[231]無理に死んではならない

高岡亮一 投稿日:2011/03/15 13:09

毎月15日は親しい同志と産土神社に祈りに行く。「なすべきことをなさせてください」と祈った。そのときは、最悪の状況を覚悟していた。その後、理事長を務める幼稚園の朝礼に行って今の状況を話した。帰って、昨日行きつけの薬局にヨウ素剤の手配を頼もうとしたが埒があかないままだったので、思い立って保健所に連絡したが薬局と似たようなものだった。間もなく、武田邦彦中部大教授の判断に接した。最悪の危機的状況は脱したという判断だった。幼稚園には「最悪の危機的状況は脱したと考えて良いようです。しかし、放射能拡散は確実(3/15朝:1時間あたり8217マイクロシーベルト=8ミリシーベルト=0.08シーベルト 制限値は毎時500マイクロシーベルト )なので、風向きも見ながら、その対処は考えねばなりません。核爆発という最悪の事態は免れたものの、今後放射能拡散はどこまで深刻になるかわからず、危機的状況に変わりはありません。/ただ、国もマスコミも国民に事実を率直に伝えることで、放射能拡散に国を挙げて本気で取り組む態勢が出来つつあると考えていいと思います。状況を見ながら、園としての判断をお願いします。」と伝えた。そのあたりからマスコミは危機的状況であることをようやく国民に訴え出したようだ。そして副島先生の文章を読んだ。そしてやむにやまれぬ思いでここに書くことを選んだ。私だけの思いではないはずだという思いで。

副島先生は死んではならない。副島先生には副島先生でなければ果たせない役割がある。その役割を果たしてもらわねばならない。今それぞれの持ち場でおのれが果たすべき役割は何なのか、今われわれ一人一人に問われているのはそのことだ。先生のこの発言はこの発言でいい、しかしあなたは今死んではならない。見届けられるだけ見届けてもらわねばならない。あなたの眼はあなた一人だけのものではない。お願いします。

武田教授の判断を転載します。
http://takedanet.com/2011/03/post_a1c1-1.html

(転載はじめ)

原発 緊急情報(5)

本日午前4時頃、東京電力から福島第二原発2号機に水を入れても炉内の水が増えないとの発表があり、その終わりに、
「すぐに、何か、その、危機的な状態に陥ることはないのではないかと考えている」
と言った.これでだいたいの事は分かった。
続いて午前6時頃、爆発によって2号機の格納器の下が破れたとの発表があったが、予定通りである.
・・・・・・・・・今後・・・
原子炉内の放射性物質が漏洩するのを防ぐことができなくなった。だから、周辺の放射線は上昇を続けるだろう.
ただ、これまでのように発電所側が必死になって「絶対に放射線を漏らさない」という切迫した状態では無く、「すでに漏れを止めることはできない」ということになり、判断は正常になるだろう.
その結果、放射線漏れは「かなり酷いが、破滅的ではない」という状態になったと私は考えている.
原発、経産省保安院、政府、専門家の中で交わされた会話は次のようなものだろう。
・・・・・・・・・
A「今、午前2時ですが、2号機に水を注入しても炉内の水位が上がらない」
B「まだ燃料の温度が高く、投入した水がすべて蒸発したのではないか?」
A「いえ、投入した水がすべて蒸発したとすると、圧力は700キロパスカルしか言っていないので、計算が合わない」
B「投入量は分かっているのか?」
A「水量は計算できます.だから、どこからか漏れていると思います」
C「現場では分かっていますよ。炉の下部から水が出ています。強い放射線ですので、炉からでた蒸気がサプレッション・プールで水になってそれが漏れています」
D「そうか、それでは放射線漏れは防ぐことができないな」
C「はい」
D「どうやって発表するか?」
B「最初から漏れているというのも何ですから、まず概略を発表して、2時間経った頃、損傷を発表することにしよう」
・・・・・・・・・
つまり、今日の未明に福島原発は「原子炉内部の放射性物質が外部に漏れることを防ぐことができなくなった。」ということだ。
また、おそらく現場の判断は冷静になるだろうから、核反応は抑制できる状態になり、後は崩壊を待つことになる.
放射線は徐々に福島から広く拡がっていくが、まず第一に風向きだ。鹿児島の新燃岳が噴火したとき、その灰は宮崎の方に「すじ」のように流れた。その写真を思い出して、風に注意することだ。
仙台、福島、東京などの放射線は上がるが、通常の人に放射線障害が出るところまでは行かないか、あるいは1週間ぐらいはかかると考えられる.
いずれにしても、「通常の放射線漏れの酷い状態」になったので、国民は対応をとりやすくなった。
私は本日、大阪から東京へ向かう.大丈夫だからだ。

(平成23年3月15日10時 執筆)

(転載おわり)

高岡亮一拝