「113」 「プラズマ宇宙論 vs ビッグバン」 議論の第3回の分を載せます。 2009.10.27
副島隆彦です。今日は、2009年10月27日です。
続けて、「プラズマ宇宙論 vs ビッグバン」の第3回を載せます。 ポイントフォームの81.から120.までです。
副島隆彦拝
(副島隆彦による要約文の 転載貼り付け始め)
81.素人の素朴な問題提起 ダーク・マター(暗黒物質)とやらすら分かってないのに、宇宙の誕生なんて人間が解明できるわけがない。
82.回答 量子重力理論 でも宇宙の誕生は説明できない。でもそれが、ビッグバン説やインフレーション宇宙論でなくても良くなった。この点が1980年頃と今は違う。 「宇宙は誕生しないでも、最初からあった。」でも良くなった。 従来の宇宙論では、大量のダークマターが重力源として必要になる。 その候補は見えにくい天体やニュートリノの超対象性粒子ニュートラリーノ、超ひも理論 の予言する E8×E8 対称性物資など様々ある。観測では、MACHO天体 (見えにくい天体) が既知の物質の2倍ある。正体不明のダークマターが6倍で、これでもまだ理論が要求する量に足りない。
83. 哲学(フィロソフィー)では、昔から、はじめから時間は存在しないことも考えている。
時間に終まりと始まり はないという本もある。 ブリゴジンのお弟子で、「科学の終焉」を書いた。 無限宇宙論にもいろいろあるようだ。
84. 物質分布のスケール依存性 という もの がある。 3年前に発表された背景放射の揺らぎと綺麗に一致する。 これは、どのくらいの規模で見るとどのくらい物質に偏りがあるかという性質のことだが、背景放射が超高圧プラズマの名残だと考えると、天体観測による物と一致する。
85. エリック・ラーナーと、ハンネス・アルベーンの主張は互いに関係無い。 背景放射と赤方偏移はビッグバンが最も自然に説明している。背景放射もただそこにあるというだけではない。ビッグバン宇宙論がまだ火の玉宇宙論 だった頃の性質を示している。
86. (突然、副島隆彦の文の貼り付けが登場)
「809」 副島隆彦の「ミネルバの梟(ふくろう)は夜、飛び立つ」論。
http://snsi-j.jp/boyakif/wd200611.html#2301
おなじく、アルバート・アインシュタインが、それを発展して作った「相対性原理」である(そうだと言い切って構わないだろう) 「f = mc の2乗」(力の大きさ f は、質量 m かける光速度c の2乗) というのも、宇宙の果てまで通用するということはない。 このことを、私は、「会員ページの「808」番で書いた。 アインシュタインが作った「光速度一定の原理」は崩れつつある。光速度よりも早いものはない、ということになっていた。ところが、近年、光速度の1.7倍の速さの物質が観測されている。 アインシュタインが、今のビックバン宇宙論体制派の生みの親である。 「宇宙項」というような、失策アイデアを出したのも彼だから。
1964年からの電波望遠鏡(でんぱぼうえんきょう)の観測からビッグバン宇宙論が出て来た。 背景放射(はいけいほうしゃ)とか、ビッグ・ ウォール(大きな壁)とか、反物質(はんぶっしつ)とか、暗黒物質(ダーク・マター)とか、「ブラックホール」とか、「ゆらぎ」 とか、訳の分からない専門用語を、ビッグバン派は、たくさん作って、そして、世界中の人々を煙(けむり)に巻いた。
(中略)
人間には、宇宙のことはまだ、ほとんど分からない。それなのに分かった、宇宙の始まり(ビッグバン)などという、愚かきわなり無い理論が、体制派となって、この40年間はびこっている。
(中略)
だから、これも、「808」番でも少し触れたが、私は、彼ら愚劣なるビッグバン宇宙論」(宇宙進化論) に対して、それと敢然と対決する「定常宇宙論(ていじょううちゅうろん)」を支持する。 定常宇宙論 Static State Universe は、はやくも1951年に、ケンブリッジ大学のフレッド・ホイル Fred Hoyle らが、提唱したものだ。今もずっと生き延びている。こっちが正しいだろう。
(中略)
ビックバン宇宙論のような嘘くささが、量子力学(りょうしりきがく、quantum mechanics クオンタム・メカニックス)にはあまりない。アインシュタインが、量子論、量子力学を馬鹿にして、嫌(きら)ったそうだが、私は、だからこそ量子力学は正しいだろうと肩をもつ。
87. このスレッドのギャラリーの為に最低限の説明を入れておく。 上記の文は、量子力学がビッグバンを否定するとでも思っているようだが、量子力学こそは、一般相対論では記述しきれないビッグバンの問題点を解決する学問である。 それとビッグバンと宇宙の始まりは科学的に何の関係も無い。
88. このスレッドには、世界が亀の背中に乗った象に支えられてるということも知らない人がが多いのかな。
(副島隆彦注記。 アインシュタインの講演会で、質問に立ったイギリス人の老婆が、アインシュタインに向って、「あなたは宇宙がどういう風に出来ているか知っているか」と公然と聞いて、そして、その答えとして吐いた言葉として、有名になった。)
89. 「暗黒物質を初観測、ナゾの質量分布特定…日米欧チーム」
読売新聞 2007年1月8日 の記事
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070108i401.html.
90. 電磁波では観測できない資料がある事は1970年代から分かっていた。標準的な宇宙進化モデルでは、その暗黒物質が重力場を支配し銀河や銀河の作る構造を形作っていると説明される。SDSS(スローン ・デジタル・スカイ・サーベイ) では重力レンズの働きから、それらが存在する事を早い段階で決定的にした。 それでも宇宙初期の銀河を説明するのは無理だ。
91. ビッグバン説が、宇宙膨張の再加速が確認されたために、以前は、「宇宙の99%はダークマター」といってたのを、「宇宙の30%はダークマター、70%はダーク・エネルギー」 と言い出していたが、その後、どうなったのか。 ご都合主義的に、「ダーク・エネルギーなるものがあることにしてしまえばいいんですよ」 というのは、どんなものでしょうか? あと、軽元素の存在比 が新観測で、従来と違うことがわかって、ビッグバン説の論拠に使えなくなったという件は、どうなりましたか?
92. 弁解が始まる ダークマターの量は、WMAP の観測によるまでは全体量が把握できなかった。
実際、WMAP によるダークマターの量は、標準理論が要求する値に全然足りない。だからこそ
私は、ビッグバンと共にプラズマ宇宙論も支持する。ダーク・マターではなく電磁気力が天体進化の決定的な役割を果たしているという。無用だからと言って存在まで否定する根拠もない。 宇宙ひものように、有ってもいい。 ダーク・エネルギーについては仮説であり、膜宇宙論では、これの存在は未知のエネルギーを排除した上での説明として可能だとする。これはエネルギーに見えるだけの現象に過ぎないという。
軽元素については初耳だ。最新の観測では、標準理論が予言するより遥か以前から銀河が形成されている事が分かったから、その影響ではないか。 それでも、直接観測できるようになったビッグバンそのものを否定するには余程の根拠が必要。 ただし、ビッグバンに基く重力主導の標準理論は確実に綻(ほころ)んでいると私も考える。
93. 宇宙の加速度膨張は従来の一般相対論的な宇宙モデルを一新させる発見だった。それに関して他に説得力のある代案がない現状では、ビッグバンを否定する根拠にはならない。
94. 先の新しい観測データは、ビッグバンの否定にまではいかない。 ビッグバンは有力な仮説だけど、まだ、検証が十分じゃない。 もともと、宇宙論は、検証・反証が難しい領域の議論だ。
一般向け科学書を読んだ素人の感想ですが、ビッグバン説・プラズマ説も、双方、未検証の仮定を大量投与して仮説を組み立てている。同一の観測事実について、まるっきり別様の仮説が提起されている。
このことが素人には面白い。
95. >直接観測できるようになったビッグバン
ハッブル膨張、宇宙背景放射、軽元素の存在比 以外に、何か見つかったのか。 ビッグバンを直接観測したとはどういうことか。 私も素人だが、観測できる範囲で100年に満たない期間膨張しているように見えるというだけでは、宇宙がある一点から始まったという証拠にならない。 膨張してるようにみえるならやっぱり膨張しているし、収縮していたらやはり一点にだ。 ビッグバンがあった根拠には、この他に、CMBの観測実験とかが行われてきたはずだ。
96. >直接観測できるようになったビッグバン
宇宙背景放射の精密な観測で、超高圧プラズマの時代の音響振動が観測できる。 音響振動から媒質の性質や空間の状態が手に入る。 これが直接観測だ。
ビッグバン宇宙論(ビッグバンに基く宇宙進化仮説) も、プラズマ宇宙論も、両方とも理論の飛躍が大きい。ビッグバンそのものを否定しなくても、プラズマ宇宙論の方は困らない。 電磁流体力学は身近な所か
原始太陽系への新しいアプローチも期待されている。 ビッグバン理論が説明できる範囲は 原子を作れなかった始めの38万年間だけであり、後はプラズマ宇宙論の時代だと私は思う。
97.>何もビッグバンそのものを否定しなくてもプラズマ宇宙論は困らない。
私が読んだのはエリック・J・ラーナーの例の「ビッグバンはなかった」ですが、 それによると、プラズマ宇宙論に基づく銀河や大規模構造の形成は、 何百億年だか、何千億年だかかかる。だから現行のビッグバン宇宙論による宇宙の年齢と矛盾する。 15年以上前の本なので、プラズマ宇宙論も修正されているかもしれないが。
98. その説を採ることは、プラズマ宇宙論にとってマイナスだと私は考える。 何故ならビッグバンの標準理論の方が矛盾無く宇宙を説明しているからだ。ビッグバン理論によれば昔の宇宙はもっと小さかった。重力同様、電磁気力も距離の二乗に反比例するから、物質同士の距離が半分なら4倍の強さで働くはずだ。原子が出来て光や磁場がまともに作用するようになった頃の宇宙は、今の1000分の1しかない。今の100万倍の強さで電磁気力は働く。 計算設備が無いので分からないが、小さな宇宙の中でも大構造、又はその雛型を作るのにそんなに時間を必要としたとは私は考えない。
99. 「ビッグバンはなかった」〈上〉(下) エリック・J. ラーナー (著), Eric J. Lerner (原著), 林 一 (翻訳)
「ビッグバン危うし―宇宙論、はじめての危機 」 ジョン ボスロウ、John Boslough、 青木 薫 (単行本 – 1993/8)
「世界の論争・ビッグバンはあったか―決定的な証拠は見当たらない」 近藤 陽次 (単行本 – 2000/8)
あと一冊ある。
100. 量子重力理論が右往左往しているせいである。 ホーキングやビレンキンの理論は確固たる物理の上に成立っているのではなくて、 量子重力理論が備えなければならない性質を組み合わせて作っている理論だから説得力はある。しかし系統だった説明はできていない。
101. 議論を蒸し返すが、宇宙の加速膨張発見は、従来の前提をひっくり返す内容だったはずだ。
すべての議論は、かなり検証されている一般性相対論の理論予測である宇宙膨張と、観測事実であるハッブル膨張が合致するのではないか、ということから始まったものだ。ところが、今度、一般性相対論の理論予測に反する加速膨張が観測されてしまった。
新たな観測に合わせて、一般性相対論をいじる(部分変更する)なり、他の理論をもってくるとかすると説得力という点でだいぶ低下する。 すくなくとも理論を観測が裏付けているとはいえない。 この件に関する科学報道は、 「アインシュタインの宇宙定数は存在した?!」 とか「真空のエネルギーの発見?!」といった感じになっている。どうも違う。
102. 弁解 すでに何度も言われてるが、宇宙項(うちゅうこう)は一般相対性理論と矛盾しない。アインシュタインはそれを入れる根拠が無かったからゼロにすべきだとした。これは観測に基かない値だ。 ところが、観測はゼロでない事を支持していた。だから宇宙項が復活した。
103. 宇宙の成り立ちについてのより核心に迫った理論があるなら話は別だ。代案もなくガモフが提唱してからずっと、「宇宙が初めは火の玉だった」という理論を、観測事実で、悉(ことごと)くビッグバンを裏付けている。たしかにビッグバンの 標準宇宙論 は 明らかに問題山積で、どこか前提が間違っているように見える。私もそのように考える。
104.アインシュタインの擁護。 同感だ。 アインシュタインの宇宙項は、理論だけでは定まらない不定項であり、 観測データが少なく問題をシンプルに考えるべき、以前の段階では、ゼロと置かれていただけだ。 データが少なかったり誤差が大きくてパラメータの値を絞りきれない段階では、そのパラメータを無視して議論することもよくあることだ。 単純化しておいたほうが扱いやすい。その方が研究が速く進む。 研究が進み、問題点が無視できなくるほど大きくなったら、再度、宇宙項を取り入れて議論すればいい。
新しい理論モデルを作るときに、研究の初期段階ではパラメータの少ない単純なモデルを作り、その後徐々に現実的なモデルを適用していくということはよくある話だ。 何のためにどんどん詳細な観測が求められているのかを考えるべきだ。 過去にビッグバン宇宙論の矛盾といわれたデータはたくさん出てきた。今でも矛盾のまま残っているものはいくつあるのか。
105.初学者からの質問。 宇宙は無限なのですか? どこまで進んでも行き止まりはないのですか?
106. 宇宙が無限かどうかはまだ分からない。しかし、行き止まりはないはずだ。 ただし一般相対論が通用しない状況になれば分からない。
107. ビックバン宇宙論が間違っていることを示すことが出来る。 ヒントは夕焼けである。ニュートリノや宇宙塵(うちゅうじん)が空間にザーザー雨のように降っているから、短い波長は弾かれ、長い波長である赤い波長しか地球に届かず、赤く見えるからである。 それが赤方偏移の正体である。 ビックバン宇宙論の証拠として提示される宇宙背景放射は、正物質と反物質が空間から生まれて対消滅(ついしょうめつ)して光子(こうし)が出てくるから発生しているのであって、その他の理由で生まれているわけではない。
巨大な爆発で生じるというガンマ線バースト などありえない。短い波長がほんの少しだけ届くのを無理矢理説明するためのアドホックな仮説にすぎない。 ビックバン宇宙論の反証の証明としてのガンマ線バースト。 オッカムの剃刀を宇宙論に適用させると、ここまで単純化して説明出来るのである。
108. 広がり続ける宇宙の、その外側はどうなっているのか。
109.やはり最初にビッグバンありき が問題だったのだ。何が何でもこの大爆発が前提だ。どんなことがあってもビッグバンで説明しようとして、それで他の可能性を排除してきた。 そして周転円(しゅうてんえん)を重ねていく。 パラダイム変換が起きるなどといことが頭の中に全然無い。 彼らビッグバン派は、自分たちへの対抗理論を読んだことさえ無いのだろう。
110. 宇宙ができる前は無ではないことだけは観測結果なしに言える。なぜなら存在しないのだがら。
常態の変化がありこそすれ 、それも宇宙が有ってこそだ。 だから「宇宙のできる前」は無い。 だから、「宇宙の始まり」など無い。始めからこのことをわかっている人たちがいる。 (副島隆彦注記。だからこれが、まさしく、フレッド・ホイルの定常宇宙論だ。)
111.いよいよ強弁の弁解。 言っておくが、宇宙の始まり と ビッグバン理論 は関係ない。
112. 上↑は、ビッグバン派の定説通りのことをコピペしているだけだ。 東大佐藤教授が、某ムック本でビッグバン擁護を展開していた。何が何でもビッグバンだったので笑えた。 学者で長年、この学説でやってきたから、否定されたら、それは感情的に嫌だろうけどね。
科学ジャーナリズムが、学界の主流学説に過ぎないものを、無批判に垂れ流しをやってきた。 「あなたの頭は帽子のためにあるのか」と言いたい。 ビッグバン論者の始祖の一人であるガモフなどという男は、宣伝がものすごく上手かったらしい。 それで、この始末だ。 ビッグバン信者などという連中は、テレビCMが、製品の効能を垂れ流したり、また納豆ダイエットを番組が放映したら手もなく捻(ひね)られるタイプだ。
推理小説の古典に優れた教訓がある。 犯行現場に10の証拠があれば、10以上の物語ができる、と探偵に語らせている。 そのうちの一つに固執して、後から出てくる証拠が、その物語の可能性自体を否定しているのに、愚鈍な探偵や警察はそのことに気が付かない。意地でも気づきたくきない。それが現在のビッグバン学説論者たちだ。 過去の例から言っても、自分たちが信じ込んできたパラダイムを変えることはこのあとも難しいことは私も重々承知だ。だから、どちらに軍配が上がるのかは後世に任せることにしよう。
113. このスレッドの目的は、プラズマ宇宙論の啓蒙にある。その為に私はこのスレを守っている。 だが、同時にビッグバン理論も支持している。プラズマ宇宙論とビッグバン理論は相性が良いのだ。 過去においてビッグバンが起こった証拠は、専門家たちの間では既に揺(ゆる)ぎ無いものになっている。
特にここ10年余りの成果は、ビッグバンの具体的な証拠を挙げている。 しかし、それでもビッグバン宇宙論とプラズマ宇宙論は互いに相容れない。 この意味が分かるかな?無理だろうけどね。 (副島隆彦注記。きっと、この両説擁護の、人格的には温和であろう人物自身が、「この意味が分かるかな。無理」だろう。)
114. ラーナーが「ビッグバンはなかった」で、踏んだ勇み足の傷は深い。 ループ量子重力理論のようにビッグバンの標準理論を無視して、プラスマ説としての独自路線で功績を積み重ねていけば良いのに、それを やらなかった。たしかに、プラズマ天文学は確実に成果を挙げている。やがて観測可能な宇宙の現象を全て説明できるかもしれない。 「『宇宙には電線が張り巡らされていない』という、プラズマ説への批判の前提そのものが間違いだった」 と言われるようになれば、(ビッグバン説からの)パラダイムシフトが起きる。
115. ラーナーは、素粒子物理についても、いろいろ批判している。 ループ量子重力理論なるものは、ビッグバンの標準理論に比べて、検証性があるのか。 「この理論なら、矛盾しません」といってもそもそも検証性ゼロでは、話にならない。標準理論は、実験による検証がそれなりに可能なので、却(かえ)っていろいろ問題を抱え込むのではないか。
「ビッグバン説が正しいとすれば、未知の宇宙斥力 が理論上、要請される」 「未知の宇宙斥力があることにしてしまえば、矛盾せずに観測事実を説明できる」 という書き方は、説得力があるとは思えない。 我々が身近に目にする重力(引力)に拮抗する斥力(せきりょく)なるものに、なぜこれまでその存在自体すら、気づかれなかったのか。
116. ループ量子重力理論は、最先端の量子重力理論であり、他の次期重力理論同様、検証は困難を極める。 一般相対性理論でさえこれ以上の検証には多額の費用が掛かる。 だが、超ひも理論にさえ無い有利な特徴をいくつか備えている。 最近は下火だが、現状の量子論 と非常に良くマッチする 超ひも理論とループ量子重力理論は、どちらかが是で片方は非だと比べたらいけない。ループ量子重力理論に勝ち目は薄い。もっとも そう考える者は少ない。
ビッグバン理論を否定するとなると道は2つである。 1. 一般相対性理論を近似としても認めない。 これほどまでに検証された理論を、「不足があった」のではなく、「完全に間違っていた」と言うことになる。たしかに一般相対論自体の検証は観測技術の進歩と伴に進んでいる。
2.現在の宇宙と完全に均衡する宇宙項を設定する。 ビッグバンを起こさない宇宙項は、宇宙が重力で潰れてしまわず、かといってバラバラにもならない極めて微妙なバランスの上に設定されなければならない。これが僅かでもずれれば、このズレは加速度的に増大し宇宙はバラバラになる。 それか、あるいは重力で潰れてしまうかのどちらかだ。 ビッグバンを考えないと、不自然な仮定をもっと多く設定しなければ説明が付かなくなる。
117. 宇宙項について一つ答えておこう。 数百万光年の距離を隔ててやっと効果が現れるほどの力を簡単に観測できない。
118. ここで鋭い反論。 観測されるハッブル膨張が、一般相対性理論が予測する動的宇宙なのか、 というそもそもの疑問ビッグバン説はそれを無視している。
ハッブル膨張が、一般相対性理論と無縁(無関係)なものであるならば、そもそも、いくら一般相対性理論が正しくても、ビッグバン説は成立しない。
ハッブル膨張を一般相対理論の予測する動的宇宙で説明するビッグバン派は、それなりに成功している。が、それでは、「未知の宇宙斥力」 なるものを想定しなければならなくなる。 それなのに、「ビッグバンは正しい。ゆえに宇宙斥力が証明された」 というのでは、話が逆である。
119.再反論。 観測的宇宙論の、特に WMAP を調べてもらえば分かるが、ビッグバンは完全に証明されたと言っていい。 肉眼では見えないがマイクロ波では、煮(に)え立つ超高圧プラズマが“見えている”のだ。
ビッグバン理論にとってダーク・エネルギーや宇宙項は、世上言われているほど深刻な影響がある訳ではない。 NASAはダーク・エネルギー73% と発表した。が、実はこれは証明された値では無い。もし宇宙に、WMAPの精度でも観測できないほどの歪みがあったり、パラメータの何かの当てが外れたりすると
NASAのWMAPチームが採用した宇宙モデルがボツになり、ダークエネルギーの量が違ったものになってしまう。
それにアインシュタインが水星の近日点移動を正確に算出出来たのは、光速度や重力定数が無数の実験で非常に高い精度で求められていたからだ。宇宙項はこれからの観測で埋めていかなければならない課題だ。 ついでに言えば、以前から一般相対性理論では重力が斥力になり得る事も知られている。
(要約文の貼り付け終わり)
副島隆彦拝
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