「1560」番  今のアメリカ政治の真の焦点である、「ベンガジ事件」での下院の特別委員会を、ヒラリーはなんとか 乗り切る。そして、シリアでのサリン爆弾の真犯人たちのこと。 2015.10.15 副島隆彦  緊急で冒頭加筆します。 10月16日 副島隆彦  

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副島隆彦です。 今日は、10月16日です。 以下の文を、私は、昨日(15日)に書いたのですが、アメリカ政治に緊急事態 (政変)が、ここ数日で起きたようだ。

どうも、絶対に、何が何でも、ヒラリーを大統領にする、という戦争勢力、軍事凶暴派が、団結して、隠されて実行されるクーデターのような攻撃が仕掛けられたようだ。 これを、「宮廷革命」と政治歴史学用語ではいう。国民には全く知られないように、静かに「夜の軍隊(ナイト・アーミー)」が動く。政治(政府)が乗っ取られる。2012年の年末の、日本の安倍政権の誕生も、隠微なクーデター(国民政治の乗っ取り)だった。


第1回目の討論会の時のヒラリー

米下院の 特別委員会である、ベンガジ事件調査の委員会で、ヒラリーが今にも、証言することになっていた。 これが消えている。 米下院の老練な議員たちで、マッカーシー議員( 院内総務。マジョリティ・リーダー )が、数日前に、真っ青な顔をして、テレビに出てきた。「自分は、もう 下院議長(ハウス・スピーカー)にはならない」と 発言した。このマッカーシーが、先日、辞任を発表したジョン・ベイナー議長(共に共和党。議会で多数派)の後釜(あとがま)になると決まっていたのだ。


ケヴィン・マッカーシー

それから、ヒラリーを喚問(かんもん)、召喚(しょうかん)していた、米下院のベンガジ事件特別委員会の ガウディ委員長が、突然、発言停止状態になった。 ヒラリー攻撃の急先鋒だったのに。「お前ら、もう、いい加減にしろ。それ以上、政治の裏側の真実を暴いたら、皆殺しにしてやる」という恐ろしい力が、アメリカ政治に襲いかかったのだ。


トレイ・ガウディ委員長

ガウディとヒラリー

そして、どうも、ジョー・バイデン副大統領が、大統領選挙に出ることが、昨日、突然、取りやめになったようだ。  あれほど, ” Joe Go,Joe ” 「ジョー、ゴウ、ジョー」 「出ろ、出ろ、ジョー(バイデン)」の掛け声が、アメリカ国民の中から、上がっていたのに。 オバマ自身が、数日前に公然と、「自分の副大統領は素晴らしい業績を上げた、能力のある人物だ」と支持表明した、というのに。

おそらく、共和党の人気者の、ドナルド・トランプ(アメリカの下層白人たちの星)も、急激に、発言力が、低下して、おどおどとした態度に、来週からなるだろう。もう、大口(ビッグ・マウス)を叩いて、アメリカ民衆の本音を代弁する、という ”アメリカ名物の 下から吹き上げる怒れる民衆政治(ポピュリズム 、populism )” を実行できなくなる.

今、大きな、暴力的な力が、なりふり構わず、アメリカ政治に急激にのしかかっている。それは、すべて、凶暴なヒラリーを頭(あたま)に立てて、再来年から、世界を、第三次世界大戦(ザ・サード・ワールド・ウォー the Third World war )に持ち込もうとする、勢力の仕業だ。そうしないと、アメリカは、今の世界支配、世界覇権(ヘジェモニー)を維持できないからだ 。 今の金融崩壊(ファイナンシャル・クライシス)前夜のアメリカを生き延びさせることはできないからだ。

私たちは、この事態に鋭く注目し、深く憂慮すべきだ。  副島隆彦は、以上、緊急で自分が気づいたことをここに書いて日本国民に知らせました。  2015年10月16日 冒頭への加筆 終わり。

副島隆彦拝

***********

副島隆彦です。 今日は、2015年10月15日です。

来年11月のアメリカ大統領選挙へ向けての、アメリカ政治の動きについては、いよいよ 民主党内は、ヒラリー とバイデン(もうすぐ立候補する)の一騎打ちになりつつある。国務長官の時のヒラリーが、違法個人使用メールの中で、相当の犯罪行為に加担してきたことの証拠が出てきた。


ヒラリー・クリントンとジョー・バイデン

それを、「ベンガジ事件(ヒラリーの子飼いだった、クリス・スティーブンスリビア大使が、カダフィ殺しへの報復で、一年後の2012年9月11日に、ベンガジで裸体で引き釣り回されて死亡。CIAと米特殊部隊のウラ資金調達の最高責任者。ヒラリーは、そのネット映像を見て、ゲロを吐いて倒れた )の下院特別委員会」で、共和党の議員たちが、激しい追及をする構えだ。だが、それを押しつぶす、アメリカ政界の動きが起きている。


引きずり回されるクリス・スティーブンス

おそらく、カダフィ(2011年10月20日)を惨殺して、政権を崩壊させ、リビアの国家資金をすべて、ヒラリーたちが奪い取って、これを資金にして、おそらく200億ドル(2.4兆円)ぐらいを作って、それで、今のIS「イスラム国」の凶暴な傭兵部隊(ナーシナリー)の軍事組織を作ったのだろう。

私は、2年前から、バイデン副大統領が出てくる、と何冊かの本で書いてきた。バイデン(CFR派)が、大統領になっても、アメリカは戦争をするときはする。「恐ろしい時代の恐ろしい女たちの(台頭する)時代」の基本構造も変わらない。

今日は、私が、重たい掲示板の方に、一週間前の10月8日に書いた文章

重たい掲示板 [1823] もう日本は貧乏国だ。 それと 世界の最新の重大な動き。ロシアのシリア空爆が世界戦争に繋(つな)がるだろう。 投稿者:副島隆彦 投稿日:2015-10-08 12:23:31

を補足する意味で、以下に長々と 、去年、2014年10月14日の、重たい掲示板に載せた文を、こちらに載せる。 重要な文章だからだ。その前提として、現在、ロシアが、シリアのIS「イスラム国」を、空爆している最新の記事から載せる。

副島隆彦拝

(転載貼り付け始め)

●「シリア空爆:IS軍事施設など86カ所 最大規模の攻撃」

2015年10月13日  共同通信、毎日新聞
http://mainichi.jp/select/news/20151014k0000m030170000c.html

ロシア国防省は13日、シリアで続けている空爆で、12日から13日にかけ
て過激派組織「イスラム国」(IS)の軍事施設など86カ所を 爆撃機で攻撃
したと発表した。9月30日の空爆開始以降で最大規模の攻撃とみられる。

ロシアのプーチン大統領は13日、シリア情勢の正常化に向けた米露対話を進
めるため、メドベージェフ首相がトップを務める代表団の派遣を 米国に提案し
たことを明らかにした。米側からの回答はまだないという。

13日の空爆対象はISが首都と位置付ける北部ラッカのほか、中部ハマ、北
西部のイドリブ、ラタキア、北部アレッポの各地域としている。

一方、イラク連邦議会の有力議員が13日、ロイター通信に明らかにしたとこ
ろによると、イラク軍がISに対し、ロシア主導で設立された情 報センターの
支援を受けた空爆を開始した。情報センターはロシアとイラン、シリア、イラク
の4カ国がバグダッドに設置した。(共同)

(転載貼り付け終わり)



シリアの地図とロシア軍の空爆

副島隆彦です。

それでは、去年の10月14日に私が重たい掲示板に書いた文の主要部分を、こちらに再掲載します。注意深く読んでください。

(転載貼り付け始め)

重たい掲示板  [1690]私の次に出る本のこと。および、去年のシリアでのサリン・ガス撒(ま)きの事件
の真実

投稿者:副島隆彦
投稿日:2014-10-14 01:18:20

副島隆彦です。 今日は、2014年10月14日です。

(冒頭部分は 大幅に、省略)

以上で、今日のお知らせを終わりにしようと思ったのですが、どうしても書いておきたいことがあったので、以下に、長々と、新聞記事をたくさん転載します。

それは、昨年の2013年の4月に、シリアの首都ダマスカスの近くで、サリン兵器が撒かれた。それで1300人とかの現地のシリア人が死んだ。


サリン攻撃による死者たち

その犯人は、シリア政府(バシャール・アサド政権)だ、とされた。しかし、真実は、そうではなかった。 このサリンガス兵器を撒(ま)いた犯人は、シリアの反政府勢力の方だった。その背後には、イスラエルと、サウジアラビア(バンダル王子というサウジの内務省警察のトップ。サウジの謀略人間の親玉。最近、辞任して後ろに引っ込んだ )がいる。


バシャール・アサド大統領

なんとか、オバマ政権を騙して、シリア政府(バシャール・アサド政権)に対する、アメリカ軍の爆撃と軍事侵攻をさせようと画策した。

しかし、バラク・オバマ本人は、真実の報告を受けて、 シリア政府への軍事攻撃をしないことを、 2013年9月 に最終判断した。 正しい判断だった。

この4月のサリン撒き のあと、さらに続けて、8月21日にも、The U.N.( 本当は連合諸国とすべき。×「国連」)の調査団が入っていた、その最中(さなか)に、2回目の、今度は、サリン砲弾(ほうだん)を炸裂させる形で、サリンガスを撒いた。

ネット上に動画で、子供たちがたくさん苦しんで死んてゆく姿が写った。今もこの映像はたくさん残っている。これも、オバマ政権にシリア攻撃をさせるためのマニューバー(謀略)での 足掻(あが)きだった。 オバマは、真実を知ったので、騙されなかった。


バラク・オバマ大統領

以下の記事にあるとおり、 国連人権委員会のカーラ・デルポンテ調査官(Carla
Del Ponte) という女性が、すばらしい。 彼女は、オランダのハーグの国際刑事(けいじ)裁判所の 国連検察官だ。同じハーグにある国際司法(しほう)裁判所とは別である。国際紛争での戦争犯罪(ウォー・クライム)を調べるための国際機関である。


カーラ・デルポンテ

カーラは、そこの高等検察官である。 私は、彼女の仕事と生活を描いた 映画 を すでに3年前に見ている。その映画も入っている評論本を近く出版する。カーラは すばらしい女性だ。

私は、カーラ・デルポンテ検察官がこの世の真実を守ろうとする 生き方に最大限の敬意を表し、彼女の無事を祈る。

私は、今年の7月17日の ウクライナ上空での、マレーシア機MH17便の撃墜(げきつい、airplane crash by a shoot down )の真実も、ここの重たい掲示板に、ずっと書いた。 あれは親ロシア勢力(Pro-Russian separatists プロウ・ラッシアン・セパレイティスト)による 地上からの「ブーク」地対空ミサイルに因(よ)るものではなくて、ウクライナ政府軍のミグ25戦闘機2機によるマレーシア機の正面操縦席に向かっての、機関胞(きかんほう。cannon )に因るものだ、と 多くの証拠、証明の声明文とかを付けて書
いた。

西側諸国の政府(アメリカと、イギリス、フランスなど)は、この事件の真実も、闇に葬った。 私は、こういう穢(きたな)い政治謀略を、西側諸国の正統(レジティメット)の政府たちが、やるとこが、不愉快でならない。

今でも、シリアで、サリンガスを撒(ま)いたのは、アサド政権のシリア政府だ、と信じている人々が、世界中のほとんどだ。日本人は、遠いところでの戦争の一コマであるから、あまり関心を持たない。 皆、自分の目先の生活のことで、手一杯だ。

私、副島隆彦は、日本に生まれた、世界基準の知識人だから、そういうわけには行かない。
私だって、普通の日本国民としての生活の苦労がある。が、私の頭は、常に、世界を向いていて、それとの関連における日本の運命を、じっと考える。

このシリアの内戦(ないせん)の最中(さなか)に於(お)ける昨年の2回のサリン・ガス兵器でのシリア民衆への殺傷事件の責任追及は、きっと、今も、カーラ・デルポンテ女史とそのまわりの、世界の正義を守ろうとする人々によって、続けられているだろう。

私が、このシリアでの昨年(2013年)の4月と8月のサリン・ガス事件を、ずっと気にしているのは、不思議なことに、日本でだけ、今も販売されている「週刊ニューズウイーク誌の日本語版」だけが、公然と、大きな真実を書いたことだ。不思議な気がする。

私が、長年、“ Weekly CIA ” 「ウイークリーCIA」、「週刊CIA」と呼んできた、実際、多くのCIAのエイジェント(アメリカ国家スパイたち)が、ジャーナリスト、雑誌記者のフリをして、動いている(全部とはいないが、半分以上がそうだ)ニューズ報道誌が、稀有(けう)なことに、本当のこと(=真実)を報じたのだ。

この事実には、私、副島隆彦は驚いた。そのことが、気になっていたので、このシリアのサリンガス(謀略)事件 についての関連の記事を、以下に全て並べて、載せておく。

副島隆彦だけは、世界の出来事の真実を、日本国内に、書いて残してゆくための、重要な頭脳である。私が斃(たお)れたら、そのあとを継ぐ若い日本人知識人たちが、私を手本にして、私のやり方から学んで、私に倣(なら)って続けてほしい。

それでは、この「2013年のシリア・サリン・ガス事件」の 全体像を、新聞記事の集合体、集積体(しゅうせきたい)を使って証明してゆきます。

(転載貼り付け始め)

◯「 化学兵器使用「強力な証拠」=シリアのアサド政権がサリン 」
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201305/2013051100059&g=int

2013年5月11日  ワシントン、時事通信

ケリー米国務長官は10日、シリアの アサド政権が化学兵器の サリン を 使用した「強力な証拠がある」と述べた。インターネットを使用した一般市民らとのやりとり の場で発言した。オバマ政権は化学 兵器の使用が確認された場合、 …

◯「アサド政権が「サリン使用」 イスラエル軍情報部幹部」 http://sankei.jp.msn.com/world/news/130423/mds13042322100002-n1.htm

2013年4月23日 – MSN産経ニュース

イスラエル軍情報部の幹部は23日、安全保障に関する会合で、内戦が続くシリアの
アサド 政権側が反体制派に対し「化学物質を使用した。恐らく サリン だ」と述べた。詳細 は不…

◯ 「米、裏付けに期限設けず  シリア・アサド政権のサリン使用疑惑 」 -
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130430/crm13043007350001-n1.htm

2013年4月30日  ワシントン 共同通信

カーニー米大統領報道官は26日の記者会見で、シリアの アサド 政権側が化学兵器の サリン を使用した可能性があることについて、その裏付け作業には 期限を設定
せず…

◯「 サリンを使ったのはアサドか反体制派か  」
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2013/05/post-2917.php

2013年5月7日  ニューズウィーク日本語版

・・・だが、 アサド 政権の暴走だと決めつけるのは早計だ。 シリア問題に関する国連調査委員会のカルラ・デル・ポンテ調査官は5月5日、 サリン を使用したのは反体制 派だった可能性が高
いことを、スイスのラジオ局のインタビューで明かし た。・・・

◯ 「米パネッタ国防長官「重大な結果をもたらす」
http://unkar.org/r/liveplus/1354879007

レオン・パネッタ国防長官「重大な結果をもたらす」 アサド 政権が サリン 使用なら武力行使も視野に入れる。・・・

◯「 仏政府「アサド政権がサリンを使用」 」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130605/k10015078091000.html

フランス政府は、内戦が続くシリアで採取されたサンプルを分析した結果、 アサド
政権が国際法で禁止されている化学兵器の サリン を使用したことは明らかだと結論づけ、・・・

◯「 サリンを使ったのはアサドか反体制派か 」 Syrian Rebels Used Sarin Gas

2013年5月7日(火)  ニューズウイーク誌 日本版

(副島隆彦注記。 バカ。この英文タイトル自身が、見出しで、  Syrian Rebels
Used Sarin Gas 「 シリアの反体制派が、サリンガスを使った」とはっきり書いているじゃないか。 なんで、お前たちは、いくらCIAの手先だからと言って、こんなわざとらしい誤訳を、わざとやるのだ。

ニューズウイーク誌日本語版は、かわいそうな人たちだ。きっと、「見出し付けは、編集長が勝手にやるんだよ」 と、 現場の 日本人編集者と記者たちは、言い訳するだろう。 それぐらいは、私、副島隆彦だって分かる。 副島隆彦注記終わり)

シリア内戦で猛毒ガスを使用したののはアサド政権ではなかった可能性が浮上

アサド政権と反体制派の攻防が続くシリア内戦で、政府軍が反政府軍に対して猛毒ガスのサリンを使用した疑いがある──。イギリスやフランス、イスラエル、アメリカは先月、相次いでそう警告した。

だが、アサド政権の暴走だと決めつけるのは早計だ。シリア問題に関する国連調査委員会のカルラ・デル・ポンテ調査官 は 5月5日、サリンを使用したのは反体制派だった可能性が高いことを、スイスのラジオ局のインタビューで明かした。

「さらに調査を続け、検証・確認を重ねる必要があるが、現時点で得た情報によれば、サリンガスを使用したのは反体制派だ」

反体制派への武器供与を検討している米政府は、デル・ポンテの発言について「非常に疑わしい」と反論し、アサド政権によるサリン使用の可能性を示唆。デル・ポンテも調査は始まったばかりで、今後アサド政権側のサリン使用を示す証拠が見つかる可能性もあるとも指摘している。調査委員会は6月に、国連人権委員会に報告書を提出する予定だ。

サリンは1930年代にナチスによって開発された、強い殺傷能力をもつ神経ガス。
無色無臭の液体で、吸い込んだり肌に触れれば、ごく微量でも死に至る恐れがある。イラクのフセイン政権は88年、イラク北部のクルド人地区ハラブジャをサリンなどの毒 ガスで攻撃し、5000人を殺害した。日本でも94ー95年にオウム真理教によるサリンテロ事件が発生した。 オバマ政権は、シリア政府による化学兵器の使用が確認されれば、軍事介入に踏み切る可能性もあると示唆してきた。サリンを使用したのは誰か。その答えによって、シリアの運命は大きく変わる。

続いて、別の記事を載せる。

(副島隆彦注記。 以下の記事を載せた、International Business Times というサイトは正しい。優れている。 )

◯「 シリアで化学兵器サリンを使用か 人体への影響は? 内戦の続くシリアの反政 府勢力がサリンを使用しているという情報を、国連が調査している 」

2013年5月8日 International Business Times

記者: ROXANNE PALMER   翻訳者: 加藤仁美

フランス通信(AFP)によると、国連人権理事会が設置したシリア問題を担当する国連人権委員会のカーラ・デルポンテ調査官(Carla Del Ponte)は、5月5日、「シリア反体制派武装勢力がアサド政権側 との戦闘で化学兵器のサリンを使用した可能性が高い」とスイスのラジオ局のインタビューで語った。 2012年以降、化学兵器の使用がシリアで疑われてきた。

米諜報機関は、これまでアサド大統領側の部隊による化学兵器使用を指摘してきた。 一方で政権側は、反体制派がサリンを使用していると主張していた。今回の情報が事実とすれば、国際社会による反体制派支援にブレーキがかかる可能性もある。 ロイター通信によると、デルポンテ調査官はインタビューで、医療関係者らの証言などから反体制派によるサリン使用は「確実な証拠は出ていないものの、非常に強い疑いがある」と述べたという。

2010年末から12年にかけて、北アフリカ、中東アラブ諸国で一連の民主化要求運動が起こった。いわゆるアラブの春と呼ばれるものだ。デルポンテ調査官は、調査団が2011年のアラブの春の抗議活動中に反抗勢力による神経剤を浴びた被害者と医師に対して、シリアに隣接する国で聞き取りを行ったと説明した。 サリンは、口、鼻、皮膚から吸収され、シアン等の500倍の有毒性があるとされる。無味無臭の物質で、殺虫剤と同様のメカニズムにより神経系を攻撃する。

サリンは1902年には既に作られていた。4名のドイツ人化学者が合成に成功し、4名の名前からサリン(SARIN)と名づけられた。シュラーダー氏(Schrader)=S、アンブロス氏(Ambros)=A、ルドリガー氏(Rudriger)=R、ファン・デア・リンデ氏(Van derLINde)=INである。

作る途中の段階で猛烈な毒性を持つ中間物質が生成され、廃棄物にも猛毒性がある。その毒性に最初に注目したのはドイツ軍だった。第二次世界大戦中に量産し、ナチスは敗戦までに7,000トン以上のサリンを貯蔵していたとされる。1950年代にNATO(北大西洋条約機構)はサリンを標準的な化学兵器に採用した。そしてソビエト連邦と米国は、軍用にサリンを生産した。

戦争時における化学兵器の使用禁止は、1925年のジュネーブ議定書で謳われている。しかし開発・生産・貯蔵といった行為は禁止項目にはなかった。第二次世界大戦後の米ソの冷戦の激化にともない、大量の化学兵器が両国によって開発・生産・貯蔵される状態が続いた。

◯「 シリアのアサド政権、サリン使用なら国際法上の一線越える=米大統 」

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE93P07A20130426

(副島隆彦注記。この記事のオバマの発言は、オバマが、4月にダマスカス近郊でサリンを撒いたのは、反体制派の方だと、真実を知ったからだ。だから、オバマは、最終的に、この9月に、シリアへの軍事介入をしないと決断し、米軍の投入をしなかった。オバマの正しい判断だった。 副島隆彦注記終わり )

2013年4月26日 ワシントン、 ロイター オバマ米大統領は26日、シリアの アサド 政権が サリン とみ られる化学兵器を使用した可能性があるとの分析結果が報告されたことについて、「 国際基準、および国際法上の一線を越えるもの」とし、これにより今後の 展開が大きく変化する可能性があるとの見方を示した。

オバマ大統領はホワイトハウスで記者団に対し、「大量破壊兵器を一般市民に対して使用することは、国際基準、および国際法上の一線を越えるものだ」と懸念を表明。その上で「これにより今後の展開は大きく変わる」とし、「組織的に化学兵器などを一般市民に対して使用することは容認できないと誰も認識していると思う」と述べた。

◯「 国連調査官「シリア反体制派がサリン使用との証言」 – YouTubewww.youtube.com/watch?v=ESRzPnEnyHY

〇「 シリア反体制派がサリン使用」国連調査委員会(130507)
http://news.tv-asahi.co.jp
再生時間:0:32   2013年5月23日

◯ 「シリア政府は本当に化学兵器を使ったのか」 Who Did What in Syria?

(副島隆彦注記。 このニューズ記事の 英文の原題は、Who Did What in Syria? だから、正しく、「 誰が、何の ためにサリンを使ったのか?」としなければならない。ところが、上記の見出しのように 、始めから、頭から、シリ ア政府(アサド政権)のせいにするように、わざとこのように 誤訳している。

ニューズウイーク誌というのは、このように、CIA の日本版だ、と私が書いてきたとおりだ。ところが、今回だけは、事情が違う。ニューズウィーク日本語版の 山田敏弘という日本人記者が、真実をしってしまったので、ウソが書けなくなって、以下のように正直に報道している。快挙と知っていい。 副島隆彦注記終わり )

「 国連調査団が滞在する最中に発生した「化学兵器攻撃」に付きまとういくつもの疑念

2013年9月5日(木)  ニューズウィーク誌 2013年9月 3日号掲載  山田敏弘(本誌記者)

内戦状態が2年以上も続くシリアで 先週(引用者注記。すなわち8月21日)、アサド政権側から放たれたとされるミサイルが首都ダマスカス近郊のゴウタに着弾した。化学兵器とみられる爆弾はガスを吐き出し、スンニ派の反体制派が支配する同地域で数百人規模の死亡者が出た、と報じられている。

現場の惨状は、シリアの反体制派が撮影した映像で世界中に拡散された。病院でけいれんする女性と子供、口や鼻から泡を吹く男性……。今回の攻撃が大きく報じられているのは、被害者の多さ故という面もある。 ただ化学兵器は本当に使われているのかといぶかしむ声もある。ジャーナリストが誘拐や殺害されるなど報道が制限されるなかで、メディアは現地にいる反体制派の活動家、または人権団体の情報に頼らざるを得ない。そうした状況が、化学兵器の使用に対する疑念を生んでいる。

そもそも私たちが目にする映像は、どこまで現場の全体像を伝えているのか。反体制派が政府を非難するための偏った情報だけを出し、被害を大げさに発表しているとみ・u桙骭・ォもある。現在シリアにいる国連調査団のオーケ・セルストロム団長は、w)反体制派が主張する1300人の死者数は「疑わしい」と語り、いまメディアなどで出回っている映像を見た限りでは死傷者数が多過ぎると指摘する。

メディアも、化学兵器使用について事実関係の裏付けはできないでいる。いつどこで撮られたのかも分からない。結局、過去に反体制派から出された映像などと同様、大手メディアは必ず「独自で事実関係は確認できない」という一文を加えて、今回も映像を報じている。反体制派がサリン使用か 欧米の医療専門家の間では化学兵器使用について、「治療に当たる医療関係者の対応が不自然」「サリンによる攻撃だ」といったコメントが飛び交っている。ただ犠牲者が出ているのは確かだろう。

現在、化学兵器使用疑惑を調べる目的で国連調査団がシリア入りしているが、攻撃を受けたとされる地域に彼らが入ることはアサド政権が許可しない。結局、化学兵器が使われたのかどうかは判然としないままだ。 今回の攻撃のタイミングに首をかしげる専門家もいる。シリアにいる国連調査団は、攻撃の3日前に入国していたからだ。国連のイラク大量破壊兵器査察委員長を務めた ロルフ・エケウスは、「国際的な調査団が国内にいるときに、□シリア政府がこんな攻撃するのは奇妙だ」 と、疑問を投げ掛ける。もちろんアサド政権がそれを逆手に取って攻撃を行った可能性もある。

一方、正しい調査で致死的な化学物質の使用が証明されても、誰がその攻撃を行ったのか判明しそうにない。アサド政権が反体制派を虐殺するのに使ったのか、もしくは反体制派が欧米の軍事介入を促すために自作自演したのか。その問いにも、簡単には答えが出ない。

誰が化学兵器を使っているかについては、国連内でも意見が割れている。今年5月、 シリア問題に関する国連調査委員会のカーラ・デルポンテ調査官は、「化学兵器のサリンガスを使っているのは反体制派だ」 と指摘して、反体制派を支援するアメリカなどから批判された。 オバマ米大統領は昨年(2012年)8月、化学兵器の使用は軍事介入も考慮される「レッドライン(越えてはならない一線)」 だと発言。

一方のシリア政府も、反体制派による化学兵器の使用は彼らにとっての「レッドライン」だと言う。政府と反体制派のどちらが今回の攻撃を行ったのだとしても、シリア情勢がさらなる泥沼にはまることは間違いない。

◯「 シリア:政府による化学兵器の使用 可能性大  ロケット弾の分析と 目撃者の証言に基づく新証拠」

2013年09月10日 ヒューマン・ライツ・ウォッチ

(副島隆彦の注記。 この記事は、ヒューマン・ライツ・ウォッチ という国際人権団体=NGO= のものだ。ところが、以下のとおり、ものすごく偏(かたよ)っている。公平なふりをして、事実だけを報道していることを装っているが、シリア政府の犯行だと匂わせるように書いている。ここもおかしな国際人権団体だ。副島隆彦注記終わり)

2013年09月10日

Human Rights Watch  A mother and father weep over the body of their child, who was killed inan Alleged chemical weapons attack on Ghouta, Syria, on August 21, 2013.C 2013 Associated PressAnalysis of Alleged Use ofChemical Weapons in Syria

8月21日のグータ攻撃で使用された兵器システムの動かぬ証拠は、ロケット弾の残骸と被害者の症状にある。あの恐ろしい朝に政府軍がダマスカス近郊に向けて化学兵器を装填したロケット弾を発射したことを、証拠が強く物語っている。

2013年8月21日に首都ダマスカス近郊のふたつの居住区で起きた化学兵器攻撃は、シリア政府軍が行なったものであることを 入手可能な証拠が強く示唆している。多数の子どもを含む何百人もの一般市民が殺害されたこれらの攻撃では、おそらくサリンとみられる兵器用神経ガスが使われたとみられる。 報告書「グータの攻撃:シリアにおける化学兵器使用疑惑の分析」(全22ページ)は、8月21日未明、反政府勢力の支配下にある東グータと西グータが、化学兵器による攻撃を受けた疑惑を調査してとりまとめたもの。東西グータは16キロ離れている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、ロケット弾攻撃に関する目撃者の証言、確実性の高い攻撃元の情報、使用された兵器システムの残骸、そして医療従事者が記録した被害者の医学的症状を分析した。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ緊急対応部門のディレクターであり、本報告書を執筆したピーター・ブッカーは、「8月21日のグータ攻撃で使用された兵器システムの動かぬ証拠は、ロケット弾の残骸と被害者の症状にある」と述べる。「あの恐ろしい朝に政府軍がダマスカス近郊に向けて化学兵器を装填したロケット弾を発射したことを、証拠が強く物語っている。」 ロケット弾とその発射装置の型式が強く示すのは、シリア政府軍のみが保有・使用可能なことで知られている兵器システムだということだ。

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ヒューマン・ライツ・ウォッチ は、YouTube に投稿・公開されている攻撃地域のビデオ映像と、東グータの地元活動家から提供された兵器残骸の高解像度映像を分析。化学物質を散布したと考えられる2種類の地対地ロケットシステムを特定した。最初の型式は東グータ攻撃の現場で発見されたが、大量の液体化学物質を積載し、散布するよう設計された弾頭を備えていたとみられる330ミリロケット弾だった。

2番目の型式は、西グータ攻撃で発見された旧ソ連製140ミリロケット弾で、参考文献によれば3タイプの弾頭のなかからひとつを装填可能で、これには、2.2キロのサリンを運搬散布するよう特別に設計されたものも含まれる。

シリア政府は化学兵器による攻撃を否定し、反政府勢力の行いと非難しているが、その主張を裏づける信頼性の高い証拠は全く提供していない。ヒューマン・ライツ・ウォッチと、シリアでの武器使用を監視してきた兵器専門家陣は、攻撃で使われた140ミリと330ミリのロケット弾とそれらに付随する発射装置を、反政府軍が保有しているという事実をこれまで確認していない。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、化学物質の検査に必要な兵器の残骸、環境試料、生理学的試料などの収集のためにグータ入りすることはできなかったが、化学兵器剤の検出と影響分析を専門とする人物から技術的助言を求めてきた。専門家は、地元住民の説明および医師が詳述した臨床的症状や兆候、8月21日の攻撃による被害者を撮影した多くのビデオ映像を検証した。

グータで人びとを治療した医師3人がヒューマン・ライツ・ウォッチに伝えたところでは、みな共通して、窒息、気管狭窄、不規則呼吸、低呼吸、筋肉痙攣、吐き気、口角の泡、鼻や目からの体液流出、全身痙攣、目眩、視力低下、目の充血と痛み、瞳孔縮小(縮瞳)などの症状がみられたという。

これらの症状は、神経ガスの中毒症状と一致する。若い被害者の一部には顔面が青紫色になるチアノーゼの症状が出ており、これは窒息の症状と一致する。爆発系あるいは焼夷系の兵器を用いた攻撃の場合に通常受けるはずの外傷は、被害者の誰にもみられなかった。・u栫@これらの症状と外傷の不在は、サリンのような神経ガスに曝露した時の症状w)と一致する。4月に首都ダマスカス近郊のジョバルで起きた攻撃でサリンガスが使われた、という臨床検査上の証拠もある。この時現場にいたフランス・ルモンド紙のカメラマンが後に検査した結果、サリンに曝露していたことが判明している。

化学兵器の使用は国際人道法の重大な違反である。シリアは、189カ国が加盟する1993年の「化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約(化学兵器禁止条約)」の締約国ではないが、1925年のジュネーヴ議定書(窒息性ガス、毒性ガスまたはこれらに類するガスおよび細菌学的手段の戦争における使用の禁止に関する議定書)の締約国だ。また、国際慣習法はあらゆる武力紛争における化学兵器の使用を禁じている。 グータにおける8月21日の攻撃は、25年前にイラク政府がハラブジャで同国のクルド系民間人に化学兵器を使って以降、初めての大規模な化学兵器使用となった。

「シリアの恐るべき内戦で化学兵器の使用がますますはっきりとしてきた現在、こうした兵器の使用制御と、シリア民間人のより広範な保護に、国際的な議論の焦点を再び絞るべきだ」と前出のブッカーは述べた。

( 転載貼り付け終わり)

副島隆彦です。以上です。ものごとの真実を追求するには、忍耐力だけではなく、時間の経過と共に剥(はが)がれ落ちて来て、新たに見えてくるものへの 穏(おだ)やかさ が必要だ。

副島隆彦拝

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