「1356」番。 年末からの2週間の「産みの苦しみ」のあとで、副島隆彦が全力で書きます。 「ヒラリーの終わり」論文です。 今年もよろしく。 2013年1月8日

  • HOME
  • 「1356」番。 年末からの2週間の「産みの苦しみ」のあとで、副島隆彦が全力で書きます。 「ヒラリーの終わり」論文です。 今年もよろしく。 2013年1月8日

副島隆彦です。 今日は、2013年1月8日です。

新年のご挨拶が遅れまして申し訳ありません。私たちの学問道場は、今年も元気に、知識、思想、学問を追究して、どんな抑圧、弾圧にもめげず、しぶとく生き延びてゆきます。よろしくご参集ください。

元日の朝から、東京はよく晴れた朝でした。景気が悪く沈滞したままの日本です。どこに自分の人生の出口(脱出口、逃げ道)を見つけるか、の“出口戦略”(エグジット・ストラテジー exit strategy 、 exit は はっきりと「エ」グジットと発声する)で日本人は、ひとりひとりが深刻に考え込んでいるように見える。

自民党が選挙で勝って、安倍首相の発言通りの「円安、株高」になっても、日本国内は沈滞したままだ。自民党と 官僚(上級公務員)たちと、アメリカの手先そのもののテレビ・新聞(メディア)は、「自分たちが勝った、勝った」と意気が上がっているか、と思ったら、そのようには全く見えない。

日本人は皆、今の日本の絶望的な環境に怯(おび)えている。私も、年末から苦しい思いをした。日本国民が抱えている不安と苦しみが私の脳に伝わってきた。それで、「産みの苦しみ」で、この2週間、原稿が書けなかった。

経営者、資産家層は、ウソのような景気回復の夢を、出来たばかりの自民党・公明党の政権に頼っている。金融緩和で、日銀券(お札)と日本国債をジャブジャブ刷って、市中(しちゅう。銀行業界のこと)に流せば、それで景気が良くなり、「円安と株高」で国民の消費が伸びて企業に需要(デマンド)が生まれて、国民の消費が伸びて、それで経済が活性化する、と古臭いマネタリスト(シカゴ学派。ミルトン・フリードマンの愚劣な思想)に縋(すが)り付いている。

「(今のデフレから無理やりでも脱出するために)年率2%のインフレ目標値を達成することで、日銀と合意した」と安倍政権は年末に胸を張った。日銀を脅(おど)しあげての合意だ。それで何をするのか、と言えば、大銀行に日銀からの資金を裏から回して、株式(東証の平均株価)を政府のカネで人為的に釣り上げることをしている。そんなインチキをずっとやっている。日銀ETF(にちぎんイー・ティー・エフ)と言う。それと 円安(1ドル88円)の現出だ。

安倍首相賀詞交歓会
安倍首相は、ステロイド = 最後の薬 を使っている

私、副島隆彦は、年末からずっと怒っている。小沢一郎が育てた政治家たちが、年末の仕組まれたクーデターのような突如の総選挙(12月16日)でたくさん落選して、それで、自民党が大勝ちして、今は、「7月の参議院選挙で、“ねじれ”を克服することが、自分たちの目標だ。それまでは、経済、景気回復だけが目標だ」 と、自民党の政治家たちが掛け声を掛け合っている。

以下は、箇条書きで、ポイントフォームで書く。

1. 私は、さる出版社の社長と年初に、話をしていて、彼がはっきりと言った。「安倍首相は、1月末(すなわちオバマ大統領の次の4年の就任式(イノギュレーシン)のすぐあと)に訪米してオバマに、『日本政府が、50兆円分の米国債を買うので、あと一回の円安と日本株高をアメリカにお願いする』ということをするようだ」 とのことだった。

50兆円をアメリカに差し出す、というのは根拠のある話だ。なぜなら2008年に麻生太郎政権は、当時の財務官・溝口善兵衛(みぞぐちぜんべえ、現在、島根県知事)を使って35兆円の米国債買いをやることでアメリカの信任を得た。2012年中に、野田佳彦政権は、3回に渡って「円高阻止介入」を実行することで、合計21兆円の米国債買いを実行した。

2. 私、副島隆彦は、今も強固に、円高=ドル暴落論者である。 1ドルは、70円を割って60円台になるのだ。それが大きな流れでの世界の経済なのだ。その時期が少し先に伸びただけのことだ。 今年の秋には、スペインが崩れて、ECB(ヨーロッパ中央銀行)のドラギ大砲(たいほう)の、LTRO(エルトロ)点滴の効果が切れて、ヨーロッパに金融危機が再燃する。 それに伴いアメリカの金融・経済も、9月、10月頃には急激に変調をきたす。私はそれまでじっくり待っている。

3.「為替は、85円から90円でひとまず一服すべきだ」と安倍首相とブレーンの政治家たちが公言している。そうしないと 火力発電の 石油と天然ガスの輸入代金が、3兆円分跳ね上がって電力会社の赤字が増える。 何が何でも円安が日本の国益だ、ということはない。 アメリカさまにすがりついて、守ってもらおう、という考えは甘いのだ。

4. この2月に、アメリカ政府は、軍人たちと、公務員とりわけ教員たちの給料の支払いのための資金が無くなる。それを手当するための「国債発行の上限の上乗せ、2兆ドル」の合意は、ぎりぎりまで米議会共和党(ジョン・ベイナーたち)との、強制的な国家債務の削減の法律の自動的な発動があるから出来ない。そこへ日本から50兆円分の米国債代の資金が入るようになっている。これをお膳立てと言わずして何と言う。

5. 私は、年末からずっと、自分の中国本の5冊目を書いている。書名は、「 それでも中国は巨大な成長を続ける」 である。中国の今後のことについて、どんどん書いてゆく。それから尖閣諸島(釣魚島 ちょうぎょとう)を巡る日中の軍事衝突( confliction コンフリクション、軍事接触で、双方で5人、10人の兵士が死ぬぐらいのこと。世界基準では、どこの国でもやっている) は、しばらく先に延期したようだ。

6. リチャード・アーミテージという軍事的に凶暴な、日本操(あやつ)りの謀略人間(タコ入道の“ランボー”、CIA麻薬の帝王)が、12月19日に、安倍晋三に、「中国は、日本が尖閣に建物を建てて警察官=公務員を常駐させたりしたら、絶対に許さない」と安倍に言った。

それで、安倍が、1月3日のニューヨーク・タイムズ紙の投書欄(意見の投書)で、「第二次世界大戦でのアジア諸国、中国での日本軍の集団虐殺の過去を謝罪せよ」文が載って、すぐに、そのあと 官房長官談話も含めて、「アジア諸国への日本政府の謝罪の村山談話を引き継ぐ」という発言をした。このことで中国に対して、特使を派遣することで、日中の軍事衝突を先延ばしにする、という信号を中国に送った。

(転載貼り付け始め)

●「アーミテージ氏“米の国益に合致”」
2012年12月20日 NHK
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121220/k10014337261000.html

アメリカのアーミテージ元国務副長官は、来週、新政権を発足させる自民党の安倍総裁が、日米同盟の強化や集団的自衛権の行使を目指している ことについて、「アメリカの国益に合致する」として歓迎したうえで、中国や韓国との間で関係を悪化させないよう慎重に対応すべきだという考え を示しました。

ブッシュ前政権のもと、対アジア政策に深く関わったアーミテージ元国務副長官は、NHKのインタビューに応じ、衆議院選挙で圧勝した自民党 の安倍総裁に祝意を示したうえで、安倍氏が外交上の優先課題として日米同盟の強化を掲げ、総理大臣就任後の最初の外国訪問をアメリカとする方 針を示していることを歓迎しました。(以下、省略)

(転載貼り付け終わり)

7. 現在の安倍政権をあやつっているアーミテージと マイケル・グリーン( この男が、日本は憲法改正をしなくても 集団的自衛権の発動 = 米軍と共に中東までも自衛隊が共同で軍事行動できるという制度変更 できる と、子分の 世耕弘成・首相補佐官 たちが言い出した)と共謀なネオコン派が、東アジアでも、方針を強硬、強行、凶行路線から、穏和に弱体化させている。

8. それは、アメリカの中央政界で、自分たちの親分であるヒラリー・クリントンが病気で倒れたからだ。アメリカ政府は、オバマ2期目で、金融・経済も 外交・軍事も、CFR(シー・エフ・アール、米外交問題評議会)派の穏健(おんけん)路線に転じた。 国務長官は、ヒラリーの忠実な子分で、ヒラリーを入れて“凶暴女4人組“のひとりである、スーザン・ライス(今もまだ米国連大使。黒人)が、辞任表明(ステップダウン)して、自分たちの”米外交政策での凶行“ = アラブの春 Middle East Spring 路線の失敗を認めた。

9. 副島隆彦が、その裏側の真実を書く。はっきりと書く。私は、アメリカ政治の巨大な路線変更を、10月22日の、 米大統領選挙での 第3回目の 候補者ディベート の時に気づいた。しかし今までずっと書かないでいた。私たちの学問道場の会員ページの「今日のぼやき」の「1348」番と「1350」番で、アルル君と古村君が、「米大統領選挙の結果を分析する」で報告していた。 会員はこの文を再度、読み直してください。(1348:https://www.snsi.jp/tops/boyaki/1641 1350:https://www.snsi.jp/tops/boyaki/1641

10. ここに、「ヒラリーが国務長官を辞任した理由」が明白に書いてある。

それよりもなによりも、あの“巨大なワル女”のヒラリー・クリントンが、ついに脳血栓(のうけっせん)で倒れた。失神してゲロを吐いて倒れて(始めはウイルス性腹痛と発表。安倍晋三も近いかな?)、緊急入院後に、脳血栓が見つかった。それは、日本では総選挙の当日の12月16日(アメリカでは15日)のことだった。 これでヒラリーはおしまいだ。 彼女が、次の米大統領になる可能性は突然、消えた。

(転載貼り付け始め)

●「クリントン国務長官、血栓で入院」
2012年12月31日 WSJ
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324774204578212803166292268.html

クリントン米国務長官が30日、ニューヨーク市内の病院に入院した。今月起こした脳しんとうに関連した血栓が見つかったためという。国務省によると、現在プレスバイテリアン病院で抗凝血剤の投与を受けており、48時間は観察を受ける。

側近は血栓が発生した箇所を明らかにしなかった。同氏の報道官によると、30日に脳しんとうの予後観察を受けた際に見つかったという。クリントン氏は来年早々に現職を退く予定。オバマ大統領はジョン・ケリー上院議員を後任に指名している。

(転載貼り付け終わり)

その後、このような記事となっている。回復して公職に復帰と言っても、ヒラリーは、もう終わりだ。

(転載貼り付け始め)

●「血栓で入院のクリントン米国務長官、「完全に回復する見通し」」
2013年1月1日 AFP
http://www.afpbb.com/article/politics/2918628/10044627

頭部に血栓が見つかり入院しているヒラリー・クリントン Hillary Clinton 米国務長官(65)の治療にあたっている医師らは31日、同長官は完全に回復すると考えていると語った。

医師らが明らかにしたところによると、30日に行われた通常の定期検査で「右横静脈洞静脈血栓」が見つかったため、クリントン長官は同日、 ニューヨーク・プレスビテリアン New York Presbyterian Hospital 病院に入院した。医師らの説明によるとこれは「右の耳の後ろの脳と頭蓋骨の間の空間にある血管にできた血栓」だが、脳卒中や神経の損傷 を引き起こすものではないという。

医師らによるとクリントン長官は血栓を溶かすため抗凝血剤による治療を受け、順調に回復しつつあるという。

●「クリントン長官が退院=療養中も国務省と連絡-米」
2013年1月4日 時事通信
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201301/2013010300066


米ニューヨーク市内の病院で頭部の血栓治療を受けていたクリントン国務長官(65)が2日、退院した。CNNテレビは、夫のクリントン元大統領 や娘のチェルシーさんに付き添われて病院を後にするクリントン長官の姿を放映した。

国務省は声明で、同長官の病状について「あらゆる面で回復しつ つあり、医師団は全快すると確信している」と述べた。
同長官は昨年12月半ばからウイルス性の腹痛を訴え、自宅で静養していたが、脱水症状で倒れ脳振とうを起こした。この際に血栓ができていたこと がその後の診察で判明し、同30日に入院して抗血液凝固剤の投与を受けた。

国務省によると、同長官は入院前日の同29日、国連・アラブ連盟共同のブラヒミ特別代表やカタールのハマド首相とシリア情勢などをめぐり電話で 意見交換。入院後も職員らと電話で連絡を取り、書類に目を通していた。

(転載貼り付け終わり)

11. 副島隆彦です。 一体、ヒラリーの身に何が起きたのか。ではない、その前に、9月11日から、ヒラリー(の脳)を死ぬほど苦しめる大事件が、リビアで起きていたのだ。

私、副島隆彦は、この時、この事件はアメリカ政界を揺さぶる巨大な事件になると勘づいた。しかしその証拠が集まらなかった。その後、10月22日の第3回のオバマと、ロムニー共和党候補者のディベートの確か、前日に、ヒラリーが、 “ I am responsible for Libya .” 「私にリビアで起きた事件について(大きな)責任がある」 記者会見で発言した。

このことで、リビア米大使館襲撃(された)事件の責任が、オバマにはない、ということになって、外交問題を巡る共和党系国民からの、オバマへの激しい非難を、オバマは回避することができた。出来た、ということにアメリカ国内の国論として決まったのである。

(転載貼り付け始め)

●「駐リビア米大使死亡か 領事館襲撃事件」
2012年9月12日 産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120912/mds12091219240002-n1.htm

ロイター通信などは9月12日、リビア当局者の話として、同国北東部ベンガジの米領事館が11日に群衆に襲撃された事件で、米国のクリストファー・ スティーブンズ駐リビア大使を含む計4人が死亡したと伝えた。

米国務省は襲撃で職員1人が死亡したとしているが、詳細は明らかにしていない。中東の衛星テレビ、アルジャジーラによると、大使は出張でベンガ ジを訪れていたという。ほかの3人も大使館職員としている。

群衆はロケット砲も使用、領事館は放火され、略奪もあったという。リビアでは、昨年8月にカダフィ政権が崩壊したが、内戦時に大量に出回った武 器の回収が進まず、貧弱な治安体制が浮き彫りとなった。(共同通信)

(転載貼り付け終わり)

12, 副島隆彦です。 一体、どういう大事件がこの時、起きていたのか。今に至るも、日本国民は、指導者層を含めて、この「9月11日、リビア米領事館襲撃、そして、米大使以下4人の死亡」という事件の真実と大きな波紋のことを誰も知らない。この私でさえ、11月に入ってからようよくその全体像を知った。それは、ヒラリーが、その前年の2011年10月20日に、リビアの最高指導者のカダフィを、ヒラリーが送り込んだ殺し屋部隊に惨殺させたからである。 その報復、仕返し、復讐の事件が、だから、その翌年の9月11日に、リビア第二都市であるベンガジ(首都トリポリに次ぐ)で起きたからだ。

13. 相手を殺してやる、というほどの、復讐の気持ちほど、恐ろしいものはない。自分の身はどうなってもいいから、自分の体に爆弾を巻きつけて、敵の陣地にまで、自殺攻撃(スーサイダル・ボミング)を仕掛けるほどの 深い憎しみ、憎悪、怨念こそは、 私たち人間(人類)を突き動かす本当の、時代の変化のモーメンタム(動因)である。決心して人を殺しにゆくほどの深い憎しみを双方が持つことが日常的にならなければ戦争にはならない。

14. ここに、殺されて、その死体を地面に引き釣り回される、リビア駐在米大使であった、アメリカの国務省キャリア外交官で、人殺し部隊の司令官であった クリストファー・スティーブンスの 画像写真を貼り付ける。 謀略国家 アメリカ の手先を今もやり続ける者たちは、人にあまりにもひどいことをしたら、自分もこういう目に遭うのだ、という戒めの為にまざまざと見つめるがいい。

↑ 駐リビア米大使クリストファー・ スティーブンス の死体。民衆にひきづり回されている。

15. 私、副島隆彦は、この アメリカの人殺し部隊の司令官であった クリス・スティーブンスに哀悼の気持ちなど抱かない。リビアや中東の人々にあまりにも残虐なことばかりしてきた人間の末路だと、自業自得なのだ、とはっきりと言う。

私、副島隆彦は、今でも、虐殺されて血だらけで横たわっているカダフィの死体の写真を、自分の家の通路の壁に飾って、時々、拝んでいる人間だ。リビア国民はカダフィ政権が、無理やり、フランス・ユーロファイターの爆撃隊とアメリカのグローバル・ホーク(無人偵察殺人機。プレデター)と 「アルカイーダ」や反政府勢力と称するイスラエルとアメリカの特殊軍が育てた人殺し専門のならず者たちによって計画的に打ち倒されたことを知っている。

16. 1994年? のソマリアのモガデシオで起きた米海兵隊のブラック・ホーク撃墜と、ソマリア民衆による米兵士の死体引き釣り回し(裸にして縄にかけて地面をひきづる)の事件とは少し違うのだ。なぜなら襲撃されて殺されて死体を引き釣り回されたのは、今回は軍人ではないアメリカのキャリア外交官で大使(アンバサダー)だったからだ。大使はその国家を対外的に代表する。

大使というのは、元々は王様(国王)のお友達のような人間で、白い手袋を脱いで相手国に投げつけたら、それは宣戦布告を意味する。日本でも大使は今は認証官(にんしょうかん)というが、昔は、天皇の勅任官(ちょくにんかん)である。

そして、このクリストファー・スティーブンス J. Christopher Stevens は、ヒラリー国務長官の信頼の厚い、直属の家来だった。スティーブンスは、自分たちのカダフィ殺しの一周年記念のパーティをベンガジの米領事館で開こうと有頂天になって準備していたのだ。そして、ヒラリーが大統領になるだろうから、その時は、自分もホワイトハウスの別室をもらって、ネオコン派としての凶暴な世界軍事制圧計画のプランナー、戦略家になれる、と本当に信じ込んでいたようだ。

17. このクリストファー・スティーブンスの横にいて、「日本食い尽くし極悪人」のアーミテージとそっくりのタコ入道の男が、情報管理担当官のショーン・スミスSean Smithである。死んだあとのふたりは、米海軍の特殊部隊のアザラシ部隊 Seals の隊員だった者たちだ。自分たちが人殺し、暗殺部隊だから、自分たちも同じように殺されたのだ。

このことが、ヒラリーにとっての痛恨の事態となった。 この 死体ひきづり回しの画像がネット上に公開された9月11日から、アメリカ政界は大騒ぎになった。そして、それが今も「リビア米領事館襲撃(された)事件の責任問題」として、日本の新聞記事にもチラチラ、前後の真実の説明もなく 書かれているのである。

18. 以下は、12月中に、私が寄稿しているスピリチュアル系の言論雑誌に書いた、このアメリカ大使殺しのことである。

(転載貼り付け始め)

・・・・ここでひとつ重要な事件が起きた。 オバマが11 月4日の大統領選挙で再選される、その2週間前の対論(ディベート)で、オバマが共和党のロムニーの追撃をかわして逃げきったとされるシーンがあった。

日本人にはほんの瞬間のことだったのでよくわからなかった。外交問題を巡る議論の最中でのことだ。アメリカ政治分析の専門家であるこの私にも、この瞬間の重要性がはっきりと理解できるのにその後1ヵ月かかった。どうやらアメリカ国民の間で、大統領選挙戦の最中のこの9月、10 月にひとつの大きな山場があったのだ。

それはアメリカの金融・経済や雇用や景気回復の話ではなかった。

問題は、リビアのベンガジ(首都トリポリに次ぐ都市)で、2012年9月11日に起きていてた駐リビア・アメリカ大使が殺された事件である。この時に殺されたアメリカ国務省の外交官は駐リビア大使だったクリス・スティーブンスである。・・・・

(写真説明)  2012年9月11日に、リビアのベンガジで、アメリカ領事のクリス・スティーブンスが、リビアの民衆に殺され、遺体が引きずり回された。この事件は、前年2011年2月からの「アラブの春」で、カダフィ大佐が、アメリカ主導の「仕組まれた民主化運動」によって、悲惨な殺され方をしたことへの、リビア民衆の報復であった。

スティーブンスは、エリート外交官である。アメリカ領事館が民衆に襲撃されて殺されて、なんとその死体は路上で引きずり回されたのである。そのときの写真がインターネット上に流れてしまった。これでアメリカ国民の多くの顔がひきつったのである。
何故なら、リビアで米外交官が殺されたのは、一年前の2011年10 月20 日にリビア中部の町で殺された指導者カダフィの惨殺に対する報復、復讐劇だったからだ。

多くのアメリカ国民がこのことをすぐに悟った。「ヒラリーに忠実なテロ対策特殊部隊を指揮している外交官を、リビア人のカダフィ派の残党たちが、命がけで襲撃して殺したのだ。このクリス・スティーブンスはカダフィ惨殺の現地の責任者だ」と。
アメリカ国内の新聞記事には、どこにもあからさまにこの真実は書かれていない。しかしアメリカ国民ならこのことが空気 でわかる。だから、この直後からこの事件の責任問題が議会で騒がれた。

前述したスーザン・ライス(米国連大使)が早々と、「リビアの米領事館襲撃は、突発的な民衆の暴動によるものだ」とウソの発表をしてしまった。これで更に大騒ぎとなり、議会で、スーザン・ライスとヒラリー・クリントン国務長官を非難する声が大きくなった。だから12 月中旬の今の今でもまだ、「次の国務長官はスーザン・ライスにする」とオバマ大統領が言っている。しかしオバマがいくら言っても、議会の共和党(筆頭 ジョン・マケイン議員)が「ウソつきの就任を認めない」と強固に反対している。

だからこの事件についてヒラリーが、ついに「私に責任がある。私は国務長官を辞める」と10月21日に 発言した。これで、オバマ自身に事件の責任が及ぶことがなくなった。これで、オバマはロムニーとの大統領戦のディベイト論戦で、この苦境から逃げきったのだ。
ヒラリーにしてみれば、「アラブの春」という凶悪で「安上がり」のテロ攻撃路線( アメリカとアラブ過激派の、一体どっちがテロリストなのか分からない)で、正規の米軍を使わないで、中小国の政権転覆をやってきたことへのしっぺ返しが起きたのだ。人にひどいことをした者は必ず自分もひどい目に合うのだ。

(転載貼り付け終わり)

19. 副島隆彦です。 以上の経緯(けいい)である。 私は、3年前から、オバマの次は、オバマが病気で倒れて次は、狂暴なヒラリーが大統領になる、と予測(予言)してきた。しかし、ゲロを吐いて脳震盪を起こして先に倒れたのはヒラリーの方であった。これで“ワル女“(中国人は皆、ヒラリーが嫌いである。中国に戦争を、アメリカの属国群を使って仕掛けてくるからだ)は終わった。 だから、あとはオバマが倒れて、副大統領のバイデン(CFR派)が後をやる、ということだ。

20. その時、凶暴なネオコン派が誰を副大統領に送り込むか、である。 それでも、 アメリカの 軍人たちと 教員たち、公務員たちすべての給料を払う原資ががないので、日本の安倍晋三に、「50兆円分の 米国債を買います。それで日本を更に円安と 株高にしてください」 この2月はじめの訪米で言わせるのだ。

21. それでも この秋から、スペインで再び金融危機が起きる。ユーロは暴落する(今は、1ユーロ=114円まで上がった。副島隆彦の言うことを聞く人は、今のうちに、ユーロ建てのファンドなどは解約するように) 。 ヨーロッパの国家債務危機が再発して、それはアメリカの財政危機と連動する。その時に、日本国債の暴落の危機が、この秋から生まれる。

22. ただし、私たちの「重たい掲示板」に、会員の鈴木さんが、投稿してくれた、この年末12月23日に放映されたNHKの 「日本国債がやがて暴落する」(利回り1%から3・8%への金利暴騰を、米ヘッジファンドどもが仕組んでいる、とする。投資家のジム・ロジャーズを最期の場面で利用していた) の 日本国民を恐怖に陥(おとしい)れ、脅迫している番組は、あれは日本財務省が仕組んで、NHKに作らせた“やらせ番組“である。

このことを私たちは鋭い警戒心と共に見抜かなければならない。あの番組に出てきた 幸田真音(こうだまいん)という性悪女(しょうわるおんな)は、日本の国税庁のキャリア上がりの謀略評論家である。私たち日本国民を脅して、財務省に屈服させようとする、この企みを満天下に私、副島隆彦が暴き立てる。

(転載貼り付け始め)

日本国債に今何が起きているのか、ドラマとドキュメンタリーで描く。
NHKスペシャル「日本国債」2012年12月23日放送。
まほろばの国?、日本 2人のサラリーマンが立ち寄ったバー「MAHOROBA」
1/6 (12分)
http://www.youtube.com/watch?v=qtz7zIWF2jQ

(転載貼り付け終わり)

article-2051486-0E6EB7E700000578-571_634x429

2011年10月18日の画像。カダフィが、惨殺される2日前の写真である。アメリカはすべてを仕組むのである。このヒラリーの満面笑みをたたえたピースサインの表情が強く印象的である。
ヒラリーの周りにいる暴力団のような男たちは、リビア人やアラブ人ではない。彼らは、アフガニスタン人であり、アメリカの特殊部隊に雇われている傭兵(マーシナリー)である。この男たちが首にかけている認識カードは、背後の米軍輸送機に乗れる資格証である。
彼らは、カダフィを殺した後、処分された。彼らは、故郷のアフガニスタンに凱旋(がいせん)しようとして、首都カブールの空港に着陸しようとしたとき、タリバーンの反政府ゲリラ(笑)のロケット弾で撃墜され、全員、死亡。アメリカによる実行犯たちの〝口封じ”である。
ヒラリーのこのときの暗殺部隊最高司令官としての満願の笑い顔こそは、このワル女の生涯、最高の笑い顔だった。

その他もろもろ、私はもっと書きたいことがあるが、新年の初めは、これぐらいにしておきます。本屋に並んでいる、私の本も読み続けてください。

コラ、まだ会員にならないで、数年間もここを盗み読みに来てる人たちへ。そろそろ、私たち学問道場の正直さと、日本国民を守ろうとする必死さと優秀さを知って、会員になりなさい。

副島隆彦拝

(以下は、資料としての新聞記事。貼り付け始め)

●「リビア米領事館襲撃事件、犠牲者2人は元特殊部隊隊員」
2012年9月14日 AFP
http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2900672/9516321

リビア東部ベンガジ(Benghazi)で11日に米領事館が襲撃され、米大使ら4人が死亡した事件でうち2人は米海軍特殊部隊(SEALs) の元隊員だったことが判明した。
ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)国務長官は13日、リビアの米領事館襲撃で死亡した4人の中に元SEALs隊員、タイロン・ウッズ(Tyrone Woods)氏とグレン・ドハティ(Glen Doherty)氏がいたことを公に認め、「名誉と功績をもってわが国に尽くした」として退役軍人の2人に哀悼の意を示した。

米軍と米情報当局は、リビアの故ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐による独裁政権の崩壊後、大量の携帯式地対空ミサイル(MANPAD)の行方が分からなくなっていると警告していた。

ドハーティー氏は前月、米ABCニュースのインタビューに対し、リビア国内で携帯式地対空ミサイルを探す任務に就いていたと答え、情報に基づき 発見されたMANPADをその場で破壊するチームに所属していたと述べていた。

駐リビア米領事館襲撃事件ではこの他、J・クリストファー・スティーブンス(J. Christopher Stevens)駐リビア米大使と情報管理担当のショーン・スミス(Sean Smith)外交官が死亡している。

◯「リビアの米総領事官襲撃、国務省に組織的な過失=調査委」
2012年12月19日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE8BI03F20121219

リビア東部ベンガジの米総領事館が襲撃された事件に関する独立調査委員会は18日、米国務省に組織的な過失があり、同総領事館の安全対策が不十 分だったとする報告書をまとめた。
クリントン国務長官は報告書の提案をすべて受け入れるとしており、報告書の厳しい指摘は、4年間のクリントン長官の任務に対する評価を損ねる可 能性もある。

調査委は報告書で、国務省の近東局と外交保安局で組織的な過失や指導力と管理体制の欠如があったほか、当局者間の連携にも問題があり、外交政策 と治安対策の責任者が誰であるのかなどについて「大きな混乱」があったと指摘。この結果、「ベンガジの総領事館の安全対策は不十分となり、発生し た襲撃への対応力は極めて不足していた」とした。

ワシントンのシンクタンク、米戦略国際問題研究所(CSIS)のジョン・オルターマン氏は、報告書ではクリントン氏のみが批判の対象になったの ではないとした上で、「国務省の安全対策面での指導力などの欠如が指摘され、これはクリントン氏の任務領域となる」と述べた。
9月11日に発生した襲撃事件では、スティーブンス駐リビア大使と3人の大使館職員がロケット弾攻撃で死亡した。

●「「国務省の体制に欠陥」 リビア米領事館襲撃事件で報告書」
2012年12月19日 CNN
http://www.cnn.co.jp/usa/35025990.html

今年9月11日にリビア東部ベンガジの米領事館が襲撃を受け、駐リビア米大使ら4人が死亡した事件を調べていた独立調査委員会が18日、国務省 のシステムや指導、管理体制に欠陥があったとする報告書を発表した。
委員会のメンバーはピカリング元国務次官、マレン前統合参謀本部議長ら。今週調査を完了して報告書をまとめ、17日に1部をクリントン国務長官 に送付していた。ピカリング、マレン両氏は19日、上下両院の外交委員会で内容を直接説明する。

報告書は悲劇を招いた原因として予算不足による警備態勢の不備を挙げ、現地から再三にわたって人員増強の要請があったにもかかわらず本国側が応 じなかったと批判した。また、現地と本国をつなぐはずだった首都トリポリの大使館も十分な役割を果たしていなかったと指摘した。
さらに、本国から経験の浅い職員が送り込まれては短期間で入れ替わる体制や、現地採用要員の能力不足も問題だったとしている。事件当日、リビア 人警備員は欠勤し、地元民兵も持ち場から逃げ出していたという。

ただし、米政府職員に不正行為や職務怠慢はなかったとの判断から、個人に対する処分は求めていない。報告書は再発防止に向け、警備や防火態勢の改善、危険地域での情報収集活動の強化など24項目を提案。クリントン氏はこれらをすべて受け入れる と表明している。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝

このページを印刷する