「1572」番 今の世界の中心の課題である ロシアによる シリアのIS爆撃、殲滅は、プーチンによる「ロシアから愛をこめて」である。最新の映画「OO7/ スペクター」の中にこれからの世界の動きの秘密が隠されている。 副島隆彦 2015・12・9 

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2015年12月9日 副島隆彦です。
 
 世界に大きな動きが起きている。今、世界で起きていることで最も重要なことは何か。それは、この9月30日から始まったロシアのプーチン政権による、シリアのIS (Islamic State 「イスラム国」)への爆撃である。

 最新作の「007/スペクター」第24作目
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 プーチン大統領とメドヴェージェフ首相 ものすごく仲がいい

 これはシリアという外国をロシアの空軍が爆撃する外国での戦争である。11月にはカスピ海からの洋上の巡洋艦から遠距離(えんきょり)巡航(じゅんこう、クルージング)ミサイル(800キロぐらい飛んだようだ)を連続、発射した。ものすごい威力だった。爆撃機からは Tu160(一発でTNT換算40トンの爆薬)を投下した。緒戦の9月30日からの4日間で、800箇所のISの拠点を爆撃した。 

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シリアのアサド大統領は10月20日、ロシアの首都モスクワを電撃訪問し、プーチン大統領と会談した

 IS の“首都” ラッカ(Racca)を中心に、IS の兵力7万人(指定)のうちのおそらく2万人ぐらいを、この3ヶ月で、ロシアの爆撃は殲滅(せんめつ)したようである。

 昨日(12月8日)、ロシア軍は、地中海のシリア沖の潜水艦からも、巡航ミサイルを発射してIS の拠点に激しい爆撃を行った。これは、弾頭(ウォーヘッド)を戦術核(タクティカル・ニュークレア・ウエポン)に取り替えれば、まさしく核兵器である。1000キロ飛ぶ。そして人口衛星からの位置確認で、攻撃目標に正確に当てる。

 【 予告編(プレビュー)】 第三次世界大戦( WWⅢ ワールド・ウォー・スリー)の予備段階が、どうやら始まったようである。 【予告編(プレヴュー)終わり】

 IS を爆撃して殲滅(せんめつ)するというロシア政府の計画は、世界の大義(cause コウズ)を背負っている。だから世界中の民衆が密かに支持している。シリアやイラクからのヨーロッパへの難民(戦争避難民)たちを含めて、内心で強くロシアを支持している。これは世界基準(ワールド・ヴァリューズ world values )での正義の実現である。

 世界の金融・経済面から言うと、今年の3月12日に、イギリスがアメリカとの同盟を裏切って、中国の AIIB(アジアインフラ投資銀行、来年から始動する)に参加表明した時からである。 アメリカの 財務省の幹部たちは、
「このズルのイギリス貴族の白粉(おしろい)顔どもめ !」 ” Perfidious albion (パーフィデアス・アルビオン 白子野郎)! ” と 唸(うな)った。

 ロシアのプーチンが実行していることは、ゆえに、世紀のスパイ映画大作である「007(ダブル オウ セブン)」の第2作目である「ロシアから愛をこめて」(1963年制作)の再来である。


↑上記真中をクリックして下さい(『007 ロシアより愛をこめて』主題歌)

 「ロシアから愛をこめて」From Russia With Love , I fly to you. とは、故に、「ロシアのプーチンが、世界中の人々に愛をこめて、悪のイスラム過激派集団である(出現から裏のある組織)ISを 皆殺しにするからね」である。
 
 私は、この12月4日に日本でも公開された最新作の「007/スペクター」(第24作目)とは、プーチン大統領の話であることが分かった。ジェームズ・ボンド役(2008年の「カジノ・ロワイヤル」から)のダニエル・クレイグの、その冷たく尖った殺し屋の目つきと、禿げ頭風の感じがプーチンそっくりである。いかにも「私は自分の手で直(じか)に人間を殺してきた(射殺してきた)」という凄みが全身に溢れている。

 本当に最前線に出て自分の命を張って、実際に人を殺した人間でなければ、組織(国家を含む)はその男に服従しない。それが人類の歴史だ。

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「007/スペクター」のオープニングは、メキシコシティで行われる「死者の日」の祭り

 だから、私たちは、今、中東アラブ世界で起きていることを、イギリス制作(MGM)のスパイ映画の「007」から学ばなければならない。
 
 11月13日、夜、パリで起きたテロ事件は、アメリカの凶暴な戦争開始勢力であるヒラリー派(軍事狂暴派)たちに因(よ)るものである。

 ISというテロ組織が犯行声明を出したことになっているが何の根拠もない。これでフランス国民は、カッとなったように見える。一昨日の12月7日のフランス地方議会選挙で、FN(国民戦線)というフランス右翼民族主義、排外主義の政党が大勝利した。合計27%の得票である。第2番目が、フランス共和党という保守党(ニコラ・サルコジが党首)が取った。現在の政権党であるフランスの左翼・リベラル連合の中道左翼であるフランス社会党のオランド大統領の支持勢力は24%であった。

 だが、これは地方選挙であって、国家全体の議会(フランスの場合は、主要な議員が各地方の主要都市の市長も務める)ではない。FN( エフ・ネヌ。フロン(ト)・ナシオナール Front Nationale)の党首はマリーヌ・ルペン女史である。 党の創立者で彼女の父親が、有名なフランス右翼のジャン・マリー・ルペンであり、今も娘と大ゲンカしながら存命である。

 だからフランス議会では、フランス右翼勢力(「アラブ人、イスラム教徒はヨーロッパから出てゆけ」が党是)がただちに政権を取るわけではない。FN は国民議会では議席をほとんど持っていない。今度のパリ・テロ事件は、1月7日のシャルリ・エブド(週刊)誌襲撃事件に続くものである。襲撃犯人たちが現場から逃走する映像が残っていて、その通路の先に、奇妙なことにフランス警察のパトロールカーが写っていた。

 11月13日のパリ・テロ事件は、2001年9月11日の「9・11(セプテンバー・イレブン)」のNYでのワールドトレードセンタービル2棟を、デモリション(ビル解体工事)で計画的に崩れ落とさせたこと(ブッシュ政権が出来て半年)と同じ、深く仕組まれた、戦争へ国民を大きく駆り立てる政治謀略の一種である。

 だが、フランス国民は総じてアメリカ国民ほど単純に激昂するほど愚かではない。11月13日のパリ・テロ事件では130人が死んで200人が負傷している。 だから、”地中海の女王”として遊弋(ゆうよく、パトロール)しているフランス原子力空母のシャルル・ドゴール号(この一隻しかない)から出撃する自国製の戦闘爆撃機(ファイター・バマー)程度が、スクワドロン(16機で一個編隊)で、シリア北部を爆撃したぐらいでは何の効果もない。これにイギリスのキャメロン政権の空爆が支援すると言っても、たいしたことはない。

 すでに、1年半前から米・英・仏の戦闘爆撃機によるIS爆撃は行われていた。が、ほとんど効果が無かった。ISの進撃は食い止められないままだった。 プーチンが、「君たちは、この一年半、何をやっていたのだ」とイヤミを言った。 シリアの国民1800万人の半分が避難民となって周りの国々に逃げている。すでにドイツにまで到着した難民(refugees , レフュジー)は96万人である。そのうちの半分弱の43万人がシリアからだ(12月7日 ドイツ政府発表)。

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ウィーンに到着した難民。大部分が、さらにドイツへ向かう(CNN)

 ドイツのメルケル政権は偉い。メルケルはヨーロッパ全体の女帝のようだ。難民があと100万人増えて、200万人になっても、そこまでは耐えられる、という計画だ。

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  米誌タイム の今年の顔にメルケルが選ばれた

 ドイツの文豪政治家の、ゲーテの若いころの秀作『ヘルマンとドロテア』の精神である。ナポレオン戦争の難民となって、着の身着のままで裸足(はだし)で逃げてくる 同族のかわいそうな人々を支援するドイツ人たちの勇敢で健気(けなげ)な話だ。ドイツは、20世紀に入って、仕組まれた世界大戦に2度、負けて、ヴァイツゼッカー大統領演説「風雪のドイツ民族」の通り、東欧の支配地からボロボロになって帰ってきた「引揚者たち」を暖かく迎え入れた時の、苦難のドイツ民族の、あのときの、魂への復帰をしている。ドイツのすべての企業が、政府からの人数割り当てで、「何でもいいから、難民に仕事を与えなさい」を実行している。やはりドイツ人は偉大である。

 【予告編(プレビュー)】 だが、メルケルたちは、「やがて、帰るべきシリア人、イラク人は帰ってゆく。ISの脅威と、爆撃の時期が過ぎたら。自分は死なない、殺されない、と分かったら、彼らは自分の国に帰ってゆく」と知っている。

 すでに、シリアの アレッポ郊外や、ハラ、ホムスの都市には、一番乗りで、さっさと帰ってきて、瓦礫(がれき)の山の商店街の前で「おれたちは街を復興する」と悠然とコーヒーを飲んだり、野菜を売っている商店主たちを、一ヶ月ぐらい前の 英BBC が報じていた。彼らが、このあと戦後の闇市(やみいち)から、新興の財産家に成り上がってゆくのだ。もう帰ってくる気の無くなった人たちの土地の権利を買い集めてビルを立て直す。この一番乗りで廃墟の町に帰ってきた商店主たちが、言っていた。「同じシリア人どうしであれば話は着く。外国人がいなくなってほしい」と。これが真実だ。

 戦争は、3年半やると、もうそれ以上は、やる気を無くす。戦闘だけでなく、沢山の一般民衆が爆撃(空襲、エアレイド)で死んだ。日本の太平洋戦争も3.5年で終わったのだ。 【予告編(プレビュー)終わり】

 「中東アラブ、北アフリカ諸国(さらにはアフガニスタン)からの難民を、受け入れない。そんな余裕は、我が国にはない」と、みっともないことを言っている右翼人間(ライト・ウイング)たちと、ヨーロッパ近代人権思想 500年の伝統 をかなぐり捨てた、ハンガリーを始めとする小国の指導者たちは、おのれの、矮小(わいしょう)な民族排外主義者(ショービニスト)ぶりに、自分で恥じている。

【 予告編(プレヴュー)】  日本の安倍晋三を支える、チンコロ右翼の排外主義者たちの、唯一の 取り柄は、
だから、彼らの本心である、「中国大陸や 朝鮮半島で動乱が起きたら、日本の 中国人、朝鮮人が、難民となって大量に流れこんでくる。それを受け入れることはできない。日本には、彼らを受け入れる お金も 場所もない」というものだ。 だからアジア人たちは、この 日本の チンコロ右翼たちの本心を、よく知っているから、日本に難民申請しようと思う人々は少ない。 

 なぜなら、日本に行ってもいじめられて、嫌われて、差別されるだけだから。
 だから、安倍晋三たち 日本のチンコロ右翼たちに この本心の、意地汚いまでの、「他人に暖かくする気など無い。そんな余裕はない。自分が食っていきてゆくだけで精一杯だ」 という この 日本のハリネズミ計画こそは、
安倍晋三たちの、 唯一の 取り柄だろう。 「こっちに来ないでくれ。近寄らないでくれ」 と言うのが、彼らの本心だ。  この 現実味の溢(あふ)れた、生来のヨゴレ人間たちの本性(ほんせい)がよく分かる。
たいしたものである。  【予告編(プレヴュー)終わり】

 パリの15区、16区のような貧民街(というほどではないが)は、アラブ人居住地区として歴史がある。アラブ人とマグレブ人(北アフリカ黒人、混血者たち)の街である。この地域にはフランス白人たちだけでなく、私たち外国人の観光客も近寄りがたい。10年前に私はパリの北駅(きたえき)辺りでも感じた。フランスとイギリスには、それぞれ400万人の移民がいる。国民数は、この英仏2大国(笑い)は、6千2,3百万だ。だから、自分の国内にイスラム過激派の出撃拠点と火薬庫(アーセナル)を抱えている、と感じている。

 ドイツは、8千2百万人の国民数のうち、13パーセントが、トルコ系を中心にした、移民=出稼ぎ外国人労働者(マイグラント)のドイツ国籍取得者だ。だから一千万人ぐらいが非西欧白人である。トルコ人とイラン人は、アラブ人( the Arabs、ジ・アラブズ)ではないがイスラム教徒ではある。

 【予告編(プレビュー)】  日本人は、1億2千万人だが、おそらく、これを50年掛けて 7千万人台にまで減らして、それで、日本列島(島嶼=とうしょ=国家)に立て籠(こ)もって、世界戦争の嵐を避けようとしている。これは日本政府の政策ではなくて、日本国民(日本民族)の無意識の自己防衛の本能行動であろう。 だから、いまや、私の弟子たちを含めて、40歳になるのに独り者、一人もの、で結婚をせず子供を作らない人間たちが、男女共に、ものすごい数で増えている。

 家族を作って、他人に遠慮して、今の自分の生活水準を落として、窮屈に我慢して生きることを選ばない。それほどにひとりひとりは我儘(わがまま)である、とも言える。これは日本国民(日本民族)の無意識の選択であって、国家、企業による「家族を持たせる(という思想を植え付ける)ことで体制(オーダー、ordre )への服従を強いいる」という制度思想が破綻していることを示している。国民を支配、統制、管理しようとすることへの、国民の側からの反抗である。そして、今後、世界を吹き荒れるであろう戦争と動乱と大恐慌を只管(ひたすら)避けようとする自衛行動である。 【予告編(プレビュー)終わり】

 米軍によるIS攻撃は、去年(2014年)の9月23日にオバマ大統領の署名で始まった。だが、どうも現場のアメリカ空軍の司令官たちがIS爆撃を本気でやる気がない。なぜなら裏からISを応援している感じまであるからだ。 このことに対して、チャック・ヘーゲル国防長官・オバマ大統領と、ヒラリー派の悪質米軍人たちとの間で激しい口論があった。ここにアメリカ政府内の大きな分裂がある。

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 2014年6月10日に、イラクの北の都市モスルに、突如、出現したIS

 ISは、去年(2014年)6月10日に、イラクの北の主要都市モスル Mosul を一挙に制圧したときに突如、出現した。このことの不可思議さを人類(世界中の人間たち)は凝視しなければならない。一体、どういう資金源と、武器調達と兵隊養成の仕掛けが、ここに有るのか、を考えなければいけない。誰が、ISを作ったのか ? 

 このあとISの支配地に入っていった、各国の情報部員(国家スパイ)たちがいる。この、ジャーナリストや人道支援活動家のふりをして入り込んだ、国家スパイたちを、ISは捕まえて、次々に公開で首を斬り落とした。この処刑のシーンをインターネット上に流した。その一環として、日本人2人の国家情報部員(後藤健二、湯川遥菜)の処刑が行われたのは、今年2月1日である。 

 あの時、日本政府の無様(ぶざま)な無策の人質解放失敗ドラマは終わった。後藤健二の奥さんは外務省JICA(ジャイカ)の幹部職員である。つまり夫婦して情報部員である。通訳や現地ガイド、戦場タクシー運転手という人間たち自身が、ゲリラ活動家たちである。カネで傭(やと)って味方だと思った彼らに、捕まって連れてゆかれるのだ。

 ISというイスラム教 過激派の組織をつくったのは、イスラエル国とサウジアラビア国とアメリカの特殊軍(とくしゅぐん。スペシャル・フォーシズ。CIAと軍の情報部員の合同軍。ジュネーブ4条約の戦争捕虜の保護の規定に服さない。守られない )である。ところが、彼らが作ったISはモンスターになってしまった。

 ISを産んで育てた親である、イスラエル・サウジアラビア・米特殊軍のいうことを聞かなくなった。フランケンシュタイン博士によってフランケンシュタインが出現したのである。怪物フランケンシュタインは、博士の首を絞めて殺して街に出た。ああー、いい気味だ。

 この9月に、700人の対IS用に、ヨルダンと、サウジアラビアの砂漠の中にあるアメリカ空軍の秘密基地(飛行場)で育てた、イラク人とシリア人の傭兵部隊が、シリアに投入されたとたんに、武器と資金を持ったままISに寝返る、という事件が起きた。これで、アメリカのネオコン派で反共右翼であるペンタゴンの将軍たちは、自分たちの作戦(軍事政策。現地人を育てて戦わせる。アメリカ兵が死なないで済む)が大失敗して、大恥を書いて、黙りこくった。

 だから、イスラエルのネタニヤフ首相とサウジアラビア( サウド家という一族が支配する独裁国のアラビア )のサルマン国王たちも、慌てふためいている。ISは、「サウド家を皆殺しにして、聖地メッカを取り戻す」と宣言している。サウド家は、自分たちの首にひとりずつ懸賞金付きでISからの暗殺命令が出ていることで、恐慌状態である。あれだけ自分たちの国教であるワッハーブ派からのサラフィーヤ資金を、彼らに投入したのに。 サウジ王家は、自国の軍隊が叛乱を開始して、自分たちに襲いかかることを一番、心配している。サウド家は、もう、自分たちと親衛隊、警護隊しか信じられなくなっている。

 【予告編(プレビュー)】 サウド・アラビアでの政治動乱の始まりが近づいている。ドイツの国家情報機関が、12月7日に、「サウジの体制が動揺している」という報告書を出した。 それと、トルコでの、クルド人の叛乱が始まりそうだ。 トルコは7千2百万人の準(じゅん)新興大国だが、国内に2千万人のクルド人がいる。トルコ政府は、これまでクルド人を「高地トルコ人(東部トルコ人)として扱ってきたが、もう限界だ。

 クルド人の武装勢力は6つに分かれている。最大勢力であるイラク内にあるバルザーニー議長のクルド自治政府がある。民兵組織のペシュメルガ(これがやがてクルド国防軍になる)は、アメリカからの軍事支援も受けている。そして、イランと仲がいい。だから、イランの民兵組織である革命防衛隊(レヴォリューショナリー・ガード)と協同軍事行動をすでに始めている。イラクの東側から、現在、モスル奪還で進撃している。 【予告編(プレビュー)終わり】

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プーチン と ネタニヤフ 会談(2015年9月21日、モスクワ)

 ロシアのプーチン大統領は、各国と順番に、十分に根回しした。プーチンは、イスラエルのネタニヤフ首相と、モスクワで9月21日に会った。ネタニヤフを呼びつけたのだ。プーチンは、「俺はやるからな。じゃまするなよ」と言った。ネタニヤフは苦々しげな表情で、「分かったよ」と言った。だから今もイスラエル政府はロシアに対して、黙って何も言わない。ロシア政府非難をしない。

 サウジアラビアも同様である。プーチンは、サルマン国王とも9月に会って、ロシアのIS撃滅への了解を取り付けている。サウジは、ロシア製の原発を買う、という契約をした。

 アメリカのハト派勢力の代表であるオバマ大統領も、プーチンから12月7日のパリ・COP21会議の開催の時(気候変動の会議など首脳たちにはどうでもいい)、ほとんど立ち話のまま部屋に連れ込まれて、プーチンから左腕をガッと捕まれて「俺は、このままIS殲滅を続けるからな。邪魔するなよ」と言った。オバマも、「分かっているよ」と応えた。

 そのまえに、7月に、ジョン・ケリー国務長官が、緊急でモスクワに飛んで、プーチンと話している。この時からの動きだったのだ。このあとケリーは、ロシアのラブロフ外相と何回もあって根回しをしている。

 オバマとしては、あと丸1年、来年おわり(正確には、2017年1月20日まで)まで残っている自分の任期中は、絶対に第3次世界大戦の開始を阻止する。オバマは、ヒラリーら軍事狂暴派(アメリカの戦争開始勢力)が大嫌いであるから、本心としてプーチンに、「どんどんやってくれ。アメリカは何もできないから」と思っている。イラク、シリアへの米軍の地上軍(グラウンド・インファントリー、GI ジーアイ部隊)の正式の投入は絶対にしない。もうアメリカには、そのような軍事予算はない。

 日本の安倍首相は、国際政治の場では誰からも相手にされない。世界の首脳たちを会議場の通路で何とか捕まえて立ち話をしようとしても振り切られて相手にされない。
“ Japan’s Prime Minister is a funny guy , ha, ha, ha ”
「日本の首相は変なやつ(すなわちアホ) らしい。アハハ」と世界中でバカ扱いされている。韓国の朴槿恵(パククネ)大統領からさえ相手にされないで振り切られた。

 前述したが、念の為にまた書く。イスラム教世界とアラブ世界はずれる。トルコとイランは、アラブ人(The Arabs ジ・アラブズ)ではない。イスラム教国ではある。このイスラム世界が次々と順番に戦場になっている。今のイスラム世界を私たちが見る場合は、大きく2つに分けなければならない。

 それはシーア派とスンニー派の戦いというような、表面的なくだらない問題ではない。自国に戦争が起きないで、あるいは早く終わってくれて平和に生きたいと願っている多くの ① アラブ民衆と、それとはちがう、② 外国の妙な勢力に動かされて、操られるジハーディスト(聖戦主義者)たちの2種類である。

 【予告編(プレヴュー)】 私は、この ②のイスラム過激派の運動に、世界中から参加してゆく、イスラム教の政治的な若者たちのことが、不憫(ふびん)である。マレーシアや、インドネシアからもISへの志願兵(しがんへい。ボランティーア)となってゆく者たちが、数千名単位でいるようだ。彼らは、今も、トルコ国境にまで密かにたどり着いている若者たちであり、2万人ぐらいいるそうだ。 

 私は、このイスラム建国運動の理想主義に駆られて、世界中から参加している、②の若者たちのことを思うと胸が痛む。彼らは、かつての共産主義、社会主義の人類の理想の社会の実現を求めて、貧富の格差の消滅(平等主義、エガリタリアニズム)の、政治的な闘争に参加していった人たちと同じだ。 日本にも、戦前、戦後、ものすごい数でいた。頭のいい若者たちの過半数が、社会主義者になった。そして、恐ろしい結末を、ひとりひとりが味わった。そういう、人類の過去の歴史を私は振り返る。

 このことは、西暦1560年代(戦国時代)から、日本に到来した、キリシタン、天主教(てんしゅきょう、キリスト教)の布教運動に、参加して、やがて皆殺しにあった日本人(30万人ぐらい)と同じことだ。あるいは、西暦538年からの日本への「仏教伝来」で、光(ひかり)輝く仏像の、人類救済の思想に縋(すが)り付き、恋い焦がれた女たちの姿だ。

 だが、今日は、このイスラム過激思想の運動に、自ら参加してゆくイスラム世界の純朴で、純粋な若者たちの話は、これ以上しない。 彼らは、行ってみた現地の、ISのおそろしい支配と悪行を自分の目で見て体験して、引き返そうと思う。が、もうその時は遅いのだ。逃げられない。そこで自爆攻撃用の兵士となって死ぬか、爆撃で死ぬしか無い。凶暴なISの兵士たちの女奴隷にされた、ヨーロッパからの参加者の少女たちが、命からがら、組織から逃げ出そうとして殴り殺される、という事件の記事がどんどん出ている。

 特に、イギリス、フランスを始めとするヨーロッパ諸国で育ったイスラム教徒でアラブ諸国からの移民の子供たちは、小さい頃から西欧白人たちからの差別と虐(いじ)めに遭っている。だから、ISの運動に参加せよ、というインターネットの勧誘に、コーラン(クルアーン)の教えとともに説得される。この若者たちの中から、これからも、もっともっとイスラム過激派のサラフィーヤ(Sarafiya 、サラフィー主義)や ジハード( ihad 聖戦)の思想に染まってゆく者たちが出る。この若者たちの数が減ることはないだろう。

 とりあえず、IS は、ロシアのプーチンの手で、ロシア軍とそれに協力する各国の軍隊の力で排除されるだろう。シリアとイランとイラク政府は、ロシア機とロシアからのミサイルが自国の上空を通ることを許可、承諾している。

 シリアと北イラクの諸都市は、シリア政府軍とイラク政府軍によって、次々に解放(奪還)されて平和になるだろう。一昨日、バグダッドの西100キロのラマディがイラク政府軍に奪還された。

 すでに、ISの軍事部門と情報部門の極悪人の幹部たちは、シリアのラッカRacha から脱出を開始している。英BBC のトルコ国境地帯からの放送のインタヴューで出てくる、顔つきの悪い者たちは、あれはISの幹部たちだ。強がりを言ってたが、ロシアの猛攻でもう、自分たちが負けると自覚したようだ。だから自分たちだけさっさと逃げるのだ。あとのISの兵士たちをほったらかしにして。旧日本軍の幹部たちも同じことをした。

 ロシアからのIS参加者( カフカス、中央アジアを中心に6千人から1.2万人のロシア国籍者)は、戻ってきたら絶対にプーチンが捕まえて処刑する。そうしないと彼らがプーチンを殺しにゆく、と分かっているから。

【予告編(プレヴュー)】 プーチンを、いくらヒラリーたちが暗殺したいと考えても無駄だ。なぜなら、プーチンを殺してもメドヴェージェフがいる。彼は、プーチンのスペア・タイアである。プーチンになんか起きても、すぐに
メドヴェージェフが、プーチンの政策をそのまま引き継ぐ。ふたりは実にロシア的な大地に根ざした、義兄弟の親密な同性愛の関係である。 【予告編(プレヴュー)終わり】 

 中国もイスラム過激派に対しては厳しい対応をする。 新疆(しんきょう)ウイグルで、突如、警察署を襲撃するような、ウイグル人たちの狂信者も、中国の習近平政権は、イスラエルとバチカン(ローマ教会)が背後にいて育てている、と分かっているから必ず捕まえる。 だから、ISの幹部たちは、逃亡先として西側諸国(ザ・ウエスト)に潜り込んでゆく。そして生きのびる。彼らは自己の深い怨念に支えられて、世界を戦争状態にするための、戦争の犬 war dogs になってゆく。

 戦争とテロ事件で、世界中の民衆を脅えさせ脅迫するための鉄砲玉として使われてゆく。そうやって、世界を支配し続けたい者たちは、各国の国家の警察と軍隊の力を増強する。国民はいよいよ統制、支配されてゆく。 

 だから、ISのような奇妙な特殊な専門的人殺し部隊、および、騙されて(思想洗脳されて)、② のイスラム国運動に参加しようとして、世界中のイスラム教国から集まって来る若者たちはかわいそうだ。しかし、①の ひたすら戦乱から逃れようとする一般民衆の方がより正義である。 ②の 考え違いをした若者たちは、多くは、世界の支配秩序によって、殺されてゆく。

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 私の考えでは。 去年からのISによる、捕まえた捕虜たちの首斬りの処刑や、銃殺刑の映像がインターネットで流れ続けた。そのことと、今年の9、10月のイラクの北のミネヴェ遺跡にあったもので、モスルの博物館に収集されていた文化遺産の破壊があった。それと、パルミラ遺跡の爆弾に因る全面破壊 (8月23日)があった。そのとき世界中の人々がカッと怒った。

 このときに世界中の女たちが、いつもは 戦争反対、人命尊重、を言って爆撃を含めた軍事的な殺人行動のすべてに反対する女たちまでが、「もう許さない。もういい。彼らは人類の敵であるから、皆殺しにしなさい。彼らは私たちにまで危害を加える」 と決断したのである。 

 世界中の女たちの瞳(ひとみ)の中に憎しみの炎が立った。これが第3次世界大戦の始まりである。

【予告編(プレビュー)】 今、中東アラブ世界で起きていることは、もうすぐ、極東、東アジアでも同じような形で起こされていくであろう。中東(ミドル・イースト)と、並ぶ “世界の火薬庫(アーセナル)”は、私たち日本人も生きている極東(ファー・イースト)である。やがてヒラリーたち凶暴な戦争開始勢力が、東アジアでもテロリズムの謀略事件を次々と起こすだろう。【予告編(プレビュー)終わり】

 戦争反対や人殺し反対を唱えている女たちまでが、今やISを爆撃で撃滅することに賛成している。ただ、口では絶対にそのことを言わない。自分は全ての暴力に反対するいい人(良い人)でありたいからだ。 

 このことを極(きわ)めて分かりやすく言うと、自分の家の中に、ムカデか小さなヘビが入り込んできたときにどうするか、である。ゴキブリ や大きなハチが入ってきて、それらを、家の外に追い払うのとはわけが違う。その夜、同じ家の中で、ムカデやヘビと共存することはできない。だから、たとえ、どんなに穏(おだ)やかな女たちであっても、目がつり上がって、キーとなって、発狂状態になる。そして自衛(じえい)のために、がむしゃらに棒を振り回して、ムカデやヘビを叩き殺す。必ず、そうする。

 このテーマ(課題)を、私は先週、書き上げて、この12月17日から発売になる、私の次の新刊本である
『 信長(のぶなが)はイエズス会に爆殺され、家康(いえやす)は摩(す)り替えられた』(PHP研究所刊、12月17日発売)で書いた。

 だから今、世界中の女たちのために、ロシアのプーチンが、人類(人間)への愛をこめてISを皆殺しにするためのシリアという外国への直接の軍事行動に出ているのである。ロシア軍の破壊力は大きい。すでにこの3ヶ月で、ISの組織の半分は建物や軍事施設ごと破壊されただろう。

 私は、先週(11月28日)、たまたま40年ぶりにテレビのWOWOW(映画専門チャンネル)で無料で観てしまった「007/ロシアより愛をこめて」(1963年制作)と、自分との強い運命のつながりを感じた。この「ロシアから愛をこめて」を㊵年ぶりに再度、見たことで、世界政治の恐ろしい仕掛け(plot, プロット)の裏側がようやく私の脳の中で大きく解明された。 

  あれは、本当は何の話だったのか ?

 今度のジェームズ・ボンドは明らかに、ウラジミール・プーチンである。プーチン(今63歳)は、ロシアのKGB(カー・ゲー・ベー ソ連国家保安委員会)のドイツ駐在の機関員(きかんいん。インテリジェンス・オフィサー)だった優秀な人材である。

 KGBは、その前はNKVD (エヌ・カー・ヴェー・デー 内務人民委員部)である。 今は、ソビエトが滅んだ1991年からはロシアだから、KGBも改組されて、FSB(エフ・エス・ベー ロシア連邦保安庁) とSVR(エス・ヴェー・エル ロシア対外情報庁)になっている。 プーチンは、本当に頭の回転が異常に早い人間だ。どんなにきつい仕事でもやるし、複雑な事情でもすぐに理解できる人間のようだ。

上半身裸で馬に乗る世界一カッコいい大統領プーチン
ウラジミール・プーチン(63歳)

 今のロシアを支配しているのは、「シロビヴィキ」という、ロシアの治安・国防組織と、対外の国家情報部(旧KGB系)組織の、さらにその内部にある秘密結社のようである。プーチンは、この「シロヴィキ」Siloviki が育てた人間だ。プーチンは、私は当時、じっとロシアを観察していたが、1999年12月31日に、呑んだくれのエリツインから権力を奪い取った。

 だから、今年の新作「007/スペクター Spectre 」(第24作)とは何か、という問題になる。007の原作者であるイアン・フレミング(1967年に死去)もまた、イギリス国家情報部 MI6(エム・アイ・シックス)の職員であった。 第8作目の「サンダーボール作戦」で、初めて「スペクター(亡霊)」が出現した。

 気楽にOO7を見ていた頃は、このスペクターは、大戦中に、スターリンが、GPU(ゲーペーウー。NYVD のラブレンティ・ベリヤ長官)とは別に、自分に直属の防諜機関(ぼうちょうきかん。カウンター・インテリジェンス。国家機関の中に敵のスパイが潜り込むことを防ぐ組織 )として作った、 SMERSH(スメルシュ。ヴィクトール・アバク―モフが長官) だ、とされていた。 しかしその後、OO7の作品の中ではスペクターに名前を変えた。

  スペクターとは、何の秘密結社なのか? それが今、真剣に解明されるべき謎である。

 どうやら、このスペクターは、ジェームズ・ボンド自身の生い立ちに関わり、彼の両親がスペクターの組織員であったようだ。今度の作品の前の、SKYFALL(スカイフォール、2012年)からこの話が始まっていた。

 だから、生まれながらにしてジェームズ・ボンドは、MI6(エム・アイ・シックス。英国秘密情報部。MI5と共に組織替えされて、現在は、SIS と名乗っている)であり、これは、イギリス軍の情報組織も兼ねる。ジェームズ・ボンドは、MI6の情報部員(機関員)でありながら同時に、英海軍のスペシャルボート部所属の海軍大佐でもある 。 だから、MI6のさらにその内部に秘密の組織があったということだ。そしてその組織は、何とソビエト・ロシアのNKVD(スターリンの死後の1954年からはKGB)の中にも存在した。

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イスタンブールでの、ジェームズ・ボンド と タチアナ・ロマノヴァ

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 だから、「ロシアから愛をこめて」(1963年)の中で、イギリスへの亡命を希望したソビエト情報部員であるタチアナ・ロマノヴァ(女優ダニエラ・ビアンキが演じた)が出てきた。彼女は、トルコのイスタンブール (かつての東ローマ帝国=ビザンチン帝国=の首都コンスタンチノープル)のソビエト領事館に勤務していて、イギリス情報部MI6に、「自分はソビエトの最新の暗号解読機を盗み出す」ことを条件に亡命を希望した。

 そこで、ジェームズ・ボンドがイスタンブールに派遣されて、彼の尋問を受けることになった。タチアナはここで、激しい逃走劇の後、ジェームズ・ボンドと抱き合うことになる。 おそらく今に至るも、歴代のボンド・ガールの中で、一番、美しいのは、このダニエラ・ビアンキである。彼女の凄さが、今に語り継がれていて、このD・ビアンキを超える女優はその後、出てきていない。 それぐらい、1960年代の世界は、東西冷戦(れいせん)構造(コールド・ウォー)で、日本人も、国家と国家の闘いは、裏側でも恐ろしいスパイ合戦として繰り広げられているのだと、感じていた。

 この「ロシアから愛をこめて」には、裏側に実在のストーリーがあった。それが、今まで分からなかった。 おそらく、以下に書くことは、日本では、私、副島隆彦の業績となるだろう。 日本人で以下の「大きな真実」に気づいている人は残念ながらいない。日本の内閣情報調査室(ないかくじょうほうちょうさしつ)や、公安警察・外事警察、防衛省の情報本部の幹部たちで、日本のスパイマスター(国家情報官)に相当する連中でも、私が、以下に書くことは、はっきりとは知らないだろう。 よーく、副島隆彦から学びなさい。

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キム・フィルビー Kim Philby(1912-1988)

 それは、キム・フィルビー Kim Philby (1912-1988)という 実在の20世紀最大のスパイの話なのだ。 優れた有能なスパイは、必ず二重スパイである。二重スパイ(ダブル・エイジェント)の存在が、国家間の激しい情報戦争のなかで、一番、重要な役割を果たす。

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スチュワート・メンジース Sir Stwart Menzies (1890-1868) 

 キム・フィルビーは、第二次大戦が始まった1939年9月から、ずっと、イギリスMI6 の長官のスチュワート・メンジース Sir Stwart Menzies (1890-1868) の絶対的な信頼を受けていた男だ。

 このキム・フィルビーこそは、007ジェームズ・ボンドの真のモデルなのだ。そして、戦後世界の大作映画であるグレアム・グリーンが原作・脚本した 「第三の男」” The Third Man “(1949年作)の主人公のハリー・ライムも、まさしくこのキム・フィルビー なのだ。 

 そして、アーネスト・ヘミングウエイの小説、映画「誰(た)がために鐘は鳴る」の、スペイン内戦時の人民戦線・共和国側の義勇兵として参加したジャーナリストを描いた映画の主人公でもある。それからもっともっと・・・ジョン・ル・カレが描いた「 寒い国から帰ったスパイ」の真のモデルはキム・フィルビーである。 すべての、戦後の 国際スパイ政治ものの大作映画の中心に、キム・フィルビーという男がいる。

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  映画「第三の男」

 キム・フィルビーは、ケンブリッジ大学時代から強固な信念を持った共産主義者communist であり、やがて戦争が始まると、ジャーナリストから、MI6に雇われてイギリスの情報部員となる。そして、なんと、ソビエトのNKVDへの情報提供者すなわちダブル・エイジェントになった男だ。このキム・フィルビーが、イギリスの国家組織の内部で強く疑われていたのに、彼は、MI6内の、対ソビエトの最高責任者である対ソビエト部の部長(ディレクター)にまでなった。

 そして、1945年8月に、イスタンブールのソビエト副領事であり同時にNKVDのトルコの副所長(今で言えば、東京に来ているCIA=アメリカ中央情報部=の副所長の立場。一等書記官とかの米国務省の職員=外交官=でも有る)であった コンスタンティン・ヴォルコフが、祖国ソビエトを裏切って、イギリスへの亡命を希望した。

 このヴォルコフを、直接尋問し警護、連行するために、キム・フィルビーがイスタンブールに派遣された。 まさしく007に毎回、出てくる MI6の上司(長官)の“ M“ そのものであるのが、前述した、シュチュワート・メンジースである。そして、このメンジース長官からの指令で、キム・フィルビーが動いたのである。 

 キム・フィルビーは、この件で、自分が、イギリスとソビエト・ロシアの、ダブル・エイジェント(二重スパイ)であることが露見しそうになって、自らイスタンブールに飛んだ。が、わざとこのヴォルコフと奥さんをイギリス領事館に逃げ込むことをさせずに、イスタンブールへの到着を22日間もずらした。そしてソビエト情報部に夫妻を捕まえさせた。ヴォルコフ夫妻は、全身に麻酔剤を打たれてモスクワに連れて行かれて、拷問の末に処刑された。

 ヴォルコフは、ロシア政府からイギリスとアメリカへ潜入していたスパイたち(情報部員およびその協力者たち)のネットワークの名簿を、イギリス政府に渡そうとしていたからである。だから、この実在のキム・フィルビーがまさしくジェームズ・ボンドである。「ロシアから愛をこめて」と全く同じ構成(筋立て、ストーリー)になっている。

 キム・フィルビーは、イギリス国内で、疑念をもたれて議会や新聞で騒がれたのに、何と、それから8年後の、1963年になって、ようやくソビエト・ロシアに向けて脱出し、亡命した。フィルビーは、このあとソビエト政府からたくさん勲章をもらい、1988年に76歳で死去した。ウソだらけの回顧録も書いている。翌年1989年からソビエト崩壊が始まった。 これらの事実は、今では、粗雑には日本語でも読める、ウィキペディアという「フリー(ただ)の百科辞典」を名乗る(ついに支援金を集め始めた。笑)の文章になっている。 

 このウィキペディアは、米CIA が直接管理、発信している。一体、痛い誰が各項目の膨大な文を書いてるのか、全くわからない、危険なメディアだ。 ウィキペディアは、CIAが発信しており、その日本語版は、共同通信と、電通(でんつう)が密かに担当している。このことは、「世界と人類の 言論の自由、表現の自由、報道の自由(の権利)」にとって、もの凄く恐ろしいことで危険なことだ。 そのように、日本では、私、副島隆彦だけがはっきりと主張してきた。 一体、誰が書いているのか分からない、文章責任(文責。ぶんせき)が分からない、正体不明の 書き手、情報の発信体に、私たちの頭(脳、理解力、思考)をいいように操(あやつ)られていいのか。私は、徹底的に、このことを言い続ける。

 だから、ウィキペディアは、自分たちのお家芸、お膝元、本職である、国際政治のスパイ、情報活動ものの記事、や人物紹介(プロウファイール、 profile )が、ものすごく上手だ。それはそうだろう。自分たち自身の、血塗られた過去の真実の記録だからだ。それらを、「もう、隠(かく)す気がなくなった」と放り投げて、どんどん表に出してしまっているのだ。

 このことに鋭く気づいて、真剣に受け止める、私のような人間がいて、はじめて大きな人類史の真実が立体構成されて浮かび上がる。

 このようにキム・フィルビーというスパイの超大物が、戦争中から戦後のすべての世界政治(東西対立、冷戦構造)のど真ん中の、中心にいたのである。 私には、「OO7/ ロシアより愛をこめて」の裏側の真実のストーリーと、同時に、戦後の大作映画「第3の男」(1949年制作、第3回カンヌ映画祭グランプリ、脚本 グレアム・グリーン)の謎もこれで大きく解けたことがものすごく嬉しい。

 「第3の男」とは、まさしくキム・フィルビーだったのである。私の判定では、キム・フィルビーのMI6内における直接の部下であり、のちに作家になったグレアム・グリーン 自身が「第6の男」である。

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ヘミングウェーの「誰がために鐘は鳴る」

 それからアメリカの作家アーサー・ヘミングウェーが書いた「誰がために鐘は鳴る」” To whom the Bell Tolls (トゥー・フーム・ザ・ベル トールズ)” は、スペインの人民戦線内閣が攻撃されたとき、国際義勇軍の若い知識人たちと共和国軍と、ナチスドイツが応援するフランコ将軍の右翼軍との内戦(シビル・ウォー)である。この国際義勇軍の雑誌記者としてキム・フィルビーも、ヘミングウェーも同時に、参加していたのである。

 そしてこのときに、ジョージ・オーウェルも義勇軍の兵士であった。オーウエルは、戦争中は、BBCの記者をしている。 のちに大作家になったヘミングウェーもまた、アメリカの情報部員(CIAの前身のOSSの、軍関係の一部局の機関員)であった。このことは現在では広く知られている。 おそらく映画にもなった「誰がために鐘は鳴る」の主人公もヘミングウェーが目撃したキム・フィルビーである。 ヘミングウエイも、グレアム・グリーンも、彼ら自身が国家情報部員であったのだ。だからあれらの作品を書けた。何もない空想から小説が、完全な創作として書かれることはない。

 同じくジョージ・オーウエルが、同じ時期に、このスペイン内戦の国際義勇軍に参加して、『カタロニア(カタルーニャ)讃歌』を書いている。

 これらの戦後の大作映画たちの背景に、まさしくキム・フィルビーという実在の大物の二重スパイが存在するのである。キム・フィルビー自身が、MI6の長官になれそうだ、というぐらいにまで高い評価を、イギリスの外務省と国家情報部の中で受けていた。そしてまさしく、それがOO7ジェームズ・ボンドの真実の姿だ。

 繰り返すが、映画「第3の男」は1949年に公開されている。実在の「キム・フィルビーが第3の男だ」として、イギリス国内で、議会でも、新聞でも大騒ぎになって、騒がれたのは、1954年からである。「第1の男」と「第2の男」である、MI6の幹部になっていたドナルド・マクリーンと、ガイ・バージェスは、自分たちの身に迫る危険を察知してロシアに向けてイギリスを脱出し亡命したのは、1951年5月21日である。

 映画の方が現実政治よりも5年も先を進んでいた。映画の裏側にうっすらと世界政治の真の恐ろしさが描かれていた。これらの007の作品と、「第3の男」と、ヘミングウェーの秘密について、私はすでに大きく謎解きの解明作業をした。もっともっと、ゾッとするような恐ろしい、驚くべき真実が描かれていて、それらは、すべて、本当の話だったのだ。これらは、逐次、会員ページの方に載せます。

 【予告編(プレヴュー)】 OO7の上司の“M(エム)”である、実在のMI6長官のスチュワート・メンジーズは、奇妙なことに、キム・フィルビーを一貫して、ずっと庇(かば)い続けた。1963年にフィルビーが無事、モスクワに亡命するまで、ずっと。

 大戦中には、メンジーズは、ずっと対ドイツの 暗号解読の任務を中心に、MI6を運営した。だから、ヒトラーが、ドイツ陸軍、海軍の将軍たちの尻を叩いて、ガンガンやらせた、各戦線でのドイツ軍の動きは、すべて、暗号解読によって、イギリスとアメリカ軍にもたらされていたのである。このことは真に驚くべきことだ。 対ロシア戦線のモスクワ戦、スターリングラードの攻防戦や、マジノラインの突破や、北アフリカの戦線のことも、ノルマンディー上陸作戦などの、ドイツの参謀本部の計画は、イギリスのチャーチル政権に把握されていた。

 歴史の真実は、メンジーズによるMI5とMI6の、暗号解読(decode, デコード)によって 英米の連合軍がナチス・ドイツ軍に勝利したのではない。 暗号解読による成果は、情報の正確さの確認のバックアップ用である。

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ヴィルヘルム・カナーリス Wilhelm Canaris (1887-1945・4.9 処刑) 海軍大将

 メンジーズ には、重要な、情報源があった。それは、ヴィルヘルム・カナーリス Wilhelm Canaris (1887-1945・4.9 処刑) 海軍大将である。 カナーリスは、ドイツ国防軍情報部(アプヴェーア、Abwehr )のトップ、長官であった。 

 カナーリスは、第一次大戦の若い軍人の頃から、Uボート(ダス・ボート DasBoot)の補給路をスペインに作る係であった。Uボートの艦長もしている。 これで、ドイツのヴォルフガング・ペーターゼン監督の名作「U・ボート」1981年の秘密も解けた 。  カナーリスは、ヒトラーが大嫌いだった。だからドイツ軍人内部に、反ナチス・反共の運動を組織していった。だから、ドイツ国防軍の情報部であるアプヴェーアの最高幹部自身が、イギリスと繋(つな)がっていて、イギリス情報部MI6の長官 “M” スチュワート・メンジーズに ドイツ軍の最高情報までも渡していたのだ。

 メンジーズは、情報部のトップとして、戦争中、チャーチル首相に、「1500回会って報告している」と ウィキペディアCIA が、公然と書いているではないか。 つまり、メンジースは戦争の間、毎日、チャーチルに会っているのだ。いや、一日に数回会っているだろう。 だから、ヒトラーは負けたのだ。 国際政治の駆け引きで、ドイツが負けたのではない。

 国家の神経(しんけい)であるスパイ情報戦で負けていたのだ。ドイツ軍情報部アプヴェーアのトップの、ヴィルヘルム・カナーリスは、1944年7月20日に起きた、ヒトラー暗殺計画に深く関与している。

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映画「ワルキューレ」

 しかし、トム・クルーズ主演、総指揮の ドイツ国防軍の元帥、大将たちが50名も加わっていたヒトラー暗殺 画を描いた映画「ワルキューレ」(2008年制作)の中に、カナーリスは出てこなかった。この点もおかしい。 カナーリスは、ヒットラー爆殺失敗の3日後に、逮捕されてただちに処刑されている。ヒットラーは、この直後に、アプヴェーアを解体している。

 だが、もうその時は、遅かったのだ。これが歴史の真実だ。このことを、この度(たび)、副島隆彦が、大きく抉り出しました。 私自身の 40年間の思想研究と、映画好きと、人生の航路の果てでのことであった。世界政治の大きな秘密が、ここで一つ、解かれた、ということだ。

イギリスのチャーチル首相が、戦争中にあれほどの政治手腕と、軍事指導までも含めて大きな政治指導者としての力を発揮したのは、まさしく、MI6メンジーズ経由で、アプヴェーア(Abwher ドイツ国防軍情報部)部長(長官)ナーリスからのドイツ軍の動きがすべて、チャーチルに毎日、もたらされていたからなのだ。

 この上司 M(メンジーズ)に守られながら、キム・フィルビー(ジェームズ・ボンド)は、ずっと二重スパイのまま、戦後も長く生きたのである。 世界中の政治家の首脳たち自身が、二重スパイのような人たちなのだ。 それが、私が、今度書いた、『 信長(のぶなが)は、イエズス会(ローマ教会のゼクトのひとつ)に本能寺で爆殺(1982年6月2日)され、信長に忠実だった家康(いえやす)という名の忍者(二重スパイ)は、三河大名・岡崎城主・松平信康(まつだいらのぶやす)に、桶狭間(おけはざま)の戦い(1960年5月19日)の1年後に、殺してスリ替ったのである 』という 450年前の日本史の大きな真実もまた、副島隆彦によって、このたび明らかにされたのである。 

 故に、改めて007の最新作の スペクター の謎に迫る動き は、現実の今の私たちの世界にかかわる重要な問題であるはずなのだ。スペクターとは何か、が、今の中東アラブ世界で起きていることの裏側に必ず、関わっている。


↑上記真中をクリックして下さい(『007 スペクター』(原題:Spectre)予告編)

  【予告編(プレヴュー)】 ロシアのプーチンを嫌う、アメリカのヒラリー派(ネオコンと世界反共=はんきょう=主義者たち)と欧州NATO軍の右翼・反共の将軍たち(WACL ワールド・アンタイ・コミュニスト・リーグの同盟員たち)が、トルコ軍の中の、反イスラムの世俗主義(セキュラリズム)の、ケマル・アタチュルク主義の空軍パイロットたちを使って、11月24日に、ロシアのスホイ24戦闘爆撃機1機を、トルコとの国境のシリア上空で撃墜した。

 アメリカ軍にロシア軍が提出してあった飛行計画を事前に知っていて待ち伏せ攻撃で、行ったものである。だから、プーチンが怒っている。これに追随して、世界中の女たちも、プーチンを支持して、共に怒らなければいけない。「ISを、さっさと皆殺しにしなさい」と、世界中の女性たちが、その目の中に燃える炎で、無言に圧力を掛けている。

  自分たちが、ISとつながって石油の闇ルートでの輸出ビジネスをやってきた、トルコのエルドアン大統領たちの方が、プーチンの、12月6日 のCOP21の会場での、証拠写真付きの真実バクロの怒りの演説で、困り果てている。エルドアンの方はすっかり世界の悪者になってしまった。 世界の女たちの「あのムカデ、ヘビたちとつながっている者は、許さない」という怒りになっている。

 このあとは、ヒラリーたち、世界反共運動、反共産主義運動の連合体である者たちが、始めは、自分たち自身が資金を出して育てた、イスラム諸国内部の、殺し屋部隊で傭兵部隊(マーシナリー)であるISが、自分たちに 牙(きば)を剥(む)いてきたので、ISを殲滅するために、戦わなければいけなくなってきた。

 世界中に、謀略(ぼうりゃく)のテロ事件を次々に起こそうという計画が、自分たち自身も、その攻撃の対象になる、と分かって、慌てふためいている。世界は、今や、「世界反共(はんきょう)主義者 vs(対) イスラム教過激派 」の 殺し合いの様相を呈してきた。そして、大きくは第三次世界大戦へ向かっている。

【予告編(プレヴュー)】 ヒラリーは、元気そうにして、「次は私で決まりよ」と、あちこちを演説をして回ってテレビに出ている。が、ところがよく見ると、何と、いつも椅子に座っている。 立って演説していない。私、副島隆彦の予言では、ヒラリーは、来年の2月ごろに、甲状腺肥大か、甲状腺がんで、大統領選挙から降りるだろう。 

 そのあとはエリザベス・ウォーレンという64歳で、マサチューセッツ州選出の上院議員で、ハーヴァード大学の法学部教授あがりの、一応リベラル派である女が出てくるだろう。 そうなれば、あと3年は、アメリカは、世界戦争を先延ばしにすることになる。ヒラリーなら、再来年(2017年)から、第三次世界戦争である。私たち東アジアの島嶼人(とうしょじん)の生活も、世界の動きに翻弄(ほんろう)されながら続いてゆく。

 エリザベス・ウオーレンは、どうせ、何の力もない操られ人間だから、同じ女で、凶暴な、ミシェル・フロノイ(国防長官になる)、ビクトリア・ヌーランド(Moonie、世界統一教会の幹部)、メラニー・ヴァビーア(ヒラリーを育てた女たちの会の親分)たちに取り囲まれて、いいように使われるから、「私は、大きな戦争(ラージ・ウォー)はしません」と言っていられないだろう。

 2020年(あと3年半後) の東京オリンピックは中止になるのではないか。80年前の1940年の東京オリンピックは、本当に中止になったのだ。その4年前の、1936年のベルリンオリンピックは、ナチス・ドイツ政権がものすごく元気を出して、「民族の祭典」(その記録映画 の 大作、監督レニ・リーフェンシュタール女史。ヒトラーの愛人)そのもの、だった。朝鮮人のふたりの日本選手が、マラソンで優勝して日本も湧いたのだ。  【予告編(プレヴュー)】

 だから、「ロシアから愛をこめて」とは、「 ロシアのプーチン(いよいよ、イラン雷帝のような、目がつり上がって、私たち日本人と同じようなモンゴル人種の、チンギス・ハーンの顔になってきた。いい事だ)が、人類への愛をこめて、世界中の女たちのために、ISという凶暴な集団を皆殺しにする 」ということだ。
From Russia with Love .  

副島隆彦拝

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