「1363」新刊『それでも中国は巨大な成長を続ける』(ビジネス社)の刊行のお知らせ。アメリカでは、巨大な中国とどう付き合っていくかは熱心に議論されていても、中国崩壊論など真面目に受け取られていない。2013年2月18日

  • HOME
  • 「1363」新刊『それでも中国は巨大な成長を続ける』(ビジネス社)の刊行のお知らせ。アメリカでは、巨大な中国とどう付き合っていくかは熱心に議論されていても、中国崩壊論など真面目に受け取られていない。2013年2月18日

副島隆彦を囲む会の中田安彦(アルルの男・ヒロシ)です。今日は2013年2月18日です。

今日は、副島中国本の最新刊のお知らせです。この本のタイトルは『それでも中国は巨大な成長を続ける』(ビジネス社)です。まさにその巨大な成長を続ける中国を象徴するニュースが、つい最近も報じられました。2月11日に報じられたところによると、ついに中国がモノの貿易において、アメリカを追い抜きました。

・新刊『それでも中国は巨大な成長を続ける』は、下記「1セット4冊」コーナーでも取扱っております。↓
https://www.snsi.jp/shops/index#book

(貼り付け開始)

中国:昨年のモノの貿易総額で世界一、米国を追い抜く
(2013年2月18日 ブルームバーグ)

2月11日(ブルームバーグ):中国が昨年、モノの貿易で米国を抜いて世界一になったことが、両国の公式統計で明らかになった。米商務省の先週の発表によると、米国の昨年のモノの貿易額は輸出と輸入を合わせて3兆8200億ドル(約354兆円)。一方、中国税関総署の1月の発表では、同国の昨年の貿易額は3兆8700億ドルだった。

中国の影響力増大は、地域的な貿易ブロックを脅かしている。一部の国にとって、中国が最大の貿易相手になっているからだ。

ゴールドマン・サックス・グループの資産運用部門会長で、ブラジル、ロシア、インド、中国の4カ国を指すBRIC諸国の名付け親のジム・オニール氏は「このままいけば、欧州の多くの国は2010年代の終わりまでに欧州の互恵的パートナーよりも中国との貿易を増やすだろう」と指摘した。

米商務省経済分析局によれば、サービス分野を含む昨年の米の貿易総額は4兆9300億ドル。収支を見るとサービスは1953億ドルの黒字で、モノは7000億ドル余りの赤字だった。中国の昨年の貿易黒字は、モノのベースで2311億ドル。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MI18KF6JIJUU01.html
=======

中国:貿易総額、世界一に 昨年統計で米を抜く
毎日新聞 2013年02月09日 13時07分

2012年の中国の輸出と輸入を足した貿易総額が前年比6.2%増の3兆8667億6千万ドル(約358兆円)となり米国を抜いて初めて世界最大となったことが米国と中国当局の発表で8日、分かった。通商分野での中国の存在が一段と大きくなったことが鮮明になった。

米商務省が8日に発表した12年の貿易収支によると、モノに限った国際収支ベースの貿易総額は前年比3.5%増の3兆8628億5900万ドルで、中国は約39億ドルの僅差ながら米国を抜いた。

中国の貿易総額は01年の世界貿易機関(WTO)加盟をきっかけに急拡大。輸出額に限れば09年にドイツを抜き、世界一となった。(共同)

http://mainichi.jp/select/news/20130209k0000e020187000c.html
======

中国、貿易総額「世界一報道」を否定 米国下回ったと声明
共同通信 2013.2.14 12:05

中国商務省は14日までに、2012年の中国の輸出と輸入を足した貿易総額が、世界貿易機関(WTO)が採用する貿易統計の算出方法によると、米国を156億4千万ドル(約1兆4600億円)下回ったとの見解を声明で発表した。

中国の貿易総額が米国を上回り、世界一になったとの報道を否定した。

声明は、中国税関総署の統計と報道が引用した米商務省の統計は算出方法が異なると説明。さらに「WTOは2月下旬から3月初旬に各国の貿易データとランキングを発表する予定で、中米両国の貿易総額の差はその際に確定される」とした。

中国商務省は13日午後、声明を公式ウェブサイトに掲載し、国営通信新華社が同日夜、声明の内容を伝えた。(共同)

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/130214/mcb1302141207020-n1.htm
(貼り付け終わり)

このようにアメリカの商務省が発表した報道を、逆に中国の商務省が否定する形になっていますが、世界の中での中国経済の存在感はますます増す一方です。日本では中国経済はいまに大崩壊するという極端な論調が受けるのか、盛んですが、追いかけられる超大国アメリカのエリートの議論は、社会に不安を抱えながらも中国はやはり成長していくので、アメリカはこの大国とどうやって共存して行かなければならないかという事が主に議論されています。

その中で反中国姿勢を明確にした支持層に支えられた安倍政権に対しては、アメリカの世論は警戒を示しており、大新聞には「アメリカは中国と軍事的に緊張するな」と経済的な関係を深めることを訴える内容や、日本の安倍首相の歴史認識を問う社説が多いです。

今回の副島中国本は、そのように成長を続ける中国の実態を現地で取材した内容から主に成り立っています。後半ではアメリカの外交政策の変化についても解説されており、二つの世界における大国の現状と、中国の新しい政治指導部についての解説、現場からの中国経済の実際をレポートした内容になっています。特に中国経済の実際の姿を描いた第3章と第4章は重要な内容です。

まえがきとあとがきと目次を以下に貼り付けます。

(貼り付け開始)

まえがき

私は、この本で、今も中国で働く日本企業の派遣社員たち約400万人(概算)をどうしても激励し、励はげまさなければならない。そのためにこの本を書く。

日本人(派遣)社員たちは、中国でのビジネスで、今のまま利益を出して生きていくしかない。そして、その中国は現にものすごい力で今も巨大な成長を続けているのである。

日中関係が、昨年2012年の間に、どんどん悪化した。尖閣諸島(中国名では釣ちょう魚ぎょ島とう)の領有を巡る争いで、両国の険悪な関係をテレビ・新聞が毎日のように報じている。

この30年間に(1980年代から)中国に進出した日本企業は、2万5000社ある。このうちの12%にあたる3000社が、「中国からの撤退を考えている」と表明しているそうだ。残りの2万2000社はこのまま操業を続けるということだ。

果たして、中国からの撤退など簡単にできることか? できるはずがない。

今も成長し続ける巨大な中国市場を無視して、日本国が生きていく道はない。2011年の日本からの中国への年間の輸出額は12・5兆円である。輸入額は14・5兆円だ。どちらも日本の対外貿易で第1位である。ちなみに対アメリカ貿易は、輸出10兆円、輸入5・9兆円である。中国とのつき合いを軽視して日本(人)のこれから先の生き残りは考えられない。

私は日中の平和的な経済成長と両国の繁栄を願っている。私は20年前から「アジア人どうし戦わず。戦争だけはしてはいけない」という旗(ルビ=はた)を掲げて言論活動をやってきた。今こそ「日中不戦(ルビ=にっちゅうふせん)」の勢力を、日本国に公然と出現させなければならない。苦しい時だからこそ私たちが声を挙げなければいけない。

そして、今も続いているおそろしいまでの巨大な中国の経済成長の様子の真実を誰かが伝えなければならない。それを私がこの本でする。           副島隆彦

あとがき

この本は私の中国研究の本の5冊目である。だから内輪(ルビ=うちわ)では「中国本5」と呼んでいる。

この本では重慶・成都への調査旅行の成果を素(ルビ=もと)に書いた。それでも尖閣(ルビ=せんかく)諸島の領有権(主権)の紛争がどうしても全体に色濃く出ている。すでにこの問題は日本と中国の深刻な国際政治問題になってしまった。地政学(ルビ=ちせいがく)(ジオ・ポリティックス Geo-Politics)の観点からは、衝突するべくして衝突せざるを得ない問題である。国家主権(ルビ=ブリーンティ)を前提とする冷酷な視点に立つならば、すべては、「喰うか喰われるか」である。王様(ルビ=キング)(国王 ルビ=モナーク)という歴史上の残忍な暴力団の親玉たちの視点から見れば、すべての利権(利益)は奪い合いである。

この国家主権という欲望主体は、リヴァイアサン Leviathan というどう猛な野獣(ルビ=やじゅう)であって、人間たちを大量に次々に取って喰う生き物である。国家間の争いに翻弄(ルビ=ほんろう)される個々の人間にとってはたまったものではない。

私は、この政治紛争にすでに巻き込まれてしまったのに、それでも大きな経済法則に従って中国に進出してゆかざるを得ない、そして現に進出している日本企業2万5000社の、おそらく400万人はいる日本人社員たちの苦しい立場への理解と共感をつねに念頭に置いてこの本を書いた。何があろうがこれからもどんどん伸びてゆく中国の巨大な経済成長に寄り添って生きてゆく、と決めた人々の人生選択は決して間違っていない。繁栄するほうに近寄っていかない者は衰退し、没落するのである。

私は中国の全土に、そしてアジア諸国に社命(ルビ=しゃめい)で派遣されていく日本人技術者、ビジネスマンたちへの熱い共感と激励の気持ちを込めてこの本を書いた。

この本の中でも書いた「馬賊の歌」(大正11年作)(P72)も、決して始めは中国、満蒙(ルビ=まんもう)を侵略しようとして日本人に慕(ルビ=した)い歌われたわけではなかっただろう。
「俺も行くから君も行け 狭い日本にゃ住み飽いた 海の彼方にゃ支那がある 支那にゃ四億(ルビ=しおく)の民が待つ」の心意気で「アジア人どうし戦わず。戦争だけはしてはならない」の旗を揚げながら、アジア人の団結を、私は死ぬまで唱え続ける覚悟です。

この本も伴走者であるビジネス社岩谷健一編集長と「反中国の嵐」が吹き荒れる苦しい時期を耐え抜いて、できあがった。記して感謝します。
2013年2月1日                           副島隆彦

それでも中国は巨大な成長を続ける 目次

まえがき …… 3

第1章 世界経済を牽引する中国の実力
反中国という大きな計略 …… 16
元が上昇し始めた …… 22
ドルの世界支配が終わろうとしている …… 26
近い将来、ドルが暴落する …… 32
中国の株 …… 37
住宅バブルか、株の高騰かの選択 …… 43
中国での金投資は有効か? …… 46
金の買い取り調査 …… 51
金の保有量でも中国が急伸している …… 54
中国に拓かれた大きな可能性 …… 66

第2章 新指導部「チャイナ・セブン」
新リーダー、習近平 …… 78
中国の新しい指導者たち …… 87
薄熙来の失脚 …… 90
中国民主化の旗頭としての胡耀邦 …… 94
受け継がれる民主派の命脈 …… 98
中国に日本をぶつける勢力たち …… 101
中国と日本は戦争させられるのか? …… 106

第3章 中国の底力
尖閣問題で揺れる中国へ私は向かった …… 112
いずれ不動産価格も再上昇する …… 114
薄熙来事件の真相 …… 118
四川省の開発の拠点、成都 …… 124
地方都市の不動産は今後も上昇する …… 128
20年で100倍になった国 …… 132
バブル崩壊も軽々と乗り越えていく …… 134
新興国と先進国、どちらがまともか? …… 137
中国の最大の資産は“人口の増加” …… 140
中国の成長は止まらない …… 147
巨大な国土を急速に開発できる国 …… 150
誰も中国を止められない …… 155
中国がチベットを手放さない理由 …… 160
独立運動は漢民族との同化に飲み込まれていく …… 164
民主化もいずれ実現する …… 168

第4章 中国は世界覇権を目指す
私は中国を旅行した …… 172
続々と出現する資産家、富裕層 …… 176
商品市場も中国が引っ張っていく …… 178
旧満州で今やコシヒカリを大量に作っている …… 182
あらゆる分野で日本は追い抜かれる …… 189
着実な食料増産計画によって物価が安定している …… 191
ロシアの譲歩で中ソ国境問題も解決 …… 195
中国を封じ込めることはできない …… 197
世界最大の債権国・中国の戦略 …… 200
世界一の高層ビルを猛スピードで建設 …… 208

第5章 日本と中国、そして世界の行方
「ヒラリーの終わり」、「日本を中国にぶつけさせよ」戦略の頓挫 …… 216
アメリカの凶暴な“女高官4人組” …… 217
ヒラリーが国務長官を辞任した理由 …… 222
尖閣諸島の領有問題の唯一の解決法 …… 227
あとがき …… 234
巻末付録 主要な中国株の代表的銘柄30 …… 236

(貼り付け終わり)

以上です。これからも副島隆彦の学問道場をよろしくお願いします。

・新刊『それでも中国は巨大な成長を続ける』は、下記「1セット4冊」コーナーでも取扱っております。↓
https://snsi.jp/book/9784828416991/

中田安彦拝

このページを印刷する