「2065」 ウクライナ戦争の最新分析を掲載します。 2023年6月15日
- HOME
- 「今日のぼやき」広報ページ目次
- 「2065」 ウクライナ戦争の最新分析を掲載します。 2023年6月15日
副島隆彦です。今日は、2023年6月15日です。
ウクライナ戦争の最新の状況について、私が知る限りのことを、分かり易く、現状(戦況)どうなっているのかを書きます。後ろの方にたくさん新聞記事を載せる。それを、ずーっと読んでいくのは大変なことだ。だから、私が、冒頭から要領よく、何が一体、起きているのかを説明する。
佐藤優氏から、彼が6月11日に載せた毎日新聞の「佐藤優のウクライナ戦争の最新分析」がメールで届いた。その分析文と、彼とのメールのやりとりも含めて載せる。
ロシア軍の侵攻状況
みんなも知っているとおり、ウクライナ軍の大反撃(反攻。counter offensive カウンター・オフェンシブという)が、6月4日未明(午前1時頃)から始まった。これらの事実は、時系列で、ずっと後ろの方に載せる新聞記事で確認できる。
戦争というものは、ほとんどの場合、真夜中に、真っ暗なところで行われるのだ。昼間、太陽が照っているところで、人間の殺し合いというのは行われない。ということは、6月4日が明けて昼になって夕方になって、夜が来る。そこまでで、その日の、大きな戦いの最初の1日の結着がついた。
どうやら、ウクライナ軍が大負けしたようだ。なぜなら、攻撃してくるウクライナ軍を待ち構えているロシア軍の方が、ものすごく有利だからだ。
防御(デフェンス)する側に較べて、攻撃(オフェンシヴ)の側は、3倍から、5倍の兵力が必要とされる。これは、軍事学の基本の基本である。
最低、3倍の兵力(突撃部隊の戦力)がないと、攻撃には勝てない。 そうでなければ、攻撃する側に多大の損害が出る。
それで、ずっと下の方に載せる(1)番の、6月5日午前8時のロイターの記事に、ロシア軍の国防省が「敵(ウクライナ軍)は4日未明、南ドネツク方面で、前線5ヶ所で大規模な攻撃を開始した」と発表した。これが全体としての大きな事実だ。
このとき、ウクライナ軍が「6つの機械化部隊(旅団、ブリゲードと2つの戦車部隊(これもブリゲード、旅団)それぞれ4000人ぐらいずつの部隊)で攻撃してきた。
このとき、「ウクライナ軍250人を殺害。16両の戦車と、歩兵戦闘車、21両の装甲戦車を破壊した」と、ロシア国防省が発表した。おそらくこれが真実だろう。このあとも、私が今、この文章を書いている6月15日の午後にも、ウクライナ軍の大反撃(反攻)は続いている。だから、場所によっては、「ウクライナ軍が前進して小さな村を6つ、あるいは7つ占領した」という発表は事実だろう。ということは、その時まで、その村にいたロシア軍(正規軍)は、後ろに引いて、撤退したのだ。
それで、他の記事たちにも必ず出てくるのだが、ウクライナ国防省の発表で、「1.1キロメートルから1.4キロメートルぐらい、我が軍(ウクライナ軍)は前進した」の通りだ。 ここで、その場合の縦(たて)の最戦線(フロント・ライン)の長さが、問題だ。
一旅団による、攻撃の幅は、10キロ、20キロの長さにわたっているとは思えない。ほんの5キロぐらいの長さだと思う。この長さの幅がなかなか分からない。前線(フロント・ライン)の長さと、横の幅というか、その厚み、がなかなか記事を読んでいる人が分からない。
今のウクライナ戦争は、ウクライナの東側で行われているから、横幅のところが、敵味方が前進(アドヴァンス)したり後退(リトリート)するときの距離だ。長い縦の線が、新しい国境線になるというか、ロシア軍が、この1年4か月で占領して支配している地区ということになる。
だから、ウクライナ軍が、盛んに、「わが軍は、1.1キロから1.4キロ前進して、7つの村を占領した」というのは、やっとのことで、ウクライナ軍の最前線の、死ぬ気の覚悟の、歩兵部隊(GI、ジー・アイ ground infantry グラウンド・インファントリー)が、戦車や装甲車(歩兵戦闘車)の支援なしで、突進していった、まさしく、斥候部隊(スカウト・プラツーン scout platoon 大体、一個小隊で12人、士官が一人 )だ。
この斥候部隊が、占領した村で、ウクライナ軍の旗を広げて、歓声を上げている動画が、出ている。それに後続する、突撃部隊の 一個旅団が、ちゃんと、来ているのか、が、問題。どうも、あとから追いついて来ていない。 おそらく、戦車部隊が、ロシア軍の砲撃や、塹壕線(トレンチ・ライン)の落とし穴と地雷線(トリップ・ワイア trip wire )に引っかかって、撃破されたようだ。
さらにそこへ、後方のロシア軍の長距離の榴弾砲(りゅうだんほう)の部隊(バッテリー)からの砲撃で、破壊される。ロシア軍は、航空兵力(対戦車の戦闘爆撃機の出撃 air cover )でも、ウクライナ軍に優(まさ)っている。
次に、6月8日にショイグ国防相が発表した。これが、下の(2)の6月9日のロイターの記事だ。ここでも、ショイグ国防相は「ウクライナ軍が8日午前1時半に、ザポリージャ方面で、防衛戦を突破しようとした。そして、第47独立機械化(キャバルリー)部隊の1500人、武装車両150台にのぼる兵力が破壊された」と発表したうえで、「わが軍(ロシア軍)の砲兵隊と航空部隊(戦闘機のこと)が、対戦車ミサイルで食い止めた」と発表した。このとき、「ウクライナ軍が戦車30両(ドイツ製の「レオパルト」)と、歩兵戦闘車11両(米製の「ブラッドレー」)を失って(撃破されて)、最大350人の兵士が死んだ。」と発表した。
このザポリージャ州は、ウクライナ語では、最近は、ザポロジェのようだ。日本も含めた西側メディアは、この2ヵ月ぐらいで、ザポリージャ原発を、ザポロジェ原発と書くようになった。ここは、ロシア軍が占領して独立を宣言させた4つの州のうちの3つ目だ。ウクライナ南部だ。ただし、ザポリージャの都市は、ずっと北の方に有って、ロシア軍が占領していなくて、ウクライナ側だ。ドニエプル川(今はウクライナ語でトニプロ川と言う)沿いの大きな都市だ。そこから100キロぐらい斜め下に、ザポリージャ原発がある。
ドネツク州の地図
このザポリージャ原発のすぐ南あたりから、ウクライナ軍は、大反撃をして、戦車隊(機構旅団)で、南に向かってメリトーポリという都市を目指している。そこからさらにクリミア半島の方まで、進撃するつもりだ。 ところが、大反撃が始まった3日後には、すでにボロ負けしている。他の記事で、「オレホフという村が、ウクライナ軍に占領された」とある。もう1つ「ロブコボエという村も、占領された」と。だから、ウクライナ軍が勝っているという報道がなされている。だけど、そこは、都市ではなくて、村とか村落で、都市への入り口だ。まだ、都市はどこもウクライナ軍によって、制圧されていない。
私の考えでは、とてもウクライナ軍がクリミア半島の方まで、たった600両の西側(ドイツ製とアメリカ製 )の最新鋭の戦車と、アメリカ製の歩兵戦闘車、その後から、兵員輸送車の「ハンビー」も来るのだろうが、この機械化旅団(ブリゲード)数個で、進撃したからと言って、そんなもので勝てるわけがない、と私は思っている。
なぜ、ウクライナ政府は、こんな無謀な攻撃をするのか。私には今も理解できない。このザポリージャ州での戦いともう1つが、その斜め上の、ドネツク州での戦いだ。どうも、激戦地だったドネツク州の バフムート の南に、4つの小さな都市があって、ここも大反撃の戦場になっている。それで、この(3)の記事を載せる。 ロシア国防省の、コナシェンコフ報道官(中将)の発表だ。
(記事貼り付けはじめ)
(3)「ロシア軍、独製主力戦車「レオパルト」など破壊と発表」
2023年6月12日 ロイター
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-russia-counteroffensive-a-idJPKBN2XY00Q
(画像)6月11日、 ロシア国防省は、過去48時間にドイツ製の主力戦車「レオパルト」少なくとも7両と米国製歩兵戦闘車「ブラッドレー」5台を破壊したと発表した。写真はドネツク州南部で、交戦により破壊されたウクライナ軍のものとされる装甲車。露国防相が10日に公表した動画より(2023年 ロイター)
ロシア国防省は6月11日、過去48時間(副島隆彦注記。と言うことは、9日の未明の1時から)にドイツ製の主力戦車「レオパルト」少なくとも7両と米国製歩兵戦闘車「ブラッドレー」5台を破壊したと発表した。一方、ロシアの軍事ブロガーによると、ウクライナがロシアの防衛線を一時突破したという。
ウクライナのゼレンスキー大統領は6月10日、ロシアへの反転攻勢をすでに開始したことを明らかにした。
ロシア側は、「 過去24時間に主要な3方面でウクライナ軍の攻撃、十数回を撃退し、南部ザポロジエ地方では装甲車列を破壊した」と発表した。
ロイターは、こうした発表の真偽を確認できていないが、ロシアは同地方でウクライナ軍の戦車を無人機で攻撃したとする動画を公開した。
ロシアの軍事ブロガーによると、ウクライナ軍は東部ドネツク州ヴェリカノボシルカ南方でロシアの防衛線の一部を突破し、複数の村を一時的に奪還したという。
(記事貼り付け終わり)
副島隆彦です。ここに載せた写真(画像)が重要だ。これは、ロシア国防省が、6月10日に発表したものだ。ということは、6月9日にこの写真のとおり、ドイツの主力戦車のレオパルト2が7両と、アメリカ製の歩兵戦闘車ブラッドレー5台が破壊されている。この事実は、ウクライナ側も日本国内のテレビ局や新聞社も「これはウソだ」とは反対していない。おそらくこの写真が一番重要だ。
このウクライナ軍の大敗北は6月9日に起きている。おそらく、南ドネツクのマリインカのあたりだろう。ここには、カディーロフ首長が率いる精鋭のチェチェン軍が来ている。
そこから50キロぐらい北がバフムートだ。このようにして、どうもウクライナ軍の大反撃は失敗している。日本語で「飛んで火にいる夏の虫」という言葉がある。攻めてくる敵を待ち構えて、十分に準備している側が、勝つ場合が多い。それを突破して進撃していくのは至難の業だ。どうしてこんなバカなことをウクライナ軍はするのだろう。
プーチン大統領
この直後、プーチン大統領が、6月9日付けで、ソチ(黒海の東沿岸の都市)の会合で、「ウクライナ軍の反攻が始まった。だが、ウクライナ軍はどこの戦闘地域でも目標を達成していない。だが、ウクライナ軍の反攻の試みはまだ続く。ウクライナ政府には、攻撃能力が残っている」と発言した。これは(4)6月10日のAFPの記事である。そして、この現実をウクライナ軍も受け入れて、大反撃(反攻)が始まったことを認めた。
次の(5)の CNNの6月9日11:05 の記事で、「ロシア軍の強固な防御にあってウクライナ軍が苦戦」とアメリカ軍の高官が話した。この(5)の記事にあるとおり、ロシア軍は、対戦車ミサイル(副島隆彦注記。どうも、ロシア軍が大量に鹵獲(ろかく。敵から奪ったもの)した、あの、高性能の「ジャベリン」だろう) や、深く掘った塹壕で防御している。地雷原によって、ウクライナ軍の戦車に大きな損害が出ている」と発表した。
同じとき(6月8日)にロシアの軍事ブロガーが、「ザポリージャ州の小都市オレホフ周辺で、激しい戦闘が起きている」と発信した。さらに(6)の記事の、同日のロイターの6月8日9:29 の記事で、6月6日のこととして、バフムートの近郊(周辺)での攻撃の様子の映像を公開した。
ここで、ウクライナ軍が「この24時間(すなわち6月5、6日)で、最大1100m前進した」と主張している。これは、ウクライナ軍の第3独立強襲(アソールト)旅団が、6月6日に公開した。このことから、バフムートの都市の中には、ウクライナ軍は侵攻していない。バフムートの北側と南側での進撃である。このバフムートに関しては、ウクライナ側は必ず「バフムートの周辺の村を7つ占拠した」と発表している。あくまで「周辺」である。
ということは、ウクライナ軍は、バフムートの市の中には一切、突入していない。バフムートは6月1日までに、プリゴージンが、バフムートを完全制圧(陥落させた)あと、指揮するワグネル(民兵の部隊)は、ロシア正規軍( 国軍。英語では、federal army フェデラル・アーミー)と交代して、ほぼ全員が、ずっと後方に2カ月間の休暇で撤退した。その代わりをロシア正規軍が肩代わりした。
だから、ウクライナ軍もバフムート市街に突入して、もう一度取り戻すなどということはしていない。それをやると大変な損害が自分の方に出ると分かっているからだ。
ここでプリゴージンの写真を貼って彼がロシア正規軍のトップたちに向かって怒っている有名な記事を載せる。
5月5日に、激怒するワグネルの創設者プリゴージン 「砲弾をもっと送れ」と。その背後に、戦死した自軍ワグネルの、兵士たちの死体袋(ボディ・バッグ)が山積みしてあった。死体安置所にした冷蔵倉庫の中だろう。
それは、1か月前の5月5日のものだ。プリゴージンは自分たちワグネルが、10カ月間にわたって(去年の8月から)、突撃して死んだ、兵隊たちの死体の山を築きながら、バフムートの戦いをやった。最後の段階でもウクライナ軍は逃げないで、市街の外れの10階建てぐらいの市営住宅のようなところに、一棟当たり、何カ所かに銃座を据えて攻めてくるワグネル軍を狙撃してたくさん殺した。
それでもようやくやっとのことで、ワグネルはバフムートのすべての市街地(市の境界線)までを完全制圧した(5月20日)。プリゴージンは、一時期、5月5日に「俺たちは、もう撤退する。このままでは自分たちが包囲されてしまう。すなわち、防衛線が、すっぽろ空いてしまっている、バフムートの北と南から、ウクライナ軍に攻め込まれる」とテレグラムで発表した。世界中の人がこの映像を見た。
左からゲラシモフ参謀総長とショイグ国防相
このときプリゴージンが「ショイグ。ゲラシモフ。もっと弾薬を私たちに送れ」と怒鳴っていた。これは歴史に残る大演説である。これが果たして後々(あとあと)、プリゴージンとプーチンが示し合わせてやった大きなバクチの仕掛けだと、いう人はいないだろう。
さすがにワグネルの死んだ兵隊たちの死体が後ろに山積みで、その前でプリゴージンが怒鳴っていたから、歴史の偽造はできない。これらのことは前回、私は書いた。
プリゴージンが怒ったのは、自分たちがいるバフムートの中心街の北と南が、2キロぐらいの幅でポカーンと空いてしまった。すなわちロシア正規軍がバフムート市だけを残して、後ろに後退(退却)したということだ。プリゴージンは、それに怒っていた。自分たちの側面(横っ腹)が両方とも丸裸になったからだ。もし、このときウクライナ軍が一気に南北から攻撃をかけてきたら、ワグネル軍の3万人ぐらいの部隊が全滅していた可能性があった。
しかし、まだウクライナ軍は、大反撃の準備が整わなかった。それで、プリゴージンは空挺部隊の司令官であるスロビキン大将とは仲がいい。このスロビキンは、プリゴージンに一所懸命、弾薬を送った。スロビキンの上は、参謀総長のゲラシモフ(ロシア軍のトップの軍人、最高司令官)だけだ。ショイグ国防相は、軍人としては実際の戦闘経験はないと言われている。閣僚であるから、政府の側で軍を代表する役割だ。ただし国家体制上はプーチン大統領が最高司令官(スープリーム・コマンダー)である。
例えば、歴史的に日本の占領軍で、連合国軍(れんごうこくぐん。連合軍。アライド・フォーシズ allied forces )の最高司令官だったダグラス・マッカーサー大将は、アメリカ国内では極東(ファー・イースト)派遣軍の司令官だ。
ヨーロッパ戦線への派遣軍の最高司令官は、アイゼンハウワー大将だった。アイゼンハウワーは以前、フィリピンでマッカーサーの部下だった。アイゼンハウワー(アイク)の方が後に大統領になった。大統領はトルーマンで、彼が朝鮮戦争の後(1年後の停戦のあと)、マッカーサーの首を切って、アメリカに強制送還させた。
マッカーサーが、満州に中国共産党軍のトップの毛沢東が、長春(日本統治時代は、新京=しんきょう=)に秘密で来ているから、この満州に核兵器(当時は原爆)を落とすべきだ、と発言したものだから、トルーマンが首を切った。第3次世界大戦になるから、という理由で。
しかし、実際には、男と男の意地の張り合いである。マッカーサーにしてみれば、「オレは、ルーズベルト大統領には忠誠を誓ったが、お前の子分ではない」という態度を取った。男と男の意地の張り合いだ。だが、大統領(政治家)の方が、軍人よりも上だ。
これと同じように、国家体制上と軍のトップとの対立は、生まれやすい。政治組織である、連合国側(連合諸国)を、アライド・パウアーズallied powersという。これは大統領や首相たちだ。その下に、軍事組織である、連合軍、アライド・フォーシズの軍人たちがつく(従属する)のである。日本人には、どうも、今も、このことが、なかなか分からないのだ。知識人層でもだ。 政治家の方が軍人より上なのだ。フォース(シズ) forces 、物理力、強制力が、軍事力のことだ。
それに対して、パウアーズ powers が権力、統治力 のことで、国家連合の各国の政治家トップたちからなる国際政治体制だ。これが、そのまま、戦後世界体制である、今の、ニューヨークに本部が有る、the U・N (ザ・ユナイテッド・ネイションズ the United Nations )、×国連 、〇 諸国連合 になったのだ。敗戦国の日本は、1951年の9月に、サンフランシスコ平和条約を結んで、この U.N. に、すごすごと入れてもらったのだ。
それで。ウクライナ軍の大反撃が始まった後、ロシア正規軍はさらに1.1キロ後ろに退却した、ということだ。このことが重要である。すなわち、周到に準備して、ウクライナ軍の突撃隊に攻め込ませて、そこに幅2.5メートルで、底の深い塹壕の線が何十キロにわたって、掘ってあった。そして地雷線も敷いてある。ウクライナ軍の戦車隊(機械化旅団)は、そこに向かって突撃してきた。
歩兵部隊はその塹壕線(トレンチ・ライン trench line ) を突破していっただろうが、重戦車は、そこで引っ掛かった。はじめの方の画像で見せたとおり、どう考えても、その塹壕線が落とし穴になっていて、そこに嵌(は)まって、レオパルト2重戦車とブラッドレー歩兵戦闘車が、20台ぐらいが、穴ぼこに落ちて地雷で吹き飛ばされている。だから、ロシア正規軍の戦い方が、まず自分の方が先に撤退して、敵をおびき寄せる形で、戦闘に成功した。
そしてさらにその後ろ5キロぐらいのところに野戦砲(歴史的には、キャノン砲という)の榴弾砲(りゅうだんほう。砲弾の直径が155ミリだから、15センチだ。これは、歴史的には、ハーウィツアーと呼ぶ。ドイツ人の開発者の名前だ)の部隊がいて、攻めてくるウクライナ軍の戦車部隊を正確に撃破した。軍事スパイ衛星でも敵の位置を正確に発見できる。
このようにして、ウクライナ軍の大反撃は負けた。このあと、6月中までずっと、この大反撃 が続くと私は思わない、もうすぐ、「どうもウクライナ軍の負けだ」という、苦し紛れの、評論や解説が、西側メディア からも出るようになるだろう。それの一番早いのが、この私、副島隆彦の、この評論文だ。
佐藤優氏が、6月12日に毎日新聞に書いた以下の戦争分析の文が大きな観点から冷静に、ものを見ている。「アメリカはウクライナを始めから勝たせようとは思っていない」だ。 それよりはウクライナ人と、ロシア人に、たくさん殺し合いをさせて死なせる。そこへ、アメリカ製の戦車や榴弾砲や対戦車ミサイルの中古品を、たくさんウクライナに送って、消費させる。その代金は日本に払わせる。これでアメリカの軍需産業が儲かって、儲かって仕方がない。これを「ウォー・エコノミー」 war ecnomy 「戦争”刺激”経済」という。
「戦争で自国(アメリカの)経済を刺激し、回復する」という大(だい)政策だ。
私、副島隆彦がずっと、この10年間、自分の金融本で、このウオー・エコノミーを書いてきた。(他の国を戦争させることで)、戦争で自国経済を活性化(刺激する)させる。戦争で景気を回復させる、というやり方である。
それは、2020年の1月から、コロナ・ウイルスと、そのあとのワクチンで大騒ぎして、この3年間、アメリカのビッグ・ファーマー( big pharma 巨大製薬会社)のモデルナや、ファイザーをたっぷり儲けせたことと全く同じだ。スイスの製薬会社のフリをさせているが、本当は裏側はアメリカが握っている。
副島隆彦です。今回のウクライナ軍の、6月4日からの、反攻(大規模反撃 counter offennsive )は、失敗した。ウクライナ政府を背後から嗾(けしか)けている、英と米の政府も、これ以上、無謀に、ウクライナ軍の攻撃部隊が、ロシア軍の砲弾と地雷原の餌食になるのをほったらかし(座視、黙認、傍観)にはしないだろう。アメリカ軍の主力戦車である、「エイブラムズ」が、数十台、ロシア軍の砲弾で破壊されて、無残な映像で全世界に晒(さら)すのは、耐えられないはずだ。
私は、今回のウクライナ軍の大反撃へのロシア軍の用意周到な防御戦は、それは、去年の2月24日から、開戦して、首都キエフに、無謀に、4つの方角から、ロシア軍の最精鋭の空挺部隊(VDV パラトルーパーズ)が、急襲して、そしてボロ負けに負けたことへの、復讐戦だ、と、考える。あのとき、ロシア空挺部隊は、キエフの北のアントノフ空軍基地で、武装ヘリで降り立った800人が全滅した。待ち構えていたのは、アメリカの軍事会社(ワグネルと同じ、傭兵=マーシナリー=の部隊)の アカデミの精鋭たちだった。
それだけではなく、ロシアの空挺部隊が、キエフの南に、大型輸送機のイリューシンで、最低、4機で、降下させるべく出撃して、これらは、どうも、すべて撃墜されている。
それで、おそらく、ロシアの最精鋭のVDVが、合計で、3千人ぐらい死んでいる。
この他にも、ロシア陸軍の最精鋭の 特殊部隊である、スペツナズの部隊も、相当に、やられたようだ。
それ以外に、キエフに向かって幹線道路を一線で真っすぐに、市の東側から一気に突撃して来た、ロシアの戦車隊を、例の携行式の対(たい)戦車ミサイル「ジャベリン」と、バイラクタルB2 というトルコ製のドローンで、待ち伏せ攻撃で次々に破壊されて全滅している。この時期に、ロシア軍の戦車1000台ぐらいを破壊した。それ以外の、兵員輸送車や、トラック部隊の破壊も、おそらく、3000台ぐらいに上(のぼ)っただろう。
あの時、ロシア軍の兵士の死者は、2万人ぐらいで、負傷兵は、その3倍だろう。 そして、ウクライナ軍も、同じぐらい死んでいる。このような冷静な見方をしなければいけない。
緒戦(しょせん。開戦)の時の、あの時の、ロシア軍は、本当に愚かだった。あのだいっ失敗の時に、プーチン以下、ロシア軍の最高指導部が、厳しい表情で、皆、歯を食いしばっていた。 ウクライナ側は、2014年から、ずっと、このロシアのキエフ占領攻撃を、ずっと、手ぐすね引いて、準備して、待ち構えたいた。そして、3月中の首都キエフ周辺での泥沼の戦いのあと、一気に3月末に、撤退(エヴァキュエイション)した。そして主要な兵力を、すべて、東側の、ルハンスク州、ドネツク州、ザポリージャ州、ヘルソン州に、移動させた。
それからは、ロシア軍の防御を中心とした、鈍重(どんじゅう)な、ロシア伝統の、歴史が教えている、重厚な長期戦の構えに変わった。1941年6月からの、ナチス・ドイツ政権の、バルバロッサ作戦(電撃戦。ブリッツクリーグ)による、大進撃での、スターリングラードや、レニングラード(今のサンクト・ペテルブルグ)での、ドイツ軍との激しい市街戦、塹壕戦を含めた、その後のロシア軍の長期戦の態勢である。
以下に佐藤優氏とのメールのやり取りを転載する。
(転載貼り付けはじめ)
2023年6月14日
佐藤優さまへ
副島隆彦から
佐藤さんから 以下の ウクラナイナ戦争の最新の分析と知識 のメールをいただき、ありがとうございます。これを読んで、私は大いに納得しました。私がヤフーのニューズとかで、毎日、読んでいるような、歪んだ愚劣な情報とは全然違います。
以下の佐藤さんの文の「(ヤコブ)・ケドミー氏の見解が事態を正確に予測している・・」のような優れた分析が出来る人は日本には他にいません。 日本で、貴方の存在は今も重要です。元気でいてください。どうもありがとう。そのうちお会いして、また歓談しましょう。 副島隆彦拝
—–Original Message—–
From: 佐藤優 <×××@×××.com>
Sent: Sunday, June 11, 2023 10:36 AM
To: 副島 隆彦
Subject: 御参考:「毎日新聞」政治プレミア「ウクライナの反転攻勢」(仮題)
「毎日新聞」政治プレミア「ウクライナの反転攻勢」(仮題)
佐藤優(作家・元外務省主任分析官)
ウクライナが反転攻勢を始めた。ロシア政府系テレビ「第一チャンネル」は、6月5日の「夕方のニュース」で、戦車を伴うウクライナ軍がドネツク、ザポロジエ、ヘルソンなどの4カ所の突破を試みたが、ロシアの国境警備隊と軍隊が全て撃退したと報じた。
ウクライナ軍の兵員300人以上を殺害、戦車16、装甲車両26、自動車14破壊したという。ドローンで撮影した戦車3輛、装甲車両1輛がミサイルで破壊される瞬間の動画を映した。ウクライナは本件について沈黙している。
6月9日にロシアのプーチン大統領が、10日にウクライナのゼレンスキー大統領がウクライナの反転攻勢が始まったとの認識を示した。
(新聞記事の転載貼り付けはじめ)
ロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は6月10日、領土奪還を目指す反転攻勢について「進行中だ」と初めて明らかにした。ロイター通信が報じた。ゼレンスキー氏は、記者団に「反攻と防衛の作戦が実施されている」と述べた一方、作戦がどの段階かは明かさなかった。英BBCによると、ウクライナ軍は過去数週間にわたり反攻に向けた準備を加速させ、今月5日ごろから露軍占領地域への進入を試みているという。ウクライナ政府はこれまで、反転攻勢の開始を宣言しないと表明していた。
ウクライナの前線では6月9日、南部ザポロジエ州の露軍占領地域で両軍の激しい戦闘が続いた。交戦があったのは、同州中部のオリヒウとトクマクの間で、トクマクは同州の要衝メリトポリなどにつながる拠点という。同州では露軍占領地域に北方から進入し、東西に分断する狙いとみられる。
一方、プーチン露大統領は6月9日、ウクライナ軍の大規模な反転攻勢が「間違いなく始まった」と述べたうえで、「ウクライナ側は戦果を上げていない」と主張。露国防省は、6月9日、砲撃によってウクライナ軍の戦車を相次ぎ破壊したとする映像を公開した。 (9月10日「毎日新聞」電子版)
(新聞記事転載貼り付け終わり)
この戦争の見通しはどうなるのだろうか。筆者(佐藤優)は、イスラエルのロシア専門家ヨッシャ(ヤコブ)・ケドミー氏の見解が、事態を正確に予測していると見ている。
東西冷戦期、米ソ間の大きな懸案となっていたのがソ連からのユダヤ人出国問題だった。ユダヤ人には、学者、技師、作家などが多かったので、ソ連政府はユダヤ人のイスラエルに向けての出国をほとんど認めなかった。そこでイスラエルは「ナティーブ」(ヘブライ語で”道”の意味)という秘密組織を作って、ソ連から秘密裏にユダヤ人が出国することを支援するとともに、欧米でユダヤ人出国問題を政治問題化するように画策した。
ソ連で、「ナティーブ」と連携してユダヤ人の出国問題に取り組んだのが、アンドレイ・サハロフ博士、ナタン・シャランスキー氏(後にイスラエルの政治家)とヨッシャ・ケドミー氏らだった。
ケドミー氏は、KGB(ソ連国家保安委員会)に何度も逮捕された後、1969年にイスラエルへの出国が認められた。イスラエルでケドミー氏は「ナティーブ」に勤務し、92~99年には長官をつとめた。外交官時代、筆者もケドミー氏と親しくし、ロシアに関する貴重な情報を得た。
ケドミー氏は、2014年のマイダン革命以降、ウクライナにネオナチ勢力が台頭していると警鐘を鳴らし、ウクライナ東部でのロシア系住民へのウクライナ政府の弾圧政策を批判した。ロシアのウクライナ侵攻についてもやむを得ないという立場をとっている。ケドミー氏はユダヤ人の世界では有名で、信念を持った反ソ・反共活動家であったと認知されている。
またロシアに阿るような性格の人ではない。ソ連時代、ケドミー―氏の手引きによってウクライナからイスラエルに脱出したユダヤ人も少なからずいる。ゼレンスキー政権はケドミー氏を憎悪すると共に怖れ、制裁対象とし、ウクライナへの入国を禁止している。
国営「ロシア・テレビ」の政治討論番組「ウラジーミル・ソロビヨフとの夕べ」は、ロシア世論に無視できない影響を与えている。6付2日未明のこの放送で、ウクライナの反転攻勢に関する見通しについて議論した際にケドミー氏はこう述べた。
「NATOはロシアとの戦闘を死ぬほど恐れている。同時にNATOは自分たちが負けるとは思っていない。西側がNATOにウクライナを加えることはない。それがロシアとの戦争行為につながると理解しているからだ。
2つの命題≪ウクライナはウクライナで勝利しなくてはならない≫
≪ロシアはウクライナで勝利しなくてはならない≫ を比較してみよう。どのような違いがあるだろうか? ロシアは勝利する可能性があるが、ウクライナが勝利する可能性はない。このことを西側は信じようとしない。西側はウクライナが勝利しない可能性について一度も考えたことがない。いつそれについて考え始めるであろうか? ベトナム戦争の例に即して考えてみよう。毎週、額を机に叩きつけられて、頭蓋が床に叩きつけられ、骨が折れる音が聞こえるようになったときである。」
ウクライナの反転攻勢をロシアが徹底的に撃退しない限り、停戦の基盤は出来ないとケドミー氏は考えているようだ。
筆者もこの戦争についてはケドミー氏と同じく、ロシアが勝利する可能性はあるが、ウクライナが勝利する可能性はないと考えている。最近、ウクライナはロシア領域内でゲリラ攻撃を活発化させているため、ロシアの民間人にも死傷者が発生している。ロシア、ウクライナの民間人、軍人の命がこれ以上失われる状況を放置すべきではない。
西側連合が殺傷能力を持つ武器をウクライナに供給し続ける限り、この戦争は続く。しかし、西側連合で指導的地位を占めるアメリカは、ロシアと直接戦闘状態に入ると、核戦争を誘発し、アメリカが多大な被害を被る怖れが出るため、ウクライナがロシアに対して勝利できる水準の武器を質的にも、量的にも、タイミング的にも供与しない。
このようなアメリカによって「管理された戦争」において、ゼレンスキー大統領が目標として設定する1991年時点の領土をウクライナが回復する可能性はない。この現実を冷静に見据えるべきだ。アメリカの目的はウクライナを勝利させることではなく、ウクライナを用いてロシアを弱体化させることだ。
ウクライナ人とロシア人という東スラブの兄弟民族の殺害を止めさせるべく国際社会が働きかける必要があると筆者は考える。 (2023年6月11日脱稿 佐藤優 )
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。だから、私は、もう何度も書いたが、今のウクライナ戦争は、日露戦争(1904,5年)と全く同じなのだ。
イギリス(大英帝国)はロシア帝国を叩き潰したいけど、極東(東アジア)にまで、英国の軍隊30万人を送ることをしないで、日本人という極東の、何だか真面目な国民を騙して、経済成長させた後、激発させて、ロシアと戦争させた。
そのときにイギリスの中古品の、まあ立派な軍艦をたくさん安い金で、どんどん持たせて、それを日本の連合艦隊と称して、それでロシアのバルチック艦隊と戦争させた。それが日露戦争(1904、5年)だ。
ロシアのバルチック艦隊は、今のヨーロッパの北の海で、ロシアと西側が向かい合う、バルト海から、わざわざずっと2万キロ以上、アフリカの南を回って、インド洋を越して、中国海(南シナ海)から、そして日本海まで入ってウラジオストク港に入ろうとした。もうそのときは、ロシアの艦隊は、燃料の補給もうまくいかず、フラフラ状態だった。質の悪い石炭しか途中で買えなくて、黄色い煙を吐きながら、対馬海峡(つしまかいきょう)で待ち伏せしていた日本海軍に撃滅された。正確な情報は、イギリス軍から来た。
日本海軍の戦艦隊 を本当に指揮していたのは、東郷平八郎元帥や、秋山真之(あきやまさねゆき)作戦参謀ではない。ゴードン大佐というイギリスのエリートの海軍の生え抜きが、実際の戦争の指揮をしていた。こういう大きな歴史の真実を日本人は、さっさと知るべきだ。そのために副島隆彦が、日本を守るために、生まれて来ているのである。
【記事の転載】
(1)「 ロシア、ウクライナの大規模攻撃を阻止 兵士250人殺害=国防省 」
2023年6月5日 ロイター
https://jp.reuters.com/article/russia-ukraine-idJPKBN2XQ0GO
[モスクワ 6月5日 ロイター] – ロシア国防省は5日未明、ウクライナのドネツク州で同国による大規模な攻撃を阻止し、数百人の親ウクライナ部隊を殺害したと発表した。
6月5日、ロシア国防省は、ウクライナ南部ドネツク州でウクライナによる大規模な攻撃を阻止したと発表した。写真は4日、ハリコフ州の前線を警戒するウクライナ兵(2023年 ロイター/Viacheslav Ratynskyi)
同省はウクライナが4日に6つの機械化部隊と2つの戦車部隊で攻勢を開始したと指摘。「敵は4日朝、南ドネツク方面の前線5カ所で大規模な攻撃を開始した」と述べた。
ロイターは発表の真偽を確認できていない。現時点でウクライナ側はコメントしていない。この攻撃がウクライナによる領土奪還に向けた大規模な反転攻勢の開始を意味するかどうかは不明。
ロシア国防省は、「敵は前線で最も脆弱と判断した区域でわれわれの防衛突破を目指したが、任務を果たせず成功しなかった。ウクライナ軍250人を殺害したほか、16両の戦車や歩兵戦闘車、21両の装甲戦闘車を破壊した。攻撃を受けた地域にウクライナ侵攻の総司令官を務めるゲラシモフ参謀総長がいた」とも明らかにした。
ロシア軍が通信アプリ「テレグラム」に投稿した動画では、複数の軍事車両が空から攻撃を受ける様子が確認できる。ウクライナのレズニコフ国防相は6月4日のツイッターへの投稿で、英国のロックバンド「デペッシュ・モード」の1990年の曲「エンジョイ・ザ・サイレンス」の歌詞を引用して「言葉は極めて不必要。害を及ぼすだけ」と投稿したが、真意は明らかではない。
(2)「 ロシア、ウクライナ南部の大規模攻撃でウクライナ軍撃退=国防相 」
2023年6月9日 ロイター
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-russia-counteroffensive-idJPKBN2XU153
ロシアのショイグ国防相は6月8日、侵攻したウクライナの南部ザポロジエ地方で一晩の大規模攻撃によってウクライナ軍を撃退し、大きな損害を与えたと発表した。
ロイターは、ショイグ氏の証言を独自に確認できていない。ウクライナ国防省からも状況について直ちにコメントを得ることはできなかった。ロシアや欧米の関係者の一部は、ウクライナがロシア軍への反攻を今週始めたと示唆していた。ウクライナ政府は公式に認めていない。
ロシアのプーチン大統領の盟友であるショイグ氏は、ロシア軍が南部戦線のウクライナ軍による攻撃を一晩に4回にわたって撃退し、ウクライナ軍は「大きな損害を伴って」撤退を余儀なくされたと言及した。
ショイグ氏は声明で、「ウクライナ軍が8日午前1時半にザポロジエ方面の防衛線を突破しようとし、第47独立機械化部隊の1500人、武装車両は150台に上った。ウクライナ軍はわが軍の偵察部隊によってタイムリーに発見され、わが軍の砲兵隊と航空部隊が対戦車兵器を使って食い止めるための攻撃をした」と主張。
ショイグ氏は、「ウクライナが戦車30両と歩兵戦闘車11台を失い、最大350人の兵士が犠牲になった」と主張した。7日中にウクライナが受けた損害については、さらに高い数字を示した。ロイターはこれらの数値について独自に確認することはできなかった。
(3)「 ロシア軍、独製主力戦車「レオパルト」など破壊と発表 」
2023年6月12日(月) ロイター
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-russia-counteroffensive-a-idJPKBN2XY00Q
写真はドネツク州南部で、交戦により破壊されたウクライナ軍のものとされる装甲車。露国防相が6月10日に公表した動画より(2023年 ロイター)
[モスクワ 11日 ロイター] – ロシア国防省は11日、過去48時間 (副島隆彦注記。 ということは、6月10日だ )にドイツ製の主力戦車「レオパルト」少なくとも7両と米国製歩兵戦闘車「ブラッドレー」5台を破壊したと発表した。一方、ロシアの軍事ブロガーによると、ウクライナがロシアの防衛線を一時突破したという。
ウクライナのゼレンスキー大統領は6月10日、ロシアへの反転攻勢をすでに開始したことを明らかにした。 ロシア側は、過去24時間に主要な3方面でウクライナ軍の攻撃十数回を撃退し、南部ザポロジエ地方では装甲車列を破壊したと発表した。
ロイターは、こうした発表の真偽を確認できていないが、ロシアは同地方でウクライナ軍の戦車を無人機で攻撃したとする動画を公開した。 ロシアの軍事ブロガーによると、ウクライナ軍は東部ドネツク州ヴェリカノボシルカ南方でロシアの防衛線の一部を突破し、複数の村を一時的に奪還したという。
(4)「 ウクライナの反攻「始まった」 プーチン氏 」
2023年6月10日(土) AFP=時事
https://news.yahoo.co.jp/articles/9237bc41b1cffd2f983bdc6c6bb7eced8a91f748
ロシア・ソチで開かれた会合に出席したウラジーミル・プーチン大統領(2023年6月9日撮影)。【翻訳編集】 AFPBB News
【AFP=時事】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は6月9日、ソチの会合に出席して、ウクライナがかねて予告していた反転攻勢を開始したと述べた。 プーチン氏は、ロシア人ジャーナリストがメッセージアプリのテレグラム(Telegram)に投稿したインタビュー動画で、「このウクライナの攻勢が始まったと断言できる。
だが、ウクライナ部隊はどの戦闘地域でも目標を達成していない。これまでの反攻の試みはすべて失敗したが、ウクライナ政権には攻勢の潜在能力がまだ残っている。ロシアの軍上層部は、現状を現実的に評価しており、われわれはこれに基づいて行動する、と述べた」と。 【翻訳編集】 AFPBB News
(5)「 ウクライナ軍、「強固な防御」に苦戦 ロシア軍の戦線への攻撃で損失被る 米当局者」
2023年6月9日11:05 CNN
https://www.cnn.co.jp/usa/35204994.html
ウクライナ軍が同国東部での戦闘で予想を上回るロシア軍の抵抗に遭い、装備と兵士の損失に見舞われていることが分かった。損失はロシア軍の戦線突破を図る最初の攻撃の中で、過去数日のうちに発生した。高位の米当局者2人がCNNに明らかにした。
米当局者1人は、損失を「相当の規模」と説明。米国が供与した耐地雷伏撃防護車両(MRAP)も複数失われたとした。
ウクライナ軍は東部のバフムート周辺で、ロシア軍の複数の部隊を制圧することに成功した。しかし対戦車ミサイルや手榴弾(しゅりゅうだん)、迫撃砲で武装したロシア軍は「強固に抵抗」。深く掘った塹壕(ざんごう)の中で持ちこたえている。地雷原によってウクライナ軍の装甲車両にも大きな損害が出ている。
どちらの米当局者も、これらの損失がウクライナの計画するより広範な反転攻勢に影響を及ぼす見込みはないと述べた。米国並びに西側の当局者らはかねて、当該の反転攻勢には時間がかかると予想。ウクライナ軍の兵員や装備は西側の供与したシステムを含め、高いリスクにさらされることを想定していた。
ロシア国防省は6月7日、「バフムート近くでのウクライナ軍の攻勢は阻止されている。同軍は攻勢の目的を達成できておらず、甚大な損害を被った」としていた。
ロシア政府はしばしば戦場でのウクライナ軍の損失について誇張して伝えるが、ウクライナのゼレンスキー大統領は最近、反転攻勢はウクライナにとって厳しい戦いになると認めていた。米紙ウォールストリート・ジャーナルの取材に対し、ウクライナ軍の前進に伴い「非常に多くの兵士が命を落とすだろう」と述べてもいた。
(6)「 ウクライナ軍、バフムト近郊で「攻勢に転じ最大1100m前進」」映像公開(字幕・7日)
2023年6月8日9:29 ロイター
https://jp.reuters.com/video/watch/idOWjpvC4YSZ7WRZR2NNSOV58L8EAHYJC
ウクライナ軍の第3独立強襲旅団は、6月6日、東部ドネツク州の要衝バフムト近郊で撮影したロシア軍への襲撃の様子だとする映像を公開した。同国軍は7日、バフムト近郊においてこの24時間で最大1100メートル前進したと主張した(ナレーションなし)。
ウクライナ軍の第3独立強襲旅団が、6月6日に公開した映像。東部の要衝バフムト近郊で撮影した、ロシア軍への襲撃の様子だという。
旅団は「M113装甲兵員、M22460ミリ迫撃砲、戦車、航空偵察の連携作業」を行い、その結果ロシア軍を最大1100m押し戻したという。
マリャル国防次官はメッセージングアプリ「テレグラム」で、同地域において「守勢から攻勢に転じた」と述べた。ロイターは、戦況について独自に確認することができなかった。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦拝
このページを印刷する