「1563」 『再発する世界連鎖暴落 貧困に沈む日本』(副島隆彦著、祥伝社、2015年10月30日)が発売となります。古村治彦筆 2015年10月29日
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SNSI・副島隆彦を囲む会研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)です。今日は2015年10月29日です。
今回は、今月末から書店に並び始める、副島隆彦先生の最新刊『再発する世界連鎖暴落 貧困に沈む日本』(祥伝社、2015年10月30日)を皆様にご紹介いたします。祥伝社から発売される副島先生の「エコノグローバリスト(Econo-Globalists)」シリーズの第18弾となります。
『再発する世界連鎖暴落 貧困に沈む日本』
安倍晋三首相は、9月に安保法制を成立させ、その後、政策の重点を経済に移しました。それまでのアベノミクスの柱である「三本の矢(大胆な金融政策・機動的な財政政策・投資を喚起する成長戦略)」が一定の成果を収めたので、「新・三本の矢(希望を生み出す強い経済・夢を紡ぐ子育て支援・安心につながる社会保障)」へと移行すると発表しました。
「新・三本の矢」を発表する安倍晋三首相
それで安倍政権の経済政策(アベノミクス)の結果はどうかというと、良い話は聞きません。掛け声倒れです。副島先生の最新刊『再発する世界連鎖暴落 貧困に沈む日本』でも詳しく書かれている、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、日本国民の大事な年金の原資を株式市場に突っ込んで、株高を演出しましたが、2015年7月から9日の短期間で結局大きな損失を出しています。以下に貼り付けた記事では損失額は約8兆円、一説には10兆円とも言われています。
(新聞記事転載貼り付けはじめ)
●「年金7兆9000億円、運用損で消えていた 証券アナリストが試算」
The Huffington Post | 執筆者:Kosuke Takahashi
投稿日: 2015年10月23日
http://www.huffingtonpost.jp/2015/10/23/pension-huge-loss_n_8366208.html
140兆円を超える公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2015年7-9月期の年金運用損失が、約7兆9000億円に上っていることが大手証券会社のアナリストの試算でわかった。世界的な株安が年金運用損を膨らませた格好だ。
野村証券の西川昌宏チーフ財政アナリストが10月23日、ハフポスト日本版の取材に対し、試算を明らかにした。それによると、GPIFの7-9月期の運用損は、国内株が約4兆3000億円、海外株が約3兆7000億円などとなった。この間、TOPIXは13.4%、日経平均は14%それぞれ下落した。
このため、四半期ごとでは、リーマン・ショックの影響が大きかった2008年10-12月期(損失額約5兆7000億円)を大きく上回る損失額となる見込みだ。GPIFは、厚生年金と国民年金の積立金をマーケットで運用している。
株高が追い風となった2014年度のGPIF全体の収益額は、過去最高の15兆2922億円を記録し、収益率は12.3%に達していた。
資産全体に占める国内株と海外株の割合は2015年3月末時点で、それぞれ22%、20.9%だったが、株高を受け、同年6月末時点ではそれぞれ23.4%、22.3%に引き上げられていた。7-9月期の大幅な運用損は、この株式比率の引き上げの影響をもろに受けた格好だ。
GPIFによる公的年金の運用問題を追及している、民主党の山井和則衆院議員は23日、ハフポスト日本版の取材に対し、「国民の年金保険料をこのようなリスクにさらすのは大問題だ。実態経済以上に、官製相場で株価を無理に上げてきたツケが回ってきている」と話した。山井議員によると、GPIFは11月末に7-9月期の運用実績を発表する予定。
(新聞記事転載貼り付け終わり)
また、インフレ(物価高)が進む中で、それに賃金の伸びがついていかないために、生活は苦しくなっています。以下の記事にあるように、実質賃金は24か月連続のマイナスで、給料が上がらないのに、物価だけが上がっている、という状態です。
(新聞記事転載貼りつけはじめ)
●「やっぱり嘘だった 「実質賃金」確報値は24カ月連続マイナスに」
日刊ゲンダイ 2015年6月19日
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/160954
ほらみたことか。「経済が回復し始めた」なんて大ウソだったわけだ。
厚生労働省が18日発表した4月の毎月勤労統計調査の確報によると、実質賃金指数は前年同月比0.1%減となった。
2日に発表された速報値は0.1%増で、13年4月以来2年ぶりに賃金が物価を上回って上昇した、とされたが、確報値は24カ月連続のマイナスに修正された。
厚労省は、「確報は速報よりも調査対象に含まれるパート労働者の比率が高く、賃金の平均水準を押し下げた」なんて説明しているようだが、そんなコトは今回に限ったことじゃない。言い訳は明らかだ。
それにしても、速報を受けて「アベノミクスの成果だ」「賃上げ効果が出てきた」なんて大ハシャギだった安倍政権の「御用メディア」もいい面の皮だ。
(新聞記事転載貼りつけ終わり)
このように安倍政権の勇ましい掛け声とは裏腹に、経済の実態は酷いものです。副島先生の最新刊では、日本全体が貧しくなっている、その実態と原因、そこから導き出される「冷酷な近未来予測」を余すところなく、詳しく書いています。
以下に、まえがき、もくじ、あとがきを掲載します。参考にしていただき、是非ご購入いただけますようによろしくお願い申し上げます。
『再発する世界連鎖暴落 貧困に沈む日本』
(貼りつけはじめ)
まえがき
これからまだまだ株の連鎖暴落は起きる。
今年の8月24日から始まった世界的な株の連鎖した暴落は、投資家たちの肝(きも)を冷やした。NY(ニユーヨーク)ダウは1日で1082ドル落ちた。9月2日にも1000ドル下げた。1万5000ドル少しまで落ちた。
この煽(あお)りを受けて、日本株も733円安の暴落が起きた。今も1万8000円どころか1万7000円の攻防戦をやっている。あの8月24日に、日経平均の先物夜間取引で1万7160円(瞬間の最安値)が出現した。ということは、これからは1万6000円台、1万5000円台の株安が続く。9月29日には1万7000円を割った(1万6901円)。
世界的に連鎖する株暴落が、断続的にこの秋もずっと続く。さあ、そしてこれからどうなるか、だ。
私は1年前に『官製(かんせい)相場(そうば)の暴落が始まる』(2014年11月、祥伝社)を書いた人間だ。政府が自ら率先して法律違反の相場操縦(マーケツト・マニピユレーシヨン)で、官製相場を仕組んでいる。その〝主役〟はGPIF(ジーピーアイエフ)(年金積立金管(かん)理(り)運用(うんよう)独立行政法人)と、共済年金とゆうちょ・かんぽ資金と日銀ETF(イーティエフ)の「5頭のクジラ」たちである。本文のP96で詳述する。
「官製(かんせい)相場」は流行語になった。そこら中で皆が使った。「官製相場なんだってね」と。
この本で、私は「官製株バブルで投資家や経営者たちを浮かれ騒がせておいて、消費税の追加増税のあと、2015年に日本株が暴落する。ニューヨークでも株式の暴落が起きる。無理やりつくったNYダウ平均株価1万7000ドル台は、1万5000ドル台まで落ちるだろう」。
このように書いた。今、まさしくこのとおりになった。そしてこのあと、さらに起きるのは、「世界連鎖暴落の再発」である。私のこの予測を批判したり否定したりできる人間は、もういないはずだ。あんなに強気だった者たちまでが、今はもうダンマリを決め込んで、浮かぬ顔をしている。……だが今さら、「また暴落が来ますね」とは、とても言えない。自分に対して恥である。
アベノミクス礼賛(らいさん)で、「安倍(あべ)首相よ、もっと株価を上げてくれよー。2万500円どころか2万5000円にしてくれよー」と、夢と願望で縋(すが)りついていた個人投資家たちは青ざめて、今や投資の含み損を抱えてオロオロしている。私が「気をつけなさいよ、またハシゴを外(はず)されますよ」と書いてきたとおりではないか。こういう時は「言わんこっちゃない」とか、「ほら見たことか」とか、「だから言っただろう」という。これらの日本語がピタリと当てはまる。
副島隆彦(そえじまたかひこ)
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目 次
まえがき
1章 世界連鎖暴落が再発する
●金融危機の先にあるものは何か
●今ここで〝損切り〟をすべきだ
●私が投資家たちに言ったこと
2章 これからこうなる!
個人資産を守り抜くための金融予測
これからの株の動き 急落と吊り上げを繰り返す
●GPIFの損失(評価損)は10兆円
●アメリカには、株価上昇のための資金もない
円・ドル相場はどうなるか 1ドル=120円で変わらず
●米(ドル)、欧(ユーロ)、日(円)の〝固定相場〟の秘密
金(きん)のこれからの値段 いつ、いくらが買い時か
●1オンス(約31グラム)=1150ドルの攻防戦が続いている
次はダイヤモンドで資産保全せよ
●バブル期の日本人が持ち込んだダイヤモンドが、外国に流出している
3章 GPIF(ジーピーアイエフ)〝年金バクチ〟の失敗
●バクチに向かない役人が株に手を出して失敗した
●「中国発の恐慌」に青ざめる世界
●「針のむしろ」のイエレンFRB議長
●9月2日、私は「GPIFの2000億円投入」を予測した
●株を2000億円分買ったのは「4頭のクジラ」
●年金の半分が吹き飛ぶだろう
●GPIFは、ますます日本株を買い上げる
●日本郵政グループ3社の株式上場をどう見るか
●あのNTT株の暴落を思い出せ
副島隆彦の特別インタビュー
現役ファンド・マネージャー2人が語る
「リーマン・ショック直前と似てきた」
■株式市場に逆襲されたGPIF
■深刻な内部対立が始まった
■GPIF運用委員会のトップと敵対する人物とは
■マーケットでの運用経験がない「最高投資責任者」
■政府の内部でも「対立」が発生した
■ロボット・トレーディングが市場を破壊する
■HFTの「フラッシュ・クラッシュ」は、こうして起きる
■第二のリーマン・ショック、そして大きな戦争(ラージ・ウオー)へ
4章 新たなる恐慌前夜
●5頭目のクジラ、日銀が株を買い支える
●空売りをする個人投資家たち
●トヨタの株価で日本経済の全体像が分かる
●ネット・バブル企業の錬金術vs実需でモノをつくって日本を支える会社
●なぜアップルの時価総額と売上げは喰い違うのか
●民間から米政府に回った「毒」がはじける
●世界大恐慌の震源地はコンピュータによる長高速度取引だ
●「中国が米国債を売ったらしい」
●投資家たちが先行きに不安を感じている証拠
5章 貧困に沈む日本
●アメリカの累積債務問題で、ベイナー下院議長は泣いた
●また〝黒田バズーカ〟80兆円が炸裂(さくれつ)する
●もう「Q(キユー)E(イー)4」は許されない
●先進諸国の余剰品が新興諸国を強くする
●なぜ誰も「日本は貧乏になっている」と言わないのか
●金(きん)の値決めで手を組んだイギリスと中国
●いよいよ金融抑圧(ファイナンシャル・サプレッション)が始まった
●ユーラシアの時代と有効需要
あとがき
巻末付録
「どん底値」で買う! 優良銘柄36
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あとがき
この本の前のほうで書いたが、あのサブプライムローン崩れ(2007年8月)、リーマン・ショック(2008年9月)から8年が経(た)った。いよいよ次の大きな危機が迫っている。
「なーに。株価はまた上がるよ。安倍政権がなんとかしてくれるさ」と強気、楽観で押してゆく投資家、資産家たちがたくさんいることだろう。私は、衆(しゆう)寡(か)敵せず、多(た)勢(ぜい)に無(ぶ)勢(ぜい)で、彼ら体制寄り権力者側の人々からは、ずっと敬遠されてきた。
しかし、金融・経済の近(きん)未(み)来(らい)予(よ)測(そく)は、数(かず)の力では決まらない。未来予測は「議論すべきこと」ではなくて予測(予言)が当たるか、否(いな)か、だ。大きな世界の動き、政治の動きを見据(みす)えながら、質の高い金融予測をした者が勝つ。
私は自分の本の読者たちに、これまで損をさせていない。「注意してください。用心しなさい、また騙(だま)されますよ」と、厳(きび)しいイヤなことばかり書いてきた。夢、希望、願望で言論人をやってこなかったからだ。大きな処(ところ)で予測を外(はず)していない。だから私の信用(クレディビリティ)は今も続いている。
そして、この本の前作である『官製相場の暴落が始まる』(2014年11月刊)のとおりになった。さあ、いよいよ強気(ブル)派(株価は再上昇する)と、私のような弱気(ベア)派(再発する世界連鎖暴落)の決戦の時が近づいている。このことは「議論すべきこと」ではない。どっちの予測が当たるか、だ。
この本も祥伝社書籍出版部の岡部康彦部長との二人三脚であった。思わぬ伏兵(ふくへい)は二人の体調崩れであった。相(そう)場(ば)(市場)も人間と同じで体調を崩すのだ。記して感謝します。
2015年11月
副島隆彦
(貼りつけ終わり)
(終わり)
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