「103」 サブプライム危機から世界恐慌へ(34) 2008年10月の記事を、大量ですが、まとめてことに載せます。我らがFTの聖女ジリアン・テッド女史の文を冒頭に置きます。副島隆彦 2009・3・2
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副島隆彦です。 今日は、2009年3月2日です。もう3月にはいりました。 私は、この1月と2月前半は体調が悪くて、あまり金融ものの追いかけ(追跡研究)は、やらなかった。だから、年が明けてからの1月、2月の金融・経済の記事はあまり集めていない。年末から年明けは、大きな動きはなっか、というのが、私の全体把握だ。
それよりもオバマ大統領の当選(2008年11月5日)から、就任式(2009年1月20日)までが枠組みとなった動きだった。
まず、英FT(フィナンシャル・タイムズ)紙のジリアン・テッド女史が、久しぶりに私たちの目に触れる優れた記事を書いている。 「上級ラテン語(=金融工学、金融高等数学)が話せない者は、教会ミサに入れない、という慣例が続いた。そのことを指摘した自分は、社内(FT)でも叱られた。そして遂に金融工学は自壊した」という内容の、鋭い記事を、テッド女史が、この時期に遂に書いて発表した。私たちは、驚いて、狂喜した。
彼女は、長銀(現在の、潰れかかっている新生銀行)乗っ取り買収の時期(1998年末から)に、日本にいて調査し、そして、張本人のデイヴィッド・ロックフェラー本人や、イギリス・ロスチャイルド家の総帥(当主)のジェイコブ・ロスチャイルド本人にインタヴューして、それを一冊の本にした。日本語訳本もある。ジリアン・テッドの本物のジャーナリストととしての、清冽(せいれつ)な闘いは、私たちが大切に、見習うべきお手本である。
他は、ただの記事だ。この時期に、2008年3月から瓦解を始めていた時価会計の放棄が、10月ごろに、正式に発表(公表記事)が相次ぎ、それが総本山(ロンドン)とアメリカで始まり、日本の手先・金融庁どもも、激しく動揺を始めた。
「信じられない」「そんなことってあるんですか」「当事者として不愉快だ」と、うめき声を上げるように言い出した。馬鹿どもめが。しかし、責任を取ろうとは全くしない。「時価会計の一部手直し」「制度としては続ける」と言い出した。見苦しい連中だ。世の中には、本当に見苦しい茶坊主階級というのがいる。
お前らたち、その程度の、あやつられ人間なのだ。こいつらは恥も外聞も無いのだ。公認会計士たちを厳しい監視下に置いて、監理・査問委員会にかけて、自分たち、アメリカ・グローバリストの手先どもの、言いなりにしようとした。恐るべきことだ。
私はこの時期もずっと怒ったままだった。しかし、誰も勇気を持って、この問題に触れようとしない。日本国内で、この「時価会計の放棄」問題に、正面から触れている専門家は、いまだにひとりもいない。
あの者たちを、絞首刑にせよと思った。少なくとも大きな天罰は、この者たちの上に落ちた。 副島隆彦拝
(転載貼り付けはじめ)
● (副島隆彦注記。我らがジリアン・テッド女史がしさしぶりに、FTに登場した。副島隆彦注記終わり。)
「危機の種はすでに撒かれていた 不透明な金融に――フィナンシャル・タイムズ」
英フィナンシャル・タイムズ 2008年10月1日
ジリアン・テット
ストラクチャード・ファイナンスの世界は「不透明」で分かりにくい。数年前に私がこう書いたとき、ある投資銀行の幹部は私をひどく叱りつけた。「不透明なところなどどこもない」 憤まんやるかたないといった様子で、彼は私に詰め寄った。「情報はいくらでも手に入るじゃないか。ブルームバーグ端末の使い方を知っていれば」と。
「ブルームバーグ端末がない人はどうするんですか?」と私は聞き返した。あるいはロイター端末がない人は。 この銀行幹部は一瞬、当惑して言葉に詰まった。ブルームバーグが使えないという悲しい状態にある世間の人々が、ファイナンスについて知る必要があるかどうかなど、考えたこともないといった様子だった。しばらくしてこの人は、私の言い分は見当違いだと反論してきた。「知る必要がある人たちは、どこにデータがあるか知っている。どこも全く不透明なんかじゃない」
アメリカの政治家たちが7000億ドル分の金融救済法案について投票する様子を見ていた9月29日夜、数年前のこのやりとりを私はふと思い出した。投票結果を受けて、なぜ米下院があの包括法案を予想外にも否決したのか、色々な説が飛び交っている。しかし私が思うに、深刻な情報ギャップというのが、否決理由のひとつではないか。数年前に私と投資銀行幹部が交わしたやりとりが、今の事態の一端を説明しているように思うのだ。
もっと詳しく書くなら、こうだ。マネーが世界中をどう動き回っているのか、その実態について、世界の99.9%の人たちが全く理解していないという状態は、許容できるもので、全く普通の、当たり前のものだ――過去10年間というもの、金融関係者たちはこうタカをくくっていた。
つまり言いかえるなら、21世紀の銀行マンたちは、ブラックベリーを抱えた神官や司祭みたいに振る舞ってきたのだ。上級ラテン語ならぬ上級ファイナンス語を理解する者しか、ミサの参列が許されないという、そういう特権意識を振りかざしていたのだ。
一方でその間、ほとんどの政治家や有権者は、金融の仕組みをろくに理解しようとしなかった。その怠慢ぶりはショッキングでさえあった。どうしていきなり、ものすごく低金利で借金ができるようになったのかさえ、理由を考えてみようとしなかった。
ほとんどのメディアも、怠慢だった。2000年からここ7年間、金融の世界で革命が起きていたのに、ほとんどの主要メディアはそのことをほぼ無視していた。
その代償を払う時がやってきてしまったのだ。去年から立て続いて展開した金融危機を前に、ほとんどの財政当局者も、政治家も、投資家も有権者も、完全なショック状態に陥っていた。その結果、見境のない、理性を欠いたパニックが起きた。そしてその結果、今後もっと非理性的で過剰な、金融規制強化が実施されるのかもしれない。
しかし現時点でなにより有害なのは、多くの有権者と政治家の混乱ぶりだ。金融の仕組みについて混乱しまくっているため、金融機関を救済することがいいのか悪いのかも、全く分からないでいる。有権者や政治家に分かるのは、ここ1年の出来事であからさまになったことだけ。
つまり現代の金融システムは実に複雑に交錯しあっていて、ほとんどまともに理解されていないこと。ほとんど不透明と言ってもいい状態にあるということ。多くの政治家や有権者はこの1年で、それだけを学んだのだ。
すべては実に複雑で不透明だ。こういう意識がはびこっているため、金融機関を救済すれば結局のところは、(あらゆる秘密の手口を使って)金融関係者たちが救済されてしまうのだろうと、多くの人が疑っている。
だから有権者は今、こんなに怒っているのだ。そしてだからこそ、金融システムを救済することと、大金持ちの金融関係者たちを救済することは別物なのだと、米政府はなかなか国民を説得できずにいるのだ。
たとえばAIG。AIGが提供する信用保護でここ数年、大いに利益を得ていたのは、ゴールドマン・サックスだったことがこのほど分かった。この報道を受けてゴールドマンは、自社のAIGへのエクスポージャーはほんのわずかで、AIGの運命とは全く無関係だと主張している。
しかし今の米財務長官はゴールドマン・サックスの前CEOなだけに、公的支援を受ける組織とゴールドマンの結びつきが明らかになるのはいささか決まりが悪いはず。そしてこういう情報が表沙汰になるたびに、有権者や政治家はますます不信感を抱き、混乱してしまいがちだ。
短期的な対応としては、金融システムの透明性を高めることが(もしかしたら)、事態沈静化を助けるかもしれない。たとえばニューヨークのアナリスト、ジョシュア・ロスナー氏は実にまともな提案をしている。
AIG は850億ドルの緊急融資を連邦準備理事会(FRB)から受ける代わりに、自分たちの信用保護を受けていた金融機関の名前を公表すべきだと言うのだ。そうすれば、ゴールドマン・サックスやその他の金融機関について飛び交っている突拍子もない噂のせめて一部は、消えてなくなるかもしれない。
しかし長期的な意味で言うと、一連の危機から学ぶべき本当の教訓は別にある。これほどの情報ギャップを政治は許してはいけなかった――これが本当の教訓だ。金融関係者がもつ情報とそれ以外の人々がもつ情報に、これほどの格差が生まれてはならない。それを防ぐため、議会は手を打つべきだったのだ。2000年以来7年の間、情報ギャップのおかげで、金融界はやりたい放題だった。様々な悪行がはびこった。
その巨大なツケが今、めぐりめぐって押し寄せてきているのだ。 その影響は今後何年にもわたって、私たちを脅かすことになる。誰もが影響を受ける。ブルームバーグ端末を持っていない人でも。
● 「焦点:ヘッジファンドで広がる償還停止、ファンド自身の生き残りも図る」
2008年10月30日 ロイター 、ボストン
ヘッジファンドが投資家に対し、現時点での償還には応じないと通告するケースが増えている。償還要求の増大を抑制することで、顧客全体を保護するとともに、ファンド自身の生き残りも図っている。
わずか数カ月前までは世界の9000に上るヘッジファンド多くが100万ドルの最低投資資金と高額な手数料を要求していたが、今では投資家が解約しにくい状況になっている。
法律事務所ニクソン・ピーボディでヘッジファンドへの助言を行っているパートナー、ティモシー・ミュンゴバン氏は、(償還を制限した)ゲート条項が注目されており、どう償還を停止できるか見極めていると指摘。「ここしばらくの間にでてきた傾向で、広がりつつある」と述べた。
30日にはナイト・キャピタル・グループ傘下のディープヘブン・キャピタル・マネジメントが2つのヘッジファンドでの償還を停止した。バッソ・キャピタルは最近、資金引き揚げを制限。オー・ヒル・パートナーズは8月にゲート条項を発動した。
それ以前にもドレーク・キャピタル・マネジメントとパーダス・キャピタル・マネジメントが引き出しを制限、昨年はエリントン・キャピタル・マネジメントが償還を停止している。
償還停止は短期間であれ以前は異例のことだった。ファンドが破たんに近いことを示唆すると判断されるためだ。しかし現在ではファンドと投資家が、現時点で誰が資金を受け取るべきかをめぐって主導権争いをしている。
法律事務所DLAパイパーの証券訴訟部門パートナー、ペリー・ワイナー氏は「ヘッジファンドは投資家の究極的な信託者として行動しようとしており、資金逃避を抑制することでその務めを果たそうとしている」と述べた。
<投げ売り> ヘッジファンドのマネジャーは、もし投資家が要請した時点で資金を返還しなければならないなら、投資証券類を格安で処分売りしなければならず、償還を考えていない多くの投資家まで巻き込むことになると指摘する。
今回の株価の大幅下落では、流動性確保に向けたヘッジファンドの売りで下げが増幅されたと批判されている。
法律事務所タネンバウム・ヘルパーン・シラキュース・アンド・ハーシュトリットのパートナー、マイケル・タネンバウム氏は「償還制限により、市況が好ましくないときの売りを留保することができる」とし、このような市場でのパニック売りは「投資家にとっても償還を希望する者にとっても望ましくない」と述べた。
しかし投資家はこの論に同意しているわけではなく、多くが現時点での資金返還を求めている。ヘッジファンドの投資リターンは今年マイナス20%となっており過去最悪。年金基金や富裕層などが、かつてない規模でヘッジファンドから逃避しているという。
7―9月の投資家の資金引き揚げは過去最大となり、業界規模は11%縮小した。業界関係者によると、年末の資金償還を要請する期限は11月15日で、これに向けて資金返還要請が増大すると見られている。
ウェルズ・ファーゴ・プライベート・クライアント・サービシズのディーン・ジュンカンス最高投資責任者は「多くが流動性を求めており償還要請の要因になっている。ヘッジファンドのマネジャーは資金を維持するのにさまざまな方法を模索している」と述べた。投資家に返還しないことを汚点とみる見方も消えつつあるという。
しかし短期間であれ投資家を釘付けにすることは反感につながるため、多くのマネジャーは資金を少しでも長くとどめるため投資家の説得に動いている。関係者によると、ラミウス・キャピタルなどの一部ファンドは、投資家をつなぎとめるために手数料の引き下げを提案している。また一部には、投資手数料を得るために超えなければならない実績水準の改定を検討してところもある。
●「ウクライナ首相、自国通貨安定のために国立銀行のゴールド放出の意向を表明」
インタファックス通信 2008年10月29日
http://www.istockanalyst.com/article/viewiStockNews+
articleid_2750754.html
‘Tymoshenko Urges Nbu to Use Gold Reserves to Stabilize Hryvnia ’
Wednesday, October 29, 2008 9:54 PM
(Source: Daily News Bulletin; Moscow – English) KYIV. Oct 29 (Interfax)
– Ukrainian Prime Minister Yulia Tymoshenko has asked the National Bank of Ukraine (NBU) to stabilize the hryvnia rate by using its gold reserves.
●【金融】農林中金:3000億円増資へ グループで自力調達…「公的資金は不要」の立場を強調 」
日経新聞 2008年10月28日
農林中央金庫は27日、年内にも3000億円規模で資本を増強する方針を固めた。下部組織である全国の信用農業協同組合連合会(信連)から永久劣後ローンによって調達し、自己資本を厚くする。
国際的な金融市場の混乱の影響で、農中は保有株式や債券などの価格下落に見舞われている。農林系金融機関が連携して自力増資することで財務の健全性を高める。
政府が国会に提出している金融機能強化法改正案で、農中は公的資金の注入対象の1つ。「万が一の事態にも備えた政府の方針は歓迎する」(農中)としながらも、自力で資金調達できるため「現時点で公的資金は不要」(首脳)との立場を強調している。
日経新聞 2008年10月28日
国際的な金融市場の混乱の影響で、農中は保有株式や債券などの価格下落に見舞われている。農林系金融機関が連携して自力増資することで財務の健全性を高める。政府が国会に提出している金融機能強化法改正案で、農中は公的資金の注入対象の1つ。
「万が一の事態にも備えた政府の方針は歓迎する」(農中)としながらも、自力で資金調達できるため「現時点で公的資金は不要」(首脳)との立場を強調している。
●「個人が金投資に熱 金融危機、株安で販売急増」
日経新聞 2008年10月25日
国内の個人を中心に、金の地金やコインを購入する動きが広がってきた。米金融危機を契機に世界経済への不安が強まるなか、「安全資産」として注目を集めているためだ。金を求めて販売店を訪れる人が増えており、2002年のペイオフ部分解禁時以来の金投資ブームになりつつある。
「夏場以降、新たに金を買う客が増えてきた」。貴金属販売の最大手、田中貴金属工業の店舗「ギンザ タナカ」銀座本店の山田英和副店長はこう話す。同社の投資用金地金の販売量は、9月に05年12月以来の高水準を記録した。
●「「自由競争主義に欠陥」前FRB議長、金融危機に釈明」
2008年10月25日 朝日新聞
【ワシントン=西崎香】 米議会の公聴会で23日、連邦準備制度理事会(FRB)前議長のグリーンスパン氏が集中砲火を受けた。議員らは現在の金融危機の原因をめぐって前議長の在任中の責任を詰問。前議長は、規制緩和や自由競争を推し進めたことに関し、一部に誤りがあったと認めざるをえなかった。
公聴会は下院の政府改革委員会が開いた。議会を主導する野党民主党は、危機の再発防止のため規制を大幅に強化する狙いがあり、06年までFRB議長を約18年半務め、米経済のかじ取り役として評判の高かったグリーンスパン氏を集中的に追及した。
ワックスマン委員長(民主)は、前議長が金融派生商品などの規制に消極的だったことを挙げながら「FRB史上最長の任期中、金融市場の規制緩和の支持でもっとも影響力があった。あなたは間違っていたか」と責め立てた。前議長は「部分的には」と認めたうえで「銀行などが利益を追求すれば、結果的に株主や会社の資産が守られると思っていたが、間違いだった」と話した。
さらに、自身が強調してきた自由競争主義の考えなどについても「欠陥をみつけた。それがどのぐらい深刻なものかは分からないが、非常に悩んでいる」と発言。金融業界が予想以上に危険な取引に走り、当局の対応が遅れたとの認識を示し、「私の経験では融資担当者は金融当局よりも、貸し出しリスクや借り手についてはるかによく知っていた。こうした決定的な支柱が崩れてしまい、衝撃を受けている。なぜそうなったのか、まだ十分理解できない」とショックをあらわにした。
危機の原因である低所得者向け(サブプライム)住宅ローンについては、「05年の遅くまで、市場が急膨張していることを示すデータがなかった」と、目が行き届いていなかったことを認めた。それでも、議員らからは、複雑な金融商品への規制が後手に回り、政府系住宅金融会社への監督が甘かったといった批判が続出。
前議長は「常に規制の失敗例はある。規制の多くは、特定の金融商品が今後悪化するかどうかなどの予想に基づいている。我々は民間よりもはるかに予測結果はいいが、間違ったことも多くある」と弁明に追われた。
市場の力を重視する前議長の考え方は、米国型資本主義の象徴として、世界の金融業界や政策決定に大きな影響を与えてきた。その路線を修正するような今回の発言は、金融危機後の政策論議の中で強まっている規制強化の流れを、さらに加速させそうだ。
●「金融危機は史上最悪の可能性=英中銀副総裁」
2008年10月24日 ロイター
イングランド銀行(英中銀)のビーン副総裁は、現在の金融危機は史上最悪の可能性があるとし、同国の景気鈍化は依然初期段階との認識を示した。インタビューが24日付スカボロー・イブニング・ニュースに掲載された。
副総裁は「これは一生に1度あるかないかの危機であり、史上最悪の金融危機の可能性がある」と語った。「実体経済への影響に関してはまだ早い段階にある。1990年代初頭よりは良い状況で、経済の安定に向けた金融政策の決定に余地がある」と述べた。世界的な金融危機はすでに最悪期を過ぎ、金融システムが「回復に向かっている」ことを期待すると語った。
●「【金融】ヘッジファンド数百本破たんも、「市場閉鎖」あり得る-ニューヨーク大・ルービニ教授」
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003017&sid=aYgCWV5fuvbg&refer=jp_japan
2008年10月24日 ブルームバーグ
ヌリエル・ルービニ・ニューヨーク大学教授(経済学)は23日、危機が投資家の一斉売りを引き起こし数百本のヘッジファンドが破たん、当局は1週間以上にわたり金融市場を閉鎖しなければならなくなる恐れもあるとの見方を示した。
同教授はロンドンでの会議で発言し、「完全なパニック状態に達した」として、「大量の資産投げ売りが起こり、数百本のヘッジファンドが倒れるだろう」と語った。 世界各国当局は協調緊急利下げや銀行救済で金融危機に歯止めをかけようとしているが、先進7カ国の金融市場で取引を停止するには至っていない。
ヘッジファンド会社GLGパートナーズの共同最高経営責任者(CEO)、エマニュエル・ロマン氏もルービニ教授と同じ会議で、ヘッジファンドの最大 30%が閉鎖に追い込まれるとの見方を示した。 ルービニ教授は会議で「システミックリスクは膨らみに膨らんだ」として、「ヘッジファンドの多くから、資金が大量流出し始めている。向こう数日内に当局が市場を1、2週間閉鎖しなければならない事態も想定しておいた方が良いかもしれない」と語った。
イタリアのベルルスコーニ首相は10日に、各国首脳が世界の金融市場を閉鎖することを協議していると発言し市場を動揺させた。同首相は発言内容を撤回した。GLGのロマン氏は「適者生存という法則に従った形で、多くのヘッジファンドが姿を消すだろう」と語った。 ヘッジファンド業界の年初来の成績は20 年で最悪となっている。9月は10年で最悪だった。
ルービニ教授は「新興市場でも事態は相当悪くなっている」として、「米国がくしゃみをすると世界がかぜを引くという言い回しがあるが、米国は今やしつこい慢性の肺炎にかかったようなものだ。新興市場はひどい状態になるだろう」と話した。
新興市場国の国債のスプレッド(米国債との利回り格差)はこの日、6年ぶり高水準に達した。アイスランドやパキスタン、ハンガリー、ウクライナに続き、ベラルーシも22日、国際通貨基金(IMF)の緊急融資を申請した。
ルービニ教授は、「12カ国前後の新興国が今、深刻な金融危機に見舞われている。小さな国であっても、世界経済に対しシステミックな影響を与えることは可能だ」とし、「苦境にある国すべてを救済するだけの資金がIMFにはない」と指摘した。同教授は今月、米経済が40年で最悪のリセッション(景気後退)に陥るとの見通しを示した。
「これは米国、欧州、そして今や新興市場にとって、長い間で最悪の金融危機だ。事態は改善する前に大きく悪化するだろう。最悪の事態はこれからやってくると思う」と同教授は語った。
●FRB前議長「100年に1度の津波」 金融危機で議会証言」
日経新聞 2008年10月24日
グリーンスパン前米連邦準備理事会(FRB)議長は23日、下院の行政改革・監視委員会の公聴会で、金融危機について「100年に1度の津波」と発言。「信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の証券化商品に内外の投資家から過剰な需要が集まったことが問題の核心」と語った。
グリーンスパン氏は2006年1月まで18年FRB議長をつとめた。前議長は「需要の爆発的増加で多くの金融機関が証券化商品を『組成すれば売れる』と信じた」と指摘。住宅価格の上昇期待に基づく証券化商品への需要増がバブルを生んだとの認識を示し、「今後、大量のレイオフ(一時解雇)や失業率の大幅な上昇が避けられない」と語った。
同氏の政策運営に関しては、03年―04年の超低金利政策、デリバティブ(金融派生商品)や押しつけ的な貸し出しに対する規制の先送りなどの批判が根強い。「あなたは間違っていたのか」との質問に対し同氏は「(デリバティブの規制緩和に関しては)部分的にはそうだ」と発言した。
●「米欧、金融保証商品の清算機関設立 損失処理促す」
2008年10月24日 日経新聞
日米欧が、来年にも相次ぎ、企業倒産などで将来資金が焦げ付いた場合に損失を肩代わりする金融商品の清算機関を設立する見通しになった。
日本はアジア市場を視野に入れた機関の設置を検討するほか、米欧も官民で設立に向けた協議を始めた。世界的な信用不安の象徴である損失肩代わり商品の安全性と透明性を高める。企業倒産に伴う損失を早期に見積もり、金融機関の損失処理を加速させる効果を狙う。
損失肩代わり商品は一般に「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」と呼ばれる。企業が発行する社債などを持つ投資家が、第三者である金融機関などから損失肩代わり商品を買っていると、企業が倒産しても元本が戻ってくる。ここ数年、世界で取引規模が急速に膨らみ、6月末の取引残高(想定元本)は全世界で54兆ドル(約5400兆円)に達し、日本の残高は80兆円程度に上るとみられる。
●「UBS、チューリヒの支店前で市民が座り込み-「ボーナス返せ」大合唱」
2008年10月23日 ブルームバーグ
スイスの銀行最大手UBSのチューリヒのプライベートバンク支店前で、市民が抗議行動を繰り広げた。同行が政府の救済を受けるなか、金融機関幹部の報酬の制限を求めて市民が路上に繰り出した。
同支店では正午ごろから数十人が入り口の階段に座り込み出入りを封鎖。「ボーナスを返せ」のシュプレヒコールを繰り返した。スイス最大の労働組合、UNIAによると、同労組が呼び掛けた夕方からの抗議行動には約1000人が参加した。
チューリヒ大学の政治学部に通う24歳のオリビエ・ボゲル氏は「UBSが何事もなかったかのように今までのやり方を続けることは許せない」と語った。抗議行動を組織した社会民主党青年部のメンバーの同氏は「改めないならばさらに行動する」と述べた。
スイス政府は先週、総額で592億ドル(約5兆6400億円)規模のUBS救済策を発表。幹部の高額報酬への批判が噴出した。UBSは昨年、成果連動報酬として約125億スイス・フラン(約1兆200億円)を支払っていた。抗議行動の組織団体はUBSに報酬を50万スイス・フランに制限するとともに、政党への寄付を廃止することを求めている。
●「【経済コラム】金(きん)投資に異変あり、米個人投資家が金貨に殺到-クイン」
2008年10月22日 ブルームバーグ
現物購入という意味では、金(きん)は富裕層のためのものだ。金は通貨暴落に対する保険として最適とされ、そのために利用されることが最も多い。
この目的のためには大量の金が必要であり、世界各地で貯蔵されている。金貨を20枚か30枚保有するのは素晴らしいことだが、ドルが吹けば飛ぶような価値しかないこのご時世に、生活水準を維持する手段にはならないだろう。
金はインフレに対する確実なヘッジ手段とも言えない。金相場は1980年1月に1トロイオンス当たり850ドルに上昇し、2008年1月までこの水準に達することはなかった。この間の28年に金相場は下落と上昇を繰り返したが、購買力は半分以下となった。80年に投資した投資家がインフレ調整後に採算を取るには金相場は2200ドルに達する必要がある。
一般的な投資家は、金相場はいずれ上昇するものだと考えている。最近の上昇相場は、住宅市場が目に見えて崩壊し始めた07年8月にスタートした。652 ドルから08年3月には1003ドルまで高騰。上昇と下落を繰り返しながら9月に 747ドルまで下げ、その後一時は905ドルに上昇。10月21日には772ドルまで下落した。
相場を押し上げたのはヘッジファンドだったが、個人投資家も加わった。米国で新規に鋳造された1オンス金貨の投資家による購入量は年初来で61万1000 枚に上る。07年は1年間で31万5000枚だった。
英バークレイズ・キャピタルのアナリスト、スキ・クーパー氏は「投資意欲に変化が見られる。投資家は金の先物の買いから現物の買いに移行し、直接現物を保有するかETF(上場投資信託)を通じて投資している」との見方を示す。
多くの国々が金貨を鋳造している。南アフリカ共和国のクルーガーランド金貨、カナダのメープルリーフ金貨、中国のパンダ金貨、オーストリアのウィーン金貨、オーストラリアのカンガルー金貨などだ。米国ではバッファロー金貨とアメリカンイーグル金貨が鋳造されている。投資目的としては1オンスサイズの金貨が適している。
供給の縮小 金相場の1年間に及ぶ上昇で金貨の現物の供給が枯渇している。オンライン・ディーラーのオンリーゴールド・ドット・コムでは先週、すべて在庫切れとなった。キトコ・ドット・コムで販売されるメープルリーフ金貨は金の現物価格を7%上回っている。
キトコ・メタルズ・アンド・ミネラルズ(モントリオール)のシニアアナリスト、ジョン・ナドラー氏は「金貨全般の供給がもう少し改善すれば、プレミアム(上乗せ幅)は1%か2%に低下する可能性が高い」と予想する。
現在のところ、米造幣局は限られた数しか08年のイーグル金貨を鋳造していない。バッファロー金貨は年内に少量鋳造される可能性もあるが、現時点では全く出荷されていない。ディーラーは12月下旬から09年と刻印された金貨を入手できる見通しだ。
イーグル金貨 米国の投資家にはアメリカンイーグル金貨が最適だ。この金貨はカプセルに入った状態なら個人の年金口座に組み込むことができる。(バッファロー金貨については不明) ナドラー氏によると、通常、1オンスのイーグル金貨は金価格を5.5- 7.5%上回る水準で売却されている。小規模なディーラーはさらに高値で売っている可能性もある。
パニック的な買いが入るなか、金の現物相場を最大13%上回る価格で販売しているオンライン・ディーラーも見掛けた。インターネット競売世界最大手の米eベイやホーム・ショッピング・ネットワーク(HSN)では、金貨は現実離れした値段で売られている。HSNでは重量の異なる4枚のイーグル金貨のセットの価格が4999.99ドル。金の価格に換算すると約1450ドルとなる。(ジェーン・ブライアント・クイン)
(クイン氏はブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。同氏はパーソナル・ファイナンスに関するライターで、著書に「Smart and Simple Financial Strategies for Busy People」があります。ブルームバーグ・ニュースの親会社であるブルームバーグ・エル・ピーのディレクターでもあります。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
●「経済政策、今国会に提出する金融機能強化法改正案、農林中金も注入対象 申請期限2012年3月」
日経新聞2008年10月21日
地域金融機関への公的資金の予防注入を可能にするため、政府が今国会に提出する金融機能強化法改正案の全容が20日、明らかになった。信用金庫、信用組合、労働金庫の上部機関に加え、農林中央金庫を一括注入の対象として明記。その上で農協・漁協などの個別金融機関に資本を割り振れるようにする。申請期限は2012年3月末までとする。
改正案は信用金庫など協同組織金融機関による貸し渋りを防ぐため、上部機関に国が予備的に資本注入できる枠組みを新設する。対象は信金中央金庫、全国信用協同組合連合会、労働金庫連合会、農林中金の4機関。
●「AIG、借り入れ8.4兆円に 当初融資枠、ほぼ使い切る」
2008年10月17日 朝日新聞
【ニューヨーク=財満大介】 資金繰り難に陥った米保険最大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が政府支援を受けて1カ月。米連邦準備理事会(FRB)によると、AIGは16日までに829億ドル(約8兆4000億円)を借り入れ、当初の融資枠850億ドルをほぼ使い切った。
AIGはデリバティブ(金融派生商品)取引の相手方への担保差し入れなどで、引き続き多額の現金が必要。9日にはFRBから378億ドルの追加枠の提供を受け、総枠は1228億ドルに膨らんだ。
● (副島隆彦注記。 2008年の3月ごろから出ていた動きだが、この者たちは、恥も外聞も無く、よくもここまで出来るものだ。自分たちの血塗られた唇を見つめてみよ。副島隆彦注記終わり)
「IASB、時価会計の適用基準を一部緩和」
2008年10月 13日 ロイター
国際会計基準審議会(IASB)は13日、世界的な信用収縮を受け、時価会計の適用基準を一部緩和することを承認した。即時実施する。 これに先立ち、米証券取引委員会(SEC)は、金融機関が保有する時価評価の難しい資産について、極端な低価格での資産評価を会計処理に反映する必要はないとの判断を示していたが、IASBは今回、これに追随することを承認した。
IASBが設定する国際会計基準は、欧州連合(EU)加盟国を含め世界100カ国以上で利用されている。IASBが修正したのはIAS39号。今回の修正により、金融機関は、保有する一部の金融資産の分類を変更し、時価会計の適用を不要にすることができる可能性がある。
● (副島隆彦注記。これに即座に日本も追随した。この者たちの顔ぶれを、明らかにせよ。副島隆彦注記おわり)
「金融商品の時価会計適用、日本も緩和へ 欧米と協調」
2008年10月16日 朝日新聞
日本の会計基準を決める民間組織の「企業会計基準委員会」は16日、金融商品への時価会計の適用を緩和する方針を決めた。世界的な金融危機で価格が著しく低下している商品については、決算期ごとに損失処理しないで済むようにする。
世界的に時価会計導入を主導した米国が真っ先に緩和に転換し、日本も追随する皮肉な展開となった。国際的な会計ルールでは、金融商品は市場で売れる時価で決算処理するのが原則。だが、金融不安で買い手がいない状況が続いている。サブプライムローン関連などの金融商品を大量に保有する欧米の金融機関は、決算のたび多額の損失計上を迫られている。
米証券取引委員会(SEC)は9月、市場の売り手と買い手が示す価格差が極端に大きい場合などは、時価会計の原則に従わなくてもいいとする方針を決定。時価でなくとも、金融機関が「合理的」と説明できる価格で決算処理することも認めて、負担の軽減を図った。日本の措置も米国にならったものだ。
欧州の国際会計基準審議会(IASB)も今月、米国基準と比べて不利が生じないように基準の一部を緩和。時価ではなく、取得時の価格である簿価で会計処理ができるようにした。こうした措置も、日本は導入を検討し始めた。
●「米国株は大幅続落、米景気の先行きに対する警戒感で」
2008年 10月 2日 ニューヨーク 、ロイター
米国株式市場は大幅続落。クレジット市場の緊張や弱い経済指標を受け、米景気の先行きに対する警戒感が高まった。ダウ工業株30種は348.22ドル(3.22%)安の1万0482.85ドル。ナスダック総合指数は92.68ポイント(4.48%)安の1976.72。S&P総合500種は46.78ポイント(4.03%)安の1114.28。
市場では、金融安定化法案が議会を通過しても、米経済の先行きは厳しい、とみられている。米経済がリセッション(景気後退)に陥り、企業収益が一段と圧迫される可能性があるとの懸念が広がった。この日発表された経済指標では、新規失業保険週間申請件数が7年ぶり高水準となったほか、8月の製造業新規受注も大幅に減少した。
アランB.ランツ&アソシエーツのアラン・ランツ社長は経済指標について、クレジット市場混乱による影響の大きさを示すと述べた。金融安定化法案をめぐる警戒感も高まっている。法案は下院が9月29日に否決。上院は1日に可決し、下院でも3日に再度採決する。原油価格はこの日4%以上、下落した。金融市場の混乱を背景に、燃料に対する需要が減退するのではないかとの見方が強まっている。
保険株が急落した。民主党のリード上院院内総務が、ある有名な保険会社が財務上の問題を抱えている可能性があることを示唆する発言をしたことが背景にある。ハートフォード・フィナンシャルが32%下落したほか、プリンシパル・フィナンシャルは16.3%下落し、メットライフは14.9%安で引けた。
●「リーマン破綻の余波続く 信用リスク商品に損失も」
日経新聞 2008年10月3日
米金融危機を受けて国内の信用リスク市場が動揺している。焦点は経営破綻した米大手証券リーマン・ブラザーズ関連の取引。既に、同社向けの融資や社債を購入した金融機関の損失が表面化しているが、信用デリバティブを組み込んだ金融商品でも想定外の損失計上を迫られる可能性もある。
国内の銀行や保険会社が公表したリーマン向け融資債権や社債などの保有額は合計で4400億円超。このうち担保や損失回避の取引で補えない分は2300億円以上に達する。 これとは別に、金融関係者が警戒しているのが「合成CDO」と呼ばれる金融商品だ。通常の債券などの金利に、リーマンの信用リスクを対象にしたクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)に伴う保証料率を上乗せする。
●「欧州中銀理事会で利下げ求める意見 トリシェ総裁会見」
日経新聞 2008年10月2日
【フランクフルト=赤川省吾】 欧州中央銀行(ECB)は2日の定例理事会で、ユーロ圏15カ国に適用する政策金利を年4.25%で据え置くことを決めたが、トリシェ総裁は記者会見で、利下げの選択肢も議論したことを明らかにした。
金融危機を受けて景気が減速しているとの認識も示し、金融市場と景気の動向次第では、2005年12月から続けた金融引き締め路線を修正して緩和に転じる可能性があることを示唆した。
理事会の議論に関しては、最終的に全会一致で結論を出したとしながらも「金利据え置きと利下げの双方を取り上げた」と言明。そのうえで、消費者物価が3%台と政策目標の「2%」をなお大きく上回っていることなどを考慮して「据え置き」を決めたと説明した。
米大手証券リーマン・ブラザーズが経営破綻した9月中旬以降、欧州で信用不安が拡大していることへの対応にも言及。「市場の緊張と内需(の冷え込み)が(景気に)響く」「我々は異常なまでに高いレベルの不確実性に直面している」などと危機感を示した。
●「民主党「外貨準備高、10年で半分にするべき」 菅直人氏「埋蔵金はかなりある」」
2008年10月2日 産経新聞
菅直人代表代行ら民主党議員は2日、財務省で政策財源として活用を主張する特別会計の積立金など“埋蔵金”の実態調査を行った。
菅代表代行らは埋蔵金の一つとされる外国為替資金特別会計の実態を把握するため、同会計の資産を運用する財務省の資金管理室に実際に入って調査し、同省幹部とも外為特会について意見交換した。
菅代表代行は視察終了後、記者団に対し「(埋蔵金は)かなりあります」と述べ、財源として活用できるとの認識を改めて示した。また同日記者会見した大塚議員は、外為特会が抱える100兆円規模の外貨準備の国内総生産(GDP)比を現在の約20%から「少なくとも半減ぐらいを目指すべき」と主張した。同GDP比を10年間で10%に低下させることは可能とし、財源に活用できるとの考えを示した。
“埋蔵金”は与野党が活用を主張しているが、財務省幹部は「すべての特会に使用目的がある」としており、どこまで財源として活用できるかは不透明だ。
● 「「外貨準備高、10年で半分に」 民主金融対策チーム」
日経新聞 2008年10月2日
民主党の金融対策チームは2日、財務省を視察し、政府が約100兆円のドル建て資産を抱えている外貨準備の運用方法を巡って意見交換した。視察後に記者会見した同チーム座長の大塚耕平参院議員は「約10年かけて、外貨準備の残高を半分ぐらいに減らすことをめざすべきだ」と指摘。
同省に外貨準備の内訳などの情報開示の強化を求めるとともに、外貨準備の一部が予算編成に活用できる「霞が関埋蔵金」になり得るとの考えを示した。
●「韓国、経営計画立案で大苦戦、金融危機の余波」
2008年10月2日 NNA
米国発の金融危機やウォン安により、企業が来年の経営計画を立てられずにいる。米下院が、金融危機を収束するための金融安定化法案を否決したことで金融危機連鎖の不安が高まり、さらにウォンの対米ドルレートが9月30日に5年4カ月ぶりのウォン安を記録。各社の業績悪化が見込まれる上、輸入企業は為替差損が拡大。新事業や投資に向けた資金調達も困難な状況となっている。
LG電子のデジタルディスプレー事業本部は最近、3度目となる来年の事業計画の修正を行った。米国発金融危機で消費心理の委縮が予想以上に深刻化するという展望が出た上、ウォン安も同様に進んでおり、最悪の状況を想定して新たな事業計画書を作成した。
サムスン電子はこのほど、来年の経営計画立案に着手。だが、ウォンの対米ドルレートが大幅に下落したことで、作業をストップさせた。現代・起亜自動車グループは12月に経営計画を立てる予定。毎年この時期に経営条件の基本的な調査に着手するが、不安要素が多いため財務チームはまだ動いていないという。
東源F&Bはこれまで、経営計画樹立のためのワークショップを年末に開催していたが、経営環境の悪化が予想されるため四半期ごとの開催に変更。6日に第4四半期(10~12月)の経営計画ワークショップを開いて具体的な対策を練る方針だ。
Q3は実績悪化 企業の第3四半期(7~9月)の実績は軒並み悪化する見通しだ。韓国経済を支えている輸出企業の実績も悪化が予想される。欧米など主要市場の景気停滞で、半導体やディスプレー、携帯電話など電子業種の主力製品が予想以上に不振で、第3四半期の営業利益は前期比30~70%減少するものと見られている。
証券会社の実績展望によると、サムスン電子の第3四半期の営業利益は前期の半分の水準の9,400億ウォン(約840億円、東洋総合金融証券)、LGディスプレーは前期から80%以上減少の1,430億ウォン(有進投資証券)と大幅減が見込まれている。
業界関係者は、「これでも輸出企業は状況がよい方」と話す。米ドルで原材料を購入する輸入企業は為替損失が膨らみ、赤字を免れることはできない見込みという。
1日のウォンの対米ドルレートは1,200ウォンを割り込んだ前日から約20ウォン戻して1米ドル=1,187.0ウォンで取引を終えた。
先月1カ月間、 ウォンの対米ドルレートは130ウォン下落。SKエネルギーはこれにより、為替差損が3,900億ウォンに拡大した。業界では、製油4社の為替差損は合計 で9,100億~1兆ウォンに達するとみている。
資金調達も困難 企業はまた、新事業や買収・合併(M&A)、設備投資などのための資金の確保が難しい状況となっている。全国経済人連合会が600大企業(売り上げベース)を対象に行った調査では、81.7%が「資金確保が難しい」と回答。金融業界では、企業への融資を控えている上、債権発行を通じた資金調達金利は天井知らずに上昇した状態だ。
大宇造船海洋の買収に乗り出したGSやハンファグループも資金の調達が難航する見通し。業界関係者は「来年の事業計画の核心となるのは資金調達戦略」と指摘。売り上げ競争以上に資金調達競争が激化すると予想される。韓国経済新聞などが報じた。
●「7月の米金融危機の際、1兆ドルの日本外貨準備の活用を検討していた事が判明…内閣改造で提言見送り-金融庁懇談会」
2008年10月2日 時事通信
金融庁の懇談会が今年7月、米政府による金融危機対策を支援するため、約1兆ドルに上る日本の外貨準備の活用を検討していたことが2日分かった。米政府が経営難に陥った金融機関に公的資金を注入する事態となった場合、外準から必要な資金の一部を事実上提供する内容。
米証券大手リーマン・ブラザーズが破綻(はたん)、米政府が金融機関の不良資産の買い取り方針を打ち出すなど事態が深刻化する中、金融危機対応をめぐる論議に一石を投じそうだ。検討したのは渡辺喜美金融担当相(当時)の私的懇談会「金融市場戦略チーム」。報告書に盛り込む方向だったが、8月の内閣改造に伴う渡辺金融相退任で報告は見送られた。
●「IMF 「米経済は急激に悪化へ」過去の類似性指摘」
2008年10月2日 毎日新聞
【ワシントン斉藤信宏】国際通貨基金(IMF)は2日公表した世界経済見通しで、金融危機を背景に「米経済が急激に悪化する可能性は極めて高い」との見方を示した。
IMFは金融危機と景気悪化の関連性を分析し、「金融危機に伴う銀行部門の混乱は深刻で、長期的な景気減速をもたらす可能性が高い」と指摘。米国経済の現状は「金融危機後に長期間の景気後退を経験した過去の例によく似ている」との見解を示している。
IMFによると、金融危機を伴った景気後退は通常の景気後退に比べ経済活動の落ち込み度合いが2~3倍となり、後退期間も2~4倍に達する。今回の危機は、資産価格急落や家計部門の損失などを考えると長い景気後退に陥った過去の例に極めて近いという。
また、政府による金融危機阻止への断固たる措置が重要と強調。金融機関の資本を増強して経営基盤を強固にすることが景気後退のリスクを軽減する鍵になると指摘した。
● 「CDS--ウォール街を破滅させた怪物 」
ニューズウィーク日本版10月 1日(水)
「金融危機の元凶はJPモルガンが生み出したモンスター、クレジット・デフォルト・スワップの無節操な濫用だ」
マシュー・フィリップス(本誌記者)
それは、米金融業界の大物たちの週末の儀式だった。太陽のあふれるリゾートで日ごろのストレスを吹き飛ばし、世界の支配者としての成功を盛大に祝う。ヨットパーティーにビキニ姿のモデルたち、1本1000ドルのシャンパンなどをイメージすればいい。
なかでも、94年にJPモルガン(当時)のバンカーたちがフロリダのボカラトン・リゾート&クラブで過ごした週末は、ウォール街の伝説になっている。騒々しいパーティーもあったが、それだけではない。彼らはピンク色の壁のスペイン風リゾートで週末の大半を会議室に引きこもり、銀行業の歴史と同じだけ古い問題の解決に取り組んだ。誰かにお金を貸したとき、それが返ってこないリスクをいかに軽減するか、というものだ。
当時、JPモルガンの資産は企業向けや外国政府向けの数百億ドルの貸し出しで膨張していた。問題は、連邦法の定めで、それらの融資の貸し倒れリスクに備える準備金として、巨額の自己資本を積まなければならないことだ。利益を生まない金である。
バンカーたちが思いついたのは、ある種の保険商品だ。貸し倒れた場合の元利金の支払いを第三者に保証してもらい、代わりに銀行は保険料を払う。そうすれば、JPモルガンはリスクをバランスシートから切り離し、準備金を取り崩して商売に回すことができる。
この仕組みが「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」で、デリバティブ(金融派生商品)の一種だ。CDSのアイデア自体はその2、3年前からあったが、大きな取引をしたのはJPモルガンが最初だった。同社は90年代半ばに「スワップデスク」を設置、CDSの市場を作るためにマサチューセッツ工科大学(MIT)やケンブリッジ大学から若い数学者や科学者を雇い入れた。
数年後には、安定的な収益を確保しながらリスクを回避する手段として、CDSは最もホットな金融商品になった。「(原子爆弾開発のための)マンハッタン計画にかかわった人たちの話も聞いたことがあるが」と、当時JPモルガンの専務取締役をしていたマーク・ブリッケルは言う。「あのときボカラトンに集まったわれわれにも、何か大変なものの創造に立ち会っているという実感があった」
だが、40年代当時のロバート・オッペンハイマーや部下の核物理学者たちがそうだったように、ブリッケルと同僚たちも、自分たちが開発しているのがモンスターだとは気づかなかった。今日、経済がよろめきウォール街が廃墟と化したのは、彼らが14年前に解き放った怪物に大きな責任がある。
■金融業界が作った「大量破壊兵器」
アメリカ最大の保険会社アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)は、投資銀行や保険会社などに対して保証していた140億ドルにのぼるCDSの支払いに行き詰まり、納税者のお金で救済された。この1年間の金融システム危機の原因の多くは、元をたどればCDSに行き着く。その市場は62兆ドルに達していた。ニューヨーク証券取引所に上場する全株式の時価総額の4倍近い額だ。
著名投資家のウォーレン・バフェットがCDSを「金融版の大量破壊兵器」と呼んだのには理由がある。CDSは企業対企業の相対取引で契約されるため、政府の規制は及ばないし、取引報告を集約する場所もないので本当の市場価値を知ることができない。
その結果、数十億ドルもの不透明な「暗黒物質」が金融市場の頭上に垂れ込めることになった。CDSはならず者国家の核兵器のように世界中に拡散し、今は注意深く秘匿されている。多くの金融機関のバランスシートを吹き飛ばすのも時間の問題だ。
CDSのいちばん初期の取引の一つは、97年12月にJPモルガンが行った。同社はフォードやウォルマートなど大企業向けに実行した300件、計97億ドルにのぼる融資を調べ、最も貸し倒れリスクの高い上位10%を特定。それを投資家に売却した。
それを可能にしたのは、MITを出てJPモルガンのスワップデスクで働いていた当時25歳のテリ・デュホンだ。この部門は、のちに世界的な大銀行の幹部を多く輩出し、「モルガン・マフィア」として知られるようになる。「銀行が信用リスクを資産から切り離し、保険会社や年金に肩代わりさせることに成功した」と、今はロンドンでデリバティブのコンサルティング業を営むデュホンは言う。
その後まもなくCDSは、リスクの高い中南米やロシアなど新興市場への投資も怖くなくなる保険として使われはじめた。01~02年にエンロンやワールドコムが粉飾決算の挙げ句に巨額債務をかかえて倒産すると、企業の内部崩壊に対する自己防衛の必要性も再認識され、CDSは打ってつけのツールになった。00年に1000億ドルだった市場規模は、04年には6.4兆ドルになった。
そして住宅ブームがやって来る。FRB(米連邦準備理事会)が利下げを繰り返し、アメリカ人が歴史的なペースで住宅を買いはじめると、住宅ローン債権を担保にした証券化商品は新たな有望投資先になった。銀行やヘッジファンド、年金などあらゆる金融機関がこれを購入し、彼らの多くがその債務不履行に備えてやはりCDSを購入した。
「一連の仕組みはきわめて魅力的で、猫もしゃくしも利用した。その結果、CDSの市場は巨大化した」と、かつてシティグループのクレジット・スワップ部門を率いたロアン・ダグラスは言う。
AIGのような会社の取り扱い商品はすぐに、火災保険だけではなくなった。彼らはCDSを売ることで、住宅ローンの保証もはじめた。AIGが政府に救済されたときまでに、同社のCDS保証残高は4400億ドルに達していた。
AIGの決定的な過ちは、伝統的な保険の手法をCDSにそのままあてはめたことのように思える。従来の保険では、一つの事故と他の事故の間に相関関係はない。隣人が車を衝突させたからといって、自分もそうなるリスクが高まるわけではない。
だが、債券の場合はまったく話が違う。一つが債務不履行になると、連鎖反応で他の債券も債務不履行に陥る確率が高まる。投資家は臆病になって資金を引き揚げ、市場はパニックに陥り、銀行は貸し渋りに走る。
そして住宅ローンの証券化商品が債務不履行に陥りはじめると、AIGは何十億ドルもの元利金を補償しなければならなくなった。AIGにそんな資金はないことは、たちまち明らかになった。
政府が介入してAIGを救済したのは、AIGがCDS市場のいわば最後のとりでだったからだ。銀行やヘッジファンドはCDSの売り買い両方を行い、どちらか一方で損をしてももう一方で得をするポジションだったのに対し、AIGは保証を提供する一方だった。もしAIGが債務不履行に陥れば、AIGからCDSを買っていたすべての金融機関が損失を被り、信用危機に陥っていただろう。
■銃を規制するならCDS規制もあり
CDSがこの危機で果たした役割を考えれば、政府が規制に乗り出すのも想像に難くない。「悲しいことに、CDSは汚名を着せられた」と、デュホンは言う。「誰かが撃たれたときに、それを銃のせいだと言うのに似ている」
だが、AK47自動小銃の販売を規制すべきだと考える人がいるのと同じように、CDSも使い方を誤れば危険だという議論は成り立つ。「CDSがあることで、人々はトラブルに巻き込まれやすくなった」と、スタンフォード大学ビジネススクールのダレル・ダッフィ教授(金融論)は言う。
CDSは乱用されたが、それでも有効なツールであることには変わりなく、葬り去ってはならないとダッフィは言う。「仮にCSDを法律で禁じたとしても、金融技術者がすぐに新手法を編み出して規制をかいくぐるだろう」
将来の危機をいかにして食い止めるか頭を悩ませているウォール街と米政府が、せめて小説『フランケンシュタイン』を再読してくれることを祈ろう。
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● 「振り回される東京市場、米会計基準見直しで不信感助長も」
2008年 10月 1日 東京、ロイター
1日の東京市場は、前日と一転して株高/債券安。米金融安定化法案が修正・可決の方向で動いており、前日の巻き戻しが入った。
米金融安定化法案が成立すれば、混乱する欧米金融セクターの止血役にはなる。しかし、米国発の混乱が世界景気の悪化につながっており、これに対する対応はその後だ。市場では「企業業績にどう影響が出るか、9月中間決算が気にかかる」(準大手証券)との声が上がっている。
<米会計基準、透明性を犠牲に> 米国の時価会計の見直しも、市場にとって不透明要因。証券取引委員会(SEC)は現地時間の30日、時価会計に関するガイドラインを発表し、価格設定が困難な資産を評価する際、金融機関は著しく低い価格で評価する必要はないとの見解をあらためて示した。米財務会計審議会(FASB)が追加のガイダンスを今週中に公表する。
株式市場では、銀行のバランスシートにあるモーゲージ関連の損失が小さくなる可能性があるとみられることは、足元の株価には支援材料だが、市場のインフラである時価会計ルールの混乱は、長期的には投資家の信頼感を損ねそうだ、と受け止められた。
この問題は為替市場でも話題になった。前日にドルが急反発した一因として、米国会計基準の見直しが「金融機関のデレバレッジが招くパニック的な負のスパイラル進行に歯止めをかける」(外銀)可能性を指摘する声が出ている。
ただ、時価会計基準の見直しは決算から透明性が失われることにつながり、市場の疑念を増幅しかねないとする見方も少なくない。「現在のパニック状況を緩和する策としては有効かもしれないが、長期的には何も解決しない」(邦銀)と、本格的なドル底入れにはつながらないとする見方も出ている。
<不安材料が山積みのドル> この日の為替市場では、ドル上昇が一服。ドル/円は仲値のドル不足で一時106.54円と、前日東京で付けた4カ月ぶり安値から3円超の反発となったが、正午過ぎには105円後半に反落した。「可決は(米金融不安という)出血を止めるのにどうしても必要。
実際に可決となれば、ドルはもう少し反発するかもしれないが、その先まで見据えると、米景気は回復しないし財政赤字も拡大する、と不安材料が多い」(都銀)という。
ユーロ/円などクロス円も同様の値動き。ユーロはリスク回避の円買いが一服となる形で、前日海外の安値148.57円から150.58円まで2円の反発となったが、正午前には149円半ばに反落した。
市場では、アジア時間のダウ先物がじり安で1万0780ドル付近と、前日終値の1万0850ドルを70ドル程度下回っていること、前日に大きく下落した日経平均株価の反発が1%程度にとどまっていることなどを気に掛ける声があった。
前日の取引でユーロ/ドルは日本時間朝方の1.44ドル半ばから、2週間半ぶり安値となる1.4008ドルまで450ポイント近く急落。1日の下げとしては1999年のユーロ導入来最大となった。
<円債は先物中心に下落、レポ市場変調の影響も> 円債市場は下落。特に国債先物の下げが目立った。中心限月12月限は1円15銭安の136円39銭と7月30日以来の水準に下落した。
前日の米国市場で米金融安定化法案が修正協議後に早期成立するとの期待から、質への逃避を巻き戻す動きが出たことを受け、売りが先行。2日の10年債入札に備えたヘッジ(損失回避)売りも出て、海外勢や国内ディーラーからの売りを巻き込み下げ幅を広げた。
「ボラティリティが高い中で、米金融安定化法案への期待に加えて期初の益出し需要、10年債入札前のポジション調整などから、現物対比で割高な国債先物に調整が入った」(三菱UFJ証券・シニア債券ストラテジストの長谷川治美氏)という。
レポSC市場では、新発10年債(296回)がマイナス5%で取引されるなど10年ゾーンの需給がひっ迫感が出ていることから、「入札に備えたヘッジ(損失回避)行動は国債先物でやらざるを得ない状況」(国内証券)という。
●「イタリア大手銀の株価急落 欧州、金融不安なお」
日経新聞 2008年10月1日
【ロンドン=石井一乗】 銀行国有化が相次いだ欧州では金融不安がなおくすぶっている。1日のミラノ株式市場ではイタリアの大手銀行株が急落し、一時取引停止に追い込まれた。フランスでは貯蓄銀行の一部で資金繰り不安のうわさが出るなど、市場や国民の疑心暗鬼が消えていない。
ミラノ市場では総資産で伊銀最大手のウニクレディトの株価が9月29日、30日と続けて1割超下落、10月1日も大幅下落で取引が始まった。これを受け、ミラノ証券取引所は総資産2位のインテーザ・サンパオロ株とともに取引を一時停止。株価急落を受けてウニクレディトは同日、不動産資産の一部を売却すると発表。「自己資本の増強につながる」と強調した。発表を受けて同行株は反発した。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦拝
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