「1960」 『コロナ対策経済で大不況に突入する世界』(副島隆彦著、祥伝社)が今月末に発売 2021年10月19日

 SNSI・副島隆彦の学問道場研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)です。今日は2021年10月19日です。
 30日に副島隆彦先生の最新刊『コロナ対策経済で大不況に突入する世界』(祥伝社)が発売されます。

コロナ対策経済で大不況に突入する世界

 新型コロナウイルス(騒ぎ)対策として、世界各国で大型の財政支出(ジャブジャブ・マネー)が昨年から続いている。ジャブジャブ・マネーが続けば、貨幣供給が過剰となり、ハイパーインフレを引き起こす。そうなれば金利が上がり、債券市場が崩れるということにもなる。この理屈が分かっていながら、今のまま続けていくしかないという厳しい状態になっている。『コロナ対策経済で大不況に突入する世界』には、副島先生による最新分析が満載だ。
 以下に、まえがき、目次、あとがきを貼り付る。是非手に取ってお読みください。

(貼り付けはじめ)

 まえがき     副島隆彦

 この本が出るころは、岸田文雄(きしだふみお)政権ができている。自民党は総選挙(衆議院議員選挙、10月31日投票)になんとか勝って公明党との連立政権を続ける。国民はうんざりして飽き飽きしたまま、今の体制が続く。だから岸田内閣は長続きしなくて、また来年次の選挙があるだろう。全国の自民党の党員たち(110万人)の8割ぐらいが河野太郎(こうのたろう)の自民党改革に強く期待した。その波がまた襲ってくるだろう。

 コロナとワクチン騒ぎは、ひと山越した。まだ騒ぎ続けて「ワクチンパスポートがないとお店に入れない」とか「子どもにもワクチンを打つべきだ」と意固地(いこじ)になっている愚(おろ)か者(もの)たちもいる。
 しかし国民の多数は緊急事態宣言解除で「よかった、よかった」と、貧乏くさい近場への旅行を楽しんでいる。いつ外国に飛行機で行けるようになるかはまだ分からない。世界を支配しているディープ・ステイト(陰[かげ]に隠れた政府)は、世界民衆がものすごい数で地球上を移動することを嫌うからだ。

 冒頭からこんなことは書きたくないが、欧米白人の支配層たちは、ヨーロッパにアフリカ諸国や中東のアラブ人たちがワイワイ押し寄せてくるのが死ぬほど嫌なのだ。同じく中南米諸国から、北アメリカ白人地帯にラティノス(ラテン・アメリカ人)が大量に押し寄せるのも嫌なのだ。だからコロナウイルスを作って撒(ま)いたし、さらに凶悪なワクチンを作って人類の削減計画を実行に移している。

 だが地球人口は97億人までしか増えない。現在は78億人である。人口増加は年に4000万人で、増加率がどんどん落ちている。日本などは急激に人口が減っている。政府は少子化対策に本気になっている。一流の若い人口学者( demographer デモグラファー)たちが、先進諸国の急激な人口減少に警告を発している。この本ではこの問題は書かない。

 金融・経済での重大な問題は。今の金融緩和[かんわ](ジャブジャブ・マネー)をやめて、なんとか引き締めに転じたいと米FRBのジェローム・パウエル議長は必死の形相(ぎょうそう)で言っている。ところが、出来(でき)はしないのだ。今のアメリカは引き締め策(テイパリング tapering )に転換することが出来ない。どんなにやりたくても出来ない。P42以下にその証拠となる重要な記事を載せる。

 だからパウエル議長とアメリカ政府そしてヨーロッパも日本もウソつきだ。緩和マネー(コロナ・マネー)も政策金利上げ(ゼロ金利からの脱出)も両方とも出来ない。これを「やる、やる詐欺」とか「する、する詐欺」と言う。政府(権力者たち)というのは悪賢く国民を騙(だま)す。新聞、テレビを動員して「引き締めに転じる、転じる」と大宣伝するが、実際にはしない。金融・経済の専門家たちまで動員して「引き締めて健全財政(タカ派路線)へ」と書かせる。ところがこれはコロナとワクチンと同じ大本営(だいほんえい)発表であって、金融引き締めなんか出来ないしやる気もない。私は騙されない。

 危ないのは各種の債券(ボンド)市場が崩れることである。債券には、政府が出す国債(ナショナル・ボンド。国家の借金証書だ)から始まり、その他に大企業が発行している社債[しゃさい](コーポレット・ボンド)がある。それから、ゴミのような危険なベンチャー・ビジネスの債券(これも社債)を発行して「年率80%の利益が取れます」と謳(うた)っている。これらはハイリスク・ハイリターン債、別名〝ジャンク・ボンド〟(高[こう]リスク債。バクチ金融商品。中国では理財[りざい]商品と言う)である。

 30年前に騒がれたファントラ、特金(とっきん)、転換社債、ワラント債、仕組み債(CDS[シーディーエス]、CDO[シーディーオウ])などの金融サギ商品と同じだ。そして今も性懲りもなく危険な投資信託(ファンド)を大銀行が売っている。これらも債券である。

 今では日銀ETF(イーティーエフ)で、日銀自身が浅(あさ)ましくも見苦しくも、株式市場で大型株(優良株)を買いあさっている。これも債券である。債券と債権の違いが分かりますか?
 これら様々(さまざま)な債券(ボンド)は、金利の動きに支配される。金融市場でバクチを張っている者たちは、今、政策金利が0・2%でも上がることを死ぬほど怖がっている。債券市場に打撃が来るからだ。これらのことをこの本でガンガン説明し続ける。

 これに比べたら、株式などと言うものは、かわいいものだ。株式市場は健全でおとなしい。戦後すぐに流行(はや)った「額縁(がくぶち)ショー」と同じで、薄いベールをまとっただけの裸体の女みたいなものだ。これがストリップショーの始まりである。債券と比べて株式はデパートのショウ・ウインドウと同じだ。立派な商品をキレイキレイに並べている。自分自身で株式投資(株の売買)をやっているだけなら安全である。騙されることがない。巻末に撰(よ)り選(すぐ)りの銘柄を載せた。

 しかし債券は、今や株の100倍の量があって、いつ爆発するか分からない危険な金融市場になっている。お金にまつわる人間世界は穢(きたな)らしい世界だ。これらのことを全部書いて、この本で真実を露(あらわ)にしてみせる。

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目 次
まえがき 副島隆彦の予言
1章  金(きん)、株、為替、債券はこう動く
① 金(きん)の値段
② 株の動き
③ 為替の動き
④ 金利と債権

2章 緩和マネーと危険な債券
■ FRBの「やる、やる詐欺」
■ パウエル議長は船の舵取りを放棄したのか
■ 日銀も緩和マネー政策を続ける
■ 中国「恒大(こうだい)集団」騒ぎの理由は社債にあった
■ 膨張した社債が爆発する
■ 悪魔の投資証券
■ 今度は「債券取り付け騒ぎ」が起きる
■ 中国の不動産市場はどうなっているのか
■ 年収の50倍の物件を買う活力
■ 実勢の市場金利の上昇が怖い
■ MMT理論はベイシック・インカムと同じこと
■ 金融商品は滅んだ
■ 禁止された仮想通貨取引
■ アメリカへ逃げ出した「鉱山主(マイナー)」たち
■「バーゼルの塔」とは何か
■世界を飲み込むデジタル人民元
■NYでは仮想通貨と恒大問題が同時並行

3章 コロナ対策経済の〝副反応〟
■ 新たな大不況の突入点
■ 短期国債、突然増発の謎
■ 世界に溢(あふ)れたコロナの緩和マネー
■ 無制限にお金を発行すれば、やがて行き詰まる
■ ボロクズ債券を買い取る中央銀行
■ コロナ・マネーが不動産市場に流れ込んだ
■ 債券市場が暴落する
■「第二のニクソン・ショック」を指摘した経済学者
■ ドルはどこまで暴落するか
■ パンデミックでインフレを抑える計画的な政策
■ コロナ・ワクチンの正体
■ 1ドル=1円の時代
■ 副島隆彦が見通す未来

4章 解体されるビッグテック
■ IT規制論者の女性法学者が表舞台に登場した理由
■ 膨張し過ぎたビッグテック
■ アメリカが世界を支配する道具
■「中国のテック企業規制は正しい」とバフェット
■ SBI「第4のメガバンク構想」の裏に……
■ ビル・ゲイツに天罰が落ちた
■ エアコン事業に乗り出すイーロン・マスク
■ ジェフ・ベゾスは本当に「宇宙」へ行ったのか
■ 人類は月に行けない
■ 孫正義が迎える危機とは
■ 次の時代のエネルギーの姿

5章 3年後の世界大恐慌に備えよ
■ 世界的な株安を招いた恒大集団の行方
■「借金の天井」で右往左往するアメリカ
■ 金(きん)価格は反転上昇へ
■ では、金をどこに保管すべきか
■ 3年後、金の値段は3倍になる
■ 迫り来る嵐の時代を乗り切るために

巻末特集 短期間で急上昇しそうな
小型株20
あとがき
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     あとがき   副島隆彦 

 10月に入ってコロナの緊急事態宣言が解除された。すると急に世の中の空気 pneuma(ニユーマ))がガラリと変わった。
 コロナウイルスとワクチンの大騒ぎが過ぎ去ったわけでもないのに、人々は、一斉に郊外へ行楽に出かけるようになった。去年の3月からの、コロナ恐怖症の”頭の感染症(伝染病)”が吹き飛んで、せいせいしている。日本の政治も顔ぶれが変わって(本当は何も変わらない)みんな気分がよさそうだ。

 だが、金融・経済の動きには、ちっとも明るさは見られない。株式の動きは、下落、暴落の趨勢[すうせい](トレンド)へ向かっている。私はこの本で、株式の売り買いは健全な金融投資であるが、その周(まわ)りに異常に溢(あふ)れかえって出現している、まるで新型ウイルスのような虚妄(きょもう)の、各種の債券(ボンド)が人間に悪いことをする、と強調して書いた。これから本当に危険なのは、債券(ボンド)市場(マーケツト)崩れによる世界恐慌突入である。 

 bank-run 「バンク・ラン」、 bank running 「バンク・ラニング」すなわち「銀行取り付け騒ぎ ではなくて、これからは、bond running 「ボンド・ラニング」 「債券取り付け騒ぎ」が、世界中で起きるだろう。

 それと中国の「デジタル人民元(レンミンビ)」が先行し、代表されるCBDC[シービーディーシー](中央銀行[セントラル・バンク]デジタル通貨[カレンシー])が、ドル覇権(米ドルによる世界支配体制)を突き崩して、取って代わりそうだ、と、私はこの本で力説した。私たちの生活もスマホ決済(電子マネー)が当たり前になりつつある。

 仮想通貨(暗号資産[クリプト・アセット])特に、ビットコイン を、中国政府が本気で完全に全面禁止にした(9月24日)。このことは、ただちに仮想通貨の敗北、消滅にはならないが、おそらくこれからできる新しい世界通貨体制(ニユー・ワールド・マネーオーダー)の中に、ブロックチェーンの技術とともに取り込まれてゆくだろう。

 それでも、米ドルに代わる新世界通貨体制でも、それを担保し、信用の土台となるのは金(きん)である。いくらテクノロジーが発達しても、人間(人類)は金(ゴールド)とともに生きてゆく。
 
 その他、10月に入ってから急に変化した世界の金融、経済の顔つき(相貌)に、私は慌てふためきながらも、なんとか喰(くら)いついて世界最先端の課題を書き並べることができた。この本も、もう四半世紀を連れ添った祥伝社の岡部康彦氏との二人三脚でできた。記して感謝します。
      2021年10月   副島隆彦

(貼り付け終わり)  (終わり)

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