ブチャ事件の「ダーツ」(フレシェット)の記事が、世界中で「幻」になった経緯を解明する。<謎解き編その2>

かたせ2号 投稿日:2022/05/08 09:38

<謎解き編その2>

かたせ2号です。
では次に、「フレシェットを砲撃したのは、ウクライナ軍ではないと言い切れるのか?」
の問題に移ります。

1.の記事から引用します。

(一部引用開始)
フレシェットは、イスラエル国防軍(IDF)がレバノンやガザ地区での軍事作戦で定期的に使用し、民間人を殺傷した以外には、現代戦ではほとんど使用されていない。
2008年3月、ロイターのパレスチナ人ジャーナリスト兼ビデオグラファーのファデル・シャナ氏が、イスラエル軍の戦車が発射した砲弾の破片で死亡した。後にレントゲン写真で、シャナの胸、脚、そして装甲のない防弾チョッキに金属の弾丸が埋め込まれているのが確認された。
(一部引用終わり)

かたせ2号です。
上の記事は、ウクライナ軍はフレシェットをこれまで使用していないという主張を含みます。なので、フレシェットを砲撃したのがロシア軍だと、2.と3.の記事では主張できるわけですが、もし、ウクライナ軍がこのフレシェット弾を使用している事実があれば、この主張は大きく弱まってしまいます。<謎解き編その1>に書いた推論と合わせると、むしろ、フレシェットを砲撃したのは、ウクライナ軍の方ではないのか、という疑いを強めてしまう結果となるでしょう。
そして、ウクライナ軍は2014年にフレシェットを使用していた事実が、AFP通信から配信されているのです。
ですから、この観点からも、3.の記事を世界中に発信するわけにはいかないのです。

アメリカのヤフーニュースの記事から。
記事名:2014年10月21日、ウクライナのドネツクで、フレシェット砲弾の矢を見せる親ロシア分離主義者の戦闘員(A Pro-Russian separatist fighter shows a dart from a flechette shell on October 21, 2014, in Donetsk, Ukraine)
2014年10月22日配信(AFP)
https://news.yahoo.com/surgeons-ukraines-rebel-donetsk-confirm-cluster-bomb-usage-205747600.html?guccounter=1

(翻訳、引用開始)
ドネツク(ウクライナ)(AFP=時事) – ここ数週間、市民数十人が死亡しているウクライナ東部の反政府勢力の拠点ドネツクの外科医らは24日、ヒューマン・ライツ・ウォッチが主張するように、一部の患者がクラスター爆弾の犠牲になっていることを確認した。
キエフは、東部で親ロシア派の反政府勢力と戦っている自国軍が、論争の的になっている無差別クラスター弾を使用していることを激しく否定したが、医療関係者は、ウクライナ軍に落ち度があったと主張した。
ドネツクのカリーニン病院の外科医は、「私は何十回となく、ウクライナ軍が使用した子弾の破片を負傷者から取り除いてきた」と述べた。
世界的な権利団体HRWは今月初め、非常に不正確なこの弾丸によって、スイスの援助関係者を含む6人が死亡した12の事件を特定する調査報告書を発表している。
クラスター爆弾は、数十から数百の小さな爆発物を含む弾薬で、爆弾やロケットで運ばれ、「広範囲に、しばしばサッカー場ほどの大きさに無差別に撒かれる」とHRWの報告書は述べている。
「カリーニン病院に勤務する外科医は、名前を明かさず、「これらの武器は建物を破壊するためではなく、人を殺すためだけのものだ。
「小さなダーツは重大な傷害を引き起こす」と彼は言った。「一人の人間に20本、30本と刺さった例もある。
世界の大半の国はクラスター爆弾禁止条約に署名しているが、ウクライナは署名していない。
しかし、キエフはこの兵器の使用を否定し、分離主義者を非難し、この報告について完全な調査を開始することを約束した。
ウクライナ国防省のボグダン・セニク報道官は、「これらの告発は根拠がない」と述べた。
– 反体制派は「戦争犯罪」を非難-。
カリーニン病院から数キロ離れた隣の都市マキィフカへの検問所で、地元の親ロシア派反乱軍リーダーがAFPに、2センチほどの鋭い破片が詰まった不発弾を見せた。
「この砲弾はマキイェフカを襲った。ドネツク空港付近の地区には、ほぼ毎日、同様の砲弾が落ちている」と、40歳の反体制派、アレクセイ氏は語った。
彼は、ウクライナ軍は「戦争が始まって以来」、郊外からクラスター弾で街を攻撃し、グラドやウラガンのトラック搭載システムでそれらを発射してきたと述べた。
ニコライと名乗る第17病院の外科医は、AFPに対し「私は、これらの弾丸で負傷した患者の手術をしたことがある」と語った。「10日ほど前のことだ。このようなケースは1件だけだった」。
ドネツク州内の他の病院では、症例は報告されていない。他の3つの病院でAFPのインタビューを受けた複数の外科医は、このような武器で負傷したケースを見たことがないと述べた。
「このようなことはテレビで見たが、私の外科医としてのキャリアでは一度もない」と、地方病院の外科医で緊急対応担当のイゴール氏は述べた。
分離主義者の拠点であるドネツクを拠点とする自称ドネツク人民共和国の指導者たちは、キエフによるこうした武器の使用は戦争犯罪に相当する、と述べた。
「DNRのアンドレイ・プルギン副首相は、「この種の兵器が使用された事例は数十件にのぼる。
「これは戦争犯罪だ。このような犯罪の調査が行われ、国際法廷が有罪、つまりウクライナ国家を裁くことを望んでいる」と述べた。
(引用終わり)

かたせ2号です。
その証拠写真がこちら。
https://codename-it.livejournal.com/953562.html
合わせて、投稿された写真の下につけられたコメントを拾っておきます。

(コメント抜粋開始(翻訳))
(質問者)(2015年3月16日)父が職場で釘の木箱を盗んだことがあるんですが、3枚目の写真にあるようなものがあったんです。ネイルの代わりにはならないよ。その内容や名前を教えてください。
(写真の投稿者)(2015年3月16日)矢のような形の発射物。

(質問者)(2022年4月24日)最初の写真に写っている砲弾のある塹壕は誰の塹壕なのか、わかっているのでしょうか?
(写真の投稿者)(2022年4月25日)(ウクライナ東部)ルハンスク州のPeremozhnoye村付近でAFU(ウクライナ軍)の拠点を破壊したとのことです。

(質問者)(2022年5月2日)ここにある記事は、ドンバスでの戦争でウクライナ軍が小さな金属製のダーツを使用した証拠として、「2015年のウクライナ砲による空襲後、ドネツク人民共和国のスラビャンスク市でもダーツを発見」とあり、あなたの記事へのリンクが貼られています。この記事(「mpr21」の記事)は正しいと思いますか?
(写真の投稿者)(2022年5月2日)(私が投稿したうちの)最初の3枚の写真は、ルハンスク近郊のAFU(ウクライナ軍)の砲兵陣地と、その砲兵が割った砲弾のダーツです。当時はよくあったことですが、国防省やロシア連邦からの砲撃が陣地を覆っており、その中から問題の砲弾が発見されました。2014年に使用されたかどうかは、そのような事実を客観的に証明するものがないため、はっきりとはわかりません。
(コメント抜粋終わり(翻訳))

かたせ2号です。以上で謎解きを終わります。
これらの危険性(主に2点)を途中から察知して、DS最高幹部は現在、この事実を「なかった」ことになっているのだと考えます。
最後に。
「クム・タケント・クラーマント(cum tacent ,clamant)」(彼らが沈黙しているとき、彼らは叫んでいる)
古代ローマの政治家、キケロの言葉です。
彼らが沈黙せざるを得ないということは、「フレシェットでブチャの住民を砲撃したのは、ウクライナ軍である」これが事実だとDS最高幹部が認めて叫んでいるに等しいのだと、かたせ2号は断定します。

以上