いに活用していたのだ。手口は巧妙だ。官僚と記者が育む「黒い友情」の実態を、"伏魔殿"の裏の裏まで知り尽くす男、作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏(50)が語った。
(以上)
*
わたしは快哉を叫んだ。
佐藤氏は、語弊をおそれずにいえば、自らの「罪」を語っているのである。
つまり、自分の経験を踏まえた上で、外務官僚がどのようにしてマスコミの記者たちを手なずけて、情報操作のために働かせる状況をつくり出すのか。
内部事情を知り尽くした人の発言だけに、意味がある。
おそらくは、佐藤氏のこの国における「官僚支配」の強化に対する危機感が、そうさせているのだろう。
受け取った新聞記者が特定できるような話し方をしていないところは、大人の対応というべきか。
「普天間問題」に関しても、外務官僚のリークする情報ばかり垂れ流し、「対米追従・沖縄切り捨て」こそが正しい路線であるかのごとく世論誘導してきた大手メディア記者たちの罪は、わたしのような素人の目にさえ明らかであった。だが、外務官僚出身の、しかも情報業務の専門家だった佐藤氏が、こうして官僚たちの傲慢な所業を明らかにしてくれることによって、官とメディアが一体となった「罪」が、動かしがたい事実として認知されることになる。だから、佐藤氏には、ありがとうと申し上げたい。
この話、山口一臣編集長の編集後記によれば、《もともとは佐藤優さんが朝日新聞労組の集会で記者を相手に披露した内容を改めて聞き直したもの》とのこと。
皆さんも、ぜひご一読を。
(転載貼り付け終了)