日本政界●情報メモ
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「ジャパン・ハンドラーズと国際金融情報」から貼り付けます。
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2010年 07月 14日
「「みんなの党」の思想的ルーツは米共和党財界保守である。「構造改革」の総仕上げか」
アルルの男・ヒロシです。今日は2010年7月14日です。
今日は、前回の投稿でお約束した「みんなの党」の思想的ルーツを探っていくことにする。
7月11日の参院選でみんなの党は10議席を獲得、すでに持っていた参院の1議席とあわせて合計11議席となった。しかし、これでは民主党(106議席)と連立しても117議席で、過半数である122議席に足りない。民主党は公明党と単独で連立すれば過半数を維持できるが、公明党は選挙のマニフェストで「脱小沢」の政治資金改革を求めている。また参院選の終盤では公明党の支援団体が自民党候補を応援したとも言われているのでなお連立は直ぐにはあり得ない。
つまり、今回の参院選で起きた変化とは、
1.「自民党と民主党」の違いが無くなったこと
2.民主党は参院で過半数割れし、連立も難しくなり追い込まれた
3.小沢一郎は近いうちに本格的に失脚する可能性が出てきた
ということであり、これはアメリカの日本改造計画の最終段階に相当する。アメリカの日本改造計画とは、日本の政治体制をアメリカのようにすること、である。アメリカの政治体制は、民主党と共和党の二大政党制である。そして重要なのはこの二大政党の掲げる綱領(platform)が大きくは違わないことである。それは財界のロビーが両党に深く浸透しているからだ。
米民主党は労組の支持も受けるが同時にウォール街の代弁者である議員もいる。また、共和党は主に財界の支持を受けているが、農業や宗教勢力の支持も受けている。
日本はアメリカの属国である。この観点で眺めると、米民主党のような政治勢力と米共和党のような政治勢力が(米のコントロールの効く条件のもとで)存在することがアメリカにとっては予測可能であり望ましい。
米民主党と日本の民主党は、旧来の左派勢力がどんどん退潮していくことで相似性が高まっている。どちらも労組支持でありながら外交安保的にはグローバリストである。
そこで共和党と対応する日本の政治勢力は、やはり自民党となる。自民党を共和党化する動きは小泉政権の時に行われた。小泉純一郎はブッシュ・米共和党財界政権がアジェンダとして提示した郵政民営化に応じた。同時に小泉政権は財界だけではなく旧来の日本原理主義者(右翼・保守・民族派)にも近寄った。この際、反外資の傾向が強い民族派を自民党につなぎ止めようと動いたのが、飯島勲・首相秘書官である。
この点が非常に米共和党と似ている。米共和党も本来、東部財界、中西部財界、キリスト教原理主義、中小企業経営者、思想的右翼といった複雑な政治勢力が支持母体として存在していた。グローバリストの東部財界とキリスト教原理主義や中小企業経営者たちは本来は水と油である。ところが冷戦期に融合主義(フュージョニズム)という考え方が出現する。これは冷戦を勝ち抜くための大同団結主義である。冷戦後もこの考えは「水曜会」(ウェンズデー・ミーティングス)という組織によって維持された。水曜会を率いるのは共和党大企業減税派のイデオローグであるグローバー・ノーキストというロビイストであったが、これにブッシュ大統領の側近であった、カール・ローブ首席補佐官が連携して共和党の一体化を図った。
だから、ローブ補佐官と対応するのが飯島勲秘書官である。
なぜ、水曜会の話を出したかというと、今の「みんなの党」の思想的な源流である自民党の「上げ潮派」の幹部的存在だった中川秀直・衆議院議員が、この水曜会のノーキストに近いからである。
上げ潮派のブレーンとなったのはノーベル経済学賞をとったローレンス・クライン教授や、竹中平蔵の懐刀であった高橋洋一教授である。中川秀直は、自民党清和会内の別の勢力である森喜朗との権力抗争に敗れてしまった。森喜朗は六本木ヒルズに居を構えているから、亀井静香のような必ずしも反グローバリズムではない。高橋洋一も財務省の謀略で窃盗犯に仕立てられてしまったので財務省への怒りはものすごいが、本質的には民族派ではないので、うまいようにアメリカや竹中平蔵に利用されてしまう。それに経済学という宗教の信者なので、今の彼の教祖であるベン・バーナンキを盲信している点も問題である。
森と中川の権力闘争は、単に部族の酋長同士の争いだったろう。カネの奪い合いである。中川部族に属していたのが「みんなの党」の党首となる渡辺喜美だ。中川部族に属しているようで「上げ潮」派に同調せず、森部族(早大雄弁会)に属していた山本有二は渡辺に同調しなかった。
結局、渡辺喜美は政党内の権力闘争に敗れて脱党したが、みんなの党は今回、連立のスウィング・ボウトを握るほどではないが、独自に議員立法が出来る状態にまで議席を伸ばした。これは米財界にとっての勝利だろう。
なぜなら、今の民主党執行部は政策面で「みんなの党」への親和性を口にしており、政策ごとの提携に含みを持たせている。
そこで「みんなの党」の綱領を見ていくと、「蜜」と「毒」が入り交じった形で存在している。「蜜」は民主党も掲げてきた、脱官僚の政策であり、「毒」は米ウォール街の意向をくんだ金融規制緩和政策と郵政公営化の阻止政策である。「蜜」の部分と「毒」の部分はワンセットで存在している。いや、させられていると言うべきか。
bait(わな、おとり)であろう。
学問的に言えば、草の根の支持ではなく、ワシントンDCで形作られた官製学問としてのリバタリアニズムである。私たちはそれと草の根の中小企業経営者層のワシントンへの反感から生まれた反官僚思想を区別するためにリバータリアニズムと称している。この二つは似て非なるものである。リバタリアンを名乗る学者はせいぜいが池田信夫レベルの程度の低い規制緩和論者である。アメリカの保守のこころを理解している日本土人の学者は存在しないだろう。反権力の思想である保守思想は日本には存在しないからだ。
今回、参院選で議席を獲得したみんなの党の候補の中ではタリーズ・コーヒー元社長の松田公太(ダヴォス会議ヤングリーダー)と、元JPモルガンの中西健治(写真)が注意すべき存在である。また、「みんなの党」はデフレ脱却を政策の旗印にしているが、これは何と言うことはない、ただの金融緩和を訴える「マネタリスト」たちの集団である。渡辺代表はこの金融緩和政策で景気は回復し、失業者も減少するということをテレビで言って回っているが、ウソである。
理由は簡単である。金融を緩和してもマネーを銀行に貸し出しやすくなっただけであり、それが本当に必要としている中小企業に回るという保障はない。米国でもバーナンキFRB議長が金融緩和を進めたが、これは結果的にJPモルガンチェースなどの大銀行の小銀行乗っ取りと「貸し渋り」の急増に繋がっている。
日本の場合、マネーを緩和することで生まれた過剰流動性は一部は国債投資に回るが、一部はキャリートレードの資金として海外に流出するのではないか。これを利用するのが「みんなの党」の支持層である東京や神奈川の金融業界である。
「みんなの党」からは酒類販売業者の代表みたいな泥臭い経営者も立候補していたがあっさりと落選している。
それから、警戒しなければならないのは、「みんなの党」が公約をマニフェストと言わず、「アジェンダ」とわざわざ言い換えている点である。
アジェンダと選挙中の演説や渡辺喜美のテレビ出演で何回か聞いた私は非常に背筋が寒くなった。アジェンダという言葉を最初につかったのが、誰あろう、あの竹中平蔵であるからだ。竹中平蔵は「アジェンダセッティング」という言葉を何度も政治家時代や引退した後にも使っている。「アジェンダ」という言葉は、「グローバル・アジェンダ」などのようにも使われ、世界のパワー・エリートの間で好まれている言葉である。
世界の支配層の1人である竹中平蔵が「アジェンダ・セッティングを行う」と言う場合、それは「世界支配層が秘密会議やビルダーバーグ会議でこう決めた」という意味になる。最初に彼が世界エリートの「アジェンダ」を実行したのが、小泉構造改革や郵政民営化である。郵政民営化の制度設計は「3分社化」など世界エリートにとって都合の良い形で行われた。竹中平蔵は「3分社化はリスク遮断に不可欠」と国会答弁で発言したが、それはウォール街のリスク遮断であることを図らずも彼が告白した瞬間であった。
そういうアジェンダということばに一般有権者の少なからぬ数が振り回されたのである。若い女子大生が「アジェンダください」とみんなの党の選挙カーに駆け寄っていったこともあったという。
私はこれまで「みんなの党」について評価を保留してきたが、しかし上で述べたような米共和党財界との思想の源流での繋がり、生焼けのマネタリスト金融政策のおかしさなどを考慮すると、この党の動きに十分警戒するべきだと判断した。それは、九月の代表選挙で小沢一郎の系統の勢力が撃滅された場合を考えてのことである。
それは、今回の参院選で民主党が手詰まりに追い込まれた結果、民主党の取る選択としてはすでに述べた民主・公明の連立を除けば、当面は政策ごとに協議を行うということである。ところが民主党のメンツから自民党に抱きつくことはなかなか出来ない。そこで兼ねてから今の執行部が「思想的には近い」という「みんなの党」の政策を丸飲みする可能性がある。「みんなの党」は公務員制度削減を掲げているが、この政策も利用の仕方によっては小泉時代のように少数のエリート官僚が「焼け太りする結果に繋がりかねない。
小沢一郎の死命は2回目の検察審査会の議決にかかっている。これで強制起訴にならなければまだ芽はある。しかし私はこの検察審査会を信用していない。審査会そのものは開かれずに審査したことにして起訴するのではないかとも疑っている。前回の1回目の審査会も審議の内容も公表されたわけではないからだ。
今の政治の混乱を仕掛けているのは、日本改造を最終段階に推し進めたいアメリカである。小泉政権で共和党と一体化した自民党は今は思想的に「原理主義的自民党」(谷垣・自民党)と「規制緩和自民党」(渡辺・みんなの党)に分裂しているが、米で共和党政権が誕生する場合、再度息を吹き返してくるだろう。ただ、今は、米が民主党政権なので、米民主党の主流であるネオコン勢力が母体になっている今の民主党執行部の方が影響力がある。ウォール街はそろそろ米民主党から離れ始めているので共和党の側をサポートするだろう。その時日本の政治勢力も変動するかもしれない。
民主党には今述べたように、前原誠司、長島昭久、野田佳彦などの根っからの「操られ体質」のネオコン政治家から、桜井よしこなどの「日本原理主義者」と連携し始めている若手までおり、自分が誰に操られているかすら見えていない政治家たちがたくさん存在する。
日本の民主党にネオコンが多いのは、米民主党内にイスラエル・ロビー(シオニスト利益団体)が存在するのと同じである。これからは民主党内にも米金融会社出身の金融グローバリスト派が増えてくるだろう。良い意味での「日本土人(どじん)・原住民(げんじゅうみん)型」の政治家がいなくなっている。知的にアメリカの支配から多極的な安全保障を構想しようとした鳩山由紀夫前首相も、結局、天安沈没事件というヤラセに近い陰謀を真に受けてしまって、気が動転、退陣に追い込まれた。これでアメリカと交渉して実を得ようとする勢力が大きく後退してしまった。
何れにせよ、田中角栄、(橋本龍太郎)、小沢一郎や鈴木宗男のような民衆政治家(ポピュリスト)が1人ずつ撃滅させられているので、日本の政治はますます混迷の度を深め、結果的に対米従属派が力を強めることになる。小沢と宗男、亀井静香以外に本格派のポピュリスト政治家が存在しない日本の現状に問題がある。
勢力争いがあるにしても、それは対米従属派の中の派閥闘争でしかなくなるだろう。こんな危ない状況だから、多少、中国にべったりの政治家でもバランスを取るために必要なのだ。それがいない。ロシア派の政治家もいないし、親英派、親欧州派、親ブラジル派の利権政治家もいない。これは大変なことだ。
いずれにせよ、相当に暗い状況である。 竹中のブレーンだった木村剛が逮捕されたようだ。ただ、これは「トカゲの尻尾切り」というべきものだろう。
アメリカのジャパン・ハンドラーズの頭目であるジョゼフ・ナイは、今日の事態を民主党政権発足前の08年12月から仕組んでいた。前原誠司たち親米派の政治家に「小沢一郎は反米だ。アメリカはそれを好まない」と言い含めていたからだ。私はこの事実を何度も書いてきているがなかなか国民全体には浸透しない。
アメリカにも思想派閥がある。それぞれのルートで対日工作を仕掛けてくる。だが大きなところで言えば、上で述べたリバータリアンや急進リベラル派以外は、財界支配層の息がかかったグローバリズムを追求する勢力である。民主党系や共和党系はその中では関係が無くなる。頭は二つでも胴体は一つだからだ。 (了)
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【149】「小沢一郎は徹底した「悪党」になれ」
【佐藤優の眼光紙背】から貼り付けます。
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2010年07月12日09時30分 第76回
「小沢一郎は徹底した「悪党」になれ」
あわせても民主党106、連立与党の国民新党(3議席)、無所属(1議席)をあわせても110なので、参議院(定数242)において与党は過半数割れした。
マスメディアは、「民主党敗北」、「菅直人首相の責任問題浮上」などと大騒ぎをしているが、参議院選挙の結果によって、天が落ちてくるわけではない。今後も民主党連立政権は続く。しかも、国民新党の比重が落ちるので、民主党の「自由度」が高まったと見るのが妥当である。
そもそも予算と条約について、衆議院の優越が定められている現行制度の下で、参議院が国政に決定的な影響を与えることはできない。もちろん、予算、条約に付随する法律の成立を参議院が徹底的に妨害し、抵抗することは理論的に可能だ。しかし、現在の参議院の野党議員の力量を考えるとそれもできないと思う。
権力は民主党にある。しかも、霞が関(中央官庁)の官僚が、民主党を支持している。予算と法律が通過せずに困るのは民主党だけではない。官僚も職務を遂行できなくなるので困る。それだから、官僚は、意図的、あるいは無意識に民主党を助ける。菅直人体制下の民主党は、霞が関官僚によっては御しやすい与党だ。そもそも消費税率引き上げは、税金によって生きている官僚の悲願である。自らが不利になることを想定した上で、霞が関の悲願である消費税率引き上げを、10%という数字にまで踏み込んで言及した菅総理は、「素晴らしい宰相」なのである。ここでつまらない政界再編などが起きて、「消費税率引き上げに当面、反対する」などいうスローガンを掲げ小沢一郎衆議院議員(前民主党幹事長)の影響力が強まることだけは是非とも避けたいというのが官僚の本音だ。
そもそも、民主党は理念や政策によって結集した政党ではない。権力を奪取するという一点で結集した「権力党」だ。それだから、政策や理念がかけ離れた政治家でも権力を維持するためには団結する。
今回の参議院選挙において、民主党が勝ったか、負けたかについては、基点をどこに置くかで評価がまったく異なってくる。仮に鳩山由紀夫総理、小沢一郎幹事長の体制で参議院選挙に突入していたならば、民主党は30議席・プラス・アルファしか獲得できなかったであろう。このような悪夢と比較するならば、今回の結果はそう悪くない。菅氏が消費税率引き上げに関する発言をしなかったならば、鳩山・小沢退陣後の民主党の支持率がV字を描いて回復した流れが維持されて、民主党で過半数の議席を確保できたかもしれない。そうなると大負けということになる。
ここで、重要なのは、官僚の「仕掛け」と有権者の反応の関係だ。
検察官僚が「政治とカネ」の問題で小沢氏と鳩山氏を徹底的に叩いた。そして、外務官僚が鳩山包囲網を構築し、米海兵隊普天間飛行場の移設を自民党政権の日米合意を踏襲する辺野古崎近辺(沖縄県名護市)とすることに成功した。その過程でマスメディアが、徹底した反鳩山キャンペーンを展開した。その結果、「小鳩政権」が崩壊した。すると、民主党の支持率がV字回復した。官僚の意向を、マスメディアも国民も支持したことになる。
ところで、菅総理の消費税率引き上げに関し、自民党の主張する10%を参考にするという発言は、財務官僚の意向をそのまま反映したのもだ。マスメディアも概ね好意的反応を示し、読売新聞は社説で欧州並みの15%を基準に考えよとまで主張した。しかし、国民は菅発言に強く反発した。官僚とマスメディアが足並みを揃えても、有権者がそれに激しく反発し、今次参議院選挙で有権者は民主党に対して厳しい評価を下した。筆者はこのことをとても高く、肯定的に評価している。消費税のような国民の生活の根本にかかわる問題について、有権者は、官僚と官僚に親和的な政治家、メディア・エリートの言説を鵜呑みにしないということが示した。日本の民主主義が機能していることが明らかになったと筆者は見ている。
今回の参議院選挙で民主党が圧勝していたならば、菅政権に近い民主党の国会議員と官僚、そして官僚の情報を右から左に流すメディア・エリートと有識者が広義の「権力党」を形成し、この勢力が日本社会をファッショ化する危険性があった。民主党のファッショ化を防ぐために、現下の政治情勢において衆議院と参議院の「ねじれ」は必要だ。
今回、29の1人区中、21議席を自民党が獲得し、8議席の民主党を大きく引き離した。理念や政策をもたない「権力党」としての民主党はこのことを深刻に受け止める。衆議院議員選挙(総選挙)で、与野党逆転がいつでも起きるという危機感に「権力党」員たちは襲われている。民主党は、次の総選挙のタイミングを2013年の衆参ダブル選挙に持ち込むと思う。それまでに、民主党は権力を最大限に活用し、徹底的に自民党を弱体化させる。もちろん官僚は、「権力党」である民主党を支持する。すでに外務官僚は自民党の国会議員に対し、機微に触れる情報を提供することをやめている。検察官僚にとっては、小沢一郎氏さえ消え去れば、民主党はとても御しやすい「権力党」だ。今後、検察が、自民党の「金庫」である国民政治協会の狙うことになれば、民主党と官僚の連携が完全に成立する。いずれにせよ、小沢氏の影響力が二度と政権中枢に及ばないようにし、日本国家の支配者が官僚となる体制を構築することが、官僚の集合的無意識だ。
消費税引き上げは、官僚階級の利益を体現している。11人を当選させた「みんなの党」の勝因は、脱官僚と消費税率引き上げを明確に訴えたからだ。「みんなの党」は、渡辺喜美党代表の個人カリスマに依存する政党だ。渡辺氏は、「小さな政府」、「官から民へ」の新自由主義政策を掲げる。競争社会における強者が「みんなの党」を支持することは、合理的だ。事実、構造的に強い、東京、千葉、神奈川の首都圏の選挙区で「みんなの党」は、それぞれ1人ずつ、計3人の当選者を出している。残り8人は比例区からの当選だ。しかし、この当選は、渡辺喜美氏という党代表のカリスマと結びついて始めて可能になる。強力なカリスマ性と毒舌で有名なウラジーミル・ジリノフスキー氏に率いられるロシア自民党と「みんなの党」を筆者は類比的に捉えている。渡辺喜美氏を欠けば、「みんなの党」は雲散霧消する運命にあるというのが筆者の率直な見立てだ。
渡辺喜美氏の脱官僚という主張は、本気で本物だ。しかし、「みんなの党」の幹事長をつとめる江田憲司衆議院議員が、ほんとうに脱官僚を志向しているのであろうか?
江田氏について、鈴木宗男衆議院議員(新党大地代表、衆議院外務委員長)はこう述べる。
そもそもみんなの党は、二世、官僚出の人が集まって立ち上げられた政党だ。渡辺代表は二世で、江田幹事長は役人・官僚上がりである。真に庶民の代表とは言えない。
特に、官僚上がりの江田幹事長は、橋本総理時代、総理秘書官として国民の税金である内閣官房機密費を自由に使っていた。当時、橋本総理から「鈴木君、何か必要があったら江田に言ってくれ」とよく言われたものである。勿論私は、江田さんに何もお願いしたことはないが。
また江田幹事長は、大宅壮一賞作家の佐藤優さんに機密費を渡していたことが明らかであるのに、今となっては「記憶にない」である。こんないい加減な話をする人が、額に汗して頑張る人のことを考えているだろうか、真に弱い立場に置かれている人の気持ちを理解できるのかと言いたい。
江田さんについては、佐藤優さんが沢山興味深い話を知っているので、今後を待ちたい。(7月4日付「ムネオ日記」)
時期を見て、筆者も江田憲司氏について、もう少し踏み込んだ話を国民の前に明らかにする必要があるいのかもしれないと、考え始めている。
脱官僚というスローガンで、実質的な官僚支配を強める「トロイの木馬」のような国会議員が与党にも野党にもいる。このような政治家に衣替えをした「過去官僚」の動きを厳しく監視する必要がある。
参議院選挙を経ても、「官僚VS政治家」という基本的対立図式は変わっていない。
5月31日の本コラム(小沢一郎が「平成の悪党」になる日)で筆者はこう強調した。
官僚は、国民を無知蒙昧な有象無象と考えている。有象無象によって選ばれた国会議員は無知蒙昧のエキスのようなものと官僚は見下している。そして、国家公務員試験や司法試験に合格した偏差値秀才型のエリートが国家を支配すべきだと自惚れている。自民党政権時代は、「名目的権力は国会議員、実質的権力は官僚」という実質的な棲み分けができていたのを、民主党連立政権は本気になって破壊し、政治主導を実現しようとしていると官僚は深刻な危機意識を抱いている。この危機意識は、実際は官僚が権力を大幅に削減されることに対する異議申し立てに過ぎないのであるが、官僚の主観的世界では「このような輩が国家を支配するようになると日本が崩壊する」という「国家の危機」という集合的無意識になっている。
官僚は、現在、2つの戦線を開いている。第1戦線は、検察庁による小沢一郎潰しだ。第2戦線は外務官僚と防衛官僚による普天間問題の強行着陸だ。特に外務官僚は、「アメリカの圧力」を巧みに演出しつつ、自民党政権時代に官僚が定めた辺野古案が最良であることを鳩山総理が認めないならば、政権を潰すという勝負を賭けた。鳩山総理は、現状の力のバランスでは、官僚勢力に譲歩するしかないと判断し、辺野古案に回帰した。鳩山総理の認識では、これは暫定的回答で、段階的に沖縄の負担を軽減し、将来的な沖縄県外もしくは日本国外への模索を実現しようとしているのであろう。しかし、この状況を官僚は「国家の主導権を官僚に取り戻した象徴的事案」と受けとめている。
しかし、この象徴的事案は、官僚勢力に対する敗北になり、民主党連立政権が政治生命を喪失する地獄への道を整える危険をはらんでいる。筆者は、小沢幹事長がそのような認識をもっているのではないかと推定している。
小沢幹事長が「鳩山総理が平成の新田義貞になった」という認識をもつならば、自らが悪党になり、政局をつくりだそうとする。小沢氏が直接政権を握ろうとするか、自らの影響下にある政治家を総理に据えようとするかは本質的問題ではない。小沢一郎氏が「平成の悪党」になるという決意を固めることが重要だ。小沢氏が「平成の悪党」になる決意を固めれば、官僚に対する決戦が始まる。参議院選挙はその露払いに過ぎない。今後、天下が大いに乱れる。
ここで言う「悪党」とは、犯罪者ややくざのことはない。「悪党」とは、<中世、荘園領主や幕府の権力支配に反抗する地頭・名主などにひきいられた集団。>(『岩波古語辞典』1974年版)すなわち、既成権力に対抗する強い武士の集団のことだ。小沢一郎氏が、数あわせの観点で、政界再編を画策しても、それは実を結ばない。国民不在の永田町での権力再編ゲームに国民は飽き飽きしている。小沢氏が、南北朝時代の南朝の忠臣・楠木正成が「悪党」と呼ばれたことを念頭に置き、徹底して国民に軸足を置き、今後、国民の中で起きるであろう反官僚運動と連携し、民主党政権を国民の側に引き寄せる努力をすることにより、状況が変化する。いま求められているのは、小沢氏が、中途半端ではなく、徹底した「悪党」になり、官僚により半ば支配されている菅政権を内側から揺さぶることだ。(2010年7月12日脱稿)
(転載貼り付け終了)
【148】「みんなの党を称賛するマスコミにうんざり」
「動き出すチカラ~防府市議会議員伊藤央~」から貼り付けます。
(転載貼り付け開始)
2010/7/13(火) 午前 6:28
「みんなの党を称賛するマスコミにうんざり」
昨日のテレビは、朝から晩まで参院選の結果や、その分析。
しかし、どうも伝え方に疑問を感じます。
マスコミは参院選の最中から、その焦点を「消費税」に置いて、民主党の敗因もここにあると分析しているものが多いようです。
しかし、民主党の敗因は、菅総理が消費税UPをぶち上げたことにあるのでしょうか。
だいたいが、菅総理が消費税増税を口にしたとき「自民党を参考に」と言ったように、自民党のマニフェストにも『消費税は当面10%』がはっきり書かれています。
となると、自民党が議席を伸ばした説明がつきません。
もっと言えば、『消費税10%』を掲げた2党で改選121議席中、95(自民51、民主44)議席を獲得したのですから、どうして消費税が民主の敗因と言えるのでしょうか。
逆に言えば、消費増税に「NO」と言った党が獲得した議席を合計しても20議席余りというになります。
消費税UPの目的などについて、菅総理の発言がブレまくったことは一つの要因かもしれませんが、世論調査の結果をみても、それほど国民は「消費増税にNO」と言ってはいないようです。
そのやり方に意見はあっても、容認派は少なくない。
となると、民主党の敗因はそれ以外の部分にあると考えるべきではないでしょうか。
ド素人集団で、政権担当能力が欠如していること、確かな国家観を持たないことで、政策が根本からブレまくること、こういった部分に国民が嫌気がさしたという方が分析としては合理的ではないでしょうか。
しかし、ここを指摘すると民主党としては挽回の余地が無いことになってしまう、消費税を原因にしておけば、この政策さえ引っ込めればOKと言える・・・どうも、こんな意図が見え隠れすると感じるのは私だけでしょうか。
マスコミがやたらとみんなの党を持ち上げるのも気持ち悪い。
官僚政治打破、公務員改革などは、一つの政治手法として悪いとは言いませんが、これらをやった後、どのうような国家を創るのかという点がみんなの党からは伝わってきません。
中心メンバーや、政策の傾向からすると、新自由主義、市場原理主義傾向が強いと見るべきです。
衆院選での民主党の躍進は、小泉改革以降(本当は橋本内閣あたりからですが)の改革方針への反発だったはずなのに、みんなの党は正にこの路線。
それなのに、民主党からみんなの党へ支持が流れるというのは、不可解です。
まぁ、有権者の投票行動は論理的でないことが多々あるのですが、この部分に関してマスコミがきちんと伝えていないように感じます。
更に川田龍平氏が参加したように、政策というか、思想的に幅があり過ぎます。
幅というより、両極に近いかもしれません。
正に民主党と同じ。
「アジェンダ」などと聞きなれない言葉を駆使するところに胡散臭さを感じる。
こういう党が政策でブレまくるのは、民主党政権で経験済みなのですが、マスコミは一切指摘しません。
まぁ、「大躍進」といっても、参院で11議席。
数からいうと、「大勝利」したのは自民党なのですが、「民主党惨敗」「みんなの党躍進」を伝えても、「自民党大勝利」とは絶対に言わないマスコミ。
言いたくないから、あえてみんなの党に注目を集めようと必死なのか・・・。
昨日は、相変わらずのマスコミの偏向ぶりに辟易する一日でした。
(転載貼り付け終了)
【147】「小沢・鳩山・亀井氏は悪徳ペンタゴンの正体を国民にぶちまけろ」
「新ベンチャー革命」から貼り付けます。
(転載貼り付け開始)
2010年7月13日 No.151
「小沢・鳩山・亀井氏は悪徳ペンタゴンの正体を国民にぶちまけろ」
1.細川政権攻略パターンとそっくりな展開
2009年9月政権交代が起きて、10か月になりました。あっという間の1年弱でした。ところが7.11参院選にて、早くも民主に大逆風が吹きました。1993年8月から94年4月という8カ月の短命に終わった細川政権を思い出させる展開です。このときも(1)東京地検特捜部が細川氏の政治とカネ(佐川急便からの献金)で攻撃、(2)大蔵省官僚からの福祉税名目の消費税値上げ(増税案)の強要という悪徳ペンタゴンからの二面攻撃によって、アンチ自民の細川政権はあえなく撃沈されました。今回の小沢・鳩山・菅攻撃パターンは、細川攻略パターンと実によく似ています。手口が同じですが当然です、仕掛け勢力が同じだからです。その名は“悪徳ペンタゴン”(注1)です。もちろん、細川政権時代、悪徳ペンタゴンと呼ばれてはいませんでしたが、今、振り返ってみれば、その実体は同じです。
2.小沢氏の心境を察する
前回、細川政権を実現させた黒幕は、言うまでもなく小沢氏、今回の政権交代の立役者でもあります。7.11参院選の敗北は、小沢氏にとって細川政権時代の悪夢の再来そのものです。二度もやられて、悪徳ペンタゴンに対する小沢氏のルサンチマン(鬱積する強烈な憎悪)は想像を絶するでしょう。このままでは死ねません。
ところが、小沢氏や鳩山氏や亀井氏の心境が、一部の政治ブロガーを除き、多くの国民にはまったく理解されていません。なぜなら、多くの国民には、悪徳ペンタゴンの正体がまるで見えていないからです。7.11参院選の結果がそれを如実に証明しました。
3.100年後の子孫からクソバカにされるであろう、現代の日本人の大人ども
細川政権時代とちがい、これだけネット世論が活性化している現在、国民は、うすうすでも悪徳ペンタゴンの影くらいは感じ取っているのではないかと期待していましたが、全然だめでした。なんと鈍い人たちか。その証拠に、国民は、あの“みんなの党”とやらを大躍進させていますから・・・。まったく信じられません!
ところで、みんなの党をつくった渡辺喜美・元金融担当相は、2008年、米国サブプライムローン焦げ付き金融危機で倒産しかけた米国住宅金融公社(ファニーメイやフレディマック)救済に日本の外貨準備金(100兆円相当)を提供しようとした人です。アホかいな。この事実から、みんなの党がどのような正体の党(超・親米党)かは一目瞭然です。このような党を大躍進させ、米金融機関による郵貯・簡保資産運用権乗っ取りを防ごうとしている国民新党(みんなの党の対極党)の議席をゼロしたのが、7.11参院選の有権者です。今の日本の有権者は自分たちの敵が誰で、自分たちの味方が誰か、まったく見えてないのです。まったく信じられません。もう腹立たしさを通り越えて、悲しくなります。
4.悪徳ペンタゴンの正体を国民にあらいざらいぶちまけて欲しい
悪徳ペンタゴンの国民だましが、ここまで露骨でひどくなっている今、小沢氏、亀井氏は年も年だし怖いものはないはず、官房機密費使途をばらした野中氏に倣って、悪徳ペンタゴンの正体(黒幕・米戦争屋を含む)をあらいざらい、国民にぶちまけて欲しい。悪徳ペンタゴンの一味である大手新聞や大手テレビ局は無視するでしょうが、日刊ゲンダイや一部の週刊誌などは取り上げるでしょう。
これをやらないかぎり、今回の7.11参院選のように、国民のひどく頓珍漢な投票行動を防ぐことはできませんし、民主がなぜ豹変せざるを得なくなったのかも国民にはさっぱりわからないのです。
注1:悪徳ペンタゴンとは、
元・早稲田大教授・植草一秀氏の造語である。日本に蠢く一部の(1)政治家、(2)官僚、(3)マスコミ人、(4)財界人を指し、日本国民の利益より、米国寡頭勢力(主に戦争屋)の利益を優先する(あるいは優先させられる)買弁家的日本人、および(5)米国ジャパンハンドラー(買弁日本人をコントロールする米国人)を指す。日刊ゲンダイを除く日本の大手マスコミはことごとく悪徳ペンタゴン化していることが、2009年9月の政権交代によってあらわになった。
なお、米国戦争屋とは、
デビッドRF財閥を頂点に形成される米国の軍産複合体を指し、米国の軍産政官学に広く分布する米国覇権主義者集団を指す。戦後日本は、米国戦争屋によってもっぱらステルス支配されてきた。米国寡頭勢力を構成する米国覇権主義者には他に銀行屋がいて、彼らは国際金融資本や米国中央銀行FRBを支配しているが、戦争屋に比べて、日本支配への執着心が薄い。オバマ政権は米国主流の戦争屋系というより、どちらかといえば銀行屋系に属しているが、戦
争屋の謀略部隊から常時、監視を受けている。そのため、オバマ政権が戦争屋の意図に逆らうと、必ず何らかの妨害工作が行われる。
ベンチャー革命投稿の過去ログ
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/1386/melma.htm
テックベンチャー投稿の過去ログ
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-PaloAlto/8285/column-top.html
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【146】「権力欲が政治理念に勝ると餓鬼の政治になる」
「日々坦々」から貼り付けます。
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2010/07/13(火) 08:43
「権力欲が政治理念に勝ると餓鬼の政治になる」
昨日深夜未明にズレにズレこんで予定時間をかなり遅れて、菅さんの記者会見が始まった。
この会見の中でわかったこと、あるいはその後の対応などで、確認できたことなどがいくつかある。
まず、参院選での敗因として「消費税発言」について国民に事前の説明もなく、唐突感を与えた、しかし、この選挙結果で議論を否定されたとは思ってない、など今後も議論を進めていくことを暗に言っている。ここでもギリシャの事例が出ているが、先日原口大臣が菅さんへ「日本はギリシャとは違うと説明しても聞いてもらえなかった」とテレビで言っていた。
やはり財務相時代に菅さんは、官僚だけではなく、特にアメリカなどから洗脳され続けたとことがよくわかる。これはその背後には日本の財務官僚が世界の財政関連相などに根回しして、菅さんに電話などで煽ったことも考えられる。
また、「真摯に受け止め、あらためてスタートラインに立った気持ちで頑張る」と誰も責任を取ろうとしない、この政権・党執行部には、ほとほと民意というものがわかっていないようだ。
何ら真摯に受け止めてない証拠である。
このような姿勢を見せられると、国民の間でも特に民主党支持者の中でも、ガス抜きができず、9月までとなった場合には、その前に、爆発することも充分考えられる。
そんな中、菅さんはじめ官邸と執行部は、様々な状況を分析した結果、今回誰も責任をとらず突き進もうという結論を出したのだろう。
今、菅さんがもっている情報は、我々の想像をはるかにに超えた膨大な量の、しかも質的にもいい情報である、ということは想像に難くない。
官邸が中心となって内閣情報局やマスコミ、官僚などから、様々な方面の厳選された情報が集められる。その中には、小沢グループはじめ民主党内の各グループの動きから、他党にいたるまで、通常では得られない情報が多方面から収集される。
そのような情報を分析をした結果、居座りを決め込み、誰も責任は取らないことにしたのだろう。
そうした背景には、これは想像であるが、小沢氏の検察審査会での情報も入っているように思えてならない。
弁護士が決まらなくて9月にずれこむとか、大手新聞は7月末に結論とも言っているが、実際、早ければ今月、結果的には「起訴相当」が出る確率が高いことは確かで、その辺を見据えた今回の菅執行部の判断であると見ている。
ただ、さすがにこの開き直り、いいわけ会見に終始した権力しがみつき内閣の姿勢には、もう、多くの人がうんざりしただろう。怒りを通り越して諦めに変わりつつあるが、民主党を選挙でも支持し、オリジナル民主党は嫌いだけど投票したという人たちも、これにはさすがにまいったと思える。
会見の全文記事を見つけられなかったので、自分でできる範囲で書き起こしてみた。
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(書き起こし)
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≪菅さん「遅い時間まで少しお待たせいたしました。全体のかたちが決まるまでお待たせしました。
まず冒頭この参院選挙で民主党を支援していただけた多くの国民の皆様に感謝申し上げます。
今回の選挙結果は当初目標としていたところににかなり届かなかった。
その原因は一つには私が消費税に触れたことがやや唐突な感じをもって国民の皆さんに伝わった。十分な事前の説明というのが不足していたというのが要因だと思っております。
このようなかたちで私が消費税に触れた背景には、直前まで財務大臣を勤めており、半年間で電話会談を含めると10回近いG7の財相会談をやりました。そのほとんどがギリシャ問題についてですが、ギリシャでは年金や給与がカットされ、大変なことになっています。なんとしてもギリシャのような事態に、日本を陥らせてはならない。
経済成長戦略と財政再建政策を両立させるということで、その中で消費税についてそれを含む税制抜本改革の中で超党派で議論をしようではないかと国民の皆さんに伝えた。
やや私自身が財務大臣として強く感じていたギリシャ危機と、国民の皆さんとの温度差があって、皆さんにはやや唐突に感じてしまった。
十分な説明ができてなかったことは私自身の責任ですが、ただこんかいの選挙結果はそうした議論を否定されたとは思ってはいません。、
もっとしっかりした議論、丁寧な扱いを国民の皆さんから求められたと理解している。
今回の選挙結果は真摯に受け止めながら、私としてはあらためてスタートラインにたった気持ちで、責任ある政治をやっていきたい
今回の選挙で表れたご意見はしっかり受け止めながら、多くの課題をかかえている日本において、あらたなスターとをしたい、ということにご理解とご支援を承ればおもいます。」≫
つづいて質問
読売のアズマ
≪続投について。今後、選挙の結果を踏まえると、ねじれ国会になるが、法案を通すには他党の協力が必要だがどうするのか≫
菅≪国会運営について、私が総理になってから短期間の運営でしたが、本来の姿ではありますし、しっかりと運営のあり方についてじゅうぶん議論をして、できるだけ合意をえながら進めて生きたい。
幹事長の話にもあったが、政策的には共通する部分については、それぞれの意見を持ち寄って、合意できるかたちにする中で実現したい。
たとえば労働者派遣法などについては社民党の皆さんと一緒に法案を作った経緯があります。郵政改革法は国民新党というように合意できるものについては実現をはかっていきたい。
消費税について
≪議論することは否定されてはいない、といったが。超党派の協議は断念するのか≫
菅≪「今回の選挙選で非常に注目されたが、わが党にとっては成長戦略とか他の政策を訴えられなかった。
問題提起をしたことでマスコミの皆さんも含め、いろいろ取り上げていただき、国民も皆さんの中にも日本の財政状況や財政再建に対する認識はより高まったのではないかと思う。
超党派の協議を促していきたい。いくつかの条件はあると思うが、谷垣さんも前向きな姿勢を示していただいた、あらためて呼びかけをしていきたい。≫
ニコニコ
≪国民の審判に対して、菅政権として、国民市民との距離をどのように縮めていくのか≫
≪「先ほど申し上げましたように、新成長戦略、財政運営?(再建)戦略、事業仕分けで、どのようにして強い経済をつくるか、新政調戦略に具体的に示してある。成長にプラスになる来年度の予算編成をつくっていく。
国民との距離を縮めていくには、ひとつには税金のムダづかいについて事業仕分けでさらに進めていく。
成長戦略の具体的中身について、たとえば中国の観光客のビザ緩和など国民の皆さんの期待に応えていきたい。≫
日テレ あおやま
≪さきほど総理、続投の意向を暗に示されたと思いますが、まあ確かに菅政権がうまれてまだ時期が短い、というのは十分認識してますが、 国民の審判を受けてあらためて自らの責任の取り方について、どのように考えているのか、たとえばあと党執行部、幹事長、選対委員長のなどの責任問題などを問う声がありますが、これについてはどう対応するのか?内閣改造の時期規模などをどのように考えているのか。さらに9月に代表選がありますが、菅代表は、どのように臨むおつもりなのか。このあたりをまとめてお答えいただければと思います。≫
菅≪ええ、たくさんの質問だったので、・・まず最初はなんだったでしょうか?≫
≪国民の皆さんの大きな判断で、先ほど申しましたように消費税にやや唐突に申し上げた。もっと慎重にというご意見の表れだと思っている。新たにスタートラインに立つ気持ちで政権運営をやっていきたいと思いますので、政権運営の中で是非判断していただき、見守っていただきたいをお願いしたいということ。今回、いろいろな役職にいる皆さんにいろいろ助けていただいた。これからも職務を全うしていただきたい。と期待をしていきたい。内閣改造とかはまだそこまで念頭において考えてはいない。≫
じんぼ
≪マニフェストについて、参院選で掲げたマニフェストの中はどうなのか、衆院選のマニフェストはどういう扱いになるのか≫
菅≪今回参院選のマニフェストの中で、いくつかは昨年のマニフェストを踏襲し前進させるということを盛り込んだ。たとえば子育て支援については1万3千円に上乗せの部分は「実物給付もありうる」ということで若干の変更をさせていただいた。昨年の衆院選でのマニフェストについては、できるだけこれからも進めるべきものは進める。と同時に国民の皆さんの声や、財政状況を踏まえて変えたほうがいいものは変更した。≫
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テレビ朝日 やまぐち
≪国会運営が行き詰るがどうするのか?具体的にどのような連立なのか?≫
菅≪国民新党と連立合意をしているので大事にしていきたい。
その他はいろいろな動きはあるかもしれませんが、まずは政策という観点から、どういう政策であれば一緒に実現を目指すことができるのか。まずは政策的な協議を行い国会運営でも合意形成を図るということをした。
やれるところから共同作業を進めていく。
民主党内から枝野幹事長の責任について問う声が随分あります。幹事長含めて大変ご苦労を頂いた、これからも職務を全うしてもらいたい。≫
日経ビジネス すぎやま
≪連立を国民新党と組み、政策ごとにパーシャル連合を組む場合に、民主党というのは、果たしてどういう軸をもった政党なのか、それと政策ごとにあう、あわない、で政党ごとにを選んでいくと、どういう軸を民主党は持っているのか?たとえば昨年からの一年で官僚との距離、脱官僚なのか官僚をプロフェッショナルと呼ぶのか。民主党ははたして、どういう国をつくりたいのか?どういう軸があるのか?≫
菅≪生活が第一というスローガンは部分的ではありますが使わせていただきました。
民主党の基本的な考え方を私なりに言えばですね。たとえば、脱官僚という表現がありますけれども、私の表現を使わせていただければ、国民主権、つまり主権者である国民が国政に対しても、しっかり自分たちが選んだ国会議員、国会議員が選んだ内閣を中心に国民の声が政治に反映すると。そういう意味で官僚が物事を判断するのではなくて、あくまで官僚の皆さんはそれぞれの道の経験者であり、あるいは専門的な知識をもっているという意味ではスペシャリストではあるけれども、あくまで物事を決定するのは国民に信任された国会議員、あるいは国会議員によって作られた内閣、さらにいえば内閣の大臣、副大臣、政務官、そういう位置づけは私は従来から今日まで全く変わってない。
生活が第一というスローガンの言葉でありますけれども、やはり今の日本で多くの問題があり雇用の問題、社会保障の問題、人々が孤立化してきて、ある意味ではいまたましい事件もいくつか発生している。
こういうことを考えても国民生活が第一というのは、私は一つの方向性を国民の皆さんに十分に指し示している、という考え方だと、このように考えています。≫
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2箇所でさらにガクっと力が無くなった。
日テレのあおやま氏の質問に「最初の質問はなんでした?」:確かに質問が長かったが、それらをまとめて言ってくれといっていたはず。
また、日経ビジネスのすぎやま氏の「民主党ははたして、どういう国をつくりたいのか?」という答えが、「国民生活が第一」が出てきた。ここで出てくるか、と選挙にも部分的に使ったと、遠まわしな言い方をしているが、「脱小沢」であえて封印していたのではなかったか?
それを民主党や自分の政治理念を聞かれて、これを出すかと益々あきれてしまった。
やはりこの人の本質は権力欲であり、それが政治理念や国家のあり方より勝っている、のがよくわかった。
(転載貼り付け終了)
【145】「小泉進次郎の選挙演説を持ち上げる朝日一面の記事」
「永田町異聞」から貼り付けます。
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2010年07月13日(火)
「小泉進次郎の選挙演説を持ち上げる朝日一面の記事」
テレビクルーが街に出て、たまたま通りかかった人々にマイクを向ける。いきなりカメラとマイクがあらわれて戸惑う人の口から、とっさに出てくる言葉は耳慣れたフレーズだ。
「子ども手当てより保育所対策を」「民主党はバラマキはやめるべきだ」「こどもたちの世代に付けまわししないでほしい」
それも、もとはといえば、テレビで繰り返し聞き、頭にこびりついている呪文のようなものである。
この街の映像を見た後で、たとえば昨夜の報道ステーションなら古舘伊知郎氏が「これぞ市民の声だ」とばかり、したり顔で、星浩氏や一色清氏ら朝日新聞編集委員に同意を求める。
多くの談話のなかから、番組制作スタッフが恣意的に選んだごく一部の意見とわかっていながら、朝日の二人はただただうなずくばかり。
国を衰退させる少子化を食い止め、将来を担う人材を育てるため、国民全員で子育てを支えようという、子ども手当ての理念はけっして語られることはない。
その一方で、星浩氏は「民主党の大敗で、参院がねじれ、衆院でも与党が再議決に必要な3分の2の議席を確保していないから、政策が通りにくくなった。国政の停滞が心配だ。メディアの報道も、政局のゴタゴタより政策重視に変えなければならない」と正論を吐く。少しはメディアの報道のありように疑問を抱いているようだった。
ならば、今日の朝日の一面で星氏の筆になる「民主党挫折の先」は、さぞかし深みのある内容かと思い、期待をこめて記事をながめた。冒頭の一節をそのまま下記に引用する。
◇「自民党の人寄せパンダ」の小泉進次郎氏は、行く先々の方言で演説を始め、支持者を沸かせた。その後、聴衆が真剣に聞き入る場面がある。
「民主党の子ども手当の悪いところは、もらっている人が将来のツケになることが分かっている点だ。だから、とても不安になる」。
民主党政治に対する国民の不信感を巧みに言い当てている。◇
星氏はこのあと国の借金財政の話に続け、さらに鳩山、小沢の資金疑惑も「辞任で不問」とつなげてゆく。
のっけから「子ども手当て」を取り上げながら、星氏自身がそれをどう考えるのか、この記事には一切、出てこない。ただ、小泉氏の一方的なプロパガンダといえる演説内容が国民の不信感を言い当てていると書くだけだ。
国民の不信感をつくりだし、煽っているのは、どこのどなたであろうか。
どんな政策にも、メリット、デメリットがあり、それで利益を受ける人もいれば、不利益をこうむる人もいる。短期で見るか、長期で考えるかによっても評価は自ずから異なるだろう。
それらすべてをオミットし、小泉氏の選挙演説賛美のような内容に、政策論をすり替えるのが、星氏のいう「考え直すべきメディアの姿」なのだろうか。
街の談話集でVTRを編集して時間を埋めるテレビメディアの、安易な報道番組制作手法はいうまでもなく、テレビを死に至らせる病であるが、国政選挙直後の新聞の一面に、特定政党の選挙演説賛美で政治を語り始める朝日新聞の姿勢は、報道の自殺行為に近い。
まだまだ、他人事なのだ。国が危機的状況にあると言いながら、新聞記者自身が、政治を自分のこととして主体的にとらえていない。責任を持とうとしないし、批判だけで、代案を示そうという気概もない。
メディアが多様な意見を取り上げて、より正確な報道を心がければ、世の中は確実に変わる。複眼的にものを考える世論の形成もあながち夢物語ではなかろう。
「メディアも考え直さなくては」というのが気まぐれ発言でないのなら、まず朝日から変わるよう、星氏は自らの記事をもって示すべきではないか。
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【144】「国民は民主政治を否定したのか」
「ゲンダイ的考察日記」から貼り付けます。
(転載貼り付け開始)
2010/07/13(火) 21:40:50
「国民は民主政治を否定したのか」
証明された「脱小沢では無力」な民主党
参院選で世紀の大惨敗を喫した菅民主党は、執行部の責任回避に躍起だ。しかし、今度の選挙でハッキリしたのは、「脱小沢路線」が大失敗だったということだ。
「小沢さんにはしばらく休んでもらう」と言い、クーデターのごとく、小沢切りを断行した菅政権。その主役は菅であり、知恵を授けたのが仙谷官房長官や枝野幹事長であるのは言うまでもないが、その結果が、このザマだ。脱小沢でいい気になったのは一瞬で、あとは国民も呆れ返る迷走の連続だった。
しょせん、小沢がいなければ何もできないじゃないか。菅らの“幼稚さ”をまざまざと見せ付けられた選挙戦だったのである。
(⇒続き ゲダイネット)
菅、枝野、仙谷たちの青二才体質
「50議席を割ることはないよ」
朝日や読売が民主党の50議席割れの可能性を伝えた日。番記者の前でこう言い放ったのが、安住選対委員長だ。
「枝野幹事長も同じように楽観的でした。さすがに『大丈夫か』と騒ぎになりましたよ」(全国紙記者)
根拠なき楽観論に支配されていた民主党執行部。これぞ、ダメな組織の典型だが、それ以外でも、民主党は負けるべくして負けた。菅、枝野、仙谷の3人は、脱小沢で世論の支持率がV字回復したことで、すっかりテングになったのである。
いい気になっている3人は、シロウト感覚で小沢から引き継いだ選挙体制をことごとく壊した。これが傷口を広げていく。
「例えば、選挙資金の配り方ひとつとっても、小沢は緻密でした。選挙区によって、渡す相手を本人、選対、県連と変える。常におカネを効果的に流す方法を考えていました。しかし、菅体制になって、選挙資金は公平配分が原則。あと一歩で通りそうなのも、てんでダメなのも一緒にしたのです。揚げ句が1人区の大惨敗。カネの使い方を知らなすぎる」(小沢に近い関係者)
組織票もみすみす逃した。小沢は、連合幹部と一緒に全国行脚して、組織を固めた。頭を下げ、酒を酌み交わし、血の通った人間関係を築くことで、組織票を一票一票積み上げてきたのである。枝野は連合任せでほったらかし。それじゃあ下部組織は動かない。
その一方で、連日、激戦が続く選挙区に大勢の幹部が入り、駅前で応援演説をやる空中戦が目立った。代表、幹事長、政調会長、選対委員長、財務委員長、組織委員長、大臣、副大臣、政務官……と、じゅうたん爆撃みたいだが、「受け入れ体制づくりに人手を取られたり、動員疲れで逆効果のところもあった」(県連関係者)という。これでは勝てない。選挙のイロハも知らない青二才が選挙を仕切ったことが、大間違いだったのである。
(日刊ゲンダイ 2010/07/13 掲載)
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★ハシゴをはずされた日本国民 (⇒2010/07/13 olive news)
思えば、『国民の生活が第一』といって、政権奪取を目指した頃の野党=民主党がなつかしい。
今、菅民主党は、『元気な日本を復活させる』といいながら、実際には、完全に国民に背を向けた政策に明確に舵を切った!
わずか、1年足らずで、ひとつの政党が、こんなにも変節するものだろうか!?
多くの国民は戸惑っているに違いない。
今回の惨敗の原因について、記事は延々と続きますが、ゲンダイにしろ、当ブログにしろ、疑問や不満を持ちながら菅民主党を支持していていました。勝てるはずがありません。それにしても、菅、枝野、仙谷、安住、千葉景子など…、オソマツです。
(転載貼り付け終了)
【143】「格差問題@一票の価値」
「Chikirinの日記」から貼り付けます。
(転載貼り付け開始)
2010年07月13日00時00分
「格差問題@一票の価値」
今回の参議院選では、121の議席が改選されました。73名が選挙区、48名が比例区です。参院選の選挙区は一票の格差が衆院選より更に大きく、今回も鳥取県民は神奈川県民の5倍の権利を与えられました。 実際に、神奈川県では70万票近くを獲得しながら落選した候補者がいる一方で、鳥取、徳島、高知県では16万票以下でも当選です。そこで今日は、「もしも、得票数の多い順に当選していたらどうなっていたのか」をみてみましょう。
記事全文―直の注:もしここが開けなければ「Chikirinの日記」の「2010年07月13日00時00分」の「格差問題@一票の価値」をご覧ください。
(転載貼り付け終了)
【142】「鳩山由紀夫氏から菅直人氏へ(2)」
「雁屋哲の美味しんぼ日記」から貼り付けます。
(転載貼り付け開始)
2010年7月11日(日)@ 22:59
「鳩山由紀夫氏から菅直人氏へ(2)」
この日記を書いている間に、参議院選挙で、自民党が結構票を集めていることがテレビで報じられている。
自民党に票を投じた人が、この私の日記を読んで、どう思うだろうか。
変に勘ぐられたりするのがいやだったから、選挙前に、こう言う話を書きたくなかった。
さて、選挙が終わったので前回の続きと行こう。
前回、昭和天皇の御用掛だった寺崎英成によって、
1.昭和天皇はアメリカが、沖縄と琉球諸島の軍事的占領を続けることを望む。
2.昭和天皇は、アメリカの沖縄(必要であれば他の島々も)の軍事的占領は、主権は日本のままで、25年から50年またはそれ以上の長期リースの形で行われるのが良いと言った。
と言う事実、さらに、
1.日本人の国民性には美点も多いが欠陥もあるから、米軍による占領は長期間つづくほうが望ましいと、昭和天皇は感じている。
と言うことが明らかになったことを記した。
私が驚いたのは、私が書いた上記の各項は、文藝春秋社から、1991年に発行された本に書かれたことであるのに、「知らなかった」という人の多かったことである。
それを知らなくては話にならないだろう。
昭和天皇の果たした役割を考えなければ、沖縄の基地問題を論じることは出来ないではないか。
どうして、多くの日本人がこんなに大事なことを知らずに、沖縄の基地問題を論じるのか。そんなことは全く無意味だ。
よくよく考えてみると、それは、日本の新聞テレビなどのマスコミの誘導による物だと思わざるを得ない。
テレビでは「皇室アルバム」などと言う番組があり、NHKなどでは、しょっちゅう皇室を日本人の家庭の理想像のように美しく描く番組を放送している。
新聞でもそうだ。
昭和天皇に都合の悪いことはなるべく隠すのだ。
隠さないまでも、なるべく表立って論じることを避け、みんなの意識に上がらないようにしているのだ。
戦後の日本人が新聞やテレビで見せられた昭和天皇の姿は、背広姿で顕微鏡をのぞいている姿、皇后と一緒に那須の別邸の庭などを散策している姿などである。
そして、昭和天皇は「平和を愛する天皇」「科学者である天皇」、園遊会で愛想を振りまく「慈しみ深い天皇」である。
ところが、1945年8月15日までの昭和天皇は、元帥帽をかぶり、いかめしい天皇服を着て、白馬にまたがって、皇軍を率いていた大元帥の勇ましい姿だった。
白馬にまたがった勇ましい大元帥が、どうして「平和を愛する天皇」なのか。
240万の日本の将兵はみんな、昭和天皇の大元帥姿を神と崇めて「鬼畜米英」「撃ちてし止まん」「死は鴻毛より軽し」などと言って天皇のために死んでいったのだ。
その昭和天皇が「平和を愛する天皇」だって?
もう、戦争の敗北が決まった段階で「もう一つ、戦果を上げてから和平に持って行った方が上手く行くのではないか」と言った昭和天皇が「平和を愛する天皇」だって?
日本が中国対して仕掛けた侵略戦争、いわゆる「満州事変」も中国在中の関東軍司令部が勝手に兵を動かして始めた物だったが、昭和天皇は最終的に関東軍に
「(前略)勇戦力闘以テ其(その)禍根(かこん=災いの根)ヲ抜キテ皇軍の威武ヲ中外ニ宣揚セリ朕深ク其忠烈ヲ嘉ス(よみする=ほめる、よしとする)(後略)」
と言う勅語(天皇から国民に下賜するたちで発した意思表示。戦前の日本では勅語が最強の力持った言葉だった)を与えた。
この、侵略戦争を褒め称えた昭和天皇が「平和を愛する天皇」だって?
ついでながら、勝手に戦争を起こしておいても、後で天皇に讃められば上手く行く、と言う前例がここで出来上がったので、以後、軍部の独走が始まった。
何が何でも、恥も外聞もなく戦果を上げればよいという日本軍の性格がこの天皇の勅語によって決まったのだ。
戦争当時、昭和天皇の側近を務めた木戸幸一の記した「木戸幸一日記」という物がある。
公共図書館に行けば置いてあるから読んで欲しい。
その中には、昭和天皇の生々しい言動が記録されている。
木戸幸一日記に寄れば、昭和天皇は、対米開戦を決める前に、海軍や陸軍の指導者の話を何度も何度も、聞いた後に
「海軍大臣、総長に、先ほどの件を尋ねたるに、何れも相当の確信を以て奉答せる故、予定の通りに進むる様首相に伝へよ」
と言っている。
昭和天皇は、アメリカとの戦争を始める前にさんざん検討を重ねているのである。
それは、勝つか、負けるか、の検討であって、戦争の善悪の検討ではない。
戦前の昭和天皇は操り人形ではなかった。(同じ人間が、戦後には、アメリカの傀儡、操り人形になったのだが、戦争を始める時点では、人形ではなく自分の意志で動いていた)
これが、「平和を愛する天皇」か?
同じ、「木戸幸一日記」の1942年(昭和17年)2月16日に、次の記述がある、(日本がシンガポールを陥落させた直後のことである)
「シンガポール陥落につき祝辞を呈す。
陛下には、シンガポール陥落を聴こし召され(お聞きになって)、天機殊の外麗しく(天皇の機嫌は大変に良かった)、次々赫々たる戦果の挙がるについても、木戸には度々云う様だけれど、全く最初に慎重に充分研究したからだとつくづく思ふと仰せあり。誠に感泣す。(これまでに充分研究して戦争を始めたんだから、勝つのは当たり前だ、と天皇は言ったのだ。それに対して、木戸は感動して泣いた)」
とある。
最初から、戦争を慎重に充分研究した昭和天皇が「平和を愛する天皇」だって?
もうひとつ、木戸幸一日記から。
1942年3月9日、前々日に、日本軍がインドネシア、ビルマを陥れたという知らせを聞いて、
「(前略)竜顔(天皇の顔のことをこう言う)殊の外麗しくにこにこと遊ばされ『あまり戦果が早く上がりすぎるよ』との仰せあり。」
もう一つ行くか。
1942年6月8日、ミッドウェーでの敗戦を聴いた後で、
「今回の損害は誠に残念であるが、軍令武装庁には之により士気の阻喪を来さざる様に注意せよ。尚、今後の作戦消極退嬰とならざる様にせよと命じ置いたとのお話しあり。英邁なる御資質を今目の当たり景仰し奉り、真に皇国日本の有り難さを痛感せり」
「あまり戦果が早く挙がりすぎるよ」と喜んだり、ミッドウェーの海戦に敗れた後も、「消極的になるな」、と言う人間が、「平和を愛する天皇」だって?
天皇について更に続ける。
昭和天皇独白録の最後に結論とされている章がある。
その中で、昭和天皇は、次のように言っている。
「開戦当時に於る日本の将来の見透しは、斯くの如き有様だったのだから、私がもし開戦の決定に対して「ベトー(Vetoのこと、通常「拒否」と訳される)」をしたとしよう。国内は必ず大内乱となり、私の信頼する周囲の者は殺され、私の命も保証できない。それは良いとしても結局狂暴な戦争が展開され、今時の戦争に数倍する悲惨事が行はれ、果てとは終戦も出来兼ねる始末となり、日本は亡びることになったであろうと思う」
こう言う言葉を今読まされて、私は、血が逆流するような思いがするのである。
あの段階で、万一昭和天皇が戦争に反対したところで、誰が昭和天皇の命を狙えたか。
確かに、秩父宮などもっと好戦的な立場の皇族がいたことは確かだ。
しかし、かれらが、昭和天皇を殺して指揮者になれたか。
そんな状況ではなかったことは全ての歴史的資料が説明している。
本当に昭和天皇が戦争をしたくなかったら、自分の命のことなど、二の次にして、堂々と「戦争はしない」、と一言言えば良かったのだ。
そう言った結果、どうしても戦争をしたい人間によって殺されたとしたら、それでこそ本当に「平和を愛した天皇」だろう。
自分がもし殺されたら他の人間によって「結局狂暴な戦争が展開され」とあるが、そんな言葉は聞きたくもない言い訳だ。
昭和天皇がやってのけた戦争以上に狂暴な戦争を想像するのは、常識を持った人間には不可能だ。
昭和天皇の残した其の一文は、卑怯な言い訳として世界史に残るだろう。
もともと、この「昭和天皇独白録」は、、昭和天皇を戦争犯罪人にせずに、傀儡として戦後の日本を支配したいというアメリカの意志の元に作られた物だ。
こう言うアメリカの工作のお陰で、昭和天皇は戦争責任を問われることなく「平和を愛する天皇」として、歴代天皇としてはまれな長寿まで生き続けたのだ。
葉山の別邸で、そこらの漁師が拾ってきた貝殻や、虫を顕微鏡で覗いていると、そばに控えている御用学者が、「陛下!世界的な新種の発見でございます。おめでとうございます」と言い、数年経つと、昭和天皇が発見したと言う新種の生物の写真が載った豪華本が発刊される。
東南アジアや、アフリカの浜辺で、漁師の少年がちょいと網を掬うと、これまで登録されていない生物が幾らも見つかる。それを新種として報告して登録するのは、貧しい漁師の少年にはちょっと無理だろう。
少年は、面白い新しい生物を見付けたという誇りを生涯持ち続けるかも知れないが、平和を愛する科学者である、などと言ってくれる人は誰もいない。
昭和天皇は、顕微鏡を使って生物の細かい状況を見るのが得意だったようだ。
それなら、硫黄島、ガダルカナル、サイパンなどの戦地に顕微鏡を持って行って、戦死した兵士の骨を顕微鏡で覗いて、この骨はどの兵士の物であるか特定に力を尽くしたら、まだ意味があっただろう。
せいぜい、葉山の貝殻じゃあなあ・・・・・・・。
「平和を愛する天皇」か・・・・・・・。
日本という国は、嘘と偽善が絡まり合って救いがない。
昭和天皇の戦争責任問題は良く議論に上るが、昭和天皇の戦後責任につい語る人は余りいない。
先の戦争で、中国や東南アジア各国合わせて2千万とも3千万とも言われる人命が失われた。
日本の将兵240万人以上も命を落とし、アメリカ軍の空襲によって50万人近くの日本人が殺された。
それから考えると、確かに敗戦後、昭和天皇の責任によってそれまでのように直接300万人もの日本人の命が失われる事はなかった。
(300万人の日本人の命を奪った人間が、戦争に負けてそれ以上日本兵を殺せなくなったから、平和を愛する天皇となった。凄い論理だ)
しかし、その代わり前回にも書いた1942年にアメリカが立てた「Japan Plan」通りに、天皇はアメリカの傀儡となって、アメリカの日本支配のために大きな役割を果たした。
アジア各国に与えた被害を別にして、日本人についてだけ言えば、300万人の国民を殺した戦争責任より、1945年以来、今に至るまでアメリカに隷属し続けているこの国の構造の根底を作った、昭和天皇の戦後責任の方が重いと私は考える。
ついでに、現憲法の第一条には、
「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であり、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく」
とある。
この「象徴」という言葉に、日本人はみんな頭を悩ました。
当時の憲法担当大臣の金森徳治郎は「象徴」を「憧れの中心」と説明した。
どうして、天皇に憧れなければいけないのか。これでは、混乱するだけである。
何のことはない。
1942年の「Japan Plan」で既にアメリカは、戦後の日本を統治するのに、「天皇を平和のシンボル(象徴)として利用する」と決めていたのである。
アメリカは自分が勝手に決めたことを日本国憲法に翻訳したのであって、その真意が日本人に分かる訳がない。
それを、日本の憲法専門家という先生方が議論し続けたのだからご苦労千万な話である。
(私は、以前に「マンガ 日本人と天皇」という本を書いた。「講談社のα文庫」に収められているので、読んで下さい。
その中で、象徴天皇制について、象徴と言う言葉の出所が分からなかったので、はっきり書けなかった。しかし、この「Japan Plan」が明らかになって、象徴天皇制の意味が明らかになった。
残念ながら、当時はまだ「Japan Plan」の存在など誰も知らず、私としても様々な研究書を漁ったのだがとても、「Japan Plan」など思いもつかず、なんだか中途半端な形でマンガに書いてしまった。歴史学という物は、恐ろしい物で、一つの資料が発掘されると、それまでの歴史ががらりと変わる。それを自分で体験した)
昭和天皇が、まず、自分自身を立憲君主国天皇と言いながら、その範囲を自分で超えて、「沖縄をアメリカの基地にしろ」「日本も出来るだけ長く占領を続けろ」と言った。
こう言う時の天皇の言葉の力は大きいらしく、いまだに、天皇の言葉のままだ。
日本全体のアメリカの隷属化の第一は昭和天皇の言葉による物であることは明らかになった。
言葉は力である。
昭和天皇は当時は非常なる権力者であったから、昭和天皇の言葉はそのまま強力な力となった。
では、次に日本をアメリカに隷属し奴隷となることを推進したのは誰か。
それは、過去半世紀にわたって日本を支配してきた「自民党」である。
2007年にニューヨーク・タイムズの記者ティム・ワイナーが「Legacy of Ashes. The History of the CIA」という本を出版した。
「Legacy」とは遺産のこと。
「Legacy of Ashes」で「灰の遺産」と言うことになる。
これは、もともと、アイゼンハウワー大統領の言葉だそうだが、どのような状況で何をさしていったのか、この本からだけでは分からない。
しかし、戦争直後に言った言葉であり、戦後のヨーロッパやアメリカの各地のあの壊滅的状態を思い起こせば、そして、この本のあちこちの表現を見ればその意味は想像がつく。
あの当時のドイツと言えば、遺産としては灰しか残っていなかったのだから。
「The History of the CIA」という副題から推察すると、CIAから次世代のアメリカが(現代のアメリカのことである)受け継ぐのは戦後のヨーロッパのように「灰だけだ」と言うことになる。
ずいぶん、厳しい言葉だが、この本を読んでみると、この題名に納得がいく。
私たちは、CIAというと、大変に優れた諜報機関で、全世界にスパイ網を持ち、世界中の情報を収集し、と同時にアメリカにとって邪魔な国を倒すための陰謀を巧みに企んできた恐ろしくもあり強力な存在だと思ってきた。
ところが、この 「Legacy of Ashes」では、如何にCIAが無能で、情報機関としても陰謀機関としても、大きな失敗ばかり重ねてきたか暴いているのだ。
例えば、
1.自発的にCIAのスパイになってくれたソ連での人々を、CIAがわのソ連のスパイが密告して全員殺された。
2.レーガン大統領の時に、イランに武器を売り付け其の代金を中東で使うというイラン・コントラ事件が起こって、CIAも、中東での関係もめちゃくちゃにしてしまった。
3.恐ろしく情報能力が低下して、ソ連の軍事能力を過信し、アフガニスタンに武器を大量に提供してソ連のアフガン侵攻を阻止しソ連を崩壊させる一助となったのはいいが、其の大量の武器が今アメリカを困らせている。
4.大統領がCIAを信じないし、CIAも大統領を喜ばせることしか伝えない。CIAは大統領に嘘をつくのである。
5.イラク戦争の時も、CIAは大量破壊兵器があると強調して戦争を始めたが、結局、全て偽の情報でイラクに大量破壊兵器はなかった。
6.CIAの組織力はくずれ、世界中にいるCIAの人間は、ニューヨークのFBIの職員の数より少ない。
7.2004年にブッシュ大統領は、CIAのしていることは「just guessing」だといった。
「guess」とは推量とか、あて推量で言い当てる、と言う意味だ。
要するに、CIAは「事実に基づいた判断ではなく、勝手に思いこみで言っているんだろう」、とブッシュは言ったのだ。
これは、「Political death sentence(政治的死刑宣告)」だとワイズナーは書いている。
こんなことを今までに言った大統領はいない。
1.2005年に中央情報長官の職が廃止されたことでCIAがアメリカの政治の中心で果たしてきて役割は終わった。
2.アメリカは、情報機関を立て直さなければならないが、遺産として目の前にあるは「Ashes」である。
というのが、ワイナーのこの本に書いてあることだ。
実に恐ろしいくらい、愚かな失敗をCIAは繰返している。
CIAと言えば泣く子も黙る恐ろしい存在だと思い込んでいた私など、それじゃ、幽霊と思ってススキにおびえていたのか、と愕然となった。
今まで、CIAとソ連の諜報機関との戦いを描いていたハリウッド製のスパイ映画は何だったのと言うことにもなる。
なお、ワイナーによれば、ここに書いたものは、CIA、ホワイト・ハウス、連邦政府の55000以上の文書、 2000以上の、アメリカ情報機関担当員、兵士たち、外交官たち、のオーラル・ヒストリー(自分の歴史的体験を口述したもの)、そして、1987年以来行われた、300以上の、CIAの職員、退役職員、(その中には10人の元長官も含まれている)に対して行われたインタビューを元にしている。
この文書は、全て実名の情報に基いている。出所を明らかにしない引用、匿名の情報、噂話の類は一切用いていない。
この本はCIAの真実の全てを書いたものとは言えないかも知れないが、ここに書かれたことは全て真実である、とワイナーは述べている。
幸いなことにこの本が2008年に文藝春秋社によって日本語訳が出版されたので、日本人も容易に読めるようになった。
(なお、文藝春秋社版の日本訳と私の持っているアメリカのAnchor Books版とでは、この第12章の内容が甚だしく違うところが多い。
文藝春秋社の編集部の解説によれば、文藝春秋社版の第12章の前半と、第46章は日本語版のために著者が追加執筆した物だという。
他にも、Anchor Books版になくて、文藝春秋社版にある部分がある。
結果として、本来は50章の本なのに、日本版にはおまけで1章付け加えられた。
私は、アメリカのAnchor Books版を元にしていたので、危うくこの付け加えられた一章を見落とすところだったが、後で述べるように、1994年にワイナーによって書かれたNew York Timesの記事には、もっと厳しい内容が書かれているので、この付け加えられた章がなくとも、私には問題がなかった。
(英語版が手に入らない日本の読者には意味があるだろう)
逆に、英語版で大事なところが、文藝春秋社版では欠けているところがあるので、私は一応Anchor Books版を基本に、文藝春秋社版を参考にすることにした。)
さて、改めて言うが、この本を読んで、私はCIAがこれ程までに無能な機関であり、ここまで数々失敗を重ねてきたひどい政府機関であることを知って驚いた。
そして、一番驚いたのは、この駄目機関であるCIAがただ一つ成功した例があることである。
それは、ああ、なんと、この日本という国の支配なのである。
今回の眼目は、この本の第12章である。
その章のタイトルは、「We ran it in a different way.」となっている。
「run」とは、動かす、管理する、指揮する、支配する、と言う意味である。
ここでの、「it」は日本の政治のこと。すなわち日本のことである。
「we」はCIAのこと。
「in a different way」とは、当時日本を占領していた連合軍司令官であるマッカーサー元帥とは、違う方法で、と言う意味である。
なぜ、わざわざこの部分を英語の原文のまま示したか、それは、この「We ran it in a differnt way」という言葉の持つ、冷酷さ、非情さ、おごり高ぶった情感をはっきり読者諸姉諸兄に味わって頂きたいからである。
これを、文藝春秋社の日本語訳のように「別のやり方でやった」などとしてしまっては、このアメリカの非情さが分からない。
英語と言う言語の持つ実に直裁的な冷酷な味わい、そして、それが、アメリカ人の心理をそのまま反映した物なのだが、それが消えてしまう。
我々日本人は、アメリカ人に、「run」されたのだ。「rape」と変わらない。
其の屈辱感を、しっかり身にしみて貰いたいために、あえて英語の原文を示したのだ。
始まりは、1948年の末。
ワイナーは次のように書いている。
「二人の戦争犯罪人が、敗戦後三年間入れられていた巣鴨刑務所から釈放された。
それは、彼らと同じ戦争犯罪人の仲間が巣鴨刑務所の絞首台に連れて行かれた前の日だった。
其の二人の男は、岸信介と児玉誉士夫である。」
岸信介は、1896年山口県生まれ。
東京大学の法学部を卒業して農商務省に入り、東条内閣の対米宣戦時の商工大臣であり、敗戦後A級戦犯に指定されたが、釈放され、その後総理大臣になって対米安全保障条約・新条約の締結を行った。
児玉誉士夫は、1911年福島県生まれ。
戦前右翼の活動家として活躍し、戦中は海軍の庇護の元に中国で「児玉機関」と言う組織を動かし、強奪的にタングステン、モリブデン、などの貴金属、宝石類を大量に集め、それを海軍の力を利用して日本に送り届けた。(それを自分の物としたのが凄い)
敗戦後、A級戦犯とされるが釈放された後、中国から持ち帰った巨額の資産を元に、政界に影響を及ぼし、やくざ・暴力団・右翼のまとめ役、フィクサーとして力を振るった。
Anchor Books版に書かれていて、文藝春秋社版に書かれていない文章は、以下の物である。
「Two of the most influential agents the United States ever recruited helped carry out the CIA’s mission to contorol the government.」
Anchor Books
拙訳「かつてアメリカがリクルートした二人の一番影響力のあるエイジェントがCIAの日本政府を支配する任務を遂行するのを助けた」
で、其の二人の男とは、岸信介と児玉誉士夫である。
リクルート、エイジェント、この二つの言葉の持つ意味は重い。
会社にリクルートされて其の会社に勤めたら、貴方は其の会社の人間だ。
エイジェントとなったら、貴方はその会社の人間だ。
これが、会社でもなく、アメリカ政府なのだ。
岸信介と児玉誉士夫は、アメリカ政府に雇われて、アメリカ政府のために働く人間になったのである。もっと正確に言えばアメリカ政府の人間になったのである。
岸信介と児玉誉士夫は日本人のためではなく、アメリカ政府のために働く人間になったのだ。
文藝春秋社版では、この岸信介が「アメリカのエイジェント」だったことを、明確に書かない。
文藝春秋社が翻訳に使った底本が、そうなっていたのかも知れない。
しかし、ワイナーの本は、まずアメリカで出版され、非常に高く評価されたのだ。
アメリカの恥部を暴いた其の著者が、国ごとによって違う内容の版を出すとは思えない。
この一文が無くては、自民党の本当の姿を理解出来ない。
この一文を見のがしてはならないのだ。
岸信介は、アメリカにリクルートされたエイジェントだった。
エイジェントとは軽い言葉ではない。アメリカのエイジェントとなったら日本のために働くのではなく、アメリカのために働くのだ。
正確に言えば、岸信介はアメリカに魂を売ったアメリカの手先、「売国奴」、だったのだ。
何度でも繰り返したい。この一文は非常に重い意味を持っているのだ。
日本国民が、日本の首相だと思っていた人間が、実は日本人のためではなくアメリカのために働いていたのだ。我々日本人は「売国奴」を首相として崇めていたのだ。
こんな事があっていい物だろうか。
ワイナーの記述は、まだまだ続く。
分かりやすいようにまとめよう。
(念のために断っておくが、ワイナーが言明しているように、以下に書くことは真実である。すべて、文書や記録が残っている。)
1.岸信介と児玉誉士夫は、CIAのエイジェントとなった。
2.CIAの助けによって、岸信介は自民党の党首となり、首相となった。
3.児玉誉士夫は暴力団のナンバーワンとなり、CIAに協力した。
4.岸信介と、児玉誉士夫が、戦後の日本の政治の形を作った。
5.岸信介は、児玉誉士夫の金を使って選挙に勝った。
代議士になると、岸信介はその後50年に渡って日本を支配する自民党を作り上げた。
6.岸信介の作った「自由民主党」は自由主義的でもなければ民主主義的でもなく、戦争で亡びたはずの日本帝国の灰の中から起き上がってきた右翼的で封建的な指導者たちのクラブだった。
7.CIAと自民党との相互の間で一番重要だったのは、金と情報の交換だった。
その金で党を支援し、内部情報提供者をリクルートした。
8.アメリカは、一世代後に、代議士になったり、大臣になったり、党の長老になったりすることが見込める若い人間たちとの間に金銭による関係を作り上げた。
9.岸信介は党の指導者として、CIAが自分の配下の議員たち1人1人をリクルートして支配するのを許した。
この部分、Anchor Books版では、次のように書かれている。
「As the party’s leader, he(岸信介)allowed the CIA to recruit and run his political followers on a seat-by-seat basis in the Japanese parliament.」
文藝春秋社版では、そこのところが、
「岸は保守合同後、幹事長に就任する党の有力者だったが、議会のなかに、岸に協力する議員を増やす工作をCIAが始めるのを黙認することになる」
と書かれている。
この文藝春秋社版の文章では、「議員たちが岸に対する協力者となった」と読めるが、Anchor Books版の文章とは、意味が違ってくる。
Anchor Books版の文章では、「岸に協力する議員を増やす工作」とは読めず、「岸の配下の議員たちは、CIAにリクルートされて、CIAの支配下に入った」と読める。
文藝春秋社版とAnchor Books版とでは大分意味が違ってくる。
「recruit and run his political followers」は「岸信介に政治家として従う者達をリクルートして支配する」と言うことではないのか。「rectuite and run」の目的語は 「his political followers」だろう。これから、岸に協力しようという者たちではなく、すでに岸に従っている者達である。
岸信介に政治的に従う人間が必ずしも、CIAと関係がある訳ではない。
だから、岸信介は、自分の従属下に入った人間を、自分と同様CIAに仕えるように、CIAが働きかけることを許したのだ。
Anchor Books版に描かれた岸は、自分の配下をCIAに売る悪辣な男である。
1.岸信介は、トップに上り詰めるための策動をする間に、日本とアメリカの間の安全保障条約を作り直す作業をCIAと一緒にすると約束した。
2.岸信介は、日本の外交政策をアメリカの要求を満たすように変えると約束した。
それによると、アメリカは日本に軍事基地を保持し、核兵器を貯蔵しても良いというのである。
それに対して、岸信介はアメリカの秘密の政治的な協力を要請した。
もう充分だろう、と思うが、先ほど書いたように、実は、ワイナーは、1994年10月9日付けのNew York Timesに「CIA Spent Millions to Support Japanese Right in 50’s and 60’s. 」(CIAは日本の右翼を助けるために1950年代から60年代に書けて何百万ドルもの金を使った)と言う記事を書いている。
その記事の内容は、今回の本の内容に近いし、文藝春秋社版用に書き下ろしたと言う部分も、実はこの中に含まれている。
この本よりももっと具体的なことも書いてある。
そこから幾つか拾ってみよう。
1.1970年頃に、日本とアメリカの貿易摩擦が起こっていたし、その頃には自民党も経済的に自立出来ていたので、自民党に対する資金援助は終わった。
しかし、CIAは長期間にわたって築き上げた関係を利用した。
1970年代から1980年代初期に東京に駐在していたCIA職員は「我々は、全ての政府機関に入り込んでいた」と語った。
「CIAは首相の側近までリクルートしており、同時に農林省とも同じような関係を結んでいたので、日米農産物貿易交渉で、日本がどのようなことを言うか事前に知っていた」とも語った。
1.元警察庁長官で、1970年代に自民党の代議士になり、1969年には法務大臣になった後藤田正晴は、自分が諜報活動に深く関わってきた1950年代60年代について「私はCIAと深いつながりを持っていた」と言っている。
2.1958年に、当時の自民党の大蔵大臣だった佐藤栄作が選挙資金の援助をCIAに要求して、その資金で自民党は選挙に勝った。
3.1976年にロッキード事件が起こって日本は騒然としたが、それは、同時にCIAにとって、それまでの工作が暴露される恐れのある危険な事件だった。
ハワイで隠退生活をしている元のCIAの職員は電話で、次のようなことを語った。
「この事件は、ロッキードなんかよりもっともっと深いのだ。もし、日本という国のことについて知りたかったら、自民党の結党時のことと、それに対してCIAがどれだけ深く関わったか知らなければ駄目だ」
もう、本当に充分だろう。
日本を半世紀にわたって支配してきた「自民党」はCIAのエイジェントによって作られたCIAのために働く党だったのだ。
狡猾な旧日本帝国の官僚である岸信介、中国で強奪して来た資産で力を持ったやくざ・暴力団の親玉である児玉誉士夫。
この2人の、魂をアメリカに売り渡した売国奴によって作られた党だったのである。
作られただけでなく、自民党は長い間、政治的・金銭的援助と引き替えに日本をアメリカの代わりに支配を受け付け続けていたのだ。
日本人は長い間、自民党を支持し続けて来たが、実はアメリカの政策に従っていただけだったのだ。我々は、アメリカに支配されてきたのだ。
(それを考えれば、前回取り上げた、「思いやり予算」や、「年次改善要望書」などをなぜ日本政府が受け入れるのか、その秘密が解ける。我々日本人は、アメリカのために汗水垂らして働いてきたのだよ)
CIAが、有望な若い者達にも金を与えていた、と言うことも忘れてはならない。
官僚から自民党の政治家になった者は大勢いる。
CIAの金は官僚にまで回っていたのだ。
事実、1970年代後期、80年代初めに東京に駐在したCIA局員はワイナーに「われわれは全ての政府機関に浸透した」と述べているではないか。
CIAは首相側近さえも取り込み、農林水産省とも非常に有力なつてがあったので、日本が通商交渉でどんなことを言うか、事前に知ることが出来た、とはなんと情けないことだろう。
日本の官僚たちもアメリカに逆らえない弱みを握られているのだ。
これで、日本がアメリカに隷属し続けた原因が分かるだろう。
自民党議員も政府官僚はみんなアメリカから金を貰って弱みを握られているからアメリカに反することは出来ない。
自民党の二世・三世議員も同じことだ。祖父と父が従ってきたボスにどうして息子が反抗出来るか。
だから民主党政権になって、辺野古問題でアメリカの意志に反することを言い出したら、日本の官僚組織が一団となって、小沢一郎氏、鳩山由紀夫氏を引きずり下ろすために全力を傾けたのだ。
誰なのか正体の知れない「市民団体」に訴えさせて、一旦不起訴と決まった小沢一郎氏を検察審議会に、「起訴相当」の判決を出させたりもした。
どうして、あんな事をさせるのか。
考えてみれば、日本の官僚は上下関係でがんじがらめになっている。
自分たちの先輩の決めたことを、自分が覆したら、官僚世界から追放される。
官僚は官僚の世界から追放されたら生きて行けない。東大法学部を卒業した人間はその肩書きしか人間としての力はない。その肩書きが通用するのは官僚に関係する社会だけであって、実社会に放り出されたら、全く無能力である。
だから、日本では改革などと言葉で言っても、絶対に改革が実行されない。
それと同じで、現在の官僚は、米軍の沖縄基地の自由使用、と言う過去の先輩たちの決めた慣例をひっくり返したらえらいことになると怯えたのだろう。
で、人間としての価値もない無能な官僚全体がよってたかって民主党攻撃に回っているという訳だ。
さて、もう一つ言わなければならないことがある。
それは、日本の新聞、テレビ、など、いわゆるマスコミの問題である。
民主党をけなし続けているのは、大新聞、テレビ各局である。
では、その報道機関、マスコミが、アメリカの魔手から逃れていたのか。
これが、実はそうではない。
民主党攻撃に必死になったマスコミも、実は、アメリカの手先なのだ。
ちょっと長くなりすぎたし、「美味しんぼ」の原稿の締め切りが迫っているので、今回はここまで。
マスコミなどについての続きは次回で。
ま、とにかく、日本という国が、「出来るだけ長い間アメリカに占領していて貰いたい」と考えていることをアメリカに伝えた、元大元帥閣下の昭和天皇と、CIAのエイジェントである自民党のおかげで、実は1945年の敗戦の時から今に至るまでアメリカの完全支配の元にあると言う認識だけは今回で充分持って頂いたと思います。
次回は、日本がアメリカの支配下にある恐ろしい実態を示します。
(転載貼り付け終了)
【141】「「民主党大敗/今後どうなるのか」(EJ第2854号)」
「エレクトロニック ジャーナル」から貼り付けます。
(転載貼り付け開始)
2010年07月13日
「「民主党大敗/今後どうなるのか」(EJ第2854号)」
予想通り民主党は参院選で大敗です。50台割れは確実と思い
ましたが、40台後半と考えていたのです。それがまさかの44
議席、菅政権が目標とする54議席に届かないこと10議席、し
かも自民党に改選第一党まで取られてしまったのです。
なぜ、民主党は敗れたのでしょうか。
大方の意見は「消費税増税」を打ち出したことが大敗の原因と
していますが、そうではないと思います。もし、そうなら自民党
も負けているはずです。
11日のテレビ各社の選挙特番において、出演したキャスター
や政治評論家は、小沢前執行部の2人区擁立を失敗と断じ、相変
わらず、小沢氏の政治とカネも原因であると、なぜか現執行部で
はなく、小沢批判を展開していたのです。ある局では、党内の小
沢批判の急先鋒である渡部恒三議員まで出演させていたのです。
読売新聞のアンチ小沢の姿勢はいつもの通りですが、今まで小
沢前幹事長に対して比較的中立的立場を取っていたテレビ朝日ま
でが、小沢系候補に「小沢マーク」をつけ、それが落選していく
様子を印象付ける演出をしていたのです。解説者も小沢批判色の
強い政治評論家田崎史郎氏と朝日新聞論説委員星浩氏がしきりと
負けの原因は、小沢氏の政治とカネの問題と選挙戦略の失敗であ
るとして、小沢批判を展開していたのです。
これにより、テレビ朝日の『サンデープロジェクト』が廃止に
なった理由が読めてきました。『サンデープロジェクト』は司会
の田原総一郎氏にはいささか問題があるものの、同番組のレギュ
ラースタッフ陣は、どちらかというと、小沢氏の問題を感情的で
はなく、冷静に公平に扱っていたので高く評価していたのです。
そのため、上層部がやめさせたのでしょう。
負けの原因に小鳩政権の政策運営の失敗がないとはいいません
が、それなら、鳩山政権のツー・トップのダブル辞任のあとの民
主党の支持率急回復は何だったのでしょうか。あの勢いを維持し
て選挙に臨めば、過半数獲得は容易であったと思います。選挙態
勢は万全であったからです。
今回の参院選の敗因は、国民が菅直人という政治家の本性を見
抜いたからだと思います。菅首相は首相に就任するや執行部の人
事は反小沢で固め、何も仕事をしないで国会を閉じ、早々と選挙
に突入しました。ここまでは国民は容認していたと思うのです。
そのあと党内合意のないままに「消費税10%増税」を打ち上
げたのです。それに加えて新執行部は、マニュフェストを大幅に
修正しているのです。
枝野幹事長は、この決定には小沢幹事長も関与しているように
いっていますが、それは事実ではないのです。確かにマニュフェ
ストの修正の話は出ていたと思いますが、鳩山─小沢ダブル辞任
の時点ではまだ決まっていなかったのです。その証拠に消費税に
関する記述は新執行部が付け加えているのです。
菅首相は「脱官僚」といいながら、平気で消費税増税を宣言し
税率まで踏み込んでいます。しかし、増税は財務官僚の意に沿う
ものであり、裏切り行為です。
マニュフェストの変更については、マニュアルまで作り、候補
者に次のようにいうよう指示しています。
―――――――――――――――――――――――――――――
マニュフェストは生き物であり、環境や状況の変化に応じて、
柔軟に見直すことも重要である。
―――――――――――――――――――――――――――――
しかし、これは「公約破り」であり、あまりにも有権者をバカ
にしています。さらに菅首相は、サミットで「中国をG8に招聘
せよ」という場違いの提案をして、G8首脳から顰蹙を買ってい
ます。これは外務省幹部と何の打ち合わせもせず、いきなり発言
したのです。
さらに国民新党の連立合意──郵政法案を今国会で成立させる
──をわずか数日で反故にし、しかも国民新党が連立離脱か否か
で深夜まで協議を重ねているときに、首相は既に寝ていたことが
わかり、これまた大きく国民新党との信頼関係を損ねています。
さらに、選挙に突入し、消費税発言が受けが悪いとわかると、
深い考えもなしにころころ発言を変更し、ほとんど何も考えずに
消費税増税を打ち出したことがわかってしまっています。
さらにメディアが9党首討議会を開くことを提案したときには
8対1では不利だと主張して逃げまくり、テレビ局に時間振りや
逆質問を認めさせて出演するなど、男らしくないです。
国民は、短い間ではあるものの、一連の菅首相の行動や発言を
見て、愛想をつかしたのです。10%の消費税増税でも、小鳩の
政治とカネでもないのです。首相の行動を見ていて、こんな男に
は日本をまかせられないと判断したからこそ、民主党に鉄槌をを
下したのです。
もうひとつ菅政権には許せない裏切りがあります。仙谷官房長
官は、マニュフェストから電波料値上げにつながる「電波オーク
ション」を外してテレビ局に恩を売り、記者クラブの存続と優遇
を約束しています。また、官房機密費がメディアに渡っている疑
惑については、追求しないことを約束するなどの、メディア対策
を行っていたのです。
だからこそ、大新聞はそろって「消費税増税」賛成の論陣を張
り、とくに増税派の急先鋒とされる読売新聞は、独自の世論調査
で菅政権を擁護しています。読売新聞の策動については、「関連
情報」の情報もお読みください。
菅首相は、自らの退陣を否定し、枝野幹事長も留任させると明
言していますが、それはきわめて困難です。連立の相手は自民党
しかないのですが、首相には自民党のつてはないのです。そこで
いわれているのは、読売新聞の渡辺氏の仲介で与謝野氏を通じて
自民党との連立を仕掛けるはずです。しかし、これだけは阻止し
ないと、せっかくの政権交代が元の木阿弥になってしまいます。
一体これからどうなるのでしょうか。民主党の去就が注目され
るところです。 ──[ジャーナリズム論/58]
≪画像および関連情報≫
●読売の露骨な「援護射撃」
―――――――――――――――――――――――――――
参院選終盤の7月7日付の読売朝刊は、「参院選ネットモニ
ター」調査で小沢氏の執行部批判を75%が「評価しない」
と回答したことを報じ、「小沢氏の公約違反批判などは、民
主党内の意思統一に対する有権者の不安を増幅させているの
ではないか」という識者コメントを掲載した。民主党の枝野
幹事長が参院選後のみんなの党との連携に言及して、与党内
から厳しい批判を浴びたことについても民主党支持者の58
%が「評価する」(同アンケート)とかばっている.
──『週刊ポスト』7/23より
(転載貼り付け終了)