「1802」 副島隆彦の復刊書 『あなたが「金持ちサラリーマン」になる方法』(知恵の実文庫)を紹介する。 2019年1月25日
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SNSI・副島隆彦の学問道場研究員の古村治彦です。今日は2019年1月25日です。
今回は、副島隆彦先生の新刊『あなたが「金持ちサラリーマン」になる方法』(知恵の実文庫、2019年1月)を紹介します。
(2019年1月30日。ここで、副島隆彦が、割り込み加筆します。 私が、18年前に書いた、この本は、後述するごとく、当時ちくま書房から出た「金持ち父さん 貧乏父さん」が、爆発的に売れていたからだ。 このとき、「よし、私も、実用書(じつようしょ)というのを書いてみよう」と思い立った。このとき、「金持ちサラリーマン、貧乏サラリーマン」というコトバを、思いついた。それで、この本が出来た。当時、私は48歳だった。すでにそんなに若くない歳だった。
今はもう「年収1千万円」でも、十分に金持ちサラリーマンだ。みんなの目標だ。ヒドい国だな。日本は、バブル経済(最後の高度成長経済。’狂乱地価’も有った )が、1990年にピークアウトして、ガラガラと崩れてやがて30年になる。
この30年の、うち続く不況(デフレ経済)のために、おそらく、日本国民の 大半は、1990ねん時より、半分の年収になった。 今は、年収300万、400万、600万円ぐらいの貧乏サラリーマン( 30代、40代、50才代で) が、ほとんどだ。何という哀れな国名だろう。
金持ちサラリーマン と聞くと、普通は、金持ち(だいたいは、地主、鉄筋アパートのオーナー)の息子なのに、他の人たちと同じように、サラリーマン生活をしている人たち、ということになる。だが、それでは、つまらない。 それで、私が、この言葉に、新しい意味を与えたのである。 副島隆彦の割り込み加筆、終わり)
割り込み加筆、終わり)
古くからの副島先生の読者の方はピンと来られると思いますが、本書は三笠書房から2001年に出された本に、少しだけ修正を加えて文庫化したものです。文庫化されたので、より多くの読者が読みやすくなりました。
『あなたが「金持ちサラリーマン」になる方法』が、最初に出版された当時、日系4世のアメリカ人実業家ロバート・キヨサキ(Robert Toru Kiyosaki、1947年-、現在71歳)が書いた本『金持ち父さん貧乏父さん』(日本語訳。白根美保子訳、筑摩書房 2000年刊、”Rich Dad Poor Dad”, 1997)が大ベストセラーになっていました。「金持ちサラリーマン」は、そこからヒントを得た言葉です。
ロバート・キヨサキとドナルド・トランプ
本書は、政治思想や金融経済といった副島先生の得意分野ではなく、「サラリーマンとしていかに自分の思いどおりに生きるか」ということをテーマにして書いている人生指南本です。
タイトルにも入っている「金持ちサラリーマン」という言葉は、「自らの頭脳・才能を駆使して、会社において自分の夢や希望や能力をいかす立場を確立し、周囲からは尊敬、会社からはそれなりの金銭的な見返りを得られる人」のことです。「仕事が出来て、会社に利益をもたらして、十分な報酬と尊敬を得られる人」です。
日本全国で労働に従事している人は約4000万人いて、その中で個人事業主や経営者を除くと3500万人となります。3500万の中で上層の位置するのが金持ちサラリーマンということになります。『あなたが「金持ちサラリーマン」になる方法』が書かれた2001年から約20年が過ぎ、人々の意識もだいぶ変わり、サラリーマンの世界にも実力主義が定着してきたと感じます。本書の内容はその点で、不変性を持ちます。
「仕事ができ、会社に利益をもたらすサラリーマン」になるためには、自分や周囲を冷酷に測定できるようになることが重要です。それも数字で、より具体的にはお金に換算できるようになることです。副島先生はこれを「金銭思想」と呼んでいます。
私がこの本を読んで、重要だと思ったのは、「他人の評価は『自分が思っている10分の1』」という部分です。
自分自身に力が10あると思っていても、周囲の人は、1しかないという冷酷な評価をしている、と副島先生は書いています。周囲の人から10の力があると思われたければ、100 の力を示さねばなりません。他人に冷酷な人も、自分自身の評価は、おそらく10あると思っている。だが、やはり周囲は1しかないと思われている、ということになります。
「自分で自分の価値を冷静に判定することは、人間がもっとも不得手とするところであろう。したがって、まず徹底的に冷酷に自己評価する構えがどうしても欠かせない」「自分の価値をしっかりと値踏みし、冷酷なまでに数字で判定して、それでもなお、価値の高い人材であるという結果が出るほどの人間でありたい」(56ページ)という箇所は、肝に銘じておきたい。
ここ以外にも多くの読みどころがあります。ぜひ手に取ってお読みください。
(貼り付けはじめ)
はじめに──あなたがめざすべき「金持ちサラリーマン」とは? 副島隆彦
本書を読むことで、あなたは「お金と人生」を直結させて考えるようになるだろう。
お金と人生を、それぞれ別のものと分けて考えていると、お金が自分から遠のいていく。お金を儲けることと、自分の人生そのものを遠回りさせずにまっすぐに結び合わせて考えるようにすれば、あなたも金持ちになれるのだ。こんな厳しい時代にはもう、あれこれの一切の気取りは捨てるべきだ。お金とはいいものなのだ。金儲けを罪悪視してはならない。
本書を読んでいただければわかるが、私は日本のサラリーマンがもっと金銭的に裕福になれる道を考えぬいた。「金持ちサラリーマン」とは、決して大[おお]金持ちになることはめざさないが、しかしお金に困らないほどの豊かな暮らしができ、十分な収入を得て、充実したサラリーマン生活を送れる人間のことだ。
日本人に一番欠けているものは何か。それは「金銭思想」だと私は考える。
10年前に、「リーマン・ショック」(2008年9月)があった。その前に「金融の自由化」が喧伝[けんでん]された。ところが、実際に起こったのは「金融の統制[とうせい]」であった。1998年には大[だい]銀行に軒並み公的資金が約1兆円ずつ投入されて、一時、国有銀行になってしまったことがある。このことに「おかしい」と声を発した専門家が果たして何人いたか。金融統制策は、アメリカの圧力だった。このことをテレビも新聞も一切書かなかった。
私には丸見えに見えていた。それは私の専門がアメリカ政治思想研究であり、また日米の政財官界に独自の情報源を持っているからだ。私は市場優先主義、経済法則優先主義に立ち、「穏[おだ]やかな金銭思想」にもとづいた生き方をしてきたからである。
新聞やテレビには今日も金融・経済のさまざまな数字が並ぶ。しかし、あれらの統計数字を客観的に判断し、分析し、自分の資産形成に生かすことのできる人は少ない。日本の経済を担っているサラリーマン層が、金融アナリスト、経済学者の語るまったくあてにならない知識や情報を鵜呑みにして騙されてきた。私たちは日本経済を立て直す眼を養うどころか、自分のわずかばかりの財産さえも失おうとしている。すべては日本人の「金銭思想」の忘却と欠如に原因がある。
私がいう「金銭思想」とは、冷酷に金額で明示し、数字でものごとを考えることである。そこにはあいまいな表現は含まれない。夢や願望にすり変えない。すべてをお金についての数字で冷静に判断する人生態度が、「金銭(重視の)思想」である。あなたが金持ちになりたい、自分の人生を自分のために生き、やりたいことをやって生きたいと望むなら、まず「市場主義」と「金銭思想」を自分の頭にたたき込むことだ。それなしに、金持ちサラリーマンへの道はない。
くり返すが、この本を読むことで、お金と人生を直結させて考えることがわかるだろう。
今、日本のサラリーマンは、朝から晩まで滅私奉公[めっしほうこう]で会社と組織に縛られている。しかも、十分な報酬を得ているとはいいがたい。サラリーマンがどんなに頑張っても「金持ち」にはなれない。それどころか、ますます貧しくなる。しかし、あなたには自分の知恵と才覚で利益を上げ、その中から自分に見合った十分な報酬を受けとる権利がある。
そのためには、世の中にあふれる情報を選別[せんべつ]し、的確にその正体を見破る。真実は何か判断できる目を養う。自分で考える力を身につける。政府やマスコミ(メディア)のいうことに騙されない。自分の豊かな暮らしに向かって行動する力を身につけることだ。
十分な収入を得る手段は必ずある。それなりの十分な収入があれば、あなたは自分の思い通りの人生を切り拓[ひら]いていける。
副島隆彦
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あなたが「金持ちサラリーマン」になる方法 目次
はじめに──あなたがめざすべき「金持ちサラリーマン」とは? 3
序章 今、この本を私が書く理由
──「金持ちサラリーマン」になりなさい!
「金持ちサラリーマン」になるための一つのルール 18
あなたは「自分の値段」を知っているだろうか? 20
たとえばプロ野球で「格付け」を考えてみると? 24
「人間は決して平等ではない」という事実 27
あなたがめざすべき場所はたった一つ! 30
本当に能力のあるサラリーマンとは? 33
第1章 金持ちサラリーマンへの3つのステップ
STEP1 遅くとも6時には会社をあとにする
会社を〝あなたのお金を生み出す場所〟に変える方法 38
夜6時以降の仕事はあなたの評価を下げる 40
こんな上司を探せ!──あなたの居場所はそこにある 42
「和をもって貴しとする」は、できない人のいい訳だ! 44
「必要悪」──なぜ会社はこんな人材を欲しがるのか? 48
STEP2 「自分の値段」を知る
友人の新品のヴィトンのバッグをあなたはいくらで買う? 52
他人の評価は「自分が思っている10分の1」 56
売れなければタダと同じ──「処分価格」が「本当の値段」である 59
第2章 お金が増えていく人、減っていく人の習慣
「その価値は?」と問われて、数字で答える人、言葉で答える人 88
金持ちサラリーマンが大切にすべき「価値」とは何なのか? 90
2つの good ──ここあいまいにして金持ちにはなれない! 93
「いい人」といわれて内心ほくそ笑む貧乏サラリーマン 98
10億円の資産を譲り受けた2人の息子の話 100
こんな馬鹿げた「ギブ・アンド・テイク」に乗ってはならない 105
Column 金持ちをめざす人生のバランスシートを作ってみる 110
第3章 ポジティブ・シンキングだけでは、人生笑って暮らせない!
第一の鉄則──「騙されない人」になれ! 118
つねに「自分の意見とは逆のこと」を考えるくらいでちょうどいい 121
人生の大きな知恵──そんなに簡単に決断してはならない! 123
第二の鉄則──「負ける戦い」はしてはならない! 127
嫌な役員をこそ尊敬する──そんな側面も必要である 132
「この世に平等などありえない」という事実を受け入れろ 135
金持ちがますます金持ちになっていく世の中の仕組み 139
これまでも、これからも絶対平等主義などありえない 141
しかし、「金持ち」になる権利だけは平等である 143
Column 「浮き世」の人生を歩んでいくためのキーワード 146
第4章 金持ちサラリーマンのお金哲学
──なぜ日本人はお金を使うのが下手なのか?
あなたの今の生活水準はどのあたり? 150
小銭稼ぎをやるのではなく、もっと大きく考える習慣を! 153
金持ちほど、つねに「最悪の事態」を考えて行動する 156
貧乏サラリーマンに共通する「金銭思想」の欠如 159
貧乏サラリーマンvs新聞・マスコミ──信じるべきこと、疑うべきこと 164
Column 奥さんには給料を直接現金で手渡せ 169
Column 金持ちサラリーマンの〝ポジティブ・シンキング〟とは? 173
第5章 人生最大の目的は、金持ちサラリーマンになることである!
「金持ちサラリーマン」になる法則って、ある? 178
尊敬すべき理科系エンジニア、反省すべき文科系人間 181
金持ちサラリーマンになるための必要条件 186
教訓! 父親と同じことをやっていたら成功は見えてこない! 189
しずく垂れ理論──利益をもっとも多く得る人、やっとのことでわずかな利益にありつく人 196
組織の中でトップに近づくための掟──『ゴッドファーザー』の組織論 199
金持ちサラリーマンの生き方──組織で出世する人間に共通する特徴 202
人物評価に「△」はない! ──他人に甘い人間は自分にも甘くなる 206
あなた自身の「米びつ」を探し出し、掌握する方法 209
リスクをとれる人間だけがお金を稼げる 215
勝ち組のものの見方、考え方「コンヴァージョン・セオリー(収斂理論)」 217
サラリーマンにおける収益還元法とは? 222
Column マーフィーの法則について 229
Column 人生とは、おいしい食事をして、いい女(男)と寝るためにある 233
おわりに 236
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あとがき 副島隆彦
私は、自分の読者層をもっと広げたいと強く思っていた。これまで私は、難しい政治評論集や、アメリカ政治思想研究、金融・経済もの、英語学習ものなどの、やや専門的な本ばかりを書いてきた。
だから、もっとじかに自分のサラリーマン生活のあり方や方向性で悩んでいる人たちに、何かアドバイスできるような人生論が書ければいいと思っていた。そこで私は「金持ちサラリーマンになるには」という書名[タイトル]を考えついた。
この、聞いたことがあるようで聞いたことのない、定義のはっきりしないこの「金持ちサラリーマン」という書名で、内容を組み立てるのに、私はかなり思い悩んだ。
「金持ちサラリーマンという人々がいるとしたら、それはどういう人のことか」
「金持ちサラリーマンと貧乏サラリーマンはどこが違うのか」
「それなら、どうすれば金持ちサラリーマンになれるのか」
「そもそも、大金持ちと金持ちサラリーマンはどこが違うのか」
私は書き進めていくうちに、ひとつの確信を持つに至った。
《そうか、金持ちサラリーマンというのは、決して金持ちではない。しかし、自分の時間や肉体や頭脳を、会社の中である程度自由に使うことが許され、楽しく仕事ができ、それが会社に利益を生み、そのことで十分な収入を保証される人間のことだ》
私自身は、30歳のときにサラリーマン生活に見切りをつけて、言論人、評論家への道を選んだ人間である。現在はサラリーマンではない私が、サラリーマンに対して偉そうに人生論を諭[さと]す資格があるのか。
だが、今の私の生活を振り返ってみると、私は自分の頭脳と文章力を駆使して文章を書き、自分の研究の成果として本を出版している。それが読者に支持され、本の売り上げでそれなりの収入になっている。こう考えると、私自身がこの金持ちサラリーマンの定義に限りなく近い生き方をしていることに気づいた。
私は、人生の一番苦しかった人生の20代に、金融の世界(銀行員)で、冷酷な数字の処理と分析力がものをいう現場で、いろいろ壁にぶち当たった経験から、多くのことを学んだ。だから、今は金融・経済ものとビジネス書も書いている。この本は、金持ちサラリーマンをめざす人々にとっての大きな指針となるはずである。
2018年12月 副島隆彦
(貼り付け終わり)
(終わり)
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