ふじむら掲示板
※ログイン後に投稿フォームが表示されます。
Loginはこちら【248】本日気付いたこと(2022年7月8日)
かたせ2号です。
副島隆彦先生の自己分析や嘆き節は、そのまま世界および日本の(正しい)分析に連結していて、ほぼ、その裏返しである。自己分析がそのまま世界を語り、日本のありようを語る。そんな風になる人を他に見たことがない。やはりすごい先生なのです。副島隆彦先生は「日本の公共財産」です。
夏目漱石の「牛」の手紙を、副島隆彦先生がたびたび引き合いに出されていたのは、夏目漱石も副島隆彦先生も、ともに「遅れてきた国に生まれた知識人」の苦悩を背負った意味においては、「同じ」であることを、副島先生が鋭く嗅ぎ分けた証拠だと、かたせ2号は推測します。
(安倍晋三が死んだ日に)
以上
【247】田中宇の国際ニュース解説のサイトから気にいった表現と分析を紹介する。
かたせ2号です。
1.
記事名:制裁されるほど強くなるロシア非米側の金資源本位制
https://tanakanews.com/
(無料公開部分を一部引用開始)
【2022年6月30日】G7サミットはロシア敵視のかたまりだった。ゼレンスキー大統領が「ご本尊」のようにビデオ参加して同盟諸国の指導者たちに睨みを効かせる中で、
(無料公開部分を一部引用終わり)
かたせ2号です。
この文章には笑ってしまった。ほんとに「ご本尊」のようだから。
イメージとしては、以下のような感じだろう。(国連安保理の時の写真ですが)
https://www.nhk.or.jp/politics/wp-content/uploads/2022/04/0406kokuren.jpg
あの「ご本尊」のところに座っているのは、本当は、ジョージ・ソロスです。だから、みんな怖くて、表立っては逆らえない。
2.
記事名:プーチンの偽悪戦略に乗せられた人類
2022年6月24日
https://tanakanews.com/220624russia.htm
(抜粋開始)
プーチンがドンバスだけでなくウクライナ全土を対象にする派手な侵攻劇を展開し、米国側が激怒してロシアに極悪のレッテルを貼って極度に経済制裁するように仕向けたことが、ロシアの優勢と米国側の自滅につながっている。プーチンは、あえて派手な侵攻劇を展開して極悪者になることで、経済と軍事の両面でロシアを勝たせ、米国側を自滅させている。プーチンはもしかして、常識的には大失敗である派手な侵攻劇を意図的に展開し、米国側がロシアに極悪のレッテルを貼って自滅的な対露制裁をやるように仕向ける「偽悪戦略」を事前に考えたうえで実行し、成功しているのでないか。
こんな風にロシアはウクライナ開戦後、軍事的にも経済的にも予定通りに勝利・成功している。開戦時に派手な侵攻劇を展開する「大失敗」をやったことが、今後の経済面の「大成功」につながっている。派手な侵攻劇は「失敗」でなく意図的な「偽悪戦略」だったと考えられる。プーチンは米国側の親露政治家たちから「なぜあんな派手な侵攻劇をやって極悪のレッテルを貼られる大失敗をやってしまったのか。ロシアを擁護したくてもできないよ」と言われているらしく、最近「キエフなどウクライナ全土を軍事作戦の対象にする戦略は、私が命じたことでなく、軍の上層部の希望で進めたことだ」などと言い訳している。ロシアは重要なことを全部プーチンが決める。キエフへの派手な侵攻劇は、軍だけで決めて実行できるものでなく、プーチンが決めた策略である。プーチンは「大失敗しちゃったよ。ぽりぽり。でへへ」とニヤニヤしている。
(抜粋終わり)
かたせ2号です。
2022年2月24日直後、ロシア軍がウクライナの首都、キエフに迫ったという、現在の戦況から考えれば、あまり意味のない行動をとった理由の説明になっています。
私、かたせ2号は、田中宇さんの上記の説明に、違和感は感じません。
なぜなら、私は、このふじむら掲示板で「[265]プーチンにとって、3000億ドル(35兆円)の没収された外貨準備は「投資」(DS最高幹部に激烈な経済制裁をやらせるための「撒き餌(まきえ)」)ではなかったのか?」(2022年4月24日投稿)と主張しているくらいなので。
以上
【246】日本国内でも「食糧危機」に向けての動きが始まった。
かたせ2号です。
Laughing Manさんのツイート(2022年7月3日)
https://twitter.com/jhmdrei/status/1543387797171609602
(引用開始)
日本も、要警戒か?
関東一円他、全国へも展開する大型の「食品物流センター」で火災。出火原因は、書いていない。今後の国内展開に注視。
https://www3.nhk.or.jp/lnews/mito/20220702/1070017618.html
記事名:茨城県阿見町の物流センター火災 発生から丸2日経過し延焼中
https://twitter.com/jhmdrei/status/1543387797171609602/photo/1
(引用終わり)
かたせ2号です。
以下、その物流センターが燃えている様子(動画)。
おばづらさんのツイート(2022年7月2日)
https://twitter.com/TetsuBouzu1122/status/1543012469165027329
(引用開始)
2022年7月2日の7時20分頃友達から送られてきた。
茨城県阿見アウトレット近くで火事。ヤバそうだぞ
(動画リンク)https://twitter.com/i/status/1543012469165027329
(引用終わり)
以上
【245】ロシア・ラブロフ外相の「賢明なユダヤ人」発言の真意について考え続け、結論を出した。(前半)
かたせ2号です。
<今回の投稿内容のまとめ>
(前半)
・ロシアのラブロフ外相の発言「賢明なユダヤ人たちは『最も大きな反ユダヤ主義者はユダヤ人自身』だと語る」(2022年5月1日)の真意は何かについて考え続けてきました。
・かたせ2号の結論は「賢明なユダヤ人たちは、ユダヤ教の思想の一部(異邦人(ゴイム)から金利を取ることの肯定)を重要視し突き詰めていった結果、ユダヤ教の神の存在をもはや必要としない、ユダヤ教の神を畏(おそ)れない、という極端にたどり着いた」です。このユダヤ教の神は、キリスト教の神でもあります。また、ここでいう「賢明なユダヤ人」とはDS最高幹部を指します。
・そこからさらに導かれる結論として、「DSの「最高幹部」ともなれば、シオニズム運動にまったく何の共感もないし、ユダヤ人への同朋意識も実はまったくない。だから彼らは、シオニズム運動の本拠地、イスラエルと平気で敵対できる」です。
(後半)
・1917年のイギリス政府による「バルフォア宣言」は、ロスチャイルドがシオニズム運動に何の共感もないことを覆い隠すための、大きなダマシではないか? そんなことについて考えていた矢先、2005年に田中宇さんがすでに、同じ結論を出していたことを、昨日(2022年7月2日)発見した。
・ウータン(副島隆彦先生による田中宇さんへの呼び名)はスゴイ!
・この2005年の田中宇さんの分析記事は、とても参考になると思いますので、記事を引用しておきます。
<以下、本文>
かたせ2号です。
まず、ふじむら掲示板に投稿した「[301]ユダヤ思想とは何か、について考えた。」(2022年5月15日)から記事を再引用します。
韓国・ハンギョレのサイトから。
記事名:ウクライナ「脱ナチス化」主張のロシア、「ヒトラーはユダヤ人」…イスラエル「怒り」
2022年5月4日配信
http://japan.hani.co.kr/arti/international/43343.html
(記事の一部引用開始)
ロシアのラブロフ外相は2022年5月1日、イタリアの放送局「レテ4」の番組に出演し、「ウォロディミル・ゼレンスキー大統領はユダヤ人なのに、ウクライナの脱ナチス化は侵略の大儀名分になりうるのか」と問われ、「ヒトラーもユダヤ人の血統」、「それは何の意味もない」と答えた。同氏はまた「我々は、賢明なユダヤ人たちが『最も大きな反ユダヤ主義者はユダヤ人自身』だと語るのを長いあいだ聞いてきた」と付け加えた。
(記事の一部引用終わり)
かたせ2号です。
このラブロフ発言の真意は何か考え続け、そして、最近になって、以下のような結論に至りました。
「賢明なユダヤ人たちは、ユダヤ教の思想の一部(異邦人(ゴイム)から金利を取ることの肯定)を重要視し突き詰めていった結果、ユダヤ教の神の存在をもはや必要としない、ユダヤ教の神を畏(おそ)れない、という極端にたどり着いた」ということです。
そして、ラブロフ外相のいう「賢明なユダヤ人」とは「DS最高幹部」のことを指すのです。
ラブロフはおそらく、このことを世界に伝えたかったのです。
この結論に基づいて説明がつく事実はたくさんあります。
たとえば、ダボス会議参加者の中には沢山のユダヤ系の有力者がいるはずなのに、「選ばれたごく一部の人間たち(自分たち)が神にとって代わる」という未来図を描くユヴァル・ノア・ハラリの思想を、彼らが推奨できる理由もよくわかります。彼らは、ユダヤ教の神の存在をもはや認めていないし畏れてもいないから、こんな思想でも全く平気なのです。
そして、これが一番大きな発見なのですが、ユダヤ教の神の存在を認めていないし、畏れてもいないから、DSの「最高幹部」ともなれば、シオニズム運動にまったく何の共感もないし、ユダヤ人への同朋意識も実はまったくない。だから彼らは、シオニズム運動の本拠地、イスラエルと平気で敵対できるのです。
その証拠に、ウクライナへの対応をめぐって、DS最高幹部(ジョージ・ソロス)とイスラエルの政治的指導者とが、緊密に連携をとれているとは決していえません。
AFP通信の記事から。
記事名:ウクライナ大統領、イスラエルの対ロシア制裁拒否を非難
2022年6月24日配信
https://www.afpbb.com/articles/-/3411234
(引用開始)
ウクライナのゼレンスキー大統領は2022年6月23日、イスラエルのヘブライ大学でオンライン形式の演説を行い、イスラエルがロシアへの制裁を拒否していることを非難した。
イスラエルは新たな政治危機の渦中にあり、ナフタリ・ベネット(Naftali Bennett)首相は数日以内にヤイル・ラピド(Yair Lapid)外相に首相職を移譲する見通しとなっている。
ベネット氏はロシアのウクライナ侵攻への非難を控え、両国との緊密な関係を強調。同氏率いる連立政権はロシアに制裁を科してこなかった。
一方、ラピド氏は侵攻開始の数日後、ロシアの行動を「国際秩序に反する」と非難した。
2人の対照的なスタンスは、イスラエルの中立性を守るために調整されたものとみられている。
ユダヤ系で、イスラエルに親族がいるため、同国を何度も訪れているゼレンスキー氏はヘブライ大学での演説で、イスラエルのロシアに対する弱腰な姿勢は理解し難いと述べた。
続けて「どうして侵略の犠牲者を助けずにいられるのか」「イスラエルがどんな支援をしてきたのか、他に何ができるのかといつも質問されているが、何と答えればいいのか分からない」として、イスラエルがウクライナへの軍事支援を行っていないことを嘆いた。
ゼレンスキー氏は「イスラエル国民の、ウクライナ国民に対する誠実で心のこもった支援には感謝している」とする一方、「イスラエル政府にも支援してほしい」と続けた。イスラエルはウクライナに人道・医療支援を提供する一方、軍事支援は行っていない。
イスラエルはこれまで、シリアでのロシアとの協力関係を維持するため、ウクライナ侵攻に関しては慎重な立場を取ってきた。イスラエルはシリアで定期的に空爆を実施しているが、シリアに軍を駐留させるロシアはこれを黙認している。
(引用終わり)
かたせ2号です。
また、私、かたせ2号がずっと抱えてきた以下の3つの疑問はこれで氷解します。DS最高幹部には、シオニズム運動やユダヤ民族への共感など全くないのです。
(1)アメリカとヨーロッパの超お金持ちたち(ユダヤ系も多い)は、なぜ、ナチス・ドイツのヒトラーの政治活動を資金援助できたのか?
(2)反DSの急先鋒であるにもかかわらず、ドナルド・トランプは大統領在任中、なぜ、あれほどイスラエル寄りの外交政策をとることができたのか?
(3)なぜ、イスラエルは、コロナ・ワクチンを世界に先駆けて国民に何度も打ち込むという「失態」を犯したのか?
(ちなみに当時のトランプ大統領は、コロナ・ワクチン接種に当初、前向きでした。トランプはおそらく敬虔なユダヤ教徒なので、この件について、イスラエルの判断に従ったのだと思います。情けない話ですが、両者とも、DS最高幹部による「ショック・ドクトリン」に乗せられてまんまと騙された、というのが、かたせ2号の見立てです。)
そんな風に考えがまとまりつつあった際に、田中宇さんのサイトから、衝撃的な分析を目にしました。
田中宇さんのサイト(https://tanakanews.com/)から。
記事名:覇権の暗闘とイスラエル(2022年6月22日配信)
(無料公開の部分、引用開始)
中東和平・パレスチナ問題は、大英帝国の基盤にあった英諜報界(ユダヤ網)を乗っ取って(コピーして)分離しようとしたイスラエルに対し、英国側が報復のために建国時のイスラエルになすりつけて永久に背負わせた難問である。英国は、インドが独立する時にパキスタンを分離独立させてインドが永久に苦悩するように仕向けたが、あれと似たものだ。オルメルト案やトランプ案で中東和平が形だけ実現して安定的に維持されれば、イスラエルとアラブ諸国が正式に和解でき、イランなどもイスラエルを敵視できなくなって中東は安定と発展に向かう。しかし、入植者から米民主党まで和平を妨害する勢力がたくさんいて、何十年も進まない状態になっている。
(無料公開の部分引用終わり)
かたせ2号です。
上記下線部の部分、ここに衝撃を受けました。そういうモノの見方があったかと。
イスラエル・ロビー(アメリカとイスラエルの二重国籍者が中心)のアメリカで華々しい活動をしているのもかかわらず、本当は、DS最高幹部は、100年以上、シオニズム運動およびその本拠であるイスラエルの活動を敵対視し、抑圧にかかってきたのではないか?
以上、縷縷(るる、長々と)考えを述べてみました。ここでかたせ2号が示したモノの見方は、世界の実相(じっそう、すべてのモノの生滅変化する仮の姿の奥にある真実の姿)を表せているのでしょうか? さらに考察を進めました。
(後半に続く)
【244】ロシア・ラブロフ外相の「賢明なユダヤ人」発言の真意について考え続け、結論を出した。(後半)
かたせ2号です。
前半の投稿にあるようなところまで考えがまとまったので、次に、「現在の私は、いったい何の情報によって騙されているのか?」と考えてみました。
ここで、副島隆彦先生が唱える方法論
「『真実』にたどりつくには、『現在のワタシはすでに騙されているのではないか』という前提を立てて物事を考えてみることだ」に従ったわけです。
すると、世界史の知識で学んだ「バルフォア宣言」について、もしかするとここで騙されているかな?と思いあたりました。
世界史の窓のサイトから引用します。
http://www.y-history.net/appendix/wh1501-055.html
(引用開始)
▼バルフォア宣言
第一次世界大戦末期の1917年11月、イギリスがユダヤ人にパレスチナ国家建設を認めた宣言。それ以前にアラブ人の独立を認めたフセイン・マクマホン協定、フランスなどとのオスマン帝国領分割を密約したサイクス・ピコ協定と矛盾し、現在にいたるパレスチナ問題の原因となった。
第一次世界大戦末期の1917年11月、イギリスが大戦後にパレスチナにユダヤ人の国家を建設することを認めた宣言。ロイド=ジョージ挙国一致内閣の外相バルフォアからロンドンのウォルター=ロスチャイルドへの書簡として出された。ロスチャイルドは19世紀以来、ロンドン・パリを拠点に活動し、大きな資産をもつユダヤ系財閥の当主で、当時、ユダヤ人のパレスティナへの移住と建国を目指すシオニズム運動の代表を務めていた。バルフォア宣言はロスチャイルドへの書簡という形を取ったが、イギリス政府が正式に表明したもので公開された。
▼ユダヤ人国家の建設を認める
その文面の要点は「イギリスは、パレスチナにおけるユダヤ人の民族ホーム A National Home の樹立に賛同して、目的の達成のために最善の努力を払う」という点であった。それには「パレスチナに現存する非ユダヤ人社会の市民的及び宗教的諸権利」を害することのないこと、という条件が付けられていた。
この宣言は、ユダヤ国家の建設を求めるシオニズムに「いい顔」をすることによって、パレスチナでの対オスマン帝国戦を有利に進めることと、ヨーロッパにおけるユダヤ系大資本の代表であるロスチャイルド家の支援を取り付けることを狙っていたのである。
▼矛盾した宣言
イギリスはバルフォア宣言を出す一方で、すでに1915年7月にアラブ人の実力者フセインとの間で秘密協定であるフセイン・マクマホン協定を結び、さらに1916年5月にはフランス・ロシアとの間でオスマン帝国領土を分割することの秘密協定としてサイクス・ピコ協定結んでいたので、それらと矛盾することとなった。
ユダヤ人国家の出現 第一次世界大戦後、オスマン帝国が崩壊したことを受け、1920年4月に連合国が開催したサン=レモ会議において、イギリスはパレスチナを委任統治とし、ユダヤ人の入植が始まった。しかしイギリスは第二次世界大戦直前の1939年5月にパレスチナ白書を出して事実上バルフォア宣言を撤回、大戦後1948年にイスラエルが建国され、アラブ人難民が発生、パレスチナ問題が深刻化した。これらの経緯から、バルフォア宣言は、現在に至るパレスチナ問題の原因の一つを作ったといえる。
▼資料 バルフォア宣言
私は国王陛下の政府を代表いたしまして、ユダヤ人シオニスト諸君の大望に共感を示す以下の宣言を、閣議の同意を得て貴下にお伝えすることができて非常に悦ばしく思っております。
「国王陛下の政府はパレスチナにおいてユダヤ人のための民族的郷土(ナショナル・ホーム)を設立することを好ましいと考えており、この目的の達成を円滑にするために最善の努力を行うつもりです。また、パレスチナに現存する非ユダヤ人諸コミュニティーの市民および信仰者としての諸権利、ならびに他のあらゆる国でユダヤ人が享受している諸権利および政治的地位が侵害されることは決してなされないことはないと明確に理解されています。」
貴下がこの宣言をシオニスト連盟にお知らせいただけましたならば光栄に存じます。
アーサー・ジェームズ・バルフォア
※私=バルフォア(イギリス外相) 貴下=ロスチャイルド卿(シオニスト連盟会長) <『世界史史料10』歴史学研究会編 2006 岩波書店 p.41>
(引用終わり)
かたせ2号です。
上記は、世界史の知識を学んだ全世界の人々にとっての常識です。しかし、ここに大きなダマシが潜んでいるのではないか? たしかに、ウォルター=ロスチャイルドがシオニスト連盟会長だったのは事実です。だからといって、ロスチャイルドが、敬虔なユダヤ教徒でありかつシオニスト運動を応援していると即断するのは、間違いではないのか?
そもそも、世界史の常識的な知識の中で、ロスチャイルドの名前が正面から出てきて、その存在をアピールしているのは、このバルフォア宣言だけです。そのことも、あやしい。
そして、ここまで考えてきた私、かたせ2号は昨日(2022年7月2日)、以下に引用する田中宇さんの記事を「発見」しました。
びっくりしました。
「世界中の人々が『バルフォア宣言』によって騙されている」という分析が、今から17年前の2005年に、田中宇さんによって、すでになされていました。
まず、その記事の見出しを抽出しておきます。
▼パレスチナ問題とはユダヤ人どうしの対立?
▼バルフォア宣言は何のため?
▼シオニズムに反対だが応援するという戦略
▼イスラエルを石油利権から遠ざけたサイクス・ピコ協定
▼イギリスの二枚舌外交はシオニストが標的だった?
▼パレスチナ問題の起源はバルフォア宣言の中に
▼「国際社会」に変身したロスチャイルド
▼シオニストの反撃
▼今後も続くロスチャイルドとシオニストの戦い
さらに、重たい掲示板「[2459]以下に載せる 田中宇(たなかさかい)氏の政治と経済の文章が、大変、優れている。」2019-10-29から、副島隆彦先生の文章を引用します。田中宇さんの別の文章についてですが、激賞されています。
(抜粋開始)
現在の世界情勢について、日本から発信している情報と分析の文章で、一番、優れているものは、田中宇(たなかさかい)氏の、文だ。私は、いつも、田中氏「国際ニュース解説」の文に、驚嘆して、その多くに賛同している。
元 共同通信で、世界政治情報の報道の技術を学んで、独立して、こうして、ネット時代に、精力的に、もう20年以上も、独力で、正確、確実かつ、これほどの高度の優れた評論文を、粘り強く発表しているのは、田中宇(たなかさかい。私たちの間での、略称 宇(うー)たん)氏だけである。
(中略)皆さんも、彼のサイトに、読みに行って下さい。副島隆彦が、強力に、文句なしで、強くお勧めします。
(中略)田中宇氏の、文章は、硬質(こうしつ)で、高雅(こが)で、大変、優れている。ここまで、政治と経済の 両輪(りょうりん)を、鋭く、的確に描いて、さらに、深く洞察して、私たち日本人に「なるほどー。そうだったのか」と分からせてくれる 言論人は日本には他にいない。私たちは、田中宇(うー)氏という世界基準の頭脳を持てて、本当に幸運だ。
(抜粋終わり)
かたせ2号です。
ご興味のある方は、下に引用した田中宇さんの記事本文をご参照ください。本当に勉強になります。
「田中宇の国際ニュース解説」サイトから。
記事名:イスラエルとロスチャイルドの百年戦争
2005年6月22日配信
https://tanakanews.com/f0622israel.htm
(一部引用開始)
パレスチナの町ラマラの郊外に「バロウ交差点」という場所がある。パレスチナ人の自治区であるラマラ市内と、その外に広がるイスラエル軍政地域との境界線にあたる地点だ。この交差点は、ラマラに住むパレスチナ人の若者や子供たちが、軍政地域の側にいるイスラエル軍のジープや戦車に向かって投石を行う「インティファーダ」の闘争場所の一つとして知られていた。
(パレスチナ人の抵抗運動である「インティファーダ」は、2004年暮れにアラファトが死去した後、パレスチナの後継政権であるアッバス政権とイスラエルのシャロン政権の交渉開始とともに、休止されている)
私が最初にバロウ交差点を訪れたのは2001年1月のことだ。そこで印象的だったのは、投石を行う若者たちが、ジャーナリストとおぼしき人々がやってくると投石を行うが、そうでないときは投石をしないことだった。
私は日をかえてこの交差点を3回見に行ったが、行くときの人数がそれぞれ違っていたため、異なった反応を見ることができた。私一人で行ったときは、最初は若者たちは投石を始めたが、私が撮影などをせずに黙って見ているだけなので、間もなく投石を止め、私の方にやってきてしばらく雑談した後、どこかに行ってしまった。
別の日に、日本人のジャーナリストら数人と一緒に行ったときは、私たちがいる間、若者たちは15分ほど投石を続けた。300メートルほど離れた場所にいたイスラエル軍は撃ってこなかった。
そして、さらにまた別の日、私が体験した最も賑やかなバロウ交差点は、ラマラの中心街でデモ行進があったときだった。数百人のデモ隊が交差点まで行進してくると、その到着とともに激しい投石が始まった。イスラエル軍もゴム弾や催涙弾で反撃してきて、1時間近く「インティファーダ」が続いた。
▼パレスチナ問題とはユダヤ人どうしの対立?
バロウ交差点を見た後で分かったことは、この場所はよくテレビに出てくるということだった。「行間」(Between The Line)というパレスチナの英文雑誌には「欧米のジャーナリストはインティファーダの取材というと、お手軽に取材できるバロウ交差点にばかり行き、ほかの場所に行かない」という批判記事が出ていた。
バロウ交差点以外にも、パレスチナの各都市には、紛争の「名所」のような場所があった。イスラエル軍による攻撃や、パレスチナ側の抵抗運動の情景としてテレビによく出る場所はおおむね決まっている。ラマラでは市街地の中心にあるマナラ広場周辺もそうだし、ヘブロンではイスラエル側が占拠している聖地「マクペラの洞窟」のすぐ外側の道などである。
私がバロウ交差点で感じたことは、パレスチナ人たちは「国際世論」を意識した戦いをしている、ということだった。だが、国際世論をコントロールしているのは、パレスチナ人ではない。欧米人の側である。私が疑問に思ったのは、何で欧米のマスコミは、同じ街路風景ばかりになってしまっても、パレスチナ問題をしつこく取り上げるのはなぜなのか、ということだった。
同じようなことは、ラマラにあるアラファト議長の官邸に行ったときも感じた。それは以前の記事「アラファト官邸で考える」に書いた。
確かに、パレスチナ人たちはイスラエル軍によって、ひどい人権侵害を受けている。しかし、殺された人数とか、紛争の残虐さにおいては、中南米やアフリカなどに、もっとひどい例がたくさんある。ところが、欧米マスコミでの報道の量から見ると、パレスチナ問題は、他のあらゆる紛争を引き離し、圧倒的に多い。
アメリカを中心とする世界のマスコミが、これだけパレスチナ問題を取り上げる背景には、紛争のひどさに基づくニュース判断ではなく、もっと政治的な理由があるに違いない。パレスチナ人は、その構造の上に乗って、インティファーダなどの運動を続けている。何回かパレスチナを取材するうちに、私はそう思うようになった。
イスラエルは、ユダヤ人の国である。そして、欧米のマスコミで大きな力を持っているのもユダヤ人である。それなのに、欧米のマスコミは意識的にパレスチナ問題を大きく報じ、イスラエルを批判する世論を世界で喚起している。ユダヤ人世界の中枢に、イスラエルを支持する派閥と、支持しない派閥があって、それらの間での戦いが、パレスチナ問題に投影されているのではないか、という仮説が私の中に浮かんだ。
▼バルフォア宣言は何のため?
こうした仮説を抱きながら、イスラエル建国の源流である1917年の「バルフォア宣言」や、その前後に起きたことを読んでいくと、ピンとくるものがあった。
イスラエルは、19世紀末に欧州を中心に世界に広がったナショナリズム(民族意識)の高揚に触発された欧州のユダヤ人たちが「自分たちも、国を持たない流浪の民である状況を脱し、ユダヤ人の国を作ろう」と考えて起こした建国運動(シオニズム)の結果、1948年に建国された。
シオニズム運動が成功したのは、イギリスで非常に強い権力を持っていたユダヤ人政商のロスチャイルド家が支援したからであり、ロスチャイルド卿がシオニズム支援のために、当時のイギリス外相のバルフォア卿に「パレスチナにユダヤ人の祖国(ホーム)を作ることを支持する」という一筆を書かせたのが「バルフォア宣言」である、というのが定説だ。
ロスチャイルド家は、イギリス産業革命に投資して巨万の富を蓄え、その後婚姻その他の人脈拡大によって、イギリス政府の中枢に入り込んで覇権を拡大維持する政策を行った。バルフォア宣言が発せられたころには、イギリスの上層部にはロスチャイルド系の人が多く、バルフォア卿もロスチャイルド家に近い人物だった。そのためバルフォア宣言は、ロスチャイルド家がお手盛りでイスラエル建国を決めたものと解釈されることが多い。
(ロスチャイルド家については「金融の元祖ユダヤ人」参照 )
だが、私は最近「ロスチャイルドは本当にイスラエル建国を支持していたのだろうか」という疑問を抱くようになった。ロスチャイルド家に限らず、欧州諸国の政府に資金を貸し、金融などの政策立案まで担当していたユダヤ資本家の多くは、自らの存在を曖昧にし、黒幕として存在し続けることに、意義を見出していた。
それは、ユダヤ人差別への対応策という意味もさることながら、それ以上の理由がある。戦争が起こりそうになったら、敵同士である双方に金を貸したり政策を出したりして、どっちが勝っても儲かるようにするとか、一つの国の産業革命に投資して大儲けできたら、他の国でも産業革命を誘発し、そちらにも投資して儲けを増やすなど、一つの国に対してのみ忠誠を尽くすのではなく、国際的に動くことで儲けるのが、伝統的なユダヤ商人の作法としてよく見られる。
これをやるためには、それぞれの国の黒幕が誰なのか、分からないようにしておかねばならない。ばれたら両方の国から裏切り者とされてしまう。ロスチャイルド家の中には、キリスト教に改宗した人が多く、ユダヤ人であることすら自ら改変し、キリスト教社会の中に埋没し、目立たないようにネットワークを張り、その結果、イギリスの「上流階級」と「ロスチャイルド」とが、ほとんど同義語であるような状態を作り出した。
▼シオニズムに反対だが応援するという戦略
これに対してシオニズムは、自分がユダヤ人であることを明言し、自覚し、イスラエルを建国し、そこに結集しよう、という主旨の大衆運動である。黒幕に徹して儲けてきた少数精鋭のユダヤ商人のやり方とは正反対である。バルフォア宣言当時のイギリスでは、ユダヤ人有力者の多く(キリスト教徒に改宗した人を含む)は、黒幕系であるがゆえに、シオニズムに反対だった。
欧州のユダヤ人には、大別すると2種類の系統が存在する。一つは、16世紀のスペイン帝国の勃興に貢献した後、オランダ、イギリスへと覇権が移動するとともに、これらの覇権国に移住し、欧州各国政府の金庫番や知恵袋として機能した「スファラディ(スペイン系)」(もしくは、そこからキリスト教徒に改宗した人々)と呼ばれる商人勢力で、彼らは人口としては数万人から10数万人しかいない。これが黒幕系である。
もう一つは、8世紀に今のウクライナ周辺にあった「ハザール汗国」がユダヤ教を国教にした関係で、ユダヤ教徒となった人々の末裔で「アシュケナジ(ドイツ系)」と呼ばれ、1000万人かそれ以上の人口があり、ほとんどは貧しい農民で、ロシア革命前までロシアからウクライナにかけて住んでいた。
シオニズムは、最初に考えたのは西欧のスファラディ系の知識人だったが、それを支持した人の多くは東欧の貧しいアシュケナジ系だった。シオニズムは、パレスチナにイスラエルを建国する運動へと発展する中で、貧しいが数の多いアシュケナジ系の大衆が、ユダヤ人としての意識に目覚め、少数派の金持ちであるスファラディ系の黒幕的なあり方を批判する、という色彩をとった。シオニズムは、ユダヤ人社会の中での「革命運動」であった。
だが、革命とは政権(商権)の交代なので、ビジネスチャンスでもある。戦いがあれば敵同士の両方に賭けておくロスチャイルド式の商法からいうと、シオニズムの革命家も投資の対象ということになる(実際、ロシア革命には、たくさんのユダヤ人が先導者として参加していた)。また、政治活動をする者にとって、大衆に敵視されないようにすることは重要である。ロスチャイルドがシオニズム運動を支持したのは、妥当な選択だった。
▼イスラエルを石油利権から遠ざけたサイクス・ピコ協定
とはいうものの、中東のパレスチナに建国されるイスラエルが、大きな国になってしまうのは、ロスチャイルドだけでなく、ユダヤ系の商人全体にとって好ましくなかった。建国後のイスラエルが強くなると「すべてのユダヤ人は、欧州を捨ててイスラエルに集まれ」ということになり、黒幕として欧州で儲け続けたいスファラディ系のユダヤ商人は、立場が弱くなる。
だからロスチャイルドは、イスラエルの建国を支持する一方で、イスラエルをなるべく小さな国として建国させ、そのころちょうど中東で採掘されるようになった石油の油田からも遠い場所のみを与えるようにした。
これを実現するためにロスチャイルドがイギリス政府と謀って行ったのが「サイクス・ピコ協定」と「フセイン・マクマホン書簡」による、有名なイギリスの「三枚舌外交」だった。
サイクス・ピコ協定は、バルフォア宣言の約1年前に英仏が結んだ秘密合意で、崩壊間近のオスマントルコ帝国の領土のうち、アラブ人の領域を南北に分割し、北をフランス、南をイギリスが支配することを決めた。北の仏領にはシリアとレバノンが作られ、南の英領にはイラク、ヨルダンとイスラエルが作られた。
この協定は、イギリス外交官のマーク・サイクスと、フランス外交官のジョルジュ・ピコが話し合って決められたが、広瀬隆氏の著書「赤い楯」によると、サイクスもピコも、ロスチャイルド系の人物である。
シオニズム運動の指導者だったハイム・ワイツマン(のちにイスラエルの初代大統領になったポーランド出身の科学者)は、1915―16年に、サイクスと何回も会っており、サイクスはシオニズムに対する強い支持を表明していたが、ワイツマンに対し、サイクス・ピコ協定の交渉が進んでいることについて、一言も話さなかった。ワイツマンの手記によると、フランスのシオニストは同時期にピコと会い、ピコの口からもシオニズム支持の言葉を聞いたが、サイクスとの秘密協定については、一言も聞いていなかった。(関連記事)
当時のシオニズムは「パレスチナにイスラエルを建国しよう」という運動を展開していたが、パレスチナがどこからどこまでの地域を指すのか、明確な定義がなかった。「パレスチナ」を最も大きな範囲でとらえると、今のシリア、レバノン、ヨルダン、イスラエルの4カ国を包含する地域になる。そのすべてをユダヤ人国家として与えてしまうと、イスラエルは中東の地中海岸の大部分を占める強大な国家になりかねない。
パレスチナを最大領域として考えた場合、近くには、今はイラク領になっているモスルとキルクークの大油田地帯があり、ここをイスラエルに押さえられると、イスラエルは大きな石油利権を握り、それこそロスチャイルドを脅かす存在になりかねない。
そのため、ロスチャイルド系のサイクスとピコが談合して秘密協定を結び、パレスチナを仏領と英領に分断したうえで「ユダヤ人の国を作れるパレスチナとは、英領の方だけを指している」という話に持っていき、イスラエルの建国範囲を狭めたのだと思われる。
▼イギリスの二枚舌外交はシオニストが標的だった?
同時に、1915年10月のフセイン・マクマホン書簡も、ユダヤ人国家の範囲を狭める役割を果たしている。この書簡は、イギリスの高等弁務官マクマホンが、アラブ社会で最も権威ある人物だったメッカの知事フセイン(ヨルダン国王の祖先)に対し、地中海岸の地域を除くオスマントルコ領内のアラブ人居住地に、アラブ人国家を建設することをイギリスが許したものだ。
この書簡でアラブ人の国として指定された領域からは、今のイスラエルとレバノンが除外されている。そして、フセインは、レバノンが除外されていることには反発したが、エルサレム周辺(今のイスラエル)が除かれていることに対しては、特に反発していない。
フセイン・マクマホン書簡で約束したことを、その後イギリスは、部分的に守っている。ヨルダンとイラクに、フセインの息子兄弟を国王とする国々を建国してやったからである。このうちヨルダン(英領パレスチナの東半分)に関しては、シオニストとしては、バルフォア宣言で約束されたイスラエルの領土に入るものと思っていただろうが、イギリスはフセイン・マクマホン書簡をたてに、パレスチナを英仏で分割した英領の中を東西に分割した西半分のみをユダヤ人与えるようにした。
このような経緯があるので、シオニストは今も「われわれは、バルフォア宣言で約束された土地のうちの、わずかしか与えられていない」と主張している。イスラエルの国旗は、上下2本の青い線の間に、ダビデの青い星が描かれているが、この上下の線は、チグリス・ユーフラテス川とナイル川であるとされている。
つまりシオニストが主張する「約束された土地」とは、この2つの川の間にある、今のイスラエル、ヨルダン、シナイ半島(エジプト領)、シリア、レバノン、イラクの西半分までを含む「大パレスチナ」である。
イギリスの二枚舌外交は、アラブ人を騙すための戦略だったとされるが、当時はまだアラブ人が「騙す相手」として存在していなかった。民族主義の考え方は、西欧で生まれて世界に広がった経緯があり、欧州のユダヤ人はすでに民族主義に燃えていたが、中東のアラブ人は、一部の知識人を除き、まだ民族主義の洗礼を受けておらず、自分たちを「アラブ人」として自覚している大衆は少なかった。
だから、イギリスの二枚舌外交は、アラブを騙すためのものではなく、イギリス政府(つまりロスチャイルド)が、シオニストを煙に巻くために行った計略だった可能性が大きい。
▼パレスチナ問題の起源はバルフォア宣言の中に
ロスチャイルド家は、ユダヤ人国家の範囲を狭め、油田地帯を外させただけでなく、ユダヤ人が入植してくる前からパレスチナに住んでいたアラブ人(パレスチナ人)の権利を重視するとバルフォア宣言に明記することで、イスラエルが建国後にパレスチナ問題を抱えねばならなくなるという素地も作った。
しかもバルフォア宣言では、ユダヤ人がパレスチナに作ることを約束されたものは「国家」ではなく、もっと曖昧な「ユダヤ民族の故郷(ナショナル・ホーム)」だった。その「民族の故郷」を「国家」にするためには、そこに住んでいる人々の意志が重要になるが、イスラエル建国前の英領パレスチナに住んでいる人の大半はアラブ人だったから、住民の意思としては、パレスチナにできる国家は「ユダヤ人の国」ではなく「アラブ人の国」になってしまう。
バルフォア宣言に仕掛けられたこの難問を解くため、シオニストはその後、世界中のユダヤ人をパレスチナに移民させ、アラブ人よりユダヤ人の方が多い状態を実現し、民主主義でユダヤ人の国を建国しようとした。イギリス当局は、ユダヤ人のパレスチナ移民を規制してこれを防ぎ、シオニストはイギリスに対するテロを行って対抗した。
さらに、第二次大戦後にイスラエルが建国の最終段階に入った1947年11月、イギリスはアメリカと組んで設立して間もない国連において、パレスチナをアラブ人国家とユダヤ人国家に二分し、中心都市であるエルサレムはどちらの領土にもせず国際管理下に置く、という決議を下した。
これは、ユダヤ人国家の範囲を、大パレスチナの中の英領の中の、ヨルダンを除いた西半分の、そのまた西半分に限定し、しかもシオニストが「永遠の首都」にしようと夢見ていたエルサレムは渡さない、という「国際社会」による決定だった。
イスラエルは建国を強行し、国連決議から半年後の1948年5月に独立を宣言し、独立を阻止しようとするエジプトやヨルダンの軍隊に勝って、建国を果たした(エジプトやヨルダンとは事前に話がついており、戦争は「ふり」だけの部分が多かったとされている)。イスラエルは国家となったものの、国連決議を破ってパレスチナ人を追い出した「悪い国」というレッテルを「国際社会」から貼られ続けることになった。
▼「国際社会」に変身したロスチャイルド
前回の記事「行き詰まる覇権のババ抜き」に書いたように「国連」や「国際社会」は、イギリスが世界を間接支配するための仕掛けである。そしてこれらは、イギリスの中でも特にロスチャイルド的な考え方である。
大英帝国は、第一次大戦を機に衰退が明確になるが、イギリスが衰退しても、ロスチャイルドやその系列の資本家たちが世界で儲けることができるようにするために、英米が中心となる国際社会や国連が作られた。またイギリスは、自国に近いアメリカを次の覇権国にすべく、アメリカの資本家を国際社会で儲けられるように誘った。
欧州のユダヤ商人は、ロスチャイルドの出現以前に、スペイン帝国からオランダ帝国へ、そしてオランダ帝国からイギリス帝国へと、何回も覇権の移転を経験しており、この覇権の移転そのものが、新規投資対象の開拓の結果だった可能性がある。
ロスチャイルドの世界支配は、覇権がイギリスからアメリカに委譲された時点で、ロスチャイルド家という一族支配から、ロスチャイルド家によって作られた英米中心の世界体制で儲ける人々のネットワーク(「国際エスタブリッシュメント」あるいは「国際協調派」)へと進化した感がある。
「国際社会」も、その実態は彼らであり、実際の世界の人々の民意とは、本質的に関係がない。米英の政府やマスコミも、このネットワークの中の組織であり、世界の民衆の世論は、米英中心の国際的なマスコミによって、扇動されている部分がかなりある。イスラエルの建国を制限し、建国後も国連のパレスチナ分割案などでイスラエルに制限をかけ続けたのは、この国際エスタブリッシュメントである。
資源を持たず、パレスチナ人との関係という問題も抱えた、小さな国として建国されることになったイスラエルの初期の政府(労働党政権)は「国際社会」という巨人と戦うことを得策ではないと考え、むしろイスラエルが国際社会から認知されることの方を重視した。ロスチャイルド家は、イスラエルの建国に際し、国会議事堂その他の政府機関の施設などをいくつも建設・寄贈した。シオニストが小さなイスラエルで満足している限り、お金を出してあげます、というわけだった。
▼シオニストの反撃
この建国当初の状態を変化させたのは、冷戦の進展により、イスラエル周辺のエジプトやシリアが社会主義の側に寄り、それと対峙するイスラエルが親米の国として注目され、1970年代からイスラエル系の勢力がアメリカ政府に入り込むようになったことだった。
1967年の第三次中東戦争では、イスラエル軍はアラブ諸国を打ち負かし、国家としての自信をつけた。イスラエルは建国以来の20年間で、荒れ地が農地として開拓され、工業力も発展した。それにアメリカからの軍事支援が加わり、エジプトやヨルダン、シリアの軍隊を蹴散らす軍事力を持つに至った。
1970年代に入ると、近年になって「ネオコン」と呼ばれるようになったイスラエル系の勢力が、国防総省などのアメリカ政府内で政策立案者として注目されるようになった。ネオコンがアメリカの中枢に入り込んだ経緯は、以前の記事「ネオコンの表と裏」(上下の下はこちら)に書いたとおりである。
1970年代まで、イスラエルは左派の労働党の政権が続いていたが、1973年に右派政党が結集して新政党「リクード」を作り、77年には選挙に勝ってベギン政権を作った。アメリカの中枢に入り込んだのは、イスラエルの中でもリクード系の勢力である。彼らは、アメリカの仲介でイスラエルとエジプトが和解した1979年の「キャンプデービッド合意」を演出し、アラブ側の内部に親イスラエル派と反イスラエル派の分断を生じさせた。
その一方で、イスラエルは79年のイランのイスラム革命後、強烈な反米国家となったイランに秘密裏に武器を送り続けるなど、中東におけるアメリカの敵を強化することで、アメリカが中東で常に難問に直面している状態を作り出し、その難問をイスラエルが解いてやることで、アメリカがイスラエルに頼らざるを得ない状況を作り出した。
こうした状況下、アメリカの中枢ではイスラエル系の勢力が、冷戦を推進していた「軍産複合体」と連携して「タカ派」を形成することで力を持ち、それまでアメリカの中枢で力を持っていたロスチャイルド系の「国際協調派」(中道派)を押しのけていった。
レーガン政権では、1期目にはタカ派が強かったが、2期目には国際協調派が盛り返した。次のパパブッシュ政権では、タカ派の計略で湾岸戦争が起こったが、協調派の防戦で、イラク国内に米軍を侵攻させることは止められた。あのとき米軍がイラク領内まで深く侵入していたら、2003年から発生しているイラク占領の泥沼とイスラエル軍への依存は、1991年に起きていただろう。
次のクリントン政権は、国際金融を中心にした典型的なロスチャイルド的な政権で、アメリカが経済的に世界を支配する構造を強化することでタカ派を排除したが、1996年からの世界的な金融危機によってこの構想は崩れ、1998年ごろから米国内では再びタカ派の論調が強くなり、次のブッシュ政権では2001年の911事件を機に、完全にタカ派が支配的になった。
▼今後も続くロスチャイルドとシオニストの戦い
こうしてみると、アメリカの世界支配をめぐる揺れの根本にあるものは、従来の支配層だったロスチャイルド的な国際協調派と、それを倒してイスラエルに対する抑圧を解こうとするシオニストとの戦いであると考えられる。
国際協調派は、国連を使ってイスラエルを何度も非難しており、イスラエルは国連を全く無視している。そして、タカ派の影響力が強いブッシュ政権は、国連や国際社会を無視して動いている。これらのことからも、ロスチャイルド対シオニストの戦いが、アメリカ中枢を舞台に、今も続いていることが感じられる。
以前の記事「ネオコンは中道派の別働隊だった?」に書いたように、ネオコンは、イスラエルの回し者ではなく、国際協調派の回し者であると感じられる部分が、今もある。これは、もしかするとネオコンと呼ばれる人々の中に、イスラエル支持者のふりをした国際協調派の回し者が混じっていたのかもしれない。
だがその一方で、ニューヨークタイムスのコラムニストでネオコン系と目されるウィリアム・サファイアは、6月15日にイスラエルで「シオンの守護者」として表彰され、その際、アメリカでイスラエル系の勢力を強化するため、ユダヤ教への改宗運動を進めるべきだと演説している。イラク侵攻後、米政界で国際協調派が盛り返しそうになっていることへの対抗手段として、アメリカでユダヤ教への改宗運動を進めることは、シオニストにとって効果がある。(関連記事)
ユダヤ人の最大の敵はユダヤ人であると言われる。ユダヤ人がアラブ人などを騙すのは簡単だが、ユダヤ人どうしの戦いは秘密戦争であり、外部の人間には、誰と誰の戦いなのかも判別しがたい。しかし、アメリカと世界の将来がどうなるかは、この秘密戦争の行方がどうなるかにかかっている。この問題はタブー視されたり「陰謀論」として退けられることが多いが、この問題を考えずに、国際政治を語ることはできない。その意味で私は、今後もこの問題について分析していく必要を感じている。
(引用終わり)
以上
【243】昨日(2022年6月30日)の早朝に、以下の情報にたどりついた。
かたせ2号です。
昨日(2022年6月30日)の早朝、かたせ2号は、ツイッターを開いて、検索欄に「リトアニア」と入力し(「#リトアニア」ではない)、検索をかけました。話題のツイートのタブでの表示がされますので、「最新」のタブに切り替えます。すると「リトアニア」に関する色んな方のツイートが最新順に表示されるので、それを確認しました。
すると、以下の情報が目につきました。
https://twitter.com/Cherish_my_Time/status/1542241103872937984
「リトアニアからカリーニングラードのロシアの飛び地への貿易は数日以内に正常に戻る可能性がある、とこの問題に詳しい2つの情報筋は述べた。」
上の方が参照しているリンク先の、以下のツイートを参照しました。
https://twitter.com/KevinRothrock/status/1542187921134047237
「(内容は上記の元になった英文)」
上の外人さんの方が、以下のロイター記事(英語版)を紹介していました。その記事を機械翻訳して、以下にご紹介します。EUが日和った(ひよった、2022年6月23日をボレル発言)ことを無視して報道しないまま来てしまい、ロイターとしては、最新情報を報道できなくなり困りつつあったので、後追いでこの記事を出したのだと推察します。また記事を読めばわかりますが、ロシアに宥和的なドイツへの非難も意図しているかもしれません。
記事名:(独占記事)EU、カリーニングラードをめぐるロシアとの膠着状態を打開するための妥協案に近づく
2022年6月29日配信
https://www.reuters.com/world/europe/exclusive-kaliningrad-row-eu-nears-compromise-deal-defuse-standoff-with-russia-2022-06-29/
(引用開始)
<まとめ>
・カリーニングラードはリトアニア経由の鉄道と道路に依存している。
・制裁を受けた貨物に対する締め付けはモスクワを怒らせた。
・EU、リトアニアとの通常貿易再開に向け妥協点を模索。
モスクワとの対立を和らげるため、欧州当局がバルト三国との妥協案を模索する中、リトアニアとロシアの飛び地カリーニングラードとの貿易が数日以内に通常に戻る可能性があると、この問題に詳しい2人の情報筋が述べた。
カリーニングラードはEU諸国に隣接し、ほとんどの物資をリトアニア経由の鉄道と道路に頼っているが、ブリュッセルの制裁により2022年6月17日からロシア本土からの貨物輸送が一部停止されている。
EU加盟国であるリトアニアが保留を撤回すれば、2022年7月上旬の取引に道が開かれる。
ロシア領の隔離をめぐる論争は、ロシアのウクライナ侵攻後に課された制裁を執行するヨーロッパの決意を試し、他の制限によってロシアが債務不履行に陥った後にエスカレートする恐れを煽るものである。
西側諸国はウクライナのために立ち上がることを誓い、今週のG7とNATOの両首脳会議でその決意を繰り返したが、ヨーロッパにとって厳しい制裁を守り、ロシアとのさらなるエスカレーションを避けることは難しいことが判明している。
そのため、ドイツの後押しを受けた欧州当局者は、モスクワとの数ある対立の一つを解決するために妥協点を探っている、とある関係者は語る。
もし、カリーニングラードへのロシア製品の伝統的なルート、まず同盟国のベラルーシ、次にリトアニアを経由するルートが復活しなければ、バルト三国はモスクワが軍事力を使って自国の領土に陸路回廊を突っ込むことを恐れていると、その人物は言う。
一方、ドイツはリトアニアに兵士を駐留させており、もしそうなれば、NATOの同盟国とともに対立に巻き込まれる可能性がある。
欧州最大の経済大国であるドイツは、ロシアのガス輸入に大きく依存しており、カリーニングラード紛争がエスカレートした場合、ガスの流量が減少すると脆弱になる。
EUの議論を直接知るある人物は、カリーニングラードはモスクワにとって「聖域」であると述べ、「我々は現実に直面しなければならない」と語った。
「プーチンは我々よりはるかに大きな影響力を持っている。妥協点を見つけることが我々の利益になる」と述べ、最終的な結果が不公平に見える可能性があることを認めている。
妥協案
リトアニア外務省の報道官は、制裁措置の適用について引き続き欧州委員会と協議すると述べ、欧州連合(EU)によるいかなる変更もバルト三国を特別視すべきではないと語った。
「制裁は実施されなければならず、いかなる決定もEUの制裁政策の信頼性と有効性を損なうものであってはならない」と同報道官は述べている。
「カリーニングラードの通過は様々なEU加盟国を通じて可能であるため、EU制裁の実施方法に関する欧州委員会の説明は・・・リトアニアに限定することはできない。」
欧州委員会の報道官は、リトアニアがEUの制限を実施しており、カリーニングラードへの必要物資の供給は妨げられないままであると、2022年6月22日に発表した声明を指摘した。
この問題を直接知る人物の1人は、2022年7月10日までに妥協案が見つかるとの見通しを示し、2人目は来週にも発表される可能性があると述べた。
ある妥協案では、ロシアとカリーニングラード間の貨物の移動は、飛び地がロシアの一部であるため通常の国際貿易にはあたらないという理由で、EUの制裁から免除される可能性があると、その関係者は述べた。
この譲歩は、制裁対象貨物がカリーニングラードで使用され、ロシアのバルチック艦隊が司令部を置く港経由で輸出されないことを条件とするものである。その保証は難しく、商品の最終目的地を決定する役割を担うリトアニアをロシアと衝突させるかもしれない、とその関係者は言う。
また、リトアニア、ポーランド、バルト海に挟まれたカリーニングラードには、人道的な理由で免除が認められる可能性もあるという。しかし、リトアニアは、モスクワに譲歩したと見られるようなことをすることに、深刻な懸念を抱いているという。
アルコールとセメント
かつてモスクワから統治されていたリトアニアは、現在、EUにおけるロシアの最も激しい批判者の一人であり、この問題の打開を望むドイツやブリュッセルの当局者と対立している。
これまでのところ、EUの対ロシア制裁により、EU諸国を経由したカリーニングラードへの鉄鋼・金属類の輸送は阻止されている。
制裁対象品目は、2022年7月10日からセメントとアルコール、2022年8月から石炭、2022年12月から燃料などの石油製品に拡大される予定だ。最終段階では、ロシアからカリーニングラードへ送られる貨物の約半分が制裁の対象となる。
旅客や食品は禁止されておらず、カリーニングラードには飛行機や海路で行くことができる。
米国と欧州連合(EU)は、ロシアの国際金融へのアクセスや石炭・石油の販売を制限する制裁措置を迅速に展開したが、この懲罰的措置はロシアの軍事的侵略を抑制することにはほとんど役立っていない。
この数週間、モスクワは重要なガスの供給を減らすことでヨーロッパを敵に回し、ドイツは配給に備え、カリーニングラードをめぐる対立の激化をますます心配そうに見守っている。
人口100万人のカリーニングラードは、ソビエト連邦崩壊時にリトアニアが独立した際にモスクワから切り離され、住民は陸路でロシアの他の地域に行くにはEU領域を通過しなければならない。
ロシアの安全保障理事会の副議長であるドミトリー・メドベージェフ氏は今週、カリーニングラードへの物資輸送の抑制は西側の代理戦争の一部であり、ロシアには報復する方法が数多くあると述べた。
「多くの機会があり、その大部分は経済的なもので、敵対的な行動をとったバルト三国の近隣諸国への酸素を遮断することができる」と、ロシアの新聞に語った。
「また、非対称的な手段を用いる可能性もあり、その場合、紛争の決定的なエスカレーションを引き起こすだろう」と述べた。
(引用終わり)
以上
【242】2022年6月27日に起きた、ウクライナ中部でのショッピングセンターでの、ミサイル攻撃事件について。
かたせ2号です。
取り急ぎ、表題の件につき、考えついたことを結論だけ、記載しておきます。
この事件は、あることの準備です。
ジョージ・ソロスの「ロシアを滅ぼすべし」の路線。
これに、すくなくとも、EU(およびNATO)に加盟している以下の国の政治的指導者たちはついていけていません。
すなわち、フランス、ドイツ、イタリア、ハンガリー。
ジョージ・ソロスは彼らに「おまえらの国で同等の事件をこれから起こす。それをロシア軍のテロ行為だとして世界中にプロパガンダをばらまく。そして、おまえらの国とロシアを直接に戦わせる。君たちには第三次世界大戦に参加してもらうから(笑)」と宣言したのです。
そのための準備の第一段階です。
だから、2022年3月28日、ウクライナのゼレンスキー大統領が「ロシアを『テロ支援国家』に指定せよ」と世界に要請したのに対し、フランスのマクロン大統領が、同日、即座にその要請を否定しました。
2022年5月にDSによる不正選挙で再選できたマクロン大統領も、DSの(中堅)幹部であることは間違いのないところですが、そういう立場の彼だからこそ、このショッピングセンターの事件が何を意味するか即座にわかったのではないかでしょうか。
これがマクロンによる「ロシア テロ国家」認定の即日否定発言の背景にあると、かたせ2号は考えます。
以上
【241】EU上層部とリトアニアはまだもめている(カリーニングラードの鉄道輸送禁止措置に関する最新情報)
かたせ2号です。
カリーニングラードの鉄道輸送禁止措置について、EU上層部とリトアニア政治指導者との間で対立が生じていることをロイターやAFPが報道しなくなりました。
結果として、この問題についての最新情報が西側諸国の住民に流れなくなりました。
しかたがないので、リトアニアのニュースサイトから今回、最新の記事を機械翻訳しました。以下にご紹介しますのでご参考ください。
<結論>
EU上層部とリトアニア政治指導者との間では、まだモメていて、EUからの新しいガイドライン(鉄道輸送禁止措置について、どこまでがEUのロシア制裁の範囲に含めるかを示す正式な法的文書)が出されるのを、リトアニア側が待っている状態です。
ただし、藤原直哉さんのツイートにある通り、
https://twitter.com/naoyafujiwara/status/1541559426439839745
「シモナイト(リトアニア首相)は、「ロシアのプロパガンダは、EUの敗北とロシアの勝利として提示するだろう」と述べた。「貨物、乗客の行き来が99%ある。私たちは今日1%について話している。」」とあるので、鉄道輸送禁止措置はすでに解除されているのかもしれません。
<記事の紹介>
リトアニアのkauno dienaのサイトから。
記事名:ランズベルギス リトアニア外相「カリーニングラードへの輸送に対する欧州委員会の譲歩は、さらなる問題を引き起こすだろう」
2022年6月28日配信
https://kauno.diena.lt/naujienos/lietuva/politika/g-landsbergis-ek-nuolaidos-tranzitui-i-kaliningrada-sukurtu-papildomu-problemu-1084648
(記事抜粋開始)
ロシアとカリーニングラード間のリトアニア経由の一部物資の通過に対する制裁について、欧州委員会(EC)が譲歩するならば、さらなる法的問題を引き起こすだろうと、リトアニアのランズベルギス外相は述べた。
同大臣によると、欧州委員会は、これらの欧州連合(EU)制裁をどのように実施すべきかについての文書をまだ作成中であり、現在の「思いつき(Reflection)」(2022年6月23日のボレルEU上級代表(外務大臣)の発言)が、法的文書に変わってはならないとのことである。「単にその時に気付いただけだ。最大の問題は、これらの思いつきが法的文書、ECの法的解釈になった場合、我々の意見では、さらなる法的問題を引き起こすだろう」と、ランズベルギス氏はLRTラジオで語った。
ランズベルギス外相はまた、このような譲歩はロシアが攻撃的に行動し続けることを助長しかねないと言う。「侵略者のための譲歩は、侵略者が攻撃的な行動を続けることを助長する」。
「ただし、制裁措置は欧州委員会の専権事項であり、リトアニアが一方的に制裁措置を導入、撤回、修正、変更することはないということだけは、繰り返し申し上げておく。これは欧州委員会の独占的権限であるため、我々は欧州委員会の説明に従っている」とランズベルギス氏は述べた。
2022年6月17日のEU制裁発効後、リトアニアはカリーニングラードへの鉄鋼と鉄鋼金属の輸送を制限し、ECの解釈に基づきこれを行ったと表明した。
2022年6月17日のEU制裁発効後、リトアニアはカリーニングラードへの鉄鋼および鉄金属の輸送を制限し、ECの解釈に基づきこれを行ったと表明した。これに対し、モスクワは、この通過制限が国際協定に違反するとし、報復を予告した。
(記事抜粋終わり)
リトアニアのkauno dienaのサイトから。
記事名:欧州委員会のカリーニングラードに関する発言についてČmilytė-Nielsen:冷静かつ堅実に
2022年6月27日配信
https://kauno.diena.lt/naujienos/lietuva/politika/v-cmilyte-nielsen-apie-ruosiamas-ek-pastabas-del-kaliningrado-reikia-laikytis-ramiai-ir-solidziai-1084542
(抜粋、一部補足追記開始)
リトアニアのヴィクトリア・チェルミテ・ニールセン国会議長は、他の国家元首と同様、欧州委員会(EC)が、欧州連合(EU)の対ロシア制裁をカリーニングラードにどのように実施すべきかという新しいガイドラインを設定することを決めた場合、それがリトアニアにとってどのような内容になりそうか詳細にコメントし評価することはしていない。
「欧州委員会のガイドラインを待っているところであり、その後にコメントすることができるだろう」と、ニールセン氏は、リトアニアの利益となるような変更かどうかという質問に対し、記者団に語った。「今大切なのは、原則的に、毅然とした態度で落ち着いていることだ。それが今、我々が行っていることだ」。「欧州委員会とのプロセスは進行中であり、それを予期したくはない」と同政治家は述べた。
「リトアニアはEUとNATOの信頼できるメンバーであり同盟国である。そして、我々は自らの立場を堅持し、EUとNATOの両方の同盟国やパートナーにそのことを伝えている。我々は、自分たちの意見と立場を守っているだけだ」と、付け加えた。
「我々はまだ作業中であり、欧州委員会は文書を作成している。我々は週末に様々な意見を提出する機会を得たが、プロセスは続いている」と、シモンテ リトアニア首相は月曜日(2022年6月27日)に国会で記者団に語った。
「欧州委員会は、我々の見解では非常にあいまいで、さらなる問題を引き起こす文書を送ってきた。我々はこれらの問題について注意を喚起した」と首相は述べた。同首相によると、リトアニアは、EUはクレムリンに屈することなく、侵略者に対して厳しい姿勢を維持すべきであると主張し続けている。「我々の立場は非常にシンプルであり、制裁は実施されなければならないし、いかなる決定もEU自体を損なってはならない」と、議会で記者団に述べた。
EU制裁発効後、リトアニアはカリーニングラードへの鉄鋼および鉄鋼金属の輸送を制限した。担当当局によると、リトアニア当局によるカリーニングラードへの認可品輸送のこの禁止は、2022年の春に規定されたEU制裁に基づくものである。その際、ロシアはカリーニングラードへの通過停止を違法かつ前例のないものと見なし、リトアニア国民全体に影響を及ぼすような対応を取ると脅迫している。EUのヨゼップ・ボレル上級代表は報道陣に対し、リトアニアは一方的な国家的制限を課しておらず、共同体の制裁に従っているだけなので、この非難はプロパガンダに過ぎない(2022年6月20日)と述べた。しかし、海外メディアによると、ブリュッセル(EU委員会)はこの決定の法的側面を再検討することを決定(2022年6月23日のボレル発言)しており、制裁の適用に関してさらなる指導を行う可能性があるという。
(抜粋、一部補足追記終わり)
以上
【240】リトアニア大統領は、EUのボレル上席代表(外務大臣)の制止を振りきって、カリーニングラードへの列車通過禁止措置を継続する、と発表(2022年6月25日)。
かたせ2号です。
リトアニア大統領は、EUのボレル上席代表(外務大臣)の制止を振りきって、カリーニングラードへの列車通過禁止措置を継続する、と発表(2022年6月25日)。
まさか、こう来るとは。。私、かたせ2号の読みが甘かった。
西側の情報配信の会社は(ロイターやAFP)は、その前の、EUのボレルの心変わり(2022年6月23日)を黙殺して配信しなかったので、このリトアニア大統領の最新の動きをいまさら配信できなくなっている。
J_satoさんのツイートから。
https://twitter.com/j_sato/status/1541290092752277510
(引用開始)
リトアニア大統領、リトアニアは例外を認めずロシア本土と飛び地カリーニングラード間の輸送についても自国を通過するものについては経済制裁を適用するとFacebookに書き込み。EUは、ロシアの圧力に屈して経済制裁の例外を作ってはいけないと。
(引用終わり)
かたせ2号です。
上記J_satoさんのツイートで引用のあった、RTサイト(ロシアが本拠)の記事から。
記事名:リトアニア、ロシア飛び地へのトランジットに対する姿勢を明確化
副題:ナウセダ大統領は、カリーニングラードとの間に制裁品のための「回廊」はあり得ないと述べている。
2022年6月26日配信
https://www.rt.com/russia/557833-lithuania-kaliningrad-transit-stance/
(引用開始)
リトアニアは、カリーニングラード地方とロシアの他の地域との間の制裁物資の通過禁止を維持すると、同国のギタナス・ナウセダ大統領は警告した。
「リトアニアがEUの制裁を実施しなければならず、また実施することは絶対に明らかだ」と、ナウセダ大統領は土曜日(2022年6月25日)のフェイスブックに書き込んでいる。
「リトアニアは自国の領土を通過する物品を管理しなければならないし、そうするつもりだ。『回廊』はありえないし、クレムリンの脅しに対抗してロシアを宥めることもできない。私は欧州委員会の委員長に、リトアニアがこの状況をどのように見ているかを明らかにした。」
カリーニングラードは、リトアニアとポーランドに挟まれた小さなロシアの飛び地である。1週間前(2022年6月18日)、リトアニアの国営鉄道会社は、ブリュッセルからの指示を理由に、カリーニングラードとロシアの他の地域との間の制裁物資の輸送を停止した。
EUは2022年2月にロシア機に対して領空を閉鎖したため、カリーニングラード当局に残された唯一の選択肢は、ロシアのバルト海の港を利用した貨物輸送である。
EUは、2022年2月下旬に開始したウクライナでの軍事作戦に対応するため、モスクワに大規模な制裁を課した。
リトアニアのナウセダ大統領は土曜日(2022年6月25日)に、ビリニュスはEUの第4次制限パッケージに従って行動しており、それは「リトアニアの積極的な参加によって」採択されたものだと繰り返した。
EUは先に、ロシア製品の通過を部分的に禁止する動きでリトアニアを支持した。ロシアは、通過の妨害は国際法上違法であると主張し、報復を予告している。
タイムズ紙は木曜日(2022年6月23日)、イタリアなど複数の欧州政府が欧州委員会に危機の打開を要請したと報じた。
リトアニアの欧州議会議員であるペトラス・アウストラヴィシウス氏は金曜日(2022年6月24日)に、無名のEU加盟国(リトアニア)が、制裁対象品のロシア間輸送を認めるよう欧州委員会に提案したと述べた。アウステルヴィシウス議員は、ブリュッセルに対し、「侵略者の圧力に屈し、治外法権の免除や譲歩を作り出さないよう」強く求めた。
クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は、通過を部分的に禁止する決定が覆る可能性があることに希望を示した。「最善を望みつつ、最悪の事態に備えよう。それは我々が常に行っていることだ」と金曜日(2022年6月24日)に記者団に語った。
(引用終わり)
以上
【239】2022年6月23日から25日までにウクライナで起きたことを再現してみる。
かたせ2号です。
(最初に)
この投稿は、ふじむら掲示板[359]「2022年6月23日からウクライナ軍や州知事たちは、ゼレンスキー大統領の判断を通さず、自分たちの判断で行動(撤退)している。」の続きになるので、そちらをまずお読みいただければありがたいです。
(以下、本文)
これまで報道された情報を総合すると、だいたい、ウクライナで、以下のことが起きたと推測できます。
・ウクライナ軍は、セベロドネツクからの撤退を2022年6月23日に独断で決定した。ゼレンスキー大統領の承認をとっていない。しかも、この決定をゼレンスキー大統領サイドに通知していない。
・2022年6月23日・24日にかけて、州知事を中心に、軍は撤退するという内容を、ゼレンスキーサイドを通さずに、独自の手段(テレビやテレグラム)で発信した。
・2022年6月24日、この州知事たちの発言は事実かと報道機関に聞かれたゼレンスキー大統領サイドは、これに応える情報が手元にないため、「ノーコメント」として、お茶を濁すしかなかった。
・2022年6月25日、ロイター通信が「セベロドネツクからの撤退をウクライナ軍が決定」との情報を配信。ただし、ゼレンスキー大統領の許可なく決定した、という情報には触れなくてよい巧妙な表現方法で。これにより、ゼレンスキー大統領サイドは、これが確定した事実であることを確認できた。
・2022年6月25日、セベロドネツクからの撤退を情報に織り込んだ形での、ゼレンスキー大統領からのビデオメッセージを世界に発信することができた。これで、ウクライナのトップとしての格好がついた。ただし、セベロドネツクの状況につき、細かい情報を発信することのできない状況は現在も継続中。
・2022年6月25日、依然として、ゼレンスキー大統領サイドからの戦況情報に頼ることができない(彼らは情報を持っていないから)。ロイター通信は、ゼレンスキー以外のウクライナサイド、およびロシア軍の情報を合わせる形で確認の上、独自の判断で、セベロドネツクからのウクライナ軍が撤退した事実を報道した。戦況についての事実は、ウクライナ軍から情報を直接取得し、それをウクライナの意思として報道している。ここでも、戦況に関する情報がゼレンスキー大統領側に伝わっていない状況は巧妙に伏せられている。
かたせ2号です。
これまでまだご紹介できていなかった、ロイター記事2本を紹介し、その後に解説を加えます。ご参考ください。
ロイター記事から。
記事名:ウクライナ軍、東部の要衝セベロドネツクから撤退指示
2022年6月25日
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-idJPKBN2O6079
(引用開始)
ウクライナ軍は2022年6月24日、東部ルガンスク州の要衝セベロドネツクからの撤退を指示された。さらなる犠牲を防ぎ、部隊を再編制するためとしているが、ロシア側は重要な勝利と位置づけるとみられる。
同市では数週間にわたり激しい市街戦が行われ、化学薬品工場には市民数百人が避難しているが、ウクライナ当局者は、町は激しい損害を受けており、守るべきものはあまり残されていないとしていた。
同州のガイダイ知事は2022年6月24日、すでに部隊に移動命令が出ているとした上で、「ただとどまるという目的のために破壊された地域に何カ月もとどまるのは理にかなわない」とし「撤退せざるを得ない」との見方を示していた。
ウクライナ側にとって、セベロドネツクからの撤退は、2022年5月のマリウポリ陥落以降で最大の損失となる。
(引用終わり)
かたせ2号です。
「ウクライナ軍は2022年6月24日、東部ルガンスク州の要衝セベロドネツクからの撤退を指示された。」とあります。これは、誰が指示したかについて触れていません。なので、たとえ、軍総司令官がゼレンスキー大統領の許可なく、独断で、という場合でも、成り立ちうる表現です。しかし、普通の読者は、「ああ、ゼレンスキー大統領が指示したんだな」と理解するでしょう。そのようなミスリードを狙った表現です。これで、ウクライナ軍の独断による撤退、という情報が隠されます。ロイター通信は、これくらいのことは、平気でします。
ロイター通信から。
記事名:ウクライナ東部セベロドネツクが陥落、ロシアの「完全な占領下」
2022年6月25日配信
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-idJPKBN2O700X
(一部引用開始)
ロシア軍は2022年6月25日、ウクライナ東部ルガンスク州の要衝セベロドネツクを完全に占領した。ロシアとウクライナ双方が確認した。
セベロドネツクのストリュク市長は「今やロシアの完全な占領下にある」と認めた。セベロドネツクの陥落は、南東部の港湾都市マリウポリの先月の占領以降、ロシアにとって最大の勝利となる。
ウクライナは軍をセベロドネツクから引き揚げたことについて、ドネツ川を挟んで対岸に位置する都市リシチャンスクの部隊と合流させ今後のロシア軍への反抗を目指すための「戦術的撤退」と強調。一方、親ロシア派は、ロシア軍が現在リシチャンスクを攻撃中としている。
ゼレンスキー大統領は、セベロドネツクなどこれまでに失った都市を取り戻すと演説。同時に「(戦争が)いつまで続くのか、勝利が見えてくるまでにあとどれだけの犠牲を払わねばならないのか分からない」と述べた。
(一部引用終わり)
かたせ2号です。
記事の最初に、セベロドネツクからウクライナから撤退した事実を「ロシアとウクライナ双方が確認した。」とあります。ゼレンスキー大統領サイドから、撤退した旨の発表が出ないことをロイターはわかっているわけです。だから、ロシアとウクライナ双方が確認、という方法によって、撤退した事実をロイターが勝手に確定させたわけです。
また、「ウクライナは軍をセベロドネツクから引き揚げたことについて、ドネツ川を挟んで対岸に位置する都市リシチャンスクの部隊と合流させ今後のロシア軍への反抗を目指すための「戦術的撤退」と強調。」とあります。この情報は、ウクライナ軍の幹部から直接取材した内容でしょう。ゼレンスキー大統領の判断ではない。
ただし、そうであったとしても、上の表現は決して、ウソをついていることにはなりません。
しかも、この後段に、「ゼレンスキー大統領は、セベロドネツクなどこれまでに失った都市を取り戻すと演説。」という文が控えています。
ここまで読んだ読者は上の「ウクライナは」以下の判断は、ゼレンスキー大統領の了承を得たものと理解するはずです。この記事では、そのようなミスリードを狙っています。以上の流れにより、「戦術的撤退」という判断がゼレンスキー大統領の許可を得たものではなかった事実が巧妙に隠されます。
さすがは、ロイター。見事なものです。
以上