理科系掲示板
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Loginはこちら【102】歴史から学ぼうとは誰も思わんよな(自戒を込めて言う)
相田です。
以下に引用する文章の筆者は、原発を積極推進する体制派の技術評論家として、広く知られている。しかし引用文は、筆者の本業の原子力の評論ではない。筆者は東工大の先生なのだが、東工大と東京医科歯科大が合併する件について、考えを述べている。読んでいて私は思う処があった。申し訳ないが、全文引用させてもらう。
引用文には、「英語のサイエンス(science)の原語は、ギリシャ語のscientica で、知識の意味である。(中略)さらに広義には、体系化された知識(knowledge)の集まり全体を意味する。」と、ある。副島先生の読者には自明であるが、この内容は、副島先生が30年以上前から言っている「サイエンスとは学問のことである」の説明と、全く同じである。我々には「今さらなに言ってんの」という感じである。
筆者が文中で、坂田昌一を出して来たのも意外だった。筆者と同窓の京大出身とはいえ、坂田は、筆者達(私も含むのだが)の原子力推進派が忌み嫌う、左翼科学者の筆頭だ。赤色物理学のリーダーそのものだ。最も偉大な共産党員の自然科学者が、坂田だ。筆者は、その坂田を持ち出して、肯定的に持ち上げている。
以前に筆者は、旧日本原子力研究所の化学研究者で、共産党の活動家でもあった中島篤之介(なかじまとくのすけ、公安調査庁がマークしていた重要人物)の名を引用して、「彼ら左翼系活動家のせいで、原子力が推進できない」と批判していた。それを思い返すと、この筆者の文章は、私にはなかなか趣き深い内容である。
坂田、中島共に、かつては日本学術会議の議員であった。共に、学術会議員としての積極的な活動でも知られる。学術会議に関しては、先の菅総理時代の騒動の際には、保守派の論客は総じて、「左翼の巣窟となっている学術会議など即刻廃止せよ」と、息巻いていた。保守派の一人である筆者も、「学術会議など潰してしまえ」と、明言したかどうかは、私には不明だ。が、学術会議を擁護する姿勢では無かった、と、記憶する。
学術会議については、そもそもが、誰もが知らない、もしくは、忘れてしまった事実がある。戦後に日本学術会議が成立する過程で、積極的に設立を推進したのは、左翼ではなく、茅誠司、嵯峨根遼吉、兼重勘九郎などの、東大の体制派の科学者達だったのだ。戦前・戦中に軍部主導で推進された科学(技術)研究のあり方には、数々の問題があった。それが要因のひとつとなり、日本は戦争に負けた。東大の学者達は、皆そのように認識していた。なので、科学者自身の意向に沿った学術行政を行う場として、東大の学者達は、日本学術会議を作ったのだ。ケリーという、アメリカ人物理学者の後押しがあったにせよ、だ。
しかし、学者達自身の直接選挙による会員の選出という、「民主的」なルールが適用された結果、立ち上げに尽力した東大の学者の多くが落選し、左翼学者ばかりが当選する、皮肉な事態となった。そして、今に至っている。その事実を私は否定はしない。
さて、筆者は引用文の中で、文科省の方針が歪んでおり、勤務先の東工大が妙な名称に変わることを嘆いている。しかし、このような科学行政の歪みを正すための場とは、どのような組織であろうか?それこそが、日本学術会議に期待された、重要な役割ではなかったのだろうか?
先の学術会議の会員排除問題では、「政府の方針に逆らう左翼学者共はケシカラン」と、保守派は騒ぎ立てた。そのような風潮が続く結果、政府に従順な、日和見的な学者ばかりが重用される事態になったのではないのか?自身の論文数や給料の心配に汲々となり、「科学者の社会的役割」などについて、眼中にない学者ばかりが残ったのではないのか?
一般庶民に親しみ易い、軽い名前の大学で、何が問題だと言うのか?受験生が増えさえすれば、それで十分であろう。軽い名前の方が「政府にウケが良い」と、大学の幹部達が会議を重ねた末に出した結論だ。これこそが「最早、学術会議などは必要ない」と吹聴する、保守派連中の望んだ世の中だ。甘んじて受け入れるべきだろう。
遡ること80年前に、当時の科学者達は筆者と全く同じことを嘆いていた。それを正すために、学術会議は作られたのだ。その「本来の理念」から、皆が目をそらし続けるから、問題が解決しないのではないか?全く同じ様相が、繰り返して現れることに、何故気付かないのか?別に、科学者達だけの問題では無いのだが。
なので私は、歴史を学ぶことに価値がある、と、強く思う。しかし、「日本の科学が自然死する」などと、見当違いのボケた発言を振りまく「歴史学者」が、賞賛されてはびこっている。そんな世の中では、問題の解決からはホド遠い、と、私も嘆く。
(引用始め)
東工大と東京医科歯科大の統合:新名称「東京科学大」に思う
澤田 哲生
2023.01.21 06:40
キマイラ大学
もしかすると、そういう名称になるかもしれない。しかし、それだけはやめといたほうが良いと思ってきた。東京科学大学のことである。東京工業医科歯科大学の方が、よほどマシではないか。
そもそもが生い立ちの異なる大学を、無理やり繋ぎ合わせたキマイラなのであるから、キマイラらしく"工業"と"医科・歯科"を素直に接合したほうがマシだろう。キマイラとは、古代ギリシャ神話に登場する合成生物である。例えば、頭部はライオン、胴部は山羊、後尾は蛇というようなものである。"工業"と"医科・歯科"を併せて科学と称することで、却って矮小化したように感じる。
工業には、細分化された知を集約・統合して、実践的ものづくりによって人々のより良い生活に資するという、崇高な精神がある。医は、ヒトという小宇宙を相手に統合された知がなければ、成り立たない。しかるに"科学"とは単なる分科の学問にすぎない。科学という語彙は、西洋由来の概念であるscienceのとんでもない誤訳なのである。
科学とScience
まず日本語の"科学"は、分科の学問または科挙の学問の意味である。明治にサイエンス(science)という英語に出会った西周(江戸時代後期から明治時代初期の啓蒙思想家)が、これを"科学"と訳してしまったのである。もう取り返しはつかない。短慮という他ない。蒙を啓くべき思想家にあって、実に蒙昧たるべしという他ない。科学=分科の学問とscienceの間には致命的な違いがあるのである。
英語のサイエンス(science)の原語は、ギリシャ語のscientica で、知識の意味である。サイエンスは狭義には、観察や実験によって確かめられた事実であり、検証や追試が可能な自然科学を指すが、それを広げて、科学的方法論に基づいて得られたあらゆる知識を指す。そして、さらに広義には、体系化された知識(knowledge)の集まり全体を意味する。
つまりscienceにおいては、分科の学問を構成する○○科と□□科の境界領域にあって、相互を関係付けている何物かが、より重要な意味を持ってくる――それこそが、この宇宙の根本的な仕組みである、と言って良い。
科学は分科の学問であるから、専門知識を極めることを重視するが、専門知識間の関係性にはマインドが及ばない。当然ながら「理科」も「文科」も、ともにサイエンスの一部分に過ぎないが、本来両者は相補的関係をもって、知識間の関係性にもっと心血をそそぐべきであろう。しかし、「科学」と表意した途端に、そのマインドが致命的に欠落して行ってしまうのである。
明治の頃に『学問のすすめ』という書も出たが、これは分科の学問のすすめのことをいう。つまり、分化された分野に精通した専門家という人材が、当時は必要だったのである。いわゆる専門性を極めることが、善であったのである。近代化を急いだ当時の国情が、背景にあった。
専門バカ
私は約30年前、ドイツから帰国して東工大に職を得たが、当時の部門の長に「専門性を極めろ、さもなければ将来(職のステップアップ)はない」と、諭された。その時大いに違和感を感じた。大学の意義は、専門性を極めることはもちろんだが、むしろその統合がもっと重要なのではないか。オレに専門バカになれというのか・・・と。
2011年の東日本大震災・福島第一原子力発電所事故以降、私はTV新聞WEBなどのメディアに頻出してきた。その都度「専門は何ですか?」と聞かれる。「単なる専門家じゃあないんだけどなあ、そんなに狭い専門分野に閉じ込めたいのぉ?」と内心思いながらも、「原子核工学にでもし、といてください」と答えることにしてきた。
科学帝国主義時代
科学者といえば、まずは物理学者という時代があった。日本でいえば、日本人ノーベル賞第一号(物理学賞)の湯川秀樹。世界でいえば、アルバート・アインシュタイン。当時は万事が物理で解明されるべし、という幻想があった。
そのような風潮をして、哲学者オルテガは「物理帝国主義」と、1923年の彼の哲学講義の中で批判した。昨今の若者は、湯川秀樹といってもピンとこないらしいが、アインシュタインはお笑い芸人の名称でもあるので、その名前ぐらいは知れ渡っているのだろう。
湯川の愛弟子である坂田昌一は、仲間の一団と訪中し毛沢東に謁見した際に、「毛沢東主義(共産主義のひとつ)の理論的正当性は、素粒子物理学によって証明されるでしょう」と息巻いたという説がある――その真偽のほどは定かではないが、弁証法に精通していた坂田らしいエピソードだと思う。
近頃大学の文系の学問分野は、あまり役に立っていないのではないか――今後GX時代に向けて、IT人材が大いに不足するので、大学の文系を"理転"すべし、というような馬鹿げた論調が、政府筋から発信されるようになってきていた。
そしてついに先だって、『文部科学省は、デジタルや脱炭素など成長分野の人材を育成する理工農系の学部を増やすため、私立大と公立大を対象に約250学部の新設や理系への学部転換を支援する方針を固めた。今年度創設した3000億円の基金を活用し、今後10年かけ、文系学部の多い私大を理系に学部再編するよう促す構想だ』(読売新聞)と報じられた。気でも狂ったのか!?
これって、科学帝国主義時代の幕開け? 科学専門バカを量産するのか・・。東京科学大学がその急先鋒にならないことを、願うばかりである。
1970年に没した坂田昌一は、当時の明治生まれの知識人らしく、いわゆる文・理に精通していたので、以下の名言を遺している。
「イノベーションは必ず学問の境界領域で起こります」「創造の領域は境界にあることは間違いありません」
もって瞑すべし。東京科学大学は東京境界領域大学としたほうが、日本のみならず、世界の将来に貢献できるのではないか。
(引用終わり)
相田英男 拝
【101】ニュースタイトルだけで内容がわかるよ
相田です。
核融合の話である。アメリカのローレンス・リバモア研究所に、国立点火施設「NIF」という実験設備がある。米エネルギー省によると、この設備を使って、核融合の実験で「歴史に残る成果」が達成されたという。アメリカ政府の公式発表のため、それなりのニュースが流されている。
以下の引用は、それを受けた、とあるジャーナリストのコメントである。一般の方々の素朴な感想だろう。私ごとき一技術屋では名前しか知らない研究機関を、数多く訪問して取材されている。それでも、核融合についての認識は、以下のような程度か、こんなものなのだろうな。
あちらこちらで書かれているように、「核融合と核分裂(原子力)とは違う」と思われているらしい。しかし、核融合と原発の核分裂は、同じである。私は断言する。核融合も核分裂も、エネルギーの根本は、物質の質量そのものである。質量を熱エネルギーに変換する事で、高熱を発生させるのだ。その高熱でお湯を沸かして、蒸気タービンを回して、発電するのだ。
エネルギーの根本は物質の質量である。質量自体がエネルギーの源だ。我々の身体も質量を持つ、超巨大なエネルギーの塊である。だから普段の生活で、危なくてしょうがない、などと、心配する必要はないのだが。
エネルギー源の根本は同じだ。違うのは、エネルギーを取り出すプロセスである。核分裂は、ウランなどの重たい原子核をぶち破る事で、質量をエネルギーに換える。対して核融合は、水素などの軽い原子核を溶かしてくっ付ける事で、エネルギーにする。これだけの違いだ。
なので、「核融合は核分裂と異なる仕組みなので、安全な発電方式だ」という説明は、全くのプロパガンダである。核融合炉の危険さは、原発(軽水炉)以上である。
以下の文章にあるようにNIFというのは、192本の巨大レーザー装置を使って、燃料ペレットに高熱を集中させる仕組みである。超強力なレーザーを200機も使って実験するのだ。こんなものが、平和利用のための、クリーンな発電設備である筈が無いだろう。少し頭で考えたら、普通の人でもわかるだろう。
こんな発表は、アメリカの軍産複合体の、めくらましの、公式プロパガンダでしかない。抜け抜けと、よく言えたものだ、と、呆れざるを得ない。核融合炉こそが「ウソ技術」の筆頭である。
(引用始め)
夢の核融合エネルギー
2022.12.17
「地上で太陽を作り出す」
簡単には言葉の意味が理解できないが、米国の国立点火施設「NIF」があるローレンス・リバモア国立研究所(LLNL)を、最初に訪問したのはもう30年になる。数百メートルにも渡る金属箱のようなものが横たわっていたのを覚えている。レーザーが旅するものだと言われた。当時も今も、全体では野球場くらいの巨大施設だ。
それからさらにその30年前、つまり今日からいうと60年くらい気が長い基礎研究が継続されている。筆者の母校、カリフォルニア大学バークレー校で、「プルトニウム」を発見したグレン・シーボーグ博士の長時間対談をやった頃だ。シーボ―グ博士にも「NIFも取材したら」と言われた。
(中略)
核を利用する兵器には大きく2種類ある。「核分裂」と「核融合」だ。核分裂兵器はプルトニウム(PU)やウラン(U)元素の原子核(陽子・中性子)を利用しており、プルトニウムはナガサキ、ウランはヒロシマで使われた。
核分裂の際、放出される中性子が別の原子核が吸収してさらに分裂、それが継続して分裂がドミノ倒しのように次から次に起きる。分裂がごく限られた時間内に一定の臨界量に達すると、連鎖反応が持続、莫大なエネルギーになり、それが核(分裂)爆弾になる。
原子力発電の場合は、原子炉の中で前述のようにウランが核分裂をする時、臨界状態を制御・維持、その熱で水を沸かして水蒸気を作り、それでタービンを回して発電する。
「核分裂」とは全く違う、もう1つの「核融合」。核融合だけを利用した爆弾は、現時点ではほぼ不可能とされる。重水素と三重水素を、熱で加速して核融合させる。高温・高圧がまずは必要だ。それを作り出すために、上記の核分裂爆弾、原爆を「起爆剤」として使う。
核分裂爆弾と比べると、水爆は1000倍くらいの威力があるという。
「核融合」は「核分裂」と共に、制御は大変、放射性物質の扱いも難しいが、その莫大なエネルギーを上手く使おうという考えは、当然、大昔から存在する。太陽が常に明るく輝いている原動力。主に重水素と3重水素の2つの軽い原子核が、重いヘリウムと中性子に変わる時に出る莫大なエネルギーだ。原子の中心にある原子核が衝突している部分が太陽に似ている。
全て上手くいけば、脱炭素、そして一方の「核分裂」利用の原発の危険性から逃れる可能性がある。日本はEUと組んで、茨木県に実験的な施設を建設、試験運転を始めるという。やはり将来を考えているフランスは、磁力利用の核融合炉で、今回話題を呼んだ米国の高出力レーザー利用とは、全く違う。
これも30年近く前だが、筆者は全米にある「国立研究所」全ての訪問取材をした。ライフワークの原爆関連取材だ。ヒロシマ原爆を作ったロスアラモス、双璧のリバモア(LLNL)、サンデイア、サバンナリヴァー、オークリッジY12、ハンフォード、アルゴンヌ、ブルックヘイブン、フェルミなどなど、フクシマ事故取材もあり、複数回取材した。ロスアラモスでは、内部を深く複数回取材した唯一の日本人ジャーナリストと言われた。国家核安全保障局(NNSA)はその窓口で米エネルギー省内でも、核関連を全て仕切っている。
そこの友人がつい数日前、教えてくれた。半世紀以上、努力している核融合炉NIFの実験で大きな前進があったというものだ。訪問した30年くらい前には、夢物語で、いつ可能になるか、実験が成功するか不明と言われていたが、今回の成功は、小さな一歩、だが同時に大きな一歩とも言える。
実験では、192本の巨大レーザーで凍結水素入りの容器を破壊した。放出したエネルギーと比べて爆破により得られたエネルギーが大きかった。つまり、差引勘定でクリーンエネルギーが生成できた。
しかし実用にはまだまだ大変な道のりがあると、NNSAの友人に言われた。だが貴重な一歩。米国の基礎リサ―チ、基礎研究は日本では想像できないほどのスケールがある。今回の核融合の研究だけでなく他の分野でも、長時間やっても失敗の可能性もあることもやっている。失敗を恐れていては、重要な基礎研究などできないのだ。
野口 修司
国際ジャーナリスト
国際ジャーナリスト(在米40数年)。東京生まれ。UC Berkeley 修士号。安全保障、国際テロ、原爆、原発、日米関係、国際金融を中心に世界30数ケ国・現地取材を行う。ビル・ゲイツ、スノーデン、アサンジへの世界的スクープインタビューも。米国の調査報道記者賞。国際エミー賞審査員2回。
(引用終わり)
相田英男 拝
【100】間抜けに見えるのは気のせいか?
ぶっちゃけ、どうでもいいのだが、書いておこう。以下の筆者は、私の独断の決めつけによると、統一教会の信者である。文章の内容がモロに、勝共連合の方々の、ステレオタイプの原発推進文章の、そのままである。彼らムーニーの、原発推進賛成の先駆けは、なんと言っても福田信之(ふくだのぶゆき)大先生に由来している。物理学者である福田信之の先生は、あの朝永振一郎と武谷三男である。物凄い優秀な学者だったのだ、福田は。
しかし、福田は大恩人だった筈の武谷三男を、米国フルブライト留学から帰国した後に、統一協会に帰依する事で裏切った。その後の福田は、東京教育大学の筑波への移転騒ぎで、反対派の学生達の無茶苦茶大勢を(総人数は不明らしい)、退学に追い込んだり、中曽根に掛けあって、筑波の田舎に物理実験用の大型加速器を誘致したり、と、良くも悪くも大活躍だった。
一方の武谷は、共産党系の研究者達と連携して、政府が強引に進める(ように見えた)原発建設に、反対する主張を繰り広げた。日本の反原発活動家の、基本的な主張は、武谷が中心となり数名で執筆された、岩波新書の「原子力発電」という本の中で、ほぼ出し尽くされている。武谷以降の活動家は、この本の文章をテンプレートに使って、ただただ繰り返すだけである。「便所のないマンション」という用語も、この本の最後に武谷が書いたのが始まりだ。「便所」の部分が、品の良い「トイレ」に、あとから変えられているが。
でまあ、である。以下の文を読むと、「ああ、福田がいかにも言いそうな内容だ」という感慨のみが、私の脳内に込み上げてくる。原発推進派と反対派の論争を眺めると、結局の処は、福田と武谷の師弟コンビの発言を、それぞれコピーして、ひたすら繰り返すだけであるのに気づく。「みんな、よく頑張るね」と、感心するしかない。
以下の筆者を含めて、統一協会系の原発推進派が、大きく勘違いしている点が、一つある。福島原発事故の後で、原発の再稼働が遅々として進まない最大の理由は、筆者が記すような共産党の反対のせいではない。そうではなくて、死んだ元総理の安倍晋三にある、という事実だ。
安倍が総理の時代に、側近として重用され安倍を支えたのは、経済産業省系の大物官僚たちだった。経済産業省と東電を始めとする電力会社は、実は物凄く仲が悪いのだ。経済産業省の役人達は、太平洋戦争の前から、民間の電力会社を全部潰して、電力ネットワークと利権の全てを、国家で管理する事を目標に掲げている。なので、福島原発事故は、経済産業省の役人達にとって、待ってましたの大チャンスが転がり込んで来たのだ。
安倍晋三が総理だった間は、経済産業省は東電を、ここぞとばかりに弱らせるために、原発再稼働をサボタージュし続けた。だから、総理が変わった今頃になって、新設するとか、40年寿命を撤廃する、などの機運が出て来たのだ。ちなみにだが、40年過ぎてどれだけ使っても、「古いから原発が壊れる」事などないよ。
なので、であるが、「安倍総理は偉かった」と称えながらも、「原発を早く動かせ」という、統一協会系推進派の主張に、私は大きな違和感を感じるのだ。
私が間違っているのなら、誰か言ってくれ。
原発をさっさと動かして、早く電気を起こすべきだ、と、私もかねがね思っているよ。
(引用始め)
原子力を強化せよ(屋山 太郎)
今、世界のエネルギーや原料の供給網に劇的な変化が起きようとしている。例えばドイツは、これまで頼ってきたロシアの天然ガス市場から締め出されようとしている。同じくロシア産天然ガスに頼る日本には、日露友好交渉を行って現状を守れという意見もある。
しかしロシアはガスをドイツ叩きの絶好の材料と見ている。日本叩きにも当然利用するはずだ。日米を含む西側自由主義国対ロシア・中国の関係は、今後の国際秩序の大枠を形成するものだ。エネルギーの供給網も、この枠組みに沿って落ち着いていかざるを得ない。
国際NGO「気候行動ネットワーク」は11月9日、気候変動対策に後ろ向きな国に贈る「化石賞」に日本を選んだと発表した。今年で3回連続の受賞である。化石燃料の関連事業に巨額の公共投資をしたこと、岸田首相がCOP27(国連気候変動枠組み条約会議)への参加を見送ったことなどを理由に挙げた。
「化石賞」の受賞は国際的には恥ずかしいことだが、岸田首相はその恥を一挙に覆そうという提案を発表した。原発運転期間の上限60年の撤廃は、政権が長年温めてきたアイデアだったが、これを実現することになった。
これまで日本の科学技術の世界は、左翼の影響にどっぷり浸ってきた。日本学術会議は設立当初から共産党の影響力にさらされ、80年代には解体論が叫ばれていた。それから少しは浄化されたのかと思っていたら、菅前首相による会員候補6名の任命拒否事件があった。
ごく最近になって日本学術会議は漸く、軍事と民生双方で研究できる「デュアル・ユース(両用)」の科学技術研究を容認する方針を打ち出したが、時すでに遅し。軍事科学技術は諸外国に比べてすでに半世紀遅れた。共産党が特に原子力利用への反対に力を入れてきたのは、反対が中国、ロシアに対する協力に通じたからだ。原子力に関する規制については、あらゆる面に亘って厳格さを要求してきた。
そうした運動の結果、福島第一原発のような事故が起きると、原子炉等規制法は改定され、規制がいたずらに厳しくされた。運転期間の上限を原則40年に定め、規制委員会が認めれば1回に限り最長で20年延長できることになった。しかし福島原発の事故で上限を40年間に決める理由は何なのか。規制でいたずらに押さえつける態度にしか見えない。
米国は稼働開始から40年以降は、安全審査をクリアしさえすれば20年以内の延長が何度でも可能だ。英国・フランスには運転期間の制限はなく、10年毎の安全審査を実施することになっている。日本がこれからやるべきは最長60年の運転期間上限を撤廃する法改正だ。
今年6月時点で、フランスの原子力は全電源の約62%を占めている。米国は15.8%(7月)。日本は3.1%だ(国際エネルギー機関データ)。これからの日本は、原子力エネルギーの割合を圧倒的に増やして主力電源を安定させ、電気料金も世界最低レベルを目指していってもらいたい。
(令和4年11月16日付静岡新聞『論壇』より転載)
(引用終わり)
相田英男 拝
【99】今回はこれでカンベンしてください
核融合は手の届く所にある 設計、材料、制御…主要な課題に解決の見通し 何としても日本の手でやり遂げ新たな基幹産業に
夕刊フジ 9/22(木) 17:00配信
【官製エネルギー危機】
たゆまぬ技術開発により、太陽のエネルギーを再現する「核融合」は今や夢物語などではなく、手の届く技術になった。設計、材料、制御などの主要な課題はすでに解決の見通しが立っている。
→ 少なくとも、材料の見通しは全く立っとらんぞ。どうやって、高速中性子のカスケード損傷を防ぐのだ?真空容器にクラックが出来て、溶接補修しようとすると、核変換で出来たヘリウムのバブルが、溶接の加熱ですぐに集まって、クラックがどんどん広がるぞ。壊れても補修も出来んとは、どうするつもりなんかね?
いま国際協力で、「核融合実験炉(ITER=イーター)」の建設がフランスで進んでいる。完成は2020年代後半で、35年には、普通にみる火力発電所と同等の出力に達する予定だ。この建設コストは、2・5兆円前後とされている。また実用化の前に、もう1つ、同じぐらい金額をかけて実証炉を造る必要がある。
→そんな金があるなら、2500億円で最新火力発電所を、10箇所作るべきではないのか?
そんなにかかるのか、という心配はごもっともである。だがこれは、幾つもの方法を試し性能を確認する「実験」をするためのコストだ。
→実験せんでも、結果は見えとるとやなかとか?
実用段階になれば、発電コストは、既存の原子力発電と比べても全く遜色がないと推計されている。高くつくのは実験段階だけの話だ。実用段階になれば、安価で、CO2(二酸化炭素)を出さず、無尽蔵な発電技術を人類は手にすることになる。
→壊れたらロクに修理もできない設備を、一体どうやって安価に運用するつもりなのだ?
また核融合炉は原理的に安全だ。既存の原子炉で用いる「核分裂」反応は、起こすのは簡単だが、止めるのに失敗すると、炉心溶融や核爆発といった過酷事故が起き得る。「核融合」はその逆で、起こすのは難しいが、何かあるとすぐ反応が止まってしまうので安全になる。
→モノは言いようではないが、そもそも今の技術では、ちょっとプラズマの制御が乱れたら、すぐに核融合反応が停止するのではないのか?安全とか、議論する以前の問題ではないのか?
いま温暖化対策として、日本は毎年数兆円といった莫大(ばくだい)な費用をかけている。だがそれよりも、核融合発電に集中投資することで、実現を前倒しすべきではないか。
→これまでも、どれだけ集中投資しようが、全く前に進まかったのでは無いのか?
なお、新しいアイデアによって小型の核融合炉が可能になり、数年先には実用化できる、といった報道が散見される。だが、残念ながら、それほど事は簡単ではない。
→ここだけは本当。
核融合には、超電導コイル、プラズマ、廃熱部、ブランケットといった要素技術があり、このすべてを組み合わせると必然的に普通の原子力発電所ぐらいの大型のものになる。新しいアイデアというのは、大抵はこの一部の改善案にとどまっており、大型の核融合炉が不要になるということはない。むしろそれらのアイデアは、大型炉を改良してゆくためにこそ有益になる。
→こんな開発は、50年も前からずーーーーーーっと、続けて来たのではないのか?原研那珂(JT-60)とか、筑波大(ガンマ10)とか、名大(プラズマ研)とか、京大(ヘリオトロン)とか、核融合科学研究所(LHD、ラージヘリカルデバイス、岐阜県土岐市)とか、阪大(激光)とか、九大(トライアム)とかで。その成果の、一体何が、世の中の役に立っているのだ?わかるように、ハッキリと教えてくれや。
宇宙開発における民間企業「スペースX」の成功は、NASA(米航空宇宙局)のアポロ計画やスペースシャトル計画で開発した技術があったからこそ実現した。核融合開発では、ITERなどの大型の実験炉が、宇宙開発でのアポロ計画にあたる。これは予算規模が大きく時間もかかることから、国家が主導するほかない。
→とりあえず、これからしばらくは、中国に任せようや。
核融合ができれば、温暖化問題もエネルギー問題もすべて解決する。これは何としても日本の手でやり遂げ、新たな基幹産業としたいものだ。
→全くそうは思えんとやけど
(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・杉山大志)
(矢印書き込み・相田英男)=おわり
相田英男 拝
【98】ついに出た、GE内部の暴露本の決定版。これだけ読めば十分よ
相田です。
出張に出る際に、書店で見掛けて購入した。帰るまでに読了出来た。電車中で読みながら、途中で皮肉な笑いが幾度となく込み上げて来て、こらえるのに苦労した。
『GE帝国盛衰史 「最強企業」だった組織はどこで間違えたのか』(ダイヤモンド社刊、訳:御立英史、2022年7月12日初版発行)
私には待ちに待った本だった。GEの凋落について、一時期の私は頭が妙にハイになって、この板に何度も英語の記事を挙げていた。しかし、断片的にしかアメリカの事情がわからないので、GEの凋落について整理した文章を、書き始めてもいた。でも、本書が出てしまえば、最早私の出る幕はない。
この本の内容は私にとって非常に重い。「なるほど、そういう事だったのか」と納得する記述が、随所に出て来る。当たり前だが、こんな内容の本を、私が書ける筈がない。
私が社会で職を得て以来、30年以上も考え続けて納得できなかった疑問の答えが、本書には全て書かれてある。私の人生にとっての、最大の経済関係書籍である。
この本の内容について、日本人の「識者」とやらが、あれやこれやとコメントするのだろう。まとめてみんな、お前らは全て、大バカのアホ連中である。お前ら一体、これまでGEについて、どのように語ってきたというのだ?!?「日本メーカーは遅れている。その点GEはさすがだ、素晴らしい」と、ひたすらに繰り返してきたのではないか。その、今までお前らが積み重ねて来た、あまりにも莫大な、白々しいコメントの山脈について、どのように責任を取ってくれるのだ!?!ええ!!、日本経済新聞よ。ついでに。広瀬隆よ。
あのなあ広瀬隆よ。あんたなあ、死ぬ前に本書の感想文を必ず書けよな。俺がしっかりと見届けてやるからな。何なら口述筆記でもいいぜ。今ならスマホに話しかけるだけで、簡単に文章ができるだろうが。
本書の内容は、人間社会の底知れない闇の存在を私に感じさせる。資本主義の本質とは、所詮は、このようなものなのであろうか?偉そうな能書きばかり語っても、全ては、その場しのぎのデマカセに過ぎないのか?
本書の記述からは、答えはYESだ。
本書について、まだまだ言いたい事が続くのだが、キリがないので今日はここまで。
相田英男 拝
【97】言ってる事が支離滅裂である
相田です
長い引用の前にちょこっとコメントするだけなので、恐縮してはいるのだが、やっぱし「これはないよ」と、読みながら思った。世界中で資源高のインフレが進みつつある。資源輸入国の日本はエネルギー政策の転換を急ぐべきだ。というまでなら、まだ許せる。しかし、その結論が「具体的に政府は、洋上風力など再生可能エネルギーの、利用増加に集中しなければならない」というのは、如何なものか?
洋上の大型風力発電装置に必要な、発電機やら、大型歯車やら、高純度の銅線やらアルミ導線やらの、素材や部品の価格も、これからバンバン高騰するのではないのか?軸受のベアリングも、大型風力発電の場合は特注品になる。自動車のベアリングのように、たくさん作って量産効果で価格が低下する、などというオメデタイ事は、風車の場合は起こり得ない。
ちなみにわかっているだろうが、風車の建設には、500トンと超える重量級のクレーンを現地まで持って行かなければならない。洋上ならば、大柄工事船舶で基礎工事をやってから、海の上に高いクレーンを立てるのだ。インフレが進むこれからの時代に、どれだけコストアップになるのか、少しは考えてはみたのか?
考えても想像は付かんか?
私なら、さっさと原発を再稼働させてバンバン発電させて、十分な電力を先ずは確保するけどね。風力発電システムを日本の会社が作らなくなった本当の理由を、筆者達は知るまい。
その内に書くよ、池田某に先を越される前に(ダメかもしれんが)。
(引用始め)
「日本は電力すら賄えなくなる」未曾有の物価上昇に備えて岸田政権が今すぐやるべきこと
3/15(火) 9:16配信 プレジデントオンライン
■輸入頼みの日本が直面する厳しい現実
依然として、ウクライナで激しい戦闘が続いている。それによって、世界経済の構造が大きく変わりそうだ。1990年代初頭以降、世界経済は国境の垣根が下がる=グローバル化の流れを歩んできた。それが、ウクライナ危機によって、ロシア対西欧諸国の間で分断=ブロック化が進むことになりそうだ。米英やドイツなどのEU加盟国はロシアへの金融制裁に加え、原油などの輸入を停止あるいは削減する。
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3月7日には、需給が逼迫(ひっぱく)するとの懸念から原油の先物価格が急騰した。ブロック化へ世界経済のパラダイムが変化することで、自由にモノを貿易することが難しくなる兆候が表れている。
グローバル化によって、世界に張り巡らされた供給網=サプライチェーンが遮断されはじめた。その結果、経済運営の効率性は低下し、世界的に経済成長率は低下するだろう。ロシアからの資源供給の減少によって、世界全体で構造的に物価も上昇しやすくなる。各国が緩和的な金融政策に頼った経済運営を続けることは難しくなる。
資源を輸入に頼るわが国は、かなり厳しい状況に直面する恐れがある。わが国は国全体でどのような対応策をとるべきかを真剣に考えなければならない。喫緊の課題は、経済安全保障の観点からエネルギー政策を強化することだ。やや長めの目線で考えると、経済の実力を高めなければならない。そのために、教育の強化や労働市場の改革を進めてより多くの人が新しい取り組みを進めることができる環境を目指さなければならない。そうした取り組みがどう進むかによって、わが国の将来が大きく変わるだろう。
■世界経済はグルーバル化から「ブロック化」へ
ウクライナ危機の発生によって、世界経済のパラダイムが変化する可能性が高まった。それは、グローバル化からブロック化へのシフトだ。1990年代初頭以降の世界経済では、ポーランドやハンガリーなどの東欧諸国が市場経済に仲間入りした。中国は改革開放路線をあゆみ、外資企業から製造技術を習得し、豊富かつ安価な労働力を武器に“世界の工場”としての地位を確立した。ロシアは天然ガスや原油、希少金属、小麦などの穀物の主要輸出国としての役割を発揮した。それによって、世界経済のグローバル化が加速した。
その状況下、米国など主要先進国は積極的な金融政策によって経済成長率の向上に取り組んだ。2000年9月の米ITショック(インテルの業績下方修正が米IT関連銘柄の株価を急落させた)や2008年9月のリーマンショックの発生によって一時的に成長率は低下したが、世界経済は基本的には低インフレと、緩やかな成長率の高まりを実現した。その背景には自由貿易の促進や海外直接投資の増加があった。
■「物価が上がりづらい経済構造」で起きたウクライナ危機
米国の企業は、高付加価値のソフトウエアなどの設計と開発に取り組んだ。製品の生産を新興国の企業が受託した。国際分業は加速し、先進国企業はコストが最も低い場所で高付加価値のモノを生産し、需要が豊富な市場で販売する体制を構築した。世界全体で経済運営の効率性は上昇し、物価が上がりづらい経済構造が整備された。
その状況下、内需が停滞するわが国では、長い期間にわたって日本銀行が超低金利政策など緩和的な金融政策を継続した。リーマンショック後は世界的に金融緩和策に依存する国が増えた。
しかし、ウクライナ危機によって欧米各国はプーチン政権下のロシアとの関係を断つ覚悟を強めている。ドイツの防衛予算増額は象徴的だ。西側諸国とロシアの分断は鮮明化するだろう。欧州やわが国は別の国からエネルギー資源などを、より高い価格で輸入しなければならなくなる。グローバルに張り巡らされた供給網が組み直され、そのコスト負担が企業の事業運営の効率性を低下させる。その結果、世界全体でGDP成長率は低下する可能性が高まっている。
■物価上昇は「ロシア原産」以外にも波及する
世界は、低インフレ環境から構造的な物価上昇へというパラダイムの変化にも直面しつつある。わが国は対応策を急がなければならない。3月7日のアジア時間の金融市場では“ウェスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)”原油先物価格が1バレル当たり130ドル台に急騰した。その背景には、世界経済に対するロシアからの原油供給が減少し、需要を満たすことが難しくなるとの懸念急増があった。
今後、ロシアからの原油や天然ガス、木材、穀物、希少金属などの供給は減るだろう。供給が需要を下回り、価格は上昇する。高級食材と異なり、原油は日々の生活に欠かせない。高いからといって購入を我慢するわけにはいかない。また、新しい供給網の確立にはコストと時間がかかる。当面、世界全体で供給制約は深刻化するだろう。企業は増加するコストを販売価格に転嫁せざるをえなくなる。多くのモノの価格が上昇するだろう。
■岸田首相はエネルギー政策転換を急ぐべきだ
このようにブロック化によって世界経済ではコストプッシュ型のインフレが進みやすくなる。その場合、中央銀行にできることは限られる。通貨の価値を防衛するために利上げなどが行われたとしても、物価上昇率を2%程度に落ち着かせることは難しい。
場合によっては、経済成長率が低下してマイナス成長が続くと同時に、物価が上昇する展開もあるだろう。グローバル化に支えられた“低インフレと緩やかな成長”から、ブロック化による“構造的物価上昇と成長率低下”に、世界経済のパラダイムがシフトしはじめた可能性がある。
そうした展開に対応するために、目先、わが国は経済安全保障の観点からエネルギー政策の転換を急がなければならない。エネルギー政策の転換は一朝一夕には進まない。それだけに岸田政権は迅速に対応方針をまとめなければならない。具体的に政府は、洋上風力など再生可能エネルギーの利用増加に集中しなければならない。
エネルギーの安定供給は、国民が安心して、持続的に経済活動を送るために不可欠だ。また、安全保障体制の強化のために政府は米国との関係を基礎にしつつ、クアッド(日米豪印戦略対話)など多国間の連携も強化しなければならない。
(引用終わり)
真壁 昭夫(まかべ・あきお)
法政大学大学院 教授
1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授などを経て、2017年4月から現職。
相田英男 拝
【96】評論家の語る内容の殆どはウソである
相田です。
エルピーダとは、DRAMという半導体の製造技術を残すために、日立、NEC、三菱電機などが集まって作られた会社なのは、今更私が説明するまでも無い。最近の半導体の価格高騰の中で、エルピーダの破綻の経緯について再び注目されている。その中でも、引用した著者の説明内容は白眉と言える。
政府の資金援助が足りないとか、巨額な設備投資に日本企業は耐えられない、などという、巷に流布される理由とは、実情は全く異なるらしい。全文の引用は避けるが、「坂本幸雄社長は無能である」と断定しているのは重要だ。坂本氏の評価がどうだ、という点ではない。巷で流布されている、経済評論家、技術評論家の考えが、全くもって独りよがりの、信頼の置けない内容である事が、白日の下に晒されている。これが重要だ。
要するに、巷の評論家の殆どは、信用にならんのよ、おそらくはどの分野でも。
(引用始め)
まだそんなことを言っているのか!間違いだらけの「エルピーダ破綻の原因」
3/6(日) 11:01配信 yahooニュース
■ 日経新聞の特集記事の「間違い」
坂本氏は、(1)「生き残っていれば、世界と戦えた」とか、(2)問題は「資金力だ」と発言したが、全く事実は異なる。調査結果で論じたように、異常なまでの高コスト体質のエルピーダが倒産したのは必然である。「坂本社長のエルピーダ」は淘汰されたのである。資金力の問題ではない。収益率の低さが問題であり、収益を出せない技術にこそ問題があり、そこに経営のメスを入れることができなかったことが致命傷になったのだ。
日経新聞の(3)「エルピーダの破綻劇は、官民が巨額投資を伴う長期戦に耐えられなくなった構図」というのも間違っている。繰り返すが、過剰技術で過剰品質をつくり、歩留り100%を目的にする、そのエルピーダの企業体質が問題だったのだ。
東京理科大大学院教授の若林氏の(4)「DRAMの技術や最終製品の動向を、当局や金融機関が十分に捉えられていなかった」や(5)「日米貿易摩擦の記憶が残る日本」などは、全く的外れな指摘だ。もっとエルピーダの技術の実態を見て発言してもらいたい。
萩生田経産相の(6)「世界の半導体産業の潮流を見極めることができず、適切で十分な政策を講じてこなかった」という発言もどうかしている。昨年(2021年)6月1日の衆議院の意見陳述でも述べたことであるが、経産省は呆れるほど「合弁、国プロ、コンソーシアムをやり続けた」のである(図5)。そして、全部失敗した。「経産省が出てきた時点でアウト」なのである。その反省をなぜしないのか?
(7)TSMCの誘致を奇貨として日本での産業基盤を強くするためには「「設備にしても開発にしても『カネ』と『ヒト』だ」という経産省の西川課長、『ヒト』を育成してからTSMCを誘致すべきではないのか? 順序があべこべだろう。そして、(8)「九州では人材育成の準備を急ぐ」というのは、あまりにも泥縄すぎるだろう。
筆者が日経新聞の特集記事を読んで、うんざりした理由が分かっていただけただろうか?
■ 「マイクロンになってよかった」という社員たち
坂本氏、日経新聞の記者、東京理科大大学院教授の若林氏、萩生田経産相、経産省の西川課長には、EE Times Japanの記事「『Micronになってよかった』という言葉の重さ」(2019年7月8日)を、目を見開いて読んでいただきたい。そして、「Micronになってよかった」という言葉の意味をよく考えていただきたい。
筆者も、2019年に広島で国際学会があった時、旧エルピーダで現マイクロンジャパンの社員たちから、「マイクロンに買収されて本当のDRAMビジネスが理解できた」「エルピーダが倒産したのは不運だったのではなく、当然の帰結だ」「外資企業となった現在は完全な実力主義であり、実績を上げれば昇進・昇格・昇給できる」「仕事は大変だが充実しており、エルピーダ時代がいかに甘かったかが実感される」ということを聞いた(「中国は先端DRAMを製造できるか? 生殺与奪権を握る米国政府」EE Times Japan)。
このような実態を理解せずに、日本半導体産業への政策などは、一切行わないでいただきたい。それは税金の無駄遣いであり、何度も失敗の歴史を積み重ねることになるからだ。本当に、もう、うんざりなんです。
湯之上 隆
(引用終わり)
相田英男 拝
【95】風力発電の盲点 その①(その②は無いかもしれない)
相田です。
世間の流行りはウクライナだが、私は地味に行く。
風力発電は反原発主義者達にとって、期待の星とも言えるシステムだ。ヨーロッパや中国で導入が先行しており、「日本も遅れるな」「日本政府はもっと政策支援すべきだ」などと、毎日のごとくネットで記事を見かける。
でも風力発電の技術は厳しい。機械の構造は極めて単純だ。要するに、歯車が組み合わさって、風車と発電機を回すだけである。しかし、単純なだけに、技術的には誤魔化しが効かない。超重量級の歯車がぶつかり合って、物理(機械)エネルギーを伝達しながら、10年以上も発電機を回し続けるのだ。しかも、風車の構造自体が、片持ちはりの、回転軸にモーメントが加わる形である。ちょっと考えるだけで、歯車や軸受に、強い負荷が掛かり続ける事がわかるだろう。
そして、引用記事にもあるが、風車の導入価格はコストダウンが著しい。安く作れば買う方はありがたい。が、そこには盲点がある。部品や設計コストを下げなけらばならない、という盲点が、だ。
当たり前だが、部品や設計の手を抜くと、故障の確率が高くなる。故障した部品は、洋上の100mを超える高所に存在するのだ。その修理には、海上に大型クレーンを新たに浮かべて、数十トンを軽く超える大型発電機やギヤシステムを、吊り上げる必要がある。修理をするスタッフも、大型船舶をチャーターして、風車の脇の洋上で、数十日間も過ごさねばならない。陸上なら毎日、宿まで往復出来るが、船中の寝泊まりは過酷である。
はっきり言って、原発の修理や定期点検以上に過酷で、高コストになるのだ。発電量とのバランスを考えると、明らかに風車の方が高コストである。
だから、風力発電システムを売る側は、メンテナンスの過酷さをあまりわかっていないか、知っていても、顧客に詳しく説明しないのである。
(引用始め)
この世界では、中国の躍進が目覚ましい。21年には、中国国内で4757万kWの風力発電容量を生み出し、そのうち1690万kWが洋上風力だ。企業のコスト競争力も強く、欧米勢でも苦戦しつつある。
日本でも富山県沖での洋上風力発電プロジェクトで中国企業の「明陽智能」(世界シェア6位)が発電ユニットを受注するなど、その存在感は高まるばかり。このままでは政府の思惑とは裏腹に、国内の洋上風力発電ビジネスが中国に牛耳られてしまう可能性さえある。
(引用終わり)
発電システムを安く買ったはいいが、保証期間(大概は2年)が過ぎて、ギアパーツが壊れ出してから、修理見積もりをとった。出された修理代がべらぼうで、文句を言うと、それっきり中国メーカーから音沙汰が無くなり、途方に暮れる、などと、ならないように、重々気を付けることだ。しっかりとした長期保証契約を結べば済むのだが。買い値が上がらなればの話だが。
もっと書く事があるが、あまり書き過ぎると、池田何某あたりにネタをとられそうなので、この辺にしとくわ。
(引用始め)
世界が注目する再エネの切り札! 「洋上風力発電」の開発競争に日本はどう向き合うべきか?
2/25(金) 6:00配信
(この記事は、2月21日発売の『週刊プレイボーイ10号』に掲載されたものです)
* * *
洋上風力発電が注目されている。政府は2040年までに最大で原発45基分相当の4500万kWを導入する方針だ。
風力発電はCO2を排出しない、原発のように核ゴミを出さない、太陽光と違い夜間でも発電できるなどのメリットがある。発電単価も急激な技術進歩で世界トップレベルならkWh当たり5円前後、日本国内でも同12~16円前後にまで下がっている。
特に無人の海上に建設される洋上風力は、長さ100m超の長大なブレード(羽)を回す空間の確保が陸地より容易だし、風車による低周波振動の被害を心配する人々の反対も受けにくいといった長所がある。領海の広さが世界6位の海洋大国ニッポンにとって、洋上風力はとても魅力的な電源になるだろう。
また、洋上風力は日本の成長戦略の柱になる可能性がある。どういうことか、説明しよう。
洋上風力には大きくふたつのスタイルがある。ひとつは海底に埋め込んで固定された構造物が風力発電の施設を支える「着床式」。水深50m以下の浅い海に適している。もうひとつが、海底に固定したアンカーでつながれた水上でプカプカ浮かぶ巨大な構造物が風力発電の施設を支える「浮体式」。水深50m以上の深さの場合、このスタイルになる。
国内で強い風が吹く海域は水深50m以上の深海が多く、日本の洋上風力では浮体式が有力だとされる。より広い海域で風力発電の建設が可能になるため、世界でもニーズが高まっている。とはいえ、浮体式は設置方法などの技術が完全に確立したとはいえず、世界の勢力図もまだ定まっていない。
そこで、日本政府は国内企業に浮体式の製造や設置の技術を磨いてもらい、日本の風力発電産業復活につなげることを狙っている。
だが、現実はそう甘くはない。そもそも、風力発電の世界シェアは欧米や中国などの海外勢に握られ、国内に風力発電の製造を手がける企業はほぼゼロになってしまった。昨年末に三菱商事が千葉県など3海域の洋上風力発電事業を落札したが、その発電ユニットを納入するのは米ゼネラル・エレクトリック社だ。
この世界では、中国の躍進が目覚ましい。21年には、中国国内で4757万kWの風力発電容量を生み出し、そのうち1690万kWが洋上風力だ。企業のコスト競争力も強く、欧米勢でも苦戦しつつある。
日本でも富山県沖での洋上風力発電プロジェクトで中国企業の「明陽智能」(世界シェア6位)が発電ユニットを受注するなど、その存在感は高まるばかり。このままでは政府の思惑とは裏腹に、国内の洋上風力発電ビジネスが中国に牛耳られてしまう可能性さえある。
日本政府は19年4月から「再エネ海域利用法」を施行し、洋上風力振興に乗り出したが、この程度では、日本の遅れを取り戻すのは容易ではないだろう。
それでも私が「まだ期待できる」と考えるのは、発電ユニットの重要なパーツや素材を供給する「下請け」メーカーの存在だ。
日本には高機能なブレードや発電機を製造する企業が多くある。主契約者として洋上発電のメイン設備を納入できなくても、その中身はメイド・イン・ジャパンばかり、となれば十分に日本の成長戦略として成り立つ。そのためには、政府がもう一段本腰を入れて規制緩和などの政策的支援を強める必要がある。
●古賀茂明(こが・しげあき) 1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して11年に退官。
(引用終わり)
相田英男 拝
【94】大丈夫か、京都大学?
相田です。
私的には面白すぎる内容なので、一応取り上げる。京都フュージョニアリングの記事ばかりなので、他の連中も、もっと核融合の傑作な話題を提供してもらいたいものだ。
(引用始め)
核融合発電をめぐっては、現在、実用化できる規模の反応を安定的に維持するための開発競争が繰り広げられている。こうした技術的ハードルが近い将来に克服されることを見越し、さらにその先の技術を確立させることでスムーズな実用化につなげる。
(引用終わり)
この記述には、さすがの私も空いた口が塞がらない。「技術的ハードルが近い将来に克服されることを見越し」などと、よくも抜け抜けと言えたものである。千年くらいの先の出来事を「近い将来」とか言いたいのかね?高齢化社会とはいえど、一体どれだけ長生きするつもりかしら。
社長によると開発する技術は「核融合発電を実用化するにあたって将来、避けては通れない部分」なんだそうだ。
確かにそうかもしれんけどさ・・・自動車を作るのにタイヤとシャーシだけ一所懸命作って、「あとは超高性能エンジンが載りさえすれば画期的です、凄いでしょう。エンジンは誰かがその内に作ってくれるでしょう」とか聞いた処で、単なるアホのタワゴト以外の、何物でもないではないか?
凄えなあ、京都フュージョニアリング。エクセルヒューマン真っ青の厚顔無恥ぶりだよ。近所のばあちゃん達が、しょーもない布団やらアクセサリーとか、何十万円も出して買ってたのを思い出したよ。
(引用始め)
核融合発電へ一歩 京大発ベンチャーが世界初の実証プラント建造へ
産経新聞 2/2(水) 19:14配信
核融合関連の技術開発に取り組む京都大発のベンチャー、京都フュージョニアリング(KF社、東京)は2日までに、核融合発電の実証実験プラントの建設を計画していることを明らかにした。令和5年中にも着工し、核融合反応で生じたエネルギーを発電用に転換する技術開発を進める。同社によると、核融合を想定した発電プロセスの実証施設は世界でも例がないという。
核融合は水素などの軽い原子核どうしが融合して新しい原子核になる反応で、太陽など恒星の中心部で生み出される膨大なエネルギーの源。発電にあたり温室効果ガスや、高レベル放射性廃棄物を排出しないことから、エネルギー問題や環境問題の解決につながるとして期待がかかる。
ただ、核融合炉内の反応で生み出されるエネルギーはそのままでは発電に使えず、転換には特有の技術が必要とされる。
計画するプラントでは、核融合反応でエネルギーが放出される状況を疑似的に再現し、同社が開発する装置で熱エネルギーに変換。さらに発電装置を駆動することで、実際に電気を起こす。プラントは十数メートル四方に収まる規模で、想定している発電能力も数十キロワットとごく小規模という。
核融合発電をめぐっては、現在、実用化できる規模の反応を安定的に維持するための開発競争が繰り広げられている。KF社は、こうした技術的ハードルが近い将来に克服されることを見越し、さらにその先の技術を確立させることでスムーズな実用化につなげる。長尾昂社長は「核融合発電を実用化するにあたって将来、避けては通れない部分。知見を重ねて技術的に先行したい」という。
同社は2日、三井住友銀行や三菱UFJ銀行といった大手金融機関やベンチャーキャピタルから総額約20億円の資金を調達すると発表。技術開発の加速や人員体制の強化などに充てるとしている。
プラントは来年中の着工を目指し、現在、建設候補地の検討を進めている。実証プラントに設置する装置の製造は国内のメーカーに依頼する方針といい、国内で技術やノウハウを蓄積することで、将来的な国際的競争力も確保する。
(引用終わり)
相田英男 拝
【93】経済記事屋はとんでもなく間抜けばかりだ、と思った話
相田英男です。
以下に引用する記事は、東芝の現状についての解説だ。別に大した内容ではない。しかし、私は読みながら、大いなる苛立ちを感じた。特にイラついたのは、以下の記述である。
(引用始め)
さらに東芝と時を同じくして、米国を代表する世界的企業であるゼネラル・エレクトリック(GE)やジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が、スピンオフ戦略を公表したという潮流も、日本ではまだ実例に乏しいスピンオフ戦略に対する評価を後押していると言えます。
GEやJ&Jが相次いでスピンオフに踏み切ったことは決して偶然ではなく、コロナ禍においてデジタル化の急進展をはじめ、企業経営が大きな転換点を迎え、企業経営が効率化とスピードアップを迫られた結果の前向きな対応として、一歩を踏み出したと言えるのです。
しかしながら、東芝の場合は少々事情が異なります。事の発端は2015年の不正会計という不祥事であり、直後に米国原発事業における巨額損失が明るみに出て経営危機に陥るという、今に連なる大きな汚点がそこにあるからです。さらにこの経営危機からの脱却策として、アクティビストたちからの資金支援を得たことが、その後の東芝にさらなる暗雲を垂れこめさせたと言えます。
成長戦略が描けないことに業を煮やしたアクティビストが経営陣交代要請を強めると、東芝の経営陣は経済産業省の力を借りてこれを排除しようするという、重ね重ねガバナンス上由々しき問題を起こしてしまったわけなのです。
今回の事業三分割計画はこのような流れを受けたものであり、東芝のスピンオフ計画に批判的な意見の根拠が、「GEやJ&Jと同列に語るのはどうなのか」というところにあるのは明白です。
(引用終わり)
相変わらずの米国を賛美して日本をケナす、伝統的なコメントである。しかし、私はもう騙されない、お前ら低脳な経済評論家達には。
GEが、確か2015年辺りだったと思うが、悪名高いアクティブ・ファンドであるトライアンの、経営への介入を許した事、そしてCEOがイメルトからハゲのフナラリーに、生え際が後退、ではなく、交代させられた事、その直後に起きたHA (アドンスドH型)ガスタービンのブレード破損事故を発端として、株価が20数ドルから一桁ドルまで一気に暴落し、経済界に衝撃を与えた事、これらの事実をお前らは、相変わらず、全く無視するのか?もしかして、米国の経済記事を、全く読んでいないのか、お前らは?
東芝が三分割させられるのは、事前に「親会社」のGEで行ったシミュレーションを、単に踏襲しているだけではないか。アクティビストの介入まで含めて。その後の株価の暴落の度合いから見ると、「親会社のGE」の方が遥かに華々しく、罪深いのではないのか?
だから、あんまし、中身の無い、軽すぎるコメント記事ばかり書くなっつーの。
もう、本当に、よくわかったよ、お前ら経済記事家の、頭の軽さの程度が。俺にはよ。
GEの凋落に関する記事を結構ストックしているが、結局まとめきれずに終わりそうだ。その前に、アメリカの国家自体の方が、先に崩壊しそうな雰囲気なので。
ただ一つ気になる事がある。昨年末のトランプ落選のドタバタ最中に、パキスタンで大停電が起きた。その理由が、GEの航空機事業を中国ファンドに売り渡す交渉を密かに進めており、それを妨害するための陰謀だった、云々(でんでん、ではない)という噂の記事が、ネットで出回った。その実情が何だったのだろうか?
パキスタンには、GE火力のフラッグシップ機であるHAガスタービンを使った、発電所が建設されている。その絡みで、何らかの動きが、あの時にあったのだと思う。シロートの俺でも間違いに気付くような、スカスカのこんな記事でなく、パキスタンの噂の真相でも、ちゃんと調べて教えてくれんもんかね?
(引用始め)
大関暁夫
2022年01月06日 14:25
苦肉の「事業三分割」発表でも続く東芝復活へのいばらの道
https://blogos.com/article/575577/
東芝の事業三分割が大きな衝撃をもって受け止められています。「日本のコーポレートガバナンスにおける大改革と評価できる(菊地正俊みずほ証券チーフストラテジスト)」とこれを評価する声がある一方で、「東芝は自滅への道を突き進んでいるように思える(久保利英明元東京第二弁護士会会長)」という批判的な見方もあります。
その実どうなのか。それぞれの見解の根拠を検証しつつ、東芝の復活に向けた現在地を確認してみます。
まず東芝の事業三分割計画についてですが、2023年度にグループ全体を発電、公共インフラ、ビル、ITソリューションなどを手掛ける「インフラサービス会社」、半導体、パワー半導体、HDD、製造装置などを手掛ける「デバイス会社」、そして「東芝」の名称での存続会社で主にキオクシアや東芝テックなどのグループ企業事業体の株式を保有して管理する「資産管理会社」の3社に分割し、それぞれを上場。お互い株の持ち合いはせず、各社の専門性を高めかつ経営判断の迅速化をはかることで、それぞれの会社が専門領域で最大限の発展をめざしていくというものです。
事業分割は一般にスピンオフ(分離)と呼ばれており、分割後の単体事業に将来性が見込めるならば、大きな効果が期待できるとされています。すなわち、コングロマリット・ディスカウント(多岐にわたる事業を扱うことで、個々の事業価値が目減りしている状態)に苦しむ企業体がそれを解消し各事業単体での正しい事業価値を得ていくという意味で、スピンオフは大きな期待が持てる事業戦略であると言えるのです。
この観点から考えれば、まさにコングロマリット・ディスカウント状態にあるとアクティビスト(物言う株主)たちから強い批判を受けてきた東芝にとっては、この上ない良策であるように思えます。
スピンオフに関しては、米国では既に毎年50件程度が実施され、大企業の転換戦略として定着しています。例えば、2015年にネットオークション大手のイーベイからスピンオフしてナスダック市場に上場したWEB決済サービスのペイパルは市場に好感され、イーベイとペイパルを合わせた株式価値の合計はスピンオフの前よりも上昇。狙い通りにコングロマリット・ディスカウントを脱しているのです。
このような海外での実例をひいてのスピンオフ効果認識が、東芝の事業三分割をそれなりに評価する理由になっていると考えられます。
さらに東芝と時を同じくして、米国を代表する世界的企業であるゼネラル・エレクトリック(GE)やジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が、スピンオフ戦略を公表したという潮流も、日本ではまだ実例に乏しいスピンオフ戦略に対する評価を後押していると言えます。
GEやJ&Jが相次いでスピンオフに踏み切ったことは決して偶然ではなく、コロナ禍においてデジタル化の急進展をはじめ、企業経営が大きな転換点を迎え、企業経営が効率化とスピードアップを迫られた結果の前向きな対応として、一歩を踏み出したと言えるのです。
しかしながら、東芝の場合は少々事情が異なります。事の発端は2015年の不正会計という不祥事であり、直後に米国原発事業における巨額損失が明るみに出て経営危機に陥るという、今に連なる大きな汚点がそこにあるからです。さらにこの経営危機からの脱却策として、アクティビストたちからの資金支援を得たことが、その後の東芝にさらなる暗雲を垂れこめさせたと言えます。
成長戦略が描けないことに業を煮やしたアクティビストが経営陣交代要請を強めると、東芝の経営陣は経済産業省の力を借りてこれを排除しようするという、重ね重ねガバナンス上由々しき問題を起こしてしまったわけなのです。
今回の事業三分割計画はこのような流れを受けたものであり、東芝のスピンオフ計画に批判的な意見の根拠が、「GEやJ&Jと同列に語るのはどうなのか」というところにあるのは明白です。
三分割案を提案したのは、6月にアクティビストたちとの協議を経て招いた、ボーン・プロフ氏ら新社外取締役で構成される執行部から独立した同社戦略委員会であり、東芝経営陣の意思で組み上げた新戦略とはおよそ言い難いわけですから。
同委員会による執行部への提案から組織決定までの時間の短かさをみても、事業三分割後の事業について十分な仮説検証がなされたとは思えません。
この点について事業コンサルタントの大前研一氏は、「3事業のうち可能性を感じるのはインフラ事業の一部のみです。残り2事業は全体としてアップサイドがほとんど見込めない状況ですし、半導体メモリー事業にいたっては本社がキオクシアの株を保有しているに過ぎず上場するなど夢の話」「今回発表された3つの事業分割のままでは、勝てる見通しはほとんどない」(大前研一 ニュースの視点Blogより)と、かなり手厳しいです。
このような考察から結論として見えてくるのは、東芝の事業三分割を前向きに評価するとすれば、スピンオフという手法を日本を代表する大手企業が取り入れたことに関する評価であるということ。
すなわち、税制改正によってスピンオフ戦略をとりやすくなったという背景もあり、東芝のような大手企業が率先してこの戦略にのりだしたことで、大規模化と多角化によって利益率が下がった多くの昭和企業にとってスピンオフは有力な選択肢とし顕在化し、日本における産業の新陳代謝が進む可能性はあると言えるでしょう。
しかし、東芝の事業三分割というスピンオフ戦略は、ガバナンス不全に端を発したアクティビストとの関係悪化の結果として追い込まれた感は否めず、それが本当に同社にとって有効であるのか否かは現段階では何とも評価のしようがない、という印象ではあります。
同社の株価は11月12日の分割案発表前の4937円から、現在4600円前後にまで約7%も下げており、市場の受け止めは至って冷ややかです。
先の久保利弁護士の「東芝は自滅への道を突き進んでいる」が言い得ているか否かは別としても、不正会計以降の「沈みゆく東芝」からの復活は今なお、茨の道にあると言わざるを得ないでしょう。
東芝の株主は、現在その約2割がアクティビストで占められているとみられています。そのうちの有力な1社3Dインベストメント・パートナーズは、事業三分割を「支持しない」とする書簡を公表しており、年明けに開かれる事業三分割の信任を問う臨時株主総会はなお予断を許さない状況にあると言えます。
もし議案が否決されるなら東芝は再び迷走し、目先の利益を重んじるアクティビスト主導での「解体ショー」という最悪の事態すら否定できません。
鳴り物入りで報じられた事業三分割が、今はまだ東芝復活の切り札であるとは到底まだ言えず、本当の正念場はこれからということだけは確かなようです。
(引用終わり)
相田英男 拝