「86」 「サブプライム危機から世界恐慌へ」(21) 2008年3月の新聞記事で「84」番に載せなった分。まだこんなにありました。2008.9.13

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副島隆彦です。 ここの「84」番に載せた2008年3月分の記事以外の、3月分の新聞記事の残りを、整理しましたので、載せます。 副島隆彦拝

(転載貼り付け始め)

●「ルービン元財務長官、政府の迅速な対応求める-住宅差し押さえ増加で」
Rubin Calls for Urgent Government Action to Stem Foreclosures

2008年3月21日 ブルームバーグ

 ルービン元米財務長官は21日、住宅の差し押さえが増加していることについて、政府の迅速な対応を呼び掛けるとともに、税金投入の必要性を示唆した。

 米銀シティグループの経営委員会会長を務めるルービン氏は「迅速な行動が強く求められている」と指摘。「わたしなら、何らかの形で公的資金を投入することを非常に、真剣に検討する」との考えを示した。

 ルービン氏は、不動産価値の目減りに苦しむ住宅所有者に対する政府支援の強化には、米連邦住宅局(FHA)の関与が必要だと指摘。「少なくともわたしの意見で、現在欠けているもの」は、差し押さえに直面しているすべての住宅ローンを対象にした措置だとの見方を示した。ブルームバーグテレビジョンのインタビューに答えた。

 さらに、差し押さえの増加は、信用逼迫(ひっぱく)の中心にある問題だと指摘。「信用市場は未体験ゾーンにある。今後も多くの問題が起こる可能性がある」との見通しを示した。一方で同氏は、景気の下支えや金融市場の逼迫感緩和のために連邦準備制度理事会(FRB)が決定した一連の措置を称賛。「FRBは非常に良い仕事をした」と述べるとともに、ベアー・スターンズ救済でFRBと協力した財務省の対応も評価した。

 同氏はまた、米国はすでにリセッション(景気後退)入りしたという認識を示さなかった一方で、米経済が深く長い収縮期にあるかもしれない確率は3分の1だとの見方を示した。

●「米証券GSとリーマンの格付け見通しを「弱含み」に引き下げ-S&P 」
Goldman, Lehman Rating Outlook Cut to Negative by S&P

2008年3月21日 ブルームバーグ

 米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は21日、米大手証券のゴールドマン・サックス・グループ(GS)とリーマン・ブラザーズ・ホールディングスの信用格付け見通しを「ステーブル(安定的)」から、将来の格下げの可能性がある「ネガティブ(弱含み)」に引き下げた。米大手金融機関の利益は今後1年間で最大30%減少する可能性があると指摘している。一方でS&Pは、ゴールドマンとリーマンの長期信用格付けをそれぞれ「AA-」、「A+」で継続した。

 S&Pは、米連邦準備制度理事会(FRB)が決定した証券会社対象の公定歩合貸し出しと、JPモルガン・チェースによるベアー・スターンズ買収計画に関連した特別融資は「流動性の懸念を軽減する」と指摘した上で、「それでも、資本市場の混乱の持続や大幅な景気鈍化の可能性は若干あるとみている」との判断を示した。

 米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは17日、リーマンの格付け見通しを「ポジティブ(強含み)」から「ステーブル(安定的)」に引き下げるとともに、長期信用格付けを「A1」で継続している。

●(副島隆彦注記。アメリカの一般国民は、まだ、自国が金融恐慌から大不況に突入するのだ、ということを知らない。自覚が無くて、「何とかなるさ。政府がなんとかしてくれるさ」 と浮かれている。以下のCNNの世論調査の記事から、そのことが分かる)

「米国民の6割、来年には景気回復と 最新世論調査結果」

2008年3月22日 CNN

 信用力の低い消費者向け住宅ローン(サブプライムローン)焦げ付き問題が原因で金融市場が混乱、景気後退への懸念が強まっている米国経済の先行きで、米国民の6割が来年には経済が持ち直すと考えていることが最新世論調査で21日分かった。

 現在の景気については75%が悪いと答えていた。経済対策は、今年の米大統領選でも主要争点に浮上。有力候補は次々と景気対策案を提示している。過去2回の景気後退はあくまで短期間で終わったことから、この経験が今回の調査結果に反映したともみられている。

 世論調査によると、83%が現在の生活水準を来年も維持出来ると回答。85%は今後半年内に仕事は続けられると考えていた。調査はCNN、オピニオン・リサーチ社が共同実施した。3月14日─16日に、成人千人以上を対象に実施した。 以前の調査では、米国民の71%がイラク戦費が米経済の現在の低迷につながっていると判断していることが分かっている。反対意見は28%だった。

●(副島隆彦注記。アブダビとシンガポールの政府にアメリカ政府が緊急の資金の供与の救援を求めている。アメリカのドル覇権の終わりへの道だ。)

「アブダビとシンガポールが米国財務省とSWF投資について協定締結 」
http://blogs.yahoo.co.jp/dfdcc441/4587278.html

2008年3月20日、

 米国、アブダビ、シンガポールは、SWFによる対米投資について協定を締結した。これはアブダビ・シンガポールに対する5つの原則と、米国に対する4つの原則からなる。エッセンスは、SWFの投資は商業目的に基づくものとし、米国は安全保障に抵触しなければ投資を受け入れる、というもの。9項目は下記である。

SWF側の政策原則
Ⅰ 投資は商業目的に基づくものとし、この原則を明文化する
Ⅱ 投資目的、投資対象などにつき、よりディスクロージャーする
Ⅲ ガバナンス、内部統制、リスクマネジメントを確保する
Ⅳ 民間企業と公平に競争する
Ⅴ 投資受入国側の法規制やディスクロージャーへの要望に応える

投資受入国側の政策原則
Ⅰ 対内投資について保護主義的措置を設けない
Ⅱ 投資受入国は、投資受け入れに際しての規制を明確化する
Ⅲ SWFを他の投資家と差別しない
Ⅳ SWFの投資決定を尊重し、安全保障上にかかわる場合を除いて投資は受け入れる

●(副島隆彦注記。 RMBS =モノラインが作ったモーゲッジ証券商品を売り買いする債券市場 が、崩れそうなので中銀たちが救済しようとしている段階であるらしい。でもFRB以外は、救済しないし、出来ない。)

「英中銀:金融市場のひっ迫緩和で他の中銀と協議-公的資金は検討せず」
Bank of England Seeks to Ease `Strains’ in Markets

2008年3月22日 ブルームバーグ

 イングランド銀行(英中央銀行)は22日、金融市場のひっ迫を緩和する方法について、他の中銀と協議していることを明らかにした。ただ、公的資金を求めることは検討していないという。

 英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は同日、米欧の中央銀行がモーゲージ担保証券(MBS)の購入を検討していると伝えたが、英中銀は同行がその中には含まれていないと指摘した。米連邦準備制度理事会(FRB)もMBS購入に関して議論に入っていないとしている。

 英中銀は「われわれは他の多くの選択肢を検討しているが、その詳しい内容に言及するのは時期尚早だ」との声明を発表した。金融機関は英中銀が短期市場の状況改善に向けて十分な措置を取っていないと批判している。

●(副島隆彦注記。またひとつ、米大手ノンバンクが潰れる。)

「WSJ紙-CITが信用枠全額引き出し、資金調達難が拡大」

2008年3月21日 ダウ・ジョーンズ

ニューヨーク、ウォール・ストリート・ジャーナル

 ウォール街を震源とする揺れはまだ続きそうだ。米金融サービス大手CITグループ(NYSE:CIT)は20日、信用危機のため通常の資金調達方法での調達ができなくなり、73億ドルの信用枠全額を引き出したと明らかにした。CITが手元資金確保のために資産を売却し貸出事業を縮小すれば、同社の商業融資を利用している企業に悪影響が及ぶことになる。CITのジェフリー・ピーク最高経営責任者(CEO)は「現在の市場環境を考えると、事業規模を縮小する必要があると認識している」と語った。

 同社は銀行ではないが、必要な資本全額を通常の銀行融資で調達しきれない企業への融資を手掛ける企業としては大手。50カ国以上の30以上の業界に顧客を抱える。昨年末時点の運用資産総額は832億ドルで、クリーブランドを本拠とする米地銀持ち株会社キーコープとほぼ同じ規模。

 CITは銀行預金を運転資金に充てることができないため、通常はコマーシャルペーパー(CP)による短期資金調達のほか、資産担保証券(ABS)や社債の市場などに頼っている。だがこれらの資金調達源は信用収縮のため凍結状態が続いている。格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が今週、同社を格下げしたことも、資金調達難に拍車をかけた。CITは2月、創立100周年を迎えた。

 同社が緊急融資枠の利用を余儀なくされたと発表したことを受け、同社の株価は一時、前日比45%安まで下落した。その後やや持ち直し、終値は同2.01ドル(17.27%)安の9.63ドルとなった。これは、変動の激しい環境で同社は幾らか時間稼ぎができたと投資家が考えていることを示唆している。

 CIT幹部によると、過去1週間で同社の資本市場へのアクセスはほぼ絶たれたという。これにより、企業の規模にかかわらず同社から融資を受けるのは難しくなり、借り入れコストが増えると考えられる。サンドラー・オニール・アンド・パートナーズのアナリスト、マイケル・タイアーノ氏は「これは連鎖反応。CITの資金調達難は同社の融資先の資金調達難を通じて融資のデフォルト(債務不履行)につながる可能性がある」と語った。

 CITの問題は、中小企業への信用収縮を示す最新の兆候だ。住宅ローンやその他の消費者金融でのデフォルトが増加し、多くの銀行があらゆる種類の融資に慎重になった。このことは、米国の景気減速に追い打ちをかける恐れがある。米連邦準備制度理事会(FRB)の1月の調査によると、銀行の約3分の1が商業融資の基準を強化し、約40%が商業融資の金利を引き上げている。

 CITのジョセフ・レオーネ最高財務責任者(CFO)は「当社は、資本を確保するために融資事業を縮小する必要があるが、既存の顧客との事業は継続する」と語った。ピークCEOによるとCITは、「預金は潤沢だが資産の乏しい」さまざまな預金取扱機関と、借り入れについて交渉してきた。だが、ある銀行と合意に近づいたものの、このところの市場の混乱で「やや後退した」という。

 CITは、CPの償還に加え、2008年に期限を迎える97億ドルの返済に備えて資金を調達する必要がある。返済額が最も大きなものは期限が5月に迫っており、38億ドルの返済または借り換えをしなければならない。同社の現在の手元資金は25億ドル弱で、50億-70億ドル相当の資産を売却する予定。

 同社は、信用枠全額を引き出したことで、事業規模縮小後の同社が年内に必要とする資金は賄えるはずだとしている。また証券化などによって幾らかの資金調達ができるという。アナリストは、CITが今回、信用枠全額を引き出したのは賢明だったとみている。

 かつて評判だった企業が目立ったつまずき方をしていることで、投資家は動揺が増幅され、CITなどの金融各社から遠ざかっている。ベアー・スターンズは16日、JPモルガン・チェースに1株当たり2ドルで買収されることで合意した。また米未公開株投資会社カーライル・グループ傘下のカーライル・キャピタルは同日、同社清算の方針を明らかにしている。

● 2008年3月22日

(1)新銀行東京と前後して木村剛が設立した日本振興銀行についても、私は即座に倒産必至だと述べた。

(2)木村剛は金融庁顧問の職権を利用して親しいサラ金会社に銀行のライセンスを取得させた。しかしサラ金が銀行経営に成功するのは至難である。
 第1に、サラ金は通産省管轄であるが、銀行は金融庁管轄である。金融に無知な通産省に比べると、金融庁の検査は桁違いに厳格である。
 第2に、サラ金の上限金利が29%であるのに対して、銀行の上限金利は実質10%である。金融庁は年率10%を超える融資案件を片端から不良債権と見なし、貸倒準備金の積み立てを要求する。

(3)これだけのハンデがあれば、サラ金の経営者が銀行経営で成功するわけがない。サラ金で儲けたから銀行の看板を持てばもっと儲かると考えたところに、木村剛の浅薄さが露呈していた。

(4)この程度の才能が金融庁顧問として絶大な権力を振るい、日本の巨大企業30社を名指しで「つぶせ」と恫喝していたのである。

(5)企業の過剰債務は銀行の過剰融資である。竹中大臣は木村剛の強面(こわもて)を利用して銀行を威嚇し、過剰融資の責任を追及した。ダイエーや日商岩井やUFJ銀行が事実上の倒産に追い込まれた。

(6)つぶすと脅かされて、金融機関と企業は借金を返済するために株式と不動産をたたき売った。買い手不在の市場で大暴落した株式と不動産を、ユダヤ資本がダ同然で一手に買い占めた。

(7)竹中大臣はユダヤ資本に荷担して日本の国益を破壊していると、当時私は批判し続けた。事実、株主名簿の50%を占めていた金融機関と取引先企業が消えた。
代わって外国人株主が30%を支配し、東京株式市場をユダヤ資本が占拠したのである。今上場企業は外国資本の買収におびえ、株式持ち合いを復活している。

(8)さて、日本振興銀行はたちまち大幅赤字に陥り、内紛に揺れた。その後の状況を私は知らない。知ろうとも思わない。

(9)当時、ケンカが強く、颯爽としていた石原慎太郎と竹中平蔵と木村剛は、権力におぼれて悔いを後世に残した、と私は思う。

●「米欧中銀、モーゲージ担保証券市場のてこ入れについて協議-FT紙」
Central Banks Discuss Mortgage-Backed Debt Rescue Plan, FT Says

2008年3月22日 ブルームバーグ

 英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は 22日、米欧の中央銀行がモーゲージ担保証券(MBS)市場を下支えするため、公的資金投入の妥当性を検討していると報じた。情報源を明示せずに伝えた。

 同紙によると、米連邦準備制度理事会(FRB)とイングランド銀行、欧州中央銀行(ECB)は、金融市場の混乱への対応に関する協議の一環として、MBSをめぐる話し合いの初期段階にある。MBS価格のさらなる低下を防ぐため、公的資金を大規模なMBSの購入に充てる案が検討対象になっているという。

 この構想にはイングランド銀が最も積極的。FRBも最終的な手段として用いることには原則として前向きで、ECBが最も消極的だという。

●「ECB、ユーロ高で介入圧力高まるものの当面は口先介入のみか」

2008年 3月20日 フランクフルト、ロイター

 対ドルで史上最高値を更新し続けているユーロ相場は、欧州中央銀行(ECB)に為替介入を促す水準に達しているが、ECBは今のところ口先介入にとどめる考えとみられている。

 ECBと米連邦準備理事会(FRB)が経済における最優先事項に関する立場の違いを棚上げし、協調してドル安阻止に取り組むことを検討するには、ユーロが現在の1.54ドル付近から1.65ドルへと急伸する必要がある。

 ドル下落が米国のインフレやユーロ圏の成長見通しだけでなく、世界の金融安定をも揺るがしかねない事態になれば、為替介入が現実的な選択肢になる。

 為替介入するとすれば、日銀やイングランド銀行(英中銀)、スイス中銀の協力も必要になるが、今のところ各当局は、意表を突く動きは金融混乱を和らげるどころか深刻化させるだけとみているようだ。

 ある主要7カ国筋は「市場は十分ボラタイル。われわれが予想外の行動をしてそれを助長する必要はない」と述べた。同筋は、昨秋の7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が、声明の為替に関する文言を修正しなかったのはこうした主張があったためだ、としている。一方、介入圧力がじわじわ高まっているとみる外為市場ウォッチャーは多い。

 「介入が近づいているのは確実」とみるカリヨンの外為調査責任者、ミトゥル・コテチャ氏は、「為替市場のボラティリティは、最近数週間、とりわけここ数日で著しく高まっており、ドル暴落のリスクも出てきている」と指摘した。

 それでも、コテチャ氏も他の通貨ストラテジストも、現段階でECBは介入の準備ができていないと考えている。INGの為替戦略責任者、クリス・ターナー氏は「市場の状況について中銀の間で連絡を取り合っていても驚かない。しかし、われわれはユーロ高が1.60─1.65ドルまで進行するまで介入があるとは思わない」と話す。

 ECBはとりあえず、ユーロ高への口先介入を強めるとみられている。口先介入で市場を制することができなければ、中銀の信認は傷つき、さらなる混乱をもたらす恐れがある。タレット・プレボンのG7エコノミスト、レーナ・コミレバ氏は、口先介入が強まれば実際の介入が近づいていると見なすべきだが、実際は逆で、介入を迫られる状況を回避するための戦略だとみている。

 <FRBとの立場の違い>
 ユーロは今週に入って1.59ドル台で最高値を更新したほか、主要通貨バスケットに対する実効レートでも最高値を付けた。

 ECBが記録的水準に高まったインフレを抑制するため政策金利を据え置く方針である一方で、FRBは景気支援に向け利下げしているため、ドルの下落は特に対ユーロできつくなっている。

 しかし、ストラテジストの間では、介入がドル支援効果を持つためにはECBとFRBが現在の立場を放棄しなければならない、との意見が大勢。

 バークレイズ・キャピタルの欧州担当チーフエコノミスト、ジュリアン・キャロウ氏は、それがECBが現段階で実際の介入より言葉による介入を志向する理由だと指摘。

 「ECBのコメントは、市場の為替の動きに関する見方に対抗しようとしている。一方で、2つのリスクも示している」と述べる。一例がビーニ・スマギ専務理事の18日の講演。専務理事は、市場は時にオーバーシュートし、世界経済に悪影響を与える可能性があるとの見解を示した。講演を受け、ドルは対ユーロで約2セント上昇した。

 バンク・オブ・ニューヨーク・メロンの外為調査責任者、サイモン・デリック氏は、専務理事の発言はECBのユーロ高への懸念を反映しているとみており、「まさに介入前に出てくる言葉だ」と述べている。

 <米国は動くか>
 ただ、世界的な中銀の協調介入は、米国の協力抜きではあり得ない。トリシェECB総裁は、米国が強いドル政策を維持する方針を示したと、繰り返し述べている。ECB理事会メンバーのメルシュ・ルクセンブルク中央銀行総裁は17日、ロイターに対し、ドルには「特別な責任」が付与されている、と述べた。

 これらECB要人の発言について、バークレイズ・キャピタルのキャロウ氏は、ドル安によって中国などのアジア、中東の国・地域が事実上のドルペッグ制を放棄し、新たな混乱をもたらすのではないかというECBの懸念を反映している、と指摘する。
 こうした懸念は、米財務省およびFRBをさらなるドル支援に突き動かす可能性がある重要な要素のひとつだ。

 キャロウ氏は、FRBにとって最大の懸念は経済成長だとした上で、米国の姿勢が変わるためには、ドル相場の不安定さが米経済に与える悪影響の方がドル安による輸出へのプラス効果を上回っていると米政権が認識し始める必要があるとみているが、「そこに至るまでの道のりは長い」と述べている。

●2008年3月22日

 今のアメリカ経済に起こっている金融危機は、かつて日本で起こったことと同じだ。今は、金融・土地バブルが崩壊した日本の1993年ぐらいの感じだ。

 銀行は「健全行」とみなされる基準であるバーゼルⅡ を クリアするため 自己資本( 自己資本比率8%を達成する義務 ) を高く保つ必要がある。 そのためにはリスク資産を減らさざるをえない。

 だから、サブプライム関係の不良債権を多く持っていて、それが時価会計のために表に出さざるを得なくなっているヘッジファンドに対し、銀行が、マージンコール(増担保要求)みたいな形で、貸し渋り貸し剥がし をやっている最中だ。 またこれをやらざるを得ない。

 ヘッジファンドの方としてはこれに対して資産の現金比率を高めて備えるしかなく結果として現金化できるものを片っ端から売っている。 この場合、利が乗っているか、市場が大きく取引が厚くて売っても大きく損が出ないもの、すなわち、日本株などが優先的に売られた。価格が高騰していた商品をどんどん売って利益確定しているということだ。

 短中期の国債なんかが高騰しているのも、現金を安全に安心して置いておける殆ど唯一の場が国債だから。つまりヘッジファンドの絶対的な流動性不足の結果としてのポジション・クローズである。このことは、つまり、アメリカのヘッジファンド破綻 のカウントダウンが始まっているということだ。バーナンキといえども ヘッジファンドを直接救済するなどということはやらない。

● 「商品市場の突然の失速、背景にファンドのレバレッジ外し」

2008年3月 20日 ニューヨーク、 ロイター

 20日の米金融市場では、投資リターンを高める目的でかけていたレバレッジを縮小し、利益を確定する動きで商品が売られ、ドルが上昇した。 原油など19商品の先物で構成するロイター/ジェフリーズCRB指数は今週、8.3%下落、下落率は指数の算出が始まった1959年以来、最大となった。

 7カ月前に信用危機が始まってから、市場の突然の変調を想定した投資家によるレバレッジ外しがみられるようになった。

 米投資銀行ベアー・スターンズの事実上の破たん、米連邦準備理事会(FRB)の利下げと、信用危機の新たな段階ともいえる展開だった今週は、高レバレッジの投資家が、追加担保の差し入れ要求への対応などで、益の出ていた取引の解消を余儀なくされた。

 バーラ・キャピタル(シカゴ)のシニアポートフォリオマネジャー、ピーター・ビソールド氏は 「大規模なフローと数年分に相当するディールの解消が起こっている」 と述べ、ファンドの中には、リスクエクスポージャーを減らすために安全な政府債や高格付けの社債を売っている向きもいる、と指摘した。

 こうしたリスク回避の影響が最も顕著に表れたのは商品市場。 リセッション入りした可能性もある今回の米経済減速局面でも素材価格は底固さを示し、米原油先物は週明け17日に 1バレル=111.80ドルの最高値を付けていた。しかし、商品価格は突如、上昇が失速した。

 投資家のデニス・ガートマン氏は最新のガートマン・レター「上手なトレードも時には失敗に終わる。それが目の前に突きつけられた。われわれは、1日にして天才から愚者に成り下がった」 と述べた。同氏は、金上昇・株安を見込んだポジションを半分に減らすという。

 <企業の経営問題にも神経質>
 投資家は、資金繰りが悪化したベアーがJPモルガン・チェースに救済買収を仰ぐに至ったような、企業の存続にかかわる問題にも神経質になっている。上場先物・オプションの取引仲介最大手の米MFグローバル は17日、事業を行うのに十分な資金を確保している、との説明に追われた。資金繰り悪化懸念が浮上した同社の株価は今週、49%も下落した。

 米連邦準備理事会(FRB)は16日、公定歩合の緊急引き下げとともに、プライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)向けの新貸出制度を発表した。制度は、大手に限るものの金融機関に低利で資金を調達する道を開くものだが、かえってカウンターパーティーリスクをめぐる懸念を増幅させた。

 レバレッジ外しは、海外市場でも主要なファクターとなった。オーストラリアでは借り入れコストが約18年ぶりの高水準に上昇したほか、日本では10年物国債先物が2003年半ば以来の高水準を記録した。

 シティグループは、ファンドによるデリバレッジが資産価格のデフレサイクルを引き起こすとの見方から世界経済成長予想を引き下げた。シティグループのリポートは 「国際的な金融機関の多くが、米モーゲージ証券絡みで損失を出したため、バランスシートを縮小し続けている。この過程で他の金融機関への信用供与も減っている」と指摘。 「こうした動きが資産価格や大手金融機関のバランスシートにさらなる圧力となる」とみている。

● 「商品相場急落の裏にヘッジファンド危機、実質ゼロ金利のドル相場にさらなる重し」

2008年3月21日 東京、ロイター

 商品相場の急落は単なる利益確定でなく、巨額損失で身動きが取れなくなったヘッジファンドの投げ売りらしい――。21日の外為市場ではこんな観測が出回った。急激な相場変動によって運用成績が悪化した大手ファンドの損失計上や破たんのうわさも相次いでいる。大幅利下げで実質ゼロ金利となった米国の通貨ドルは連邦公開市場委員会(FOMC)後に下落が一服しているが、センチメントは悪化の一途をたどっている。

<モノラインに次ぐターゲットはヘッジファンド>
 為替市場では、ヘッジファンドの動向が急速にクローズアップされている。依然として巨額の損失懸念がくすぶってはいるものの、大手銀行や大手証券では政府系ファンドの出資や同業者による合併が動き出し、モノラインは米政府も巻き込んだ救済策が練られ始めた。

 しかし、損失を抱えたヘッジファンドへの目立った対策はまだ、ファンドの「幹事行」にあたるプライムブローカーへの貸し出し緩和策のみ。「相次ぐ救済は一歩間違えるとモラルハザードになりかねない」(邦銀関係者)ことは確かだが「ファンドの損失が今後拡大していくのではないか」との懸念に、市場の不安心理は増幅し始めている。

 ニューヨークでドルを売り仕掛けているある為替ディーラーも「サブプライムモーゲージ(信用度の低い借り手向け住宅融資)問題で銀行、証券、金融保証会社(モノライン)が次々にやられて(損失を計上して)きたが、まだヘッジファンドが残っている」とにらむ。

 20日海外の取引では、ニューヨーク・マーカンタイル取引所の米原油先物CLc1が一時98.65ドルと、2週間ぶりの水準へ急落。最高値を更新した17日からわずか3日で、1割を超える下げとなった。

 原油市場では米国の原油需要が低迷するとの見方が引き金になったとされているが、19の商品先物で構成するロイター/ジェフリーズCRB指数.CRBも20日に一時377.45と、1カ月ぶり低水準に急落。CRB指数の今週の下落率は、指数の算出が始まった1959年以来最大を記録するなど、高騰の続いてきた商品相場は軒並み下落している。「運用難で首の回らなくなったヘッジファンドがとりあえず、利益の出ている商品を投げ売っているようだ」(市場筋)との観測が浮上するまでに時間はかからなかった。

<低金利のドルは「調達通貨」、マインド好転せず売り継続の見方大勢>
 日々数多くのうわさが流れる外為市場では、3月上旬は銀行や証券など大手金融機関の損失計上をめぐるものが大半だったが、今週に入ってからはファンドをめぐるものが急増。19日夕方の取引では「欧州系の大手ファンドが破たん目前らしい」とのうわさが流れた。

 20日には英紙フィナンシャル・タイムズが30億ドル規模の英ヘッジファンド、エンデバー・キャピタルが17日の東京円債市場で資産の4分の1以上を失う損失を出したと伝えたことが話題となった。サブプライム問題に「ファンド運用難」という新たな懸念が急速に現実味を帯びてきたことで、18日のFOMC後に一服となっていたドル売りが再び強まる可能性を指摘する声が出ている。

 「ドルが下がりそうな話題には事欠かない」(後出の都銀)最近の外為市場では、大幅な米国の利下げで、ドルの下落が長期化すると予想する声も出始めた。相次ぐ利下げで米国の政策金利は2.25%へ低下。キャリートレード全盛のころには円と同様に低金利の調達通貨とされてきたスイスの2.75%をも下回り、G7では日本に次ぐ低さとなった。

 実質金利はマイナス域に突入しており、ドルは「もはや運用通貨でなく、円と同じく調達通貨。円と同じく売られやすくなった」(別の都銀)。さらに、ドル安見通しの強まりを受けて米国への資本流入が細れば、経常赤字のファイナンス懸念が生じ、再び米国の双子の赤字を含む世界経済の不均衡問題がテーマとなる可能性もある。

● (副島隆彦注記。白川代行は、なかなかしっかりしているようだ。)

「白川日銀副総裁(総裁代行)の一問一答」

2008年 3月21日 東京、 ロイター

 白川方明副総裁(総裁代行)は21日、就任会見を行い、総裁不在という異例の事態の中でしっかりと任務を遂行していくとの決意を述べた。会見での主なやりとりは、以下の通り。

 ──副総裁就任にあたっての抱負。また、総裁不在が業務運営上どのような影響が出てくるのか。

 「現在、日本経済は国際金融市場の動揺や世界経済の減速、エネルギー・原料価格高騰による中小企業の収益環境の悪化や生活関連物資の値上がりなど、内外とも多くのリスク要因・不確定要因を抱えている。金融政策運営にあたっては、経済・物価の見通しと、上下両方向のリスク要因を謙虚な姿勢で幅広い角度から分析することが求められている。そうした丁寧な情勢分析の上に立ち、必要な政策を機動的に実施することを通じて、長い目で見た物価と経済の安定に貢献していきたい」

 「金融政策は金融市場や金融機関の行動を通じて効果を発揮するものであり、その透明性は政策のアカウンタビリティ(説明責任)の面でもそうだし、政策の有効性を確保する上でも重要な前提となってくる。適切な政策を積み重ね、これをしっかり説明していくことで、国民の信頼を得られるよう努力するつもりだ。そうした信認こそが、日銀の独立性を確保する大切な基盤となる」

 「金融システム面だが、まずは現在進行中のサブプライムローン問題に端を発した国際金融市場の動揺に対して、適切に対処することが最優先課題だと考えている。それと同時に、今回の経験も踏まえて、マクロの金融政策や金融システムをめぐる政策、制度のあり方についてどのような教訓を引き出すべきか、しっかり検討する必要がある。そうした検討を踏まえた上で、リスク点検の体制を強化していく、その場合に個別金融機関のリスク管理の重要性だけではなくて、金融市場の中のどこにリスクが蓄積され、それが金融システムの安定のどのような影響を与えていくか、ミクロ・マクロからの点検をしっかりやっていきたい。私自身も金融機関や市場参加者と密接な意見交換を行っていき、現在、起きていることについて感覚のズレが生じることのないようにしてきたい」

 「日銀の機能はこのほか、銀行券の円滑な決済や決済システムの安定的な運行など、日々の業務で支えられている。日本銀行は当然のことながら銀行であり、その基礎は業務にあるというのは若いころからの強い信念だ。業務や組織運営面では職員の1人1人中央銀行員としての誇りを持ち、専門的な能力を最大限発揮できるような組織を作っていくために努力をしていきたい。組織形態や仕事の進め方など、あらゆる面で常に新しい目で柔軟に見直し、組織の効率化、活性化を進めていきたい」

 「総裁が欠けるという異例な事態だが、経済や金融には1日の休みもなく、日銀の業務が滞ることはいかなる意味でも許されない。総裁が任命されるまでの間、日銀の運営を預かる者として、しっかり職責を果たしていきたい。先ほど、2番目の質問で総裁不在という事態がどのような影響があるかということだったが、日銀全体の組織として日銀の機能がいささかも影響を受けることがないようにやっていく、そういう組織だと思っているし、微力ながらしっかり代行の仕事を果たしていきたい」

 ──今後の適切な金融調節のあり方について。

 「まずお断りしなければならないのは、私自身は今まで大学に1年8カ月大学におり、やや長期的な観点から日本の経済あるいは中央銀行のあり方について、興味を持って勉強してきた。ただ、足元の金融政策、経済政策について、詳細にこれまで研究してきたわけではない。日銀で働くことの一番大きな魅力・強みは、経済・金融に関して、ミクロ・マクロさまざまな情報が入ってくる、その様々な情報をいろいろな角度から分析をしていくというのが中央銀行の一つの魅力だと思っている。私自身は具体的な魅力にまだこの時点で直接接しているわけではない。、その意味で、その質問に対する答えは少し一般的な答えにならざるを得ない」

 「先ほどの抱負でも少し申し上げたが、私が日銀の中で金融政策を事務方として担当する、そういう仕事をやってきたときのいくつかの教訓がある。1つはこれは昔から言われていることだが、金融政策の効果が波及するまでには非常に長い時間がかかる。したがって、足元の経済の情勢、これはこれで非常に大事だが、しかし少し長い目で見て物価の安定がどのように維持されるのか、維持されないのか。したがって、持続的な経済成長が維持されるのか、されないのか。その点検の姿勢が非常に大事だ。具体的な方法論は何かということで世界の中央銀行が頭を悩ませているわけだが、いつも意識していることの一つはそういうことだ」

 「2つめは、これも抽象論になるが、経済が変化するときには非常に変化すると。これは上にも下にも変化をするときには非常に大きな変化をする。それだけに、金融政策運営にあたっては、予断を持ってはいけない。いろいろな情報を集めて、その意味を考えて、その上で最終的には、もちろん不確実性に満ち満ちているわけだが、最後は判断しなければいけない。その時に、繰り返しになるが、予断を持つことなく判断をしていきたい」

 「3つ目は、もう少し具体的な話になってくるが、日本のバブル以降の経験を振り返ってみると、あるいは最近の米国のサブプライムローン問題というか、クレジットローンの崩壊という問題をみてみると、あらためてこの20年近く、資産価格と実体経済の複雑な相互依存関係がいろいろな形で経済の変動を引き起こしているという感じがする。そうしたことも意識してやっていく。ただ、このことは私自身が意識している一般的な原則で、当面の金融政策について何かそれを示唆しようとしているわけではない。これから、そうした基本的な考え方を踏まえて、その上で様々な情報を集めて、4月の決定会合に臨みたい」

 ──政府は景気が踊り場に入ったとの判断を示しているが、足もとの景気の認識についてどうみているか。また国会の所信表明で潜在成長率と比較すると現在の短期金利は低いとおっしゃったが、利下げについてどのようにお考えか。

 「現時点での景気認識としては、見通しの判断は3月の決定会合で示した基本的見解と大きな違いはない。日本経済は足もと、住宅投資の落ち込みや原油高などの影響から減速しているが基調としては緩やかに拡大をしている。ただ、先行きは当面は減速するという姿がどのくらい続くかわからないが、その後は緩やかな拡大が続くというのが標準的ケース。しかし、標準的なケースを強調することも大事だが、今は非常に不確実性が高い」

 「実質短期金利というのは少し長い目で見た場合として申し上げた。実質短期金利はおおまかに申し上げるとだいたいゼロだ。潜在成長率が1%台半ばから後半。その意味では金融政策は非常に大きな緩和方向の力を発揮すると思う。ただ金融政策が経済に対して及ぼすルートは、短期金利から始まって中長期の金利、それも国債金利で計る金利だけではなく、実際に企業が計る金利、つまりクレジットスプレッドを加味した金利などを総合的に判断したフィナンシャルコンディションなど、何らかの金融政策の持っている金融緩和の力というものを具体的に判断していく」

 ──米国金融当局は大手証券ベアースタンズに流動性供給を行ったことへの評価について聞きたい。米国の金融政策についてドルの信認に悪影響が出ることについて、どう見ているか。

 「1つの大きな教訓としては、流動性の問題が原因となってソルベンシーが悪化することは防がなければならないということ。そうなると大変大きな影響がある。ベアースターンズに対して流動性を供給したことは日本の経験に照らして適切だったと思う。と同時、流動性の供給というのは必要な政策ではあるが、これだけで問題が解決するわけではない。そのことも中央銀行は意識しながら、最終的な金融市場の最後の貸し手だと意識しながら行動していくということ。この点においてはFRB(米連邦準備理事会)も日銀も同じ」

 「為替レートについては、今のサブプライム問題に端を発した金融市場の動揺、ドルの為替レートも減価しているのは事実。こうした動きにはずみがつくと、金融市場にとっても米国経済にとっても悪影響が及ぶし、その辺も意識しながら米国は対応をとろうとしていると思う」

 「経済全体の動き、米国経済の動き、金融市場、為替市場、など総合的に考慮しながらFRBは対応をとろうとしていると私には思える」

 ──米国経済減速の影響が世界経済に及ぼす影響についてどうみているか。デカップリング論についてどうお考えか。

 「経済はすべてリンクしているので、完全無欠なデカップリングが成り立つわけではない。経済は世界経済も日本経済もそうだが、需要項目をみると、日本は6割が個人消費。世界経済でもその割合に応じてその影響が異なってくる。米国が圧倒的に大きなウエートを占めていた時の経済と、今のように中国やインドのウエートが高まった経済を比べると、昔に比べると中国やインドのそれ自体の景気の拡大の影響が、従来より大きなウエートを占めている。しかし、完全なデカップリングは成り立たないと思う。したがってデカップリングについて事実かどうか、なかなか答えが難しいと思う」

  ──今の政策金利が0.5%である現状で、利下げの効果について期待できると考えているか。

 「金融政策をみる場合、短期金利だけに注目して議論をしがちだが、米国金利をみると昨年9月からFFレートが3%下がったが、一方で信用スプレッドは大きく拡大した。そういう意味で、放っておくと実質的な金融タイト化が進んでいく、それを何とか防ごうとする、それがどちらが強いかということ。米国では短期金利だけでみると、ものすごく金融緩和の力を発揮しているか、実現されているかというと必ずしも判然としない。したがって金融緩和の力を評価する時に、短期金利の力だけで評価しては必ずしも適切ではない」

 「金融緩和全体、あるいは信用スプレッドを加味した民間の金利がどうなるか、その辺のアベイラビリティがどうなるか、それを総合的に判断しなければならない。短期金利だけで機械的に評価するのは適切でない。同時に、短期金利がどういうレベルにあるかも含めて1つのベンチマークとしてはみてるが、実質短期金利と成長率の関係だけから足元の政策をみるアプローチを私は取っているわけではない」
(ロイター日本語ニュース 中川泉記者)

●「クリントン氏が米景気対策第2弾を提唱、300億ドルの緊急住宅基金など」

2008年 3月 20 日 アンダーソン(米インディアナ州 )、 ロイター

 米民主党の大統領候補指名を目指すヒラリー・クリントン上院議員は20日、景気刺激策の第2弾として、300億ドル規模の緊急住宅基金の創設などを訴えた。

 クリントン陣営が発表した声明によると、クリントン氏は「現在の住宅・信用危機は米国経済にとって最大の脅威」とし、緊急基金によって州当局が差し押さえられた不動産を買い取り、モーゲージの借り換えを支援するスキームを提唱。また、州の住宅当局に最大で100億ドルを拠出し、不良債権化したモーゲージの借り換えを支援する案も盛り込んだ。

 クリントン陣営は、議会を通過し、ブッシュ大統領が署名した1680億ドルの景気刺激策について、住宅問題を解決するには十分でないと批判。「住宅価格の下落や過去最悪水準の差し押さえによって、数百万の家族が打撃を受けるばかりか、全米の地域社会が深刻なリセッションに陥りかねない」としている。

●「「暗黒の月曜日」以来の外国人売り越し額、歴代2位-3月2週日本株」

2008年3月21日 ブルームバーグ

 東京証券取引所が21日発表した3月第2週(10-14日)の投資主体別売買動向(東証・大証・名証3市場の1・2部合計)によると、外国人は9226億円売り越した。売り越しは4週連続で、週間ベースでは1987年10月3週 (売り越し額1兆1220億円) のブラックマンデー時以来歴代2位の大きさとなった。円高など悪材料が重なったことが要因。

 同週末の日経平均株価は前週比541円(4.2%)安の1万2241円となった。米国の雇用減少や円高進行などで景気や企業業績に対する警戒感が一段と台頭。日経平均は一時05年8月以来の安値を記録した。

 水戸証券の松尾十作投資情報部長は、外国人の売り越しについて「為替の円高、金融不安、日銀総裁問題、日銀短観での景況感悪化懸念などが重なったことが大きい」と指摘する。なお、今週についてはドル安・円高の一服や商品相場の下落など外部環境に先週とは変化が出てきたことで、「売りは一巡した可能性が高い」(同氏)と予測していた。

 このほか、売り越し主体では生・損保(59億円)など。国内勢はほぼ買い越す中、外国人の記録的な一手売りが相場を崩したことが確認された。

 半面、買い越しでは証券会社の自己売買部門(4981億円)が2週ぶりに買い越したほか、信託銀行(2207億円)と個人(1258億円)はそれぞれ2週連続で買い越した。事業法人(6144億円)も買い越し基調が継続。信託銀行の買いについては、「日経平均1万2500円水準を下抜けたことで、買い下がり姿勢を強めたため」(松尾氏)という。

●「米国債(20日):3カ月物TB利回り、一時54年以来最低の0.387%」
Treasury 3-Month Bill Rates Drop to Lowest Since At Least 1954

2008年3月20日 ブルームバーグ

 米国債市場では3カ月物財務省短期証券(TB)利回りが低下。少なくとも1954年以来の低水準に落ち込んだ。米金融会社CITグループ が短期金融市場での資金調達ができなくなり、緊急の信用枠を利用したことから投資家は国債に買いを入れた。

 投資家による信用市場への信頼感が損なわれ、TBの利回りは一時、0.387%まで下げた。バンガード・グループ(ペンシルベニア州バレーフォージ)で 450億ドルの米国債運用を手がけるデービッド・グロック氏は、「市場は正気ではない。市場を占めている最大の要素は質への逃避だ」と述べた。

 キャンター・フィッツジェラルドによると、ニューヨーク時間午後2時57 分現在、3カ月TB利回りは前日比1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01ポイント)上げて0.57%。

 米証券業金融市場協会(SIFMA)の勧告により、20日は2時までの短縮取引だった。21日の米英市場は復活祭を控えたグッドフライデー(聖金曜日)で休場となる。

 2007年初めからこれまでサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローンや債務担保証券(CDO)に絡む損失や評価損として世界の金融機関が計上した金額は総額1950億ドルに上る。

CITグループの緊急の信用枠利用
 米金融会社CITグループは緊急の信用枠であるバックアップラインから資金を引き出したことを明らかにし、資産売却の可能性を示した。資本市場での長引く混乱や格付け会社による格下げが緊急のバックアップライン利用につながった。

 米連邦準備制度理事会(FRB)は16日に公定歩合の引き下げを発表したほか、投資銀行への貸し出し窓口を新設、さらに金融市場の混乱を鎮めるため、米ベアー・スターンズの身売りを支援した。

 FRBの公開市場操作(オペ)を担当するニューヨーク連銀は2000億ドルのターム物米国債貸与ファシリティー(TSLF)プログラムとして27日に実施する第一回の入札規模を750億ドルとすると発表。同連銀は担保の対象を政府機関の担保付住宅ローン証券や商業不動産ローンに絡む証券などに拡大した。

イールドカーブのフラット化
 2年債と10年債の利回り格差は4日連続で縮小した。イールドカーブのフラット化は投資家がインフレ鈍化を見込み長期債を選好していることを示唆する。 2年債利回りは12bp上げて1.60%。

 2年債価格(表面利率2%、2010年2月償還)は8/32下げて100 24/32。10年債利回りは1bp未満上げて3.34%。2年債と10年債の利回り格差は174bpに縮小した。 金利先物市場動向によると、4月30日のFOMC会合でフェデラルファンド(FF)金利誘導目標がさらに0.5ポイント引き下げられる確率は52%となっている。前日は82%だった。

●(副島隆彦注記。 以下の記事の次の2箇所が重要。
「 ある邦銀関係者も「原油や貴金属の大幅な下落は、単なる益出し売りの結果ではなく、ポジションクローズによるキャッシュ化の表れのようだ。信用収縮が新たな段階に入った兆候だ」と指摘する。」 「 先の外資系証券の関係者は「ヘッジファンドのポジションクローズの先に何があるのか、真剣に考えたくないような暗い展開が、このままでは待っていることになる」と警戒感を強めている。」

(副島隆彦注記。 この記事のように、今は、日本もアメリカでも、国債買い に資金が逃げ込んでいる。この先のことを考えると、資金を吹き飛ばすことが怖くて、どうしたらいいかわからなくて、ものすごく恐ろしいので、とにかく、国債に逃げ込もう、という感じだ。  これが、やがて、国債も暴落(金利の大上昇)の結果となるだろう。

 アメリカ本国のヘッジファンドのポジション・クローズで、現金となった資金が、国債を買っているのだ。これらは、信用収縮(クレジットクランチ)を加速させる。 大きくは、膨大に作られた、過剰流動性(余分のマネー)を消し去る市場の正常化の動きである。天罰が下(くだ)るべき人々にくだるだろう。
商品(コモディティ、鉱物資源=工業品 、穀物・農産物)市場から、資金が逃げ出して、それで、株式を押し上げやふりをして、本当は国債市場に移っているだけの動きだが、この「国債への逃げ込み(苦しいときの、国家=政府頼み)は、どうせ、うまくはゆかない。最後は、国債(国家の借金証書)が、そのボロボロの実情を反映して、大きく崩れるのだ。そのとき、金利が暴騰する。 それが怖いのだ。そのときが、大恐慌突入だ。もちろん、そのわきで、株も、為替(ドル円)も、おなじように大暴落をさらに続けるのは当然のことだ。副島隆彦注記おわり )

●「米欧市場でヘッジファンドの現金化加速、信用収縮は新段階に」

2008年3月21日 東京、 ロイター

 前日米株式市場の上昇を好感して3月21日の東京株式市場は上昇したが、NY市場の動向に詳しい市場参加者によると、米株の上昇は一部のヘッジファンドなどがポジションを閉鎖するためにやむなく買い戻しを余儀なくされている部分も多い。

 原油や貴金属の下落とあいまって、ヘッジファンドなどリスクマネーを取り扱っている参加者のポジション閉鎖とキャッシュ化(現金化)の流れが加速しており、世界的な信用収縮は新たなステージに突入した可能性が高い。

 <米株上昇で楽観的見方が広がる東京市場>
 21日の株式市場では、日経平均が続伸。20日の米国株式市場は、連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ) と 連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック) の自己資本規制が緩和について19日に公表されたことを好感し、ダウ平均が大きく反発した流れを受け、金融、不動産などを中心に買いが先行した。

「朝方は一部のスイス系証券からの売りが目立っていたものの、小口の買い戻しが続き、底堅さを持続している。期末特有の株高期待が高まりつつある」(準大手証券エクイティ部)という。

 三菱UFJ証券・シニア投資ストラテジストの吉越昭二氏は 「米国市場では、金融システム不安の後退で金融株が上昇し、投機的な原油、金などの商品市況が下落する理想的な形になった。恐れられていたスタグフレーションが回避されれば、目先の株価は日米とも堅調な動きになりそうだ」 と話している。

 このように東京市場では、米株や米市場への楽観的な見方が多く、株価を支えているが、市場の一部には、楽観は禁物との声も出ている。カブドットコム証券・マーケットアナリストの山田勉氏は 「為替もまだ戻りが弱く、株式を積極的に買う材料にも乏しい。足元はテクニカル要因での上昇の域を出ない。投資銀行の決算は一巡したが、4月からは商業銀行の決算が本格化する。

 サブプライムローン絡みで、特に欧州金融機関の損失額が膨らむ可能性もある」と警戒。さらに足元の動きは「これまでのドル売り・株売り・商品買い・債券買いのポジションだったヘッジファンドのアンワインドが始まった可能性が高い」とみている。

<米株上昇の裏で起きているポジション閉鎖の動き>
 さらに悲観的な見方もマーケットの一部にはくすぶっている。ある外資系証券の関係者は「米株の戻しは、一部の参加者がショートポジションを閉じるために買い戻しているに過ぎない。ファニーメイなどの自己資本比率規制の緩和は、ある種の後付け材料にされた面がある」 と指摘する。

 その上で「米金融機関に余裕がなくなって、その前段としてヘッジファンドへの融資が絞られ、ポジションを閉じている米系ヘッジファンドが目立っている。きょうの東京株式市場の上げは、つかの間の休息のようにみえる」と話す。

 ある邦銀関係者も「原油や貴金属の大幅な下落は、単なる益出し売りの結果ではなく、ポジション・クローズによるキャッシュ化の表れのようだ。信用収縮が新たな段階に入った 兆候だ」と指摘する。実際に米原油先物は20日に2週間ぶりとなる1バレル=100ドル割れとなり、金現物は今週に入って1オンス=1000ドルを超えて史上最高値を更新したが、一転して21日には910ドル台で推移する下落となっている。

 また、マーケットの病巣の根源である金融システム不安の抜本的な解決に必要だとの声が高まっている公的資金の注入に対し、米当局から積極的な見解はいまだに出ず、マーケットからは「金融機関の損失額が少ないという理由で株価が上昇しているうちは底入れ感が出にくい。

 確かにベアー・スターンズ の身売りは象徴的ではあったが、すべての大手金融機関がうみを出し切ったという印象を与えなければ、投資家の疑心暗鬼は消えない」(欧州系証券幹部)との見方が出ている。

 <円金利市場でも影を潜める裁定取引>
 円債市場でも、大きなゆがみを伴った不自然な動きが、静かに進行している。国債先物は前引けにかけてまとまった売りが出て、中心限月6月限は前営業日比41銭安の140円83銭のほぼ安値引けとなった。午後も140円80銭台での取引が続いた。

 しかし、現物の長期ゾーンにはあまり売りが出ず、10年最長期国債利回りは1.245%─1.285%での推移。一方、30年国債利回りは大幅に買われ、前営業日引け値比で0.065%低下の2.345%まで低下した。先の邦銀関係者は 「現物と先物や、その他の年限同士の裁定取引が全くワークしていない。円金利市場でも、ヘッジファンド勢の動きに振り回され、ファンダメンタルズとは全く違った値動きになっている」と指摘する。

 先の外資系証券の関係者は「ヘッジファンドのポジションクローズの先に何があるのか、真剣に考えたくないような暗い展開が、このままでは待っていることになる」と警戒感を強めている。

●「バーナンキFRB議長の手腕評価か-商品相場反落とドル・米株反発 」
Commodities Drop, Rally in Dollar, Stocks Vindicate Bernanke

2008年3月21日 ブルームバーグ

 商品相場の大幅な反落は、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が米金融機関に対する信頼感を復活させたことを示唆しているのかもしれない。

 FRBは16日、米銀JPモルガン・チェースによる米5位の証券会社ベアー・スターンズの買収を支援する融資とプライマリーディーラー(米政府証券公認ディーラー)に公定歩合での借り入れを認める措置を発表。「最後の貸し手」としての役割を一段と高めた。こうした金融当局の一連の動きを受け、米株式市場の指標、S&P500種株価指数は今週、週間ベースで1カ月ぶりの大幅上昇となり、ドルは1973年以来の安値から反発した。

 インフレリスク回避を狙い金や原油、トウモロコシを買い入れていた投資家は、手元の現金を増やし、株式に投資するため、商品を売却。19種類の商品で構成するロイター・ジェフリーズCRB指数は2月29日に過去最高を付けていたが、今週は8.3%安と、少なくとも1956年以来の大幅な下落率となった。

 エクイデックス・ブローカレージ・グループ(ニュージャージー州クロスター)のリテール取引ディレクター、ロン・グッディス氏は、「バーナンキ議長は商品バブルに対する配慮を示した。商品相場は現実に戻りつつある。株式市場も大丈夫な様子で、バーナンキ議長への見方は少し改善した」と述べた。

 18日の連邦公開市場委員会(FOMC)では、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標の引き下げ幅が0.75ポイントとなった。投資家は少なくとも1ポイントの利下げがあるのではないかと見込んでいた。利下げ幅が市場予想より小さかったことで、FRBがインフレへの対応を軽視しているとの懸念は後退した。

 FAFアドバイザーズ(ミネアポリス)のチーフエコノミストで、連邦準備制度で調査を担当したキース・ヘンバー氏は、FRBが「明らかに一定の安定性を確保した」と指摘した上で、「かなりうまい対策の組み合わせで、それが機能しているようだと言わざるを得ない」と話した。

貸し渋り
 FRBは20日、16日発表した措置に基づく大手証券会社への貸し出し残高(19日現在)が288億ドル(約2兆8700億円)に達したと発表。銀行以外へのこうした融資は1930年代以来で初めてとなる。

 誰もがバーナンキ議長が、金融機関の流れを変えたと考えているわけではない。FRB副議長を務めたプリンストン大学のアラン・ブラインダー教授は、バーナンキ議長が1929年のニューヨーク株暴落に端を発した大恐慌時代以来の「異例の措置を取った」と指摘。バーナンキ議長は「今回のパニックを抑えるため超過勤務をしているが、これまでのところ抑制されていない」という。

 プロスペクター・アセット・マネジメント(イリノイ州エバンストン)のレオナード・カプラン社長は、FRBに相場のコントロールは可能かもしれないが、「銀行の貸し渋りが続いている」と語った。

●「FFレートが下がっても、住宅ローン金利が低下せず」

ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)2008年3月19日

 個人投資家は米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げの恩恵をあまり享受していない。FOMCは2007年9月以降、3月18日まで6回に渡る利下げに踏み切った。18日開催のFOMCまでにフェデラル・ファンド(FF)金利誘導目標が2%以上低下した。

 にも関わらず、米30年固定住宅ローン金利は7日週に5ヶ月ぶりの水準へ上昇。18日開催のFOMC直前、100bp利下げ期待が高まった 14日週に5.75%へ低下するに止まっている。住宅ローン金利が低下しない背景としては、投資家が住宅ローン担保証券(MBS)を購入する投資家が、米10年債利回りに対し金利にプレミアムを求めているため、利下げが反映されにくい事情が挙げられる。

 低所得者向け住宅ローン(サブプライム)問題が浮上するまでは発生していなかったことであり、 通常ならFF金利誘導目標の引き下げを受け住宅ローン金利も5%近くまで急低下してもおかしくはなかった。利下げが住宅ローンに反映されなければより低い金利への借換もままならず、個人投資家には利下げ効果は波及しきれていないようだ

● (以下のことは、副島隆彦が10年前から書いてきたことだ。副島隆彦注記)

2008年3月16日

商品バスケット構想
 アメリカの国際金融資本はアメリカの経済の崩壊及び現行の国際通貨体制の破局を演出して商品バスケット構想による新国際通貨体制の構築を目論んでいる。その目的は、アメリカが世界を集中管理するために累積赤字をなくして世界の基軸通貨としてのドルを揺るぎ無いものにしなければならないことである。

 そこで考え出されたのが商品バスケット構想というドル安定化策というわけです。それは、ゴールド、オイル、農産物の3つの基本商品をアメリカが管理できるという前提のもとに通貨のドルとこの3つの基本商品をクロスさせることによって、ドルの優位性を回復しようとするものです。

 金本位制にかわる新たな兌換制度と考えてください。 この場合、単品では過去の金本位制と同じ形になるからまずい。とすれば3つの商品を含めたインデックスをつくり、そこにドルや他の通貨をリンクしていこうというもの。

 国際商品市況の最も基本である農産物、エネルギー元としてのオイル、最後のヘッジとしてのゴールド、この3つがすべて含まれたものにドルが 兌換できるとなればドルが一番良いということになり世界中からアメリカに投資が殺到しアメリカが再び繁栄する。

● 「「金融収縮は未知の水域」・ルービン、サマーズ元米財務長官」

日経新聞 2008年3月15日

 米クリントン政権時代に財務長官を務めたシティグループのロバート・ルービン経営執行委員長とハーバード大学のローレンス・サマーズ教授は14日、ワシントン市内で講演し「金融収縮は未知の水域に入った」と危機感を表明し、政府支援の拡大を訴えた。両氏とも公的資金活用の必要性を示唆しており、両氏の提言が民主党や同党大統領候補の政策に取り入れられる可能性がある。

 ルービン氏は「あくまでも個人の見解」と断ったうえで「低所得者層が家を失わないためにも(住宅ローン分野に)公的資金を使うべきか検討する段階に入った」と言明した。

 サマーズ氏は「米国が景気後退局面に入ったのは明らか」としたうえで、「(金融機関などの)市場仲介者が望もうと望まなくても、私的、公的な方法を問わず、自己資本を緊急に増強する必要が出てきた」と発言。金融機関を支援するべく政府の資金を利用する案を示唆した。(ニューヨーク=松浦肇、15日)

● (LTCM の ジョン・メリウェザーが、また大損(10億ドル=1000億円 のうちの24%? それでは済むまい)をしたようだ。馬鹿なやつだ。副島隆彦注記)

“John Meriwether’s Bond Fund Loses 24% on Credit-Market Plunge”
By Katherine Burton and Saijel Kishan

March 19,2008 Bloomberg

  JWM Partners LLC, the investment firm run by ex-Long-Term Capital Management LP chief John Meriwether, lost 24 percent in its $1 billion fixed-income hedge fund this year through March 14, according to two people with knowledge of the matter.

 Meriwether’s Relative Value Opportunity fund was hurt as bond managers such as Peloton Partners LLP and Carlyle Capital Corp. were forced to sell securities to meet margin calls, said the investors, who asked not to be identified because JWM doesn’t publicly disclose returns. The Greenwich, Connecticut- based firm, which is selling holdings to reduce borrowings and lower risk, didn’t have any loans called, they said.

 “There’s been a lot of forced de-leveraging,” said Benjamin Sarly, head of marketing at Sanno Point Capital Management in New York, a relative-value credit fund.
Meriwether declined to comment.

 JWM Partners opened a year after Russia’s 1998 default resulted in almost $4 billion of losses for Greenwich, Connecticut-based Long-Term Capital. The Federal Reserve orchestrated a bailout by its 14 lenders.  Relative-value funds try to profit from price changes between related bonds. They rarely make outright bets that a specific bond will rise or fall. Investors in these funds expect to make about 1 percent a month.

 To contact the reporters on this story: Katherine Burton in New York at kburton@bloomberg.net; Saijel Kishan in London at skishan@bloomberg.net  March 19, 2008

● JPMorgan Chase Warns Of Systemic Margin Call, 30% Home Price Decline

POSTED: Tuesday, March 11, 2008
FROM BLOG: Boom2Bust.com – “The Most Hated Blog On Wall Street” Boom2Bust.com is an independent financial blog that seeks to warn and educate its readers about the coming U.S. financial crash.

 On Saturday, Reuters reported that Wall Street banks may be subject to a “systemic margin call” that might deplete the financial institutions of $325 billion of capital, as subprime mortgages continue to deteriorate, JPMorgan Chase & Co. said in a report late Friday. After Thornburg Mortgage Inc. received a default notice after the lender missed a $28 million margin call, JPMorgan Chase said more default notices and margin calls were likely. The Carlyle Group’s mortgage fund also failed to meet $37 million in margin calls last week.

 According to the report by JPMorgan Chase & Co.:

A systemic credit crunch is underway, driven primarily by bank writedowns for subprime mortgages. We would characterize this situation as a systemic margin call.

 JPMorgan Chase, the third largest banking institution in the United States, said the credit crisis that began about a year ago will likely intensify after weak U.S.employment numbers were released Friday. The global financial services firm added that the biggest monthly job decline in nearly five years “points to an economy in recession.”

 In addition, JPMorgan Chase revised their subprime-related home price forecast. Now, the New York City-based bank anticipates subprime-related home prices will fall 30%, instead of 25% as previously forecast. These prices have already declined 14% since the middle of 2006, JPMorgan said.

Source:“Banks face ‘systemic margin call,’ $325 billion hit: JPM”Walden Siew
Reuters, March 8, 2008

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝

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