「1784」 副島隆彦先生の最新刊『「トランプ暴落」前夜』(祥伝社、2018年11月1日発売)をご紹介いたします 2018年10月28日
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SNSI・副島隆彦の学問道場の古村治彦です。今日は2018年10月28日です。
本日は、副島先生の最新刊『「トランプ暴落」前夜』(祥伝社、2018年11月1日発売)をご紹介いたします。
2018年10月12日に日米の株式市場が大幅な下落を起こしました。それ以降も下落が続いています。以下のグラフにある通りです。
日経平均株価の動き(2018年5月から10月まで)
(https://www.macrotrends.net/2593/nikkei-225-index-historical-chart-dataから)
アメリカ株価の動き(2018年5月から10月まで)
(https://finance.yahoo.com/chart/%5EGSPCから)
一方、市場の「不安感」を示す恐怖指数(Volatility Index)は上昇しています。
恐怖指数の動き(2018年8月から10月まで)
(https://finance.yahoo.com/quote/%5EVIX?p=^VIX&.tsrc=fin-srchから)
今回ご紹介する副島先生の最新刊『「トランプ暴落」前夜』は、今年の11月の刊行のために、9月から準備が始まりました。副島先生は今年11月の株式下落(本格的な下落は2019年から)を予測しながらの準備でしたが、まさにそのようなことが起きつつあります。
副島先生は、ずばり、「本格的な世界規模の大恐慌は2024年に起こる」と予言しています。2024年というのは、現在のトランプ大統領が2期目も当選しての最終年となります。ここまでに、アメリカ、ヨーロッパ、日本で万策尽き、どうしようもなくなり、最後は「あとは野となれ山となれ」となり、株式の大暴落が起き、世界規模の大恐慌となると副島先生は書いています。そこまでは、暴落と回復が続くと見ています。
直近のことで言えば、2018年10月中旬から株価の下落が続いています。これは、日米の長期金利(国債利回り)が跳ね上がったことが原因です。以下のグラフにある通りです。国債の金利が上がるということは、それだけ高い金利をつけないと国債を買ってくれる人や団体がないということです。国債の人気がなくなる(不安が大きくなる)ということは、その国の財政に対しての不安感が高まるということです。ここ
なぜアメリカと日本で国債利回りが上昇しているのか、それは、日米、そしてEU(ヨーロッパ中央銀行)がどれほどの国債を発行しているか分からない、隠された政府債務の財政赤字がどんどん膨らんでいる、ということが少しずつ市場にばれつつあるからだ、と副島先生は書いています。アメリカ国債の金利がこのまま上昇していくと、米ドルの信用力が落ち、これが世界的な信用不安につながり、世界規模での株価の下落につながります。
トランプ大統領は何とかアメリカ経済を持たせて、自分を大統領に当選させた、ラストベルトの白人労働者たちのための政策を行おうとしています。今回の株価の下落は、国債の利回りの上昇が引き起こしたものですが、それを何とか抑えて、今年11月6日の中間選挙での勝利を目指しています。そして、2020年の大統領選挙で当選し、二期目を迎え(アメリカ大統領は二期以上はできない)、やがて万策尽きてしまう、その後は恐慌が起きるというシナリオを副島先生は書いています。
私が驚いたのは第3章「2024年の大恐慌に向けて世界はこう動く」と第4章「金[きん](ゴールド)とドルの戦いは続く」で紹介されている、中国とロシアの動きです。中国は現在、トランプ大統領からの高関税政策、貿易戦争を仕掛けられています。これについては、『「トランプ暴落」前夜』第2章「アメリカ『貿易戦争』の正体」で詳しく書かれています。一言で言えば、トランプ大統領はアメリカの白人労働者のために、中国製品の競争力を削ぎ、政府には関税収入をもたらす(年間18兆円の増収)ために、高関税政策を採用することになったということです。
中国ももちろん負けてはいません。保有するアメリカ国債を売るという最終手段こそ取りませんが、他に対抗手段を講じようとしています。報復関税も対抗手段ですが、それ以外にもっと意外な方法を取っているようです。これは、副島先生が見抜いたものです。
今年7月11日、中国の王岐山国家副主席(習近平国家主席の親友にして側近)がラーム・エマニュエル・シカゴ市長(バラク・オバマ大統領の大統領首席補佐官を務めた)が会見し、翌12日、王岐山は、アメリカのテスラ・モータースの創業者であるイーロン・マスクと会見を持ちました。
中国は、アメリカ国内でいじめられているイーロン・マスクに救いの手を差し伸べ、かつ、次の2020年のアメリカ大統領選挙で、民主党の有力候補になり得るラーム・エマニュエル(バックにはミッシェル・オバマ前大統領夫人[ファースト・レディー])を取り込んで、バランスを取ろうとしています。このような中国の動きは、アメリカ国内の動きをよく観察し、分析しているものだと感心させられるものです。そして、このことを見破った副島先生の慧眼もさすがということになります。
ロシアは保有しているアメリカ国債を売却し、金(ゴールド)を購入し保有しているようです。『「トランプ暴落」前夜』には、ロシアのアメリカ国債保有量についての情報が以下のように掲載されています。ロシアはアメリカ国債を保有することで、いざという時に、アメリカにアメリカ国債を抑えられてしまうことを懸念して、金を保有するようにしているということです。これはリスクヘッジとして当然の動きです。日本はずっとアメリカ国債を保有し続けねばなりません。
このようなロシアの当然の動きに対して、アメリカは報復的に金の値段を下げさせているということです。以下にグラフを掲載します。このようなけたぐり合いをすることが国際関係ということになります。
米中露に関しては、「新ヤルタ体制」「ヤルタ2.0」で世界を動かしていくことになります。アメリカのトランプ大統領が「アメリカ・ファースト」「アイソレーショニズム」=国内問題優先主義で、アメリカ国民のために動くことに対して、中露はリスクヘッジするような動きを見せています。これは、アメリカ、ヨーロッパ、日本の信用不安(国債に対する信頼の低下)から起きるであろう世界恐慌に向けた準備の動きのようにも見えます。
本書『「トランプ暴落」前夜』には、今後の経済の動きを考える上で重要な情報や分析が多く書かれています。副島先生はいつものように、甘い考えや見通しでは、自分の財産を守ることはできない、ということを書いています。以下にまえがき、目次、あとがきを掲載いたします。ぜひ手にとってご覧ください。よろしくお願いいたします。
(貼り付けはじめ)
まえがき
嵐の前の静けさである。
本は、その最初に一番重要なことを書かなければいけない。それは結論でもある。アメリカの大学の論文の書き方指導(ライテイング)では、「一番大事なことを頭(あたま)に書きなさい」と教える。だから私も、この本の初めを大事なことから書いて読者に伝える。
年内は、株価も他の金融市場も大きくは崩れない。年明けの2019年1月から崩れるだろう。それでもまだ大した株の崩れ、大暴落ではない。その次の年の2020年が米大統領選挙の年である。その翌年、2021年が危ない。
そして、その先、今から6年後の2024年に、株価が大暴落を起こして、世界は大恐慌に突入するだろう。その年に、日本でも預金封鎖(よきんふうさ)が断行される。
前のP3の表に、これらのことを書いた。今後の世界の動きを、このように予言(予測)して私が作成した年表である。今年(2018年)から10年後の2027年までを、この表で時系列に並べている。
なぜ私が2024年を大恐慌突入の年とする、と決めたか。
それはアメリカのドナルド・トランプ大統領が、この年に任期を終えるからだ。2024年は、トランプの2期目4年の最後の年である。このときトランプは、もうすべての方策が尽きて、どうしようもなくなる。このころからヨーロッパ諸国を初めとして、世界中で金融危機が起こる。先進国の諸国の財政が破綻(はたん)し、崩壊してゆく。当然、日本もこれに含まれる。
トランプは1期目4年の終わりの年である、今から2年後の2020年11月の大統領選挙に勝つだろう。そして次の4年(2期目)を務(つと)める。そのときには、トランプは「もう俺は好きなようにやる」と居直る。それでも次から次へと起こる難事、難題を処理することだけで手一杯となる。攻めの政治(それまでに蓄[たくわ]えた政治資源に頼る)が、もうできなくなって、守りの政治になる。トランプはボロボロになって、2024年になると「俺はもう知らん。どうにでもなれ」と責任を回避する。その次の大統領が誰になるか、まだ分からない。だが誰が次の大統領になっても、アメリカの国力の大きな低下と衰退は止められない。
〝リーマン・ショック〟から10年である。
あのときは深く仕組まれていたとおり、ジョージ・ブッシュ(アホ息子のほう)大統領の最後の年であり、黒人のバラク・オバマが大統領として現われた。それが〝9・15リーマン・ショック〟の始まりであり、大統領選挙はその2カ月後の11月3日であった。
これらの動きは大きく仕組まれているのだ。私は当時、このことを予言(予測)して当てた。知っている人は、みんな知っている。
まさにあのときと同じように、次の時代の大きな図式がつくられてゆく。その年が2024年である。
トランプは2期8年で、それ以上はもう出られない(任期は2025年1月まで)。「あとは野となれ山となれ」”Après(アプレ) moi(モワ), le(ル) deluge(デリユージユ)” である。
トランプなりには、あれこれ努力して頑張った、となる。
それでもアメリカ帝国は、もうどうにもならない状況に落ち込んでゆく。
「だけど俺は、大(だい)戦争(ラージ・ウォー)だけはしなかったからな」というのが、最大の言い訳となるだろう。トランプは根(ね)っからの商売人であるから、なんとかかんとか諸外国を虐(いじ)めまくって、世界中から資金を奪い取り、自国民(アメリカ国民)の利益になるように、最大限の人気取りの政治をやり続ける。これが「アメリカ・ファースト!」 America First! 自国民優先主義である(× アメリカ第一主義は誤訳。意味不明)。
「(諸)外国のことなんか知ったことか。俺はアメリカだけの大統領だ」
それでも。
アメリカ政府(アメリカ財務省とF(エフ)R(アール)B(ビー))が秘密で抱え込んでいる、裏(うら)帳簿(オフ・ブック off book )の財政赤字が、どうしようもないくらいに巨額(60兆ドル 6600兆円)になっている。連邦(れんぽう)政府(Federal[フエデラル] Government[ガヴアメント] ワシントンの中央政府)の分だけで、これだけある。他に50州と40の大都市の分が隠れている。それと、健康保険と年金だ。これらの真実が外側に露出し露見して、巨大な危機が起きるだろう。同じ先進国であるヨーロッパ(EU[イーユー])のほうがもっとヒドい。
日本だって同じだ。日本政府も同じく、アメリカへの巨額な貢(みつ)ぎ金(上納金[じょうのうきん]。すでに1400兆円)を含めた隠れ財政赤字が原因で、大きな経済変動が発生する。それはもはや従来のような金融危機ではなく、財政危機(ファイナンシャル・クライシス financial crisis )である。
もしかしたら、それは財政崩壊(ほうかい)(ファイナンシャル・カタストロフィ financial catastrophe )にまで至る。これは、アメリカの巨額の隠れ財政赤字を元凶とする、世界的な大恐慌突入と軌(き)を一(いつ)にしたものとなるだろう。それまで、あと6年である。
私はこれまでどおり、金融予言者としての自覚と自信を持って、自分の人生で残り最後の大きな知識・言論の闘いを推(お)し進めてゆく。私の言うこと(書くこと)に耳を傾(かたむ)けてくれる人たちでいい。本気で自分の財産(金融資産)を守りたいと思う人は、私の主張に注目してください。
副島隆彦
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まえがき
1章 2019年の「トランプ暴落」
●今の株高は人工的に吊り上げられている
●なぜ私は〝リーマン・ショック〟と〝オバマ当選〟を当てたか
●米ドル基軸通貨体制の終わり
●跳ね上がった日米の長期金利(国債利回り)
●恐ろしいジャンク・ボンド市場
●政府の〝秘密〟が金融市場に伝わった
●「引き金(トリガー)」を引くのはどこだ
●世界的財政崩壊の時限爆弾
●〝食べられないお金〟とは何か
●米、中、ロの〝3帝会談〟が開かれる
●NYダウと日経平均は、いつ連動して落ちるのか
2章 アメリカ「貿易戦争」の正体
●中国からの輸入品すべてに25%の関税をかけると18兆円の増収
●「米国債売却」か「人民元切り上げ」か
●アメリカの「資本収支」は黒字である
●もめていた「NAFTA(ナフタ)」(北米自由貿易協定)
●2国間交渉に持ち込むトランプの「本当の目的」とは
●日本車の対米輸出は、これからどうなるのか
●「アメリカ・ファースト!」は「アメリカ国内優先主義」だ
●兵器購入と引き替えの追加関税回避
3章 2024年の大恐慌に向けて
世界はこう動く
●トランプ自身が認めた、アメリカの大借金問題
●「高関税はスゲー」
●エネルギー計画に示された「推定50兆ドル」の隠された真実
●「50兆ドル分の埋蔵エネルギー」は、政府債務60兆ドルの「反対勘定」だ
●6大IT銘柄の異常な株高現象
●新興国の債券暴落は、どれほど危険なのか
●公的マネー(GPIFと日銀)が日本の株価を吊り上げている
●ヘッジファンドが仕掛ける空売り
●イーロン・マスク(テスラ)は、なぜ中国に飛んだのか
●日本と中国が電気自動車で組む
●ZOZO前澤友作社長とイーロン・マスク
●ラーム・エマニュエル(シカゴ市長)と前大統領夫人の秘密
●2024年までを見越した動きが始まっている
4章 金(きん)(ゴールド)とドルの戦いは続く
●戦争が起きてもおかしくはなかった
●やがて新しい時代の金融秩序が誕生する
●日銀は長期金利の上昇を容認したのか
●ロシアの米国債売却vs.アメリカ政府
副島隆彦の特別コラム
仮想通貨への投資は危ない
5章 近づく国家財政破綻
●世界金融危機の再来――〝リーマン・ショック〟の当事者が発言したこと
●あの投資家が「政府債務が原因の金融危機」を警告
●ノーベル賞候補の日本人経済学者も「危ない」と言った
●日銀は緩和マネーの供給を止められない
●アメリカは長期国債を超(ヽ)長期債に秘密で〝洗い替え〟している
●日本は衰退しつつある
●危険な金融商品に手を出してはいけない
あとがき
巻末特集
産業廃棄物と都市鉱山
推奨銘柄25
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あとがき
本文で書き忘れたことを、最後に書く。この本の英文書名である「トランプ・カタストロフィ」 Trump Catastrophe の由来について、である。
迫り来つつある今度の経済危機(エコノミツク・クライシス)は、単なる金融危機(ファイナンシャル・クライシス)では済まない。今度襲いかかってくる危機は、各国政府の財政破綻、崩壊(ファイナンシャル・カタストロフィ)を原因とする、資本主義の全般的な危機、である。
今度は、もう1929年の大恐慌( The Great Depression グレイト・デプレッション)のようなデプレッション(恐慌)では済まない。だから、カタストロフィ(崩壊)である。
1980年代の、アメリカの不況は、レーガン不況 Reagan(レーガン) Recession(リセツシヨン) で済んだ。当時のロナルド・レーガン政権は、サプライサイド改善政策(ポリシー)(減税と緊縮財政)で乗り切れる、と思って失敗した。だがビル・クリントン政権(1992年から)のときに、大(だい)景気回復を達成した。ポール・ボルカーFRB議長が、悪性のインフレ退(たい)治(じ)の高金利政策(実に、なんとFFレート=短期金利19%まで行った)をして、劇薬を呑ませて、アメリカ国民を苦しめて、それで達成した。
今はデフレから脱出するために、年率2%のインフレを待望しているのだ。隔世の感がある。
日本はアメリカにまんまと嵌(は)められて、1993年から25年間も続く慢性不況(デプレッション)で、ずっと不景気(リセツシヨン)に国民が苦しんでいる。今も地獄だ。
カタストロフィ理論は、たしか1970年代末に、フランスの文明論者のルネ・トム René F. Thom が唱えた。これをイギリス人でオックスフォード大学教授のクリストファー・ズィーマン Christopher Zeeman が増幅した。
日本の人口は、このあと22年後には2000万人減って1億人になる。今の1億2700万人が、2040年には、1億700万人になる(国立社会保障・人口問題研究所)。これでは、まったく元気が出ない。
まったくヒドい国になったものだ、の慨嘆(がいたん)しか出ない。国民はしっかりしているのに。指導者(政治家)が粗悪なのだ。彼らはこの責任を自覚しない。
最後に。この本も祥伝社書籍出版部の岡部康彦氏にお世話になった。7月、8月の熱暑と、9月の暴風雨を乗り切って、できた。
2018年10月
副島隆彦
(貼り付け終わり)
よろしくお願いいたします。
(終わり)
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