「1976」 根尾知史のデビュー作『政府が狙う!あなたの個人資産を何があっても守り抜け!!』が発売 2022年1月14日
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SNSI・副島隆彦の学問道場研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)です。今日は2022年1月14日です。
2022年1月28日に根尾知史(ねおともし)氏のデビュー作『政府が狙う!あなたの個人資産を何があっても守り抜け!!』(秀和システム)が発売になります。発売日は少し先の2022年1月28日です。
政府が狙う!あなたの個人資産を何があっても守り抜け!!
根尾氏は私たちの弟子仲間で、豊富な経験を持つ金融コンサルタントです。今回、金融コンサルタントとしての豊富な経験を基にした、財産防衛術をまとめた本が出版の運びとなりました。以下に、監修者のことば、まえがき、目次、あとがきを掲載します。
是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
(貼り付けはじめ)
監修者のことば(副島隆彦)
『政府が狙う!あなたの個人資産を何があっても守り抜け!!』を、私の弟子の根尾知史君が書き上げた。
根尾君は日本の資産家や経営者たちが外国で資産を保全することをサポートするコンサルタントである。彼は多くの資産家、経営者への助言者としての付き合いの中から、目の前の現実の問題で困っている客たち(患者である)が訴えてくる必死の疑問に対応し、解決策(ソルーション)を提示することで優れた専門家になっていった。
まさしく「客に教えられ」た。「お客様が訴えてくる真剣な質問、悩み」こそは、医者も弁護士も、各種の教師たちも、福祉ケアマネージャーたちも、専門家が第一番にするべきことだ。
ここに、日本の小(こ)金持ちたちが抱えている切実な課題に対処する本をまとめることができた。
日本の資産家、経営者たちのために本当に役に立つ、諸外国の現場で、実際に身につけた経験から得た、貴重な情報がたくさん書かれている。これらの知識と情報が、日本人に届けられることは、大変喜ばしいことである。
21ページ以下に、いまからでも、余計な預貯金や株、債券など国内の金融資産(ペーパーマネー)を減らして、世界共通の永遠の実物資産[じつぶつしさん](タンジブル・アセット)である金[きん](ゴールド)に換えて、安全に保管する方法が具体的に書かれている。
31ページ以下に、世界の大(だい)資産家たちが、どのように資産を国際貿易都市にある高級品専用の倉庫や貸金庫で、その売り買いや遺産継承まで行っているのか。その実態を、面白く教えてくれている。
22ページで、こう書かれている。「世界には、高価な美術品や宝飾品、貴金属、さらには、温度や湿度の管理が必要な絵画や高級ワイン、大きなものではヴィンテージもののクラシック・カーまで、〝高級で高価な実物資産〟がある。この高級品貸(かし)金庫を使っている富裕層の人たちは、ふつうの金融資産を信用していない。だから、いろいろなもっと価値の高い実物資産の形で、資産を海外にまで分散して置きたがるのである」という。
世界の大資産家たちは、世界各国の「保税地区」に、実物資産で資産を上手に保存している。
82ページで、これから政府が実行する預金封鎖[よきんふうさ](バンクアカウント・クランプダウン)を回避するための、鋭い対応策が書かれている。
114ページで、いざ外国へ資産を移すときに注意するべきこと。あなたの人生の「出口戦略(でぐちせんりゃく)」が必要であることを訴えている。
「出口戦略(エグジット・ストラテジー exit strategy )」とは、ひと言で言うと「売るか、引き継がせるか」の決断である。いざという時のために「誰に売るか、誰に引き継がせるか」を決めておくべきだ。そのために、日頃から書面に一筆サインだけすればいいようにしておく。そのための手順のノウハウが書かれている。
これからの世界は激しく動く。一体何が起こるか分からない。きっとこのままでは済まない。現金のお金はあっという間に紙切れになる。「やっぱり金(きん)を買うべきだ」という、本書の帯のサブタイトルに至りつく。それを諸外国で実行すべきなのである。
故に、本書の購買を強く推薦する。
2021年12月20日
副島隆彦
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はじめに ―― 今、生き抜くためにどうしても大切なお金について考える
2022年、現在の日本で、資産家層、富裕層は、いまや「金持ち難民」と呼ばれている。本当に、金持ち難民になっている。資産家たちが安心して暮らせる国がないのである。国が、あなたたち金持ちの資産を狙って、税金で奪(うば)いとろうとする。だから、資産を抱えて、諸国をさまようしかなくなっている。もはや「キャピタル・フライト」すなわち、資産の国外避難さえも、難しくなっている。
だがしかし、まだ資産保全の方法は、ある。いまからでも間に合いますよ。資産家たちはすでにこれまでに「タンス預金」や「銀行預金」をやってきた。しかし、もう日本では、自分の資産を守りきれない。国家が、政府が、あなたの資産を奪(うば)い取りにきているからだ。
「国家は国民の福祉(幸福な生活)のためにある」というのは、ウソである。国家は、あなたの生活を守ってくれない。「政府は、国民の幸せのために、国民の皆様が納める税金が必要なのです」というのは、税金を取るための口実である。
「税金」はすべて「悪」である。税金を納めるのは、何か良いことだと思っているのは間違っている。税金は、無理やり国に取られるものなのだ。「増税」「重税」は、国民を苦しめ、国の経済から生気(せいき)を奪いとる。だから、私たちは、常に減税を要求しなければならない。
「いかに、税金の負担を減らすか」という議論をしなければならない。ところが、そんな議論なんかさせてくれない。だから、私たちは自分の資産を国外に移して、守り抜かなければならない。
本当は政府がやるべきことは、「いかに正しく税金を使うか」である。ところが現状は、そうなっていない。政府の税金の取り立ては、金持ち層にとってヒドいことになっている。日本は「重税国家」だ。本来なら、私たちは、「いかに効率よく政府を運営するか。いかに正しく無駄なく、税金を使うか。無駄な歳出を減らして、どれだけ税金をなくせるか」を、国民みんなで議論するべきなのだ。
「資本主義(キャピタリズム)の崩壊が近い」と騒がれて久しい。しかし最近、本当に怪しくなってきた。
経済も金融も、「資本主義(キャピタリズム)」というシステムでできあがっている。すなわち、「お金(資本=キャピタル)」を中心に、世の中は動いている。「お金」を中心に経済活動、商業取引が行われている。もっと簡単に言うと、いまの世の中は「お金中心主義」である。「お金」がないと、不幸なのである。お金がないと必要なものは何も買えない。商品やサービスの交換ができない仕組みになっている。地球上のあらゆる経済活動、金融、貿易、国家の財政までをも動かしている「骨格」である。
何をするにしても、私たちは「お金(すなわち資金、元手[もとで]、資本)」が必要である。「お金」がないと、まず「衣食住」が維持できない。つまり、「お金」がなければ「生きていけない」世の中になっている。だからどうしても、「お金」を得るためになんとか収入を得られる職業、事業、稼業(かぎょう)に、みんな就いている。
これが「資本主義」経済だ。これ以上の、何か高尚(こうしょう)な定義や講釈は要(い)らない。小難しい、偉そうな解説も必要ない。それらは、切りのない議論になってしまう。私たちが毎日行っている、お金の使い方やお金の計算が、最も大切である。
それに対して、「私は、自分は《自給自足》で生きている。私はすべての衣食住を、自分で調達し、自分で作り上げて生きる。誰かに《お金》を支払って手に入れる(購入する)ことはしない。私は、《資本主義》のシステムを、すべて拒否する」
こういう人がいてもいい。実際、いまそうした「自給自足」の生き方、考え方は、静かなブームでもある。
いくら額(ひたい)に汗して、嫌な思いをして働いても、たいしたお金にならない。「お金持ち」は、すでにお金持ちである。親の財産があって、今の自分がいる。そして、自分の力でお金持ちになった人も、2割はいるだろう。
そして、自分で「お金」を稼いでも、どうもこの「お金」そのものの信用が、かなり落ちてきて、怪しくなってきた。私たちが、いくら「お金」をため込んでも、その「お金」の価値そのものがどんどん減っている。これを「インフレ」という。政府がどんどんお金を刷るものだから、お金の量がどんどんふくらんで、「膨張[ぼうちょう](インフレート)」している。だから、その価値はどんどん下がるいっぽうだ。
反対に、通貨(お金)が不足して経済の拡大が制限されることを「デフレ(デフレーション。通貨量の減少。経済の拡大が制限されて不況になること)」という。「デフレ」は、不況なのである。
私たちはまず、生きるために、生活を維持し、何らかの活動や人生の目標を継続させなければいけない。そのために、「お金(元手、資金源、資本、キャピタル)」が必要だ。これが、「資本主義」のシステムである。これが、私たちが逃げることのできない現実の世界だ。お金のシステムは、「感情」や「好き嫌い」ではない。人類は長い年月をかけて、この仕組み
を作り上げたのだ
だから私たちは、自分が持っている「お金」を、しっかりと守り続けなければならない。あなたの資産が、今の政府の異常な資産強奪であるいろいろな種類の「重税」から逃れるための各種の情報を、この本で提供する。この本では、そのための考え方と、具体的な手段をご紹介する。
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『政府が狙う!あなたの個人資産を何があっても守り抜け!!』◆目次
はじめに ―― 今、生き抜くためにどうしても大切なお金について考える 1
監修者のことば(副島隆彦) 9
第1章 あなたの資産をどう守り抜くか 15
やっぱり「金」を買うしかない 16
海外で金(ゴールド)を購入し、海外の高級品貸金庫を利用する 21
オークションは豪華なお芝居(しばい)である 28
外国口座を上手に使いこなす 33
外国の資金も、いざというときは日本で引き出せる 36
外国の高級品貸金庫を日本国内にいながら活用する 40
外国へ資金を送金するのは大変だ 42
外国人の口座情報を交換する「CRS」制度について 48
アメリカが世界に押しつけた「FATCA」という法律 50
どこの国の政府も、外国の富裕層、資産家たちに、自国に来てほしい 52
「プライベート・ジェット」は、究極の資産保全 55
「暗号資産(仮想通貨)」は、資産になるか? 60
「高級品倉庫」は、高級ワインの長期運用をするところ 66
香港の国際金融システムを中国は守り抜く 68
中国の「国債」は、外国人でも購入できる 75
海外の口座で「中国株」を買う、という方法もある 78
第2章 資産保全のために今からできること 81
「個人口座」から「法人口座」へ資金を移すと「預金封鎖」の被害を回避できる! 82
「給付金をデジタル通貨で配る」と言えば、マイナンバー制度は広まる 87
日本の銀行の貸金庫は、セキュリティに問題あり 91
寺田倉庫という、アジアの富裕層も利用する、日本の「高級品貸金庫」について 92
日本国内で金(きん)を買う 103
海外で金を売買する場合 111
「外国への資産分散」を始めるには、人生の「出口戦略」が必要である 114
日本でする「外貨預金」はやめるべきだ 118
第3章 日本人が知らない東南アジアの経済成長の実態 125
タイが先頭を切って外国人客を受け入れ始めた 126
タイ、シンガポールに続いて、マレーシアが外国人客の受け入れを始める 136
マレーシアの「外国人富裕層向け長期滞在ビザ」MM2Hの現状 139
タイで長期滞在のビザを取るには 148
まずは現地へ行って「短期滞在」してみよう 154
「海外不動産」を、ひとつは保有する 163
日本基準で建設された、バンコクの高級コンドミニアム 166
海外タックスヘイヴン事情 171
世界的に厳しくなっている海外の「法人口座」の開設・維持 180
イギリスの伝統的な「タックスヘイヴン」 187
第4章 デジタル法定通貨の世界をどう生き抜くか 193
「デジタル人民元」が北京冬季オリンピックでデビュー 194
世界が中国の「デジタル人民元」を追いかけている 199
「デジタル通貨(暗号通貨、クリプトカレンシー)」はサイバー・スパイ 206
中国政府がいまでも、金地金(ゴールド)を買い増している理由 213
中国人はいまでも金(きん)を買い続けている 220
中国政府が「金地金」を世界中から集める、ある特別なルート 225
「コロナ対策費(コロナマネー)」で大盤振る舞い。その「財源」は? 232
あとがき 241
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あとがき
時代はまさに激動期である。そこに、新型コロナウイルスの「パンデミック危機」が襲いかかった。世界の経済活動は、いっきに凍結された。世界中で、海外渡航がいっせいにできなくなった。
各国の政府は、国民に「外出制限」や「営業規制」を強要し始めた。私は、世界はまさに、
「戦時下」の真っただ中にあるのだ、と考えるしかほかに、この現状を理解することができなかった。まるで、「第3次世界大戦」が、いま目の前で起こっているようだ。
新型コロナ危機が「口実」であるとはいえ、アメリカもヨーロッパも日本も、政府が「無制限」にお金を発行し始めた。これも軍部が政権を奪(うば)いとった時に、同じことをした。「戦費」を、財源もないのにどんどん増刷させた。その結果が「ハイパーインフレ(紙幣の紙クズ化)」と「預金封鎖(よきんふうさ)」であった。
だから、世界中の資産家たちが、慌てて、自分たちの資産を「実物資産(金地金(ゴールド)、高級品、不動産)」に換え始めた。もう彼らは、「金融資産(お金、ペーパーマネー、証券、債券類)」を信用していない。
物(もの)に換えた以上、安全に保管する場所が必要だ。だから時代は、「世界中の保税(ほぜい)地区にある高級品倉庫に、資産を逃がせ」なのである。
欧米日の先進諸国が、合計2800兆円(25兆ドル)という恐ろしい金額の「コロナマネー」を、刷り散らかした。先にも書いたとおり、アメリカの昨年1年間のGDP(国内総生産)21兆ドル(2300兆円)よりも大きい。もうあとは野となれ、である。
欧米の西洋諸国は、「近代資本主義」、「自由主義経済」と「デモクラシー(民主政体)」を人類のなかに築き上げてきた。
そしていま、自分たちの手で、自(みずか)らそれをひっくり返す「グレート・リセット(ご破産[はさん])」をする、と言い出した。
一昨年、2020年のはじめに「新型コロナ危機」が始まってから、やたらと「脱成長(だつせいちょう)」をいう経済学者や評論家が出てきた。
「脱成長」とは、元気のいい、経済成長を続けるアジアや、中東、アフリカ、南米の新興諸国の、成長・発展を押さえつける思想である。
貧しかった国々から、どんどん新しい経済発展が起こることを「阻止する」。人類の「生気を奪い取る」恐ろしいイデオロギー(政治思想、信念)である。
彼らは、新興の国々から、新しい経済拡大と発展が起こることを、どうしても抑(おさ)え込みたいのである。
欧米のグローバル・エリートたち、世界の権力者たち、支配者たちは、そのために「脱成長(degrowth、ディグロウス)」という奇怪なスローガンをぶち上げた。
「おまえたち貧乏な途上国の有色人種たちは、もうこれ以上、経済成長、技術発展などするな。地球の環境が悪くなる。いまの貧しい、無知なレベルのままで、自然と暮らして、幸せで満足していろ」ということである。そのことが、「脱成長」、「SDGs(持続可能な開発)」や「ESG(環境、社会、企業統治)」など、生気のないキャッチフレーズによく表れている。
人間は、元気いっぱいであるべきだ。どんどん成長していいのだ。自分の持てる能力をはばたかせて、どんどん発展していかなければ済まない。そのように生まれついている。
社会や経済の「平等」とか、地球の「環境保護」のために、自分たちが「豊かに成長、発展することを犠牲にせよ、我慢せよ」という。「抑制(よくせい)」することを押しつける経済学が、「脱 成長」の理論なのである。
マレーシアやタイを始め、アジアの新興諸国には、まだまだ「成長」の可能性がある。欧米の西洋白人の権力者たちは、自分たちがさんざん成長、開発し尽くして、戦後の世界的な経済成長の時代を生き抜いてきた。自分たちだけは、いい思いをして高齢化しただけなのだ。
若い経済の生き生きとした、むせぶような高度成長の熱気、有り余(あま)る激しい活力に、辟易(へきえき)しているのだ。
ごちゃごちゃと人口が密集し、子どもをたくさん産み、やかましくて若い元気な東南アジア人、中国人やインド人たち、中南米やアフリカの若者たち、中東のイスラム原理主義に熱狂する若いムスリムたちに、嫌気がさしているのである。
しかし、時代はまさに、新興大国の「ブリックス(BRICS=ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)」や南米、アフリカ、中東、中央アジア、そして東南アジアの若い世代の熱狂が、これからの世界を侵食し、動かしていく。
これが真実である。世界の支配層である欧米白人の権力者たちは、このことに心底、怯(おび)えているのだ。
だから、「脱成長」のキャンペーンで「成長するのはいけないことだ」と、世界の人々を洗脳している。「脱成長」を提唱する学者や評論家たちに、その「自覚」はあるのだろうか。
* * *
私たち日本人は、いまや、地球の裏側から、インターネット上のSNSという新しい通信手段で、アメリカや世界の政治や経済の動きを、リアルタイムで知ることができるようになった。腐りはてた「マスゴミ」である大手の新聞やテレビや雑誌は、もう瀕死(ひんし)状態である。
第1章で書いたとおり、英語という「言葉の壁」さえも、最先端のソフトやアプリ、インターネットで乗り越えられる。「辞書機能」や「自動翻訳」などのおかげで、ずいぶん楽に、英文も読みこなせるようになった。
くだらないテレビの御用学者や評論家たちよりもずっと早く、ライヴで、正確に、刻一刻と変わるアメリカや中国、世界の情勢を知ることができる。情報は、自分で集められる。
このような時代だからこそ、「低成長」に甘んじるべきではない。自分から「脱成長」などと、言うこと自体がおかしい。若いうちにどんどん、活気のある「高成長(高度経済成長)」を続ける、「アジア」へ向かうべきである。アジアがあるユーラシア大陸こそが、世界 の中心となりつつある。
若くて柔軟なうちに、元気なアジアの人々とたくさん交流して、度胸をつけるのがいい。「英語の壁」だって、アジア人どうしの「ブロークン・イングリッシュ」で、すぐに気心が通じるようになる。
若い日本人(ヤング・ジャパニーズ)として、どんどんアジア諸国へ出て行く。その第一歩として、「香港」はとても馴染みやすい国だ。行ってみれば分かる。なおかつ、世界からみた香港は、「中国へのゲートウェイ」である。第1章の後半に書いたとおりだ。国際貿易と国際金融の「ハブ(hub)」である。
高校生や大学生のご子息がいる方々には、いつも私は、このように話す。実際、大学生の子どもと一緒に、香港まで貸金庫や口座の開設に訪れた人もたくさんいる。
それらの子息は、高校や大学の「交換留学」の制度を使って、カナダやオーストラリア、アメリカ、イギリスなど欧米の英語圏へ半年、1年と短期留学をしている学生が多い。そうした子供たちは、親から「おまえは、外国に行っていたんだから、少しは英語を話してみろ。通訳できるか」などと言われる。
本人たちも、欧米の英語に慣れて、少しは会話ができるようになっている。それで、香港
の銀行の窓口で香港人の行員と会話をしてみる。ところが、ぜんぜん通じない。まず、アクセントが強い。独特の聞きなれない言い回しがある。かつ、非常に早口である。この「香港英語」が、まったく聞き取れないのである。
それで、あまりの英会話の通じなさに、「ショック」を受けるのだ。これは、本人たちの英語力のせいではない。問題なのは、香港人の訛(なま)りの強い「香港英語」のせいである。
しかしこれで一念発起(いちねんほっき)して、本気で英語の勉強を始めたお子さんたちが、何人もいた。これが、私がこの仕事をやっていて、本当に嬉しかったことのひとつである。
じっさい、1年後くらいにもう一度、香港やタイ、マレーシアなどへ、私が主催するツアーで戻ってくる。そしてその時には、十分に、香港人の英語としっかりやり取りできるくらいの自信をつけているのだ。
こうした、現場で実際に通じなかった体験が、英語をどうやって勉強したらいいのか、ちょっとした視点や視野、気づき、を与えてくれたのである。
私自身、アメリカに留学していた。帰国して就いた仕事で、香港人と英語でやり取りするようになった。アメリカ英語に慣れていたせいもある。「アメリカ英語」だって、「イギリス英語(クイーンズ・イングリッシュ)」を話すイギリス人が聴けば、「べらんめえ調」の巻き舌、 妙にアクセントが強い、田舎(いなか)の方言のような英語である。
私も最初は、香港人が話す英語を聞き取ることができなかった。しかし、何度も香港人と話しているうちに、そうでないことに気がつく。彼らの英語の発音がおかしいのだ。イントネーションから音の長短や、アクセントのある音節の場所まで、とにかく、ヘンなのである。
香港人が話す英語には、独特のイントネーションや単語のアクセントがある。彼らが話す「広東語(かんとんご)」という、独自の中国語のせいだ。
「広東語」は、中国の標準語である「北京語(普通話(プートンホワ))」とは、まったく違う発音をする。文法や単語も、ところどころ違いがある。漢字は難しい繁体字(はんたいじ)である。
たとえば、「カード・ナンバー」(カード番号)の発音は、「カッナンバー」あるいは「カーナンバー(自動車番号)」にしか聞こえない。ほかにも、たとえば「ウイストゥン」に聞こえるのは、「ウエスタン(western)」のことであった。
分からなかった「香港英語」の発音やイントネーションから、もとの英語の単語を探し出つぶすしかない。比べて確かめて、ひとつひとつ、潰していく。
私は、そのようにして、香港人がしゃべっている「英語」がなんとか分かるようになるまで、1年くらいかかった。
* * *
激動の時代のまっただ中で、先が見えない不安ばかりがつのる。しかし、新しい世界史の幕開けという、新鮮で青天井(あおてんじょう)の、好奇心にあふれる時代でもある。
「日本の外側の世界」を、ゆがみなく見ることができれば、たくさんの可能性が広がっている。日本人は、目の前に広がるアジアの世界へ向かうべきである。
日本は、アメリカとも中国ともバランスを取りながら、ゆったりと立ち回ればいいのだ。日本人はすぐに「長いものに巻かれろ」で、強そうなアメリカの「グローバリスト(地球支配主義者)」や世界のエリート権力者たちに、考えもなく引っぱられていく。ふらふらとついて行く。
私たちは騙(だま)されると、最後は「戦争」に巻き込まれる結果になる。これまでの日本の「戦争」は、政治家も国民もみんなで騙されて、引きずり出されたものばかりだ。歴史をじっくり検証すれば、必ず分かる。
第3章でも書いたとおり、タイとシンガポールが、昨年11月に、外国人旅客を受け入れ始めた。12月からは、オーストラリアやアメリカ、イギリス、イタリアなども観光客を受け入れ始めている。
中東の「保税特区(フリーポート)」であるドバイは、ワクチンを接種していない外国人旅行客も、「PCR検査の陰性証明」だけで受け入れている。それで、シンガポールやヨーロッパの資産家や事業家たちが、どんどんうるさい規制を嫌って、自由でオープンなドバイへ移り住んでいる。この2年間で、世界の富裕層とその資金が集まり続けて、ドバイはすごいことになったようだ。
今春、2月の「北京冬季オリンピック」で、中国政府も少しずつ、外国人の受け入れを再開するだろうと、私は予測している(中国の国会にあたる全人代(せんじんだい)がある3月より後という情報もある)。
中国が動き出せば、周りのアジア諸国は、それに続いてどんどん国境を開いていくだろう。あともう少しの辛抱(しんぼう)である。
だから、どのような「危機」が起きようとも、自分ができるやり方で、自分ができる限りの対策を実行することである。粛々(しゅくしゅく)と、淡々(たんたん)と、しかし着実に慎重に、冷静に、強い決意を持ってこれからも、自分たちの資産を、そして人生を守り抜くべきである。
ふりまわされることなく、自分の頭で考えて、自分がもっている常識の感覚(コモン・センス)を信じる。自分のできる限りで、実際に対策と準備をやってみる。自分で現場まで出かけていって、自分の目で見て、体感する。自分で動いて経験することが、もっとも重要である。
そして、自分にできるだけの備(そな)えをやったら、あとは、それで安心すること。どっしりと構えて、何があってもゆったりと、おおらかに構えて生きるだけである。
* * *
私のような名もない人間が、何とか一冊まとめて、出版することができました。大切なことは、「高尚(こうしょう)な知識」や「政治談義」や「経済評論」ではなく、私にしか書けない、海外の現地の、現場の生(なま)の情報である。と、監修をいただいた副島隆彦先生からも、出版に多大なるご尽力をいただいた小笠原編集長からも、何度も厳しく言われた。
私が、これまでの事業の経験から知り得たことで、私だから書けること、世の中にまだ伝えられていない真実の情報を書くように、指導された。
ご自身の大切な資産を、本気で切実に保全することを考えて悩んでいる方々のために、こ うした情報がどれだけ貴重で、価値があるか。どれだけ、その知識を、読者の皆様の人生の 「備え」「準備」「危機対策」のために役立てていただけるか。このことだけを忘れるな、と厳しく繰り返し、言い聞かされた。
執筆(しっぴつ)というのは、ともすれば勝手に、自分が言いたいこと(書きたいこと)ばかりを、つらつらと語り始めてしまう。そして読み手を見失う。書き手は、読者を置き去りにしてはいけないのである。
私が、この度の、最初の単著の執筆で、気付き、学ぶことができたのはその事でした。
なかなか原稿が仕上がらず、大変なご迷惑をおかけした、秀和システムの小笠原豊樹編集長に、最後に、心より御礼を申し上げます。
2021年12月
根尾知史
●著者問い合わせ先 piaport8@outlook.com
(貼り付け終わり)
(終わり)