「1555」 昨日、2015年9月14日に国会議事堂前で行われた安保法制反対抗議デモに行ってきました 古村治彦(ふるむらはるひこ)筆2015年9月15日

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SNSI・副島隆彦を囲む会研究員の古村治彦です。

昨日、2015年9月14日(月)の夕方から、国会議事堂正門前を中心とするエリアで開催された安保法制反対抗議デモに行ってきました。


上に掲載した国会正門前を中心とするエリアに主催者発表約4万5000人(警察発表では約1万7000人)が集まりました。国会前の緑地帯は尾崎幸雄記念憲政記念館の敷地です。周囲は数百メートルほどのもので、国会前の車道も長さは100メートルもありません。

私は午後5時30分に東京メトロ(地下鉄)丸ノ内線国会議事堂前駅に着きました。国会に行きやすい1番、2番出入口は封鎖されていたので、4番出入口から地上に出ました。駅には連日午後1時から国会前で行われている座り込み抗議活動に参加した人々が帰宅のために来ていました。高齢者の人々が友人知人連れだって座り込みに参加しているようでした。座り込みも長いですから、友人知人と一緒に行った方が退屈しのぎのおしゃべりができるし、体調を崩した時も安心ということなのでしょう。

地上に出てみると、歩道は2つに分けられ、抗議活動参加者が立ったり、座ったりできる部分と歩行者が歩けるスペースになっていました。早速スピーカーから主催者の案内で、抗議活動は午後6時30分から開始されることが伝えられました。国会周辺エリアには多くのスピーカーが設置され、クリアな音で案内が流されていました。案内は年配の女性と若い女性2人が交互にやっていました。案内では繰り返し、「非暴力の活動なので、けが人を1人も出さない」「押し合わない」「ご高齢や子供連れの方などには親切に」ということが流されていました。

私は衆議院南門から外務省の方に曲がっていきました。人々の列が進んでいるのでみんなについていけばいいですよ、と警備の警察官が笑顔で教えてくれました。道では、様々な団体がビラや新聞、うちわなどを配っていました。革マル派や中核派系全学連がビラを配っていましたが、自分たちがイニシアチブを取ろうという感じには見えませんでした。

私は国会議事堂正門に正対して左側の道路にまず進んだのですが、左側のエリアは、肖像権保障エリアと呼ばれ、写真撮影や映像撮影は禁止されているエリアでした。現在は、撮影された画像、映像がインターネットですぐに公開される時代ですので、職場や近所にデモに参加していることを知られたくない人々のためのスペースとなっていました。

ここでは撮影などが出来ないと思い、私は右側のエリアに行くことにしました。右側のエリアは憲政記念館の敷地内公園になっていて、時計台や池がありました。ここのベンチで18時半まで待っている人たちがいました。私はできるだけ国会正門前まで近づこうとしたのですが、18時近くになっていましたので、満員電車並みに身動きが取れなくなっていきましたので、少し下がり、国会正門前の車道の正門とは反対の端の方に移動しました。ここら辺はまだ空いていました。

のぼりの数はたくさん出ていましたが、私が見たことがあるような大きな旗(全学連や労働組内など)は見かけられませんでした。やはり旗竿が凶器になる危険があるので持ち込みが禁止されているのだろうと思います。労働組合、市民団体(憲法九条を守る●●の会)、大学の教職員有志の会などののぼりが出ていました。

18時を過ぎて、人々の数はどんどん増えていきました。地下鉄の桜田門駅や霞が関駅から官庁街を通って歩いてくる人々が多くいたのですが、警察の判断で、横断歩道が封鎖され、国会議事堂前に行けない、通れない事態になりました。人々は国会前を目指してどんどん歩いてくるのに、渡れなくなったために、外務省や国土交通省の前の交差点は大混雑となり、「通せ」「通せない」で人々と警察がもめだしました。

国会前は、午後5時半の段階では、3メートルおきに普通の制服を着た警察官が立っていましたが、人々と揉めるようになると、2列縦隊、駆け足で現場まで行って、鉄柵を押さえたり、人々の交通整理をしたりしていました。警官隊は「8-1」「8-2」「7-4」といった提灯型の丸い物が先についた棒を先頭にして行動していました。これはそれぞれ警視庁第7機動隊、第8機動隊だということでした。副島先生によると、第4機動隊(通称4機)、第6機動隊(6機)が最精鋭だということです。確かに体が小さい警察官たちが多かったように思います。

そうした中で、予定よりも早く18時10分頃に抗議活動が始まりました。抗議活動は有名人やそのほかの人々のあいさつや演説(昨日は法政大学教授・山口二郎、作家・大江健三郎、作家・落合恵子など)が前半と後半に分かれて行われ、その間に「コール」と呼ばれる、昔風に言えばシュフレッピコールが繰り返されました。ただその場にいると、主催者の本部、ステージがどこにあるのかはさっぱり分かりませんでした。

挨拶の間では、今度は国会前の車道を自動車通行止めにして開放せよ、という声が高まりました。主催者側もマイクでそのことを警察と人々に呼びかけ、午後7時30分ごろに警察の機動隊バスは置かれたまま、歩道と車道を区切っていた鉄柵が倒されて、車道に出ることが出来ました。警察が車道の車両通行止めと人々が車道に出ること(歩行者天国状態)を許可したということでした。私も人々の流れに従って車道に出ることができ、国会正門前までかなり近づくことが出来ました。警察は参加者たちを歩道の半分に閉じ込めておきたかったようですが、さすがに大混雑の状況で、歩道に封じ込めることの方が危険だと判断して、車道を開放しました。

午後8時に全体的な、統一的な抗議活動は終了となりました。それで帰宅する人たちも多く出たのですが、「これからシールズ(SEALDS)のみんながコールをやるから、見なきゃ損だよ」と呼びかけている人たちがいたので、私もそのまましばらく居残ることにしました。「今日はせっかく人出が多かったのに、この勢いを活かし切れていない」と主催者を批判する人たち(これまでにも何回も来ている人たちでした)もいました。

私はシールズのコールがどこであるのか国会前の車道内をぶらぶら歩いていたのですが、見当たりません。太鼓やドラムを使ってコールをしている人たち、歌を歌っている人たちがそこかしこにいて、人々は気に入ったところで立ち止まって一緒にコールを叫んでいました。

それでもやっとシールズらしい女性が男性のドラムに合わせてコールをやっているのを発見しました。シールズは主催者の一部として全体の活動では様々な仕事をして、終わったらスポットでコールをするという感じのようでした。彼らの主催の会は毎週金曜日だそうです。私が見たシールズの人は結局3人でした(この男女と交通整理をしていた男性)。

シールズの女性はドラムに合わせて、安保法制反対や安倍首相の退陣を叫ぶコールをしていました。シールズの特徴は「民主主義ってなんだ?」(呼びかけ)「これだ」(応え)のようです。シールズの周りには中年男性たちがノリノリ(頭を振ったり、体を大きく揺らして踊ったり)で、まるでアイドルのコンサート会場のようでした。

現在、AKB48というアイドルグループが大変な人気ですが、AKB48のコンセプトは「手の届きそうな女の子がアイドルになって、毎日会いに行ける」というものだそうで、それに近いなという感じがしました。また、抗議活動ではサイリウムという蛍光物質が入っていて、折り曲げると光る棒も配られていましたが、これもアイドルのコンサートでは必需品だそうで、全体として柔らかい雰囲気を出すためにアイドルのコンサートが参考にされているのだろうと推測しました。そして、デモは危険で怖いものという壁を取り払って、誰でも行きやすいもの、親しみやすいものへと変えることにシールズは大きく貢献していると思います。

私が記録映像で見た60年安保の時は、国会前に、詰襟の学生服を着て、メガネをかけて髪の毛を七三に分けていた男子大学生たちがジグザグデモをやっていたようですが、様子はだいぶ違います。男性が中心で引っ張るとどうしても攻撃的になってしまうものだと思います。それがこれまでの失敗の原因の1つであったとも言えると思います。現在の抗議デモは殺気立っているという感じは全くありませんでした。今回の抗議活動は女性たちが前面に出て動いているという印象を持ちましたが、そうしたことも暴力的な争いが起きていない理由だと思われます。

ただ、警察に対しては、「過剰警備ではないか」と抗議をする人たちも多くいましたが、そこには主催者側に参加している弁護士たちがいました。弁護士たちは巡回をしており、何かトラブルがあったらすぐに駆けつけることになっていました。

自分と周囲の人々の身体と生活を守ることを基本にしながら、その延長で日本と日本国憲法を守り、国際的信義を守る、そして戦争をさせられないようにするという運動になっているように感じました。だから柔軟性があって、長続きがするんだろうとも思いました。安倍政権のごり押しや抑圧は自民党内部の異論さえも許さないまでに酷いものになっていますが、それに対抗するしなやかな強さがあります。

疲れと空腹で午後9時には国会前を離れました。その頃には国会議事堂前駅は通常通りで空いていました。その後もまだ抗議活動は続いていたということです。

安保法制は今週の末に参議院の本会議での採決から可決が行われると言われています。今週採決が行われる日まで、国会前で午後1時から行われる座り込み、午後6時半から行われる抗議デモはずっと続いていくということでした。

以上で私の報告を終わります。デモということで、どうも大仰に考えていたのですが、フラッと行って、フラッと変えることが出来る位のものでした。もしこれから行こうとお考えの方には、準備として飲み物、ごみを持ち帰るための袋、足もとが暗いので懐中電灯を持って行かれたらよいと思います。

※ブログ「古村治彦の酔生夢死日記」でも書きました。ブログへはこちらからどうぞ。

(終わり)

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