「1812」 『国家分裂するアメリカ政治 七顚八倒(しちてんばっとう)』が発売になります 2019年3月7日

 SNSI・副島隆彦の学問道場研究員の古村治彦です。今日は2019年3月7日です。

 今回は、2019年3月7日に発売になります副島隆彦先生の最新刊『国家分裂するアメリカ政治 七顛八倒(しちてんばっとう)』をご紹介します。本書は副島先生の最新のアメリカ分析本です。首都圏の大きな書店では既に並んでおり、全国の主要書店では今週末には店頭にあると思います。


国家分裂するアメリカ政治 七顛八倒

 『国家分裂するアメリカ政治 七顛八倒』というタイトルが示す通り、アメリカは分裂(デヴァイデッド)に向かっているということがこの本の最大の肝です。ニュースでは、トランプ大統領と民主党が対立していることや、共和党や民主党が対立を深めていることなどが伝えられています。副島先生は、地図にあるように、アメリカはこれから3つに分裂する方向に進むと書いています。『国家分裂するアメリカ政治 七顛八倒』から引用します。

(引用はじめ)

 アメリカ合衆国はやがて世界覇権[はけん](ワールド・ヘジェモニー world hegemony )を失う。そ のとき、アメリカ合衆国は分裂国家(おそらく3つに)になる。としても、それは 10 年先のことである。The US shall be disbanded. 「ザ・ユーエス・シャル・ビー・ディスバン デッド」とも言う。① ニューヨークを中心とした「東部[イースト]アメリカ」。ヨーロッパ白人社会 と生きてゆく。ここには、シカゴを含めた中西部[ミッドウエスト]の北の方[ノース]が入る。②テキサス州を中心 とした農業国の「中央[センター]アメリカ」。ここで、〝ブルーステイト〟(米民主党支持者が多い)であるケンタッキー州とサウス・カロライナ州が①と②のどっちに付くか、でモメるだ ろう。南北カロライナ州は合体する(元に戻る)だろう。  

 実は、ノース・カロライナ州とサウス・カロライナ州は、南北戦争[ザ・シヴィル・ウォー](1861-186 5)の時に、それぞれ北軍(連 フェデラル 邦派)と、南軍(南 コンフェデレット 部同盟)側に付いて分裂した。あの南北戦争[ザ・シヴィル・ウォー](内乱、内戦)のときの影がいまもこの国に深く差しているのだ。

 ③カリフォルニア州を中心とした「西 ウェスターン 部アメリカ」。太平洋側に面してアジア諸国に近いので、そこからの移民が多い。この③の国は、大衆的リベラル派としてアジア諸国と付き合い(貿易)しながら、生きてゆくだろう。(6-7ページ)

(引用終わり)


3つの分裂するアメリカの重要な地図

 古村治彦です。このようなアメリカの状況の中、トランプ大統領は何をやっているのか。私たちは日本のニュースで見るのは、トランプ大統領に対する批判的な報道、トランプ大統領はダメな人という内容の報道ばかりです。「トランプ大統領で大丈夫なのか?」と呆れつつ、心配している日本人が多くいるのが現状です。しかし、トランプ大統領の支持率は安定しています。NBCテレビとウォールストリート・ジャーナル紙の世論調査の結果をグラフにしたものを以下に貼り付けます。数字で言えば、40%台中盤から後半で、ビル・クリントン元大統領(在任期間:1993―2001年)の1期目中間期(1995年1月から3月)とほぼ同じ数字です。

 トランプ大統領の支持率が安定しているのは、以下の理由があるからです。『国家分裂するアメリカ政治 七顛八倒』から引用します。

(引用はじめ)

 トランプは、ものすごく分かり易[やす]い政策を実行している。「アメリカの大企業の工場をアメリカに呼び戻せ。アメリカに新工場を作ってアメリカ国民を雇用[エムプロイ]せよ。アメリカ国民の失業者とホームレスをなくせ」と、必死で動いている。このあまりにも明快なトランプの行動(政策の実行)を、なぜか日本では報道しない。(46―47ページ)

(引用終わり)

 古村治彦です。このように、トランプ大統領は雇用を作り出すために奮闘しています。そのためにまさに「七顛八倒(しちてんばっとう)」しています。トランプ大統領は、記者会見などの機会を捉えて、数字がポンポン飛び出し、外国企業によるアメリカへの投資(新工場の建設など)の成果を述べています。この点では、実業家出身で数字に強かった田中角栄元首相とよく似ているなという印象を私は持っています。


ウィスコンシン工場の起工式の様子(真ん中はトランプ大統領)

 トランプ大統領は台湾のフォックスコン、日本のソフトバンク、サウジアラビアからの投資を招き入れています(第1章で詳しく書かれています)。また、国内のインフラ整備の大プロジェクトとして、テキサス州の大都市ヒューストンとダラス間の新幹線建設やアメリカを縦断する天然ガスのパイプライン建設計画であるキーストーンXL計画を推進しています(第2章で詳しく書かれています)。アメリカ南部国境の壁建設も雇用を生み出すための公共事業です。

 現在のアメリカとヨーロッパで起きていることについて、副島先生は次のように書いています。以下に引用します。

(引用はじめ)

 トランプが掲げる「アメリカ・ファースト!」とリバータリアニズムは、本音で言うと白人優先主義(ホワイト・シュープレマシズム White Supremacism )であるから、これ以上移民を入れたくない。

 「先住民[ネイティヴ・ピーポー]であるインディアンもいるし、黒人も奴隷[スレイヴ]として連れられて来た。が、アメリカはあくまで白人中心の国だ。だから、これ以上入って来ないでくれ。もう面倒を見きれないよ。もう食べさせられないんだ」という正直な思想である。ただ、誰もこのことをアメリカで正直に公然と書く人がいない。みんなで陰かげでヒソヒソ、ブツブツ言っている。ヨーロッパでもそうだ。「外国人が増えると犯罪が多くなる」だ。こう書けば日本人でもあなたでも分かるだろう。(222-223ページ)

(引用終わり)

 古村治彦です。これまで人類の理想、導かれる教理とされてきた人権や福祉に対する疑念が大きくなっています。「綺麗事をいくら並べてもちっともうまくいかなかった」という考えが広がっています。綺麗事を言わない代表がトランプ大統領ということになります。権威主義的で非民主的な中国やロシアなどが成功している中で、人権、民主政治体制、法の支配といった西洋の指導的な諸原理に対して、西洋社会の中から疑念が出ているという状態です。このことにつても、副島先生は第4章の中で詳しく説明しています。


トランプ政権の閣僚たちについてもたっぷり解説

 この他にもアメリカに関する最新分析が満載です。以下にまえがきと目次を貼り付けます。参考にして、是非『国家分裂するアメリカ政治 七顛八倒(しちてんばっとう)』を手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

(貼り付けはじめ)

まえがき 副島隆彦

 私は日本人としては有数のアメリカ政治の研究者(エキスパート)である。この私がアメリカ政治のことを書く、というのだから、〝堂に入っている〟。

だから、この本の書名も「トランプのアメリカ政治」と決めた。

ところが、出版社から「トランプはやめてください。書店に並べたとき本が売れないので」と言われた。

失礼な話である、この私に向かって。トランプ大統領のことを含めて私が、アメリカの最新の知識で書く、というのだから、そのまま通る、と思っていたら、これである。私はヘソを曲げた。

だから、そのあと1カ月、私はこの本を書くことを放ったらかした。

しかし、それでは担当編集者が出版社との間で板ばさみになって困っている。何とかせねば。それで急遽、えーい、分かったよ。それならこうする。で、“ The US is divided. ”「ザ・ユーエス・イズ・デヴァイデッド」「アメリカは国家分裂しつつある」をドカーンと書名に持って来ると、決めた。

「アメリカ国民は2つに分裂している」というのは本当である。「国論が2つに分裂している」と訳すべきだろう。どこの国でも国論は、たいてい右(保守)と、左(リベラル派及び左翼)で分裂している。だから、何を当たり前のことをお前は言う(書く)か、と言われるだろう。

だが、本当にアメリカ合衆国(ユナイテッド・ステイツ)は、2つに分裂している。いや、今やアメリカは国家として、3つに分裂しそうな勢いになっているのだ。まさか、そんな、と皆さんは思う。だが、本当だ。アメリカ国民自身が、“ The US is diveided, and the US will really be disbanded(ディスバンデッド). “「アメリカは近い将来に国家分裂するだろう」と言いだしている。これがアメリカ合衆国の最〔さい〕最新情報だ。今は、トランプ支持派 対 反〔はん〕トランプ派で分裂して激しく対立している。

それにしても、この私に向かって、「トランプと付く書名の本はヤメてくれ」と言う出版社も問題だ。一体、何の見識を持っているのか。ただ本を売りたい、儲けたいの業者根性か。
だから、苦労の果てに、ご覧のとおりの書名になった。七顛八倒(しちてんばっとう)したのは、私だ。

だが、本当に、本が書店で売れない時代になった。私の本でも、こういう分野の本は1万部がやっとだ。新聞宣伝なんかしたって、いくらの効果もない。だが、〝文化と教養を売ってます〟と、出版業界人は気取りたいので、こういう紙の本の慣行が今も続いている。かなり追い詰められてきた。いつまで保(も)つものやら。

アメリカ合衆国はやがて世界覇権(ワールド・ヘジェモニー world hegemony )を失う。そのとき、アメリカ合衆国は分裂国家(おそらく3つに)になる。としても、それは10年先のことである。The US shall be disbanded.「ザ・ユーエス・シャル・ビー・ディスバンデッド」とも言う。① ニューヨークを中心とした「東部〔イースト〕アメリカ」。ヨーロッパ白人世界と生きてゆく。ここには、シカゴを含めた中西部(ミッドウエスト)の北の方が入る。② テキサス州を中心とした農業国の「中央(センター)アメリカ」。ここで、〝ブルーステイト〟(米民主党支持者が多い)であるケンタッキー州とサウス・カロライナ州が ① と ② のどっちに付くか、でモメるだろう。南北カロライナ州は合体する(元に戻る)だろう。

実は、ノース・カロライナ州とサウス・カロライナ州は、南北戦争(ザ・シヴィル・ウォー。1861‐1865)の時に、それぞれ北軍(連邦派。フェデラル)と、南軍(南部同盟。コンフェデレット)側に付いて分裂した。あの南北戦争(ザ・シヴィル・ウォー。内乱、内戦)のときの影がいまもこの国に深く差しているのだ。

③ カリフォルニア州を中心とした「西部(ウェスターン)アメリカ」。太平洋側に面してアジア諸国に近いので、そこからの移民が多い。この ③ の国は、大衆的リベラル派としてアジア諸国と付き合い(貿易)しながら、生きてゆくだろう。

「トランプと表紙に付けるな。本が売れない(アメリカと付くだけでさえ売れないのに)」と言われたら、実は、本当にそうなのだ。日本のちょっとだけ知的で本を買って(あるいは公共図書館で借りて)読もう、というほどの知的な人々(今や国民の1パーセントの120万人)でも、表紙に「アメリカ」と付く本は読みたがらない。日本人は、アメリカさまが嫌いなのだ。屈従してべったりくっ付いているくせに、嫌いなのだ。あるいは、厭〔あ〕き厭〔あ〕きしている。いつもいつも頭ごなしに、私たち日本国に対して上から威圧して威張っている。

「敗戦後、日本はアメリカ帝国の属国である」と書いて、今や、国民的評価を得ているのは私だ。『属国・日本論』という。1997年に書いた本だからもう22年前の本だ。

 さて、どんなに紙の本が売れなくなっても、私は紙の本を自分の最期〔さいご〕(死ぬとき)まで書き続ける。もう他の職に転職できる齢ではない(65歳だ)。みんなもそうだ。ただ一筋の、自分の生業(なりわい)に細々と精を出すだけだ。哀れなものだが、これが人間の生きる道だ。

                              2019年2月20日

                                    副島隆彦

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【目次】

まえがき

第1章 アメリカ合衆国が分裂する日
  10年後、アメリカ合衆国は3つに分裂する
  ウィスコンシン州が台風の目だった中間選挙
  スコット・ウォーカーの州知事選敗北の原因は〝フォックスコン〟
  ウィスコンシン州でのフォックスコン工場建設計画
  トランプより一枚上手だったテリー・ゴウ
  孫正義‐トランプ会談の真相
  中国人はアメリカ人に騙〔だま〕されない
  ナンシー・ペロシがトランプと組む
  思いやりのある保守主義
  下院議長ナンシー・ペロシという女性
  日本の官僚たちをどなりつけたウィルバー・ロス

第2章 トランプ政治、七顛八倒
  トランプを支える議員たち
  増える、人種が混ざった議員たち
  〝レーガン・デモクラット〟と同じ動き
  民主党員だったトランプ
  キーストーンXL計画
  環境保護団体との闘い
  共和党なのにトランプを支持しない議員
  男たちの「ミー・トゥー」唱和が起きるほど凶暴なヒラリー系過激派
  本当は悪い男だったリンカーン大統領
  共和党の若手有望株3人にかかった恐ろしい圧力

第3章 ヒラリーを逮捕し裁判にかけろ!
  中間選挙で「半分勝って、半分負けた」トランプ
「ドレイン・ザ・スワンプ」
  トランプがキッシンジャー宅を訪問したとき「トランプ大統領」が決まった
  ヒラリー・クリントンがどれほど悪い女か、日本人はいまだに分かっていない
  つい本音を漏らしてしまうトランプ
トランプの実業家人生
  「ディープ・ステイト」
  ミカ・ブレジンスキーのポンペイオ=オカマ発言の衝撃
  2024年から世界大恐慌

第4章 「人権尊重、平等、人種差別しない」の大思想が滅びつつある
  政治家としての王道を歩いているトランプ
  アメリカ国民に職を
  トランプの政治思想
  米国の反移民問題
  欧州の反移民問題
  英国がブレグジットを選んだ理由
「人類の指導理念」の崩壊
  日本にとっての戒律=日本国憲法

(貼り付け終わり)

(終わり)

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