「10」 歴史ものの本の中身を要約してくれている無記名の人のサイトから転載します。2006.3.23

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副島隆彦です。 以下は、「日本人が知らない恐るべき真実」というサイトからの転載文です。こういう諸本の内容の要約文は、それだけで資料として役立ちますから、意味があります。ただし、この手のサイトを立ち上げた人物が自分の名前を名乗らない点は、批判されるべきだと私は思います。みんな匿名、覆面で生きている。この人間的な弱さは、知識や言論や思想の研究をする者として、決定的に駄目な点です。  副島隆彦記

(転載貼り付け始め)

2006-03-10 研究メモ

■軍産複合体というモンスター 18:10

 ドワイト・D・アイゼンハワーは、第二次世界大戦時にヨーロッパ方面連合国最高司令官を務め、かのノルマンディー上陸作戦を指揮した軍人です。占領下ドイツのアメリカ軍司令官を歴任したあと、アメリカ陸軍参謀総長となり、第二次世界大戦後は共和党から出馬。1953年、第34代アメリカ大統領に就任しました。

 1961年1月、アイゼンハワーが大統領を辞任する際、彼はテレビ放送を通じて自らが行った政策に関し赤裸々な告白をします。

「我々(政府と軍部)は、アメリカ合衆国の巨大な軍事機構と軍需産業の合体を、アメリカ合衆国史上、初めて試みることになりました。軍産複合体を公認した結果、その影響は、経済、政治、精神に至るあらゆる分野はもちろん、市政、州議会、官公庁にまで及ぶでしょう。しかし、軍産複合体に内在している野心的な巨大成長の可能性に対して、国民は十分な注意と監視をせねばなりません。なぜなら、軍部と軍需産業の一体化は、必ず恐ろしい結果を産む危険性をはらんでいるからです。この巨大な複合組織に、アメリカの自由の基を危うくさせてはなりません。」

 アメリカは第二次世界大戦当初、軍需物資の大量生産体制がありませんでした。それを戦時中に切り替え、軍需品の大量生産体制を確立します。そして戦後、その軍需産業と軍部をアイゼンハワーは直結させました。軍需産業と軍部の一体化=軍産複合体が、どれほど恐ろしい結果を産むか、アイゼンハワーは自ら作りだした組織の危険性を米国民に警告したのです。

 現在、世界経済を支えているのは、まぎれもなく軍需産業です。兵器は、他のどんな産業の商品よりも高価で取り引きされます。ステルス戦闘機が1機90億円、シーウルフ級原子力潜水艦が1隻4200億円、トマホークミサイルが1発2300万円、と。

 また、軍需産業は戦闘機やミサイルだけを造っているわけではありません。ミサイルに必要な火薬は化学薬品ですし、ミサイル本体は鉄鋼業。弾道を計算するためには電子機器はもちろんコンピューターが必要です。広い意味では石油、衣料品、医薬品、運輸業、マスコミ、金融、etc、兵士に配給される清涼飲料水でさえ軍需産業の一部といえます。

 この軍需産業は、当然のことながら株式会社です。株式会社であるからには利益を上げ続けなければなりません。そして、軍需産業が生みだす兵器の主たる購入者は“国家”です。演習を除けば、兵器を使うのは戦場。戦争が起これば兵器は消費されます。兵器が消費されれば、国家は再び兵器を購入することになり、軍需産業は潤います。つまり戦争が軍需産業を、軍需産業を基幹産業とする米国経済を、ひいては米国経済に依存する世界経済を潤すという構造になっています。

 このような軍需産業にとって、一番の脅威は“平和”。平和になれば兵器は必要ありません。巨大産業となった軍産複合体にとって、世界の平和は自らの存続を脅かし、多量の失業者を生み出し、社会を不安定にします。良い悪いは別として、これが資本主義社会の持つ宿命です。

 本来、軍需産業は国家の政策とは無関係です。極端な話、兵器を高く買ってくれるならば、自国の軍部でなくてもいい。同盟国以外の敵国に売ってもかまわないわけです。自国の国際戦略とは、まったく独立した商売をすることができます。しかし国家にとって、こうした事態を見過ごすことはできません。アメリカで開発した兵器は、アメリカの利益に沿って使われるべきであり、同盟国へ兵器を売るならまだしも、敵国に売るなどとんでもない。

 その結果おこなわれたのが、アイゼンハワーの軍需産業と軍部を直結です。国家が軍需産業を取り込み、政策に沿った形で兵器を製造・管理する。これが“軍産複合体”です。

 軍需産業は軍部のために兵器を造り出す。戦争があれば、軍部はその兵器を消費する。兵器が消費されれば、国家は再び兵器を購入し、軍需産業は潤う。反対に、戦争が終われば軍需産業は不景気になる。

ここまでは従来と同じですが、もはや軍需産業と軍部は一体です。軍需産業が不景気になることは、軍事力が下がることを意味します。それは国家としては国力の衰退と同義となります。アメリカが世界の覇権国であり続けるためには、兵器の消費が必要であり、兵器を消費するためには戦争が必要なのです。

 おそらく軍需産業に従事している人々の多くは平和主義者でしょう。しかし、個人個人は平和を願っても、組織を存続させるためにはどうしても数年に一度は戦争が必要なのです。だからこそ、軍産複合体はモンスターなのです。それは、単に利潤を追求する企業ではなく、利潤を国家が生みださなければならない。そのために紛争に介入したり、戦争を起こす。人の生血を啜りながら戦争を永久に続けることでのみ、軍産複合体は生きながらえることができるのです。

 アメリカを動かすのは、本来、大統領以下、国民から選ばれた政治家のはずです。国家の政策や法律、予算等を決めるのは政治家です。しかし、民主主義政治には任期があります。それは、もちろん腐敗防止等の自浄作用として考案されたシステムなので必要なものなのですが、どんなに傑出した政治家がいたとしても何かをできるのは任期中だけのこと。任期は4年、2期務めたとしても8年が最高です。大統領といえども所詮は選挙で選ばれる存在でしかありません。

それにくらべて軍需産業の支配者に任期はありません。選挙で選ばれることもない。議会という多数決システムを通す必要もない。軍産複合体の発言は、そのまま国家の存亡に関わるので、国防という大儀のもと、政策を左右することができます。

 この軍需産業を中核にする巨大コンツェルンを牛耳るのが、ロックフェラー家やロスチャイルド家といった世界的な大富豪たちであることはあまり知られていません。彼らの想像を絶するような資金が、政治を動かし、世界を動かしているのです。

(転載貼り付け終わり)

副島隆彦拝

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