辣腕行政マン掲示板

伊藤 投稿日:2024/11/18 10:25

【21】ブレイク:まるで新喜劇のような、兵庫県知事選の感想(ちょっとふざけていますが、ご容赦を)

 伊藤睦月、です。昨日行われた兵庫県知事選で、県議会不信任決議を「放置」して出直し選挙で失職した知事が再選を果たしたという。これに対し後付けで恐縮だが、感想を述べる。私ももと地方公務員だが、公務員多数意見を代表できるわけもなく、個人的見解である。

(1)この県知事だが、副島先生によると背景に何やら怪しげな勢力がついているらしいが、今回TVでその面構えを見てて、ますます、都知事選にでてきたどこぞの市長をしていた、アバター君とに似てきたな、というのが第一印象。本人もSNSで思いのほか効果があったといっておいたが、それだけか。イーロンマスクの衛星は兵庫県まで作用しなかったのかもしれない。

 人を外見で判断してはいけない、といわれているが、「男は40過ぎたら顔に責任を持て(リンカーン)」とか「人は外見が9割」ともいうから、感想くらい良いだろう。

(2)兵庫県の公務員たちは、よほど県民から嫌われているらしい。知事のパワハラで死人がでているはずだが、それにも関わらず、大差で再選させた。公務員が死んでも関係ない、ということだ。ご愁傷様。

(3)7月に死人が出てすぐ、知事を批判して辞職した副知事がいたが、この人は今どうされているだろう。「私は止めたのですよ」「ついていけません」とか言って泣いて見せていたが、それはダメでしょうが。死んだ職員を一番追い詰めたのは、貴方なのだから。

(3)なお、この副知事は、人事課長などを歴任した総務系のエリートだから、大多数の事業系の職員たちからは、表面上はともかく、内心では恐れられ、嫌われていただろう。

(4)来週には、当選した知事が初登庁するが、職員たちは何事もなかったかのように、熱烈歓迎するだろう。そうしないとなんだか不気味だからだ。その点、中国や北朝鮮の役人たちと、そう変わらない。日本の組織というのはそういうものだろう。

(5)そして、知事も何事もなかったかのように、仕事に戻るだろう。県議会も何もなかったかのように、ふるまうだろう。報復人事は、原則やらないだろう。それをすれば仕事にならなくなるからだ。やるにしても当事者しかわからないようにするだろうが、誰に報復する?誰にそそのかされたか知らないが、内部告発をしたあげく、命まで失った職員のことも、もはや、ほとんどの人の話題にもならない。兵庫県民にとっては、関係ない話ということがはっきりしただけだ。

(6)それにしても、兵庫県というところは、興味深い。阪神淡路大震災の時、自治省(今の総務省)出身の知事が、自衛隊派遣要請を遅らせて、顰蹙をかったり、(当時の村山内閣がもっと批判されたので目立たないけど)

(7)議員活動費で地元の温泉に入りびたり、それが発覚すると、記者会見で号泣してみせる県議会議員がいたかと思えば、元明石市長のような、面白いけど、まともな政治家がいたり、そういえば、パチンコマニアの元社会党の女性委員長がいたり、今度はどんな人がでてくるんやろ、と昔食べた明石焼きを思い出しながら、思ってしまう。といったとりとめもない雑談でした。

以上、伊藤睦月筆

追伸:(8)ちなみに、この「不信任決議」→「失職」→「再選」というシナリオを最初に実行したのが、都道府県レベルでは、長野県知事(田中康夫:芥川賞作家)につづき2番目、明石市長の泉氏も同様の行動をとったそうだ。

(9)地方自治法上は、「辞職」か「解散選挙」だが、それを回避するのは、明らかに脱法行為で、地方自治(デモクラシー)いまだ、実現せず、卑怯なり、という思いしかない。このような根本的な問題を誰も取り上げないようなので、ここで強調しておきます。

 

 

 

伊藤 投稿日:2024/07/22 09:55

【20】「お役所仕事」は中国伝統の政治・行政スキルだ(3)前例主義と印章行政:菅義偉は、後世に名が残るかも?

伊藤睦月です。

(1)「お役所仕事」の3アイテム、自己申請主義、文書主義、査定主義、に追加します。前例主義と印章(ハンコ)行政。

(2)前例主義は、これはもう有名ですね。悪しきお役所仕事の典型。しかし、特段支障が出なければ、そのままにして、支障が出たり、方針変われば、その時点で上書き修正する、というのは、仕事の効率からいって、とても望ましいことなのです。

(3)実際、役所の取り扱いがその場その場でころころ変わるのは、住民にとって迷惑な話で、公平性の見地からも問題あります。程度問題化と思いますが。

(4)そして、印章(ハンコ)行政。これって最近ずいぶん少なくなったと思いませんか。役所の諸手続きで。不動産取引とか、印鑑証明が必要とされるような重要な案件は別として、日常的に使う「3文判」の出番がずいぶん減りました。

(5)これは、菅内閣で「印章廃止」の方針が出されてから、特にめだつようになった現象、だと感じています。そうおもいませんか。

(6)菅内閣は短命に終わったので、何か中途半端な印象ですが、それでもジワジワと「印章廃止」が広がってきています。役人は一度方針(レール)がひかれると、その路線をできるだけ続けます。「お役所仕事慣性の法則(伊藤)」と名付けましょう。「前例主義」の一種です。

(7)実は、この「印章廃止」、日本文化にとって歴史的大事件、です。

(8)この「印章主義」こそ中国伝統の政治手法なのです。少なくとも、秦の始皇帝の時代までいけます。

(9)栗原朋信や、西嶋定生、といった、中国古代史の大先生たちが解明した、中国政治システムの肝、それが「印璽」(いんじ:印鑑のこと)なのです。

(10)その中国伝統2千年の超重要アイテムである、「印章(ハンコ)行政」を廃止しようとして、ある程度成果を上げた、この菅義偉、という男。実はなかなかの者ではないか。

(11)中国文明の伝統の破壊者、もしくは欧米文明導入の完成者。

(12)100年後の日本文化史、社会学史に残っているかもしれませんよ。

(以上、伊藤睦月筆)

 

伊藤 投稿日:2024/07/16 10:07

【19】小ネタ集(1):大河ドラマ「光る君へ」は現在の公務員社会そのものだ。

伊藤睦月です。ここでは、投稿途中で気づいたことなど、軽めな話題を取り上げます。まずは、大河ドラマ「光る君へ」。

(1)副島先生も、「ぼやき」で語っておられますが、藤原道長=光源氏モデル説をベースに源氏物語、栄花物語、大鏡など当時の王朝文学や史実を織り込んで、道長+紫式部ほか女性たちとの不倫物語として、うまくまとめています。

(2)私が注目しているのが、当時の「除目(人事評価と人事異動)」のシーン。

(2-1)まず自己申告制であること。ほら3アイテムの登場です。自己申告に基づき、査定するのです。

(2-2)自己申告書は「漢文」標記であること。

当時から江戸時代まで、公家の公用語(書き言葉)は漢文、つまり中国語、でした。これだけを見ても,我が国は、中国の文化的属国であったことがあわかります。(そこから脱するための悪戦苦闘を描いたのが、井上ひさし「国語元年」という戯曲です)

(2-3)除目(人事異動)は、縁故だけでなく、実力本位の面もあった(紫式部の父親が語学力を買われて、淡路守から越前守(5位)に抜擢されたのは、史実で、そのおかげで当初越前守に内定し、淡路守に格下げになった人はメンタル病んで、早死にしたそうです。(おそらく自殺)そうでないと当時でも行政回らないこともあったのでしょう。これも現在の役所と同じ、といえば、不謹慎化かも。

(2-4)除目前後の貴族たちの立ち居振る舞いや、ドタバタなど、現在の役所のそれを見ているようで笑える(もっとも現役離れたから、そういえるのかも。渦中にいたときは、私も喜怒哀楽会ったことは認めます。)除目に関する人間描写は、「枕草子」や「今昔物語集」にもいきいきと描かれています。

(2-5)当時の受領階級(国司として現地赴任した人々)がいかに「私腹」を肥やしていたか、またそれは当たり前のことで、「私腹を肥やさない」方が、空気読めない「困った人」だったことが良く描かれています。今でもそうかも。

(2-6)直轄領(建前は公地公民制だが、私領である荘園が普及していた)からの税(物納)は、律令で税率とか一応決まっていたけど、当時は「徴税請負制」のような形態であったと思われます。そうなると、国庫に納める分を収めてしまえば、あとは取り放題、どれくらいで抑えるかが、「強欲」か「慈悲深い国司様」かが決まる。

(2-7)これも、中国伝来の行政術で「清官三代」といって、清廉潔白な「官」でも、自分、子、孫の代まで裕福に暮らせる蓄財ができる、といわれたくらい。だから、今の収賄、横領と感覚が違いすぎます。これに上級貴族ともなると、さらに、私領(荘園)からの上納が入りますから、莫大なものになっており、藤原道長前後の時代がその絶頂期でした。平氏など裕福な武士が台頭するのは、その半世紀位後です。そんなところも、紫式部の目を通して、わかりやすく描かれています。

(2-8)当時の「有職故実」(儀式内容など)は上級貴族の一族相伝みたいなところがあり、その多くは、日記に備忘録の形で記録されました。藤原実資(ロバート秋山が怪演)の「小右記」が有名です。実資は当時としては珍しく、聞かれればノウハウを気前よく公開したので、人望が高く、藤原道長も一目置く存在でした。そのへんの心理的かけひきもドラマにでてきます。

(2-8)また官服(衣冠束帯)の色。ドラマでは、紫式部の父親が、5位に昇進の際に6位の官服(緑色)しかもっていなかったので、紫式部の夫に5位の官服(朱色)を借りに行く、というシーンがあります。当時は、官位によって着ることができる服の色が決まっていたのです。ちなみに、紫衣は3位(参議クラス)以上。例の奝然(ちょうねん)坊主が北宋太宗皇帝から、、日本での官位(6位:緑衣)から紫衣を与えられ、3位としてから、謁見を許したとの話、覚えていますか。

以上、大河ドラマに関する小ネタ、いくつかご紹介しました。大河ドラマは史実などではなく、いわゆるファンタジーなのですが、時代考証にうるさい視聴者が多いらしくて、専門家でかなり厳密な考証をしているそうです。10数年前の「平清盛」(松山ケンイチ主演)ぐらいからだそうです。このときは、時代考証厳密すぎて、全体的に地味な装束になり、観光PRにならない、と地元からクレームが出たそうですが。

また、小ネタ思いついたら、投稿します。

(以上、伊藤睦月筆)

 

 

伊藤 投稿日:2024/07/15 10:07

【18】「お役所仕事」は中国伝統の政治・行政スキルだ(2)中国正史の書かれ方

 伊藤睦月です。私のいう「お役所仕事」は、古代から今現在に至るまで存在し、それで世の中の相当部分が、動いていることは、疑いのないところです。ここでは、古代編、ということで、わたくし伊藤が、ふじむら掲示板に投稿している歴史論考における、中国正史をとりあげます。私の理解の仕方が、大方の支持をえられるかわからない。が、一番わかりやすい、と考えています。以下私見を述べます。

(1)中国正史(歴代中国王朝の公式見解。必ずしも「真実」とは限らない)の、海外諸国の記述は、当時のインテリジェンスレポートだ。

(1-1)中国正史は、紀伝体(皇帝の実績:本紀とそれと関係する、家臣の実績:列伝中心の歴史記述方法)ですが、本紀、列伝以外の部分は、書、とか、志、とか、列伝の中に含まれることもありますが、皇帝、家臣の実績の関連情報、要するに、朝貢にきた、あるいはこなかった、周辺地域、国、の情報、ということになります。

(1-2)関連情報の部分は、客観的なデータでなく、魏志倭人伝のように、かなりバイアスがかかっていることもあります。(岡田英弘「日本史の誕生」)

(1-3)私、伊藤は、この関連情報の部分(主に倭、日本の部分)を読むと、何か既視感を感じるのです。ああ、これ私が現役時代によく書いた、調査レポート(出張記録、復命書)と同じじゃん、と。

(1-4)中国の史官は、まず、相手’倭とか新羅とか)の自己申告書を提出させます。自分たちの国は、そもそも何者か、場所はどのへんで、人口がどれくらいで、どういう外見をしてて、王様はだれで、どういう風俗習慣があって・・・などを記載した文書を提出させます。(文書主義、自己申請主義)

(1-5)史官は、その文書をチェックして、必要に応じ、内容確認(ヒヤリング)をします。

(1-6)内容確認をするのは、過去に提出され、採用された情報と異なる情報があった場合。史官は、過去の提出内容と、現在の使者の言い分(口頭もしくは文書)を聞いて、どちらかを採用しますが、大体は過去の内容を優先します。

(1-7)そのほか、史官は、自国人の訪問記録とか、他国にあげられた情報(いわゆる三韓に取り上げられた情報)なども参考にしますが、基本は、自己申請とヒヤリング、過去の実績(前例主義)をもとに、そして現王朝の各地に対する、思惑、忖度をいろいろ考えて、記述を確定させます。こういった一連の作業を「査定」といいます。

(1-8)日本の場合、①漢書地理志に初めて朝貢の記事登場、➁後漢書東夷伝で「漢委倭国王」の金印、➂魏志倭人伝で、邪馬台国女王と「親魏倭王」の金印、④

晋書で邪馬台国女王の最後の朝貢、④宋書(南北朝)で、「倭の五王」の記事と続き、⑤隋書で、遣隋使の無礼な手紙、と続きますが、諸国情報は、➂の記事から採用されている。

(1-9)これは、親魏倭王以来、本格的な、あるいは、上書きが必要な情報がなかった、あるいは中国側で、そう判断されたものと思われます。邪馬台国の後継だと認定されていました。

(1-10)⑤の遣隋使では、対等の関係を主張したようですが、中国側から一蹴(いっしゅう、即却下)され、お叱りの使者まで派遣されています。(裴世清の来日)中国側からすれば、中二病の子供に現実を教えてやろう、ということだと思います。それを日本側が拒否すれば、その時点で「敵国認定」され、戦争でしょうが、その時は、日本側はうまく切り抜けました。

(1-11)

この時、使者の報告書によって、倭に対する関連情報は上書きされた、と私、伊藤は見ていますが、中国側からすれば、結局はわが国に朝貢してきた、属国である、そして、本人が、邪馬台国の後継でない、と言っているのなら、「奴国」の後継だろう、ということにされた、と思います。中国側にとって、「使者」を派遣した、すなわち「朝貢使」でなければ、「敵国、反乱分子」ということしか相手を理解できなかった、と思います。そして、この中国側の見方は、明治時代まで変わることはありませんでした。

(1-12)伊藤睦月、です。ここで、「ふじむら掲示板」での投稿につながりました。次回から、「ふじむら掲示板」に戻ります。

(以上、伊藤睦月筆)

伊藤 投稿日:2024/07/14 11:36

【17】「お役所仕事」は中国伝統の政治・行政スキルだ(1)

伊藤睦月です。前回までに紹介した、文書、自己申請、査定、の「お役所仕事」3点セットは、中国伝来のスキルです。少なくとも紀元前2世紀、秦の始皇帝のころまで遡れます。今回はそのことについて、投稿します。なお、私、伊藤にとって「お役所仕事」というのは、「価値中立的」な概念です。善悪好悪是非の要素はありません。

(1)お役所仕事の由来は、法家思想、老荘思想の法家的理解、儒教ファッション、のミックス、です。

(2)法家思想は、「韓非子」に書かれています。ケーススタディ付きですべて書いてあります。私は30代に金谷治訳の岩波文庫版を読んで、なんだ、ここに全部書いてあるじゃん、と思いました。

(3)法家思想のエッセンスは、商鞅の「法」、申不害の「術」、慎倒の「勢」、です。それに、思考の前提としての「老子」の韓非子的解釈、です。

(4)それぞれの詳しい解説はここではしませんが、岩波文庫版第1巻の金谷解説で十分です。

(5)そして、儒教ファッションです。論語は、「役人の出処進退是非判断の書」です。安岡正篤という、終戦の詔勅の起草者の一人と言われ、のちに保守系政治家のブレーンともいわれた儒学者の言葉だそうです。

(6)君子は立派な人、小人はそれほどでもない人、といった定義は、被支配者階級(小人)に対する、支配者階級(君子、つまりは役人)の騙し、マインドコントロールです。

(7)法家思想を露骨に出すと、各方面から嫌われますし、命の危険もある(司馬遷の「史記」は、そんな例として、「商鞅、呉起、韓非、李斯などを紹介しています)

(8)だからその言動を儒教の言葉や振る舞い(礼儀作法)、儀式のオブラートでくるむ必要がありました。

(9)なお、後年、儒教が哲学化(朱子学や陽明学といったいわゆる「儒学」化)しますと、本物の政治思想ですから、これに殉じる人たちが出てきます。(文天祥など)日本の幕末の「尊王攘夷」に殉じた人たちもその流れです。

(10)一方で、いわゆる処世術として、これらを上手く使う人たちも大勢います。いわゆる世俗の成功者、たちです。こちらの方が多数派だとおもいます。

(11)また、成功しなかった人たちの嘆きと諦観の書が「菜根譚(さいこんたん)とか「呻吟語(しんぎんご)」です。(私見)

小休止。次回又投稿します。

(以上、伊藤拝)

 

 

 

 

 

 

 

 

伊藤 投稿日:2024/07/14 07:11

【16】公務員業界用語(4)文書主義、なにはともあれ文書から。

伊藤睦月です。今回は「文書主義」です。

(4)役所は、すべて「文書」ではじまり、「文書」でおわります。役所系はなんでもそう。最初は、口頭で相談したりしますが、行政手続のレールに乗せようとすれば、「文書化」は必須です。

(4-1)これは警察関係でもそうで、例えば、物を落としたり、窃盗にあったり、ストーカー被害などで、警察に「相談(普通は口頭)」して、じゃ警察が動きましょう(捜査、調査、照会など)となれば、改めて、こちらから「届け」という文書を出すことから始まります。

(4-2)落とし物などは、こちらが皇統でしゃべったことを、パソコンの所定の様式に警官が打ち込むこともありますが、原理的にはこちらから届けを出すことには変わりはありません。役所の窓口もそう。

(4-3)でも、本当は警察は届けがなくても動けるのです。警察官職務執行法に規定があります。ほかの役所系も緊急の場合は動けるようになっているはずです

(4-4)普段はそういうことはしません。公平を保つため、とか、恣意性を排除する、とか言っていますが、要は、届け出順に処理した方が仕事がはかどるからです。いわゆるカスハラ予防にもなります。

(4-5)公務員は、怠け者ですが、基本真面目で律儀なので、与えられた仕事(それのみ)はきちんとやります。(与えられた仕事だけは!)だから、災害等で献身的に働く公務員がいますが、これもそうするように決められているので、義務感で動くというところはあるのです。(使命感でやっておられる方、ごめんなさい。でもそういう使命感、義務感だけでやっていると、いつかは無理が来る、ということは、そういう立派な公務員ほど感じていると思います)

(4-6)だから、そうせざるを得ないように、仕事をシステム化すること。彼らは年功序列で終身雇用なので、そういうものじゃないメリットを与えることです。(要は褒める、感謝してあげる、ということです。リバタリアンの方は公務員嫌いが多いと思いますが、余計、ニコニコしてあげることです。彼らは、自尊心を少しだけ満足させ、皆さんのために身を粉にして働く・・・・かもしれません。(冷や汗)

(4-7)「お前ら、税金ドロボーは俺たちのために黙って働け!」などというのは最低最悪です。彼らはにこにこしながら、優先順位を大きく下げます。心の中でも、実際の取り扱いでも。特に下っ端公務員はそうです。キャリア(国、地方)はそれ以外にもインセンティブがありますから、それをうまく刺激してあげること。そのとき、「アメとムチ」を上手に使い分ける。役人の使い方がうまい政治家はみなそうしています。

(4-8)役所系はすべからく文書主義、言われてみれば当たり前のことですが、そういう「アタリマエ」を考察する、というのも副島学の方法論としてあっていい、と思います。かなり地味ですが。

(4-9)以上、文書主義、自己申告、査定、この3アイテムで役所仕事(対一般ピーポ向け)の大半は説明でき、応用も効きます。あとはこの展開系でこれについては、折に触れて指摘させていただきます。

(4-10)次回からは、この役所系行動原理の由来について。これも分かり切った話かもしれませんが、そういう話こそ、結局は役に立つ、と(小声ですが)考えております。

(以上、伊藤睦月筆)

 

 

伊藤 投稿日:2024/07/13 11:34

【15】公務員業界用語(3)査定(続):要求なければ査定なし

伊藤睦月です。

(3) この「査定」ですが、下々(上から目線で大変恐縮だが、あえて、下々(しもじも)、お上(おかみ)という言い方をさせていただきます。純正リバタリアンの方々、ごめんなさい)から、「申請(申し込み、お願い、同意、相談など)しないと、お上はアクション起こしません。本当になにもしません。これは役所、税務署、警察、裁判所、公務員系すべてそうです。だから、何かお上にしてほしかったら、なにはともあれ、役所に行き、アクション起こしてほしいと、お願いせねばなりません。役所はそういうお願いしている一般ピーポで満ち溢れています。そのなかから、役所は、優先順位をつけてアクション起こします。(これを「対応する」といいます)優先順位は何もなければ、お願いされた順ですが、そうでないときによく使われるのが(「緊急性」)です。事案(内容)の重大性などという言葉も使われますが、要はお上の都合(外圧、内圧)で、あえて言えば(そうだとわからないように)恣意的に「対応」します。

(3-1)事例1:コロナワクチン接種申し込み。ちょっと前に、コロナワクチン接種について、強制かそうでないか騒ぎになりました。そのとき、お上は一貫して「強制」ではない、あくまでも本人の申請によるもの、とし、最後までそうでした。今では、有料接種となっているのでなさらです。このとき同調圧力だとか、ワクチン打たない人が、職場や学校でいじめられたりしましたが、それは、お上にとってあずかり知らぬこと。一般ピーポが勝手に騒いでいるだけ。そのうち誰もワクチンの話題を口にしなくなりました。(別にお上がねらってやっているのではなくて、優先順位つけながら、「対応」していたら、そのうち納まった、というのが現場の感覚でしょう。

(3-2)事例2:マイナンバーカード申込

この副島系掲示板でも、これについて騒いでいらっしゃる方がいましたが、その後どうなりましたっけ?マイナンバーカード、作られましたか。これも、「申し込み」が前提です。本当は、マイナンバーカードをつくるかどうかよりも、カードの対象となるような、「個人情報」が何で、それをどう管理していくかの方が重要だと考えます。

 数年前、マイナンバー通知書が各人に送られてきましたが、この時点で勝負ありです。もう「個人情報」はしっかり特定されています。あとはそれをお上が、使えるように、各人から「同意」をとるだけ。そのためのインセンティブとしてポイントとか多少の特典を与えるということ(もうそれも必要ないぐらい普及が進みました)また、様々な個人に対する行政サービスをマイナンバーカードなしでは、できない、もしくは非常に不便な状態に追い込むことで、後は時間が解決します。

(3-3)我々、一般ピーポにとって、「平時」では、マイナンバーカードは便利です。私も作っています。ポイントもしっかりもらって、使いました(笑い)近々入院するのですが、そのとき健康保険「限度額証明書」がないと、負担が増えます。いままでは、発行まで数週間かかったのですが、マイナ保険証があると、病院で瞬時です。電子機器をうまく扱えない人でなければ、便利で、対象サービスも年々増加しています。

(3-4)私は、かねがね不思議に思っているのですが、「運転免許証」にはなぜ抵抗しない。あれには、個人情報満載で、実はマイナンバーカードとほぼ変わりません。違いがあるのは、「縦割り」か「横割り」の違い(これも業界用語)。運転免許証は、都道府県公安委員会が管理している、つまり警察の中だけで、他の役所には、当然に情報が流れない。流さない。(これを縦割り行政の弊害ならぬ思わぬ効果です。役所の縦割り体質のおかげで結果的に我々の個人情報が守られている)、一方で、マイナンバーカードは、役所の中を横断的に個人情報を活用する(福祉、税金、戸籍関係)という違い、どちらにしても役所の外には情報が出ていかない、仕組みには「一応」なっています。

(3-5)運転免許証を作る際には、平気で個人情報を警察に提供しているくせに、マイナンバーカードになると、抵抗する。本末転倒です。本来なら、運転技術を習得した、という証明さえあれば、免許証としては十分なはずです。戦前の特高の恐ろしさを忘れたのか。戦前は、警察も、役所も、内務省管轄だったから、警察は、個人情報を自由に活用できたのです。と、我々小役人は、そういう思いを持とうが持つまいが、自分の仕事をするだけです。

(3-6)ところが、「有事」となると話は違ってきます。役所は、本人の同意があろうが、なかろうが、個人情報を問答無用で使います。(形式上は、法律等でそういう例外を作っておくのです。実際に発動させるかどうかの判断はまた別です)「有事」といえば、戦争ですが、、まずは「災害対応」です。わが国では、「災害」が深刻化していますので、それに対応するためには、対象住民を普段から把握しておくことが大事で、まさに「個人情報」の掌握、管理が必須、です。今は、公助、共助、私助、とかいってごまかしていますが、そうもいっておられなくなります。そのとき、あなたはどうしますか。これが、あなたが、日本リバタリアンかどうかの分かれ道になります。私もまだ決めていません。災害のニュースが流れるたびに考え込んでしまい、結論でないまますぐ忘れてしまいます。貧乏暇なし、です。

次回に続きます。以上、伊藤睦月筆

 

 

 

 

 

 

 

伊藤 投稿日:2024/07/12 10:05

【14】公務員業界用語(2)査定:業界の最重要概念(だと思っているのは私だけ?)

伊藤睦月(2145)です。今回は「査定」(さてい)をとりあげます。

(1)査定とは、「調査」して「決定」すること、だ、と信頼できる部下にいうと、(信頼できない部下や、同僚、上司に言うと、ことさら、)「それが何か?」という反応しかありませんでした。それぐらい、公務員業界では当たり前すぎて、意識されない、当たり前、のこと。だからかえって、この言葉に呪縛されている、ともいえます。

(2)この「査定」という言葉(概念、思想)が使われる文脈があります。

(2-1)お役所は、すべからく、「自己申請」主義

(2-2)お役所にものいうときは、原則「文書主義」

(2-3)お役所は、一般ピーポから、「文書」で「申請」(申し込み、同意、要請、さまざまな言い方あるが、どれも「下」から「上」にアクションを起こすことをいいます)があったもののみ、その真偽、妥当性、緊急性を、「調査」(審査、検討、とかこれも言い方いろいろある)し、「決定」する、(これも、許可とか、認可とか、承認、通知とか、いろいろあるが、要はお上が決めて下にアクションを起こしてあげる、)という構図です。

(2-4)頭の良い人はわかったと思うけど、この文脈は、お役所(行政、立法、司法)すべてを貫く、行動原理です。例外はほとんどない。

(2-5)ほとんどない、といったのは、これは、お役所と日本国民の95%を占める一般ピーポとの間の関係であって、残りの5%、の人たち(日本の本当の支配層、中間支配層、副島先生が30年前から一貫して語りかけてきたのは、この階層の人たちだと思っています。最近では、我々一般ピーポにも語りかけてくださっているようです。戦争の危機が迫っているからでしょう。それでも、我々階層は、私を含め、のんきなものです・・・)との関係はまた、別の行動原理が働いているようなのです。

(2-6)「アバブオブラー」の世界を、私は、公務員現役時代にほとんど見ることがなかった、できなかった(だからこうやって、生き延びている・・・やや大げさですね。落ち着きましょう。)

伊藤睦月、です。小休止します。

 

 

 

伊藤 投稿日:2024/07/11 14:52

【13】公務員業界用語(2)官吏(続き)

伊藤睦月です。官吏について続き

(8)戦前は「官」と「吏」は別れておらず、「官吏」のみでした。戦前は、地方自治体は設置されておらず、国の出先機関があるだけです。「行政」は、天皇が総攬する「統治権」の一環でした。(天皇の官吏)(明治憲法第4条)

(9)官吏には、等級に応じ、「勅任官」(天皇が直接辞令をわたす)、「判任官」(天皇立会いの下、総理大臣などから辞令を渡す)、「奏任官」(天皇の決裁を受けた名簿にしたがい各省で辞令を渡す)

(10)また、「立法」は、国会は天皇の協賛機関(同第5条)でしたが、地方議会は根拠法令がなく、(戦後日本国憲法第8章で根拠づけられました)

その役割はよくわかりませんが、多くは地方の名士から意見を聞いて行政の参考にするような場、だったと思われます。

(11)ちなみに「司法」は「天皇の名において」行われるものです。(同57条)

(12)それから、「官」と「吏」は「官吏」と「公吏」ともいいます。地方自治体は「官」が使えないので、かわりに「公」が使われることもあります。

(13)これで、「官吏」の説明を終わります。次回は「査定(さてい)」についてです。

(以上、伊藤睦月筆)

 

 

伊藤 投稿日:2024/07/11 14:08

【12】公務員業界用語(1)官吏、キャリアとノンキャリ

伊藤睦月です。また間違ってボタン押してしまった。

お恥ずかしい・・・

では、改めて、「官吏」とは。「官」とは。「吏」とは。

小室直博士の本(天皇おそるべし)を読んでいたら、この区別が説明してあって、「官」は科挙に合格して、地方に赴任した高級官僚、「吏」は「官」が自費で雇って連れてきた、スタッフとのこと。(伊藤の記憶による)実はこの言葉、現代日本でも生きてます。

(1)現代日本では、「官」は国家公務員、「吏」は地方公務員、をいいます。

(2)実際、40年ほど前、私、伊藤が大学を卒業して、某県庁に採用になったときの辞令には、「某県事務吏員を命ず。某課勤務を命ず」、となっていました。一方で、関係する、国の出先機関に挨拶にいったら、高卒っぽい若手職員が名刺をくれまして、「某省事務官」と印刷されていました。

(3)地方自治体では、「官」という職名はありません。似たような文字として「監」をつけることはあります。管理職の職名の一つです。公務員以外の人々から、しばしば間違われます。「官」は国家公務員のみに許された文字です。そこは組織として、現然たる(根拠法令はしりませんが)区別があります。

(4)例え、学歴や学力(大体、採用試験の難易度は、国家1種、地方1種(主要都道府県、政令市)、国家2種、地方2種の順です(大卒の場合)国家3種、地方3種は、原則高卒限定です。大卒が奪うのを防ぐためです。

(5)また、よく聞く語で、「キャリア」「ノンキャリ」があります。

(6)「キャリア」は国家公務員であれば、1種試験に合格して、管理職以上の上級公務員になることを予定(期待)されてる人たち。「ノンキャリ」はそれ以外の人たち。ノンキャリは本省の管理職に登用される人もいますが、少数です。ほとんどは、地方出先機関に配属されます。地方公務員では、おおむね1種試験合格で採用された人たちで、管理職、人によっては、トップクラス(副知事、副市長、部長)まで可能性はあります。副知事(市長)は特別職なので、部長まで昇進できれば大出世、です。また、いわゆるノンキャリの人たちにも管理職登用のチャンスがありまして、その障壁は国ほどではありません。

(7)ちなみに、職制ですが、

(7-1)国、東京都、政令都市は、局長、(国のみ審議官(事業系)、官房長(総務人事財務系))部長、次長、課長、係長、主任、担当、が基本であとごちゃごや役職名がつくられます)

(7-2)道府県、市町村は、部長、次長(局長)、課長、係長、主任、担当が基本

(7-3)どちらも、課長以上が管理職。但し、出先機関は、そのトップと総務系のトップが管理職のことが多い。あとは、なにかえらそうな役職名でも、管理職ではないことが多いです。

(7-4)役所系は、いわゆる組織で仕事をしますので、そのなかで、昇進(出世)はある程度必要です。(7-5)佐藤優氏のその手のノウハウ本がでたとき、身に覚えのあることが多くて参考になりました。自分の経験に照らしても、賛否は別にして、佐藤の本にウソはない。少しスペックが高いように思いますが、一読する価値は十分あります。

(7-6)管理職の数について、あくまで私の勤務先の、個人的な印象です。全職員のうち、部長で0.3%、次長で0.5%、課長で10%、位です。多いか少ないかは、よくわかりません。

(7-7)ちなみに私は、次長クラスで定年を迎えました。周囲の見方はさまざまですが、まあ昇進したほうでしょう。50代後半から、持病が悪化して、本庁勤務が困難になり、出先勤務が長くなったので、(これは民間会社でも本社勤務と支店勤務とは微妙なところがあるでしょう?)、配慮してくれた上司には感謝しかありません。定年後、現在進行形でさまざまあっておりますが。(少し、ぼやきました)

少し脱線しました。次回、もう少し補足します。

また、ご質問等あれば、可能な限りお答えします。

(以上、伊藤睦月筆)