新潟県の燕三条 の ヨシカワ 探訪記
昨年の暮れ、2024年11月23日に、副島隆彦先生に同行して、新潟県にある 金属加工業のヨシカワさんの本社を訪問しました。社長の吉川 力さんが副島隆彦の本の読者で、セミナーにも来てくださっていることからのご縁です。株式会社ヨシカワさんは、どこのご家庭のキッチンにも必ずある、ステンレス製品をつくっている「モノづくりの燕三条」の会社です。
株式会社ヨシカワ ホームページから
代表取締役 吉川 力 (よしかわ つとむ)
本社 〒959-0308 新潟県西蒲原郡弥彦村大字大戸635番地3
事業内容 家庭用キッチン用品の企画・卸販売
業務用ステンレス製品の設計・製造
ステンレス鋼板加工・卸販売
昭和27年4月1日創立、従業員160人
・ライフスタイル事業部(キッチン用品・生活用品の企画、設計、デザイン、販売)。
・現屋事業部(住宅機器、給湯器類、暖房機器、厨房機器類、板金加工製品の設計・製造)。
※株式会社ヨシカワ ライフスタイル事業部ホームページ
https://www.yoshikawa-lifestyle.com/←青い部分をクリックすると商品紹介のページに行きます。
経営理念PHILOSOPHY
① ステンレスを中心とした金属素材、産地に生まれ育った伝統的金属加工技術の伝承と革新、それによって作り出される製品及びその周辺事業ならびに新事業を通じて、お客様やマーケットに「安心感」をお届けし続ける。
② お客様やマーケットが感じる「不便」「不満」「不安」をわたし達がお届けするサービスで解消する。
③ わが社のサービスがないと困る、というところまで信頼頂き、お客様やマーケットに強く必要を感じてもらう。
燕三条(つばめさんじょう)
「燕三条」は、新潟県の中央地区である燕市と三条市にまたがる地域の呼称で、金属加工の集積地として全国的に知られています。燕三条は刃物や洋食器の製造がさかんで、多くの職人がいるプロ集団の町。
新潟は知る人ぞ知る“ラーメン王国”、江戸時代より三百余年の歴史がある温泉地で越後芸妓発祥の地、越後杜氏による丹精込めた酒造り、史跡・名勝が多く奇岩織り成す景勝、寺泊の海産物市場、が有名です。 【にいがた観光ナビ参照】
〇探訪開始、待ち合わせ
今回(2024年11月23日)、私達(副島隆彦先生と秘書S)を案内してくださったのは、株式会社ヨシカワ 代表取締役の吉川 力(よしかわ つとむ)さん。
1946(昭和21)年創業である株式会社ヨシカワの三代目社長です。「会社を潰す三代目です」、と自己紹介される吉川社長ですが、初対面の瞬間から、会社の経営理念そのままの真面目さが伝わってきて安心しました。
そして副島隆彦先生の読者でセミナー常連ならばそんな「三代目」であるはずはないよねー、と心中突っ込みをいれつつご挨拶。今後一層会社を発展させるだろうイメージがこちらに湧いてくるような溌剌としたお方です。
新潟県内はレンタカーを利用しましたので、三条駅で待ち合わせました。三条駅でよかった。新幹線が停まる燕三条駅は、特に週末は駐車場が込み合っていて、お昼前には数時間待ちになることもあるようです。それから、日本料理の昼食をごちそうになりながら、吉川社長と副島先生の歓談がなされました。
〇吉川社長と副島先生の歓談
会社の近況などを伺います。ステンレス加工に「燕三条」のものづくり技術を取り入れた株式会社ヨシカワの製品は、その強度、耐久性、そしてその美しさから、国内だけでなく海外シェアも伸ばしているそうです。
吉川さんは、海外の関連展示会や製品説明会、製品開発披露等の機会には毎年ご自身で参加されて、商品の説明や売り込み(当然英語)をされると。コロナロックダウンの間は行けなかったけれど、昨年から再開できたそうです。そうやって、新しい分野や市場に進出していくのですね。
吉川社長がおっしゃった、「私はゴルフはしません」という言葉が、私には一番印象に残っていて、その理由は・・・。ゴルフ好きの方も多いのでここでは割愛しますが、好感度アップでした。合理的というか、そう言い切って貫くにはちょっとした弊害もあることでしょうが、かっこいい。会社の経営理念である、人(お客さんでも仕事相手でも)に寄り添って、要望を探って、何ができるのかを安心感とともに具体的に相手に提示しようとする誠実さが、社長のお人柄としてもお見受けできます。
そして、海外出張の際に立ち寄られたヨーロッパの都市、例えばローマの建造物や街の印象などの話を聞かせていただいて、大変興味深く面白かった。吉川さんは、文化芸術面での造形も深くていらっしゃるのなあと思いました。そのことも、ヨシカワの美しくて機能的なステンレス商品開発に生かされているのでしょう。
吉川社長と副島先生は、副島先生の著書の題名、例えば「ミケランジェロとメディチ家の真実」等をあげながら、本の内容とヨーロッパの街、歴史との関連、現在に繋がる地政学や政治にまで話は広がって、お二人で話が合って盛りあがっていました。最近の社会事件(三菱UFJ銀行貸金庫からの窃盗事件、能登半島地震他)や、金融・社会情勢の話題もありました。
〇本社へ移動
JR燕三条駅までは、上越新幹線で東京駅から2時間弱。本社がある西蒲原郡弥彦村(にしかんばらぐん やひこむら)までは、燕三条駅から車で30分ほど、新潟市や長岡市へも約45分で行ける立地です。
三条駅から本社へ向かう道中、正面には、霊山の一つである弥彦山(やひこやま、634m、東京スカイツリーと同じ高さ)が晴天に美しくそびえ、左右には信濃川に潤わされる田畑と住宅地が広がります。弥彦村の農産物は、ブランド米、ブランド野菜として人気が出てきているそうです。
由緒ある「おやひこさま」とよばれる彌彦神社や、地元の方にも人気の弥彦公園、温泉など、弥彦村には豊富な観光資源が揃っていて、年間に人口の285倍である約200万人以上の人が訪れるとか。子育て支援に力を入れているとも伺いました(待機児童はゼロ!)。
本社に近づくにつれて、四角い大きい田畑に交じって、面積を大きくとった会社、工場が増えてきます。そのなかでもひときわキレイな会社が、株式会社ヨシカワさん本社でした。
〇本社到着
本社に到着。門にほど近い来客駐車場に車を停めて、一階の正面玄関から本社建物に入ると、そこは一面の広い部屋にデスクがズラーッと並ぶ迫力の事務部門。休日でしたが、数人の社員の方がおられました。その右手にショールーム入口があります。
ショールームは入ってびっくり、デパートの家庭用品売り場ワンフロアくらいの広さがあって、そこには照明に反射してキラキラ輝く数々のステンレス商品。ディスプレイの仕方も、見やすくて手に取りやすい。レジカウンターさえあれば、本当にデパートの商品売り場と見まがうほどです。
キッチンボウルやザルなど、なじみのある定番のステンレス製品から、見たことのない便利そうなグッズ、使ってみたいキッチン用品、小さいものからちょっと大型の、これはなんだろう、丸、四角、とにかく壮観です。ステンレスってすごい。私の印象に残っているものは、
・研磨職人が磨く美しいビアタンブラー 生ビールのようなクリーミーな泡立ちが持続。商品名:磨き屋シンジゲート ビアタンブラー
(ここにビアタンブラーの写真を貼る)
・冷蔵庫から取り出したバターがそのまま削れるバターナイフ。商品名:硬いバター用ナイフ
・鉄製の軽い中華手鍋。お年を召すと重いフライパンが扱えなくなるから、隠れた人気商品だそう。MOMA美術館の学芸員の方も特別に気に入ってくれたそうです。
(ここに手鍋の写真)
・厚さたった1ミリ。柔らかな弾力でしなるから、食べ物(デリケートなケーキなど)の形が崩れず取り分けられるスパチュラ。芸術作品のようです。商品名:EAトCO Tolu(トル)スパチュラ
・レトルトパウチを熱湯から引き揚げて、中身を絞り出せるトング。商品名:EAトCO Shobolu(シボル)トング。一人暮らしでは、レトルト食品は必需。いつも苦労しているからこれはほしい。
・フライパン用蒸し器 蒸し器はほしいけどお手入れが。でもステンレスなら・・・(追記、買いました。電子レンジでチンより、断然おいしい)
それと、アマゾンで買おうかどうしようかずいぶん迷ったことがある、栗山はるみコラボシリーズのコーナーもありました。鍋、フライパン、計量カップ、まな板(丸!)・・・など。
副島先生が、吉川社長に、「この、コラボ商品の、名前使用料というのは、おいくらぐらいですか」と、どさくさに紛れて聞いていました。ご自分の商売に生かせるかとお考えのようで、目がきらりと一瞬光ったように見えました。が、吉川社長「それは、企業秘密で・・・」と教えていただけず。そりゃ、そうですよね。
それから、生まれてはじめて手に取ったのが、お墓の、納骨室用の換気孔。これのココを長持ちするステンレスで作っているのはヨシカワさん一社だけだそうです。原材料高騰のときに、控えめでない価格まで定価を上げても何の苦情もなかった、と社長はさわやかな笑顔で教えてくれました。
そして、ニッチ市場を探すことは大事だと、吉川社長から熱い講義を受け、大変勉強になりました。他にも、エレベータ内に置く緊急時に使用できる(中に緊急時に使用する懐中電灯とか非常食品等が入れられる)椅子にもなる箱。確かに、これもステンレス素材がぴったり。ひとつひとつの製品の精巧さと工夫を見て、すごいのは、これらが製品になる前に、それを思いついて、製品になるまで開発して、消費者に届ける人なんだと、実感しました。それぞれの製品の説明を受けながら、夢中で次々見ていたら1時間近く経ってしまいました。
週末で会社がお休みの日に、私たちの訪問のせいか秘書の方など数人が出社されており、申し訳なく思いました。帰り際に、新潟の美味しいお酒をお土産に頂きました。本当にありがとうございました。
本日見せていただいた株式会社ヨシカワさんの新製品たちは、最初は「へえ、こんなのがあるんだ。これは便利!」。でもいつか、定番の、あってあたりまえ、無くてはならないものになって次の世代にも受け継がれていく。すでにそうなっているものも私たちの生活の中に数多くあります。
株式会社ヨシカワの皆様、ありがとうございます。 (おわり)