「2131」 映画「オッペンハイマー」を見た(第2回・全3回) 2024年5月14日

 副島隆彦です。今日は2024年5月14日です。

 映画「オッペンハイマー」の感想の2回目です。

 左翼たちの勢力の思想闘争の問題になるんです。このことはまた後でしゃべりますが、コミュニストと言われるんだけど、commy(コーミー)と言われますが、信念までいかない左翼的なリベラル派はpinko(ピンコー)というんですね。ピンクなんです。赤になるほどではない人たちという意味なんですね。commyに対するアメリカ民衆の激しい憎しみ、怒りがある。

 アメリカの知識人たちが共産主義思想にかぶれているといえばそれだけで、1920年代、1930年代もずうっと世界中で、進歩的思想で人類の理想を唱える人々はみんなコミュニストになったんです。だから副島隆彦までその遺伝子はずっとつながっていて、今でも病気が治らないといえばそれだけのことなんです。

 今、新しいニューコミュニズムが始まったんですよ。ロシアと中国がどんどん今から強くなるとね。人類の新しい理想を求める。今回は馬鹿なことをしない。大量殺りくに至るようなことはしないで、着実にやろうという思想が今実は生まれていて、それの日本代表が副島隆彦なんです。

 私はだから過激な思想は持たない。穏やかに、穏やかにやって、現実世界の汚らしいところも、資本家と大企業経営者と大金持ちたちの存在も認める。彼らのずる賢さ、悪賢さがなければ人類の運営、経営はできないんだ。それに対して、大量の9割以上の貧乏人たち、低所得者層、労働者階級がいる。この事実も認めた上で新しい理想主義を唱えなきゃいけないんだということなんです。だから、あんまりきれいごとを言うなという思想が副島隆彦をつくっている。

 反対運動ばっかりやっているんじゃない。福島第一原発事故も、超微量の放射能だったから誰も死んでいないんだ。

 私が、作業員一人、赤ちゃん一人死なないと言うと、周りがぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあ騒いで、何を言うかとなった。福一の中のメルトダウンが、シリンダーみたいな格納庫じゃないよ、核反応庫じゃないよ、原子炉が壊れてそこから漏れ出したとか、嘘言え、馬鹿という話でね。下に垂れて凍りついただけだと、燃料棒からウラン燃料が。何を言うかということもずっと言い続けました。私のほうが正しいに決まっているんでね。

 だけどヒステリーを起こす人間たちがね。これは右翼も左翼もないですよ。馬鹿女が多いんですね、ヒステリーを起こす人間たちというのは。何が起きても、黙ってじっと我慢して現実に耐えるというのが普通のほとんどの人たちなんだけどね。自分の頭の上に爆弾が落ちてくれば「きゃあ」と逃げますけどね。それ以上のことは人間にはできない。

 だから、その話も含めて、私はだからオッペンハイマーたちの苦しみもよく分かる。同じタイプの人間だから。ただ、彼らはみんなユダヤ人ですからね。ここがみそなんです。映画ではあまり言わないんだけど、ユダヤ系だから、ユダヤ人がドイツではひどい目に遭っているから、収容所に入れられてね。怒り狂っているんですよ。だから、自分たちが作った原爆をドイツに落とせとなった。だから本気になるんです。ここはあまり強調しないんだけど、前提の前提なんです。一言で言うと、みんなユダヤ系なんです。

 後に水爆開発をやるエドワード・テラー(Edward Teller、1908-2003年、95歳で死)だってハンガリー系ユダヤ人ですからね。ここが大事で。あとエンリコ・フェルミ(Enrico Fermi、1901ー1954年、53歳で死)というのはイタリア系で、ムッソリーニに対する激しい憎しみを持っていた学者なんですね。イタリアから亡命してきていた。

エドワード・テラー

エンリコ・フェルミ

 もう一つ、レオ・シラード(Leo Szilard、1898ー1964年、66歳で死)という人が重要で、それもちらっと出てきましたよ。これはハンガリー人です。ハンガリー人のレオ・シラードと、周りの弟子のディヴィッド・ヒル(David L. Hill、1919-2008年、89歳で死)というのがいるんですけど、優秀な物理学者なんです。フェルミのアシスタントなんです。でも、このヒルは日本への核爆弾投下に反対する署名をしたんです。だからロスアラモス研究所から追放なんです。だけどレオ・シラードは署名しませんでした。だから追放にならなかった。

レオ・シラード

ディヴィッド・ヒル

 このフェルミとシラードが実は本当の原爆をつくった人なんです。この2人がつくったんです。アメリカのマンハッタン計画で長崎に落とした、ファットマン(Fat Man)というんだけど、これの原子力爆弾を本当につくったのはこの2人なんです。これとディヴィッド・ヒルなんです。あとは、さっきのフランク・オッペンハイマーという弟が起爆剤をかけて爆縮をやって核分裂(nuclear fission)を起こすのね。これも難しいことは言いませんが。それに対して、水爆時代になるとnuclear fusionになるのね。核融合の話になって、それは爆縮ではなくて爆発ですから、explosionになるのね。この話はもう今日はしません。

長崎に投下された「ファットマン」

 フェルミとシラードがアメリカでnuclear fission(核分裂)の特許を持っていたんです。これが重要なんです。それで、このレオ・シラードが「We are Martians」と言っていました。Martiansというのは、Marsで火星のことなんです。「私たちは火星人だから」という有名な言葉があるんです。火星から来た人間たちなんだよと。実はこれはマジャール人という意味で使ったんですね。マジャールというのは日本人でも知っているとおり、ハンガリー人です。首都はブダペストです。シラードは、ハンガリー系ユダヤ人です。

 今でいうと『開かれた社会とその敵(The Open Society and Its Enemies)』を書いたカール・ポパー(Karl Popper、1902-1994年、92歳で死)という男がそうで、それの弟子だ弟子だと名乗って食っていた、お金だけ払ったのが、悪い悪い男のジョージ・ソロス(George Soros、1930年-、93歳)なんです。これもハンガリー系ユダヤ人なんですね。日本にいる数学者なんて、何か漫才師みたいなハンガリー系ユダヤ人が1人います。ピーター・フランクル(Péter Frankl、1953年-、71歳)です。NHKに昔よく出て、今もいると思うけど。ただ大した知能はないんだと思う。あとカール・ポランニーとか、経済人類学者を名乗ったやつとかたくさんいます。ハンガリー系のユダヤ人で思想家になったやつらも。だからハンガリー系のユダヤ人たちが重要だったんですね。

カール・ポパー

ジョージ・ソロスとヒラリー

ピーター・フランクル

 あれもそうですよ。数学者で一番数学ができたと言われるフォン・ノイマン(John von Neumann、1903-1957年、53歳で死)です。だから今のコンピューターもフォン・ノイマン型と言われているけど、ものすごく数学ができたんですね、この人は。原子爆弾が爆発したときにどれぐらいの破壊力を持つかの計算とかは彼らがやったんですね。

ジョン・フォン・ノイマン

 戦後、原爆を落とされて日本が占領された後、横須賀で生き残っていた唯一の連合艦隊の旗艦でもあった長門というのもベニヤ板で囲ってぼろぼろになっていたんだけど、それもムルロア環礁か何かに持っていって、そこで海面、海に並べておいて、ドカンと水爆の一番初期のやつを落としたんです。そして日本の生き残っていたおんぼろ戦艦たちを波の力で沈めたんですね。そのときに破壊力をはかったんですね。だから、あのときに水爆ができたということになっています。そういうことをしているんです。だから水爆はあるということになっていますが、私はあまりこのことは、今は話したくない。

 あと、水爆推進派というのは、それに対してオッペンハイマーとアインシュタインたちはもうやめろと言ったんです。原爆だけで十分だ。水爆なんていうのを、そんなものまでつくるな。つくる必要はないんだと、破壊力としてもう十分だ。あと、オッペンハイマーが一生懸命数式で計算したんですよ。そしたら理論的に計算したら水爆はつくれないという書類をどうやらアインシュタインに見せようとしたんですね。そしたら、見たくない、読みたくないと言ったんですね。「俺は量子力学は嫌いだから」と、そう言った。かつ、もうこれ以上やるんじゃないと、巨大破壊兵器をつくるなと。

 やがてその後、パグウォッシュ会議といって、アインシュタインとバートランド・ラッセルたちが中心になって原爆やめろ運動をやるんですね。それに日本の湯川秀樹(ゆかわひでき、1907-1981年、74歳で死)と朝永振一郎(ともながしんいちろう、1906-1979年、73歳で死)たちも参加して、日本からも核爆弾反対運動になるんですね。

第1回パグウォッシュ会議(1957年)

 しかし本当は、1回目で言った仁科芳雄(にしなよしお、1890-1951年、60歳で死)が一番偉くて、仁科が理化学研究所の理事長で、東大の理学部なんかよりずっと偉いんですよ、理研は。理研の「ふえるわかめちゃん」も理研から生まれたんだけど。あとは例の「STAP細胞はあります」の小保方晴子(おばおかたはるこ、1983年-、40歳)なんかも理研なんですね。かっぽう着を着て出てきたけど。小保方が色仕掛けでだました一番優秀な男、笹井芳樹(ささいよしき、1962-2014年、52歳で死)がいた。

小保方晴子と笹井芳樹

 日本で1番優秀で、ノーベル賞に一番近かった、笹井(ささい)は自殺した。それに比べれば、今のあの馬鹿野郎が、京大で威張っている邪魔中伸弥(山中伸弥、やまなかしんや、1962年-、61歳)だ。山中はただの臨床医(りんしょうい。患者を治療する)なんだ。あんなのインチキなんです。だから、ノーベル賞を貰ってあの後、この10年、iPS(アイ・ピー・エス)細胞なんて何もできやしない。成果が何もない。カネばっかり集めている。
  やっぱり受精直後の卵(らん)・胚(はい)を使わないと。核分裂と同じように細胞分裂というのが起きない。分裂作用は若い受精卵で、一瞬のうちに爆発現象で起きるんです。細胞分裂のすごいのを利用しないとつくれないんですね。

山中伸弥

 ところが、ローマカトリック教会が「人間の卵・胚はいじるな。生殖細胞をいじるな」と言ったもんだから、いわゆる生命体研究はとまらざるを得なかったんです。 stem cell(ステム・セル)という幹(かん)細胞しか使っちゃいかんとなった。そうしないと、豚と人間の精子・卵子をかけ合わせるようなことをやるマッド・サイエンティスト(気違い科学者)が世界中に隠れて今も居るんです。。実験で新しく存在するものは、やる、という理由になっています。この生命体の初期の爆発現象と一緒なんですよ、ウランとプルトニウムの核分裂(ニュークレア・フィッション)は実は。このことはもうこれぐらいにしましょう。

 だから仁科芳雄(にしなよしお)が、これとこれを研究してみろ、と言って、弟子である 湯川と朝永にやらせた。それの業績が戦後、ノーベル物理学賞になる。本当は仁科が偉いんですよ。仁科が本当は偉いんだというのを書いたのが私の弟子で、下條竜夫(げじょうたつお)君です。兵庫県立大学にいて、SPring-8という国策の国立実験場で実験をしています。素粒子系で、ぐるぐるっと巨大な円形を回して破壊して、そこから何かを取り出すというのをやっている、SPring-8をやっている下條竜君が書きました。それで本にしました。

物理学者が解き明かす重大事件の真相←青い部分をクリックするとアマゾンのページに行きます

 それで、原爆推進派のルイス・ストローズ(Lewis Lichtenstein Strauss、1896-1974年、77歳で死)という男がこの映画で非常に重要で、ロバート・ダウニー・Jr.(Robert Downey Jr.、1965年-、59歳)という名俳優なんですけど、こいつがオッペンハイマーを追い詰めていくんです。このルイス・ストローズのことを日本人は誰も知らないと思う。

ルイス・ストローズ

ストローズを演じるロバート・ダウニー・Jr.

 ストローズは原爆推進派でした。原爆を広島・長崎に落とした、1945年8月6日と9日でしょ。ルーズベルト大統領はその4月に死んでいますから、副大統領だったトルーマンが大統領になって原爆投下命令を出している。トルーマンが署名して8月に落としたわけですが、オッペンハイマーは、ロスアラモス研究所の所長(原爆製造の責任者)として、10月に大統領執務室(オウヴァル・ルーム)に会いに行っている。そこで映画の中でも、「私は自分の手が血で汚れているようだ」と言っていましたね。横に国務長官のバーンズがいたかな。2人の大物政治家が、オッペンハイマーの発言に、白けたような顔をして。オッペンハイマーは、もうロスアラモス研究所は閉じて原爆研究はしないでくださいと言ったと思います。

 そしたら、帰り際に彼の背中に向かって、wimpy(ウインピー)と言わないで、crying baby(クライング・ベイビー)と言った。泣き虫。「あの泣き虫を二度とこの部屋に入れるな」というトルーマンの声が、オッペンハイマーの背中に聞こえる。あれが重要なんですね。

 やがてルイス・ストローズは商務長官になるんだけど、政治家なんです。彼は、ミシシッピ州の大金持ちなんです。政治家たちにお金を、ニクソンにもお金をいっぱい出した男です。このルイス・ストローズが、そのときは商務省の長官、secretaryじゃなくて、まだacting secretary(長官代理)だったと思う。そして原子力委員会の委員長になるんですね。かつ軍人でもあるんですね、当時。海軍少将だ。そして、こいつが水爆研究をやるんだという形で、オッペンハイマーを痛めつける最大主役として描かれて、これが真実です。

 ストローズはオッペンハイマーに、アイソトープ推進を一回馬鹿にされて、ずっと根に持っていたんですよ。オッペンハイマーが公聴会みたいなやつでめちゃくちゃ言った。めちゃくちゃというか、非難し、能力はないと言った。

 商務省は、Department of Commerce(デパートメント・オブ・コマース)というんだけど、実は、日本でいえば通産省なんですよ。今は経済産業省ですけど。通産省は日本では戦前は、商工省(しょうこうしょう)だった。商業と工業です。岸信介(1896-1987年、90歳で死)が商工次官、商工大臣だった。だから、本当のことを言うとね、商工省は戦争推進省なんです。戦争のために物資と技術と人間動員をする研究はね。だから実は戦争省(せんそうしょう。war department ウォー・デパートメント)なんですよ、経済産業省というのは。本当のことを言うとそうなんです。このことは、今の日本人はもうあんまり言わないけどね。

 だからアメリカ商務省は戦争推進省なんです。技術と物資ね。三井物産や三菱商事なんかを動員して世界中から物資を集めろという命令を出すのね。それが産業部門の一番上にいるわけですね。だからルイス・ストローズが商務省の高官として命令する訳ですね。査問委員会の委員長の隣ぐらいにいたな。それでオッペンハイマーを痛めつけた訳です。

 ミシシッピ州の大金持ちで、最初のシーンに、池の横でアインシュタインとオッペンハイマーが話しているときに遠くから近寄ってきたんだね。自分の悪口を言っているんだろうと思ったんですよ。そんなことじゃないんだけど。あそこで、I’m a shoeseller、shoemakerと言ったのか。shoe salesmanと言ったよ。靴屋だ。「靴売り屋なんだ、俺は」と言いながら寄ってくるんですよ。

アインシュタインとオッペンハイマー(映画のシーン)

 靴売り屋って何だよ。もうはっきり言います。俺たちはみんなユダヤ系だ。そしてユダヤ系の中でもオレは、Wandering Jewというんです。これは「さまよえるユダヤ人」といって、peddler(ペドラー)といって行商人なんです。ヨーロッパ中を、靴を売って回っていたユダヤ人なんだ。ユダヤ人の中でも一番下の被差別民なんだということです。

 これを言うとまずいんだけど、京都の長田区(ながたく)でも何でも東京でも、浅草(矢野、やの)弾左衞門(だんざえもん)は、穢多頭(えたがしら)です。 車善七の方は、吉原の廓(くるわ)を管理している非人頭(ひにんがしら)です。穢多頭(えたがしら)の弾左衞門は、明治になって靴屋になるんです、大きな靴製造業者に。皮剥ぎ職人ですからね。動物の皮を剥いで、武器のよろいとか馬の鞍とか、武士たちの為に、いろいろ馬具をつくっていたわけ。

 もうちょっと言うと、グッチとかエルメスも馬具屋なんですよ。被差別民なんだよ、本当のことを言うと。商業民というかね。どこの国も一緒なの。言っちゃいけないけど言ってやる。ほんとにもう、馬鹿野郎たちが。何を言っているんだと。馬具屋だぞ、もともと。皮細工屋だぞと。大きなトランクとかバッグとかね。

 被差別民です。だから、さらに同じユダヤ人の中でも一番下だと言ったんです。何であんなことを言いながら寄っていくのかが私にも理解できないけど、分かる人はみんな分かるんですよ、ヨーロッパ人、アメリカ人は。俺は下層階級の商売人のユダヤ人なんだぞと、おまえら高級学者ユダヤ人とは違うんだけどよと言いながら寄っていってね。最後のシーンにまた出てくるけど。このストローズの役が最も重要なように描いてあった。

 さっき言ったディヴィッド・ヒルを、ラミ・マレック(Rami Malek、1981年-、42歳)という俳優が演じています。マレックは「ボヘミアン・ラプソディ」(2018年)という映画で、フレディー・マーキュリー(Freddie Mercury、1946-1991年、45歳)をものすごくそっくりに演じて評判がよかったと言われている。あと、007の最新版でダニエル・クレイグ()が主演、ジェームズ・ボンドを演じた最後の作品でも悪役として出てきたということです。人気のあるいい役者だと言われています。私はあんまりよく分からない。あんなのは、若い、まだ餓鬼にしか見えない。それが今の時代なんでしょう。

ディヴィッド・ヒルを演じるラミ・マレック

 オッペンハイマーは、マックス・ボルン(Max Born、1882-1970年、87歳で死)というのと、最初のころ、20代のころ共同研究をやっているんだよな。ボルンという物理学者が何をやったか、よく分からない。

マックス・ボルン

 わざとエドワード・テラーを、目がぎょろぎょろした、腹に一物ある、いかにも悪い人間に描いていたけど、本物はああいう表情じゃなかったみたい。

 エドワード・テラーはね、目がぎらぎらして輝くあれが実は、水爆を推進して、あの後、ソビエトに落とせみたいなことを言った有名な学者がいるんです。これ、原題でDr. Strangelove「ドクター・ストレインジ・ラヴ」という映画になるんです。これは日本語では「博士の異常な愛情」という変な名前になるんだけど。つまり、死ぬほど核兵器を愛して、核兵器を落とすことが夢であったハーマン・カーン(Herman Kahn、1922-1983年、61歳で死)という男です。目がぎょろぎょろ輝いて、ぎらぎらして、狂っている博士、もうマッド・サイエンティストです。政界にも力がありました。

ハーマン・カーン

 このハーマン・カーンがつくった研究所が、ニュージャージーにあるハドソン研究所です。今もあります。政策研究所で、日本からも資金が行っています。この研究所にお金を貢いだんです。カーンは、80年代まで生きていた。

 その映画、「博士の異常な愛情(Dr. Strangelove)」(1964年)を撮ったのは。スタンレー・キューブリック(Stanley Kubrick、1928-1999年、70歳で死)だ。目がぎらぎら、ぎょろぎょろしながら、最後に原爆が落とされる、核兵器を落とされるシーンを描いた映画なんです。この映画では、その男の雰囲気でわざとテラーをダブらせたんです。

スタンレー・キューブリック

 あと一つ。ロスアラモス研究所の軍人代表で有名なやつ、グローヴスというんですね。レズリー・グローヴス(Leslie Richard Groves Jr.、1896-1970年、73歳で死)中将です。レズリー・グローヴスは、military engineerというんですけど、工兵部隊がいないと戦場で橋をかけたり爆薬を仕掛けたりできないですからね。その工兵部隊の中将なんです。グローヴス中将が軍人代表でマンハッタン計画を指揮するんです。形上はオッペンハイマーたちに対する管理統制権まである。

レズリー・グローヴス

 もう1人、防諜将軍というのが、ボリス・パッシュ(Boris Theodore Pash、1900-1995年、94歳で死)というのが出てきて。防諜(ぼうちょう)というのはカウンター・インテリジェンスで、ロスアラモス研究所に共産主義者が潜り込んでいるというのを摘発して回る係です。スパイを摘発するspymasterだ。これも出てきています。原爆づくりの真ん中に共産主義者を入れるなとか、わあわあ言っていました。

ボリス・パッシュ

 グローヴスとオッペンハイマーが初期の爆破実験の跡地で立って2人で話しているシーンとか、写真は今もあるんです。このグローヴスも一応理科系なんです。だから工兵部隊の大将なんで。戦後はアメリカのmilitary engineerの人たちは戦争が終わって仕事がなくなったから、アメリカ全土に国道をつくって回るんです。それが彼らの大きな仕事だったんです。立派な大きなハイウエーをずっとつくって回ったんです。

 このグローヴスをマット・デイモン(Matt Damon、1970年-、53歳)が演じていた。いかにもアメリカのでぶのおじさんみたいな感じでうまかったと思うけど、あれでは賞はもらえないんでね。いい脇役になっている。

グローヴィスを演じるマット・デイモン

 最後、もうロスアラモス研究所を閉めるといって核兵器をした後、足を踏みならして幹部たちだけ100人ぐらいが集会所で集まって、日本に核兵器を落としたと、広島と長崎に落としたと言いました。で、何か言ったんだけど聞き取れなかった。その後、ドイツにも落としたかったと言ったのはあった。みんなで感激した。

 しかし、そのときにもうディヴィッド・ヒルは外に出てゲーゲー吐いているのね。あと外で泣いている夫婦もいるのね、若い男女が。だから反対派がいたということです。ただ、反対したら首ですからね。アメリカははっきりしているんです。反対したらもうやめて、いなくなれですね。給料ももうもらえなくなるわけね。

 ここが重要なところで、その前に、そうね、4つから成るんです。何でマンハッタン計画かというと、恐らくドイツや日本をごまかすために。マンハッタンというとニューヨークのことですから、関係ないんです、ニューヨークは。

 シカゴ大学にあるんです。シカゴ大学のフットボールフィールドで最初の爆発実験をやったんです。一番初期の実験をね。そこからテネシー州のオークリッジ研究所かな。それと戦後は、カリフォルニアのローレンス・リバモア研究所。それと、やっぱりカリフォルニア大学バークレー校 ですね。この4つで研究していたのを統合して、ニューメキシコ州の砂漠の中に、インディアン居留地のところにロスアラモス国立研究所をつくって、今も2万5000人も職員がいる。大規模な研究施設です。    (つづく)

このページを印刷する