理科系掲示板
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Loginはこちら【73】ほんなこつやっちゃおられん
相田です。
久しぶりに福田信之の事を思い出したので、福田と学術会議のキーワードでググってみた。すると面白い記録を見つけた。自民党議員と学者達の1980年の懇談会である。学者側のメンバーに、福田信之、渡部昇一、中川八洋、という錚々たる顔触れが並ぶ。こういった学者達の提言ならば、自民党議員も大歓迎で受け入れるのだろう。
(引用始め)
第2回 政治家と学者との懇談会
日時 1980年10月22日(水)PM3:00~5:00
場所 自民党本部 リバティー3号室
議 題 「80年代の主要政策課題」
出席者
党役員
幹事長 桜内義雄
政務調査会副会長 加藤六月
総務会副会長 郡 祐一
調査局長 三塚 博
調査局次長 林 大幹
学 者
国際交流基金理事長 林健太郎
筑波大学学長 福田信之
京都産業大学教授 入江通雅
筑波大学教授 鈴木博雄
国際経済センター理事長 紅林茂夫
上智大学教授 高根正昭
慶応大学教授 中村勝範
上智大学教授 渡部昇一
筑波大学助教授 中川八洋
次 第
司 会 三塚 博 調査局長
懇談会司会 福田信之 筑波大学学長
党役員紹介
学者紹介
基調提言 入江通雅 京都産業大学教授
福田信之 筑波大学学長
懇談概要
Ⅰ.80年代は総合の時代
(1) 国際協調の重要性 (2) 国際文化交流への提言
Ⅱ.憲法問題について
(1)憲法論議は具体論で (2) 憲法制定過程を明らかにする
(3) 自衛隊合憲論の定着へ (4) 国家と国民の関係の位置づけ
Ⅲ.安全保障への提言
(1) 伊藤律 問題の本質 (2) 効果的な軍事力の向上
(3) 自衛隊合憲論の定着へ
Ⅳ.教育改革への提言(1) 教科書問題 (2)日教組対策 (3)教育制度の改革
Ⅴ.財政再建、行政改革への提言(1) 財政再建について (2) 行政改革について
Ⅵ.景気物価対策への提言
(引用終わり)
相田です。続いて、懇談概要が載っているが、全文引用するとかったるいので、注目箇所のみ抜粋する。
(引用始め)
Ⅴ.財政再建、行政改革への提言
(2) 行政改革について
行政改革の目玉として、学術会議を廃止すればよい。もともと学術会議は占領軍の指示に従ってできたもので、日本には古来、学士院というものがある。学術会議とは要するに学者の国会であって、日本国憲法からいえば、特殊職能集団の国会など存在すべきではない。政治の大事を決定するのは、国会で決めるべきであり、学者だけに選挙権を与えて学者だけの代表を選ぶというばかげた制度はこの際、やめるべきである。そうすれば、5億円は浮く。
(引用終わり)
相田です。当時は、学術会議の正員は直接選挙で選ばれていた。この内容って、今まさにネット界隈で流れている、右翼の発言そのままである。40年前から同じ話をずっとやってるんだよな。なんばしよっとやろか、ほんなこつ。
発言者は無記名だが、いかにも福田信之が話しそうな言い回しだと思える。
今回の件では、右翼も左翼も、好き勝手に言ったり書いたりしてるので、私もあまり考えずに、面白い事をどんどんあげるつもりだ。いちいち考えよったら、やっちゃおられん。
相田英男 拝
【72】ようそんな、白々しい事が言えるもんやねえ
相田です。
アゴラというサイトの記事に、以下のような文があった。見過ごそうかとも考えたが、やはり看過できない。きっちり反論しよう。
(引用始め)
学術会議問題はゴリラ研究のようには論じられない
2020年10月27日 20:00
八幡 和郎
日本学術会議の前会長で京都大学元総長でもある山極寿一氏が、京都新聞で「学問の自由とは何か」を語っているが、そのなかで、
『そもそも「学問の自由」とはいったい何からの自由であるのか。それは国家権力からの自由である』
と断言している。
山極先生の理屈だと、ヒトラーやスターリンやイスラム原理主義者が、大学教員の多数派になってとんでもない学問をやったり、気に食わない研究や研究者を排除しても、学問の自由の侵害にならないし、国は黙って金を注ぎ込み大学の自治を尊重しなければならないことになる。
山極氏が長年研究してきたゴリラの世界では、そういうグループのなかでの強い者勝ちが正義なのかも知れないが、人間の世界ではそういうものではあるまい。
山極氏は
「アカデミック・フリーダムとユニバーシティ・オートノミー、すなわち学問の自由と大学の自治であった。いかに国家の圧力から研究する自由、発表する自由、教育する自由を確保するか、そしてそれを実現するためには大学の自治が不可欠ということである」
という。
たしかに、国家権力が学問にとって最大の脅威であることは確かであろう。しかし、宗教や思想団体、政党や政治団体、マスコミや大衆運動など学問の自由を脅かす脅威は多様である。
筑波大学助教授が何者かに殺害された悪魔の詩訳者殺人事件はイスラム過激派によるものとされているし、紅衛兵や学生運動の過激派によってどれだけ学問の自由は侵害されてきただろうか。(以下略)
(引用終わり)
相田です。八幡氏の御年齢を私は承知していないが、自分達の事情をさておきながら、こんな強気な主張がよくも出来るな、と、感心する。
『山極先生の理屈だと、ヒトラーやスターリンやイスラム原理主義者が、大学教員の多数派になってとんでもない学問をやったり、気に食わない研究や研究者を排除しても、学問の自由の侵害にならないし、国は黙って金を注ぎ込み大学の自治を尊重しなければならないことになる。』
私は、山極先生に恩がある訳でもなんでも無いが、上の八幡氏が述べる文章の内容は、紛れもない事実として、過去に起きたであろう?偶然にも、八幡氏が引用している筑波大学の設立時に、何があったのかを、よもや忘れた、とは、私は言わせない。三輪知雄(みわともお)、宮島龍興(みやじまたつおき)、福田信之(ふくだのぶゆき)、の初期の三学長の時代に、筑波大学内で何が行われたか、年配の学者達は皆、今でもしっかりと、忘れずに覚えている。
学術会議員に多くの共産党学者が残っていて、政治運動に走るのをウンザリながら横目で眺めつつも、マジョリティではこれまで見過ごされて来た。その理由を、はっきりとここで言おう。学術会議員に共産党学者が誰もいなくなると、福田信之のような人物がまた現れて、学術界を蹂躙するのではないか、と、年配の学者達は心底恐れているのだ。
福田信之がどういった人物であったか、アゴラの主要な執筆者達は、十分に知っているだろう。あなた達の多くが敬愛して止まない、故渡部昇一が師匠として尊敬していた物理学者だ。その真の姿は・・・・・私が敢えて書く事もあるまい。知らない多くのカタギの方は、「工学部ヒラノ教授の敗北」というエッセイ書を読む事だ。八幡氏が上の『 』で述べた状況が、皮肉にも、1970年代から80年代半ばの筑波大学で実現していた事実が、はっきり書かれている。
「そんな事は無かった、あの当時も今も、素晴らしい、立派な大学ではないか」と、これからも貴方達は、白々しくも、言い張り続けるか?
福田信之の要請に中曽根康弘が応じて、数十億円規模のミラー型核融合実験設備(実際には高エネルギーのプラズマ発生装置。核融合反応などは到底起こせない、真空容器と電磁石と発電機の単なる塊)を、筑波大学に作っただろう。福田の希望に中曽根はまめに答えて、金も援助し、大学の自治も認めていたぞ。
あの福田信之に比べたら、学術会議での福島要一の所業等は、児戯に等しいレベルだ。
私が高校生の時に受験校を探していて、姉に「筑波大学ってどうかな?」と話を持ちかけたことがある。すると姉から「あそこは止めなさい」と、ピシャリと言われた。当時は姉の言う理由について、全くピンと来なかった。が、後年になり、その真の意味を知った時には、慄然とするものがあった。福田信之が、元は武谷三男の愛弟子であり、朝永振一郎の研究協力者だった事も、私には相当なショックだった。
サイレントマジョリティの存在を無視し、舐めたままでの言いたい放題が過ぎるのは、あまりにも見苦しい。
この件も、その内に詳しく補足する。
相田英男 拝
【71】誰でも普通に気づくわな
相田です。
記事のさわりだけ、短く引用します。
(引用始め)
東大・加藤陽子教授が学術会議問題でメッセージ「政府に従順でない人々を切っておく事態」
東京新聞 2020年10月24日 06時00分
任命拒否された日本学術会議の新会員候補6人のうちの1人、東京大の加藤陽子教授(日本近代史)は23日、任命拒否についてのメッセージを発表した。内容は次の通り。
◆違法な決定、なぜか?政府に尋ねたい
今回の任命拒否を受けて感じたのは第1に、2011年施行の公文書管理法制定まで有識者として関係してきた人間として、法解釈の変更なしには行えない違法な決定を菅義偉首相がなぜ行ったのか、意思決定の背景を説明できる決裁文書があるのか、政府側に尋ねてみたい。(以下略)
(引用終わり)
「意思決定の背景を説明できる決裁文書があるのか、政府側に尋ねてみたい」とは、「私達を切った理由の根拠となる書類を明確に示せ」という意味だ。杉田氏が作成して安倍、菅に見せたブラックリストの存在が、ほぼバレている。誰でもわかる話ではあるが。
一流の法律学者達の追求を、どんな屁理屈でかわし続けるか、期待して見守りたい。
相田英男 拝
【70】杉田官房副長官は共産党の罠に嵌った
学術会議の問題が一向に収束する気配が無い。それまで誰も知らなかった、あまりにも地味すぎるネタなのだが、左翼と右翼の論者のそれぞれが、自分の思い入れを勝手な方向に投影し、話を膨らませてからぶつけ合うので、収集がつかなくなっている。こんなにも面白い出来事を目撃できるとは、世の中も捨てた物では無いな、と、私はしみじみ思う。
さて、これまでの状況を「総合的・俯瞰的」に眺めてきたことで、事態の背景がほぼ見えてきた。キーマンは菅義偉総理ではなくて、杉田和博官房副長官である。杉田官房副長官は、もと警察官僚であり、公安警察や内調などの公安畑で長く仕事をしてきた人物だという。
今回の発端は、学術会議の名簿の人数が足りない事を、赤旗がスクープ記事として載せた事に始まる。おそらく共産党の狙いは、数年前から杉田氏をスキャンダルに嵌めて、政権から追い落とす事にあったのだろう。杉田氏もまた、安倍内閣以来、学術会議の左翼学者達への弾圧と追放のための策略を、水面下で練って来た。その計画を実行に着手した途端に、赤旗にスクープされたのだ。事実は逆に、共産党側が杉田氏の計画の概要を密かに掴んでおり、スクープに出すタイミングを見計らっていたのだろう。罠に嵌ったのは、共産党ではなく、杉田氏の方だ、と私は思う。
共産党と公安組織は、長年に渡る天敵同士である。ハブとマングース、トムとジェリー、藤波辰巳と長州力、その他にも色々あるが、顔を見る度にお互いが口汚く罵り合う事を、延々と続けて来た関係である。そもそもが公安組織は、学術会議も共産党の出先機関の一つとして、長年その動向を監視して来たのだ。
「全貌」という月間雑誌がかつてあった。反共の極みというべき内容の記事が満載だった。情報の出処は公安組織だ、という噂もあったらしい。私の尊敬するferreila(フェレイラ)氏という技術者の方がおられる(私はお顔も拝見したことはない)。ferreila氏は「全貌」に非常に詳しく、今回も御自分のブログに、「全貌」に書かれていた福島要一に関するスキャンダル記事を掲載されている。相当にインパクトのある内容だ。興味のあるネトウヨ連中は、早速見に行く事だ。そして今回もドンドン拡散すれば良い。
私が思うに、福島氏はあそこまで叩かれる程の悪人では無い。村上陽一郎が福島氏の事を、あのように、粘着的にいやらしく嫌うのには理由がある。私はおぼろげながらその理由に気づいた。その内に書く。
福島要一の記事が「全貌」に載ったという事実は、学術会議が公安から長年マークされていたという有力な証拠だ。杉田氏は、自分の目の黒いうちに、学術会議を無力化するための策略を練っていた。一方で共産党は、官房副長官という要職にある杉田氏を、如何にして追い落とすかの策略を、これまた練っていたのだろう。政府の事務方のトップに自分達の天敵が居座っている限り、眠れない夜が延々と続くだけである。
敵味方のそれぞれが、密かに練っていた思惑がぶつかって、今回の騒動に発展したのだ。巻き込まれた6人の法律学者達には、迷惑この上ない話であるが、どうなるか見ものである。杉田氏が作成していた、6人の法律学者の実名が入った排除リストを、共産党が出して来たりすれば、大変に面白くなると期待する。
相田英男 拝
【69】だからあんたはもう書くな!
相田です。
何だか、しょうもない駄文を繰り返して、ネットに挙げる老人が居られる。前回の投稿は、珍しくわかりやすい文章だと感心した。が、今回はいつもの何だかわからない「村上節」に戻っている。普通の一般人が、下の文章を読んで、何を書いているかを、すらすら理解できるものかね?わざとわかりにくい、御(ご)格調が御(お)高め気味の、内容がとてもありそうでありながら、その実は全く無い文章としか、私には思えない。ちなみにこれは、日本を代表する元科学史家の論考を私が期待しての感想であり、その辺の素人文筆家であれば、この程度で許されるであろうが。
今更ながら村上は、現状の学術会議の体制について批判している。が、学術会議がこのようになった経緯と、その発足当時には高い理想を目指す科学者の中心組織であった事実は、あなたもよく知っているだろう?広重徹の「科学の社会史」を読めば明白だ。あなたも当然読んだであろう?。私にはあの本は、そのようにしか読めなかった。その高い理想が、どのようにして崩れたかを、検証して記述する事が、あなた、もしくはあなたの弟子達の責務ではないのか?
再度ここに書くが、学術会議を批判するなら、何で「科学の社会史」を引用して、それに則ってから、論考しないのか?あなたは、広重の仕事を、意図的に無視しようとする姿勢が見え見えだ。とてもではないが、科学史家の態度では無いよ。
駄文を重ねる程、自分の立場が惨めになる事を、早く自覚した方が、よろしいかと私は思う。
(引用始め)
続・学術会議問題 手続きの合理性と学問の自由は別次元にある
2020.10.13 WirelessWire Weekly,
村上陽一郎
拙論(学術会議問題は「学問の自由」が論点であるべきなのか?)に対して、ご賛同、ご批判を多くいただいたようです。私の論点は、現政権の今回の措置への援護と受け取られた方もあったようですが、趣旨はそうではありません。注意深く書いたつもりだったのですが、何分にも急いで書きましたので、誤解が生じた向きもあったので、多少の補足をしておきます。
学者の団体として歴史を辿れば、イギリスの王立協会、フランスのアカデミー・デ・シアンスなど、海外にも古くから類例が多々あります。最古の一つといわれるイギリスの場合、ロイヤル・チャーター(「勅許」とでも訳せばよいのでしょうか)によって成立しましたが、一応、独立の機関として発足しました。しかしフランスの場合は、王室からの支援を得て、現在では国立となっています。ロシア(ソ連邦の時代も)でも国立であることに変わりはありません。日本でも、日本学士院は完全に文部科学省管轄の国立機関です。自然科学にある程度限定すれば、英国科学振興協会(BAAS)やそのアメリカ版(AAAS)の方が、類似の団体と思われるかもしれません。
しかし、そもそも様々な分野の学者が、国家規模で集まろうという意図を持つものでしょうか。学者・研究者の間に、そのようなインセンティヴは一般に希薄なのです。政治的な権力や強力な支援組織がイニシアティヴを取る、あるいは、その機関に所属することが学者としての高い名誉の保証となる、さらには、団結して国民全体に学問の重要性を訴えなければならない差し迫った事情がある、といったことでもなければ、学者・研究者はそうした活動に身を捧げようとはしないのが普通です。
いろいろな事情でそうした機関が必要と考えた国家が介入する形で、機関を設定するのが、結果的に最も自然な形になります。ただし、専門学会は別です。専門を同じくする研究者が、科学者共同体を作るのはそれも自然なことで、そこで行われる研究活動の内容に、国家や政府が干渉すれば、それこそ「学問の自由」が問題になります。
戦後の一時期の日本学術会議は、ある政党のヘゲモニー下にあった、ということは前稿で書きました。そこでは、そのイデオロギーの影響下の外にあるような学者の中には、立候補しても組織票で落選させられたり、推薦されなかったというような事態もありました。今の輿論風にいえば、そこでも「学問の自由」はなかったことになります。
いや、そんなことをいえば、それこそ学問の殿堂であるはずの大学においてさえ、人事委員会の推薦候補が、教授会において特定の政党勢力の組織票で、「拒否」(現在の新聞用語です)された事例もありました。政治的思惑が学問の世界に介入するのは、決して稀なことではないのです。
ただ、形式的にいえば、現在の学術会議の場合は、首相がいみじくも述べたといわれるように、予算を出し運営の支援をしているのは「国家」である、という事実は曲げられないのです。そして、その運営する機関に、誰を招きいれるか否か、という話です。戦前の一時期の日本のように、特定の思想を持つ人々を投獄、処刑したり、かつてのソ連圏のように、政権のイデオロギーに反対する学者を、投獄し処刑した、などという話とは、まったく次元の違う話です。今日の小事は明日の大事だ、という方もおられるかもしれませんが、次元の違う事柄が、繋がるはずもありません。
個人的な「感想」をいえば、今回の推薦された候補者の中から政権が任命を見送る方々を選んだことに全面的に賛同しているわけではありません。私見をいえば、個々の方々のお仕事に関する私の無知もあるかもしれませんが、その決定を訝しく思う方が先に立ちます。何故この方が、との思いもあります。しかし、そのことと政権が推薦候補者の一部を見送ったことの合理性とは別の問題であり、「学問の自由」云々の問題に抵触することには全くならない、という点は確認しておきたいのです。
(引用終わり)
相田です。一般の下等庶民には、さっぱり理解できない「村上節」が炸裂している。難文だ。東大の国語の入試問題に使うのには、丁度いいのかもしれないが。一応述べるが、以上の文中での村上の問いかけの、ほぼ全ての解答は、広重の「科学の社会史」を読めば、誰もがはっきりとわかる。解答が明記されているのだ。今更、ツラツラと意味あり気に書き連ねる必然性は、科学史的には全く無意味だ。
中山茂、吉岡斉(よしおかひとし)、その他の、学術会議創世期の事情を研究した科学史家は、ほとんど亡くなってしまった。何を書こうが、今さら誰も責める者などいなくなった、シメシメ、などと、世間を舐めるのも大概にしてもらいたい。
自分の立場を意図的に曖昧にしたままで、安全な処に逃げられると思わない方が良い。
本来なら今回の問題について、解析と解決方法の提案について、最も責務を負うべき人物の一人が、このような軽々しい、ネトウヨレベルの文章しか書けない現実に対し、私は激しい憤りを感じる。村上の弟子筋の科学史家連中は、猛省すべきであろう。
相田英男 拝
【68】安倍前総理は、学術会議員の排除リストを事前に官僚達に作成させている。私の憶測だが。
相田です。
学術会議問題で、菅義偉首相が、「自分の手元に名簿が来た時には、既に6人が削られていた」と発言した事が、波紋を読んでいる。以下にニュースを引用する。
(引用始め)
学術会議側から「文書の改ざん」指摘相次ぐ
TBS NEWS, 10/11(日) 17:48配信
日本学術会議の任命をめぐって、菅総理が105人の推薦者リストを「見ていない」と説明したことについて、学術会議側から「文書の改ざん」や「違法性」の指摘が相次いでいます。
菅総理大臣は9日、日本学術会議からの推薦者リストについて、任命されなかった6人を含む105人のリストは「見ていない」として、先月28日に見た時点で99人になっていたと説明していました。
これについて11日、学術会議の元会長で東京大学の大西隆名誉教授は、JNNの取材に対し「学術会議は総理に対して105人を推薦をしている。総理に伝わる前に他の誰かがリストから6人を削ったのであれば、文書の改ざんとなり大きな問題」と述べました。
そして、法律には「学術会議の推薦に基づいて、総理大臣が任命する」と規定されていることを踏まえ、「菅総理が105人の名簿を見ていないなら、学術会議の推薦に基づかず任命したことになり、法律の規定に反する」と指摘しています。
また、任命されなかった6人の1人、早稲田大学の岡田正則教授も「任命権者(菅首相)に推薦が到達していないのですから、任命拒否はありえない」として、「菅首相の『任命行為の違法性』がますます明確になった」との見解を示しました。
(引用終わり)
自分が名簿を確認して名前を削った訳でもなく、名簿の内容に責任を持つ、とは、確かに理解し難い説明である。この矛盾が、左翼から徹底的に追及されるだろう。
私の憶測だが、菅総理の発言に矛盾しない状況が、一つだけある。それは、学術会議員の推薦可能性のある学者達を、事前に選別し、排除学者達の名前を書類に書いていた可能性だ。学術会議側から105人の推薦人名簿が内閣府に届いた際に、官僚側で事前に作成した「排除リスト」と照合し、マッチした6人を除いて、菅総理に提出したのだ。
排除する学者達についての基準を、事前に決めておき、その内容を総理に説明済ならば、削除前の名簿を見なくても、内容に総理は責任を持てる、と言えるだろう。排除リストには、学者達の具体的な名前と、排除の理由(どれだけ問題人物かのレベル)が、数値化されて記載されている筈だ。少なくとも法学者、政治学者については、当てのある人物が全て挙げられているだろう。リストを作るように官僚に指示したのは、菅ではなくて、安倍前総理だろうが。
これは単なる私の妄想では無い。遡ること66年前の1954年に、全く同じ事件が起きている。改進党の中曽根康弘代議士が、衆議院に「原子力予算」を提出する直前、物理学者達の政治思想の左右の程度について、リストが官僚により作成され、原子力開発に参加させる物理学者を排除する基準として使用されたのだ。物理学者の思想リストの作成を指示した人物は、福井なにがしという衆議院議員で、作成した官僚は工業技術院の初代院長の駒形作次(こまがたさくじ)である。駒形は、初代の原子力研究所の理事長で、当時は学術会議の会員でもあった。
このリストにより排除された物理学者の一人が、当時「民科」の物理部会長をやっていた伏見康治だった、云々、という話は、以前に私が「ぼやき」で詳しく書いた。リストの現物は日本側では既に破棄されており、アメリカ大使館の当時の科学アタッシェとして日本にいた、オットー・ラポルテに提出された物が、アメリカに公文書館に残されていた。文書を発見したのは、東工大学の科学史家の山さき(さきは立)正勝(やまざきまさかつ)氏である。以前に赤旗が記事に取り上げていた。
私の憶測だが、山崎氏が発見した書類と、ほぼ同じ内容・趣旨の「学術会議員排除リスト」が存在し、菅首相も官僚から内容の説明を受けていたのだ。
それに従って官僚側が機械的に6人を削って、菅総理に提出したならば、話の辻褄は会う。
今回のそもそもの発端は、赤旗が学術会議員の名簿の名前が削られていると、スクープ記事として報じたことによる。共産党はおそらく、この排除リストの存在に気づいており、最終的に、排除リストを公にすることを狙っているのではないか?
菅首相は、そんなリストの存在は絶対認めないだろう。が、学者達は理屈の細かな矛盾を付くのが商売なので、納得いくまで追求を止めない。話題になっている「御飯論方」や「チャーハン論法」で、どこまで国会での追求をかわすことが出来るのか、見ものである。
相田英男 拝
【67】概略がほぼわかった
相田です。
アゴラでの篠田英朗と池田信男が、学術会議問題について対談するビデオを見た。池田が、学術会議が共産党に引き回されている、と、散々喚く内容かと思ったが、予想より落ち着いた内容で、少し安心した。
どうも、学術会議員に共産党関係者が多い事実が、ようやく右翼に認知されつつあり、その証拠の一つとして、私が以前に「ぼやき」で書いた福島要一の話の短文だけが、切り取られて拡散しているようだ。池田信男もそちらを見たのかもしれない。どうせ騒ぐのなら、私の本が書店に並んでいる時に騒いでくれよ、今更おそい、と言いたくなるが、それは冗談だ。
しかし、池田が今になって「学術会議は共産党の活動拠点だった」と題して書くのは、完全に世論へのミスリードだ。単に右翼を煽って、不要な騒ぎを大きくする結果しか産まない。確信犯的にあのタイトルを付けたのだろうが、池田も所詮、文章の内容よりも、注目を集める事を優先する書き手という事だ。
さて、ビデオ対談を聞いて色々思う所はあった。篠田が、1983年に中曽根首相が、学術会議の人選に政府が関与しない、と述べたのは、学術会議との間でなんらかの「ディール」があったのだろう、と語っていた。私には篠田の「ディール」の意味が何となくわかる。そのうち書く。
なるほどな、と気づいたのは、菅義偉総理は、今回の学術会議との対立を数年前から時間を掛けて、準備していたのだろう、とする池田の予測だ。今年の正会員半数(105人)の入れ替えのタイミングで「やるぞ」と菅総理、ではなく安倍前総理が決めていた、それを菅総理が実行した、という事らしい。確かにそうかな、と私も思う。
安倍の悲願だった、憲法改正の裏カードとして学術会議の体制変更を、水面下で同時に準備していた訳だ。その理由は明白で、学術会議という組織が、終戦直後のGHQ -SCAPにより作られた組織だからだ。安倍&自民党右派の判断では、学術会議も平和憲法第9条と同じく、アメリカから無理矢理に押し付けで作られた物だ。だから現憲法と同時に刷新するべきだ、という事らしい。
確かに、これだと納得がいく説明である。占領軍のソーシャル・エンジニアリングにより生じたひずみを、一気に片付けてしまえ、という目論見なのだ。
しかしである。それならば、安倍と菅は、大きな判断ミスを犯している。私にはそう思える。
端的に言えば、彼らの失敗は、原発の再稼働を遅らせた事だ。読者は何の事やらピンと来るまいが、説明を続ける。安倍が側近として置いていた、経済産業省出身のの官僚達が問題だ。彼ら経産省の側近達の意向により、安倍は、意図的に原発の再稼働を遅らせたのだ。私はそう確信している。
その理由は、国内の電力会社の力を弱体化させて、経産省の影響力下に置くことにある。あわよくば、戦前にあった日本電力発送電のように、一つの国策会社に再編成するのが、経産省の長年の悲願だった。そのために、今の各電力会社の利益につながる、原発の再稼働を意図的にサボタージュしたのだ。それを安倍は見逃し続けて来た。
具体的には、原発を置いてある各自治体に集まる反対派に対して、経産省は専門の科学者、技術者達を派遣して、説得する事をほとんどしなかった。責任を全て電力会社側になすりつけて、見殺しにした。山本太郎や、売春で辞任した新潟県元知事、そしてイベント毎に電力会社や発電所付近にデモに集まる、左翼系の反対派を、専門の科学者達が粘り強く説得させる機会を、安倍政権は意図的に封じた。その方が、経産省の利権拡大につながるからだ。
しかし、経産省の利権のために、科学技術の正当な筋を捻じ曲げた、という事実は、重いツケとなり残される。
安倍が去った今になり、共産党系の活動家が跋扈する学術会議を刷新しろ、それが筋であろう、という主張は、いまさら通らない。反対派の左翼活動家を散々煽っておいたのは、安倍政権ではないか。電力会社の立場を不当に陥れるために。それを継承する菅政権が、今になり、左翼研究者達を非難するのは、お門違いではないのか?
左翼の攻撃が電力会社に向いている間は、全く放置しておきながら、自分達が攻撃されるのは、絶対に許さない、という事か?
福島で溢れつつある、トリチウム入りの汚染水も、希釈して海に放出するのが、科学的な筋だ。水産物の放射線も全く影響ないレベルに保てる。その事実を、福島の漁民達に、科学者達の口から直接、わかりやすく、粘り強く伝える事が、科学的な筋であろう。しかし、安倍政権は、その努力を意図的にサボタージュしたのだ。
科学的な筋をないがしろにしておきながら、学術会議側には、法律的な筋、公務員の立場としての筋、を押し付けるのは、それこそ「筋が通らない」のではないか?
学術会議の問題を「筋が通る」で判断するのは、安倍政権がやってきた対応から振り返ると、あまりに理不尽すぎる。私は今回は、左翼側の肩を持つ。筋を通すための粘り強い話合いを否定し続けたのは、安倍政権である。学術会議の、共産党を含む左翼主義者達は、遠慮なく、思う限りの主張をぶつけるべきだ。そうでなければ、あなた達は、安倍と菅に、程よく利用されたままでおわるだろう。
しかし、私のこんな真面目な主張は、ネットに拡散される事はまず無いだろう。福島要一が36年間も学術会議員だった、という右翼に刺さる短い文脈だけが、私の名前と一緒に拡散される。それが現実だろう。全く勘弁してもらいたいが。
相田英男 拝
【66】何だか見直してしまった
相田です。
今のうちに書いておきます。
三浦瑠麗氏が文春のインタビューで語った、パン屋の例えは、今回の問題のベストな解決方だと、私も思います。
読みながら少し感動してしまいました。
あの人には、世間で出回っている不敵で、挑戦的な印象を私も持っていました。が、素直に話すと非常に真っ当な方だというのが、初めてわかりました。
どっかの科学史の元大家のひねくれまくった告白文よりも、遥かに素晴らしい内容です。
引用はやめておきます。
相田英男 拝
【65】さらに池田信男へ
相田です。
池田信男 様
あなたの下の文章では、村上陽一郎は会員だったと書かれている。しかし正確には、村上は学術会議の連携会員ではあったが、210人の正会員には選ばれてはいない筈だ。幾つかの学術会議内の委員会メンバーではあったが。
誤解を招くので記述を追加した方が良いと思う。古森氏が、「学術会議の正会員と連携会員は違うのだ」などと、うるさい記事を書いているから。
あと、福島要一が学術会議員に36年選ばれ続けた、という話をどこから聞いたのだろう、と少し考えた。そしたら、私が以前の「ぼやき」の中で、福島要一について書いていたことに気付いた。確認したらその中に、36年間と自分で書いていた。今は会員限定だが、以前はあの記事は、ぼやきの公開版にあった。
まさかあなたが自分で、中山茂の「通史」とか、福島の自伝「学者の森の40年」を、読んで書いた訳ではなかろう。後者の福島の自伝は、私もまだ読んでいない。大変面白い記述が満載だと思うが。
おかげで、自分が以前に書いた内容を思い出せてよかった。感謝する。
相田英男 拝
【64】池田信男よ、引用してくれてありがとう
相田です。
こんな場所の投稿文など、誰も読むまいと思っていたが、池田信男が早速、自分のブログとアゴラに、昨日の私の文を参考にして、話を載せていた。
村上陽一郎の論考など、池田信男が普段からウォッチしている訳がない。まあ、私の村上に対する考えを広めてくれるきっかけになるだろうから、感謝しておく。
ちなみに、福島要一と学術会議の話は、中山茂のプロジェクト本の「通史 日本の科学技術」に詳しいから、参考にすれば良い。中山茂は東大の助手に残る筈だったが、村上陽一郎の師匠の哲学者の大森荘蔵に嫌われて、残るのを拒否された。学問に筋を通すタイプの中山ではなく、頭は切れるが思想的に日和見だった村上を残して、御用学者集団のリーダーに育てるという、遠大な野望が東大にあったのだろう。私の憶測だが。
(引用始め)
学術会議は共産党の活動拠点だった
池田信男
2020年10月09日 11:05
学術会議の騒ぎを受けて自民党が「非政府組織化」を検討するプロジェクトチームを発足させた。読売新聞によると、河野行政改革担当相が学術会議の運営や組織の見直しに着手したという。
きのうの記事では学術会議の法的な問題点を整理したが、きょうはその政治的な問題点を考える。元会員の村上陽一郎氏が、初期の学術会議の実情をこう書いている。
日本学術会議はもともとは、戦後、総理府の管轄で発足しましたが、戦後という状況下で総理府の管轄力は弱く、七期も連続して務めたF氏を中心に、ある政党に完全に支配された状態が続きました。特に、1956年に日本学士院を分離して、文部省に鞍替えさせた後は、あたかも学者の自主団体であるかの如く、選挙運動などにおいても、完全に政党に牛耳られる事態が続きました。
このF氏とは福島要一、「ある政党」とは共産党である。福島は1949年に農林省を退官したあと、85年まで学術会議の会員をつとめ、第5部(原子力)の委員として原子力に関する決議を出した。彼はアカデミックなポストについていなかったが、当時は修士以上の研究者は誰でも投票できたため、全国の共産党支持者を動員して36年間も会員を続けたのだ。屋山太郎氏はこう指摘している。
学術会議は50年と67年には「戦争に関わる学問には協力しない」と宣言した。一連の運動は共産党の行動方針そのもので、改善策として人選のやり方を全く変えることにした。福島要一氏は農水省の出身で、共産党系学者に号令して毎回、当選してきた。この農業経済学者が日本の原発政策を主導したのである。加藤寛氏(慶大教授)の提案で投票は学会員たちだけにし、会員を選出する方法に改めた。
学術会議は1963年に原子力潜水艦の日本港湾寄港問題に関する声明でアメリカの原潜の寄港に反対し、1967年には軍事目的のための科学研究を行わない声明を決議した。これらはいずれも共産党の方針だった。このような政治利用が激しいため、普通の研究者は学術会議に関心をもたなくなった。
他方で自民党からは、学術会議を問題視する声が強まった。これを受けたのが、1983年の学会推薦制への改組である。このとき共産党は強く反対したが、中曽根首相は「政府は推薦された会員を拒否しない」と約束して押し切った。
それでも1000以上の学会員の投票では左翼の活動家が選ばれる傾向が強く、2001年の省庁再編のときも学術会議の特殊法人化や民営化がテーマになったが、学術会議が反対し、総務省の下部機関となった。
2005年に学会推薦を会員推薦に改めたときも民営化が議論されたが、学術会議の反対で内閣府の直轄になった。予算も1990年代から10億円前後とほとんど変わらないが、2000億円の科研費の配分を左右する政治的影響力が強いため、政府機関としての地位を手放さないのだ。
非営利組織として独立して再出発せよ
活動家に乗っ取られた学術会議は政府の諮問機関として機能しなくなり、政府に答申したのは2007年が最後である。2017年3月には、軍事的安全保障研究に関する声明で防衛装備庁の委託研究に反対した。これが安倍政権が人事に介入したきっかけだろう。
2017年10月の改選では、内閣は105人の定員に対して「110人超の候補」を出すよう学術会議に要求し、18年には「内閣総理大臣に、日学法第17条による推薦のとおりに任命すべき義務があるとまでは言えない」と解釈を変更した。
このように死に体になった学術会議を抜本改革する(最終的には民営化する)ことが菅首相のねらいだと思われるが、政府見解が1983年の国会答弁と2018年以降で食い違っているので、学術会議の対抗措置としては行政訴訟が本筋だろう。
しかし裁判所が「内閣府直轄の国家公務員の人事について内閣に裁量権がない」という判決を出すことは、憲法15条に違反するので考えられない。任命されなかった6人について個別にその理由を開示することもありえない(そんなことをしたら公務員人事に重大な支障を来す)。
本来はまず学術会議の制度設計を議論すべきで、いきなり人事に手を突っ込んだ菅首相(もとは安倍首相)のやり方が荒っぽいという批判はありうるが、政府や自民党の動きをみると、この程度のリスクは承知の上だったのだろう。
行政改革の最大の敵は無関心である。既得権を失う官僚(本件の場合は学術会議)はそれを妨害するために最大限のリソースを投入するが、ほとんどの改革は地味なので、国民は関心をもたない。それにマスコミの関心を引きつけることが重要なのだ。この騒ぎを行政改革の梃子にするつもりだとすれば、菅首相はなかなか老獪である。
学術会議が政府に任命されなかった6人を会員にする方法は簡単である。学術会議がみずから非営利組織になって政府から独立し、自由に人事を行えばいいのだ。10億円の予算は、政府が委託研究費として支出すればいい。それが英米でも行われている制度設計である。
(引用終わり)
以上
相田英男 拝

