「1819」 レイチェル・ワイズ主演の映画『否定と肯定(Denial:Holocaust History on Trial)』の話をします(全2回・第2回) 2019年4月10日

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 副島隆彦です。今日は2019年4月10日です。

 レイチェル・ワイズ主演の映画『否定と肯定』の話の2回目です。

 それでは一体何が真実かという話になります。ユダヤ人という連中で全てがそうだと言ってはいけないけれども、ユダヤ人の政治活動家で、自分たちはひどい目に遭ったとわいわい騒ぐ人たちは本当に大うそつきで、もうわあわあ自分たちが話を大きく広げ過ぎてしまったものだから、周りから本当かよと言って疑われているわけです。

 この『否定と肯定』という映画だって、全体としては、ユダヤ人虐殺はあったしガス室で殺されたと言われているけれども、そんなにたくさんの人がいたわけがないというのと、何で殺さなければいけないんだという問題、あと、人数を何百万人にも増やしてしまったということ。そして、自分たちはひどい目に遭ったとわんわん言い過ぎたものだから、ユダヤ人たちも、ああ、しまったと思っているわけです。

 歴史学は学問ですから厳密にやらなければいけないのですが、歴史の真実ということで、ユダヤ人の政治活動家どもは居直るんです。許しがたい連中です。実は今も、イギリス国民の多くはアーヴィングのほうが本当だろうなと思っています。だから、ナチスの収容所での虐殺はなかったということを信じているヨーロッパ人が、2017年の今も、ドイツでもフランスでもイギリスでも恐らく半数を超しています。これは驚くべきことです。

 しかし、それを言ったら人種差別主義者になってしまって、ユダヤ人を敵に回すのかということになってしまいます。ただ、アメリカ合衆国内ではもう8割9割がそう考えています。トランプたちも、いや、そんな大変な大虐殺なんかないんだよと言っています。ユダヤ人を集めて収容所に入れたことは事実だけれども、20万人か30万人が限度だろうということです。

 殺された人たちも実はいますが、ほとんどは、衛生状態が悪過ぎて腸チフスで死んでいます。あとは、ドイツ人だって、周りが戦争でソビエト軍と連合軍に追い詰められていったので、食料がなかったということです。収容所にまともに持ち込んでユダヤ人たちに食べさせる食料も、どんどんぎりぎりまでなかったでしょう。そうすると餓死します。つまり、死んだのはほとんど餓死と腸チフスであって、わざわざガス室で殺す必要がなかったわけです。

 ほかにもいろいろな映画があるけれども、ガス室でお湯のシャワーを浴びているときに、上のほうからもくもくとガスが出てきて、ぎゃあと言ってみんな死んでしまった、そういう描き方をしますが、ガス室で殺す必要がないわけです。最初に言ってしまったものだから、意地でも何でもとにかくそうだったと信じる、これがユダヤ人の本当にいけないところです。


ガス室の内部

 おもしろいのは、アーヴィングはとぼけていますが、それでは何のためにガス室なんかがあったのかということです。ガス室から化学反応物が出て、チクロンB(Cyclon B)が使われていたことはわかりますが、いや、それは虫を殺すための殺虫剤だったということです。この事実も、少しでも化学や薬品学の知識があればほとんどわかることで、あれは殺虫剤です。そんなもので人間を何百人も何千人も何万人も殺せるわけがありません。

 この映画を見て私がびっくりしたのは、それでは何のためにそんなガス室があったのかということですが、腸チフスで死んだ死体にノミとかシラミがたくさんついているので、死体を移動させる前に薫蒸というか虫殺しをしたんだろうと、この歴史学者は言います。私もそうだと思います。

 シャワールームということにして、人間をある部屋の中に入れて、ガス室で殺し、そこから焼却炉のほうに持っていって、死体を燃やしたという言い方があります。ところが、そんな毒ガスなどを使ったら、周りの看守をはじめ、殺人用に使われたチクロンBで死んだ収容所のユダヤ人たちを運んだり処理したりする人も一緒に死んでしまうわけです。その問題をどうするんだと言うと、ユダヤ人たちはもう答えません。


火葬場

 彼らは虐殺だ虐殺だとばかり言い続け、真実は何だという議論をした途端にもうたたきのめされますから、人々は怖がってしまうわけです。キリスト教、ローマ教会、イエズス会と一緒で、自分たちのまずい点を指摘されるともう逆上して、徹底的に、おまえは歴史を修正する気か、真実や事実をねじ曲げる気かとか言って、ぎゃあぎゃあわめき出すわけです。どっちが真実だよという話になります。

 この映画でもおもしろいのは、ミック・ジャクソンは映画監督といってもテレビのルポルタージュ作品が多い人で、事実を描こうとします。ところが、当時の偵察飛行機が写した四つの穴があることになっているのに、空から写した、アウシュヴィッツのガス室と言われている建物の上に穴はなかった、だからホロコーストはなかったという記事を新聞記者たちが書きました。それが1996年の裁判でわっと騒がれたようです。穴はなかったんだからホロコーストもなかったんだ、虐殺もなかったんだということです。

 この裁判は1996年に起こされたけれども、始まったのは2000年1月11日で、32日間ほぼ連続で裁判をやって、4月11日には判決が出ました。これは、たったの3カ月、ちょうどぴったり3カ月で終わらせている小さな民事裁判です。

 裁判官はロード(Lord)と言っていましたから、やはり貴族です。新聞記者たちも扇情的にというかセンセーショナルに、いや、この老教授の言っていることのほうがどうも事実だろうみたいな感じで、ロンドンのタブロイド新聞を含めて報じています。高級紙は絶対書かなかったと思いますが、低級紙というか、大衆向けの新聞などはわいわいはやし立てました。ですからイギリス人はみんな、うんうん、そんなガス室なんかあるわけないじゃないか、人間を殺したわけがないだろうと思っています。イギリス人どころか、みんなわかっているんです。しかし、今でも、それを言うとえらいことになります。これが、今のヨーロッパ、アメリカです。

 アーヴィングは弁護士を雇わず、自分で弁論しています。自分の日記帳を全部公開すると言って、訴えられたほうの弁護士たちが彼の日記帳を全部読みます。その中に、アーヴィングがドイツのネオナチの集会で演説しているシーンが出てきます。それで、おまえはヒトラー礼賛主義者だとかネオナチだとか言われます。

 それは激しい演説ですが、とりわけヒトラーを賛美して自分もどうこうではなく、そんなにドイツ人やナチス政権がひどいことをしたわけではないという立場で演説しています。それが歴史学者としてのアーヴィングの信念です。

 イギリスにもイギリス独立党(UK Independence Party)とかイギリス国民党(British National Party)という名前の、ナチス・ドイツを割と擁護する団体などがずっとありました。ノーベル文学賞をもらったカズオ・イシグロ(Kazuo Ishiguro、1954年-)の小説に、実在の人物で、イギリスの伯爵か何かですが、ドイツのナチス政権を応援して肩を持った人物が出てきます。確かに戦争の前まで、イギリスには、ナチス・ドイツ支持団体や政党がありました。しかし、今はそれもあまりしゃべらないことになっています。


カズオ・イシグロ

 日本でいえば笹川良一みたいな感じです。笹川良一は自分で飛行機を操縦して、ムッソリーニに会いに行ったり、ヒトラーに会いに行ったりしています。そして、国粋大衆党というので、300人や400人の若者たちに黒シャツを着せて、斜めに手を挙げさせて、銀座の大通りでヒトラー式の行進をさせています。

 歴史の真実とは何かを追求するのが歴史学です。私は、恐らくこのアーヴィングのほうが正しいと思います。

 このパンフレットの一番後ろに、女優のレイチェル・ワイズと本物の女教授リップシュタットが載っていますが、この女がまたブスで、スカーフだけしています。当時していたスカーフを、レイチェル・ワイズが自分も同じものをしたとか言うんですが、このブスの女の横に女優が立っていて、もう本当に情けないというか。それで、レイチェル・ワイズもこのブスの女教授になるべく近い感じの演技をしたみたいなことを書いていますが、この2人が並んでいるのを見ると、あーあでもうがっかりします。


デボラ・リップシュタット(右)とレイチェル・ワイズ

 女にブスと言ってはいけませんが、何だかこの程度のばかな女が、アメリカでは、何か人権問題、人種問題、黒人守れ、世界中の被差別見守り運動をやっていて、リベラル派の人間たちというのは本当に薄っぺらなやつらです。しかし、こいつらが大手を振って何だか世界の正義の味方みたいに今でもやっているわけです。トランプ大統領が出現したので、かなり彼らはずっこけておかしくなってきました。ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton、1947年-)派の女、黒人、南米人、イスラム教徒を人権差別するなみたいな連中のほうがもう今は肩身が狭くなっています。


ヒラリー・クリントン

 フランスにも何人か重要なHolocaust denierの知識人がいますが、今日はその話はもうしません。同様の人たちはドイツにもいて、裁判にかけられたりしています。フランスやドイツでは、政府から裁判にかけられています。ヨーロッパ人たちの中にはぶつぶつ言う人たちがいますが、アメリカでは、普通の人たちはこの問題についてもうしゃべらないことになっているのではないでしょうか。

 アメリカには今3億人の人口がいますが、800万人ぐらいはユダヤ系と言われています。しかし、クローゼットジュー(Closet Jews)といって、本当はユダヤ系の血が入っているけれども自分は普通の白人だというふりをしている人たちまで入れると、2000万人ぐらいいます。ヒラリー・クリントンもシカゴのWASPということになっているけれども、ユダヤ系が入っているんでしょう。そうでなければ、大統領夫人になった後、ニューヨーク州選出の上院議員になれませんから。

 彼らは本当に悪い連中で、日本国内でも、こんな大虐殺はなかったんだと言う人もいます。ただ、ユダヤ人を人種差別で収容所に入れた事実はありますから、死んでいる事実もあります。しかし、多くとも10万人か20万人なのに、それを300万人から600万人にふやしてしまった。そういうばかなことをするなというのが副島隆彦の主張です。

 この問題になると、ユダヤ人の人権団体はもう意固地になります。発狂状態に入っているのはおまえたちだと、私はユダヤ人の被差別糾弾団体に対して怒ります。ただ怒ります。もうあきれ返ります。しかし、政治・思想分析をやる専門家である副島隆彦にとっては、こういう映画でちらちらと真実が漏れ伝わってくることはいいことです。

 私としては、イギリスの裁判所は古臭いので、裁判官がかつらをかぶっていて、ばかみたいです。でもこいつがおもしろいことを途中で言ったので、みんなで啞然としました。アーヴィングは信念を持ってナチス政権の肩を持っているんだ、学問的な信念を持って研究してきた人の信念そのものを裁判所としては否定したりすることはできないんだという言い方をして、女教授弁護側はぽかんとなります。


イギリスの判事の服装

 信念に基づいてやってきた学問を裁判所が否定できないんだという議論はおもしろい。それでも、最後の段階では、この裁判官も、イギリスあるいはヨーロッパの体面という意味で、ナチス・ドイツのユダヤ人虐殺がなかったなどということを言うと体制派である自分たちとしてはまずいということがよくわかっているので、この老学者アーヴィングのほうを負けさせます。

 ところが、おもしろいのはこの最後のシーンです。何だか知らないけれども、ユダヤ人団体からのお金がたくさん集まってきます。それで、はっきりと、スティーブン・スピルバーグ(Steven Spielberg、1946年-)が裁判の費用を支援したとか、エリ・ヴィーゼル(Elie Wiesel、1928- 2016年)とかいろいろな人たちからお金がたくさん集まって、最後には女教授を勝たせるようにしたわけです。


スティーブン・スピルバーグ


エリ・ヴィーゼル

 映画の中で、女教授が夜中のロンドンでジョギングしている途中、見るとコンビニエンスストアの前あたりにタブロイド新聞があって、その表紙で彼女が非難されています。これは、ぱっぱっぱと、もう1秒も映されません。つまり、イギリス庶民の感覚としては、ホロコーストなんかなかっただろう、ユダヤ人どもはあまり騒ぐなよ、俺たちに間違った考えを押しつけるなよという感じがちらっちらっとこの映画の中に出てくるところがおもしろかったです。

 あと、裁判の仕方で、この女教授に一切証言をさせなかったことです。証言させてわあわあしゃべらせるとまずいと、きっと思ったんでしょう。真実は、イギリスの裁判所の威張りくさっている弁護士たちから見たら、田舎者の女教授の裁判は私たちがかわりに闘って勝訴してあげるけれどもという感じです。実は、その程度の扱いです。

 あとは、腕に焼きごてで入れ墨を入れられた、収容所にいた女の人たちが、私たちに証言させてくれと言って出てくるシーンもありますが、これがまたわざとらしい。それでそういう何か立派な映画につくり上げているけれども、何かばからしいという感じです。私としてはもうその程度です。

 ユダヤ人側の証人で出た人たちの名前がこのパンフレットで一覧表になっているのが、私にとっては大事です。ただ、この人たちの名前を読み上げたからといって、もうわかりません。歴史学者たちがずらずらと並んでいます。

 かつ、このHolocaust denierのアーヴィングのほうを応援しているケヴィン・マクドナルド(Kevin MacDonald、1944年-)という、カリフォルニア州立大学の心理学教授と、サー・ジョン・キーガン(Sir John Keegan、1934 -2012年)という、王立陸軍士官学校元教授で、『デイリー・テレグラフ』の論説委員、あと、ドナルド・キャメロン・ワット(Donald Cameron Watt、1928-2014年)という、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)の国際歴史学教授、この3人はアーヴィング教授の肩を持っています。

 ですから、がっぷり四つも何も、事実はどうだったんだ問題を日本人もそろそろ知ったほうがいいし、デーブ・スペクターみたいなばかやろうの、シカゴ・ユダヤ人のとんでもないワルの、イスラエルの手先みたいな男をのさばらせてはいけないのに、日本のテレビ局はもうそっちに屈服しています。日本における代表的Holocaust denierとして、副島隆彦は闘い続けます。ただ、誰にも相手にされませんから、訴えられることもないし、いつものとおりぽかんと生きています、ということです。

(終わり)

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