『DVD版 司馬遼太郎を砲撃する!』(DVD)
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- 『DVD版 司馬遼太郎を砲撃する!』(DVD)
- [タイトル]
- 司馬遼太郎を砲撃する!
- [副題]
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- [商品番号]
- V-08-D
- [講演者]
- 副島隆彦
- [主催]
- 副島隆彦を囲む会
- [会場]
- 東京都・文京シビックホール 小ホール
- [媒体]
- DVD(デジタル・ビデオ・ディスク)
- [収録日付]
- 2004年9月20日
- [収録時間]
- 143分
- [価格]
- 4000円
- [会員価格]
- 3000円
「司馬遼太郎を砲撃する!」は、2004年9月20日(月)に行われた、思想劇画『属国日本史 幕末編』(早月堂書房刊)の発刊記念の約2時間の講演会ビデオです。今まで色々な事情があって発表が遅れてしまいました。
講演の内容は、司馬遼太郎(しば・りょうたろう)に代表される歴史観、有能で気概ある英雄的な日本人達によって作られてきた日本の歴史、という歴史観を、歴史的事実・実態を検討しつつ「属国日本史論」に基づいて丸ごとひっくり返そうとしたものです。
我々の多くが今まで信じ込まされてきた不自然に誇り高い日本の歴史は、見方を変えるとイギリスやオランダ、アメリカ(その昔は中国)のような、より優れた文明を持つ国々の下位にあって、多くの部分が操られていた歴史だったのではないか。特に幕末や日清・日露戦争の時には、日本の国家運営の大部分がイギリス・アメリカによって導かれていたことなどを、今一度あらためて世に暴き晒した講演でした。
このテーマに沿って、今でも「学問道場」内で有志の方々による研究が進められています。 例えば『ふじむら掲示板』におけるバード氏の投稿「[4961] 司馬遼太郎という人が代表的日本文化人であるかぎり、日本人と日本文化はダメだろう。 投稿者:バード 投稿日:2005/06/12(Sun) 21:42:54」に見られるように、司馬史観のおかしさについては次々と最新の言論が出ているようです。
(転載はじめ:「ふじむら掲示板」バード氏の投稿より)
・・・・『坂の上の雲』には、乃木将軍無能説や、旅順攻防戦の是非など、重大な歴史誤認があるそうである。(福井雄三『「坂の上の雲」に隠された歴史の真実』2004年11月)他にも相当に怪しいところが、いっぱいあるだろう。 ――先の『日本人と日本文化』は、この新聞連載が終わる年に発刊されたものだ。
ところで上記転載で、「新聞連載が完結して以来、NHKとしてテレビドラマ化の交渉を続けてきた結果、このほど、著作権継承者である福田みどりさんから映像化の許可をいただきました。」とあるが、司馬氏は、この作品をテレビ化しないようにと、遺言したということである。だから、NHKは三十年以上、その意思に反して製作できなかったようだ。 司馬氏がどういう気持ちでその遺言を残したのか知らないが、本人がそういうのだから、その意思を尊重すればいいのにと、私は思いますが、NHKおよび権力者はよほど司馬氏が好きなのであろう。彼らにとっては、この『坂の上の雲』が最高傑作であるのだろう。
(引用開始:福井雄三『「坂の上の雲」に隠された歴史の真実』2004年11月)
・・・各界の識者に対するアンケートをとってみても、圧倒的多数の人々が(中曽根元首相をはじめとして)この『坂の上の雲』を最高の「歴史書」として賞賛しているのである。そして彼らが、日本という国家の功罪も含めてその近現代史を批判する際の、最も強力な武器となり拠り所となっているのが、この『坂の上の雲』なのである。いやさらに極端な例をあげれば、新進気鋭の学者や大学教師などの書いた文章の中にも、この『坂の上の雲』に強く影響されたのではないか、と思われるような箇所が散見されるのだ。(P15~16)
(引用終了)
(転載おわり:「ふじむら掲示板」バード氏の投稿より)
須藤よしなおです。
上記で紹介されている本「福井雄三・著『「坂の上の雲」に隠された歴史の真実』」の他にも、日本海海戦で秋山真之は主要な役割を果たさなかったことを暴いた『坂の上の雲の真実』(菊田慎典・著、光人社刊)という本があります。
また同じ著者による『東郷平八郎』(菊田慎典・著、光人社刊)では、秋山が発明したと言われる有名な「丁字型戦法」は、東郷自身が採用したものであり、しかも彼の独創ではなく、東郷が終生の座右の書としたロシア将官マカロフの教科書(トラファルガーの海戦を戦ったイギリスの提督ホレイショ・ネルソンを研究した本)で詳述されている戦術であると指摘しています。東郷には若い頃7年間のイギリス留学の経験があります。
更にこれらの本の参考文献の中にはありませんでしたが、重要な一次資料として『日露戦争:英国参謀本部機密文書集 全5巻 The Russo-Japanese War:Reports from Officers Attached to the Japanese Field, General Staff: War Office-Directorate of Military Operations & Intelligence, Vol.1-5, August 1905-June 1906, Introduced by Sebastian Dobson(ISBN: 4-931444-43-1)』という文書があるそうです。 http://www.aplink.co.jp/synapse/4-931444-43-1.htm
128,000円もする高価で浩瀚な資料であるうえに、どこの図書館にも置いていないようなので、私はまだ現物を閲覧することはできませんが、名城大学都市情報学部助教授の稲葉千晴氏の紹介するところによると、日露戦争当時「他国の武官団は5-6名であった中、イギリス陸軍が日露戦争中に27人もの観戦武官を送り込ん」でいた、ということです。 以下、引用します。
(引用はじめ:「英国参謀本部機密文書集」稲葉千晴氏の推薦文より)
さらに驚くことは、この(イギリス)武官団に対する日本側の対応であろう。たとえば、本書に含まれている1904年4月5日付児玉源太郎参謀次長による日露戦争の戦況説明は、同盟国イギリス向けの特別のものである。他国の観戦武官は一人も入っていない。しかも、数字を挙げたりして内容が非常に具体的で細かく、新聞発表などとは較べものにならないほどである。
(引用おわり:「英国参謀本部機密文書集」稲葉千晴氏の推薦文より)
須藤よしなおです。
児玉源太郎のイギリスに対する上記のような対応は、「他国を味方につけるための広報」や「同じ同盟国としての相談」を遥かに超えたレヴェルのものであり、はっきりと「イギリスから指示を貰っていた。会戦等のやり方を聞いていた」と言ってしまってよい類のものでしょう。属国にとっては、国家機密など無いに等しいようです。
『日露戦争を演出した男 モリソン』(ウッドハウス暎子・著、新潮文庫刊)という本では、最後の段階までロシアとの戦争を回避したかった日本国首脳陣に対して、何としても日露間で戦争を発生させたかった(そして実際に起こした)イギリスの代表的な人物達が、「報道」という世界に焦点を当てて描かれていました。
こうした歴史の実相に迫る、最新の様々な言論の紹介も、いずれまとめてやりたいと思います。
須藤よしなお拝